説明

シート状物の構成部材

【課題】構成部材を接続することにより構成されたシート状物を提供する。
【解決手段】図3(A)で示す2個の構成部材は同じ部分の参照符号が相違するが、両構成部材は実質的に同じ形状からなる。両構成部材を接続するには、図面右側の構成部材の開口部のない副形状部31bを図(B)のように指でつまんでやや扁平状にし、次にその先端部を図面左側の構成部材の副形状部に形成された開口部14aに挿入し、開口部14aを通過した副形状部31bを平らになるように指で押さえれば、図(C)のように両構成部材は接続され、副形状部31bは開口部14aから抜けることはない。このように前後左右に、同じ構成部材の開口部の形成されていない副形状部を挿入して互いに接続すると、所望の大きさのシート状物が得られる。そして、シート状物には、構成部材間に空隙が形成され、通気性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物、特にカーテン、絨毯、パーティション等を構成する部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテン、絨毯等は、従来1枚の布で構成されるが、複数枚のシート状物から構成されるものもある。後者の例としては、カーテンにスリットを設けて、分割された細片から形成するものがある(特許文献1参照)。これは、細片が連繋糸で連繋されてスリットが形成され、風通し性が良好な通気性能を有するものである。
【0003】
【特許文献1】特開平5−228049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のカーテンは、細片間の間隙はスリットによるものであり、カーテン全体の形状は、従来のカーテンとそれほど変わるところがない。全体形状の変化は、各細片の形状の大小により、得られるものであるが、通気性はそれほどではない。
また、絨毯の全体形状は、1枚のシート状とされるのが通常であり、その表面は通常、平坦であり、一般に通気性はない。パーティションにしても、通気性はそれほど、求められていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は上記従来のカーテンや、絨毯等よりも、さらに通気性が改善されたものの提供を目的とするものであり、本発明のシート状物の構成部材は、
主形状部と副形状部とから構成され、両者は開口部を介して互いに接続されることを特徴とするものであり、その構成によって、通気性があり、装飾性を兼ね備えたものが得られる。
〔発明の態様〕
【0006】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るものである。なお、以下の各項において、(1)項ないし(6)項の各々が、請求項1ないし請求項6の各々に相当する。
【0007】
(1)主形状部とその周縁部に一体に連なる複数の副形状部とからなり、
前記主形状部と前記副形状部の双方及び/又はいずれか一方に、1あるいは複数の開口部が形成されているシート状物の構成部材。
【0008】
本項に記載されたシート状物の構成部材は、基本的構成部材として主形状部と、それに連なり一体に形成される副形状部とから構成され、前記主形状部と副形状部の双方、又はいずれか一方の形状部には、シート状物を互いに接続(連繋)するために、開口部が形成されている。そして、開口部を介して互いに接続されたものは、全体に凹凸のあるシート状に形成される。また、上記開口部は、単なる切れ目も含んでもよく、これは、以下に述べる材料にかかわりなく、含まれることである。
また、主形状部と副形状部の材料は、柔軟性を有する布あるいは弾力性を有するプラスチックが適し、布では、特にシート状物として、形状保持が略、可能なフェルトが好適である。プラスチックでは、引張り強さ、弾性率、曲げ強さ、応力特性、難燃性、耐候性、寸法安定性、耐薬品性、吸水性、通常の温度範囲での使用等を考慮すると、ポリプロピレン、ポリアミド、スチレン系樹脂、高密度ポリエチレン等からなる板状部材が好ましい。また、ゴム製の板状部材から、主形状部と副形状部を構成してもよい。
さらに、真鍮、銅板等の薄い金属板も、接続の際の折り曲げから平坦状に伸ばす加工に耐えられる範囲で使用可能である。
さらに、接続される構成部材の一方を木材あるいは木質性の板状部材とし、他方の構成部材を変形可能な材料からなるもの、例えば、フェルト、プラスチック、金属等から構成してもよい。また、上記一方の構成部材のみを、紙製(ダンボール、厚紙、色彩のある紙等)とし、他方を他の材料の構成部材として接続してもよく、あるいは双方の構成部材を紙製としてもよい。
そして、本発明のシート状物には、上記に述べた材料のうち、1種、あるいは2種類以上の構成部材からなり、カーテン、壁掛け、パーティション、電気スタンドの笠、照明器具のシェード等に利用されるものが含まれる。
さらに、主形状部と副形状部との互いの大きさの大小関係は、実施形態では、主形状部が大であり、副形状部が小の関係になっているが、必要に応じて両者が略、等しいものまで考慮されてよい。その場合には、シート状物の構成部材間の隙間が少なくなり、通気性は小となる。
【0009】
(2)前記主形状部は円形であり、前記副形状部は円弧であって、
前記主形状部には、その周縁部に2個の開口部が間隙をおいて形成され、前記副形状部は、前記開口部に対向する位置に2個形成されている、前記(1)項記載のシート状物の構成部材。
【0010】
本項の主形状部と副形状部の形状の組み合わせは、その輪郭が円形と円弧であるものの組み合わせからなるが、これらの形状の選択は必要に応じて適宜行われる。例えば、主形状部が四角形、他の多角形からなる形状、あるいはへちま状、その他の自由形状であってもよく、副形状部も同様に、円弧以外の四角形、三角形等の形状であってもよい。
【0011】
(3)前記主形状部は、略十字形であり、その各端部に前記副形状部が形成されている前記(1)項記載のシート状物の構成部材。
【0012】
本項に記載の態様では、主形状部が略十字形であり、その各端部に副形状部が設けられている。各副形状部に開口部を設ければ、互いに接続される際に接続部が多くなる。開口部が設けられる副形状部は2個〜4個であるので、開口部が設けられる副形状部の数によって接続箇所の調節が可能であり、それによって接続されたシート状物の形状が変化する。
【0013】
(4)前記主形状部の交差部及び前記副形状部の内、2個〜4個には、それぞれ開口部が形成されている前記(3)項記載のシート状物の構成部材。
【0014】
本項の態様では、副形状部だけではなく、主形状部の十字形の中央部に開口が形成されている。中央部の開口を利用して構成部材を接続する場合には、構成部材どうしの間隙がせばまり、小となる。開口部の数や形状は、必要に応じて自由に選択できる。開口部の形状は、円形その他の形状や、単なる切れ目も含まれる。開口部の数や形状によって、シート状物の表面の空隙率を調整して通気性や遮音性の調整や、構成部材どうしの、接続の緊密度の調整が可能である。
【0015】
(5)前記主形状部及び副形状部が、フェルトから構成されている前記(1)〜(4)のいずれか1項記載のシート状物の構成部材。
【0016】
本項の態様では、本発明の構成部材の材料として、フェルトが選択されている。フェルトの特性については、周知の事項であり、ここには特に記載しないが、中でもある厚み以上のフェルトは、機能として平面性と形状保持性を備えている。そのため、本発明の構成部材として好適である。上記フェルトには、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン等の化学繊維、又は、ウール、シルク等の天然繊維から製造されたものが含まれ、適宜、選択される。それらの中から適宜、選択される。
【0017】
(6)前記主形状部及び副形状部が、プラスチックから構成されている前記(1)〜(4)のいずれか1項記載のシート状物の構成部材。
【0018】
本項の態様では、本発明の構成部材の材料として、プラスチックが選択されている。プラスチックの中でも、上述のように、ポリプロピレン、ポリアミド、スチレン系樹脂、高密度ポリエチレン等からなる板状部材が好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、主形状部と副形状部に開口部が形成された構成部材を互いに接続して、通気性のあるカーテン、壁掛け、絨毯、パーティション等に使用できるシート状物を得ることができる。また、シート状物を円筒形その他の形状にすれば、スタンドの笠や照明器具のシェードにも利用できる。
構成部材の互いの接続は、開口部に対して隣接する副形状部の先端を挿入するだけなので、非常に簡単であり、また、接続する構成部材の個数を変えることにより、シート状物の大きさの調節も簡単である。さらに、シート状物の表面には、構成部材同士の接続部により凹凸が形成され、表面が平坦でないので、見た目の変化を楽しむことができる。
また、構成部材として、形状、材料、大きさ、厚み等が異なるものを組み合わせれば、複雑な形状で、変化のあるものも得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1(A)、(B)は、それぞれ本発明の構成部材の一例を示すものの、平面図と斜視図である。構成部材1は、フェルト製の略十字形状からなる主形状部10と、主形状部10の十字形の各端部に形成された円弧からなる副形状部11a、11b、12a,12bとから構成されている。この実施形態では、主形状部10の中央部に円形の開口部13が形成され、また、副形状部12a、12bには、円形の開口部14a、14bが形成されている。
【0021】
図2(A)、(B)は、それぞれ本発明の他の構成部材の一例を示すものの、平面図と斜視図である。構成部材1は、フェルト製の円形からなる主形状部20と、主形状部20の十字形の周縁に円弧からなる副形状部21a,21bとから形成されており、副形状部21a,21bは、主形状部20に連なって一体に形成され、開口部22a,22bに対向するように形成されている。開口部22a,22bは、所定の間隔をおくように形成されている。
【0022】
次に、図3(A)〜(C)において、図1に示された構成部材を使用して、シート状物を得るやり方を説明する。図3は、本発明の構成部材の基本的な使い方を説明するものであるので、図3(A)で示す2個の構成部材1,1´は、実質的に同じ形状、同じ大きさからなるものであり、同じ部分の参照符号が相違するが、その構造は図1に説明したものである。図面左側の構成部材1の参照符号は、図1のものと同一であるが、説明の便宜上、図面右側の構成部材1´の参照符号は図1のものと異なる。しかし、その参照符号30、31a、31b,32a,32b,33,34a,34bは、それぞれ図1の10、11a、11b,12a,12b,13,14a,14bに対応している。
【0023】
両構成部材を接続するには、図面右側の構成部材1´の開口部のない副形状部31bを、図面(B)のように指でつまんでやや扁平状にし、次にその先端部を図面左側の構成部材1の副形状部に形成された開口部14aに挿入し、開口部14aを通過した副形状部31bを平らになるように指で押さえれば、図(C)のように両構成部材1、1´は接続され、副形状部31bは構成部材1の開口部14aから抜けることはない。このように前後左右に、同じ構成部材の開口部の形成されていない副形状部を挿入して互いに接続し、所望の大きさのシート状物が得られる。そして、シート状物には、構造物間の空隙が形成され、通気性がある。このようにして、構成部材を連続して接続した例は、図5に示される。
【0024】
上記では、右側の構成部材1´の副形状部を、左側の構成部材1の副形状部の開口部に挿入しているが、左側の構成部材の主形状部10の開口部13に挿入することもできる。そのようにした場合には、異なるシート状物の表面が得られる。シート状物を厚くする場合には、副形状部の開口部に挿入された副形状部を、重ねられた他の構成部材の副形状部の開口部に挿入すればよい。
【0025】
図4(A)〜(C)は、図2に示された構成部材2の互いの接続を説明する図である。図3(A)の場合と同様に、図4(A)で示す2個の構成部材2、2´は同じ部分の参照符号が相違するが、両構成部材は実質的に同じ形状、同じ大きさからなるものであり、その構造は図2に説明したものである。図面左側の構成部材2の参照符号は、図2のものと同一であるが、説明の便宜上、図面右側の構成部材2´の参照符号は図2のものと異なる。しかし、その参照符号40、41a、41b,42a,42bは、それぞれ図2の20、21a、21b,22a,22bに対応している。
【0026】
両構成部材2,2´を接続するには、図面右側の構成部材2´の開口部のない副形状部41aを図面(B)のように指でつまんでやや扁平状にし、次にその先端部を図面左側の構成部材2の主形状部20に形成された開口部22bに挿入し、開口部22bを通過した副形状部41aを平らになるように指で押さえれば、図4(C)のように両構成部材2,2´は接続され、副形状部41bは開口部22bから抜けることはない。このように前後左右に、同じ構成部材の開口部の形成されていない副形状部を主形状部の開口部に挿入して互いに接続し、所望の大きさのシート状物が得られる。このようにして、構成部材を連続して接続した例は、図6に示される。
【0027】
上の例では、同一形状で同じ大きさの構成部材を使用した例で、右の副形状部を左の副形状部あるいは主形状部に挿入することで互いに接続する例で説明したが、この左右の挿入関係は、逆にしてもよい。
本発明の構成部材として、互いに大きさや厚みが等しい同一形状のものに限らず、形状が互いに異なり、また、大きさや厚みも互いに相違してもよい。例えば、数種類の形状や大きさや厚みが異なるものを組み合わせて接続し、より複雑なシート状物を得ることが可能である。
【0028】
本発明の構成部材の材料としては、主として柔軟性、弾力性、形状保持性が要求され、一般的にはフェルトを構成部材の形状に打ち抜いたものが好適である。他の材料としては、ポリプロピレン、ポリアミド、スチレン系樹脂、高密度ポリエチレン等からなる板状部材から、構成部材を形成することが好ましい。また、ゴム製の構成部材や、薄い金属板を使用してもよい。
【0029】
本発明による構成部材は、カーテン、壁掛け、絨毯、パーティション等に使用するのシート状物や、それらシート状物からなる電気スタンドの笠及び照明器具のシェードに使用できる。
【実施例1】
【0030】
図7は、図1に示される本発明の構成部材の寸法を示す例であり、各数値の単位はmmである。構成部材の厚みは、3.5mmである。
【実施例2】
【0031】
図8は、図2に示される本発明の構成部材の寸法を示す例であり、各数値の単位はmmである。構成部材の厚みは、3.5mmである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の構成部材の一例を説明する図である。
【図2】図1とは異なる本発明の構成部材の一例を説明する図である。
【図3】(A)〜(C)は、図1の構成部材の接続を説明する図である。
【図4】(A)〜(C)は、図2の構成部材の接続を説明する図である。
【図5】図1の構成部材を接続して得られる、シート状物を示す図である。
【図6】図2の構成部材を接続して得られる、シート状物を示す図である。
【図7】図1の構成部材の各部寸法の一例である。
【図8】図2の構成部材の各部寸法の一例である。
【符号の説明】
【0033】
10、20 主形状部
11a、11b、12a、12b 副形状部
13、14a、14b 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主形状部とその周縁部に一体に連なる複数の副形状部とからなり、
前記主形状部と前記副形状部の双方及び/又はいずれか一方に、1あるいは複数の開口部が形成されているシート状物の構成部材。
【請求項2】
前記主形状部は円形であり、前記副形状部は円弧であって、
前記主形状部には、その周縁部に2個の開口部が間隔をおいて形成され、前記副形状部は、前記開口部に対向する位置に2個形成されている、請求項1記載のシート状物の構成部材。
【請求項3】
前記主形状部は、略十字形であり、その各端部に前記副形状部が形成されている請求項1記載のシート状物の構成部材。
【請求項4】
前記主形状部の交差部及び前記副形状部の内、2個〜4個には、それぞれ開口部が形成されている請求項3記載のシート状物の構成部材。
【請求項5】
前記主形状部及び副形状部が、フェルトから構成されている請求項1〜4のいずれか1項記載のシート状物の構成部材。
【請求項6】
前記主形状部及び副形状部が、プラスチックから構成されている請求項1〜4のいずれか1項記載のシート状物の構成部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−125743(P2008−125743A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313307(P2006−313307)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年10月31日、http://www.takehiroando.comを通じて発表
【出願人】(506388439)株式会社 Aviland (1)
【Fターム(参考)】