説明

シート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法

【課題】不要シートの剥離や、接着シートの貼付を良好に行うことができるようにすること。
【解決手段】帯状シートWSが帯状の剥離シートRLに仮着された原反RSを繰り出す繰出手段14と、帯状シートWSに切込CUを形成して当該切込CUの内側に接着シートASを形成し、切込CUの外側に不要シートUSを形成する切断手段15と、接着シートASを初期剥離領域(繰出方向先端部)Saから剥離する剥離板18とを備えてシート貼付装置10が構成されている。繰出手段14は、原反RSに付与する張力を増減可能な張力付与手段17を有し、張力の増加によって初期剥離領域Saの接着シートAS外縁と不要シートUSとの間に隙間SPを形成可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法に係り、更に詳しくは、帯状シートに切込を形成して接着シートを形成することができるシート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する場合がある)等の被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置が広く利用されるに至っており、かかるシート貼付装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1のシート貼付装置は、帯状シートが剥離シートに仮着されてなる原反を繰り出す繰出手段と、この原反を繰り出す過程で円形状の切込を形成する切断刃と、切込の内側に形成された接着シートを剥離シートから剥離するピールプレートと、剥離された接着シートをウエハ及びリングフレームに押圧して貼付可能なプレスローラとを備えている。このようなシート貼付装置では、切込形成後であって、接着シートを剥離シートから剥離する前に、切込の外側に形成された不要シートを剥離シートから剥離して巻き取る巻取手段を有するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−116928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近時、ウエハにあっては大径化される傾向があり、これに応じて接着シートの径寸法も大きくなる。従って、図4に示されるように、接着シートASは、その繰出方向先端部における当該接着シートASの繰出方向に沿った一定の間隔(以下、「先端縦間隔Sx」という)に対し、先端縦間隔Sx進んだ位置での接着シートASの繰出方向に直交する方向に沿った間隔(以下、「先端横間隔Sy」という)の割合(以下「先端縦横比Sxy」という)が大きくなり、微視的に見ると恰も直線であるかのような状態となる。この先端縦横比Sxyが大きくなると、巻取手段で接着シートASの繰出方向先端部の不要シートを接着シートASから切り離すときに、その切り離しが一挙に広範囲で行われることになる。このような場合、切断手段で形成した切込が不十分で、例えば、接着シートASと不要シートとが完全に分断されていなかったり、接着シートASと不要シートとの接着剤同士が再接着してしまったりしていた場合、接着シートASと不要シートとの切り離しに要する力が接着シートASと剥離シートとの剥離に要する力を上回ってしまう場合があり、当該接着シートASが不要シートと共に巻取手段で巻き取られて接着シートASの貼付が行えなくなる、という不都合が発生する。かかる不都合は、接着シートが方形等に形成され、繰り出し方向前端が直線に形成されて原反の幅方向に長くなる場合にも、同様に発生する。
【0005】
[発明の目的]
本発明の目的は、接着シートの形状に拘わらず、不要シートの剥離、ひいては、接着シートの貼付を良好に行うことができるシート貼付装置及び貼付方法、並びに、シート製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、
前記繰出手段は、前記原反に付与する張力を増減可能な張力付与手段を有し、前記原反に付与する張力を増加させることによって前記接着シートの繰出方向先端部における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成可能に設けられる、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記張力付与手段は、前記切断手段による切込の位置情報に基づき、原反に付与する張力を調整可能に設けられる、という構成を採ることが好ましい。
【0008】
また、前記繰出手段は、前記切断手段と連動して1枚の接着シート形成に対し、前記初期剥離領域での切断を複数回行うとよい。
【0009】
また、前記張力付与手段は、前記張力を段階的に増加可能に設けられる、という構成を採ることができる。
【0010】
更に、本発明のシート貼付方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程と、
前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から剥離する剥離工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧工程とを備え、
前記繰出工程において、前記原反に付与する張力を増加させることによって前記接着シートの繰出方向先端部における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成する、という方法を採っている。
【0011】
また、本発明のシート製造装置は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段とを含むシート製造装置であって、
前記繰出手段は、前記原反に付与する張力を増減可能な張力付与手段を有し、前記原反に付与する張力を増加させることによって、前記接着シートの繰出方向先端部及び繰出方向後端部の少なくとも一方における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成可能に設けられる、という構成を採っている。
【0012】
また、本発明のシート製造方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程とを備え、
前記繰出工程において、前記原反に付与する張力を増加させることによって、前記接着シートの繰出方向先端部及び繰出方向後端部の少なくとも一方における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成する、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原反の張力を増加することにより、剥離シートから不要シートを剥離する前に、接着シートの繰出方向先端部における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成し、一旦それらが確実に切り離された状態とすることができる。このように、接着シート外縁と不要シートとを一旦切り離すことにより、先端縦横比Sxyが大きかったり、切断手段で形成された切込が不十分であったりしても、確実に接着シートが不要シートと共に巻き取られることを回避できる。また、それらを一旦切り離すことで隙間ができ易くなり、接着シートASと不要シートとの接着剤同士が再接着し難くなり、従来のように接着シートの貼付が行えなくなるといった不都合を解消することが可能となる。
なお、前記シート製造装置及び製造方法によれば、不要シートと共に接着シートが巻き取られてしまい、部分的に接着シートが仮着されていない原反が生産されてしまうことを防止することができる上、接着シートの繰出方向先端部における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間が形成された原反を準備しておき、当該原反をシート貼付装置や貼付方法に用いた場合、従来のように接着シートの貼付が行えなくなるといった不都合を解消することが可能となる。
【0014】
また、切断手段による切込の位置情報に基づき、張力付与手段が原反に付与する張力を調整可能となるので、接着シートの繰出方向先端部に切込を形成してから不要シートを剥離する前のタイミングで、接着シートの繰出方向先端部における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成することができる。
【0015】
更に、接着シートの繰出方向先端部での切断を複数回行うことで、切込の深さを安定して所定の深さとすることが可能となる。
【0016】
また、張力付与手段による原反の張力を段階的に増加可能とした場合、隙間の大きさも段階的に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るシート貼付装置の概略正面図。
【図2】切込形成後の原反の概略斜視図。
【図3】変形例に係るシート貼付装置の部分正面図。
【図4】剥離動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「左」、「右」、「上」、「下」は、図1を基準として用いる。
【0019】
図1及び図2において、シート貼付装置10は、被着体としてのウエハWF及びリングフレームRFを吸着支持するテーブル11と、このテーブル11を左右方向に移動可能な駆動機器としての直動モータ12と、帯状の剥離シートRLと、その一方の面に仮着された帯状シートWSとにより構成された原反RSを繰り出し可能な繰出手段14と、この繰出手段14により繰り出された原反RSの帯状シートWSに切込CUを形成し、当該切込CUの内側に接着シートASを形成するとともに、当該切込CUの外側に不要シートUSを形成する切断手段15と、不要シートUSを巻き取り可能な巻取手段16と、剥離シートRLを折り返して接着シートASを剥離シートRLから剥離する剥離手段としての剥離板18と、この剥離板18で剥離された接着シートASをリングフレームRF及びウエハWFに押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ19とを備えて構成されている。帯状シートWSは、基材シートBSと、この基材シートBSの一方の面に積層された接着剤層ADとを備え、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着されている。なお、ウエハWFの下面には保護シートPSが貼付されている。
【0020】
前記繰出手段14は、原反RSを支持する支持軸25と、この支持軸25から繰り出されて切断手段15を通過する前の原反RSを挟み込む第1駆動ローラ27及び第1ピンチローラ28と、剥離板18を経た後の剥離シートRLを挟み込む第2駆動ローラ31及び第2ピンチローラ32と、これらを通過した後の剥離シートRLを図示しない駆動機器によって所定のトルクで巻き取る巻取軸34とを備えている。各駆動ローラ27、31は、駆動機器としての回動モータDM1、DM2を介して回転可能に設けられている。なお、第1駆動ローラ27、回動モータDM1、第2駆動ローラ31及び回動モータDM2により張力付与手段17が構成される。回動モータDM1及び回動モータDM2は、その出力軸の回転方向を正逆回転可能であり、その回転速度や回転トルクを調整可能に設けられ、この調整により、各駆動ローラ27、31間の原反RSに張力を付与でき、且つ、当該張力を増減するよう調整可能に設けられている。
【0021】
前記切断手段15は、繰り出される原反RSの帯状シートWS側で回転可能に設けられたダイカットローラ36と、原反RSの剥離シートRL側に配置され、図示しない機構によりダイカットローラ36と連動して回転可能に設けられたプラテンローラ37と、ダイカットローラ36を回転させる駆動機器としての回動モータDM3と、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との相対間隔を調整する間隔調整手段であって図示しない直動モータ等の駆動機器とを備えている。
【0022】
前記ダイカットローラ36は、外周面から突設する閉ループ状の切断刃40を備え、帯状シートWSにリングフレームRFの内径寸法よりも大きく、外形寸法よりも小さい略円形の切込CUを形成可能に設けられている。切断刃40によって形成された接着シートASは、帯状シートWSの繰出方向(原反RSが支持軸25から巻取軸34に向かう方向)先端領域が剥離板18によって剥離シートRLから最初に剥離される接着シートの繰出方向先端部としての初期剥離領域Sa(図2参照)となる。なお、ダイカットローラ36の回転位置を検出可能な図示しない位置センサが設けられ、当該センサの検出結果に基づきダイカットローラ36で形成した切込CUの位置情報を出力可能となっている。この位置センサは、ダイカットローラ36の外部から切断刃40の位置をカメラ等の撮像手段や、光学センサで検出するようにしてもよいし、回動モータDM3のパルスから切断刃40の位置を割り出すように構成してもよい。
【0023】
ここで、切断手段15には図示しないエネルギー付与手段が設けられ、このエネルギー付与手段により原反RSにエネルギーを付与しながら切込CUを形成可能となっている。エネルギー付与手段としては、例えば、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37の少なくとも一方に内蔵されるコイルヒータの他、これらローラ36、37から離れた位置から切込CUの形成位置に温風を送風する送風機器や紫外線、赤外線、マイクロ波等のエネルギー線等を照射する照射装置等が例示できる。
【0024】
前記巻取手段16は、切断手段15により切込CUを形成した後の不要シートUSに掛け回されて当該不要シートUSを剥離シートRLから剥離する剥離ローラ50と、剥離ローラ50を経た後の不要シートUSを巻き取る巻取軸51とを備えて構成されている。巻取軸51は、駆動機器としての回動モータDM4を介して回転可能に設けられ、所定のトルクで不要シートUSを巻き取り可能となっている。
【0025】
次に、本実施形態における接着シートASの貼付方法について説明する。
【0026】
まず、支持軸25に支持された原反RSを第1駆動ローラ27と第1ピンチローラ28との間、及び、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との間を通過させる。そして、剥離シートRLから帯状シートWSを剥離し、当該帯状シートWSを剥離ローラ50に掛け回した後、そのリード端を巻取軸51に固定する。また、剥離シートRLは、剥離板18の先端で折り返して第2駆動ローラ31と第2ピンチローラ32との間を通過させ、そのリード端を巻取軸34に固定する。本実施形態では、図1に示されるように、ダイカットローラ36の回転方向における切断刃40が形成されていない領域の中央をダイカットローラ36のスタート位置Stとし、当該スタート位置Stがプラテンローラ37に再接近した状態で、ダイカットローラ36の回転を停止させておく。
【0027】
そして、回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出すと、切断刃40により基材シートBS側から剥離シートRL側に向かって切込CUが形成され、帯状シートWSは、切込CUの内側の接着シートASと、切込CUの外側の不要シートUSとに区分される。ここで、図2に示されるように、図示しない位置センサにより、初期剥離領域Saが形成されたことが確認されると、回動モータDM1の回転をロックした状態で、回動モータDM2によって第2駆動ローラ31を帯状シートWSの繰出方向に回転させたり、回動モータDM2の回転をロックした状態で、回動モータDM1によって第1駆動ローラ27を帯状シートWSの繰出方向の反対方向に回転させたり、第1、第2駆動ローラ27、31を帯状シートWSの繰出方向に回転するとともに、第1駆動ローラ27の回転速度よりも第2駆動ローラ31の回転速度を速くさせたり、第2駆動ローラ31の回転速度よりも第1駆動ローラ27の回転速度を遅くさせたりして原反RSに付与する張力を増加させる。これにより、剥離シートRLと不要シートUSとが延出方向に伸展し、初期剥離領域Saの接着シートAS外縁と不要シートUSとの間に隙間SPが形成され、一旦それらが確実に切り離された状態となる。この隙間SPの形成により、接着シートASと不要シートUSとが剥離シートRLに仮着された状態で、当該接着シートASと不要シートUSとが初期剥離領域Saで切り離された状態となる。なお、隙間SPの大きさを調整すべく、回動モータDM1、DM2による原反RSの張力の増加を段階的に行ってもよい。
【0028】
隙間SPの形成後、回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出すと、剥離ローラ50で剥離シートRLから不要シートUSが剥離され、不要シートUSが巻取軸51により不要シートUSが巻き取られる。このとき、初期剥離領域Saは、一旦不要シートUSと切り離されているので、接着シートASが不要シートUSと共に巻取軸51方向へ共上がりすることはない。次いで、不要シートUSが巻き取られた原反RSの接着シートASが剥離板18の先端から所定量剥離されて抜け出ると、図示しないセンサで当該接着シートASの先端が検出されて停止し、スタンバイ状態となる。なお、スタンバイ状態のとき、ダイカットローラ36は、図1に示されるように、スタート位置Stがプラテンローラ37に対向した状態で、図示しない駆動機器である切込位置調整手段によって、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37の位置を上下方向に変位できるように構成されている。これによれば各接着シートASの間隔を任意に調整することができる上、接着シートASの繰出方向における長さに応じ、それらの位置を上下方向に変更できる。その後、図示しない搬送手段を介してリングクレームRFとウエハWFとがテーブル11上に載置され、吸着保持される。次いで、直動モータ12を介してテーブル11が剥離板18の下方を右側から左側に搬送される。テーブル11が所定の位置で図示しないセンサによって検知されると、テーブル11の搬送に同期して第1及び第2駆動ローラ27、31が回転して原反RSが繰り出され、剥離板18の先端で接着シートASが剥離される。そして、剥離された接着シートASが押圧ローラ19による押圧力を受け、リングクレームRF及びウエハWFの各上面に貼付され、接着シートASを介してウエハWFとリングクレームRFとが一体化される。
【0029】
従って、このような実施形態によれば、剥離ローラ50で剥離シートRLから不要シートUSを剥離する前段階で、接着シートASと不要シートUSとを一旦切り離すことで、接着シートAS外縁の曲率等、接着シートASの形状やサイズに拘わらず、切り離しの確実性を高めて接着シートASが不要シートUSと共に巻取軸51方向へ共上がりすること防止することができる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、前記巻取手段16を省略し、剥離シートRLから不要シートUSを剥離せずに、剥離板18で接着シートASを剥離し、剥離シートRLと不要シートUSとを巻取軸34で巻き取るようにしてもよい。このような場合にでも、剥離板18で初期剥離領域Saが剥離できず、接着シートASが不要シートUSと共に第2駆動ローラ31方向に巻き取れてしまうことを防止することができる。
【0032】
また、切込CUの形成にあっては、各回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出し方向に往復動させ、1枚の接着シートAS形成に対し、初期剥離領域Saでの切断を複数回行ってもよい。
【0033】
更に、前記シート貼付装置10の剥離板18及び押圧ローラ19を省略することにより、シート製造装置を構成してもよい。同装置によれば、前記実施形態と同様に切断手段15によって接着シートASを形成した後、当該接着シートASが剥離シートRLに仮着された原反RSが巻取軸34に巻き取られる。巻取軸34に巻き取られた原反RSは、別途搬送、保管したり、切断手段を有しないシート貼付装置等で利用したりすることができる。このように、巻取軸34に巻き取られた原反RSは、繰出手段14の繰出方向後端部が別途利用されるシート貼付装置等の初期剥離領域Saとなるので、少なくとも接着シートASにおける繰出手段14の繰出方向後端部が形成された時点で、隙間SPを形成するように構成すればよい。
【0034】
また、原反RSにおける帯状シートWSが予め他の装置等によって、所定の間隔を隔てて所定形状の切込CUが形成されることで当該切込CUの内側に接着シートASが形成されるとともに、当該切込CUの外側に不要シートUSが形成されたものの場合、前記シート貼付装置10の切断手段15を省略することができる。このような場合にでも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0035】
また、切断刃40の平面形状は、多角形状、楕円、長円、菱形、直線と曲線とを組み合わせた形状等、種々の変更が可能である。
【0036】
更に、前記張力付与手段17は、前記実施形態と同様に原反RSの張力を増加できる限りにおいて、種々の設計変更が可能である。例えば、第1駆動ローラ27及び第1ピンチローラ28を駆動機器により上下動可能に設けたり、原反RSの厚み方向に進退可能な出力軸により原反RSを押圧可能に設け、直線状に繰り出される原反RSを折り曲げるように変形することで原反RSの張力を増加してもよい。また、回動モータDM2を回転速度や回転トルクを調整可能なものにして、回動モータDM2の回転速度や回転トルクを制御して原反RSの張力を増加させたり、各回動モータDM1、DM2の両方の回転速度や回転トルクを制御して原反RSの張力を増加させたりしてもよい。
また、回動モータDM1〜DM4を停止させずに、原反RSを繰り出しつつ、回動モータDM1の回転速度を遅めたり、回転を一時停止させたり、回動モータDM2の回転を早めたりすることで原反RSの張力を増加させてもよい。このような場合、張力付与手段17は、第2駆動ローラ31、第2ピンチローラ32及び回動モータDM2も含むことになる。
更に、図3に示されるように、切断手段15の原反繰出方向下流側に、剥離シートRLを掛け回す掛回ローラ60、61、62等の迂回手段を設け、張力付与手段17として切断手段15の原反繰出方向下流側に、駆動機器である回動モータDM5で回転される駆動ローラ63及びピンチローラ64を配置する構成でもよい。この場合、剥離シートRLが伸展しない若しくは伸展し難いものの場合でも、隙間SPを確実に形成できる。なお、駆動ローラ63には、接着剤が接着しない不接着処理が施されている。
【0037】
また、切断手段15は、前記切込CUを形成できる限りにおいて、レーザ光線等の他の切断手段を用いてもよい。
更に、切断刃40は、エッチング加工により形成されるもの以外に、機械加工によって形成される彫刻刃や、ロータリダイの他、平らな板上に刃が形成された平刃や、トムソン刃等を使用してもよい。
【0038】
更に、繰出手段14や剥離板18、押圧ローラ19は、前記実施形態と同様の機能を発揮する限りにおいて、種々の設計変更が可能である。
また、間隔調整手段を所謂ベアラで構成してもよいし、間隔調整手段による切断刃40とプラテンローラ37との相対間隔は、原反RSの厚みや性質、特に剥離シートRSの厚みや性質等を考慮して適宜変更することができる。
更に、原反RSを構成する部材の厚みは、何ら限定されることはない。
また、シート貼付装置10を移動させる駆動機器を設け、テーブル11を停止させた状態で、シート貼付装置10を図1中右方向に移動させたり、テーブル11を左方向に移動させるとともに、シート貼付装置10を右方向に移動させたりして接着シートASを被着体に貼付するように構成してもよいし、
【0039】
更に、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0040】
また、被着体は、ウエハWFやリングフレームRFに代えて、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他のものも対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハであってもよい。また、リングフレームRFに代えて、C字状やU字状等の別形状のフレームを用いてもよいし、リングフレームRFなしで単独の被着体を接着シートASの貼付対象としてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 シート貼付装置
14 繰出手段
15 切断手段
17 張力付与手段
18 剥離板(剥離手段)
19 押圧ローラ(押圧手段)
AD 接着剤層
AS 接着シート
BS 基材シート
CU 切込
RF リングフレーム(被着体)
RL 剥離シート
RS 原反
Sa 初期剥離領域(接着シートの繰出方向先端部)
SP 隙間
US 不要シート
WF 半導体ウエハ(被着体)
WS 帯状シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、
前記繰出手段は、前記原反に付与する張力を増減可能な張力付与手段を有し、前記原反に付与する張力を増加させることによって前記接着シートの繰出方向先端部における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成可能に設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記張力付与手段は、前記切断手段による切込の位置情報に基づき、原反に付与する張力を調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記繰出手段は、前記切断手段と連動して1枚の接着シート形成に対し、前記初期剥離領域での切断を複数回行うことを特徴とする請求項1又は2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記張力付与手段は、前記張力を段階的に増加可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載のシート貼付装置。
【請求項5】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程と、
前記剥離シートに仮着された前記接着シートを当該接着シートの繰出方向先端部から剥離する剥離工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧工程とを備え、
前記繰出工程において、前記原反に付与する張力を増加させることによって前記接着シートの繰出方向先端部における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成することを特徴とするシート貼付方法。
【請求項6】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段とを含むシート製造装置であって、
前記繰出手段は、前記原反に付与する張力を増減可能な張力付与手段を有し、前記原反に付与する張力を増加させることによって、前記接着シートの繰出方向先端部及び繰出方向後端部の少なくとも一方における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成可能に設けられていることを特徴とするシート製造装置。
【請求項7】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程とを備え、
前記繰出工程において、前記原反に付与する張力を増加させることによって、前記接着シートの繰出方向先端部及び繰出方向後端部の少なくとも一方における接着シート外縁と不要シートとの間に隙間を形成することを特徴とするシート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−74101(P2013−74101A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211952(P2011−211952)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】