説明

シート移送装置用エアドラッグクーラ

【課題】融着ステーション等から吐き出されるシートが高温であるという問題に対処可能な移送装置を実現する。
【解決手段】複製マシン内でシート温度が高温の場所からその下流にある別の場所へとシートSを送るため、移送チャネル32を設ける。移送チャネル32には何個かのエアドラッグクーラ10を設け、インレットマニホルド20を介しそのプレナム14を空気流源に連結する。エアドラッグクーラ10は、シート移送チャネル32のインレットとアウトレットの間に配置された開口例えばシート移送方向横断方向に沿って延びるスロット26を介して、移送チャネル32に連通させる。移送チャネル32内に送り込まれたシートSを、スロット26を介しエアドラッグクーラ10が移送チャネル32内に送り込む空気流によって、シート移送方向沿いに先送りすると同時に冷ます。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電複製マシン、特に静電複製マシン内シート移送補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーを用いる典型的な画像複製マシン例えば静電印刷プロセスマシンにおいては、その表面が感光可能状態になるよう光導電部材を略均一電位に荷電させ、次いでその帯電部位を複製対象文書即ち原稿の光像に露出させて被輻射部分の電荷を選択的に消散させることにより、光導電部材上に原稿内情報エリアに相応する静電潜像を記録する。
【0003】
静電潜像が形成された光導電部材(例えばフォトレセプタ;以下同様)には現像剤を接触させてその静電潜像を現像する。通常、現像剤として使用されるのはキャリア細粒及びこれに摩擦電気により吸着させたトナー粒子からなる素材であり、そうした素材を静電潜像に近づけるとトナー粒子がキャリア細粒から離れて静電潜像に引き寄せられ、その結果として光導電部材上にはトナーパウダ像が形成される。その後は、そのトナーパウダ像を光導電部材から複製先のシートへと転写してトナー粒子を加熱することにより、そのシートに像を永久的に固着させる。
【0004】
以上の概略説明は通常の白黒静電印刷マシンについてのものであり、多色電子写真作成用アーキテクチャとしては、潜像形成ステーションを複数個使用するアーキテクチャが好ましいとされている。複数潜像形成ステーション型アーキテクチャの例としては、分離色毎に帯電、潜像形成及び現像処理を行うシステム、例えばIOI(image-on-image)システムが知られている。なかでも、光導電部材が一巡する間に全ての分離色の帯電、潜像形成及び現像処理を終え然る後にシート(例えば紙シート;以下同様)への転写を一括して実施して多色印刷物を作成するマシンは、シングルパスマシンと呼ばれる。これに対して、光導電部材が一巡する毎に特定分離色についての帯電、潜像形成、現像及び転写を実施し、色を変えて光導電部材を複数回巡回させることにより多色印刷物を作成するマシンは、マルチパスマシンと呼ばれる。
【0005】
何れにせよ、トナーパウダ像転写済シートは、通常、トナー未融着状態でプレフューザ移送機構によりピックアップ及び搬送されフューザアセンブリ乃至フューザモジュールに送り込まれる。フューザアセンブリでは加熱によってトナーを融着させ複製物を仕上げる。従来における典型的なプレフューザ移送機構では、複数個の孔が形成された回転ベルトをドライブシャフトとアイドラシャフトの間に張架しておき、回転ベルトの孔及びその背後にあるプレートの孔を介しブロアからの真空でシートを吸着する仕組み、即ち帯電トナー粒子による像がその上に形成されているシートを個別に真空吸引して光導電部材から剥がし自分の側に引き寄せて捉える仕組みが用いられている。補助手段として真空吸引を使用するこの仕組みは、シート上の転写ゾーン内等にある未融着像が乱れないという利点を有している。シートはこうしたプレフューザ移送機構によってフューザアセンブリに移送され、フューザアセンブリに送り込まれたシートには熱及び圧力が印加される。これによって、シート上のトナー粒子がそのシートに融着する。
【0006】
図1に、静電写真印刷マシンや電子写真印刷マシンの典型的な構成を示す。このマシンにて光導電部材として使用している光導電ベルトは、好ましくも、抗縮裏打層を接地層により被覆し更にその上を光導電素材層により被覆した構成であり、その光導電素材層は、電荷発生層及びこれを被覆する電荷輸送層から構成されている。電荷輸送層は電荷発生層にて発生した電荷例えば正電荷を輸送する。光導電ベルトの回転方向は図中矢印で示した通りであり、また光導電ベルトの回転経路沿いには各種処理ステーションが配置されているので、光導電ベルトの表面即ち光導電面の各部は、それら処理ステーションを順々に通ることとなる。光導電面の各部が最初に通る帯電ステーションAには2個のコロナ発生装置が設けられており、光導電ベルトは、比較的高い電位となるようそれらコロナ発生装置によって略均一に荷電される。
【0007】
光導電ベルト上の帯電部分が次に通る潜像形成ステーションBは、マシンのプラテンの上方に配置された文書取扱ユニットHを有している。文書取扱ユニットHは、スタックされている原稿即ち複製対象文書を順繰りに取り込み、その潜像を形成し終えた原稿を文書トレイに回送する。その際に使用する経路には片面時経路及び両面時経路という二種類の経路がある。即ち、スタックや文書トレイとの原稿のやりとりは、片面印刷時には片面時経路を介して、両面コピー時特に表面印刷時には片面時経路を介してまた裏面印刷時には両面時経路を介して、それぞれ行われる。
【0008】
原稿の潜像を形成するプロセスは、通常はキセノンフラッシュランプを用いて行われる。即ち、キセノンフラッシュランプを発光させてプラテン上の原稿を照明し、その原稿によって反射された光線をレンズによって合焦させることにより光導電面の帯電部分上に原稿の光像を形成し、それによってその部分の電荷を選択的に消散させる。この動作によって、光導電ベルト上には、原稿内情報エリアに相応した静電潜像が記録される。この後、光導電ベルトの回転に伴って、その上の静電潜像は現像ステーションCに送られる。
【0009】
現像ステーションCに設けられている磁気ブラシ型現像ユニットは、所望の現像ゾーンが得られるよう光導電ベルトに面して配置された一群の現像器ローラに現像剤を送給する。現像器ローラはこの現像剤を送り込んで静電潜像に接触させる。静電潜像は現像剤中のキャリア細粒からトナー粒子を吸い寄せるので、これによって光導電面上にトナーパウダ像が形成される。光導電ベルトはトナーパウダ像を転写ステーションDに送る。
【0010】
転写ステーションDは、複製先たるシートを取り込んでトナーパウダ像に接触させる。その際には、まず、光導電ベルトとトナーパウダ像との間に作用する吸引力を弱めるため、図示しないランプから転写準備光を発して光導電ベルトをこれに露光させる。次いで、適当な強度及び極性となるようシートをコロナ発生装置で帯電させることにより、そのシートを光導電ベルトに貼り付かせ更に光導電ベルト上のトナーパウダ像をシートへと吸い寄せる。こうして転写を終えたら、コロナ発生装置でシートを逆極性に帯電させてそのシートを光導電ベルトから剥がし、コンベアで融着ステーションEに送る。
【0011】
融着ステーションEに設けられているフューザアセンブリは、転写済トナーパウダ像をシートに永久固着させるアセンブリであり、好ましくもフューザローラ50及び加圧ローラを備えている。フューザローラ50はその内部の水晶ランプによって加熱されており、トナーパウダ像に接している状態で加圧ローラと共にシートを加圧する。また、リザーバ内に貯留されているリリース剤はメータリングローラに押送され、そのうちの余分がトリムブレードによりトリミングされ、ドナーローラ更にはフューザローラへと転写される。
【0012】
融着済シートは例えばデカーラ55なる装置に送り込まれる。デカーラ55は、融着動作中に発生したシートの曲がりが十分に解消されるように、そのシートを曲げる。
【0013】
シートは、次いで先送りローラ62により移送シュート60を通して両面複製用ソレノイドゲート65に送られる。両面複製用ソレノイドゲート65は、片面未印刷の両面複製シートを両面複製用トレイ70へと案内し、片面複製シートや両面複製済の両面複製シートを仕上げステーションFへと案内する。両面複製用トレイ70は、シート両面に印刷する場合に使用されるトレイである。即ち、その片面については印刷が済んでいるがその裏面についてはまだ印刷が済んでいない両面複製途中のシートを、一時的に蓄えておくのに使用される。両面複製を完遂するには、両面複製用トレイ70内に蓄えられている片面複製済のシートを転写ステーションDへと再送してその裏面にトナーパウダ像を転写させ、更に表面印刷時と同じ経路に送り込めばよい。両面複製が済んだシートは仕上げステーションFに送り込まれる。
【0014】
なお、転写ステーションDへのシート送給元となっているのは高速フィーダトレイIや何個かの二次トレイ72である。大抵のマシンにおいては、こうしたトレイ内で一番上にあるシートが、次々と、真空送給ベルトによって転写ステーションDへと送られる。
【0015】
【特許文献1】米国特許第4632377号明細書
【特許文献2】米国特許第5066984号明細書
【特許文献3】米国特許第5557387号明細書
【特許文献4】米国特許第5623720号明細書
【特許文献5】米国特許第6173136号明細書
【特許文献6】米国特許第6314268号明細書
【特許文献7】米国特許第6505030号明細書
【特許文献8】米国特許第6782228号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上述べた静電複製マシンでは、複製先シートをフューザローラから容易に剥がせないことがしばしば問題になるが、この問題に対しては、大抵のマシンで、加熱されているフューザローラからシートの先端辺を分離させるストリッパなる装置を組み込むことによって対処している。
【0017】
しかしながら、静電複製マシンには、更に、融着ステーションEから出てくるシートが高温すぎる、という問題もある。融着ステーションEから出てくるシートが高温すぎるとブロッキング、即ち相次いで出てくるシート同士が貼り付き合うという現象が生じる。更に、マシン内での裏面転写時に高温のシートの裏面に画像を転写しようとすると、しばしば、画像に欠陥が発生する。
【0018】
後の問題即ち高温問題に対するには、融着ステーションの出口に設けるシート移送経路を長くすればよいが、そのようにすると、融着ステーションEから両面複製用ソレノイドゲート65に至るマシン部分に大きなスペースが食われるし、移送経路延長手段として使用する多数のニップローラ(図1中の62に相当するもの)によって形成済画像が損傷を受けることもあり得る。高温問題に対するまた別の解決策としては、融着ステーションから出てくるシートに向かって吹き付けるようにマシン内空気流方向を調整する、という策があるが、この空気流によってシートの流れが邪魔され次のステーションまで滑らかに流れていかなくなる可能性があるだけでなく、特に融着ステーションから出てくるシートの単位時間当たりページ数が多い場合には、シートを適切な温度まで冷ませる十分な流量で空気流を提供するのに、サイズ的或いはコスト的に到底採用しかねるような空気流通システムが必要になるであろう。
【0019】
本発明は、典型的な構成の融着ステーションから吐き出されてくるシートに係る高温問題に対処可能な移送装置を実現することを、その目的とする。本発明は、大量複製用のマシンや両面複製機能を有するマシンのように、高温問題の影響を深刻に受け得るマシンにおいて、特に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明においては、融着ステーションの下流にエアドラッグクーラなる装置を設けることによって、上掲の目的を達成している。エアドラッグクーラは、例えば、フューザローラとその下流にあるデカーラ、両面複製用ソレノイドゲート、仕上げステーション等の装置との間に設ける。エアドラッグクーラは、例えば、融着ステーションからその下流へとシートを移送するためのポストフューザ移送機構即ち移送シュート上に、1個又は複数個のプレナムを実装した構成とする。プレナムからは、移送シュート内におけるシート移送方向に対してある角度をなす方向に沿って移送シュート内へと空気が送り込まれ、この空気流が助力となってシートが移送シュート内を動いていく。
【0021】
本発明の一実施形態は、複製マシンにて使用されシート送り用に移送シュート等の形態で移送チャネルを形成するシート移送システムであって、それぞれ(例えば移送チャネルの同じ側に設けられており)空気流源に連結可能な1個又は複数個のプレナムと、各プレナムを移送チャネルと連通させる個又は複数個の開口と、を有し、それら開口のうち少なくとも1個が、プレナム内に流れる空気を移送チャネル内に送り込んでシート移送方向沿いに流せるよう配置されたシート移送システムである。更に、開口のうち少なくとも1個を、例えば、シート移送方向横断方向沿いに(例えば移送チャネル全幅に亘り)延びるスロットとして形成された部分を含む開口とする。このスロットは、プレナムからの空気流がシート移送方向に対して非平行非直交方向から送り込まれることとなるよう、例えばシート移送方向に対し非平行非直交な角度(例えば60°)で形成するとよい。
【0022】
更に好ましくは、インレット、アウトレット及び1個又は複数個の排気アウトレットを、移送チャネルに形成しておく。排気アウトレットは移送チャネルに沿ってインレットとアウトレットの間に設ける。排気アウトレットは、それぞれ何れかのプレナム及びその開口に対応して、且つ対応するプレナム及び開口から見てシート移送方向沿いに下流側に、設けるとよい。プレナム及びその開口を複数個設ける場合は、上流側のプレナムに対応する排気アウトレットを、当該上流側のプレナムの開口よりも、より下流側のプレナムの開口に近い位置に、設けるとよい。更に、各プレナムにファンを連結しそのファンからプレナムの内部に空気流を供給するようにするとよい。
【0023】
本発明の一実施形態は、シート移送システムにより移送シュート等の形態で複製マシン内にシート送り用の移送チャネルを形成してシートを移送する方法であって、移送チャネルのインレットとアウトレットの間に位置する一箇所又は複数箇所(好ましくは2箇所以上)から、移送チャネル内に空気流を送り込んでシート移送方向沿いに流すステップを有する。好ましくは、これに先立ち、シート移送方向に沿って移送チャネル内にシートを送り込み、移送チャネル内にシートがある状態で空気流を送り込むようにする。そのためのスロットは、移送チャネルと直交しないよう移送チャネルに形成するとよい。更に好ましくは、移送チャネルのインレットとアウトレットの間に位置する一箇所又は複数箇所にて移送チャネルから空気流を排出させる。空気流を送り込む箇所と送り込む箇所との間に空気流を排出させる箇所があるとなおよい。
【0024】
本発明の一実施形態は、融着ステーションのようにシート温度が高まる場所から複製マシン内でその下流にある場所へとシートを送るべくシート移送システムによって移送シュート等の形態で複製マシン内に移送チャネルを形成してシートを移送する方法であって、シート移送方向に沿って移送チャネル内にシートを送り込むステップと、シート移送方向沿いに先送りされていくうちにシートが冷めるようシート移送チャネル内に(例えば移送チャネルのインレットとアウトレットの間にある複数箇所にて)空気流を送り込むステップと、を有する。好ましくは、移送チャネル内のやや暖まっている空気を(例えば移送チャネルのインレットとアウトレットの間にある複数箇所にて)移送チャネルから排出するようにする。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明によれば、複製マシン又は印刷マシンの内部でのシート移送に関わる従来の問題点を解決可能なシステム及び方法を提供することができる。本発明によれば、更に、例えば高温の融着ステーションからマシン内でより下流にあるステーションへとシートを送り込む際に発生する数々の難点を排除可能な、シート移送システム及び方法を提供することができる。
【0026】
本発明に係るシート移送システム及び方法の利点の一つは、融着ステーション等の高温な構成部材からマシン内でより下流にあるステーションへとシートを搬送していく間にシート温度を下げる手段を、提供できることである。本発明に係るシート移送システム及び方法の利点の他の一つは、高速の複製マシン或いは印刷マシンへの組込・一体化が容易であることである。本発明にはこれ以外にも効果や利点があるが、それらについては、別紙図面を参照しながら、以下、より詳細に説明することとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、例えば図1に模式的に示した静電複製方式プリンタ等の複製システムにて実施することができる。本発明は、特に、融着ステーションEから複製済シートを受け取りより下流のステーションへと移送するシート移送経路例えば移送シュート60に組込・一体化可能な、シート移送装置若しくはシステム又はそれによる移送方法として実施することができる。従って、本発明の一実施形態に係る装置の配置箇所は、例えば融着ステーションEとデカーラ55との間、融着ステーションEと両面複製用ソレノイドゲート65の間(マシンにデカーラ55が設けられていない場合等)、融着ステーションEと仕上げステーションFの間(マシンに両面複製モードがない場合等)等である。
【0028】
図2及び図3に、本発明の一実施形態に係る装置であるエアドラッグクーラ10を示す。本実施形態は移送シュートT、例えば図1に示した複製マシン内の移送シュート60に、好適に組み込むことができる。本エアドラッグクーラ10は実装基体12を備えており、この実装基体12は、図2及び図3に示すように移送シュートTの壁30に実装されている。移送シュート壁30に対する実装基体12の取付方法としては、従来から知られている方法、例えばネジやボルト(図示せず)による方法を使用することができる。
【0029】
この実装基体12によって支持されているプレナム14は、全体として、移送シュートTを略横断する方向に沿って、即ち移送シュートT内におけるシートSの移送方向を横切る方向に沿って、配置されている。プレナム14の一端16はキャップ等により閉止されており、他端18はインレット端となっている。このインレット端18はインレットマニホルド20との連結に使用されており、インレットマニホルド20は図示しない空気源に連結されているので、空気源からの空気流はインレットマニホルド20内を通ってプレナム14内に供給されることとなる。空気源としては、搭載先の複製マシンの外から外気を引き込むファン等の空気移送装置を設けるのが望ましい。複製マシン内に真空ベルト型シートコルゲーションフィーダを併載する場合は、当該フィーダ用の空気源にこのインレットマニホルド20を連結して使用してもかまわないが、本エアドラッグクーラ10による熱移転特性(これについては後に詳述する)を最大限引き出したければ、インレットマニホルド20を介して空気源から供給する空気の温度を、室温にすべきである。そのため、本実施形態では、複製マシンの外形をなす壁にファンを実装し(図示せず)、そのファンにインレットマニホルド20を連結してある。
【0030】
プレナム14をかたちづくっているプレナム壁24は例えば図3に示すように円筒状とするが、角筒状とすることもできる。プレナム壁24には移送シュート壁30方向に臨んで開口するようにスロット26が、また移送シュート壁30にはプレナム壁スロット26と対をなして開口するように移送シュート壁スロット34が、それぞれ設けられている。これらスロット26及び34は好ましくも一連のスロットとなるよう形成されているので、以下の説明では両者をまとめてスロット26等と表記することもある。これらスロット26及び34は、好ましくは、移送シュートTの全幅に亘り、移送シュートT並びにその内部におけるシートSの移送方向を横切るように設ける。そのようにすれば、スロット26及び34を介してプレナム14から移送チャネル32内に流れ込む空気が、移送チャネル32内を通過していくシートSの全幅に吹き付けられることとなる。
【0031】
図3から看取できるように、一連化しているスロット26及び34が向いている方向は、プレナム14の中心と移送シュートTとをまっすぐ結ぶ直線に対し非直交非平行な方向であり、この中心線に対してある角度αをなしている。スロット26及び34は、また、移送シュートT内におけるシートSの移送方向に対しても非直交非平行である。スロット26及び34にこうして角度が付いているため、プレナム14内の空気がスロット26及び34を介し移送チャネル32内に流れ込むと、その空気流はシートSに接するように流れることとなる。即ち、プレナム14内に供給された空気は移送チャネル32に流れ込むと移送チャネル内シート移送方向に沿ったベクトル成分を有する流れになるため、移送チャネル32内のシートSは、基本的に、その延長方向に沿って移送シュートTのアウトレット37(図4参照)方向へとドラッグされていく(引きずられていく)こととなる。具体的な数値例としては、高さ方向寸法=約2.0mmの移送チャネル32に対して角度α=約30°、という数値を掲げ得る。スロット26及び34が移送シュート内シート移送方向に対してなす角度を60°とすることもできる。この角度は、例えば移送チャネル32内を移送されていくシートSの性状に応じて、また例えば移送チャネル32の高さ方向寸法に応じて、適宜変更乃至設定することができる。例えば、シートSが比較的厚い或いは重いシートである場合、角度αを大きめにして空気によるシートSのドラッグ効果を増大させること、即ち空気流がシートSに及ぼす移送力を増加させることが、必要になろう。
【0032】
また、図2及び図3に隠れ線で示されているように、本エアドラッグクーラ10の前段にローラアセンブリNを設けるとよい。このローラアセンブリNは、移送シュートTの幅方向に沿って一群のローラRを配置し、それらローラRによって本エアドラッグクーラ10へのシートSの搬送を助ける構成を有している。ローラアセンブリNの最善の位置は移送シュートTの始まり部分であり、この位置以外には設けないようにするのがよい。この位置は例えば融着ステーションE(図1参照)の直後であるので、ここにローラアセンブリNを設ければ、融着ステーションEを出てきたシートSをローラRによって直ちに掴み、移送チャネル32内で整列させることができる。更に、本エアドラッグクーラ10をローラアセンブリNの直後に配置しておけば、例えば、まだローラRと接しているうちにシートSの先端辺がスロット26及び34の面前を横切っていくようにすることができる。このように位置及び向きを設定しておけば、融着ステーションEに向かう逆向きの空気流によって移送シュートT内におけるシートSの移送が妨げられることはなかろう。また、これはちょっと考えれば分かることであるが、移送シュートTに沿って複数個のエアドラッグクーラ10を設ける場合、そのうち下流側にあるエアドラッグクーラ10には、ローラアセンブリNを設ける必要がない。それは、下流側では空気流だけで適切に、シートSを搬送できるからである。
【0033】
図4に、本エアドラッグクーラ10を用いた装置の一例を模式的に示す。この図に示す移送シュートTは上述した通り例えば融着ステーションEに続くポストフューザ移送機構内で使用されるシュートであり、インレット36及びアウトレット37を有している。ポストフューザ移送機構内でこれを使用する場合、融着ステーションEからのシートSは移送シュートインレット36を介して移送シュートT内に搬入され、また移送シュートT内のシートSは移送シュートアウトレット37を介して後段の複製マシン内ステーション例えばデカーラ55へと送給されることとなる。なお、この図の移送シュートTは湾曲を有しているが、移送シュートTの形状等がその搭載先の複製マシン又は印刷マシンの種類や構成に強く依存するものであることは、いうまでもない。
【0034】
図示した構成においては2個のエアドラッグクーラ10a及び10bが設けられている。各エアドラッグクーラ10a,10bは、それぞれそのプレナム14のスロット26a,26bを介して移送チャネル32に連通されている。これらエアドラッグクーラ10a及び10bに対する空気流の供給は、好ましくは、共通の空気源に連結された共通のマニホルド(例えばインレットマニホルド20)によって行うこととする。また、図示した構成とは異なるが、エアドラッグクーラ10a及び10bを介して供給される空気の逃げ道がインレット36及びアウトレット37だけとなるような形態で、移送チャネル32を実現することもできる。スロット26a及び26bに角度が付けられているので、インレット36に向かう空気流量よりもアウトレット37に向かう空気流量の方が多くなり、従って、全体としては、移送方向に沿ってドラッグ力(引きずり力)が働くことになる。
【0035】
インレット36及びアウトレット37以外に空気の逃げ道を設けない構成は、その長さが比較的短く1個のエアドラッグクーラ10で事足りる移送シュートT向けの構成である。これに対して、図4に示した移送シュートTのようにその長さが比較的長いものでは、その中途に1個又は複数個の排気アウトレット(図示の例では40a及び40bの2個)を設けるのが有益である。図示の通り、排気アウトレット40aは対応するエアドラッグクーラ10aの下流にあり、排気アウトレット40bは対応するエアドラッグクーラ10bの下流にある。更に、その下流に別のエアドラッグクーラがある排気アウトレットの位置は、当該下流のエアドラッグクーラに近い位置にするのが望ましい。即ち、図示の例でいうと、排気アウトレット40aを、対応するエアドラッグクーラ10aに比べ下流のエアドラッグクーラ10b側に寄った位置に、設けるのが望ましい。
【0036】
排気アウトレット40a及び40bは、それぞれ、単一の開口として移送シュートTの壁30に設けてもよいし、移送シュート壁30に形成した複数個の開口を束ねて個別の排気アウトレット40a,40bとしてもよい。排気アウトレット40a又は40bとして形成した開口を介し移送チャネル32から空気流を吐き出す先は、複製マシン外につながる適当な形態の排気路としてもよいし、そのような排気路を設けず複製マシン内に直に吐き出すようにしてもよい。排気アウトレット40a,40bとして設ける開口のサイズや個数は、その排気アウトレット40a又は40bの流路断面積が適当な面積になるよう、例えば対応するスロット26a,26bの流路断面積に応じて適宜調整・設定するとよい。例えば、移送チャネル32が前掲の例の如く高さ方向寸法=2.0mmのチャネルとして形成されている場合、各スロット26a,26bの寸法を移送チャネル32の高さの約1/2である約1.0mmとし、対応する排気アウトレット40a,40bをスロット26a,26bと同じくスロット状でその寸法が排気チャネル32とほぼ同じ約2.0mmの開口とするとよい。寸法2.0mmのスロット状開口に代えて、当該スロット状開口の流路断面積と(ほぼ)等しい合計流路断面積を呈する例えば3個以上の円形開口を設けてもよい。
【0037】
各エアドラッグクーラ10a,10bを介して移送チャネル32に流れ込んでいく空気流は、シートSを移送シュートT内で搬送していく助力になるだけでなく、暖まった状態で移送シュートT内に入ってきて移送チャネル32内をマシン内の下流に向けて搬送されていくシートSを、その途上で冷ます機能も有している。また、図示の例の如く移送シュートTの中途に排気アウトレット40a及び40bを設けることは、シートSから空気流への熱の移転を促進し、暖まった空気を移送シュートT外に運び出して排熱するのに、役立っている。
【0038】
図5〜図7に、移送チャネル32にエアドラッグクーラ10を設けたことによる物理的影響をグラフとして示す。これらのグラフは、インレット36からアウトレット37までの長さが約317.5mmで高さ方向寸法がその長手方向に沿って約2.0mmで均一な移送シュートTを用い、図4に示した構成を実施した場合についてのグラフである。また、2個設けられているエアドラッグクーラ10a及び10bそれぞれのプレナム14内に入る空気の流量が約20cfmであり、従って合計で約40cfmの流量の空気が移送シュートT流れ込んでいる(cfm:立方フィート毎分、1フィート=約0.30m)。このように移送シュートTとエアドラッグクーラ10a及び10bとを組み合わせたシステムにおいては、その流体力学モデルによれば、移送シュートTから出てくる空気流量が、インレット36では約9.5cfm、アウトレット37では約4.3cfm、第1排気アウトレット40aでは約19.0cfm、第2排気アウトレット40bでは約7.2cfmとなる。
【0039】
流入空気の流速及び排出空気の流速がこのような値である場合、静圧曲線は図5に示されるような曲線となる。このグラフ中、位置=0.0mmの点即ちゼロ点は、移送シュートTの長手方向中間点、具体的には排気アウトレット40aのほぼ中央に相当している。このグラフに示されているように、2個設けられているエアドラッグクーラ10a及び10bの位置では静圧がスパイク状の変化を呈している。各スロット26a,26bの直近で発生している負圧は、移送チャネル32に沿ってシートSを引っ張っていく助力になっている。
【0040】
また、先に説明したように、移送チャネル32内の空気流は、シートSを移送チャネル32に沿って引っ張っていくドラッグ効果をもたらすものである。このドラッグ効果を示す計測可能な指標値としては、移送チャネル32に沿った剪断応力がある。これを図6にグラフとして示す。静圧のグラフと同じく、剪断応力も各エアドラッグクーラ10a,10bのスロット26a,26bの直近でピークを呈している(但し正と負のピークである)。力学的解析によれば、移送チャネル32沿いの特定箇所で負の剪断応力が生じるとはいえ、合計では正の剪断となって移送方向に向かう力が生じる。インレット36方向に向かう空気流が生じるインレット36・第1エアドラッグクーラ10a間では、最も強力な負の剪断が働くが、インレット36近傍に設けたローラアセンブリN(図2参照)によってこの逆方向の力を克服することができるため、移送チャネル32内で第1エアドラッグクーラ10aより下流にある領域へとシートSを搬送することができる。第1エアドラッグクーラ10aから先では、外乱として作用する負の剪断に打ち克てるような正の剪断効果がシートSに作用するため、全体としては移送方向沿いにシートSを進める正の力が作用することとなる。
【0041】
いま述べた移送機能に加えて、エアドラッグクーラ10a及び10bには、移送シュートT内を移動していく途上でシートSから熱を奪ってこれを冷ますという機能もある。この熱移転効果を図7にグラフとして示す。このグラフにおいても、予想通り、各エアドラッグクーラ10a,10bが設けられている位置で熱移転係数がピークを呈している。また、図示の通り移送シュートTの全長に亘って熱移転係数が正であることから、空気流によってシートSが冷まされる効果が、シートSが移送シュートT内を運ばれていく全経過で生じていることが分かる。エアドラッグクーラ10a及び10bを設けたことによる熱移転効果の総計は、この図に示した曲線を位置に沿って積分することにより、求めることができる。具体的に数値例を示すと、通常タイプのフューザローラから出てくるときその温度が約150℃あるシートSを、これら2個のエアドラッグクーラ10a及び10bによって約50℃まで冷ますことができる。約50℃というシート温度は十分に低く、この温度まで冷まされているシートSであれば、ブロッキングや画像欠陥といった問題は生じない。なお、ブロッキングや画像欠陥は、融着ステーションEから吐き出されるときのシート温度が高すぎてその下流のステーションに入れるのに適していない場合に、これまでの高速複製マシンでしばしば生じていた問題である。
【0042】
更に、図示した構成ではエアドラッグクーラ10aとエアドラッグクーラ10bが移送シュートTから見て同じ側に設けられているが、このように片側だけに設けるのではなく、複数個のエアドラッグクーラを移送シュートの両側に配置した方がよい場合もある。その場合の設け方としては、各エアドラッグクーラを他のエアドラッグクーラからずれた位置に設けるという互い違い配置と、複数個のエアドラッグクーラを同じ位置にまっすぐ差し向かいで設けるという差し向かい配置とがある。後者即ち差し向かい配置を採った場合、移送チャネルの両側に差し向かいで設けられたスロットを介し各エアドラッグクーラから空気流が送り込まれることとなるので、移送チャネル内のシートは、傾向として、それら二種類の空気流に挟まれその移送チャネルの中央に保持されることとなる。
【0043】
また、排気アウトレット40を対応するエアドラッグクーラ10のスロット26の直近に設けてもかまわない。そうした配置を採る場合、必要な移送力或いは必要な熱移転能力を実現するのにより多数のエアドラッグクーラ10及びより多数の排気アウトレット40を設けねばならなくなるかもしれない。更に、こうした配置を採る場合は、スロット26の寸法を小さくして各エアドラッグクーラ10から出てくる空気の流速を高めるとよい。
【0044】
ご理解頂きたいことであるが、エアドラッグクーラ10に係る何種類かのパラメタは、そのエアドラッグクーラ10が組み込まれる複製マシンや印刷マシンの構成上の特徴、そのマシンで処理するシートSの素材・特性、そのマシン内でのエアドラッグクーラ10の位置等に応じて変えるとよい。例えば、シートSを冷ますのに必要な空気流量は普通はそのシートSの素材や厚みによって変わるので、エアドラッグクーラ10を介して供給する空気の流量をシートSの素材や厚みに応じて定めるとよい。また、融着ステーションEから出てくる際のシート温度や後段のステーションに入れる際の目標シート温度は、エアドラッグクーラ10の各種パラメタに決定的な影響を与える。即ち、主立ったものでも、エアドラッグクーラ10を介して供給する空気流量、エアドラッグクーラ10のスロット26の寸法、エアドラッグクーラ10の個数、排気アウトレット40の位置等のパラメタは、搬入時シート温度や搬出時目標シート温度に応じて定めるとよい。更に、融着ステーションEからマシン内でその後段に配置されている別のステーションへのシート移送に使用できる経路の長さも、エアドラッグクーラ10の形態及び動作を定める際に一役を買う。また、図4に示した構成に関し、2個のエアドラッグクーラ10a及び10bによって均一な流速で空気を流す例を示したが、用途次第では、シート移送経路の長手方向に沿って空気の流速を変えてかまわない場合があるし、変えた方がよい場合すらあろう。
【0045】
図示した例では、空気ドラッグ力を発生させるためのスロット26,34を、移送シュートTのほぼ全幅に亘る略方形スロットとして説明したが、これとは別のスロット構成、例えば複数個のサブスロットを移送シュートTの幅方向に沿って間隔配置しそれらサブスロットをまとめてスロット26,34としてもよい。考えれば分かることであるが、エアドラッグクーラ10により送り込まれる空気流において、移送方向に対し平行なベクトル成分を十分大きくするには、スロット26及び34を方形にするのが有益であろう。
【0046】
図示した例では、更に、エアドラッグクーラ10のスロット26を固定寸法としているが、可変寸法スロット即ちその流路断面積が可変のスロットとしてもよい。エアドラッグクーラ10にこうしたスロット寸法変更機能が組み込まれていれば、例えば、マシン内を通り抜けていくシートSの性状に応じてそのエアドラッグクーラ10の動作パラメタを調整する、といった制御を、エアドラッグクーラ10別に実施することができよう。例えば、各種の複製マシンのなかには、シートSの寸法・特性をユーザが入力できるタイプのものや、マシン内に入ってくるシートについてその特定の特性をセンサで検知判別するタイプのものがある。そうしたマシンにおいては、入力又は検知により取得したシート特性情報に基づき、1個又は複数個のエアドラッグクーラ10の動作を調整、制御することができよう。
【0047】
調整対象となり得るものの一つは、エアドラッグクーラ10に供給される空気流の流速である。これは、空気流発生器例えばファンの速度を制御することによって調整することができるほか、各エアドラッグクーラ10のプレナム14に空気を供給するインレットマニホルド20内や、インレットマニホルド20と各プレナム14との間にバッフル(図示せず)を設け、これを調整してプレナム14内に向かう流量を絞ることによっても、調整することができる。更に、エアドラッグクーラ10における空気流の流速も調整対象となり得る。これを調整するには、例えば、スロット26を覆う摺動型のシャッタ板或いはバッフル板をプレナム14内に実装し、このシャッタ板或いはバッフル板の位置をシフトさせてそのスロット26の流路断面積を変化させればよい。
【0048】
上述した例では、エアドラッグクーラ10を、複製マシンや印刷マシン中、フューザアセンブリに続く場所に組み込んでいたが、エアドラッグクーラ10は、通り抜けていくシートSを冷ますことが望まれる部位、その移送経路沿いにシートを推進するために助力が欲しい部位等、マシン内のまた別のステーションにも実装することができる。即ち、用途にもよるが、マシン内でステーションからステーションへとシートSを差し向けるのに使用されている部材例えばローラのうち1個又は複数個を、エアドラッグクーラ10を以て置き換えることができる。
【0049】
ご理解頂きたいことに、本願では、「複製マシン」なる用語を、印刷出力を実施する機能を備えた装置であればどのような装置でもその印刷出力目的を問わず包含する、という意図に沿って、使用している。従って、本願における「印刷マシン」には、ディジタル複写機、製本機、ファクシミリ機、多機能機等が包含される。
【0050】
同様に、その構成要素に関していえば、説明したもの以外の構成要素・ステーションを有する複製マシンや、説明とは違う場所にその構成要素・ステーションが設けられている複製マシンや、説明とは違う場所・構成要素・ステーションにエアドラッグクーラ10が設けられている複製マシンも、本願でいうところの「複製マシン」に包含される。例えば、先の説明では融着ステーションEより後段にエアドラッグクーラ10を設ける例を示したが、本願に記載の通り特徴的な機能及び構成を有するエアドラッグクーラ10は、シート温度が高まるステーションやシート移送に対する助力が望まれるステーションを初めとして、あらゆるステーションの後方に設けることができる。
【0051】
ご理解頂けるように、以上説明したものもそれ以外のものも含め、本発明に係る特徴的構成及び機能或いはその変形物・代替物は、上述した用途・システム以外の用途・システムを含め数多くの用途・システムにて利用し又はこれに組み込むことができる。また、本件技術分野における習熟者(いわゆる当業者)であれば、様々な代替思想、変形、実施形態、改良等を次々と想到し得るであろうが、本願出願後になされたものも含めて、それらの思想は別紙特許請求の範囲に記載の発明の技術的範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】静電複製方式プリンタの一例を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るエアドラッグクーラが搭載された移送シュートの一部分を拡大して示す斜視図である。
【図3】図2に示したエアドラッグクーラを拡大して示す側断面図である。
【図4】融着ステーションの出口側に設けられた移送シュートの構成、特に本発明の一実施形態に係るエアドラッグクーラの構成要素の配置を示す図である。
【図5】図4に模式的に示した移送シュートにおける長手方向位置と、そのインレットにおける圧力及び流速がある特定値である場合における各位置での静圧計測値との関係を、示すグラフである。
【図6】図4に模式的に示した移送シュートにおける長手方向位置と、そのインレットにおける圧力及び流速がある特定値である場合における各位置での剪断応力即ち移送力計測値との関係を、示すグラフである。
【図7】図4に模式的に示した移送シュートにおける長手方向位置と、そのインレットにおける圧力及び流速がある特定値である場合における各位置での熱移転係数計測値との関係を、示すグラフである。
【符号の説明】
【0053】
10,10a,10b エアドラッグクーラ、14 プレナム、26,26a,26b,34 スロット、32 移送チャネル、36,37,40a,40b 移送シュートのインレット・アウトレット・排気アウトレット、60,T 移送シュート、E 融着ステーション、S シート、α スロット方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複製マシンにて使用されシート送り用に移送チャネルを形成するシート移送システムであって、
それぞれ空気流源に連結可能な1個又は複数個のプレナムと、各プレナムを移送チャネルと連通させる1個又は複数個の開口と、を有し、
それら開口のうち少なくとも1個が、プレナム内に流れる空気を移送チャネル内に送り込みシート移送方向沿いに流せるよう配置されたシート移送システム。
【請求項2】
請求項1記載のシート移送システムであって、開口のうち少なくとも1個が、シート移送方向横断方向沿いに延びるスロットとして形成された部分を含むシート移送システム。
【請求項3】
シート移送システムにより複製マシン内にシート送り用の移送チャネルを形成してシートを移送する方法であって、
シート移送方向に沿って移送チャネル内にシートを送り込むステップと、
移送チャネル内にシートがある状態で、シート移送チャネルのインレットとアウトレットの間に位置する一箇所又は複数箇所から移送チャネル内に空気流を送り込み、シート移送方向沿いに流すステップと、
を有する方法。
【請求項4】
シート温度が高まる場所から複製マシン内でその下流にある場所へとシートを送るべくシート移送システムによって複製マシン内に移送チャネルを形成してシートを移送する方法であって、
シート移送方向に沿って移送チャネル内にシートを送り込むステップと、
シート移送方向沿いに先送りされていくうちにシートが冷めるようシート移送チャネル内に空気流を送り込むステップと、
を有する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−342000(P2006−342000A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153129(P2006−153129)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】