シール貼り付け方法及びエスカレータ手摺被覆物
【課題】エスカレータの手摺にシールを貼り付ける際、シールに加わる力の変化を抑えつつ貼り付け作業を行えるシール貼り付け方法を提供する。
【解決手段】傾斜した手摺3に沿って下階へ降りる方向にシール貼り付け装置1を動かしながらシール7の貼り付けが行われる。シール貼り付け装置1を下階へ降りる方向に動かす場合、作業者は、シール貼り付け装置1を支える力が幾分小さくなるようにして、重力に任せて下降させればよいので、比較的小さい力でシール貼り付け装置1を移動させることができる。そのため、シール7の張り具合の微妙な加減を調節し易くなり、シール7に加わる力を安定させることができる。
【解決手段】傾斜した手摺3に沿って下階へ降りる方向にシール貼り付け装置1を動かしながらシール7の貼り付けが行われる。シール貼り付け装置1を下階へ降りる方向に動かす場合、作業者は、シール貼り付け装置1を支える力が幾分小さくなるようにして、重力に任せて下降させればよいので、比較的小さい力でシール貼り付け装置1を移動させることができる。そのため、シール7の張り具合の微妙な加減を調節し易くなり、シール7に加わる力を安定させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客運搬装置において乗客とともに移動する手摺の表面にシールを貼り付ける方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータ等において乗客とともに移動する手摺の表面に、広告等が印刷されたシールを貼り付けるための装置が知られている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3983778号明細書
【特許文献2】特許第4195324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載される装置は、手摺に装着して移動させることによりシールが送り出される仕組みとなっており、装置の移動は作業者の人手によって行う。一方、手摺に貼り付けるシールは薄くて伸びやすい材質のため、装置を移動させる際にシールに加わる力が大きく変化すると、貼り付けられたシールにシワが生じ易くなる。特にシールの縁にシワが寄っていると、乗客が引っ掻いたりつまんだりすることによってシールを剥がされてしまう可能性がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールに加わる力の変化を抑えつつ貼り付け作業を行えるシール貼り付け方法と、そのような貼り付け方法によりエスカレータの手摺に形成される被覆物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点は、上階と下階との間の移動に用いられるエスカレータの手摺にテープ状のシールを貼り付けるシール貼り付け方法に関するものであり、このシール貼り付け方法は、筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付ける第1シール端貼り付け工程と、前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程とを有する。
【0007】
好適に、前記第1シール端貼り付け工程において、前記シールの幅方向における中央と前記手摺の幅方向における中央とが一致するように、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付ける。
【0008】
好適に、前記シール送り出し・貼り付け工程において、前記シールの押し付け部位を前記装置の移動に合わせて前記下階側にスライドさせる。
【0009】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記シール送り出し・貼り付け工程の後、前記シールの幅方向における側端部と前記手摺の側面とを、前記手摺の前記上階側から前記下階側に向かって貼り付ける側面貼り付け工程を有する。
【0010】
好適に、上記シール貼り付け方法は、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側の前記シールの端部が、当該移動方向における上流側の前記シールの端部に対して上に重なるように、前記シールの端同士を重ね合わせて前記手摺に貼り付ける第2シール端貼り付け工程を有する。
【0011】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記シールの端同士を重ね合わせて前記手摺に貼り付ける第2シール端貼り付け工程と、前記第2シール端貼り付け工程において、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の前記シールの端部が、当該移動方向における下流側の前記シールの端部に対して上に重なるように貼り付けた場合、当該重なり部分の上へ更に補強用のシールを貼り付ける補強シール貼り付け工程とを有する。
【0012】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記シール送り出し・貼り付け工程若しくは前記側面貼り付け工程において前記シールと前記手摺との間に空気の層が形成された場合、当該空気層が形成された前記シールの側縁部であって、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の側縁部に微小孔を開け、前記空気層に溜まった空気を前記微小孔から押し出す空気層処理工程を有する。
【0013】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記手摺への前記シールの貼り付けに不良がある場合、当該不良部分が含まれるように前記シールの一部を切断して前記手摺から剥がし、当該切断した部分より長い補修用シールを、その両端が既に前記手摺に貼り付けてあるシールの上に重なるように前記手摺に貼り付け、当該両端の重なり部分のうち、少なくともエスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側に位置する前記重なり部分の上へ更に補強用のシールを貼り付ける補修工程を有する。
【0014】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記シール送り出し・貼り付け工程の後、かつ、前記側面貼り付け工程の前において、前記シールの粘着面と前記手摺の側面とを離間させる1つ又は複数の部材であって、前記粘着面から乖離可能な部材を、前記シールと前記手摺との間に挿入する離間用部材挿入工程を有し、前記側面貼り付け工程において、前記部材を取り除きながら前記シールの側端部と前記手摺の側面とを貼り付ける。
【0015】
本発明の第2の観点は、下階から上階への上り方向の移動に用いられるエスカレータの手摺の表面を覆うエスカレータ手摺被覆物に関するものであり、このエスカレータ手摺被覆物は、前記手摺の長手方向に沿って前記手摺の表面に貼り付けられたテープ状のシールを有する。そして、前記シールが、筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付けるシール端貼り付け工程と、前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程とを有する工法により前記手摺に貼り付けられており、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側の前記シールの端部が、当該移動方向における上流側の前記シールの端部に対して上に重なるように、前記シールの端同士が重ね合わせて前記手摺に貼り付けられている。
【0016】
本発明の第3の観点は、上階から下階への下り方向の移動に用いられるエスカレータの手摺の表面を覆うエスカレータ手摺被覆物に関するものであり、このエスカレータ手摺被覆物は、前記手摺の長手方向に沿って前記手摺の表面に貼り付けられたテープ状のシールを有する。そして、前記シールが、筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付けるシール端貼り付け工程と、前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程とを有する工法により前記手摺に貼り付けられており、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の前記シールの端部が、当該移動方向における下流側の前記シールに対して上に重なるように、前記シールの端同士が重ね合わせて前記手摺に貼り付けられており、当該重なり部分の上へ更に補強用のシールが貼り付けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シールに加わる力の変化を抑えつつ貼り付け作業を行えるので、貼り付けの仕上がりが良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】上階と下階との間の移動に用いられるエスカレータの一例を示す概略図である。
【図2】シール貼り付け装置の構成の一例を示す図であり、手摺の上方から見た外観を例示する。
【図3】シール貼り付け装置の構成の一例を示す図であり、図2の矢印Aの方向から見た外観を例示する。
【図4】シール貼り付け装置の構成の一例を示す図であり、図3の矢印Bの方向から見た外観を例示する。
【図5】シール貼り付け装置の構成の一例を示す図であり、図3の矢印Cの方向から見た外観を例示する。
【図6】シール貼り付け装置を手摺に装着するための機構の構成例を示す図である。
【図7】シールの先端を手摺に貼り付ける作業を説明するための図であり、手摺を上方から見た図である。
【図8】シールの先端を手摺に貼り付ける作業を説明するための図であり、手摺を断面方向から見た図である。
【図9】シール貼り付け装置より送り出されるシールを手摺へ押しつけながら貼り付ける作業を説明するための図である。
【図10】手摺の側面とシールの側端部との間に挿入される離間用の部材を説明するための図である。
【図11】手摺の側面にシールの側端部を貼りつける作業を説明するための図である。
【図12】手摺とシールとの間に形成された空気層に溜まる空気を抜く作業を説明するための図である。
【図13】上り方向のエスカレータの手摺におけるシールの端部の貼り合わせ作業を説明するための図である。
【図14】下り方向のエスカレータの手摺におけるシールの端部の貼り合わせ作業を説明するための図である。
【図15】上り方向のエスカレータの手摺におけるシールの補修作業を説明するための図である。
【図16】下り方向のエスカレータの手摺におけるシールの補修作業を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、エスカレータの手摺にテープ状のシールを貼り付ける本発明の方法の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、上階と下階との間の移動に用いられるエスカレータの一例を示す概略図であり、横方向から見た手摺3の概略を示す。手摺3は、図示しない案内用の軌道においてループ状に張られており、乗客の見えない場所に設置されたローラ4が手摺3を駆動する。ローラ4が手摺3を上下から挟み込んだ状態で回転することにより、手摺3が軌道に沿って移動する。
【0020】
本実施形態では、手摺3の長手方向に沿ってシールを送り出すように構成されたシール貼り付け装置1を用いて、シールの貼り付け作業を行う。シールには、例えば広告等が印刷される。
シール貼り付け装置1は、例えば、全体の構造を支える筺体と、筺体が手摺3の長手方向に沿って移動し得るように筺体を手摺3に装着する装着機構とを備える。これにより、図1に示すように、運転停止状態にあるエスカレータの手摺3の上を、上階側から下階側に向かってシール貼り付け装置1が移動可能となる。シール貼り付け装置1の移動は、例えば、作業者の手作業により行われる。
【0021】
また、シール貼り付け装置1は、シールがドラム状に巻かれたロール体を筺体において回転自在に支持する支持部と、ロール体より供給されるシールが手摺3の上面へ長手方向に沿って送り出されるようにシールを案内する案内機構とを備えている。これにより、シール貼り付け装置1が手摺3の上を動くと、回転するロール体からシールが供給され、このシールが案内機構により案内されて手摺3の上面に送り出される。
【0022】
図2〜図5は、シール貼り付け装置1の構成の一例を示す図であり、手摺3に装着されたシール貼り付け装置1を各方向から見た場合の外観を例示する。すなわち、図2は手摺3の上方から見た外観、図3は矢印A(図2)の方向から見た外観、図4は矢印B(図3)の方向から見た外観、図5は矢印C(図3)の方向から見た外観をそれぞれ示す。
【0023】
図2〜図5に示すように、シール貼り付け装置1は、対向して配設されたサイドプレート10a及び10bを有する。サイドプレート10a,10bは、継手シャフト27,71および継手プレート28などを介して固定されており、当該装置の全体構造を支える筺体を構成する。
【0024】
継手プレート28は、シール貼り付け装置1の移動方向の先頭側に設けられている。なお、本実施形態において、シール貼り付け装置1の移動方向と反対側を後方側と呼ぶ。
【0025】
継手プレート28には、取り付け部19が固定される。取り付け部19は、筐体を手摺31に装着するための機構であり、アーム21a,21b,23a,23bと、軸22a,22b,24a,24b,25a,25bとを有する。
【0026】
アーム21aの一方の端が、継手プレート28に設けられた軸25aにおいて回転可能に支持される。アーム21aの他方の端には、軸を中心に回転可能に支持された円柱体21a1が取り付けられている。アーム23aの一方の端が、アーム21aの中央付近に設けられた軸22aにおいて回転可能に支持される。アーム23aの他方の端が、継手プレート28に設けられた軸24aにおいて回転可能に支持される。
アーム21bの一方の端が、継手プレート28に設けられた軸25bにおいて回転可能に支持される。アーム21bの他方の端には、軸を中心に回転可能に支持された円柱体21b1が取り付けられている。アーム23bの一方の端が、アーム21bの中央付近に設けられた軸22bにおいて回転可能に支持される。アーム23bの他方の端が、継手プレート28に設けられた軸24bにおいて回転可能に支持される。
【0027】
円柱体21a1,21b1の端面には、円柱体21a1,21b1と一体的に回転可能なガイドローラ20a、20bが固定されている。ガイドローラ20a、20bは、例えば、樹脂やゴムなどを用いて成形されている。
【0028】
取り付け部19を手摺3に装着する場合、軸25a,25bを中心としてアーム21a,21bをそれぞれ回動させて両アームを開き、円柱体21a1,21b1の間に手摺3を位置させて、両アームを閉じる。これにより、円柱体21a1,21b1が手摺3を両側から挟み込んだ状態となる。この状態で円柱体21a1,21b1が回転可能であるため、筺体(サイドプレート10a,10b)を手摺3の長手方向に沿って滑らかに移動させることができるとともに、手摺3の幅方向への動きを規制できる。また、円柱体21a1,21b1の端面に固定されたガイドローラ20a、20bが手摺3の下側の面に当たることによって、手摺3の上面から離れる向きへの筺体の動きを規制できる。
取り付け部19を上述のように構成したことで、幅が異なる様々な手摺3にシール貼り付け装置1を装着できる。
【0029】
図2〜図4に示すように、継手プレート28に対して後方側には、サイドプレート10a及び10bで両端を軸受けされた軸30aが設けられている。この軸30aにおいて、手摺3の表面に当接するローラ30が回転自在に支持される。ローラ30の回転は、図示しない回転伝達機構により、軸31aを中心に回転する回転伝達ローラ31に伝達される。回転伝達ローラ31の回転は、タイミングベルト34を介して、回転伝達ローラ32bに伝達される。回転伝達ローラ32bは、軸32aを中心に、剥離紙巻取ローラ32と一体となって回転する。
【0030】
シール貼り付け装置1が手摺3の長手方向に沿って移動することにより、手摺3の表面に当接したローラ30aが回転し、その回転が剥離紙巻取ローラ32に伝達され、剥離紙巻取ローラ32が回転する。手摺3へのシール7の貼り付け時にシール7の貼着面から剥離紙6が剥がされると、剥がされた剥離紙6の長さに応じて剥離紙巻取ローラ32が回転する。これにより、剥離紙6を剥離紙巻取ローラ32へ巻き取ることが可能になるとともに、剥離紙巻取ローラ32が余分に回転して剥離紙6に所定以上の張力が加わることを防止できる。
【0031】
軸30a,32aより後方側であって、高さが軸30a,32aのほぼ中間の位置には、サイドプレート10a及び10bで両端を軸受けされた軸35aが設けられている。この軸35aにおいて、ガイドローラ35が回転自在に支持される。ガイドローラ35は、ガイドローラ60付近でシール7から剥離された剥離紙6を、剥離紙巻取ローラ32に向けて案内する。
【0032】
ガイドローラ60は、軸35aとほぼ同じ高さにある軸60cにおいて回転自在に支持される。剥離紙6が付いた状態のシール7は、ガイドローラ60で案内された後、剥離紙6を剥がされ、手摺3の上面に向けて送られる。また、シール7から剥がされた剥離紙6は、ガイドローラ35に向けて送られる。
【0033】
ガイドローラ60の下方(手摺3側)には、軸65aを中心に回転する圧着ローラ65が設けられている。圧着ローラ65は、剥離紙6が剥がされたシール7を手摺3の上面に押しつけて圧着する。
【0034】
ガイドローラ60の上方には、軸41aを中心に回転するシール供給ローラ41が設けられている。シール供給ローラ41は、ガイド板41b及び41cを有しており、この間にシール巻体8が装着される。シール巻体8には、剥離紙6が付いた状態のシール7がドラム状に巻かれている。ガイドローラ60より前方側であって軸41aより低く軸60cより高い位置には、軸43aを中心に回転するガイドローラ43が設けられている。シール供給ローラ41から供給されるシール7が、ガイドローラ43を介してガイドローラ60に送られる。
【0035】
継手55,56(図4)を含む機構は、上述した取り付け部19と同様に、筺体を手摺3に装着するためのブロックを構成する。図6は、この継手55,56を含んだ装着機構の構成を説明するための図である。
【0036】
サイドプレート10aと10bの間には、継手51とレール53,54が固定される。継手51がレール53,54の中間に配設され、レール53が後方側、レール54が前方側に配設される。継手51の中央付近には、下側(手摺3の上面に向かう方向)に向いた軸において回転可能に支持されたウォームホイール52が設けられている。
【0037】
図4,図6に示すように、サイドプレート10aと10bの間には、継手55と56とが向かい合って配設される。継手55がサイドプレート10b側に配設され、継手56がサイドプレート10a側に配設される。
【0038】
継手55は、サイドプレート10bに対して平行に延びるベース55aと、ベース55aの中央付近よりやや前方側においてレール54に沿って延びる凸部55bとを有する。凸部55bは、サイドプレート10b側からサイドプレート10a側へ突出しており、後方側の側面においてウォームホイール52と噛み合うラック55cが形成されている。ベース55aの下側の面(手摺3側の面)には、後方側の端部に軸57a1、前方側の端部に軸57b1がそれぞれ設けられており、この軸57a1,57b1において円柱体57a2,57b2が回転可能に支持されている。円柱体57a2,57b2の端面には、円柱体57a2,57b2と一体的に回転可能なガイドローラ57a,57bが固定されている。
他方、継手56は、サイドプレート10aに対して平行に延びるベース56aと、ベース56aの中央付近よりやや後方側においてレール53に沿って延びる凸部56bとを有する。凸部56bは、サイドプレート10a側からサイドプレート10b側へ突出しており、前方側の側面においてウォームホイール52と噛み合うラック56cが形成されている。ベース56aの下側の面には、後方側の端部に軸57c1、前方側の端部に軸57d1がそれぞれ設けられており、この軸57c1,57d1において円柱体57c2,57d2が回転可能に支持されている。円柱体57c2,57d2の端面には、円柱体57c2,57d2と一体的に回転可能なガイドローラ57c,57dが固定されている。
【0039】
また、ベース55aの前方側の端部とベース56aの前方側の端部との間にバネ58が設けられ、ベース55aの後方側の端部とベース56aの後方側の端部との間にバネ59が設けられている。バネ58,59によって、継手55と継手56とが互いに近づく方向に付勢される。
【0040】
継手55,56は、それぞれレール54,53に沿って移動可能であり、ラック55c及び56cとウォームホイール52との噛み合わせによって、反対向きに同じ距離だけ移動するように構成されている。継手55,56に外力が加わっていない状態では、バネ58,59によって両者が互いに近づく方向に付勢されるため、図5に示すように、凸部55bの先端部とベース56aの側面とが当接し、凸部56bの先端部とベース55aの側面とが当接した状態になっている。
【0041】
ガイドローラ57a,57b,57c,57dによって手摺3を挟み込む場合、作業者がバネ58,59の弾性力に抗して継手55と継手56とを手摺3の幅方向に引き離し、ガイドローラ57a及び57bとガイドローラ57c及び57dとの間に手摺3を位置させる。この状態で、作業者が手を離すと、バネ58,59の弾性力によって継手55と継手56とが近づく方向に移動し、ガイドローラ57a及び57bとガイドローラ57c及び57dとの間に手摺3が挟み込まれる。この状態で、ガイドローラ57a,57b,57c,57dとそれに対応した円柱体57a2,57b2,57c2,57d2がそれぞれ軸57a1,57b1,57c1,57d1を中心に回転可能であるため、シール貼り付け装置1は手摺3に対して矢印X(図2)の向きへ滑らかに移動可能である。
【0042】
圧着ローラ65の後方には、軸68aを中心に回転する圧着ローラ68が設けられている。圧着ローラ68は、圧着ローラ65と同様に、手摺3の表面に貼着されたシール7を手摺3の表面に向けて押圧する。圧着ローラ68の後方には、シール貼り付け装置1の中心軸に対して線対称の位置に、ブラシ80aと80bとが配設されている。また、ブラシ80a,80bの後方には、シール貼り付け装置1の中心軸に対して線対称の位置に、ブラシ81aと81bとが配設されている。
以上が、シール貼り付け装置1についての説明である。
【0043】
次に、上述したシール貼り付け装置1を用いて手摺3にシール7を貼り付ける方法について説明する。
【0044】
<工程1:手摺3の清掃>
まず、手摺3の表面についた油等の汚れの清掃が行われる。例えば、エスカレータを運転させた状態で、洗剤等をしみ込ませた雑巾を回転する手摺3に押しつけることにより、シール7の貼り付け面に付着する汚れが拭き取られる。
【0045】
<工程2:シール貼り付け装置1の装着>
次に、上述したシール貼り付け装置1が手摺3に装着される。すなわち、エスカレータの運転が停止した状態で、手摺3の上階側の端に(例えば図1に示すような斜面の上端に)シール貼り付け装置1が装着される。この際、シール貼り付け装置1は、シール7の送出方向を上階側に向けた状態で(すなわち後方を上階側、前方を下階側に向けた状態で)装着される。
【0046】
<工程3:シール7の端部(先端)の貼り付け>
手摺3にシール貼り付け装置1が装着された後、剥離紙6を分離されたシール7の先端がシール貼り付け装置1より引き出されて手摺3の上面に貼り付けられる。この際、図7,図8に示すように、シール7の幅方向における中央と手摺3の幅方向における中央とがほぼ一致するように、シール7の先端が手摺3の上面に貼り付けられる。
このように、貼り付けの開始位置においてシール7と手摺3の幅方向の中心を合わせることによって、長尺のシール7を手摺3の表面に適切に貼り付けることができる。
【0047】
<工程4:シール7の送り出し・貼り付け>
シール7の先端が手摺3の上面に貼り付けられると、次に、シール貼り付け装置1を移動させながらシール7を手摺3に貼り付ける作業が行われる。すなわち、シール貼り付け装置1が手摺3の上階側から下階側へ動かされるとともに、この移動に伴ってシール貼り付け装置1から送り出されるシール7が手摺3の上面に押し付けられるようにして貼り付けられる。この送り出し・貼り付け作業は、例えば2名の作業者で行われる。一方の作業者がシール貼り付け装置1を手で支えながら下階側へ移動させ、他方の作業者がシール貼り付け装置1より送り出されるシール7を手摺3の上面の平らな部分に貼り付けていく。
【0048】
図9は、シール貼り付け装置1より送り出されるシール7の貼り付け作業を説明するための図である。貼り付け作業を行う作業者は、手101に比較的滑りの良い薄手の手袋102を嵌めて、シール貼り付け装置1から送り出されるシール7を図9に示すように手摺3の上面の平らな部分に押し付けるようにして貼り付ける。このとき作業者は、シール7にシワが寄ったりシール7と手摺3との間に空気が入ったりすることのないように、シールの押し付け部位103をシール貼り付け装置1の移動に合わせて下階側にスライドさせる。
なお、工程4では手摺3上面の平らな部分とシール7の中央部分が接着され、残りの部分(手摺3側面のカーブした部分とシール7の側端部分)については接着されないままにされる。
【0049】
上記のように、傾斜した手摺3に沿って下階へ降りる方向にシール貼り付け装置1を動かしながらシール7の貼り付けが行われるため、上階へ登る方向にシール貼り付け装置1を動かしながら貼り付けが行われる場合に比べて、シール7に加わる力の変化を小さくできる。
すなわち、シール貼り付け装置1を上階へ登る方向に動かす場合、作業者は、重力に逆らってシール貼り付け装置1を上昇方向に移動させなければならないので、比較的大きな力が必要になり、シール7の張り具合の微妙な加減を調節し難くなる。そのため、シール7に加わる力を安定させ難くなる。これに対し、シール貼り付け装置1を下階へ降りる方向に動かす場合、作業者は、シール貼り付け装置1を支える力が幾分小さくなるようにして、重力に任せて下降させればよいので、比較的小さい力でシール貼り付け装置1を移動させることができる。そのため、シール7の張り具合の微妙な加減を調節し易くなり、シール7に加わる力を安定させることができる。
シール7に加わる力が安定することにより、シワや空気層が生じ難くなるので、貼り付けの仕上がりが良好になる。また、後述するような空気層の処理や補修の発生頻度が減るので、作業効率が向上する。
【0050】
また、シール貼り付け装置1を下階へ降りる方向に動かす場合、シール貼り付け装置1を支える作業者が誤って手を離しても、シール貼り付け装置1は下側に向かって移動するため、シール7の貼り付けを行う作業者に影響が及ぶことがなく、安全に作業を実施できる。
【0051】
<工程5:離間用部材の挿入>
シール貼り付け装置1を下階まで移動させて上述した貼り付け作業が行われた後、まだ貼り付けを完了していない手摺3側面にシール7が強く接着しないようにするため、例えば図10に示すように、両者を離間させるための部材110がその間に挿入される。部材110は、シール7の粘着面から乖離可能な板材(例えばプラスチック等の薄い板)を短冊状や三角状に切断して形成される。複数の部材110が、手摺3の両側の側面とシール7との間に適当な間隔で挿入される。
部材110を手摺3の側面とシール7との間に挿入することで、未だ貼り付けを完了していないシール7の側端部が手摺3の側面に強く接着してしまうことを防止できる。
【0052】
<工程6:側面貼り付け>
上述したシール送り出し・貼り付け作業(工程4)では、手摺3の上面の平らな部分にシール7が貼り付けられているものの、手摺3の側面のカーブした部分については未だシール7の貼り付けがなされていない(図8(B))。そこで本工程においては、図11に示すように、シール7の幅方向における側端部と手摺3の側面とが、手摺3の上階側から下階側に向かって貼り付けられる。この貼り付け作業は、例えば刷毛等を用いて手作業により行われる。側面の貼り付けによって、シール7の中央部と両側の端部が全て手摺3に貼り付けられる(図11(B))。なお、この作業の際、工程5において挿入された部材110は適宜取り除かれる。
【0053】
側面の貼り付け作業が下階の手摺3の端(シール貼り付け装置1のシール送出口付近)まで行われたら、作業者がシール貼り付け装置1を手で支えた状態でエスカレータが一旦上り方向に動かされて、シール貼り付け装置1が上階側の端(図1)まで戻される。これにより、未だシール7の貼り付けを行っていない手摺3の表面が現れる。この手摺3の表面に対して、上述した工程4〜6の作業が再び実施されて、下階の手摺3の端までシール7の貼り付けが行われる。シール7が手摺3のほぼ全周に貼り付けられるまで、このような工程4〜6の作業が繰り返される。
【0054】
<工程7:空気層の処理>
上述した工程5,6では、シール7と手摺3との間に空気の層が形成されないように注意して貼り付け作業が行われるが、もし空気層が形成されてしまった場合は、その都度空気を抜く処理が行われる。すなわち、空気層が形成されたシール7の側縁部に針等で微小孔を形成し、空気層に溜まった空気を微小孔から押し出す処理が行われる。この場合、微小孔は、エスカレータ運転時の手摺の移動方向における上流側の側縁部に形成される。
【0055】
図12は、空気層の処理方法の一例を説明するための図であり、(A)は上り方向のエスカレータの例を示し、(B)は下り方向のエスカレータの例を示す。
図12に示すように、空気層120が形成されたシール7の側縁部に針121で微小孔が開けられる。上り方向のエスカレータの場合は、図12(A)に示すように下階側の側縁部に微小孔が開けられ、下り方向のエスカレータの場合は、図12(B)に示すように上階側の側縁部に微小孔が開けられる。
【0056】
このように、エスカレータ運転時の手摺の移動方向における上流側の側縁部に微小孔を開けることによって、手摺3が上述したローラ4を通過する際に、微小孔を開けられていない空気層120の下流側の領域から先にローラ4で圧迫される。従って、この領域にわずかな空気が残留している場合、ローラ4で圧迫された空気が下流側から上流側へ移動して微小孔から外部に排出されるため、空気の残留量がより少なくなり、シール7の貼り付けの仕上がりを更に良好にすることができる。
【0057】
<工程8:シール7の端部(末端)の貼り付け>
工程4〜6の繰り返しにより手摺3のほぼ全周にわたってシール7が貼られたら、次は、シール7の末端の貼り付け作業が行われる。シール7が適当な位置で幅方向に切断され、この切断部の末端と初めに貼り付けた先端(工程3)とが重なるように貼り合わされる。重なり部分の幅は、例えば1cm程度に設定される。
【0058】
上記のようにシール端部を重ねて貼り付ける場合、本実施形態では、エスカレータ運転時の手摺3の移動方向における下流側のシール端部が上流側のシール端部に対して上に重なるようにする。このようにすることで、ローラ4が重なり部分を通過する際、重なり部分の段差を上から下へ転がるようにローラ4が移動する。従って、例えば乗客のいたずら等によって重なり部分に僅かな隙間が生じた場合でも、ローラ4がこの隙間を上から圧着して閉じるように転がるので、シール端部の隙間が広がったり、シール端部の粘着面がローラ4に接着したりする不具合を有効に防止できる。
【0059】
上り方向のエスカレータの場合、例えば図13に示すように、工程3で貼り付けたシール7の先端部K1の上に工程7で切断したシール7の末端部K2がそのまま重ねて貼り付けられる。この場合、下流側のシール端部が末端部K2であるため、先端部K1を剥がす必要はない。
【0060】
一方、下り方向のエスカレータの場合、下流側のシール端部が先端部K1、上流側のシール端部が末端部K2となるので、下流側のシール端部が上流側のシール端部の上に重なるようにするためには、先端部K1を一旦剥がして末端部K2の上に重ねる必要がある。
このように、既に貼られた先端部K1を剥がして再度貼り付けると、粘着力が低下してしまう可能性があるので、本発明の他の実施形態では、例えば図14に示すように、重なり部分の上へ更に補強用のシール130を貼り付けるようにしてもよい。補強用のシール130は、広告の変更等のために手摺3から剥がす必要のあるシール7に比べて、粘着力の強いものを使用できる。粘着力の強い補強用シール130を貼り付けることにより、乗客のいたずら等による隙間が生じ難くなるので、シール端部の粘着面がローラ4に接着してしまう不具合を有効に防止できる。
【0061】
<工程9:補修>
上述の工程1〜8によってシール7の貼り付けが終わったら、シール7の全体的な貼り付け具合の確認が行われる。例えば、シール貼り付け装置1を手摺3から外し、エスカレータを運転させた状態で、手袋をつけた作業者が手摺3を把持する。作業者は、移動する手摺3を手袋で滑らせながら把持し、シール7の浮き上がり等をチェックする。この確認作業においてシール7の貼り付けに不良が発見された場合は、次に述べるようにして不良部分の補修が行われる。
【0062】
図15及び16は、補修作業を説明するための図である。図15は上り方向のエスカレータにおける補修作業を示し、図16は下り方向のエスカレータにおける補修作業を示す。
補修作業では、まず、不良部分が含まれるようにシール7の一部分が切断されて、手摺3から剥がされる。次いで、この切断された部分より長い補修用のシール140が用意される。補修用シール140は、その両端が手摺3に貼られているシール7の端部の上に重なるように、手摺3へ貼り付けられる。
【0063】
更に本実施形態では、補修用のシール140と下地のシール7との両端の重なり部分のうち、少なくともエスカレータ運転時の手摺3の移動方向における下流側に位置する重なり部分の上へ、補強用のシール150が貼り付けられる。
例えば上り方向のエスカレータの場合、図15に示すように、上階側の重なり部分の上に補強用のシール150が貼り付けられる。また、下り方向のエスカレータの場合は、図16に示すように、下階側の重なり部分の上に補強用のシール150が貼り付けられる。
【0064】
両端をシール7の端部の上に重ねるようにして補修用のシール140を貼り付けた場合、エスカレータ運転時の手摺3の移動方向における下流側に位置する重なり部分では、ローラ4の通過の際に重なり部分の段差を下から上へ転がるようにローラ4が移動する。そのため、乗客のいたずら等によって重なり部分に僅かな隙間が生じていると、段差の上側の補修用シール140がめくれ上がって隙間が広がったり、補修用シール140がローラ4に接着し易くなったりする可能性がある。そこで、上述のように下流側の重なり部分の上へ比較的粘着力の強い補強用のシール150を貼り付けることで、補修用のシール140がローラ4に接着する等の不具合を有効に防止できる。
【0065】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、エスカレータや動く歩道の移動手すりの表面にシールを貼り付ける技術分野に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…シール貼り付け装置、3…手摺、7…シール、10a,10b…サイドプレート、20a、20b,57a,57b,57c,57d…ガイドローラ、28…継手プレート、30…ローラ、31…回転伝達ローラ、32…剥離紙巻取ローラ、35…ガイドローラ、41…シール供給ローラ、43…ガイドローラ、55,56…継手,51…継手、52…ウォームホイール、53,54…レール、55c,56c…ラック、58,59…バネ、60…ガイドローラ、65…圧着ローラ、68…圧着ローラ、80a,80b,81a,81b…ブラシ、110…離間用の部材、130,150…補強用のシール、140…補修用のシール
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客運搬装置において乗客とともに移動する手摺の表面にシールを貼り付ける方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータ等において乗客とともに移動する手摺の表面に、広告等が印刷されたシールを貼り付けるための装置が知られている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3983778号明細書
【特許文献2】特許第4195324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献に記載される装置は、手摺に装着して移動させることによりシールが送り出される仕組みとなっており、装置の移動は作業者の人手によって行う。一方、手摺に貼り付けるシールは薄くて伸びやすい材質のため、装置を移動させる際にシールに加わる力が大きく変化すると、貼り付けられたシールにシワが生じ易くなる。特にシールの縁にシワが寄っていると、乗客が引っ掻いたりつまんだりすることによってシールを剥がされてしまう可能性がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールに加わる力の変化を抑えつつ貼り付け作業を行えるシール貼り付け方法と、そのような貼り付け方法によりエスカレータの手摺に形成される被覆物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点は、上階と下階との間の移動に用いられるエスカレータの手摺にテープ状のシールを貼り付けるシール貼り付け方法に関するものであり、このシール貼り付け方法は、筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付ける第1シール端貼り付け工程と、前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程とを有する。
【0007】
好適に、前記第1シール端貼り付け工程において、前記シールの幅方向における中央と前記手摺の幅方向における中央とが一致するように、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付ける。
【0008】
好適に、前記シール送り出し・貼り付け工程において、前記シールの押し付け部位を前記装置の移動に合わせて前記下階側にスライドさせる。
【0009】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記シール送り出し・貼り付け工程の後、前記シールの幅方向における側端部と前記手摺の側面とを、前記手摺の前記上階側から前記下階側に向かって貼り付ける側面貼り付け工程を有する。
【0010】
好適に、上記シール貼り付け方法は、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側の前記シールの端部が、当該移動方向における上流側の前記シールの端部に対して上に重なるように、前記シールの端同士を重ね合わせて前記手摺に貼り付ける第2シール端貼り付け工程を有する。
【0011】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記シールの端同士を重ね合わせて前記手摺に貼り付ける第2シール端貼り付け工程と、前記第2シール端貼り付け工程において、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の前記シールの端部が、当該移動方向における下流側の前記シールの端部に対して上に重なるように貼り付けた場合、当該重なり部分の上へ更に補強用のシールを貼り付ける補強シール貼り付け工程とを有する。
【0012】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記シール送り出し・貼り付け工程若しくは前記側面貼り付け工程において前記シールと前記手摺との間に空気の層が形成された場合、当該空気層が形成された前記シールの側縁部であって、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の側縁部に微小孔を開け、前記空気層に溜まった空気を前記微小孔から押し出す空気層処理工程を有する。
【0013】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記手摺への前記シールの貼り付けに不良がある場合、当該不良部分が含まれるように前記シールの一部を切断して前記手摺から剥がし、当該切断した部分より長い補修用シールを、その両端が既に前記手摺に貼り付けてあるシールの上に重なるように前記手摺に貼り付け、当該両端の重なり部分のうち、少なくともエスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側に位置する前記重なり部分の上へ更に補強用のシールを貼り付ける補修工程を有する。
【0014】
好適に、上記シール貼り付け方法は、前記シール送り出し・貼り付け工程の後、かつ、前記側面貼り付け工程の前において、前記シールの粘着面と前記手摺の側面とを離間させる1つ又は複数の部材であって、前記粘着面から乖離可能な部材を、前記シールと前記手摺との間に挿入する離間用部材挿入工程を有し、前記側面貼り付け工程において、前記部材を取り除きながら前記シールの側端部と前記手摺の側面とを貼り付ける。
【0015】
本発明の第2の観点は、下階から上階への上り方向の移動に用いられるエスカレータの手摺の表面を覆うエスカレータ手摺被覆物に関するものであり、このエスカレータ手摺被覆物は、前記手摺の長手方向に沿って前記手摺の表面に貼り付けられたテープ状のシールを有する。そして、前記シールが、筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付けるシール端貼り付け工程と、前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程とを有する工法により前記手摺に貼り付けられており、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側の前記シールの端部が、当該移動方向における上流側の前記シールの端部に対して上に重なるように、前記シールの端同士が重ね合わせて前記手摺に貼り付けられている。
【0016】
本発明の第3の観点は、上階から下階への下り方向の移動に用いられるエスカレータの手摺の表面を覆うエスカレータ手摺被覆物に関するものであり、このエスカレータ手摺被覆物は、前記手摺の長手方向に沿って前記手摺の表面に貼り付けられたテープ状のシールを有する。そして、前記シールが、筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付けるシール端貼り付け工程と、前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程とを有する工法により前記手摺に貼り付けられており、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の前記シールの端部が、当該移動方向における下流側の前記シールに対して上に重なるように、前記シールの端同士が重ね合わせて前記手摺に貼り付けられており、当該重なり部分の上へ更に補強用のシールが貼り付けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シールに加わる力の変化を抑えつつ貼り付け作業を行えるので、貼り付けの仕上がりが良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】上階と下階との間の移動に用いられるエスカレータの一例を示す概略図である。
【図2】シール貼り付け装置の構成の一例を示す図であり、手摺の上方から見た外観を例示する。
【図3】シール貼り付け装置の構成の一例を示す図であり、図2の矢印Aの方向から見た外観を例示する。
【図4】シール貼り付け装置の構成の一例を示す図であり、図3の矢印Bの方向から見た外観を例示する。
【図5】シール貼り付け装置の構成の一例を示す図であり、図3の矢印Cの方向から見た外観を例示する。
【図6】シール貼り付け装置を手摺に装着するための機構の構成例を示す図である。
【図7】シールの先端を手摺に貼り付ける作業を説明するための図であり、手摺を上方から見た図である。
【図8】シールの先端を手摺に貼り付ける作業を説明するための図であり、手摺を断面方向から見た図である。
【図9】シール貼り付け装置より送り出されるシールを手摺へ押しつけながら貼り付ける作業を説明するための図である。
【図10】手摺の側面とシールの側端部との間に挿入される離間用の部材を説明するための図である。
【図11】手摺の側面にシールの側端部を貼りつける作業を説明するための図である。
【図12】手摺とシールとの間に形成された空気層に溜まる空気を抜く作業を説明するための図である。
【図13】上り方向のエスカレータの手摺におけるシールの端部の貼り合わせ作業を説明するための図である。
【図14】下り方向のエスカレータの手摺におけるシールの端部の貼り合わせ作業を説明するための図である。
【図15】上り方向のエスカレータの手摺におけるシールの補修作業を説明するための図である。
【図16】下り方向のエスカレータの手摺におけるシールの補修作業を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、エスカレータの手摺にテープ状のシールを貼り付ける本発明の方法の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、上階と下階との間の移動に用いられるエスカレータの一例を示す概略図であり、横方向から見た手摺3の概略を示す。手摺3は、図示しない案内用の軌道においてループ状に張られており、乗客の見えない場所に設置されたローラ4が手摺3を駆動する。ローラ4が手摺3を上下から挟み込んだ状態で回転することにより、手摺3が軌道に沿って移動する。
【0020】
本実施形態では、手摺3の長手方向に沿ってシールを送り出すように構成されたシール貼り付け装置1を用いて、シールの貼り付け作業を行う。シールには、例えば広告等が印刷される。
シール貼り付け装置1は、例えば、全体の構造を支える筺体と、筺体が手摺3の長手方向に沿って移動し得るように筺体を手摺3に装着する装着機構とを備える。これにより、図1に示すように、運転停止状態にあるエスカレータの手摺3の上を、上階側から下階側に向かってシール貼り付け装置1が移動可能となる。シール貼り付け装置1の移動は、例えば、作業者の手作業により行われる。
【0021】
また、シール貼り付け装置1は、シールがドラム状に巻かれたロール体を筺体において回転自在に支持する支持部と、ロール体より供給されるシールが手摺3の上面へ長手方向に沿って送り出されるようにシールを案内する案内機構とを備えている。これにより、シール貼り付け装置1が手摺3の上を動くと、回転するロール体からシールが供給され、このシールが案内機構により案内されて手摺3の上面に送り出される。
【0022】
図2〜図5は、シール貼り付け装置1の構成の一例を示す図であり、手摺3に装着されたシール貼り付け装置1を各方向から見た場合の外観を例示する。すなわち、図2は手摺3の上方から見た外観、図3は矢印A(図2)の方向から見た外観、図4は矢印B(図3)の方向から見た外観、図5は矢印C(図3)の方向から見た外観をそれぞれ示す。
【0023】
図2〜図5に示すように、シール貼り付け装置1は、対向して配設されたサイドプレート10a及び10bを有する。サイドプレート10a,10bは、継手シャフト27,71および継手プレート28などを介して固定されており、当該装置の全体構造を支える筺体を構成する。
【0024】
継手プレート28は、シール貼り付け装置1の移動方向の先頭側に設けられている。なお、本実施形態において、シール貼り付け装置1の移動方向と反対側を後方側と呼ぶ。
【0025】
継手プレート28には、取り付け部19が固定される。取り付け部19は、筐体を手摺31に装着するための機構であり、アーム21a,21b,23a,23bと、軸22a,22b,24a,24b,25a,25bとを有する。
【0026】
アーム21aの一方の端が、継手プレート28に設けられた軸25aにおいて回転可能に支持される。アーム21aの他方の端には、軸を中心に回転可能に支持された円柱体21a1が取り付けられている。アーム23aの一方の端が、アーム21aの中央付近に設けられた軸22aにおいて回転可能に支持される。アーム23aの他方の端が、継手プレート28に設けられた軸24aにおいて回転可能に支持される。
アーム21bの一方の端が、継手プレート28に設けられた軸25bにおいて回転可能に支持される。アーム21bの他方の端には、軸を中心に回転可能に支持された円柱体21b1が取り付けられている。アーム23bの一方の端が、アーム21bの中央付近に設けられた軸22bにおいて回転可能に支持される。アーム23bの他方の端が、継手プレート28に設けられた軸24bにおいて回転可能に支持される。
【0027】
円柱体21a1,21b1の端面には、円柱体21a1,21b1と一体的に回転可能なガイドローラ20a、20bが固定されている。ガイドローラ20a、20bは、例えば、樹脂やゴムなどを用いて成形されている。
【0028】
取り付け部19を手摺3に装着する場合、軸25a,25bを中心としてアーム21a,21bをそれぞれ回動させて両アームを開き、円柱体21a1,21b1の間に手摺3を位置させて、両アームを閉じる。これにより、円柱体21a1,21b1が手摺3を両側から挟み込んだ状態となる。この状態で円柱体21a1,21b1が回転可能であるため、筺体(サイドプレート10a,10b)を手摺3の長手方向に沿って滑らかに移動させることができるとともに、手摺3の幅方向への動きを規制できる。また、円柱体21a1,21b1の端面に固定されたガイドローラ20a、20bが手摺3の下側の面に当たることによって、手摺3の上面から離れる向きへの筺体の動きを規制できる。
取り付け部19を上述のように構成したことで、幅が異なる様々な手摺3にシール貼り付け装置1を装着できる。
【0029】
図2〜図4に示すように、継手プレート28に対して後方側には、サイドプレート10a及び10bで両端を軸受けされた軸30aが設けられている。この軸30aにおいて、手摺3の表面に当接するローラ30が回転自在に支持される。ローラ30の回転は、図示しない回転伝達機構により、軸31aを中心に回転する回転伝達ローラ31に伝達される。回転伝達ローラ31の回転は、タイミングベルト34を介して、回転伝達ローラ32bに伝達される。回転伝達ローラ32bは、軸32aを中心に、剥離紙巻取ローラ32と一体となって回転する。
【0030】
シール貼り付け装置1が手摺3の長手方向に沿って移動することにより、手摺3の表面に当接したローラ30aが回転し、その回転が剥離紙巻取ローラ32に伝達され、剥離紙巻取ローラ32が回転する。手摺3へのシール7の貼り付け時にシール7の貼着面から剥離紙6が剥がされると、剥がされた剥離紙6の長さに応じて剥離紙巻取ローラ32が回転する。これにより、剥離紙6を剥離紙巻取ローラ32へ巻き取ることが可能になるとともに、剥離紙巻取ローラ32が余分に回転して剥離紙6に所定以上の張力が加わることを防止できる。
【0031】
軸30a,32aより後方側であって、高さが軸30a,32aのほぼ中間の位置には、サイドプレート10a及び10bで両端を軸受けされた軸35aが設けられている。この軸35aにおいて、ガイドローラ35が回転自在に支持される。ガイドローラ35は、ガイドローラ60付近でシール7から剥離された剥離紙6を、剥離紙巻取ローラ32に向けて案内する。
【0032】
ガイドローラ60は、軸35aとほぼ同じ高さにある軸60cにおいて回転自在に支持される。剥離紙6が付いた状態のシール7は、ガイドローラ60で案内された後、剥離紙6を剥がされ、手摺3の上面に向けて送られる。また、シール7から剥がされた剥離紙6は、ガイドローラ35に向けて送られる。
【0033】
ガイドローラ60の下方(手摺3側)には、軸65aを中心に回転する圧着ローラ65が設けられている。圧着ローラ65は、剥離紙6が剥がされたシール7を手摺3の上面に押しつけて圧着する。
【0034】
ガイドローラ60の上方には、軸41aを中心に回転するシール供給ローラ41が設けられている。シール供給ローラ41は、ガイド板41b及び41cを有しており、この間にシール巻体8が装着される。シール巻体8には、剥離紙6が付いた状態のシール7がドラム状に巻かれている。ガイドローラ60より前方側であって軸41aより低く軸60cより高い位置には、軸43aを中心に回転するガイドローラ43が設けられている。シール供給ローラ41から供給されるシール7が、ガイドローラ43を介してガイドローラ60に送られる。
【0035】
継手55,56(図4)を含む機構は、上述した取り付け部19と同様に、筺体を手摺3に装着するためのブロックを構成する。図6は、この継手55,56を含んだ装着機構の構成を説明するための図である。
【0036】
サイドプレート10aと10bの間には、継手51とレール53,54が固定される。継手51がレール53,54の中間に配設され、レール53が後方側、レール54が前方側に配設される。継手51の中央付近には、下側(手摺3の上面に向かう方向)に向いた軸において回転可能に支持されたウォームホイール52が設けられている。
【0037】
図4,図6に示すように、サイドプレート10aと10bの間には、継手55と56とが向かい合って配設される。継手55がサイドプレート10b側に配設され、継手56がサイドプレート10a側に配設される。
【0038】
継手55は、サイドプレート10bに対して平行に延びるベース55aと、ベース55aの中央付近よりやや前方側においてレール54に沿って延びる凸部55bとを有する。凸部55bは、サイドプレート10b側からサイドプレート10a側へ突出しており、後方側の側面においてウォームホイール52と噛み合うラック55cが形成されている。ベース55aの下側の面(手摺3側の面)には、後方側の端部に軸57a1、前方側の端部に軸57b1がそれぞれ設けられており、この軸57a1,57b1において円柱体57a2,57b2が回転可能に支持されている。円柱体57a2,57b2の端面には、円柱体57a2,57b2と一体的に回転可能なガイドローラ57a,57bが固定されている。
他方、継手56は、サイドプレート10aに対して平行に延びるベース56aと、ベース56aの中央付近よりやや後方側においてレール53に沿って延びる凸部56bとを有する。凸部56bは、サイドプレート10a側からサイドプレート10b側へ突出しており、前方側の側面においてウォームホイール52と噛み合うラック56cが形成されている。ベース56aの下側の面には、後方側の端部に軸57c1、前方側の端部に軸57d1がそれぞれ設けられており、この軸57c1,57d1において円柱体57c2,57d2が回転可能に支持されている。円柱体57c2,57d2の端面には、円柱体57c2,57d2と一体的に回転可能なガイドローラ57c,57dが固定されている。
【0039】
また、ベース55aの前方側の端部とベース56aの前方側の端部との間にバネ58が設けられ、ベース55aの後方側の端部とベース56aの後方側の端部との間にバネ59が設けられている。バネ58,59によって、継手55と継手56とが互いに近づく方向に付勢される。
【0040】
継手55,56は、それぞれレール54,53に沿って移動可能であり、ラック55c及び56cとウォームホイール52との噛み合わせによって、反対向きに同じ距離だけ移動するように構成されている。継手55,56に外力が加わっていない状態では、バネ58,59によって両者が互いに近づく方向に付勢されるため、図5に示すように、凸部55bの先端部とベース56aの側面とが当接し、凸部56bの先端部とベース55aの側面とが当接した状態になっている。
【0041】
ガイドローラ57a,57b,57c,57dによって手摺3を挟み込む場合、作業者がバネ58,59の弾性力に抗して継手55と継手56とを手摺3の幅方向に引き離し、ガイドローラ57a及び57bとガイドローラ57c及び57dとの間に手摺3を位置させる。この状態で、作業者が手を離すと、バネ58,59の弾性力によって継手55と継手56とが近づく方向に移動し、ガイドローラ57a及び57bとガイドローラ57c及び57dとの間に手摺3が挟み込まれる。この状態で、ガイドローラ57a,57b,57c,57dとそれに対応した円柱体57a2,57b2,57c2,57d2がそれぞれ軸57a1,57b1,57c1,57d1を中心に回転可能であるため、シール貼り付け装置1は手摺3に対して矢印X(図2)の向きへ滑らかに移動可能である。
【0042】
圧着ローラ65の後方には、軸68aを中心に回転する圧着ローラ68が設けられている。圧着ローラ68は、圧着ローラ65と同様に、手摺3の表面に貼着されたシール7を手摺3の表面に向けて押圧する。圧着ローラ68の後方には、シール貼り付け装置1の中心軸に対して線対称の位置に、ブラシ80aと80bとが配設されている。また、ブラシ80a,80bの後方には、シール貼り付け装置1の中心軸に対して線対称の位置に、ブラシ81aと81bとが配設されている。
以上が、シール貼り付け装置1についての説明である。
【0043】
次に、上述したシール貼り付け装置1を用いて手摺3にシール7を貼り付ける方法について説明する。
【0044】
<工程1:手摺3の清掃>
まず、手摺3の表面についた油等の汚れの清掃が行われる。例えば、エスカレータを運転させた状態で、洗剤等をしみ込ませた雑巾を回転する手摺3に押しつけることにより、シール7の貼り付け面に付着する汚れが拭き取られる。
【0045】
<工程2:シール貼り付け装置1の装着>
次に、上述したシール貼り付け装置1が手摺3に装着される。すなわち、エスカレータの運転が停止した状態で、手摺3の上階側の端に(例えば図1に示すような斜面の上端に)シール貼り付け装置1が装着される。この際、シール貼り付け装置1は、シール7の送出方向を上階側に向けた状態で(すなわち後方を上階側、前方を下階側に向けた状態で)装着される。
【0046】
<工程3:シール7の端部(先端)の貼り付け>
手摺3にシール貼り付け装置1が装着された後、剥離紙6を分離されたシール7の先端がシール貼り付け装置1より引き出されて手摺3の上面に貼り付けられる。この際、図7,図8に示すように、シール7の幅方向における中央と手摺3の幅方向における中央とがほぼ一致するように、シール7の先端が手摺3の上面に貼り付けられる。
このように、貼り付けの開始位置においてシール7と手摺3の幅方向の中心を合わせることによって、長尺のシール7を手摺3の表面に適切に貼り付けることができる。
【0047】
<工程4:シール7の送り出し・貼り付け>
シール7の先端が手摺3の上面に貼り付けられると、次に、シール貼り付け装置1を移動させながらシール7を手摺3に貼り付ける作業が行われる。すなわち、シール貼り付け装置1が手摺3の上階側から下階側へ動かされるとともに、この移動に伴ってシール貼り付け装置1から送り出されるシール7が手摺3の上面に押し付けられるようにして貼り付けられる。この送り出し・貼り付け作業は、例えば2名の作業者で行われる。一方の作業者がシール貼り付け装置1を手で支えながら下階側へ移動させ、他方の作業者がシール貼り付け装置1より送り出されるシール7を手摺3の上面の平らな部分に貼り付けていく。
【0048】
図9は、シール貼り付け装置1より送り出されるシール7の貼り付け作業を説明するための図である。貼り付け作業を行う作業者は、手101に比較的滑りの良い薄手の手袋102を嵌めて、シール貼り付け装置1から送り出されるシール7を図9に示すように手摺3の上面の平らな部分に押し付けるようにして貼り付ける。このとき作業者は、シール7にシワが寄ったりシール7と手摺3との間に空気が入ったりすることのないように、シールの押し付け部位103をシール貼り付け装置1の移動に合わせて下階側にスライドさせる。
なお、工程4では手摺3上面の平らな部分とシール7の中央部分が接着され、残りの部分(手摺3側面のカーブした部分とシール7の側端部分)については接着されないままにされる。
【0049】
上記のように、傾斜した手摺3に沿って下階へ降りる方向にシール貼り付け装置1を動かしながらシール7の貼り付けが行われるため、上階へ登る方向にシール貼り付け装置1を動かしながら貼り付けが行われる場合に比べて、シール7に加わる力の変化を小さくできる。
すなわち、シール貼り付け装置1を上階へ登る方向に動かす場合、作業者は、重力に逆らってシール貼り付け装置1を上昇方向に移動させなければならないので、比較的大きな力が必要になり、シール7の張り具合の微妙な加減を調節し難くなる。そのため、シール7に加わる力を安定させ難くなる。これに対し、シール貼り付け装置1を下階へ降りる方向に動かす場合、作業者は、シール貼り付け装置1を支える力が幾分小さくなるようにして、重力に任せて下降させればよいので、比較的小さい力でシール貼り付け装置1を移動させることができる。そのため、シール7の張り具合の微妙な加減を調節し易くなり、シール7に加わる力を安定させることができる。
シール7に加わる力が安定することにより、シワや空気層が生じ難くなるので、貼り付けの仕上がりが良好になる。また、後述するような空気層の処理や補修の発生頻度が減るので、作業効率が向上する。
【0050】
また、シール貼り付け装置1を下階へ降りる方向に動かす場合、シール貼り付け装置1を支える作業者が誤って手を離しても、シール貼り付け装置1は下側に向かって移動するため、シール7の貼り付けを行う作業者に影響が及ぶことがなく、安全に作業を実施できる。
【0051】
<工程5:離間用部材の挿入>
シール貼り付け装置1を下階まで移動させて上述した貼り付け作業が行われた後、まだ貼り付けを完了していない手摺3側面にシール7が強く接着しないようにするため、例えば図10に示すように、両者を離間させるための部材110がその間に挿入される。部材110は、シール7の粘着面から乖離可能な板材(例えばプラスチック等の薄い板)を短冊状や三角状に切断して形成される。複数の部材110が、手摺3の両側の側面とシール7との間に適当な間隔で挿入される。
部材110を手摺3の側面とシール7との間に挿入することで、未だ貼り付けを完了していないシール7の側端部が手摺3の側面に強く接着してしまうことを防止できる。
【0052】
<工程6:側面貼り付け>
上述したシール送り出し・貼り付け作業(工程4)では、手摺3の上面の平らな部分にシール7が貼り付けられているものの、手摺3の側面のカーブした部分については未だシール7の貼り付けがなされていない(図8(B))。そこで本工程においては、図11に示すように、シール7の幅方向における側端部と手摺3の側面とが、手摺3の上階側から下階側に向かって貼り付けられる。この貼り付け作業は、例えば刷毛等を用いて手作業により行われる。側面の貼り付けによって、シール7の中央部と両側の端部が全て手摺3に貼り付けられる(図11(B))。なお、この作業の際、工程5において挿入された部材110は適宜取り除かれる。
【0053】
側面の貼り付け作業が下階の手摺3の端(シール貼り付け装置1のシール送出口付近)まで行われたら、作業者がシール貼り付け装置1を手で支えた状態でエスカレータが一旦上り方向に動かされて、シール貼り付け装置1が上階側の端(図1)まで戻される。これにより、未だシール7の貼り付けを行っていない手摺3の表面が現れる。この手摺3の表面に対して、上述した工程4〜6の作業が再び実施されて、下階の手摺3の端までシール7の貼り付けが行われる。シール7が手摺3のほぼ全周に貼り付けられるまで、このような工程4〜6の作業が繰り返される。
【0054】
<工程7:空気層の処理>
上述した工程5,6では、シール7と手摺3との間に空気の層が形成されないように注意して貼り付け作業が行われるが、もし空気層が形成されてしまった場合は、その都度空気を抜く処理が行われる。すなわち、空気層が形成されたシール7の側縁部に針等で微小孔を形成し、空気層に溜まった空気を微小孔から押し出す処理が行われる。この場合、微小孔は、エスカレータ運転時の手摺の移動方向における上流側の側縁部に形成される。
【0055】
図12は、空気層の処理方法の一例を説明するための図であり、(A)は上り方向のエスカレータの例を示し、(B)は下り方向のエスカレータの例を示す。
図12に示すように、空気層120が形成されたシール7の側縁部に針121で微小孔が開けられる。上り方向のエスカレータの場合は、図12(A)に示すように下階側の側縁部に微小孔が開けられ、下り方向のエスカレータの場合は、図12(B)に示すように上階側の側縁部に微小孔が開けられる。
【0056】
このように、エスカレータ運転時の手摺の移動方向における上流側の側縁部に微小孔を開けることによって、手摺3が上述したローラ4を通過する際に、微小孔を開けられていない空気層120の下流側の領域から先にローラ4で圧迫される。従って、この領域にわずかな空気が残留している場合、ローラ4で圧迫された空気が下流側から上流側へ移動して微小孔から外部に排出されるため、空気の残留量がより少なくなり、シール7の貼り付けの仕上がりを更に良好にすることができる。
【0057】
<工程8:シール7の端部(末端)の貼り付け>
工程4〜6の繰り返しにより手摺3のほぼ全周にわたってシール7が貼られたら、次は、シール7の末端の貼り付け作業が行われる。シール7が適当な位置で幅方向に切断され、この切断部の末端と初めに貼り付けた先端(工程3)とが重なるように貼り合わされる。重なり部分の幅は、例えば1cm程度に設定される。
【0058】
上記のようにシール端部を重ねて貼り付ける場合、本実施形態では、エスカレータ運転時の手摺3の移動方向における下流側のシール端部が上流側のシール端部に対して上に重なるようにする。このようにすることで、ローラ4が重なり部分を通過する際、重なり部分の段差を上から下へ転がるようにローラ4が移動する。従って、例えば乗客のいたずら等によって重なり部分に僅かな隙間が生じた場合でも、ローラ4がこの隙間を上から圧着して閉じるように転がるので、シール端部の隙間が広がったり、シール端部の粘着面がローラ4に接着したりする不具合を有効に防止できる。
【0059】
上り方向のエスカレータの場合、例えば図13に示すように、工程3で貼り付けたシール7の先端部K1の上に工程7で切断したシール7の末端部K2がそのまま重ねて貼り付けられる。この場合、下流側のシール端部が末端部K2であるため、先端部K1を剥がす必要はない。
【0060】
一方、下り方向のエスカレータの場合、下流側のシール端部が先端部K1、上流側のシール端部が末端部K2となるので、下流側のシール端部が上流側のシール端部の上に重なるようにするためには、先端部K1を一旦剥がして末端部K2の上に重ねる必要がある。
このように、既に貼られた先端部K1を剥がして再度貼り付けると、粘着力が低下してしまう可能性があるので、本発明の他の実施形態では、例えば図14に示すように、重なり部分の上へ更に補強用のシール130を貼り付けるようにしてもよい。補強用のシール130は、広告の変更等のために手摺3から剥がす必要のあるシール7に比べて、粘着力の強いものを使用できる。粘着力の強い補強用シール130を貼り付けることにより、乗客のいたずら等による隙間が生じ難くなるので、シール端部の粘着面がローラ4に接着してしまう不具合を有効に防止できる。
【0061】
<工程9:補修>
上述の工程1〜8によってシール7の貼り付けが終わったら、シール7の全体的な貼り付け具合の確認が行われる。例えば、シール貼り付け装置1を手摺3から外し、エスカレータを運転させた状態で、手袋をつけた作業者が手摺3を把持する。作業者は、移動する手摺3を手袋で滑らせながら把持し、シール7の浮き上がり等をチェックする。この確認作業においてシール7の貼り付けに不良が発見された場合は、次に述べるようにして不良部分の補修が行われる。
【0062】
図15及び16は、補修作業を説明するための図である。図15は上り方向のエスカレータにおける補修作業を示し、図16は下り方向のエスカレータにおける補修作業を示す。
補修作業では、まず、不良部分が含まれるようにシール7の一部分が切断されて、手摺3から剥がされる。次いで、この切断された部分より長い補修用のシール140が用意される。補修用シール140は、その両端が手摺3に貼られているシール7の端部の上に重なるように、手摺3へ貼り付けられる。
【0063】
更に本実施形態では、補修用のシール140と下地のシール7との両端の重なり部分のうち、少なくともエスカレータ運転時の手摺3の移動方向における下流側に位置する重なり部分の上へ、補強用のシール150が貼り付けられる。
例えば上り方向のエスカレータの場合、図15に示すように、上階側の重なり部分の上に補強用のシール150が貼り付けられる。また、下り方向のエスカレータの場合は、図16に示すように、下階側の重なり部分の上に補強用のシール150が貼り付けられる。
【0064】
両端をシール7の端部の上に重ねるようにして補修用のシール140を貼り付けた場合、エスカレータ運転時の手摺3の移動方向における下流側に位置する重なり部分では、ローラ4の通過の際に重なり部分の段差を下から上へ転がるようにローラ4が移動する。そのため、乗客のいたずら等によって重なり部分に僅かな隙間が生じていると、段差の上側の補修用シール140がめくれ上がって隙間が広がったり、補修用シール140がローラ4に接着し易くなったりする可能性がある。そこで、上述のように下流側の重なり部分の上へ比較的粘着力の強い補強用のシール150を貼り付けることで、補修用のシール140がローラ4に接着する等の不具合を有効に防止できる。
【0065】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、エスカレータや動く歩道の移動手すりの表面にシールを貼り付ける技術分野に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…シール貼り付け装置、3…手摺、7…シール、10a,10b…サイドプレート、20a、20b,57a,57b,57c,57d…ガイドローラ、28…継手プレート、30…ローラ、31…回転伝達ローラ、32…剥離紙巻取ローラ、35…ガイドローラ、41…シール供給ローラ、43…ガイドローラ、55,56…継手,51…継手、52…ウォームホイール、53,54…レール、55c,56c…ラック、58,59…バネ、60…ガイドローラ、65…圧着ローラ、68…圧着ローラ、80a,80b,81a,81b…ブラシ、110…離間用の部材、130,150…補強用のシール、140…補修用のシール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上階と下階との間の移動に用いられるエスカレータの手摺にテープ状のシールを貼り付けるシール貼り付け方法であって、
筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、
前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付ける第1シール端貼り付け工程と、
前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程と
を有するシール貼り付け方法。
【請求項2】
前記第1シール端貼り付け工程において、前記シールの幅方向における中央と前記手摺の幅方向における中央とが一致するように、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付ける、
請求項1に記載のシール貼り付け方法。
【請求項3】
前記シール送り出し・貼り付け工程において、前記シールの押し付け部位を前記装置の移動に合わせて前記下階側にスライドさせる、
請求項2に記載のシール貼り付け方法。
【請求項4】
前記シール送り出し・貼り付け工程の後、前記シールの幅方向における側端部と前記手摺の側面とを、前記手摺の前記上階側から前記下階側に向かって貼り付ける側面貼り付け工程を有する、
請求項3に記載のシール貼り付け方法。
【請求項5】
エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側の前記シールの端部が、当該移動方向における上流側の前記シールの端部に対して上に重なるように、前記シールの端同士を重ね合わせて前記手摺に貼り付ける第2シール端貼り付け工程を有する、
請求項4に記載のシール貼り付け方法。
【請求項6】
前記シールの端同士を重ね合わせて前記手摺に貼り付ける第2シール端貼り付け工程と、
前記第2シール端貼り付け工程において、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の前記シールの端部が、当該移動方向における下流側の前記シールの端部に対して上に重なるように貼り付けた場合、当該重なり部分の上へ更に補強用のシールを貼り付ける補強シール貼り付け工程とを有する、
請求項4に記載のシール貼り付け方法。
【請求項7】
前記シール送り出し・貼り付け工程若しくは前記側面貼り付け工程において前記シールと前記手摺との間に空気の層が形成された場合、当該空気層が形成された前記シールの側縁部であって、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の側縁部に微小孔を開け、前記空気層に溜まった空気を前記微小孔から押し出す空気層処理工程を有する、
請求項4乃至6の何れか一項に記載のシール貼り付け方法。
【請求項8】
前記手摺への前記シールの貼り付けに不良がある場合、当該不良部分が含まれるように前記シールの一部を切断して前記手摺から剥がし、当該切断した部分より長い補修用シールを、その両端が既に前記手摺に貼り付けてあるシールの上に重なるように前記手摺に貼り付け、当該両端の重なり部分のうち、少なくともエスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側に位置する前記重なり部分の上へ更に補強用のシールを貼り付ける補修工程を有する、
請求項4乃至7の何れか一項に記載のシール貼り付け方法。
【請求項9】
前記シール送り出し・貼り付け工程の後、かつ、前記側面貼り付け工程の前において、前記シールの粘着面と前記手摺の側面とを離間させる1つ又は複数の部材であって、前記粘着面から乖離可能な部材を、前記シールと前記手摺との間に挿入する離間用部材挿入工程を有し、
前記側面貼り付け工程において、前記部材を取り除きながら前記シールの側端部と前記手摺の側面とを貼り付ける、
請求項4乃至8の何れか一項に記載のシール貼り付け方法。
【請求項10】
下階から上階への上り方向の移動に用いられるエスカレータの手摺の表面を覆うエスカレータ手摺被覆物であって、
前記手摺の長手方向に沿って前記手摺の表面に貼り付けられたテープ状のシールを有し、
前記シールが、
筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、
前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付けるシール端貼り付け工程と、
前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程と
を有する工法により前記手摺に貼り付けられており、
エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側の前記シールの端部が、当該移動方向における上流側の前記シールの端部に対して上に重なるように、前記シールの端同士が重ね合わせて前記手摺に貼り付けられている、
エスカレータ手摺被覆物。
【請求項11】
上階から下階への下り方向の移動に用いられるエスカレータの手摺の表面を覆うエスカレータ手摺被覆物であって、
前記手摺の長手方向に沿って前記手摺の表面に貼り付けられたテープ状のシールを有し、
前記シールが、
筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、
前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付けるシール端貼り付け工程と、
前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程と
を有する工法により前記手摺に貼り付けられており、
エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の前記シールの端部が、当該移動方向における下流側の前記シールに対して上に重なるように、前記シールの端同士が重ね合わせて前記手摺に貼り付けられており、当該重なり部分の上へ更に補強用のシールが貼り付けられている、
エスカレータ手摺被覆物。
【請求項1】
上階と下階との間の移動に用いられるエスカレータの手摺にテープ状のシールを貼り付けるシール貼り付け方法であって、
筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、
前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付ける第1シール端貼り付け工程と、
前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程と
を有するシール貼り付け方法。
【請求項2】
前記第1シール端貼り付け工程において、前記シールの幅方向における中央と前記手摺の幅方向における中央とが一致するように、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付ける、
請求項1に記載のシール貼り付け方法。
【請求項3】
前記シール送り出し・貼り付け工程において、前記シールの押し付け部位を前記装置の移動に合わせて前記下階側にスライドさせる、
請求項2に記載のシール貼り付け方法。
【請求項4】
前記シール送り出し・貼り付け工程の後、前記シールの幅方向における側端部と前記手摺の側面とを、前記手摺の前記上階側から前記下階側に向かって貼り付ける側面貼り付け工程を有する、
請求項3に記載のシール貼り付け方法。
【請求項5】
エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側の前記シールの端部が、当該移動方向における上流側の前記シールの端部に対して上に重なるように、前記シールの端同士を重ね合わせて前記手摺に貼り付ける第2シール端貼り付け工程を有する、
請求項4に記載のシール貼り付け方法。
【請求項6】
前記シールの端同士を重ね合わせて前記手摺に貼り付ける第2シール端貼り付け工程と、
前記第2シール端貼り付け工程において、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の前記シールの端部が、当該移動方向における下流側の前記シールの端部に対して上に重なるように貼り付けた場合、当該重なり部分の上へ更に補強用のシールを貼り付ける補強シール貼り付け工程とを有する、
請求項4に記載のシール貼り付け方法。
【請求項7】
前記シール送り出し・貼り付け工程若しくは前記側面貼り付け工程において前記シールと前記手摺との間に空気の層が形成された場合、当該空気層が形成された前記シールの側縁部であって、エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の側縁部に微小孔を開け、前記空気層に溜まった空気を前記微小孔から押し出す空気層処理工程を有する、
請求項4乃至6の何れか一項に記載のシール貼り付け方法。
【請求項8】
前記手摺への前記シールの貼り付けに不良がある場合、当該不良部分が含まれるように前記シールの一部を切断して前記手摺から剥がし、当該切断した部分より長い補修用シールを、その両端が既に前記手摺に貼り付けてあるシールの上に重なるように前記手摺に貼り付け、当該両端の重なり部分のうち、少なくともエスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側に位置する前記重なり部分の上へ更に補強用のシールを貼り付ける補修工程を有する、
請求項4乃至7の何れか一項に記載のシール貼り付け方法。
【請求項9】
前記シール送り出し・貼り付け工程の後、かつ、前記側面貼り付け工程の前において、前記シールの粘着面と前記手摺の側面とを離間させる1つ又は複数の部材であって、前記粘着面から乖離可能な部材を、前記シールと前記手摺との間に挿入する離間用部材挿入工程を有し、
前記側面貼り付け工程において、前記部材を取り除きながら前記シールの側端部と前記手摺の側面とを貼り付ける、
請求項4乃至8の何れか一項に記載のシール貼り付け方法。
【請求項10】
下階から上階への上り方向の移動に用いられるエスカレータの手摺の表面を覆うエスカレータ手摺被覆物であって、
前記手摺の長手方向に沿って前記手摺の表面に貼り付けられたテープ状のシールを有し、
前記シールが、
筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、
前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付けるシール端貼り付け工程と、
前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程と
を有する工法により前記手摺に貼り付けられており、
エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における下流側の前記シールの端部が、当該移動方向における上流側の前記シールの端部に対して上に重なるように、前記シールの端同士が重ね合わせて前記手摺に貼り付けられている、
エスカレータ手摺被覆物。
【請求項11】
上階から下階への下り方向の移動に用いられるエスカレータの手摺の表面を覆うエスカレータ手摺被覆物であって、
前記手摺の長手方向に沿って前記手摺の表面に貼り付けられたテープ状のシールを有し、
前記シールが、
筺体と、前記筺体が前記手摺の長手方向に沿って移動し得るように前記筺体を前記手摺に装着する装着機構と、前記シールがドラム状に巻かれたロール体を前記筺体において回転自在に支持する支持部と、前記ロール体により供給される前記シールが前記手摺の上面へ前記長手方向に沿って送り出されるように前記シールを案内する案内機構とを備えた装置を、前記エスカレータの運転が停止された状態で、前記シールの送出方向を前記上階側に向けて、前記手摺に装着する装置装着工程と、
前記装置が前記手摺に装着された状態で、前記シールの端を前記手摺の上面に貼り付けるシール端貼り付け工程と、
前記シールの端が前記手摺の上面に貼り付けられた状態で、前記装置を前記手摺の前記下階側へ移動させながら、この移動に伴って前記装置から送り出される前記シールを前記手摺の上面に押し付けるようにして貼り付けるシール送り出し・貼り付け工程と
を有する工法により前記手摺に貼り付けられており、
エスカレータ運転時の前記手摺の移動方向における上流側の前記シールの端部が、当該移動方向における下流側の前記シールに対して上に重なるように、前記シールの端同士が重ね合わせて前記手摺に貼り付けられており、当該重なり部分の上へ更に補強用のシールが貼り付けられている、
エスカレータ手摺被覆物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−105491(P2011−105491A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264407(P2009−264407)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(500112548)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(500112548)
【Fターム(参考)】
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