説明

シート状材料から成るスタックを反転する装置および方法

【課題】シート状材料から成るスタックを反転する装置であって、旋回フォークにスタックを搬送するための装置を備え、反転ステーションを備え、旋回フォークは、少なくとも1つの上位グリッパと少なくとも1つの下位グリッパと少なくとも1つのスタックストッパとを備え、旋回フォークは、一方の側で、スタックを導入するための開口を備え、他方の端部で、スタックの進入方向に対して横向きに延びる水平の旋回軸を中心に旋回可能に支承されているものを改良して、シートのスタックを高い信頼度で簡単で確実に反転する選択的な反転装置を提供する。
【解決手段】旋回軸8が、旋回フォーク12に対して偏心的に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状材料から成るスタックを反転する装置であって、旋回フォークにスタックを搬送するための装置を備え、反転ステーションを備え、旋回フォークは、少なくとも1つの上位グリッパと少なくとも1つの下位グリッパと少なくとも1つのスタックストッパとを備え、旋回フォークは、一方の側で、スタックを導入するための開口を備え、他方の端部で、スタックの進入方向に対して横向きに延びる水平の旋回軸を中心に旋回可能に支承されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
包装産業の印刷製品、たとえば折畳み箱を製造する際に、先ずシートが、広幅のウェブとして印刷機内で印刷される。シート上に製造されるべき折畳み箱の複数の利用部分が印刷されており、利用部分は、平床式打抜き機で印刷面を上向きに打ち抜かれて、積み重ねられてスタックが形成される。打ち抜かれてスタックされた(積み重ねされた)折畳み箱断裁部分は、次に、折畳み箱接着機械に印刷面を下向きに供給され、折畳み箱接着機械で加工され、折り畳み箱が形成される。
【0003】
スタックされた折畳み箱断裁部分は、加工前に、折畳み箱接着機械内で反転される。反転は、多大な手間の掛かる作業ステップである。作業員は、特に一日に数トンの厚紙を反転する必要がある。
【0004】
既に、ドイツ連邦共和国特許出願公開第1065075号明細書において、スタック装置用の反転テーブルが公知である。反転テーブルは、クランププレートとクランプ兼搬送ユニットとを備えている。調節駆動装置を介して、対象物をクランプするために、クランププレートと搬送ユニットとの間で閉鎖運動が実現される。別の調節駆動装置により、スタック装置は、対象物の搬送方向に、反転テーブルにセンタリングして取り付けられた回転ピンを中心に180度回動されるので、クランプされスタックされた厚紙断裁部分が反転される。反転動作のあとで、厚紙断裁部分は、搬送ユニット上で停止し、搬送ユニットにより反転装置から搬出される。
【0005】
欧州特許第1350748号明細書において、別の反転装置が開示されている。反転装置は、反転クランプを備えており、反転クランプは、センタリングして配置された水平軸を中心に旋回可能である。反転クランプは、2つの搬送要素を備えており、そのうちの1つは、ローラ列として構成されている。この搬送要素は、反転装置に進入するスタックを収容するのに用いられる。第2の搬送要素は、搬送ベルトとして構成されていて、スタックを反転後に送りキャリヤを用いて反転装置から外へ搬送するために用いられる。
【0006】
米国特許5743374号明細書において、スタック用の別の反転装置が公知である。この反転装置は、スタックを収容するためのクランプを備えている。この反転装置は、第1のモータにより、スタックを収容して搬送するために側方へ移動する。第2のモータにより、反転装置のクランプは、反転装置内のU字形の経路に沿って、ローラを介して、クランプの外側に運動し、これによりスタックが反転され、導入ユニットに置かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第1065075号明細書
【特許文献2】欧州特許第1350748号明細書
【特許文献3】米国特許5743374号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、シートのスタックを高い信頼度で簡単で確実に反転する選択的な反転装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するための本発明の装置によれば、シート状材料から成るスタックを反転する装置であって、旋回フォークにスタックを搬送するための装置を備え、反転ステーションを備え、旋回フォークは、少なくとも1つの上位グリッパと少なくとも1つの下位グリッパと少なくとも1つのスタックストッパとを備え、旋回フォークは、一方の側で、スタックを導入するための開口を備え、他方の端部で、スタックの進入方向に対して横向きに延びる水平の旋回軸を中心に旋回可能に支承されているものにおいて、旋回軸が、旋回フォークに対して偏心的に配置されている。
【0010】
好適には、旋回軸は、旋回フォークの上部に配置されている。
【0011】
好適には、旋回フォークの旋回角度は、180°よりも大きい。
【0012】
好適には、下位グリッパは、旋回フォークの側方部分に設けられたガイドに、上位グリッパに対して高さ調節可能に配置されている。
【0013】
好適には、下位グリッパの高さ調節は、サーボモータ、ニューマチックシリンダまたはハイドロリックシリンダを介して行われる。
【0014】
好適には、上位グリッパは、回転レールとして構成されている。
【0015】
好適には、下位グリッパおよび/または上位グリッパは、スタックの進入方向に対して横向きに自由に位置決め可能に配置されている。
【0016】
好適には、上位グリッパは、旋回軸に対して垂直に自由に長さを調節可能である。
【0017】
好適には、旋回フォークは、3つ以上の下位グリッパおよび/または3つ以上の上位グリッパを備えている。
【0018】
好適には、旋回フォークは、高さ調節装置を介して高さ調節可能である。
【0019】
好適には、高さ調節装置は、反転装置の側方部分に取り付けられており、旋回軸は、反転装置の側方部分に設けられたガイドに支承されている。
【0020】
好適には、高さ調節装置は、センサを介して制御。
【0021】
好適には、ガイドは、反転装置の側方部分に斜めに延在している。
【0022】
好適には、スタックを搬送するための搬送装置は、旋回フォークに2つに分割して形成されており、搬送装置は、それぞれ独立した駆動装置を備えている。
【0023】
好適には、スタックを搬送するための搬送装置は、走行方向に対して横向きに少なくとも1つのローラ側部を備えており、ローラ側部は、搬送方向に対して横向きに自由に位置決め可能である。
【0024】
この課題を解決するための本発明の方法によれば、シート状材料から成るスタックを反転する方法において、以下の方法ステップ、
a)スタックストッパまで旋回フォークにスタックを供給し、
b)高さ調節可能な下位グリッパを用いて、または旋回フォークの旋回により、スタックを持ち上げ、
c)約70°の角度まで旋回フォークを旋回させ、
d)スタックストッパおよび下位グリッパに沿ってスタックを整列し、
e)下位グリッパの高さ調節により、下位グリッパと上位グリッパとの間にスタックをクランプし、
f)最終位置まで引き続き旋回動作を行い、
g)上位グリッパを戻し、
h)反転されたスタックを排出し、
i)旋回フォークを回動して戻し、上位グリッパを初期位置に移動し、
j)全てのスタックが処理されるまでステップa)〜i)を繰り返す、
方法ステップを有する。
【0025】
好適には、残留スタックの位置に適合させるために旋回フォークの高さを調節する。
【発明の効果】
【0026】
本発明による1つの態様では、シート状材料から成るスタックを反転する装置が、反転ステーションの旋回フォークにスタックを搬送するための装置を備えている。反転ステーションは、上位グリッパと下位グリッパとスタックストッパとを備えた旋回フォークを有している。旋回フォークは、一方の側で、スタックを導入するための開口を備え、別の側の端部で、スタックの進入方向に対して横向きに延びる水平の旋回軸を中心に旋回可能に支承されており、旋回軸は、旋回フォークに対して偏心的に配置されている。様々なサイズに対する適合は、好適には下位グリッパに対して調節可能に構成されたスタックストッパにより達成される。別の好適な構成では、スタックストッパは、2つまたは3つ以上の部分に分割して構成されている。このような構成により、非対称的な断裁部分に対する簡単な適合およびガイドが実現される。
【0027】
特に好適な態様によれば、旋回軸は、旋回フォークの上方部分に、旋回フォークに対して偏心的に配置されているので、簡単に、180°より大きな旋回フォークの旋回角度を実現することができる。これにより斜めの平面でもスタックの排出が実現される。上方部分に旋回軸を偏心的に配置することにより、旋回運動に際してスタックの水平の距離変化ならびに高さ変化が達成される。
【0028】
別の好適な態様によれば、下位グリッパは、反転装置の側方部分に上位グリッパに対して調節可能に配置されている。高さ調節は、好適には、サーボモータまたはニューマチックシリンダもしくはハイドロリックシリンダにより行われる。これにより簡単に上位グリッパと下位グリッパとの間にスタックのクランプが実現されるので、スタックは、旋回動作に際して確実に保持される。クランプは旋回動作の間にいつでも行うことができるので、スタックは、好適には、先ずクランプせずに70°の旋回角度まで旋回される。これによりスタックは、自動的にスタックストッパならびに下位グリッパに沿って整列される。所望の場合、スタックの整列は、さらに旋回フォークの追加的な振動によりサポートすることができる。整列動作のあとで、つまり約70°の旋回角度から、スタックのクランプを行い、後続の旋回動作においてスタックを確実に保持することができる。
【0029】
特に好適な態様によれば、上位グリッパは、回転レールとして構成されている。このような態様は好適である。一方では、反転動作のあとで、回転レールは、ベルトがスタックの直ぐ下で転動するので、断裁部分に擦過痕を形成することなくスタックの下方から外へ移動することができる。回転レールは、スタックに対して様々な距離で進入することができ、引き抜く際に個別に運動することができるので、同時に複数の回転レールを用いる場合には、非対称の断裁部分から成るスタックでも最大限に支持することができる。
【0030】
さらに別の態様によれば、下位グリッパおよび/または上位グリッパは、スタックの進入方向に対して横向きに自由に位置決め可能に配置されている。これにより様々な断裁部分サイズに対する簡単な適合が実現される。3つ以上の下位グリッパおよび/または上位グリッパを用いる場合には、追加的に、非対称の断裁部分に対する適合が簡単に実現される。
【0031】
別の好適な態様によれば、旋回フォークは、高さ調節装置を介して高さ調節可能である。高さ調節装置は、反転装置の側方部分に取り付けられており、旋回軸は、反転装置の側方部分におけるガイドに支承されている。これにより、導入ユニットに存在する残留スタックに対する反転されたスタックの簡単な高さ適合が実現される。同様に回転レールを引き抜く間に、旋回フォークは、導入ユニットにおいて少なくなる残留スタックに適合させることができる。これにより残留スタックの上縁と反転されたスタックの下縁との間の間隔がほぼ一定となり、このことは反転されたスタックの落下動作に好適に作用する。好適には、高さ調節装置は、反転装置の側方部分に斜めに取り付けられており、旋回軸は、反転装置の側方部分における斜めに延在するガイドに支承されている。好適な態様では、高さ調節装置は、たとえば歯付ロッドと被駆動歯車とから形成することができる。またモータ式、ニューマチック式またはハイドロリック式のそれぞれ別の高さ調節装置も実現可能である。
【0032】
特に好適な態様によれば、旋回フォークにスタックを搬送するための搬送装置が、2つに分割して構成されている。搬送装置の第1部分は、スタック供給装置に設けられていて、旋回フォークの始端部の直ぐ手前まで延在している。搬送装置の第2部分は、旋回フォークの深さにわたって延在している。好適には、両方の搬送装置部分は、それぞれ独立した駆動装置を備えている。これにより搬送装置部分は、センサと制御装置とを介して個別に運転することができる。これにより異なる速度も実現される。これにより個々のスタックの間の異なる大きさの隙間が補償され、常に、新たなスタックが待機位置に存在し、これに対して旋回フォークが1つのスタックを反転するよう保証される。
【0033】
好適な方法では、スタックは、以下の方法ステップで反転される:
a)スタックストッパまで旋回フォークにスタックを供給し、
b)高さ調節可能な下位グリッパを用いて、または旋回フォークの旋回により、スタックを持ち上げ、
c)約70°の角度まで旋回フォークを旋回させ、
d)スタックストッパおよび下位グリッパに沿ってスタックを整列し、
e)下位グリッパの高さ調節により、下位グリッパと上位グリッパとの間にスタックをクランプし、
f)最終位置まで引き続き旋回動作を行い、
g)上位グリッパを戻し、
h)反転されたスタックを排出し、
i)旋回フォークを回動して戻し、上位グリッパを初期位置に移動し、
j)全てのスタックが処理されるまでステップa)〜i)を繰り返す、
方法ステップで反転される。
【0034】
好適には、その際、スタックは約70°の旋回角度まで整列される。旋回角度は180°以上であってよく、これにより、スタックは、斜めの平面に排出して載置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】スタック供給装置と反転ステーションと導入ユニットとを備えた本発明による反転装置を示す図である。
【図2】反転動作が終了したあとの状態で図1の装置を示す図である。
【図3】本発明による反転ステーションの主要構成要素を示す斜視図である。
【図4】本発明による反転ステーションの主要構成要素を示す別の斜視図である。
【図5】上位グリッパの断面図である。
【図6】旋回動作の運動経過を概略的に示す図である。
【図7】旋回動作における選択的な部分運動経過を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、図面に基づいて、本発明を実施するための形態を詳説する。
【0037】
図1には、本発明による、スタック5を反転するための装置1を示す。スタック5は、スタック供給装置2を介して、反転ステーション3の旋回フォーク12に供給される。スタック5の供給は、ローラ側壁6を介して行われ、スタック5は、スタック整列板7に沿って側方で整列される。スタック整列板7は、好適には高さマーク37を備えている。高さマーク37は、作業員に有用であり、許容範囲内に維持するために、作業員が許容のスタック重量を載設するために役立つ。スタック5は、ローラ側壁6から旋回フォーク12のスタックストッパ11まで搬送される。選択的に、搬送は、図7のaについて後述するように、分割されたローラ側壁システム6,6’を通って行うこともできる。ローラ側壁6の間で下側に、旋回フォーク12の下位グリッパ10が配置されている。下位グリッパ10は、高さ調節可能であり、旋回フォーク12に導入されるスタックを持ち上げる。スタックは、選択的に、旋回フォークの旋回により持ち上げることもできる。さらに旋回フォーク12は上位グリッパ9を備えている。上位グリッパ9は、駆動ヘッド24を介して、また下位グリッパ10は、横ビーム26と側方部分25とを介して、旋回軸8を中心に旋回可能に旋回軸8に配置されている。旋回動作に際して、スタック5は、下位グリッパ10およびスタックストッパ11に沿って整列され、上位グリッパ9に対する下位グリッパ10の後続の高さ調節により下位グリッパ10と上位グリッパ9との間でクランプされる。後続の旋回運動に際して、スタック5は、上位グリッパ9上に留まる。旋回運動の最後に、上位グリッパ9は戻され、スタック5は、四方で閉じた、調節舌片14と側方のスタックガイド13とスタックストッパ11とにより形成されたボックスを通ってガイドされ、導入ユニット4に落下する。
【0038】
図2には、旋回運動の終了状態を示す。スタック5は、反転され、上位グリッパ9と下位グリッパ10との間でクランプされた状態にある。
【0039】
図3および図4には、反転装置1の内側に設けられた、本発明による反転ステーション3の主要構成要素を示す。反転ステーション3は、旋回フォーク12を備えており、旋回フォーク12は、上位グリッパ9と下位グリッパ10とスタックストッパ11とを備えている。スタックストッパ11は、下位グリッパ10に沿って移動可能に取り付けられている。これにより旋回フォーク12は、様々なスタックサイズ(判型)や非対称なスタックサイズにも容易に調節可能である。比較的小さな断裁部分幅では、スタックは、専ら下位グリッパ10を用いて反転可能である。スタックの傾倒を防止するために、好適には、下位グリッパ10に載設台35を取り付けることができる。これによりスタックの設置面積が増え、これによりスタック重心に対する下位グリッパの位置決めが簡単になる。好適には、載設台は、相並んで位置する2つの下位グリッパよりも狭幅である。上位グリッパ9は、回転レール22として構成されており、回転レール22は、ベルト21を介して駆動され、ベルト21は、モータ17とプーリ20と歯付ベルト23と4つの角を有するシャフト16とを介して駆動される(これについては図5に関して後述する)。スタックを反転する際、または緊急停止機能が作動する場合、回転レール22は、旋回フォーク12の位置(たとえば垂直姿勢)に応じて、ゆっくりと下方に滑動する恐れがある。このことは、好適には、短絡接続されたモータ17の回転モーメントならびにばね力ブレーキ36により回避される。
【0040】
上位グリッパ9は、いわゆる駆動ヘッド24に支承されている。駆動ヘッド24は、旋回軸8に支承されており、旋回軸8を中心に旋回フォーク12全体が旋回可能である。下位グリッパ10は、横ビーム26に取り付けられており、横ビーム26は、旋回フォーク12の側方部分25におけるガイド18に支承されていて、リニア駆動装置15を介して、上位グリッパ9に対して高さ調節可能である。リニア駆動装置は、調節モータ、ニューマチックシリンダまたはハイドロリックシリンダであってよい。
【0041】
図5において、上位グリッパ9の機能が看取される。回転レール22の内側にベルト21が延在しており、ベルト21は、幾つかのローラ34と駆動シャフト16とを介してガイドされている。緊張要素27により、ベルト張力が調節可能である。駆動シャフト16を介してベルト21を駆動するにより、回転レールは、駆動ヘッド24に対して矢印方向に移動する。
【0042】
図6のa〜hには、本発明による反転装置の運動経過を概略的に示す。
【0043】
図6のaには、どのようにしてスタック5がスタック供給装置2からスタックストッパ11まで旋回フォーク12に進入するのか示す。続いて(図6のb)旋回フォーク12は、旋回軸8を中心とする旋回運動を開始し、スタック5を持ち上げる。この運動中、スタック5は、下位グリッパ10およびスタックストッパ11において整列される。この整列動作は、約70°の旋回運動で終了し、そして下位グリッパ10が、上位グリッパ9(図6のc)に向かって移動し、スタック5を上位グリッパ9と下位グリッパ10との間にクランプする。スタック5は、引き続き、図示の実施の形態では約195°の旋回角度の終了位置まで旋回する(図6のd)。
【0044】
図6のdには、追加的に2つのセンサ29,30を示す。センサ29は、手動で作業員により高さ調節可能であり、新たなスタック5を反転して載設しようとしても、導入ユニット4に依然として存在するスタックが目標高さまで処理されている場合に、信号を旋回フォーク12に送信する。下位のセンサ30も同様に高さ調節可能であり、導入ユニット4に依然として存在するスタックが、新たに反転されたスタックが載設されず、問題となる最少高さまで低くなっている場合に、信号を送信する。信号の結果として、後続の機械を停止させることができる。反転動作が終了したあとで、図6のeに示すように、旋回フォーク12は、高さ調節装置31(図1)に基づいて、ほぼ残留スタックの上縁の高さに下降する。そこで、上述のように回転レール22として構成された上位グリッパ9が引き抜かれる。可動の回転レール22を引き抜く際に、スタック5は、上位グリッパ9と下位グリッパ10との間にクランプされたままである。クランプにより、旋回フォーク12からの早すぎる落下が回避される。回転レール22が完全にスタック5の下方で引き抜かれたあとで、反転されたスタックは、実質的に1つの塊として、調節舌片14と側方のスタックガイド13とスタックストッパ11とにより形成された四方で閉じたボックスを通ってガイドされ、導入ユニットに落下する(図6のf)。これをサポートするために、追加的に、旋回フォーク12は、高さ調節装置31により矢印方向に降下することができる。高さ調節装置31の制御は、センサ29と図示していない制御ユニットとを介して行われる。そのあとで旋回フォーク12は、水平位置の手前約15°まで旋回して戻される。同時に旋回フォーク12は、矢印方向に高さ調節装置31により最高位置に移動する。そのあとで退出可能な回転レール22が、初期位置に移動し、旋回フォークは、完全に初期位置に旋回して戻される(図6のh)。
【0045】
図7のaには、選択的な部分運動経過を示しており、そこでは旋回フォーク12へのスタック5の供給を示す。図6のaに示すスタック供給とは異なり、図7のaでは、ローラ側壁6,6’は2つの部分に分割されている。ローラ側壁6は、スタック供給装置2内でスタックを搬送する。ローラ側壁6は、図示していない独自の駆動装置を備えている。旋回フォーク12へのスタック5の搬送は、図示していない独自の駆動装置により駆動されるローラ側壁6’が引き受ける。ローラ側壁6,6’は、図示していないセンサと制御装置とにより操作される。スタック5は、スタック供給装置内で、ローラ側壁6の端部の休止位置まで搬送される。旋回フォーク12が収容位置にある場合、両方のローラ側壁6,6’は、旋回フォーク12に後続のスタック5を搬送するための信号を受け取る。独立した駆動に基づいて、スタック供給装置2における様々な隙間が補償される。
【0046】
図7のb〜dには、導入ユニット4に反転されたスタック5を載設する際の別の部分運動経過を示す。導入ユニット4は、選択的に、高さ方向に移動可能で、ならびに引込および突出可能なスタック前縁支持体28を備えることができ、スタック前縁支持体28は、旋回されたスタック5のスタック前縁を収容するために突出される。旋回されたスタック5は、上位グリッパ9およびスタック前縁支持体28に載設される。図7のcおよび図7のdに示すように、前述のように回転レールとして構成された上位グリッパ9が引き抜かれる。同時にスタック前縁支持体28が引き抜かれる。反転されたスタック5は、前述のように調節舌片14と側方のスタックガイド13とスタックストッパ11とにより形成された四方で閉じたボックスを通ってガイドされ、導入ユニット4に落下する(図7のd)。
【符号の説明】
【0047】
1 スタック反転装置、 2 スタック供給装置、 3 反転ステーション、 4 導入ユニット、 5 スタック、 6,6’ ローラ側壁、 7 スタック整列板、 8 旋回軸、 9 上位グリッパ、 10 下位グリッパ、 11 スタックストッパ、 12 旋回フォーク、 13 導入ユニットにおける側方のスタックガイド、 14 調節舌片、 15 リニア駆動装置、 16 駆動シャフト、 17 モータ、 18 ガイド、 19 ガイド要素、 20 プーリ、 21 ベルト、 22 回転レール、 23 歯付ベルト、 24 駆動ヘッド、 25 旋回フォークの側方部分、 26 横ビーム、 27 緊張要素、 28 スタック前縁支持体、 29 センサ、 30 センサ、 31 高さ調節装置、 32 反転装置の側方部分、 33 斜めに延びるガイド、 34 変向ローラ、 35 載設台、 36 ばね力ブレーキ、 37 高さマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状材料から成るスタック(5)を反転する装置であって、
旋回フォーク(12)にスタック(5)を搬送するための装置(2)を備え、反転ステーション(3)を備え、
旋回フォーク(12)は、少なくとも1つの上位グリッパ(9)と少なくとも1つの下位グリッパ(10)と少なくとも1つのスタックストッパ(11)とを備え、
旋回フォーク(12)は、一方の側で、スタック(5)を導入するための開口を備え、他方の端部で、スタック(5)の進入方向に対して横向きに延びる水平の旋回軸(8)を中心に旋回可能に支承されているものにおいて、
旋回軸(8)が、旋回フォーク(12)に対して偏心的に配置されていることを特徴とする、シート状材料から成るスタックを反転する装置。
【請求項2】
旋回軸(8)は、旋回フォーク(12)の上部に配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
旋回フォーク(12)の旋回角度は、180°よりも大きい、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
下位グリッパ(10)は、旋回フォーク(12)の側方部分(25)に設けられたガイド(18)に、上位グリッパ(9)に対して高さ調節可能に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
下位グリッパ(10)の高さ調節は、サーボモータ、ニューマチックシリンダまたはハイドロリックシリンダを介して行われる、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
上位グリッパ(9)は、回転レール(22)として構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
下位グリッパ(10)および/または上位グリッパ(9)は、スタック(5)の進入方向に対して横向きに自由に位置決め可能に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
上位グリッパ(9)は、旋回軸(8)に対して垂直に自由に長さを調節可能である、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
旋回フォーク(12)は、3つ以上の下位グリッパ(10)および/または3つ以上の上位グリッパ(9)を備えている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
旋回フォーク(12)は、高さ調節装置(31)を介して高さ調節可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
高さ調節装置(31)は、当該反転装置(1)の側方部分(32)に取り付けられており、旋回軸(8)は、当該反転装置(1)の側方部分(32)に設けられたガイド(33)に支承されている、請求項10記載の装置。
【請求項12】
高さ調節装置(31)は、センサ(29)を介して制御される、請求項10または11記載の装置。
【請求項13】
ガイド(33)は、当該反転装置(1)の側方部分(32)に斜めに延在している、請求項10記載の装置。
【請求項14】
スタック(5)を搬送するための搬送装置は、旋回フォーク(12)に2つに分割して形成されており、搬送装置(6,6’)は、それぞれ独立した駆動装置を備えている、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
スタック(5)を搬送するための搬送装置(2)は、走行方向に対して横向きに少なくとも1つのローラ側部(6,6’)を備えており、該ローラ側部(6,6’)は、搬送方向に対して横向きに自由に位置決め可能である、請求項1から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
シート状材料から成るスタックを反転する方法において、
以下の方法ステップ、
a)スタックストッパまで旋回フォークにスタックを供給し、
b)高さ調節可能な下位グリッパを用いて、または旋回フォークの旋回により、スタックを持ち上げ、
c)約70°の角度まで旋回フォークを旋回させ、
d)スタックストッパおよび下位グリッパに沿ってスタックを整列し、
e)下位グリッパの高さ調節により、下位グリッパと上位グリッパとの間にスタックをクランプし、
f)最終位置まで引き続き旋回動作を行い、
g)上位グリッパを戻し、
h)反転されたスタックを排出し、
i)旋回フォークを回動して戻し、上位グリッパを初期位置に移動し、
j)全てのスタックが処理されるまでステップa)〜i)を繰り返す、
方法ステップを有することを特徴とする、シート状材料から成るスタックを反転する方法。
【請求項17】
残留スタックの位置に適合させるために旋回フォークの高さを調節する、請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【公開番号】特開2012−91937(P2012−91937A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235202(P2011−235202)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】