説明

シールドトンネルの拡幅工法

【課題】地山を支持するための支持壁を容易に構築でき、かつ、その支持壁を内側から支保することによって、地盤変状を確実に防止することが可能なシールドトンネルの拡幅工法を提供する。
【解決手段】シールドトンネル1の一部を拡大して作業領域3を構築する作業領域構築工程と、拡幅予定部位8を囲むようにパイプルーフ11を形成する鋼管設置工程と、拡幅予定部位8を所定の間隔で掘削して、RC仮支持壁15を構築する支持壁構築工程と、RC仮支持壁15間の拡幅予定部位8を掘削して、躯体17を設置する第一の躯体設置工程と、RC仮支持壁15を撤去して、躯体17を設置する第二の躯体設置工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの分岐・合流部を施工するためのシールドトンネルの拡幅工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下鉄の駅構内や地下道の分岐・合流部の構築等に際して、既設のシールドトンネルを非開削にて拡幅するニーズが高まっている。
例えば、特許文献1には、シールドトンネルの外方に、このシールドトンネルを囲うように複数のルーフシールドトンネルを掘削し、これらのルーフシールドトンネル同士を接合してリング状の覆工壁を構築し、この内側を掘削して拡幅部位を形成する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2007−217911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、以下のような問題点が有った。
(1)リング状の覆工体内に所定の厚さよりも薄い箇所が一箇所でも存在すると、覆工体に作用する地圧で覆工体が破損する可能性が有る。
(2)リング状の覆工壁を内側から支保すること無く、覆工体内の土砂を掘削するので、覆工体が破損し、地盤変状が生じる可能性が有る。
【0004】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みなされたものであって、地盤変状を確実に防止しつつ、非開削でトンネルを拡幅することが可能なシールドトンネルの拡幅工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明のシールドトンネルの拡幅工法は、シールドトンネルを拡幅する際に予め拡幅予定部位の周囲を複数の鋼管によりパイプルーフを形成して支持するシールドトンネルの拡幅工法において、前記シールドトンネルの一部を拡大して、前記鋼管を地山内に挿入するための作業領域を構築する作業領域構築工程と、複数の前記鋼管を、前記作業領域から前記拡幅予定部位を囲むように挿入してパイプルーフを形成する鋼管設置工程と、前記シールドトンネル内から前記拡幅予定部位を長手方向に所定の間隔で掘削して、その掘削した箇所に前記パイプルーフを支持するための支持壁を構築する支持壁構築工程と、前記支持壁間の前記拡幅予定部位を掘削して、その掘削した箇所に前記パイプルーフを支持するための躯体を設置する第一の躯体設置工程と、前記支持壁を撤去して、その撤去した箇所に躯体を設置する第二の躯体設置工程とを備えることを特徴とする(第1の発明)。
【0006】
本発明によるシールドトンネルの拡幅工法によれば、シールドトンネルの一部を拡大して広い作業領域を構築するので、鋼管を地山内に挿入する作業と、資材の運搬作業とを並行して行うことができる。したがって、効率良く拡幅作業を実施することができる。
【0007】
また、トンネルの拡幅予定部位を複数の鋼管で囲ってパイプルーフを形成するので、地山の土圧及び水圧は鋼管に作用する。そして、これらの鋼管を支持壁で支持しつつ、支持壁間の拡幅予定部位を掘削し、躯体を設置するので、地山の変状を確実に防止しつつ、非開削でトンネルを拡幅することができる。さらに、支持壁間に設置した躯体で鋼管を支持しつつ、支持壁を撤去し、その撤去した部位に新たな躯体を設置するので、地山の変状を確実に防止することができる。したがって、大深度地下でもシールドトンネルの拡幅が可能である。
【0008】
本発明において、前記鋼管内から地山内に止水材を注入して前記拡幅予定部位を囲うように止水層を形成する止水層形成工程を更に備えることとしてもよい。
本発明によるシールドトンネルの拡幅工法によれば、拡幅予定部位を囲うように止水層を形成するので、拡幅予定部位に地下水は浸入することはできない。したがって、拡幅予定部位を掘削する際の地下水の湧水を防止できるので、安全に、かつ、効率的に掘削作業を実施することができる。
【0009】
本発明において、前記拡幅予定部位に止水材を注入して、前記拡幅予定部位内に流入した水が長手方向に流れないように、長手方向に対して略直交方向の止水壁を構築することとしてもよい。
本発明によるシールドトンネルの拡幅工法によれば、拡幅予定部位内に止水壁を設けることにより、拡幅予定部位は複数の区間に分割される。すなわち、地下水が拡幅予定部位の特定の区間に進入しても、止水壁が設けられているので、その区間に隣接する区間に地下水は浸入することができない。したがって、地下水が拡幅予定部位に浸入しても、その影響を特定の区間だけにとどめることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシールドトンネルの拡幅工法を用いることにより、地盤変状を確実に防止しつつ、トンネルを拡幅するための大空間を非開削で地山内に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の第一実施形態に係るシールドトンネル1を示す平面図である。図1に示すように、本実施形態においては、シールドトンネル1の側方(図1の下側)にランプシールドが合流するための拡幅部2を構築する場合について説明する。拡幅部2は、ランプシールドが合流する地点に向かって徐々に径が広くなるように構築される。
【0013】
図2は、シールドトンネル1の一部を拡大して作業領域3を構築した状態を示す図である。また、図3及び図4は、それぞれ作業領域3の長手方向断面図、横断方向断面図である。
【0014】
図2〜図4に示すように、拡大シールド工法にてシールドトンネル1の一部を拡大して、拡幅作業を行うための作業領域3を構築する。本実施形態においては、地山E内に挿入する鋼管4を2本程度並設できる程度の長さだけ拡大した。本実施形態においては、内径が11mのシールドトンネル1を拡大して、内径が15m、長手方向の長さが10.2mの作業領域3を構築した。
作業領域3を構築する際は、周囲の地山E内に止水材を注入して、作業領域3内への地下水の流入を防止するための止水壁5を形成する。
【0015】
作業領域3内に作業用の足場となる架台6を構築し、鋼管4を地山E内に推進させるための推進装置7を架台6上に設置する。推進装置7は、鋼管4の挿入作業を複数箇所で並行して行うことができるように、作業領域3内の上段、中段、下段の3箇所にそれぞれ設置されている。
各推進装置7は拡幅された外周部3aに設置されるので、他作業用の資材を運搬するためのトラック等が作業領域3の中央部3bを通行することができる。
【0016】
図5は、拡幅予定部位8に止水壁9、10を形成した状態を示す斜視図である。
図5に示すように、拡幅予定部位8内に複数の止水壁9、10を形成する。止水壁9は、シールドトンネル1の長手方向に所定の間隔で設けられ、止水壁10は、鋼管4の到達予定位置である拡幅予定部位8の終端部に設けられる。止水壁9、10は、止水材を横断方向に注入し、拡幅予定部位8を完全に横断するように形成する。なお、止水壁9、10の形成作業は、作業領域3の構築作業と並行して行ってもよい。
拡幅予定部位8内の止水壁9の厚さを約2mとし、作業領域3の周囲の止水壁5及び終端部の止水壁10の厚さを約4mとした。
【0017】
図6は、図5のA断面図である。図6に示すように、拡幅予定部位8と反対側のシールドトンネル1の内周に躯体12を設置する。
【0018】
図7は、鋼管4を地山E内に挿入してパイプルーフ11を形成した状態を示す斜視図である。また、図8、図9、図10は、それぞれ図7のB断面図、C断面図、D断面図である。
図7に示すように、地山E内に複数の鋼管4を挿入してパイプルーフ11を形成する。
【0019】
鋼管4の地山Eへの挿入作業は、推進装置7に載置された鋼管4を所定の傾斜角度でジャッキ等により押出して行う。外周部3aへの鋼管4の挿入は、図8に示すように、外周部3aの片側のみに、隣接する鋼管4同士が略格子状となるように行う。
1本の鋼管4を所定の長さだけ挿入したら、新たな鋼管4を溶接等で接合して延長し、再び、これらの鋼管4を推進装置7で地山E内に挿入する。先端の鋼管4が終端部の止水壁10に到達するまでこの作業を繰り返す。
【0020】
鋼管4を拡幅予定部位8を囲うように外方にむけてそれぞれを推進させるので、拡幅予定部位8の中央付近では、図9に示すように、隣接する鋼管4同士が略格子状に楕円を形成するように敷設されている。
そして、拡幅予定部位8の終端部付近では、図10に示すように、隣接する鋼管4同士が楕円を形成するように敷設されている。鋼管4の先端側端面が、拡幅予定部位8の終端部の止水壁10内に到達したら推進作業を停止する。
【0021】
図11は、パイプルーフ11を囲うように止水層13を形成した状態を示す斜視図である。また、図12は、図11のE断面図である
図11及び図12に示すように、鋼管4内から地山E内に止水材を注入して、拡幅予定部位8を囲うようにパイプルーフ11の外周側に止水層13(図11及び図12の二重斜線部分)を形成する。このとき、止水層13の長手方向の両端部が、既に地山E内に形成されている止水壁5、10と重なるように形成する。これにより、拡幅予定部位8は、止水層13及び止水壁5、10にて完全に覆われるので、地下水が拡幅予定部位8内へ流入しない。
【0022】
止水層13を形成後、シールドトンネル1内への漏水の有無を確認し、漏水が有る場合には、再度、鋼管4内から止水材を注入して漏水を止める。
また、拡幅予定部位8の土砂を掘削する際は、シールドトンネル1が地山Eの土圧によって潰れないように、シールドトンネル1内に内部支保工14を設置する。内部支保工14は、躯体12の内側に設置する。
【0023】
図13は、拡幅予定部位8をトレンチ状に掘削し、そこにRC仮支持壁15を構築した状態を示す斜視図である。また、図14は、図13のF断面図である。
【0024】
図13及び図14に示すように、シールドトンネル1内から所定の間隔で拡幅予定部位8をトレンチ掘削する。本実施形態においては、所定の間隔を8m、トレンチ掘削の幅を3mとした。トレンチ掘削して土砂を除去した部位には、パイプルーフ11の下面に接するように湾曲状のRC仮支持壁15(図13及び図14の右上り斜線部分)を構築する。また、RC仮支持壁15の内側に内部支保工16を設置する。
RC仮支持壁15間に存在する拡幅予定部位8を掘削する(後述する)際は、このRC仮支持壁15でパイプルーフ11を支保し、地盤変状を防止する。
【0025】
図15は、RC仮支持壁15間を掘削し、そこに躯体17を設置した状態を示す斜視図である。また、図16は、図15のG断面図である。
図15及び図16に示すように、RC仮支持壁15間(図15の右下がり斜線部分)の拡幅予定部位8を掘削して土砂を除去し、この掘削した部位に躯体17を設置する。新たに設置する躯体17の周方向両端を予め設置している躯体12の両端にそれぞれ接続して一体化する。
RC仮支持壁15を撤去する(後述する)際は、この躯体17でパイプルーフ11を支保し、地盤変状を防止する。
【0026】
図17は、RC仮支持壁15を撤去し、そこに躯体17を設置した状態を示す斜視図である。
図17に示すように、RC仮支持壁15及び内部支保工16を撤去し、そこに躯体17を設置する。この躯体17の周方向両端も、上述したように、予め設置している躯体12の両端にそれぞれ接続して一体化する。
図18は、図17のH断面図である。図18に示すように、最後に、内部支保工14を撤去し、拡幅作業を終了する。
【0027】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明において、第一実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
第二実施形態は、シールドトンネル1の両側方に拡幅部18を構築するものである。
【0028】
図19は、本発明の第二実施形態に係るシールドトンネル1を示す平面図である。
図19に示すように、本実施形態においては、シールドトンネル1の両側方(図19の上下側)にランプシールドが合流するための拡幅部18を構築する場合について説明する。
【0029】
図20は、拡幅予定部位19に止水壁5、20、21を形成した状態を示す斜視図である。
図20に示すように、まず、第一実施形態と同様に、シールドトンネル1の一部を拡大して、作業領域3を構築する。
次に、シールドトンネル1内から所定の間隔で両側方の拡幅予定部位19に止水材を注入して、複数の止水壁20、21を形成する。拡幅予定部位19内の止水壁20の厚さを約2mとし、作業領域3の周囲の止水壁5及び終端部の止水壁21の厚さを約4mとした。
【0030】
図21は、鋼管4を地山E内に挿入してパイプルーフ22を形成した状態を示す斜視図である。また、図22、図23は、それぞれ図21のI断面図、J断面図である。
図21に示すように、作業領域3内から地山E内に複数の鋼管4を挿入してパイプルーフ22を形成する。
鋼管4の地山Eへの挿入作業は、第一実施形態と同様に、作業領域3内の推進装置7に載置された鋼管4を所定の傾斜角度でジャッキ等により押出して行う。作業領域3の外周部3aへの鋼管4の挿入は、図22に示すように、隣接する鋼管4同士が略格子状となるように行う。
そして、図23に示すように、拡幅予定部位19の終端部付近では、隣接する鋼管4同士が楕円を形成するように敷設されている。
【0031】
図24は、パイプルーフ22を囲うように止水層23を形成した状態を示す斜視図である。また、図25は、図24のK断面図である。
図24及び図25に示すように、鋼管4内から地山E内に止水材を注入して、拡幅予定部位19を囲うように止水層23(図24及び図25の二重斜線部分)を形成する。
また、シールドトンネル1が地山Eの土圧によって潰れないように、シールドトンネル1内に内部支保工14を設置する。
【0032】
図26は、拡幅予定部位19をトレンチ状に掘削し、そこにRC仮支持壁24を構築した状態を示す斜視図である。また、図27は、図26のL断面図である。
図26及び図27に示すように、シールドトンネル1内から所定の間隔で拡幅予定部位19をトレンチ掘削する。トレンチ掘削して土砂を除去した部位には、パイプルーフ22の下面に接するようにRC仮支持壁24(図26及び図27の右上り斜線部分)を構築する。また、RC仮支持壁24の内側に内部支保工16を2本設置する。
【0033】
図28は、RC仮支持壁24間を掘削し、そこに躯体26を設置した状態を示す斜視図である。また、図29は、図28のM断面図である。
図28及び図29に示すように、RC仮支持壁24間(図28の右下がり斜線部分)の拡幅予定部位19を掘削して土砂を除去し、この掘削した部位に躯体26を設置する。
【0034】
図30は、RC仮支持壁24及び内部支保工16を撤去し、そこに躯体26を設置した状態を示す斜視図である。また、図31は、図30のN断面図である。
図30及び図31に示すように、RC仮支持壁24及びRC仮支持壁24の内側に設置した内部支保工16を撤去し、そこに躯体26を設置し、最後に、内部支保工14を撤去し、拡幅作業を終了する。
【0035】

次に、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、シールドトンネル1に平行な拡幅部25を構築するものである。
図32は、本発明の第三実施形態に係るシールドトンネル1の斜視図である。
図32に示すように、本実施形態においては、シールドトンネル1の側方(図32の手前側)に拡幅部25を構築する場合について説明する。
【0036】
まず、シールドトンネル1の一部を拡大して、拡幅作業を行うための作業領域27を構築する。作業領域27の拡幅部25側の側部は、拡幅後のトンネルの径と同一になるように拡大する。
次に、第一実施形態と同様に、シールドトンネル1内から拡幅予定部位28に止水材を注入して、複数の止水壁29、30、31を形成するとともに、シールドトンネル1の内周に躯体12及び内部支保工14を設置する。
【0037】
図33は、鋼管4を地山E内に挿入してパイプルーフ32を形成した状態を示す斜視図である。また、図34、図35は、それぞれ図33のP断面図、Q断面図である。
【0038】
図33に示すように、地山E内に複数の鋼管4を挿入してパイプルーフ32を形成する。また、図34に示すように、作業領域27の外周部27aへの鋼管4の挿入は、隣接する鋼管4同士が楕円を形成するように行う。挿入された鋼管4は、シールドトンネル1に平行に推進されるので、図35に示すように、拡幅予定部位28の終端部付近でも、挿入箇所と同様に、隣接する鋼管4同士が楕円を形成している。
【0039】
これ以降の作業内容については、図示しないが、第一実施形態と同様に、拡幅予定部位28を覆うように止水層13を形成し、拡幅予定部位28をトレンチ掘削してRC仮支持壁15を構築するとともに、内部支保工16を設置した後に、RC仮支持壁15間の拡幅予定部位28を掘削して躯体12を設置する。そして、RC仮支持壁15及び内部支保工16を撤去すると同時にそこに躯体12を設置し、最後に、内部支保工14を撤去して拡幅作業を終了する。
【0040】
なお、本実施形態においては、シールドトンネル1の側方(図32の手前側)に拡幅部25を構築する場合について説明したが、拡幅部25はシールドトンネル1の片側に限定されるものではなく、シールドトンネル1の両側方に拡幅部25を設ける場合にも第二実施形態と同様の施工方法を実施することにより、適用が可能である。
【0041】
以上説明した各実施形態におけるシールドトンネル1の拡幅工法によれば、シールドトンネル1の一部を拡大して作業領域3、27を構築するので、外周部3a、27aで鋼管4を地山E内に挿入する作業を行い、中央部3b、27bで資材の運搬作業を行うことができる。したがって、効率良く拡幅作業を実施することができる。
【0042】
また、トンネルの拡幅予定部位8、19、28を複数の鋼管4で囲うようにパイプルーフ11、22、32を形成するので、地山Eの土圧及び水圧は鋼管4に作用する。そして、これらの鋼管4をRC仮支持壁15、24で支持しつつ、拡幅予定部位8、19、28を掘削するので、地山Eの変状を確実に防止することができる。さらに、RC仮支持壁15、24間に設置した躯体17、26で鋼管4を支持しつつ、RC仮支持壁15、24を撤去し、その撤去した部位に新たな躯体17、26を設置するので、地山Eの変状を確実に防止することができる。したがって、大深度地下でもシールドトンネル1の拡幅が可能である。
【0043】
また、鋼管4を常にRC仮支持壁15、24又は躯体17、26のどちらかで常に支持しているので、鋼管4が土圧や水圧によって破損したり、湾曲することは無い。したがって、拡幅予定部位8、19、28を安全に掘削することができる。
【0044】
また、拡幅予定部位8、19、28を囲うように止水層13、23及び止水壁5、10、21、29、31を形成するので、拡幅予定部位8、19、28内に地下水は浸入することはできない。したがって、拡幅予定部位8、19、28を掘削する際の地下水の湧水を防止できるので、安全に、かつ、効率的に掘削作業を実施することができる。
【0045】
そして、拡幅予定部位8、19、28内に複数の止水壁9、20、30を設けることにより、拡幅予定部位8、19、28は複数の区間に分割される。すなわち、地下水が拡幅予定部位8、19、28の特定の区間に進入しても、止水壁9、20、30が設けられているので、その区間に隣接する区間に地下水は浸入することができない。したがって、地下水が拡幅予定部位8、19、28に浸入しても、その影響を特定の区間だけにとどめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第一実施形態に係るシールドトンネルを示す平面図である。
【図2】シールドトンネルの一部を拡大して作業領域を構築した状態を示す図である。
【図3】作業領域の長手方向断面図である。
【図4】作業領域の横断方向断面図である。
【図5】拡幅予定部位に止水壁を形成した状態を示す斜視図である。
【図6】図5のA断面図である。
【図7】鋼管を地山内に敷設してパイプルーフを形成した状態を示す斜視図である。
【図8】図7のB断面図である。
【図9】図7のC断面図である。
【図10】図7のD断面図である。
【図11】パイプルーフを囲うように止水層を形成した状態を示す斜視図である。
【図12】図11のE断面図である。
【図13】拡幅予定部位をトレンチ状に掘削し、そこにRC仮支持壁を構築した状態を示す斜視図である。
【図14】図13のF断面図である。
【図15】RC仮支持壁間を掘削し、そこに躯体を設置した状態を示す斜視図である。
【図16】図15のG断面図である。
【図17】RC仮支持壁を撤去し、そこに躯体を設置した状態を示す斜視図である。
【図18】図17のH断面図である。
【図19】本発明の第二実施形態に係るシールドトンネルを示す平面図である。
【図20】拡幅予定部位に止水壁を形成した状態を示す斜視図である。
【図21】鋼管を地山内に敷設してパイプルーフを形成した状態を示す斜視図である。
【図22】図21のI断面図である。
【図23】図21のJ断面図である。
【図24】パイプルーフを囲うように止水層を形成した状態を示す斜視図である。
【図25】図24のK断面図である。
【図26】拡幅予定部位をトレンチ状に掘削し、そこにRC仮支持壁を構築した状態を示す斜視図である。
【図27】図26のL断面図である。
【図28】RC仮支持壁間を掘削し、そこに躯体を設置した状態を示す斜視図である。
【図29】図28のM断面図である。
【図30】RC仮支持壁を撤去し、そこに躯体を設置した状態を示す斜視図である。
【図31】図30のN断面図である。
【図32】本発明の第三実施形態に係るシールドトンネルの斜視図である。
【図33】鋼管を地山内に敷設してパイプルーフを形成した状態を示す斜視図である。
【図34】図33のP断面図である。
【図35】図33のQ断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 シールドトンネル
2 拡幅部 3 作業領域
3a 外周部 3b 中央部
4 鋼管 5 止水壁
6 架台 7 推進装置
8 拡幅予定部位 9 止水壁
10 止水壁 11 パイプルーフ
12 躯体 13 止水層
14 内部支保工 15 RC仮支持壁
16 内部支保工 17 躯体
18 拡幅部 19 拡幅予定部位
20 止水壁 21 止水壁
22 パイプルーフ 23 止水層
24 RC仮支持壁 25 拡幅部
26 躯体 27 作業領域
27a 外周部 27b 中央部
28 拡幅予定部位 29 止水壁
30 止水壁 31 止水壁
32 パイプルーフ E 地山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドトンネルを拡幅する際に予め拡幅予定部位の周囲を複数の鋼管からなるパイプルーフで支持するシールドトンネルの拡幅工法において、
前記シールドトンネルの一部を拡大して、前記鋼管を地山に挿入するための作業領域を構築する作業領域構築工程と、
複数の前記鋼管を、前記作業領域から前記拡幅予定部位を囲むように挿入してパイプルーフを形成する鋼管設置工程と、
前記シールドトンネル内から前記拡幅予定部位を長手方向に所定の間隔で掘削して、その掘削した箇所に前記パイプルーフを支持するための支持壁を構築する支持壁構築工程と、
前記支持壁間の前記拡幅予定部位を掘削して、その掘削した箇所に前記パイプルーフを支持するための躯体を設置する第一の躯体設置工程と、
前記支持壁を撤去して、その撤去した箇所に躯体を設置する第二の躯体設置工程とを備えることを特徴とするシールドトンネルの拡幅工法。
【請求項2】
前記鋼管内から地山内に止水材を注入して前記拡幅予定部位を囲うように止水層を形成する止水層形成工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のシールドトンネルの拡幅工法。
【請求項3】
前記シールドトンネル内から前記拡幅予定部位に止水材を注入して、前記拡幅予定部位内における水の前記長手方向への移動を制限するための止水壁を形成する止水壁形成工程とを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールドトンネルの拡幅工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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