説明

シート部材

【課題】 物品の外観に与える影響を抑制しながら、物品に情報を後付で付与すること。
【解決手段】 IDパターンを逆フーリエ変換したID画像を透明シートの表面に目立たない色で印刷する。透明シートの裏面には粘着材が塗布してあり、これを用いて透明シートを物品に貼付することができる。ID画像は、フーリエ変換することによりIDパターンを復元することができ、これによって、IDパターンに紐付けられている情報をユーザに提示することができる。ID画像は、IDパターンを復元するための情報が印刷面全体に広がったものとなるため、一部が読み取り不能となっても残りの部分からID画像を復元することができる。そのため、透明シートと物品に描かれた絵柄などが重なって、その部分のID画像が読み取りできない場合でも、それ以外の部分のID画像からIDパターンを復元することができ、IDパターンの高い復元性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート部材に関し、例えば、商品に後付でID情報を貼付するものに関する。
【背景技術】
【0002】
物品に後付で情報を付与したい場合、シールなどの印刷媒体に付与したい情報を印刷して物品に貼り付けることが行われている。
例えば、商品の流通の過程で商品に情報を付与したい場合、付与したい情報を記録したバーコードやICチップなどを商品の表面や商品を梱包している箱に貼り付けている。
【0003】
このように物品に後付で情報を付与することにより、流通経路においては配送先などの情報を商品に付与したり、また、消費者に対しては、広告ウェブサイトのURL(Uniform Resource Locators)を提供したりすることができる。
【0004】
しかし、このように後付でシールを貼り付けることにより物品に情報を付与することができる一方、物品の外観に影響を与えるという問題があった。
例えば、ワインボトルはラベルの美しさが重要であり、ワインボトルにバーコードなどを印刷したシールを貼付することにより、外観を損ねる場合があった。
そこで、物品の外観を損なわないように後付で情報を付与する技術が次の文献で提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−43074公報
【0006】
この技術は、可視光を透過し、赤外線によりコード情報が読み取れるように作られた透明シートを物品に貼付するものである。
これによって、物品の外観を損ねずに情報を後付することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この技術では、コード情報を赤外線で読み取り可能に記録するための特殊な透明フィルムが必要であり、また、赤外線によってコード情報を読み取るための特殊な検出装置が必要であった。
更に、赤外線を吸収する特殊インクで透明シートにコード情報を記録するように構成することも可能であり、この場合、印刷機側は汎用品を用いることもできるが、依然としてこれを検出するための特殊な検出装置が必要であり、ユーザが限定されてしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、物品の外観に与える影響を抑制しながら、物品に情報を後付で付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、周波数領域でID情報を規定したID画像が1の表面から識別可能に記録され、更に他の表面に粘着材が塗布されたことを特徴とするシート部材を提供する(第1の構成)。
第1の構成において、前記シート部材は、透明シート部材により構成することができる(第2の構成)。
第1の構成、又は第2の構成において、前記ID画像は、所定の単色からなり、所定の値以下の濃淡度により形成することができる(第3の構成)。
第1の構成、第2の構成、又は第3の構成において、前記ID画像は、印刷により前記1の表面に形成することができる(第4の構成)。
第1の構成から第4の構成までのうちの何れか1の構成において、前記粘着材は、粘着対象に粘着した後、前記粘着対象からの剥離と再度の粘着が可能であるように構成することができる(第5の構成)。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、物品の外観に与える影響を抑制しながら、物品に情報を後付で付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(A)実施の形態の概要
IDパターンを逆フーリエ変換したID画像を透明シートの表面に目立たない色で印刷する。
透明シートの裏面には粘着材が塗布してあり、これを用いて透明シートを物品に貼付することができる。
【0012】
ID画像は、フーリエ変換することによりIDパターンを復元することができ、これによって、IDパターンに紐付けられている情報をユーザに提示することができる。
【0013】
ID画像は、逆フーリエ変換によりIDパターンを復元するための情報が印刷面全体に広がったものとなるため、一部が読み取り不能となっても残りの部分からID画像を復元することができる。
そのため、透明シートと物品に描かれた絵柄などが重なって、その部分のID画像が読み取りできない場合でも、それ以外の部分のID画像からIDパターンを復元することができ、IDパターンの高い復元性を確保することができる。
【0014】
また、透明シートの下の物品の絵柄が透けて見えるため、物品の外観へ与える影響を抑制することができる。
更に、ID画像の印刷は、汎用のプリンタと汎用のインクを用いて行うことができ、透明シートの提供者は新たに設備投資する必要がない。
更に、IDパターンの復元はカメラ付き携帯電話でID画像を撮影するなどして行うことができるため、透明シートの利用者も特殊な検出装置を備えなくても利用することができる。
【0015】
本実施の形態では、透明シートを写真に張って、これを用いてサーバ上のアルバムを管理する例と、ワインのラベルに張って、ユーザに広告を提供する例について説明する。
【0016】
(B)実施の形態の詳細
図1を用いて、本実施の形態で用いるIDパターンとID情報の関係について説明する。
まず、本実施の形態では、ID情報であるIDパターン10を周波数領域にて定義する。
IDパターン10は、内周円と外周円の周上に点で構成されたIDパターン成分16を配置して構成されている。
【0017】
垂直方向の軸と水平方向の軸の原点が低周波数側で、原点から離れるほど高周波数側となっている。
なお、これはIDパターンの一例であって、円の個数、円の半径などをパラメータとして各種のIDパターンを定義することができる。
【0018】
IDパターン10を逆フーリエ変換すると実空間でのID画像11が得られる。ID画像11は、画像全体に模様が拡散したものとなる。
なお、IDパターンを規定する場合、このように逆フーリエ変換後の画像が画像全体に分散するようなものを選択するのが望ましい。
【0019】
IDパターン10を逆フーリエ変換してID画像11が得られるが、逆にID画像11をフーリエ変換するとIDパターン10が得られるという関係がある。
このように、適当なIDパターンを選択してフーリエ変換すると、IDパターンを復元するための情報が画像全体に拡散し、物品の模様との重なりによる読み取り不能や、圧縮や切り取りなどの加工に対して耐性が生じる。
【0020】
即ち、IDパターンを規定する情報が画像全体に拡散するため、一部分が読み取りできなかったり、あるいは、ID画像を拡大縮小したり、一部を切り取ったりしても、ID画像に残っている情報からIDパターンを復元することができる。
実験によると、ID画像が50%くらいまで失われても元のIDパターンを復元することができる。
【0021】
本実施の形態では、ID画像11を小規模な印刷装置で印刷できるようにするために2値化し、2値化したID画像12を生成する。なお、2値化しないでID画像11をそのまま適用してもよい。
そして、読取装置では読み取れるが肉眼では目立たない程度にID画像12の濃淡度を調節し、これを透明シートに印刷してIDシート13を生成する。
【0022】
IDシート13の裏面は接着面となっており、接着剤が一様に塗布してある。また、使用時まで接着面が接着しないように、接着面には保護シートが貼り付けられており、使用時に保護シートを剥がしてIDシート13を物品(粘着対象)に貼付する。
このように、IDシート13は、周波数領域でID情報を規定したID画像が1の表面から識別可能に記録され、更に他の表面に粘着材が塗布されたことを特徴とするシート部材を構成している。
【0023】
IDシート13を物品に貼付した後、これをデジタルカメラなどで撮影してフーリエ変換すると、IDパターン15が得られる。
また、IDシート13の撮影画像をID画像12が印刷されている色でフィルタリングして、ID画像12を抽出すると、より明瞭なIDパターン15を得ることができる。
【0024】
IDパターン15では、IDパターン成分16が復元されるほか、IDシート13と重なった部分の絵柄などの背景の周波数成分17も形成される。
しかし、背景の周波数成分17は、低周波側に偏って分布する傾向があるため、周波数成分17からIDパターン成分16を識別して抽出することができる。
【0025】
このようにしてIDパターン15で復元されたIDパターン成分16を抽出し、IDパターン10のIDパターン成分16との一致を確認することにより、IDシート13に含まれていたID情報を特定することができる。
【0026】
次にIDシート13の利用例の一例について説明する。
この利用例は、サーバ上でアルバム管理サービスを提供するものであって、ユーザは、例えば、「七夕」や「友人の結婚式」などと、表題ごとに写真をグループ化してサーバに保存することができる。
【0027】
ユーザは、各写真グループから見出しとなる写真を1枚程度ずつ選びこれをプリンタなどで印刷する。
各写真グループには、IDパターンが対応付けられており、ユーザは、このIDパターンを逆フーリエ変換したID画像を印刷した写真に貼付する。
【0028】
見出し写真を撮影すると、写真の映像と共にID画像も撮影される。そのため、サーバはこれをフーリエ変換してIDパターンを復元することにより写真グループを特定することができる。
そこで、ユーザが見出し写真を携帯カメラで撮影してサーバに送信すると、見出し写真に対応する写真グループにアクセスすることができる。
【0029】
以下、この例の詳細について説明する。
図2は、IDシート13を利用して写真の管理を行う写真管理システムのシステム構成を示した図である。
【0030】
写真管理システム20は、写真預かりサーバ21、ユーザ端末22、プリンタ23、カメラ24、IDシート13、見出し写真25、携帯電話26などから構成されている。
図2で示した構成要素のうち、写真預かりサーバ21以外のものは、ユーザごとに複数存在している。
【0031】
写真預かりサーバ21は、ユーザから写真データのアップロードを受け付けてこれを写真データベースに保管するサーバ装置であり、例えば、インターネットなどのネットワークを介してユーザ端末22や携帯電話26などと接続可能に配設されている。
【0032】
写真預かりサーバ21は、写真データのアップロードを受け付ける預かりサイトと、写真データへのアクセスを受け付ける閲覧サイトからなるウェブサイトを運営している。
【0033】
カメラ24は、デジタル式のカメラであり、例えば、CCD(Charge−Coupled Device)などで構成された受光素子面に対物レンズで撮影対象の像を結像させ、これをデジタルデータに変換する。
【0034】
カメラ24は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などで構成された記憶媒体を内蔵しており、受光素子面で生成された画像データを所定の圧縮形式にて圧縮して記憶媒体に格納する。なお、圧縮しないで受光面で生成した画像データのまま格納してもよい。
【0035】
ユーザ端末22は、例えば、パーソナルコンピュータなどのコンピュータで構成されている。
ユーザ端末22は、インターフェースを介して写真預かりサーバ21、カメラ24、プリンタ23、その他の外部機器と通信を行うことができる。
【0036】
プリンタ23は、IDシート13や見出し写真25を印刷するための印刷装置である。
ユーザは、ユーザ端末22にインストールされたユーザインターフェースを用いてプリンタ23を操作することができる。
プリンタ23は、透明シートにID画像を印刷してIDシート13を作成するのに用いるほか、写真データを用いて紙などの印刷媒体上に見出し写真25を印刷するのに用いる。
【0037】
IDシート13を印刷する場合は、プリンタ23に透明シートを供給した後、ユーザ端末22からプリンタ23にID画像を印刷するための印刷データを送って印刷させる。
【0038】
印刷色は、例えば、目立たない黄色系統の単色を用い、プリンタ23は、所定の濃淡度でIDシート13を印刷する。印刷色や濃淡度はユーザが設定することができる。所定の単色を用いることにより、この色を透過するフィルタを用いてID画像を容易に抽出することができる。
見出し写真25を印刷する場合は、印刷用紙をプリンタ23に供給した後、プリンタ23に写真を印刷するための印刷データを送って印刷させる。
【0039】
ここで、プリンタ23についてより詳細に説明する。
プリンタ23の印刷方式としては、インパクト方式、及びノンインパクト方式のものを各種利用することができる。
インパクト方式のものとしては、例えば、印刷ヘッドのピンを印刷媒体に打ち付けることによりインク・リボンのインクを転写するものがある。
【0040】
この方式では、印刷情報に従って印刷媒体上にインクのドットを分布させることによりID画像と印刷内容を印刷する。
なお、見出し写真25が精細な画像で構成される場合は、ノンインパクト方式の方が適しているため、この場合は、見出し写真25の印刷により適したプリンタを別途用意するようにしてもよい。
【0041】
一方、ノンインパクト方式のものとしては、例えば、熱転写方式がある。これは、印刷媒体に含まれる感熱紙インクをサーマルヘッドの通電により発生したジュール熱で発色させるものである。熱転写方式は、印刷装置が小型・軽量、メンテナンスフリーとなるため、キャッシュレジスタなどの簡易な印刷機能を備えた装置で多用されている。
この他のノンインパクト方式のものとしては、インクジェットを用いたものやレーザを用いたものなどがある。これらインクジェットやレーザを用いたプリンタは、高精細な画像を印刷するのに適している。
【0042】
また、画像の濃淡度を調節する方式として印刷単位である面素(セル)内の濃度を変化させる濃度階調方式と、面素内のドット面積比率を変化させる面積階調方式がある。
濃度階調方式で濃淡度を調節する場合は、例えば、インクジェット方式の場合、インクの量を調節したり、あるいは、インクの色を調節するなどして調節する。
【0043】
また、ID画像はデジタルデータにより構成されているが、デジタル方式で面積階調を行う場合は、画素を2値ドットで形成することが一般に行われている。
この場合、プリンタ23は、図3の模式図に示したように、面積階調を矩形形状を有する(他の形状でも良い)単一の2値ドットに対応させ、この2値ドットの配置により面積階調を行う機能を備えている。
【0044】
図3では、面素63内の面積の小さいドットを面素64内の2値ドット1つに対応させ、面素65内の面積の中くらいのドットを面素66内の2値ドット3つに対応させ、更に、面素67内の面積の大きなドットを面素68内の2値ドット9つに対応させている。
【0045】
ID画像の濃淡度は、IDシート13を試し刷りすることにより、予め見出し写真25が透けて見える程度の濃淡度を調べておき、その濃淡度を上限値として印刷するようにする。
ただし、濃淡度が低すぎると携帯電話26での読み取りができなくなるため、予め読み取れる下限値も調べておく。
そして、ユーザは、この上限値と下限値の間の濃淡度にてID画像を印刷する。
【0046】
図2に戻り、携帯電話26は、カメラ機能と、ネットワーク接続機能を有する携帯端末である。
携帯電話26は、カメラ24と同様の機能によるカメラ機能によって被写体を撮影することができ、また、ネットワーク経由で写真預かりサーバ21にアクセスすることができる。
【0047】
次に、以上のように構成された写真管理システム20の利用方法を図2の括弧で示した番号に従って説明する。
(1)写真データの取得
ユーザは、カメラ24を用いて被写体を撮影する。撮影した写真データは、カメラ24が備えた記憶装置に記憶される。
次に、ユーザは、カメラ24をユーザ端末22に接続し、カメラ24で記憶している写真データをカメラ24からユーザ端末22に送信する。
ユーザ端末22は、カメラ24から受信した写真データをハードディスクなどの記憶装置に記憶しておく。
【0048】
(2)写真データのアップロード
ユーザは、ユーザ端末22が備えたブラウザ機能を用いて写真預かりサーバ21の預かりサイトにアクセスし、写真データのアップロードを要求する。
この際、写真預かりサーバ21は、ユーザIDやパスワードなどによるユーザ認証を行い、ユーザを特定する。
【0049】
そして、ユーザは、ユーザ端末22で記憶しておいた写真データと、これら写真に設定する表題を写真預かりサーバ21に送信する。
写真預かりサーバ21は、送信された写真データを写真グループとしてグループ化し、これに表題を紐付けて写真データベースに格納する。
【0050】
図4に、写真データベースの論理的な構成の一例を示す。
写真データベースは、「ユーザID」、「表題ID」、「IDパターン」、「表題」、「写真データ」などの各項目に区分され、各項目にデータが記憶されている。
【0051】
項目「ユーザID」で区分された領域には、写真管理システム20を利用する各ユーザに対して一意に付与した識別情報であるユーザIDが格納されている。
写真預かりサーバ21は、これらユーザIDにより各ユーザを特定することができる。
【0052】
項目「表題ID」で区分された領域には、ユーザが写真グループに対して設定した表題の識別情報である表題IDが格納されている。表題IDは、表題に対して写真預かりサーバ21が自動的に設定する。
このように、表題IDは、表題ごとに設定されるため、1つのユーザIDに複数の表題IDを対応付けることができる。
【0053】
項目「IDパターン」で区分された領域には、表題IDに対応付けられたIDパターン画像データが格納されている。
IDパターン画像データは、表題IDと1対1に対応しており、IDパターンによって表題IDが特定できるようになっている。
【0054】
項目「表題」で区分された領域には、ユーザ端末22から写真データと共に送信されてきた表題が格納されている。
表題は、ユーザが自由に設定することができる。例えば、「遠足」、「花見」などと表題を設定することにより、ユーザは写真グループの内容を容易に判別することができる。
【0055】
項目「写真データ」で区分された領域には、ユーザがアップロードした写真データが格納されている。この領域には、複数の写真データを格納することが可能である。このように、項目「写真データ」に区分された領域に複数の写真データを格納することによりこれらの写真データをグループ化することができる。
【0056】
各写真データには、例えば、「0001.jpg」などとファイル名が付与されており、この領域に格納されている各写真データはファイル名によって識別することができる。
【0057】
項目「写真データ」で区分された領域は、表題IDと1対1に対応している。そのため、写真預かりサーバ21は、ユーザIDと表題IDにより、写真グループを特定することができる。
更に、この写真グループ内のファイル名が指定されると、写真預かりサーバ21は、この写真グループ内の写真データを特定することができる。
【0058】
また、図示しないが、表題に対応させて項目「一言日記」を設定することもできる。
この項目には、例えば、表題「遠足」に対して「富士山に登った。天気はよかったが風が強かった。山小屋でコーヒーを飲んで一服した。」などと、写真グループに対してユーザが設定したメッセージを格納することができる。メッセージは、写真データのアップロードの際にユーザが設定する。
【0059】
更に、写真データとして動画データをアップロードするように構成することもできる。この場合、ユーザは動画の一場面を見出し写真25として印刷し、これにIDシート13を貼付する。
【0060】
以上のように、写真データベースを構成することにより、ユーザは、例えば、遠足に行ったときの写真データや花見に行ったときの写真データなど、写真データを撮影したイベントごとにグループ化して管理することができる。
【0061】
なお、図4に示した写真データベースの構成は一例であって、データベースの構成を限定するものではない。例えば、リレーショナルデータベースによって、表題IDとIDパターンを別のデータベースにするなど、より効率的なデータベースを構築することができる。
【0062】
(3)表題IDの通知
図2に戻り、ユーザ端末22が写真預かりサーバ21の預かりサイトに写真データと表題を送信すると、この表題に対して写真データベースで紐付けられたIDパターンのID画像が写真預かりサーバ21から送信されてくる。
ユーザ端末22は、写真預かりサーバ21からID画像を受信してRAM(Random Access Memory)などの記憶装置に記憶する。
【0063】
(4)ID画像の印刷
ユーザ端末22は、写真預かりサーバ21から受信して記憶しておいたID画像を用いて、プリンタ23にIDシート13を印刷させる。
より詳細には、まず、ユーザがIDシート13を印刷するための透明シートを手差しなどにてプリンタ23にセットしておき、ユーザインターフェースにて表示されたプリントボタンをユーザがクリックするなどして印刷が開始される。
【0064】
(5)見出し写真25の印刷
ユーザは、写真預かりサーバ21に送信した写真データのうち、見出しとして用いるものを選んでこれをプリンタ23で印刷する。この写真は、ユーザが写真から写真グループを判別できるように、写真グループの中で代表的なものを選ぶようにする。
【0065】
(6)見出し写真25にIDシート13を貼付
ユーザは、IDシート13、及び見出し写真25を印刷すると、IDシート13の裏の保護シートを剥がし、図5に示したように、これを見出し写真25の表面に貼付する。
【0066】
図5に示したように、IDシート13には、ID画像によって表題IDがシート全体に拡散して印刷されている。図の例では、一例として表題ID「001」に対応するIDパターンを逆フーリエ変換したID画像が印刷されている。
【0067】
IDシート13は透明シートであり、印刷されたID画像はインクが目立ちにくい色であるほか、ID画像が印刷面全体に拡散するため、見出し写真25に印刷された画像が透けて見え、見出し写真25を容易に視認(目視認識)することができる。
【0068】
(7)ID画像の撮影
図2に戻り、ユーザは、写真預かりサーバ21の閲覧サイトを利用する場合、まず、携帯電話26で見出し写真25を撮影する。すると、IDシート13に印刷されているID画像も共に撮影される。
このようにして撮影されたID画像と見出し写真25の撮影画像データは、携帯電話26に内蔵されているEEPROMなどの記憶装置に格納される。
【0069】
(8)撮影画像データの送信
次に、ユーザは、携帯電話26で写真預かりサーバ21の閲覧サイトにアクセスし、ユーザIDとパスワードでユーザ認証を受ける。ユーザ認証により写真預かりサーバ21は、アクセスしてきたユーザのユーザIDを特定することができる。
ユーザ認証を行ってログインした後、ユーザは、携帯電話26から見出し写真25を撮影した撮影画像データを写真預かりサーバ21に送信する。
【0070】
(9)サムネイルデータの受信
写真預かりサーバ21は、携帯電話26から撮影画像データを受信すると、これをフーリエ変換し、IDパターンを抽出する。写真預かりサーバ21は、このIDパターンにより表題IDを特定することができる。
写真預かりサーバ21、ユーザ認証で取得したユーザIDと、IDパターンから抽出した表題IDを用いて写真データベースを検索し、これらのユーザIDと表題IDに対応付けられている写真グループを特定する。
【0071】
そして、写真預かりサーバ21は、この写真グループに属する写真データから各々の写真データのサムネイル画像データを生成する。
ここで、サムネイルとは多数の画像を一覧表示するために縮小された画像であり、サムネイルを表示するための画像データがサムネイル画像データである。
【0072】
ユーザは、サムネイルを参照することにより、写真データの画像の概略を把握することができる。
携帯電話26でサムネイル一覧画面を表示するためのサムネイル一覧画面データを生成し、携帯電話26に送信する。
【0073】
携帯電話26は、写真預かりサーバ21からサムネイル画面データを受信し、これを用いてサムネイル一覧画面を表示する。
ユーザは、サムネイル一覧画面を参照することにより、写真グループに含まれる写真データの各々を認識することができる。
【0074】
ユーザが携帯電話26上でサムネイルの何れかを選択すると、このサムネイルに対応する写真データが写真預かりサーバ21から送信され、ユーザが選択した写真が携帯電話26の表示装置に表示される。
【0075】
図6(a)は、携帯電話26の表示装置に表示されたサムネイル画面の一例を示した図である。
携帯電話26の表示装置の画面30には、ユーザが選択した表題に属する写真データのサムネイル31、31、・・・が一覧表示される。
【0076】
ユーザは、携帯電話26の操作ボタンなどを用いてこれらのサムネイル31の中から所望のものを選択することができる。
ユーザがサムネイル31のうち何れかを選択すると、図6(b)に示したように、ユーザが選択したサムネイル31に対応する写真データによる画像が画面30に表示される。
【0077】
なお、写真預かりサーバ21に動画データをアップロードした場合は、動画の一場面をサムネイルでユーザに提示し、ユーザが何れかを選択すると、その動画を携帯電話26で再生するように構成することができる。
【0078】
図7は、ユーザ端末22を用いて写真データを写真預かりサーバ21にアップロードする手順を説明するためのフローチャートである。
以下の手順は、ユーザ端末22が備えたCPU(Central Processing Unit)、と写真預かりサーバ21が備えたCPUが所定のプログラムに従って行うものである。
【0079】
ユーザ端末22は、アップロードするための写真データを既に記憶しているものとする。
まず、ユーザは、ユーザ端末22でブラウザプログラムを実行し、ブラウザを起動する。
【0080】
ユーザは、ブラウザに写真預かりサーバ21の預かりサイトに接続するための接続情報(例えば、URL(Uniform Resource Locators))を入力し、ユーザ端末22から預かりサイトにアクセスする(ステップ5)。
【0081】
写真預かりサーバ21は、ユーザ端末22からアクセスを受けると、ログイン画面を表示するためのログイン画面データをユーザ端末22に送信する(ステップ10)。
【0082】
ユーザ端末22は、写真預かりサーバ21からログイン画面データを受信し、これを用いて表示装置にログイン画面を表示する。
ログイン画面には、ユーザIDを入力するユーザID入力欄や、パスワードを入力するためのパスワード入力欄、及び入力された値を写真預かりサーバ21に送信するための送信ボタンなどが設けられている。
【0083】
ユーザは、ログイン画面からユーザIDとパスワードを入力し、送信ボタンをマウスでクリックするなどして選択する。
すると、ユーザ端末22は、ユーザから入力されたユーザIDとパスワードを写真預かりサーバ21に送信する(ステップ15)。
【0084】
写真預かりサーバ21は、ユーザ端末22からユーザIDとパスワードを受信し、これらを用いてユーザ認証を行う(ステップ20)。
写真預かりサーバ21は、各ユーザのユーザIDとパスワードのほか、住所、電話番号などの個人情報を記憶したユーザ登録データベースを備えている。
【0085】
そして、写真預かりサーバ21は、ユーザ登録データベースに記憶されているユーザID及びパスワードの組み合わせと、ユーザ端末22から送信されてきたユーザID及びパスワードの組み合わせを照合することよりユーザ認証を行う。
これによって、写真預かりサーバ21は、アクセスしてきたユーザのユーザIDを特定することができる。
【0086】
写真預かりサーバ21は、ユーザ認証に成功した場合、預かり受付画面を表示するための預かり受付画面データをユーザ端末22に送信する(ステップ25)。
ユーザ認証に失敗した場合、写真預かりサーバ21は、その旨を表示するための画面データをユーザ端末22に送信し、ユーザのログイン処理を中止する。
【0087】
ユーザ端末22は、写真預かりサーバ21から預かり受付画面データを受信し、表示装置に預かり受付画面を表示する。
預かり受付画面には、アップロードする写真データを指定するための写真データ指定欄や、これら写真データのグループに設定する表題を入力するための表題入力欄のほか、これらのデータを写真預かりサーバ21に送信するための送信ボタンなどが配置されている。また、一言日記を記入する欄を設けることもできる。
【0088】
ユーザが送信ボタンを選択すると、写真預かりサーバ21は、写真データ指定欄で指定された写真データを記憶装置から読み出して写真預かりサーバ21に送信し、更に、表題入力欄に入力された表題を写真預かりサーバ21に送信する(ステップ30)。
【0089】
写真預かりサーバ21は、ユーザ端末22から写真データと表題を受信し、この表題に対して表題IDを発行する(ステップ35)。
次に、写真預かりサーバ21は、このユーザのユーザIDと、ステップ35で発行した表題IDを用いて写真データベースに、ユーザ端末22から受信した写真データを格納する領域を確保し、ここに写真データを格納する(ステップ40)。
次に、写真預かりサーバ21は、ステップ35で発行した表題IDに対応するIDパターンのID画像データをユーザ端末22に送信する(ステップ45)。
【0090】
ユーザ端末22は、写真預かりサーバ21からID画像データを受信し、ハードディスクなどの記憶装置にこれを記憶する。
次に、ユーザは、プリンタ23に透明シートを供給してユーザ端末22にIDシート13の印刷を命じる。
【0091】
ユーザ端末22は、記憶装置に記憶したID画像データを用いて印刷データを生成し、プリンタ23にID画像を印刷させる(ステップ50)。
【0092】
図8は、携帯電話26を用いて写真預かりサーバ21に保管してある写真データにアクセスする手順を説明するためのフローチャートである。
以下の処理は、携帯電話26が備えるCPUと写真預かりサーバ21が備えるCPUが所定のプログラムに従って行うものである。
【0093】
まず、ユーザは、携帯電話26のカメラ機能を用いて見出し写真25を撮影する(ステップ105)。
見出し写真25の表面には、IDシート13が貼り付けられている。そのため、携帯電話26は、見出し写真25の絵柄を背景とするIDシート13の画像を撮影することができる。
【0094】
次に、ユーザは、携帯電話26のブラウザを起動する。そして、ブラウザから写真預かりサーバ21の閲覧サイトへの接続情報を入力し、携帯電話26を写真預かりサーバ21の閲覧サイトに接続する(ステップ110)。
【0095】
写真預かりサーバ21は、閲覧サイトにアクセスを受けると、携帯電話26にログイン画面データを送信する(ステップ115)。
携帯電話26は、写真預かりサーバ21からログイン画面データを受信し、表示装置にログイン画面を表示する。
ユーザは、ログイン画面からユーザIDとパスワードを入力し、写真預かりサーバ21に送信する(ステップ120)。
【0096】
写真預かりサーバ21は、携帯電話26からユーザIDとパスワードを受信し、これらを用いてユーザ認証を行う(ステップ125)。これによって、写真預かりサーバ21は、ユーザを特定することができる。
ユーザ認証に失敗した場合、写真預かりサーバ21は、ユーザのログイン処理を中止する。
ユーザ認証に成功した場合、写真預かりサーバ21は、携帯電話26に閲覧受付画面データを送信する(ステップ130)。
【0097】
携帯電話26は、写真預かりサーバ21から閲覧受付画面データを受信し、これを用いて表示装置に閲覧受付画面を表示する。
閲覧受付画面では、携帯電話26で記憶している画像データを指定できるようになっており、ユーザは、ステップ105で撮影した撮影データを指定して、これを写真預かりサーバ21に送信する(ステップ135)。
【0098】
写真預かりサーバ21は、携帯電話26から撮影データを受信すると、これをフーリエ変換し、IDパターンを抽出する(ステップ140)。
次に、写真預かりサーバ21は、抽出したIDパターンを用いてこれに紐付けられている表題IDを特定する(ステップ145)。
【0099】
次に、写真預かりサーバ21は、ユーザ認証で得たユーザIDと、IDパターンから特定した表題IDを写真データベースで検索し、写真グループを特定する。そして、写真グループに含まれる写真データを用いてサムネイルデータを生成する。なお、サムネイルデータは予め生成しておいてもよい。
【0100】
次に、写真預かりサーバ21は、サムネイルデータを用いてサムネイルを一覧するためのサムネイル画面データを生成し、携帯電話26に送信する(ステップ150)。
【0101】
携帯電話26は、写真預かりサーバ21からサムネイル画面データを受信し、これを用いて表示装置にサムネイル画面を表示する(ステップ155)。
ユーザは、携帯電話26を操作し、表示されたサムネイルから所望のものを選択する(ステップ160)。
【0102】
サムネイルが選択されると、携帯電話26は、当該サムネイルを特定するサムネイル特定情報を写真預かりサーバ21に送信する(ステップ165)。
写真預かりサーバ21は、携帯電話26からサムネイル特定情報を受信し、これを用いてユーザが選択したサムネイルを特定する。
【0103】
そして、写真預かりサーバ21は、特定したサムネイルに対応する写真データを写真データベースから検索して、これを携帯電話26に送信する(ステップ170)。
携帯電話26は、写真預かりサーバ21から写真データを受信し、表示装置に表示する(ステップ175)。
【0104】
図9は、ユーザ端末22のハードウェア的な構成の一例を示したブロック図である。
ユーザ端末22は、CPU51、RAM52、ROM(Read Only Memory)53、入力装置54、表示装置55、印刷装置インターフェース56、通信制御装置57、記憶装置58、記憶媒体駆動装置59、入出力I/F(インターフェース)60などの各機能部がバスライン50で接続されて構成されている。
【0105】
CPU51は、所定のプログラムに従って、各種の演算処理、及び情報処理やユーザ端末22を構成する各構成要素の制御を行ったりする中央処理装置である。
CPU51は、カメラ24から写真データを取り込んだり、写真データを写真預かりサーバ21にアップロードしたり、あるいは、プリンタ23にID画像や写真を印刷させたりする。
【0106】
ROM53は、ユーザ端末22を動作させるための基本的なプログラムやデータなどを記憶した読み出し専用のメモリである。
RAM52は、CPU51が動作するためのワーキングエリアを提供する読み書き可能なメモリである。
【0107】
入力装置54は、ユーザの操作により情報の入力を受け付けるハードウェアであって、キーボード、マウス、その他の入力装置を備えている。
ユーザは、入力装置54を操作することにより、ユーザ端末22を操作して、カメラ24から写真を取り込んだり、写真預かりサーバ21に送信するユーザIDやパスワードを入力したり、あるいは、写真預かりサーバ21にアップロードする写真データを選択したりすることができる。
【0108】
表示装置55は、文字情報や画像情報を表示する表示装置を備えており、ブラウザによる画面(写真預かりサーバ21のウェブサイトが提供する画面など)や、カメラ24やプリンタ23の操作画面などを表示することができる。
表示装置55は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、その他のディスプレイ装置で構成されている。
【0109】
通信制御装置57は、ユーザ端末22をネットワークに接続する機能部である。ユーザ端末22は、通信制御装置57を介して、写真預かりサーバ21と通信を行うことができる。
【0110】
印刷装置インターフェース56は、ユーザ端末22をプリンタ23に接続するためのインターフェースである。
写真預かりサーバ21は、印刷装置インターフェース56を介してプリンタ23と通信することにより、プリンタ23に印刷データを送信したり、あるいは印刷色、階調などのパラメータを設定することができる。
【0111】
記憶媒体駆動装置59は、装着された着脱可能な記憶媒体を駆動し、データの読み書きを行う機能部である。
読み書き可能な記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、半導体記憶装置、磁気テープ、紙テープがある。
また、読み取り専用の記憶媒体としては、例えば、CD−ROMなどの光ディスク類がある。
【0112】
ユーザ端末22は、記憶媒体駆動装置59に装着した記憶媒体からプログラムのインストールなどを行うことができるほか、記憶媒体に記憶された写真データを取り込むこともできる。
【0113】
入出力I/F60は、ユーザ端末22を外部周辺機器に接続するためのインターフェースである。ユーザ端末22は、入出力I/F60を介してカメラ24と通信することができ、これによって、カメラ24から写真データを取り込むことができる。
【0114】
記憶装置58は、例えば、ハードディスクなどで構成された大容量で読み書き可能な記憶装置である。
記憶装置58には、プログラム類を格納したプログラム格納部61とデータ類を記憶したデータ格納部62が形成されている。
【0115】
プログラム格納部61には、OS(Operating System)のほか、ブラウザ機能を実現するブラウザプログラム、プリンタ23を操作するための印刷プログラムなどが格納されている。
【0116】
データ格納部62には、例えば、カメラ24から取り込んだ写真データなどの各種データが格納されている。
ユーザ端末22は、データ格納部62に格納した写真データを写真預かりサーバ21にアップロードする。
なお、写真データをアップロードした後は、写真預かりサーバ21で写真データが管理されるため、データ格納部62に記憶した写真データを消去してもよい。
【0117】
以上に説明した本日実施の形態では、汎用のパーソナルコンピュータなどで構成されたユーザ端末22と、汎用のプリンタなどを用いたプリンタ23を用いてIDシート13を印刷したが、業務用などにユーザ端末22とプリンタ23の機能を1つにまとめた専用機を構成することもできる。
【0118】
以上、ユーザ端末22のハードウェア的な構成について説明したが、写真預かりサーバ21、及び携帯電話26のハードウェア的な構成も基本的に同じである。
写真預かりサーバ21の場合、記憶装置58に対応する構成要素に、ユーザ登録データベースや写真データベースなどを格納している。
【0119】
また、ユーザ端末22は、パーソナルコンピュータや専用機のほかにゲーム機など、他の端末装置で構成することもできる。
更に、携帯電話26は、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)やその他の携帯端末装置で構成することができる。
【0120】
以上のようにして、ユーザは、閲覧サイトにログインした後、見出し写真を撮影した撮影データを送信するだけで、見出し写真の写真グループに含まれる写真を利用することができる。
このため、ユーザは、見出し写真以外の写真は印刷する必要が無く、写真預かりサーバ21で管理することができる。
【0121】
なお、本実施の形態では、ユーザ端末22から写真データをアップロードし、携帯電話26で写真を閲覧したが、写真データアップロードと写真の閲覧は、写真預かりサーバ21にアクセス可能な端末であれば、何れの端末からも可能である。また、アップロードした写真データをダウンロードすることも可能である。
【0122】
このため、例えば、ユーザ端末22から閲覧サイトにアクセスして、写真を閲覧したり、あるいは写真データのダウンロードを行ったりできるほか、携帯電話26で撮影した写真の写真データを携帯電話26から直接写真預かりサーバ21にアップロードすることもできる。
【0123】
写真データを写真預かりサーバ21にアップロードし、これを他のユーザに提供するコトもできる。
例えば、遠足に行ったときの写真データを写真預かりサーバ21にアップロードしておき、遠足に参加した友人に、ユーザIDとID画像を配布する。
友人は、写真預かりサーバ21にゲストとしてログインし、配布を受けたユーザIDとID画像を写真預かりサーバ21に送信すると、遠足の写真にアクセスすることができる。
【0124】
また、IDシート13の裏面の粘着材は、見出し写真25からの剥離と再度の粘着が可能なものを使用することもできる。
このように、粘着と剥離が可能な粘着材を利用することにより、見出し写真25に一端貼り付けたIDシート13を剥がして再度貼り直すことができる。
【0125】
このため、IDシート13を他の見出し写真25に貼り替えたり、あるいは、IDシート13の粘着位置を補正したりすることができる。
見出し写真25の絵柄とIDシート13の相対位置によって、ID画像の読み取り精度が変化するため、再粘着できる粘着材により、写真管理システム20の安定性を高めることができる。
【0126】
次に、ワインボトルのラベルにIDシート13を貼付する例について説明する。この例は、ワインボトルにURLと紐付けたIDシート13を貼付し、ユーザが携帯電話26でIDシート13を撮影すると、このURLに携帯電話26を自動的に接続するものである。
【0127】
図10は、ワインボトル41とIDシート13の関係を説明するための図である。ワインボトル41には、ワインが瓶詰めされており、ボトル開口部はコルク栓にて密閉されている。
ワインボトル41の表面には、ワインラベル42が貼付されている。ワインラベル42は、ワインボトル41に封入されているワインをイメージする絵柄が描かれており、意匠的なデザイン価値を有している。
【0128】
一方、IDシート13は、IDパターンと紐付けられたID画像が印刷された透明シートであり、このIDパターンは、後述のURLサーバにてワイン関連業者の広告ウェブサイトのURLと紐付けられている。
即ち、IDシート13に印刷されたID画像は、この広告ウェブサイトに紐付けられている。
【0129】
IDシート13は、ワインの小売店舗にてワインラベル42の表面に貼付される。
IDシート13は、透明シートであり、ID画像は、目立たない色でIDシート13全体に拡散しているため、下地のワインラベル42の絵柄が透けて見える。
このように、IDシート13をワインラベル42に貼付することにより、ワインラベル42の意匠を損ねずに情報を後付することができる。
【0130】
また、ワインラベル42が例えば、黄色を基調とするデザインである場合に、ID画像を緑で印刷するなど、ワインラベル42のデザインに応じて印刷色を設定することもできる。
【0131】
図11は、IDシート13などの貼付工程の一例を示した図である。
工場は、ワインボトル41にワインを瓶詰めして栓をした後、ワインボトル41の表面にワインラベル42を貼付する。
【0132】
更に、工場は、ワインラベル42を貼付したワインボトル41を梱包箱43に箱詰めする。そして、工場は、梱包箱43に商品名や工場名などを印刷した梱包ラベル44を貼付し、小売店に宛てて出荷する。
【0133】
小売店は、梱包箱43を受け取ると共にIDシート13を用意する。そして、小売店は、ワインボトル41を梱包箱43から取り出し、IDシート13をワインラベル42に貼付して販売する。
このように、ワインラベル42や梱包ラベル44といった可視情報は工場で付与し、非可視情報は工場出荷後に付与することができる。
【0134】
図12は、広告提供システムのIDシート13を利用して広告の提供を行う広告システムのシステム構成を示した図である。
広告システムは、URLサーバ45、広告サーバ46、IDシート13を貼付したワインボトル41、携帯電話26などから構成されている。
以下、図12の括弧に示した順番に従って説明する。
【0135】
(1)ID画像の取得
ユーザ(ワインの消費者)は、ワインを購入した後、又は購入前に携帯電話26を用いてIDシート13を撮影する。
これによって、IDシート13に印刷されたID画像がワインラベル42の絵柄と共に撮影される。
携帯電話26は、撮影した撮影画像データを内部の記憶装置に記憶する。
【0136】
(2)撮影画像データの送信
ユーザは、IDシート13を撮影した後、携帯電話26のブラウザを起動してURLサーバ45のウェブサイトのURLを入力し、携帯電話26をURLサーバ45に接続する。
そして、ユーザは、携帯電話26をURLサーバ45に接続した後、記憶装置に記憶してある撮影画像データをURLサーバ45に送信する。
【0137】
(3)URLの受信
URLサーバ45は、携帯電話26から撮影画像データを受信すると、これをフーリエ変換し、IDパターンを復元・抽出する。
URLサーバ45は、IDパターンとURLを対応させたURLデータベースを備えており、復元したIDパターンをURLデータベースで検索する。
そして、URLサーバ45は、検索したURLを携帯電話26に送信する。
【0138】
(4)広告ウェブサイトへの接続
携帯電話26は、URLサーバ45から受信したURLを用いて広告サーバ46の広告ウェブサイトに接続する。
携帯電話26の表示装置には、広告ウェブサイトによる広告画面が表示され、ユーザは、これによって広告を閲覧することができる。
【0139】
図13は、携帯電話26で表示された広告の一例を示した図である。
図13は、ワイン教室からのお知らせに関する広告であり、講座内容、受講料、連絡先などが表示されている。
ユーザは、広告を参照し、興味がある場合は、ワイン教室に連絡してより詳細な情報を得ることができる。
【0140】
このワイン教室の広告例のように、地域が限定され、小規模で一過性の情報を提供したい場合は、ワインラベルに情報を印刷したり、あるいはワイン工場で情報を付加するのは適しておらず、流通経路の末端である小売店舗などで貼付する(インストアマーキング)のが適している。
このように後付で付加するのに適した情報としては、例えば、商品広告、イベント情報、懸賞情報、同好会の会員募集情報などがある。
【0141】
また、ID画像はIDシート13全体に拡散して模様を形成するため、ID画像自体が美的側面を有する。
そのため、ワインラベル42にIDシート13を貼付することにより、ID画像自体を壁紙的に(即ち、背景の絵柄)として利用することも可能である。
【0142】
更に、流通経路の末端で付与するもののほか、生産現場で情報を後付する(ソースマーキング)のに用いることもできる。
例えば、食品の安全性への関心が急激に高まっており、牛肉の生産のように、上流工程から下流工程にかけて複数の業者に渡って製品が生産される場合の履歴管理(トレーサビリティ)に利用することができる。
【0143】
このように、上流工程から下流工程へ中間製品を送りながら製品を生産する場合、中間製品を製造する現場では、製造データをサーバ装置にアップロードし、その情報へアクセスするためのID情報をIDシート13に印刷して中間製品に貼付する。
【0144】
次の工程の現場では、中間製品に貼付されているIDシート13を用いてサーバにアップロードされた前工程での製造データにアクセスすることができる。
中間製品の梱包などに、目立たないように情報を後付したい場合、IDシート13を用いると特に有効である。
【0145】
本実施の形態では、IDシート13を用いてワインボトル41に広告情報を後付したが、この他にIDシート13を用いてワインの個体識別情報をワインボトル41に付与することも可能である。
ワインボトル41に個体識別情報を付与することにより、生産地、生産年月日、生産者などの当該ワインに固有な情報を提供することができる。
【0146】
IDシート13を撮影して個体識別情報を用いてウェブサイトに接続すると、そのウェブサイトで当該ワインのブドウがとれたブドウ畑の画像、生産者の紹介、現地の案内情報、当該ワインの楽しみ方など、木目の細かい情報を提供するように構成することができる。
また、個体識別情報は、消費者に情報を提供するのみならず、生産工程で用いて履歴管理に用いることもできる。
【0147】
以上に説明した本実施の形態により次のような効果を得ることができる。
(1)物品の外観を損なわないように、情報を後付することができる。
(2)IDシートの上から、IDシートの貼付されている部分の絵柄を視認することができる。
【0148】
(3)ID画像の印刷に特殊インクなどは用いず、汎用の印刷機、及び検出器にて利用することができる。
(4)汎用の印刷機、検出器にてID画像を利用できるため、不特定のユーザに対してサービスを提供することができる。
(5)中間製品にIDシートを適用することにより商品履歴の管理を行うことが可能となる。
【0149】
(6)ユーザに提供する情報はサーバから提供するため、メディアサイズ(IDシート13のサイズ)に依存しない情報量を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本実施の形態で用いるIDパターンとID情報の関係について説明するための図である。
【図2】写真管理システムのシステム構成を示した図である。
【図3】2値ドットの配置により面積階調を行う場合を説明するための図である。
【図4】写真データベースの論理的な構成の一例を示した図である。
【図5】IDシートの使用形態を説明するための図である。
【図6】写真データの閲覧形態を説明するための図である。
【図7】写真データをアップロードする手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】写真データにアクセスする手順を説明するためのフローチャートである。
【図9】ユーザ端末のハードウェア的な構成の一例を示したブロック図である。
【図10】IDシートの他の例に係る利用形態を説明するための図である。
【図11】IDシートなどの貼付工程の一例を示した図である。
【図12】IDシートを用いた広告システムのシステム構成を示した図である。
【図13】携帯電話で表示された広告の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0151】
13 IDシート
20 写真管理システム
21 写真預かりサーバ
22 ユーザ端末
23 プリンタ
24 カメラ
25 見出し写真
26 携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数領域でID情報を規定したID画像が1の表面から識別可能に記録され、更に他の表面に粘着材が塗布されたことを特徴とするシート部材。
【請求項2】
前記シート部材は、透明シート部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート部材。
【請求項3】
前記ID画像は、所定の単色からなり、所定の値以下の濃淡度により形成されていることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のシート部材。
【請求項4】
前記ID画像は、印刷により前記1の表面に形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のシート部材。
【請求項5】
前記粘着材は、粘着対象に粘着した後、前記粘着対象からの剥離と再度の粘着が可能であることを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のシート部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−343893(P2006−343893A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167637(P2005−167637)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】