説明

シールドテープ、及び、それを用いたケーブル

【課題】 優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルを提供することを目的とする。
【解決手段】 シールドテープ21は、帯状の金属箔22と、金属箔22の一方の面22a上に積層される第1樹脂フィルム23と、金属箔22の他方の面22b上に積層される第2樹脂フィルム24と、を備え、第1樹脂フィルム23は、一方の面22a上において、金属箔22の一方の側縁部を覆うと共に、金属箔22の他方の側縁部を露出するように配置され、第2樹脂フィルム24は、他方の面22b上において、金属箔22の他方の側縁部を覆うと共に、金属箔22の前記一方の側縁部を露出するように配置され、第1樹脂フィルム23における他方の側縁部側と、第2樹脂フィルム24における一方の側縁部側とが、金属箔22を介して、互いに重なり合うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器同士の接続や、電子機器内部の配線において、信号線が絶縁層を介してシールドで覆われたケーブルが用いられる場合がある。このケーブルの一つとして、金属層を有するテープが絶縁層に巻かれることにより、シールドが形成されているケーブルが知られている。
【0003】
このシールドは、信号線から放出される電磁波を遮蔽して、ケーブルの放射ノイズを防止するものであるため、優れた電磁波の遮蔽性(シールド性)を有することが好ましく、このためにシールドの金属が隙間なく信号線を覆っていることが好ましい。
【0004】
しかし、一般的に、ケーブルのシールドに用いられる金属層を有するテープ(シールドテープ)は、樹脂フィルム上に金属層が設けられた構造であるため、テープの一部が重なるようにして、テープを隙間なく絶縁層上に巻いても、テープが重なっている部分において、金属層と金属層との間に樹脂フィルムが介在してしまう。この樹脂フィルムが介在している金属層同士の間は、電磁波を遮蔽できない電磁的な隙間となってしまう。このような電磁的な隙間が生じると、その隙間からノイズが放射される場合がある。特に信号線に周波数の高い電気信号が伝送される場合においては、その隙間が僅かであっても、ノイズが放射される傾向がある。
【0005】
そこで、下記特許文献1には、金属が隙間なく信号線を覆っているケーブルが記載されている。このケーブルのシールドに用いられるシールドテープは、互いに略同等の幅を有する樹脂フィルムと金属箔とが、幅方向にずらされた状態で積層されている。従って、シールドテープの幅方向における中央部分においては、樹脂フィルムと金属箔とが重ねられているものの、両方の側縁部においては、樹脂フィルムと金属箔とが積層されずに、一方の側縁部では両面に樹脂フィルムが露出し、他方の側縁部では両面に金属箔が露出している。そして、このシールドテープは、中心導体を被覆する絶縁層上に、金属箔が絶縁層側となるようにして螺旋状に巻かれる。このときシールドテープは、金属箔が樹脂フィルムから露出している側縁部上に、絶縁層を周回したシールドテープの金属箔が重ねられて巻かれる。
【0006】
このようにシールドテープが絶縁層上を周回する毎に金属箔同士が直接重ねられることにより、シールドの金属が隙間なく信号線を覆うため、特許文献1に記載のケーブルは、優れたノイズ特性を有するとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平03−1596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1のケーブルに用いるシールドテープは、他方の側縁部において、金属箔が樹脂フィルムと積層されていないため、この部分において、金属箔が破損し易い。特に、ケーブルの屈曲が繰り返される場合においては、金属箔の破損により、ケーブルのシールド性が劣化する場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のシールドテープは、帯状の金属箔と、前記金属箔の一方の面上に積層される帯状の第1樹脂フィルムと、前記金属箔の他方の面上に積層される帯状の第2樹脂フィルムと、を備え、前記第1樹脂フィルムは、前記一方の面上において、前記金属箔の一方の側縁部を覆うと共に、前記金属箔の他方の側縁部を露出するように配置され、前記第2樹脂フィルムは、前記他方の面上において、前記金属箔の前記他方の側縁部を覆うと共に、前記金属箔の前記一方の側縁部を露出するように配置され、前記第1樹脂フィルムにおける前記他方の側縁部側と、前記第2樹脂フィルムにおける前記一方の側縁部側とが、前記金属箔を介して、互いに重なり合うことを特徴とするものである。
【0011】
このシールドテープにおいては、一方の側縁部を覆う第1樹脂フィルムと、他方の側縁部を覆う第2樹脂フィルムとが、金属箔を介して、互いに重なりあうため、金属箔を平面視する場合に、金属箔のどの部分においても、少なくとも一方の面上に第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの少なくとも一方が積層されている。このため、金属箔全体が樹脂フィルムにより支えられており、金属箔が薄い場合であっても、金属箔が破損することを抑制することができる。従って、内部導体が絶縁層で被覆された絶縁線心に、このシールドテープを巻くことにより、優れた耐久性を有するケーブルを実現することができる。また、シールドテープ幅方向における他方の側縁部においては、金属箔の一方の面が第1樹脂フィルムから露出しており、更に、シールドテープの一方の側縁部においては、金属箔の他方の面が第2樹脂フィルムから露出している。従って、金属箔の一方の面の露出している部分と、他方の面の露出している部分とを接触するようにして、このシールドテープを、内部導体が絶縁層で被覆された絶縁線心上に巻くことができる。このようにシールドテープを巻くことにより、内部導体が絶縁層を介して隙間なく金属箔で覆われ、優れたノイズ特性を有するケーブルを実現することができる。
【0012】
また、このシールドテープは、上述のように、金属箔がフィルムにより支えられているため、内部導体を被覆する絶縁層上に、このシールドテープを巻いて、ケーブルを製造する際に、金属箔が破損することを防止することができ、ケーブルを容易に製造することができる。
【0013】
さらに、前記第1樹脂フィルムの幅と、前記第2樹脂フィルムの幅とが互いに同じ大きさであることが好ましい。
【0014】
このようなシールドテープによれば、内部導体が絶縁層で被覆された絶縁線心に、このシールドテープを巻くときに、第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムのどちら側を外側にして巻いても良い。従って、ケーブルを製造する作業効率を上げることができる。
【0015】
また、本発明のケーブルは、内部導体と、前記内部導体の外周面を覆う絶縁層と、を有する少なくとも1本の絶縁線心と、前記絶縁線心の外周面を覆うシールド層と、を備え、前記シールド層は、帯状の金属箔と、前記金属箔の一方の面上に積層される帯状の第1樹脂フィルムと、前記金属箔の他方の面上に積層される帯状の第2樹脂フィルムとを有するシールドテープから成り、前記第1樹脂フィルムは、前記一方の面上において、前記金属箔の一方の側縁部を覆うと共に、前記金属箔の他方の側縁部を露出するように配置され、前記第2樹脂フィルムは、前記他方の面上において、前記金属箔の前記他方の側縁部を覆うと共に、前記金属箔の前記一方の側縁部を露出するように配置され、前記第1樹脂フィルムにおける前記他方の側縁部側と、前記第2樹脂フィルムにおける前記一方の側縁部側とが、前記金属箔を介して、互いに重なり合い、前記シールドテープは、前記金属箔の前記一方の面と前記金属箔の他方の面とが互いに接触するように重ねられて、前記絶縁線心に巻かれることを特徴とするものである。
【0016】
このケーブルにおいては、シールドテープが、金属箔の一方の面が露出している部分と、金属箔の他方の面が露出している部分とが接触するように巻かれているため、内部導体の周りに電磁的な隙間が生じることが防止されている。従って、このケーブルは、優れたノイズ特性を有することができる。また、金属箔全体が樹脂フィルムにより支えられているため、ケーブルが屈曲される場合においても、金属箔の破損が生じづらい。従って、このケーブルは、優れた耐久性を有することができる。
【0017】
さらに、前記シールドテープは、前記一方の面における前記金属箔が露出している部分のみが、前記他方の面における前記金属箔が露出している部分のみに重なるように巻かれることが好ましい。
【0018】
このケーブルにおいては、金属箔の両面に樹脂フィルムが積層されている部分に、更にシールドテープの一部が重なるようにして、シールドテープが巻かれることが防止されている。従って、樹脂フィルムが三重に重なることを防止することができる。従って、金属箔の両面に樹脂フィルムが積層されている部分上に、更にシールドテープの一部が重ねられて、シールドテープが巻かれる場合に比し、細径化することができる。
【0019】
また、前記シールドテープは、螺旋状に巻かれることとしても良く、この場合においては、ケーブルを曲げてもシールドテープが重なっている部分に隙間が生じづらく、ケーブルを曲げてもノイズ特性が低下することを防止することができる。
【0020】
或いは、前記シールドテープは、縦添えに巻かれることとしても良く、この場合においては、シールドテープを絶縁線心に簡易に巻くことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図2】シールドテープの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
【図3】図1のシールド層を断面で表したケーブルの構造を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図5】図4に示すケーブルのV−V線における断面の構造を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るケーブルを示す図である。
【図7】実施例1のケーブル、及び、比較例1のケーブルの周波数に応じたノイズレベルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るケーブル、及び、その製造方法の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態におけるケーブルは、同軸ケーブルである。同軸ケーブル1は、中心導体としての内部導体11、及び、内部導体11の外周面を被覆する絶縁層12から成る絶縁線心10と、絶縁線心10の外周面を被覆するシールド層20と、シールド層20の外周面を被覆するジャケット30とを備える。
【0026】
内部導体11は、複数の導電性線材の撚り線から成る。この内部導体11の材料としては、導体であれば特に制限されないが、例えば、銅やアルミ等が挙げられる。なお、図1においては、上述のように、内部導体11が複数の導電性線材の撚り線から成る状態が示されているが、内部導体11は、導電性の線材の単線から成っても良い。
【0027】
絶縁層12は、押し出し成形等により、断面の外形が略円形上に形成されており、内部導体11を被覆している。絶縁層12の材料としては、絶縁性の樹脂であれば特に制限がないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンプロピレン共重合体系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの混合物等が挙げられ、また例えば、絶縁層12の材料として、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のフッ素樹脂等が挙げられる。
【0028】
このような内部導体11、及び、内部導体11の外周面を覆う絶縁層12により、上述のように絶縁線心10が構成されている。
【0029】
この絶縁線心10の外周面を被覆するシールド層20は、シールドテープ21から構成されている。図2は、シールドテープの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
【0030】
図2に示すように、シールドテープ21は、帯状の金属箔22と、金属箔22の一方の面22a上において、金属箔22の長手方向に沿って積層される帯状の第1樹脂フィルム23と、金属箔22の他方の面22b上において、金属箔22の長手方向に沿って積層される帯状の第2樹脂フィルム24とを備えている。
【0031】
金属箔22は、上述のように外形が帯状であり、両面が平面状の金属から成る。この金属箔22を構成する金属としては、特に限定されないが、例えば、内部導体11に用いることができる金属を挙げることができる。
【0032】
また、第1樹脂フィルム23の幅は、金属箔22の幅よりも小さく形成されている。そして、第1樹脂フィルム23は、金属箔22の一方の面22a上における一方の側縁部を覆っている。従って、金属箔22の一方の面22aは、他方の側縁部側において、第1樹脂フィルム23から露出している。また、第2樹脂フィルム23の幅は、金属箔22の幅よりも小さく形成されている。そして、第2樹脂フィルム23は、金属箔22の他方の面22b上における他方の側縁部を覆っている。従って、金属箔22の他方の面22bは、一方の側縁部側において、第2樹脂フィルム24から露出している。また更に、第1樹脂フィルム23の幅と第2樹脂フィルム24の幅を合わせた大きさは、金属箔22の幅よりも大きくされている。従って、第1樹脂フィルム23における他方の側縁部側と、第2樹脂フィルム24における一方の側縁部側は、金属箔22を介して、互いに重なっている。なお、第1樹脂フィルム23、及び、第2樹脂フィルム24は、図示しない接着剤により、金属箔22の一方の面22a上、及び、他方の面22b上にそれぞれ貼着されることで積層されている。
【0033】
また、本実施形態においては、第1樹脂フィルム23と第2樹脂フィルム24の幅が互いに同じ大きさとされている。このため金属箔22の一方の面22aが露出している幅と、金属箔22の他方の面22bが露出している幅とが、互いに同じ大きさとされている。このように構成することにより、シールドテープ21は、表裏が同じ構造となるので、シールドテープ21を絶縁線心10上に巻くときに、どちら側の面を外側にして巻いても良く、同軸ケーブル1を製造する工程における作業ミスが低減されている。
【0034】
このような第1樹脂フィルム23、第2樹脂フィルム24を構成する材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の樹脂を挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0035】
図3は、図1のシールド層を断面で表したケーブルの構造を示す図である。なお、理解の容易のため、図3においては、ジャケット30が省略されている。
【0036】
図2を用いて説明したシールドテープ21は、図3に示すように、第1樹脂フィルム23が外側を向いて、第2樹脂フィルム24が内側(絶縁線心10側)を向いて、更に、金属箔22の他方の面22bの露出している部分が、金属箔22の一方の面22aの露出している部分に接触するようにして、絶縁線心10の外周面上に螺旋状に巻かれている。つまり、既に巻かれたシールドテープ21において外側を向いて露出している金属箔22の一方の面22a上に、絶縁線心10を周回するシールドテープ21の露出している金属箔22の他方の面22bが重なるようにして、シールドテープ21は巻かれている。こうして既に巻かれたシールドテープ21の金属箔22と、絶縁線心10を周回するシールドテープ21の金属箔22とが互いに接触して、直接導通する。
【0037】
このように既に巻かれたシールドテープ21の金属箔22と、絶縁線心10を周回するシールドテープ21の金属箔22とが互いに接触する様に巻かれることにより絶縁線心10の外周面は、金属箔により隙間なく覆わる。
【0038】
なお、本実施形態においては、シールドテープ21は、金属箔22の一方の面22aが露出している部分のみが、金属箔22の他方の面22bが露出している部分のみに重なるように巻かれる。このようにシールドテープ21が巻かれることにより、樹脂フィルムが、最大でも二重の重なりに抑えられており、樹脂フィルムが三重、四重に重なることが防止されている。例えば、第1樹脂フィルム23と第2樹脂フィルム24とが金属箔22を介して互いに重なっている部分に、更に第1樹脂フィルム23が重なるようにして、シールドテープ21が巻かれると、樹脂フィルムが三重に重なる部分が生じるが、本実施形態のケーブルは、上述のように、樹脂フィルムの重なりが最大でも二重に抑えられるため、細径化することができる。
【0039】
このようにシールドテープ21が、絶縁線心10の外周面上に巻かれることにより、上述のようにシールド層20が形成されている。
【0040】
ジャケット30は、熱可塑性樹脂により形成されており、シールド層20の外周面を被覆するように、押し出し成型により設けられている。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のフッ素樹脂、塩化ビニルを挙げることができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の同軸ケーブル1に巻かれるシールドテープ21においては、一方の側縁部を覆う第1樹脂フィルム23と、他方の側縁部を覆う第2樹脂フィルム24とが、金属箔22を介して、互いに重なりあうため、シールドテープ21を平面視する場合に、金属箔22のどの部分においても、少なくとも一方の面上に、第1樹脂フィルム23及び第2樹脂フィルム24の少なくとも一方が積層されている。このため、金属箔22全体が第1樹脂フィルム23及び樹脂フィルム24により支えられている。従って、金属箔22が薄い場合であっても、シールドテープ21に外力が加えられる場合に、破損することを抑制することができる。このため、同軸ケーブル1が屈曲される場合においても、金属箔22の破損が生じづらい。従って、この同軸ケーブル1は、優れた耐久性を有することができる。また、シールドテープ21は、金属箔22の一方の面22aが露出している部分と、他方の面22bが露出している部分とを接触するようにして、絶縁線心10上に巻かれているので、内部導体11の周りに電磁的な隙間が生じることが防止されている。従って、この同軸ケーブル1は、優れたノイズ特性を有することができる。
【0042】
このようにシールドテープ21は、優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有する同軸ケーブル1を実現することができるのである。
【0043】
また、このシールドテープ21は、上述のように、金属箔22が樹脂フィルムにより支えられているため、内部導体11を被覆する絶縁層12上に、このシールドテープ21を巻いて、同軸ケーブル1を製造する際に、金属箔22が破損することを防止することができるので、同軸ケーブル1を容易に製造することができる。
【0044】
また、シールドテープ21は、絶縁線心に螺旋状に巻かれているため、同軸ケーブル1を曲げてもシールドテープ21が重なっている部分に隙間が生じづらく、同軸ケーブル1を曲げてもノイズ特性が低下することを防止することができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4及び図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図4は、本発明の第2実施形態に係るケーブルを示す図であり、図5は、図4に示すケーブルのV−V線における断面の構造を示す図である。
【0046】
図4、図5に示すように、本実施形態のケーブルも同軸ケーブルである。同軸ケーブル2は、シールド層20の構造が、第1実施形態の同軸ケーブル1と異なる。同軸ケーブル2のシールド層20は、図2に示す第1実施形態と同様のシールドテープ21が、絶縁線心10に縦添えに巻かれている。
【0047】
また、本実施形態においても、シールドテープ21は、第1樹脂フィルム23が外側を向いて、第2樹脂フィルム24が内側(絶縁線心10側)を向くようにして、更に、金属箔22の他方の面22bの露出している部分が、金属箔22の一方の面22aの露出している部分に接触するように重ねられて巻かれている。こうして、既に巻かれたシールドテープ21の金属箔22と、絶縁線心10を周回するシールドテープ21の金属箔22とが互いに接触して、直接導通する。
【0048】
なお、本実施形態においても、シールドテープ21は、金属箔22の一方の面22aが露出している部分のみが、金属箔22の他方の面22bが露出している部分のみに重なるようにして巻かれている。従って、樹脂フィルムが、最大でも二重の重なりに抑えられており、同軸ケーブル2は細径化されている。
【0049】
本実施形態による同軸ケーブル2によれば、シールドテープ21を絶縁線心10に簡易に巻くことができる。
【0050】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図6は、本発明の第3実施形態に係るケーブルを示す図である。
【0051】
図6に示すように、本実施形態のケーブルは、複数の絶縁線心10の外周面が、シールド層20により覆われている複合ケーブルである点において、第1実施形態と異なる。なお、本実施形態の複合ケーブル3は、図6に示すように、絶縁線心10が2本であるツイナックス線である。
【0052】
シールド層20は、図2を用いて説明した第1実施形態におけるシールドテープ21と同様のシールドテープから成り、シールドテープ21は、複数の絶縁線心10の外周面全体に巻かれている点を除いて、第1実施形態の同軸ケーブル1と同様に巻かれている。
【0053】
そして、複数の絶縁線心10の外周面を覆うシールド層20の外周面は、ジャケット30により被覆されている。
【0054】
本実施形態の複合ケーブル3によれば、複数の絶縁線心のそれぞれの内部導体11からノイズが放射される場合においても、シールドテープ21の金属箔22が隙間なく内部導体を覆っているため、ノイズを遮蔽することができる。
【0055】
以上、本発明について、第1〜第3実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
例えば、上記実施形態において、第1樹脂フィルム23と第2樹脂フィルム24の幅が互いに同じ大きさとされ、金属箔22の一方の面22aが露出している幅と、金属箔22の他方の面22bが露出している幅とが、互いに同じ大きさとされた。しかし、本発明においては、第1樹脂フィルム23の幅と第2樹脂フィルム24の幅とが互いに異なる大きさとされ、金属箔22の一方の面22aが露出している幅と、金属箔22の他方の面22bが露出している幅とが、互いに異なる大きさとされても良い。
【0057】
また、上記実施形態において、シールドテープ21は、金属箔22の一方の面22aが露出している部分のみが、金属箔22の他方の面22bが露出している部分のみに重なるようにして巻かれている物としたが、本発明においては、これは必須の構成ではなく、金属箔22を介して、第1樹脂フィルム23と第2樹脂フィルム24とが、重なっている部分の一部が、既に絶縁線心10上に巻いてあるシールドテープ21と重なっても良い。
【0058】
また、第3実施形態において、絶縁線心10の数を3本以上としても良く、更に、第2実施形態のようにシールドテープ21を縦添えに巻いても良い。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0060】
(実施例1)
直径が0.4mmで軟銅線の内部導体の外周面を、外径が1.5mmとなるようにポリエチレン製の絶縁層で被覆して、絶縁線心とした。また、幅が6mmで厚さが18μmのアルミ箔の一方の面上に、幅が4mmで厚さ10μmの樹脂フィルムを貼り付け、この樹脂フィルムを第1樹脂フィルムとした。このとき第1樹脂フィルムがアルミ箔の一方の側縁部を覆い、アルミ箔の他方の側縁部が露出するようにして貼り付けた。さらに、アルミ箔の他方の面上に第1樹脂フィルムと同様の樹脂フィルムを貼り付け、この樹脂フィルムを第2樹脂フィルムとした。このとき第2樹脂フィルムがアルミ箔の他方の側縁部を覆い、アルミ箔の一方の側縁部が露出するようにして貼り付けた。こうして、一方の面において、一方の側縁部に幅4mmの第1樹脂フィルムが積層されると共に、他方の側縁部でアルミ箔が幅2mmにわたり露出し、他方の面において、他方の側縁部に幅4mmの第2樹脂フィルムが積層されると共に、他方の側縁部でアルミ箔が幅2mmにわたり露出したシールドテープを準備した。
【0061】
次に、第1樹脂フィルムを外側に向け、第2樹脂フィルムを絶縁線心側に向けて、シールドテープを6mmのピッチで、絶縁線心の外周面上に螺旋状に巻いた。
【0062】
(比較例1)
実施例1の絶縁線心と同様の絶縁線心を準備した。また、幅が6mmのアルミ箔における一方の全面に樹脂フィルムを貼り付け、アルミ箔の他方の面には、樹脂フィルムを張り付けないこと以外は、実施例1のシールドテープと同様のシールドテープを準備した。
【0063】
そして、実施例1と同様にして、絶縁線心上に巻いた。
【0064】
次に、実施例1及び比較例1の金属箔を接地すると共に、実施例1及び比較例1の内部導体のそれぞれに、1MHz〜10GHzの周波数の信号を印加した。そして、それぞれのケーブルから1mm離れた場所における、ノイズを測定した。その結果を図7に示す。
【0065】
図7は、実施例1のケーブル、及び、比較例1のケーブルの周波数に応じたノイズレベルを示す図である。図7に示すように、実施例1のケーブルは、比較例1のケーブルに比べて、ノイズを最大で25dB低減することができ、平均でもノイズを約10dB低減できた。
【0066】
この結果より、本発明によるケーブルは、ノイズ特性に優れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本発明によれば、簡優れたノイズ特性を有しつつ、優れた耐久性を有するケーブルを実現可能なシールドテープ、及び、それを用いたケーブルが提供される。
【符号の説明】
【0068】
1、2・・・同軸ケーブル(ケーブル)
3・・・複合ケーブル(ケーブル)
10・・・絶縁線心
11・・・内部導体
12・・・絶縁層
20・・・シールド層
21・・・シールドテープ
22・・・金属箔
23・・・第1樹脂フィルム
24・・・第2樹脂フィルム
30・・・ジャケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の金属箔と、
前記金属箔の一方の面上に積層される帯状の第1樹脂フィルムと、
前記金属箔の他方の面上に積層される帯状の第2樹脂フィルムと、
を備え、
前記第1樹脂フィルムは、前記一方の面上において、前記金属箔の一方の側縁部を覆うと共に、前記金属箔の他方の側縁部を露出するように配置され、
前記第2樹脂フィルムは、前記他方の面上において、前記金属箔の前記他方の側縁部を覆うと共に、前記金属箔の前記一方の側縁部を露出するように配置され、
前記第1樹脂フィルムにおける前記他方の側縁部側と、前記第2樹脂フィルムにおける前記一方の側縁側とが、前記金属箔を介して、互いに重なり合う
ことを特徴とするシールドテープ。
【請求項2】
前記第1樹脂フィルムの幅と、前記第2樹脂フィルムの幅とが互いに同じ大きさであることを特徴とする請求項1に記載のシールドテープ。
【請求項3】
内部導体と、前記内部導体の外周面を覆う絶縁層と、を有する少なくとも1本の絶縁線心と、
前記絶縁線心の外周面を覆うシールド層と、
を備え、
前記シールド層は、帯状の金属箔と、前記金属箔の一方の面上に積層される帯状の第1樹脂フィルムと、前記金属箔の他方の面上に積層される帯状の第2樹脂フィルムとを有するシールドテープから成り、
前記第1樹脂フィルムは、前記一方の面上において、前記金属箔の一方の側縁部を覆うと共に、前記金属箔の他方の側縁部を露出するように配置され、
前記第2樹脂フィルムは、前記他方の面上において、前記金属箔の前記他方の側縁部を覆うと共に、前記金属箔の前記一方の側縁部を露出するように配置され、
前記第1樹脂フィルムにおける前記他方の側縁部側と、前記第2樹脂フィルムにおける前記一方の側縁部側とが、前記金属箔を介して、互いに重なり合い、
前記シールドテープは、前記金属箔の前記一方の面と前記金属箔の他方の面とが互いに接触するように重ねられて、前記絶縁線心に巻かれる
ことを特徴とするケーブル。
【請求項4】
前記シールドテープは、前記一方の面における前記金属箔が露出している部分のみが、前記他方の面における前記金属箔が露出している部分のみに重なるように巻かれることを特徴とする請求項3に記載のケーブル。
【請求項5】
前記シールドテープは、螺旋状に巻かれることを特徴とする請求項3または4に記載のケーブル。
【請求項6】
前記シールドテープは、縦添えに巻かれることを特徴とする請求項3または4に記載のケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−8519(P2013−8519A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139557(P2011−139557)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】