説明

シート状化粧料

【課題】4−メトキシサリチル酸又はその塩を含有する化粧料を不織布に含浸させてなるシート状化粧料において、4−メトキシサリチル酸又はその塩によるべたつきやきしみ等の使用感を改善すること。
【解決手段】(A)4−メトキシサリチル酸又はその塩、(B)水溶性多糖類を含有する化粧料を不織布に含浸させてなることを特徴とするシート状化粧料である。また、(C)油分、(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマー、(E)前記(B)(D)以外の水溶性高分子、(F)ヒドロキシアミン類等を更に含有するシート状化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート状化粧料に関するものである。さらに詳しくは、4−メトキシサリチル酸又はその塩を含有する化粧料を不織布に含浸させてなるシート状化粧料であって、4−メトキシサリチル酸又はその塩によるべたつきやきしみ等の使用感を改善した、主にフェースマスクとして好適に使用されるシート状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
4−メトキシサリチル酸を始めとするアルコキシサリチル酸は美白剤として公知の化粧料成分である。特許文献1にはアルコキシサリチル酸を美白剤として含有する皮膚外用剤が開示されており、3−メトキシサリチル酸と水溶性多糖類(ヒアルロン酸ナトリウム)を組み合わせたローションが記載されている(0042〜0045)。しかしながら、3−メトキシサリチル酸を配合することによるべたつきやきしみが、水溶性多糖類の配合により抑制されることについては全く検討されていない。
【0003】
特許文献2には、美白剤と乳酸メンチルを含有する不織布含浸化粧料が開示され、美白剤として4−メトキシサリチル酸が具体的に開示されている(0019)。しかしながら、不織布含浸化粧料において、4−メトキシサリチル酸によるべたつきやきしみの問題は必ずしも十分に解決されていない。
【0004】
特許文献3には、アルコキシサリチル酸誘導体を含有する液状化粧料に、少量(0.01〜3質量%)の油分を配合することによりべたつきやきしみを抑制することが開示されている。しかしながら、アルコキシサリチル酸誘導体のべたつきやきしみを抑制するには油分が必須であり、またその量も多く配合できないため、べたつきやきしみの低減が十分ではなく、使用感も限定されてしまう。
【0005】
特許文献4には、4−メトキシサリチル酸とアルキル変性カルボキシビニルポリマーを含有する皮膚外用剤の実施例(0020、実施例5)が開示されている。しかしながら、本実施例においては4−メトキシサリチル酸により生じるべたつきやきしみの課題は十分解決されていない。
【0006】
このように、4−メトキシサリチル酸又はその塩と水溶性多糖類を併用した化粧料は従来技術ではあるが、当該化粧料を不織布の含浸液として活用したシート状化粧料は従来技術には直接的に記載されていない。
【0007】
また、従来技術では4−メトキシサリチル酸又はその塩を含有する化粧料を直接皮膚に塗布した場合について化粧料が皮膚上で乾く際に生じるべたつきやきしみに関する検討はされているが、当該化粧料を不織布に含浸させたシート状化粧料を皮膚に貼付した場合に、これらのべたつきやきしみを水溶性多糖類により低減させることについては全く検討されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許2722309号公報
【特許文献2】特開2004−131388号公報
【特許文献3】特開2009−242326号公報
【特許文献4】特開2005−068115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は上述した事情に鑑み、4−メトキシサリチル酸又はその塩を含有する化粧料を不織布に含浸させてなるシート状化粧料の使用感を鋭意研究した結果、シート状化粧料に水溶性多糖類を配合すると、当該化粧料を直接皮膚に塗布した場合に比べて、不織布に含浸させたシート状化粧料を顔面に貼付した場合に、4−メトキシサリチル酸またはその塩により生じるべたつきやきしみを低減させる効果に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の目的は、4−メトキシサリチル酸又はその塩を含有する化粧料を不織布に含浸させてなるシート状化粧料の使用感(特にべたつきやきしみ)を顕著に改善したシート状化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、(A)4−メトキシサリチル酸又はその塩、(B)水溶性多糖類を含有する化粧料を不織布に含浸させてなるシート状化粧料を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、前記(B)水溶性多糖類が、ヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、キサンタンガムから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記のシート状化粧料を提供するものである。
【0013】
さらに、本発明は、(C)油分を更に含有することを特徴とする上記のシート状化粧料を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーを更に含有することを特徴とする上記のシート状化粧料を提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、(E)前記(B)及び(D)以外の水溶性高分子を更に含有することを特徴とする上記のシート状化粧料を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、(F)ヒドロキシアミン類を更に含有することを特徴とする上記のシート状化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、4−メトキシサリチル酸又はその塩を含有する化粧料を不織布に含浸させてなるシート状化粧料に水溶性多糖類を配合することで、使用感に優れたシート状化粧料を得ることが出来る。
さらに、油分、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、水溶性高分子、ヒドロキシアミン類を併用することで、更に使用感に優れたシート状化粧料を得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(A)4−メトキシサリチル酸又はその塩
4−メトキシサリチル酸又はその塩は公知の化粧料配合成分であり、美白効果を有することが知られている。4−メトキシサリチル酸の塩としては、特に限定はされないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の他、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の塩が挙げられる。
【0019】
4−メトキシサリチル酸またはその塩の配合量は、不織布に含浸させる化粧料全量に対して、通常0.7〜5.0質量%であり、好ましくは1.0〜3.0質量%である。0.7質量%未満であると十分な美白効果が得られにくく、5.0質量%を超えて配合するとべたつきなどの使用感悪化を助長する傾向にある。
【0020】
(B)水溶性多糖類
4−メトキシサリチル酸又はその塩と併用する水溶性多糖類としては特に限定されないが、例えば、ヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、キサンタンガム、サクシノグルカン、クインスシード、ペクチン、マンナン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。特にヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、キサンタンガムが好ましく、ヒアルロン酸又はその塩とアセチル化ヒアルロン酸又はその塩は、キサンタンガムよりも好ましい。また、単独で使用するよりも2種以上を併用するとより好ましい。
ヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、キサンタンガム等を配合することにより、シート状化粧料における4−メトキシサリチル酸又はその塩によるべたつきやきしみを低減することが可能となる。
4−メトキシサリチル酸又はその塩を含有する化粧料を不織布に含浸させたシート状化粧料においては、ヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、キサンタンガム等の水溶性多糖類によって、4−メトキシサリチル酸又はその塩のべたつきやきしみを低減させる検討はこれまでなされたことはなく、本発明者らによって初めて検討され達成された効果である。
【0021】
水溶性多糖類の配合量は、不織布に含浸させる化粧料全量に対して、通常0.001〜3.0質量%である。
具体的には、ヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩の配合量は、不織布に含浸させる化粧料全量に対して、通常0.001〜3.0質量%であり、好ましくは0.005〜1.0質量%である。
キサンタンガムの配合量は、不織布に含浸させる化粧料全量に対して、通常0.01〜1.0質量%であり、好ましくは0.05〜0.3質量%である。
【0022】
(C)油分
本発明に配合可能な油分としては特に限定されないが、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油が挙げられる。
液体油脂としては、例えば、アボカド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、メドウフォーム油等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウとしては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナバロウ、ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、パラフィン、スクワレン、ワセリン等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
特に、スクワラン、流動パラフィン、水添ポリデセン、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソステアリン酸、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、トリエチルヘキサノイン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、ジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。
油分を配合することによる効果は、みずみずしさ、きしみのなさ、しっとりさなどの使用感の向上である。
【0023】
油分の配合量は、不織布に含浸させる化粧料全量に対して、通常0.01〜20.0質量%であり、好ましくは0.5〜10.0質量%である。
【0024】
(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマー
本発明に配合可能なアルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては特に限定されないが、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。特に(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマーが好ましい。
アルキル変性カルボキシビニルポリマーを配合することによる効果は、増粘性向上、油分の乳化、使用感向上である。アルキル変性カルボキシビニルポリマーの具体例としては、例えば、ペミュレン(Pemulen)TR−1、ペミュレンTR−2及びカーボポール(Carbopol)1342(BF Goodrich社製)等が挙げられる。
【0025】
アルキル変性カルボキシビニルポリマーの配合量は、不織布に含浸させる化粧料全量に対して、通常0.01〜2.0質量%であり、好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0026】
(E)前記(B)(D)以外の水溶性高分子
本発明に配合可能な前記(B)(D)以外の水溶性高分子としては特に限定されないが、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成水溶性高分子が挙げられる。
特にカルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、高重合ポリオキシエチレンが好ましい。
水溶性高分子を配合することによる効果は、増粘性向上、使用感向上である。
【0027】
水溶性高分子の配合量は、不織布に含浸させる化粧料全量に対して、通常0.01〜3.0質量%であり、好ましくは0.05〜1.0質量%である。
【0028】
(F)ヒドロキシアミン類
本発明に配合可能なヒドロキシアミン類としては特に限定されないが、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。特に2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールが好ましい。
ヒドロキシアミン類はアルキル変性カルボキシビニルポリマーやイオン性水溶性多糖類、イオン性水溶性高分子の中和剤として配合され、これを配合することにより、みずみずしい使用感が増大する。
【0029】
ヒドロキシアミン類の配合量は、不織布に含浸させる化粧料全量に対して、通常0.001〜1.0質量%であり、好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0030】
本発明のシート状化粧料は、上記必須成分を配合する化粧料を、常法により不織布のシートに含浸させて製造される。含浸される不織布は特に限定されないが、コットン、パルプ、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの天然繊維、再生繊維、合成繊維から選ばれる単繊維又は混合繊維の単層又は積層であっても良い。特にコットン、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、パルプの何れかから選ばれる単繊維または混合繊維の積層不織布が好ましい。
不織布に含浸させる化粧料はその剤型は特に限定されず、ローション等の可溶化系、乳液、美容液、クリーム等の乳化系であっても良い。
不織布に含浸させる化粧料の含浸量は特に限定されないが、不織布と化粧料の特性に応じて適宜調整し、不織布の質量に対して6〜15倍の含浸量が好ましい。
本発明のシート状化粧料は、顔面に貼付されるフェースマスク製品として好ましく利用される。
【0031】
不織布のシートに含浸させる化粧料は上記必須成分の他に、通常化粧料に配合される成分、例えば、4−メトキシサリチル酸又はその塩以外の美白剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、香料、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
なお、シート状化粧料に含浸させた化粧料による保湿効果の観点からグリセリン及びブチレングリコールなどの保湿剤を配合することが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。実施例における配合量は特に断りのない限り質量%で示す。
【0033】
「実施例1〜7、比較例1」
「表1」に掲げた組成を有する化粧液(ローション)を試料として調製した。10名の専門パネルにより、試料を直接顔面に塗布した場合と、試料を不織布(コットン100%、顔型形状、目付け70g/m2、含浸量9倍)に含浸させたシート状化粧料(フェースマスク)を顔面に貼付し10分後にはがした場合のそれぞれについて、乾き際のべたつきのなさ、乾き際のきしみのなさの評価を行った。
各試験項目について、以下の評価点基準に基づいて各専門パネルが評価し、その評価点の合計によって4段階に評価基準を設定した。結果を併せて「表1」に示す。
【0034】
[評価点基準]
5点:非常に優れている
4点:優れている
3点:普通
2点:劣る
1点:非常に劣る
[評価基準]
◎:合計点が40点以上
○:合計点が30〜39点
△:合計点が20〜29点
×:合計点が19点以下
【0035】
【表1】

【0036】
「表1」の結果より、水溶性多糖類を4−メトキシサリチル酸カリウム塩と併用して不織布に含浸させて顔面に貼付すると、直接顔面に塗布した場合と比較をして、べたつきやきしみが改善されていることが分かる。また、ヒアルロン酸ナトリウムはキサンタンガムよりもきしみを低減する効果に優れていることが分かる。さらに、ヒアルロン酸ナトリウムとキサンタンガムを併用することにより単独で使用するよりも使用感に優れることが分かる。また、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、キサンタンガムは他の水溶性多糖類に比べて使用感に優れることが分かる。
【0037】
「実施例8〜15、比較例2〜5」
「表2」及び「表3」に掲げた組成を有する化粧料(ローション)を常法により調製した。この化粧料を常法により不織布(ポリエチレンテレフタレートとコットンからなる混合繊維、目付け80g/m2、含浸量8倍)に含浸させてシート状化粧料(フェースマスク)を製造した。
10名の専門パネルにより、シート状化粧料を顔面に貼付し10分後にはがした時のみずみずしさ、肌へのなじみ、乾き際のべたつきのなさ、乾き際のきしみのなさの評価を行った。各試験項目について、以下の評価点基準に基づいて各専門パネルが評価し、その評価点の合計によって4段階に評価基準を設定した。結果を併せて示す。
【0038】
[評価点基準]
5点:非常に優れている
4点:優れている
3点:普通
2点:劣る
1点:非常に劣る
[評価基準]
◎:合計点が40点以上
○:合計点が30〜39点
△:合計点が20〜29点
×:合計点が19点以下






























【0039】
【表2】

*1:ペミュレンTR−2(BF Goodrich社製)













【0040】
【表3】

*1:ペミュレンTR−2(BF Goodrich社製)
【0041】
上記「表2」及び「表3」から、ヒアルロン酸ナトリウムないしキサンタンガムの配合によりべたつきのなさやきしみのなさに優れた4−メトキシサリチル酸塩配合シート状化粧料が得られることが分かる。更に油分、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシアミンを配合することにより、みずみずしさ、肌へのなじみにも優れた4−メトキシサリチル酸塩配合シート状化粧料が得られることが分かる。
【0042】
以下にその他のシート状化粧料の処方を挙げる。何れの実施例も使用感に優れたシート状化粧料である。
【0043】
実施例16
(配合成分) (質量%)
エタノール 10.0
PPG−13デシルテトラデセス−24 0.3
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.1
香料 適量
グリセリン 2.0
PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル 3.0
ジプロピレングリコール 1.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
4−メトキシサリチル酸カリウム塩 2.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
ビタミンCエチル 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 1.0
キサンタンガム 0.3
マンナン 0.1
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
エデト酸塩 適量
イオン交換水 残余

上記処方の化粧料を不織布(ポリエチレンテレフタレートとコットンからなる混合繊維、目付け90g/m2)に含浸させてシート状化粧料(フェースマスク)を得る。化粧料の含浸量は不織布の質量に対して10倍量である。
【0044】
実施例17
(配合成分) (質量%)
ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.2
PEG−60水添ヒマシ油 0.2
トリエチルヘキサノイン 0.3
メチルパラベン 0.2
エチルパラベン 0.2
グリセリン 3.0
1,3−ブチレングリコール 9.0
4−メトキシサリチル酸カリウム塩 2.0
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.3
カラギーナン 0.05
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
エデト酸塩 適量
イオン交換水 残余

上記処方の化粧料を不織布(コットン100%、目付け40g/m2)に含浸させてシート状化粧料(フェースマスク)を得る。化粧料の含浸量は不織布の質量に対して6倍量である。
【0045】
実施例18
(配合成分) (質量%)
エタノール 5.0
ジプロピレングリコール 1.0
1,3−ブチレングリコール 0.6
ポリエチレングリコール1000 1.0
ポリエキシエチレンメチルグルコシド 1.0
イソステアリン酸 0.2
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 0.3
ポリオキシエチレン(30)フィトステロール 0.09
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.03
4−メトキシサリチル酸カリウム塩 2.0
アスコルビン酸グルコシド 1.0
サクシノグルカン 0.1
クインスシード 0.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
エデト酸塩 適量
イオン交換水 残余

上記処方の化粧料を不織布(ポリエチレンテレフタレートとコットンからなる混合繊維、目付け60g/m2)に含浸させてシート状化粧料(フェースマスク)を得る。化粧料の含浸量は不織布の質量に対して10倍量である。
【0046】
実施例19
(配合成分) (質量%)
シクロメチコン 3.0
ジメチコン 2.0
N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)
2.0
オクタン酸セチル 1.0
(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー
0.3
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
ポリアクリル酸ナトリウム 0.2
ポリビニルアルコール 0.1
グリセリン 10.0
プロピレングリコール 5.0
ローカストビンガム 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.8
4−メトキシサリチル酸カリウム塩 1.5
酢酸トコフェロール 0.5
ニコチン酸アミド 4.0
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール 0.1
メタリン酸ナトリウム 適量
イオン交換水 残余

上記処方の化粧料を不織布(コットン、ポリエチレンテレフタレート、パルプからなる混合繊維、目付け80g/m2)に含浸させてシート状化粧料(フェースマスク)を得る。化粧料の含浸量は不織布の質量に対して15倍量である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のシート状化粧料は使用感に優れ、主に不織布含浸フェースマスクとして好適に使用されるシート状化粧料である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)4−メトキシサリチル酸又はその塩、(B)水溶性多糖類を含有する化粧料を不織布に含浸させてなることを特徴とするシート状化粧料。
【請求項2】
前記(B)水溶性多糖類が、ヒアルロン酸又はその塩、アセチル化ヒアルロン酸又はその塩、キサンタンガムから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載のシート状化粧料。
【請求項3】
(C)油分を更に含有することを特徴とする請求項1又は2記載のシート状化粧料。
【請求項4】
(D)アルキル変性カルボキシビニルポリマーを更に含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のシート状化粧料。
【請求項5】
(E)前記(B)(D)以外の水溶性高分子を更に含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のシート状化粧料。
【請求項6】
(F)ヒドロキシアミン類を更に含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のシート状化粧料。

【公開番号】特開2011−126844(P2011−126844A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289267(P2009−289267)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】