シールド接続ユニット
【課題】上側シールドコネクタと下側シールドコネクタを繋ぐ導電部による作業中の倒れの問題を解消して組み付け時の作業性の向上を図る。
【解決手段】下方に位置する第1の機器M1に下向きに接続される下側シールドコネクタ22と、上方に位置する第2の機器M2に横向きに接続される上側シールドコネクタ23,24と、それらを繋ぐ電線及び電線を包囲する編組からなる屈曲性を有した導電部30と、を備えたシールド接続ユニット20において、導電部の少なくとも一部の屈曲性を確保した状態で導電部を外側から包囲して保護する硬質のプロテクタ31,32を備え、プロテクタの下部に、下側シールドコネクタを第1の機器に接続した際に、第1の機器側に設けた支持部Wに干渉することで、プロテクタで保護された導電部の屈曲による導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止する干渉部36を設けた。
【解決手段】下方に位置する第1の機器M1に下向きに接続される下側シールドコネクタ22と、上方に位置する第2の機器M2に横向きに接続される上側シールドコネクタ23,24と、それらを繋ぐ電線及び電線を包囲する編組からなる屈曲性を有した導電部30と、を備えたシールド接続ユニット20において、導電部の少なくとも一部の屈曲性を確保した状態で導電部を外側から包囲して保護する硬質のプロテクタ31,32を備え、プロテクタの下部に、下側シールドコネクタを第1の機器に接続した際に、第1の機器側に設けた支持部Wに干渉することで、プロテクタで保護された導電部の屈曲による導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止する干渉部36を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器と機器をシールドしながら接続するシールド接続ユニットに係り、特に、両端のシールドコネクタを、屈曲性を有した電線及び編組よりなる導電部で繋いだシールド接続ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図13は従来のシールド接続ユニットの構成図、図14はこのシールド接続ユニットを用いて下方に位置する機器と上方に位置する機器とを接続する場合の問題点を示す図である。
【0003】
このシールド接続ユニット1は、下方に位置する第1の機器M1に下向き(図14中矢印A方向)に接続される1つの下側シールドコネクタ2と、第1の機器M1より上方に位置する第2の機器M2に横向き(図14中矢印B方向)に接続される2つの上側シールドコネクタ3、4と、下側シールドコネクタ2と上側シールドコネクタ3、4とを繋ぐ電線8及び下側シールドコネクタ2のシールドシェル5から上側シールドコネクタ3、4のシールドシェル6、7までの間に露出する電線8を包囲する編組9からなる屈曲性を有した2系統の導電部10と、を備えている。
【0004】
このシールド接続ユニット1の下側シールドコネクタ2と上側シールドコネクタ3、4をそれぞれ第1の機器M1と第2の機器M2に接続するに当たり、例えば、下側シールドコネクタ2を先に下方に位置する第1の機器M1に接続し、次いで、上側シールドコネクタ3、4を上方に位置する第2の機器M2に接続しようとした場合、下側シールドコネクタ2と上側シールドコネクタ3、4を繋いでいる導電部10に屈曲性があるため、導電部10及び上側シールドコネクタ3、4が図14中の矢印C方向へ倒れるおそれがある。それを防ぐため、組み付け作業時に、導電部10や上側シールドコネクタ3、4を手で押さえたり治具等で支えたりする等の対応が必要であり、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
また、そのような導電部をプロテクタで覆う技術は知られている(例えば、特許文献1参照)が、導電部に屈曲性があるゆえの導電部やコネクタの倒れの問題まで解消するものは見当たらなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−211935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、従来では、シールドコネクタ間を繋ぐ導電部の屈曲性による導電部やシールドコネクタの倒れの問題があり、その改善による作業性の向上が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上側シールドコネクタと下側シールドコネクタを繋ぐ導電部による作業中の倒れの問題を解消して組み付け時の作業性の向上を図ることのできるシールド接続ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 下方に位置する第1の機器に下向きに接続される下側シールドコネクタと、第1の機器より上方に位置する第2の機器に横向きに接続される上側シールドコネクタと、前記下側シールドコネクタと上側シールドコネクタとを繋ぐ電線及び前記下側シールドコネクタのシールドシェルから上側シールドコネクタのシールドシェルまでの間に露出する前記電線を包囲する編組からなる屈曲性を有した導電部と、を備えたシールド接続ユニットにおいて、
前記導電部の少なくとも一部の屈曲性を確保した状態で該導電部を外側から包囲して保護する硬質のプロテクタを備え、該プロテクタの下部に、前記下側シールドコネクタを前記第1の機器に接続した際に、該第1の機器側又は前記下側シールドコネクタのシールドシェル側に設けた支持部に干渉することで、前記プロテクタで保護された導電部の屈曲による該導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止する干渉部を設けたことを特徴とするシールド接続ユニット。
【0010】
(2) 前記プロテクタの背面部の下部に、前記干渉部が角部として設けられていることを特徴とする上記(1)に記載のシールド接続ユニット。
【0011】
(3) 前記下側シールドコネクタのシールドシェルに、前記プロテクタ側の前記干渉部が干渉する倒れ防止用の支持部がL字形の壁として設けられ、前記プロテクタ側の前記干渉部はフラットな壁として設けられていることを特徴とする上記(1)に記載のシールド接続ユニット。
【0012】
(4) 前記上側シールドコネクタが複数設けられ、該上側シールドコネクタの数に応じて複数の前記導電部が互いに分離して設けられると共に、各分離した導電部ごとに前記プロテクタが複数設けられており、前記複数のプロテクタのうち前記干渉部を有したプロテクタの倒れ防止側のみに、前記干渉部を有しないプロテクタの倒れを阻止する支持片を設けたことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のシールド接続ユニット。
【0013】
上記(1)のシールド接続ユニットによれば、下側シールドコネクタを第1の機器に接続した際に、プロテクタの下部に設けた干渉部が、第1の機器側又は下側シールドコネクタのシールドシェル側に設けた支持部に干渉することにより、プロテクタで保護された導電部の屈曲による導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止することができる。よって、シールド接続ユニットを機器に組み付ける際に、倒れないように手や治具によって支える必要が無くなり、作業性の向上が図れる。
【0014】
上記(2)、(3)のシールド接続ユニットによれば、簡単な構成で干渉部を構成することができる。
【0015】
上記(4)のシールド接続ユニットによれば、倒れ防止用の干渉部を有しないプロテクタがある場合にも、そのプロテクタを、倒れ防止用の干渉部を有したプロテクタの支持片によって支えることができるので、全部のプロテクタの倒れ防止を図ることができる。また、その支持片は倒れ防止側のみに設けているため、反対側への導電部の屈曲性は確保することができ、各上側シールドコネクタの組み付けを独立して行うことができる。また、支持片を設けない場合は、全部のプロテクタに干渉部を設けておかないと、個別にプロテクタが倒れてしまうおそれがあるが、一部のプロテクタに支持片を設けるだけで他のプロテクタの倒れ防止を果たすことができるので、構成の簡略化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、導電部を保護するプロテクタの下部に干渉部を設け、下側シールドコネクタを第1の機器に接続した際に、その干渉部が、第1の機器側又は下側シールドコネクタのシールドシェル側に設けた支持部に干渉することにより、導電部の屈曲による導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止するようにしたので、シールド接続ユニットを機器に組み付ける際に、倒れないように手や治具によって支える必要が無くなり、作業性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す斜視図である。
【図2】図1のII矢視図である。
【図3】図1のIII矢視図である。
【図4】図4(a)は同実施形態のシールド接続ユニットの下側シールドコネクタを第1の機器に先に接続した状態を示す側面図、図4(b)は続いて上側シールドコネクタを第2の機器に接続した状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す斜視図である。
【図6】図5のVI矢視図である。
【図7】図7(a)は同実施形態のシールド接続ユニットの下側シールドコネクタを第1の機器に先に接続した状態を示す側面図、図7(b)は図7(a)のVIIb矢視部の拡大図である。
【図8】図7の状態に続いて上側シールドコネクタを第2の機器に接続した状態を示す側面図である。
【図9】上側シールドコネクタが2つあり、各上側シールドコネクタに繋がる導電部が系統ごとに分離され、プロテクタもそれに応じて分離されている場合の問題点の説明用の側面図である。
【図10】図9の問題を解消した本発明の第3実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す斜視図である。
【図11】図10のXI矢視図である。
【図12】図10のXII矢視図である。
【図13】従来のシールド接続ユニットの構成図であり、図13(a)は斜視図、図13(b)は側面図である。
【図14】同従来のシールド接続ユニットの問題点の説明用の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1〜図4は第1実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す図であり、図1は斜視図、図2は図1のII矢視図、図3は図1のIII矢視図、図4(a)はシールド接続ユニットの下側シールドコネクタを第1の機器に先に接続した状態を示す側面図、図4(b)は続いて上側シールドコネクタを第2の機器に接続した状態を示す側面図である。
【0019】
図1〜図4に示すように、第1実施形態のシールド接続ユニット20は、下方に位置する第1の機器M1に下向きに接続される下側シールドコネクタ22と、第1の機器M1より上方に位置する第2の機器M2に横向きに接続される上側シールドコネクタ23,24と、下側シールドコネクタ22と上側シールドコネクタ23,24とを繋ぐ電線28及び下側シールドコネクタ22のシールドシェル25から上側シールドコネクタ23,24のシールドシェル26、27までの間に露出する電線28を包囲する編組29からなる屈曲性を有した導電部30と、導電部30の少なくとも一部の屈曲性を確保した状態で導電部30を外側から包囲して保護する硬質樹脂製のプロテクタ31,32を備えている。
【0020】
ここでは、上側シールドコネクタ23,24が2つ設けられ、上側シールドコネクタ23,24の数に応じて2系統の導電部30が分岐部35で分離させて設けられており、分離した導電部30ごとに互いに別体の2つのプロテクタ31,32が設けられている。各プロテクタ31,32は表面側と背面側に半割したもので、半割体を合わせて嵌め合わせることにより、筒状のプロテクタ31,32が構成されている。
【0021】
そして、各プロテクタ31,32の背面部の下部に、下側シールドコネクタ22を第1の機器M1に接続した際に、第1の機器M1側に設けた支持部Wに干渉することで、プロテクタ31,32で保護された導電部30の屈曲による導電部30及び上側シールドコネクタ23,24の一定以上の背面側への倒れを防止する干渉部36が設けられている。この場合の干渉部36は角部として設けられている。
【0022】
図4(a)に示すように、このシールド接続ユニット20の下側シールドコネクタ22を先に第1の機器M1に接続した場合、プロテクタ31,32の下部に設けた干渉部36が、第1の機器M1側に設けた支持部Wに干渉することにより、プロテクタ31,32で保護された導電部30の屈曲による導電部30及び上側シールドコネクタ23,24の一定以上の倒れを防止することができる。よって、残る上側シールドコネクタ23,24を、図4(b)に示すように第2の機器M2に接続するまでの間、導電部30や上側シールドコネクタ23,24が倒れないように手や治具によって支える必要が無くなり、作業性の向上が図れる。
【0023】
図5は第2実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す斜視図、図6は図5のVI矢視図、図7(a)は同シールド接続ユニットの下側シールドコネクタを第1の機器に先に接続した状態を示す側面図、図7(b)は図7(a)のVIIb矢視部の拡大図、図8は図7の状態に続いて上側シールドコネクタを第2の機器に接続した状態を示す側面図である。なお、これらの図中、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
前記第1実施形態では、干渉部36が第1の機器M1側に設けた支持部Wに干渉する場合を示したが、第2実施形態のシールド接続ユニット20Bでは、下側シールドコネクタ22のシールドシェル25Bに、プロテクタ31,32側の干渉部36Bが干渉する倒れ防止用の支持部37を設けている。この場合、支持部37はL字形の壁として設けてあり、プロテクタ31,32側の干渉部36Bは単にフラットな壁として設けている。
【0025】
図7(a)、図7(b)に示すように、このシールド接続ユニット20Bの下側シールドコネクタ22を先に第1の機器M1に接続した場合、プロテクタ31,32の下部に設けた干渉部36Bが、下側シールドコネクタ22のシールドシェル25Bに設けた支持部37に干渉することにより、プロテクタ31,32で保護された導電部30の屈曲による導電部30及び上側シールドコネクタ23,24の一定以上の倒れを防止することができる。よって、残る上側シールドコネクタ23,24を、図8に示すように第2の機器M2に接続するまでの間、導電部30や上側シールドコネクタ23,24が倒れないように手や治具によって支える必要が無くなり、作業性の向上が図れる。
【0026】
ところで、プロテクタ31,32が別体品として互いに分離して設けられている場合、各上側シールドコネクタ23,24を独立して動かすことができる。しかし、プロテクタ31,32ごとに干渉部36、36Bを設けていないと、図9に示すように、倒れ防止を果たせないことになる。その場合、プロテクタ31,32ごとに手や治具で支える必要が生じ、作業性が悪くなる。
【0027】
そこで、図10〜図12に示す第3実施形態のシールド接続ユニット20Cでは、それを解消することができるようにしている。即ち、上側シールドコネクタ23,24は2つ設けられ、上側シールドコネクタ23,24の数に応じて2系統の導電部(図10〜図12では見えない)が分岐部35で分離させて設けられており、分離した導電部ごとに互いに別体の2つのプロテクタ31B、32Bが設けられている。各プロテクタ31B、32Bは表面側と背面側に半割したもので、半割体を合わせて嵌め合わせることにより、筒状のプロテクタ31,32が構成されている。そして、図12に示すように、複数のプロテクタ31B、32Bのうち干渉部36Bを有したプロテクタ32Bの倒れ防止側(背面側)のみに、干渉部36Bを有しないプロテクタ31Bの倒れを阻止する支持片42が設けられている。それ以外の構成は、第2実施形態と同様である。なお、プロテクタ31Bの前面側にも支持片41が設けられているが、この支持片41は、プロテクタ32Bの前方への独立した傾倒を防止するものであり、上記において問題にした倒れ防止ではない。
【0028】
この第3実施形態のシールド接続ユニット20Cによれば、倒れ防止用の干渉部を有しないプロテクタ31Bがある場合にも、そのプロテクタ31Bを、倒れ防止用の干渉部36Bを有したプロテクタ32Bの支持片42によって支えることができるので、全部のプロテクタ31B、32Bの倒れ防止を図ることができる。また、その支持片42は倒れ防止側のみに設けているため、反対側への導電部の屈曲性は確保することができ、各上側シールドコネクタ23,24の組み付けを独立して行うことができる。また、前記支持片42を設けない場合は、全部のプロテクタ31B、32Bに干渉部36Bを設けておかないと、個別にプロテクタ31B、32Bが背面側に倒れてしまうおそれがあるが、一部のプロテクタ32Bに支持片42を設けるだけで他のプロテクタ31Bの倒れ防止を果たすことができるので、構成の簡略化を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0030】
20,20B,20C シールド接続ユニット
22 下側シールドコネクタ
23,24 上側シールドコネクタ
25,26,27,25B シールドシェル
28 電線
29 編組
30 導電部
31,32 プロテクタ
36,36B 干渉部
37 支持部
42 支持片
W 支持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器と機器をシールドしながら接続するシールド接続ユニットに係り、特に、両端のシールドコネクタを、屈曲性を有した電線及び編組よりなる導電部で繋いだシールド接続ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図13は従来のシールド接続ユニットの構成図、図14はこのシールド接続ユニットを用いて下方に位置する機器と上方に位置する機器とを接続する場合の問題点を示す図である。
【0003】
このシールド接続ユニット1は、下方に位置する第1の機器M1に下向き(図14中矢印A方向)に接続される1つの下側シールドコネクタ2と、第1の機器M1より上方に位置する第2の機器M2に横向き(図14中矢印B方向)に接続される2つの上側シールドコネクタ3、4と、下側シールドコネクタ2と上側シールドコネクタ3、4とを繋ぐ電線8及び下側シールドコネクタ2のシールドシェル5から上側シールドコネクタ3、4のシールドシェル6、7までの間に露出する電線8を包囲する編組9からなる屈曲性を有した2系統の導電部10と、を備えている。
【0004】
このシールド接続ユニット1の下側シールドコネクタ2と上側シールドコネクタ3、4をそれぞれ第1の機器M1と第2の機器M2に接続するに当たり、例えば、下側シールドコネクタ2を先に下方に位置する第1の機器M1に接続し、次いで、上側シールドコネクタ3、4を上方に位置する第2の機器M2に接続しようとした場合、下側シールドコネクタ2と上側シールドコネクタ3、4を繋いでいる導電部10に屈曲性があるため、導電部10及び上側シールドコネクタ3、4が図14中の矢印C方向へ倒れるおそれがある。それを防ぐため、組み付け作業時に、導電部10や上側シールドコネクタ3、4を手で押さえたり治具等で支えたりする等の対応が必要であり、作業性が悪いという問題があった。
【0005】
また、そのような導電部をプロテクタで覆う技術は知られている(例えば、特許文献1参照)が、導電部に屈曲性があるゆえの導電部やコネクタの倒れの問題まで解消するものは見当たらなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−211935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、従来では、シールドコネクタ間を繋ぐ導電部の屈曲性による導電部やシールドコネクタの倒れの問題があり、その改善による作業性の向上が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、上側シールドコネクタと下側シールドコネクタを繋ぐ導電部による作業中の倒れの問題を解消して組み付け時の作業性の向上を図ることのできるシールド接続ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 下方に位置する第1の機器に下向きに接続される下側シールドコネクタと、第1の機器より上方に位置する第2の機器に横向きに接続される上側シールドコネクタと、前記下側シールドコネクタと上側シールドコネクタとを繋ぐ電線及び前記下側シールドコネクタのシールドシェルから上側シールドコネクタのシールドシェルまでの間に露出する前記電線を包囲する編組からなる屈曲性を有した導電部と、を備えたシールド接続ユニットにおいて、
前記導電部の少なくとも一部の屈曲性を確保した状態で該導電部を外側から包囲して保護する硬質のプロテクタを備え、該プロテクタの下部に、前記下側シールドコネクタを前記第1の機器に接続した際に、該第1の機器側又は前記下側シールドコネクタのシールドシェル側に設けた支持部に干渉することで、前記プロテクタで保護された導電部の屈曲による該導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止する干渉部を設けたことを特徴とするシールド接続ユニット。
【0010】
(2) 前記プロテクタの背面部の下部に、前記干渉部が角部として設けられていることを特徴とする上記(1)に記載のシールド接続ユニット。
【0011】
(3) 前記下側シールドコネクタのシールドシェルに、前記プロテクタ側の前記干渉部が干渉する倒れ防止用の支持部がL字形の壁として設けられ、前記プロテクタ側の前記干渉部はフラットな壁として設けられていることを特徴とする上記(1)に記載のシールド接続ユニット。
【0012】
(4) 前記上側シールドコネクタが複数設けられ、該上側シールドコネクタの数に応じて複数の前記導電部が互いに分離して設けられると共に、各分離した導電部ごとに前記プロテクタが複数設けられており、前記複数のプロテクタのうち前記干渉部を有したプロテクタの倒れ防止側のみに、前記干渉部を有しないプロテクタの倒れを阻止する支持片を設けたことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のシールド接続ユニット。
【0013】
上記(1)のシールド接続ユニットによれば、下側シールドコネクタを第1の機器に接続した際に、プロテクタの下部に設けた干渉部が、第1の機器側又は下側シールドコネクタのシールドシェル側に設けた支持部に干渉することにより、プロテクタで保護された導電部の屈曲による導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止することができる。よって、シールド接続ユニットを機器に組み付ける際に、倒れないように手や治具によって支える必要が無くなり、作業性の向上が図れる。
【0014】
上記(2)、(3)のシールド接続ユニットによれば、簡単な構成で干渉部を構成することができる。
【0015】
上記(4)のシールド接続ユニットによれば、倒れ防止用の干渉部を有しないプロテクタがある場合にも、そのプロテクタを、倒れ防止用の干渉部を有したプロテクタの支持片によって支えることができるので、全部のプロテクタの倒れ防止を図ることができる。また、その支持片は倒れ防止側のみに設けているため、反対側への導電部の屈曲性は確保することができ、各上側シールドコネクタの組み付けを独立して行うことができる。また、支持片を設けない場合は、全部のプロテクタに干渉部を設けておかないと、個別にプロテクタが倒れてしまうおそれがあるが、一部のプロテクタに支持片を設けるだけで他のプロテクタの倒れ防止を果たすことができるので、構成の簡略化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、導電部を保護するプロテクタの下部に干渉部を設け、下側シールドコネクタを第1の機器に接続した際に、その干渉部が、第1の機器側又は下側シールドコネクタのシールドシェル側に設けた支持部に干渉することにより、導電部の屈曲による導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止するようにしたので、シールド接続ユニットを機器に組み付ける際に、倒れないように手や治具によって支える必要が無くなり、作業性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す斜視図である。
【図2】図1のII矢視図である。
【図3】図1のIII矢視図である。
【図4】図4(a)は同実施形態のシールド接続ユニットの下側シールドコネクタを第1の機器に先に接続した状態を示す側面図、図4(b)は続いて上側シールドコネクタを第2の機器に接続した状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す斜視図である。
【図6】図5のVI矢視図である。
【図7】図7(a)は同実施形態のシールド接続ユニットの下側シールドコネクタを第1の機器に先に接続した状態を示す側面図、図7(b)は図7(a)のVIIb矢視部の拡大図である。
【図8】図7の状態に続いて上側シールドコネクタを第2の機器に接続した状態を示す側面図である。
【図9】上側シールドコネクタが2つあり、各上側シールドコネクタに繋がる導電部が系統ごとに分離され、プロテクタもそれに応じて分離されている場合の問題点の説明用の側面図である。
【図10】図9の問題を解消した本発明の第3実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す斜視図である。
【図11】図10のXI矢視図である。
【図12】図10のXII矢視図である。
【図13】従来のシールド接続ユニットの構成図であり、図13(a)は斜視図、図13(b)は側面図である。
【図14】同従来のシールド接続ユニットの問題点の説明用の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1〜図4は第1実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す図であり、図1は斜視図、図2は図1のII矢視図、図3は図1のIII矢視図、図4(a)はシールド接続ユニットの下側シールドコネクタを第1の機器に先に接続した状態を示す側面図、図4(b)は続いて上側シールドコネクタを第2の機器に接続した状態を示す側面図である。
【0019】
図1〜図4に示すように、第1実施形態のシールド接続ユニット20は、下方に位置する第1の機器M1に下向きに接続される下側シールドコネクタ22と、第1の機器M1より上方に位置する第2の機器M2に横向きに接続される上側シールドコネクタ23,24と、下側シールドコネクタ22と上側シールドコネクタ23,24とを繋ぐ電線28及び下側シールドコネクタ22のシールドシェル25から上側シールドコネクタ23,24のシールドシェル26、27までの間に露出する電線28を包囲する編組29からなる屈曲性を有した導電部30と、導電部30の少なくとも一部の屈曲性を確保した状態で導電部30を外側から包囲して保護する硬質樹脂製のプロテクタ31,32を備えている。
【0020】
ここでは、上側シールドコネクタ23,24が2つ設けられ、上側シールドコネクタ23,24の数に応じて2系統の導電部30が分岐部35で分離させて設けられており、分離した導電部30ごとに互いに別体の2つのプロテクタ31,32が設けられている。各プロテクタ31,32は表面側と背面側に半割したもので、半割体を合わせて嵌め合わせることにより、筒状のプロテクタ31,32が構成されている。
【0021】
そして、各プロテクタ31,32の背面部の下部に、下側シールドコネクタ22を第1の機器M1に接続した際に、第1の機器M1側に設けた支持部Wに干渉することで、プロテクタ31,32で保護された導電部30の屈曲による導電部30及び上側シールドコネクタ23,24の一定以上の背面側への倒れを防止する干渉部36が設けられている。この場合の干渉部36は角部として設けられている。
【0022】
図4(a)に示すように、このシールド接続ユニット20の下側シールドコネクタ22を先に第1の機器M1に接続した場合、プロテクタ31,32の下部に設けた干渉部36が、第1の機器M1側に設けた支持部Wに干渉することにより、プロテクタ31,32で保護された導電部30の屈曲による導電部30及び上側シールドコネクタ23,24の一定以上の倒れを防止することができる。よって、残る上側シールドコネクタ23,24を、図4(b)に示すように第2の機器M2に接続するまでの間、導電部30や上側シールドコネクタ23,24が倒れないように手や治具によって支える必要が無くなり、作業性の向上が図れる。
【0023】
図5は第2実施形態のシールド接続ユニットの構成を示す斜視図、図6は図5のVI矢視図、図7(a)は同シールド接続ユニットの下側シールドコネクタを第1の機器に先に接続した状態を示す側面図、図7(b)は図7(a)のVIIb矢視部の拡大図、図8は図7の状態に続いて上側シールドコネクタを第2の機器に接続した状態を示す側面図である。なお、これらの図中、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
前記第1実施形態では、干渉部36が第1の機器M1側に設けた支持部Wに干渉する場合を示したが、第2実施形態のシールド接続ユニット20Bでは、下側シールドコネクタ22のシールドシェル25Bに、プロテクタ31,32側の干渉部36Bが干渉する倒れ防止用の支持部37を設けている。この場合、支持部37はL字形の壁として設けてあり、プロテクタ31,32側の干渉部36Bは単にフラットな壁として設けている。
【0025】
図7(a)、図7(b)に示すように、このシールド接続ユニット20Bの下側シールドコネクタ22を先に第1の機器M1に接続した場合、プロテクタ31,32の下部に設けた干渉部36Bが、下側シールドコネクタ22のシールドシェル25Bに設けた支持部37に干渉することにより、プロテクタ31,32で保護された導電部30の屈曲による導電部30及び上側シールドコネクタ23,24の一定以上の倒れを防止することができる。よって、残る上側シールドコネクタ23,24を、図8に示すように第2の機器M2に接続するまでの間、導電部30や上側シールドコネクタ23,24が倒れないように手や治具によって支える必要が無くなり、作業性の向上が図れる。
【0026】
ところで、プロテクタ31,32が別体品として互いに分離して設けられている場合、各上側シールドコネクタ23,24を独立して動かすことができる。しかし、プロテクタ31,32ごとに干渉部36、36Bを設けていないと、図9に示すように、倒れ防止を果たせないことになる。その場合、プロテクタ31,32ごとに手や治具で支える必要が生じ、作業性が悪くなる。
【0027】
そこで、図10〜図12に示す第3実施形態のシールド接続ユニット20Cでは、それを解消することができるようにしている。即ち、上側シールドコネクタ23,24は2つ設けられ、上側シールドコネクタ23,24の数に応じて2系統の導電部(図10〜図12では見えない)が分岐部35で分離させて設けられており、分離した導電部ごとに互いに別体の2つのプロテクタ31B、32Bが設けられている。各プロテクタ31B、32Bは表面側と背面側に半割したもので、半割体を合わせて嵌め合わせることにより、筒状のプロテクタ31,32が構成されている。そして、図12に示すように、複数のプロテクタ31B、32Bのうち干渉部36Bを有したプロテクタ32Bの倒れ防止側(背面側)のみに、干渉部36Bを有しないプロテクタ31Bの倒れを阻止する支持片42が設けられている。それ以外の構成は、第2実施形態と同様である。なお、プロテクタ31Bの前面側にも支持片41が設けられているが、この支持片41は、プロテクタ32Bの前方への独立した傾倒を防止するものであり、上記において問題にした倒れ防止ではない。
【0028】
この第3実施形態のシールド接続ユニット20Cによれば、倒れ防止用の干渉部を有しないプロテクタ31Bがある場合にも、そのプロテクタ31Bを、倒れ防止用の干渉部36Bを有したプロテクタ32Bの支持片42によって支えることができるので、全部のプロテクタ31B、32Bの倒れ防止を図ることができる。また、その支持片42は倒れ防止側のみに設けているため、反対側への導電部の屈曲性は確保することができ、各上側シールドコネクタ23,24の組み付けを独立して行うことができる。また、前記支持片42を設けない場合は、全部のプロテクタ31B、32Bに干渉部36Bを設けておかないと、個別にプロテクタ31B、32Bが背面側に倒れてしまうおそれがあるが、一部のプロテクタ32Bに支持片42を設けるだけで他のプロテクタ31Bの倒れ防止を果たすことができるので、構成の簡略化を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0030】
20,20B,20C シールド接続ユニット
22 下側シールドコネクタ
23,24 上側シールドコネクタ
25,26,27,25B シールドシェル
28 電線
29 編組
30 導電部
31,32 プロテクタ
36,36B 干渉部
37 支持部
42 支持片
W 支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下方に位置する第1の機器に下向きに接続される下側シールドコネクタと、第1の機器より上方に位置する第2の機器に横向きに接続される上側シールドコネクタと、前記下側シールドコネクタと上側シールドコネクタとを繋ぐ電線及び前記下側シールドコネクタのシールドシェルから上側シールドコネクタのシールドシェルまでの間に露出する前記電線を包囲する編組からなる屈曲性を有した導電部と、を備えたシールド接続ユニットにおいて、
前記導電部の少なくとも一部の屈曲性を確保した状態で該導電部を外側から包囲して保護する硬質のプロテクタを備え、該プロテクタの下部に、前記下側シールドコネクタを前記第1の機器に接続した際に、該第1の機器側又は前記下側シールドコネクタのシールドシェル側に設けた支持部に干渉することで、前記プロテクタで保護された導電部の屈曲による該導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止する干渉部を設けたことを特徴とするシールド接続ユニット。
【請求項2】
前記プロテクタの背面部の下部に、前記干渉部が角部として設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド接続ユニット。
【請求項3】
前記下側シールドコネクタのシールドシェルに、前記プロテクタ側の前記干渉部が干渉する倒れ防止用の支持部がL字形の壁として設けられ、前記プロテクタ側の前記干渉部はフラットな壁として設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド接続ユニット。
【請求項4】
前記上側シールドコネクタが複数設けられ、該上側シールドコネクタの数に応じて複数の前記導電部が互いに分離して設けられると共に、各分離した導電部ごとに前記プロテクタが複数設けられており、前記複数のプロテクタのうち前記干渉部を有したプロテクタの倒れ防止側のみに、前記干渉部を有しないプロテクタの倒れを阻止する支持片を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールド接続ユニット。
【請求項1】
下方に位置する第1の機器に下向きに接続される下側シールドコネクタと、第1の機器より上方に位置する第2の機器に横向きに接続される上側シールドコネクタと、前記下側シールドコネクタと上側シールドコネクタとを繋ぐ電線及び前記下側シールドコネクタのシールドシェルから上側シールドコネクタのシールドシェルまでの間に露出する前記電線を包囲する編組からなる屈曲性を有した導電部と、を備えたシールド接続ユニットにおいて、
前記導電部の少なくとも一部の屈曲性を確保した状態で該導電部を外側から包囲して保護する硬質のプロテクタを備え、該プロテクタの下部に、前記下側シールドコネクタを前記第1の機器に接続した際に、該第1の機器側又は前記下側シールドコネクタのシールドシェル側に設けた支持部に干渉することで、前記プロテクタで保護された導電部の屈曲による該導電部及び上側シールドコネクタの一定以上の倒れを防止する干渉部を設けたことを特徴とするシールド接続ユニット。
【請求項2】
前記プロテクタの背面部の下部に、前記干渉部が角部として設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド接続ユニット。
【請求項3】
前記下側シールドコネクタのシールドシェルに、前記プロテクタ側の前記干渉部が干渉する倒れ防止用の支持部がL字形の壁として設けられ、前記プロテクタ側の前記干渉部はフラットな壁として設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド接続ユニット。
【請求項4】
前記上側シールドコネクタが複数設けられ、該上側シールドコネクタの数に応じて複数の前記導電部が互いに分離して設けられると共に、各分離した導電部ごとに前記プロテクタが複数設けられており、前記複数のプロテクタのうち前記干渉部を有したプロテクタの倒れ防止側のみに、前記干渉部を有しないプロテクタの倒れを阻止する支持片を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシールド接続ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−110941(P2013−110941A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256466(P2011−256466)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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