説明

シールドトンネル用中詰め鋼製セグメント

【課題】所定の応力歪み以上の歪みを鋼殻部が生じても、中詰めされたコンクリート構造部の亀裂の発生を抑制できる中詰め鋼製セグメントを提供する。
【解決手段】中詰め鋼製セグメント11は、各主桁部材4と、コンクリート構造部3との間に、緩衝材としての超高分子量ポリエチレンシート14が設けられている。そして、周方向に複数の円弧版状の中詰め鋼製セグメント11が、他の中詰め鋼製セグメント11…と環状を呈するように隣接配置されたものを、順次、対向する端部連結板5,5同士を接合しながら、地中に構築されるトンネル構造体としての立坑若しくはトンネルの進行方向へ、シールド機S等のジャッキJ,J等によってジャッキ推力が加えられつつ、連設されて、トンネル構造体等の壁面が構築される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中に埋設される構造体の一部として、主に壁面を構成する中詰め鋼製セグメントに関し、他のセグメントと順次接合されてトンネル壁面等となる、曲線部にも適用可能な内面が平滑なシールドトンネル用中詰め鋼製セグメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水路トンネル等に適用され、セグメント組立完了と同時にトンネル内面が平滑になるセグメントを用いる例が増大している。これは、二次覆工の工程を省略するとともに、トンネル断面の縮小による経済的・工期的な効果を得ようとするものである。このような目的に適合するセグメントの代表例として、RCセグメントがある。
【0003】
一方、シールドトンネルの曲線部には、曲線に沿った形状の多種類のセグメントを用意する必要があることから、一般に寸法を調整することの容易な鋼製セグメントが用いられている。さらに、曲線部の施工に伴い、シールドジャッキ推力が複雑に作用するため、構造的に対応の取りやすい鋼製セグメントが用いられていた。
【0004】
しかしながら、鋼製セグメントでは、トンネル内面が鋼板を組み合わせた構造であるため、平滑でなく、水路トンネル等では、流下機能を確保するため、コンクリートを打設(二次覆工)して内面の平滑性を確保していた。
【0005】
この方法によれば、セグメント組立(一次覆工)とコンクリート打設(二次覆工)の2工程を必要とし、工期短縮の支障となっていた。
【0006】
これを解決するため、鋼製セグメントにコンクリートをあらかじめ打設したセグメントを用いることが試みられている。
【0007】
具体的には、図17に示すような中詰め鋼製セグメントを用いたトンネル構造体構築方法が、知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0008】
まず、構成から説明すると、この従来の中詰め鋼製セグメントでは、地中に埋設されるトンネル構造体や立坑が構築される際、掘削と同時に、複数の湾曲した中詰め鋼製セグメント1が隣接配置される他の中詰め鋼製セグメント1と順次接合されて、周方向に連設されることにより、トンネル構造体等の隔壁の一部が構成されるものである。
【0009】
この中詰め鋼製セグメント1は、水平断面略円弧状の鋼製の鋼殻部2の内面1a側に中詰めされたコンクリート構造部3を有している。
【0010】
前記鋼殻部2は、このコンクリート構造部3の外表面を覆う外板部2aと、この外板部2aの前記隔壁構築方向Yの端縁2b,2bに沿って設けられて、前記内面1aよりも一段高く盛り上がったこのコンクリート構造部3の内面3aに向けて延設される主桁部材4,4と、外周方向の各端縁2c,2cに設けられた端部連結板5,5とを有して、概略形成されている。
【0011】
また、この鋼殻部2の内側には、前記主桁部材4,4と平行して中桁部材6,6が配置されると共に、前記端部連結板5,5と平行に配置される複数の連結板材7等によって連結されている。
【0012】
そして、この鋼殻部2の内側には、注入管8及び継手部9を除き、予めコンクリートが充填されて、前記コンクリート構造部3が構成されることにより、二次覆工が省略できるように構成されている。
【0013】
次に、この従来の中詰め鋼製セグメント1の作用について説明する。
【0014】
このように構成された従来の中詰め鋼製セグメント1では、複数の中詰め鋼製セグメント1が、シールドマシン等によって掘削されたトンネル等の壁面に、周方向Xに環状となるように連結されると共に、トンネル等の長手方向である隔壁構築方向Yに複数隣接配置されて、円筒状の構造物が地中に構築される。
【特許文献1】特開2005−42328号公報(段落0035乃至0036、図1乃至図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、このような従来の中詰め鋼製セグメントでは、図示省略の推進ジャッキ等によって、前記主桁部材4に、隔壁構築方向Yへの荷重入力が与えられると、この鋼殻部2が撓み、前記コンクリート構造部3に、圧壊若しくは剥離による亀裂を生じさせるおそれがあった。
【0016】
特に、図10に示すような急曲線部10a(L1>L2)を有するトンネル構造体10を、シールド機Sを用いて構築する際、曲率半径Rが小さくなるほど、各中詰め鋼製セグメント1に不均等にジャッキ推力等による施工時荷重が作用しやすい。
【0017】
このため、荷重集中により、鋼製の主桁部材4の歪み変位量が、前記コンクリート構造部3の許容歪み変位量以上となるコーナー部近傍等の箇所では、前記コンクリート構造部3に、圧壊若しくは剥離による亀裂を生じさせてしまい、シールド不良を発生させてしまうといった問題があった。
【0018】
つまり、このようにして製作されたセグメントでは、
・鋼製セグメントの製作時に溶接に伴う歪みが発生すること、
・歪んだ鋼製セグメント内にコンクリートを打設すると、コンクリートが歪んだままで硬化すること、
・このようにして歪みを持って製作されたセグメントにシールドジャッキ推力が作用した場合、歪みが戻されるように挙動すること、
・その際、鋼製部材とコンクリート部材の変形挙動が異なること、
・その結果としてコンクリートに亀裂を生じせしめることになること
等により、実用化が阻まれていた。
【0019】
対応策として、鋼製セグメントの製作歪みを、熱処理等によって無くす方法により、コンクリートへのクラック防止を図る方法が採られている。しかしながら、歪み除去に熟練技術を要する上、コスト負担を強いられていた。
【0020】
そこで、この発明は、所定の応力歪み以上の歪みを鋼殻部が生じても、中詰めされたコンクリート構造部の亀裂の発生を抑制できる中詰め鋼製セグメントを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、地中に構築される隔壁の一部を構成して、内面が開放された鋼製の鋼殻部の内側に中詰めされたコンクリート構造部を有する中詰め鋼製セグメントであって、前記鋼殻部は、該コンクリート構造部の外面を覆う外板部と、該外板部の隔壁構築方向端縁に沿って設けられて、該コンクリート構造部の内面に向けて延設される主桁部材とを有し、前記主桁部材と、前記コンクリート構造部との間には、緩衝材が設けられていることを特徴としている。
【0022】
請求項2に記載された発明は、前記緩衝材は、平板状を呈して、前記主桁部材の裏面側と、前記コンクリート構造部の端面との間に介装されることを特徴としている。
【0023】
請求項3に記載された発明は、前記緩衝材は、前記鋼製の主桁部材の歪み変位量が、前記コンクリート構造部の許容歪み変位量以上となるところに設けられていることを特徴としている。
【0024】
請求項4に記載された発明は、前記緩衝材は、前記主桁部材と直交して設けられる連結板材を、該主桁部材と当接させるコーナー部近傍に設けられることを特徴としている。
【0025】
請求項5に記載された発明は、前記緩衝材は、短尺平板状を呈して、前記主桁部材の裏面側に設けられる水平緩衝材と、前記連結板材側に設けられる短尺平板状の縦緩衝材とを有して、略L字状を呈するように組み合わされたL字状コーナー部緩衝材からなることを特徴としている。
【0026】
請求項6に記載された発明は、前記緩衝材は、前記コーナー部に設けられて、直交する二辺を各々前記主桁部材及び連結板材に沿わせてなる三角コーナー部緩衝材であることを特徴としている。
【0027】
請求項7に記載された発明は、地中に構築される隔壁の一部を構成して、内面が開放された鋼製の鋼殻部の内側に中詰めされたコンクリート構造部を有する中詰め鋼製セグメントであって、前記鋼殻部は、該コンクリート構造部の外面を覆う外板部と、該外板部の隔壁構築方向端縁に沿って設けられた主桁部材と、外板部の隔壁外周方向の端縁に沿って設けられた端部連結板と、下端縁が外板部から離隔して端部連結板と平行に配置されて主桁部材間に連結された複数の連結板材とを有し、下端縁を外板部から離隔し、上端縁をコンクリート構造部の内面に達する高さの緩衝材が各連結板材に設けられていることを特徴としている。
【0028】
請求項8に記載された発明は、前記緩衝材は、軟質の中心緩衝材と、該中心緩衝材を両側から挟み込む一対の硬質の支持緩衝材から形成されることを特徴としている。
【0029】
請求項9に記載された発明は、前記硬質緩衝材の外面にアンカー部が突設されていることを特徴としている。
【0030】
請求項10に記載された発明は、前記一対の硬質緩衝材の間に水膨張ゴムが配設されるとともに、水膨張ゴムが一対の硬質緩衝材の外周面にわたって貼着された止水テープによって密封されていることを特徴としている。
【0031】
請求項11に記載された発明は、前記主桁部材の裏面側に板状緩衝材が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
このように構成された請求項1記載の発明は、前記主桁部材と、前記コンクリート構造部との間に設けられた緩衝材によって、隔壁構築方向に加わる荷重入力による前記主桁部材に生じた歪み変位が吸収されて、前記コンクリート構造部の許容歪み変位量内に収まるように、該コンクリート構造部へ伝えられる荷重が抑制される。
【0033】
このため、前記コンクリート構造部に、圧壊若しくは剥離による亀裂が生じるおそれを減少させて、良好なシールド性能を維持できる。
【0034】
また、請求項2に記載された発明は、前記緩衝材が、平板状を呈して前記主桁部材の裏面側と、前記コンクリート構造部の端面との間に介装されているので、圧縮された該緩衝材が、平面内で、入力荷重を分散させて前記コンクリート構造部へ伝達する。
【0035】
このため、応力集中が発生しにくく、更に、前記コンクリート構造部に、圧壊若しくは剥離による亀裂が生じるおそれを減少させることができる。
【0036】
更に、請求項3に記載された発明は、前記緩衝材が、前記鋼製の主桁部材の歪み変位量が、前記コンクリート構造部の許容歪み変位量以上となるところに設けられている。
【0037】
このため、効率的に荷重入力を緩衝して、シールド性を良好に保持することができる。
【0038】
そして、請求項4に記載された発明は、前記緩衝材が、前記主桁部材と直交して設けられる連結板材に沿って、該主桁部材と当接するコーナー部近傍に設けられている。
【0039】
このため、コーナー部での荷重入力による前記主桁部材の変位が、該緩衝材によって吸収されて、前記コンクリート構造部に伝わりにくくなる。
【0040】
従って、コンクリート構造部のコーナー部付近での圧壊若しくは剥離による亀裂を、有効に防止できる。
【0041】
また、請求項5に記載された発明は、前記緩衝材が、短尺平板状を呈している水平緩衝材と、縦緩衝材とを略L字状を呈するように組み合わせて構成されるので、加工性が良好である。
【0042】
更に、請求項6に記載された発明は、前記緩衝材としての三角コーナー部緩衝材が、前記コーナー部に設けられて、直交する二辺が、各々前記主桁部材及び連結板材に沿わせられている。
【0043】
このため、装着が容易で、有効にジャッキ推力によるコーナー部近傍でのコンクリート構造部の亀裂を防止できる。
【0044】
請求項7に記載された発明は、連結板材に、上端縁をコンクリート構造部の内面に達する高さの緩衝材が設けられていることにより、隔壁構築方向に不均等な荷重が作用して鋼殻部の主桁部材に歪み変位が発生したとしても、コンクリート構造部の内面側は緩衝材によって周方向に複数個の分割されて切り離されていることにより、分割されたコンクリート構造部の変位量は、鋼殻部の変位量の数分の1となる。
【0045】
この結果、コンクリート構造部の内面側に、圧壊若しくは剥離による亀裂が生じるおそれを減少させて、良好なシールド性能を維持できる。
【0046】
ここで、連結板材及び緩衝材は、外板部から離隔して設けられていることにより、コンクリート構造部を形成するためにコンクリートを鋼殻部に打設する際、コンクリートは鋼殻部全体に流動し、作業性が阻害されることがない。
【0047】
請求項8に記載された発明は、軟質の中心緩衝材と、硬質の支持緩衝材から形成されるため、コンクリート構造部を形成するためにコンクリートを鋼殻部に打設する際、緩衝材がへたることがない。また、不均等な荷重が主桁部材に作用したとしても、コンクリート構造部への荷重を緩和することができる。
【0048】
請求項9に記載された発明は、支持緩衝材の外面にアンカー部が突設されていることにより、緩衝材はアンカー部を介してコンクリート構造部と一体化される。このため、中詰め鋼製セグメントに荷重が負荷された際に、緩衝材とコンクリート構造部との界面にずれによる微小な隙間が発生することを防止できる。
【0049】
請求項10に記載された発明は、一対の支持緩衝材の間に水膨張ゴムが配設されることにより、中詰め鋼製セグメントに荷重が負荷された際に、緩衝材とコンクリート構造部との界面にずれによる微小な隙間が発生したとしても、微小な隙間を通して下水が水膨張ゴムに到達すれば、水膨張ゴムが膨張し、微小な隙間を密閉するように、支持緩衝材を押圧する。このため、下水が鋼殻に達することがなく、鋼殻部の劣化を確実に防止することができる。
【0050】
この場合、水膨張ゴムの周囲は、止水テープによって包囲されており、コンクリート構造部を形成するためのコンクリート打設時に水膨張ゴムに水が接触することは確実に防止される。
【0051】
なお、止水テープは、中詰め鋼製セグメントが形成された際に除去すればよい。
【0052】
請求項11に記載された発明は、前記主桁部材の裏面側に板状緩衝材が設けられていることにより、隔壁構築方向に不均等な荷重が作用して鋼殻部の主桁部材に歪み変位が発生したとしても、主桁部材に生じた歪み変位が吸収され、コンクリート構造部へ伝えられる荷重は、その許容歪み変位量内に抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の中詰め鋼製セグメントを説明する。
【0054】
なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明する。
【0055】
図1乃至図16は、この発明の実施の形態のセグメントとしての中詰め鋼製セグメント11等を説明するものである。
【0056】
まず、構成を説明すると、図1に示すようなこの発明の実施の形態の中詰め鋼製セグメント11等が、地中にトンネル若しくは立坑を構築する際、周方向に複数の円弧版状の中詰め鋼製セグメント11が、他の中詰め鋼製セグメント11と環状を呈するように複数隣接配置されたものを、順次、対向する端部連結板5,5同士を接合しながら、地中に構築されるトンネル構造体としての立坑若しくはトンネルの進行方向へ、図5に示すように、シールド機S等のジャッキJ,J等によってジャッキ推力が加えられつつ、連設されて、トンネル構造体等の壁面が構築されるものである。
【実施例1】
【0057】
図1乃至図6に示す実施例1の中詰め鋼製セグメント11では、内面1aが開放された水平断面略円弧状の鋼製の鋼殻部12の内側に、中詰めされたコンクリート構造部3を有している。
【0058】
なお、図1は、理解を容易にするため、コンクリート構造部3を取り除いた中詰め鋼製セグメント11の鋼殻部12を湾曲形状を平面状に展開して、内面側から、見た構成を示している。
【0059】
前記鋼殻部12は、図3に示すように、このコンクリート構造部3の外面を覆う外板部2aと、この外板部2aの前記隔壁構築方向Yの端縁2b,2bに沿って設けられて、前記内面1aよりも一段高く盛り上がったこのコンクリート構造部3の内面3a方向に向けて延設される主桁部材4,4と、周方向Xの各端縁2c,2cに設けられた端部連結板5,5とを有して、内面を開放する断面略コ字状を呈して形成されている。
【0060】
また、この鋼殻部12の内側には、前記主桁部材4,4と平行して補助桁部材13,13が左,右に配置されると共に、前記連結板5,5と平行に配置される複数の連結板材7等によって、これらの主桁部材4,4間が、連結されている。
【0061】
そして、これらの各主桁部材4,4と、前記コンクリート構造部3との間には、緩衝材としての超高分子量ポリエチレンシート14が、設けられている。
【0062】
この実施例1では、この超高分子量ポリエチレンシート14は、厚さ約5〜20mmの平板状を呈して、前記主桁部材4の裏面側4aと、前記コンクリート構造部3の隔壁構築方向Yの端面3bとの間に介装されて、長,短片状に複数に切断されて設けられていて、図3及び図4に示すように、充填されたコンクリート構造部3によって覆われている。
【0063】
この超高分子量ポリエチレンシート14は、主に図7に示すような物性を有する超高分子量ポリエチレン材料によって構成されていて、図6に示すように、低荷重時(圧縮荷重:約0〜11.8MPa)には、硬度が小さく、圧縮変形によって、ジャッキ推力による前記主桁部材4の変位を吸収するように変形可能である。
【0064】
また、高荷重時(圧縮荷重:約11.8〜34.3MPa)には、硬度及び弾性率が増大して、板状となり、荷重を平面内に分散させて、前記コンクリート構造部3に荷重集中が発生しないように構成されている。
【0065】
更に、この超高分子量ポリエチレンシート14は、耐薬品性を有して、例えば、下水表面に接触しても、腐食しない性質を有している。
【0066】
そして、この鋼殻部12の内側には、注入管8及び継手部9を除き、予めコンクリートが充填されて、前記コンクリート構造部3が構成されることにより、二次覆工が省略できるように構成されている。
【0067】
次に、この実施例1の中詰め鋼製セグメント構造の作用について説明する。
【0068】
このように構成された実施例1の中詰め鋼製セグメント11では、図5に示すように、複数の中詰め鋼製セグメント11が、シールド機S等のジャッキJ,Jによって掘削されたトンネル等の壁面に、周方向Xに環状となるように連結されると共に、トンネル等の長手方向である隔壁構築方向Yに複数隣接配置されて、円筒状の構造物が地中に構築される。
【0069】
前記ジャッキJ,J等によって、前記主桁部材4に、隔壁構築方向Yへ不均等に荷重入力が作用すると、この鋼殻部12が撓み、前記主桁部材4に部分的な変位が生じる。
【0070】
例えば、図10に示すように、前記トンネル構造体の進行方向へ向けて、シールド機S等によって、ジャッキ推力が加えられつつ、急曲線部10aが構築される。
【0071】
このような場合、前記主桁部材4の左,右両端部等は、部分的な変位量が大きくなる傾向があるが、前記主桁部材4と、前記コンクリート構造部3との間に設けられた前記超高分子量ポリエチレンシート14によって、この隔壁構築方向Yに加わる荷重入力で前記主桁部材4に生じた歪み変位が吸収されて、前記コンクリート構造部3の許容歪み変位が抑制される。
【0072】
この実施例1の超高分子量ポリエチレンシート14は、図6に示すように、低荷重時(圧縮荷重:約0〜11.8MPa)には、硬度が小さく、圧縮変形によって、ジャッキ推力による前記主桁部材4の変位が吸収される。
【0073】
また、高荷重時(圧縮荷重:約11.8〜34.3MPa)には、硬度及び弾性率が増大して、板状となり、荷重を平面内に分散させて、前記コンクリート構造部3に荷重集中を発生させないように広い面積で、荷重が伝えられる。
【0074】
そして、前記コンクリート構造部3は、一般的に、約29.4MPaの面圧力まで、圧壊しない。
【0075】
このため、前記コンクリート構造部3の許容歪み変位量内に収まるように、前記超高分子量ポリエチレンシート14によって、コンクリート構造部3へ伝えられる荷重が抑制されていれば、前記コンクリート構造部3に、圧壊若しくは剥離による亀裂が生じるおそれを減少させて、良好なシールド性能を維持できる。
【0076】
しかも、この実施例1では、前記超高分子量ポリエチレンシート14が、弾性変形により、荷重入力を吸収するだけでなく、平板状を呈して前記主桁部材4の裏面側4aと、前記コンクリート構造部3の隔壁構築方向Y端面との間に介装されているので、一定の入力荷重以上では、厚み方向に圧縮されて、硬度及び弾性率が増大して、板状となった超高分子量ポリエチレンシート14が、平面内で、入力荷重を分散させて、前記コンクリート構造部3へ伝達する。
【0077】
このため、更に、応力集中が発生しにくく、前記コンクリート構造部3に、圧壊若しくは剥離による亀裂が生じるおそれを減少させることができる。
【実施例2】
【0078】
図8は、この発明の実施の形態の実施例2の中詰め鋼製セグメント21を説明するものである。
【0079】
なお、前記実施例1と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明する。
【0080】
まず、この実施例2の中詰め鋼製セグメント21の構成を、実施例1の中詰め鋼製セグメント11との相違点を中心に説明すると、この実施例2の中詰め鋼製セグメント21では、緩衝材が、前記鋼製の主桁部材4の歪み変位量が、図示省略の前記コンクリート構造部3の許容歪み変位量以上となるところに設けられている。
【0081】
すなわち、この実施例2では、前記主桁部材4,4と直交して設けられる連結板材7,7が、この主桁部材4,4と当接するコーナー部22近傍に、緩衝材としてのL字状コーナー部緩衝材23が設けられている。
【0082】
このL字状コーナー部緩衝材23は、SBR(スチレンブタジエンゴム)製で、図7に示すように所定の硬度(例えば、硬度約70等)を有し、短尺平板状を呈して、前記主桁部材4の裏面側4aに沿って設けられる水平緩衝材としての水平面材24と、前記連結板材7側に沿って設けられる短尺平板状の縦緩衝材としての縦面材25とを有して、略L字状を呈するように組み合わされて、主に構成されている。
【0083】
次に、この実施例2の中詰め鋼製セグメント21の作用について説明する。
【0084】
この実施例2の中詰め鋼製セグメント21では、前記実施例1の中詰め鋼製セグメント11の作用効果に加えて、更に、前記L字状コーナー部緩衝材23,23が、前記鋼製の主桁部材4の歪み変位量が、前記コンクリート構造部3の許容歪み変位量以上となるコーナー部22,22に設けられている。
【0085】
このため、効率的に荷重入力が緩衝されて、シールド性を良好に保持することができる。
【0086】
すなわち、この実施例2では、前記主桁部材4と直交して設けられる連結板材7に沿って、この主桁部材4と当接するコーナー部22,22近傍に、前記L字状コーナー部緩衝材23,23の縦面材25,25が設けられている。
【0087】
このため、コーナー部22,22での荷重入力による前記主桁部材4の変位が、大きくても、この縦面材25,25の面延設方向の長さ寸法によって吸収されて、前記コンクリート構造部3に伝わりにくくなる。
【0088】
従って、コンクリート構造部3のコーナー部22,22付近での圧壊若しくは剥離による亀裂を、有効に防止できる。
【0089】
また、この実施例2では、L字状コーナー部緩衝材23が、短尺平板状を呈して、前記主桁部材4の裏面側4aに沿って設けられる水平緩衝材としての水平面材24と、前記連結板材7側に沿って設けられる短尺平板状の縦緩衝材としての縦面材25とを有して、略L字状を呈するように組み合わされて構成されているので、板状の緩衝材を略矩形に切断するだけで、所望の大きさに加工でき、加工性が良好である。
【0090】
他の構成及び作用効果については、前記実施例1の中詰め鋼製セグメント11と略同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0091】
図9は、この発明の実施の形態の実施例3の中詰め鋼製セグメント31を説明するものである。
【0092】
なお、前記実施例1,2と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明する。
【0093】
まず、この実施例3の中詰め鋼製セグメント31の構成を、実施例2の中詰め鋼製セグメント21との相違点を中心に説明すると、この実施例3の中詰め鋼製セグメン31では、緩衝材として、上面視略直角二等辺三角形形状を呈する三角柱体の三角コーナー部緩衝材32が、SBR製で、図7に示すように所定の硬度(例えば、硬度約70等)を有して構成されている。
【0094】
そして、前記鋼製の主桁部材4の歪み変位量が、前記コンクリート構造部3の許容歪み変位量以上となるコーナー部22近傍に、この三角コーナー部緩衝材32が、直交する二辺を各々前記主桁部材4及び連結板材7に沿わせて設けられている。
【0095】
次に、この実施例3の中詰め鋼製セグメント31の作用について説明する。
【0096】
この実施例3の中詰め鋼製セグメント31では、前記実施例1,2の中詰め鋼製セグメント11,21の作用効果に加えて、更に、前記三角コーナー部緩衝材32が、直交する二辺を各々前記主桁部材4及び連結板材7に沿わせて設けられる。
【0097】
この実施例3では、この三角コーナー部緩衝材32が、直交する二辺を、略同一長さとする上面視略直角二等辺三角形形状を呈する三角柱体によって構成されている。
【0098】
従って、左,右何れのコーナー部22,22でも、同一形状の三角コーナー部緩衝材32,32を使用でき、装着が容易で、しかも、部品の種類の増大を抑制でき、有効にジャッキ推力によるコーナー部22,22近傍でのコンクリート構造部3の亀裂を防止できる。他の構成及び作用効果については、前記実施例1,2と略同様であるので説明を省略する。
【実施例4】
【0099】
図11及び図12は、この発明の実施の形態の実施例4の中詰め鋼製セグメント41の概略を説明するものである。
【0100】
この実施例4の中詰め鋼製セグメント41も、内面1aが開放された水平断面略円弧状の鋼製の鋼殻部12と、鋼殻部12の内側に中詰めされてその内面1aよりも一段高く盛り上がったコンクリート構造部3とから構成されている。そして、鋼殻部12は、図11に示すように、コンクリート構造部3の外面を覆う外板部2aと、この外板部2aの前記隔壁構築方向Yの端縁2b,2bに沿って設けられた主桁部材4,4と、周方向Xの各端縁2c,2cに設けられた端部連結板5,5と、端部連結板5,5と平行に配置されて主桁部材4,4間に連結された複数の連結板材7によって主要部が構成されており、内面を開放する断面略コ字状に形成されている。
【0101】
この実施例においては、コンクリート構造部3を形成するために図示しない型枠にコンクリートを打設する際、鋼殻部12全体へのコンクリートの流動性を確保することができるように、連結板材7は、その下端縁が外板部2aから離隔した状態で対向する主桁部材4,4間に連結されている。
【0102】
一方、各連結板材7には、下端縁が連結板材7の下端縁に沿わせるとともに、上端縁が連結板材7の上端縁を超えてコンクリート構造部3の内面3aに達する高さの緩衝材42がそれぞれ両面テープ43を介して貼着されている。この緩衝材42は、荷重負荷時の応力を緩和できるとともに、コンクリート打設時の倒れ防止性能を有する必要がある。例えば、前述した超高分子量ポリエチレンやSBR、さらには、HDPE(高密度ポリエチレン)は、圧縮降伏強度がコンクリートの破壊強度程度あり、下水用途として耐酸性、耐アルカリ性に優れ、鋼殻部12との接着性が良好であり、荷重時の歪応力を吸収し、かつ、ジャッキに反力を伝達できることから、好適に採用することができる。
【0103】
本実施例においては、緩衝材42は、図12に詳細に示すように、柔らかい性状を有する緩衝材、例えば、SBR50からなる中心緩衝材421と、該中心緩衝材421を両側から挟み込むように中心緩衝材421の外面にそれぞれ接着され、一定の硬さを有する緩衝材、例えば、SBR80からなる一対の支持緩衝材422と、から構成されている。
【0104】
ただし、荷重負荷時の応力を緩和できるとともに、コンクリート打設時の倒れ防止性能を有すれば、3層構造に限らず1層でも2層でもかまわない。
【0105】
次に、この実施例4の中詰め鋼製セグメント41の作用について説明する。
【0106】
この実施例4の中詰め鋼製セグメント41では、複数の中詰め鋼製セグメント41が、シールド機S等のジャッキJ,Jによって掘削されたトンネル等の壁面に、周方向Xに環状となるように連結されると共に、トンネル等の長手方向である隔壁構築方向Yに複数隣接配置されて、円筒状の構造物が地中に構築される。
【0107】
ここで、例えば、図10に示したように、急曲線部10aが構築される場合には、シールド機SのジャッキJ,Jの推力が中詰め鋼製セグメント41の主桁部材4の左右各端部に不均等に作用する。このため、主桁部材4の左右各端部の変位量に差が発生し、中詰め鋼製セグメント41を変形させる。中詰め鋼製セグメント41の変形を考えるとき、図13に示すように、曲げを無視して主桁部材4の先端部に荷重が作用したと仮定して単純化すると、鋼殻部12の変形は、一端部に対して他端部がΔだけ微小変位するものとなる。一方、コンクリート構造部3は、その内面側が緩衝材42によって周方向Xに複数個に分割されて切り離されていることから、緩衝材42によって分割されたコンクリート構造部の変位量δは、鋼殻部12の変位量Δの数分の1となる。例えば、コンクリート構造部3が周方向に均等に分割されている場合には、分割されたコンクリート構造部の変位量δは、鋼殻部12の変位量Δに対して分割された個数分の1となる。つまり、分割されたコンクリート構造部の各変位量δの総和が鋼殻部12の変位量Δとなる。
【0108】
この結果、分割されたコンクリート構造部の内面側の変形を抑制することができることから、コンクリート構造部3の内面側に圧壊若しくは剥離による亀裂が生じるおそれを減少させて、良好なシールド性能を維持できる。すなわち、下水と接触することになるコンクリート構造部3の内面側に亀裂がないことにより、亀裂を通して下水がコンクリートに浸透し、コンクリートを劣化させることを防止できる。
【0109】
具体的には、縦500mm×外周円弧長2041mm×高さ147mm、曲率半径1147mm、中心角102度の中詰め鋼製セグメント41の主桁部材4に1000kNの荷重を負荷させた場合、鋼殻部12に最大1.49mmの変位が発生したが、コンクリート構造部3の内面側にクラックは発生しなかった。これに対し、緩衝材42を用いない同一の大きさの中詰め鋼製セグメントの主桁部材4に1000kNの荷重を負荷させた場合、鋼殻部12に最大1.86mmの変位が発生すると共に、コンクリート構造部3の内面側コーナー部にクラックが発生した。
【0110】
ところで、前述した実施例4において、荷重が負荷されることにより、緩衝材42とコンクリート構造部3との界面にずれによる微小な隙間が発生することがある。このような微小な隙間が発生すると、隙間を通して下水が浸透し、鋼殻部12の劣化が懸念されるものとなる。
【0111】
このため、図14に示すように、緩衝材42を構成する支持緩衝材422の上端部近傍の外面にアンカー部422aを一体に形成することが好ましい。これにより、緩衝材42とコンクリート構造部3がアンカー部422aを介して一体化され、それらの界面に微小な隙間が発生することを防止できる。
【0112】
また、仮に緩衝材42とコンクリート構造部3との界面に微小な隙間が発生したとしても、その微小な隙間を通して下水が鋼殻部12に到達しないように、微小な隙間を密封することがより好ましい。すなわち、図15に示すように、緩衝材42を構成する中心緩衝材421および一対の支持緩衝材422によって区画される空間に水膨張ゴム44を配設すれば、複数の中詰め鋼製セグメント41が、シールド機S等のジャッキJ,Jによって掘削されたトンネル等の壁面に、周方向Xに環状となるように連結されると共に、トンネル等の長手方向である隔壁構築方向Yに複数隣接配置されて、円筒状の構造物が地中に構築される際において、目に見えないような微小な隙間が緩衝材42とコンクリート構造部3との界面に発生したとしても、その微小な隙間を通して下水が浸透して水膨張ゴム44に到達すれば、水膨張ゴム44が水を受けて膨張することから、支持緩衝材422をコンクリート構造部3に向けて押圧し、支持緩衝材422とコンクリート構造部3との界面に発生した微小な隙間を支持緩衝材422を介して密閉することができる。
【0113】
この結果、下水が鋼殻部12に達することがなく、鋼殻部12の劣化を確実に防止することができる。
【0114】
なお、鋼殻部12にコンクリートを打設してコンクリート構造部3を形成する際、コンクリートの水分が水膨張ゴム44に接触することがないように、一対の支持緩衝材422の外周面にわたって止水テープ45が貼着される。すなわち、水膨張ゴム44の周囲は、止水テープ45によって包囲されており、コンクリート打設時に水膨張ゴム44に水が接触することを確実に防止することができる。この止水テープ45は、中詰め鋼製セグメント41が形成された際に除去すればよい。
【0115】
さらに、図16に示すように、連結板材7に緩衝材42を設けるとともに、主桁部材4の裏面側に板状緩衝材46を設けることもできる。
【0116】
このように、主桁部材4の裏面側に板状緩衝材46を設けることにより、主桁部材4に作用する隔壁構築方向Yの荷重による主桁部材4の歪み変位が板状緩衝材46によって吸収されることから、コンクリート構造部3の歪み変位をさらに抑制することができる。
【0117】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0118】
即ち、前記実施例1の中詰め鋼製セグメント11では、周方向に複数の円弧板状の中詰め鋼製セグメント11,11を、他のセグメント11と環状を呈するように連結したものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、平板形状、矩形版状、多角形版状のセグメント等、側面の円弧が、一定角度で屈曲されるか或いは直線状のセグメントで、立坑若しくはトンネル等の地中に埋設される構造体の隔壁を構成するものであれば、断面形状は、断面矩形状等の多角形形状、楕円形形状若しくは長円形形状に構築されるもの等、どのような形状の中詰め鋼製セグメントであってもよい。
【0119】
地中にトンネル構造体の隔壁を構築するものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、立坑を、ジャッキ推力を用いて圧入工法によって構築するものに、前記中詰め鋼製セグメント11を用いても、トンネル進行方向に所定の荷重が加わるものであれば良い。
【0120】
また、前記実施例1では、緩衝材として超高分子量ポリエチレン材料によって構成される超高分子量ポリエチレンシート14が、設けられているが、特にこれに限らず、例えば、図7に示すように、6ナイロン、HDPE等の他の構成樹脂製材料を用いて構成してもよい。
【0121】
更に、この実施例1では、前記超高分子量ポリエチレンシート14が、図3に示すように、長,短片状に複数に切断されて、各連結板材7,7間に設けられているが、特にこれに限らず、例えば、各連結板材7の内端縁よりも内側位置で、長,短片状の超高分子量ポリエチレンシート14,14間を連続させて構成されていてもよく、前記主桁部材と、前記コンクリート構造部との間に設けられる緩衝材であるならば、特に、形状、数量及び材質が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】この発明の最良の実施の形態の実施例1の中詰め鋼製セグメントで、コンクリート構造部を取り除いた中詰め鋼製セグメントの鋼殻部を湾曲形状を平面状に展開して、内側面側から、見た構成を示す模式的な平面図である。
【図2】実施例1の中詰め鋼製セグメントで、図1中A−A線に沿った位置での断面図である。
【図3】実施例1の中詰め鋼製セグメントで、内側面側から見た平面図である。
【図4】実施例1の中詰め鋼製セグメントで、図3中B−B線に沿った位置での断面図である。
【図5】実施例1の中詰め鋼製セグメントの主桁部材を、推進ジャッキで、隔壁構築方向に押圧する様子を説明する一部省略斜視図である。
【図6】実施例1の中詰め鋼製セグメントに用いられた緩衝材としての超高分子量ポリエチレンシートの圧縮荷重と、たわみ量との関係を説明するグラフ図である。
【図7】実施の形態で中詰め鋼製セグメントに用いられる緩衝材の物性を比較する表図である。
【図8】この発明の最良の実施の形態の実施例2の中詰め鋼製セグメントで、コンクリート構造部を取り除いた中詰め鋼製セグメントの鋼殻部を湾曲形状を平面状に展開して、内側面側から、見た構成を示す模式的な平面図である。
【図9】この発明の最良の実施の形態の実施例3の中詰め鋼製セグメントで、コンクリート構造部を取り除いた中詰め鋼製セグメントの鋼殻部を湾曲形状を平面状に展開して、内側面側から見た構成を示す模式的な平面図である。
【図10】地中に構築されるトンネル構造体のうち、急曲線部を説明する模式的な平面図である。
【図11】この発明の最良の実施の形態の実施例4の中詰め鋼製セグメントで、コンクリート構造部を取り除いた中詰め鋼製セグメントの鋼殻部を示す模式的な斜視図である。
【図12】図11の中詰め鋼製セグメントの緩衝材を示す縦断面図である。
【図13】図11の中詰め鋼製セグメントに剪断荷重が作用した場合の変位を説明する模式的な平面図である。
【図14】図12の緩衝材の変形例を示す縦断面図である。
【図15】図12の緩衝材の他の変形例を示す縦断面図である。
【図16】実施例4の中詰め鋼製セグメントの変形例で、コンクリート構造部を取り除いた中詰め鋼製セグメントの鋼殻部を示す模式的な斜視図である。
【図17】従来の中詰め鋼製セグメントの構成を説明し、中詰めされたコンクリート構造部の一部を除去したセグメントの斜視図である。
【符号の説明】
【0123】
2a 外板部
3 コンクリート構造部
4 主桁部材
5 端部連結板
7 連結板材
11,21,31,41中詰め鋼製セグメント
12 鋼殻部
14 超高分子量ポリエチレンシート(緩衝材)
22 コーナー部
23 L字状コーナー部緩衝材
24 水平面材(水平緩衝材)
25 縦面材(縦緩衝材)
32 三角コーナー部緩衝材
42 緩衝材
421 中心緩衝材
422 支持緩衝材
422a アンカー部
44 水膨張ゴム
45 止水テープ
46 板状緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に構築される隔壁の一部を構成して、内面が開放された鋼製の鋼殻部の内側に中詰めされたコンクリート構造部を有する中詰め鋼製セグメントであって、
前記鋼殻部は、該コンクリート構造部の外面を覆う外板部と、該外板部の隔壁構築方向端縁に沿って設けられて、該コンクリート構造部の内面に向けて延設される主桁部材とを有し、前記主桁部材と、前記コンクリート構造部との間には、緩衝材が設けられていることを特徴とするシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項2】
前記緩衝材は、平板状を呈して、前記主桁部材の裏面側と、前記コンクリート構造部の端面との間に介装されることを特徴とする請求項1記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項3】
前記緩衝材は、前記鋼製の主桁部材の歪み変位量が、前記コンクリート構造部の許容歪み変位量以上となるところに設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項4】
前記緩衝材は、前記主桁部材と直交して設けられる連結板材を、該主桁部材と当接させるコーナー部近傍に設けられることを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか一項記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項5】
前記緩衝材は、短尺平板状を呈して、前記主桁部材の裏面側に設けられる水平緩衝材と、前記連結板材側に設けられる短尺平板状の縦緩衝材とを有して、略L字状を呈するように組み合わされたL字状コーナー部緩衝材からなることを特徴とする請求項4記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項6】
前記緩衝材は、前記コーナー部に設けられて、直交する二辺を各々前記主桁部材及び連結板材に沿わせてなる三角コーナー部緩衝材であることを特徴とする請求項4記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項7】
地中に構築される隔壁の一部を構成して、内面が開放された鋼製の鋼殻部の内側に中詰めされたコンクリート構造部を有する中詰め鋼製セグメントであって、
前記鋼殻部は、該コンクリート構造部の外面を覆う外板部と、該外板部の隔壁構築方向端縁に沿って設けられた主桁部材と、外板部の隔壁外周方向の端縁に沿って設けられた端部連結板と、下端縁が外板部から離隔して端部連結板と平行に配置されて主桁部材間に連結された複数の連結板材とを有し、下端縁を外板部から離隔し、上端縁をコンクリート構造部の内面に達する高さの緩衝材が各連結板材に設けられていることを特徴とするシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項8】
前記緩衝材は、軟質の中心緩衝材と、該中心緩衝材を両側から挟み込む一対の硬質の支持緩衝材から形成されることを特徴とする請求項7記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項9】
前記各支持緩衝材の外面にアンカー部が突設されていることを特徴とする請求項8記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項10】
前記一対の支持緩衝材の間に水膨張ゴムが配設されるとともに、水膨張ゴムが一対の支持緩衝材の外周面にわたって貼着された止水テープによって密封されていることを特徴とする請求項8記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。
【請求項11】
前記主桁部材の裏面側に板状緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のシールドトンネル用中詰め鋼製セグメント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2006−299792(P2006−299792A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60919(P2006−60919)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(502341247)
【出願人】(000198307)石川島建材工業株式会社 (139)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(000231110)JFE建材株式会社 (150)
【Fターム(参考)】