説明

シールドケースを省いたコネクタ

【課題】シールドケースを被着しなくても電磁ノイズ対策として電磁波障害が除去され、回路基板に対する取付け強度もはんだ付けの手法により保持され、しかもリフローによっても品質が維持されるシールドケースを省いたコネクタを提供する。
【解決手段】絶縁性のプラスチックで成形されたハウジングに端子を装着してなるコネクタにおいて、ハウジングの外面に、シールドケースの代わりとして導電性ペーストを、端子の近傍を除いてほゞ全面的に塗布しハウジングを被覆することによりシールド塗膜を形成し、ハウジングを両端の下端部のシールド塗膜を介して回路基板にはんだ付けし得るように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回路基板に電子部品を接続するために取り付けられるコネクタに関するもので、詳しくは、回路基板に表面実装されるコネクタであって、電磁ノイズ対策のために被着されるシールドケースを省いたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタは、絶縁性プラスチックで成形されたハウジングと、銅板等をプレス加工して成形された端子との組合せからなるものであるが、従来、電磁波障害を除去するために、このように端子が植設されたハウジングにシールドケースが被着される(特許文献1参照)。そして、回路基盤に対する実装の仕方については、コネクタ(ハウジング)をはんだ付けする場合と、コネクタと一体のシールドケースをはんだ付けする場合とがあった(なお、この発明は、このいずれの場合の改善ともなる)。
【0003】
シールドケースは、金属板をプレス加工して組み立てられたもので、ハウジングに対する被着の仕方については、ハウジングの後ろから挿入するよう四角筒形の形状である場合(特許文献1の場合)と、ハウジングに上から被せるように逆箱形の形状である場合(図5に示す従来例の場合)等があったが、いずれにしても、ハウジングとシールドケースとの結合が構造的に、例えば凹部と掛止片との結合によりなされるために非常に複雑な形状となり、これを主因として現在各種技術分野で要求されるような省スペース化に適しなかったので、その改善が求められていた。
【0004】
図5は、シールドケース50がハウジング48に上から被着できる逆箱形の場合の改善された従来例であって、表面実装のために回路基板54に対してハウジング48を連結するもので、これによると、一般的に単に金具と称される接続金具52,52を使用し、同図(a)に示すように、コネクタの樹脂部を構成するハウジング48の両端にその金具52,52を接着し、同図(b)に示す如く、両金具52,52で回路基板54にはんだ56,56で接続される。
【特許文献1】特開2007−5234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の場合であっても、ハウジングとシールドケースとの安定した結合を確保するために、図示はしないものの非常に複雑な構造となるために、その複雑な構造に由来するスペースをとることになることで、省スペース化対策において依然として問題があり、また、シールドケースが逆箱形であるために、ハウジングを底面でシールドするのに適しなかった。
【0006】
また、接続金具52,52は、ハウジング50の下端の両側隅角に嵌まるL字形であるが、ハウジングの両側に食みだしているため、これも省スペース化の障害となっていた。しかし、接続金具52,52を省いた場合には、はんだ付けの信頼性を如何に確保するか、また、実装後において繰り返されるリフローに伴う温度サイクルに適応可能かどうか等が課題となった。
【0007】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、シールドケースを被着しなくても電磁ノイズ対策として電磁波障害が除去され、回路基板に対する取付け強度もはんだ付けの手法により保持され、しかもリフローによっても品質が維持されるシールドケースを省いたコネクタを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明は、絶縁性のプラスチックで成形されたハウジングに端子を装着してなるコネクタにおいて、ハウジングの外面に、シールドケースの代わりとして導電性ペーストを、端子の近傍を除いてほゞ全面的に塗布しハウジングを被覆することによりシールド塗膜を形成し、ハウジングを両端の下端部のシールド塗膜を介して回路基板にはんだ付けし得るように構成したことを特徴とするシールドケースを省いたコネクタを提供するものである。
【0009】
コネクタは上記のような構成であるから、シールドケースを無いことによる省スペース化が図られるもので、ハウジングにシールド塗膜を形成したことによるスペースは僅少であって、シールドケースとの結合のための凹凸形状が無用となるために、非常にコンパクトな形状となり、省スペース化が有効に図られるだけでなく軽量化にも適する。
【0010】
また、後記実施形態において説明するように、導電性ペースト(特に銀粉や銅粉,ニッケル粉を含有するもの)が、電磁ノイズ対策に特に適しており、ハウジングとの結合強度があり、また、はんだ付けの濡れ性に良好であり、さらに、はんだ付けやリフローに伴う加熱によっても、はんだや導電性ペーストの塗膜に気泡が生じたりクラックが生じたりするという不都合を招来しない。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、この発明のコネクタによれば、電磁ノイズ対策が導電性ペーストの塗膜により確保されることによって、ハウジングに被着するシールドケースが不要であるため、シールドケースおよびその被着に要する複雑な構造を回避することにより大幅に省スペース化を図ることができ、しかも、回路基板にコネクタを表面実装するに当たり、接続金具を用いることなく、それに代えてスペースを取らない導電性ペーストの塗膜によることにして、はんだ付けの強度的信頼性を確保できたものであり、また、リフローの反復によっても結合強度が保持されるので、コネクタの実装において省スペース化を不都合なく有効に図り得るという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1ないし図3は、この発明の実施形態を示したもので、そのうち図1は、シールドケースを省いたコネクタPの一部切欠した平面図であって、他の相手方コネクタ等に対しては上面で接続するように、その接続口2がハウジング1の成形において上面開口にして設けられている。そして、回路基板Rのパターンに接続させる端子3,3,・・は、このハウジング1の幅方向の両側に突出し、各端子3,3,・・の他端部がハウジング1の接続口2の中に臨ませてある。
【0014】
このような形態のコネクタPでは、従来、上から被着するシールドケースが用いられていたので、底面のシールドに不都合であった。しかし、この実施形態では、ハウジング1に接続口2の内部以外のほゞ全面に導電性ペーストを塗布することによりシールド塗膜5を形成した。極力全面皮膜となりまたシールド性を高めるために、ハウジング1は次のような形状に形成したが、これに限られることがないことはいうまでもない。
【0015】
ハウジング1は、絶縁性のプラスチックにより一体成形され、両端の下端に座脚部7,7を設けた。そして、座脚部7,7の高さにより、図3に示すように、底面のほゞ全体にシールド塗膜5を形成しても、端子3,3,・・がそのシールド塗膜5に接触しない形態とした。つまり、各端子3,3,・・は、下端部ではL字形に屈折しているが、座脚部7,7の高さによって、ハウジング1との間に大きく間隔Sを開けた。
【0016】
また、座脚部7,7を両側への突出によりその幅を広くとった。こうすれば、はんだ付けによるフィレット9,9の幅を大きくしてフィレット9,9の電気抵抗値を少なく設定でき、こうするとシールド塗膜5およびフィレット9,9を介して回路基板Rに対して電気的に接続するアース効果が大きくなる。
【0017】
図4は、他の実施形態を示したもので、この場合はハウジング1の上面と各側面にシールド塗膜5を形成したが、前記の実施形態(図1〜図3)とは違って、底面では端子3,3,・・の配列範囲において地肌とした。そして、各端子3,3,・・の下端部はその地肌に接触している。また、両端には底面で高さが切りかかれる切欠部11,11を設け、そこにおいてはんだ付けがなされ、切欠部11,11のほゞ幅の範囲においてフィレット9,9が形成される。
【0018】
導電性ペーストには、銅粉、ニッケル粉、銀粉を樹脂液に混入されたものが有効に使用することができた。これについては次に述べる。
【0019】
(シールド塗膜の素材の選択について)
電磁ノイズ対策としてシールド塗膜5の素材の選択として参考になるものとして、銅(Cu)とニッケル(Ni)の導電性塗料のシールド効果を図6において示す。同図に示す比較グラフから、膜厚30μm以上では大差がないが、銅の方がニッケルよりもシールド効果が大きいことが分かる。
【0020】
銀(Ag)については、はんだ付けとの関係で特に有効である。これには次のようなものを挙げることができる。
(1)ポリブタジエン系樹脂とイソシアネート系化合物やカプロラクタムでブロック化したブロック化イソシアネート化合物を結合剤に使用した銀ペースト(特開昭59−206459号公報)
(2)フレーク状(りん片状)銀粉と共重合ポリエステル樹脂とブロック化イソシアネート化合物を結合剤に使用した銀ペースト(特開平1−159906号公報)
【0021】
これらの導電性ペーストは、それに含有する樹脂の接着性からハウジング1の樹脂との密着性が良好であり、また、含有する銀粉がはんだと溶融における親和性から優れた濡れ性を持っている。この「樹脂部に対する密着性」と、「はんだの濡れ性」が重要であるので、導電性ペーストの選択においてはこの点が肝要とされる。なお、ここに、「樹脂に対する密着性」とは、樹脂に対する固着強度と塗布容易性とを有していることをいうものとし、これも重要である。
【0022】
(回路基板に対する表面実装について)
表面実装のために、回路基板Rに対してはんだ付けする箇所は、ハウジング1において導電性ペーストが塗布されたシールド塗膜5である。そのため、シールドケース無しを実現するこの発明の課題として、コネクタPのハウジング1を、回路基板Rに如何にはんだ付けするかについて次のような試作をして検討し、数多くの実験・研究を経た。その経過とともにこの発明を検証する。
【0023】
(1)まず、最初の頃には、ハウジング1に対して全面めっきを施し、部分的にはんだ付けした。しかし、これによると、はんだ付けの箇所において、めっき境界に剥離の原因となる気泡が生じたために、めっきの剥離強度に伴うコネクタとの密着強度に難点があることが分かった。
【0024】
これに対して、この発明では、導電性ペーストによるシールド塗膜5の境界に、はんだ熱等を原因とする気泡が生じるということはなかった。すなわち、シールド塗膜5の強度が実証された。
【0025】
(2)次に、ハウジング1に対して導電性ペーストを塗布してから、両端下端部のはんだ付け箇所においては、その上にバレルめっきを施したが、これによると、導電性ペーストの塗布について、バレルめっきの施工との関係で、均一性などの塗布精度が特に要求され、ある程度の精度、処理能力を要求すると、設備投資が過大にコスト高となることが分かった。
【0026】
これに対して、本願の発明であると、シールド塗膜5の上にバレルめっきを施すことはないので、導電性ペーストの塗布精度が余り問題とならなく、塗布作業が容易である。
【0027】
(3)さらに、ハウジングに対して全面的に金めっきを施し、両側下端で回路基板にはんだ付けした。しかし、この場合では、はんだ濡れ性には問題はないが、温度サイクル(温度変化の反復)により金とのはんだ付け境界箇所にクラックが発生することが分かった。クラックの発生程度については、一般民生品には使用可能のレベルにあるが、メーカーによっては、産業機械用として高いレベルを要求するので、これには対応できなかった。シールドには電気抵抗値にも高いレベルが要求されるが、極薄い金メッキではそれには対応してないということが分かった。
【0028】
表1は、温度サイクル試験における1サイクルの温度変化条件を示すものである。上記(3)の金めっきの場合であると、100サイクルでクラックの発生があったが、本願発明では、同じ条件でクラックの発生がなく、300サイクル程度でやゝクラックの発生が見られたので、特殊産業機械用としての高いレベル要求に対応できることが分かった。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明のシールドケースを省いたコネクタを模式的に示す一部切欠して示す平面図である。
【図2】図1のA−A線矢視において中間省略した拡大断面図である。
【図3】回路基板に対して同コネクタを表面実装した状態を模式的に示す断面図である。
【図4】他の実施形態を示す図3に対応する断面図である。
【図5】導電性ペーストに粉体として混入される金属として適する銅とニッケルとをシールド効果で比較するグラフの配列図である。
【図6】銅とニッケルの導電性塗料のシールド効果を比較して示めすグラフ
【符号の説明】
【0030】
P コネクタ
R 回路基板
1 ハウジング
3 端子
5 シールド塗膜
9 はんだ付け形勢されるフィレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のプラスチックで成形されたハウジングに端子を装着してなるコネクタにおいて、ハウジングの外面に、シールドケースの代わりとして導電性ペーストを、端子の近傍を除いてほゞ全面的に塗布することによりハウジングを被覆するシールド塗膜を形成し、ハウジングを両端の下端部のシールド塗膜を介して回路基板にはんだ付けし得るように構成したことを特徴とするシールドケースを省いたコネクタ。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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