シーリング材の劣化試験装置
【課題】目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を短期間に精度良く確認することができ、しかも簡単な構造で取り扱い性に優れた劣化試験装置を提供する。
【解決手段】この劣化試験装置においては、通常ばね材4、4及び形状記憶ばね材5、5を使用して、対向配置された目地構成部材2A、2Bのうちの一方を他方に対して近接離間する方向に付勢し、形状記憶ばね材5、5が所定温度よりも低い温度のときに、通常ばね材4、4の付勢力によって、上記の一方が他方に対して離間する方向に移動してシーリング材Sを伸長するとともに、形状記憶ばね材5、5が所定温度以上となって形状回復したときに、形状記憶ばね材5、5の付勢力によって、上記の一方が他方に対して近接する方向に移動してシーリング材Sを圧縮する。
【解決手段】この劣化試験装置においては、通常ばね材4、4及び形状記憶ばね材5、5を使用して、対向配置された目地構成部材2A、2Bのうちの一方を他方に対して近接離間する方向に付勢し、形状記憶ばね材5、5が所定温度よりも低い温度のときに、通常ばね材4、4の付勢力によって、上記の一方が他方に対して離間する方向に移動してシーリング材Sを伸長するとともに、形状記憶ばね材5、5が所定温度以上となって形状回復したときに、形状記憶ばね材5、5の付勢力によって、上記の一方が他方に対して近接する方向に移動してシーリング材Sを圧縮する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁材間や各種部材間の目地部に充填されるシーリング材の劣化状況、特に壁材や各種部材の熱伸縮や振動等による目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を確認するための試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、壁材間の目地部に充填される建築用シーリング材は、日射や降雨といった外部環境の影響によって劣化するだけでなく、壁材の熱伸縮や振動等による目地部の動的挙動に伴って、圧縮力や引張力、剪断力を繰り返し受けることでも劣化する。このため、動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を確認するための試験装置が各種提案されており、シーリング材の性能評価に際して使用されている。
【0003】
この種の試験装置として、例えば図14に示すように、白色の鋼製ベース材60上に、一端側を固定した状態で黒色のアクリル樹脂製帯板材61を取り付け、屋外暴露による温度変化を利用してアクリル樹脂製帯板材61を繰り返し熱膨張、熱収縮させて、アクリル樹脂製帯板材61の移動可能な他端側に取り付けたシーリング材62に対して圧縮力や引張力を繰り返し与えることで、動的挙動に起因するシーリング材62の劣化状況を確認するようにした構造のものが知られている。
【0004】
上記試験装置においては、アクリル樹脂製帯板材61の熱膨張、熱収縮によって動的挙動を再現していることから、アクリル樹脂製帯板材61の長さに応じて挙動量が決まることになるが、この場合、一般的な壁材間の目地部の動的挙動を再現するためには、アクリル樹脂製帯板材61として例えば300mm程度の長尺なものを使用する必要があり、これによって装置全体が大型化して取り扱い難いといった不具合があった。また、屋外暴露による温度変化を利用してアクリル樹脂製帯板材61を繰り返し熱膨張、熱収縮させる場合、天候や気候等の環境条件に違いにより試験結果にばらつきが生じ易く、しかも信頼性の高い試験結果を得るまでに長期間を要するといった不具合もあった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように、環境条件に影響されない実験室等の屋内において、目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を短期間に精度良く確認することができる試験装置が提案されている。
【0006】
上記試験装置においては、試験対象のシーリング材を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材を備え、これら目地構成部材を相対的に近接離間させて動的挙動を再現し、シーリング材に対して圧縮力や引張力を繰り返し与えることで、動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を確認するようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−190921号公報
【特許文献2】特開2005−37272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されているような試験装置においては、目地構成部材を相対的に近接離間させて動的挙動を再現するにあたって、駆動モータ等を動力源として目地構成部材を往復動させていることから、構造が複雑になって、依然として装置全体が大型化するとともに、製造コストも高価になるといった不具合があった。
【0009】
この発明は、上記の不具合を解消して、目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を短期間に精度良く確認することができ、しかも簡単な構造で取り扱い性に優れたシーリング材の劣化試験装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明の劣化試験装置は、試験対象のシーリング材Sを充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材2A、2Bと、これら目地構成部材2A、2Bを支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材3と、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に常時付勢するための通常ばね材4、4と、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に付勢するための形状記憶ばね材5、5とを備え、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材4、4の付勢力が前記形状記憶ばね材5、5の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に移動して前記シーリング材Sを伸長するとともに、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材4、4の付勢力が前記形状記憶ばね材5、5の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に移動して前記シーリング材Sを圧縮することを特徴とする。
【0011】
さらには、通常ばね材4、4によって、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に常時付勢し、形状記憶ばね材5、5によって、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に付勢するようにして、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材4、4の付勢力が前記形状記憶ばね材5、5の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に移動して前記シーリング材Sを圧縮するとともに、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材4、4の付勢力が前記形状記憶ばね材5、5の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に移動して前記シーリング材Sを伸長するようにしても良い。
【0012】
そして、上記において、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向への移動量を調整する移動量調整部材6を備えている。
【0013】
また、通常ばね材4、4を廃止して、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接又は離間する方向に付勢するための形状記憶ばね材5、5を設け、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接又は離間する方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材Sの圧縮量又は伸長量を、前記形状記憶ばね材5、5の温度変化によって異ならせても良い。
【0014】
別の発明の劣化試験装置は、試験対象のシーリング材Sを充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材30A、30Bと、これら目地構成部材30A、30Bを支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動自在に案内する案内部材31と、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる一方向に常時付勢するための通常ばね材32、32と、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる前記一方向とは相反する他方向に付勢するための形状記憶ばね材33、33とを備え、前記形状記憶ばね材33、33が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材32、32の付勢力が前記形状記憶ばね材33、33の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aが他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる一方向に移動して前記シーリング材Sに剪断力を付与するとともに、前記形状記憶ばね材33、33が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材32、32の付勢力が前記形状記憶ばね材33、33の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aが他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる前記一方向とは相反する他方向に移動して前記シーリング材Sに前記剪断力とは異なる方向の剪断力を付与することを特徴とする。
【0015】
そして、上記において、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aにおける他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる相反する二方向への移動量を調整する移動量調整部材34を備えている。
【0016】
また、通常ばね材32、32を廃止して、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる方向に付勢するための形状記憶ばね材33、33を設け、前記形状記憶ばね材33、33が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材33、33が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aにおける他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材Sに付与する剪断力を、前記形状記憶ばね材33、33の温度変化によって異ならせても良い。
【発明の効果】
【0017】
この発明の劣化試験装置では、温度変化に伴う形状記憶ばね材の形状回復を利用して目地部の動的挙動を再現しているので、実験室内やサンシャインウェザーメータ等の促進耐候試験機内に設置して、形状記憶ばね材の温度を繰り返し変化させることで、目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を短期間に精度良く確認することができる。しかも、従来のような長尺なアクリル樹脂製帯板材を使用したり、駆動モータ等を動力源として目地部の動的挙動を再現する場合と比べて、構造を簡単にして装置全体を小型化することができ、取り扱い性を向上することができる。
【0018】
また、移動量調整部材によって目地構成部材の移動量を適宜調整することで、各種目地部の動的挙動を幅広く再現することができ、機能性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態に係るシーリング材の劣化試験装置は、図1に示すように、対向配置された一対の目地構成部材2A、2Bと、これら目地構成部材2A、2Bを支持するとともに、一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材3と、一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に常時付勢するための一対の通常ばね材4、4と、一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に付勢するための一対の形状記憶ばね材5、5と、一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向への移動量を調整する移動量調整部材6とを備えている。そして、これら目地構成部材2A、2B、案内部材3、通常ばね材4、4、形状記憶ばね材5、5及び移動量調整部材6が、単一基板7上に一体的に組み付けられて、全体としてユニット化されている。なお、基板7は、長辺の長さが約150mm、短辺の長さが約70mmの長方形状に形成されている。
【0020】
目地構成部材2A、2Bは、例えばアルミニウム製の板材からなり、これら目地構成部材2A、2B間において試験対象の粘弾性を有するシーリング材Sを充填装着するための目地部が構成されている。
【0021】
案内部材3は、基板7の長手方向の両端部に沿って固定された一対の固定枠材10、10と、これら固定枠材10、10間において固定枠材10、10と平行に配された可動枠材11と、目地構成部材2A、2Bの外側において、枠材10、10、11を貫通しながら基板7の短手方向(枠材10、10、11に対して直交する方向)に沿って配された一対のガイドシャフト12、12とを備えている。
【0022】
一方の固定枠材10及び可動枠材11には、一対の保持材13、13が間隔をあけて夫々固定されており、一方の固定枠材10の保持材13、13と可動枠材11の保持材13、13とは、互いに向かい合うように配置されている。そして、可動枠材11における保持材13、13の内向き溝14、14に跨って、一方の目地構成部材2Aが着脱可能に取り付けられ、一方の固定枠材10における保持材13、13の内向き溝14、14に跨って、他方の目地構成部材2Bが着脱可能に取り付けられている。
【0023】
ガイドシャフト12、12は、先端部分にのみ螺子部を有するボルトからなり、それらの頭部が一方の固定枠材10の外側に当接された状態で、一方の固定枠材10、可動枠材11、他方の固定枠材10を貫通して、他方の固定枠材10の外側に突出した螺子部にナット15、15を螺合して締め付けることで、枠材10、10、11間に跨るようにして夫々取り付けられている。そして、これらガイドシャフト12、12に沿って可動枠材11がスライド自在に支持され、これにより可動枠材11の保持材13、13に取り付けた一方の目地構成部材2Aを、一方の固定枠材10の保持材13、13に取り付けた他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向に移動自在に案内するようになっている。
【0024】
通常ばね材4、4は、金属製又は合成樹脂製の圧縮コイルばねからなり、形状記憶ばね材5、5は、所定温度(変態点)以上のときに予め決められた記憶形状に形状回復する形状記憶合金製又は形状記憶樹脂製の圧縮コイルばねからなる。そして、一方の通常ばね材4は、一方のガイドシャフト12が挿通された状態で、一方の固定枠材10と可動枠材11との間に介装され、他方の通常ばね材4は、他方のガイドシャフト12が挿通された状態で、一方の固定枠材10と可動枠材11との間に介装されている。また、一方の形状記憶ばね材5は、一方のガイドシャフト12が挿通された状態で、他方の固定枠材10と可動枠材11との間に介装され、他方の形状記憶ばね材5は、他方のガイドシャフト12が挿通された状態で、他方の固定枠材10と可動枠材11との間に介装されている。
【0025】
移動量調整部材6は、ガイドシャフト12、12と保持材13・・との間において、枠材10、10、11を貫通しながらガイドシャフト12、12と平行に配された一対の調整用ボルト20、20と、これら調整用ボルト20、20に螺合された複数の調整用ナット21・・とからなる。調整用ボルト20、20は、その略全長に亘って螺子部が形成され、それらの頭部が一方の固定枠材10の外側に当接された状態で、一方の固定枠材10、可動枠材11、他方の固定枠材10を貫通して、他方の固定枠材10の外側に突出した螺子部にナット22、22を螺合して締め付けることで、枠材10、10、11間に跨るようにして夫々取り付けられている。そして、調整用ボルト20、20に対して、一対の調整用ナット21、21が可動枠材11を挟むようにして夫々螺合されており、ガイドシャフト12、12に沿ってスライドする可動枠材11が調整用ナット21・・に当接することで、一方の目地構成部材2Aの移動が規制されるようになっている。従って、各調整用ボルト20おける調整用ナット21、21の螺合位置すなわち調整用ナット21、21間の間隔を適宜変更することで、一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向への移動量を調整することができるようになっている。
【0026】
次に、上記構成の試験装置を使用して、目地部の動的挙動に起因するシーリング材Sの劣化状況を確認する方法について説明する。まず、目地構成部材2A、2B間の目地部にシーリング材Sの充填装着する。この充填装着に際しては、目地構成部材2A、2Bを取り外した状態で行って、充填装着後の組品(目地構成部材2A、2B間にシーリング材Sを介在させたもの)を、一方の目地構成部材2Aが可動枠材11の保持材13、13に跨るように、他方の目地構成部材2Bが一方の固定枠材10の保持材13、13に跨るようにして取り付ける。
【0027】
この試験装置を、温度調整が可能な実験室内や例えばサンシャインウェザーメータ等の促進耐候試験機内に設置する。なお、促進耐候試験機内に設置すれば、日射や降雨等の外部環境も加味した劣化状況を確認することができる。
【0028】
そして、形状記憶ばね材5、5の温度を、所定温度(変態点)よりも低い常温と、所定温度(変態点)以上とに繰り返し変化させる。具体的には、形状記憶ばね材5、5を所定時間毎に加熱する。形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)より低い常温のときには、通常ばね材4、4の付勢力が形状記憶ばね材5、5の付勢力を上回ることで、図2(a)に示すように、可動枠材11が図面右方向に押されて、ガイドシャフト12、12に沿って調整ナット21、21に当接するまでスライドする。これにより、一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に移動して、シーリング材Sが伸長する。形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときには、通常ばね材4、4の付勢力が形状記憶ばね材5、5の付勢力を下回ることで、図2(b)に示すように、可動枠材11が図面左方向に押されて、ガイドシャフト12、12に沿って調整ナット21、21に当接するまでスライドする。これにより、一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に移動して、シーリング材Sが圧縮する。このように、目地構成部材2A、2Bを近接離間する方向に移動させて、シーリング材Sに対して引張力や圧縮力を繰り返し与えることで、目地部の動的挙動に起因するシーリング材Sの劣化状況を、短期間に精度良く確認することができる。
【0029】
なお、上記実施形態においては、通常ばね材4、4によって一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に常時付勢し、形状記憶ばね材5、5によって一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に付勢することで、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)よりも低い常温のときにシーリング材Sを伸長し、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときにシーリング材Sを圧縮していたが、図3に示すように、通常ばね材4、4と形状記憶ばね材5、5の配置位置を入れ換えて、通常ばね材4、4によって一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に常時付勢し、形状記憶ばね材5、5によって一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に付勢することで、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)よりも低い常温のときにシーリング材Sを圧縮し、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときにシーリング材Sを伸長するように構成しても良い。
【0030】
また、上記実施形態においては、通常ばね材4、4及び形状記憶ばね材5、5を、ともに圧縮コイルばねとしていたが、ともに引張コイルばねとしても良い。この場合、形状記憶ばね材5、5は、所定温度(変態点)よりも低い常温のときに伸ばされ、所定温度(変態点)以上となって形状回復したときに縮むことになる。
【0031】
さらに、上記実施形態においては、一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向に移動するようになっていたが、例えば図4に示すように、一対の可動枠材11、11を備え付けて、双方の目地構成部材2A、2Bを互いに近接離間する方向に移動させるようにしても良い。
【0032】
さらにまた、例えば図5及び図7に示すように、シーリング材Sの弾性復帰力を利用することで通常ばね材4、4を廃止し、一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接又は離間する方向に付勢するための形状記憶ばね材5、5のみを使用して、構造のより一層の簡略化を図るようにしても良い。この場合、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)よりも低い常温のときの付勢力よりも、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、図6に示すように、一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向への移動量及びこれに伴うシーリング材Sの圧縮量を、形状記憶ばね材5、5の温度変化によって異ならせて、シーリング材Sに対して圧縮力を繰り返し与えたり、図8に示すように、一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向への移動量及びこれに伴うシーリング材Sの伸長量を、形状記憶ばね材5、5の温度変化によって異ならせることで、シーリング材Sに対して引張力を繰り返し与えるようになっている。
【0033】
(第2実施形態)
この発明の第2実施形態に係るシーリング材の劣化試験装置は、図9に示すように、対向配置された一対の目地構成部材30A、30Bと、これら目地構成部材30A、30Bを支持するとともに、これら目地構成部材30A、30Bを相手側に対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動自在に案内する案内部材31と、これら目地構成部材30A、30Bを相手側に対して横ズレを生じさせる一方向に常時付勢するための通常ばね材32、32と、これら目地構成部材30A、30Bを相手側に対して横ズレを生じさせる一方向とは相反する他方向に付勢するための形状記憶ばね材33、33と、これら目地構成部材30A、30Bにおける相手側に対して横ズレを生じさせる相反する二方向への移動量を調整する移動量調整部材34とを備えている。そして、これら目地構成部材30A、30B、案内部材31、通常ばね材32、32、形状記憶ばね材33、33及び移動量調整部材34が、単一基板35上に一体的に組み付けられて、全体としてユニット化されている。なお、基板35は、長辺の長さが約150mm、短辺の長さが約70mmの長方形状に形成されている。
【0034】
目地構成部材30A、30Bは、例えばアルミニウム製の板材からなり、これら目地構成部材30A、30B間において試験対象の粘弾性を有するシーリング材Sを充填装着するための目地部が構成されている。これら目地構成部材30A、30Bの外側面中央部には、互いに離間する方向に突出する係止用突片36、36が形成されている。
【0035】
案内部材31は、基板7の長手方向の両端部に沿って固定された一対の固定枠材40、40と、これら固定枠材40、40間において固定枠材40、40と平行に配された一対の可動枠材41、41と、目地構成部材30A、30Bの外側において、枠材40、40、41を貫通しながら基板35の短手方向(枠材40、41・・に対して直交する方向)に沿って配された一対のガイドシャフト42、42とを備えている。
【0036】
一方の固定枠材40には、目地構成部材30A、30Bの一端部を摺動させる一対のガイド片43、43が間隔をあけて固定されており、他方の固定枠材40には、目地構成部材30A、30Bの他端部を摺動させる一対のガイド片43、43が間隔をあけて固定されている。また、可動枠材41、41の一端部には、保持材44、44が互いに向かい合うように夫々固定されており、これら保持材44、44の内向き溝45、45に、目地構成部材30A、30Bの係止用突片36、36が着脱可能に夫々嵌め込まれている。
【0037】
ガイドシャフト42、42は、先端部分にのみ螺子部を有するボルトからなる。一方のガイドシャフト42は、その頭部が一方の固定枠材40の外側に当接された状態で、一方の固定枠材40、一方の可動枠材41、他方の固定枠材40を貫通して、他方の固定枠材40の外側に突出した螺子部にナット46を螺合して締め付けることで、枠材40、40、41間に跨るようにして取り付けられている。他方のガイドシャフト42は、その頭部が一方の固定枠材40の外側に当接された状態で、一方の固定枠材40、他方の可動枠材41、他方の固定枠材40を貫通して、他方の固定枠材10の外側に突出した螺子部にナット46を螺合して締め付けることで、枠材40、40、41間に跨るようにして取り付けられている。そして、これらガイドシャフト42、42に沿って可動枠材41、41がスライド自在に支持され、これにより一方の可動枠材41の保持材44に取り付けた一方の目地構成部材30Aと、他方の可動枠材41の保持材44に取り付けた他方の目地構成部材30Bとを、それら両端部をガイド片43・・によってガイドしながら、互いに横ズレを生じさせる相反する二方向に移動自在に案内するようになっている。
【0038】
通常ばね材32、32は、金属製又は合成樹脂製の圧縮コイルばねからなり、形状記憶ばね材33、33は、所定温度(変態点)以上のときに予め決められた記憶形状に形状回復する形状記憶合金製又は形状記憶樹脂製の圧縮コイルばねからなる。そして、一方の通常ばね材32は、一方のガイドシャフト42が挿通された状態で、一方の固定枠材40と一方の可動枠材41との間に介装され、他方の通常ばね材32は、他方のガイドシャフト42が挿通された状態で、他方の固定枠材40と他方の可動枠材41との間に介装されている。また、一方の形状記憶ばね材33は、一方のガイドシャフト42が挿通された状態で、他方の固定枠材40と一方の可動枠材41との間に介装され、他方の形状記憶ばね材33は、他方のガイドシャフト42が挿通された状態で、一方の固定枠材40と他方の可動枠材41との間に介装されている。すなわち、通常ばね材32、32及び形状記憶ばね材33、33が、ともに目地部を挟んで対角線上に配された状態となっている。
【0039】
移動量調整部材34は、ガイドシャフト42、42の外側において、枠材40、40、41を貫通しながらガイドシャフト42、42と平行に配された一対の調整用ボルト50、50と、これら調整用ボルト50、50に螺合された複数の調整用ナット51・・とからなる。調整用ボルト50、50は、その略全長に亘って螺子部が形成されている。一方の調整用ボルト50は、その頭部が一方の固定枠材40の外側に当接された状態で、一方の固定枠材40、一方の可動枠材41、他方の固定枠材40を貫通して、他方の固定枠材40の外側に突出した螺子部にナット52を螺合して締め付けることで、枠材40、40、41間に跨るようにして取り付けられている。他方の調整用ボルト50は、その頭部が一方の固定枠材40の外側に当接された状態で、一方の固定枠材40、他方の可動枠材41、他方の固定枠材40を貫通して、他方の固定枠材40の外側に突出した螺子部にナット52を螺合して締め付けることで、枠材40、40、41間に跨るようにして取り付けられている。そして、調整用ボルト50、50に対して、一対の調整用ナット51、51が可動枠材41、41を挟むようにして夫々螺合されており、ガイドシャフト42、42に沿ってスライドする可動枠材41、41が調整用ナット51・・に夫々当接することで、双方の目地構成部材30A、30Bの移動が規制されるようになっている。従って、各調整用ボルト50おける調整用ナット51、51の螺合位置すなわち調整用ナット51、51間の間隔を適宜変更することで、双方の目地構成部材30A、30Bの相手側に対して横ズレを生じさせる相反する二方向への移動量を調整することができるようになっている。
【0040】
次に、上記構成の試験装置を使用して、目地部の動的挙動に起因するシーリング材Sの劣化状況を確認する方法について説明する。まず、目地構成部材30A、30B間の目地部にシーリング材Sの充填装着する。この充填装着に際しては、目地構成部材30A、30Bを取り外した状態で行って、充填装着後の組品(目地構成部材30A、30B間にシーリング材Sを介在させたもの)を、双方の目地構成部材30A、30Bが可動枠材41、41の保持材44、44によって保持され、且つ、ガイド片43・・によってガイドされた状態で取り付ける。
【0041】
この試験装置を、温度調整が可能な実験室内や例えばサンシャインウェザーメータ等の促進耐候試験機内に設置する。なお、促進耐候試験機内に設置すれば、日射や降雨等の外部環境も加味した劣化状況を確認することができる。
【0042】
そして、形状記憶ばね材33、33の温度を、所定温度(変態点)よりも低い常温と、所定温度(変態点)以上とに繰り返し変化させる。具体的には、形状記憶ばね材33、33を所定時間毎に加熱する。形状記憶ばね材33、33が所定温度(変態点)より低い常温のときには、通常ばね材32、32の付勢力が形状記憶ばね材33、33の付勢力を上回ることで、図10(a)に示すように、一方の可動枠材41が図面右方向に押され、他方の可動枠材41が図面左方向に押されて、ガイドシャフト42、42に沿って調整ナット51、51に当接するまでスライドする。これにより、双方の目地構成部材30A、30Bが相手側に対して横ズレを生じさせる一方向に夫々移動して、シーリング材Sに剪断力が付与される。また、形状記憶ばね材33、33が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときには、通常ばね材32、32の付勢力が形状記憶ばね材33、33の付勢力を下回ることで、図10(b)に示すように、一方の可動枠材41が図面左方向に押され、他方の可動枠材41が図面右方向に押されて、ガイドシャフト42、42に沿って調整ナット51、51に当接するまでスライドする。これにより、双方の目地構成部材30A、30Bが相手側に対して横ズレを生じさせる一方向とは相反する他方向に夫々移動して、シーリング材Sに上記の剪断力とは異なる方向の剪断力が付与される。このように、目地構成部材30A、30Bを相反する二方向に移動させて、シーリング材Sに対して剪断力を繰り返し与えることで、目地部の動的挙動に起因するシーリング材Sの劣化状況を、短期間に精度良く確認することができる。
【0043】
なお、上記実施形態においては、通常ばね材32、32及び形状記憶ばね材33、33を、ともに圧縮コイルばねとしていたが、ともに引張コイルばねとしても良い。この場合、形状記憶ばね材33、33は、所定温度(変態点)よりも低い常温のときに伸ばされ、所定温度(変態点)以上となって形状回復したときに縮むことになる。
【0044】
また、上記実施形態においては、双方の目地構成部材30A、30Bが相手側に対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動するようになっていたが、例えば図11に示すように、他方の可動枠材41を廃止して、一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動させるようにしても良い。この場合、他方の目地構成部材30Bは、例えば固定部材40、40に固定された保持材47、47によって保持される。
【0045】
さらに、例えば図12に示すように、シーリング材Sの弾性復帰力を利用することで通常ばね材32、32を廃止し、双方の目地構成部材30A、30Bを相手側に対して横ズレを生じさせる方向に付勢するための形状記憶ばね材33、33のみを使用して、構造のより一層の簡略化を図るようにしても良い。この場合、形状記憶ばね材33、33が所定温度(変態点)よりも低い常温のときの付勢力よりも、形状記憶ばね材33、33が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、図13に示すように、双方の目地構成部材30A、30Bにおける相手側に対して横ズレを生じさせる方向への移動量及びこれに伴うシーリング材Sに付与する剪断力を、形状記憶ばね材33、33の温度変化によって異ならせることで、シーリング材Sに対して剪断力を繰り返し与えるようになっている。
【0046】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の第1実施形態に係る劣化試験装置の平面図である。
【図2】同じくその動作を示す平面図である。
【図3】変形例を示す平面図である。
【図4】変形例を示す平面図である。
【図5】変形例を示す平面図である。
【図6】同じくその動作を示す平面図である。
【図7】変形例を示す平面図である。
【図8】同じくその動作を示す平面図である。
【図9】第2実施形態に係る劣化試験装置の平面図である。
【図10】同じくその動作を示す平面図である。
【図11】変形例を示す平面図である。
【図12】変形例を示す平面図である。
【図13】同じくその動作を示す平面図である。
【図14】従来の劣化試験装置の側面図である。
【符号の説明】
【0048】
S・・シーリング材、2A、2B、30A、30B・・目地構成部材、3、31・・案内部材、4、32・・通常ばね材、5、33・・形状記憶ばね材、6、34・・移動量調整部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁材間や各種部材間の目地部に充填されるシーリング材の劣化状況、特に壁材や各種部材の熱伸縮や振動等による目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を確認するための試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、壁材間の目地部に充填される建築用シーリング材は、日射や降雨といった外部環境の影響によって劣化するだけでなく、壁材の熱伸縮や振動等による目地部の動的挙動に伴って、圧縮力や引張力、剪断力を繰り返し受けることでも劣化する。このため、動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を確認するための試験装置が各種提案されており、シーリング材の性能評価に際して使用されている。
【0003】
この種の試験装置として、例えば図14に示すように、白色の鋼製ベース材60上に、一端側を固定した状態で黒色のアクリル樹脂製帯板材61を取り付け、屋外暴露による温度変化を利用してアクリル樹脂製帯板材61を繰り返し熱膨張、熱収縮させて、アクリル樹脂製帯板材61の移動可能な他端側に取り付けたシーリング材62に対して圧縮力や引張力を繰り返し与えることで、動的挙動に起因するシーリング材62の劣化状況を確認するようにした構造のものが知られている。
【0004】
上記試験装置においては、アクリル樹脂製帯板材61の熱膨張、熱収縮によって動的挙動を再現していることから、アクリル樹脂製帯板材61の長さに応じて挙動量が決まることになるが、この場合、一般的な壁材間の目地部の動的挙動を再現するためには、アクリル樹脂製帯板材61として例えば300mm程度の長尺なものを使用する必要があり、これによって装置全体が大型化して取り扱い難いといった不具合があった。また、屋外暴露による温度変化を利用してアクリル樹脂製帯板材61を繰り返し熱膨張、熱収縮させる場合、天候や気候等の環境条件に違いにより試験結果にばらつきが生じ易く、しかも信頼性の高い試験結果を得るまでに長期間を要するといった不具合もあった。
【0005】
そこで、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように、環境条件に影響されない実験室等の屋内において、目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を短期間に精度良く確認することができる試験装置が提案されている。
【0006】
上記試験装置においては、試験対象のシーリング材を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材を備え、これら目地構成部材を相対的に近接離間させて動的挙動を再現し、シーリング材に対して圧縮力や引張力を繰り返し与えることで、動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を確認するようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開平7−190921号公報
【特許文献2】特開2005−37272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示されているような試験装置においては、目地構成部材を相対的に近接離間させて動的挙動を再現するにあたって、駆動モータ等を動力源として目地構成部材を往復動させていることから、構造が複雑になって、依然として装置全体が大型化するとともに、製造コストも高価になるといった不具合があった。
【0009】
この発明は、上記の不具合を解消して、目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を短期間に精度良く確認することができ、しかも簡単な構造で取り扱い性に優れたシーリング材の劣化試験装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明の劣化試験装置は、試験対象のシーリング材Sを充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材2A、2Bと、これら目地構成部材2A、2Bを支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材3と、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に常時付勢するための通常ばね材4、4と、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に付勢するための形状記憶ばね材5、5とを備え、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材4、4の付勢力が前記形状記憶ばね材5、5の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に移動して前記シーリング材Sを伸長するとともに、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材4、4の付勢力が前記形状記憶ばね材5、5の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に移動して前記シーリング材Sを圧縮することを特徴とする。
【0011】
さらには、通常ばね材4、4によって、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に常時付勢し、形状記憶ばね材5、5によって、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に付勢するようにして、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材4、4の付勢力が前記形状記憶ばね材5、5の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に移動して前記シーリング材Sを圧縮するとともに、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材4、4の付勢力が前記形状記憶ばね材5、5の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に移動して前記シーリング材Sを伸長するようにしても良い。
【0012】
そして、上記において、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向への移動量を調整する移動量調整部材6を備えている。
【0013】
また、通常ばね材4、4を廃止して、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接又は離間する方向に付勢するための形状記憶ばね材5、5を設け、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材5、5が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接又は離間する方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材Sの圧縮量又は伸長量を、前記形状記憶ばね材5、5の温度変化によって異ならせても良い。
【0014】
別の発明の劣化試験装置は、試験対象のシーリング材Sを充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材30A、30Bと、これら目地構成部材30A、30Bを支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動自在に案内する案内部材31と、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる一方向に常時付勢するための通常ばね材32、32と、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる前記一方向とは相反する他方向に付勢するための形状記憶ばね材33、33とを備え、前記形状記憶ばね材33、33が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材32、32の付勢力が前記形状記憶ばね材33、33の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aが他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる一方向に移動して前記シーリング材Sに剪断力を付与するとともに、前記形状記憶ばね材33、33が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材32、32の付勢力が前記形状記憶ばね材33、33の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aが他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる前記一方向とは相反する他方向に移動して前記シーリング材Sに前記剪断力とは異なる方向の剪断力を付与することを特徴とする。
【0015】
そして、上記において、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aにおける他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる相反する二方向への移動量を調整する移動量調整部材34を備えている。
【0016】
また、通常ばね材32、32を廃止して、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる方向に付勢するための形状記憶ばね材33、33を設け、前記形状記憶ばね材33、33が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材33、33が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材30Aにおける他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材Sに付与する剪断力を、前記形状記憶ばね材33、33の温度変化によって異ならせても良い。
【発明の効果】
【0017】
この発明の劣化試験装置では、温度変化に伴う形状記憶ばね材の形状回復を利用して目地部の動的挙動を再現しているので、実験室内やサンシャインウェザーメータ等の促進耐候試験機内に設置して、形状記憶ばね材の温度を繰り返し変化させることで、目地部の動的挙動に起因するシーリング材の劣化状況を短期間に精度良く確認することができる。しかも、従来のような長尺なアクリル樹脂製帯板材を使用したり、駆動モータ等を動力源として目地部の動的挙動を再現する場合と比べて、構造を簡単にして装置全体を小型化することができ、取り扱い性を向上することができる。
【0018】
また、移動量調整部材によって目地構成部材の移動量を適宜調整することで、各種目地部の動的挙動を幅広く再現することができ、機能性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態に係るシーリング材の劣化試験装置は、図1に示すように、対向配置された一対の目地構成部材2A、2Bと、これら目地構成部材2A、2Bを支持するとともに、一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材3と、一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に常時付勢するための一対の通常ばね材4、4と、一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に付勢するための一対の形状記憶ばね材5、5と、一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向への移動量を調整する移動量調整部材6とを備えている。そして、これら目地構成部材2A、2B、案内部材3、通常ばね材4、4、形状記憶ばね材5、5及び移動量調整部材6が、単一基板7上に一体的に組み付けられて、全体としてユニット化されている。なお、基板7は、長辺の長さが約150mm、短辺の長さが約70mmの長方形状に形成されている。
【0020】
目地構成部材2A、2Bは、例えばアルミニウム製の板材からなり、これら目地構成部材2A、2B間において試験対象の粘弾性を有するシーリング材Sを充填装着するための目地部が構成されている。
【0021】
案内部材3は、基板7の長手方向の両端部に沿って固定された一対の固定枠材10、10と、これら固定枠材10、10間において固定枠材10、10と平行に配された可動枠材11と、目地構成部材2A、2Bの外側において、枠材10、10、11を貫通しながら基板7の短手方向(枠材10、10、11に対して直交する方向)に沿って配された一対のガイドシャフト12、12とを備えている。
【0022】
一方の固定枠材10及び可動枠材11には、一対の保持材13、13が間隔をあけて夫々固定されており、一方の固定枠材10の保持材13、13と可動枠材11の保持材13、13とは、互いに向かい合うように配置されている。そして、可動枠材11における保持材13、13の内向き溝14、14に跨って、一方の目地構成部材2Aが着脱可能に取り付けられ、一方の固定枠材10における保持材13、13の内向き溝14、14に跨って、他方の目地構成部材2Bが着脱可能に取り付けられている。
【0023】
ガイドシャフト12、12は、先端部分にのみ螺子部を有するボルトからなり、それらの頭部が一方の固定枠材10の外側に当接された状態で、一方の固定枠材10、可動枠材11、他方の固定枠材10を貫通して、他方の固定枠材10の外側に突出した螺子部にナット15、15を螺合して締め付けることで、枠材10、10、11間に跨るようにして夫々取り付けられている。そして、これらガイドシャフト12、12に沿って可動枠材11がスライド自在に支持され、これにより可動枠材11の保持材13、13に取り付けた一方の目地構成部材2Aを、一方の固定枠材10の保持材13、13に取り付けた他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向に移動自在に案内するようになっている。
【0024】
通常ばね材4、4は、金属製又は合成樹脂製の圧縮コイルばねからなり、形状記憶ばね材5、5は、所定温度(変態点)以上のときに予め決められた記憶形状に形状回復する形状記憶合金製又は形状記憶樹脂製の圧縮コイルばねからなる。そして、一方の通常ばね材4は、一方のガイドシャフト12が挿通された状態で、一方の固定枠材10と可動枠材11との間に介装され、他方の通常ばね材4は、他方のガイドシャフト12が挿通された状態で、一方の固定枠材10と可動枠材11との間に介装されている。また、一方の形状記憶ばね材5は、一方のガイドシャフト12が挿通された状態で、他方の固定枠材10と可動枠材11との間に介装され、他方の形状記憶ばね材5は、他方のガイドシャフト12が挿通された状態で、他方の固定枠材10と可動枠材11との間に介装されている。
【0025】
移動量調整部材6は、ガイドシャフト12、12と保持材13・・との間において、枠材10、10、11を貫通しながらガイドシャフト12、12と平行に配された一対の調整用ボルト20、20と、これら調整用ボルト20、20に螺合された複数の調整用ナット21・・とからなる。調整用ボルト20、20は、その略全長に亘って螺子部が形成され、それらの頭部が一方の固定枠材10の外側に当接された状態で、一方の固定枠材10、可動枠材11、他方の固定枠材10を貫通して、他方の固定枠材10の外側に突出した螺子部にナット22、22を螺合して締め付けることで、枠材10、10、11間に跨るようにして夫々取り付けられている。そして、調整用ボルト20、20に対して、一対の調整用ナット21、21が可動枠材11を挟むようにして夫々螺合されており、ガイドシャフト12、12に沿ってスライドする可動枠材11が調整用ナット21・・に当接することで、一方の目地構成部材2Aの移動が規制されるようになっている。従って、各調整用ボルト20おける調整用ナット21、21の螺合位置すなわち調整用ナット21、21間の間隔を適宜変更することで、一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向への移動量を調整することができるようになっている。
【0026】
次に、上記構成の試験装置を使用して、目地部の動的挙動に起因するシーリング材Sの劣化状況を確認する方法について説明する。まず、目地構成部材2A、2B間の目地部にシーリング材Sの充填装着する。この充填装着に際しては、目地構成部材2A、2Bを取り外した状態で行って、充填装着後の組品(目地構成部材2A、2B間にシーリング材Sを介在させたもの)を、一方の目地構成部材2Aが可動枠材11の保持材13、13に跨るように、他方の目地構成部材2Bが一方の固定枠材10の保持材13、13に跨るようにして取り付ける。
【0027】
この試験装置を、温度調整が可能な実験室内や例えばサンシャインウェザーメータ等の促進耐候試験機内に設置する。なお、促進耐候試験機内に設置すれば、日射や降雨等の外部環境も加味した劣化状況を確認することができる。
【0028】
そして、形状記憶ばね材5、5の温度を、所定温度(変態点)よりも低い常温と、所定温度(変態点)以上とに繰り返し変化させる。具体的には、形状記憶ばね材5、5を所定時間毎に加熱する。形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)より低い常温のときには、通常ばね材4、4の付勢力が形状記憶ばね材5、5の付勢力を上回ることで、図2(a)に示すように、可動枠材11が図面右方向に押されて、ガイドシャフト12、12に沿って調整ナット21、21に当接するまでスライドする。これにより、一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に移動して、シーリング材Sが伸長する。形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときには、通常ばね材4、4の付勢力が形状記憶ばね材5、5の付勢力を下回ることで、図2(b)に示すように、可動枠材11が図面左方向に押されて、ガイドシャフト12、12に沿って調整ナット21、21に当接するまでスライドする。これにより、一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に移動して、シーリング材Sが圧縮する。このように、目地構成部材2A、2Bを近接離間する方向に移動させて、シーリング材Sに対して引張力や圧縮力を繰り返し与えることで、目地部の動的挙動に起因するシーリング材Sの劣化状況を、短期間に精度良く確認することができる。
【0029】
なお、上記実施形態においては、通常ばね材4、4によって一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に常時付勢し、形状記憶ばね材5、5によって一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に付勢することで、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)よりも低い常温のときにシーリング材Sを伸長し、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときにシーリング材Sを圧縮していたが、図3に示すように、通常ばね材4、4と形状記憶ばね材5、5の配置位置を入れ換えて、通常ばね材4、4によって一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向に常時付勢し、形状記憶ばね材5、5によって一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向に付勢することで、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)よりも低い常温のときにシーリング材Sを圧縮し、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときにシーリング材Sを伸長するように構成しても良い。
【0030】
また、上記実施形態においては、通常ばね材4、4及び形状記憶ばね材5、5を、ともに圧縮コイルばねとしていたが、ともに引張コイルばねとしても良い。この場合、形状記憶ばね材5、5は、所定温度(変態点)よりも低い常温のときに伸ばされ、所定温度(変態点)以上となって形状回復したときに縮むことになる。
【0031】
さらに、上記実施形態においては、一方の目地構成部材2Aが他方の目地構成部材2Bに対して近接離間する方向に移動するようになっていたが、例えば図4に示すように、一対の可動枠材11、11を備え付けて、双方の目地構成部材2A、2Bを互いに近接離間する方向に移動させるようにしても良い。
【0032】
さらにまた、例えば図5及び図7に示すように、シーリング材Sの弾性復帰力を利用することで通常ばね材4、4を廃止し、一方の目地構成部材2Aを他方の目地構成部材2Bに対して近接又は離間する方向に付勢するための形状記憶ばね材5、5のみを使用して、構造のより一層の簡略化を図るようにしても良い。この場合、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)よりも低い常温のときの付勢力よりも、形状記憶ばね材5、5が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、図6に示すように、一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して近接する方向への移動量及びこれに伴うシーリング材Sの圧縮量を、形状記憶ばね材5、5の温度変化によって異ならせて、シーリング材Sに対して圧縮力を繰り返し与えたり、図8に示すように、一方の目地構成部材2Aにおける他方の目地構成部材2Bに対して離間する方向への移動量及びこれに伴うシーリング材Sの伸長量を、形状記憶ばね材5、5の温度変化によって異ならせることで、シーリング材Sに対して引張力を繰り返し与えるようになっている。
【0033】
(第2実施形態)
この発明の第2実施形態に係るシーリング材の劣化試験装置は、図9に示すように、対向配置された一対の目地構成部材30A、30Bと、これら目地構成部材30A、30Bを支持するとともに、これら目地構成部材30A、30Bを相手側に対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動自在に案内する案内部材31と、これら目地構成部材30A、30Bを相手側に対して横ズレを生じさせる一方向に常時付勢するための通常ばね材32、32と、これら目地構成部材30A、30Bを相手側に対して横ズレを生じさせる一方向とは相反する他方向に付勢するための形状記憶ばね材33、33と、これら目地構成部材30A、30Bにおける相手側に対して横ズレを生じさせる相反する二方向への移動量を調整する移動量調整部材34とを備えている。そして、これら目地構成部材30A、30B、案内部材31、通常ばね材32、32、形状記憶ばね材33、33及び移動量調整部材34が、単一基板35上に一体的に組み付けられて、全体としてユニット化されている。なお、基板35は、長辺の長さが約150mm、短辺の長さが約70mmの長方形状に形成されている。
【0034】
目地構成部材30A、30Bは、例えばアルミニウム製の板材からなり、これら目地構成部材30A、30B間において試験対象の粘弾性を有するシーリング材Sを充填装着するための目地部が構成されている。これら目地構成部材30A、30Bの外側面中央部には、互いに離間する方向に突出する係止用突片36、36が形成されている。
【0035】
案内部材31は、基板7の長手方向の両端部に沿って固定された一対の固定枠材40、40と、これら固定枠材40、40間において固定枠材40、40と平行に配された一対の可動枠材41、41と、目地構成部材30A、30Bの外側において、枠材40、40、41を貫通しながら基板35の短手方向(枠材40、41・・に対して直交する方向)に沿って配された一対のガイドシャフト42、42とを備えている。
【0036】
一方の固定枠材40には、目地構成部材30A、30Bの一端部を摺動させる一対のガイド片43、43が間隔をあけて固定されており、他方の固定枠材40には、目地構成部材30A、30Bの他端部を摺動させる一対のガイド片43、43が間隔をあけて固定されている。また、可動枠材41、41の一端部には、保持材44、44が互いに向かい合うように夫々固定されており、これら保持材44、44の内向き溝45、45に、目地構成部材30A、30Bの係止用突片36、36が着脱可能に夫々嵌め込まれている。
【0037】
ガイドシャフト42、42は、先端部分にのみ螺子部を有するボルトからなる。一方のガイドシャフト42は、その頭部が一方の固定枠材40の外側に当接された状態で、一方の固定枠材40、一方の可動枠材41、他方の固定枠材40を貫通して、他方の固定枠材40の外側に突出した螺子部にナット46を螺合して締め付けることで、枠材40、40、41間に跨るようにして取り付けられている。他方のガイドシャフト42は、その頭部が一方の固定枠材40の外側に当接された状態で、一方の固定枠材40、他方の可動枠材41、他方の固定枠材40を貫通して、他方の固定枠材10の外側に突出した螺子部にナット46を螺合して締め付けることで、枠材40、40、41間に跨るようにして取り付けられている。そして、これらガイドシャフト42、42に沿って可動枠材41、41がスライド自在に支持され、これにより一方の可動枠材41の保持材44に取り付けた一方の目地構成部材30Aと、他方の可動枠材41の保持材44に取り付けた他方の目地構成部材30Bとを、それら両端部をガイド片43・・によってガイドしながら、互いに横ズレを生じさせる相反する二方向に移動自在に案内するようになっている。
【0038】
通常ばね材32、32は、金属製又は合成樹脂製の圧縮コイルばねからなり、形状記憶ばね材33、33は、所定温度(変態点)以上のときに予め決められた記憶形状に形状回復する形状記憶合金製又は形状記憶樹脂製の圧縮コイルばねからなる。そして、一方の通常ばね材32は、一方のガイドシャフト42が挿通された状態で、一方の固定枠材40と一方の可動枠材41との間に介装され、他方の通常ばね材32は、他方のガイドシャフト42が挿通された状態で、他方の固定枠材40と他方の可動枠材41との間に介装されている。また、一方の形状記憶ばね材33は、一方のガイドシャフト42が挿通された状態で、他方の固定枠材40と一方の可動枠材41との間に介装され、他方の形状記憶ばね材33は、他方のガイドシャフト42が挿通された状態で、一方の固定枠材40と他方の可動枠材41との間に介装されている。すなわち、通常ばね材32、32及び形状記憶ばね材33、33が、ともに目地部を挟んで対角線上に配された状態となっている。
【0039】
移動量調整部材34は、ガイドシャフト42、42の外側において、枠材40、40、41を貫通しながらガイドシャフト42、42と平行に配された一対の調整用ボルト50、50と、これら調整用ボルト50、50に螺合された複数の調整用ナット51・・とからなる。調整用ボルト50、50は、その略全長に亘って螺子部が形成されている。一方の調整用ボルト50は、その頭部が一方の固定枠材40の外側に当接された状態で、一方の固定枠材40、一方の可動枠材41、他方の固定枠材40を貫通して、他方の固定枠材40の外側に突出した螺子部にナット52を螺合して締め付けることで、枠材40、40、41間に跨るようにして取り付けられている。他方の調整用ボルト50は、その頭部が一方の固定枠材40の外側に当接された状態で、一方の固定枠材40、他方の可動枠材41、他方の固定枠材40を貫通して、他方の固定枠材40の外側に突出した螺子部にナット52を螺合して締め付けることで、枠材40、40、41間に跨るようにして取り付けられている。そして、調整用ボルト50、50に対して、一対の調整用ナット51、51が可動枠材41、41を挟むようにして夫々螺合されており、ガイドシャフト42、42に沿ってスライドする可動枠材41、41が調整用ナット51・・に夫々当接することで、双方の目地構成部材30A、30Bの移動が規制されるようになっている。従って、各調整用ボルト50おける調整用ナット51、51の螺合位置すなわち調整用ナット51、51間の間隔を適宜変更することで、双方の目地構成部材30A、30Bの相手側に対して横ズレを生じさせる相反する二方向への移動量を調整することができるようになっている。
【0040】
次に、上記構成の試験装置を使用して、目地部の動的挙動に起因するシーリング材Sの劣化状況を確認する方法について説明する。まず、目地構成部材30A、30B間の目地部にシーリング材Sの充填装着する。この充填装着に際しては、目地構成部材30A、30Bを取り外した状態で行って、充填装着後の組品(目地構成部材30A、30B間にシーリング材Sを介在させたもの)を、双方の目地構成部材30A、30Bが可動枠材41、41の保持材44、44によって保持され、且つ、ガイド片43・・によってガイドされた状態で取り付ける。
【0041】
この試験装置を、温度調整が可能な実験室内や例えばサンシャインウェザーメータ等の促進耐候試験機内に設置する。なお、促進耐候試験機内に設置すれば、日射や降雨等の外部環境も加味した劣化状況を確認することができる。
【0042】
そして、形状記憶ばね材33、33の温度を、所定温度(変態点)よりも低い常温と、所定温度(変態点)以上とに繰り返し変化させる。具体的には、形状記憶ばね材33、33を所定時間毎に加熱する。形状記憶ばね材33、33が所定温度(変態点)より低い常温のときには、通常ばね材32、32の付勢力が形状記憶ばね材33、33の付勢力を上回ることで、図10(a)に示すように、一方の可動枠材41が図面右方向に押され、他方の可動枠材41が図面左方向に押されて、ガイドシャフト42、42に沿って調整ナット51、51に当接するまでスライドする。これにより、双方の目地構成部材30A、30Bが相手側に対して横ズレを生じさせる一方向に夫々移動して、シーリング材Sに剪断力が付与される。また、形状記憶ばね材33、33が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときには、通常ばね材32、32の付勢力が形状記憶ばね材33、33の付勢力を下回ることで、図10(b)に示すように、一方の可動枠材41が図面左方向に押され、他方の可動枠材41が図面右方向に押されて、ガイドシャフト42、42に沿って調整ナット51、51に当接するまでスライドする。これにより、双方の目地構成部材30A、30Bが相手側に対して横ズレを生じさせる一方向とは相反する他方向に夫々移動して、シーリング材Sに上記の剪断力とは異なる方向の剪断力が付与される。このように、目地構成部材30A、30Bを相反する二方向に移動させて、シーリング材Sに対して剪断力を繰り返し与えることで、目地部の動的挙動に起因するシーリング材Sの劣化状況を、短期間に精度良く確認することができる。
【0043】
なお、上記実施形態においては、通常ばね材32、32及び形状記憶ばね材33、33を、ともに圧縮コイルばねとしていたが、ともに引張コイルばねとしても良い。この場合、形状記憶ばね材33、33は、所定温度(変態点)よりも低い常温のときに伸ばされ、所定温度(変態点)以上となって形状回復したときに縮むことになる。
【0044】
また、上記実施形態においては、双方の目地構成部材30A、30Bが相手側に対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動するようになっていたが、例えば図11に示すように、他方の可動枠材41を廃止して、一方の目地構成部材30Aを他方の目地構成部材30Bに対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動させるようにしても良い。この場合、他方の目地構成部材30Bは、例えば固定部材40、40に固定された保持材47、47によって保持される。
【0045】
さらに、例えば図12に示すように、シーリング材Sの弾性復帰力を利用することで通常ばね材32、32を廃止し、双方の目地構成部材30A、30Bを相手側に対して横ズレを生じさせる方向に付勢するための形状記憶ばね材33、33のみを使用して、構造のより一層の簡略化を図るようにしても良い。この場合、形状記憶ばね材33、33が所定温度(変態点)よりも低い常温のときの付勢力よりも、形状記憶ばね材33、33が所定温度(変態点)以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、図13に示すように、双方の目地構成部材30A、30Bにおける相手側に対して横ズレを生じさせる方向への移動量及びこれに伴うシーリング材Sに付与する剪断力を、形状記憶ばね材33、33の温度変化によって異ならせることで、シーリング材Sに対して剪断力を繰り返し与えるようになっている。
【0046】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の第1実施形態に係る劣化試験装置の平面図である。
【図2】同じくその動作を示す平面図である。
【図3】変形例を示す平面図である。
【図4】変形例を示す平面図である。
【図5】変形例を示す平面図である。
【図6】同じくその動作を示す平面図である。
【図7】変形例を示す平面図である。
【図8】同じくその動作を示す平面図である。
【図9】第2実施形態に係る劣化試験装置の平面図である。
【図10】同じくその動作を示す平面図である。
【図11】変形例を示す平面図である。
【図12】変形例を示す平面図である。
【図13】同じくその動作を示す平面図である。
【図14】従来の劣化試験装置の側面図である。
【符号の説明】
【0048】
S・・シーリング材、2A、2B、30A、30B・・目地構成部材、3、31・・案内部材、4、32・・通常ばね材、5、33・・形状記憶ばね材、6、34・・移動量調整部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(2A)(2B)と、これら目地構成部材(2A)(2B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材(3)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に常時付勢するための通常ばね材(4)(4)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に付勢するための形状記憶ばね材(5)(5)とを備え、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材(4)(4)の付勢力が前記形状記憶ばね材(5)(5)の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)が他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に移動して前記シーリング材(S)を伸長するとともに、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材(4)(4)の付勢力が前記形状記憶ばね材(5)(5)の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)が他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に移動して前記シーリング材(S)を圧縮することを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項2】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(2A)(2B)と、これら目地構成部材(2A)(2B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材(3)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に常時付勢するための通常ばね材(4)(4)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に付勢するための形状記憶ばね材(5)(5)とを備え、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材(4)(4)の付勢力が前記形状記憶ばね材(5)(5)の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)が他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に移動して前記シーリング材(S)を圧縮するとともに、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材(4)(4)の付勢力が前記形状記憶ばね材(5)(5)の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)が他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に移動して前記シーリング材(S)を伸長することを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項3】
前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)における他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向への移動量を調整する移動量調整部材(6)を備えた請求項1又は2記載のシーリング材の劣化試験装置。
【請求項4】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(30A)(30B)と、これら目地構成部材(30A)(30B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動自在に案内する案内部材(31)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる一方向に常時付勢するための通常ばね材(32)(32)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる前記一方向とは相反する他方向に付勢するための形状記憶ばね材(33)(33)とを備え、前記形状記憶ばね材(33)(33)が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材(32)(32)の付勢力が前記形状記憶ばね材(33)(33)の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)が他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる一方向に移動して前記シーリング材(S)に剪断力を付与するとともに、前記形状記憶ばね材(33)(33)が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材(32)(32)の付勢力が前記形状記憶ばね材(33)(33)の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)が他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる前記一方向とは相反する他方向に移動して前記シーリング材(S)に前記剪断力とは異なる方向の剪断力を付与することを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項5】
前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)における他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる相反する二方向への移動量を調整する移動量調整部材(34)を備えた請求項4記載のシーリング材の劣化試験装置。
【請求項6】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(2A)(2B)と、これら目地構成部材(2A)(2B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材(3)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に付勢するための形状記憶ばね材(5)(5)とを備え、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)における他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材(S)の圧縮量を、前記形状記憶ばね材(5)(5)の温度変化によって異ならせたことを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項7】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(2A)(2B)と、これら目地構成部材(2A)(2B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材(3)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に付勢するための形状記憶ばね材(5)(5)とを備え、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)における他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材(S)の伸長量を、前記形状記憶ばね材(5)(5)の温度変化によって異ならせたことを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項8】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(30A)(30B)と、これら目地構成部材(30A)(30B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる方向に移動自在に案内する案内部材(31)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる方向に付勢するための形状記憶ばね材(33)(33)とを備え、前記形状記憶ばね材(33)(33)が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材(33)(33)が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)における他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材(S)に付与する剪断力を、前記形状記憶ばね材(33)(33)の温度変化によって異ならせたことを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項1】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(2A)(2B)と、これら目地構成部材(2A)(2B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材(3)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に常時付勢するための通常ばね材(4)(4)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に付勢するための形状記憶ばね材(5)(5)とを備え、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材(4)(4)の付勢力が前記形状記憶ばね材(5)(5)の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)が他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に移動して前記シーリング材(S)を伸長するとともに、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材(4)(4)の付勢力が前記形状記憶ばね材(5)(5)の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)が他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に移動して前記シーリング材(S)を圧縮することを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項2】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(2A)(2B)と、これら目地構成部材(2A)(2B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材(3)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に常時付勢するための通常ばね材(4)(4)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に付勢するための形状記憶ばね材(5)(5)とを備え、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材(4)(4)の付勢力が前記形状記憶ばね材(5)(5)の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)が他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に移動して前記シーリング材(S)を圧縮するとともに、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材(4)(4)の付勢力が前記形状記憶ばね材(5)(5)の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)が他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に移動して前記シーリング材(S)を伸長することを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項3】
前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)における他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向への移動量を調整する移動量調整部材(6)を備えた請求項1又は2記載のシーリング材の劣化試験装置。
【請求項4】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(30A)(30B)と、これら目地構成部材(30A)(30B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる相反する二方向に移動自在に案内する案内部材(31)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる一方向に常時付勢するための通常ばね材(32)(32)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる前記一方向とは相反する他方向に付勢するための形状記憶ばね材(33)(33)とを備え、前記形状記憶ばね材(33)(33)が所定温度よりも低い温度のときに、前記通常ばね材(32)(32)の付勢力が前記形状記憶ばね材(33)(33)の付勢力を上回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)が他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる一方向に移動して前記シーリング材(S)に剪断力を付与するとともに、前記形状記憶ばね材(33)(33)が所定温度以上となって形状回復したときに、前記通常ばね材(32)(32)の付勢力が前記形状記憶ばね材(33)(33)の付勢力を下回ることで、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)が他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる前記一方向とは相反する他方向に移動して前記シーリング材(S)に前記剪断力とは異なる方向の剪断力を付与することを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項5】
前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)における他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる相反する二方向への移動量を調整する移動量調整部材(34)を備えた請求項4記載のシーリング材の劣化試験装置。
【請求項6】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(2A)(2B)と、これら目地構成部材(2A)(2B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材(3)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向に付勢するための形状記憶ばね材(5)(5)とを備え、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)における他方の目地構成部材(2B)に対して近接する方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材(S)の圧縮量を、前記形状記憶ばね材(5)(5)の温度変化によって異ならせたことを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項7】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(2A)(2B)と、これら目地構成部材(2A)(2B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して近接離間する方向に移動自在に案内する案内部材(3)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)を他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向に付勢するための形状記憶ばね材(5)(5)とを備え、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材(5)(5)が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材(2A)における他方の目地構成部材(2B)に対して離間する方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材(S)の伸長量を、前記形状記憶ばね材(5)(5)の温度変化によって異ならせたことを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【請求項8】
試験対象のシーリング材(S)を充填装着するための目地部を構成する対向配置された一対の目地構成部材(30A)(30B)と、これら目地構成部材(30A)(30B)を支持するとともに、少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる方向に移動自在に案内する案内部材(31)と、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)を他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる方向に付勢するための形状記憶ばね材(33)(33)とを備え、前記形状記憶ばね材(33)(33)が所定温度よりも低い温度のときの付勢力よりも、前記形状記憶ばね材(33)(33)が所定温度以上となって形状回復したときの付勢力が上回るようにして、前記少なくとも一方の目地構成部材(30A)における他方の目地構成部材(30B)に対して横ズレを生じさせる方向への移動量及びこれに伴う前記シーリング材(S)に付与する剪断力を、前記形状記憶ばね材(33)(33)の温度変化によって異ならせたことを特徴とするシーリング材の劣化試験装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−117181(P2010−117181A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289070(P2008−289070)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】
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