説明

シールド掘進機

【課題】機長を比較的短く抑えることができ、安価で簡易で信頼性の高い拡幅カッタを備えたシールド掘進機を提供する。
【解決手段】本線シールド3に、径方向に掘削する拡幅カッタ8を設けたシールド掘進機1であって、拡幅カッタ8を複数の小型カッタ14、15、16で形成すると共に、これらの小型カッタ14、15、16を周方向に多連に配置し、かつ、これらを径方向に出没自在に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本線シールドに、径方向に掘削する拡幅カッタを設けたシールド掘進機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路トンネルにおいては、所定距離毎に車両の非常駐車帯を設ける必要がある。この非常駐車帯は、道路本線の脇に駐車スペースを形成するものであり、トンネルの一側を拡幅し、この拡幅したエリア内に形成している。
【0003】
トンネルの一側を拡幅する方法としては、シールド掘進機により道路本線を形成する主トンネルを掘削・構築したのち、主トンネルに沿って拡幅用のシールド掘進機を掘進させ、主トンネルの一側に拡幅部を構築して主トンネルを拡幅するものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この工法は主トンネルを構築する工程と、拡幅部を構築する工程との2つの工程を必要とするため、コストが高く、かつ工期が長期化するという問題があった。
【0005】
そこで本出願人は、主トンネルと拡幅トンネルとをシールド掘進機で並行に構築したのち、主トンネルと拡幅トンネルとを接合して主トンネルの一側を拡幅する工法を発案し、主トンネルと拡幅トンネルとを並行に構築できるシールド掘進機を開発中(特願2003−337869号及び特願2003−106824号にて特許出願中)である。
【0006】
上記シールド掘進機は、主トンネルを構築する本線シールドの側部に拡幅トンネルを構築する拡幅シールドを出没自在に設けてなるものである。拡幅シールドは、本線シールドの側面に沿って地山を掘削する拡幅カッタと、拡幅カッタで掘削した拡幅穴内に拡幅セグメントを組み立てて拡幅トンネルを構築するクレセント本体とを備えて構成されている。
【0007】
ところで、上記シールド掘進機の拡幅カッタは、径方向に突出して本線シールドの側方の地山を掘削する用途の特殊性から、本線シールドのカッタとは異なる能力が求められる。このため、本出願人は最良の拡幅カッタを得るべく種々の拡幅カッタを備えたシールド掘進機を提案してきた。
【0008】
例えば、図23に示すように、本線シールド60に径方向外方に出没自在にスライド筒61を設け、スライド筒61の先端に球体62を回動自在に設け、球体62にカッタ本体63を設けた球体カッタ式のシールド掘進機64や、図24(a)、(b)に示すように、本線シールド65にカッタ本体66を径方向に出没自在かつ周方向にスライド自在に設けたスライドカッタ式のシールド掘進機67や、図25(a)、(b)に示すように、本線シールド71に屈曲自在なブーム68を設け、ブーム68の先端にカッタヘッド69を設けたブームカッタ式のシールド掘進機70等である。
【0009】
球体カッタ式のシールド掘進機64とブームカッタ式のシールド掘進機70は、比較的短い掘進距離でクレセント本体(図示せず)を容易に本線シールド60、71から突出させることができるという長所があり、スライドカッタ式のシールド掘進機67は、機長を比較的短く形成できるという長所がある。
【0010】
【特許文献1】特公昭62−1073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、球体カッタ式のシールド掘進機64は、拡幅カッタが大型となるため価格が高くなり易いと共に、本線シールド60の機長を短く抑えることが難しく、拡幅カッタの機構が複雑となって信頼性にやや欠けるという短所があり、スライドカッタ式のシールド掘進機67は、拡幅カッタが大型となるため価格が高くなり易いと共に、拡幅カッタ機構が複雑となって信頼性にやや欠けるという短所があり、ブームカッタ式のシールド掘進機70は、カッタヘッド69が機長方向にも動くため本線シールド71の機長を短く抑えることが難しく、拡幅カッタの機構が複雑となって信頼性にやや欠けるという短所があった。
【0012】
そこで本発明の目的は、上記課題を解決し、機長を比較的短く抑えることができ、安価で簡易で信頼性の高い拡幅カッタを備えたシールド掘進機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明は、本線シールドに、径方向に掘削する拡幅カッタを設けたシールド掘進機であって、拡幅カッタを複数の小型カッタで形成すると共に、これらの小型カッタを周方向に多連に配置し、かつ、これらを径方向に出没自在に設けたものである。
【0014】
上記小型カッタは、本線シールド内に収容されているとき縮径されると共に、本線シールドから突出されたとき拡径するように拡縮自在に形成されるとよい。
【0015】
また、上記小型カッタは、上記本線シールドから径方向に出没自在な筒状フレームを有すると共に、筒状フレームの先端に設けられたカッタ本体を有し、上記筒状フレームを径方向に出没させることでカッタ本体を径方向に出没させるように構成されるとよい。
【0016】
本線シールドに、拡幅セグメントを組み立てて拡幅トンネルを構築するクレセント本体を出没自在に設け、該クレセント本体の前部に上記小型カッタを周方向に多連に配置し、かつ、径方向に出没自在に設けるとよい。
【0017】
或いはまた、上記本線シールドに上記小型カッタを周方向に多連に配置し、かつ、径方向に出没自在に設けると共に、これら小型カッタの後方の本線シールドに、拡幅セグメントを組み立てて拡幅トンネルを構築するクレセント本体を出没自在に設け、小型カッタとクレセント本体とをそれぞれ独立して本線シールドから出没させるように構成するとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、拡幅カッタを安価で簡易で信頼性の高いものにでき、シールド掘進機の機長を比較的短く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態を示すシールド掘進機の正面図であり、図2は、図1の要部拡大側面図であり、図3は図1の平面断面図である。
【0020】
図3に示すように、シールド掘進機1は、主トンネル2を構築する本線シールド3の側部に拡幅トンネル4を構築するための拡幅シールド5を設けて構成されている。拡幅シールド5は、本線シールド3に径方向に出没自在に設けられ拡幅セグメント6を組み立てて拡幅トンネル4を構築するクレセント本体7と、クレセント本体7の前部に設けられた拡幅カッタ8とからなる。
【0021】
クレセント本体7は、本線シールド3の側面部に径方向に窪んで形成されたガイド部9内にスライド可能に収容されており、外殻を形成する拡幅シールドフレーム10と、拡幅シールドフレーム10内に設けられたエレクタ11と、エレクタ11で組み立てた拡幅セグメント6を後方へ押し出すための押出ジャッキ12とを備えて構成されている。図3及び図4に示すように、拡幅シールドフレーム10は、基端側に本線シールド3の機内に開口される開口部13を有し、開口部13から拡幅セグメント6等の建材を搬入するようになっている。また、クレセント本体7は、ガイド部9から突出されたとき、断面クレセント状(三日月状)に本線シールド3から突出されるようになっている。
【0022】
図1及び図2に示すように、拡幅カッタ8は、複数の小型カッタ14、15、16からなる。小型カッタ14、15、16は、それぞれクレセント本体7の前部に周方向に多連に配置され、かつ、径方向に出没自在に設けられている。すなわち、互いに掘削面17をラップさせるように径方向に並べて配置されており、複数の小型カッタ14、15、16を組み合わせて1つの拡幅穴18を掘削するようになっている。
【0023】
小型カッタ14、15、16は、略同じ構造であるため、中段の小型カッタ15について説明する。
【0024】
図3及び図6に示すように、小型カッタ15は、クレセント本体7に径方向スライド自在に設けられ本線シールド3から径方向に出没自在に形成された筒状フレーム19と、筒状フレーム19の先端に設けられ地山を掘削するためのカッタ本体20とを備えて構成されており、筒状フレーム19を径方向に出没させることでカッタ本体20を径方向に出没させるように構成されている。図5に示すように、それぞれの小型カッタ14、15、16の筒状フレーム19は、互いに平行に配置されており、筒状フレーム19を出没させてもカッタ本体20同士の間隔を変化させないように構成されている。図1、図3及び図6に示すように、筒状フレーム19は、先端を塞がれた筒状に形成されており、クレセント本体7に形成されたガイド筒21内に挿入されている。筒状フレーム19内には、筒状フレーム19を出没させる伸縮駆動装置22たるジャッキと、カッタ本体20で掘削した土砂を回収するための送泥管23及び排泥管24と、カッタ本体20を駆動するカッタ駆動装置25とが設けられている。送泥管23及び排泥管24は、クレセント本体7の開口部13を経て本線シールド3内に延びるように配管されている。筒状フレーム19とガイド筒21との間には図示しないシールが設けられており、筒状フレーム19内への浸水を防ぐようになっている。また、筒状フレーム19は、カッタ本体20の掘削面17より小径に形成されており、カッタ本体20を径方向外方に押すとき、カッタ本体20の後側に突出する部分を極力小さくするようになっている。これにより、カッタ本体20を僅かに前進させるだけで筒状フレーム19を地山に当てることなく径方向に突出させることができ、拡幅穴18を容易かつ迅速に掘削できるようになっている。
【0025】
小型カッタ15は、本線シールド3内に収容されているとき縮径されると共に、本線シールド3から突出されたとき拡径するように拡縮自在に形成されている。具体的には、小型カッタ15は、カッタ本体20を拡縮自在に形成されており、カッタ本体20のカッタスポーク26を径方向に伸縮させることで拡縮されるようになっている。カッタスポーク26は、回転軸27に径方向に延びて設けられる基端側スポーク28と、基端側スポーク28に径方向にスライド自在に設けられる先端側スポーク29とを備えて構成されている。基端側スポーク28と先端側スポーク29にはそれぞれカッタビット30が設けられており、回転軸27と共に回転されることでカッタビット30で地山を切削するようになっている。カッタ本体20は、それぞれ掘削面17を本線シールド3の径方向外方に向けるように傾斜して筒状フレーム19に設けられており、地山を正面視楕円状に掘削するように構成されている。具体的には、最上段、最下段に配置される小型カッタ14、16のカッタ本体20は、掘進方向に対して約25度傾斜され、中段に配置される小型カッタ15のカッタ本体20は、掘進方向に対して約50度傾斜されており、断面略クレセント状の拡幅穴18を無駄なく掘削するように構成されている。
【0026】
図5に示すように、クレセント本体7を本線シールド3内に収容すると共に、拡幅カッタ8を本線シールド3内に収容したとき、拡幅カッタ8を覆うようにガイド部9を塞ぐシャッタ31が本線シールド3に開閉自在に設けられている。シャッタ31は、本線シールド3の外周と略同じ曲率で湾曲された板状に形成されており、ガイド部9の上下の本線シールド3に本線シールド3の外周に沿ってスライド自在に設けられている。
【0027】
次に本実施の形態の作用を述べる。
【0028】
図7に示すように、クレセント本体7と拡幅カッタ8を収容した本線シールド3内からクレセント本体7と拡幅カッタ8を径方向外方に突出させて拡幅トンネルの構築を始める場合、拡幅カッタ8を覆うシャッタ31を開き、それぞれの小型カッタ14、15、16のカッタ本体20を駆動させながら筒状フレーム19を径方向外方に突出させる。図8に示すように、カッタ本体20は本線シールド3の側面に臨む地山を掘削しながら本線シールド3の径方向外方に突出される。このとき、筒状フレーム19を出没させる伸縮駆動装置22はスペースの限られたクレセント本体7内に設けられており、十分なストロークを有しないため、カッタ本体20は所定の突出位置に到達せず、中間位置まで突出されることとなる。この後、図9に示すように、本線シールド3を掘進させ、カッタ本体20で掘進方向前方の地山を掘削する。
【0029】
図10に示すように、本線シールド3が拡幅カッタ8に後続するクレセント本体7の長さだけ掘進したら、それぞれの小型カッタ14、15、16で掘削した拡幅穴18内にクレセント本体7を突出させる。このとき、小型カッタ14、15、16の突出量はまだ十分でなく、拡幅穴18が小さいため、クレセント本体7も所定の突出位置に到達せず、中間位置まで突出されることとなる。また、伸縮駆動装置22たるジャッキはクレセント本体7が拡幅穴18内に突出されることで縮退される。
【0030】
図11に示すように、再びそれぞれの小型カッタ14、15、16のカッタ本体20を駆動させながら筒状フレーム19を径方向外方に突出させ、カッタ本体20を所定の突出位置に到達させ、図12に示すように、本線シールド3を掘進させる。図13に示すように、本線シールド3が所定距離掘進したら、拡幅穴18内にクレセント本体7を突出させ、エレクタ11を用いて拡幅セグメント6を組み立て始める。
【0031】
このように、拡幅カッタ8を複数の小型カッタ14、15、16で形成すると共に、これらの小型カッタ14、15、16を周方向に多連に配置し、かつ、これら小型カッタ14、15、16をクレセント本体7に径方向に出没自在に設けて本線シールド3の径方向に出没自在としたため、拡幅カッタ8を小型化でき安価にできると共に、本線シールド3の機長を容易に短く抑えることができ、拡幅カッタ8を簡易な機構にでき、信頼性の高いものにできる。また、小型カッタ14、15、16を組み合わせて拡幅カッタ8を構成するため、掘進方向に対するカッタ本体20の傾斜角度を適宜調整したり、サイズや形状の異なる小型カッタ(図示せず)を組み合わせたりすることで掘削断面の形状を自由に決定することができ、無駄のない理想的な掘削形状を確保できる。そしてさらに、それぞれのカッタ本体20を小型化できることから、拡幅カッタ8の掘進方向のサイズを小さくすることができ、シャッタ31を小さなものにできる。
【0032】
小型カッタ14、15、16は、本線シールド3内に収容されているとき縮径されると共に、本線シールド3から突出されたとき拡径するように拡縮自在に形成されるものとしたため、クレセント本体7又は本線シールド3に形成する小型カッタ14、15、16の収容スペースを小さくでき、本線シールド3の機長を短く抑えることができる。
【0033】
また、小型カッタ14、15、16は、本線シールド3から径方向に出没自在な筒状フレーム19を有すると共に、筒状フレーム19の先端に設けられたカッタ本体20を有し、筒状フレーム19を径方向に出没させることでカッタ本体20を径方向に出没させるように構成されるものとしたため、簡易な機構で容易にカッタ本体20を径方向に出没させることができ、小型カッタ14、15、16を信頼性の高いものにできる。
【0034】
本線シールド3に、拡幅セグメント6を組み立てて拡幅トンネル4を構築するクレセント本体7を出没自在に設け、クレセント本体7の前部に小型カッタ14、15、16を周方向に多連に配置し、かつ、径方向に出没自在に設けるものとしたため、小型カッタ14、15、16の伸縮駆動装置22を小型にでき、小型カッタ14、15、16を安価にできる。
【0035】
次に第2の実施の形態について述べる。上述と同様の構成については説明を省き、同符号を付す。
【0036】
図14及び図15に示すように、拡幅シールド40は、本線シールド41に径方向に出没自在に設けられ拡幅セグメント6を組み立てて拡幅トンネル4を構築するクレセント本体42と、クレセント本体42の前方の本線シールド41に設けられた拡幅カッタ43とからなる。
【0037】
クレセント本体42は、本線シールド41の側面部に径方向に窪んで形成された本体用ガイド部44内にスライド可能に収容されている。クレセント本体42の基端側には、本線シールド41の機内に開口される開口部45が形成されており、開口部45から拡幅セグメント6等の建材を搬入するようになっている。
【0038】
拡幅カッタ43は、複数の小型カッタ46、47、48からなる。小型カッタ46、47、48は、それぞれクレセント本体42の前方の本線シールド41に周方向に多連に配置され、かつ、径方向に出没自在に設けられている。小型カッタ46、47、48は、それぞれ略同じ構造であり、最上段の小型カッタ46について説明する。小型カッタ46は、本線シールド41に径方向スライド自在に設けられた筒状フレーム49と、筒状フレーム49の先端に設けられ地山を掘削するためのカッタ本体20とを備えて構成されている。
【0039】
筒状フレーム49は、先端を塞がれた筒状に形成されており、本線シールド41に形成されたガイド筒50内に挿入されている。筒状フレーム49内には、伸縮駆動装置51たるジャッキと、送泥管23及び排泥管24と、カッタ駆動装置25とが設けられている。送泥管23及び排泥管24は、筒状フレーム49からガイド筒50内に延びると共に、ガイド筒50を貫通して本線シールド41に延びるように配管されている。これにより、クレセント本体42の開口部45に送泥管23及び排泥管24が配管されるのを防ぎ、クレセント本体42内に拡幅セグメント6等の建材を容易に搬入できるようになっている。筒状フレーム49とガイド筒50との間には図示しないシールが設けられており、筒状フレーム49内への浸水を防ぐようになっている。また、筒状フレーム49とガイド筒50は、第1の実施の形態よりも長く形成されており、筒状フレーム49を径方向に突出させるだけでカッタ本体20を所定の突出位置に到達させられるようになっている。
【0040】
カッタ本体20は、それぞれ掘削面17を本線シールド41の径方向外方に向けるように傾斜して筒状フレーム49に設けられており、地山を正面視楕円状に掘削するように構成されている。
【0041】
また、本線シールド41には、拡幅カッタ43のカッタ本体20を収容するためのカッタ収容部52が形成されており、カッタ収容部52には、カッタ収容部52を開閉自在に塞ぐシャッタ(図示せず)が開閉自在に設けられている。
【0042】
本実施の形態の作用を述べる。
【0043】
図16に示すように、クレセント本体42と拡幅カッタ43を収容した本線シールド41内からクレセント本体42と拡幅カッタ43を径方向外方に突出させて拡幅トンネルの構築を始める場合、図17に示すように拡幅カッタ43を覆うシャッタを開き、それぞれの小型カッタ46、47、48のカッタ本体20を駆動させながら筒状フレーム49を径方向外方に突出させる。このとき図15に示すように、最上段と最下段に位置される小型カッタ46、48は、掘進方向に対するカッタ本体20の傾斜角度が25度と小さく、筒状フレーム49の先端後部が地山に当たる。このため、小型カッタ46、47、48の径方向への移動は筒状フレーム49が地山に当たる寸前の位置までに止めておく。この後、図18に示すように、カッタ本体20を拡径し、図19に示すように、本線シールド41を掘進させてカッタ本体20で掘進方向前方の地山を掘削する。
【0044】
図20に示すように、本線シールド41が筒状フレーム49の先端後部の長さだけ掘進したら、それぞれの小型カッタ46、47、48をさらに突出させ、カッタ本体20を所定の突出位置に到達させる。
【0045】
図21に示すように、小型カッタ46、47、48のカッタ本体20をそれぞれ駆動させながら本線シールド41をクレセント本体42の長さだけ掘進させ、図22に示すように、それぞれの小型カッタ46、47、48で掘削した拡幅穴18内にクレセント本体42を突出させ、エレクタ11を用いて拡幅セグメント6を組み立て始める。
【0046】
このように、本線シールド41に小型カッタ46、47、48を周方向に多連に配置し、かつ、径方向に出没自在に設けると共に、これら小型カッタ46、47、48の後方の本線シールド41に拡幅セグメント6を組み立てて拡幅トンネル4を構築するクレセント本体42を出没自在に設け、小型カッタ46、47、48とクレセント本体42とをそれぞれ独立して本線シールド41から出没させるように構成したため、第1の実施の形態のようにクレセント本体42を小型カッタ46、47、48の前方まで延ばす必要がなく、本線シールド41の機長をさらに短く抑えることができる。そして、本線シールド41に小型カッタ46、47、48の前方まで延びるガイド部9を形成する必要がなくなり、小型カッタ46、47、48の前方に小型カッタ46、47、48のカッタ本体20を収容するだけのカッタ収容部52を形成すればよいため、カッタ収容部52の径方向内側にスペースを形成でき、本線シールド41内の限られた空間を有効に使用できる。
【0047】
なお、筒状フレーム19、49は、断面円形のものを図示したが、これに限るものではなく、矩形状や多角形状等の他の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すシールド掘進機の正面図である。
【図2】図1の要部拡大側面図である。
【図3】図1の平面断面図である。
【図4】図3のA−A線矢視断面図である。
【図5】図3のB−B線矢視断面図である。
【図6】図3の要部拡大図である。
【図7】拡幅カッタとクレセント本体を収容した本線シールドの要部平面断面図である。
【図8】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第1工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図9】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第2工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図10】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第3工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図11】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第4工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図12】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第5工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図13】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第6工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図14】第2の実施の形態を示すシールド掘進機の要部拡大平面断面図である。
【図15】図14の側面図である。
【図16】拡幅カッタとクレセント本体を収容した本線シールドの要部平面断面図である。
【図17】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第1工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図18】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第2工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図19】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第3工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図20】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第4工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図21】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第5工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図22】拡幅カッタとクレセント本体を拡幅位置に移動させる第6工程を終えた本線シールドの要部平面断面図である。
【図23】開発中のシールド掘進機の要部拡大平面断面図である。
【図24】(a)は開発中のシールド掘進機の要部拡大平面断面図であり、(b)は(a)の背面断面図である。
【図25】開発中のシールド掘進機の背面断面図であり、(a)は拡幅カッタが非作動位置にある状態を示し、(b)は拡幅カッタが作動位置にある状態を示すものである。
【符号の説明】
【0049】
1 シールド掘進機
3 本線シールド
4 拡幅トンネル
6 拡幅セグメント
7 クレセント本体
8 拡幅カッタ
14 小型カッタ
15 小型カッタ
16 小型カッタ
19 筒状フレーム
20 カッタ本体
41 本線シールド
42 クレセント本体
43 拡幅カッタ
46 小型カッタ
47 小型カッタ
48 小型カッタ
49 筒状フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線シールドに、径方向に掘削する拡幅カッタを設けたシールド掘進機であって、拡幅カッタを複数の小型カッタで形成すると共に、これらの小型カッタを周方向に多連に配置し、かつ、これらを径方向に出没自在に設けたことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
上記小型カッタは、本線シールド内に収容されているとき縮径されると共に、本線シールドから突出されたとき拡径するように拡縮自在に形成される請求項1記載のシールド掘進機。
【請求項3】
上記小型カッタは、上記本線シールドから径方向に出没自在な筒状フレームを有すると共に、該筒状フレームの先端に設けられたカッタ本体を有し、上記筒状フレームを径方向に出没させることでカッタ本体を径方向に出没させるように構成された請求項1又は2記載のシールド掘進機。
【請求項4】
本線シールドに、拡幅セグメントを組み立てて拡幅トンネルを構築するクレセント本体を出没自在に設け、該クレセント本体の前部に上記小型カッタを周方向に多連に配置し、かつ、径方向に出没自在に設けた請求項1〜3いずれかに記載のシールド掘進機。
【請求項5】
上記本線シールドに上記小型カッタを周方向に多連に配置し、かつ、径方向に出没自在に設けると共に、これら小型カッタの後方の本線シールドに、拡幅セグメントを組み立てて拡幅トンネルを構築するクレセント本体を出没自在に設け、小型カッタとクレセント本体とをそれぞれ独立して本線シールドから出没させるように構成した請求項1〜3いずれかに記載のシールド掘進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−104708(P2006−104708A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290343(P2004−290343)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】