説明

シート材端部の観察評価装置及び方法

【課題】シート材の端面を幅方向及び厚み方向から観察する際、いずれの方向も、観察される画像が視野から外れず、常に合焦状態で観察する。
【解決手段】シート材端部の観察装置1又は方法において、観察部3はシート材10の幅方向端部を視野に含む第1の観察手段31と、厚み方向端部を視野に含む第2の観察手段32とを備え、端部位置検出部は、第1の観察手段の観察視野内の基準点とシート材の幅方向端部との幅方向位置ずれ量を検出する幅方向端部位置ずれ量検出部と、第2の観察手段の観察視野内の基準点とシート材の厚み方向端部との厚み方向位置ずれ量を検出する厚み方向端部位置ずれ量検出部とを備え、移動部はシート材の幅方向に相対移動可能な幅方向移動機構42と、厚み方向に相対移動可能な厚み方向移動機構41とを含み、制御部9は検出したシート材端部の位置ずれ量に基づいて、幅方向及び厚み方向移動機構を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント配線回路や二次電池等に用いられる薄いシート材、薄板化された半導体ウエハーや液晶用ガラス基板などのシート材端部を観察評価する装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンや携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器の小形化や軽量化に伴い、半導体ウエハーやFPD用ガラス基板は、薄いものが用いられるようになっている。半導体ウエハーやFPD用ガラス基板は、硬いが脆い材料であるためエッジ部にキズや欠けがあると強度が低下して割れや欠けが発生しやすくなるので、端部には面取り加工されているが、薄板化の工程やその後の過程で面取り面にひびや欠けが生じることがある。
そのため、端部の形状を観察して、ひびや欠けが無いか、適切に研磨加工が行われているかを、適宜検査される。
【0003】
また、ノートパソコンや携帯電話、デジタルカメラ等の電子機器の小型化、軽量化、コードレス化に伴い、その駆動電源として小形、軽量でエネルギー密度が高く、繰り返し充放電が可能な密閉形の二次電池が普及している。また、環境に配慮した自動車の走行用電源として、大型の二次電池も普及しつつある。これら二次電池には、正極及び負極用の電極となる金属箔からなるシート材が用いられており、その表面に活物質と呼ばれるものが塗工されている。二次電池のうち特にリチウムイオン系のものは、電極端部にバリがあるとショートの原因となる恐れがあるため、適宜検査される。
【0004】
半導体ウエハーの外周端部を検査する装置として、ウエハーのエッジ位置を検出するセンサと、複数の観察用カメラとを備え、ウエハーとカメラとをウエハーの径方向に相対移動させる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−52966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のシート材の端部を観察する場合、カメラとレンズを用いた観察手段により観察されることが一般的で、微小なキズや欠けを観察するために、レンズ倍率を上げて観察倍率を上げている。しかし、観察倍率を上げるためにレンズ倍率を上げると、観察視野が狭くなったり、被写界深度が浅くなったりする。そのため、シート材の端部が幅方向や厚み方向にずれたときに、観察視野からはみ出したり、焦点位置がずれたりする可能性が高まるといった問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、シート材の端面を幅方向及び厚み方向から観察する際、いずれの方向も、観察される画像が視野から外れず、常に合焦状態で観察できる観察装置及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
シート材を支持する支持部と、
前記シート材の端部を観察する観察部と、
前記観察部で観察されたシート材の端部の位置を検出する端部位置検出部と、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させる移動部と、
前記相対移動中に前記観察部が前記シート材の端部を観察できるように前記移動部を制御する制御部とを備えた、シート材端部の観察装置において、
前記観察部は、
前記シート材の幅方向端部を視野に含む第1の観察手段と、
前記シート材の厚み方向端部を視野に含む第2の観察手段とを備え、
前記端部位置検出部は、
前記第1の観察手段の観察視野内における基準点と前記シート材の幅方向端部との幅方向位置ずれ量を検出する、幅方向端部位置ずれ量検出部と、
前記第2の観察手段の観察視野内における基準点と前記シート材の厚み方向端部との厚み方向位置ずれ量を検出する、厚み方向端部位置ずれ量検出部とを備え、
前記移動部は、
前記シート材の幅方向に前記シート材と前記観察部とが相対移動可能な幅方向移動機構と、
前記シート材の厚み方向に前記シート材と前記観察部とが相対移動可能な厚み方向移動機構とを含み、
前記制御部は、
前記検出した幅方向端部位置ずれ量に基づいて前記幅方向移動機構を制御し、
前記検出した厚み方向端部位置ずれ量に基づいて前記厚み方向移動機構を制御する
機能を有することを特徴とする、シート材端部の観察装置である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
前記第1の観察手段及び前記第2の観察手段は、それぞれが連結部材を介して連結されていることを特徴とする、
請求項1に記載のシート材端部の観察装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
シート材を支持する支持部と、
前記シート材の端部を観察する観察部と、
前記観察部で観察されたシート材の端部の位置を検出する端部位置検出部と、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させる移動部と、
前記相対移動中に前記観察部が前記シート材の端部を観察できるように前記移動部を制御する制御部と、
それぞれの観察情報を基に前記シート材端部の状態を評価する評価部とを備えた、シート材端部の評価装置において、
前記観察部は、
前記シート材の幅方向端部を視野に含む第1の観察手段と、
前記シート材の厚み方向端部を視野に含む第2の観察手段とを備え、
前記端部位置検出部は、
前記第1の観察手段の観察視野内における基準点と前記シート材の幅方向端部との幅方向位置ずれ量を検出する、幅方向端部位置ずれ量検出部と、
前記第2の観察手段の観察視野内における基準点と前記シート材の厚み方向端部との厚み方向位置ずれ量を検出する、厚み方向端部位置ずれ量検出部とを備え、
前記移動部は、
前記シート材の幅方向に前記シート材と前記観察部とが相対移動可能な幅方向移動機構と、
前記シート材の厚み方向に前記シート材と前記観察部とが相対移動可能な厚み方向移動機構とを含み、
前記制御部は、
前記検出した幅方向端部位置ずれ量に基づいて前記幅方向移動機構を制御し、
前記検出した厚み方向端部位置ずれ量に基づいて前記厚み方向移動機構を制御する
機能を有することを特徴とする、シート材端部の評価装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、
前記第1の観察手段及び前記第2の観察手段は、それぞれが連結部材を介して連結されていることを特徴とする、
請求項3に記載のシート材端部の評価装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、
シート材を支持部で支持し、
前記シート材の端部を観察部で観察する観察ステップと、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させる移動ステップとを有し、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させながら、前記観察部にて前記シート材の端部を観察する、シート材端部の観察方法において、
前記観察ステップは、
前記シート材の幅方向端部を観察する幅方向端部観察ステップと
前記シート材の厚み方向端部を観察する厚み方向端部観察ステップとを有し、
前記移動ステップは、
前記シート材の幅方向に前記シート材と前記観察部とを相対移動させる幅方向移動ステップと、
前記シート材の厚み方向に前記シート材と前記観察部とを相対移動させる厚み方向移動ステップとを含み、
前記第1の観察手段の観察視野内における観察情報に基づき、前記シート材の幅方向端部の位置を検出する、幅方向端部位置検出ステップと、
前記第2の観察手段の観察視野内における観察情報に基づき、前記シート材の厚み方向端部の位置を検出する、厚み方向端部位置検出ステップとを有し、
前記幅方向端部位置検出ステップで得られた検出結果に基づく変位量を、第1の観察手段及び第2の観察手段を幅方向に移動させる変位量として、前記幅方向移動機構を制御する幅方向移動ステップと、
前記厚み方向端部位置検出ステップで得られた検出結果に基づく変位量を、第2の観察手段及び第1の観察手段を厚み方向に移動させる変位量として、前記厚み方向移動機構を制御する厚み方向移動ステップとを有することを特徴とする、シート材端部の観察方法である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、
前記第1の観察手段及び前記第2の観察手段は、それぞれが連結部材を介して連結されており、
前記幅方向移動ステップと厚み方向移動ステップにおいて、連結された状態で移動することを特徴とする、請求項5に記載のシート材端部の観察方法である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、
シート材を支持部で支持し、
前記シート材の端部を観察部で観察する観察ステップと、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させる移動ステップと、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させながら、前記観察部にて前記シート材の端部を観察する、観察ステップとを有し、
前記観察ステップで得られたそれぞれの観察情報を基に評価手段を用いて前記シート材端部の状態を評価する評価ステップとを有する、シート材端部の評価方法において、
前記観察ステップは、
前記シート材の幅方向端部を観察する幅方向端部観察ステップと
前記シート材の厚み方向端部を観察する厚み方向端部観察ステップとを有し、
前記移動ステップは、
前記シート材の幅方向に前記シート材と前記観察部とを相対移動させる幅方向移動ステップと、
前記シート材の厚み方向に前記シート材と前記観察部とを相対移動させる厚み方向移動ステップとを含み、
前記第1の観察手段の観察視野内における観察情報に基づき、前記シート材の幅方向端部の位置を検出する、幅方向端部位置検出ステップと、
前記第2の観察手段の観察視野内における観察情報に基づき、前記シート材の厚み方向端部の位置を検出する、厚み方向端部位置検出ステップとを有し、
前記幅方向端部位置検出ステップで得られた検出結果に基づく変位量を、第1の観察手段及び第2の観察手段を幅方向に移動させる変位量として、前記幅方向移動機構を制御する幅方向移動ステップと、
前記厚み方向端部位置検出ステップで得られた検出結果に基づく変位量を、第2の観察手段及び第1の観察手段を厚み方向に移動させる変位量として、前記厚み方向移動機構を制御する厚み方向移動ステップとを有することを特徴とする、シート材端部の評価方法である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、
前記第1の観察手段及び前記第2の観察手段は、それぞれが連結部材を介して連結されており、
前記幅方向移動ステップと厚み方向移動ステップにおいて、連結された状態で移動することを特徴とする、
請求項7に記載のシート材端部の評価方法である。
【0016】
請求項1及び請求項3に記載の観察装置及び方法を用いるので、高価な位置センサーを設置することなく、互いの観察手段で得られる情報を相互に利用して、観察画像が視野から外れず、シート材と観察手段との互いの距離を常に一定に保ち、合焦状態にすることができる。
【0017】
請求項5及び請求項7に記載の評価装置及び方法を用いるので、高価な位置センサーを設置することなく、互いの観察手段で得られる情報を相互に利用して、観察画像が視野から外れず、シート材と観察手段との互いの距離を常に一定に保ち、合焦状態にして得られた画像に基づいて評価を行うことができる。
【0018】
請求項2及び請求項4に記載の観察装置及び方法ならびに請求項6及び請求項8に記載の評価装置及び方法を用いれば、第1及び第2観察手段は連結されているので、共通の移動機構でシート材の幅方向及び厚み方向に位置調整できる
【発明の効果】
【0019】
移動搬送されるシート材が搬送方向に直交する2つの方向、つまり幅方向や厚み方向にずれやばたつきが生じても、良好な観察画像を得ることができる。さらに、良好な観察画像に基づいて、再現性の高い評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を具現化する形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明を具現化する形態の一例を示すシステム構成図である。
【図3】本発明を具現化する形態の一例を示すフロー図である。
【図4A】本発明に基づく初期位置で得られる幅方向の観察画像である。
【図4B】本発明に基づく初期位置で得られる厚み方向の観察画像である。
【図4C】本発明に基づくある時刻で得られる幅方向の観察画像である。
【図4D】本発明に基づくある時刻で得られる厚み方向の観察画像である。
【図5A】本発明に基づく観察過程で得られる幅方向の観察画像である。
【図5B】本発明に基づく評価過程で得られる幅方向の画像である。
【図5C】本発明に基づく評価過程で得られる幅方向のバリ抽出画像である。
【図5D】本発明に基づく評価過程で得られる幅方向の欠け抽出画像である。
【図6A】本発明に基づく観察過程で得られる厚み方向の観察画像である。
【図6B】本発明に基づく評価過程で得られる厚み方向の画像である。
【図6C】本発明に基づく評価過程で得られる厚み方向のバリ抽出画像である。
【図6D】本発明に基づく評価過程で得られる厚み方向の欠け抽出画像である。
【図7】本発明を具現化する形態の第2の例を示す斜視図である。
【図8】本発明を具現化する形態の第2の例を示すシステム構成図である。
【図9】本発明を具現化する形態の第3の例を示す斜視図である。
【図10】本発明を具現化する形態の第3の例を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。以下の説明においては、本発明の観察例として、シート材の1つの辺を観察することに着目して説明を行う。
図1は、本発明を具現化する形態の一例を示す斜視図である。
各図において直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、XY平面を水平面、Z方向を鉛直方向
とする。特にZ方向は矢印の方向を上とし、その逆方向を下と表現する。
【0022】
観察装置1は、支持部2と、観察部3と、観察手段位置変更機構4と、観察照明部5と、制御部9を含んで、構成されている。各構成部品は、図1には図示するような位置に配置されるように、不図示の装置フレームや固定ブラケットなどを介して取り付けられている。
【0023】
支持部2には、搬送用ローラ21〜24が含まれている。搬送用ローラ21〜24は、長手方向を回転軸として回転可能なように、観察装置1のフレームに取り付けられており、観察対象となるシート材10を矢印11の方向に搬送することができる。搬送用ローラ21〜24には、駆動用モータ21m〜24m(図示せず)を取り付けられている。
【0024】
観察部3には、第1の観察手段31と、第2の観察手段32とが含まれている。第1の観察手段31と第2の観察手段32の観察手段には、レンズ33,34が取り付けられており、矢印35,36の方向を観察できる。
第1の観察手段31で観察する範囲は、シート材10の端部の破線37で示す部分で、xz平面である。
第2の観察手段32で観察する範囲は、シート材10の端部の破線38で示す部分で、yz平面である。
【0025】
第1の観察手段31は、X軸ステージ41x及びY軸ステージ41y上に取り付けられており、X方向及びY方向に移動できる。第2の観察手段32は、X軸ステージ42x及びY軸ステージ42y上に取り付けられており、X方向及びY方向に移動できる。
X軸ステージ41x,42xと、Y軸ステージ41y,42yとは、本発明における観察手段位置変更機構4を構成し、搬送方向であるZ方向に対して、直交する2つの方向(X方向,Y方向)に移動可能である。
【0026】
観察照明部5は、シート材10を挟んで観察部3と対向するように取り付けられている。具体的には、第1の観察照明51が、第1の観察照明51から発せられる光53を第1の観察手段31と対向するように、第2の観察照明52が、第2の観察照明52から発せられる光54を第2の観察手段32と対向するように取り付けられている。
【0027】
第1及び第2の観察手段31,32としては、CCDやCMOS、その他の撮像素子を用いた撮像カメラが例示でき、撮像した画像を映像信号として、制御部9へ出力することができるものであれば良い。
【0028】
レンズ33,34としては、レンズやミラーなどの光学素子を用いるものが例示でき、観察視野37,38内の像を観察手段31,32の撮像素子に結像させることができるものであれば良い。
【0029】
X軸ステージ41x,42xと、Y軸ステージ41y,42yとは、ガイドレールとスライド機構にボールネジとサーボモータを組み合わせたものや、ガイドレールとスライド機構にリニアモータを組み合わせたもの、ピエゾ型アクチュエータなどが例示でき、制御部9からの制御信号に基づき、X方向及びY方向への位置決め移動と静止ができる機構を備えるものであれば良い。
【0030】
第1及び第2の観察照明51,52としては、LED、ハロゲン、白熱電球、蛍光灯その他の発光手段が例示でき、観察手段31,32にてシート材10の端部表面を観察することができるように、第1及び第2の観察手段31,32の感度波長や感度特性に合わせて、所定の波長を含む光線を放射するものであれば良い。
【0031】
制御部9は、詳細を後述するが、情報入力手段91と、情報出力手段92と、発報手段93と、その他の制御機器を含んで構成されている。
【0032】
図2は、本発明を具現化する形態の一例を示すシステム構成図である。図2に示すように、上述した搬送部2、観察部3、観察手段位置変更機構4、観察照明部5の各機器は、制御部9の各機器と接続されている。
【0033】
制御部9には、制御用コンピュータ90と、情報入力手段91と、情報出力手段92と、発報手段93と、情報記録手段94と、機器制御ユニット95とが接続されて含まれている。
【0034】
制御用コンピュータ90としては、マイコン、パソコン、ワークステーションなどの、数値演算ユニットが搭載されたものが例示される。
情報入力手段91としては、キーボードやマウスやスイッチなどが例示される。
情報出力手段92としては、画像表示ディスプレイやランプなどが例示される。
【0035】
発報手段93としては、ブザーやスピーカ、ランプなど、作業者に注意喚起をすることができるものが例示される。
情報記録手段94としては、メモリーカードやデータディスクなどの、半導体記録媒体や磁気記録媒体や光磁気記録媒体などが例示される。
機器制御ユニット95としては、プログラマブルコントローラやモーションコントローラと呼ばれる機器などが例示される。
【0036】
制御用コンピュータ90には、画像処理ユニット96を介して、第1及び第2の観察手段31,32から出力された映像信号が入力される。画像処理ユニット96は、一般にGPU(グラフィックプロセッシングユニット)と呼ばれ、制御用コンピュータ90の外部に設置される形態のもの、制御用コンピュータ90の筐体内に接続される形態のもの、制御用コンピュータ90の画像処理部を利用したものなどが例示できる。
【0037】
画像処理ユニット96に入力された観察画像は、後述で詳細説明をするように、制御用コンピュータ90で良否判定用基準画像と比較し、規定値の範囲内か範囲外かの判断評価をすることができる。
【0038】
機器制御ユニット95には、駆動用モータ21m〜24m、X軸ステージ41x,42x、Y軸ステージ41y,42yが接続されている。また、機器制御ユニット95には、観察照明51,52の光量をそれぞれ個別に調節するための光量調整ユニット55,56が接続されている。光量調節ユニットにおける照明の光量調節の方式としては、印可する電圧や電流を調節したり、電圧や電流の印可時間を調節したりする方式を例示できる。
【0039】
機器制御ユニット95は、その他の制御機器(図示せず)と接続されており、それらに対して制御用信号を与えることにより、各機器を動作させたり静止させたりすることができるようになっている。
【0040】
[観察手段による端面観察フロー]
図3は、本発明を具現化する形態の一例を示すフロー図である。図3では、シート材10の端部を観察する一連のフローが、ステップ毎に示されている。
【0041】
先ず、シート材10を観察装置1の搬送部2に載置する(s101)。図1に示した形態の装置構成では、搬送用ローラ21〜24に架ける。
次に、シート材10が静止した状態で、シート材10の幅方向端部10aが観察視野37の視野中心37cと重なり、シート材10の厚み方向端部10b,10cの中間位置が観察視野38の視野中心38cと重なり、第1及び第2の観察手段31,32が共に合焦状態になるように、X軸テーブル41x,42xとY軸テーブル41y,42yの位置を調整する(s102)。この位置を、X軸テーブル41x,42xとY軸テーブル41y,42yの初期位置とする(図4A,図4B)。
【0042】
次に、シート材10を所定の速度で連続搬送させる(s103)。
この状態で、第1の観察手段31で、シート材10の幅方向端部10aを含む端部を観察する(s111)。
シート材10の幅方向端部10a、観察視野37内のどこにあるか、初期位置に対してX方向にどれだけずれているかを検出する(s112)。
検出したずれ量の情報に基づいて、第1の観察手段31が取り付けられているX軸ステージ41xと、第2の観察手段32が取り付けられているX軸ステージ42xとを制御し(s113)、第1の観察手段31と第2の観察手段32の位置を調節する。そうすることで、第1の観察手段31の視野中心37cでシート材10の幅方向端部10aが観察でき、第2の観察手段32とシート材10の幅方向端部10aとの距離も適正に保たれる。
【0043】
並行して、第2の観察手段32で、シート材10の厚み方向端部10b,10cを含む端部を観察する(s121)。
シート材10の厚み方向端部10b,10cが、観察視野38内のどこにあるか、初期位置に対してY方向にどれだけずれているかを検出する(s122)。
検出したずれ量の情報に基づいて、第1の観察手段31が取り付けられているY軸ステージ41yと、第2の観察手段32が取り付けられているY軸ステージ42yとを制御し(s123)、第1の観察手段31と第2の観察手段32の位置を調節する。そうすることで、第2の観察手段32の視野中心38cでシート材10の厚み方向端部10b,10cの中間部分が観察でき、第1観察手段31とシート材10の厚み方向端部10b,10cとの距離も適正に保たれる。
【0044】
そして、必要に応じ観察画像に基づいて評価を行う(s131)。
【0045】
その後、シート材10の端部の観察を継続するかどうかを判断し(s132)、終了であればシート材10を取り出す(s135)。
観察を継続する場合は、上述のステップs111〜s123を繰り返す。
【0046】
図4Aは、本発明に基づく初期位置で得られる幅方向の観察画像である。
図4Aでは、上述のステップs102における、第1の観察手段31で観察されたシート材10が、視野37内に写っている状態が示されている。視野中心37cと、シート材10の幅方向端部10aとが重なっている。
【0047】
図4Bは、本発明に基づく初期位置で得られる厚み方向の観察画像である。
図4Bでは、上述のステップs102における、第2の観察手段32で観察されたシート材10が、視野38内に写っている状態が示されている。視野中心38cと、シート材10の厚み方向端部10b,10cの中間位置を示す直線60dとが重なっている。
図4A,B共に、照明51,52が第1及び第2の観察手段31、32に対向させてシート材10を照らすように配置されているので、観察画像には、シート材10が黒く、背景10zが白く写っている。
【0048】
図4Cは、本発明に基づくある時刻で得られる幅方向の観察画像である。
図4Cでは、上述のステップs111における、第1の観察手段31で観察されたシート材10が、視野37内に写っている状態が示されている。シート材10の幅方向端部10aは、視野中心37cに対して、X方向にDxだけずれた位置にある。
Dxに相当する距離情報に基づき、ステップs123で示したように、第1の観察手段31が取り付けられているX軸ステージ41xと、第2の観察手段32が取り付けられているX軸ステージ42xとを制御する。
【0049】
図4Dは、本発明に基づくある時刻で得られる厚み方向の観察画像である。
図4Dでは、上述のステップs121における、第2の観察手段32で観察されたシート材10が、視野38内に写っている状態が示されている。シート材10の中心位置を示す直線60dは、視野中心38cに対して、Y方向にDyだけずれた位置にある。
Dyに相当する距離情報に基づき、ステップs113で示したように、第1の観察手段31が取り付けられているY軸ステージ41yと、第2の観察手段32が取り付けられているY軸ステージ42yとを制御する。
【0050】
[観察画像に基づく端部位置検出、バリ・欠け抽出、評価フロー]
上述のステップ131における、本発明により取得された画像に基づき、画像処理ユニット96を用いて端部位置検出する手順ならびに、バリや欠けの抽出、評価フローについて説明する。本説明では、ある時刻における、第1の観察手段31及び第2の観察手段32から得られた画像の内、それぞれ一の画像について説明する。ここでは、バリや欠けの大きさが基準値と比較して大きいかどうかを、2値化による画像処理を行って、制御用コンピュータ90に自動判定させる手順を例示する。
【0051】
図5Aは、本発明に基づく観察過程で得られる幅方向の観察画像である。
第1の観察手段31の視野37の横方向をシート材10の幅方向(つまりX方向)に、視野37の縦方向をシート材10の流れ方向(つまりZ方向)と合うように取り付けられており、図5Aには、第1の観察手段31の視野37の中で観察された、幅方向端部10aを含むシート材10と背景10zとが示されている。さらに、シート材10の幅方向端部10aには、検出したいバリ15aや欠け17aが含まれている様子が示されている。このとき、照明51が第1の観察手段31に対向させてシート材10を照らすように配置されているので、観察画像には、シート材10が黒く、背景10zが白く写っている。
【0052】
第1の観察手段31の視野37の縦横の寸法は、予め測定しておく。このとき例えば、視野37の横方向(X方向)の視野が1.024mmで、カメラの画素数が1024画素であれば、横方向(X方向)の画素分解能は1μmとなる。また、縦方向(Z方向)の視野が1.024mmで、カメラの画素数が1024画素であれば、縦方向(Z方向)の画素分解能も1μmとなる。
【0053】
図5Bは、本発明に基づく評価過程で得られる幅方向の画像である。
シート材10の幅方向端部10aの位置検出をおこなうために、シート材の幅方向端部とする直線60aを規定する。前記直線60aは、取得した観察画像に対して明るさ補正や輪郭補正などの補正処理を行い、画像の明るさやコントラスト情報に基づいて、幅方向端部10aに近似フィットするように規定する。そして、前記直線60aをシート材10の幅方向端部とし、前記直線部分よりも内側の領域61Aを、シート材部分として取り扱う。
【0054】
検出された前記直線60aの幅方向(X方向)の位置情報は、本発明におけるシート材の幅方向端部位置として取り扱われ、第1の観察手段31及び2の観察手段32のX方向位置調整のために用いられる。例えば、初期状態では、第1の観察手段31で観察されたシート材の端部位置10aが視野37の視野中心37cと重なる状態にあり、第2の観察手段32の最適焦点位置であったとする。そして、ある時刻において、第1の観察手段31で観察されたシート材の端部として取り扱う直線60aが、視野37の視野中心37cからX方向に長さDxだけずれたところにあるとする。
【0055】
幅方向のずれ量Dxが、第1の観察手段で100画素分であったとすると、Dxは100μmとなる。そこで、制御用コンピュータ90及び制御ユニット95を用いて、第1の観察手段31がX方向に100μm移動するように、第1の観察手段31が取り付けられているX軸ステージ41xを制御し、第2の観察手段32がX方向に100μm移動するように、第2の観察手段32が取り付けられているX軸ステージ42xを制御する。
そうすることで、シート材が幅方向(X方向)に100μmずれたとしても、第1及び第2の観察手段も幅方向(X方向)に100μm移動するように位置制御をすることができ、第1の観察手段31の視野中心でシート材の幅方向端部を観察できるように位置調節し、第2の観察手段32とシート材の幅方向端部との最適焦点位置を保つことができる。
【0056】
バリの検出を行う場合は、視野37内の領域61Aより外側に突出している部分を、シート材端部から突出しているバリとして抽出する。
【0057】
図5Cは、本発明に基づく評価過程で得られる幅方向のバリ抽出画像である。
視野37内の領域61Aが白い画像となるように演算を行い、黒い画像として残った部分をバリとして取り扱う。
【0058】
そして、前記バリ部分として取り扱われる部分の画素数を演算して求め、前記画素分解能より、バリの見かけ上の面積を求める。その上で、前記バリの見かけ上の面積に応じて、その部分が許容範囲か、許容範囲外かを制御用コンピュータ90で判断する。基準値よりも面積が大きいものは、抽出された大きなバリ65aとし、バリであると判断する。一方、基準値よりも面積が小さいものは、抽出された小さなバリ65bとし、バリではないと判断される。
【0059】
欠けの検出を行う場合は、視野37内の領域61Aの内側にある凹み部分を、シート材端部に潜む欠けとして抽出する。
【0060】
図5Dは、本発明に基づく評価過程で得られる幅方向の欠け抽出画像である。
視野37内の領域61Aの外側の領域61Bが黒い画像となるように演算を行い、視野37内に白い画像として残った部分を欠けとして取り扱う。
【0061】
そして、前記欠け部分として取り扱われる部分の画素数を演算して求め、前記画素分解能より、欠けの見かけ上の面積を求める。その上で、前記欠けの見かけ上の面積に応じて、その部分が許容範囲か、許容範囲外かを制御用コンピュータ90で判断する。基準値よりも面積が大きいものは、抽出された大きな欠け67aとし、欠けであると判断する。一方、基準値よりも面積が小さいものは、抽出された小さな欠け67bとし、欠けではないと判断される。
【0062】
図6Aは、本発明に基づく観察過程で得られる厚み方向の観察画像である。
第2の観察手段32の視野38の横方向をシート材10の厚み方向(つまりY方向)に、視野38の縦方向をシート材10の流れ方向(つまりZ方向)と合うように取り付けられており、図6Aには、第2の観察手段32の視野38の中で観察された、厚み方向端部10b,10cを含むシート材10と背景10zとが示されている。さらに、シート材10の厚み幅方向端部10b,10cには、検出したいバリ15aや欠け17aが含まれている様子が示されている。このとき、照明52が第2の観察手段32に対向させてシート材10を照らすように配置されているので、観察画像には、シート材10が黒く、背景10zが白く写っている。
【0063】
第2の観察手段32の視野38の縦横の寸法は、予め測定しておく。このとき例えば、視野38の横方向(Y方向)の視野が1.024mmで、カメラの画素数が1024画素であれば、横方向(Y方向)の画素分解能は1μmとなる。また、縦方向(Z方向)の視野が1.024mmで、カメラの画素数が1024画素であれば、縦方向(Z方向)の画素分解能も1μmとなる。
【0064】
図6Bは、本発明に基づく評価過程で得られる厚み方向の画像である。
シート材10の厚み方向端部10b,10cの位置検出をおこなうために、シート材の厚み方向端部とする直線60b,60cを規定する。前記直線60b,60cは、取得した観察画像に対して明るさ補正や輪郭補正などの補正処理を行い、画像の明るさやコントラスト情報に基づいて、厚み方向端部10b,10cに近似フィットするように規定する。そして、前記直線60b,60cをシート材10の厚み方向端部とし、前記直線部分で挟まれた領域62Aを、シート材断面として取り扱う。また、前記直線60b,60cとの中間をシート材10の厚み方向の中心60dとする。
【0065】
検出された前記直線60b,60c,60dの厚み方向(Y方向)の位置情報は、本発明におけるシート材の幅方向端部位置として取り扱われ、第1の観察手段31及び2の観察手段32のY方向の位置調整のために用いられる。例えば、初期状態では、第2の観察手段32で観察されたシート材の厚み方向の中心60dが視野38の視野中心38cと重なる状態にあり、第1の観察手段31の最適焦点位置であったとする。そして、ある時刻において、第2の観察手段32で観察されたシート材の厚み方向の中心60dが、視野38の視野中心38cからY方向に長さDyだけずれたところにあるとする。
【0066】
厚み方向のずれ量Dyが、第2の観察手段で100画素分であったとすると、Dyは100μmとなる。そこで、制御用コンピュータ90及び制御ユニット95を用いて、第1の観察手段31がY方向に100μm移動するように、第1の観察手段31が取り付けられているY軸ステージ41yを制御し、第2の観察手段32がY方向に100μm移動するように、第2の観察手段32が取り付けられているY軸ステージ42yを制御する。
そうすることで、シート材が厚み方向(Y方向)に100μmずれたとしても、第1及び第2の観察手段も厚み方向(Y方向)に100μm移動するように位置制御をすることができ、第2の観察手段32の視野中心でシート材の厚み方向端部を観察できるように位置調節し、第1の観察手段31とシート材の厚み方向端部との最適焦点位置を保つことができる。
【0067】
バリの検出を行う場合は、視野38内の領域62Aより外側に突出している部分を、シート材端部から突出しているバリとして抽出する。
【0068】
図6Cは、本発明に基づく評価過程で得られる厚み方向のバリ抽出画像である。
視野38内の領域62Aが白い画像となるように演算を行い、黒い画像として残った部分をバリとして取り扱う。
【0069】
そして、前記バリ部分として取り扱われる部分の画素数を演算して求め、前記画素分解能より、バリの見かけ上の面積を求める。その上で、前記バリの見かけ上の面積に応じて、その部分が許容範囲か、許容範囲外かを制御用コンピュータ90で判断する。基準値よりも面積が大きいものは、抽出された大きなバリ65aとし、バリであると判断する。一方、基準値よりも面積が小さいものは、抽出された小さなバリ65bとし、バリではないと判断される。
【0070】
欠けの検出を行う場合は、視野38内の領域62Aの内側にある凹み部分を、シート材端部に潜む欠けとして抽出する。
【0071】
図6Dは、本発明に基づく評価過程で得られる幅方向の欠け抽出画像である。
視野38内の領域62Aの外側の領域62B,62Cが黒い画像となるように演算を行い、視野38内に白い画像として残った部分を欠けとして取り扱う。
【0072】
そして、前記欠け部分として取り扱われる部分の画素数を演算して求め、前記画素分解能より、欠けの見かけ上の面積を求める。その上で、前記欠けの見かけ上の面積に応じて、その部分が許容範囲か、許容範囲外かを制御用コンピュータ90で判断する。基準値よりも面積が大きいものは、抽出された大きな欠け67aとし、欠けであると判断する。一方、基準値よりも面積が小さいものは、抽出された小さな欠け67bとし、欠けではないと判断される。
【0073】
前記バリや欠けの見かけ上の面積が、予め規定した許容範囲外であれば、生産を止めたり、その部分だけを後で廃棄させるように指示したり、あるいは後でその部分を再評価させる。
【0074】
前記許容範囲は、予め行われた試験結果に基づく限度見本を用いて設定することができる。前記限度見本を前記と同じ観察条件で観察し、得られた観察画像に含まれている、限度見本となるバリや欠けの見かけ上の面積を求める。前記手順で抽出されたバリや欠けの見かけ上の面積が、許容できる面積の基準値となる。
【0075】
したがって、実際のシート端部を観察して抽出されたバリや欠けの面積を、前記基準値と比較することで、制御用コンピュータ90によりバリや欠けの自動判定が可能となる。
【0076】
上述では、2方向から観察した画像の1つの画像処理に基づいて、面積を求めて判断する場合について記載したが、共通の端部を2方向から観察し、対応する部位のバリや欠けの画像を合成して、体積を演算して判断することもできる。そうすれば、小さなバリや欠けを精度良く抽出することができる。
また、シート材の幅方向の1つの辺について説明したが、反対側の辺についても、同様に本発明を適用することができる。
【0077】
[応用例]
図1で示したように、第1の観察手段31の観察視野37と、第2の観察手段32の観察視野38とは、個別のX軸ステージとY軸ステージに取り付けられている。この場合、X軸ステージ及びY軸ステージに搭載される部材の重量が、後述する第2の例に示すような一体型と比べると軽いため、位置調節の高速応答が期待できる。上記形態とは別に、第1の観察手段31と、第2の観察手段32とを共通する連結部材45で互いに連結させて、共通のY軸ステージ43とX軸ステージ44に取り付けるようにしても良い。
【0078】
[第2の例]
図7は、本発明を具現化する形態の第2の例を示す斜視図である。
図8は、本発明を具現化する形態の第2の例を示すシステム構成図である。
図7及び図8では、図1及び図2で示した、個別のX軸ステージ41x、42xがX軸ステージ43に置き換わっており、個別のY軸ステージ41y、42yがY軸ステージ44に置き換わっていることを示している。
このようにすれば、X軸ステージ及びY軸ステージが1つずつで済むため、シンプルな機器構成にすることができ、コストダウンが計れる。また、第1の観察手段31と第2の観察手段の互いの合焦位置と観察視野中心との位置関係が常に定まっているため、同方向に2つのステージを用いた場合に生じやすい、個体精度の差に起因する同方向位置ずれやその補正を考慮する必要がなくなり、取り扱いが容易となる。
【0079】
上述の実施形態では、搬送用ローラ21〜24について、制御用コントローラ95を介して制御する例を示していたが、全てを回転駆動させても良いし、一部をフリーローラとしても良い。また、装置レイアウトの都合により数量を変更したり、幅方向の流れ止め防止を講じたりしたりしても良く、本発明を実施できる形態であれば良い。
前記流れ止め防止としては、搬送用ローラ21〜24の少なくとも1つを段差付ローラや、つば付ローラにしたり、ローラ間にガイドローラを設置したりすることで具現化できる。
【0080】
上述の実施形態では、搬送部2を搬送用ローラ21〜24及び駆動モータ21m〜24で構成する形態を例示したが、ローラの本数やモータの数量は適宜変更して良い。また、ローラ搬送以外の形態を採用しても良い。例えばシート材10を把持して所定の距離を1方向に搬送させるグリップフィード機構でも良い。また、シート材10の幅方向端部よりも内側を平面状の板材などで吸着保持又はエアブローして搬送する形態であっても良い。
【0081】
[第3の例]
シート材は、上述のように長尺のものを一直線に搬送させる場合に限らず、円形や外周の一部に直線部分を含む略円形のものを回転させて搬送させる形態であっても良い。
図9は、本発明を具現化する形態の第3の例を示す斜視図である。
図10は、本発明を具現化する形態の第3の例を示すシステム構成図である。
円形シート基板のエッジ観察装置1aは、搬送部2と、観察部3と、観察手段位置変更機構4と、観察照明部5と、制御部9を含んで、構成されている。
【0082】
支持部2には、円形シート基板10wを載置し、支持する円形テーブル22aが含まれて構成されている。円形テーブル22aは回転テーブル21aの上に取り付けられており、回転テーブル21aは装置ベース20aの上に取り付けられている。そのため、円形シート基板10wは矢印11wの方向に回転可能となっている。
【0083】
観察手段31aにはレンズ33aが取り付けられており、円形シート基板10wの厚み方向端部を外側から内側に向かって、つまり矢印35aの方向に観察できるように、連結部材45aに取り付けられている。観察手段32aにはレンズ34aが取り付けられており、円形シート基板10wの端部を上から下に向かって、つまり矢印36aの方向に観察できるように、連結部材45aに取り付けられている。観察手段32bにはレンズ34bが取り付けられており、円形シート基板10wの端部を下から上に向かって、つまり矢印36bの方向に観察できるように、連結部材45aに取り付けられている。
【0084】
レンズ33a,34a,34bには同軸落射照明51a,52a,52bが取り付けられており、同軸落射照明51a,52a,52bには光源ユニット55a,56a,56bが取り付けられており、矢印35a,36a,36bの方向に光を発し、円形シート基板10wの端部から反射された光を観察できるようになっている。
光源ユニット55a,56a,56bは、制御用コントローラ95と接続されており、観察手段31a,32a,32bで得られる光量が所定の明るさとなるように調節される。
【0085】
連結部材45aは、Z軸ステージ43aに取り付けられており、円形シート基板10wの厚み方向(つまり、Z方向)に移動可能となっている。さらに、Z軸ステージ43aは、X軸ステージ41aに連結部材を介して取り付けられており、円形シート基板10wの径方向(つまり、X方向)に移動可能となっている。そして、X軸ステージ41aは、取付ベース46aを介して、装置ベース20aの上に取り付けられている。
【0086】
円形シート基板のエッジ観察装置1aは、このような装置構成をしているので、上述した本発明の第2の例のごとく、3台の観察手段31a,32a,32bを一体的に、円形シート基板10wの幅方向及び厚み方向に移動できる。そのため、半導体ウエハーなどのの略円形シート材を1回転させながら、シート材端部に観察手段の視野中心及び焦点位置とが合うように、観察部をXZ方向移動機構を動かして、シート材端部を観察するようにすれば、本発明を適用することができる。
【0087】
また上述に説明したように、本発明に基づいて、常に合焦状態で、観察視野中心で鮮明な観察画像を取得することができる。そして、取得した観察画像から凹凸状態の観察や測定を行うこと、その測定結果と予め設定しておいた基準とを照らし合わせて、ばり、カケ、キズ又は異物からなる欠陥の有無および大きさを評価することができる。前記観察や測定、評価などの対象となる観察対象物は、紙やフィルムシート、金属箔、金属泊の両面に活物質が塗布されたリチウムイオンバッテリー用の電極シート、電子回路用のフィルム基板、薄板化された半導体ウエハーやガラス基板などに適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 観察装置
2 搬送部
3 観察部
4 観察手段位置調整機構
5 照明部
6 画像処理部
9 制御部
10 シート材
10a 幅方向端部
10b 厚み方向端部
10c 厚み方向端部
10z 背景
11 矢印
15 バリ
15a 検出したい大きさのバリ
15b 許容される大きさのバリ
17 欠け
17a 検出したい大きさの欠け
17b 許容される大きさの欠け
21 搬送用ローラ
22 搬送用ローラ
23 搬送用ローラ
24 搬送用ローラ
21m 駆動用モータ
22m 駆動用モータ
23m 駆動用モータ
24m 駆動用モータ
31 第1の観察手段(厚み方向)
32 第2の観察手段(幅方向)
33 レンズ
34 レンズ
35 矢印
36 矢印
37 厚み方向観察視野
37c 視野中心
38 幅方向観察視野
38c 視野中心
41 Y軸ステージ(厚み方向)
42 X軸ステージ(幅方向)
51 第1の観察照明
52 第2の観察照明
53 発光部
54 発光部
55 光量調整ユニット
56 光量調整ユニット
60 画像処理後のシート材画像
60a 幅方向端部とする直線
60b 厚み方向端部とする直線
60c 厚み方向端部とする直線
60d 中間位置を示す直線
61A 画像処理領域
61B 画像処理領域
62A 画像処理領域
62B 画像処理領域
62C 画像処理領域
65a 抽出された大きなバリ
65b 抽出された小さなバリ
67 欠けとみなす部分
67a 抽出された大きな欠け
67b 抽出された小さな欠け
90 制御用コンピュータ
91 情報入力手段
92 情報出力手段
93 発報手段
94 情報記録手段
95 制御ユニット
96 画像処理ユニット
Dx 幅方向のずれ量
Dy 厚み方向のずれ量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を支持する支持部と、
前記シート材の端部を観察する観察部と、
前記観察部で観察されたシート材の端部の位置を検出する端部位置検出部と、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させる移動部と、
前記相対移動中に前記観察部が前記シート材の端部を観察できるように前記移動部を制御する制御部とを備えた、シート材端部の観察装置において、
前記観察部は、
前記シート材の幅方向端部を視野に含む第1の観察手段と、
前記シート材の厚み方向端部を視野に含む第2の観察手段とを備え、
前記端部位置検出部は、
前記第1の観察手段の観察視野内における基準点と前記シート材の幅方向端部との幅方向位置ずれ量を検出する、幅方向端部位置ずれ量検出部と、
前記第2の観察手段の観察視野内における基準点と前記シート材の厚み方向端部との厚み方向位置ずれ量を検出する、厚み方向端部位置ずれ量検出部とを備え、
前記移動部は、
前記シート材の幅方向に前記シート材と前記観察部とが相対移動可能な幅方向移動機構と、
前記シート材の厚み方向に前記シート材と前記観察部とが相対移動可能な厚み方向移動機構とを含み、
前記制御部は、
前記検出した幅方向端部位置ずれ量に基づいて前記幅方向移動機構を制御し、
前記検出した厚み方向端部位置ずれ量に基づいて前記厚み方向移動機構を制御する
機能を有することを特徴とする、シート材端部の観察装置。
【請求項2】
前記第1の観察手段及び前記第2の観察手段は、それぞれが連結部材を介して連結されていることを特徴とする、
請求項1に記載のシート材端部の観察装置。

【請求項3】
シート材を支持する支持部と、
前記シート材の端部を観察する観察部と、
前記観察部で観察されたシート材の端部の位置を検出する端部位置検出部と、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させる移動部と、
前記相対移動中に前記観察部が前記シート材の端部を観察できるように前記移動部を制御する制御部と、
それぞれの観察情報を基に前記シート材端部の状態を評価する評価部とを備えた、シート材端部の評価装置において、
前記観察部は、
前記シート材の幅方向端部を視野に含む第1の観察手段と、
前記シート材の厚み方向端部を視野に含む第2の観察手段とを備え、
前記端部位置検出部は、
前記第1の観察手段の観察視野内における基準点と前記シート材の幅方向端部との幅方向位置ずれ量を検出する、幅方向端部位置ずれ量検出部と、
前記第2の観察手段の観察視野内における基準点と前記シート材の厚み方向端部との厚み方向位置ずれ量を検出する、厚み方向端部位置ずれ量検出部とを備え、
前記移動部は、
前記シート材の幅方向に前記シート材と前記観察部とが相対移動可能な幅方向移動機構と、
前記シート材の厚み方向に前記シート材と前記観察部とが相対移動可能な厚み方向移動機構とを含み、
前記制御部は、
前記検出した幅方向端部位置ずれ量に基づいて前記幅方向移動機構を制御し、
前記検出した厚み方向端部位置ずれ量に基づいて前記厚み方向移動機構を制御する
機能を有することを特徴とする、シート材端部の評価装置。
【請求項4】
前記第1の観察手段及び前記第2の観察手段は、それぞれが連結部材を介して連結されていることを特徴とする、
請求項3に記載のシート材端部の評価装置。




【請求項5】
シート材を支持部で支持し、
前記シート材の端部を観察部で観察する観察ステップと、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させる移動ステップとを有し、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させながら、前記観察部にて前記シート材の端部を観察する、シート材端部の観察方法において、
前記観察ステップは、
前記シート材の幅方向端部を観察する幅方向端部観察ステップと
前記シート材の厚み方向端部を観察する厚み方向端部観察ステップとを有し、
前記移動ステップは、
前記シート材の幅方向に前記シート材と前記観察部とを相対移動させる幅方向移動ステップと、
前記シート材の厚み方向に前記シート材と前記観察部とを相対移動させる厚み方向移動ステップとを含み、
前記第1の観察手段の観察視野内における観察情報に基づき、前記シート材の幅方向端部の位置を検出する、幅方向端部位置検出ステップと、
前記第2の観察手段の観察視野内における観察情報に基づき、前記シート材の厚み方向端部の位置を検出する、厚み方向端部位置検出ステップとを有し、
前記幅方向端部位置検出ステップで得られた検出結果に基づく変位量を、第1の観察手段及び第2の観察手段を幅方向に移動させる変位量として、前記幅方向移動機構を制御する幅方向移動ステップと、
前記厚み方向端部位置検出ステップで得られた検出結果に基づく変位量を、第2の観察手段及び第1の観察手段を厚み方向に移動させる変位量として、前記厚み方向移動機構を制御する厚み方向移動ステップとを有することを特徴とする、シート材端部の観察方法。
【請求項6】
前記第1の観察手段及び前記第2の観察手段は、それぞれが連結部材を介して連結されており、
前記幅方向移動ステップと厚み方向移動ステップにおいて、連結された状態で移動することを特徴とする、請求項5に記載のシート材端部の観察方法。

【請求項7】
シート材を支持部で支持し、
前記シート材の端部を観察部で観察する観察ステップと、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させる移動ステップと、
前記シート材と前記観察部とを相対移動させながら、前記観察部にて前記シート材の端部を観察する、観察ステップとを有し、
前記観察ステップで得られたそれぞれの観察情報を基に評価手段を用いて前記シート材端部の状態を評価する評価ステップとを有する、シート材端部の評価方法において、
前記観察ステップは、
前記シート材の幅方向端部を観察する幅方向端部観察ステップと
前記シート材の厚み方向端部を観察する厚み方向端部観察ステップとを有し、
前記移動ステップは、
前記シート材の幅方向に前記シート材と前記観察部とを相対移動させる幅方向移動ステップと、
前記シート材の厚み方向に前記シート材と前記観察部とを相対移動させる厚み方向移動ステップとを含み、
前記第1の観察手段の観察視野内における観察情報に基づき、前記シート材の幅方向端部の位置を検出する、幅方向端部位置検出ステップと、
前記第2の観察手段の観察視野内における観察情報に基づき、前記シート材の厚み方向端部の位置を検出する、厚み方向端部位置検出ステップとを有し、
前記幅方向端部位置検出ステップで得られた検出結果に基づく変位量を、第1の観察手段及び第2の観察手段を幅方向に移動させる変位量として、前記幅方向移動機構を制御する幅方向移動ステップと、
前記厚み方向端部位置検出ステップで得られた検出結果に基づく変位量を、第2の観察手段及び第1の観察手段を厚み方向に移動させる変位量として、前記厚み方向移動機構を制御する厚み方向移動ステップとを有することを特徴とする、シート材端部の評価方法。
【請求項8】
前記第1の観察手段及び前記第2の観察手段は、それぞれが連結部材を介して連結されており、
前記幅方向移動ステップと厚み方向移動ステップにおいて、連結された状態で移動することを特徴とする、
請求項7に記載のシート材端部の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公開番号】特開2012−132811(P2012−132811A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285837(P2010−285837)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】