シート状物の延伸機
【課題】コンパクトな構成で精度の高い延伸を高速で行える延伸機を提供する。
【解決手段】シート状物の端部を把持する複数の掴み装置を前記シート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、入口側スプロケットから平行状態と末広がり状態に配置されたガイドレールに案内されてシート状物を延伸させ、延伸後にシート状物を外して出口側スプロケットを通って入口側スプロケットに戻るシート状物の延伸機において、リンク装置の折尺部を構成するリンクプレートを回転自在に接続するジョイント用リンク軸の下方に前記各ガイドレールに案内されるリンク軸ホルダを設け、シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に一方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けると共にシート状物側に掴み装置を設け、前記2対の横ローラは隣合う同士が上下にずれ、かつガイドレールを挟んだ対角同士が同じ高さとなるように設けられたことを特徴とする。
【解決手段】シート状物の端部を把持する複数の掴み装置を前記シート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、入口側スプロケットから平行状態と末広がり状態に配置されたガイドレールに案内されてシート状物を延伸させ、延伸後にシート状物を外して出口側スプロケットを通って入口側スプロケットに戻るシート状物の延伸機において、リンク装置の折尺部を構成するリンクプレートを回転自在に接続するジョイント用リンク軸の下方に前記各ガイドレールに案内されるリンク軸ホルダを設け、シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に一方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けると共にシート状物側に掴み装置を設け、前記2対の横ローラは隣合う同士が上下にずれ、かつガイドレールを挟んだ対角同士が同じ高さとなるように設けられたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物、例えば、熱可塑性樹脂フィルム等を延伸するシート状物の延伸機に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状物の延伸機の従来の一例を、特許文献1(特表2006−513069号公報)に示す。特許文献1には、フィルムを保持し、搬送し、そして延伸するための連続するグリッパーを使用して、縦方向および横方向に同時延伸するための延伸装置が示されている。グリッパーはレールによって支持されかつ案内されると共にグリッパー同士を一つに連結する無端チェーンによって前方に駆動され、無端チェーンは一つ以上のスプロケットによって駆動される。
【0003】
前記延伸装置は、延伸されるべきフィルムの両側に、可変離間距離の二つのレールに案内された無端チェーンを具備し、無端チェーンは垂直ピンを中心として互いに連結されたリンクの連続体からなる。グリッパーは二つのピンのうちの一方のピンに連結されるかまたは二つのリンク間に設けられ、かつ二つのレールの第1レールに案内されてチェーンの一方の側に突出する。これに対し案内片は、グリッパー間の、二つのうちの一方のピンに連結されるかあるいは二つのリンク間に設けられる。また、案内片は上記二つのレールの離間距離の変更によって、チェーンの連続するリンクがほぼ一列に並ぶか、または他方で連続するグリッパー同士の間の距離を固定しまたは変更するよう互いに角度をなすように、二つのレールのうちの第2レールに沿って移動する。
【0004】
好ましくは、グリッパーはチェーンの連続するリンクの二つの垂直ヒンジピンのうちの一方を中心として連結された本体を有し、一方、案内片は、先のヒンジピン同士の間に配置されたチェーンの連続するリンクの他方の垂直ヒンジピンを中心として連結されている。
【0005】
間隔片が2つのレール間に配置され、これによってリンクがクランプ同士の距離を固定または変更するように構成されている。
【0006】
2つのレールの間隔が縮まったときチェーンの連続するリンクが一列に並んで最大幅となるが、これは、各グリッパー本体および各案内片が互いに接近するようにリンクとの連結点(ヒンジピン)を押すことで、一列に並ぶように構成されている。このようにリンクとの連結点を押すように作用するためには、各グリッパー本体および各案内片は、レールに対する姿勢が固定されていることが必須である。姿勢が変化してしまうと、リンクとの連結点を正確に押すことができなくなるからである。このため、各グリッパー本体および各案内片は、各レールの両側に位置してそれぞれ2つのアッパーローラと2つのロアローラを備え、レールに沿って案内されるとき、姿勢が固定的に保たれている。
【0007】
各グリッパーは、フィルムの両側端を掴んでレールに沿って移動することにより、フィルムを縦方向(TD方向)と横方向(MD方向)に延伸する。このとき、各グリッパーは延伸方向と逆方向の反力を受け、横方向の延伸による反力の方向はフィルムの入り口側(フィルムの進行方向と逆向き)となる。上記反力はグリッパ本体に備えたローラとレールによって支えられるが、反力により各グリパー本体に撓みが生じると、フィルムの延伸精度に悪影響を与える。すなわち、撓みにより各グリパーのフィルムの掴む位置が変化するため、設定通りの横方向の延伸幅が得られない恐れがあり、グリッパー本体の撓みをできるだけ少なくすることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2006−513069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の延伸機では、フィルムの延伸時の反力によるグリッパーの撓み対策は考慮されておらず、グリッパー本体の撓みによりフィルムの延伸精度に影響する場合がある。
【0010】
また、2つのレールが、サポートによって保持されており、各グリッパー本体と各案内片は共に、このサポートの上方と下方に離して位置させた多数のローラで各レールを挟むように構成される。フレームがサポートの下まで延び、その先端にレールを挟む下方のローラが設けられており、フィルムの延伸時の反力によりフレーム部分の撓みが課題である。
【0011】
さらに、レールの上下幅が大きくなると共に、各グリッパー本体および各案内片のレールとの係合構造が複雑で、グリッパー本体および案内片からなる移動部分の寸法、重量が大きくなり、装置が大形化してしまうと共に、高速移動に適さない。
【0012】
また、各グリッパー本体および各案内片は共に、各レールの両側を挟む多数対のローラを介して案内されるため、レールに接触して移動するときローラが円滑に移動できない場合がある。すなわち、多数対のローラによって各グリッパー本体および各案内片を、共に固定的な姿勢に規制しながら案内するので、各ローラが窮屈な状態で移動することになるためである。これは、円滑な延伸に悪影響を与え、かつ高速移動に適さないので、生産性に影響を与える場合がある。
【0013】
さらに、各グリッパー本体および各案内片がレール間に突出しており、両者の突出先端の間にリンクが連結されているため、リンクの長さ寸法が小さくなり、MD方向(フィルムの進行方向)の延伸幅を大きくしにくい。
【0014】
本発明は、コンパクトな構成で精度の高い延伸を高速で行える延伸機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決するため、シート状物の端部を把持する複数の掴み装置を前記シート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、この無端リンク装置は折尺状に形成された複数個の等長リンク装置よりなり、入口側及び出口側のスプロケットにより駆動され、前記入口側スプロケットから送り出され進行方向に末広がり状態に並行して配置された複数の案内用ガイドレールに案内されてシート状物を延伸させ、延伸後にシート状物を外して前記出口側スプロケットを介して前記入口側スプロケットに戻るように構成されたシート状物の延伸機において、
前記等長リンク装置の折尺部を構成するリンクプレートを回転自在に接続するジョイント用リンク軸の下方に前記各ガイドレールに案内されるリンク軸ホルダを設け、シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に一方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けると共に、シート状物側に前記掴み装置を設け、前記2対の横ローラは隣合う同士が上下にずれ、かつガイドレールを挟んだ対角同士が同じ高さとなるように設けられたことを特徴とする。
【0016】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記2対の横ローラのうち、前記ガイドローラのシート状物側であって前記入口側の横ローラとその対角の横ローラは、前記リンク軸ホルダの本体に近い位置に設けられたことを特徴とする。
【0017】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、シート状物の両側に具備した無端リンク装置の各リンク軸ホルダの2対の横ローラは、シート状物を挟んで対称な上下位置に設けられたことを特徴とする。
【0018】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記2対の横ローラは隣合う同士のローラが重なるように上下に配置されたことを特徴とする。
【0019】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に他方のガイドレールの両側面を挟んで転動する1対の横ローラを設けたことを特徴とする。
【0020】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に他方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けたことを特徴とする。
【0021】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記反シート状物側のリンク軸ホルダは、ジョイント用リンク軸が前記他方のガイドレールのほぼ真上に位置するように配置されたことを特徴とする。
【0022】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記シート状物側のリンク軸ホルダはジョイント用リンク軸が前記一方のガイドレールのほぼ真上に位置するように配置されたことを特徴とする。
【0023】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記掴み装置を備えたリンク軸ホルダは、前記複数対の横ローラが一方のガイドレールに接触することにより掴み装置の姿勢が規制された状態でガイドレールに沿って案内されることを特徴とする。
【0024】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記掴み装置は一方のガイドレールに対してほぼ直角方向の姿勢を保って、案内されることを特徴とする。
【0025】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側のリンク軸ホルダーは、1対の横ローラによりガイドレールに対して姿勢が変化可能に案内されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、コンパクトな構成で、精度の高い延伸を高速に行うことができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明実施例の延伸機の平面図である。
【図2】図1の延伸機の等長リンク装置の断面図である。
【図3】本発明実施例の等長リンクを閉じた状態の平面図である。
【図4】図2の矢印Eからみたリンク軸ホルダの位置関係を示す図である。
【図5】図2の矢印Aからみたリンク軸ホルダの一部断面図である。
【図6】図2の矢印Bからみたリンク軸ホルダの一部断面図である。
【図7】図2の矢印Cからみたリンク軸ホルダの一部断面図である。
【図8】本発明実施例のシート状物側のリンク軸ホルダの裏面の斜視図である。
【図9】同じく反シート状物側のリンク軸ホルダの裏面の斜視図である。
【図10】同じくシート状物側のリンク軸ホルダの裏面の横ローラとガイドレールの係合関係を示す斜視図である。
【図11】同じく等長リンクを開いた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を図で詳細に説明する。まず、本発明の基本形態である同時二軸延伸機を、図1、図2を用いて説明する。
【0029】
図1は本発明の実施例である同時二軸延伸機の平面図で、図2は同じく等長リンク装置31の断面図で、その構成および動作は以下の通りである。
【0030】
シート状物1の端部を把持する複数(多数)の掴み装置2をシート状物1の両側に具備した無端リンク装置3(図中リンクの一部並びにシート状物の上半分の無端リンクは省略)は、折尺状に形成された複数個(多数個)の等長リンク装置31より構成される。さらに、無端リンク装置3は、シート状物1の入口側スプロケット4で駆動される。そして、入口に設けられた開閉ガイド等の開閉手段(図示せず)により掴み装置2が開閉されてシート状物1を掴み、予熱区間(図示せず)で延伸に必要な温度に加熱される。
【0031】
さらに、無端リンク装置3は、延伸区間において、進行方向Xに末広がり状に並行して配置された2本の案内用ガイドレール5、6に案内されて、TD方向(末広がり部分の縦方向)に延伸されると共に、MD方向(横の進行方向)について掴みピッチP1からP2に徐々に拡大することにより、シート状物1を縦横二方向(縦:TD方向、横:MD方向)に同時に延伸する。その後、熱処理区間において所定の温度で熱固定し、冷却区間で急冷し、出口に設けられた開閉ガイド等の開閉手段(図示せず)により掴み装置2を開閉してシート状物1を外し、外されたシート状物1はそのまま進行させることになる。さらに、無端リンク装置3は、出口側スプロケット7により駆動されて、入口側スプロケット4に戻るように構成される。
【0032】
即ち、シート状物の延伸機は、熱可塑性樹脂のシート状物1の端部を把持する多数の掴み装置2をシート状物1の両側端に具備した無端リンク装置3を設け、該無端リンク装置3は折尺状に形成された多数個の等長リンク装置31よりなり、シート状物1の入口側スプロケット4より駆動され、進行方向Xに末広がり状に配置された案内用ガイドレール5、6に案内されてシート状物1を延伸させた後シート状物1を外し、出口側スプロケット7により駆動されて、入口側スプロケット4に戻るように構成される。
【0033】
上記したように各掴み装置2は、シート状物1の両側端を掴んでレールに沿って進行方向Aに移動することにより、フィルムを縦方向(TD方向)と横方向(MD方向)に延伸する。そして、各掴み装置2には、MD方向の延伸による反力が加わり、その反力の方向は、延伸方向Xと逆方向のシート状物1の入り口側のスプロケット4の方向(フィルムの進行方向と逆向き)Yとなる。図示省略しているが、シート状物1の上半分の無端リンクの掴み装置2についても、同様に、MD方向の延伸による反力が矢印Y方向に加わる。
【0034】
案内用ガイドレールは、図2に示すように凸状部材で断面が矩形に形成され、シート状物側の一方のガイドレール5と、反シート状物側の他方のガイドレール6との並行する一対の組になっている。シート状物側ガイドレール5の中心のほぼ真上には、掴み装置2が連結されたジョイント用リンク軸8が配置され、他方の反シート状物側ガイドレール6の中心のほぼ真上には掴み装置2を有さないジョイント用リンク軸9が配置される。リンク軸8とリンク軸9は、リンクプレート15及び16を回転自在にジョイントするためのリンク軸である。
【0035】
リンク軸8、9の最下端にはそれぞれ案内用ガイドレール5、6を跨ぐようにリンク軸ホルダ10、11の本体が取付けられている。リンク軸ホルダ10、11の両側下方には、それぞれ対をなす横ローラ(ラジアル軸受)12(12a〜12d)、13が縦軸を中心に回転自在に取付けられている。上記横ローラ12、13は、等長リンク装置31の動きを規制する案内用ガイドレール5、6の両側面を挟んで転動するように配置されている。横ローラ12、13は、円筒形状をしており、その働き(回動)により、常に案内用ガイドレール5、6の両側面に対して実質的に垂直に接触しながら変化(回動)することにより、リンク軸8、9を高速で移動させ、等長リンク装置31を案内用ガイドレールに案内されて高速走行することが可能となる。
【0036】
リンク軸ホルダ10の下方の中央部には、案内用ガイドレール5の上面5aに接触して転動して走行する2個の縦ローラ12gが内蔵して取付けられている。図8はシート状物側のリンク軸ホルダの裏面の斜視図であり、縦ローラ12gが各対の横ローラ(12a〜12d)の中央に内臓されているのが分かる。リンク軸ホルダ11の下方の中央部には、案内用ガイドレール6の上面6aに接触して転動して走行する2個の縦ローラ13aが内蔵して取付けられている。図9は反シート状物側のリンク軸ホルダの裏面の斜視図であり、縦ローラ13aが1対の横ローラ13の中央に内臓されているのが分かる。
【0037】
縦ローラ12g、13aは、等長リンク装置31の荷重を受けて各ガイドレール5、6の上面5a、6aに伝える。縦ローラ12g、13aは横軸を中心に回転し、それぞれ2個のローラが各ガイドレールの上面に接触するので傾くことが無く、等長リンク装置31を安定して走行させることができる。
【0038】
前記リンク軸ホルダのうち、シート状物1に近いリンク軸ホルダ10には、シート状物に対向する側部が横に突出(ほぼ垂直に突出)して掴み装置2の取付け部17が形成されている。この取付け部17には前記掴み装置2が取付けられている。
【0039】
図3は等長リンクが閉じた状態の平面図で、図4は図2の矢印Eからみたリンク軸ホルダ10と11の位置関係を示す平面図である。図2に示すリンク軸ホルダ10は、ガイドレール5を挟む一方の対をなす横ローラ12a、12dと、ガイドレール5を挟む他方の対をなす横ローラ12b、12cの2対の横ローラを有する。上記構成のリンク軸ホルダ10は、案内用ガイドレール5に沿って多数並べて配置されている。一方、リンク軸ホルダ11は、ガイドレール6を挟む1対の横ローラ13を有し、案内用ガイドレール6に沿って多数並べて配置されている。
【0040】
リンク軸ホルダ10は、2対の横ローラ12a〜12d(4個)でガイドレール5の両側面に2個ずつ接触(2点接触)するので、その姿勢がガイドレール5によって規制される。従って、リンク軸ホルダ10に取付けられている掴み装置2の姿勢も規制され、図3のようにリンクプレート15、16が閉じた状態と、図11のリンクプレート15、16が開いた状態のいずれにおいても、常にガイドレール5に対してほぼ直角方向(垂直方向)にシート状物1側に突出した姿勢が保たれる。
【0041】
これに対し、リンク軸ホルダ11を、1対の横ローラ13、13でガイドレール6の両側面に1個ずつ接触(1点接触)すれば、リンク軸ホルダ10と比べてガイドレール6によって姿勢が強く規制されず、機構的な遊びの範囲でリンク軸9を中心に回動できるので、ガイドレール6に沿って移動する際に円滑な動作がなされる。なお、横ローラ13は、リンク軸ホルダ11の下端に2対設けても良い。
【0042】
図3、図4において、図の上方をシート状物の入口側とすると、図1で説明した延伸による掴み装置2への反力は、取付け部17に矢印Y方向に加わる。このY方向の反力によりリンク軸ホルダ10に矢印Z方向(反時計方向)の回転力が加わり、横ローラ12a〜12dにも加わる。この回転力による横ローラ12a〜12dのガイドレール5への接触状況をみると、横ローラ12bと12dがガイドレール5に強く接触し、横ローラ12aと12cがガイドレール5から離間するように作用する。したがって、反力は主に横ローラ12bと12dで支えられることになる。
【0043】
図5は図2の矢印Aからみたリンク軸ホルダ10の一部断面図で、図6は図2の矢印Bからみたリンク軸ホルダ10の一部断面図で、図8はリンク軸ホルダ10の裏面の斜視図、図10はリンク軸ホルダ10の裏面の横ローラとガイドレール5の係合関係を示す斜視図である。横ローラ12bと12dは、ガイドレール5の上部を挟むようにリンク軸ホルダ10の両側下方に設けられ、横ローラ12aと12cは、ガイドレール5の下部を挟むように、リンク軸ホルダ10の下端から突出させた支持軸12eの先端に設けられている。
【0044】
本実施例では、上記のように、リンク軸ホルダ10の両側下方に横ローラ12a〜12dを上下にずらし、対角同士の横ローラ12bと12dをリンク軸ホルダ10の本体に近い上方に位置させ、対角同士の横ローラ12aと12cをリンク軸ホルダ10の本体より遠い下方に位置させて、それぞれ設けている。対角同士の横ローラ12aと12cは、下方に位置させるために、リンク軸ホルダ10の下端から突出させた支持軸12eの先端に設けられ、掴み装置2から横ローラ12aまたは12cまでの距離が、支持軸12eの分だけ長くなり、この部分での撓みが大きくなる。
【0045】
これに比べて対角同士の横ローラ12bと12dは、リンク軸ホルダ10の下端に短い支持軸12fを介して設けられため、反力を支える横ローラ12bと12dの位置から掴み装置2までの距離が短くなり、この間の反力による撓みを小さくすることができる。したがって、撓みを小さく押さえることで、掴み装置2のシート状物1の掴む位置の変化を抑えることができ、精度の高い延伸を行うことができる。
【0046】
ここで、ガイドローラ5のシート状物側であって入口側の横ローラは12bであり、その対角の横ローラは12dである。
【0047】
図1で図示省略しているシート状物1の上半分の無端リンクの掴み装置2についても、同様に反力が加わるので、リンク軸ホルダの2対の横ローラのうち、隣り合う同士が上下にずれ、かつ、シート状物側であって入口側の横ローラと、その対角位置にある横ローラとを上方に位置させて設けている。したがって、シート状物1の両側に具備した無端リンク装置の各リンク軸ホルダの2対の横ローラは、シート状物1を挟んで(中心に)対称な上下位置に設けられている。
【0048】
リンク軸ホルダ10は、横ローラ12a〜12dの2対の横ローラが横に並んで配置されているので、1対の横ローラと比べてガイドレール5に沿った方向に大きな設置スペースを必要とする。本実施例では、リンク軸ホルダ10に隣接する横ローラ12aと12bを上下にずらし、かつ重ねて設けることにより、ガイドレール5に沿った上記設置スペースを抑制している。横ローラ12c12dについても同様である。すなわち、支持軸12eは、横ローラ12bおよび12dの厚さ分以上突出しているため、両横ローラ12aと12b、および12cと12dをそれぞれ接触することなく横方向に重ねて配置することがでる。したがって、この重なり分だけ、ガイドレール5に沿った横ローラ12aと12bの、設置スペースが抑制されている。
【0049】
また、図5、図6に示すように、上記構成のリンク軸ホルダー10をガイドレール5に沿って多数並べて配置すると、隣接するリンク軸ホルダー10の横ローラ12aと12b、および12cと12dがそれぞれ隣り合わせとなるが、隣の横ローラは上下に離れていて接触することが無いので、横方向に重ねて配置することができ、この重なり分だけ隣接するリンク軸ホルダー10のピッチを小さくすることができる。
【0050】
リンク軸ホルダー11は、図4、図7、図9に示すように、横ローラ13が1対でガイドレール6を挟んで対称に配置され、ガイドレール6の同じ位置(同じ高さの位置)を両側から挟んで安定した状態で走行するように構成される。
【0051】
なお、上述したようにリンク軸ホルダ10の各横ローラの設置スペース、及びピッチを小さくすることにより、リンク軸ホルダー10と11とは、ガイドレールに多数並べて配置されたとき、同一ピッチとなるように構成されている。
【0052】
各リンク軸ホルダー10と11のジョイント用リンク軸8と9は、図3に示すようにそれぞれ前記ガイドレール5と6の中心のほぼ真上に位置するように配置されている。このように構成することにより、前記特許文献1のグリッパー本体と案内片がレール間に突出してこの突出先端の間にリンクが連結される構造に比べ、リンク(リンクプレート)の長さをガイドレール5と6の間隔まで長くすることができる。したがって、図3に示す等長リンクの閉じた状態から、図11に示す等長リンクの開いた状態までのMD方向(フィルムの進行方向)の延伸長さ、および延伸倍率を大きくすることができる。換言すれば、同じ延伸長さおよび延伸倍率を達成するのに、ガイドレールの間隔を小さくできるので、延伸装置を小形化できる。
【0053】
上記構成において、案内用ガイドレールに案内される等長リンク装置31の走行動作について説明する。
【0054】
入口側スプロケット4の場所においては、図3の等長リンクが閉じた状態にあり、ガイドレール5からほぼ垂直方向に突出した各掴み装置2によりシート状物1の端部をピッチP1の間隔で掴む。等長リンク装置31が、シート状物の入口側スプロケット4より駆動されると、各リンク軸ホルダの横ローラが、それぞれ案内用ガイドレール5と6に接触して回転しながら移動する。
【0055】
横ローラ12(12a〜12d)、13が、末広がり状態に配置された案内用ガイドレール5、6に至ると、両ガイドレール5と6の間隔が次第に狭まって等長リンクが閉じた状態から次第に開いていく。図11に示すように隣接するリンク軸ホルダ10同士、およびリンク軸ホルダ11同士は間隔が広がり、掴み装置2の間隔も広がる。リンク軸ホルダ間隔が広がる領域は、ガイドレール5が図1で末広がり状態とその後の直線状態であり、ガイドレール6が5に接近する構成となっている。
【0056】
リンク軸ホルダ10は、ガイドレール5によって姿勢が規制されたまま案内され、掴み装置2はガイドレール5から垂直方向に突出した姿勢状態でシート状物を延伸する。このように、掴み装置2は、ガイドレールに対し、入口側スプロケット4の場所においてシート状物を掴んだ姿勢の状態を維持しながら延伸動作を行なうことになり、シート状物の把持部分が回転(ツイスト)せずシート状物1が破れることがない。
【0057】
また、各掴み装置2は延伸に伴う矢印Y方向の反力を受けるが、この反力を掴み装置2から最も距離が短くなる横ローラ12b、12cで受けているので、掴み装置2と横ローラ間の撓みを少なくすることができ、掴み位置が変化することが無く精度の高い延伸を行うことができる。
【0058】
リンク軸ホルダ11は1対の横ローラ13を有するため、ガイドレール6の両側面に1個ずつの横ローラが接触(1点接触)して回動する。横ローラ13とガイドレール6との間に遊びがあるので、ガイドレール6に沿う回動時の互いの力関係により、姿勢の多少の変化が可能である。前述したようにリンク軸ホルダ10は、姿勢が複数対の横ローラ12a〜12dによって規制されるが、リンク軸ホルダ11の遊び分で緩和される。したがって、リンク軸ホルダ10は、窮屈な状態が緩和されながらガイドレール5に沿って円滑に移動することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、掴み装置2と横ローラ間の撓みを少なくすることができ、掴み位置が変化することが無く精度の高い延伸を行うことができる。
【0060】
また、姿勢を一定に維持するためリンク軸ホルダ10に複数対の横ローラを設けているが、横ローラは隣合う同士のローラが重なるように上下にずらして配置されているので、設置スペースを小さく抑え、隣接する掴み装置2のピッチを小さくすることができる。掴み装置2のピッチが小さくなることでシート状物を小さなピッチで掴むことができ、延伸時に高精度な延伸で延伸されたシート状物の品質を高く維持することができる。
【0061】
さらに、ジョイント用リンク軸は、それぞれ対応するガイドレールの中心のほぼ真上に位置するように配置されているので、リンクプレートをガイドレールの設置間隔まで長く設定することができるので、小形の延伸装置(ガイドレールの間隔の狭い装置)でも延伸長さおよび延伸倍率を大きく設定することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…シート状物、2…掴み装置、3…無端リンク装置、4…入口側スプロケット、5…一方のガイドレール、6…他方のガイドレール、7…出口側スプロケット、8、9…リンク軸、10、11…リンク軸ホルダー、12、12a〜12d…2対の横ローラ、12a、12c…対角同士の横ローラ、12b、12d…対角同士の横ローラ、13…横ローラ、13…1対の横ローラ、15、16…リンクプレート、17…掴み装置の取付け部、31…等長リンク装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物、例えば、熱可塑性樹脂フィルム等を延伸するシート状物の延伸機に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状物の延伸機の従来の一例を、特許文献1(特表2006−513069号公報)に示す。特許文献1には、フィルムを保持し、搬送し、そして延伸するための連続するグリッパーを使用して、縦方向および横方向に同時延伸するための延伸装置が示されている。グリッパーはレールによって支持されかつ案内されると共にグリッパー同士を一つに連結する無端チェーンによって前方に駆動され、無端チェーンは一つ以上のスプロケットによって駆動される。
【0003】
前記延伸装置は、延伸されるべきフィルムの両側に、可変離間距離の二つのレールに案内された無端チェーンを具備し、無端チェーンは垂直ピンを中心として互いに連結されたリンクの連続体からなる。グリッパーは二つのピンのうちの一方のピンに連結されるかまたは二つのリンク間に設けられ、かつ二つのレールの第1レールに案内されてチェーンの一方の側に突出する。これに対し案内片は、グリッパー間の、二つのうちの一方のピンに連結されるかあるいは二つのリンク間に設けられる。また、案内片は上記二つのレールの離間距離の変更によって、チェーンの連続するリンクがほぼ一列に並ぶか、または他方で連続するグリッパー同士の間の距離を固定しまたは変更するよう互いに角度をなすように、二つのレールのうちの第2レールに沿って移動する。
【0004】
好ましくは、グリッパーはチェーンの連続するリンクの二つの垂直ヒンジピンのうちの一方を中心として連結された本体を有し、一方、案内片は、先のヒンジピン同士の間に配置されたチェーンの連続するリンクの他方の垂直ヒンジピンを中心として連結されている。
【0005】
間隔片が2つのレール間に配置され、これによってリンクがクランプ同士の距離を固定または変更するように構成されている。
【0006】
2つのレールの間隔が縮まったときチェーンの連続するリンクが一列に並んで最大幅となるが、これは、各グリッパー本体および各案内片が互いに接近するようにリンクとの連結点(ヒンジピン)を押すことで、一列に並ぶように構成されている。このようにリンクとの連結点を押すように作用するためには、各グリッパー本体および各案内片は、レールに対する姿勢が固定されていることが必須である。姿勢が変化してしまうと、リンクとの連結点を正確に押すことができなくなるからである。このため、各グリッパー本体および各案内片は、各レールの両側に位置してそれぞれ2つのアッパーローラと2つのロアローラを備え、レールに沿って案内されるとき、姿勢が固定的に保たれている。
【0007】
各グリッパーは、フィルムの両側端を掴んでレールに沿って移動することにより、フィルムを縦方向(TD方向)と横方向(MD方向)に延伸する。このとき、各グリッパーは延伸方向と逆方向の反力を受け、横方向の延伸による反力の方向はフィルムの入り口側(フィルムの進行方向と逆向き)となる。上記反力はグリッパ本体に備えたローラとレールによって支えられるが、反力により各グリパー本体に撓みが生じると、フィルムの延伸精度に悪影響を与える。すなわち、撓みにより各グリパーのフィルムの掴む位置が変化するため、設定通りの横方向の延伸幅が得られない恐れがあり、グリッパー本体の撓みをできるだけ少なくすることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2006−513069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の延伸機では、フィルムの延伸時の反力によるグリッパーの撓み対策は考慮されておらず、グリッパー本体の撓みによりフィルムの延伸精度に影響する場合がある。
【0010】
また、2つのレールが、サポートによって保持されており、各グリッパー本体と各案内片は共に、このサポートの上方と下方に離して位置させた多数のローラで各レールを挟むように構成される。フレームがサポートの下まで延び、その先端にレールを挟む下方のローラが設けられており、フィルムの延伸時の反力によりフレーム部分の撓みが課題である。
【0011】
さらに、レールの上下幅が大きくなると共に、各グリッパー本体および各案内片のレールとの係合構造が複雑で、グリッパー本体および案内片からなる移動部分の寸法、重量が大きくなり、装置が大形化してしまうと共に、高速移動に適さない。
【0012】
また、各グリッパー本体および各案内片は共に、各レールの両側を挟む多数対のローラを介して案内されるため、レールに接触して移動するときローラが円滑に移動できない場合がある。すなわち、多数対のローラによって各グリッパー本体および各案内片を、共に固定的な姿勢に規制しながら案内するので、各ローラが窮屈な状態で移動することになるためである。これは、円滑な延伸に悪影響を与え、かつ高速移動に適さないので、生産性に影響を与える場合がある。
【0013】
さらに、各グリッパー本体および各案内片がレール間に突出しており、両者の突出先端の間にリンクが連結されているため、リンクの長さ寸法が小さくなり、MD方向(フィルムの進行方向)の延伸幅を大きくしにくい。
【0014】
本発明は、コンパクトな構成で精度の高い延伸を高速で行える延伸機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決するため、シート状物の端部を把持する複数の掴み装置を前記シート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、この無端リンク装置は折尺状に形成された複数個の等長リンク装置よりなり、入口側及び出口側のスプロケットにより駆動され、前記入口側スプロケットから送り出され進行方向に末広がり状態に並行して配置された複数の案内用ガイドレールに案内されてシート状物を延伸させ、延伸後にシート状物を外して前記出口側スプロケットを介して前記入口側スプロケットに戻るように構成されたシート状物の延伸機において、
前記等長リンク装置の折尺部を構成するリンクプレートを回転自在に接続するジョイント用リンク軸の下方に前記各ガイドレールに案内されるリンク軸ホルダを設け、シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に一方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けると共に、シート状物側に前記掴み装置を設け、前記2対の横ローラは隣合う同士が上下にずれ、かつガイドレールを挟んだ対角同士が同じ高さとなるように設けられたことを特徴とする。
【0016】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記2対の横ローラのうち、前記ガイドローラのシート状物側であって前記入口側の横ローラとその対角の横ローラは、前記リンク軸ホルダの本体に近い位置に設けられたことを特徴とする。
【0017】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、シート状物の両側に具備した無端リンク装置の各リンク軸ホルダの2対の横ローラは、シート状物を挟んで対称な上下位置に設けられたことを特徴とする。
【0018】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記2対の横ローラは隣合う同士のローラが重なるように上下に配置されたことを特徴とする。
【0019】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に他方のガイドレールの両側面を挟んで転動する1対の横ローラを設けたことを特徴とする。
【0020】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に他方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けたことを特徴とする。
【0021】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記反シート状物側のリンク軸ホルダは、ジョイント用リンク軸が前記他方のガイドレールのほぼ真上に位置するように配置されたことを特徴とする。
【0022】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記シート状物側のリンク軸ホルダはジョイント用リンク軸が前記一方のガイドレールのほぼ真上に位置するように配置されたことを特徴とする。
【0023】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記掴み装置を備えたリンク軸ホルダは、前記複数対の横ローラが一方のガイドレールに接触することにより掴み装置の姿勢が規制された状態でガイドレールに沿って案内されることを特徴とする。
【0024】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、前記掴み装置は一方のガイドレールに対してほぼ直角方向の姿勢を保って、案内されることを特徴とする。
【0025】
また、上記に記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側のリンク軸ホルダーは、1対の横ローラによりガイドレールに対して姿勢が変化可能に案内されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、コンパクトな構成で、精度の高い延伸を高速に行うことができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明実施例の延伸機の平面図である。
【図2】図1の延伸機の等長リンク装置の断面図である。
【図3】本発明実施例の等長リンクを閉じた状態の平面図である。
【図4】図2の矢印Eからみたリンク軸ホルダの位置関係を示す図である。
【図5】図2の矢印Aからみたリンク軸ホルダの一部断面図である。
【図6】図2の矢印Bからみたリンク軸ホルダの一部断面図である。
【図7】図2の矢印Cからみたリンク軸ホルダの一部断面図である。
【図8】本発明実施例のシート状物側のリンク軸ホルダの裏面の斜視図である。
【図9】同じく反シート状物側のリンク軸ホルダの裏面の斜視図である。
【図10】同じくシート状物側のリンク軸ホルダの裏面の横ローラとガイドレールの係合関係を示す斜視図である。
【図11】同じく等長リンクを開いた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を図で詳細に説明する。まず、本発明の基本形態である同時二軸延伸機を、図1、図2を用いて説明する。
【0029】
図1は本発明の実施例である同時二軸延伸機の平面図で、図2は同じく等長リンク装置31の断面図で、その構成および動作は以下の通りである。
【0030】
シート状物1の端部を把持する複数(多数)の掴み装置2をシート状物1の両側に具備した無端リンク装置3(図中リンクの一部並びにシート状物の上半分の無端リンクは省略)は、折尺状に形成された複数個(多数個)の等長リンク装置31より構成される。さらに、無端リンク装置3は、シート状物1の入口側スプロケット4で駆動される。そして、入口に設けられた開閉ガイド等の開閉手段(図示せず)により掴み装置2が開閉されてシート状物1を掴み、予熱区間(図示せず)で延伸に必要な温度に加熱される。
【0031】
さらに、無端リンク装置3は、延伸区間において、進行方向Xに末広がり状に並行して配置された2本の案内用ガイドレール5、6に案内されて、TD方向(末広がり部分の縦方向)に延伸されると共に、MD方向(横の進行方向)について掴みピッチP1からP2に徐々に拡大することにより、シート状物1を縦横二方向(縦:TD方向、横:MD方向)に同時に延伸する。その後、熱処理区間において所定の温度で熱固定し、冷却区間で急冷し、出口に設けられた開閉ガイド等の開閉手段(図示せず)により掴み装置2を開閉してシート状物1を外し、外されたシート状物1はそのまま進行させることになる。さらに、無端リンク装置3は、出口側スプロケット7により駆動されて、入口側スプロケット4に戻るように構成される。
【0032】
即ち、シート状物の延伸機は、熱可塑性樹脂のシート状物1の端部を把持する多数の掴み装置2をシート状物1の両側端に具備した無端リンク装置3を設け、該無端リンク装置3は折尺状に形成された多数個の等長リンク装置31よりなり、シート状物1の入口側スプロケット4より駆動され、進行方向Xに末広がり状に配置された案内用ガイドレール5、6に案内されてシート状物1を延伸させた後シート状物1を外し、出口側スプロケット7により駆動されて、入口側スプロケット4に戻るように構成される。
【0033】
上記したように各掴み装置2は、シート状物1の両側端を掴んでレールに沿って進行方向Aに移動することにより、フィルムを縦方向(TD方向)と横方向(MD方向)に延伸する。そして、各掴み装置2には、MD方向の延伸による反力が加わり、その反力の方向は、延伸方向Xと逆方向のシート状物1の入り口側のスプロケット4の方向(フィルムの進行方向と逆向き)Yとなる。図示省略しているが、シート状物1の上半分の無端リンクの掴み装置2についても、同様に、MD方向の延伸による反力が矢印Y方向に加わる。
【0034】
案内用ガイドレールは、図2に示すように凸状部材で断面が矩形に形成され、シート状物側の一方のガイドレール5と、反シート状物側の他方のガイドレール6との並行する一対の組になっている。シート状物側ガイドレール5の中心のほぼ真上には、掴み装置2が連結されたジョイント用リンク軸8が配置され、他方の反シート状物側ガイドレール6の中心のほぼ真上には掴み装置2を有さないジョイント用リンク軸9が配置される。リンク軸8とリンク軸9は、リンクプレート15及び16を回転自在にジョイントするためのリンク軸である。
【0035】
リンク軸8、9の最下端にはそれぞれ案内用ガイドレール5、6を跨ぐようにリンク軸ホルダ10、11の本体が取付けられている。リンク軸ホルダ10、11の両側下方には、それぞれ対をなす横ローラ(ラジアル軸受)12(12a〜12d)、13が縦軸を中心に回転自在に取付けられている。上記横ローラ12、13は、等長リンク装置31の動きを規制する案内用ガイドレール5、6の両側面を挟んで転動するように配置されている。横ローラ12、13は、円筒形状をしており、その働き(回動)により、常に案内用ガイドレール5、6の両側面に対して実質的に垂直に接触しながら変化(回動)することにより、リンク軸8、9を高速で移動させ、等長リンク装置31を案内用ガイドレールに案内されて高速走行することが可能となる。
【0036】
リンク軸ホルダ10の下方の中央部には、案内用ガイドレール5の上面5aに接触して転動して走行する2個の縦ローラ12gが内蔵して取付けられている。図8はシート状物側のリンク軸ホルダの裏面の斜視図であり、縦ローラ12gが各対の横ローラ(12a〜12d)の中央に内臓されているのが分かる。リンク軸ホルダ11の下方の中央部には、案内用ガイドレール6の上面6aに接触して転動して走行する2個の縦ローラ13aが内蔵して取付けられている。図9は反シート状物側のリンク軸ホルダの裏面の斜視図であり、縦ローラ13aが1対の横ローラ13の中央に内臓されているのが分かる。
【0037】
縦ローラ12g、13aは、等長リンク装置31の荷重を受けて各ガイドレール5、6の上面5a、6aに伝える。縦ローラ12g、13aは横軸を中心に回転し、それぞれ2個のローラが各ガイドレールの上面に接触するので傾くことが無く、等長リンク装置31を安定して走行させることができる。
【0038】
前記リンク軸ホルダのうち、シート状物1に近いリンク軸ホルダ10には、シート状物に対向する側部が横に突出(ほぼ垂直に突出)して掴み装置2の取付け部17が形成されている。この取付け部17には前記掴み装置2が取付けられている。
【0039】
図3は等長リンクが閉じた状態の平面図で、図4は図2の矢印Eからみたリンク軸ホルダ10と11の位置関係を示す平面図である。図2に示すリンク軸ホルダ10は、ガイドレール5を挟む一方の対をなす横ローラ12a、12dと、ガイドレール5を挟む他方の対をなす横ローラ12b、12cの2対の横ローラを有する。上記構成のリンク軸ホルダ10は、案内用ガイドレール5に沿って多数並べて配置されている。一方、リンク軸ホルダ11は、ガイドレール6を挟む1対の横ローラ13を有し、案内用ガイドレール6に沿って多数並べて配置されている。
【0040】
リンク軸ホルダ10は、2対の横ローラ12a〜12d(4個)でガイドレール5の両側面に2個ずつ接触(2点接触)するので、その姿勢がガイドレール5によって規制される。従って、リンク軸ホルダ10に取付けられている掴み装置2の姿勢も規制され、図3のようにリンクプレート15、16が閉じた状態と、図11のリンクプレート15、16が開いた状態のいずれにおいても、常にガイドレール5に対してほぼ直角方向(垂直方向)にシート状物1側に突出した姿勢が保たれる。
【0041】
これに対し、リンク軸ホルダ11を、1対の横ローラ13、13でガイドレール6の両側面に1個ずつ接触(1点接触)すれば、リンク軸ホルダ10と比べてガイドレール6によって姿勢が強く規制されず、機構的な遊びの範囲でリンク軸9を中心に回動できるので、ガイドレール6に沿って移動する際に円滑な動作がなされる。なお、横ローラ13は、リンク軸ホルダ11の下端に2対設けても良い。
【0042】
図3、図4において、図の上方をシート状物の入口側とすると、図1で説明した延伸による掴み装置2への反力は、取付け部17に矢印Y方向に加わる。このY方向の反力によりリンク軸ホルダ10に矢印Z方向(反時計方向)の回転力が加わり、横ローラ12a〜12dにも加わる。この回転力による横ローラ12a〜12dのガイドレール5への接触状況をみると、横ローラ12bと12dがガイドレール5に強く接触し、横ローラ12aと12cがガイドレール5から離間するように作用する。したがって、反力は主に横ローラ12bと12dで支えられることになる。
【0043】
図5は図2の矢印Aからみたリンク軸ホルダ10の一部断面図で、図6は図2の矢印Bからみたリンク軸ホルダ10の一部断面図で、図8はリンク軸ホルダ10の裏面の斜視図、図10はリンク軸ホルダ10の裏面の横ローラとガイドレール5の係合関係を示す斜視図である。横ローラ12bと12dは、ガイドレール5の上部を挟むようにリンク軸ホルダ10の両側下方に設けられ、横ローラ12aと12cは、ガイドレール5の下部を挟むように、リンク軸ホルダ10の下端から突出させた支持軸12eの先端に設けられている。
【0044】
本実施例では、上記のように、リンク軸ホルダ10の両側下方に横ローラ12a〜12dを上下にずらし、対角同士の横ローラ12bと12dをリンク軸ホルダ10の本体に近い上方に位置させ、対角同士の横ローラ12aと12cをリンク軸ホルダ10の本体より遠い下方に位置させて、それぞれ設けている。対角同士の横ローラ12aと12cは、下方に位置させるために、リンク軸ホルダ10の下端から突出させた支持軸12eの先端に設けられ、掴み装置2から横ローラ12aまたは12cまでの距離が、支持軸12eの分だけ長くなり、この部分での撓みが大きくなる。
【0045】
これに比べて対角同士の横ローラ12bと12dは、リンク軸ホルダ10の下端に短い支持軸12fを介して設けられため、反力を支える横ローラ12bと12dの位置から掴み装置2までの距離が短くなり、この間の反力による撓みを小さくすることができる。したがって、撓みを小さく押さえることで、掴み装置2のシート状物1の掴む位置の変化を抑えることができ、精度の高い延伸を行うことができる。
【0046】
ここで、ガイドローラ5のシート状物側であって入口側の横ローラは12bであり、その対角の横ローラは12dである。
【0047】
図1で図示省略しているシート状物1の上半分の無端リンクの掴み装置2についても、同様に反力が加わるので、リンク軸ホルダの2対の横ローラのうち、隣り合う同士が上下にずれ、かつ、シート状物側であって入口側の横ローラと、その対角位置にある横ローラとを上方に位置させて設けている。したがって、シート状物1の両側に具備した無端リンク装置の各リンク軸ホルダの2対の横ローラは、シート状物1を挟んで(中心に)対称な上下位置に設けられている。
【0048】
リンク軸ホルダ10は、横ローラ12a〜12dの2対の横ローラが横に並んで配置されているので、1対の横ローラと比べてガイドレール5に沿った方向に大きな設置スペースを必要とする。本実施例では、リンク軸ホルダ10に隣接する横ローラ12aと12bを上下にずらし、かつ重ねて設けることにより、ガイドレール5に沿った上記設置スペースを抑制している。横ローラ12c12dについても同様である。すなわち、支持軸12eは、横ローラ12bおよび12dの厚さ分以上突出しているため、両横ローラ12aと12b、および12cと12dをそれぞれ接触することなく横方向に重ねて配置することがでる。したがって、この重なり分だけ、ガイドレール5に沿った横ローラ12aと12bの、設置スペースが抑制されている。
【0049】
また、図5、図6に示すように、上記構成のリンク軸ホルダー10をガイドレール5に沿って多数並べて配置すると、隣接するリンク軸ホルダー10の横ローラ12aと12b、および12cと12dがそれぞれ隣り合わせとなるが、隣の横ローラは上下に離れていて接触することが無いので、横方向に重ねて配置することができ、この重なり分だけ隣接するリンク軸ホルダー10のピッチを小さくすることができる。
【0050】
リンク軸ホルダー11は、図4、図7、図9に示すように、横ローラ13が1対でガイドレール6を挟んで対称に配置され、ガイドレール6の同じ位置(同じ高さの位置)を両側から挟んで安定した状態で走行するように構成される。
【0051】
なお、上述したようにリンク軸ホルダ10の各横ローラの設置スペース、及びピッチを小さくすることにより、リンク軸ホルダー10と11とは、ガイドレールに多数並べて配置されたとき、同一ピッチとなるように構成されている。
【0052】
各リンク軸ホルダー10と11のジョイント用リンク軸8と9は、図3に示すようにそれぞれ前記ガイドレール5と6の中心のほぼ真上に位置するように配置されている。このように構成することにより、前記特許文献1のグリッパー本体と案内片がレール間に突出してこの突出先端の間にリンクが連結される構造に比べ、リンク(リンクプレート)の長さをガイドレール5と6の間隔まで長くすることができる。したがって、図3に示す等長リンクの閉じた状態から、図11に示す等長リンクの開いた状態までのMD方向(フィルムの進行方向)の延伸長さ、および延伸倍率を大きくすることができる。換言すれば、同じ延伸長さおよび延伸倍率を達成するのに、ガイドレールの間隔を小さくできるので、延伸装置を小形化できる。
【0053】
上記構成において、案内用ガイドレールに案内される等長リンク装置31の走行動作について説明する。
【0054】
入口側スプロケット4の場所においては、図3の等長リンクが閉じた状態にあり、ガイドレール5からほぼ垂直方向に突出した各掴み装置2によりシート状物1の端部をピッチP1の間隔で掴む。等長リンク装置31が、シート状物の入口側スプロケット4より駆動されると、各リンク軸ホルダの横ローラが、それぞれ案内用ガイドレール5と6に接触して回転しながら移動する。
【0055】
横ローラ12(12a〜12d)、13が、末広がり状態に配置された案内用ガイドレール5、6に至ると、両ガイドレール5と6の間隔が次第に狭まって等長リンクが閉じた状態から次第に開いていく。図11に示すように隣接するリンク軸ホルダ10同士、およびリンク軸ホルダ11同士は間隔が広がり、掴み装置2の間隔も広がる。リンク軸ホルダ間隔が広がる領域は、ガイドレール5が図1で末広がり状態とその後の直線状態であり、ガイドレール6が5に接近する構成となっている。
【0056】
リンク軸ホルダ10は、ガイドレール5によって姿勢が規制されたまま案内され、掴み装置2はガイドレール5から垂直方向に突出した姿勢状態でシート状物を延伸する。このように、掴み装置2は、ガイドレールに対し、入口側スプロケット4の場所においてシート状物を掴んだ姿勢の状態を維持しながら延伸動作を行なうことになり、シート状物の把持部分が回転(ツイスト)せずシート状物1が破れることがない。
【0057】
また、各掴み装置2は延伸に伴う矢印Y方向の反力を受けるが、この反力を掴み装置2から最も距離が短くなる横ローラ12b、12cで受けているので、掴み装置2と横ローラ間の撓みを少なくすることができ、掴み位置が変化することが無く精度の高い延伸を行うことができる。
【0058】
リンク軸ホルダ11は1対の横ローラ13を有するため、ガイドレール6の両側面に1個ずつの横ローラが接触(1点接触)して回動する。横ローラ13とガイドレール6との間に遊びがあるので、ガイドレール6に沿う回動時の互いの力関係により、姿勢の多少の変化が可能である。前述したようにリンク軸ホルダ10は、姿勢が複数対の横ローラ12a〜12dによって規制されるが、リンク軸ホルダ11の遊び分で緩和される。したがって、リンク軸ホルダ10は、窮屈な状態が緩和されながらガイドレール5に沿って円滑に移動することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、掴み装置2と横ローラ間の撓みを少なくすることができ、掴み位置が変化することが無く精度の高い延伸を行うことができる。
【0060】
また、姿勢を一定に維持するためリンク軸ホルダ10に複数対の横ローラを設けているが、横ローラは隣合う同士のローラが重なるように上下にずらして配置されているので、設置スペースを小さく抑え、隣接する掴み装置2のピッチを小さくすることができる。掴み装置2のピッチが小さくなることでシート状物を小さなピッチで掴むことができ、延伸時に高精度な延伸で延伸されたシート状物の品質を高く維持することができる。
【0061】
さらに、ジョイント用リンク軸は、それぞれ対応するガイドレールの中心のほぼ真上に位置するように配置されているので、リンクプレートをガイドレールの設置間隔まで長く設定することができるので、小形の延伸装置(ガイドレールの間隔の狭い装置)でも延伸長さおよび延伸倍率を大きく設定することができる。
【符号の説明】
【0062】
1…シート状物、2…掴み装置、3…無端リンク装置、4…入口側スプロケット、5…一方のガイドレール、6…他方のガイドレール、7…出口側スプロケット、8、9…リンク軸、10、11…リンク軸ホルダー、12、12a〜12d…2対の横ローラ、12a、12c…対角同士の横ローラ、12b、12d…対角同士の横ローラ、13…横ローラ、13…1対の横ローラ、15、16…リンクプレート、17…掴み装置の取付け部、31…等長リンク装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物の端部を把持する複数の掴み装置を前記シート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、この無端リンク装置は折尺状に形成された複数個の等長リンク装置よりなり、入口側又は出口側のスプロケットにより駆動され、前記入口側スプロケットから送り出され進行方向に末広がり状態に並行して配置された複数の案内用ガイドレールに案内されてシート状物を延伸させ、延伸後にシート状物を外して前記出口側スプロケットを介して前記入口側スプロケットに戻るように構成されたシート状物の延伸機において、
前記等長リンク装置の折尺部を構成するリンクプレートを回転自在に接続するジョイント用リンク軸の下方に前記各ガイドレールに案内されるリンク軸ホルダを設け、シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に一方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けると共に、シート状物側に前記掴み装置を設け、前記2対の横ローラは隣合う同士が上下にずれ、かつガイドレールを挟んだ対角同士が同じ高さとなるように設けられたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状物の延伸機において、前記2対の横ローラのうち、シート状物側であって前記入口側の横ローラとその対角の横ローラは、前記リンク軸ホルダの本体に近い位置に設けられたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項3】
請求項2に記載のシート状物の延伸機において、シート状物の両側に具備した無端リンク装置の各リンク軸ホルダの2対の横ローラは、シート状物を挟んで対称な上下位置に設けられたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、前記2対の横ローラは隣合う同士のローラが重なるように上下に配置されたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に他方のガイドレールの両側面を挟んで転動する1対の横ローラを設けたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に他方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、前記反シート状物側のリンク軸ホルダは、ジョイント用リンク軸が前記他方のガイドレールのほぼ真上に位置するように配置されたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、前記シート状物側のリンク軸ホルダはジョイント用リンク軸が前記一方のガイドレールのほぼ真上に位置するように配置されたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、前記掴み装置を備えたリンク軸ホルダは、前記複数対の横ローラが一方のガイドレールに接触することにより掴み装置の姿勢が規制された状態でガイドレールに沿って案内されることを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項10】
請求項9に記載のシート状物の延伸機において、前記掴み装置は一方のガイドレールに対してほぼ直角方向の姿勢を保って、案内されることを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側のリンク軸ホルダーは、1対の横ローラによりガイドレールに対して姿勢が変化可能に案内されることを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項1】
シート状物の端部を把持する複数の掴み装置を前記シート状物の両側端に具備した無端リンク装置を設け、この無端リンク装置は折尺状に形成された複数個の等長リンク装置よりなり、入口側又は出口側のスプロケットにより駆動され、前記入口側スプロケットから送り出され進行方向に末広がり状態に並行して配置された複数の案内用ガイドレールに案内されてシート状物を延伸させ、延伸後にシート状物を外して前記出口側スプロケットを介して前記入口側スプロケットに戻るように構成されたシート状物の延伸機において、
前記等長リンク装置の折尺部を構成するリンクプレートを回転自在に接続するジョイント用リンク軸の下方に前記各ガイドレールに案内されるリンク軸ホルダを設け、シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に一方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けると共に、シート状物側に前記掴み装置を設け、前記2対の横ローラは隣合う同士が上下にずれ、かつガイドレールを挟んだ対角同士が同じ高さとなるように設けられたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状物の延伸機において、前記2対の横ローラのうち、シート状物側であって前記入口側の横ローラとその対角の横ローラは、前記リンク軸ホルダの本体に近い位置に設けられたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項3】
請求項2に記載のシート状物の延伸機において、シート状物の両側に具備した無端リンク装置の各リンク軸ホルダの2対の横ローラは、シート状物を挟んで対称な上下位置に設けられたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、前記2対の横ローラは隣合う同士のローラが重なるように上下に配置されたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に他方のガイドレールの両側面を挟んで転動する1対の横ローラを設けたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側の各リンク軸ホルダの下端に他方のガイドレールの両側面を挟んで転動する2対の横ローラを設けたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、前記反シート状物側のリンク軸ホルダは、ジョイント用リンク軸が前記他方のガイドレールのほぼ真上に位置するように配置されたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、前記シート状物側のリンク軸ホルダはジョイント用リンク軸が前記一方のガイドレールのほぼ真上に位置するように配置されたことを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、前記掴み装置を備えたリンク軸ホルダは、前記複数対の横ローラが一方のガイドレールに接触することにより掴み装置の姿勢が規制された状態でガイドレールに沿って案内されることを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項10】
請求項9に記載のシート状物の延伸機において、前記掴み装置は一方のガイドレールに対してほぼ直角方向の姿勢を保って、案内されることを特徴とするシート状物の延伸機。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のシート状物の延伸機において、反シート状物側のリンク軸ホルダーは、1対の横ローラによりガイドレールに対して姿勢が変化可能に案内されることを特徴とするシート状物の延伸機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−121259(P2012−121259A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274833(P2010−274833)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
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