説明

シート水中接合方法

【課題】遮水シートを水中から浮上させることなく、陸上作業と同様の溶着品質が得られ、工期の短縮ひいては工費の削減も可能なシート水中接合方法を提供する。
【解決手段】水中で、金属体13が熱可塑性樹脂製の被覆材14により被覆された防水型発熱材12を2枚の遮水シート10,11の端部10a,11a間に挿入し、その後、遮水シート10,11の上から防水型電磁誘導加熱機15により金属体13を発熱させて被覆材14と遮水シート10,11とを溶着させる。これにより、遮水シート10,11を水中から浮上させることなく、陸上作業と同様の溶着品質が得られ、工期の短縮ひいては工費の削減も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート水中接合方法、詳しくは海面処分場や池などの壁面を覆う遮水シートの端部どうしを水中で接合することが可能なシート水中接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海面処分場や陸上の処分場などの造成にあっては、環境保全を目的として防水遮水シートまたは遮水シートを敷設し、場内の浸出水などの汚染物質の漏洩拡散を防いでいる。しかしながら、その敷設面積は広大であり、その現場へ一定幅の遮水シートを搬入し、これを接合しながら敷設していく。
特に、海面処分場では、海岸縁の岸壁、または例えば500トン積みなどの大型台船の上で数百mの大きさまで熱風溶着機で接合拡大し、この拡大化された遮水シートは制限された海域の中で一旦海底に沈下させる。海底に沈んだ遮水シートの端部と遮水シートの端部を接合する際には、接合しようとする両遮水シートを浮上させ、作業船の上で、両遮水シートの接合端部に付着した水をそれぞれふき取って接合している。そして、接合後の遮水シートは再び海底に沈められる。
【0003】
一方、水中での溶着方法として、例えば高周波による誘導加熱で行う方法も考えられてきた。
しかしながら、海面処分場においては、遮水シートの接合において陸上と同様の接合品質が得られなかった。接合された遮水シートを海底に沈める方法では、海底に沈める際、遮水シートに折れ曲がりや畳み込み現象などが発生しやすかった。これらの折れ曲りや畳み込み時に生じた遮水シート突端部は、破断につながりやすく、長時間経過すると場内の汚染水が漏水拡散していくものと見られている。しかしながら、現状では代替えの方法がなく、対処することができなかった。
【0004】
このように、海面処分場においては、遮水シートの折れ曲がりや畳み込みを解消することは技術的に困難であった。そのため、遮水シートを溶着せずに重ね合わせ、その重なり部分の上にアスファルトマスチックなどの重量物を置いて間隙を封じ込め、その重量で漏水を防止する方法が開発されている。しかしながら、施工能率が低いこと、工期が長いこと、遮水に関する信頼性に疑問があったことなどにより、現場への導入には消極的であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、遮水シートを水中から浮上させることなく、陸上作業と同様の溶着品質が得られ、工期の短縮、ひいては工費の削減も可能なシート水中接合方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、水中で2枚の遮水シートの端部どうしを重ね合わせて接合するシート水中接合方法であって、電磁誘導で加熱される金属体が熱可塑性樹脂製の被覆材により被覆された防水型発熱材を、水中で重ね合わされた上記2枚の遮水シートの端部間に挿入し、その後、この重ね合わされた遮水シートの上から防水型電磁誘導加熱機により上記金属体を発熱させ、その熱により上記被覆材を溶かして上記2枚の遮水シートを溶着することを特徴とするシート水中接合方法である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、水中で2枚の遮水シートの端部どうしを重ね合わせて接合するシート水中接合方法であって、電磁誘導で加熱される金属体が熱可塑性樹脂製の被覆材により被覆された防水型発熱材を、あらかじめ地上または水中で一方の上記遮水シートの一端部に融着させ、その後、上記2枚の遮水シートの端部どうしを水中で重ね合わせ、次いで上記遮水シートの上から防水型電磁誘導加熱機により上記金属体を発熱させ、その熱により上記被覆材を溶かして上記2枚の遮水シートを溶着することを特徴とするシート水中接合方法である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、水中で2枚の遮水シートの端部どうしを重ね合わせ、この重ね合わせ部分を電磁誘導で加熱して接合するシート水中接合装置であって、防水型高周波加熱電源と、水面下で使用され、防水材により被覆された高周波トランスと、水面下で使用され、防水材により被覆された加熱コイル部とを備えたことを特徴とするシート水中接合装置である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、水中で、金属体が熱可塑性樹脂製の被覆材により被覆された防水型発熱材を、接合しようとする2枚の遮水シートの間に挿入する。その後、遮水シートの上から防水型電磁誘導加熱機により金属体を発熱させ、その熱で被覆材と遮水シートとを溶着させる。これにより、遮水シートを水中から浮上させることなく、陸上作業と同様の溶着品質が得られ、工期の短縮ひいては工費の削減も可能となる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、2枚の遮水シートの水中溶着すべき箇所はあらかじめ施工計画書によりわかっているので、あらかじめ地上または水中で溶着すべき一方の遮水シートに、電磁誘導により加熱可能な金属体を熱可塑性樹脂製の被覆材で包含した防水型発熱材を融着しておく。その後、水中で、溶着すべき2枚の遮水シートを想定通りに重ねた後、防水型電磁誘導機により防水型発熱材中の金属体を誘導発熱させ、その熱で被覆材と遮水シートとを溶着させる。
これにより、遮水シートを水中から浮上させることなく、陸上作業と同様の溶着品質が得られ、工期の短縮ひいては工費の削減も可能となる。しかも、あらかじめ地上または水中で一方の遮水シートに防水型発熱材を融着させるので、2枚の遮水シートを被覆材により同時に張り合わせる場合よりも、位置ずれ防止になるとともに、作業が容易になるという効果が得られる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、電磁誘導で加熱される金属体の幅が防水型電磁誘導加熱機の誘導加熱コイルの幅より大である前記シート水中接合方法である。
これによれば、電磁誘導加熱時に該金属体の変形が防止され、前記防水型発熱材を介して2枚の遮水シートを良好な状態で溶着させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、防水型高周波加熱電源により発生した交流電流を高周波トランスを通して水面下の加熱コイル部へ供給し、電磁誘導により加熱コイル部を加熱し、水中で重ねあわされた2枚の遮水シートの端部どうしを電磁誘導で加熱して接合する。
【0013】
遮水シートの素材としては、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンターポリマー(EPT)などの単体もしくはブレンド物などからなるゴムや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性合成樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーなど熱溶着可能な熱可塑性樹脂が好ましい。
遮水シートは、例えば幅が2〜5m程度の長尺のシートである。遮水シートは、工場内で複数枚接合した大判の遮水シートを現場に持ち込んで海底に沈めてもよい。
また、遮水シートの厚さは、1.0〜5.0mm、好ましくは1.5〜3.0mmである。1.0mm未満では、強度不足のため破断しやすく、また施工途中で作用する外力に耐えられない場合があり、一方、5.0mmを超えると、柔軟性が低下し、施工が難しくなり、さらに経済的でもない。
【0014】
被覆材の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートなどのオレフィン系樹脂やそれらを変性した塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、マレイン化エチレンビニルアセテートなどの変性オレフィン系樹脂のほか、ポリ塩化ビニル、オレフィン系熱可塑性エラストマー、未加硫ゴムなどが挙げられる。防水・遮水シートの素材として加硫ゴムを使用する場合は、この中でも加硫ゴムと融着したときの接着強度が大きいことから、被覆材としては、ポリプロピレン、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0015】
被覆材の素材としては、遮水シートのものと同一素材を採用することができる。この場合、陸上での接合と同じ状態を得ることができる。また、被覆材の素材として遮水シートとは異なる素材を採用した場合には、あらかじめ陸上で溶着試験を行い、その品質を確認する必要がある。
金属体としては、鉄金網を用いれば電磁誘導加熱の効率がよい。その他の金属でも高周波発熱は可能であるが、ステンレスを用いた場合にはかなり効率の悪い結果となる。これに比べて、金網状の発熱体は金網の金属線の振動による発熱だけでなく、金網の交差部での摩擦熱も期待できるので、電磁誘導加熱の効率が高い。これらの効果は、陸上水中の別は問わない。
【0016】
金属体の形状としては、金属粉、金属製網材、金属板などを採用することができる。
金属部材の素材としては、電磁誘導加熱によって加熱することができる導体である必要があり、さらには防錆性、耐候性の高いものであることが好ましい。具体的には鋼、溶融亜鉛メッキ鋼、溶融アルミニウムメッキ鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ガルバニウム鋼などを挙げることができる。
金属材の厚さは、0.05〜1.5mm、好ましくは0.1〜1mmである。0.05mm未満では、加熱しすぎるという不都合を生じ、一方、1.5mmを超えると、柔軟性が不足するという不都合が生じる。
【0017】
電磁誘導で加熱される金属体の温度は、被覆材の融点にもよるが、50〜400℃、好ましくは100〜300℃である。
なお、電磁誘導加熱の時間は、通常、30秒〜2分程度、好ましくは1分程度である。
防水型発熱材の厚みは、好ましくは0.5〜2.0mm、さらに好ましくは1.0〜1.5mmである。0.5mm未満では、接合強度が十分に得られず、一方、2.0mmを超えると、シートの接合部の段差が高くなってしまい外観的に好ましくない。しかも、電磁誘導加熱により融解させ時間が長くなり、短時間の加熱であれば融解が不十分で接合不良になる可能性があるので好ましくない。
水型電磁誘導加熱機としては、例えば第一高周波工業株式会社製のHI−HEATERなどを採用することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、水中で、金属体が熱可塑性樹脂製の被覆材により被覆された防水型発熱材を2枚の遮水シートの間に挿入し、その後、遮水シートの上から防水型電磁誘導加熱機により金属体を発熱させて被覆材と遮水シートとを溶着させる。これにより、遮水シートを水中から浮上させることなく、陸上作業と同様の溶着品質が得られ、工期の短縮ひいては工費の削減も可能となる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、あらかじめ地上または水中で溶着すべき一方の遮水シートに防水型発熱材を融着し、その後、水中で2枚の遮水シートを重ね合わせた後、防水型電磁誘導機により防水型発熱材中の金属体を誘導加熱し、その熱で被覆材と遮水シートとを溶着させる。これにより、遮水シートを水中から浮上させることなく、陸上作業と同様の溶着品質が得られ、工期の短縮ひいては工費の削減も可能となる。また、遮水シート接合の前に、地上または水中で一方の遮水シートに防水型発熱材を融着させるので、2枚の遮水シートを被覆材により同時に張り合わせる場合よりも、位置ずれ防止になるとともに、作業が容易になるという効果が得られる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、金属体の幅が、防水型電磁誘導加熱機の誘導加熱コイルの幅より大であるため、電磁誘導加熱時に該金属体の変形が防止され、前記防水型発熱材を介して2枚の遮水シートを良好な状態で溶着させることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、防水型高周波加熱電源により発生した交流電流を高周波トランスを通して水面下の加熱コイル部へ供給し、電磁誘導により加熱コイル部を加熱し、水中で重ねあわされた2枚の遮水シートの端部どうしを電磁誘導で加熱して接合する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、海面処分場における遮水シートの接合方法を例とする。
【実施例】
【0023】
本発明のシート水中接合方法では、図1〜3に示すように海面処分場の海底を遮水する2枚の遮水シート10,11と、防水型発熱材12と、防水型発熱材12の一部を構成し、電磁誘導で加熱される金属体13と、防水型発熱材12の残り部分を構成し、金属体13を被覆する熱可塑性樹脂製の被覆材14と、図4に示す防水型電磁誘導加熱機15とが使用される。
【0024】
遮水シート10,11は、厚さ3mm、縦長さ40m、横幅5.0mのポリエチレン樹脂シートである。
防水型発熱材(被覆材)12は、厚さ2.5mm、長さ40mm、幅5.0100mmの長尺な板材である。
金属体13としては、亜鉛引き金網を用いており、板状にした被覆材14の厚み方向略中央に金属体13を埋設している。網材とすることで防水型発熱材12の表裏を貫通する孔があるので、被覆材14がその孔を通して表裏でつながり接合強度を高めることができる。金属体13の厚みは0.1〜1.0mmである。
【0025】
被覆材14はポリエチレン製である。このように金属体13を亜鉛引き金網とし、これを包含する被覆材14をポリエチレン製とすれば、陸上で行うシート接合と略同じような溶着の品質を得ることができる。また、遮水シート10,11をポリエチレン樹脂とし、亜鉛引き金網を金属体13とし、これを包含する樹脂としてEVAの被覆材14を採用した場合も、同様にシート接合の高い溶着品質を得ることができる。
【0026】
図4に示す防水型電磁誘導加熱機15としては、第一高周波工業株式会社製のHI−HEATERを採用している。防水型電磁誘導加熱機15は、防水型高周波加熱電源15Aと、ゴム材(防水材)16aにより被覆されて防水機能が付与された高周波トランス16と、加熱コイル部17とを備えている。加熱コイル部17は、本体部17aの下部から平行な離間状態で突出した2本の板状コイル17bと、本体部17aの上部に連結された1本のグリップ17cとを有している。本体部17aおよび板状コイル17bは、ゴム材(防水材)17dにより被覆されて防水機能が付与されている。
なお、金属体13の幅は、防水型電磁誘導加熱機15の誘導加熱コイルの幅より大であると、該金属体の変形が防止され、前記防水型発熱材を介して2枚の遮水シートを良好な状態で溶着させることができるので好ましい。
【0027】
次に、図1〜3を参照して、実施例1に係るシート水中接合方法を説明する。
図1に示すように、海面処分場の海底において、繋ぎ合わされる上側の遮水シート10の端部10aと下側の遮水シート11の端部11aとを、潜水作業員が重ね合わせる。このとき、防水型発熱材12を、その長さ方向を両遮水シート10,11の重ね合わせ側の辺に沿って、重ね合わされた2枚の遮水シート10,11の端部10a,11a間に挿入する。
【0028】
次に、この重ね合わされた遮水シート10,11の端部10a,11aの上に、図4に示す防水型電磁誘導加熱機15の加熱コイル部17を配置し、金属体13を被覆材14の溶融温度を超える200℃まで加熱しながら、加熱コイル部17をこの重ね合わされた遮水シート10,11の端部10a,11aに沿ってゆっくりと移動させる。電磁誘導加熱は、電圧をかけた板状コイル17bに金属体を対向させて、板状コイル17bによって発生する磁力線が金属体13を通過する際に金属内に誘導電流(渦電流)が流れ、この誘導電流が材料の電気抵抗に変化して加熱するものである。防水型電磁誘導加熱機15の出力としてはだいたい、100cm2あたり400〜1,000W程度のものを用いる。
その際、電磁誘導により加熱された金属体13の熱で被覆材14は溶け、2枚の遮水シート10,11が溶着される。これにより、遮水シート10,11を水中から浮上させることなく、陸上作業と同様の溶着品質が得られ、工期の短縮ひいては工費の削減も図ることができる。
【0029】
あらかじめ、地上または水中で一方の遮水シート10,11の一端部に防水型発熱材12を融着させ、その後、2枚の遮水シート10,11の端部どうしを水中で重ね合わせ、次に遮水シート10,11の上から防水型電磁誘導加熱機15により金属体13を発熱させるようにしてもよい。これにより、遮水シート10,11の接合の前に、地上または水中で一方の遮水シート10,11に防水型発熱材12を融着させるので、2枚の遮水シートを被覆材により同時に張り合わせる場合よりも、位置ずれ防止になるとともに、作業が容易になるという効果が得られる。
【0030】
このようにして得られる接合シートは、例えば遮水シート10,11として厚み3mmのメタロセンポリエチレン(略称:MePE)、厚さ2.5mmのメタロセンポリエチレンからなる被覆材14中に金属体13としての亜鉛引き金網を内包する防水型発熱材12を用いて、100cm2あたり800ワットの出力で電磁誘導加熱して接着したところ、JIS K6250に準拠して測定した引張せん断力が535N/2.5cmであった。このメタロセンポリエチレンの材料の場合、引張せん断力は80N/cm=200N/2.5cmを発揮すれば使用できるといえるので、この約2.5倍の強度が発揮されており、実用には十分な結果が得られた。なお、金属体の幅が100mm、誘導加熱コイルの幅が150mmにして接着したところ、被覆材溶融時に金属体端部は変形の自由度が生じるため移動により金属体端部が被覆材を突き破る部分が発生した。これに対して、本実施例では、金属体の幅が200mm、誘導加熱コイルの幅が150mmにして、該金属体の幅を防水型電磁誘導加熱機の誘導加熱コイルの幅より大にして接着したところ、上記のような不具合は発生せず、良好な接着が確認された。
【0031】
なお、被覆材14と金属体13とを強固に接着する方法としては、例えば次のような方法がある。
まず、金属体13の脱脂処理を行う。脱脂方法は、アルカリ洗浄法、溶剤洗浄法、エマルション洗浄法、電界脱脂洗浄法などの中から、使用する金属にあわせて好適なものを選択する。次に、金属の防錆、粗面化を行う。化学的方法として酸洗い法、アルカリ防錆法などがあり、物理的方法としては、プラスト法、液体ホーニング法、ウォータージェット法、サンドペーパー研磨法などがあり、状況によって1つ、あるいは2つを組み合わせて用いる。
【0032】
次工程の化成処理は、金属の種類によって異なるが、リン酸塩皮膜、クロム酸塩皮膜、シュウ酸塩皮膜、カップリング材処理皮膜を施す。そして、被覆材14をウレタン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などを用いて接着する。また、融着により接着する場合でも金属体13の表面を上記のように処理し、ホットメルト型接合材を介在して熱融着するか、金属体13に被覆材14を融着するなどが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施例1に係るシート水中接合方法のシート接合作業中の分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】この発明の実施例1に係るシート水中接合方法の防水型電磁誘導加熱機の斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
10,11 遮水シート
10a,11a 端部
12 防水型発熱材
13 金属体
14 被覆材
15 防水型電磁誘導加熱機
17d ゴム材(防水材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中で2枚の遮水シートの端部どうしを重ね合わせて接合するシート水中接合方法であって、電磁誘導で加熱される金属体が熱可塑性樹脂製の被覆材により被覆された防水型発熱材を、水中で重ね合わされた上記2枚の遮水シートの端部間に挿入し、その後、この重ね合わされた遮水シートの上から防水型電磁誘導加熱機により上記金属体を発熱させ、その熱により上記被覆材を溶かして上記2枚の遮水シートを溶着することを特徴とするシート水中接合方法。
【請求項2】
水中で2枚の遮水シートの端部どうしを重ね合わせて接合するシート水中接合方法であって、電磁誘導で加熱される金属体が熱可塑性樹脂製の被覆材により被覆された防水型発熱材を、あらかじめ地上または水中で一方の上記遮水シートの一端部に融着させ、その後、上記2枚の遮水シートの端部どうしを水中で重ね合わせ、次いで上記遮水シートの上から防水型電磁誘導加熱機により上記金属体を発熱させ、その熱により上記被覆材を溶かして上記2枚の遮水シートを溶着することを特徴とするシート水中接合方法。
【請求項3】
電磁誘導で加熱される金属体の幅が、防水型電磁誘導加熱機の誘導加熱コイルの幅より大である請求項1または2に記載のシート水中接合方法。
【請求項4】
水中で2枚の遮水シートの端部どうしを重ね合わせ、この重ね合わせ部分を電磁誘導で加熱して接合するシート水中接合装置であって、
防水型高周波加熱電源と、
水面下で使用され、防水材により被覆された高周波トランスと、
水面下で使用され、防水材により被覆された加熱コイル部とを備えたことを特徴とするシート水中接合装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−275199(P2009−275199A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130581(P2008−130581)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(593116272)東ソー・ニッケミ株式会社 (5)
【出願人】(000208695)第一高周波工業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】