説明

シールド掘進機

【課題】 エレクタ装置を土砂排出装置で支持して、トンネル形成後におけるエレクタ装置のリサイクル性の向上を図ることができるシールド掘進機を提供すること。
【解決手段】 シールド本体内でセグメント101を把持してセグメントリング100を組み立てるエレクタ装置30を備え、シールド掘進機1の前面で掘削した土砂をシールド本体3の径方向中央部から排出するスクリューコンベヤ20を有し、前記スクリューコンベヤ20は、前記エレクタ装置30をシールド本体3の径方向中央部で支持するエレクタ支持部31を有し、前記エレクタ支持部31は、前記エレクタ装置30の中心軸線を前記シールド本体3の中心軸線と平行に保つエレクタ平行機構50を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクタ装置をスクリューコンベヤ等の土砂排出装置で支持するシールド掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド掘進機によって地山を掘削した後、シールド本体の内部に設けられたエレクタ装置によって複数に分割されたセグメントを周方向に組み付けることでセグメントリングが組み立てられている。
【0003】
上記エレクタ装置は、シールド本体内に後方から搬送されてきたセグメントを把持し、このセグメントをシールド掘進機の軸方向(この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、「Z軸方向」という)と径方向、及び周方向に移動(ハンドリング)して、所定の位置に組み付けることで円筒形のセグメントリングを組み立てている。
【0004】
このようなエレクタ装置をシールド本体内に設けるための支持構造としては、一般的に、シールド本体から支持ローラを介して支持する構造や、シールド本体からサポートビームを張り出して設けたスライドテーブル上に支持する構造等が採用されている。また、エレクタ回転支持は従来式で、それ以外の伸縮・摺動・振れ止め機構を、エレクタドラムからZ軸方向後方に張り出したサポートビームに支持する方式も提案されている。
【0005】
この種の先行技術として、例えば、シールド本体の軸心に設けられたエレクタリングからZ軸方向後方に延びる2本のアームを設け、セグメント把持部を有するスライドフレームを上記アームに沿ってZ軸方向に移動させるようにしたものがある。このエレクタ装置では、スライドフレームを直線ベアリングでアームに設け、スライドフレームをZ軸方向に移動させる機構として、回転駆動装置とボールねじとを有する前後駆動装置で移動させるようにしている。そして、そのスライドフレームにX軸・Y軸動作が可能な装置を取り付けて各セグメントを組み立てるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、他の先行技術として、シールド本体に軸受けを介して旋回体を設け、その旋回体に昇降機能・摺動機能・把持機能を装備した状態で、シールド掘進機軸心と旋回体軸心とを偏心させることで、下部にスペースを設けて桁高さの高いセグメントに対応できるようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−60497号公報
【特許文献2】特許第4515658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、シールド掘進機は、トンネル形成後、シールド本体内部に設けられている構成品等は撤去される。特に、近年、シールド掘進機のコスト削減や廃棄物削減による環境保全等のために再利用可能な構成品はリサイクルされている。例えば、機械部品であるエレクタ装置はシールド掘進機のコストに大きく影響するので、シールド掘進機の費用低減のためにリサイクルの要望が高い。
【0009】
しかし、エレクタ装置のリサイクルに際しては、上記したように従来のエレクタ装置はシールド本体から支持している関係から、新たに製作するシールド掘進機のシールド外径が異なる場合や、エレクタ装置の中空有効径内に配置するスクリューコンベヤなどの通過物が大きくなる場合には、リサイクルができない。
【0010】
特に、中折れ型シールド掘進機の場合、エレクタ中空有効径内のスクリューコンベヤなどの通過物が、シールド本体前胴に追従して動くため、その都度、スクリューコンベヤなどの通過物とシールド本体後胴に取り付けられているエレクタ装置の干渉を検討しなければならず、多大な設計時間を要する。しかも、シールド本体に旋回体が取り付けられているため、リサイクル性が低い。
【0011】
このように、通常、シールド掘進機の外径がトンネルの目的等に応じて異なるので、外径が異なるシールド掘進機の場合にはエレクタ装置のリサイクルが限られ、エレクタ装置のコスト削減によるシールド掘進機のコスト低減を図ることができない場合が多い。
【0012】
なお、上記特許文献1に記載されたエレクタ装置の場合、スライドフレームがエレクタリングとベアリングを介してシールド本体に取り付けられている。そのため、エレクタ装置の中空部分を通過させる土砂排出装置の配置等を考慮した有効径の設計が難しい。また、シールド本体にエレクタリングが取り付けられているため、異なる外径のシールド掘進機で再利用することは難しく、リサイクル性が低い。
【0013】
しかも、スライドフレームとセグメントの重量をアームで支持するため、アームに剛性が必要である。その上、セグメントを把持した状態のスライドフレームを軸方向に移動可能とする2本のアームに高精度が必要となる。そのため、これらの条件を満たす構造とするために多大な費用を要する。
【0014】
また、上記特許文献2では、シールド本体に軸受けを介して旋回体を取り付けているため、エレクタ装置の中空有効径は通過物に影響されて、設計が難しい。
【0015】
そこで、本発明は、エレクタ装置を土砂排出装置で支持して、トンネル形成後におけるエレクタ装置のリサイクル性の向上を図ることができるシールド掘進機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、シールド本体内でセグメントを把持してセグメントリングを組み立てるエレクタ装置を備えたシールド掘進機であって、前記シールド掘進機の前面で掘削した土砂をシールド本体から排出する土砂排出装置を有し、前記土砂排出装置は、前記エレクタ装置を支持するエレクタ支持部を有し、前記エレクタ支持部は、前記エレクタ装置の中心軸線を前記シールド本体の中心軸線と平行に保つエレクタ平行機構を有していることを特徴とする。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「土砂排出装置」は、カッタヘッドで掘削した土砂をシールド本体の後方に排出するスクリューコンベヤ等の土砂排出装置をいう。これにより、シールド本体内に配置するエレクタ装置をシールド本体の中央部で土砂排出装置によって適正な位置に安定して支持し、エレクタ装置の中心軸線をエレクタ平行機構でシールド本体の中心軸線と平行に保って、エレクタ装置によるセグメントの組み立てを安定して行うことができる。しかも、エレクタ装置は、外周部分にシールド本体からの支持部分がないので、トンネル形成後に撤去したエレクタ装置を異なる外径のシールド掘進機へリサイクルすることが容易に行えるようになり、エレクタ装置のリサイクル性を向上させることができる。
【0017】
また、前記エレクタ装置は、前記セグメントリングを組み立てるセグメントを周囲で移動させるエレクタ回転ドラムを備え、前記エレクタ支持部は、前記エレクタ回転ドラムの中心軸線を前記シールド本体の中心軸線に近接する位置に支持するように構成されていてもよい。このようにすれば、エレクタ装置で周方向に移動させるセグメントとシールド本体との距離をほぼ一定にすることができ、エレクタ装置によるセグメントの組み付け作業を全周で安定して行うことができる。
【0018】
また、前記シールド掘進機は、前胴と後胴とを有するシールド本体を備えた中折れ型シールド掘進機であり、前記土砂排出装置は、前記前胴部分に屈曲可能な前端支持部を有し、前記シールド本体は、前記前胴と後胴との中心軸線の角度変化に追従して前記土砂排出装置のエレクタ支持部を前記後胴の径方向中心部に位置させる角度追従装置を備え、前記角度追従装置は、前記土砂排出装置を水平方向に移動可能に支持する支持機構と、前記土砂排出装置を前記前胴に対して所定の角度に調整する角度調整機構とを有していてもよい。このようにすれば、中折れ型シールド掘進機の中折れ時に、土砂排出装置とエレクタ装置とを干渉させることなくエレクタ装置を後胴の径方向中央部に位置させることができる。従って、エレクタ装置とその有効径内を通過する土砂排出装置との位置関係を中折れ時も適正な関係に安定して保つことができ、中折れ型シールド掘進機における中折れ時のエレクタ装置と土砂排出装置とが干渉することが無くなる。
【0019】
また、前記角度調整機構は、前記土砂排出装置上に前記土砂排出装置と連結する土砂排出装置連結部を有すると共に、前記前胴の中折れ時に前記土砂排出装置連結部を中折れ側に所定量移動させるリンク機構を備えていてもよい。このようにすれば、角度調整機構の土砂排出装置連結部を前胴の中折れ方向に移動させるので、角度調整機構による小さな角度調整でエレクタ支持部の位置を後胴の径方向中央部に安定して保つことができる。しかも、高精度を必要としない単純なリンク機構を採用したエレクタ装置とすることで、エレクタ装置の製造コストを低減させることができ、シールド掘進機のコスト低減を図ることが可能となる。
【0020】
また、前記リンク機構は、一端が前記前胴に連結された第一リンクと、一端が前記土砂排出装置連結部に連結された第二リンクと、これら第一リンクと第二リンクのそれぞれの他端に連結された中間リンクとを備え、前記中間リンクは、前記前胴の中折れ量に応じて前記第二リンクを所定量移動させるように形成されていてもよい。このようにすれば、2つのリンクとそれらのリンクの間に設けた中間リンクで、前胴の中折れ量に応じて土砂排出装置を自動的に所定量移動させることができる。
【0021】
また、前記リンク機構は、前記中間リンクを後胴に支持するリンク支持部を有し、前記第二リンクは、前記土砂排出装置連結部を前記リンク支持部に向けてシールド本体の中心軸線と直交する径方向に移動させるように配置されていてもよい。このようにすれば、第二リンクによる土砂排出装置連結部の移動が径方向に直線的になり、第1リンク及び中間リンクの設定のみで、前胴の中折れ量に応じて土砂排出装置連結部の移動量を設計することができ、容易にリンク機構を設計することができる。
【0022】
また、前記エレクタ平行機構は、エレクタ装置の中心軸線を前記シールド本体の中心軸線と平行に保つと共に、前記前胴の中折れ時に生じる前記エレクタ装置の軸方向移動分を吸収する平行維持部材を有していてもよい。このようにすれば、中折れ型シールド掘進機の中折れ時においても、エレクタ装置の中心軸線をシールド本体の中心軸線に正確に保つことができ、中折れ型シールド掘進機においてもセグメントを安定して供給することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、土砂排出装置でエレクタ装置を支持する構成であるため、中折れ時に土砂排出装置とエレクタ装置が干渉することがない。また、この構成によれば、シールド掘進機の外径が異なっても、エレクタ装置を広くリサイクルすることができ、エレクタ装置のリサイクル性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシールド掘進機のシールド本体上部を除いて示す平面図である。
【図2】図1に示すシールド掘進機シールド本体側部を除いて示す側面図である。
【図3】図2に示すIII−III矢視断面図である。
【図4】(a) は図1に示すシールド掘進機の直進状態を示す平面図であり、(b) は(a) に示すIV−IV矢視断面図である。
【図5】(a) は図1に示すシールド掘進機の右中折れ状態を示す平面図であり、(b) は(a) に示すV−V矢視断面図である。
【図6】(a) は図1に示すシールド掘進機の左中折れ状態を示す平面図であり、(b) は(a) に示すVI−VI矢視断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るシールド掘進機のシールド本体上部を除いて示す平面図である。
【図8】図7に示すシールド掘進機シールド本体側部を除いて示す側面図である。
【図9】図8に示すIX−IX矢視断面図である。
【図10】(a) は図7に示すシールド掘進機の直進状態を示す平面図であり、(b) は(a) に示すX−X矢視断面図である。
【図11】(a) は図7に示すシールド掘進機の右中折れ状態を示す平面図であり、(b) は(a) に示すXI−XI矢視断面図である。
【図12】(a) は図7に示すシールド掘進機の左中折れ状態を示す平面図であり、(b) は(a) に示すXII−XII矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、中折れ型シールド掘進機に土砂排出装置としてスクリューコンベヤを設けた例を説明する。
【0026】
図1,2は第1実施形態に係る中折れ型シールド掘進機1を示している。この中折れ型シールド掘進機1は、前端部にカッタヘッド2を有するシールド本体3が前胴4と後胴5とから構成されている。この前胴4と後胴5は、中折れ中心7で中折れする中折れ部6で連結されている。前胴4の前部には、カッタチャンバ13を仕切るバルクヘッド8が設けられている。このバルクヘッド8の内側には、上記カッタヘッド2を回転駆動する駆動機9が設けられている。
【0027】
上記後胴5の前端と前胴4の後端との間には、中折れを可能とするための球面座6aが設けられている。後胴5の前部にはリングガーダー10が設けられ、このリングガーダー10には周方向に複数本のシールドジャッキ11が設けられている。これらのシールドジャッキ11は、ジャッキスプレッダー12を既設のセグメントリング100に向けて伸長することで掘進反力を受けている。上記カッタヘッド2を回転させながら、ジャッキスプレッダー12を伸長することで、シールド掘進機1によって地山110を掘削することができる。
【0028】
さらに、周方向に設けられた複数本の中折れジャッキ14の伸長量制御により、中折れ部6で中折れさせることができる。例えば、左部分の中折れジャッキ14の伸長量を右部分の中折れジャッキ14の伸長量よりも多くすることで右方向に中折れさせることができ、逆にすれば左方向に中折れさせることができる。
【0029】
また、上記バルクヘッド8の下部には、カッタヘッド2で掘削した土砂をシールド本体3の中央部から後方へ排出するスクリューコンベヤ20の前端部21が固定されている。スクリューコンベヤ20は、シールド本体3の径方向中央部に配置されている。
【0030】
そして、このスクリューコンベヤ20の所定位置に、エレクタ装置30が設けられている。このエレクタ装置30は、スクリューコンベヤ20上に設けられたエレクタ支持部31で支持されている。エレクタ支持部31は、エレクタ装置30の中央開口部(中空有効径部分)37をスクリューコンベヤ20が通過した状態で、このエレクタ装置30を上下部分で軸支するように構成されている。
【0031】
上記エレクタ支持部31でエレクタ装置30を支持する構成としては、例えば、エレクタ支持部31の上下部にピン32を設け、このピン32を中心にして、エレクタ装置30をスクリューコンベヤ20に対して回動可能に支持する構成等が採用される。
【0032】
さらに、上記エレクタ装置30は、セグメント101(スチールセグメント等も含む)を把持するセグメント把持部33を移動させるエレクタ回転ドラム34を有している。上記エレクタ支持部31で支持されたエレクタ装置30は、エレクタ回転ドラム34の中心軸線41(エレクタ装置30の中心軸線41でもある)が、後胴5の中心軸線40とほぼ一致するように近接した位置で支持されている(この図では、中心軸線40と41とが一致した状態で示している)。これにより、エレクタ装置30で半径方向に移動させるセグメント101の移動量が全周でほぼ同一(この図では同一)となるようにしている。
【0033】
また、エレクタ支持部31と後胴5との間には、上記エレクタ装置30の中心軸線41を後胴5の中心軸線40と平行に保つエレクタ平行機構50が設けられている。このエレクタ平行機構50は、後胴5のリングガーダー10から径方向中心に向けて突設されたブラケット51と、エレクタ装置30と一体となったエレクタ支持部31からブラケット51に向けて延びる平行維持部材52とを有している。この平行維持部材52は軸方向調整機構となっており、ブラケット51に連結されたロッド53が軸方向に伸縮する構造(ピストン構造)となっている。このロッド53が軸方向に伸縮することで、後述するように、前胴4の中折れ時に生じる軸方向移動分を吸収するようにしている。
【0034】
このように、平行維持部材52でエレクタ支持部31(エレクタ装置30)をリングガーダー10に設けたブラケット51と連結することで、エレクタ装置30の中心軸線41と後胴5の中心軸線40とが常に平行となるようにしている。つまり、このエレクタ平行機構50により、中折れ時にスクリューコンベヤ20を水平方向に角度変更してたとしても、後胴5とエレクタ装置30との相対角度が変化しないようにしている。
【0035】
つまり、上記したように、エレクタ支持部31に設けたピン32でエレクタ装置30を支持しているため、後胴5の中心軸線40に対するスクリューコンベヤ20の軸心の相対角度が変化したとしても、エレクタ装置30の中心軸線41と後胴5の中心軸線40との平行度が保たれるようにしている。なお、エレクタ支持部31は、垂直方向に設けたピン32のみであっても、そのピン32を支持する架台を有する構成であってもよい。
【0036】
このように、エレクタ平行機構50によって、中折れ時にスクリューコンベヤ20の後部支持部65を位置制御することで、セグメント組立中心点となるエレクタ支持部31のピン32の位置(エレクタ装置支持中心)が常に定位置となるようにしている。
【0037】
従って、シールド本体3の後胴5内にセグメントリング100を組み立てる際、エレクタ装置30の中心軸線41が後胴5の中心軸線40と平行に保たれるので、シールド本体3の中折れ状態に関係なく、後胴5の内面でエレクタ装置30によってセグメントリング100を安定して組み立てることができる。
【0038】
一方、上記シールド本体3には、前胴4を中折れさせたとしても、上記後胴5の中心軸線40にエレクタ支持部31、すなわちエレクタ装置30の中心部分を後胴5の中心部分に位置させるように角度調整する角度追従装置60が設けられている。この角度追従装置60は、シールド掘進機1の中折れ時に前胴4と後胴5との中心軸線の角度変化に対して、スクリューコンベヤ20の角度を調整して追従させるようになっている。角度追従装置60としては、スクリューコンベヤ20を水平方向に移動可能に支持する支持機構61と、スクリューコンベヤ20を前胴4に対して所定の角度に調整する角度調整機構62とを備えている。
【0039】
上記支持機構61は、スクリューコンベヤ20の前端部21をバルクヘッド8に支持する前端支持部63と、後部を後胴5の前部に設けられたリングガーダー10によって支持する後部支持部65とを有している。
【0040】
前端支持部63は、バルクヘッド8に固定された前端部21から所定距離後方に設けられている。この前端支持部63は球面座となっており、この前端支持部63よりも前方のバルクヘッド8に固定された前端部21と後方の部分との間で屈曲可能となっている。
【0041】
後部支持部65は、この第1実施形態に係るシールド掘進機1では、上方吊下げ方式となっている。後胴5の前部に設けられたリングガーダー10には、スクリューコンベヤ20の両側部に向けて2本の支持部材66が吊下げられている。これらの支持部材66は、スクリューコンベヤ20の長さ方向中間部分よりも後方位置で、リングガーダー10よりも後方に設けられた支持ブラケット67に連結されている。この支持ブラケット67は、スクリューコンベヤ20の上部に設けられている。
【0042】
また、図3に示すように、2本の支持部材66をスクリューコンベヤ20の両側部に配置し、図2に示すように、これら支持部材66をリングガーダー10から後方に向けて傾斜するように配置することで、前端支持部63で前端位置が決まるスクリューコンベヤ20の後部支持部65となる支持ブラケット67の部分に前方に向いて力が作用するようにしている。このようにスクリューコンベヤ20を3点支持することにより、スクリューコンベヤ20を前端支持部63と後部支持部65とで安定した状態で支持している。
【0043】
さらに、支持部材66と支持ブラケット67との連結部、及び支持部材66とリングガーダー10との連結部は、それぞれ支持ピン68で連結されている。また、これらの支持ピン68による連結部分は、スクリューコンベヤ20が水平方向(Z軸方向と直交する方向)にも多少移動することを許容する隙間を有して連結されている。この連結部分としては、例えば、支持ピン68を球面座で受けるような構造とすればよい。
【0044】
このような支持機構61により、スクリューコンベヤ20は吊下げられた状態でZ軸方向の移動は規制され、水平方向の揺動は可能となっている。
【0045】
また、図1,2に示すように、上記角度調整機構62は、前胴4の側部に設けられた前部基端69からシールド掘進機1の後方に延びる第一リンク70と、スクリューコンベヤ20の上部に設けられた揺動支点71からシールド掘進機1の側方に延びる第二リンク72と、後胴5のリングガーダー10に設けられた支持ピン(リンク支持部)73を介して設けられた中間リンク74とを具備したリンク機構75を有している。揺動支点71は、土砂排出装置連結部である。
【0046】
このリンク機構75により、前胴4とスクリューコンベヤ20とが連結されている。第一リンク70及び第二リンク72は、棒状部材で形成されている。中間リンク74は、平面視でL字状に形成され、中央部の支持ピン73がリングガーダー10のブラケット76に支持されて、水平方向に揺動可能となっている。この実施形態では、中間リンク74が、力の方向を変換する方向変換レバーとなっている。
【0047】
上記第一リンク70は、上記前部基端69と中間リンク74の一端にピンで連結され、水平方向に配置されている(図3)。上記第二リンク72は、上記揺動支点71と中間リンク74の他端にピンで連結され、水平方向に配置されている(図3)。このように、中間リンク74の一端に上記第一リンク70の一端がピンで連結され、他端に上記第二リンク72の一端がピンで連結されている。
【0048】
一方、中折れ型シールド掘進機1の場合、シールド本体3の前胴4と後胴5との間で屈折するが、その際、前胴4に前端支持部63があり後胴5に後部支持部65があるスクリューコンベヤ20は、前端支持部63を支点として後部支持部65が動かされようとする。そのため、スクリューコンベヤ20でエレクタ装置30を支持した場合、エレクタ装置30のセグメント組立中心点が動かされてセグメント組立作業に支障をきたすことがある。そこで、上記角度追従装置60によって、スクリューコンベヤ20の移動方向及び移動量を制御することで、エレクタ装置30によるセグメント組立中心が変化しないようにしている。
【0049】
すなわち、上記角度追従装置60により、前端支持部63と後部支持部65とで支持されたスクリューコンベヤ20を、後述するようにシールド本体3が中折れした時に、水平方向に所定の角度で揺動させるようにしている。しかも、中折れ時にエレクタ支持部31のピン32の位置を同位置に保つようにスクリューコンベヤ20の後部支持部65の位置を調整することにより、セグメント101の組立中心であるエレクタ装置30の中心部を同位置に保って、エレクタ装置30によるセグメント101の組み立てを常に安定して行えるようにしている。
【0050】
さらに、この実施形態におけるエレクタ装置30は、エレクタ支持部31によってスクリューコンベヤ20に支持された状態で、下部に設けられたセグメント把持部33でセグメント101を把持するようになっている。また、Z軸方向の伸縮アーム機構35によるZ軸方向移動と、エレクタ回転ドラム34の回転による周方向の移動、及びリンク板36の径方向揺動によって、セグメント101を周方向の所定位置に移動させるように構成されている。
【0051】
このようなエレクタ装置30によれば、セグメント把持部33でセグメント101を把持し、エレクタ回転ドラム34を回転させることで、スクリューコンベヤ20の周囲でセグメント101を搬送し、上記伸縮アーム機構35やリンク板36の制御によってセグメント101を所定の位置に組み付けて、セグメントリング100を組み立てることができる。
【0052】
以上のように構成された第1実施形態の中折れ型シールド掘進機1によれば、以下の図4(a),(b) 〜図6(a),(b) に示すようにスクリューコンベヤ(土砂排出装置)20に支持したエレクタ装置30の安定した姿勢維持を図ることができる。
【0053】
図4(a),(b) に示すように、中折れ型シールド掘進機1を直進させた状態では、上記リンク機構75は図1,2に示す状態を保つため、シールド本体3の中央部に設けられたスクリューコンベヤ20は中央部の位置が保たれる。また、支持機構61で吊下げられたスクリューコンベヤ20に支持されたエレクタ装置30も、その中心軸線41がシールド本体3の後胴5の中心軸線40と平行な状態が保たれる(図では一致)。これにより、掘進後にエレクタ装置30で把持したセグメント101は、後胴5の内面と平行に移動させられ、既設のセグメントリング100の前部に新しいセグメントリング100を安定して組み立てることができる。
【0054】
次に、図5(a),(b) に示すように、前胴4を右方向に中折れさせた状態では、上記リンク機構75の第一リンク70の後端部が後胴5の方向に移動させられる。これにより、第一リンク70によって中間リンク74が支持ピン73を支点に揺動させられる。この中間リンク74の揺動により、第二リンク72が右方向に移動させられ、この第一リンク70が連結された揺動支点71が右方向に移動させられる。
【0055】
従って、スクリューコンベヤ20は、揺動支点71が右方向に所定量移動させられる。このスクリューコンベヤ20の揺動支点71を右方向に移動させる量は、第一リンク70の長さと、中間リンク74の支持ピン73から第一リンク70の連結部及び第二リンク72の連結部までの距離とによって調整される。この移動量の調整としては、図5(a) に示すように、エレクタ装置30を支持しているエレクタ支持部31が後胴5の中心軸線41上に位置する関係となっている。
【0056】
つまり、シールド掘進機1の中折れ時の状態に基づいてリンク機構75を設定することにより、中折れ時でも、スクリューコンベヤ20を所定の位置で姿勢維持することができると共に、エレクタ装置30の中心軸線41をシールド本体3の後胴5の中心軸線40とをほぼ平行に保つことができるようにしている。
【0057】
このようにスクリューコンベヤ20の揺動支点71が右方向に移動させられた時には、リングガーダー10の上部から吊下げている支持部材66が傾くことで、スクリューコンベヤ20の支持状態は保たれる。
【0058】
また、シールド掘進機1の中折れ時、スクリューコンベヤ(土砂排出装置)20はエレクタ装置30の中央開口部(中空有効径部分)37を貫通しているので、他の構成と干渉することはない。
【0059】
一方、エレクタ装置30は、リングガーダー10との間に設けられたエレクタ平行機構50の平行維持部材52により、一側方の部分(右部分)がリングガーダー10と同距離に保たれる。これにより、エレクタ支持部31でスクリューコンベヤ20に支持されたエレクタ装置30は、その中心軸線41が後胴5の中心軸線41と平行な状態に保たれる。なお、エレクタ装置30が水平方向に移動してZ軸方向の距離が多少変化しても、上記平行維持部材52のロッド53が伸縮することで変化分は吸収される。
【0060】
従って、このように中折れ状態となっても、エレクタ装置30で把持したセグメント101は、後胴5の内面と平行に移動させられ、既設のセグメントリング100の前部に新しいセグメントリング100を安定して組み立てることができる。
【0061】
次に、図6(a),(b) に示すように左中折れさせた状態を説明する。この図は上記図5の状態と反対方向の左方向に前胴4を中折れさせた場合であり、上記図5(a),(b) と同一の構成に同一符号を付し、その説明は省略する。
【0062】
前胴4を左方向に中折れさせると、上記リンク機構75の第一リンク70の後端部が前胴4の方向に移動させられる。これにより、この第一リンク70によって中間リンク74が揺動させられる。この中間リンク74の揺動により、第二リンク72が左方向に移動させられ、第一リンク70が連結された揺動支点71が左方向に移動させられる。
【0063】
従って、スクリューコンベヤ20は、揺動支点71が左方向に所定量移動させられる。このスクリューコンベヤ20の揺動支点71を左方向に移動させる量は、上記右中折れと同じ条件であるため、説明は省略する。
【0064】
このようにスクリューコンベヤ20の揺動支点71が左方向に移動させられた時には、リングガーダー10の上部から吊下げている支持部材66が傾くことで、スクリューコンベヤ20の支持状態は保たれる。
【0065】
また、この左中折れ時も、エレクタ装置30は、リングガーダー10との間に設けられたエレクタ平行機構50の平行維持部材52により、一側方の部分がリングガーダー10と同距離に保たれる。これにより、エレクタ支持部31でスクリューコンベヤ20に支持されたエレクタ装置30は、その中心軸線41が後胴5の中心軸線40と平行な状態に保たれる。
【0066】
しかも、上記中折れ部6によってシールド本体3の前胴4と後胴5との間が屈曲したとしても、上記支持機構61及びリンク機構75は、その連結部において吸収することができるので、安定したスクリューコンベヤ20の姿勢を保つことができる。その上、中折れ部6は、左右方向の中折れとともに、上下方向に僅かに中折れするが、その角度変化を吸収して安定したスクリューコンベヤ20の位置制御ができる。
【0067】
従って、このように中折れ状態となっても、エレクタ装置30で把持したセグメント101は、後胴5の内面と平行に移動させられ、既設のセグメントリング100の前部に新しいセグメントリング100を安定して組み立てることができる。
【0068】
次に、図7〜9に基づいて、第2実施形態に係る中折れ型シールド掘進機80を説明する。この第2実施形態は、上述した第1実施形態と支持機構61が異なる例である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0069】
図7,8に示すように、この実施形態の中折れ型シールド掘進機80は、スクリューコンベヤ(土砂排出装置)20の後部を後胴5の前部に設けられたリングガーダー10によって支持する後部支持部65が、スクリューコンベヤ20を下方から支持する下部支持方式の支持機構81となっている。
【0070】
この実施形態の中折れ型シールド掘進機80は、後胴5の前部に設けられたリングガーダー10の下部に、スクリューコンベヤ20の両側部に向けて2本の支持部材82が上向きに設けられている。これらの支持部材82は、スクリューコンベヤ20の長さ方向中間部分よりも後方位置で、リングガーダー10よりも後方に設けられた支持ブラケット83に連結されている。この支持ブラケット83は、スクリューコンベヤ20の上部に設けられている。
【0071】
また、図9に示すように、2本の支持部材82をスクリューコンベヤ20の両側部に配置し、図8に示すように、これら支持部材82をリングガーダー10から後方に向けて傾斜するように配置することで、スクリューコンベヤ20の後部支持部65となる支持ブラケット83の部分に前方に向いて力が作用するようにしている。このようにスクリューコンベヤ20を3点支持することにより、スクリューコンベヤ20を前端支持部63と後部支持部65とで安定した状態で支持している。
【0072】
さらに、支持部材82と支持ブラケット83との連結部、及びリングガーダー10との連結部は、支持ピン84で連結されている。また、これらの支持ピン84による連結部分は、スクリューコンベヤ20が水平方向(Z軸方向と直交する方向)にも多少移動することを許容する隙間を有して連結されている。この連結部分も、例えば、支持ピン84を球面座で受けるような構造とすればよい。
【0073】
このような支持機構81により、スクリューコンベヤ20は下方から支持された状態でZ軸方向の移動は規制され、水平方向の揺動は可能となっている。
【0074】
一方、このように支持機構81で支持されたスクリューコンベヤ20の中間部分に、上記角度調整機構62が設けられている。この角度調整機構62は第1実施形態と同一であり、前胴4の側部に設けられた前部基端69から後方に延びる第一リンク70と、スクリューコンベヤ20の径中心上方に設けられた揺動支点71から側方に延びる第二リンク72と、後胴5のリングガーダー10に設けられた支持ピン73に設けられた中間リンク74とを具備したリンク機構75を有している。このリンク機構75により、前胴4とスクリューコンベヤ20とが連結されている。この角度調整機構62の機能は、上述した第1実施形態と同一である。
【0075】
以上のように構成された第2実施形態の中折れ型シールド掘進機80によれば、以下の図10(a),(b) 〜図12(a),(b) に示すように、スクリューコンベヤ(土砂排出装置)20に支持したエレクタ装置30の安定した姿勢維持を図ることができる。
【0076】
図10(a),(b) に示すように、中折れ型シールド掘進機80の直進状態では、上述した第1実施形態と同様に、エレクタ装置30の中心軸線41と後胴5の中心軸線40とを平行に保ち、エレクタ装置30によるセグメント101の組み立てを安定して行うことができる。
【0077】
次に、図11(a),(b) に示すように、中折れ型シールド掘進機80の前胴4を右方向に中折れさせた状態では、上述した第1実施形態と同様に、リンク機構75の第一リンク70の後端部が後胴5の方向に移動させられる。これにより、この第一リンク70によって中間リンク74が揺動させられる。この中間リンク74の揺動により、第二リンク72が右方向に移動させられ、第二リンク72が連結された揺動支点71が右方向に移動させられる。
【0078】
このようにスクリューコンベヤ20の揺動支点71が右方向に移動させられた時には、リングガーダー10の下部から支持している支持部材82が傾くことで、スクリューコンベヤ20の支持状態は保たれる。
【0079】
また、この右中折れ時も、エレクタ装置30はエレクタ平行機構50の平行維持部材52により、中心軸線41が後胴5の中心軸線40と平行に保たれる。従って、エレクタ装置30で把持したセグメント101は、後胴5の内面と平行に移動させることができ、既設のセグメントリング100の前部に新しいセグメントリング100を安定して組み立てることができる。
【0080】
次に、図12(a),(b) に示すように、中折れ型シールド掘進機80の前胴4を左方向に中折れさせた状態では、上述した第1実施形態と同様に、上記リンク機構75の第一リンク70の後端部が前胴4の方向に移動させられる。これにより、この第一リンク70によって中間リンク74が揺動させられる。この中間リンク74の揺動により、第二リンク72が左方向に移動させられ、この第二リンク72が連結された揺動支点71が左方向に移動させられる。
【0081】
従って、スクリューコンベヤ20は、揺動支点71が左方向に所定量移動させられる。このスクリューコンベヤ20の揺動支点71を左方向に移動させる量は、上記右中折れと同じ条件であり、上述した第1実施形態と同一であるため、説明は省略する。
【0082】
このようにスクリューコンベヤ20が左方向に移動させられた時には、リングガーダー10の下部から支持している支持部材82が傾くことで、スクリューコンベヤ20の支持状態は保たれる。
【0083】
また、この左中折れ時も、エレクタ装置30は、リングガーダー10との間に設けられたエレクタ平行機構50の平行維持部材52により、一側方の部分(右部分)がリングガーダー10と同距離に保たれる。これにより、エレクタ支持部31でスクリューコンベヤ20に支持されたエレクタ装置30は、その中心軸線41が後胴5の中心軸線40と平行な状態に保たれる。
【0084】
従って、このように中折れ状態となっても、エレクタ装置30で把持したセグメント101は、後胴5の内面と平行に移動させられ、既設のセグメントリング100の前部に新しいセグメントリング100を安定して組み立てることができる。
【0085】
以上のように、上記中折れ型シールド掘進機1,80によれば、スクリューコンベヤ20等の土砂排出装置を、エレクタ装置30の中空有効径内を通過させた構成としても、そのスクリューコンベヤ20で支持したエレクタ装置30と後胴5との相対位置関係を安定して保つことができる。従って、エレクタ装置30の中空有効径内を通過させるスクリューコンベヤ(土砂排出装置)20の角度変化等に影響されることなく、エレクタ装置30で安定したセグメント101の組み立てが可能となる。
【0086】
しかも、シールド掘進機1,80から直接エレクタ装置30を支持しない構成であるため、トンネル形成後に撤去したエレクタ装置30をシールド本体3の外径やエレクタ装置30の中空有効径が異なるシールド掘進機に適用することも可能となり、エレクタ装置30のリサイクル性を向上させることが可能となる。
【0087】
その上、上記シールド掘進機1,80によれば、シールド本体3に支持したエレクタ装置30の中空有効径内に土砂排出装置を通過させる、というエレクタ装置における概念を排除し、中空有効径内を通過させるスクリューコンベヤ(土砂排出装置)20にエレクタ装置30を取り付けて、スクリューコンベヤ20とエレクタ装置30との相対的動きの変化時に起きる干渉問題を無くすことを可能としている。従って、シールド掘進機1,80の運転時に生じるスクリューコンベヤ(土砂排出装置)20とエレクタ装置30との干渉間題という設計の難易性を低下させることができ、設計時間の短縮を図ることが可能となる。
【0088】
しかも、エレクタ装置30とスクリューコンベヤ20が干渉しないように、角度追従装置60でスクリューコンベヤ20の角度を調整するので、従来の調整作業の排除によるシールド掘進機1の操作性向上を図ることができる。
【0089】
このように、上記シールド掘進機1,80によれば、エレクタ装置30をスクリューコンベヤ20で支持するエレクタ支持部31を設け、このエレクタ支持部31でエレクタ装置30を支持することにより、エレクタ装置30のリサイクル性の向上及び、設計時間の軽減等に寄与することが可能となる。
【0090】
なお、上記実施形態では、中折れ型シールド掘進機1,80を例に説明したが、中折れ機構の無いシールド掘進機であっても、土砂排出装置(スクリューコンベヤ20)でエレクタ装置30を定位置に支持する構成として、エレクタ装置30のリサイクル性を向上させることができ、中折れ型シールド掘進機1,80に限定されるものではない。
【0091】
また、上記実施形態では、土砂排出装置としてスクリューコンベヤを例に説明したが、カッタヘッド側からシールド本体中央部の後方へ土砂を排出する装置であれば他の装置であってもよく、上記実施形態に限定されるものではない。
【0092】
さらに、上述した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲での種々の変更は可能であり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明に係るシールド掘進機は、エレクタ装置と土砂排出装置との干渉問題等を避け、エレクタ装置のリサイクルを図りたい使用条件の場合に利用できる。
【符号の説明】
【0094】
1 中折れ型シールド掘進機
2 カッタヘッド
3 シールド本体
4 前胴
5 後胴
6 中折れ部
7 中折れ中心
9 駆動機
10 リングガーダー
11 シールドジャッキ
14 中折れジャッキ
20 スクリューコンベヤ(土砂排出装置)
21 前端部
30 エレクタ装置
31 エレクタ支持部
32 ピン
33 セグメント把持部
34 エレクタ回転ドラム
35 伸縮アーム機構
36 リンク板
37 中央開口部(中空有効径部分)
40 中心軸線(後胴)
41 中心軸線(エレクタ装置)
50 エレクタ平行機構
51 ブラケット
52 平行維持部材(軸方向調整機構)
53 ロッド
60 角度追従装置
61 支持機構
62 角度調整機構
63 前端支持部
65 後部支持部
66 支持部材
67 支持ブラケット
68 支持ピン
69 前部基端
70 第一リンク
71 揺動支点(土砂排出装置連結部)
72 第二リンク
73 支持ピン(リンク支持部)
74 中間リンク
75 リンク機構
76 ブラケット
80 中折れ型シールド掘進機
81 支持機構
82 支持部材
83 支持ブラケット
84 支持ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド本体内でセグメントを把持してセグメントリングを組み立てるエレクタ装置を備えたシールド掘進機であって、
前記シールド掘進機の前面で掘削した土砂をシールド本体から排出する土砂排出装置を有し、
前記土砂排出装置は、前記エレクタ装置を支持するエレクタ支持部を有し、
前記エレクタ支持部は、前記エレクタ装置の中心軸線を前記シールド本体の中心軸線と平行に保つエレクタ平行機構を有していることを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記エレクタ装置は、前記セグメントリングを組み立てるセグメントを周囲で移動させるエレクタ回転ドラムを備え、
前記エレクタ支持部は、前記エレクタ回転ドラムの中心軸線を前記シールド本体の中心軸線に近接する位置に支持するように構成されている請求項1に記載のシールド掘進機。
【請求項3】
前記シールド掘進機は、前胴と後胴とを有するシールド本体を備えた中折れ型シールド掘進機であり、
前記土砂排出装置は、前記前胴部分に屈曲可能な前端支持部を有し、
前記シールド本体は、前記前胴と後胴との中心軸線の角度変化に追従して前記土砂排出装置のエレクタ支持部を前記後胴の径方向中心部に位置させる角度追従装置を備え、
前記角度追従装置は、前記土砂排出装置を水平方向に移動可能に支持する支持機構と、前記土砂排出装置を前記前胴に対して所定の角度に調整する角度調整機構とを有している請求項1又は2に記載のシールド掘進機。
【請求項4】
前記角度調整機構は、前記土砂排出装置上に前記土砂排出装置と連結する土砂排出装置連結部を有すると共に、前記前胴の中折れ時に前記土砂排出装置連結部を中折れ側に所定量移動させるリンク機構を備えている請求項3に記載のシールド掘進機。
【請求項5】
前記リンク機構は、一端が前記前胴に連結された第一リンクと、一端が前記土砂排出装置連結部に連結された第二リンクと、これら第一リンクと第二リンクのそれぞれの他端に連結された中間リンクとを備え、
前記中間リンクは、前記前胴の中折れ量に応じて前記第二リンクを所定量移動させるように形成されている請求項4に記載のシールド掘進機。
【請求項6】
前記リンク機構は、前記中間リンクを後胴に支持するリンク支持部を有し、
前記第二リンクは、前記土砂排出装置連結部を前記リンク支持部に向けてシールド本体の中心軸線と直交する径方向に移動させるように配置されている請求項5に記載のシールド掘進機。
【請求項7】
前記エレクタ平行機構は、エレクタ装置の中心軸線を前記シールド本体の中心軸線と平行に保つと共に、前記前胴の中折れ時に生じる前記エレクタ装置の軸方向移動分を吸収する軸方向調整機構を有している請求項1〜6のいずれか1項に記載のシールド掘進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−202137(P2012−202137A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68488(P2011−68488)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】