Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
シート状抗菌剤と抗菌・抗カビ金属イオン水及び包装材と化粧品
説明

シート状抗菌剤と抗菌・抗カビ金属イオン水及び包装材と化粧品

【課題】無機系抗菌剤を配合したプラスティックからなる袋や容器、包装紙といったプラスティック製品は従来から提供できたが。抗菌剤はプラスティックの表面近くに存在するものしか実効性がなく、より安全で迅速で合理的に且つ多量に抗菌・抗カビ金属イオンを溶出できるシート状抗菌剤やそれを使用した包装材が求められていた。又、固体金属からは水や希有機酸には溶融が難しかった安全で有効な抗菌・抗カビ性イオンを高い濃度で持つ金属イオン水も実現する。
【解決方法】プラスティックフィルムを基材として片側に銀、銅又は亜鉛或いはそれらの合金を薄い皮膜として設け、その当該金属皮膜が保護されることなく食品、花卉類と直接接触し、抗菌性、抗カビ性を有するシート状抗菌剤やそれを応用した包装材が得られる。又当該シート状抗菌剤を水や希クエン酸に代表される希有機酸液に浸漬すると固体金属からは得られなかった抗菌・抗カビ性を持つ、又安全で濃度の高い金属イオン水が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスティックフィルムを基材として少なくとも基材片側の表面上に抗菌性、抗カビ性のある金属皮膜を有し、該フィルムを用途に応じたサイズに裁断したシート状抗菌剤として、あるいは該シート状抗菌フィルムを水乃至は希有機酸に浸漬し、時には振動を与えてイオン溶出を促進した該金属イオン水を得る技術に関する。又、該シート状抗菌剤を包装材として食品や花卉類の鮮度維持や寿命延命に使用し、或いは抗菌性、抗カビ性を持つ該金属イオン水を化粧用品や製氷原料水の防腐剤やパーマネント施術後の消臭剤として使用したり、時には疾患治療材料とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリエステルフィルム2枚が蒸着銀皮膜をサンドイッチ構造に持つ積層フィルムを断裁してプラスティック樹脂に重量比1乃至は2%混入させ成形した容器や袋などは周知であり、抗菌性のある金属イオンがプラスティック樹脂の分子間を通り、抗菌性を発揮する樹脂組成物である、まな板、袋、保存容器は市販されている。(特許文献1)
【0003】
又、主として銀錯体イオンをゼオライトに担持させた無機系抗菌剤をプラスティック樹脂に重量比で2%前後混入し、食品が持つ水分が溶媒となって当該プラスティック樹脂の分子間を抜け出てくる金属イオンで抗菌性を活かした袋や容器も市場に存在する。
【0004】
商品名ナノシルバーやゼオミックといった銀系抗菌剤はそれ自体がプラスティックフィルムやそれからなる袋や容器を構成する主素材ではなく、抗菌剤として2%前後混入されプラスティック樹脂が主素材の袋や容器となって上市されている。(非特許文献1)
【0005】
無機系と合せて、有機系の抗菌剤を混入し抗菌剤の溶出により抗菌効果を持たせたプラスティックフィルムからなる袋や容器も古くから開発されているが、プラスティック容器に付いて近年は無機系の抗菌剤を含有するものに代替されてきている。(非特許文献1)
【0006】
又、薄く柔らかい無延伸のプラスティックフィルムを容器の蓋部分として接着させ、そのフィルムの柔軟性と当該フィルムと容器の間に出来る空気層をクッションにして物流時の刺激が食品を傷つけないよう工夫した食品包装容器も使用されている。
【0007】
銅乃至は銅の合金を真空蒸着或いはイオン蒸着して、床張りやドアノブ用などとして粘着剤を非蒸着面である裏面に塗布して装着し、その金属面の抗菌性を活かすとする先行文献もみられる。この文献によると金属蒸着面に樹脂コートや別のフィルムによる保護が記載されていない。(特許文献2)
【0008】
特許文献2によると金属蒸着面の抗菌効果は一見有効ではあるが、当該文献には記載されていない基材フィルムと蒸着面との界面の脆弱さが原因で、即ち極薄い金属蒸着面は界面が接触や刺激に対し弱く剥がれやすいことが原因で、用途として一定程度必ず求められる耐久性に乏しいものであるし、銅乃至はその合金は自然に硫化し変色する。場合によっては緑青へと変色することもあり得るが、記載内容によればそれらの化学変化は予測されていないし、防御策も記載にない。
【0009】
又、蒸着された銅或いは銅の合金は蒸着膜を形成する当該金属蒸気或いは当該金属イオンが冷却され、又はイオン交換され金属銅或いは合金に戻っても分子間結合が非常に弱く、手の汗などで溶け出してくるので、固体銅や固体合金とは違い、簡単にイオン溶出するという、特質が違うという記載もないし、当該文献に記載されたドアノブなどの製品には実用性がない。
【0010】
既存の無機系抗菌剤或いは有機系抗菌剤をプラスティックフィルムにコーティングするなどの手法でシート状の抗菌剤を得ることも可能ではあるが、フィルムに接合させるために必要なバインダーに抗菌剤が埋没して多くの抗菌イオンの溶出は難しいし、フィルムの表面近くのものは滑落して、機能を十分に発揮できないという問題がある。又、フィルムシートに抗菌剤を接合させるという工程が必要でありコストを掛けて本来の機能が減殺されるという問題点がある。
【0011】
特許文献1に記載のポリエステルフィルムに銀皮膜がサンドイッチ構造となっているものからは、銀イオン溶出は切断面に露出したものだけしか実質的に働かないので、コストと機能のバランスが良くない。ポリエステルフィルム2枚で銀層をサンドイッチ構造にもつ積層フィルムを縦横に断裁して得たパウダーを、精製水100に対し1部投入して振とうしても、pH条件や温度条件により些かの濃度が上下することはあっても100ppb前後の濃度で飽和してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4175486号
【特許文献2】特開2010−247650
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】タイトル 鮮度保持技術の最新動向(22から24頁) 出版者 東レリサーチセンター調査研究部 全国書誌番号 21692749
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
生鮮食品や花卉類の鮮度維持や寿命延命には、水分の補充、酸化の防止、細菌やカビなどの微生物の増殖抑制、エチレンガス吸着、低温保存が重要な方法となる。中でも微生物の増殖抑制のためである冷凍も含む低温保存が強く求められるが、冷凍できない或いは冷凍が適さない食品や花卉類には微生物の増殖抑制自体も大変有効な鮮度維持や寿命延命の手段である。
【0015】
そこで、抗菌剤が混入されたプラスティック樹脂からなる包装紙や袋、包装容器が様々開発されている。抗菌剤が混入されたフラスティック樹脂を主素材とするフィルムや樹脂成形物を食品包装容器や包装紙用シートやフィルムとする場合には、抗菌性金属イオンがナノオーダーのサイズであって、当該イオンがプラスティック樹脂の分子間をすり抜けてフィルム乃至は樹脂組成物の表面で抗菌性を発揮するには時間が掛かる。食品や花卉類の鮮度を維持するだけのイオン濃度に達するために、実際に働くのは包装容器、袋、包装紙の原料フィルムや包装容器、袋、包装紙を形成する樹脂層の表面近くに存在する抗菌剤である。
【0016】
フィルムやプラスティック容器を形成しているプラスティック樹脂と食品との非接触面やそれらを形成する樹脂の内部に存在する抗菌剤は殆ど働かない。例えば抗菌性のある銀イオンが食品鮮度維持に役立つには最低でも10ppb乃至はそれ以上のイオン濃度が必要だが、食品容器の樹脂内部と非接触面付近に位置する抗菌剤は働かないので、実際に効果を発揮するためには無駄と分かりながらもより多くの余分な抗菌剤を配合しなければならない。又、金属イオンは空気を通じては移動しないので食品容器、袋乃至は包装紙の抗菌性のある面と食品や花卉類が直接触れることが、該金属イオンによる抗菌性、抗カビ性を活かすには必須である。
【0017】
抗菌剤を混入したプラスティックフィルムやプラスティック樹脂組成物は当然幾ばくかの厚みを持つ訳で、実は食品や花卉類と接触する面の表面近くに抗菌剤を集中させることが出来れば抗菌性実現には理想的ではあるが、プラスティックフィルムも樹脂組成物も抗菌剤を一箇所に集中させることは一つの工程内で出来ないし、抗菌剤を混入した極薄いフィルム若しくは薄い樹脂組成物とそうでない別のフィルム若しくは樹脂組成物の層を重ねて十分な厚みを持たせることは工程も増え、返って非合理的となる可能性がある。
【0018】
又、本発明に記載の食品包装容器を形成するプラスティックフィルムは少なくとも100ミクロン以上の厚みを持たないと、食品自体の重量や物流による刺激や流通用として形状を保てないので、食品との非接触面や容器を形成するプラスティック樹脂の内部に存在する抗菌剤はより働きが悪くなるというよりほぼ働かない。
【0019】
又、フィルムや樹脂成形品の表面近くに存在する抗菌剤しか働かないので、ポリエチレンやポリプロピレンのように他の物質と接着乃至は融合しないプラスティック樹脂からなる包装容器や包装紙の場合、表面近くに存在する抗菌剤は滑落しやすく、実効を挙げられないというケースが考えられる。
【0020】
そして、食品包装容器や花卉類や食品の包装紙に利用されるプラスティック樹脂の中でポリエチレン、ポリプロピレンといったポリオレフィン系の樹脂は産業界ではそれらの原料素材の主流であり、ミクロンサイズの抗菌剤はこれらの樹脂にとっては非常に滑落しやすい異物でしかない。
【0021】
プラスティック容器の蓋部分に、無延伸のプラスティック樹脂フィルム、例えばポリエチレンやポリプロピレンの薄いフィルムを熱融着し、容器内にできた空気層と無延伸フィルムの弾力性を生かした食品包装容器は、物流時の刺激から食品を傷つけないように守って酸化防止に役立っても、積極的な抗菌性や抗カビ性による鮮度維持が出来ない。
【0022】
果物を始めとする生鮮食品の鮮度維持、寿命延命の出来る方法の一つに酸化を防止することがあげられるが、食品との接触面の柔軟性や空気層による物流時の刺激を緩和させることよって食品の傷を防ぎ、酸化を少しでも和らげるというだけでは不十分であり、低温保存と食品の劣敗を防ぐため、或いは茎を通して水分を吸収し呼吸をしている花卉類の寿命延命には抗菌金属イオン水を与えて気管内の微生物の増殖抑制を図ることは非常に有効な手段である。
【0023】
又、銀イオン水、銅イオン水、亜鉛イオン水やそれらの合金のイオン水も、これら列記した金属の硝酸塩、硫酸塩、塩化物を溶融して得る手段が殆どであり、水道水や地下水、希クエン酸に代表される希有機酸水に当該金属が溶解している高い濃度のイオン水を得られなかった。
又、当該金属塩を溶解したイオン水は劇物毒物に指定され、取り扱うには行政の許認可を要するが、水道水、地下水、蒸留水、精製水や希クエン酸を溶媒とする金属イオン水は過度な飲用以外は安全である。
【0024】
化粧品は通常3年以上の成分変化がないことが求められていて、主要成分の化学的変化を起こさず成分変化を防ぐためには有機系の防腐剤が使用されているが、近年はより無害で消費者の安全志向に応えるため無機系防腐剤への変更が求められている。例えば純銀箔を水に長期難浸漬しても25ppb程度の銀イオン水溶液しか得られないし、この濃度では化粧品の防腐剤としては足りないしコストも高い。
【0025】
氷を作るために使用されている原料水は殆どが水道水であり少なくとも1ppmの塩素イオンを含むことを法律で求められている。このため商業用の氷を得るために塩素を除く工程が必要とされるが、脱塩されるとその瞬間から部生物が繁殖を始めるので、氷結前の原料水には対微生物の衛生管理が求めれる。銀イオンは安全であり且つ味の変化をもたらさないばかりか、純粋な水は分子として氷結するので、銀イオンは氷に混在しない。
【0026】
特許文献1に記載の銀糸を氷の原料水に投入しても、10トンから50トンという実用のタンクのスケールでは銀イオン溶出のスピードとタンク内への銀イオンの分散が不十分であり実用には向かない。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に記載する金属皮膜を持つフィルムは、プラスティックフィルムを基材にして銀、銅又は亜鉛乃至はそれらの合金が基材の少なくとも片側に皮膜形成されていることを特徴とし、当該金属皮膜が直接食品と少なくとも所々、面として接触できて、食品と接触する当該金属皮膜は、抗菌性或いは抗カビ性のある金属イオンの塊のようなものであり、且つタンクとなっていることを特徴とする。
【0028】
又、本発明に記載する金属蒸着フィルムの内、金属蒸着膜を形成する金属が銀の場合は、食品や花卉類の表面に存在する水分、或いは花瓶といった容器内の水道水などにより溶解してしまい素早い金属イオン溶出が出来ることを特徴とする。銀が水酸化しても不安定ながらも50℃以上の熱が掛からなければ酸化銀となってイオン溶出が減殺されることはないが、出来るだけ空気や水分を遮断乃至は抑えた保存を行なえば、水酸化銀に変化したり硫化する速度を遅らせることが出来るので、包装材、鮮度保持材や銀イオン水の原料フィルムとして使用が可能になる。
【0029】
本発明に記載の金属蒸着フィルムは、蒸着される金属が銀、銅、亜鉛或いはそれらの合金である場合、蒸着フィルム業界では周知であり、且つ化学変化による変色や傷防止のため当然であり必然であるとされる、金属皮膜上に当該金属皮膜を保護する樹脂コーティング層や別の保護透明フィルムを持たないことを特徴とする。
【0030】
本発明に記載の包装材の構成原料である基材プラスティックフィルムの厚みは、当該包装容器の形状を保持するため100ミクロン以上の厚みを持つことを特徴とする。ただ包装材や抗菌・抗カビ金属イオン水を得るため水に浸漬するフィルムやシートとして使用する場合は25から50ミクロン程度の厚みでも差し支えない。更に抗菌・抗カビ金属イオン水を得るため水に浸漬するシートとして使用する場合は当該フィルムの厚みは12ミクロン前後にする方がより経済的である。
【0031】
又、本発明に記載の食品包装材は、収納包装する食品のサイズに適合し、その食品が抜け落ちないような穴を設け、且つその穴がくり貫かれていないことを特徴とする。
【0032】
詰まり、プラスティックフィルムの片側に銀、銅乃至は亜鉛或いはそれらの合金を皮膜として持つ積層フィルムに食品サイズに適した一定の半径を持つ円の円周を6〜24等分にした各ポイントから円の中心に向って切り込みを入れるが、くりぬいた穴になっていないことを特徴とする。
【0033】
或いは、本発明に記載の食品包装材としての容器には、食品に適したサイズであるが、穴を設けずに、真空成形やプレス成形など公知の成形方法で食品サイズに適したくぼみを持たせることを特徴とする。
【0034】
包装用シートとする場合は、透明プラスティックフィルムの少なくとも片側に抗菌・抗カビ性金属層が設けられるが、金属層も透けているので表裏分かり難く、金属蒸着面の裏側には印刷をおくか、着色を行い該金属面とそうでない面の区別を付けることが、該金属面が包装する食品や花卉類と直接触れることを特徴とする本発明の実施には、誤作業を防止するため肝要である。又、食品包装容器の場合でも金属皮膜を持つフィルムの断裁や成形の工程を経るので、表裏の区別が誤作業を防ぐ意味で重要であり、且つそれを特徴とする。
【0035】
又、包装用シートとして使用する場合には、それを原料とする平面状である包装紙を出来るだけ食品の立体形状に沿うように包み込み、その状態を保持することが望ましい。例えばりんごを包装する場合傷防止の為発泡ポリスチレンのネットが装着されるが、当該包装シートの金属面をりんごに接触させるようにりんごとネットの間に挟みこむことにより、当該ネットが平面状の包装紙用シートをりんごに沿って立体的になり、接触状態をより多くの面積で保持することが出来るので効果的である。
【0036】
又、本発明による包装容器や包装シートは、基材フィルムと金属面の界面の弱さによる剥離があっても、或いは極薄い金属層に多少の傷が入っても、当該金属面が概ね被包装物の表面と立体的に且つ面として接触することが出来れば十分に期待する機能を発揮できることを特徴とするので、基材フィルムにアンカーコートを施したりコロナ処理をするという界面を強固にする工程の必要がないことを特徴とする。
【0037】
或いは、皮膜を構成する金属が銀の場合には銀が硫化銀となって機能を失わない時間の限り、銅又は亜鉛或いはそれらの合金は塩基と反応して変色しようが、抗菌性金属イオンを溶出できるので本発明による食品包装容器や包装紙や抗菌金属イオン水製造用の原料シートとして利用できることを特徴とする。
【0038】
本発明による食品包装容器や包装用シート或いは抗菌金属イオン水を製造できる原料フィルム、原料シートは、それを形成する蒸着金属に銀を使用する場合、純銀からなるフィルム状、シート状の抗菌剤であり、蒸着された銀は水道水、地下水、蒸留水、精製水、イオン交換水にもイオンを溶出できることを特徴とする。蒸着金属が銀乃至はその合金である場合には保存するときに窒素ガスを封入したり、空気を抜き密封することで空気中に僅かに含まれる亜硫酸ガスとの反応を抑えられるし、硫化や水酸化を防ぐ或いは遅らせることが出来る。
【0039】
銀は空気中の水分や被包装物の水分と反応して水酸化銀を形成するが、水酸化銀自体は非常に不安定な状態で存在しながらも銀イオンは溶出できる。50度前後の温度環境になれば酸化銀と変質して銀イオン溶出がかなり減殺される。要は硫化促進を防ぐことを優先しなければならない環境での使用なら金属の選択から銀を除けば良い。
【0040】
因みに本発明による金属蒸着フィルムの保存は防湿剤を用いて乾燥状態にする、乃至は空気を抜いて或いは窒素ガスを注入して常温常圧下での化学変化を防ぐ乃至は遅らせることが重要である。
【0041】
抗菌・抗カビ性金属を皮膜として有するフィルムを裁断して、水に浸漬し抗菌・抗カビ性金属イオンを溶出させ該金属イオン水を得る場合も、真空蒸着法を使えば該金属皮膜層を形成する金属分子の結合は非常に弱いので、中性域にある水道水にも常温でスピーディに簡単に溶け、薄い金属皮膜しか形成しなくても十分なイオン濃度を持つ抗菌水を得られることを特徴とする。超音波振動を与えながらイオン溶出を図ればより溶出促進が出来るし該金属イオン濃度も高いものが得られる。
【0042】
本発明による抗菌抗カビ性金属を蒸着皮膜として有するプラスティックフィルムは、必要とされるサイズに裁断されることができ、シート状、フィルム状になった抗菌剤であることを特徴とする。
【0043】
本発明による抗菌・抗カビ機能を有する金属層を形成した後に、断裁された状態或いはそのままフィルムの状態で、流動する乃至は振動させた水道水のような所謂水に接触した金属層は簡単に水に溶ける。その後に熱によって水分を減らし、濃縮すると細菌やカビの菌種により増殖抑制に必要な濃度が上下する変化にも対応が出来、必要とされる濃度の金属イオン水を得る事ができる。
包装容器や包装紙として金属皮膜を有するフィルムを利用する以外にも、当該金属イオン水を食品や花卉類に噴霧することで抗菌・抗カビ機能を発揮できることを又特徴とする。
【発明の効果】
【0044】
本発明によるシート状抗菌剤による食品包装容器や包装紙は、抗菌性・抗カビ性を持つ金属の皮膜と、例えば果物との接触面が多くとれ、果物の持つ水分に向かって当該金属イオンが溶出し、果物の表面に付着している細菌やカビの増殖を抗菌機能や抗カビ機能によって抑制し、鮮度維持に役立つ。細菌やカビなどの微生物汚染による食品の鮮度劣化は食品表面乃至はその近くから起こる。
【0045】
詰まり、果物、野菜、肉や魚といった生鮮食品に自然に付着している腐敗を促進する微生物は当初当該食品の表面にしか存在しない。もしそれらの内部に微生物が存在している場合は、それらの食品は元から病気になっているか何らかの理由で劣敗している食品であり、だからこそ食品表面の微生物増殖抑制が食品の鮮度維持乃至は寿命延命に非常に役立つ。
【0046】
又、花卉類は気管を通して水分を吸収し呼吸を続けるので、その気管に微生物が繁殖し水分補給を阻害し鮮度劣化を起こすので、抗菌イオンは花卉類の延命に非常に役立つし、野菜類にしても同様の効果を発現できる。
【0047】
蒸着膜を形成する抗菌性金属を銅乃至はその合金とした場合は、銀よりも最低発育阻止濃度が低いので細菌の増殖抑制だけではなく腐敗劣敗に関係するカビの増殖抑制にも役立ち、鮮度維持に積極的に役立てる。勿論銀イオンも濃度如何により抗カビ機能は発現出来る。
【0048】
また、くりぬいた穴にしないで扇型に残された金属蒸着フィルムは食品の衝撃クッションになり得て、物流段階の刺激を和らげる効果も発揮できる。ことに銀やその合金銅乃至はその合金は硬度の低い金属であり、物流時の食品への衝撃、刺激緩和に役立つ。
【0049】
更に、本発明による食品包装容器、包装紙或いは他の包装材としての金属皮膜をもつシートは該金属面が露出していて、被包装物と接触するため、熱伝導性に富む金属が食品のより早い冷却にも貢献でしるし、包装紙用シートは生鮮食品だけでなく花卉類の鮮度維持や寿命の延命にも裁断されたフィルムであるシートを花器に入れるだけで効果を発揮できる。
【0050】
本発明による抗菌金属イオン水、特に銀イオン水は化粧品の防腐剤として使用に耐えるだけの濃度のものを低いコストで提供できる。又水の浄化剤としての役割も大きく期待できる。時には安全な殺菌力を活かして不織布などにがん浸させた顔のパック材としてアクネ菌が原因とされるニキビ治療にも役立つ。
【0051】
美容院でのパーマネント施術に際に使用されるパーマネント液には頭髪を構成するケラチンのシスチン連鎖構造を分断するためにチオグリコール酸塩溶液が使用されるが、施術後の硫黄臭を銀イオンが硫黄成分と反応して硫化銀化できるので消臭に役立つし、チスチンの硫黄結合を切断することがパーマネント施術であれば、一定濃度の銀イオン水に含まれる銀イオンがシスチンの硫黄結合を分断できる。
【0052】
尚、本特許に記載の方法を使えば、抗菌や抗カビといった機能性を有しない鉄、ニッケル、クロム、金。プラチナといったメッキに利用される金属でも水道水や地下水にも該金属イオンが溶け出した安全なイオン水を得られ、メッキ工場が使用する際の環境保全に大いに役立つ。
【発明を実施するための形態】
【0053】
厚み100〜300ミクロンのプラスティックフィルムを基材として、基材の片側に膜厚10〜50ナノメーターの金属皮膜を持つフィルムを真空蒸着法で得る。尚、基材の厚みは収納包装する食材の種類、数、サイズや柔らかさにより、又皮膜を形成する金属皮膜の厚みも食材の種類、数、サイズや柔らかさ、予定する食品の保存期間、当該金属自体の硬度などを勘案して適宜変更可能である。
【0054】
プラスティックフィルムに金属膜を形成する方法としては真空蒸着法、スパッタリングなどのイオン蒸着法と行った周知の技術が用いられるが、真空蒸着法が金属皮膜を構成する金属分子の結合が弱く好ましい。
【0055】
又、12から25ミクロン程度の厚みのプラスティック基材フィルムに本発明による金属蒸着皮膜を設け、蒸着膜を持つ面の逆側に同様のプラスティックフィルムをラミネートする手法も真空蒸着コスト軽減に繋がるなど、場合によっては有用である。
【0056】
プラスティックフィルムは二軸延伸されたポリエチレン、ポリプロピレンなどポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、若しくは塩ビ系フィルムやシートなど公知のものでもよいが、包装容器向けにはポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエステル系が好ましい。包装紙や金属イオン水の原料となる場合にはポリエステル系が好ましい。又、金属蒸着層とプラスティックフィルムの界面を強固にするためコロナ処理や周知の樹脂コーティングを前以て基材プラスティックフィルムに施してもよいが、本発明による抗菌抗カビ性金属イオン水を得るためのシートやフィルムは蒸着界面が弱い方が都合が良いので上記の処理やコーティングは不要である。
【0057】
金属蒸着プラスティックフィルム製造の業界では、ポリオレフィン系、ポリアミド系のフィルムも蒸着の基材となり得るとするが、これらの樹脂は軟化点、溶融点が低く真空蒸着法では蒸着する金属によっては蒸着釜の温度が高くなる場合もあって使用が難しいし、ポリオレフィン系フィルムはフィルムが薄いと当該樹脂が短鎖の分子構造から生ずる皴が入るため使用が難しい。又、金属蒸着の基材はプラスティックフィルム以外に塩ビシートや通気性を抑えた紙でも良い。
【0058】
ポリアミドフィルムに蒸着される金属は蒸着釜の温度を上げずにすむ、融点が低い錫乃至はアルミニウムが殆どである。
【0059】
又、スパッタリング法などイオン蒸着法は真空蒸着に比べ生産性が低くコストが高い。
【0060】
本発明による包装容器を構成する基材フィルムは100ミクロンを超える厚みを持つことが特徴であり、より好ましくは200ミクロンを超し、金属膜の厚みも金属層が透けるほど薄いので、蒸着工程の時間は短く、錫やアルミニウム比べ融点の高い銀、亜鉛や銅あるいはそれらの合金の蒸着釜の高温の影響を受けにくい。
【0061】
蒸着皮膜を形成する金属は銀、銅或いは亜鉛又はそれらの合金が相応しい。但し銀或いはその合金は本発明の特徴である金属皮膜が保護されないで露出していると、常温常圧下でも亜硫酸ガスと反応して硫化銀になり抗菌性を失う可能性があり、包装容器や包装紙として使用されないで放置される或いは被包装物の長時間保存して使用される場合は適さない場合もあるが、その場合は窒素ガスを注入する或いは密封状態で保存し、且つシリカゲルなど除湿剤を用いて乾燥状態にすることが肝要である。
【0062】
本発明による金属蒸着フィルムの蒸着膜の厚みは10nmから50nmと薄く透明のプラスティックフィルムに金属皮膜を設けても透けて見える程度で目的が達成できる。この点は金属蒸着フィルム業界では光輝性や審美性の観点からありえない仕様となる。蒸着膜厚が50nmを超えると、各々金属分子として蒸着層を形成する金属の分子間結合が強くなって水道水、地下水、蒸留水、精製水、イオン交換水には金属皮膜が溶けにくくなる。
【0063】
本発明に記載の金属皮膜面は樹脂コーティングで保護したり、別のフィルムをラミネートして保護されないことを特徴とする。金属蒸着フィルム業界では金属皮膜を保護することを当該金属の光輝性、加飾性を維持するため乃至は金属層の傷防止のため最重要視する。その業界常識からは外れるが、抗菌、抗カビに有効な金属イオン溶出をより多量にスムーズにするためにこの措置が特徴である。又、包装紙や包装容器に使用される当該フィルム、シートから溶出した抗菌性金属イオンは際限なく溶出する訳ではなく、温度、pH条件にもよるが、ある程度の溶出で飽和状態に達しイオン溶出は止まる。本発明の予定する発明実施環境では人体に即影響するような濃度に達することはほぼない。
【0064】
出来るだけ薄い膜厚で金属皮膜を形成することで金属蒸着フィルムを製造することが当該業界の経済的合理性に適う。しかし透明プラスティックフィルムに金属皮膜を1層設けても、透けてしまって反射による金属色を示さないのは加飾性を重視する、乃至は蒸着金属の化学変化を阻止し、傷を防止する周知技術からは当該業界の常識外である。
【0065】
金属皮膜が10〜50ナノメーター程度だと透明プラスティックフィルム基材に蒸着された金属は透けて見えてしまう。この透明感を無くすためには基材フィルムに蒸着した金属層を樹脂コーティング乃至は別のフィルムを装着して屈折率の違いを利用して金属色の輝きを発現させるか、或いは2枚の基材に金属蒸着し光を遮断する効果を持つ接着剤により接着させなければ金属色は発現しない。この場合のコーティング剤には2液架橋型の樹脂、或いは溶剤型の樹脂が選択され所謂ドライラミネートが主流である。
【0066】
本発明による銅又は亜鉛或いはそれらの合金を蒸着した透明プラスティックフィルムには金属色発現や蒸着面保護のためのコーティングや同じ金属蒸着膜を持つ、持たないを問わず、もう1枚のフィルムのラミネートは全く必要がないことを特徴とする。
【0067】
銀、銅、錫、アルミといった真空蒸着やイオン蒸着できる金属は薄い膜厚で金属層を形成すると、空気中に暴露された当該金属層が空気に含まれる水分や亜硫酸ガスと反応しやすく短時間で変色をきたすし傷も入りやすいので、合成樹脂による透明保護コーティング層を設けたり、基材とは別の透明保護フィルムをラミネートすることが金属皮膜を表裏からみた両面の光輝性確保のために必須とされている。
【0068】
ただ、基材プラスティックフィルムにアルミニウム又は錫を蒸着する場合、当該金属皮膜を保護しないケースはある。それはアルミニウムも錫も空気中の酸素に触れると短時間で酸化物になり、十分な膜厚で蒸着された該金属はその酸化膜に覆われ、酸化せず残った当該金属自体は酸化膜と基材フィルムに保護されるからである。
【0069】
この場合蒸着フィルムの重要な目的である金属色を示し、光輝性や加飾性を発揮するのはフィルムに保護された側の片面となる。酸化錫や酸化アルミの膜表面は白濁し、その白濁膜形成後は常温常圧下で光化学的にも、又化学的にも、一切変化しなくなる。この金属蒸着フィルムは主に片側に金属光沢を求められるステッカー基材などに使用される。
【0070】
本発明の食品包装容器乃至は包装紙はその抗菌性、抗カビ性を活かし、花卉類や食品鮮度の維持、寿命の延命に役立つことを目的の一つとしている。詰まり、花卉類や食品自体が存在しうる温度、湿度、空気圧が常態の状況、即ち花卉類や食品がそれら自体であり続けられる状況を前提環境としている。
【0071】
こういった環境において、銅と銀はメンデレエフ周期表で言う第11族の遷移金属であり、空気による酸化やハロゲン化を殆どしない。但し、両金属とも空気中に僅かに含まれる亜硫酸ガスとは常温常圧下でも反応してしまう。対紫外線強度も強くないので、光を出来るだけ遮断した保管が重要となるし、当該金属イオン水にしても同様である。
【0072】
銀は硫化銀となるとその抗菌イオン溶出性や導電性・熱伝導性を無くすが、硫化銅は抗菌、抗カビイオン溶出性も導電性・熱伝導性も無くさない。また蒸着膜の厚みが薄いと硫化が進みやすいが、硫化銀と硫化銅の大きな違いは、抗菌性を失うか維持するかにあり、硫化銅は抗菌性、抗カビ性を失わないし、包装容器や包装紙と使用する場合はその蒸着金属の量からいって硫化銅に変化しても極僅かでありほぼ無毒である。
【0073】
更に硫化銅が空気中の水分とゆっくり反応し、硫酸銅に変化しても抗菌、抗カビ性を維持できる。
【0074】
亜鉛乃至はその合金はその毒性の低さと抗菌性から本発明に記載のプラスティックフィルム片側表面に蒸着被膜とするに足る金属ではあるが、熱伝導性などからも銅やその合金ほどの最適性はない。
【0075】
本発明に記載の抗菌性金属を蒸着したフィルム上に、銀やスターリングシルバーのようなその合金を蒸着皮膜とする場合、銀が空気中の亜硫酸ガスと反応して硫化銀となるまでならその抗菌性は活かせるが、本発明に記載の金属蒸着フィルムを包装容器、包装紙用シート、或いは抗菌水製造用シートの原料として、或いは製品としてそのまま保存する場合には、ポバールといったPVA樹脂に代表される水溶性の樹脂をグラビアコーターや周知のコーティング装置で、1〜2ミクロンという厚みでコーティングを施すことがあってもよい。ただ、銀蒸着膜と空気或いは紫外線との接触を防ぎ乾燥状態を維持した密封包装、窒素ガス注入などで防御できればその必要はない。
【0076】
銀或いはその合金を蒸着金属として選択する場合、銀に合金される金属の安全適性は別途確認されなければならないが、銀は食品衛生法でも認められた食品添加物でもあるし、飲料水に含まれる銀イオン濃度にも規制がない金属なので安全性に問題はない。
【0077】
銅に付いては銅の調理鍋や調理用銅板の毒性を問う人はいないし食品衛生法上も認められた物質であることから毒性を指摘されることもなく最適選択の一つである。因みに硫化銅は乳児用粉ミルクにも微量配合されている。又、銅と亜鉛との合金(銅60から65部;亜鉛40から35部)である市販の真鍮も選択されうる。
【0078】
亜鉛も人の健康にとって必須の金属とされていて、大量に服用されると中毒を起こすこともあるが、本発明に記載の蒸着される金属の厚みや量から、そのような問題を引き起こすことはあり得ないので、選択肢としてはありうる。
【0079】
もしプラスティックフィルム基材と蒸着金属が重なり合った時、互いに密着し剥離がスムーズでないブロッキング現象が起こる場合、且つ蒸着される金属が銅、亜鉛或いはそれらの合金である場合、金属蒸着面にブロッキング防止剤を極荒いメッシュによりドット状に1〜2ミクロン厚でコーティングすればよい。これも金属蒸着面の大部分を露出しておくという意味で従来技術とは大きく違う。
【0080】
なお、本発明に記載のフィルム、シートとしては抗菌性・抗カビ性金属皮膜を持つフィルム、シートを食品など被包装物に合うサイズに裁断し、金属皮膜面で食品などを覆えば抗菌性、抗カビ性を活かした包装紙が得られる。又、当該包装紙は比重が約1.4と重く水に沈むので抗菌性金属イオンを得られる抗菌水製造用シートとして、必要なサイズに裁断して使える。
因みに、ポリエステルフィルムに銅を50nmの厚みで蒸着し、それを10cmx10cmに裁断した時、蒸着された銅の量は次のように計算できる。
50nmは0.000005cmであり、銅の比重は8.94である。
0.000005x10x10x8.94=0.00447g=4.47mg
【0081】
また、食品包装意容器としては本発明に記載の方法で得た金属皮膜を片側に持ち且つその金属皮膜に保護層のないプラスティックフィルムを金属皮膜側から、前述のようにくりぬいた穴にしないよう裁断し、扇型に食品収納部分を設ければよい。
【0082】
或いは、真空成形法やプレス成形法のような周知の成形法で、食品のサイズや形状に適したくぼみを作ることで、金属皮膜面と食品とが直接に少なくとも所々面としで触れることができる食品包装容器が出来る。そもそも抗菌性のある金属イオンは直接食品と触れなければその効果としての抗菌性や抗カビ性を示せない。
【0083】
又、本発明による食品包装容器やシートを食品の収穫時期からずれ、未使用で保存期間が長くなる場合は、紫外線との反応を防ぐため遮光性のある袋や箱に収納し、冷暗所に保管することが望ましいし、窒素ガス封入やガス抜きをして密封状態で且つ乾燥状態で保管することが好ましい。
【0084】
本発明に記載の抗菌性金属を蒸着したプラスティックフィルムを、断裁機にかけ巾120〜200ミクロン、長さ25mmから60mmの短冊状に得た破片を重量比0.5%〜3%で構成原料の一部とする不織布或いは紙を包装紙とすることで、生鮮食品や花卉類の鮮度維持、寿命延命が可能になる。
【0085】
或いは、本発明に記載の抗菌性金属皮膜を有するプラスティックフィルムをスリットしてナイロンやポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成繊維に蒸着面を表にしてテープ状に巻きつける、所謂蛇腹状撚糸をそのまま、或いは20mmから65mm程度に切断して不織布や紙に重量比0.5から3.0%混入すれば、包装紙や包装用下敷き抗菌シートとして生鮮食品の鮮度保持、延命に役立つ。
【0086】
その場合の不織布或いは紙には、少なくとも主原料の一部に吸水性のよいセルロース系繊維が含まれることがより好ましい。
【0087】
200から1000ppbの濃度を持つ銀イオン水に吸水性、保水性を持つ繊維が構成原料の一部である不織布にがん浸され、適当な形状に裁断されて保水状態を保てば顔パック材として嫌気性細菌であるアクネ菌が原因とされるニキビ治療に役立つ。
【実施例1】
【0088】
ここで本は発明の更なる詳細を説明するため、実施例を上げる。
厚み25ミクロンのポリエステルフィルムに膜厚50ナノメーターの銀蒸着膜を設け、10cmx10cmに裁断したフィルムを得て、それを1枚、0.5リットルの水道水の入ったペットボトルに浸漬して50回程度振とうして室温で静置保存し、7日間静置下の地に銀イオン濃度を計測すると110ppbであった。
【0089】
この実施例を実行中に銀蒸着面に微細な気泡が出現したが、これは銀がイオン化する時に、銀の原子から電子が一つ外れ、該電子を受け取るために水が水素イオンと水酸イオンになり水素ガスが発生したからであり、金属銀が水道水に溶けた証拠である。ただ、水素ガス量は微量であり爆発を誘発するものではない。
【実施例2】
【0090】
厚み25ミクロンのポリエステルフィルム片側上に、何らのコーティングやコロナ処理を行わず、蒸着膜厚50nmの銀層を設け、A5サイズに裁断した銀蒸着フィルムを0.5リットルの水道水を注いだペットボトルに浸漬し、毎日3回その水を50ミリリットル新しい水道水と入れ替え、毎回50回程度の振とうを行い2ヵ月後に銀イオン濃度を計測すると610ppbであった。
【実施例3】
【0091】
厚み200ミクロンのポリエステルフィルムの片面に銅を真空蒸着し、40cmx50cmに断裁したフィルムを得た。銅の蒸着膜圧は10〜50ナノメーターが好ましいが、実施例では30ナノメーターとした。蒸着後のフィルムは銅独特の色は呈していたが透けて見えた。又、蒸着金属層が薄いので金属探知機による異物検査に無差別には反応しなかった。
【0092】
40cmx50cmに断裁したフィルムの銅蒸着面からプレス成形を施し、直径6cm、深さ4cmで傾斜のあるくぼみを5個x6列、合計30個得た。
【0093】
その各くぼみに凡そ直径8cm程度のりんごを30個収納し、りんご全体の下部約半分がくぼみに入り、りんご表面と銅皮膜があちらこちらで直接接触できる状態の収納を行い、10℃の冷蔵庫で保存した。
【0094】
銅蒸着皮膜を持たない同様の200ミクロンのポリエステルフィルムで実施例に記載したと同様の形状とサイズのくぼみに同様の状態で30個のりんごを収納し、同じ条件で保存し比較実験を行った。
【0095】
実験開始から10日目にブランクの幾つかのりんご表面に変色が始まり銅蒸着フィルムを用いた収納容器の優位性が確認できた。
【実施例4】
【0096】
厚み25ミクロン、有効巾600mmのポリエステルフィルムに、蒸着膜厚50nmで銅を真空蒸着して、その銅蒸着フィルムを裁断し一辺10cmの正方形のシートを得た。
【0097】
そのシート1枚を、500mlの水道水を充填したペットボトルに挿入し、同様に得たペットボトルを3本検体として、又当該包装紙を挿入しないで水道水を充填したペットボトルをブランクとして3本用意した。
6本のカーネーションを購入し同じ長さに切り揃え、ランダムに選別したカーネーションを各々1本、花瓶を模したペットボトルに挿入し、直射日光を避け室内で鮮度延命の実験を行なった。
【0098】
実験開始の翌日夕刻には、ブランクのうち2本のカーネーションが萎み始め、その翌日には3本のブランクと3本の検体には花の勢いに明らかな差が現れ、少なくともどれか1本のカーネーション茎が折れるまで6日間実験を続けた所、銅蒸着ポリエステルフィルムからなるシートを挿入した検体全てに顕著な優位性が認められた。
又、実験終了後、1枚の包装紙を取り出してみると、ほぼ銅独特の色がなくなり僅かに緑青と思われる黄緑色に一部が変化していたが、ほぼシート全体透明の状態が見られた。
【0099】
この実験に使用したと同様の包装紙10cmx10cmを500mlの濃硝酸1部:イオン交換水100部の希硝酸溶液に室温で一昼夜浸し、目視で銅が溶け出し基材フィルムが透明になった様子を確認し、当該希硝酸溶液の銅イオン濃度を計測すると7.1ppmであった。詰まり、実験で検体としたペットボトルの水道水は銅イオンを含む水に変化していたことになる。計算上は蒸着された銅の82%余りがイオン化したことになる。
【0100】
一般に固体銅は常温ではph=1.0レベルの強酸などに触れないと溶解して銅イオン化はしないとされる。又、前記の銅イオン濃度を計測した試験条件下でも固体銅は希硝酸液には非常に難溶とされる。しかし真空蒸着された銅は、分子間の結合が非常に弱く、ほぼ中性域である水道水に常温でも溶けてイオン化することが分かり、溶けでた銅イオンの濃度から抗菌性が発揮されたことが解明された。
【産業上の利用可能性】
【0101】
抗菌性、抗カビ性を持つ金属の蒸着皮膜を設けたプラスティックフィルムを果物などの生鮮食品の流通用、物流用包装容器として使用する、乃至は包装紙として包むことで、食品の鮮度維持と寿命延命が可能になり、販売可能な日時を延長できるし、食品産地とは遠く離れた消費地への輸送販売や海外市場への日本の生鮮食品の販売にも大いに貢献できる。
又、その逆も然りである。
【0102】
加えて、昨今花卉類の輸出や輸入が盛んに行なわれているが、その鮮度の維持や寿命の延命には有害な化学物質が使われていて、環境汚染が問題とされているが、無機系の抗菌金属イオンが有効に鮮度維持や寿命延命に効果を発揮すれば環境保護・保全にも貢献でき、結果として、生鮮食品の腐敗劣敗を減らし花卉類の寿命を延命できて、環境保全効果や大きな経済効果をもたらす。
【0103】
水道水、地下水、蒸留水、イオン交換水や精製水を、或いは希有機酸を溶媒とする銅イオン水は安全性にも優れ、農薬指定もなく飲用に用いない限り取扱に規制を受けない。
【0104】
水道水を溶媒にした銀イオン水のイオン濃度が600ppbを超えることが分かり、これを薄めても除菌効果の十分発揮できる安全な銀イオン水を得て、生鮮食品、花瓶など花器の水にスプレーするだけで十分な鮮度維持が出来ることが分かった。食品や花卉類のロスを防ぎ、経済的効果をもたらせることが可能になった。
【0105】
更に、金属メッキではメッキを施す金属の塩を使用し金属イオンとして持つ溶液を用いているが、当該金属イオン溶液は殆ど劇物毒物として扱われなければならず、安全管理や環境保全に注力しなければならなかったが、溶媒を水道水、地下水など所謂不通の水にしても、希クエン酸水にしても得ることが出来て、安全管理や環境保全努力が大幅に軽減される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスティックフィルムを基材として、少なくともその片側に銀、銅、又は亜鉛或いはそれら抗菌性金属乃至は抗カビ性金属を含む合金を皮膜として設け、該金属皮膜に保護層や保護フィルムを持たないことを特徴とするフィルムからなる抗菌・抗カビシート。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルムからなるシートを水道水、地下水、蒸留水、イオン交換水、精製水、あるいは希有機酸液に浸漬して得た抗菌・抗カビ金属イオン水。
【請求項3】
請求項1に記載の金属皮膜を片側に有するプラスティックフィルムの裏側には印刷或いは着色を施すことも可能で、当該金属皮膜側を食品や花卉類といった被包装物との接触面とする包装材。
【請求項4】
請求項3に記載の抗菌・抗カビ金属イオン水を少なくとも構成原料の一部とする化粧品。
【請求項5】
請求項3に記載の金抗菌・抗カビ金属イオン水をがん浸させた不織布、織物、編物といった布地。

【公開番号】特開2013−99919(P2013−99919A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50973(P2012−50973)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(509170796)
【Fターム(参考)】