説明

シート状酸素検知剤及び該シート状酸素検知剤を有する複合脱酸素剤

【課題】良好な酸素検知機能や耐久性を有し、しかも生産性に優れ実用的なシート状酸素検知剤及び該シート状酸素検知剤を有する複合脱酸素剤を提供すること。
【解決手段】アルカリ金属化合物、還元性糖類及び還元性糖類によって還元される色素を含有する酸素検知剤溶液をシート状担体に担時させた後、乾燥して得られるシート状酸素検知剤であって、該シート状担体が、縦方向の湿潤引張強度が1.00〜1.50KN/m及び縦方向の吸水度が50〜80mm10分である含浸紙であるシート状酸素検知剤及び該シート状酸素検知剤を有する複合脱酸素剤を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状酸素検知剤及び該シート状酸素検知剤を有する複合脱酸素剤に関するものである。更に詳しくは、酸素の存在の有無を肉眼で判定可能となるように酸素の存在によって色の変化を生じる機能を有するシート状酸素検知剤及び該シート状酸素検知剤とガス雰囲気中の酸素を吸収する機能を有する脱酸素剤とを一体化させた複合脱酸素剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脱酸素剤を使用して食品等の被保存物質を無酸素状態で保存する技術が急速に普及し、それに伴って脱酸素包袋や密閉容器等の内部の無酸素状態を管理するための簡便なモニターとして酸素検知剤が研究開発され、例えば特許文献1(実開昭62−91242号公報)には、シート状酸素検知剤が提案されている。
【0003】
このシート状酸素検知剤は、アルカリ金属化合物、還元性糖類及び還元性糖類によって還元される色素を含有する水溶液をシート状担体に担時させた後、乾燥して得られるものである。ここでアルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等、還元性糖類としては、D−マンノース、D−グルコース等、色素としては、メチレンブルー、ニューメチレンブルー等がそれぞれ例示されている。また、シート状担体としては、吸湿性を有するイオン交換樹脂、セルロース物質、有機高分子化合物等が例示されている。
【0004】
このようなシート状酸素検知剤では、良好な酸素検知性能や耐久性が求められるのみならず、生産性に優れ実用的なものが求められるが、従来のシート状酸素検知剤ではこれらの要求特性が充分ではなかった。
【0005】
従来、酸素検知剤を脱酸素剤と共に使用する際には、それぞれ別個に製造された脱酸素剤と酸素検知剤を個々に脱酸素包袋や密閉容器等の中に封入して用いられていた。
【0006】
しかしながら、従来の方法では、脱酸素剤と酸素検知剤とが別個であるので取り扱いが煩雑であり、時としては脱酸素剤または酸素検知剤の封入を怠ることも少なくなかった。また、脱酸素包袋等の中に脱酸素剤や酸素検知剤を個々に封入する作業には手間と時間がかかり、大量の脱酸素包袋等の中にこれらを封入する場合にはなおさらである。
【0007】
特許文献2(特開平2−167057号公報)等には、シート状酸素検知剤と脱酸素剤とを一体化させた複合脱酸素剤が提案されている。この複合脱酸素剤によれば、酸素検知及び酸素吸収の両機能を有しており、脱酸素包袋や密閉容器等の無酸素状態の管理等を容易に効率良く行うことが可能であり、しかも取り扱いが簡便で、脱酸素包袋等の中に脱酸素剤及び酸素検知剤を封入する作業の迅速化が可能となり、しかも脱酸素剤又は酸素検知剤の未封入等に基づくトラブルが完全に防止されるとされている。
【0008】
しかし、この複合脱酸素剤においても、上記のように、シート状酸素検知剤が酸素検知機能や耐久性に問題があり、生産性に劣る場合には、工業的なレベルの製品として実用上難がある。
【0009】
【特許文献1】実開昭62−91242号公報
【特許文献2】特開平2−167057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、良好な酸素検知機能や耐久性を有し、しかも生産性に優れ実用的なシート状酸素検知剤及び該シート状酸素検知剤を有する複合脱酸素剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、検討の結果、シート状酸素検知剤の担体に着目し、シート状担体として縦方向の湿潤引張強度及び縦方向の吸水度が一定範囲にある含浸紙を用いることによって、上記課題が解決できることを知見し、本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、アルカリ金属化合物、還元性糖類及び還元性糖類によって還元される色素を含有する酸素検知剤溶液をシート状担体に担時させた後、乾燥して得られるシート状酸素検知剤であって、該シート状担体が、縦方向の湿潤引張強度が1.00〜1.50KN/m及び縦方向の吸水度が50〜80mm10分である含浸紙であることを特徴とするシート状酸素検知剤を提供するものである。
【0013】
本発明に係る上記シート状酸素検知剤において、上記含浸紙の米坪が150〜220g/mであることが望ましい。
【0014】
本発明に係る上記シート状酸素検知剤は、少なくとも表面が透明フィルムによって被覆されていてもよい。
【0015】
本発明に係る上記シート状酸素検知剤は、透明フィルムからなる扁平状酸素検知剤袋内に密封封入されていてもよい。
【0016】
また、本発明は、上記シート状酸素検知剤が、脱酸素剤を封入した脱酸素剤袋に貼付されている複合脱酸素剤を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、上記シート状酸素検知剤が、透明フィルムによって被覆されている面の裏面において脱酸素剤を封入した脱酸素剤袋に貼付されている複合脱酸素剤を提供するものである。
【0018】
また、本発明は、上記シート状酸素検知剤を密封封入した上記扁平状酸素検知剤袋が、その扁平面において脱酸素剤を封入した脱酸素剤袋に貼付されている複合脱酸素剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るシート状酸素検知剤及びこれを有する複合脱酸素剤は、シート状担体として特定の性状を有する含浸紙を用いているので、良好な酸素検知機能や耐久性を有し、しかも生産性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良形態について説明する。
〔本発明に係るシート状酸素検知剤〕
本発明に係るシート状酸素検知剤は、酸素検知剤溶液をシート状担体に担時させた後、乾燥して得られる。酸素検知剤溶液はアルカリ金属化合物、還元性糖類及び還元性糖類によって還元される色素を含有する。
【0021】
酸素検知剤溶液に含有されるアルカリ金属化合物は、ナトリウム、カリウム等の水酸化物、炭酸塩等が例示されるが、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等である。
【0022】
酸素検知剤溶液に含有される還元性の糖類としては、D−マンノース、D−グルコース、D−フラクトース、D−エリスロール、D−アラビノース等の単糖類、又はマルトース、ラクトース等の単糖類分子からなるもの等が挙げられる。還元性の糖類の使用量は特に制限はないが、アルカリ金属化合物100重量部に対して0.1〜1000重量部が好ましく、特に好ましくは1〜100重量部である。
【0023】
酸素検知剤溶液に含有される還元性糖類によって還元される色素としては、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、ラウスバイオレット、メチレングリーン等が挙げられる。また、還元性糖類によって還元される色素のみでは還元状態が無色となって肉眼では判定しづらい場合には、酸素の有無を肉眼でより判定し易くするために還元性糖類によって還元されない色素であるサフラニンT、フェノサフラニン等を還元される色素と共に用いてもよい。
【0024】
本発明に係るシート状酸素検知剤は、シート状担体として縦方向の湿潤引張強度が1.00〜1.50KN/m及び縦方向の吸水度が50〜80mm10分である含浸紙を用いる。
【0025】
シート状担体として用いられる含浸紙の縦方向の湿潤引張強度は、上記のように1.00〜1.50KN/mであり、このような湿潤引張強度を有することによって、シート状酸素検知剤を長期に使用することができ耐久性が向上するのみならず、含浸紙への酸素検知剤溶液の含浸時に含浸紙が切断することもないので生産性に優れる。含浸紙の縦方向の湿潤引張強度が1.00KN/m未満では、含浸紙の強度が劣るため、使用時に劣化し、長期の使用に耐えず、また含浸紙への酸素検知剤溶液の含浸時に切断を生じ、生産性が低下する。また、含浸紙の縦方向の湿潤引張強度が1.50KN/mを超えると、強度的には充分であるが、含浸紙への酸素検知剤溶液の含浸が充分に行えない。
【0026】
ここで、縦方向の湿潤引張強度は、JIS P 8135に準拠して測定される。すなわち、幅15mm、長さ50mm以上の紙(含浸紙)を、浅い容器に入れた水に浸漬部分の長さが25〜50mmとなるように水が飽和するまで浸漬する。その後、含浸紙を水中から取り出して、吸水紙の上に置き、別の吸水紙を含水紙の上に載せ、軽く押さえて過剰の水を除く。次に、定速伸張形引張試験機によって引張試験を行う。
【0027】
シート状担体として用いられる含浸紙の縦方向の吸水度は、上記のように50〜80mm10分である。このような吸水度を有することによって、含浸紙への酸素検知剤溶液の含浸が充分に行える。含水紙の吸水度が50mm10分未満では、含浸紙への酸素検知剤溶液の含浸が充分に行えない。含浸紙の吸水度が80mm10分を超えると、含浸紙への酸素検知剤溶液の含浸は充分であるが、含浸紙が膨潤し、強度が劣ったものとなる。
【0028】
ここで、縦方向の吸水度は、JIS P 8141に準拠して測定されるクレム法によってなされる。すなわち、幅15mm、長さ200mm以上の紙を吊して下端5mmを水に浸透させ、10分間放置した後の水の上昇した高さ(mm)を表す。
【0029】
このシート状担体として用いられる含浸紙の米坪は、150〜220g/mであることが望ましい。このような米坪を有する含浸紙を用いることにより、良好な酸素検知機能や耐久性を有し、しかも生産性に優れる。
【0030】
上述のアルカリ金属化合物、還元性糖類及び還元性糖類によって還元される色素を上記含浸紙に含有させる方法としては、還元性糖類、アルカリ金属化合物及び還元性糖類によって還元される色素、必要に応じてこれに加えて還元性糖類によって還元されない色素等を含有する水又はアルコール溶液、すなわち酸素検知剤溶液を作成し、その溶液を吸湿性の上記含浸紙に含浸させた後、適当な水分含有量となるように乾燥又は乾燥後湿潤させる方法が好ましい。
【0031】
本発明に係るシート状酸素検知剤がモニターとして作用するためには適度な水分の存在が必要であり、その水分含有量は特に制限がなく、使用条件に応じて調節すればよいが、アルカリ金属化合物100重量部に対して0.01〜100重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜20重量部である。
【0032】
また、乾燥方法については自然乾燥でも良いが、生産性をより向上させるためには真空乾燥にすることが好ましい。
【0033】
シート状酸素検知剤は、少なくとも表面が透明フィルムによって被覆されていてもよい。このようにシート状酸素検知剤の表面を透明フィルムで被覆することによって、食品等の被保存物質に触れてもシート状酸素検知剤が食品等へ転写されることがなく、衛生的である。
【0034】
ここに用いられる透明フィルムは、一定の強度を有するものであればいかなるものも使用することができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、セルロースアセテート、セロハン等からなるフィルムが使用できる。
【0035】
また、シート状酸素検知剤は、透明フィルムからなる扁平状酸素検知剤袋内に密封封入されていてもよい。このように、シート状酸素検知剤を透明フィルムからなる扁平状酸素検知剤袋内に密封封入することによって、食品等の被保存物質の成分により酸素検知機能が損なわれることがない。すなわち、シート状酸素検知剤が外部に露出しているか、一部露出している場合には、食品等の水分、油分、アルコール等が存在すると、これらが露出部から酸素検知剤に侵入し、酸素検知剤の色が変色し、酸素検知機能が損なわれる。シート状酸素検知剤を透明フィルムからなる扁平状酸素検知剤袋内に密封封入することにより、このような問題が生じることがない。
【0036】
ここで用いられる透明フィルムは、酸素透過性を有し、かつ水、油、アルコール等の液不透過性であることが必要である。このような透明フィルムとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等からなるフィルム用いることができるが、酸素の透過量の少ないポリエステル、ポリアミド等からなるフィルムについては水分、アルコール、油分等の影響を受けにくい程度のごく微小のピンホールを開けて用いることが好ましい。より具体的には、ポリエチレンとしては低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレンとしては無延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリプロピレン(CPP)等が好ましく用いられる。これらの合成樹脂フィルムは単層フィルムのみならず、異なる材質のフィルムを積層した積層フィルムとしても用いられる。これらの積層フィルムとしては、OPP/CPP、OPP/LDPE、PET/LDPE、PET/CPP等の二層フィルム、LDPE/OPP/LDPE、LDPE/CPP/LDPE、CPP/OPP/LDPE等の三層以上のフィルムが挙げられる。
【0037】
〔本発明に係る複合脱酸素剤〕
本発明に係るシート状酸素検知剤は、そのまま用いてもよいが、脱酸素剤と一体化して複合脱酸素剤として用いることが好ましい。このようにシート状酸素検知剤と脱酸素剤を一体化させることによって、食品等の包装袋内に封入する際に別々の作業が不要となり、取り扱いの煩雑さが回避される。また、いずれか一方の封入漏れとなることもない。
【0038】
本発明に用いられる脱酸素剤は特に制限はなく、良好に脱酸素剤として機能するものであれば、有機系脱酸素剤でも、鉄粉系等の無機系脱酸素剤でもよい。
【0039】
シート状酸素検知剤と脱酸素剤を一体化させるには、図1に示されるように、シート状酸素検知剤1を貼付手段2を介して、脱酸素剤3を封入した脱酸素剤袋4の所望位置に貼付する。貼付手段2は特に制限されず、両面粘着テープ、接着剤、糊料等が好適に使用される。
【0040】
また、シート状酸素検知剤が少なくとも表面が透明フィルムによって被覆されている場合には、図2に示されるように、シート状酸素検知剤1の透明フィルム5によって被覆されている面の裏面において貼付手段2を介して、脱酸素剤3を封入した脱酸素剤袋4の所望位置に貼付する。
【0041】
また、シート状酸素検知剤が、透明フィルムからなる扁平状酸素検知剤袋内に密封封入されている場合には、図3に示されるように、シート状酸素検知剤1の上記扁平状酸素検知剤袋6をその扁平面において貼付手段2を介して、脱酸素剤3を封入した脱酸素剤袋4の所望位置に貼付する。
以下、本発明を実施例等により具体的に説明する。
【実施例1】
【0042】
1.0%ニューメチレンブルー水溶液15重量部、3.0%サフラニンT水溶液40重量%、40%D−マンノース水溶液50重量部及び10%水酸化ナトリウム水溶液を混合し、これを酸素検知剤溶液とした。
【0043】
幅5mmで、縦方向の湿潤引張強度1.24KN/m、縦方向の吸水度が65mm10分、米坪182g/mのテープ状含浸紙を調製した。
【0044】
このテープ状含浸紙に上記酸素検知剤溶液を30m/分の速度で含浸させ、乾燥後5mm長さに切断してシート状酸素検知剤aを製造した。この結果、テープ状含浸紙は、切断することなく、酸素検知剤溶液を充分に含浸できた。
【実施例2】
【0045】
実施例1で得られたシート状検知剤1の表面を透明ポリエチレンフィルムによって被覆し、シート状酸素検知剤bを製造した。
【実施例3】
【0046】
実施例1で得られたシート状検知剤1を透明の無延伸ポリプロピレン/ポリエチレン積層フィルムからなる扁平状酸素検知剤袋内に密封封入し、シート状酸素検知剤cを製造した。
【比較例】
【0047】
〔比較例1〕
幅5mmで、縦方向の湿潤引張強度0.95KN/m、縦方向の吸水度が65mm10分、米坪182g/mのテープ状含浸紙を調製した。
【0048】
このテープ状含浸紙に実施例1で用いたのと同様の酸素検知剤溶液を30m/分の速度で含浸させ、乾燥後5mm長さに切断してシート状酸素検知剤を製造しようとしたが、含浸時にテープ状含浸紙に切れが生じ、酸素検知剤溶液を含浸できなかった。
【0049】
〔比較例2〕
幅5mmで、縦方向の湿潤引張強度1.24KN/m、縦方向の吸水度が45mm10分、米坪182g/mのテープ状含浸紙を調製した。
【0050】
このテープ状含浸紙に実施例1で用いたのと同様の酸素検知剤溶液を30m/分の速度で含浸させ、乾燥後5mm長さに切断してシート状酸素検知剤を製造した。この結果、テープ状含浸紙は切断することはなかったが、充分な酸素検知剤溶液の含浸が行えなかった。
【0051】
〔比較例3〕
幅5mmで、縦方向の湿潤引張強度1.55KN/m、縦方向の吸水度が45mm10分、米坪182g/mのテープ状含浸紙を調製した。
【0052】
このテープ状含浸紙に実施例1で用いたのと同様の酸素検知剤溶液を30m/分の速度で含浸させ、乾燥後5mm長さに切断してシート状酸素検知剤を製造した。この結果、テープ状含浸紙は切断することはなかったが、充分な酸素検知剤溶液の含浸が行えなかった。
【0053】
〔比較例4〕
幅5mmで、縦方向の湿潤引張強度0.95KN/m、縦方向の吸水度が90mm10分、米坪182g/mのテープ状含浸紙を調製した。
【0054】
このテープ状含浸紙に実施例1で用いたのと同様の酸素検知剤溶液を30m/分の速度で含浸させ、乾燥後5mm長さに切断してシート状酸素検知剤を製造しようとしたが、含浸時にテープ状含浸紙に切れが生じ、酸素検知剤溶液を含浸できなかった。
【実施例4】
【0055】
実施例1で得られたシート状酸素検知剤aを市販の両面テープを介して、鉄粉系脱酸素剤を封入した気体透過性を有する脱酸素剤袋(内側にポリエチレンフィルムをコートした和紙)の所定位置に貼付し、図1に示されるような複合脱酸素剤Aを得た。
【0056】
この複合脱酸素剤Aを酸素濃度20容量%程度の通常の空気と共にガスバリヤー性のある包袋(容量500ml)中に入れ、この包袋を封止した。24時間経過後、脱酸素剤と一体化されたシート状酸素検知剤はブルーからピンクに変色していた。この時の包袋内部の酸素濃度は0.02容量%であった。また、この包袋を開封したところ、シート状酸素検知剤はピンクから再びブルーに変色した。
【実施例5】
【0057】
実施例2で得られたシート状酸素検知剤bの透明フィルムによって被覆されている面の裏面において市販の両面テープを介して、実施例4で用いたのと同様の鉄粉系脱酸素剤を封入した気体透過性を有する脱酸素剤袋の所定位置に貼付し、図2に示されるような複合脱酸素剤Bを得た。
【0058】
この複合脱酸素剤Bを酸素濃度20容量%程度の通常の空気と共にガスバリヤー性のある包袋(容量500ml)中に入れ、この包袋を封止した。その結果、実施例4と同様の結果が得られた。
【実施例6】
【0059】
実施例3で得られたシート状酸素検知剤cを密封封入した扁平状酸素検知剤袋の扁平面において市販の両面テープを介して、実施例4で用いたのと同様の鉄粉系脱酸素剤を封入した気体透過性を有する脱酸素剤袋の所定位置に貼付し、図3に示されるような複合脱酸素剤Cを得た。
【0060】
この複合脱酸素剤Cを酸素濃度20容量%程度の通常の空気と共にガスバリヤー性のある包袋(容量500ml)中に入れ、この包袋を封止した。その結果、実施例4と同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係るシート状酸素検知剤は、良好な酸素検知機能や耐久性を有し、しかも生産性に優れ実用的である。従って、本発明に係るシート状酸素検知剤及びこれを有する複合脱酸素剤は、最近急速に普及してきた食品の脱酸素包袋等に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明に係る複合脱酸素剤の第1の例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る複合脱酸素剤の第2の例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明に係る複合脱酸素剤の第3の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0063】
1 シート状脱酸素剤
2 貼付手段
3 脱酸素剤
4 脱酸素剤袋
5 透明フィルム
6 扁平状酸素検知剤袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属化合物、還元性糖類及び還元性糖類によって還元される色素を含有する酸素検知剤溶液をシート状担体に担時させた後、乾燥して得られるシート状酸素検知剤であって、該シート状担体が、縦方向の湿潤引張強度が1.00〜1.50KN/m及び縦方向の吸水度が50〜80mm10分である含浸紙であることを特徴とするシート状酸素検知剤。
【請求項2】
上記含浸紙の米坪が150〜220g/mである請求項1記載のシート状酸素検知剤。
【請求項3】
少なくとも表面が透明フィルムによって被覆されている請求項1又は2に記載のシート状酸素検知剤。
【請求項4】
透明フィルムからなる扁平状酸素検知剤袋内に密封封入されている請求項1又は2に記載のシート状酸素検知剤。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のシート状酸素検知剤が、脱酸素剤を封入した脱酸素剤袋に貼付されている複合脱酸素剤。
【請求項6】
請求項3に記載のシート状酸素検知剤が、透明フィルムによって被覆されている面の裏面において脱酸素剤を封入した脱酸素剤袋に貼付されている複合脱酸素剤。
【請求項7】
請求項4に記載のシート状酸素検知剤を密封封入した上記扁平状酸素検知剤袋が、その扁平面において脱酸素剤を封入した脱酸素剤袋に貼付されている複合脱酸素剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−74992(P2009−74992A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245399(P2007−245399)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000231970)パウダーテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】