説明

シールドマシンの解体方法

【課題】シールドジャッキ及びリングガータを有するシールドマシンにおいて、その解体を容易に行えるようにする。
【解決手段】
取り外し対象となる対象ブロック22aに収容されたシールドジャッキ23を伸長し、シールドジャッキ23の他端をスキンプレート21や既設のセグメントTに固定するジャッキ固定工程と、連結解除工程によって連結状態が解かれた対象ブロック22aを、シールドジャッキ23を収縮させることで既設のセグメントT側に移動させる対象ブロック移動工程と、移動された対象ブロック22aを、受け架台51を介してエレクター24に固定する対象ブロック固定工程と、対象ブロック22aが固定されたエレクター24を旋回させ、対象ブロック22aを所定の搬出位置に位置付けるエレクター旋回工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドジャッキ及びリングガータの解体を容易に行えるようにしたシールドマシンの解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドマシンはシールドトンネルを構築するための掘削機である。シールドトンネルの構築が完了すると、シールドマシンは坑内で解体されて搬出される。この解体には、ガス切断機を用いることが一般的である。このため、シールドジャッキを撤去する際には、シールドジャッキを固定しているリングガータの鋼材部分をガス切断機で切断することが行われている。例えば、シールドジャッキに吊り環を複数個溶接し、チェーンブロック等によって落下防止対策を施した後、ガス切断機で切断することが行われている。そして、切断部分については吊り降ろし、台車等に積載して搬出している。
【0003】
このような解体作業は、吊り代の全くない状態での吊り切り作業であり、荷振れ落下が生じないように、作業には細心の注意が必要になる。また、作業足場が設置し難い環境であるため、作業の効率化が難しい等の問題がある。さらに、再利用可能なシールドジャッキを損傷させてしまう可能性がある。
【0004】
ここで、特許文献1には、リング状のシールドシェル(リングガータに相当する)を複数のブロックに分割し、ブロックごとに搬出するようにしたトンネル掘削機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−144479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置は、シールドシェルが複数のブロックに分割されているので、坑内での切断作業が不要となり、解体作業が容易になると考えられる。しかし、分割されているとはいえ、ブロックそれ自体も重量物である。このため、ブロックの運搬について改善する余地があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、シールドジャッキ及びリングガータを有するシールドマシンにおいて、その解体を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、外殻部の内面側に設けられ、複数のブロックに分割されると共に、隣接するブロック同士が連結部材によってリング状に連結されたリングガータと、一端が前記リングガータに固定された状態で前記ブロックのそれぞれに収容され、かつ、既設のセグメントから反力を得て推進力とするシールドジャッキと、設置前のセグメントを把持し、所定の角度位置に位置付けるエレクターとを有するシールドマシンの解体方法であって、前記リングガータが有する複数のブロックのうち、取り外し対象となる対象ブロックに収容された前記シールドジャッキを伸長し、前記シールドジャッキの他端を前記外殻部又は前記既設のセグメントの少なくとも一方に固定するジャッキ固定工程と、前記ジャッキ固定工程よりも前又は後に、前記連結部材による連結状態を解いて前記対象ブロックを他のブロックに対して移動可能な状態にする連結解除工程と、前記連結部材による連結状態が解かれた前記対象ブロックを、前記シールドジャッキを収縮させることで前記既設のセグメント側に移動させる対象ブロック移動工程と、前記既設のセグメント側に移動された前記対象ブロックを、前記エレクターに固定する対象ブロック固定工程と、前記対象ブロックが固定された前記エレクターを旋回させ、前記対象ブロックを所定の搬出位置に位置付けるエレクター旋回工程とを行うことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、シールドマシンが備えるシールドジャッキやエレクターを、対象ブロックの移動にも用いているので、解体用の装置を設置する等の手間を省くことができ、シールドジャッキやリングガータの解体作業を容易に行うことができる。
【0010】
前述したシールドマシンの解体方法において、前記対象ブロック固定工程では、前記エレクターに予め取り付けられた受け架台に、前記対象ブロックを載せて固定することが好ましい。この方法を採ることで、対象ブロックをエレクターに対して確実に固定することができる。
【0011】
前述したシールドマシンの解体方法において、前記連結部材はボルトとナットの組からなり、前記連結解除工程では、前記ボルトと前記ナットとを取り外すことで前記連結部材による連結状態を解くことが好ましい。この方法を採ることで、対象ブロックを他のブロックから容易に取り外すことができる。
【0012】
前述したシールドマシンの解体方法において、前記ブロックは、リングの外周側と内周側に分割されていることが好ましい。この方法を採ることで、ブロックの軽量化が図れ、エレクターに対する負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シールドジャッキ及びリングガータを有するシールドマシンにおいて、その解体を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】シールドマシンの断面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】複数のブロックに分割されたリングガータ(後胴中殻部)を説明する図である。
【図4】(a)は受け架台の一例を説明する図である。(b)は受け架台の他の例を説明する図である。(c)はエレクターに把持された受け架台に、対象ブロックを載せた状態を説明する図である。
【図5】(a)〜(d)は、対象ブロックを受け架台に載せる過程を時系列で説明する図である。
【図6】(a)は対象ブロックを受け架台に固定した状態を説明する図である。(b)はエレクターを旋回させて、対象ブロックを搬出位置に位置付けた状態を説明する図である。
【図7】リングガータの第1変形例を説明する図である。
【図8】(a)〜(c)は、リングガータの第2変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、シールドマシンの構成について説明する。図1に示すシールドマシンは、前胴部10と、後胴部20と、後方台車30と、グリッパーユニット40とを有している。なお、以下の説明では、シールドマシンの掘進方向を前方と、掘進方向とは反対の発進立坑側を後方ともいう。
【0016】
前胴部10はシールドマシンの前側に位置する部分であり、後胴部20はシールドマシンの後側に位置する部分である。後胴部20の前端部分は前胴部10の後端部分の内側に嵌めあわされており、前胴部10と後胴部20とが屈曲可能な状態で取り付けられる。
【0017】
前胴部10の外周部分には外殻部としての円筒状スキンプレート11が設けられ、前胴部10の前端部分には、地盤を掘削するためのカッター部12が設けられている。このカッター部12は、多数のカッタービットが設けられた円盤状部材12aと、この円盤状部材12aを支持するアーム部材12bとを有している。
【0018】
スキンプレート11の内面に沿って前胴中殻部13が取り付けられている。前胴中殻部13は、鋼製のリング状部材であり、スキンプレート11の全周に亘って設けられている。この前胴中殻部13には複数の中折れジャッキ14が後方側に向けて取り付けられている。
【0019】
前胴中殻部13の内周側空間には、カッター部12を回転駆動させるカッター駆動部15が設けられている。このカッター駆動部15はカッター駆動モータ15aを有しており、アーム部材12bを介して回転力を伝達し、円盤状部材12aを回転駆動させる。
【0020】
後胴部20の外周部分にも外殻部としての円筒状スキンプレート21が設けられ、後胴部20の前端部分にはリングガータ(後胴中殻部)22が設けられている。図2に示すように、リングガータ22は、鋼製のリング状部材であり、スキンプレート21の全周に亘って設けられている。そして、リングガータ22には複数の小室が設けられ、各小室にはシールドジャッキ23が収容されている。これらのシールドジャッキ23は、既設のセグメントT(図1を参照)から反力を得て、収縮状態から伸長することでシールドマシンを推進させる。
【0021】
図1に示すように、リングガータ22の内周側空間には、エレクター24が設けられている。このエレクター24は、設置前のセグメントを把持し、所定の角度位置まで移送するための機構である。また、エレクター24は、リングガータ22を解体する際において、リングガータ22の一部を構成するブロック22a〜22j(図3を参照)を、搬出位置まで移送するブロック移送機構としても機能する。なお、解体時の作業については後述する。
【0022】
エレクター24には様々な種類があるが、例示したエレクター24は、図2に示すように、リング状の支持フレーム24aと、回転フレーム24bと、駆動モータ24cと、把持機構24dと、スライドジャッキ24eとを有している。支持フレーム24aは、回転フレーム24bを回転可能な状態で支持するリンク状フレームとして構成されている。回転フレーム24bは略U字状部材によって作製され、スライドジャッキ24eを介して、支持フレーム24aの内周部分に回転可能な状態で支持されている。駆動モータ24cは、支持フレーム24aに複数設けられており、回転フレーム24bを回転させるための動力を発生する。把持機構24dは、設置前のセグメントを把持するための機構であり、回転フレーム24bとともに回転し、スライドジャッキ24eの伸縮によってシールドマシンの半径方向に移動される。
【0023】
図1に示すように、中折れジャッキ14の後端部は支持フレーム24aに取り付けられている。すなわち、カッター駆動部15とエレクター24とは、複数の中折れジャッキ14によって取り付けられている。そして、各中折れジャッキ14の伸縮量を調整することにより、カッター駆動部15とエレクター24との間の屈曲状態を調整することができる。
【0024】
エレクター24から後方側に向けて連結フレーム25が設けられている。この連結フレーム25は、後方台車30と連結するための部分である。本実施形態では、連結フレーム25の後端部と後方台車30のそれぞれにピン結合部PJを設け、互いに回転可能な状態で取り付けている。これにより、エレクター24と後方台車30とが左右に首振り可能な状態で連結される。
【0025】
また、カッター駆動部15の下端から後方側の斜め上方に向けてスクリューコンベアSCが配置されている。このスクリューコンベアSCは、掘削された土砂を後方に向けて搬出するための装置である。
【0026】
後方台車30は、後胴部20によって牽引される台車であり、操作盤などの必要な設備が搭載される。この後方台車30の底部には、既設のセグメントTにおける内面に接する搬送用ローラ31が設けられている。
【0027】
後方台車30の前端部にはピン結合部PJが設けられており、連結フレーム25とピン結合されている。一方、後方台車30の後端部にはスライド支持部32が後方へ向けて突設されている。このスライド支持部32は、グリッパーユニット40を前後方向に移動可能な状態で支持する部材であり、例えば矩形枠状に組み立てた鋼製フレームによって構成される。
【0028】
グリッパーユニット40は、摺動フレーム41と、グリッパー固定フレーム42と、グリッパー43とを有している。摺動フレーム41は、スライド支持部32に対して摺動する部分であり、角筒部材によって作製されている。グリッパー固定フレーム42は、グリッパー43と摺動フレーム41との間に設けられる筒状部材である。このグリッパー固定フレーム42は、連結部材を介して摺動フレーム41に取り付けられる。
【0029】
グリッパー43は、グリッパージャッキ43aとグリッパーシュー43bとを備えている。グリッパージャッキ43aは、伸縮によってグリッパーシュー43bを進退方向に移動させる部分である。そして、グリッパージャッキ43aの伸長によって、グリッパーシュー43bが既設のセグメントTの内面に押圧されるとグリッパー43が固定される。
【0030】
スライド支持部32の内側には、牽引ジャッキ44が設けられている。この牽引ジャッキ44は、グリッパーユニット40をスライド支持部32上で移動させるためのものである。牽引ジャッキ44とグリッパー43とを連動させることで、シールドトンネルの構築後に、シールドマシンの内殻部(カッター駆動部15やスクリューコンベアSC等)を発進立坑側へと引き戻すことができる。
【0031】
次に、リングガータ22について説明する。図3に示すように、リングガータ22は、複数の扇型ブロック22a〜22jに分割されており、隣接するブロック同士を連結部材26によって連結することで、円形リング状となる。連結部材26は、ブロック同士を連結できるものであれば形式は問わないが、着脱が容易なもの、例えばボルトとナットの組が好適に用いられる。また、図3の例では、リングガータ22を10個のブロック22a〜22jに分割しているが、この数に限定されない。前述したように、リングガータ22は、シールドマシンの解体時において、エレクター24によってブロック毎に移送される。このため、各ブロック22a〜22jが、エレクター24にて移送できる大きさ及び重さであれば、分割数は適宜定めることができる。
【0032】
また、各ブロック22a〜22jは複数の小室を有しており、小室のそれぞれにシールドジャッキ23が収容されている。シールドジャッキ23の前端は各ブロック22a〜22jに接続され、後端は既設のセグメントTを押圧するため自由端になっている。収縮状態においてシールドジャッキ23はそのほぼ全体がブロック22a〜22jの内部に収容されている。そして、収縮状態のシールドジャッキ23を伸長させると、シールドジャッキ23の後端部が後方に向けて移動される。
【0033】
後述するように、各ブロック22a〜22jはエレクター24で移送されるが、移送対象となるブロック22a(以下対象ブロック22aという)をエレクター24に対して円滑に載せ、かつ、確実に固定するために、本実施形態では受け架台51を用いている。例えば図4(a)に示すように、受け架台51は、ブロック22a〜22jの内周面の曲率にあわせて全体を湾曲させた矩形板状フレームによって構成される。図4(c)に示すように、この受け架台51は、表面51aがブロック22a〜22jを載置する載置面となり、裏面51bにはエレクター24の把持機構24dが把持するための把持部(図示せず)が設けられている。そして、受け架台51の表面51aに載せられたブロック22a〜22jは、ボルト止めや溶接等によって受け架台51に固定される。
【0034】
なお、斜めに位置しているブロック(22cや22h等)については、図4(b)に示すように、受け架台51の表面に支持板52を溶接し、ブロックの下側部分を支持板52に載せて支持してもよい。この場合もまた、受け架台51に載せられたブロックは、ボルト止めや溶接等によって受け架台51に固定される。
【0035】
次に、以上の構成を有するシールドマシンによる作業について説明する。このシールドマシンは、シールドトンネルの構築を完了した後のリングガータ22の解体作業に特徴を有している。このため、リングガータ22の解体作業について説明する。
【0036】
最後のセグメントを設置したならば、図5(a)に示すように、各シールドジャッキ23を伸長させてシールドマシンをさらに掘進させる。これにより、既設のセグメントTにおける前端とリングガータ22との間に、取り外し対象となる対象ブロック22aをエレクター24で旋回させるための空間Xを形成する(旋回空間形成工程)。本実施形態では、シールドジャッキ23が完全に伸長するまでシールドマシンを掘進させることで、対象ブロック22aを旋回させるための空間Xを形成している。
【0037】
シールドマシンを掘進させたならば、図5(b)に示すように、対象ブロック22aに収容された伸長状態のシールドジャッキ23に関し、その後端に設けられたスプレッダー部23aを、外殻部としてのスキンプレート21又は既設のセグメントTに固定する(ジャッキ固定工程)。スプレッダー部23aの固定は、種々の方法を採ることができる。例えば、スプレッダー部23aを直接スキンプレート21や既設のセグメントT(以下、スキンプレート21等という)に溶接することで固定することができる。また、用意したステー(図示せず)を、スプレッダー部23aとスキンプレート21等のそれぞれに溶接してもよい。さらに、用意したステー(図示せず)をスプレッダー部23aとスキンプレート21等のそれぞれにボルト止めしてもよい。なお、スプレッダー部23aは、スキンプレート21と既設のセグメントTの何れか一方に固定されていればよいが、両方に固定されていてもよい。
【0038】
スプレッダー部23aが固定されたならば、連結部材26(ボルトとナットの組)を取り外すことで、対象ブロック22aと他のブロック22b〜22jとの連結状態を解き、対象ブロック22aを他のブロック22b〜22jに対して移動可能な状態にする(連結解除工程)。なお、この連結解除工程は、ジャッキ固定工程よりも前に行ってもよい。
【0039】
対象ブロック22aの連結状態を解いたならば、図5(c)に示すように、受け架台51を把持機構24dに把持させたエレクター24を、対象ブロック22aの後方まで旋回させる。このとき、把持機構24dのスライドジャッキ24eを伸縮させて、受け架台51の表面51aを対象ブロック22aの内周面と面一か低い位置となるように位置付ける。その後、シールドジャッキ23を収縮させることで、対象ブロック22aを既設のセグメントT側に移動させる(対象ブロック移動工程)。これにより、シールドジャッキ23を収容した状態の対象ブロック22aが受け架台51の上に載置される。載置された対象ブロック22aは、溶接やボルト止め等によって受け架台51に固定される(対象ブロック固定工程)。
【0040】
対象ブロック22aが固定されたならば、図5(d)に示すように、スプレッダー部23aをスキンプレート21から切り離した状態でスライドジャッキ24eを収縮させることにより、対象ブロック22aをシールドマシンの中心側に多少移動させる。その後、エレクター24を旋回させて対象ブロック22aを搬出位置に位置付ける(エレクター旋回工程)。図6の例では、旋回範囲の下端に搬出位置が定められており、旋回範囲の上端に位置するブロック22aを対象にしている。このため、エレクター24は、図6(a),(b)に示すように、旋回範囲の上端で固定された対象ブロック22aを180度旋回させて、旋回範囲の下端に移送する。
【0041】
旋回範囲の下端まで対象ブロック22aを旋回させたならば、スライドジャッキ24eを伸長させて対象ブロック22aを台車(図示せず)の上に載せる。その後、対象ブロック22aを受け架台51から取り外す。例えば、溶接部分の切断やボルトの取り外しなどを行うことによって取り外す。そして、取り外された対象ブロック22aは台車によって搬出される。
【0042】
1つのブロックが搬出されたならば、他のブロック22b〜22jに対する搬出作業を、同様の手順で繰り返し行う。そして、最終のブロックの搬出が終了したならば、リングガータ22の解体作業を終了し、シールドマシンにおける他の部分について解体作業を行う。
【0043】
以上のように、本実施形態の解体方法では、シールドマシンが備えるシールドジャッキ23を動力として用い、対象ブロック22aを受け架台51(エレクター24)まで引き出している。そして、引き出された対象ブロック22aは、エレクター24によって旋回され、所定の搬出位置まで移送される。このように、対象ブロック22aの引き出しや旋回に際して、シールドマシンが備えている装置を転用しているので、解体用の装置を設置する等の手間を省くことができ、シールドジャッキ23やリングガータ22の解体作業を容易に行うことができる。加えて、シールドジャッキ23を対象ブロック22aに収容した状態で移送できるので、再利用可能なシールドジャッキ23の損傷を防止できる。
【0044】
また、この解体方法では、エレクター24に予め取り付けられた受け架台51に、対象ブロック22aを載せて固定しているので、対象ブロック22aをエレクター24に対して確実に固定できるし、対象ブロック22aの落下も防止できる。
【0045】
また、この解体方法では、隣り合うブロック同士を連結する連結部材26として、ボルトとナットの組を用いており、ボルトとナットを取り外すことで連結状態を解き、対象ブロック22aを移動可能な状態にしているので、対象ブロック22aを他のブロックから容易に取り外すことができる。
【0046】
なお、この解体方法では、受け架台51を介して対象ブロック22aを固定していたが、これに限らず、受け架台51を介さずに対象ブロック22aを直接エレクター24に把持させてもよい。
【0047】
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
【0048】
図7は、リングガータの第1変形例を説明する図である。第1変形例のリングガータ60は、扇形に分割されたブロック61〜66が、さらにリングの外周側と内周側とに分割されている。すなわち、1つの扇形ブロック61〜66が外周側ブロック61a〜66aと内周側ブロック61b〜66bとに分割されている。このように構成することで、搬送されるブロックについて軽量化が図れ、エレクター24に対する負担を軽減できる。
【0049】
図8は、リングガータの第2変形例を説明する図である。第2変形例のリングガータでは、第1変形例のリングガータ60と同様に、扇形ブロック71が外周側ブロック71aと内周側ブロック71bとに分割されている。なお、一部のブロック71しか図示しないが、他のブロックについても同様である。さらに、この第2変形例では、外周側ブロック71aと内周側ブロックのそれぞれに、シールドジャッキ23が取り付けられるように構成されている。具体的には、図8(a)に示すように、外周側ブロック71aと内周側ブロック71bとの間でシールドジャッキ23を移動可能に保持するための長穴部71cを、各小室に設けている。
【0050】
第2変形例のリングガータでは、外周側ブロック71aに位置するシールドジャッキ23を、図8(b)に示すように、内周側ブロック71bへ移動させて固定する。そして、図8(c)に示すように、内周側ブロック71bと外周側ブロック71aとを分離し、内周側ブロック71bをシールドジャッキ23と共に移動させる。
【0051】
このように構成することで、シールドジャッキ23が取り付けられた内周側ブロック71bを、小径のシールドマシンに対して簡単に転用できる。すなわち、使用済みシールドマシンの他のシールドマシンへの効率的な部品転用が実現できる。
【0052】
なお、各変形例において、リングガータ60,70における半径方向の分割数は2つに限られない、3以上に分割してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…前胴部,11…スキンプレート,12…カッター部,12a…円盤状部材,12b…アーム部材,13…前胴中殻部,14…中折れジャッキ,15…カッター駆動部,15a…カッター駆動モータ,20…後胴部,21…スキンプレート,22…リングガータ,22a〜22j…ブロック(22a…対象ブロック),23…シールドジャッキ,23a…スプレッダー部,24…エレクター,24a…支持フレーム,24b…回転フレーム,24c…駆動モータ,24d…把持機構,24e…スライドジャッキ,25…連結フレーム,26…連結部材,30…後方台車,31…搬送用ローラ,32…スライド支持部,40…グリッパーユニット,41…摺動フレーム,42…グリッパー固定フレーム,43…グリッパー,43a…グリッパージャッキ,43b…グリッパーシュー,44…牽引ジャッキ,51…受け架台,52…支持板,60…リングガータ,61〜66…扇形ブロック,61a〜66a…外周側ブロック,61b〜66b…内周側ブロック,71…扇形ブロック,71a…外周側ブロック,71b…内周側ブロック,T…既設のセグメント,PJ…ピン結合部,SC…スクリューコンベア,X…旋回用の空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻部の内面側に設けられ、複数のブロックに分割されると共に、隣接するブロック同士が連結部材によってリング状に連結されたリングガータと、
一端が前記リングガータに固定された状態で前記ブロックのそれぞれに収容され、かつ、既設のセグメントから反力を得て推進力とするシールドジャッキと、
設置前のセグメントを把持し、所定の角度位置に位置付けるエレクターとを有するシールドマシンの解体方法であって、
前記リングガータが有する複数のブロックのうち、取り外し対象となる対象ブロックに収容された前記シールドジャッキを伸長し、前記シールドジャッキの他端を前記外殻部又は前記既設のセグメントの少なくとも一方に固定するジャッキ固定工程と、
前記ジャッキ固定工程よりも前又は後に、前記連結部材による連結状態を解いて前記対象ブロックを他のブロックに対して移動可能な状態にする連結解除工程と、
前記連結部材による連結状態が解かれた前記対象ブロックを、前記シールドジャッキを収縮させることで前記既設のセグメント側に移動させる対象ブロック移動工程と、
前記既設のセグメント側に移動された前記対象ブロックを、前記エレクターに固定する対象ブロック固定工程と、
前記対象ブロックが固定された前記エレクターを旋回させ、前記対象ブロックを所定の搬出位置に位置付けるエレクター旋回工程とを行うことを特徴とするシールドマシンの解体方法。
【請求項2】
前記対象ブロック固定工程では、前記エレクターに予め取り付けられた受け架台に、前記対象ブロックを載せて固定することを特徴とする請求項1に記載のシールドマシンの解体方法。
【請求項3】
前記連結部材はボルトとナットの組からなり、
前記連結解除工程では、前記ボルトと前記ナットとを取り外すことで前記連結部材による連結状態を解くことを特徴とする請求項1又は2に記載のシールドマシンの解体方法。
【請求項4】
前記ブロックは、リングの外周側と内周側に分割されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のシールドマシンの解体方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−241419(P2012−241419A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112782(P2011−112782)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】