説明

シーリングファン用清掃具

【課題】シーリングファンの清掃時に塵が舞うことを抑えることが可能なシーリングファン用清掃具を提供する。
【解決手段】電気掃除機の吸引管に接続されて電気掃除機の吸引力によってシーリングファンを清掃するシーリングファン用清掃具10であって、シーリングファンの回転翼を挟んで互いに向い合う一対の中空アーム21,22と、一対の中空アーム21,22の少なくとも1つと吸引管とを連結する中空の連結部とを備え、一対の中空アーム21,22の各々は、互いが連通するように連結され、連結部は、一対の中空アーム21,22の各々と吸引管とを連通し、一対の中空アーム21,22の各々には、他の中空アームと向い合う部位に、中空アームの内部と中空アームの外部とを連通する吸引孔とブラシBr1,Br2とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の吸引管に接続されて該電気掃除機の吸引力によってシーリングファンを清掃するシーリングファン用清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載のように、蛍光管に付着した塵を集塵する蛍光管用清掃具が知られている。特許文献1に記載の蛍光管用清掃具では、電気掃除機の吸引ホースと連通する筒状の柄を介して、該柄の先端に連結されたヘッド部と上記電気掃除機とが連通している。また、上述したヘッド部には、断面がU字状に形成される払拭部が、例えば蛍光管の長手方向に沿って形成されている。この払拭部の内表面には、蛍光管に付着した塵を除去するためのブラシが植設されている。また、払拭部において互いに向かい合う一対の対向壁のうち、一方の対向壁には、上述した柄の先端に連通する一つの吸引口が開口している。そして、上記吸引口を有する対向壁が蛍光管の下方に配置され、且つ、上記吸引口を有しない対向壁が蛍光管の上方に配置される態様で、払拭部のブラシが蛍光管の表面を摺動する。これによって、蛍光管に付着した塵が該蛍光管から除去されるとともに、互いに向かい合う対向壁の間においては、このようにして除去された塵が下方の吸引口から吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−18375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した蛍光管が照明用の灯具として取り付けられる天井には、蛍光管の他、室内の空気を循環させて空調効率を高めるシーリングファンが吊り下げられることも少なくない。また、近年では、照明用の灯具と一体となったシーリングファンも広く用いられるようになっている。この点、上述した構成からなる蛍光管清掃具であれば、吸引口を有する対向壁が清掃対象の下方に配置され、且つ、吸引口を有しない対向壁が清掃対象の上方に配置されるため、例えばシーリングファンの回転翼をも清掃することが可能である。
【0005】
しかしながら、上述したように、塵を吸引する吸引口は、回転翼の下方に配置される対向壁にのみ形成されている。そのため、回転翼の下側に飛散する塵を吸引口で効率よく集塵することは可能であるものの、回転翼の上側に飛散する塵を該吸引口で集塵することは困難である。そのうえ、このような回転翼の上側には、通常、回転翼の下側よりも多くの塵が積もることになる。それゆえに、シーリングファンが清掃される都度、吸引口で集塵されない多くの塵が、シーリングファンから舞い落ちることとなる。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、シーリングファンの清掃時に塵が舞うことを抑えることが可能なシーリングファン用清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明におけるシーリングファン用清掃具は、電気掃除機の吸引管に接続されて該電気掃除機の吸引力によってシーリングファンを清掃するシーリングファン用清掃具として、前記シーリングファンの回転翼を挟んで互いに向い合う一対の中空アームと、前記一対の中空アームの少なくとも1つと前記吸引管とを連結する中空の連結部とを備え、前記一対の中空アームの各々は、互いが連通するように連結され、前記連結部は、前記一対の中空アームの各々と前記吸引管とを連通し、前記一対の中空アームの各々には、他の前記中空アームと向い合う部位に、該中空アームの内部と該中空アームの外部とを連通する吸引孔とブラシとが形成されていることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、回転翼において互いに対向する一対の主面は、一対の中空アームのブラシによって払拭される。また、一対の中空アームの各々の内部空間が電気掃除機の吸引管に連通するため、一対の中空アームの各々では、該中空アームの払拭によって除去された塵の殆どが、該中空アームの吸引孔へ集塵される。すなわち、シーリングファンの回転翼に対し、互いに向い合う2つの方向から塵が吸引される。それゆえに、シーリングファンの回転翼に対し一つの方向から塵が吸引される場合と比較して、シーリングファンの清掃時に塵が舞うことを抑えることが可能である。
【0009】
この発明におけるシーリングファン用清掃具は、前記一対の中空アームでは、一方の前記中空アームが他方の前記中空アームに対して回転可能に連結されているようにすることが望ましい。
【0010】
この発明によれば、一方の中空アームと他方の中空アームとのなす角度が変わるため、これらのなす角度が大きい状態で一対の中空アームを回転翼に近づけた後、これらのなす角度を小さくして該回転翼を一対の中空アームで挟むことが可能となる。そのため、回転翼の形状や配置に合わせて一対の中空アームを配置することが容易となる。また、一対の中空アームのなす角度が大きい状態で各中空アームから塵を吸引することができるため、回転翼以外の部位を清掃することも可能である。
【0011】
この発明におけるシーリングファン用清掃具は、前記一対の中空アームは、前記連結部が連結される第1の中空アームと、前記連結部が連結されない第2の中空アームとから構成され、前記第1の中空アームには、前記一対の中空アームが互いに向い合う状態にて前記第2の中空アームと連通し、且つ、前記一対の中空アームのなす角度が該状態から大きくなることにより前記第2の中空アームによって塞がれる連通口が形成されているようにすることが望ましい。
【0012】
この発明によれば、一対の中空アームのなす角度が大きくなることによって一対の中空アーム間の連通が遮断されて、これにより、一方の中空アームのみから塵が吸引されることとなる。そのため、一方の中空アームのみによってシーリングファンの清掃が行われる場合には、電気掃除機の吸引力が他方の中空アームにて無駄に使用されることがない。
【0013】
この発明におけるシーリングファン用清掃具は、前記連結部は、前記一対の中空アームのいずれか一方に回転可能に連結されるようにすることが望ましい。
この発明によれば、吸引管や連結部が固定された状態であっても、これらに対して一対の中空アームが回転することとなる。吸引管や連結部に対して一方の中空アームが固定された状態では、掃除対象物の形状に一対の中空アームの配置を合わせるために、吸引管や連結部の配置まで変える必要がある。この点、上述した構成であれば、一対の中空アームに対して連結部が回転する分、吸引管や連結部の配置を変える頻度が少なくなる。それゆえに、シーリングファンの清掃に求められる負荷を軽減することが可能となる。
【0014】
この発明におけるシーリングファン用清掃具は、前記連結部は、前記一対の中空アームのいずれか一方に第1回転軸を介して回転可能に連結された第1連結管と、前記第1回転軸と交差する第2回転軸を介して前記第1連結管に回転可能に連結された第2連結管とを備えるようにすることが望ましい。
【0015】
この発明によれば、互いに交差する第1回転軸及び第2回転軸を中心として、一対の中空アームに対し吸引管を回転させることができる。それゆえに、一対の中空アームに対し互いに交差する二つの回転軸で吸引管が回転する分、吸引管の配置を変える頻度が少なくなる。それゆえに、シーリングファンの清掃に求められる負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るシーリングファン用清掃具がシーリングファンの回転翼に適用された状態を示す模式図。
【図2】(a)は、一対の中空アームにおける蝶番構造が閉じた状態のシーリングファン用清掃具を斜め下方から見た斜視構造を示す斜視図。(b)は、(a)のA−A断面を示す断面図。
【図3】回転連結管が管回転軸によって軸支されている構造を示す斜視図。
【図4】回転連結管がアーム回転軸によって軸支される構造を示す分解斜視図。
【図5】(a)は、第1中空アームをその第2中空アーム側から見た斜視構造を示す斜視図。(b)は、第2中空アームをその第1中空アーム側から見た斜視構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のおけるシーリングファン用清掃具の一実施形態について図1〜図5を参照して説明する。図1に示されるように、掃除対象物であるシーリングファンCFには、天井Cに固定された取り付け部CF1から円柱状のロッドCF2が鉛直下方に延設されている。このロッドCF2の下端には、同じく鉛直下方に延びる駆動軸を有したモーターCF3が固設され、また、該モーターCF3の駆動軸には、該駆動軸の径方向に延びる5枚の回転翼CF4が等配されている。ちなみに、5枚の回転翼CF4における主面は、いずれも水平面に対して15°だけ傾いている。そして、モーターCF3が正転又は逆転すると、5枚の回転翼CF4の回転によって上昇気流又は下降気流が発生して室内の空気が循環するようになる。
【0018】
シーリングファン用清掃具10は、例えば、床Fに置かれた電気掃除機CLの吸引管であるホースHに装着されている。シーリングファン用清掃具10を構成する柄11は、ホースHの開口に下端が差し込まれ、また、柄11の上端には、一対の中空アームから構成される払拭部12が、回転連結管13を介して連結されている。なお、本実施形態では、柄11と回転連結管13とによって、第2連結管と第1連結管とが構成され、そして、これら柄11と回転連結管13とによって、連結部が構成されている。
【0019】
(シーリングファン用清掃具10)
次に、シーリングファン用清掃具10を構成する各部の構造について詳しく説明する。
図2(a)に示されるように、柄11の下側は、下端が開口した円筒状に形成されて、また、柄11のうち上側は、上端が開口した矩形筒状に形成されている。こうした柄11の下端には、ホースH内に挿入される被挿入口11Hが開口し、また、柄11の上端部には、回転連結管13を介して払拭部12が連結されている。図2(b)に示されるように、これら柄11、回転連結管13、及び払拭部12は、互いに連通する中空構造を有している。そして、電気掃除機CLが駆動されると、電気掃除機CLにおける吸引力が、柄11及び回転連結管13の内部を通して、払拭部12の内部に作用する。
【0020】
(連結部:柄11及び回転連結管13)
図3に示されるように、柄11の上端部で互いに向い合う左右両側面11L,11Rには、第2回転軸として、一対の管回転軸11Aが、各々の軸心を一致させるように凸設され、また、一対の管回転軸11Aの近傍には、一対のストッパ11Sが凸設される。こうした柄11の上端部には、その左右両側面11L,11Rの一部が覆われるように、矩形管状の回転連結管13が連結されている。回転連結管13のうちで、柄11の上端部と向い合う側では、その全体が開口する一方、払拭部12と向い合う側では、円形孔状の連結孔13Aが貫通している。また、回転連結管13には、互いに向かい合う左右両側面13L,13Rに、一対の円形孔である軸支孔13Bが、各々の中心を一致させるように貫通し、また、一対の軸支孔13Bの近傍には、軸支孔13Bを中心にして円弧状に延びるように、一対のガイド孔13Cが貫通している。そして、柄11の管回転軸11Aが、一対の軸支孔13Bの各々に挿通され、また、柄11のストッパ11Sが、一対のガイド孔13Cの各々に挿通されている。
【0021】
このような構成によれば、柄11の上端部では、左右方向に延びる管回転軸11Aを中心にして回転連結管13が回転する。この際、ガイド孔13C内をストッパ11Sが移動できる範囲において、回転連結管13が柄11に対して回転し、そして、ストッパ11Sがガイド孔13Cに当接することによって、回転連結管13の回転が規制される。
【0022】
(払拭部12)
図4に示されるように、払拭部12は、互いに向い合う一対の中空アームである第1中空アーム21と第2中空アーム22とから構成されている。
【0023】
第1中空アーム21は、前後方向に延びる矩形管状に形成されるとともに、その回転連結管13側の端部では、鉛直方向の下方に屈曲している。第1中空アーム21における回転連結管13側の端部には、第1回転軸として、回転連結管13の連結孔13Aに挿通される中空のアーム回転軸21Aが、回転連結管13側に向けて凸設されている。このアーム回転軸21Aを構成する周壁には、その軸方向に延びる複数のスリットが周方向に等配されて、また、これらのスリットによって分割された各周壁には、径方向の外側に突出する突起が交互に凸設されている。なお、図2(b)に示されるように、柄11の上端部は、回転連結管13の内部空間にて、上記アーム回転軸21Aを包み込むように、該回転連結管13に連結される。
【0024】
このような構成によれば、連結部の先端では、前後方向に延びるアーム回転軸21Aを中心にして払拭部12が回転する。この間、柄11の内部空間と払拭部12の内部空間とは、アーム回転軸21Aを介して互いに連通し続ける。すなわち、柄11の先端部では、左右方向に延びる管回転軸11Aと前後方向に延びるアーム回転軸21Aとを中心にして払拭部12が回転する。そして、払拭部12が三次元的に回転する間、柄11の内部空間と払拭部12の内部空間とが互いに連通し続ける。なお、アーム回転軸21Aを構成する周壁には、径方向の外側に突出する突起が凸設されているため、こうした払拭部12と回転連結管13との連結が確実なものとなる。
【0025】
(第1中空アーム21)
図5(a)に示されるように、第1中空アーム21は、L字状に屈曲した中空の柱状部材であって、回転連結管13に連結される屈曲部21Bと、該屈曲部21Bから前方へ延びる上側払拭筒21Tとからなる。この第1中空アーム21を構成する各側面のうち、第2中空アーム22と向い合う側面である上側払拭面21Fには、その左右方向の中央に、前後方向の全幅にわたって、ブラシBr1が植設されている。また、上側払拭面21Fには、上記ブラシBr1が左右方向の両側から挟まれるように、屈曲部21B及び上側払拭筒21Tの前後方向の略全幅にわたって、複数の吸引孔21Hが貫通している。こうしたブラシBr1と吸引孔21Hとの配列によれば、回転翼CF4等の清掃対象に対し、第1中空アーム21が左右両方向に移動しても、ブラシBr1によって除去された塵は、該ブラシBr1の右側あるいは左側に隣接する吸引孔21Hによって吸引される。それゆえに、シーリングファンCFから舞い落ちる塵の量を抑制することができる。
【0026】
また、上記屈曲部21Bにて互いに向い合う左右両側面21L,21Rには、一対の接続軸21Cが、各々の軸心を一致させるように凸設されている。また、左右両側面21L,21Rには、接続軸21Cの後側に、該接続軸21Cよりも小さい凸部である係止部21Kが凸設されている。一方、上側払拭面21Fのうちで一対の接続軸21Cに挟まれる部分には、アーム回転軸21Aとは反対側に向けて開口する第1アーム連通口21Dが形成される。そして、この第1アーム連通口21Dが第2中空アーム22と連通することによって、一対の中空アーム21,22が互いに連通することとなる。
【0027】
なお、上側払拭面21Fの前側端部には、取り付け口21Eが開口している。この取り付け口21Eには、該取り付け口21Eが塞がれるように、図示されないアタッチメントが装着される。例えば、先細りする筒状のアタッチメントが取り付け口21Eに取り付けられることによって、シーリングファンCFにおける狭い隙間に対して吸引力を作用させることが可能となる。
【0028】
(第2中空アーム22)
図5(b)に示されるように、第2中空アーム22は、前後方向に延びる中空の矩形柱状部材である。この第2中空アーム22を構成する各側面のうち、第1中空アーム21と向い合う側面である下側払拭面22Fには、その左右方向の中央に、前後方向の全幅にわたって、ブラシBr2が植設されている。また、下側払拭面22Fには、上記ブラシBr2が左右方向の両側から挟まれるように、前後方向の略全幅にわたって、複数の吸引孔22Hが貫通している。こうしたブラシBr2と吸引孔22Hとの配列によれば、回転翼CF4等の清掃対象に対し、第2中空アーム22が左右両方向に移動しても、ブラシBr2によって除去された塵は、該ブラシBr2の右側あるいは左側に隣接する吸引孔22Hによって吸引される。それゆえに、シーリングファンCFから舞い落ちる塵の量を抑制することができる。
【0029】
また、第2中空アーム22を構成する各側面のうち、互いに向い合う左右両側面22L,22Rには、一対の軸受孔22Cが、各々の中心を一致させるように貫通している。これら軸受孔22Cの各々には、上述した第1中空アーム21の接続軸21Cが軸支され、これによって、第1中空アーム21と第2中空アーム22とが蝶番構造を介して連結されている。また、左右両側面22L,22Rの各々には、軸受孔22Cの後方に、該軸受孔22Cよりも小さい閉係止孔K1と開係止孔K2とが貫通している。これら2つの係止孔K1,K2は、軸受孔22Cとの距離が互いに等しく、また、上述した係止部21Kが嵌合可能な大きさで形成されている。また、軸受孔22Cと閉係止孔K1とを結ぶ直線と、該軸受孔22Cと開係止孔K2とを結ぶ直線とのなす角度は、略90°である。
【0030】
また、第2中空アーム22を構成する各側面のうち、上記第1中空アーム21の屈曲部21Bと向い合う部分には、第2アーム連通口22Dが開口している。そして、この第2アーム連通口22Dが第1中空アーム21と連通することによって、一対の中空アーム21,22が互いに連通することとなる。
【0031】
そして、上述した蝶番構造によって両中空アーム21,22が互いに連結されることにより、第1中空アーム21と第2中空アーム22とのなす角度が変わる。例えば、第1中空アーム21と第2中空アーム22とのなす角度が略0°となる場合には、図2(b)に示されるように、第2アーム連通口22Dを通して第1アーム連通口21Dが第2中空アーム22内に配置される。この際、第1中空アーム21の係止部21Kが第2中空アーム22の閉係止孔K1に嵌り、これにより、上述したなす角度が0°となる状態(閉状態)が維持される。一方、第1中空アーム21と第2中空アーム22とのなす角度が略0°よりも大きくなるように、第1中空アーム21又は第2中空アーム22に外力が加えられると、係止部21Kが閉係止孔K1から外れる。そして、上述した閉状態から、第2中空アーム22が第1中空アーム21に対して左回りに回転し、これに伴い、第1アーム連通口21Dが第2中空アーム22内から徐々に離れる。さらに、第1中空アーム21と第2中空アーム22とのなす角度が略90°になると、第1アーム連通口21Dが第2中空アーム22の側壁で塞がれる。すなわち、一対の中空アーム21,22のなす角度が大きくなることによって、一対の中空アーム21,22間の連通が遮断されて、これにより、第1中空アーム21のみから塵が吸引されることとなる。そのため、第1中空アーム21のみによってシーリングファンCFの清掃が行われる場合には、電気掃除機CLの吸引力が第2中空アーム22にて無駄に使用されることがない。この際、第1中空アーム21の係止部21Kが第2中空アーム22の開係止孔K2に嵌り、これにより、上述したなす角度が90°となる状態(開状態)が維持される。
【0032】
そして、回転翼CF4を掃除する際には、まず、払拭部12が開状態にされる。次いで、回転翼CF4の下面に下側払拭面22Fが向かい合わされる、あるいは回転翼CF4の上面に上側払拭面21Fが向い合わされる。続いて、払拭部12が閉状態となるように、柄11又は回転連結管13の配置が変更される。このようにして第1中空アーム21と第2中空アーム22との間に回転翼CF4が挟持されると、電気掃除機CLが駆動されるとともに、回転翼CF4の長手方向の全幅にわたって払拭部12が走査される。これにより、回転翼CF4の上面及び下面の全体がブラシによって払拭されるとともに、この間、回転翼CF4から取り除かれた塵が各吸引孔21H,22Hから吸引される。
【0033】
以上、本実施形態によれば、以下列記するような効果が得られるようになる。
(1)回転翼CF4において互いに対向する一対の主面は、一対の中空アーム21,22のブラシBr1,Br2によって払拭される。また、一対の中空アーム21,22の各々の内部空間が電気掃除機CLのホースHに連通するため、一対の中空アーム21,22の各々では、該中空アーム21,22の払拭によって除去された塵の殆どが、該中空アーム21,22の吸引孔21H,22Hへ集塵される。すなわち、シーリングファンCFの回転翼CF4に対し、互いに向い合う上方及び下方から塵が吸引される。それゆえに、シーリングファンCFの回転翼CF4に対し一つの方向から塵が吸引される場合と比較して、シーリングファンCFの清掃時に塵が舞うことを抑えることが可能である。
【0034】
(2)第1中空アーム21と第2中空アーム22とのなす角度が変わるため、これらのなす角度が大きい状態で一対の中空アーム21,22を回転翼に近づけた後、これらのなす角度を小さくして該回転翼CF4を一対の中空アーム21,22で挟むことが可能となる。そのため、回転翼CF4の形状や配置に合わせて一対の中空アーム21,22を配置することが容易となる。また、一対の中空アーム21,22のなす角度が大きい状態で各中空アームから塵を吸引することができるため、回転翼CF4以外の部位を清掃することも可能である。
【0035】
(3)また、蝶番構造を開いたまま掃除することによって、払拭部12が挟持することができない程度の厚みを有するモーターCF3であっても掃除することができる。
(4)一対の中空アーム21,22のなす角度が大きくなることによって一対の中空アーム21,22間の連通が遮断されて、これにより、第1中空アーム21のみから塵が吸引されることとなる。そのため、第1中空アーム21のみによってシーリングファンCFの清掃が行われる場合には、電気掃除機CLの吸引力が第2中空アーム22にて無駄に使用されることがない。
【0036】
(5)ホースH、柄11、及び回転連結管13が固定された状態であっても、これらに対して一対の中空アーム21,22が回転することとなる。そのため、一対の中空アーム21,22が回転する分、ホースH、柄11、及び回転連結管13の配置を変える頻度が少なくなる。それゆえに、シーリングファンCFの清掃に求められる負荷を軽減することが可能となる。
【0037】
(6)互いに交差する管回転軸11A及びアーム回転軸21Aを中心として、柄11に対して一対の中空アーム21,22を回転させることができる。それゆえに、柄11に対し互いに交差する二つの回転軸で一対の中空アーム21,22が回転する分、柄11の配置を変える頻度が少なくなる。それゆえに、シーリングファンCFの清掃に求められる負荷を軽減することが可能となる。
【0038】
なお、上記実施形態は、以下のような変更して実施することもできる。
・柄11と回転連結管13との連結構造は、回転軸を介して連結される構造に限られず、例えば、蛇腹を介して連結される構造としてもよい。このような構造であっても、上記(1)〜(6)に準じた効果を得ることができる。
【0039】
・第1中空アーム21と第2中空アーム22とが上下反転した構成であってもよい。すなわち、第1中空アーム21が上側払拭筒21Tのみから構成され、第2中空アーム22が屈曲部21Bを有する構成としてもよい。あるいは、上側払拭筒21Tと屈曲部21Bとが互いに異なる別部材で構成されていてもよい。このようにしても、上記(1)〜(6)に準じた効果を得ることができる。
【0040】
・第1中空アーム21には、アーム回転軸21Aに換えて、左右方向に延びる管回転軸11Aが設けられ、また、柄11には、管回転軸11Aに換えて、前後方向に延びるアーム回転軸21Aが設けられるようにしてもよい。これに伴い、回転連結管13における連結孔13Aの配置を変更することによって、上記(1)〜(6)に準じた効果を得ることができる。
【0041】
・回転連結管13が割愛されて、払拭部12に柄11が直接連結されていてもよい。その際、柄11と払拭部12とがアーム回転軸21Aを介して連結されることが望ましい。このようにすれば、上記(1)〜(5)に準じた効果を得ることができる。
【0042】
・上側払拭面21Fの左右方向の幅よりも下側払拭面22Fの左右方向の幅が広くてもよい。このような構成であれば、下側払拭面22Fに相当する広い範囲にわたって吸引孔22Hが形成されるようにもなるため、ブラシBr1によって除去された塵をこの吸引孔22Hで十分に集塵することが可能である。このようにしても、上記(1)に準じた効果を得ることができる。
【0043】
・ブラシBr1が上側払拭面21Fの全面に植設され、また、ブラシBr2が下側払拭面22Fの全面に植設されていてもよい。このとき、ブラシBr1,Br2に囲繞されるように吸引孔21H,22Hが設けられるようにしてもよい。このような構成であっても、上記(1)に準じた効果を得ることができる。
【0044】
・第1中空アーム21の取り付け口21Eはキャップによって閉塞されるようにすることにより、吸引孔21Hの吸引力に加えて、吸引孔22Hの吸引力も増強することができる。
【0045】
・第2中空アーム22の先端にも開口を設けるようにして、第2中空アーム22の先端にもアタッチメントの付加を可能すれば、掃除対象を増やすことができる。
・柄11が伸縮自在となる構造であってもよい。これにより、シーリングファンCFの設置高さの選択肢を増やすことができる。
【0046】
・開状態の払拭部12において、第1アーム連通口21Dと第2アーム連通口22Dとが連通する構成であってもよい。このような構成であっても、各吸引孔21H,22Hを介して塵を吸引することができるため、上記(1)〜(3)に準じた効果を得ることができる。
【0047】
・第1中空アーム21と第2中空アーム22とが一体化した構成、すなわち払拭部12が蝶番構造を有しない構成であってもよい。このようにしても、上記(1)の効果を得ることができる。
【0048】
・回転翼CF4の枚数を5枚としたがその枚数はこれに限られない。回転翼CF4の枚数は2枚以上であればよい。また回転翼CF4における主面はいずれも水平面に対して15°だけ傾いているとしたがこれに限られない。回転翼CF4の回転によって上昇気流又は下降気流を発生させることができるのであれば、前記主面の水平面に対する傾斜角度は特定の値に限定されない。
【符号の説明】
【0049】
C…天井、F…床、CF…シーリングファン、CF1…取り付け部、CF2…ロッド、CF3…モーター、CF4…回転翼、CL…電気掃除機、H…ホース、10…シーリングファン用清掃具、11…柄、11H…被挿入口、11L,21L,22L…左側面、11R,21R,22R…右側面、11A…管回転軸、11S…ストッパ、12…払拭部、13…回転連結管、13A…連結孔、13B…軸支孔、13C…ガイド孔、21…第1中空アーム、21A…アーム回転軸、21B…屈曲部、21T…上側払拭筒、21F…上側払拭面、21K…係止部、Br1,Br2…ブラシ、21H,22H…吸引孔、21C…接続軸、21D…第一アーム連通口、21E…取り付け口、22…第2中空アーム、22F…下側払拭面、22C…軸受孔、22D…第2アーム連通口、K1…閉係止孔、K2…開係止孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機の吸引管に接続されて該電気掃除機の吸引力によってシーリングファンを清掃するシーリングファン用清掃具であって、
前記シーリングファンの回転翼を挟んで互いに向い合う一対の中空アームと、
前記一対の中空アームの少なくとも1つと前記吸引管とを連結する中空の連結部とを備え、
前記一対の中空アームの各々は、互いが連通するように連結され、
前記連結部は、前記一対の中空アームの各々と前記吸引管とを連通し、
前記一対の中空アームの各々には、他の前記中空アームと向い合う部位に、該中空アームの内部と該中空アームの外部とを連通する吸引孔とブラシとが形成されている
ことを特徴とするシーリングファン用清掃具。
【請求項2】
前記一対の中空アームでは、
一方の前記中空アームが他方の前記中空アームに対して回転可能に連結されている
請求項1に記載のシーリングファン用清掃具。
【請求項3】
前記一対の中空アームは、
前記連結部が連結される第1の中空アームと、
前記連結部が連結されない第2の中空アームとから構成され、
前記第1の中空アームには、
前記一対の中空アームが互いに向い合う状態にて前記第2の中空アームと連通し、且つ、前記一対の中空アームのなす角度が該状態から大きくなることにより前記第2の中空アームによって塞がれる連通口が形成されている
請求項2に記載のシーリングファン用清掃具。
【請求項4】
前記連結部は、
前記一対の中空アームのいずれか一方に回転可能に連結される
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシーリングファン用清掃具。
【請求項5】
前記連結部は、
前記一対の中空アームのいずれか一方に第1回転軸を介して回転可能に連結された第1連結管と、
前記第1回転軸と交差する第2回転軸を介して前記第1連結管に回転可能に連結された第2連結管とを備える
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシーリングファン用清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−115288(P2012−115288A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264733(P2010−264733)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(310022615)
【Fターム(参考)】