説明

シート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法

【課題】剥離シートが薄厚化した場合でも、接着シートの形成、剥離及び貼付を良好に行うことができるようにすること。
【解決手段】帯状シートWSが帯状の剥離シートRLに仮着された原反RSを繰り出す繰出手段14と、帯状シートWSに切込CUを形成して当該切込CUの内側に接着シートASを形成する切断手段15と、接着シートASを初期剥離領域(繰出方向先端部)Saから次期剥離領域(内側領域)Sbに向かって剥離する剥離板18とを備えてシート貼付装置10が構成されている。切断手段15は、初期剥離領域Saに対応する初期切込CU1の深さが次期剥離領域Sbに対応する次期切込CU2の深さに比べて深い切込を形成可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法に係り、更に詳しくは、帯状シートに切込を形成して接着シートを形成することができるシート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する場合がある)等の被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置が広く利用されるに至っており、かかるシート貼付装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1のシート貼付装置は、帯状シートが剥離シートに仮着されてなる原反を繰り出す繰出手段と、この原反を繰り出す過程で閉ループ状の切込を形成する切断刃と、切込の内側に形成された接着シートを剥離シートから剥離するピールプレートと、剥離された接着シートをウエハ及びリングフレームに押圧して貼付可能なプレスローラとを備えている。このようなシート貼付装置で切込を形成する場合、図4(A)に示されるように、切断刃HCの刃先が20μm前後剥離シートRLに入り込むように、当該切断刃HCとプラテンローラPRとの相対間隔が調整される。なお、このような剥離シートRLは、通常50μm前後の厚みを有するものが採用される。同図中WSは帯状シート、BSは基材シート、ADは接着剤層、RSは原反を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−116928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、剥離シートRLにあっては、材料コストを低減するために、25μm前後の薄手のものが採用される機会が多くなっている。このような薄手の剥離シートRLが採用された原反を特許文献1の装置で使用すると、図4(B)に示されるように、切断刃HCの刃先が剥離シートRLに入り込まなくなり、ピールプレートで切込CUの内側に形成された接着シートと、その外側に形成された不要シートとを確実に切り離すことができず、当該接着シートが不要シートと共に巻き取られてしまうことで、接着シートの貼付が行えなくなる、という不都合が発生する。
【0005】
ここで、図4(B)において、切断刃HCの刃先が剥離シートRLに入り込むように当該切断刃HCとプラテンローラPRとの相対間隔を再調整することで、接着シートを確実に不要シートから切り離すようにできる。ところが、この場合、切込CUが形成された位置における剥離シートRLの厚みが薄くなり過ぎてしまうので、少しの外力を受けただけで接着シートとそれに対応する剥離シート部分とが原反RSから抜け落ちてしまったり、ピールプレートで接着シートを剥離するときに、当該接着シートと共に対応する剥離シート部分も抜けてしまい、剥離シート部分が付随した状態の接着シートが被着体に貼付されてしまったりするといった接着シートの貼付不良を発生してしまう、という不都合を招来する。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、剥離シートが薄厚化した場合でも、接着シートの形成、剥離及び貼付を良好に行うことができるシート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から当該接着シートの内側領域に向かって剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、

前記切断手段は、前記接着シートにおける繰出方向先端部に対応する切込の深さが前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成可能に設けられる、という構成を採っている。
【0008】
本発明において、前記切断手段は、帯状シートの厚み方向に高さを有する切断刃を備え、この切断刃は、前記接着シートにおける繰出方向先端部に対応する切込を形成可能な高刃部と、この高刃部より低い高さに形成され前記接着シートの内側領域を形成可能な低刃部とを含む、という構成を採ることが好ましい。
【0009】
また、前記高刃部は、切断刃の複数箇所に設けられ、各高刃部は、前記接着シートにおける繰出方向先端部に対応する切込を形成できる位置に選択的に配置可能に設けられる、という構成も好ましくは採用される。
【0010】
更に、前記繰出手段は、前記切断手段と連動して1枚の接着シート形成に対し、前記高刃部での切断を複数回行うとよい。
【0011】
また、前記切断手段で切断される領域の原反を加熱可能なエネルギー付与手段を有する、という構成を採ることができる。
【0012】
更に、本発明のシート貼付方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程と、
前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から当該接着シートの内側領域に向かって剥離する剥離工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧工程とを備え、
前記切断工程において、前記接着シートにおける繰出方向先端部に対応する切込の深さが前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成する、という方法を採っている。
【0013】
また、本発明のシート製造装置は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段とを含むシート製造装置であって、
前記切断手段は、前記接着シートの繰出方向先端部及び繰出方向後端部の少なくとも一方に対応する切込の深さが前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成可能に設けられる、という構成を採っている。
【0014】
また、本発明のシート製造方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程とを備え、
前記切断工程において、前記接着シートの繰出方向先端部及び繰出方向後端部の少なくとも一方対応する切込の深さが前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成する、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接着シートの繰出方向先端部に対応する切込の深さが接着シートの内側領域に対応する切込の深さより深く形成できるので、接着シートの繰出方向先端部を確実に不要シートから切り離すことができる。これにより、従来のように接着シートが不要シートと共に巻き取られてしまうことで、接着シートの貼付が行えなくなるといった不都合を解消することができる。このとき、接着シートの内側領域に対応する切込の深さは、接着シートの繰出方向先端部に対応する切込に比べて浅く形成されているが、接着シートの繰出方向先端部さえ不要シートと切り離しできれば、接着シートの剥離の進行に伴って当該接着シートは、接着シートの内側領域に対応する切込に沿って不要シートから切り離される。
また、接着シートの内側領域に対応する剥離シートの切込の深さが、接着シートの繰出方向先端部に対応する剥離シートの切込の深さより浅くなっているので、接着シートとそれに対応する剥離シート部分が原反から抜け落ちてしまったり、剥離シート部分が付随した状態の接着シートが被着体に貼付されてしまったりするといった接着シートの貼付不良を抑制することができる。このとき、特許文献1の装置のように、接着シートの繰出方向先端部に対応する剥離シート部分が、ピールプレートで接着シートと一緒に抜けてしまうことがあるが、接着シートの内側領域に対応する剥離シートの切込の深さが浅いので、接着シートと一緒に抜けてしまった剥離シート部分がそれ以上大きくなることはなく、当該剥離シート部分は剥離シートの正規の回収方向に引っ張って回収されるようになる。
なお、前記シート製造装置及び製造方法によれば、前述と同様に切込が形成された原反を準備でき、当該原反をシート貼付装置や貼付方法に用いた場合、前述したように接着シートの剥離及び貼付を難なく行えるようになる。
【0016】
また、切断手段の切断刃が低刃部及び高刃部を有する場合、前述のような切込深さの切込を簡単に形成することが可能となる。
【0017】
更に、複数の高刃部が接着シートの繰出方向先端部を形成し得るように選択的に配置可能となるので、1の高刃部の高さが摩耗等によって劣化しても、各高刃部の位置を変えて他の高刃部を利用できる。
【0018】
また、高刃部での切断を複数回行うことで、接着シートの繰出方向先端部に対応する切込の深さを安定して所定の深さとすることが可能となる。
【0019】
更に、エネルギー付与手段を有する場合、原反にエネルギーを付与し、例えば、基材シートや接着剤層等を軟化させて切込を形成し易くすることができ、切断不良を良好に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係るシート貼付装置の概略正面図。
【図2】切断手段の概略斜視図。
【図3】(A)は刃基板及び切断刃の展開図、(B)は(A)の断面図。
【図4】(A)及び(B)は、従来例に係る切断要領を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「左」、「右」、「上」、「下」は、図1を基準として用いる。
【0022】
図1〜図3において、シート貼付装置10は、被着体としてのウエハWF及びリングフレームRFを吸着支持するテーブル11と、このテーブル11を左右方向に移動可能な駆動機器としての直動モータ12と、帯状の剥離シートRLと、その一方の面に仮着された帯状シートWSとにより構成された原反RSを繰り出し可能な繰出手段14と、この繰出手段14により繰り出された原反RSの帯状シートWSに切込CUを形成し、当該切込CUの内側に接着シートASを形成するとともに、当該切込CUの外側に不要シートUSを形成する切断手段15と、不要シートUSを巻き取り可能な巻取手段16と、剥離シートRLを折り返して接着シートASを剥離シートRLから剥離する剥離手段としての剥離板18と、この剥離板18で剥離された接着シートASをリングフレームRF及びウエハWFに押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ19とを備えて構成されている。帯状シートWSは、基材シートBSと、この基材シートBSの一方の面に積層された接着剤層ADとを備え、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着されている。なお、ウエハWFの下面には保護シートPSが貼付されている。
【0023】
前記繰出手段14は、原反RSを支持する支持軸25と、この支持軸25から繰り出されて切断手段15を通過する前の原反RSを挟み込む第1駆動ローラ27及び第1ピンチローラ28と、剥離板18を経た後の剥離シートRLを挟み込む第2駆動ローラ31及び第2ピンチローラ32と、これらを通過した後の剥離シートRLを図示しない駆動機器によって所定のトルクで巻き取る巻取軸34とを備えている。各駆動ローラ27、31は、駆動機器としての回動モータDM1、DM2を介して回転可能に設けられている。
【0024】
前記切断手段15は、繰り出される原反RSの帯状シートWS側に配置され、回転軸線MCを中心に回転可能に設けられたダイカットローラ36と、原反RSの剥離シートRL側に配置され、図示しない機構によりダイカットローラ36と連動して回転軸線PCを中心に回転可能に設けられたプラテンローラ37と、ダイカットローラ36を回転させる駆動機器としての回動モータDM3と、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との相対間隔を調整する間隔調整手段であって図示しない直動モータ等の駆動機器とを備えている。
【0025】
前記ダイカットローラ36は、帯状シートWSを切断して切込CUを形成する切断刃40と、この切断刃40が表面に突設される刃基板41と、この刃基板41を外周に巻き付け可能な円柱状のマグネットシリンダ43とを備えている。
【0026】
前記切断刃40は、切込CUを形成するときに、帯状シートWSの厚み方向に高さを有するように刃基板41から突設されている。切断刃40は、図3(A)に示されるように、刃基板41を平面に展開したときに、略円形となる形状に設けられ、帯状シートWSにリングフレームRFの内径寸法よりも大きく、外形寸法よりも小さい略円形の切込CUを形成可能に設けられている。切断刃40は、その円形状の周方向90°間隔毎に4つ形成された高刃部46と、隣り合う高刃部46の間にそれぞれ位置するとともに、高刃部46より低い高さとなる低刃部48とを備えている。各高刃部46は、切断刃40の円周方向に30°の角度範囲でそれぞれ形成されている。本実施形態の場合、刃基板41をエッチング加工して切断刃40が形成され、高刃部46の高さは、450μmに設定され、低刃部48の高さは、435μmに設定されている。
【0027】
前記刃基板41は、マグネットシリンダ43に磁力を介して着脱可能に設けられている。刃基板41は、平面に展開したときに、略正方形状に形成され、その4辺に沿うように各高刃部46設けられている。また、刃基板41は、一辺の長さがマグネットシリンダ43の外周長さ以下に設けられ、展開した状態から相対する2辺が対向する状態でマグネットシリンダ43に巻き付け可能となっている。従って、図2に示されるように、刃基板41をマグネットシリンダ43に装着したときに、切断刃40における高刃部46は、マグネットシリンダ43の軸方向両側及び周方向両側に位置することとなる。ここで、切断刃40によって形成された接着シートASは、帯状シートWSの繰出方向(原反RSが支持軸25から巻取軸34に向かう方向)先端領域が高刃部46により形成される。この高刃部46により形成された接着シートAS部分が、剥離板18によって剥離シートRLから最初に剥離される接着シートの繰出方向先端部としての初期剥離領域Saとなり、この初期剥離領域Saに対応する切込CU部分が初期切込CU1とされる。また、初期剥離領域Saに隣接して低刃部48により形成される接着シートAS部分が、初期剥離領域Saの剥離の次に剥離される接着シートの内側領域としての次期剥離領域Sbとなり、この次期剥離領域Sbに対応する切込CU部分が次期切込CU2とされる。なお、刃基板41は、マグネットシリンダ43に巻き付けるときに、対向する2辺を他の2辺に変更したり、マグネットシリンダ43の軸方向に対する向きを反対にしたりしてもよい。これにより、4つの高刃部46の何れでも初期剥離領域Saに対応する初期切込CU1を形成可能となり、高刃部46の劣化状態等に応じて何れかの高刃部46を選択的に利用することが可能となる。
【0028】
ここで、切断手段15には図示しないエネルギー付与手段が設けられ、このエネルギー付与手段により原反RSにエネルギーを付与しながら切込CUを形成可能となっている。エネルギー付与手段としては、例えば、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37の少なくとも一方に内蔵されるコイルヒータの他、これらローラ36、37から離れた位置から切込CUの形成位置に温風を送風する送風機器や紫外線、赤外線、マイクロ波等のエネルギー線等を照射する照射装置等が例示できる。
【0029】
前記巻取手段16は、切断手段15により切込CUを形成した後の不要シートUSに掛け回されて当該不要シートUSを剥離シートRLから剥離する剥離ローラ50と、剥離ローラ50を経た後の不要シートUSを巻き取る巻取軸51とを備えて構成されている。巻取軸51は、駆動機器としての回動モータDM4を介して回転可能に設けられ、所定のトルクで不要シートUSを巻き取り可能となっている。
【0030】
次に、本実施形態における接着シートASの貼付方法について説明する。
【0031】
まず、支持軸25に支持された原反RSを第1駆動ローラ27と第1ピンチローラ28との間、及び、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との間を通過させる。そして、剥離シートRLから帯状シートWSを剥離し、当該帯状シートWSを剥離ローラ50に掛け回した後、そのリード端を巻取軸51に固定する。また、剥離シートRLは、剥離板18の先端で折り返して第2駆動ローラ31と第2ピンチローラ32との間を通過させ、そのリード端を巻取軸34に固定する。なお、本実施形態では、帯状シートWSの厚みは100μm、剥離シートRLの厚みは25μmのものが採用されている。また、切断刃40は、マグネットシリンダ43の外周に巻き付けられ、高刃部46とプラテンローラ37との相対間隔が5μmになるように、図示しない間隔調整手段によって調整されている。これにより、低刃部48とプラテンローラ37との相対間隔は20μmになっている。本実施形態では、図1に示されるように、ダイカットローラ36の回転方向における切断刃40が形成されていない領域の中央をダイカットローラ36のスタート位置Stとし、当該スタート位置Stがプラテンローラ37に再接近した状態で、ダイカットローラ36の回転を停止させておく。
【0032】
そして、回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出すと、切断刃40により基材シートBS側から剥離シートRL側に向かって切込CUが形成され、帯状シートWSは、切込CUの内側の接着シートASと、切込CUの外側の不要シートUSとに区分される。ここで、接着シートASには、高刃部46により初期切込CU1が形成されて初期剥離領域Saが形成された後、低刃部46により次期切込CU2が形成されて次期剥離領域Sbが形成される。これにより、初期切込CU1に対応する剥離シートRLには、高刃部46が20μm入り込むことにより、初期切込CU1が確実に剥離シートRLに入り込み、初期剥離領域Saが不要シートUSと切り離され易くなる。また、次期切込CU2に対応する剥離シートRLには、低刃部48が5μmしか入り込まないので、次期剥離領域Sbに対応する剥離シートRL部分は、切断され難くなる。
【0033】
切込CUの形成後、繰り出された原反RSは、剥離ローラ50で剥離シートRLから不要シートUSが剥離され、不要シートUSが巻取軸51に巻き取られる。このとき、剥離領域Saが不要シートUSと切り離され易くなっているので、接着シートASが不要シートUSと共に巻取軸51方向へ共上がりすることはない。次いで、不要シートUSが巻き取られた原反RSの接着シートASが剥離板18の先端から所定量剥離されて抜け出ると、図示しないセンサで当該接着シートASの先端が検出されて停止し、スタンバイ状態となる。このとき、初期切込CU1が確実に剥離シートRLに入り込んでいるので、初期剥離領域Saは確実に剥離シートRLから剥離され、剥離シートRLと共に第2駆動ローラ31方向に巻き取られるようなことはない。なお、初期剥離領域Saに対応する剥離シートRL部分も接着シートASと共に剥離板18から抜け出る場合がある。しかし、次期剥離領域Sbに対応する剥離シートRL部分が切断され難くなっているので、原反RSの繰出に伴って接着シートASと共に抜け出た剥離シート部分がそれ以上大きくなることはなく、この接着シートASと共に抜け出た剥離シート部分に剥離板18の先端から第2駆動ローラ31方向に引っ張る力が働き、初期剥離領域Saに対応する剥離シートRL部分を確実に接着シートASから剥離することができる。なお、スタンバイ状態のとき、ダイカットローラ36は、図1に示されるように、切断刃40がない位置がプラテンローラ37側に位置するように設定され、図示しない駆動機器である切込位置調整手段によって、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37の位置を上下方向に変位できるように構成されている。これによれば各接着シートASの間隔を任意に調整することができる上、接着シートASの繰出方向における長さに応じ、それらの位置を上下方向に変更できる。その後、図示しない搬送手段を介してリングクレームRFとウエハWFとがテーブル11上に載置され、吸着保持される。次いで、直動モータ12を介してテーブル11が剥離板18の下方を右側から左側に搬送される。テーブル11が所定の位置で図示しないセンサによって検知されると、テーブル11の搬送に同期して第1及び第2駆動ローラ27、31が回転して原反RSが繰り出され、剥離板18の先端で接着シートASが剥離される。そして、剥離された接着シートASが押圧ローラ19による押圧力を受け、リングクレームRF及びウエハWFの各上面に貼付され、接着シートASを介してウエハWFとリングクレームRFとが一体化される。このとき、初期剥離領域Saに対応する剥離シートRL部分が確実に接着シートASから剥離されているので、剥離シートRL部分が付随した状態の接着シートASが被着体に貼付されるようなことはない。
【0034】
従って、このような実施形態によれば、切断刃40による切断で初期剥離領域Saが次期剥離領域Sbより切込深さを深くできるので、接着シートASが不要シートUSと共に剥離され、当該接着シートASが貼付不能となることを防止することが可能となる。しかも、次期剥離領域Sbに対応する剥離シートRL部分への低刃部48の切込深さが浅いので、切断手段15を経た後の原反RSから、接着シートASが抜け落ち、当該接着シートASの貼付が行えなくなることを防止できる。このように、前記実施形態によれば、剥離シートRLが薄厚化しても、これに対応して接着シートASの形成、剥離及び貼付を良好に行うことができ、当該薄厚化によるコストダウンの要求に応じることが可能となる。
【0035】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0036】
例えば、前記巻取手段16を省略し、剥離シートRLから不要シートUSを剥離せずに、剥離板18で接着シートASを剥離し、剥離シートRLと不要シートUSとを巻取軸34で巻き取るようにしてもよい。このような場合にでも、剥離板18で初期剥離領域Saが剥離できず、接着シートASが不要シートUSと共に第2駆動ローラ31方向に巻き取れてしまうことを防止することができる。
【0037】
また、切込Cの形成にあっては、各回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出し方向に往復動させ、1枚の接着シートAS形成に対し、初期剥離領域Saに対応する高刃部46での切断を複数回行ってもよい。
【0038】
更に、前記シート貼付装置10の剥離板18及び押圧ローラ19を省略することにより、シート製造装置を構成してもよい。同装置によれば、前記実施形態と同様に切断手段15によって接着シートASを形成した後、当該接着シートASが剥離シートRLに仮着された原反RSが巻取軸34に巻き取られる。巻取軸34に巻き取られた原反RSは、別途搬送、保管したり、切断手段を有しないシート貼付装置等で利用したりすることができる。このように、巻取軸34に巻き取られた原反RSをその状態のまま切断手段を有しないシート貼付装置等で利用する場合、繰出手段14の繰出方向後端部が当該シート貼付装置等の初期剥離領域Saとなるので、少なくとも接着シートASにおける繰出手段14の繰出方向後端部の切込CUが他の領域に比べて深くなるように、切断手段15の高刃部46を設ければよい。
【0039】
また、切断刃40の平面形状は、帯状シートWSに切込CUを形成して当該切込CUの内側を接着シートASとして形成し得る限りにおいて、多角形状、楕円、長円、菱形、直線と曲線とを組み合わせた形状等、種々の変更が可能であり、刃の高さも任意に変更できる。
【0040】
更に、前記実施形態において、初期剥離領域Saを形成する高刃部46以外の少なくとも一つの高刃部46を省略してもよい。
また、刃基板41を円形や多角形に形成することで、選択的に利用できる高刃部46の数を増やすことができる。
更に、前記実施形態では、高刃部46を切断刃40の円周方向に30°の角度範囲で形成したものを例示したが、30°以下の角度範囲で形成してもよいし、高刃部46が隣接する高刃部46と繋がらない範囲で30°以上の角度範囲で形成してもよい。
【0041】
また、切断手段15は、前記初期切込CU1や次期切込CU2を形成できる限りにおいて、レーザ光線等の他の切断手段を用いてもよい。
更に、切断刃40は、エッチング加工により形成されるもの以外に、機械加工によって形成される彫刻刃や、ロータリダイの他、平らな板上に刃が形成された平刃や、トムソン刃等を使用してもよい。
また、高刃部46や低刃部48の高さは、原反RSの厚みや性質等を考慮して適宜変更することができる上、高刃部46よりも高さが低く且つ低刃部48も高さが高い中間刃部を形成してもよい。
【0042】
更に、繰出手段14や剥離板18、押圧ローラ19は、種々の設計変更が可能である。
また、間隔調整手段を所謂ベアラで構成してもよいし、間隔調整手段による切断刃40とプラテンローラ37との相対間隔は、原反RSの厚みや性質、特に剥離シートRSの厚みや性質等を考慮して適宜変更することができる。
更に、原反RSを構成する部材の厚みは、上記実施形態で例示したものに何ら限定されることはない。
また、シート貼付装置10を移動させる駆動機器を設け、テーブル11を停止させた状態で、シート貼付装置10を図1中右方向に移動させたり、テーブル11を左方向に移動させるとともに、シート貼付装置10を右方向に移動させたりして接着シートASを被着体に貼付するように構成してもよいし、
【0043】
更に、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0044】
また、被着体は、ウエハWFやリングフレームRFに代えて、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他のものも対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハであってもよい。また、リングフレームRFに代えて、C字状やU字状等の別形状のフレームを用いてもよいし、リングフレームRFなしで単独の被着体を接着シートASの貼付対象としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 シート貼付装置
14 繰出手段
15 切断手段
18 剥離板(剥離手段)
19 押圧ローラ(押圧手段)
40 切断刃
46 高刃部
48 低刃部
AD 接着剤層
AS 接着シート
BS 基材シート
CU 切込
CU1 初期切込
CU2 次期切込
RF リングフレーム(被着体)
RL 剥離シート
RS 原反
Sa 初期剥離領域(接着シートの繰出方向先端部)
Sb 次期剥離領域(接着シートの内側領域)
US 不要シート
WF 半導体ウエハ(被着体)
WS 帯状シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から当該接着シートの内側領域に向かって剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、
前記切断手段は、前記接着シートにおける繰出方向先端部に対応する切込の深さが前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成可能に設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記切断手段は、帯状シートの厚み方向に高さを有する切断刃を備え、この切断刃は、前記接着シートにおける繰出方向先端部に対応する切込を形成可能な高刃部と、この高刃部より低い高さに形成され前記接着シートの内側領域を形成可能な低刃部とを含むことを特徴とする請求項1記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記高刃部は、切断刃の複数箇所に設けられ、各高刃部は、前記接着シートにおける繰出方向先端部に対応する切込を形成できる位置に選択的に配置可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記繰出手段は、前記切断手段と連動して1枚の接着シート形成に対し、前記高刃部での切断を複数回行うことを特徴とする請求項2又は3記載のシート貼付装置。
【請求項5】
前記切断手段で切断される領域の原反を加熱可能なエネルギー付与手段を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のシート貼付装置。
【請求項6】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程と、
前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から当該接着シートの内側領域に向かって剥離する剥離工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧工程とを備え、
前記切断工程において、前記接着シートにおける繰出方向先端部に対応する切込の深さが前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成することを特徴とするシート貼付方法。
【請求項7】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段とを含むシート製造装置であって、
前記切断手段は、前記接着シートの繰出方向先端部及び繰出方向後端部の少なくとも一方に対応する切込の深さが前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成可能に設けられていることを特徴とするシート製造装置。
【請求項8】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程とを備え、
前記切断工程において、前記接着シートの繰出方向先端部及び繰出方向後端部の少なくとも一方対応する切込の深さが前記接着シートの内側領域に対応する切込の深さに比べて深い切込を形成することを特徴とするシート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−74098(P2013−74098A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211945(P2011−211945)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】