説明

シール材塗布装置

【課題】 筒状体の巻き締め端面等の環状角部のシールをより確実、経済的、そして能率的に行うシール材塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 筒状体Pの軸線を中心として半径方向内方に向いて該筒状体に形成されている環状角部もしくは環状溝部にシール材を塗布する装置において、筒状体Pを軸線まわりに回転自在に保持する保持体11と、該保持体を所定回転速度で回転駆動する駆動手段13,15と、上記保持体11で保持された筒状体Pの環状角部もしくは環状溝部上の少なくとも一箇所に臨んで該箇所にシール材を噴出するノズル21と、該ノズルにシール材を補給するシール材補給手段20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシール材の塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状体、例えば、添付図面の図3のごとく、紙管50は底板51や天板の周囲にフランジ部52を立ち上げて形成し、胴管の端部を上記フランジ部を巻き締めて作られることが多い。その場合、巻き締め面には接着剤が塗布されているのでシールは確保される。しかし胴管の巻き締め端面54は露呈しているので、特に材料が紙の場合、この端面が水分等を吸収して弱くなりひいてはシール強度も低下することがある。
【0003】
そこで、水分のある場所や湿気多い場所で使用される製品のための筒状体の場合、上記巻き締め部と底板や天板との境界たる環状角部にシール材55を塗布して、上記端面を覆い保護している。
【特許文献1】発見できず
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の公知のシール材塗布にあっては次のような点で改善が求められていた。
【0005】
(1) 巻き締め端面54は底板51との間に狭い溝を形成しているため、確実にシール材を該端面54へ行きわたるように塗布するが故に、不要な周辺にまで、しかも厚く塗布して塗布量が必要以上に多くなってしまい、シール材の無駄となる。
【0006】
(2) シール材を多く塗布するためにシール材の乾燥が遅い。
【0007】
(3) シール材が多いと一つの固まりとなってしまい、乾燥後に衝撃を受けたときに、部分的に欠けて落ちてしまうことがある。
【0008】
(4) 筒状体の材料の内部に空気が存在していることがあり、塗布されたシール材自体の熱で加熱膨張し、塗布したシール材にピンホールを生じ、ここから水分が浸入することがある。
【0009】
(5) シール材の塗布後乾燥前に、余分なシール材が垂れて美感を損なう。特に乾燥前に筒状体は移動させたり、その姿勢を変えられたりするので、その傾向は大きい。
【0010】
本発明は、かかる点を改善し、能率よく必要最少量のシール材を確実に塗布できるシール材塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るシール材塗布装置は、筒状体の軸線を中心として半径方向内方に向いて該筒状体に形成されている環状角部もしくは環状溝部にシール材を塗布するようになっている。
【0012】
かかるシール材塗布装置において、本発明は、筒状体を軸線まわりに回転自在に保持する保持体と、該保持体を所定回転速度で回転駆動する駆動手段と、上記保持体で保持された筒状体の環状角部もしくは環状溝部上の少なくとも一箇所に臨んで該箇所にシール材を噴出するノズルと、該ノズルにシール材を補給するシール材補給手段とを備えることを特徴としている。
【0013】
このような構成の本発明装置では、シール材はノズルから回転中の筒状体へ噴射される。したがって、シール材は遠心力により狭部へも進入するので、筒状体は確実にシールされ、かつ最少量のシール材で済むようになる。しかも、上記シール材はその遠心力によって周方向で均一となる。シール材は紙管の巻き締め端面のみならず、巻き締め面に隙間があるときには、ここにも進入してシール性を向上する。したがって、本発明は筒状体が紙管のみならず、他の材料のものであっても適用可能である。
【0014】
本発明において、ノズルはその噴出口の位置そして方向が可変に支持体により支持されていることが好ましい。こうすることにより、筒状体の形状そして大きさが異なるものが設定されても、直ぐにこれに対応してノズルの位置そして方向を設定できる。
【0015】
又、本発明において、ノズルは筒状体に対し軸線方向の片側又は両側にそれぞれ位置して設けられていることとするならば、筒状体の天板そして底板の片方あるいは同時に両方を必要に応じてシールできる。
【0016】
さらに、本発明では、シール材塗布前に環状角部もしくは環状溝部あるいはその周辺を加熱するための高温空気を吹きつける予熱手段をも有していることとするならば、シール材塗布前に筒状体の材料内に存在している空気を加熱により駆出し、塗布されたシール材にピンホールを生ずることを防止する。その際、予熱手段は支持体によりノズルと共に支持されていることが好ましい。こうすることにより、装置の構造が簡単化されると共に、異種の筒状体に変更時に、ノズルと乾燥手段が一度に変更設定可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上のようにノズルからシール材を筒状体の環状角部や環状溝部への噴出塗布を、筒状体を回転させながら行うこととしたので、シール材が垂れを伴うことなく周方向に均一に塗布されるのみならず、遠心力によって狭い部位へ確実に入り込むので、最小量でも確実にシールが行え、又、ピンホールも発生しない。その結果、シールは比較的薄い層として形成されて可撓性があるので、乾燥後でも衝撃により欠落することはない。さらには、塗布量が少ないので、シール材の消費量が少なくて済むのみならず、塗布そして乾燥のための時間の短縮化され生産性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面の図1及び図2にもとづき、本発明の一実施形態を説明する。
【0019】
図1において、符号1は本実施形態のシール材塗布装置の基台であり、該基台1には、棒状の支持部材2がフランジ3そしてボルト4によって固定されている。
【0020】
上記基台1の上面には、ボルト5によって筒状ハウジング6が垂立固定されている。該筒状ハウジング6内には、スナップリング7,8により位置決めされている二つの軸受9,10を介して筒状の回転保持体11が回転自在に支持されている。該保持体11の内径面11Aは、シール材が塗布されるべき筒状体を軽く圧入して保持できる程度の寸法となっている。該保持体11は軸受9,10そしてスナップリング12により軸方向位置が定められている。この保持体11は上記筒状ハウジング6から上下に突出しており、上端内面には導入テーパ部11Bが形成され、下端内面には半径内方に突出する支持段部11Cが、そして下端外面には取付段部11Dが形成されている。該取付段部11Dには駆動用プーリ13がボルト14により取付けられている。該プーリ13には、図示せぬモータに接続されている減速機のプーリから駆動力を受けるベルト15が張設されている。
【0021】
上記支持部材2の上部そして下部には、それぞれノズル支持用の支持体16が取りつけられている。該支持体16は、支持部材2に対して上下方向位置が可変に取付けられている横部材17と、該横部材17に対して横方向(図にて左右方向)に位置が可変に設けられた紙面に直角な軸体18と、該軸体18まわりに角位置が可変に該軸体18へ取りつけられる腕部材19とを有している。該腕部材19にはシール材補給体20が固定取付けされており、該シール材補給体20には該シール材補給体20から液状のシール材を受けこれを噴出するノズル21が接続されている。上記シール材補給体20は、補給孔20Aに接続される可撓管22を経て図示せぬシール材供給源からシール材の補給を受けるようになっており、ノズル21はその噴出口21Aから所定時にシール材を噴出するべく制御されている。
【0022】
このような本実施形態装置では、紙管等の筒状体のシールは次の要領でなされる。
【0023】
(1) シールすべき筒状体Pが決まったならば、この筒状体Pの嵌合保持に好適な内径をもった保持体11を選択して対応ハウジング6内に挿着した後、該保持体11にプーリ13を取りつけ、これにベルト15を張設する。
【0024】
(2) 次に、保持体11に筒状体Pを上方から挿入し、これを保持せしめる。筒状体Pはその下面が支持段部11Cに当接して高さ方向位置が定まる。筒状体Pは保持体11に軽く圧入されている状態なので、該保持体11に保持されて共に回転可能となる。
【0025】
(3) しかる後、ノズル21の位置そして姿勢を定める。ノズル21の高さ方向位置は、ボルト23を緩めることにより横部材17を上下させ、左右方向位置には図示せぬボルトを緩めて軸体18を左右に移動し、角位置はボルト24そしてねじ25を緩めて上記軸体18まわりに回動させて定める。かくして、上下のノズル21はそれらの噴出口21Aを、筒状体Pの被シール部位、例えば環状角部に近づけて該噴出口21Aの位置及び方向を固定する。その際、筒状体Pが、例えば、底板のみにシールするときには、上方のノズル21は外しておいても、あるいは、待機位置へずらして位置させておけば良い。
【0026】
(4) 次に、ベルト15を駆動して、保持体11を回転せしめると、筒状体Pはこの保持体11と共に回転する。この回転せる筒状体Pの環状角部、すなわち、図2に見られるような底板P1と巻き締め部P2とがなす角部へ向けてノズル21から適量のシール材を噴出する。シール材は少量であってもその遠心力によって、巻き締め部P2の端面へ確実にもたらされ加圧下のもとに周方向で均一に塗布されシール部Sを形成する。天板P3についてシールするときにも、上方のノズル21によって同様にシール材が塗布される。その際、巻き締め面に若干でも隙間があれば、シール材は遠心力のもとでこの隙間へも進入して巻き締め面のシール補強をも行う。
【0027】
(5) かくして、シールがなされた筒状体Pは保持体11から取り出され、次の筒状体が設定され、次々とシールされる。
【0028】
本発明は、図示された形態には限定されず、種々変更が可能である。例えば、筒状体を次々と保持体へ挿着するときに、上方のノズル体が筒状体の挿着に障害となることがあり得る。その場合には、支持体16のいずれかの部材を、ノズルの設定位置と待機位置との間で往復動可能とし、筒状体の挿着後にノズルは設定位置へ自動的に戻れるようにしておくことが好ましい。さらには、上記筒状体の挿着を自動的にノズルの待機移動と連動して行えるようにするならば、多数の筒状体を能率的にシールできる。
【0029】
さらには、筒状体の底板そして天板をシールに先立ち加熱する予熱手段をも備えているようにすれば、底板そして天板がそれらの材料内に含んでいる空気を加熱膨張せしめて巻き締め端面から駆出することができ、シール後のピンホールの発生を防止できる。予熱手段は高温空気を上記底板そして天板へ吹き付けるようにすれば良い。上記予熱手段は、支持体によりノズルと共に支持されていることとすれば、異種の筒状体への位置変更の際の設定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態装置の縦断面図である。
【図2】図1における筒状体の被シール部を示す図である。
【図3】従来の筒状体のシール部を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0031】
11 保持体
13 駆動手段(プーリ)
15 駆動手段(ベルト)
16 支持体
20 シール材補給手段(シール材補給体)
21 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体の軸線を中心として半径方向内方に向いて該筒状体に形成されている環状角部もしくは環状溝部にシール材を塗布する装置において、筒状体を軸線まわりに回転自在に保持する保持体と、該保持体を所定回転速度で回転駆動する駆動手段と、上記保持体で保持された筒状体の環状角部もしくは環状溝部上の少なくとも一箇所に臨んで該箇所にシール材を噴出するノズルと、該ノズルにシール材を補給するシール材補給手段とを備えることを特徴とするシール材塗布装置。
【請求項2】
ノズルはその噴出口の位置そして方向が可変に支持体により支持されていることとする請求項1に記載のシール材塗布装置。
【請求項3】
ノズルは筒状体に対し軸線方向の片側又は両側にそれぞれ位置して設けられていることとする請求項1又は請求項2に記載のシール材塗布装置。
【請求項4】
請求項1のシール材塗布装置に加え、シール材塗布前に環状角部もしくは環状溝部あるいはその周辺を加熱するための高温空気を吹きつける予熱手段を有していることを特徴とするシール材塗布装置。
【請求項5】
予熱手段は支持体によりノズルと共に支持されていることとする請求項4に記載のシール材塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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