説明

シート状化粧料

【課題】
使用感触、特に使用後(剥離後)のなめらか感に優れたシート状化粧料を提供する。
【解決手段】
(a)特定のビスビニルジメチコンと、(b)特定のシメチコンと、(c)特定の(ジメチコン/メチコン)コポリマー、(d)白金触媒とを混合し、加熱して成形したことを特徴とするシート状化粧料。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料及びシート状化粧料に関し、更に詳しくは使用感触、特に使用後(剥離後)の肌のなめらか感に優れたシート状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
パック化粧料(ピールオフタイプ、ふき取りタイプ、洗い流しタイプ、シート状タイプ等)は、皮膚などの油分や汚れを取り去り、また保湿効果を与える目的で使用されている。
パック化粧料の中で汎用されているシート状タイプのシート基材としては、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン等の合成繊維、パルプ、絹、綿、麻、レーヨン、コラーゲン等の天然繊維や再生繊維等からなる織布、不織布、またはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等の合成樹脂の薄肉シート、耐水紙、シルクフィブロインシート、コラーゲンシート、キトサンシート、アロエシート等がある(特許文献1、2)。中でも、ポリエステルシートが一般的に使われる。
しかしながら、このポリエステルシートを使用すると、肌への密着性及び使用後(剥離後)の肌のなめらかさが十分発揮されないなどの解決すべき課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−64146
【特許文献2】特開2000−1424
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用感触、特に使用後(剥離後)の肌のなめらか感に優れたシート状化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)ビスビニルジメチコン、シメチコン、白金触媒の混合物と、(B)ビスビニルジメチコン、(ジメチコン/メチコン)コポリマーの混合物とを混合し、それをシート状に成型・加熱して得られるシートが使用感触、特に使用後の肌のなめらか感に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明の化粧料は、(a)下記一般式(I)で示されるビスビニルジメチコンと、(b)下記一般式(II)で示されるシメチコンと、(c)下記一般式(III)で示される(ジメチコン/メチコン)コポリマーと、(d)白金触媒と、を配合したことを特長とする。
【化1】

(式中、lは50〜500である)
【化2】

【化3】

(式中、mは10〜350、nは1〜100である)
【0007】
さらに、本発明の化粧料は、前記(a)〜(d)成分が、(A)前記(a)成分を29.9〜70質量%、前記(b)成分を29.9〜70質量%、前記(d)成分を0.005〜0.1質量%含有する第一剤と、(B)前記(a)成分を35〜65質量%と、前記(c)成分を35〜65質量%含有する第二剤とを混合し、加熱固化して成形したシートであることを特徴とするシート状化粧料である。
【0008】
更に、本発明の化粧料は、(A)前記第一剤と(B)前記第二剤とを混合するときの質量比が1:9〜7:3であることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のシート状化粧料は、(A)前記第一剤と、(B)前記第二剤とを混合して成型したシートに更に液状やゲル状の化粧料が塗布されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート状化粧料は、使用感触、特に使用後(剥離後)の肌のなめらか感に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明について詳述する。
本発明の化粧料に用いられる(a)ビスビニルジメチコン、(b)シメチコン、(c)(ジメチコン/メチコン)コポリマー、(d)白金触媒は、一般に市販されており、また、本発明の一剤、二剤の例としては、SC6900A&B(KCC社)が市販されている。
なお、白金触媒としては、白金やジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体があり、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体溶液として市販されているものも使用できる。
【0012】
また、本発明の化粧料において、(A)(a)ビスビニルジメチコンを29.9〜70質量%と、(b)シメチコンを29.9〜70質量%、(d)白金を0.005〜0.1質量%含有する第一剤と、(B)(a)ビスビニルジメチコンを35〜65質量%と、(c)(ジメチコン/メチコン)コポリマーを35〜65質量%含有する第二剤とを混合する際の質量比は、(A):(B)=1:9〜7:3が好ましい。(A):(B)の質量比が当該範囲を外れると、膜を形成しにくくなる。
【0013】
本発明のシート状化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記必須成分のほかに、通常化粧料に基剤として配合される、水、油分、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、美白剤、抗炎症剤、各種抽出物や、化粧料を修飾する成分として、防腐剤、香料、キレート剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを塗布、及び含浸させることができる。
【実施例】
【0014】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限りすべて質量%である。
【0015】
実施例1:(A)(a)ビスビニルジメチコン、(b)シメチコン、(d)白金触媒からなる第一剤と、(B)(a)ビスビニルジメチコン、(c)(ジメチコン/メチコン)コポリマーを含有する第二剤とを5:5(質量比)で混合して平皿に流し込み、80℃で2時間加熱後室温に戻して成形したシート。
比較例1:ポリエステルシート
【0016】
(1)
使用姓(官能評価:シート剥離後のなめらか感)
シート剥離後の肌のなめらか感を専門パネラー10名により、実施例1及び比較例1の実使用試験を実施した。評価基準、及び結果は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が、なめらか感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、なめらか感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、なめらか感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、なめらか感があると認めた。
【0017】
【表1】

【0018】
(2)シート形成能
(A)第一剤と、(B)第二剤について、表2のように質量比を変えて混合したときの、シートの形成能をみた。評価基準、及び結果は以下の通りである。
【0019】
[評価基準]
(A)第一剤と、(B)第二剤とを室温で混合して平皿に流し込み、80℃2時間加熱し、室温に戻した後の状態を観察した。
◎…硬いシート状に固まる
○…柔らかいシート状に固まる
△…粘着性があり、手に付く場合もあるが、ポロポロ剥がれる
×…全く固まらず、液状
【0020】
【表2】

【0021】
以下、さらに実施例を示す。なお、配合量は特記しない限りすべて質量%である。
【0022】
実施例2 シート状パック化粧料
(1)精製水 残余
(2)1,3−ブチレングリコール 3.0%
(3)精製水 10.0%
(4)キサンタンガム 0.1%
(5)カオリン 3.0%
(6)黒酸化鉄 1.0%
(7)シリカ 0.5%
(8)エタノール 25.0%
(9)ポリビニルピロリドン(分子量4万) 25.0%
(10)マカデミアナッツ油 0.5%
(11)フェノキシエタノール 0.4%
(製法及び評価)
(1)〜(2)を加え均一に攪拌した後、(3)〜(7)をホモミキサーにて分散したものを加え、更に攪拌しながら(8)に(9)〜(11)を溶解させたものを加えて混合し、本発明のパック化粧料を得た。
このパック化粧料をビスビニルジメチコンと、シメチコン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー、及び白金触媒の混合物から加熱成型したシートフィルム上に深さ0.1mmのアプリケーターにより均一に塗布し、乾燥してシート状パック化粧料を得た。
得られたシート状パック化粧料は、使用感触に優れていた。
【0023】
実施例3 シート状パック化粧料
(1)精製水 残余
(2)ソルビトール(70%) 4.0%
(3)精製水 10.0%
(4)メタリン酸ナトリウム 0.01%
(5)二酸化チタン 3.0%
(6)エタノール 5.0%
(7)ポリビニルピロリドン(分子量4万) 5.0%
(8)ビタミンEアセテート 0.1%
(9)フェノキシエタノール 0.5%
(製法及び評価)
(1)〜(2)を加え均一に攪拌した後、(3)〜(5)をホモミキサーにて分散したものを加え、更に攪拌しながら(6)に(7)〜(9)を溶解させたものを加えて混合し、パック化粧料を得た。
このパック化粧料をビスビニルジメチコンと、シメチコン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー、及び白金の混合物から加熱成型したシートフィルム上に深さ0.1mmのアプリケーターにより均一に塗布し、乾燥してシート状パック化粧料を得た。
得られたシート状パック化粧料は、使用感触に優れていた。
【0024】
実施例4 シート状パック化粧料
(1)精製水 残余
(2)ジプロピレングリコール 10.0%
(3)キサンタンガム 0.2%
(4)メタリン酸ナトリウム 0.01%
(5)トラネキサム酸 1.0%
(6)エタノール 5.0%
(7)ビタミンEアセテート 0.1%
(8)イソオクタン酸セチル 2%
(9)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3%
(10)フェノキシエタノール 0.5%

(製法及び評価)
(1)〜(7)を加え均一に攪拌した後、ホモミキサーで更に攪拌しながら(8)〜(10)を混合したものを加え、パック化粧料を得た。
このパック化粧料をビスビニルジメチコンと、シメチコン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー、及び白金触媒の混合物から加熱成型したシートフィルム上に深さ0.1mmのアプリケーターにより均一に塗布し、乾燥してシート状パック化粧料を得た。
得られたシート状パック化粧料は、使用感触に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(I)で示されるビスビニルジメチコンと、(b)下記一般式(II)で示されるシメチコンと、(c)下記一般式(III)で示される(ジメチコン/メチコン)コポリマーと、(d)白金触媒と、を含有することを特徴とするシート状化粧料。
【化1】

(式中、lは50〜500である)
【化2】

【化3】

(式中、mは10〜350、nは1〜100である)
【請求項2】
(A)前記(a)成分を29.9〜70質量%、前記(b)成分を29.9〜70質量%、前記(d)成分を0.005〜0.1質量%含有する第一剤と、(B)前記(a)成分を35〜65質量%と、前記(c)成分を35〜65質量%含有する第二剤とを混合し、加熱して成形したシートであることを特徴とする請求項1記載のシート状化粧料。
【請求項3】
前記(A)第一剤と前記(B)第二剤との混合質量比が1:9〜7:3であることを特徴とする請求項2記載のシート状化粧料。

【公開番号】特開2012−214446(P2012−214446A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63085(P2012−63085)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】