説明

シート止着工具

【課題】ビニールハウス等の骨組材やドア枠、窓枠等へ固定するシート止着溝形材の溝中へ、シート止め線材をビニールハウスの被覆材である塩化ビニルシート又はポリオレフィンシート等と共に溝中へ押し入れてシートを止着させる作業に用いるシート止着工具を提供する。
【解決手段】シート止着工具1の本体10の前端面に本体から前方へ突き出す支持体7が取り付けられ、支持体7に前記シート止着溝形材4の開口縁43、43の外側面を挟む二つの位置決めローラー72、72が取り付けられている。本体10の前端に形成された導入口1aは、平面形状が略ハの字形の線材誘導部材13により、導入口1aの前方へ漸次幅寸が拡大しつつ突き出るように形成されている。本体10を底面方向に見ると、シート止着溝形材4の開口縁43、43の上を走行する車輪60と61、及び開口縁43、43の内側の溝中に嵌る脱輪防止車輪5が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビニールハウス等の骨組材やドア枠、窓枠等へ固定したシート止着溝形材の溝中へ、シート止め線材を、ビニールハウスの被覆材である塩化ビニルシート又はポリオレフィンシート等(以下、単にシートという。)と共に溝中へ押し入れてシートを止着させる作業に用いるシート止着工具の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の野菜や果物などの促成栽培を行う所謂ビニールハウスの被覆材であるシートは、骨組材へ取付けたシート止着溝形材で止着されている。使用するシート止め線材は、図8(A)に例示したように、シート止着溝形材4の開口部よりも少し大きい振幅で同一の台形波が交互に反転する向きに連なる弾性な台形波形状のシート止め線材2’である。そのシート止着作業は、シート止着溝形材のシート止着溝の開口部上にシートを広げ、その上からシート止め線材の一端部を先ずシートと共にシート止着溝中へ押し入れて止め付け、しかる後に同シート止め線材の溝外に残る自由部分を波形毎の単位で順次シート止着溝中へ押し入れてゆく。このシート止着作業を機械化して効率良く楽に進めるために、シート止着工具が提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1に開示されたシート止着工具は、シート止着溝形材の開口縁上を長手方向に滑る滑動部と、前記滑動部から上方へ立ち上げられた手動操作部と、前記滑動部の下面から突設された滑動ガイド部と、前記滑動部の前端に平面形状を略ハの字形に設けられた線材誘導部材とで構成されている。このシート止着工具の使用方法は、シート止め線材の端部をシートと共にシート止着溝形材のシート止着溝の中に押し入れた後、滑動部をシート止着溝形材の両縁部に乗せて手動操作部を押し、シート止着工具をシート止着溝材の長手方向の前方へ進ませる。すると、シート止め線材の一山一山が次々と左右の線材誘導部材へ交互にぶつかり、シート止め線材がシート止着溝の中へ誘導されて、同シート止着溝内に固定される。
しかし、前記シート止着工具は、台形波形状のシート止め線材の抵抗(剛性)が強いこと、及び台形波形状のシート止め線材は、図8(B)に示すように、シート止着溝形材の溝内へ誘導する際に左右に大きく振れ動き、そうしたシート止め線材の左右への振れに邪魔されて、円滑に効率良く止着作業が行えない場合がある。
【0004】
そこで、下記特許文献2には、本体へ回動可能に取り付けられたシート止着溝形材と平行な配置とされた相当長さの取付棒の前端部に、同シート止着溝形材のシート止着溝の開口縁と平行な2枚のガイド板をシート止め線材が通過するのに適度な間隔で組合せた止め線ガイドが取り付けられた構成のシート止着工具が開示されている。このシート止着工具は、同一の台形波が交互に反転する向きに連なる波形状をなす弾性な台形波形状のシート止め線材を、シート止着溝の中へ押し入れて同シートを止着させるもので、2枚のガイド板でシート止め線材の左右の振れ幅をできるだけ抑制し、円滑に規則的に誘導する構成であり、シート止め線材の左右への振れに邪魔されることがない。
【0005】
また、下記特許文献3に開示されたシート止着工具は、シート止着工具本体の前端面に取り付けられたアームへ板材を間隔をあけて重ね両側を先広に傾斜させて、板材間を台形波形状のシート止め線材が通るように、止め線ガイドを設けた構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平08−8328号公報
【特許文献2】特開平09−37657号公報
【特許文献3】特開平09−94031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2及び3に開示されたシート止着工具は、線形が2.0mmでバネ性が高く、一平面上で同一の台形波が1波長のピッチが120mm程度、振幅が35mm程度で交互に反転する向きに連なる台形波形状のシート止め線材をシート止着溝形材へ押し入れる構成であるため、シート止着溝形材の溝中へ押し入れる作動に対する抵抗(剛性)が大きいし、図8(B)に示すように、左右へ大きく振れるので、止め線ガイドで左右の激しい振れを抑制すると共に、シート止め線材の強い剛性とバネ性による抵抗作用に打ち勝って、溝中へ押し入れシート止着の目的を達成するための構成と機能及び機構を具備している。そのため、必要な部材点数が多く、更に各構成要素がそれぞれ複雑な形状に組み立てられ、それらの組み合わせで複雑な構造となっている。
また、止め線ガイドがシート止着溝形材へ位置決めされていないので、シート止着工具本体を走行させる際に浮き上がってしまう問題がある。そのため、シート止着工具本体が、不安定になり、円滑に効率よく止着作業を行ない場合がある。
よって、その製作に手間とコストが掛かるが、それでいて必ずしも使い易いとか作業性に優れていないことは、現在のところ殆ど実用化された例が皆無に近いことで実証されている。
【0008】
本発明の目的は、シート止め線材を同一の円弧波が交互に反転する向きに連なる円弧波形状に構成すると、シート止着溝形材の溝中にシートを止着する作用に遜色がない上に、波形が丸い分だけシート止着作業時の抵抗が小さいし左右の振れも小さいことに着眼して、同円弧波形状のシート止め線材をシート止着溝形材の中へ押し込む際に、シート止着溝形材へしっかりと位置決めし安定させた支持部材でシート止め線材の左右の振れ幅を確実に抑制し、同シート止め線材を前記シート止着溝形材の中へ円滑に誘導することにより、止着作業の効率を高めることができ、それでいて簡易な構造で必要な部材点数が少なく、製作が容易で安価なシート止着工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るシート止着工具は、
横断面で見ると底壁の両側に立ち上がる両側壁をハの字形状に内方へ傾斜させて開口部が幅狭
のシート止着溝が形成されたシート止着溝形材の前記開口部上にシートを広げ、前記開口部の幅寸よりも少し大きい振幅で、同一の円弧波が交互に反転する向きに連なる波形状をなす弾性な円弧波形シート止め線材を、シート止着溝の中へ押し入れて同シートを止着させるシート止着工具であって、
シート止着工具の本体の前端面に前記本体から前方へ突き出す支持体が取り付けられ、該支持体に前記シート止着溝形材の開口縁の外側面を挟む二つの位置決めローラーが取り付けられており、
前記本体の前端に形成された導入口は、平面形状が略ハの字形の線材誘導部材により、導入口の前方へ漸次幅寸が拡大しつつ突き出るように形成されており、
前記本体を底面方向に見ると、前記シート止着溝形材の開口縁の上を走行する車輪、及び開口縁の内側の溝中に嵌る脱輪防止車輪が設置された構成であることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したシート止着工具において、
支持体は、シート止着工具本体の前端面に同本体から前方へ突き出すように設置された取付部材と、該取付部材の先端部分に取り付けられ、前半部が上向きに反った板状の支持部材とで構成され、同支持部材の下面にシート止着溝形材の開口縁の外側面を挟む二つの位置決めローラーが取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載したシート止着工具において、
二つの位置決めローラーは、平面的に見るとシート止着溝形材の開口縁を形成するカール部の外側を挟み、且つ同シート止着溝形材の長手方向に前後する配置とされていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載したシート止着工具において、
シート止着工具本体の底面の後方部に、シート止着溝形材の開口縁の内側面へ接する位置決めローラーが取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載したシート止着工具において、
シート止着工具本体の上面には、同上面から上方へ立ち上げられた手動操作部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシート止着工具1は、同一の円弧波が交互に反転する向きに連なる波形状の弾性な円弧波形シート止め線材2をシート止着溝形材4のシート止着溝40の中へ押し入れてシート3を止着させるものである。即ち、円弧波形シート止め線材2は、シート止着溝形材4の溝内へ誘い込む際の左右の振れ幅が小さいし、シート止着工具本体10の線材誘導部材13、13へぶつかって抵抗する度合い(剛性)も小さく、同シート止着工具1の本体10を円滑に進ませることができ、作業の効率を高めることができるから、作業者の労力負担が少なくて済み、非常に使い易い。
そのため、本発明のシート止着工具1は、シート止着工具本体10の前端面に取り付けた同本体10から前方へ突き出す支持体7で、シート止め線材2の左右への振れを確実に抑制でき、同シート止め線材2を前記シート止着溝形材4の溝中へ円滑に誘導できるので、作業者の労力負担が少なくて済み、非常に使い易く止着作業を容易にならしめることができる。前記支持体7は、二つの位置決めローラー72、72がシート止着溝形材4の開口縁43、43の外側面を挟んで位置決めされているので、浮き上がりを防止でき、円滑に効率よく止着作業を行うことができる。
更に、本発明に係るシート止着工具1は、支持体7をシート止着工具本体10の前端面に同本体10から前方へ突き出すように設置された取付部材70と、該取付部材70の先端部分に取り付けられ、前半部が上向きに反った板状の支持部材71とで構成した簡易な構成であるから、非常にシンプルであり、必要な部材点数が非常に少なく、製作が容易であり、安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】シート止着工具の使用状態を示した斜視図である。
【図2】シート止着工具の使用状態を示した側面図である。
【図3】シート止着工具を底面方向から見た斜視図である。
【図4】シート止着工具の使用状態を示した正面図である。
【図5】シート止着工具の使用状態を示した背面図である。
【図6】シート止着工具の異なる実施例を底面方向から見た斜視図である。
【図7】円弧波形状のシート止め線材を示す平面図である。
【図8】台形波形状のシート止め線材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のシート止着工具1は、本体10が略直方体形状を成し、その前端面に本体10から前方へ突き出す支持体7を取り付け、該支持体7に前記シート止着溝形材4の開口縁43、43の外側面を挟む二つの位置決めローラー72、72を取り付ける。本体10の前端に形成された導入口1aは、平面形状が略ハの字形の線材誘導部材13、13により、導入口1aの前方へ漸次幅寸が拡大しつつ突き出るように形成し、本体10を底面方向に見ると、前記シート止着溝形材4の開口縁43、43の上を走行する車輪60、61、及び開口縁43、43の内側の溝中に嵌る脱輪防止車輪5を設置する。
【実施例1】
【0017】
以下に、本発明に係るシート止着工具を、図示した実施例に基づいて説明する。
本実施例のシート止着工具1の本体10は、図1に示すように、一例として縦横130×60mm、高さ50mm程度の大きさの略直方体形状に形成されている。前記本体10の両側面に一段凹んだ段差部12、12が設けられており、握りやすい形状としている。
なお、前記シート止着工具1は、走行中の安定性が高く左右にぶれたりしない重量(一例として350g程度)とする。
【0018】
上記シート止着工具1の本体10の前端面には、図1及び2の示すように、前記本体10から前方へ突き出す支持体7が取り付けられている。この支持体7は、シート止着工具本体10の前端面に同本体10から5cm〜7cm程度、前方へ突き出すように設置された取付部材70と、該取付部材70の先端部分に溶接等で取り付けられ、前半部が上向きに反った板状の支持部材71とで構成されている。前記支持部材71には、図3に示すように、下面にシート止着溝形材4の開口縁43、43を形成するカール部の外側を挟む二つの位置決めローラー72、72が、図1の場合は、同シート止着溝形材4の長手方向に前後する配置で取り付けられている。前記位置決めローラー72、72には、ネジ軸部73aが支持部材71を貫通して上面へ突き出るローラー軸73が取り付けられており、前記突き出たネジ軸部73aへ支持部材71の上面側からナット74を締め付けることにより、前記位置決めローラー72、72が支持部材71へ取り付けられている。
【0019】
上記シート止着工具1の本体10の前端面は、図4に示す正面方向から見るとシート止め線材2の導入口1aが形成されている。前記本体前端の導入口1aは、平面形状が略ハの字形の線材誘導部材13、13により、導入口1aの前方へ漸次幅寸が拡大しつつ突き出るように形成されている。
【0020】
前記本体10を図3に示す底面方向に見ると、凹面部が形成され、同凹面部内にシート止着溝形材4の開口縁43、43の上を走行する2つの前方車輪60、60と後方車輪61、及び開口縁43、43の内側の溝中40に嵌る脱輪防止車輪5がそれぞれ車軸によってシート止着工具本体10に設置されている。
脱輪防止車輪5は、同脱輪防止車輪5の一部分が本体10の導入口1aに臨む後方部位に、前記導入口1aに誘い込まれたシート止め線材2をシート止着溝40の下方へ押し込む配置に設置され、本体10の脱輪防止効果を奏すとともに、前記導入口1aによって誘い込まれたシート止め線材2をシート止着溝40の下方へ押し込む効果も奏する。
また、図3及び5に示すように、シート止着工具本体10の底面の後方部には、シート止着溝形材4の開口縁43、43を形成するカール部の内側面へ接し、前記シート止着工具本体10を位置決めする位置決めローラー75が取り付けられている。なお、前記位置決めローラー75の取り付け位置は、図示した実施例に限定されない。例えば図6に示したように、シート止着工具本体10の後方部にローラー取付部材76を設置し、該ローラー取付部材76の下面に前記位置決めローラー75を取り付けた構成で実施することもできる。
【0021】
上記シート止着工具1の使用方法は、先ず横断面で見ると底壁の両側に立ち上がる両側壁をハの字形状に内方へ傾斜させて開口部41が幅狭のシート止着溝40を形成されたシート止着溝形材4の前記開口部41上にシート3を広げる。
次に、前記開口部41の幅寸よりも少し大きい振幅で、一平面上で同一の円弧波が交互に反転する向きに連なる波形状をなす弾性な円弧波形シート止め線材2の一方の端部を、前記シート止着溝形材4の開口部41上に広げたシート3と共にシート止着溝40の中へ押し込み固定する。
次に、前記シート止着溝40へ押し込んだシート止め線材2の端部の上に、シート止着工具本体10を載せ、脱輪防止車輪5を同シート止着溝中40に嵌め込み、車輪60、61を開口縁43、43の上へ乗せると共に、前方の位置決めローラー72、72でシート止着溝形材4の開口縁43、43の外側面を形成するカール部を両側から挟み付けて位置決めし、後方の位置決めローラー75を同開口縁43の内側面へ当てがい位置決めする。
次に、前記シート止め線材2がシート止着溝40の外へ露出している部分へ導入口1aを対峙させ、シート止着溝形材4の開口縁43、43の上へ車輪60、61を乗せたシート止着工具本体10を手で押して前進させる。すると、円弧波形シート止め線材2の一山一山が次々と支持部材71の反った前半部の下面に入り込んで押さえつけられ、その後は、シート止着工具本体10の左右の線材誘導部材13、13へ交互にぶつかり、シート止め線材2が導入口1aからシート止着溝40内へ誘導されて、同シート止着溝40内に固定される。
なお、図示することは省略したが、本体10の上面に、同上面から上方へ立ち上げられた手動操作部を設けた構成で実施することにより、シート止着溝形材4の開口縁上43、43に乗せた本体10を楽に押し進めることができる。
【0022】
したがって、本実施例のシート止着工具1は、シート止着工具本体10の前端面に取り付けた同本体10から前方へ突き出す支持体7で、シート止め線材2の左右への振れを確実に抑制でき、同シート止め線材2を前記シート止着溝形材4の溝中へ円滑に誘導できるので、作業者の労力負担が少なくて済み、非常に使い易く止着作業を容易にならしめることができる。前記支持体7は、二つの位置決めローラー72、72でシート止着溝形材4の開口縁43、43の外側面を挟んで位置決めしているので、浮き上がりを防止でき、円滑に効率よく止着作業を行うことができる。
また、シート止着工具本体10の底面の後方にも、シート止着溝形材4の開口縁43の内側面へ接する位置決めローラー75を取り付け、同シート止着工具本体10を位置決めしているので、横向きの作業態様でも、作業者がシート止着工具1から手を離した程度ではシート止着溝形材4から外れず落下しない。
更に、本発明に係るシート止着工具1は、支持体7をシート止着工具本体10の前端面に同本体10から前方へ突き出すように設置した取付部材70と、該取付部材70の先端部分に取り付け、前方部分が上向きに傾斜した板状の支持部材71とで構成した簡易な構成であるから、非常にシンプルであり、必要な部材点数が非常に少なく、製作が容易であり、安価に提供できる。
【0023】
因みに、シート止着溝形材4は、既存の溝形材と略同形、同大であり、図1、図4、及び図5に示すように、例えば特開2003−222106号公報や実用新案登録3116845号公報に開示されている楔式連結金具8等を使用して、パイプ材9(または、他のシート止着溝形材)と圧着し連結することができる。そのため、シート止着溝形材4の両側壁には、外方へ円弧形状に突き出る支持片42、42がシート止着溝形材4の長手方向に連続して形成されており、前記両支持片42、42で楔式連結金具8の受け口80を形成する左右両側の口縁に形成された押さえ片81、81と面接触する構成としている。
【0024】
上記シート止め線材2は、図7(A)に示すように、線径は1.6〜1.8mm程度で、バネ性の低い線材を、一平面上で同一の円弧波が1波長のピッチが90mm程度、振幅は30mm程度で交互に反転する向きに連なる波形状とされている。
前記円弧波形シート止め線材2は、図8(A)に示すように、例えば上記特許文献1〜3に開示されている一平面上で同一の台形波が交互の向きに連続する波形状を成す台形波形状のシート止め線材2’と比して、非常に柔軟な形状なので、図7(B)に示すように、シート止着溝形材4の溝内へ誘い込む際の左右の振れ幅が小さいし、シート止着工具本体10の線材誘導部材13、13へぶつかって抵抗する度合い(剛性)も小さい。そのため、シート止着溝形材4上のシート止着工具本体10を円滑に進ませることができ、作業者の労力負担が少なくて済み、作業の効率を高められる。
【0025】
以上に実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の実施形態の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する
【符号の説明】
【0026】
1 シート止着工具
10 シート止着工具の本体
13 線材誘導部材
1a 導入口
2 シート止め線材
4 シート止着溝形材
40 シート止着溝
41 開口部
43 開口縁(カール部)
5 脱輪防止車輪
60、61 車輪
7 支持体
70 取付部材
71 支持部材
72、75 位置決めローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面で見ると底壁の両側に立ち上がる両側壁をハの字形状に内方へ傾斜させて開口部が幅狭のシート止着溝が形成されたシート止着溝形材の前記開口部上にシートを広げ、前記開口部の幅寸よりも少し大きい振幅で、同一の円弧波が交互に反転する向きに連なる波形状をなす弾性な円弧波形シート止め線材を、シート止着溝の中へ押し入れて同シートを止着させるシート止着工具であって、
シート止着工具の本体の前端面に前記本体から前方へ突き出す支持体が取り付けられ、該支持体に前記シート止着溝形材の開口縁の外側面を挟む二つの位置決めローラーが取り付けられており、
前記本体の前端に形成された導入口は、平面形状が略ハの字形の線材誘導部材により、導入口の前方へ漸次幅寸が拡大しつつ突き出るように形成されており、
前記本体を底面方向に見ると、前記シート止着溝形材の開口縁の上を走行する車輪、及び開口縁の内側の溝中に嵌る脱輪防止車輪が設置された構成であることを特徴とする、シート止着工具。
【請求項2】
支持体は、シート止着工具本体の前端面に同本体から前方へ突き出すように設置された取付部材と、該取付部材の先端部分に取り付けられ、前半部が上向きに反った板状の支持部材とで構成され、同支持部材の下面にシート止着溝形材の開口縁の外側面を挟む二つの位置決めローラーが取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載したシート止着工具。
【請求項3】
二つの位置決めローラーは、平面的に見るとシート止着溝形材の開口縁を形成するカール部の外側を挟み、且つ同シート止着溝形材の長手方向に前後する配置とされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載したシート止着工具。
【請求項4】
シート止着工具本体の底面の後方部に、シート止着溝形材の開口縁の内側面へ接する位置決めローラーが取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載したシート止着工具。
【請求項5】
シート止着工具本体の上面には、同上面から上方へ立ち上げられた手動操作部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載したシート止着工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−30529(P2011−30529A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181854(P2009−181854)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】