説明

シート材料を基材に貼付するための貼付機及びその方法

壁紙などのシート材料を基材に貼付するための方法及び器具。貼付機は、シート材料が基材から離される第一の位置と、シート材料が基材に接触する第二の位置とを有する、二位置型である。追加又は代替として、貼付機は、制御バーを備えることができる。第一の位置において、制御バーは、シート材料の自由端などの部分に接触する。このことにより、シート材料が基材に早発に接触をする恐れが最小限になる。第二の位置において、シート材料は、基材への貼付のために、制御バーとの係合から離される。貼付機とシート材料は共に、セットで提供されてもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材料を基材に貼付するための貼付機と、シート材料を基材に貼付するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
シート材料は、日常生活において普通に使用されている。シート材料の例として、通常は垂直表面に貼付される壁紙、掲示、ポスター、及び広告などが挙げられる。その他の例として、通常は水平表面に貼付されるリノリウム及び他のフローリング材などが挙げられる。シート材料は、他のシート材料すなわち薄層に貼付されて、積層材を作成されることもある。積層材は、次に、最終用途に向けられる。基材はまた、開放容器又は包装の場合のように、可搬式であってもよい。
【0003】
その技術は、シート材料を基材に貼付する様々な技法を教示する。例えば、当該技術分野における幾つかの試みは、貼付機から基材へシート材料のきれいな切断を有することを目指して、ナイフエッジ付き貼付機を使用する。当該技術分野における例として、米国特許第5,759,270号(リー(Lee)、1998年6月2日発行)、第6,059,002号(キタミ(Katami)、2000年5月9日発行)、第6,145,770号(マヌシュ(Manusch)ら、2000年11月14日発行)、及び第6,450,231B1号(イシカワ(Ishikawa)、2002年9月17日発行)などが挙げられる。
【0004】
当該技術分野におけるその他の試みは、米国特許第4,711,682号(バーベ(Barbe)ら、1987年12月8日発行)及び第4,806,184号(シャノン(Shannon)、1989年2月21日発行)それぞれに見られるように、平らな面又は半円筒曲線チューブに壁紙を貼るための多角形器具を使用する。シャノン(Shannon)は更に、壁紙を貼るための手持ち式壁紙貼付機を教示する。この貼付機は、シート材料が壁上でスクロールされる時に弾力的圧力をかけるための張力機構を有する。米国特許第1,960,850号(ロイド(Lloyd)、1934年5月29日発行)は、ヒンジ付きハンドルを有する壁紙貼付機を教示する。しかしながら、上記技術のどれも、基材上に貼られるシート材料を適切に位置決めすることについての問題点に対処していない。ユーザーがシート材料を確実に水平にすることや隅部で正確に配置することなどを望む場合、シート材料の最初の位置決めに対して特段の注意が払われなければならない。便利さのために往々にしてあるように、シート材料が予め塗布された接着剤を有する場合は、この問題が悪化する。
【0005】
シート材料の位置決めに関連する問題点を克服する1つの試みが、米国特許第5,478,432号(ベスター(Vester)、1995年12月26日発行)に見られ、この特許は、粘着材塗布組立体を有する壁紙縁部貼付機を開示する。組立体が適切な位置に置かれて、回収可能なタックが壁へ挿入される。しかしながら、ベスター(Vester)は、貼付されるシート材料を最初に位置決めする問題、及びタックが壁を損傷するかもしれない問題には依然手をつけていない。シート材料が最初に位置不良である場合は、位置不良が続いて有用ではない。
【0006】
位置不良及び水平維持の問題を克服する1つの試みが、米国特許第6,206,990B1号(グレン(Glenn)、2001年3月27日発行)に見られる。グレン(Glenn)は、2つの縦列を有するマスク要素を適用する装置及びそれらの間で横方向に携えられるディスペンサーを提供する。ディスペンサー上には水準器が備えられている。しかしながら、グレン(Glenn)の装置は、可搬式でもなく、例えばポスターや広告などの少量のシート材料と共に使用するのにも適していない。更に、グレン(Glenn)は、特殊形状表面で使用することを可能にしていない。
【0007】
転移接着剤の分配を提供する当該技術分野における更に別の試みが、米国特許第5,316,613号(サムエルソン(Samuelson)ら、1994年5月31日発行)にある。サムエルソン(Samuelson)は、塗布部材を使用して転移接着剤を基材に塗布するディスペンサーを提供する。しかしながら、サムエルソン(Samuelson)は、接着剤を隅部に置く方法、又は接着剤を不確定の長さで分配する方法を提供していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故に、簡便なシート材料貼付機、特に、必要に応じて基材に対するシート材料の簡便かつ適切な位置決め及び再位置決めを可能にするシート材料貼付機を提供することが、当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート材料を基材に貼付するための二位置型貼付機を含む。貼付機は、ある量のシート材料を受け入れるホルダーを備える。ホルダーは、操作可能にフレームに並置される。フレームとホルダーは、相互に対して第一の位置から第二の位置へ移動可能である。第一の位置において、フレームは、シート材料及び基材の少なくとも1つに係合する。第二の位置において、フレームは、シート材料及び基材の少なくとも1つとの係合から離れる。
【0010】
別の実施形態において、請求される発明は、シート材料を基材に貼付するための方法を含む。その方法は、二位置型貼付機を用意する工程を備える。貼付機は、ある量のシート材料を受け入れるホルダーを備える。ホルダーは、フレームに並置され、ホルダー及びフレームは、相互に対して第一の位置から第二の位置へ移動可能である。ホルダー及びフレームが第一の位置に置かれる時、フレームは、シート材料及び/又は基材に係合する。ある量のシート材料がホルダーに挿入される。貼付機が基材にもたれて置かれ、これによりシート材料は、基材から離されて配置される。望む場合、立ち上がり部を使用して、シート材料が基材から離れて配置されてもよい。シート材料は、基材に相対的な所望の位置及び向きを達成するために調整可能である。ホルダー及びフレームは、第一の位置から第二の位置へ移動され、これにより次に、シート材料が基材に接触、及び/又はフレームがシート材料との係合から離れる。貼付機は、シート材料を基材に貼付する方向へ移動される。任意に、ホルダー及びフレームは、次に、第二の位置から第一の位置へ移動されてもよく、これによりシート材料の一部が、基材から離れて配置されてもよい。シート材料のこの部分は、次に、切断又は脆弱線などによって他の方法で分断されて、シート材料の残部が基材に貼付されたシート材料の部分から解放されてもよい。追加又は代替として、フレームは、基材に再係合してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1A、1Bを参照して、本発明は、シート材料20を基材に貼付するための貼付機10を含む。基材は、所望により、固定型でも、可搬型でも、再使用可能でも、又は使い捨てでもよい。基材は、壁、床、ボウル、開放容器、又は広告板などの製品、あるいは最終用途に改造される材料20とすることができる。あるいは、基材は、1つ以上の薄層の積層体などの中間体であってもよい。基材は、所望により、正規形状又は異形状、大きさ、及び/又は質感の、平ら、及び直線状、曲線状であってもよい。
【0012】
シート材料20は、壁紙、包装紙、フィルム、保護層、食物カバー、紙、不織布、建築用接着性フィルム、視覚的若しくは触覚的に認知可能なしるし、ラベル、テープ、転移接着剤などを含んでもよい。材料20は、当技術分野で既知のような及び本明細書で更に説明されるような、渦形に巻かれたロールなどの渦巻きスプールの形態で供給されてもよい。シート材料20は、所望により、コア上に巻かれても、又はコア無しで巻かれてもよい。そのような材料20のスプールは、回転可能に貼付機10に取り付けられてもよい。しかしながら、ある量のシート材料20は、貼付機10に挿入される1枚以上の別個の又は平らな材料20のシートを含んでもよいことを理解されるべきである。
材料20は、スプールの長手方向軸線に平行にとる幅、及びシート材料20を基材上に貼付する方向に平行にとる長さを有する。材料20は更に、貼付プロセスの間に材料20の曲げを可能にするのに十分ないかなる厚さであってもよい、及び使用中の所望の機能を提供する、厚さを有する。好ましくは、材料20は、厚さが0.076mm以下である。
貼付される材料20は、自由端を有する。材料20の自由端は、材料20の部分で、不連続であり、通常は所与の貼付の間に基材に貼付される材料20の最初の部分である。材料20は、取外し可能な貼付機10に取り付けられる。材料20は、基材への貼付により使い尽くされるまで分配されてもよく、あるいは、同一又は異なる基材に対して異なる材料20を貼付することを望まれる時に取り外されてもよい。
【0013】
貼付機10は、所望により、固定型であっても、可搬型であってもよい。好ましくは、貼付機10は、最小限の準備でシート材料20を所望のパターンに簡便に貼付可能であるように、可搬型である。シート材料20は、貼付機10から手で貼付されてもよく、駆動モータを使用して分配されもよく、及び/又は当技術分野で既知のようなロボットシステムを使用して自動的に貼付されてもよい。
貼付機10は、一般に細長く、並びに貼付される材料20の幅とホルダー14に挿入されたシート材料のスプールの長手方向軸線とに平行な長軸を有する。長軸に沿ってとった貼付機10の長さは、貼付する材料20のいかなる所望の幅にも適応するように十分に大きくなければならない。材料20は、貼付機10の長さよりかなり小さい幅であってもよく、及びそれぞれが貼付機10の長さより短い幅の複数のシート材料20が、平行に同時に又は連続して順次貼付されてもよいことを理解されるべきである。そのような仕組みが選択される場合、材料20は、基材に同時に貼付されてもよく、及び、所望により、同一であっても異なってもよい。
【0014】
図2を参照して、本発明による貼付機10は、フレーム12及びホルダー14を備える。フレーム12及びホルダー14は、相互に対して移動可能である。フレーム12又はホルダー14のいずれかが移動し、その間他方が静止保持されてもよく、あるいはそれぞれが他方に相対的に移動してもよい。ホルダー14は、基材に貼付される材料20を貼付の直前に保持するのに好適ないずれかの器具を備える。ホルダー14は、細長く、並びに貼付及び貯蔵中の間にほこり又は他の汚染物から保護するために、材料20を完全又は部分的に包囲してもよい。しかしながら、材料20は、完全に覆われる必要はない。ホルダー14は更に、シート材料20のスプール用に1つ以上の回転可能な取り付け部を備える。回転可能な取り付け部は、トラニオン、ジャーナル、軸受、中心軸などを含んでもよく、その全ては、シート材料20のスプールをホルダー14に取り付けるために当技術分野で既知である。
【0015】
2つの回転可能な取り付け部が、ホルダー14の各端部に1つずつ含まれてもよい。望む場合、2つの回転可能な取り付け部は、材料20を貼付する時の貼付機10の走行を改善するために、歯車などで互いに連結されてもよい。望む場合、材料20が過度に早く貼付されないように、及び手違いを最小限にするために、回転可能な取り付け部は、荷重がかけられる又は片寄らされて、ブレーキ作用を提供されてもよい。ブレーキ作用が十分に強い場合、貼付機10及び材料20は壁上にしばらくの間ぶら下がって、ユーザーが位置換えする、他の道具を集めるなどが可能になる。
【0016】
フレーム12はまた、1つ以上の立ち上がり部16及び/又は制御バー15を保持するための細長い構造を含んでもよい。フレーム12及びホルダー14は、相互に対して第一の位置から第二の位置へ移動可能である。望む場合、フレーム12及びホルダー14は、第一と第二の位置の中間の位置に保持されてもよいが、これは一般に望ましくない。フレーム12及びホルダー14の相互に関する移動は、図3A−3Bに示されるように、摺動可能な併進運動により達成可能である。この仕組みは、当技術分野で周知の溝と追従体を使用して簡単に達成されてもよい。望む場合、ラックとピニオンギアの組を使用して、フレーム12及びホルダー14の作動を誘導してもよい。
【0017】
図2に戻って参照すると、貼付の直前に、立ち上がり部16が、材料20を基材から遠くへ変位させる。立ち上がり部16は、基材に係合する前縁18を有する。立ち上がり部16の前縁18は、基材を損なう又は損傷することを防止するために、柔軟材料20を設けられてもよい。立ち上がり部16は、直接接触により基材に係合してもよい。立ち上がり部16が基材に係合している時、シート材料20は、基材から離れて配置されており、その結果、シート材料20の早発の貼付が回避される。立ち上がり部16は、基材に対するフレーム12の点接触を提供するものであってもよく、又は好ましくは、フレーム12の基材との確実な係合を確保するために、示されるように基材に対する長い接触を提供してもよい。好ましい実施形態では、2つの立ち上がり部16が、フレーム12の各端部に1つずつ、設けられる。好ましくは、立ち上がり部16は、シート材料20の幅方向の外に配置される。この配置により、立ち上がり部16のシート材料20との直接接触が回避されて、引裂きが最小限になる。
【0018】
2つの堅く取り付けられた立ち上がり部16を有する単一のフレーム12が示されているが、代替的実施形態では、立ち上がり部16は、分離されて個々にフレーム12に取り付けられてもよい。この配置により、例えば、その幅にわたって変化する厚さのシート材料20を基材に貼付することを望む場合、又はそうでなければシート材料20の基材への直接及び平らな貼付を使用することを望まない場合に、立ち上がり部16の相互に関する個々の移動が可能になる。そのような構成では、ホルダー14の各端部に対して1つずつ立ち上がり部16が、取り付けられてもよい。そのような実施形態では、各立ち上がり部16は、ホルダー14に取り付けられたそれ自体のフレーム12を有すると考えられる。そのような実施形態では、各立ち上がり部16は、別々に基材に係合可能であり、また基材から後退可能である。この配置は、材料20が節約されるという利点を提供するが、フレーム12の単一の動作が立ち上がり部(複数)16を基材に係合させることができない、又は立ち上がり部(複数)16を基材から後退させることができないという欠点をもたらす。
【0019】
本発明による貼付機10はまた、制御バー15を備えてもよい。制御バー15は、好ましくは、細長くてホルダー14の長手方向軸線に平行であり、及びフレーム12上に取り付け可能である。制御バー15は、シート材料20に、及び好ましくはシート材料20の自由端又はそれに並列するシート材料20の部分に係合及び係合解除する。制御バー15は、好ましくは、基材の幅以上の長さを有する。制御バー15は、貼付されるシート材料20に接触、把持、又は他の方法で係合するのに好適な、真空、接着剤、貼付されるシート材料20と凝集性があるコーティング、フック・ループ式ファスナー、又は他のコーティングを有してもよい。コーティングや真空などは、所望により、耐久性があるものでも、交換可能なものでもよい。更に、コーティング又は真空は、制御バー15の長さにわたって、ひいてはシート材料20の幅にわたって、連続的又は非連続的に適用されてもよい。
【0020】
図3A−3Bを参照して、好ましい実施形態では、制御バー15は、制御バー15のシート材料20への接着取り付けをもたらす接着剤コーティングを有する。本明細書に示されるような一般に垂直に向けられた光沢部材30を有する構造が選択される場合は、シート材料20が基材に貼付される時に、制御バー15がシート材料20に係合しないように注意が払われなければならない。これが生じることを防ぐために、制御バー15の一部が、接着材無しで提供されてもよく、又はこれから除去されてもよい。このことは、図に示されるように、制御バー15を材料20のスプールに向けてわずかに変位させることにより達成可能である。
【0021】
制御バー15の係合は、シート材料20の幅にわたって一定であっても、変化してもよい。例えば、縁部近辺においてシート材料20のより強い制御が望まれることがあり、及びしたがって、所望により縁部近辺で、中央近辺で、又は幅を横切ってとった一方向で、より大きな係合が必要とされる可能性がある。しかしながら、制御バー15は、所望のようにシート材料20に係合可能であり、及びこれから後退可能であることだけが必要とされる。
【0022】
制御バー15及び立ち上がり部16は、好ましくは、同時にシート材料20及び基材それぞれに係合可能かつこれらから係合解除可能であり、またより好ましくは、そのような係合及び係合解除が、単一動作で生じる。しかしながら、制御バー15と各々、又は両方の立ち上がり部16とが独立に、係合及び後退してもよいことを当業者は理解されるであろう。
【0023】
望む場合、貼付機10は、ラッチを備えてもよい。ラッチは、フレーム12及びホルダー14を相互に対して第一の位置に、第二の位置に、中間位置に、及び/又はこれらの任意の組合せに固定する。好適なラッチとして、フレーム12とホルダー14の相互に関する摩擦固定、機械的インターロック、接着、カム作用、フック・ループ式ファスナーなどをもたらすものが挙げられる。ラッチは、押しボタン、バックル、クリップなどとして操作されてもよい。好適なラッチは、当業者には既知であり、これ以上ここで説明しない。
望む場合、貼付機10は更に、光沢部材30を備えてもよい。光沢部材30は、フレーム12の上、ホルダー14の上、又は両方の上に配置されてもよい。光沢部材30は、基材に貼付される時にシート材料20を平滑化する、更にシート材料20と基材を共に更に加圧する、及び/又はしわや引張りに起因する過度の折り曲げ、若しくは位置不整合のないシート材料20と基材との良好な係合を更に確実にする、貼付機10のいずれかの表面(単数又は複数)である。その表面は、平らであっても曲線状でもよく、好ましくは凸面である。
【0024】
図1A、1Bに示すように、貼付機10は、2つ以上の別個の光沢部材30を有してもよい。光沢部材30は、図示のように90度離れて配置されてもよく、又はいずれか他の便利な向きで配置されてもよい。2つ以上の光沢部材30が設けられる場合、光沢部材30は、異なる表面を有してもよい。例えば、荒光沢部材30を使用して、シート材料20の基材への初期貼付を助けてもよく、精細光沢部材30を使用して、貼付の後助けをしてもよい、などである。
【0025】
シート材料20の幅と光沢部材30の好ましい長さとの間には、逆の関係があることが判明した(光沢部材30の長さは、シート材料20の貼付方向及びその長さに平行にとる)。シート材料20がより広くなるにつれて、材料20の貼付方向の光沢部材30の長さは、一般的には、シート材料20に対して十分な制御をもたらすために増加されるべきである。シート材料20の幅及び/又は光沢部材30の長さが減少すると、ユーザーは、シート材料20が貼付される時の弧又は曲線路を操縦する及び適応するための、シート材料20の貼付に対するより大きな制御を有する。
【0026】
本明細書に記述される実施形態の場合、幅が約29.5cmの取り去り可能なPETキャリアシートを有する2層ポリマーシート材料20と、長さが少なくとも約3.8cmの光沢部材30とが、好適であることが判明した。光沢部材30は、硬いフェルトパイルを備える。
【0027】
貼付機10は、ユーザーにより便利に把持される、概して円筒形のホルダー14を備えてもよい。ホルダー14は、2つの別個の光沢部材30の間に形成される内包角の中に入れ子になっている。ユーザーが基材を縦表面に貼付する際、表面の頂部から開始する場合に、貼付機10が基材の底部に近づく時、ユーザーは、貼付機10を第一の光沢部材30から第二の光沢部材30へ便利に転がし進めることができる。このことは、貼付機10が材料20を様々な高さの基材に貼付する時に、ユーザーが貼付機10の正確な位置を維持することを可能にして、人間工学的に効率的な設計を提供する。
望む場合、貼付機10は更に、水準器32を備えてもよい。水準器32は、所望により、フレーム12上、ホルダー14上、又は貼付機10の他の部品上に配置されてもよい。水準器32は、水平向き、縦向き、45度向き、いずれかの中間向き、又はこれらの組合せを表示するために利用可能である。当業者には既知のように、簡単な気泡水準器32及び/又はレーザー水準器32が使用可能である。
望む場合、貼付機10は更に、ブレード、切断ホィール、熱線、加熱されたエッジなどのナイフ34を備えてもよい。ナイフ34は、ホルダー14、フレーム12、これらの組合せに、又は貼付機10の他の部品上に取り付けられてもよい。
【0028】
切断はシート材料20の幅に平行に生じることが一般に好ましいが、切断の方向は、シート材料20の幅に対して傾いていてもよく、まっすぐである必要はない。望む場合は、ぎざぎざ又は曲線状の切断が生じてもよい。
【0029】
好ましい実施形態では、ナイフ34は、フレーム12に取り付けられて、軌道38を双方向に横断するものであり、その結果、切断が、材料20の幅を横切るいずれかの方向に生じることができる。特に好ましい実施形態では、ナイフ34は、軌道38の各端部において、シート材料20の切断方向から後退することができる。好ましくは、そのような実施形態では、軌道38の端部は、幅方向にとる時に、シート材料20の外である。望む場合、ナイフ34は、片寄らされて、その結果、軌道38の端部のいずれかで、好ましくは両方で自動的に後退してもよい。片寄りは、ばね、重力の影響、カム作用、磁気吸引などにより実施可能である。
【0030】
ある種のシート材料20は、ナイフ34による切断が試みられる時、容易に分断されないことがある。例えば、薄い高分子材料20は、きれいに分断されるよりも、束及びしわになる傾向がある。このことは、材料20が基材に貼付される時に、不均一又は見苦しい外観をもたらす。
【0031】
図4A−4Bを参照して、この問題を克服するために、シート材料20に順に穴をあけて次に分断するナイフ34が設けられてもよい。このことは、2つ以上の間隔が離れた突き刺し先端又は分離性切断点36を有するナイフ34を設けることにより、達成可能である。第一の突き刺し先端が、シート材料20の縁部の内側寄り位置でシート材料20に挿入される。ナイフ34は、切断方向に横移動され、及び軌道38により誘導されてもよい。ナイフ34上の第二の分離性切断点36は、次に、切断されていない残り区分を切断し、更に、第一の分離性切断点36により切断されずに残されたシート材料20を分断するための追加点を提供する。
【0032】
図4Aを参照して、2つの切断点36を有するナイフ34が、使用されてもよい。第一の切断点36が、材料20に穴を開け、及びナイフ34が材料20を横切って横移動される時に、第二の切断点36が、材料20を分断する。
【0033】
図4Bを参照して、ナイフ34の切断点36が、シート材料20上で概して中心にあってもよい。それから、ナイフ34は、横方向に動されるよりも、シート材料20に対して垂直に進められる。材料20の分断は、次に、シート材料20の中心から外へ二方向に生じる。ナイフ34は、追加切断点36又はセレーションを有してもよい。
【0034】
図1A−1Bに戻って参照して、望む場合、シート材料20の長さに沿って間隔が離れた分離性の脆弱線(図示せず)をシート材料20に設けることにより、ナイフ34の必要性を省略することができる。この配置は、シート材料20が光用スイッチなどを覆う大きさの広告や装飾効果を含む時に生じるような、予め大きさが定められた用途にシート材料20が使用されることを意図される時に、利点があり得る。脆弱線は、当技術分野で既知のように、材料20内の穿孔、薄区分などにより設けることができる。
【0035】
シート材料20は、基材に接触する側上に接着材をコーティングされてもよいことを、当業者は理解されるであろう。これにより、シート材料20の基材への貼付に便利さがもたらされる。別の方法としては、接着剤は、当技術分野で既知のように、基材への貼付中に水により活性化されてもよく、又は貼付中にシート材料20の面に塗布でもよい。更に別の実施形態では、シート材料20は、当技術分野で既知のように、一側上に配置されたキャリアストリップを有してもよい。キャリアストリップは、シート材料20を基材に貼付する際に取り外される。望む場合、貼付機10は更に、キャリアストリップをシート材料20から取り去る時に便利な巻き上げのための、巻取りロールを備えてもよい。巻取りロールは、キャリアストリップをその上に巻く時に張力を維持するために片寄らされてもよい。
【0036】
キャリアフィルムとシート材料20を利用する実施形態が選択される場合、貼付機10は、好ましくは、基材への貼付の際にシート材料20とキャリアフィルムの接触を長引かせる。上で説明した試みのナイフエッジとは対照的に、キャリアフィルムのシート材料20からの分離の前にシート材料20とキャリアフィルムの貼付方向への接触を長引かせることにより、基材上でのシート材料20の軌道決め及び位置決めが改善されることを出願者らは見出した。貼付方向にとって、少なくとも2.5cm及びより好ましくは少なくとも3.8cmの同一の広がりを持つ距離が、キャリアストリップ及びシート材料20を基材に適用することにうまく働くことが見出された。
【0037】
貼付機10のホルダー14とフレーム12の相対移動は、ホルダー14及びフレーム12の他方に対する摺動により可能になる併進運動として上で説明したが、本発明はそのように限定されない。フレーム12とホルダー14の間の相対移動は、フレーム12及びホルダー14の一方又は両方の他方に対する旋回によっても達成可能である。旋回は、シート材料20の幅及び貼付機10の長手方向軸線に概して平行な軸線周りとすることができる。
【0038】
旋回運動は、限定された弧の輪郭を描くことができる。その弧は、第一の位置から始まることができ、これは、立ち上がり部16が基材に係合する時に、シート材料20が基材から間隔が離れることを可能にする位置であり、及び/又は、同様に第一の位置にある間に、シート材料20の自由端などのシート材料20の部分が制御バー15と係合することを可能にする位置である。貼付機10が第一の位置から第二の位置へ関節運動すると、シート材料20が基材に係合し、及び/又はシート材料20が制御バー15から係合を離れる。このように、旋回可能な手法においても、貼付機10は、上記のように第一と第二の位置の間を双方向に関節運動し、及び上で説明されたものと同一の機能を提供する。
【0039】
操作に際しては、シート材料20が、ホルダー14に挿入される。シート材料20は、分離性又は端部で連結された平シートが渦状に巻かれたスプール、又はいずれか他の所望の形状を含んでもよい。貼付機10が、上で説明したような第一の位置に置かれる。貼付機10が、基材にもたれて置かれ、その結果、立ち上がり部16の1つ以上が基材に係合してこれと接触する。シート材料20は、基材から間隔が離れている。次に、貼付機10は、配置を調節されてシート材料20を所望の位置にする。シート材料20が基材から離れて配置されることにより、ユーザーの便宜のためにシート材料20に接着材がコーティングされている時でさえも、容易な調節が可能になる。第一の位置において、制御バー15は、好ましくはシート材料の自由端に並置する位置で、シート材料20に係合する。もちろん、貼付機10は、制御バー15及び立ち上がり部16両方共を有する必要がないことは理解されるであろう。いずれかだけが設けられても、ユーザーは、シート材料20を基材に早過ぎる接触をさせることなく、基材上でシート材料20の位置を便利に調節することが可能になる。
【0040】
フレーム12及びホルダー14が、第一の位置から第二の位置へ移動される。第二の位置において、立ち上がり部16が、後退又は他の方法で基材から係合を離れる。次に、シート材料20が、基材と接触又は他の方法で係合する。代替又は追加として、フレーム12及びホルダー14が第一の位置から第二の位置へ移動すると、制御バー15が、シート材料20から後退又は他の方法で係合を離れる。このことにより、またシート材料20が基材に係合することを可能にする。次に、ある量のシート材料20が、基材に貼付される。その量は、予め定められた長さが分配される時に生じるように確定されていてもよく、又はシート材料20の量は、ある量のシート材料20が壁に沿って基材に貼付されて所望の点で切断される時に生じることがあるように未確定でもよい。所望の点は、壁上の中間点で幅木などに到達した時に生じてもよい。
【0041】
シート材料20が脆弱線又は確定された長さを有さない場合、シート材料20は、次に、ある量がホルダー14内に残って、シート材料20の基材に貼付された部分が貼付機10から分離可能であるように切断される。好ましい操作においては、フレーム12及びホルダー14は、第二の位置から第一の位置へ戻される。このことが、シート材料20を基材から引き離し、これによりシート材料20に張力がかかり、ナイフ34による切断に好都合になる。追加又は代替として、制御バー15は、シート材料20の切断されると自由端になる部分に係合する。操作は所望により次に繰り返えされてもよい。
【0042】
本明細書に記述及び特許請求される操作及び貼付機10は、シート材料20の制御が常に維持可能であるという利点を提供する。シート材料20は、貼付されていない間には制御バー15により係合され、あるいはシート材料20が貼付されている時には基材により係合されるいずれかである。基材への貼付が終了すると、制御バー15が、再びシート材料20に係合し直す。別個に、貼付機10のフレーム12が、シート材料20か、又は基材か、又は両方いずれかに係合してもよい。この配置により、フレーム12は、制御バー15を通してシート材料20を制御するか、立ち上がり部16を通してシート材料20の基材からの間隔を制御することが可能になるだけでなく、所望により、片方又は両方、単独又は共に係合を離れることが可能になる。
【0043】
望む場合、貼付機10とシート材料20は、セットとして供給されてもよい。セットは、1つ以上の貼付機10と、貼付機10と共に使用可能な1つ以上の量のシート材料20とを含んでもよい。この組合せにより、ユーザーは、長期及び多数の用途に対して貼付機10を有し、及び必要に応じてシート材料20を補給できるという利点が提供される。シート材料20は、消耗された時、あるいはシート材料20の異なる色、サイズ、厚さ、保護品質、又は他の特性が望まれる時に、補給可能である。それぞれの異なるタイプ又はシート材料20は、単一の貼付機10で使用可能である。貼付機10は、同一シート材料20の大量又は少量を取り扱うために異なる大きさにされてもよく、より大きな厚さや硬さなどのシート材料20に適応するのに釣り合うものにされてもよい。
【0044】
望む場合、セットは更に、シート材料20とキャリアフィルムを分離する器具を含んでもよい。うまく作用することが見出される1つの好適な器具は、塗装ローラに類似のハンドルと回転可能なローラを含む器具である。ローラは、周囲に接着材が供給される。シート材料20が基材に貼付された後で、ユーザーは、ハンドルを使用して、シート材料20の縁部を横切って器具のローラを回転させる。ローラの接着材が、キャリアフィルムの縁部を、好ましくは隅部を拾い上げるので、ユーザーが、キャリアフィルムを容易に把持して、シート材料20から完全に除去することが可能になる。
【0045】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0046】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】本発明による貼付機の斜視図。明瞭化のためにシート材料を除外している。
【図1B】本発明による貼付機の斜視図。
【図2】図1A、1Bの貼付機の分解断面図。明瞭化のためにシート材料を除外している。
【図3A】第一及び第二の位置にある貼付機を示す断面図。
【図3B】第一及び第二の位置にある貼付機を示す断面図。
【図4A】本発明と共に使用可能な2つの代表的なナイフの断片的な平面図。
【図4B】本発明と共に使用可能な2つの代表的なナイフの断片的な平面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料を基材に貼付するための二位置型貼付機であって、前記貼付機は、
ある量のシート材料をその中に受け入れるためのホルダーを備え、
前記ホルダーは、フレームと並置されて、前記ホルダー及び前記フレームが相互に対して第一の位置から第二の位置へ移動可能であることを特徴とし、
これにより、前記フレームが、前記第一の位置において、前記シート材料及び前記基材の少なくとも1つに係合し、前記第二の位置において、前記シート材料又は基材との係合から離れる、二位置型貼付機。
【請求項2】
前記ホルダー及び前記フレームが、前記第一の位置から前記第二の位置へ摺動可能に併進可能であることを特徴とする、請求項1に記載の二位置型貼付機。
【請求項3】
前記フレームは少なくとも1つの立ち上がり部を更に含み、前記少なくとも1つの立ち上がり部は、前記フレーム及び前記ホルダーが前記第一の位置にある時、前記シート材料が貼付されるべき前記基材にもたれて配置可能であり、及びこれにより前記基材に係合し、前記立ち上がり部は、前記フレーム及び前記ホルダーが前記第二の位置へ移動される時、前記基材から後退することを特徴とする、請求項1及び2に記載の二位置型貼付機。
【請求項4】
前記ホルダーは、第一の幅を有するシート材料を保持する大きさにされ、前記フレームは間隔が離れた2つの立ち上がり部を更に含み、前記立ち上がり部は第二の幅で間隔が離れており、前記第二の幅が前記第一の幅より大きいことを特徴とする、請求項3に記載の二位置型貼付機。
【請求項5】
前記シート材料は自由端を有し、前記フレームは、前記フレーム及び前記ホルダーが前記第一の位置にある時、前記シート材料の前記自由端を付着させるための細長い制御バーを更に含み、前記フレーム及び前記ホルダーが前記第二の位置へ移動される時、前記シート材料の前記自由端が前記制御バーから解放されることを特徴とする、請求項1、2、3、及び4に記載の二位置型貼付機。
【請求項6】
光沢部材を更に含み、前記シート材料が前記基材に貼付されている間に、前記光沢部材が前記シート材料の露出面に接触することを特徴とする、請求項1、2、3、4、及び5に記載の二位置型貼付機。
【請求項7】
第二の光沢部材を更に含み、前記第一の光沢部材と前記第二の光沢部材が、相互に対して角度関係に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の二位置型貼付機。
【請求項8】
シート材料を基材に貼付するための方法であって、前記シート材料は幅を有し、前記方法は:
二位置型貼付機を用意する工程であって、前記貼付機がある量のシート材料をその中に受け入れるためのホルダーを含む、二位置型貼付機を用意する工程と、
前記ホルダーをフレーム上に配置する工程であって、前記ホルダー及び前記フレームが相互に対して第一の位置から第二の位置へ移動可能であり、これにより、前記ホルダー及び前記フレームが前記第一の位置にある時、前記フレームが前記シート材料及び基材に係合する、前記ホルダーをフレーム上に配置する工程と、
ある量のシート材料を前記ホルダーに挿入する工程と、
前記貼付機を前記基材にもたれて置き、これにより前記シート材料は前記基材から離れて配置される工程と、
を備え、
前記ホルダー及び前記フレームを前記第一の位置から前記第二の位置へ移動させ、これにより前記シート材料が前記基材に接触する工程と、
前記貼付機を貼付方向へ移動させ、これにより前記シート材料が前記基材に貼付される工程と、
前記ホルダー及び前記フレームを前記第二の位置から前記第一の位置へ戻し、これにより前記フレームが前記シート材料に係合する工程と、
前記シート材料を切断する工程と、
とにより特徴付けられる工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記シート材料を前記基材に貼付する工程の前に、前記貼付機及び前記シート材料の位置を調節する工程を更に備え、前記貼付機及び前記シート材料の前記基材に対する前記位置を調節する前記工程が、前記貼付機及び前記シート材料の水平及び垂直に関する位置を決定するための水準器を使用する工程を備えることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シート材料が幅により分離された第一及び第二の対向する縁部を有し、前記シート材料を切断する前記工程が、前記シート材料の1つの縁部近辺において前記ナイフを後退位置に配置する工程を備え、前記ナイフを前記後退位置から切断位置へ移動させる工程と、
前記シート材料を横切って前記ナイフを並進可能に摺動させる工程と、
前記シート材料の他方の縁部近辺の位置において前記ナイフを後退させる工程を特徴とする、請求項8及び9に記載の方法。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2007−538160(P2007−538160A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533582(P2006−533582)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/017984
【国際公開番号】WO2004/110912
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】