説明

シート状物へのフィトンチッドの封入方法

【課題】
ヒノキやスギ、ヒバ、その他の木材から発散されるフィトンチッドを、シーツや枕カバー等のシート状寝具類や寝具カバーに簡易迅速に吸着させ、封入することができるようにしたものであって、ヒノキやスギ、ヒバのフィトンチッドによる癒やし効果を備えたシート状物へのフィトンチッドの封入方法を提供しようとするものである。
【解決手段】
フィトンチッドを含有して放散する木材から採取した木材チップ類を、綿や、絹製その他の織布、適宜素材からなる不織布、抄紙、その他の通気性シートからなるシート状物間に挟み込んでフィトンチッドの封入用容器に収納した上、該サンドイッチ状の積層体を所定時間加圧し、または所定時間加熱しながら加圧することを特徴とするシート状物へのフィトンチッドの封入方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は寝具類に使用して快眠や爽快感を得られるフィトンチッドを、シーツや枕カバーへ封入するためのシート状物へのフィトンチッドの封入方法の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート状寝具類や寝具カバーへの香り成分の封入方法としては、その素材としての繊維そのものに香り成分を染色工程等を介して封入したり、シート状寝具類や寝具カバーとしての製品を香り成分の入った貯槽に浸漬する等の方法で香り成分を吸着させるのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特にありません。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しなしながら、ヒノキやスギ、ヒバ、その他のフィトンチッドを発散する木材からフィトンチッドを抽出したり、あるいは前記香り成分のように濃縮された状態で得ることは非常に難しいことである。
【0005】
この発明は、ヒノキやスギ、ヒバ、その他の木材から発散されるフィトンチッドを、シーツや枕カバー等のシート状寝具類や寝具カバーに簡易迅速に吸着させ、封入することができるようにしたものであって、ヒノキやスギ、ヒバのフィトンチッドによる癒やし効果を備えたシート状物へのフィトンチッドの封入方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は前記した課題を達成するために、下記の技術的手段を採用した。
すなわちこの発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法は、フィトンチッドを含有して放散する木材から採取した木材チップ類を、綿や、絹製その他の織布、適宜素材からなる不織布、抄紙、その他の通気性シートからなるシート状物間に挟み込んでフィトンチッドの封入用容器に収納した上、該サンドイッチ状の積層体を所定の時間加熱することを特徴とするものである。
【0007】
すなわちこの発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法は、フィトンチッドを含有して放散する木材から採取した木材チップ類を、綿や、絹製その他の織布、適宜素材からなる不織布、抄紙、その他の通気性シートからなるシート状物とともに加熱手段を備えた密閉容器内に収納し、該密閉容器内を所定時間加熱することにより、フィトンチッドを前期通気性シートに浸透させることをも特徴とするものである。
【0008】
すなわちこの発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法は、前記木材チップ類が、ヒノキ、杉、ヒバから選ばれた木材の木材チップ、葉であることをも特徴とするものである。
【0009】
すなわちこの発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法は、前記木材チップ類が、前記木材の削り屑、引きヌカ、あるいは粉砕したチップ、葉の粉砕物等々の木の繊維を分解したものから形成されていることをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法は、下記のような利点を有している。
1)この発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法によれば、簡単かつ迅速にフィトンチッドの封入することができ、安価で自然環境に優しい、シート状寝具類や寝具カバーを提供することができる。
2)得たシート状寝具類や寝具カバーは、清潔で、常にさわやかな感触で使用することができ、また健康的で、ヒノキやスギ、ヒバによる癒やし効果がある。
3)廃棄にはなんら問題がなく、かつ可燃ごみとして処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法に係る第1の実施形態を示す側面図である。
【図2】第2の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1はこの発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法の第1の実施形態を示すものであり、漬物方式とも呼ぶべき方式である。
【0013】
図1に示すシート状物へのフィトンチッドの封入方法の実施形態において、11は上面を開放したフィトンチッドの封入用容器であり、該封入用容器11内には、フィトンチッドを含有して放散する木材から採取した木材チップ類15を、綿や、絹製その他の織布、適宜素材からなる不織布、抄紙、その他の通気性シートからなるシート状物17間に挟み込んで収納した上、該サンドイッチ状の積層体13を重石19等で所定時間加圧するものである。
前記封入用容器11としては、例えば木材チップ類15の素材がヒノキならヒノキで作られた容器(箱)、スギならばスギで作られた容器(箱)であることが望ましい。
またシート状物17の積層状態は、垂直(横)方向のみならず水平(縦)状態であっても良い。
前記フィトンチッドを含有する木材チップ類15は、前記木材ののこ屑、あるいは粉砕したチップから形成されている。また、前記木材チップ類15には葉の粉砕物も含む。
【0014】
そして、前記加圧あるいは加熱加圧処理を行うことによって、例えばヒノキ、杉、ヒバ等の木材から採取した揮発性のあるフィトンチッドを含有する木材チップ類15は、前記揮発性のあるフィトンチッドが封入用容器11内で放散され、その上下に挟み込まれたシート状物17に強固に吸着し、封入される。
得たフィトンチッドを封入済みのシート状寝具類や寝具カバーは、ヒノキやスギ、ヒバによる癒やし効果が発揮され、非常に商品価値の高いものとなった。
【0015】
図1に示す前記シート状物へのフィトンチッドの封入方法の実施形態において、11は上面を開放したフィトンチッドの封入用容器11の底部には、板状ヒータ21が敷設されている。もちろん、封入用容器11の側壁に沿って板状ヒータを設置しても良い。
このように、板状ヒータ21等を利用して、所定の時間加熱することにより、ごく短時間でフィトンチッドをシート状物17に強固に吸着し、封入させることができる。もちろん、前記加熱とともに重石19等で所定の時間加圧してもよい。
【0016】
図2はこの発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法の第2の実施形態を示すものであり、燻製方式とも呼ぶべき方式である。
図2に示すシート状物へのフィトンチッドの封入方法の実施形態において、31は密閉式のフィトンチッドの封入用容器であり、該封入用容器31内には、フィトンチッドを含有して放散する木材から採取した木材チップ類35を受け皿33内に収納し、その上に綿や、絹製その他の織布、適宜素材からなる不織布、抄紙、その他の通気性シートからなるシート状物37を積層状態で搭載した上、該封入用容器31内を板状ヒータ39等からなる加熱手段で所定時間加熱するものである。
前記封入用容器31としては、例えば木材チップ類35の素材がヒノキならヒノキで作られた容器(箱)、スギならばスギで作られた容器(箱)であることが望ましい。
またシート状物37の積層状態は、垂直(横)方向のみならず水平(縦)状態であっても良い。
41は前記封入用容器31の密閉用の開閉可能な蓋である。
前記フィトンチッドを含有する木材チップ類35は、前記木材ののこ屑、あるいは粉砕したチップから形成されている。また、前記木材チップ類35には葉の粉砕物も含む。
【0017】
そして、前記加熱処理を行うことによって、例えばヒノキ、杉、ヒバ等の木材からなる木材チップ類35は、前記揮発性のあるフィトンチッドが封入用容器31内で放散するとともに密に充満し、封入用容器31内に収納されたシート状物37に強固に吸着し、封入される。なお、真夏等の高温時には特に強制加熱する必要はないが、それ以外の季節においては前記揮発性のあるフィトンチッドの放散のために、加熱することが必要である。もちろん、加熱・加圧することはフィトンチッドの付着には即効性や効率の面で望ましいことである。
得たフィトンチッドを封入済みのシート状寝具類や寝具カバーは、ヒノキやスギ、ヒバによる癒やし効果が発揮され、非常に商品価値の高いものとなった。
【0018】
<ヒノキやスギ、ヒバなど>
○フィトンチッドは、森林浴効果をもたらす森林や木の香りとして紹介されることが多いので、一般的に次のように考えられているようである。
フィトンチッド=森林浴=森林の空気=木の香り=揮発性成分=テルペン類
(http://www.phyton-cide.org/library.basic-course2.html参照)
しかし、揮発性物質だけがフィトンチッドではない。また、樹木だけにも限らない。香草や薬草、ハーブや漢方薬などの成分もフィトンチッドの一種であると考えられる。
したがって、広範囲な捉え方をした場合、フィトンチッドとは植物が二次的に作りだすさまざまな化学成分であり、他の生物の生活や行動に何らかの影響を与えるものといえる。
つまり、フィトンチッドとは『生物活性を有する植物の二次代謝成分』の総称であり、その種類は多岐にわたり、その働きも実に多様なのである。
○上述のように、木材等の成分でヒノキ(木曽桧)から出る成分としてフィトンチッドがある、フィトンチッドは樹木から発散される芳香生物質であり香りがよく、心地よさを与え、抗菌、防蟻、消臭作用、防ダニ効果等があり、殺虫作用としてはアンモニア系、アミン系の成分が含まれ、加齢臭でもあるノネナール等の消臭効果も有し、心身の増進に役立つ。
○ヒノキ材は熱や湿気を吸収し、また放出する効果もあり、夏涼しく冬暖かいという作用も有する。
○ヒノキ材は院内感染で問題になっている毒性の強いMRSA(メチシリン耐性黄色球菌)等を死滅させる強力な殺菌効果も確認されている。
○アロマテラピー効果があって精神を安定させ、リラックス効果が高いので疲労回復作用やストレスを感じている人には最適で免疫効果としても風邪、インフルエンザ患者等への効能がある。
○テルペンの薬理効果
リモネン:鎮痛、中枢抑制、末梢血管収縮、血清コレステロール低下
リノナール:興奮、血圧低下作用
痾ピネン:興奮、疲労回復作用
カンファー:興奮作用
繃テルピネン:利尿作用
ピペリトンやトロネラール:殺ダニ作用
その他として、肝機能向上、アトピー症状の緩和、鮮度保持作用などが知られている。
○同じくして杉(秋田杉)の木の成分としてセドロールがある。2002年9月この精油主成分であるセドロール香気には鎮静効果、睡眠効果があることが証明されている。それによるとセドロール香気は交感神経の高まりを抑え、副交感神経を高める効果があり、血圧低下、心拍数減少とともに、呼吸を深くゆっくりさせる鎮静効果が見られることが確認されている。
また、快眠特性のある女性を調べた結果、就寝中に目が覚める中途覚醒が減少し、入眠潜時時間が減少することが確認され、睡眠効率が増加することも明らかになっている。さらに、スギの葉は粉にして線香の原材料に使用されている。
○同じくヒバ(青森ヒバ)は上記スギ、ヒノキの持つ効能はもとより、特に抗菌性に優れている。そこには他の国産材と比べても表面温度は1度〜2度暖かく保温性能に優れていて、手を触れるとその温もりをも感じ取れる。香りは甘く持続性に優れる。そしてヒノキチオールと呼ばれる成分がヒバの特徴を現している。
【0019】
前記各実施形態において、綿や、絹製その他の織布以外の、適宜素材からなる不織布、耐湿性のある紙、あるいはそれらの積層構造物等からなるフィトンチッドを封入済みのシート状寝具類や寝具カバーは、それ自体で充分な引き裂き強度を有することが望ましく、また不織布、耐湿性のある紙、あるいはそれらの積層構造物等においては、目の粗い布や所定の間隔で配置した糸によって補強しておくことにより、引き裂き強度を高めておくことができる。
このようにすれば、取り扱う際に簡単に破損したり、前記削り屑もしくはチップが寝具カバー等の外部に散逸してしまわないようになり、シート状物へのフィトンチッドの封入方法としての十分な強度を与えることができる。
【0020】
なお、ヒノキやスギ、ヒバについては下記のような作用効果があると指摘されている。
○ 木材等の成分でヒノキから出る成分としてフィットンチッドがある、フィットンチッドは樹木から発散される芳香生物質であり香りがよく心地よさを与え抗菌、殺蟻、消臭作用防ダニ効果、殻虫作用としてはアンモニア系、アミン系、加齢臭でもあるノネナール等の消臭効果も有し心身の増進に役立つ。
○ ヒノキ材は熱や湿気を吸収し、又放出する効果もあり、夏涼しく冬暖かいという作用も有する。
○ ヒノキ材は院内感染で問題になっている毒性の強いMRSA(メチシリン耐性黄色球菌)等を死滅させる強力な殺菌効果も確認されている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
この発明のシート状物へのフィトンチッドの封入方法は、種々の用途に使用されるシート状寝具類や寝具カバー等への適用が可能である。
また、前記フィトンチッドを含有する木材チップ類とともに、あるいは単独で香草、ハーブ、漢方薬素材などをシート状物の間に介在させて、香りやその他の成分をシート状物に付着させれば、例えばマスクとして使用することができ、風に罹患した人や喉が痛い人などに対して症状の軽減を図ることが可能になると考えられる。
【符号の説明】
【0022】
11 封入用容器
13 積層体
15 木材チップ類
17 シート状物
19 重石
21 板状ヒータ
31 封入用容器
33 受け皿
35 木材チップ類
37 シート状物
39 板状ヒータ
41 蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィトンチッドを含有して放散する木材から採取した木材チップ類を、綿や、絹製その他の織布、適宜素材からなる不織布、抄紙、その他の通気性シートからなるシート状物間に挟み込んでフィトンチッドの封入用容器に収納した上、該サンドイッチ状の積層体を所定の時間加熱することを特徴とするシート状物へのフィトンチッドの封入方法。
【請求項2】
フィトンチッドを含有して放散する木材から採取した木材チップ類を、綿や、絹製その他の織布、適宜素材からなる不織布、抄紙、その他の通気性シートからなるシート状物とともに加熱手段を備えた密閉容器内に収納し、該密閉容器内を所定時間加熱することにより、フィトンチッドを前記通気性シートに浸透させることを特徴とするシート状物へのフィトンチッドの封入方法。
【請求項3】
前記木材チップ類が、ヒノキ、杉、ヒバから選ばれた木材の木材チップ、葉であることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物へのフィトンチッドの封入方法。
【請求項4】
前記木材チップ類が、前記木材の削り屑、引きヌカ、あるいは粉砕したチップ、葉の粉砕物等々の木の繊維を分解したものから形成されている特徴とする請求項1または2に記載のシート状物へのフィトンチッドの封入方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−86481(P2012−86481A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236020(P2010−236020)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(599174982)
【Fターム(参考)】