説明

シート状物の延伸機

【課題】
信頼性とシート状物の品質を向上させるシート状物の延伸機を提供する。
【解決手段】
無端リンク装置の各々は、前記シート状物の入口側であってこのシート状物を搬送して予熱するための予熱領域と、この後流側に配置されこのシート状物を前記経路の末広がり状の部分に沿って搬送し延伸するための延伸領域と、この後流側に配置され前記シート状物を搬送して熱固定するための熱固定領域と、前記経路の内側であって前記シート状物の入口側及び出口側に配置され前記複数の等長リンクを駆動する入口側スプロケット及び出口側スプロケットとを有し、前記予熱領域,延伸領域及び熱固定領域の各々において、前記シート状物搬送される空間及びこの両側に配置される前記無端リンク装置の各々を囲んで区画された複数の異なる室と、これらの室の温度を独立に調節する温度調節装置とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物、例えば熱可塑性樹脂フィルム等を延伸する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の同時二軸延伸機は、特開2000−334832号公報(特許文献1)に記載のように、ガイドレールを挟んでシート状物の延伸力を支える一対のラジアル軸受を設け、ラジアル軸受にガイドレールに設けた凸部が噛み合う溝を設けてリンク装置の自重も同時に支えるようにしリンク装置を支持したものがある。また、ガイドレールの一方の位置を移動可能にしリンク装置の開き角度を規制することが可能にしてある。本方式によれば、グリース封入方式のラジアル軸受を採用することにより外部からの強制給油が不要となり油飛散を未然に防止でき、高速走行も可能となる。また、ガイドレール位置を移動させることによりMD倍率を無段変換可能となる。
【0003】
また、このような従来技術においても、何れ摺動抵抗が増大して徐々にリンク装置にタイミングのズレが発生したり、延伸の繰返し動作の際に等長リンクの連結部の摩耗等による機械的なズレによってズレが発生する。このリンク装置のズレによって、フィルム両端の無端リンク装置の同調が崩れ、延伸フィルム(製品フィルム)の性能低下、ひいては生産性の低下を招いてしまうという問題が有った。
【0004】
このような課題を解決するため、特開2004−155138号公報(特許文献2)に開示される技術のように、シート状物の両端側に配置された無端リンク装置を駆動するシート状物入口側及び出口側のスプロケットの間のガイドレールの延伸区間の最大屈曲部交流にリンク装置を感知するセンサを配置して、このセンサで検知された特定のリンク位置の情報を示す信号に基づいてスプロケットによる駆動を調節するものが知られている。
【0005】
また、近年は、延伸する対象となる熱可塑性のシート状物の材質が多岐にわたり変化しており、種々の材料に応じた適切な条件を実現して延伸することが求められている。例えば、多孔室の薄膜を延伸する場合には、延伸するに好適な温度が、延伸の領域において
320〜330℃以下にされ、予熱の領域においても150℃以上の温度にされている。
【0006】
このような高い温度の条件を実現する上では、内部が所定の温度に調節された室内にシート状物を搬送して、この室内で延伸することが考えられている。例えば、特開2005−16282号公報(特許文献3)では、予備加熱,延伸,冷却の各工程の領域を異なる室として区画して、この領域毎に異なる温度に調節し、このような温度にされた室内に配置された延伸機によりシート状物を搬送しつつ延伸する技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−334832号公報
【特許文献2】特開2004−155138号公報
【特許文献3】特開2005−16282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献3は、高温にされた条件でシート状物を延伸する構成を開示しているとはいえ、各工程の領域に応じて延伸機とシート状物が搬送されるスペースとを一纏まりに区画するに過ぎず、高温に調節された状態で生じる問題点については十分に考慮されていなかった。
【0009】
すなわち、シート状物の種類によっては、延伸に好適な温度がより高温になり延伸機の駆動に好適な温度の範囲と異なる温度の条件となってしまう場合が有る。このような条件で延伸機を駆動するとその機械的な動作に支障を生じてしまうことになる。さらには、このような延伸機の動作に伴うシート状物への延伸機からの影響、例えば、潤滑油の飛散による汚染等の問題が生起してしまう。このような問題点について、従来技術では考慮がされていなかった。
【0010】
さらにまた、上記従来技術では、予備加熱で温風を用いて加熱した際に生じる波打ち等の影響を遠赤外線を用いたヒータによりシート状物を内部加熱することによって打ち消して解消することは開示されているものの、ヒータを使用するものであってもシート状物の表面での温度の不均一さが生じてしまうこと、これを抑制するためのヒータの構成については何ら考慮されていなかった。このため、シート状物を高温で延伸する場合に、信頼性や品質が著しく損なわれてしまうという問題について十分に考慮されていなかった。
【0011】
本発明の目的は、シート状物を安定して延伸でき信頼性とシート状物の品質を向上させるシート状物の延伸機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、熱可塑性を有するシート状物の幅方向両端で向かい合って配置され、相互に連結されて折れ尺状に伸縮しつつ前記シート状物の各端部を把持する複数の等長リンクを略水平面上の略閉じた経路に沿って案内して、前記シート状物を入口側から出口側に搬送しつつ延伸した後入口側に戻して走行させる無端リンク装置の対を備えたシート状物の延伸機であって、前記無端リンク装置の各々は、前記シート状物の入口側であってこのシート状物を搬送して予熱するための予熱領域と、この後流側に配置されこのシート状物を前記経路の末広がり状の部分に沿って搬送し延伸するための延伸領域と、この後流側に配置され前記シート状物を搬送して熱固定するための熱固定領域と、前記経路の内側であって前記シート状物の入口側及び出口側に配置され前記複数の等長リンクを駆動する入口側スプロケット及び出口側スプロケットとを有し、前記予熱領域,延伸領域及び熱固定領域の各々において、前記シート状物搬送される空間及びこの両側に配置される前記無端リンク装置の各々を囲んで区画された複数の異なる室と、これらの室の温度を独立に調節する温度調節装置とを備えたシート状物の延伸機により達成される。
【0013】
さらには、前記シート状物が搬送される空間を含む室の温度が、その両側に配置され無端リンク装置を含む室の温度より高く調節されることにより達成される。
【0014】
さらにまた、前記複数の室の各々に配置された前記温度調節装置は、所定の温度の空気を供給する送風手段及びこの室内の空気を排出する排気手段とを備えたことにより達成される。
【0015】
さらにまた、前記シート状物が搬送される空間を含む室に配置され熱を放射して前記シート状物を加熱するヒータとを備えたことにより達成される。
【0016】
さらにまた、前記シート状物が搬送される空間を含む室の温度が300℃以上にされ、その両側に配置されて前記無端リンク装置を含む室の温度が200℃より低くされることにより達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1乃至図9を用いて本発明に係るシート状物の延伸機の一実施例を説明する。
【0019】
まず、図1乃至図6を用いて、上記実施例の構成の概略を説明する。図1は、本発明のシート状物の延伸機の構成の概略を説明する上面である。図2は、図1に示すシート状物の延伸機のリンク装置の構成の概略を模式的に示す図である。
【0020】
まず、図1および図2を用いて、本発明の実施例に係るシート状物の延伸機1およびこれに用いられるリンク装置の構成について説明する。
【0021】
図1に示す、シート状物の延伸機1は、中央部に延伸する熱可塑性を有する樹脂等から構成されたシート状物が搬送される搬送空間2と、閉じた経路を構成するリンクガイドレール3上を駆動され周回しつつシート状物の両端端部の各々を掴んで搬送し解放する無端リンク装置4,5が搬送空間2のシート状物の搬送方向の両側に配置されている。
【0022】
これらの無端リンク装置4,5では、各々ステージ10,11上に配置され搬送空間2のシート状物の入口側および出口側に配置されたスプロケット6,7,8と、リンクガイドレール3及びこの上を走行するリンク装置200とが備えられ、スプロケット6,7,8の何れか1つが図示しないモータ等の駆動装置と連結されて回転駆動され、これらのスプロケット6,7,8に噛み合わされたリンク装置200がリンクガイドレール3上を摺動して移動する。
【0023】
すなわち、図2に示すように、シート状物の両側に配置された無端リンク装置4または5(図中リンクの一部並びに片側の無端リンクは省略)は、相互に連結されて折れ尺状に形成されシート状物の端部を把持する掴み装置202をそのシート状物側の先端に備えた複数個(多数個)の等長リンク201が連結されて環状に閉じて構成されたリンク装置
200を備えている。このリンク装置200は、シート状物の入口側スプロケット6または7により駆動されてリンクガイドレール3上を走行し、搬送空間2の入口に設けられた開閉ガイド等の開閉手段(図示せず)により掴み装置202が開閉されてシート状物を掴み予熱領域12で延伸に必要な温度にシート状物を加熱しつつリンクガイドレール3の搬送側のレール上を走行する。
【0024】
さらに、後流の延伸領域13において、進行方向に末広がり状に配置されたリンクガイドレール3に案内されて掴み装置同士の間の掴みピッチをP1からP2に徐々に拡大することにより、シート状物を縦横二方向に同時に延伸する。その後、熱固定領域14においてシート状物を所定の温度で熱固定した後、出口に設けられた開閉ガイド等の開閉手段
(図示せず)により掴み装置202を開閉してシート状物から外し、外されたシート状物をそのまま進行させる。さらに、リンク装置200は、出口側のスプロケット8により駆動されリンクガイドレール3の戻り側レール上を走行して入口側スプロケット6に戻るように構成される。
【0025】
即ち、本発明に係るシート状物の延伸機1は、熱可塑性樹脂のシート状物の端部を把持する多数の掴み装置202をシート状物の両側端に具備した無端リンク装置4,5が配置され、該無端リンク装置4,5は折尺状に形成された多数個の等長リンク201が環状に連結されたリンク装置200備えて、シート状物の入口側スプロケット6または7より駆動される。本実施例では、リンク装置200が、シート状物の幅方向両端側で対向して配置された内外周1対のレールからなり進行方向に末広がり状に配置されたリンクガイドレール3に案内されてシート状物を延伸させた後シート状物を外し、搬送空間2出口側のスプロケット8により駆動されて、入口側のスプロケット6に戻るように構成される。なお、無端リンク装置4または5のリンク構成としては、特公平5−4896号公報に記載された無端リンク装置を参照することができる。
【0026】
図3,図4を用いて、本実施例の延伸機100に用いられるリンク装置の構成を、さらに、詳細に説明する。図3は、図1に示す実施例のリンク装置の構成の概略を示す縦断面図である。図4は、図3に示すリンク装置の構成の概略を示す上面図である。特に、図4では、リンク装置200を構成する各等長リンク201が展長した状態を示している。
【0027】
これらの図に示すように、本実施例に係る延伸機100のリンク装置200は、複数
(本実施例では2つ)のリンクガイドレール3上を走行する等長リンク201複数が相互に連結され、これら等長リンク201がリンクガイドレール3の間隔の変化に応じて折れ尺上に伸縮,展長する構成となっている。上記リンクガイドレール3は、図3に示すように台上で上方に凸状になるように配置された断面略矩形状の梁状部材で構成された、内周および外周の側の一対の組になるレールで構成されている。
【0028】
このガイドレール3上方に載せられて配置される等長リンク201は、この等長リンク201がシート状物を把持しつつ走行する搬送側のレールにおいてシート状物に近い方の外周側のレール205にはシート状物を把持する掴み装置202が連結されたジョイント用リンク軸207が配置され、内周側のレール206には掴み装置202を有さないジョイント用リンク軸208が配置される。
【0029】
シート側のリンク軸207と反シート側のリンク軸208とはリンクプレート209及び210により連結される。また、等長リンク201の最大ピッチを制限するチェーンリンク203a,203bは,隣接した反シート側のリンク軸208同士を連結してリンクプレート209の間に設けられている。
【0030】
また、等長リンク201を構成するリンクプレート209,210は、リンク軸207の上で同軸状に連結されており、この軸を中心にした周りに両者が回転して等長リンク
201の形状が変化する。さらに、各リンクプレート209、210は、反シート側のガイドレール206上の端部で各々リンク軸208と連結されるとともに、リンク軸207の下部でリンクアーム209,210と連結されている。このため、上記変形の際に上下のリンクは、同じ形状となるように同期して変形される。
【0031】
リンク軸207,208の最下端には第1の転がり軸受である軸受ローラ211a,
212aを有する軸受ホルダ211,212が連結され、軸受ホルダ211,212の両側、すなわち、軸受ローラ211a,212aの外周部に一対の第2の転がり軸受である鍔付ラジアル軸受213a,213b,214a,214bが取り付けられている。これら鍔付ラジアル軸受213a,213b,214a,214bは等長リンク201の動きを規制するレール205,206の両側面を転動し、かつ、レール205,206の上面と鍔付ラジアル軸受213,214の鍔の接触で等長リンク201の自重を保持するように配置されている。
【0032】
上記の通り、等長リンク201のシート側端部には掴み装置202が配置されている。本実施例の掴み装置は、リンクアーム210のシート側先端に連続した部材として配置されて上下に分岐した2つの腕を備える掴みアーム210aと、この掴みアーム210aに連結されてシート側または反シート側に回転する回動アーム215及び、この回動アーム215の下端に回転可能に連結された上掴み子216、掴みアーム210aの下側のアーム上面に配置されて上掴み子216との間でシート状物を挟んで保持する下掴み子217とを備えている。
【0033】
さらに、回動アーム215の回転軸の上方の部分は、コイルバネ218が係号されてリンクアーム210の上側アームである掴みアーム210aと連結されている。この構成により、回動アーム215の回転に特定方向(本実施例では上掴み子216をシート側に向かわせる方向)について付勢している。シート状物を把持する場合には、コイルバネ218に抗して回動アーム215上端をシート側、及び下端を反シート側に移動するように回転させて下掴み子217上にシート状物が位置するようにした後に回動アーム218をコイルバネ218の付勢力を利用して回転させ上掴み子216と下掴み子217との間でシート状物を挟んで保持する。シート状物を開放する場合には、再度上記回動アーム215の回転動作を行わせて上掴み子216、下掴み子217との間を遊離させて隙間を開けた状態でシート状物を下掴み子217上方から移動させる。
【0034】
掴み装置202とガイドレール205,206とこれらの上方で走行するリンクプレート209,210、軸受ホルダ211,212、ラジアル軸受213,214等を含むリンク本体との間は、仕切壁220が配置されており、これらが配置された空間である装置側空間と221と搬送空間2とを区画している。つまり、本実施例では、掴み装置202が含まれる搬送空間2とリンク本体を含む無端リンク装置4,5のリンク装置200が配置された装置側空間221とを別の空間にするように壁が配置されて区画されている。
【0035】
この仕切壁220は、高温にされる搬送空間2と装置側空間221とを仕切ることで、これらの間の熱のやりとりを低減することで、温度条件の調節を容易にするとともに装置の駆動、シート状物の品質への悪影響を低減している。また、コイルバネ218は仕切壁218を介してリンクアーム209等に連結せず、掴み装置202を構成する掴みアーム210aと回動アーム215と係号されている。
【0036】
図2の予熱領域12及び熱固定領域14におけるリンク装置200の等長リンク201同士の間隔P1,P2に示すように、等長リンク201が閉じた状態と開いた状態とでは、上方から見た状態で、図上上側のガイドレール205上方においてリンク軸207により相互に連結されたリンクプレート209a,209bの交差角度が異なる。つまり、ガイドレール205,206の両方に係号して走行しリンク軸207で連結された2つのリンクプレート209a,209bは、リンク軸207の位置を支点に走行に伴って相対的に回転して交差の角度が変化可能に構成されている。このときでも、軸受ホルダ211,212に支持された鍔付ラジアル軸受213a,213b,214a,214bは、リンク軸207,208に対する軸受ローラ211a,212aの働き(回動)により、常にレール205,206の両側面に対して実質的に垂直に位置するよう変化する(回動する)、すなわち、ガイドレール205,206の長手方向に対し直交する。
【0037】
従って、本実施例によれば、一対の鍔付ラジアル軸受をガイドレールに対して常に一定の角度にすることができるので、リンクプレート209a,209bの交差角度やガイドレール幅に依存することなくリンク装置200を走行させることが可能となる。
【0038】
図2の延伸領域13においてMD方向の延伸の量(倍率,シート状物の長手方向の倍率)が1.0 より大きくした状態となる。つまり、レール206とレール205との間が接近して等長リンク201のリンクの開き角度が大きくなる。これにより、シート状物は進行方向に延伸される(図中掴み装置は省略)。更に、図示していない部分のガイドレールと図中ガイドレールの連結にはバネ鋼を用いることで、ガイドレールを無端状に配置可能となる。このように等長リンク201は、ガイドレール205,206上の走行に伴って交差角度を増減しつつ伸縮するものである。
【0039】
尚、本実施例ではシート状物をフィルムの進行方向に対して延伸する方法を示したが、図示の左側のレール206とレール205との間を右側での距離を同じくすることで各領域において交差角度を略同一にする、つまり、MD方向の延伸の量を同じにすることも、逆に図上左側でのレール206とレール205との間の距離を右側での距離をよりも接近させてリンク装置の開き角度を図示の左側で小さくすることで、シート状物をフィルムの進行方向に対して収縮させることも可能である。なお、この場合、TD方向にシート状物が延伸される。更に、TD方向の延伸の量(倍率)の無段可変技術(リンクガイドレール3を末広がり状に配置させる構成と組み合わせることで、TD方向、MD方向の延伸の量を自由に設定することが可能である。
【0040】
上記の通り、無端リンク装置4,5の間の搬送空間2は、概略3つの領域に分けられており、入口側から出口側に向かって予熱領域12,延伸領域13,熱固定領域14に分けられる。これらの領域の各々ではシート状物を把持するリンク装置の端部の下方に図示しない複数のブロワが配置されている。各ブロワは、そのシート端側の側方に延在するダクトと連結されて、このダクトから導入される加熱された気体である空気がブロワに導入される。ブロワ内の空間に導入された高温の空気は、ブロワ上部の上方に向けて開口された吹き出し口からその上方を通るシート状物の下面に向けて吹き出される。
【0041】
複数のブロワからこのような高温の空気の供給を受けて、予熱領域12では、シート状物が加熱され高温にされることで、熱可塑性を有するシート状物の変形が容易にされ、後方の領域での変形の際の損傷や変形の偏りの発生等が抑制される。また、この予熱領域
12はシート状物が搬送空間2に導入される入口であり、この入口においてリンクガイドレール3に案内されて駆動されたリンク装置のフィルム側端部がシート状物の端部を把持してリンク装置の周回の動作の方向である搬送空間2の出口側に向かってシート状物を引っ張って搬送を開始する。
【0042】
予熱領域12の後方に隣接する領域である延伸領域13では、シート状物の両端側で向かい合う無端リンク装置4,5のリンクガイドレール3は、一方に対して末広がり状に配置され、このようなリンクガイドレール3に案内されるリンク装置は把持するシート状物の端部を両端の方向に伸ばす(延伸する)ことができる。また、延伸領域13においても、複数のブロワより高温の空気がシート状物下面に供給されて吹き付けられ、シート状物延伸の際の損傷や延伸量の偏りが抑制される。
【0043】
延伸領域13の後方でこれに隣接する領域である熱固定領域14では、無端リンク装置4,5のリンクガイドレール3は、一方に対して予熱領域10の出口部の距離で略並行に配置され、リンク装置に把持されたシート状物は略一定の幅で搬送されるとともに、この領域の下方に配置された複数のブロワからの高温の空気の供給を受けて、所定の量だけ延伸された状態を維持して加熱され、その形状や長さが固定される。
【0044】
熱固定領域14を搬送されたシート状物はその下流端部に配置された出口側のスプロケット8の直前で無端リンク装置4,5から開放され、さらに下流側に移動して延伸機1から取り出される。延伸機1のシート状物の搬送方向下流側には、シート状物を巻き取る巻き取り機等のシート状物を回収する手段が配置されている。あるいは、延伸を受けたシート状物に更なる加工を施すための別の装置が配置されていても良い。
【0045】
なお、本実施例の延伸機1は、シート状物の搬送は両側の無端リンク装置4,5の把持と運動により行われるものであり、延伸機1の無端リンク装置4,5のみの動作のみによってシート状物を搬送しているものであるが、延伸機1の下流側に配置されてこれから取り出されたシート状物を受ける別の装置からの力も受けつつ無端リンク装置4,5の動作によりシート状物を搬送しても良い。
【0046】
また、後述の通り、本実施例では、リンク装置はシート状物の両端側の方向(幅方向,TD方向)についての延伸のみでなく、シート状物の搬送方向(MD方向)にも延伸可能に構成され、また、これらの方向への延伸の倍率を可変に構成されている。すなわち、リンクガイドレール3のフィルム側レール同士の距離を可変に構成することで、フィルム端同士の距離を搬送方向について変化させて幅方向(TD方向)に延伸可能にするとともに、及びこれと半フィルム側レールの間の距離を可変に構成することで、延伸領域13においてリンク装置の開度を可変にして、シート状物の搬送方向(MD方向)についての延伸の量(例えば、延伸倍率)を変更可能に構成している。
【0047】
また、本実施例では、このようなTD方向の延伸の量の変更は、MD方向の変更と独立に行うことが可能であり、またMD方向の延伸の量の変更をTD方向の変更と並行して行うことが可能に構成されている。
【0048】
本実施例では、シート状物の延伸をこれに好適な温度の条件で行うことが必要であり、特に、常温よりも高い温度、本実施例では200℃以上、望ましくは300℃以上で行うことが必要となるため、これを実現する構成を備えている。すなわち、図1に示すように本実施例ではその搬送空間2及び無端リンク装置4,5を覆って内外の環境を区画する延伸チャンバ101が備えられている。
【0049】
この延伸チャンバ101は、延伸機100が据え付けられた製造ラインの建屋の床面上に配置されて、この床面と上、側方を囲む略直方体形状の容器であって、搬送空間2、無端リンク装置4,5の外周側の空間と外部とを区画している。本実施例では、さらに延伸チャンバ101内部に、無端リンク装置4,5及び搬送空間2の各々の予熱領域12,延伸領域13,熱固定領域14に属する空間を、各々予熱装置室102,102′、延伸装置室103,103′、第1熱固定装置室104,104′、第2熱固定装置室105,105′及び予熱搬送室106、延伸搬送室107、第1熱固定搬送室108、第2熱固定搬送室109とを配置して、これら個々を温度条件や雰囲気の条件等環境を区画している。
【0050】
これらの延伸チャンバ101内に配置された各々の室及びその外側であって延伸チャンバ101の容器内の空間では、その温度条件を含む環境が独立して調節可能に成されている。例えば、後述のように、予熱装置室102,102′、延伸装置室103,103′、第1熱固定装置室104,104′、第2熱固定装置室105,105′には、各々に温度が調節された空気を導入する送風ダクト及び排気ダクト114,114′,115,115′,116,116′,117,117′が備えられている。
【0051】
さらに、予熱搬送室106,延伸搬送室107,第1熱固定搬送室108,第2熱固定搬送室109には、それぞれ内部の室の温度を調節してシート状物の温度を適切な範囲に維持できるように、それぞれヒータ110、111,112,113,がその天井面の内側に配置されて、上方からシート状物へ熱を伝達している。さらに、これらの室内には、所定の温度にされた空気がブロワから供給されて、室内の温度ムラを抑制してシート状物をより均一な温度に調節している。
【0052】
図5を用いて、本実施例がシート状物を延伸する動作について概略を説明する。図5は、図1に示すシート状物の延伸機の装置各部分の配置の概略を示す縦断面図である。図5(a)は、図1に示すA−A線に示す面における構成を示す縦断面図である。この図では、予熱領域における構成を示しており、シート状物の幅方向の延伸の量が0(延伸の倍率が1.0 )である状態の配置を示す図である。図5(b)は、図1に示すB−B線に示す面における構成を示す縦断面図である。この図では、延伸が行われた後の熱固定領域における構成を示しており、シート状物の幅方向の延伸の量が1以上(延伸の倍率が1.0 以上)である状態での装置の配置を示す図である。
【0053】
図5(a)に示す予熱領域12では、搬送空間2の入口でのシート状物の幅方向の延伸の量が0である。このため、シート状物は、搬送空間2入口と予熱領域12とで、その幅は略同一となっている。
【0054】
すなわち、この予熱領域12では、ここにおける搬送空間2である予熱室106内のシート状物の両端側に配置された予熱装置室102,102′内の無端リンク装置4,5のそれぞれのリンクガイドレール3の対向して面するレール同士は略同じ高さで略並行に配置されており、これらの予熱装置室102,102′内のレール上でこれに案内されて走行するリンク装置200がシート状物側端部を把持する把持装置の把持位置も、略並行となっている。
【0055】
延伸チャンバ101内に配置された予熱装置室102,102′及びこれらの間に配置された予熱搬送室106は、略同一の高さに構成されており、これらの内部にはリンク装置200を含む無端リンク装置4,5及び掴み装置とシート状物の予熱領域12の部分とが配置されている。さらに、これら予熱装置室102,102′及びこれらの間に配置された予熱搬送室106の外側であって延伸チャンバ101の内側の空間には大気圧の雰囲気があり、所定の温度に調節されていても良い。
【0056】
予熱装置室102,102′の外側壁である側壁には送風ダクト402,402′の出口部分が連結されており、この送風ダクト402,402′の入口側の端部は、延伸チャンバ101の外側まで延在している。上記の通り、この送風ダクト402,402′の出口を通して所定の温度にされた空気が、図示しない送風機により延伸チャンバ101の外側から予熱装置室102,102′内の内部空間403,403′に供給される。
【0057】
また、予熱装置室102,102′の天井壁には排気ダクト114,114′の入口側端部が連結されており、この排気ダクト114,114′の出口側端部は延伸チャンバ
101の外側まで延在している。この送風ダクト402,402′の入口を通して予熱装置室102、102′内の内部空間403,403′の空気が延伸チャンバ101の外側に排出される。このような構成により、予熱装置室102,102′の内部空間403,403′内の温度が所定の範囲内となるように調節され、リンク装置200を含む無端リンク装置4,5の温度が適切に調節される。
【0058】
さらに、予熱搬送室106内側であってその内部空間404の上部の天井面の内側にはヒータ110が配置されており、このヒータ110からの輻射熱を中心とする熱が、下方を搬送されるシート状物に伝達されて所定の範囲の温度となるように加熱される。さらに、上述の通り、図示しないブロワから所定の温度の空気が供給されて内部空間404内の温度のムラを抑制してシート状物の温度をより均一にする。なお、図示されていないがブロワから内部空間404に供給された空気はその天井面の上方の空間であって延伸チャンバ101との間の空間である空間405に移動されてそこからさらに延伸チャンバ101の外側に排出される。
【0059】
このようにして、それぞれが別室として壁部材により区画された予熱装置室102,
102′及び予熱搬送室106内の内部空間403,403′,404は、それらの温度が独立して調節される。本実施例では、例えば、予熱搬送室106内の内部空間の温度は400℃、その両側の内部空間403,403′の温度は、200℃に調節されている。
【0060】
内部空間404は、シート状物の延伸に適した温度400℃に設定されている。このような温度にする場合、機械装置の駆動に問題が生じる場合が有る。例えば、本実施例のようにリンクガイドレール3上をリンク装置200が走行する場合には、各ガイドレール
205,206とリンク装置200のラジアル軸受213,214等の軸受、等長リンク201のリンク軸207,208等の回転部分に用いられた潤滑油等の流体,半流体の部材が温度の影響を受ける。
【0061】
400℃の高温の場合、潤滑油の潤滑性能が低下したり、粘度が著しく低下して流動性が大きくなり、リンク装置200走行時の振動や隙間の圧縮に伴って、表面の潤滑油が飛散して生じた潤滑油の飛抹がシート状物表面に付着してしまい汚染が生起されるといった問題が生じてしまう。
【0062】
これを抑制する上で、本実施例のように予熱,延伸,熱固定の各領域において無端リンク装置4,5及び搬送空間2の各々を別の空間となるように区画して、各空間での温度条件を含む環境を独立して調節可能に構成することが有効である。なお、搬送空間2には、リンク装置200の掴み装置202が搬送空間2と無端リンク装置4,5との間を仕切る仕切壁220の搬送空間2側に配置されて、シート状物をこの空間内で把持している。
【0063】
なお、上記の通り、延伸チャンバ101と予熱装置室102,102′との間の空間
401,401′は、予熱装置室102,102′、予熱搬送室106とは区画されて別の環境にされている。このような空間を備えることで、さらに内側の予熱装置室102,102′、予熱搬送室106を延伸チャンバ101外側から熱的により隔離して温度の調節を独立して行うことを容易にしている。
【0064】
また、ヒータ110は、本実施例では、放熱する棒状に配置された複数のヒータが隣り合わされて配置され放熱する側が面をなしてパネル状にされた構成となって、この放熱面から熱が輻射されて放熱面と対向する下方のシート状物の上面を加熱する構成である。パネル状に配置された放熱面を備えていることから、シート状物の上面全体の加熱の量を均一化することができ、シート状物の延伸の特性が局所的に偏ってしまい延伸の量が不均一となってしまうことを抑制している。
【0065】
本実施例では、棒状の各ヒータは、シート状物の幅(TD)方向に配置され、複数のヒータからの輻射熱がシート状物の幅方向に届くように構成される。さらに、各棒状のヒータが同一の発熱量を備えたものでは、シート状物の両端部に伝達される熱の量が小さくなるため、両端側のヒータの出力を中央側のものより大きくなるように調節する、あるいは発熱量の大きなものにする、より小型のヒータで数を多くするように配置してもよい。
【0066】
なお、本実施例の棒状の各ヒータは、内側でシート状物幅方向に線状に延在するヒータ線及びこの上方に配置されてヒータ線からの輻射熱を下方に反射する断面が円弧状で軸方向がヒータ線の線の延在方向に略平行に配置された半円弧筒形状の反射部材を備えている。また、このようなラインヒータの他に、セラミクスパネルから輻射熱を放射するヒータやシーズヒータ等を用いても良い。
【0067】
このようなヒータ110からの輻射熱とブロワからの温風の供給により、シート状物の温度ムラを低減してより均一な温度が実現されている。また、これらに共有される温度の高い空気は、送風ダクト402,402′から無端リンク装置4,5の下方から供給され上方から排気ダクト117,117′を通り排出される。このようにして、予熱搬送室
106のシート状物幅方向の両側に隣接して配置された予熱装置室102,102′内が200℃に維持されて、潤滑の問題の生起や装置の駆動に支障の発生が抑制される。
【0068】
図5(b)に示す熱固定領域14は、延伸領域13においてシート状物の幅方向についての延伸の量が0以上(延燐の倍率が1.0以上)にされて延伸された後流側であって、リンクガイドレール3は、図5(a)に示される状態と比べて上記幅方向についてシート状物の外側に位置しており、シート状物両端側に位置するリンクガイドレール3同士の距離が大きくなるように配置されている。
【0069】
さらに、本実施例では、熱固定領域14での無端リンク装置4,5のリンクガイドレール3同士は延伸領域13の終端におけるこれらの間の距離を維持して平行に配置されている。これにより、シート状物は、その幅方向の長さを延伸領域13出口のものと略同等に維持されて、その形状を固定するように上方向から加熱されつつ温度をできるだけ一定に維持して熱固定領域14の搬送空間2である第2熱固定搬送室109の出口に搬送された後、延伸チャンバ101から搬出されて冷却領域15において冷却された後リンク装置
200が外される。
【0070】
本図では、熱固定領域14の第2熱固定装置室105,105′及び第2熱固定搬送室109の構成を示しており、図5(a)と同様に、第2熱固定搬送室109に隣接したシート状物幅方向の両側に第2熱固定搬送室105,105′が配置された構成を示している。さらに、図5(a)と同様に、第2熱固定装置室105,105′とその外側の延伸チャンバ101との間の空間406、第2熱固定搬送室109の天井面上方の空間であって延伸チャンバ101との間の空間410が配置され、それぞれが所定の温度に調節されている。
【0071】
すなわち、第2熱固定装置室105,105′及びこれらの間に配置された熱固定搬送室109は、略同一の高さに構成されており、これらの内部にはリンク装置200を含む無端リンク装置4,5及び掴み装置とシート状物の予熱領域12の部分とが配置されている。さらに、これら第2熱固定装置室105,105′及びこれらの間に配置された第2熱固定搬送室109の外側であって延伸チャンバ101の内側の空間である406,
406′には大気圧の雰囲気があり、所定の温度に調節されていても良い。
【0072】
図5(a)の場合と同様、第2熱固定装置室105,105′の外側壁である側壁には送風ダクト407,407′の出口部分が連結されており、また、第2熱固定装置室105,105′の天井壁には排気ダクト117,117′の入口側端部が連結されており、この送風ダクト407,407′の出口を通して所定の温度にされた空気が内部空間408,408′に供給され、排気ダクト117,117′の入口を通して第2熱固定装置室
105,105′内の内部空間408,408′の空気が延伸チャンバ101の外側に排出され、内部空間408,408′内の温度が所定の範囲内となるように調節される。
【0073】
本実施例では、第2熱固定搬送室109の内部空間409は400℃、第2熱固定装置室105,105′の内側空間408,408′は200℃に温度が調節されている。このような温度を実現するため、第2熱固定搬送室109の天井面の内側には、ヒータ113が配置されており、このヒータ113からの輻射熱を中心とする熱が、下方を搬送されるシート状物に伝達されて所定の範囲の温度となるように加熱される。さらに、上述の通り、図示しないブロワから所定の温度の空気が供給されて内部空間409内の温度のムラを抑制してシート状物の温度をより均一にする。なお、図示されていないがブロワから内部空間409に供給された空気はその天井面の上方の空間であって延伸チャンバ101との間の空間である空間410に移動されてそこからさらに延伸チャンバ101の外側に排出される。
【0074】
また、ヒータ113は、図5(a)のヒータ110と同様に、棒状に配置された複数のヒータが隣り合わされて配置され放熱する側が面をなしてパネル状にされた構成を有して、この放熱面と対向する下方のシート状物の上面を所定の温度に維持する構成である。このような構成により、シート状物の上面全体の温度を均一化することができ、シート状物の延伸量が不均一となってしまうことを抑制して、シート状物の品質を向上させている。
【0075】
リンク装置200の走行により第2熱固定搬送室109から搬出されたシート状物は、延伸チャンバ101内より低音にされた外側の雰囲気に接触して冷却されて、掴み装置
202の動作により解放されて搬送(MD)方向に搬出される。
【0076】
上記の通り、本実施例では無端リンク装置4,5及び搬送空間2の予熱,延伸,熱固定の各領域を異なる空間として仕切られてその内部の温度の条件を含む環境を独立に調節可能にされた各室に区画されている。さらに、搬送空間2の内側の温度が200℃以上、望ましくは300℃以上の高温にされ、無端リンク装置4,5が配置された空間は200℃というより低い温度に調節された状態で、延伸機100を動作させている。
【0077】
このような構成により、延伸機を安定して動作させるとともにシート状物への悪影響を低減して、信頼性と延伸した結果としての製品の品質とを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明のシート状物の延伸機の構成の概略を説明する上面である。
【図2】図1に示すシート状物の延伸機のリンク装置の構成の概略を模式的に示す図である。
【図3】図1に示す実施例のリンク装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図4】図3に示すリンク装置の構成の概略を示す上面図である。
【図5】図1に示すシート状物の延伸機の装置各部分の配置の概略を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 延伸機
2 搬送空間
3 リンクガイドレール
4,5 無端リンク装置
6,7,8 スプロケット
10,11 ステージ
12 予熱領域
13 延伸領域
14 熱固定領域
15 冷却領域
101 延伸チャンバ
102,102′ 予熱装置室
103,103′ 延伸装置室
104,104′ 第1熱固定装置室
105,105′ 第2熱固定装置室
106 予熱搬送室
107 延伸搬送室
108 第1熱固定搬送室
109 第2熱固定搬送室
110,111,112,113 ヒータ
114,114′,115,115′,116,116′,117,117′ 排気ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性を有するシート状物の幅方向両端で向かい合って配置され、相互に連結されて折れ尺状に伸縮しつつ、前記シート状物の各端部を把持する複数の等長リンクを略水平面上の略閉じた経路に沿って案内して前記シート状物を入口側から出口側に搬送しつつ延伸した後、入口側に戻して走行させる無端リンク装置の対を備えたシート状物の延伸機であって、
前記無端リンク装置の各々は、前記シート状物の入口側であってこのシート状物を搬送して予熱するための予熱領域と、この後流側に配置されこのシート状物を前記経路の末広がり状の部分に沿って搬送し延伸するための延伸領域と、この後流側に配置され前記シート状物を搬送して熱固定するための熱固定領域と、前記経路の内側であって前記シート状物の入口側及び出口側に配置され前記複数の等長リンクを駆動する入口側スプロケット及び出口側スプロケットとを有し、
前記予熱領域,延伸領域及び熱固定領域の各々において、前記シート状物搬送される空間及びこの両側に配置される前記無端リンク装置の各々を囲んで区画された複数の異なる室と、これらの室の温度を独立に調節する温度調節装置とを備えたシート状物の延伸機。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状物の延伸機であって、
前記シート状物が搬送される空間を含む室の温度がその両側に配置され無端リンク装置を含む室の温度より高く調節されるシート状物の延伸機。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート状物の延伸機であって、
前記複数の室の各々に配置された前記温度調節装置は、所定の温度の空気を供給する送風手段及びこの室内の空気を排出する排気手段とを備えたシート状物の延伸機。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のシート状物の延伸機であって、
前記シート状物が搬送される空間を含む室に配置され熱を放射して前記シート状物を加熱するヒータとを備えたシート状物の延伸機。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載のシート状物の延伸機であって、
前記シート状物が搬送される空間を含む室の温度が300℃以上にされ、その両側に配置されて前記無端リンク装置を含む室の温度が200℃より低くされるシート状物の延伸機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−207509(P2008−207509A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48385(P2007−48385)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】