説明

シールド掘進機

【課題】掘削外径を小さくすることができるシールド掘進機を提供することである。
【解決手段】シールド掘進機1は、スキンプレート2におけるテールプレート3の内側にその内周面と対向してスライドプレート10が設置され、該スライドプレート10には外型枠9が円周方向に沿って設けられ、前記スライドプレート10が、スキンプレート2の内周面から突出したガイドパイプ14にスライド自在に設けられ、スライドプレート10の外周面とスキンプレート2の内周面との間には縮径用チューブ17が設けられ、スライドプレート10の両端における鍔片12と、テールプレート3の内周面から吊り下げられて前記鍔片内面とに対向した受け片15との間には拡径用チューブ16が設けられ、該拡径用チューブ16の膨張により外型枠9が拡がるときには縮径用チューブ17が収縮し、該縮径用チューブ17の膨張により外型枠9が縮小するときには拡径用チューブ16が収縮することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールド掘進機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド工法の場所打ちライニングのコンクリート打設においては外型枠を使用せずに直接地山に打設する方法、または外型枠を用いる場合は外型枠を埋設する方法がある。またその他に特許第3069619号のシールド掘進機の発明がある。このシールド掘進機は、互いにテーパが付いた二重に配管されたアウタリングとインナリングとを油圧ジャッキで押し引きしてテーパで型枠を上下動させて脱型する方法である。
【特許文献1】特許306919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のようなシールド掘進機は二重に配管されたアウタリングとインナリングとから構成されているため、型枠が厚くて掘削外径が大きくなってしまうため工費が増大するという問題があった。
【0004】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、掘削外径を小さくすることができるシールド掘進機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するためのシールド掘進機は、シールド掘進機のテールプレートの内側にテールプレートの内周面と対向してスライドプレートが設置され、該スライドプレートには外型枠が円周方向に沿って設けられ、前記スライドプレートが、スキンプレートの内周面から突出したガイドパイプにスライド自在に設けられ、スライドプレートの外周面とスキンプレートの内周面との間には縮径用チューブが設けられ、スライドプレートの両端における鍔片と、テールプレートの内周面から吊り下げられて前記鍔片内面とに対向した受け片との間には拡径用チューブが設けられ、該拡径用チューブの膨張により外型枠が拡がるときには縮径用チューブが収縮し、該縮径用チューブの膨張により外型枠が縮小するときには拡径用チューブが収縮することを特徴とする。また縮径用チューブと拡径用チューブとは円周方向に沿って複数に分割して設けられたことを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
シールド掘進機がコンパクトな構成になるため、トンネルの掘削外径の縮小が可能となる。また拡径用チューブと縮径用チューブとの拡縮でスライドプレートのスライドを行うことにより、裏込材や土砂が噛み込むこともなくスムーズに行うことができる。また外型枠の機構が簡易化されたので清掃や補修のメンテナンスが容易にできる。また拡径用チューブと縮径用チューブの厚みによってスライドプレートの作動域を調整することができる。また縮径用チューブと拡径用チューブとは円周方向に沿って複数に分割して設けられたことにより、破損した場合は、破損したチューブのみの交換ができるので、取り替え作業が最小限に抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のシールド掘進機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。このシールド掘進機1は、シールド掘進機のスキンプレート2におけるテールプレート3内でコンクリートを場所打ちするにあたり、トンネル躯体4の内側に環状の内型枠5を形成し、該内型枠5の内側にコンクリート6を打設するものであり、前記内型枠5に反力をとってシールド掘進機1を推進させる推進ジャッキ7と、前記コンクリート6を加圧脱水するプレスジャッキ8とを備え、テールプレート3の内側に外型枠9が設けられている。
【0008】
図1〜図4はテールプレート3の断面図であり、このテールプレート3の内側に外型枠9と内型枠5とが形成され、これらの間にライニング用の現場打ちコンクリート6が打設されている。
【0009】
この外型枠9はテールプレート3の内側に設けたスライドプレート10に固定用ボルト11で設けられ、このスライドプレート10がテールプレート3の内面に対向して円周方向に沿って設けられている。すなわち外型枠9は円周方向に三分割されて設けられ、各分割片がスライドプレート10に設置されている。なお外型枠9は上記のように三分割に限らず、これ以上またはこれ以下の分割数であっても良い。
【0010】
このスライドプレート10は断面皿状であり、その両端部に上側に折り曲げられた鍔片12が形成され、ガイド管13がテールプレート3の内面に突設したガイドパイプ14に挿入されて内外方向にスライド自在になっている。
【0011】
また鍔片12の内側にはテールプレート3の内面から吊り下げられた受け片15が対向して設けられ、この受け片15と鍔片12との間には拡径用チューブ16が設置されている。さらにスキンプレート2とスライドプレート10との間には縮径用チューブ17が設置されている。
【0012】
この拡径用チューブ16と縮径用チューブ17とは大きさが異なるだけで、スキンプレート2内面の円周方向に沿って複数に分割して設置され、これらがコンプレッサ(図示せず)で拡縮自在になっている。
【0013】
したがって、この拡径用チューブ16と縮径用チューブ17とはコンプレッサによって拡縮され、図5に示すように、拡径用チューブ16に空気が充填されると縮径用チューブ17が縮んで、スライドプレート10がガイドパイプ14をガイドとして、外側(図面では上側)に移動することにより外型枠9が外側に広がる。
【0014】
これとは反対に、図1に示すように、縮径用チューブ17に空気が充填されると拡径用チューブ16が縮んで、スライドプレート10がガイドパイプ14をガイドとして、内側(図面では上側)に移動することにより外型枠9が内側に縮む。
【0015】
次に、このシールド掘進機1を使用したトンネルのライニング方法について説明する。まず図1に示すように、推進ジャッキ7とプレスジャッキ8とを引き戻した状態で外型枠9をセットする。このとき外型枠9は内側に移動した状態、すなわち縮径用チューブ17に空気が充填されて内側に押し出された状態になっている。
【0016】
次に、上記の外型枠9の内側にセグメントで内型枠5を組み立てて、この内型枠5に推進ジャッキ7を押し当ててセットするととともに、プレスジャッキ8も押し出して妻型枠18に押し当てる。
【0017】
そして、この内型枠5と外型枠9とで形成された空間にコンクリート6を打設するとともに、該コンクリート6をプレスジャッキ8で押圧して加圧脱水し、所定期間の養生を行う。
【0018】
この養生の終了後、図5に示すように、拡径用チューブ16に空気を充填させて膨張させるとともに、縮径用チューブ17から空気を抜いて縮めることにより外型枠9を外側に拡げてコンクリート6から離す。
【0019】
次に、内型枠5に反力をとって推進ジャッキ7でシールド掘進機1を前進させるとともに、これと平行して裏込注入19を行う。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】シールド掘進機の横断面図である。
【図2】スキンプレートにおけるテールプレートの断面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】外型枠の斜視図である。
【図5】スキンプレートにおけるテールプレートの断面図である。
【図6】図5のB−B線断面図である。
【図7】外型枠の斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 シールド掘進機
2 スキンプレート
3 テールプレート
4 トンネル躯体
5 内型枠
6 コンクリート
7 推進ジャッキ
8 プレスジャッキ
9 外型枠
10 スライドプレート
11 固定用ボルト
12 鍔片
13 ガイド管
14 ガイドパイプ
15 受け片
16 拡径用チューブ
17 縮径用チューブ
18 妻型枠
19 裏込注入

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘進機のテールプレートの内側にテールプレートの内周面と対向してスライドプレートが設置され、該スライドプレートには外型枠が円周方向に沿って設けられ、前記スライドプレートが、スキンプレートの内周面から突出したガイドパイプにスライド自在に設けられ、スライドプレートの外周面とスキンプレートの内周面との間には縮径用チューブが設けられ、スライドプレートの両端における鍔片と、テールプレートの内周面から吊り下げられて前記鍔片内面とに対向した受け片との間には拡径用チューブが設けられ、該拡径用チューブの膨張により外型枠が拡がるときには縮径用チューブが収縮し、該縮径用チューブの膨張により外型枠が縮小するときには拡径用チューブが収縮することを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
縮径用チューブと拡径用チューブとは円周方向に沿って複数に分割して設けられたことを特徴とする請求項1に記載のシールド掘進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−239372(P2007−239372A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65664(P2006−65664)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【出願人】(000252207)六菱ゴム株式会社 (41)
【Fターム(参考)】