説明

シール部を備えるワークの製造方法及びシール部を備えるワーク

【課題】2部材間を密封するシール部の密封性を向上させるシール部を備えたワークの製造方法及びシール部を備えたワークを提供する。
【解決手段】樹脂ガラス2と取付枠3との間にシーラ4を塗布し、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bを乗り上げて会合させることで形成されたシール部5を備えるフロントウィンドパネル1の製造方法であって、シーラ4の会合部4cにおいて、樹脂ガラス2に樹脂ガラス2と取付枠3との間を狭める突起2aを設けることで、シーラ4の会合部4cにおける隙間の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール部を備えるワークの製造方法及びシール部を備えるワークに関する。詳しくは、シーラの始端部上にシーラの終端部が乗り上げて会合させることで形成されたシール部を備えるワークの製造方法及びシール部を備えるワークに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シーラで形成した2部材間を密封するシール部を備えるワークの製造方法として、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1に記載された技術では、曲面ガラスの左右端部の内面に、シーラ補助材を付着して曲面ガラスの圧着方向に凸となるようにシーラを盛り付ける。これにより、シーラがワークとしての取付枠とシーラ補助材との間に圧着され、シーラによって曲面ガラスと取付枠との間を密封するシール部を形成できるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−219152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2部材間を密封するシール部は、シーラの始端部にシーラの終端部を繋いでシーラを1周させて形成させている。このようにシーラを1周させて、シーラの始端部にシーラの終端部を繋いで形成されたシーラの会合部に隙間が生じてシール部の密封性が悪い場合があった。
シーラの会合部に隙間が生じる原因は、製造工場の気温、部材やシーラの個体差の変動等に起因するものと考えられる。このようなシーラの会合部に隙間が生じる問題に対して、従来ではワーク製造装置のティーチングを微調整する等して対応していたが、製造ラインを一旦停止させ微調整作業に時間がかかりワークの生産効率の悪化を招く。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、その目的は、2部材間を密封するシール部の密封性を向上させるシール部を備えたワークの製造方法及びシール部を備えたワークを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)2部材(例えば、後述する樹脂ガラス2、21、取付枠3、31)間にシーラ(例えば、後述するシーラ4)を塗布し、前記シーラの始端部(例えば、後述する始端部4a)上に前記シーラの終端部(例えば、後述する終端部4b)を乗り上げて会合させることで形成されたシール部(例えば、後述するシール部5)を備えるワーク(例えば、後述するフロントウィンドパネル1、1a)の製造方法であって、前記シーラの会合部(例えば、後述する会合部4c)において、前記2部材のうちいずれか一方に前記2部材間を狭める突起(例えば、後述する突起2a、31a)を設けることで、前記会合部における隙間の発生を防止することを特徴とするシール部を備えるワークの製造方法。
【0007】
(1)の発明によれば、会合部において、2部材のうちいずれか一方に2部材間を狭める突起を設けるので、会合部における隙間の発生を防止できる。したがって、2部材間を密封するシール部の密封性を向上できる。
【0008】
(2)前記突起(例えば、後述する突起2a)は、前記シーラが塗布される側の部材(例えば、後述する樹脂ガラス2)に設けられ、前記突起の高さが前記終端部の末端に向かって徐々に高くなり、前記終端部が、高さが前記終端部の末端に向かって徐々に高くなる前記突起に乗り上がることで、前記会合部における隙間の発生を防止することを特徴とする(1)に記載のシール部を備えるワークの製造方法。
【0009】
(2)の発明によれば、シーラが塗布される側の部材に突起が設けられ、終端部が、高さが終端部の末端に向かって徐々に高くなる突起に乗り上がる。これにより、突起と終端部との間に隙間を形成することがなく、会合部における隙間の発生を防止できる。したがって、2部材間を密封するシール部の密封性を向上できる。
【0010】
(3)前記突起(例えば、後述する突起31a)は、前記シーラが塗布されない側の部材(例えば、後述する取付枠31)に設けられ、前記2部材が取り付けられる際に、前記突起が前記シーラを前記シーラが塗布される側の部材に押し付けることで、前記始端部上に前記終端部が乗り上がることで形成される隙間を埋めて前記会合部における隙間の発生を防止することを特徴とする(1)に記載のシール部を備えるワークの製造方法。
【0011】
(3)の発明によれば、始端部上に終端部が乗り上がることで形成される隙間は、シーラの塗布時に生じる場合がある。しかし、2部材が取り付けられる際に、シーラが塗布されない側の部材に設けられた突起が会合部のシーラをシーラが塗布される側の部材に押し付ける。これにより、会合部のシーラ盛高部分が押し潰され、始端部上に終端部が乗り上がることで形成される隙間を埋めて会合部における隙間の発生を防止できる。したがって、2部材間を密封するシール部の密封性を向上できる。
【0012】
(4)2部材(例えば、後述する樹脂ガラス2、21、取付枠3、31)間にシーラ(例えば、後述するシーラ4)を塗布し、前記シーラの始端部(例えば、後述する始端部4a)上に前記シーラの終端部(例えば、後述する終端部4b)を乗り上げて会合させることで形成されたシール部(例えば、後述するシール部5)を備えるワーク(例えば、後述するフロントウィンドパネル1、1a)であって、前記シーラの会合部(例えば、後述する会合部4c)において、前記2部材のうちいずれか一方に前記2部材間を狭める突起(例えば、後述する突起2a、31a)を設けることを特徴とするシール部を備えるワーク。
【0013】
(4)の発明によれば、(1)の発明と同様な効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、2部材間を密封するシール部の密封性を向上させるシール部を備えたワークの製造方法及びシール部を備えたワークを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフロントウィンドパネルの製造方法を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るシーラ塗布装置を示す図である。
【図3】フロントウィンドパネルの製造方法での課題を説明するための図である。
【図4】第2の実施形態に係るフロントウィンドパネルの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
[フロントウィンドパネル]
本実施形態に係るフロントウィンドパネル1は、図1(d)に示すように樹脂ガラス2と樹脂ガラス2を取り付ける取付枠3とを含む。本実施形態に係るフロントウィンドパネル1は、本発明に係るシール部を備えるワークの一例である。樹脂ガラス2は、例えば車両のフロントウィンドを構成し、取付枠3は、例えば車両のフロントウィンドを取り付けるパネル本体に形成される。
樹脂ガラス2と取付枠3とを含むフロントウィンドパネル1は、シーラ4で形成した樹脂ガラス2と取付枠3との間を密封するシール部5を備える。シール部5を備えることにより、樹脂ガラス2と取付枠3との間から水漏れ等を防止している。
ここで、樹脂ガラス2が本発明のシーラが塗布される側の部材に相当する。取付枠3が本発明のシーラが塗布されない側の部材に相当する。
本実施形態に係る樹脂ガラス2と取付枠3とを含むフロントウィンドパネル1は、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bを乗り上げてシーラ4を1周させて会合させることで形成されたシール部5を備えるフロントウィンドパネル1であって、シーラ4の会合部4cにおいて、樹脂ガラス2に樹脂ガラス2と取付枠3との間を狭める突起2aを設けたものである。
【0018】
[フロントウィンドパネルの製造方法]
図1を用いてフロントウィンドパネル1の製造方法を説明する。本実施形態に係るフロントウィンドパネル1の製造方法が、本発明に係るシール部を備えるワークの製造方法の一例である。図1は、本実施形態に係るフロントウィンドパネル1の製造方法を説明する図である。図1(a)は、樹脂ガラス2に設けられた突起2aを示す模式断面図であり、図1(b)は、樹脂ガラス2にシーラ4を塗布する状態を示す模式断面図であり、図1(c)は、シーラ4が塗布された樹脂ガラス2を取付枠3に取り付ける状態を示す模式断面図であり、図1(d)は、樹脂ガラス2を取付枠3に取り付けた状態、すなわちフロントウィンドパネル1を示す模式断面図である。
本実施形態に係る樹脂ガラス2と取付枠3とを含むフロントウィンドパネル1の製造方法は、突起2aを有する樹脂ガラス2を準備する工程(以下、第1工程という)と、樹脂ガラス2にシーラ4を塗布する工程(以下、第2工程という)と、シーラ4が塗布された樹脂ガラス2を取付枠3に取り付ける工程(以下、第3工程という)と、を含む。
【0019】
(第1工程)
第1工程では、突起2aを有する樹脂ガラス2を準備する。図1(a)に示すように突起2aは、樹脂ガラス2と取付枠3との間隔よりも高さが低い三角すい形状をしている。突起2aは、シーラ4を塗布開始するシーラ4の始端部4a側が垂直面2a1となっており、シーラ4を塗布終了するシーラ4の終端部4b側には2斜面を有しその稜線2a2がシーラ4の終端部4b側に向かって徐々に高くなる。つまり、突起2aが稜線2a2を有することで、突起2aの高さがシーラ4の終端部4bの末端に向かって徐々に高くなる。突起2aは、シーラ4の幅方向ではシーラ幅よりも狭い幅に形成されている。突起2aは、樹脂ガラス2を形成する際に一体成形される。
なお、本発明の突起は、樹脂ガラスと別途形成され、樹脂ガラスに接着されるものでもよい。また、突起の高さは、シーラの終端部の末端に向かって徐々に高くなるものであったが、本発明はこれに限られず、階段状や円弧状のものを採用してもよい。また、突起の形状も、三角すい形状に限られず、角柱形状、半球形状等、種々の形状を採用してもよい。
また一方で、取付枠3も準備する。
【0020】
(第2工程)
第2工程では、樹脂ガラス2にシーラ4を塗布する。
図2は、本実施形態に係るシーラ塗布装置10を示す図である。シーラ塗布装置10は、図2に示すように、レール11にスライド可能に保持され、XY平面方向に移動可能なシーラ塗布ヘッド12が設けられる。レール11が両端部で保持部にスライド可能に保持されX方向に移動可能であり、シーラ塗布ヘッド12はレール11上でY方向に移動可能であり、これによって、シーラ塗布ヘッド12はXY平面方向に移動可能となっている。シーラ塗布ヘッド12は、基板121に取り付けられるハウジング122を備えている。ハウジング122には、取付金具123によってシーラ供給管124が取り付けられている。シーラ供給管124の先端側には、ノズル装置125が接続されている。ノズル装置125の先端にシーラ4を吐出するノズル部126が設けられる。
【0021】
このシーラ塗布装置10を用い、樹脂ガラス2の縁にシーラ4を1周するように塗布する。シーラ4は、ペースト状の流動体であり、シーラ塗布ヘッド12の延出されたノズル部126からシーラ4が断続的に絞り出されることで、シーラ4は樹脂ガラス2上に単位あたり等しい量で塗布される。しかし、シーラ4の終端部4bは、シーラ塗布ヘッド12のノズル部126でのシーラ4の絞り出しの切れが悪く、末端に行くに従い細くなる。
ここで、図1(b)に示すようにシーラ4を塗布終了する際には、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bを乗り上げてシーラ4を1周させる。シーラ4の始端部4aとシーラ4の終端部4bとを繋ぐ、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bが乗り上がった会合部位をシーラ4の会合部4cという。シーラ4の会合部4cを形成する際に、シーラ4の終端部4bは、突起2aのシーラ4の終端部4bの末端に向かって徐々に高くなる稜線2a2上に乗り上がり、その先でシーラ4の始端部4a上で途切れる。樹脂ガラス2にシーラ4を塗布完了した状態では、図1(c)に示すようにシーラ4の終端部4bにおいて、一部が突起2a上に乗り上がり、続いて細く延びた末端が自重により下降してシーラ4の始端部4a上に乗り上がる。
【0022】
図3は、フロントウィンドパネルの製造方法での課題を説明するための図である。図3(a)は、樹脂ガラス102にシーラ104を塗布する状態を示す模式断面図であり、図3(b)は、シーラ104が樹脂ガラス102に良好に塗布できなかった状態を示す模式断面図である。
従来、樹脂ガラス102には、突起が設けられていなかった。このような従来において、図2に示すように、XY平面方向に移動可能なシーラ塗布ヘッド12によって、樹脂ガラス102の縁にシーラ104を1周するように塗布していた。図3(a)に示すようにシーラ104を塗布終了する際には、シーラ104の始端部104a上にシーラ104の終端部104bを乗り上げてシーラ104を1周させる。樹脂ガラス102にシーラ104を塗布完了した状態は、シーラ104の終端部104bの細く延びた末端が自重により下降してシーラ104の始端部104a上に乗り上がる。
ここで、一部のシーラ104は、図3(b)に示すようにシーラ104の始端部104a上にシーラ104の終端部104bが乗り上がった際に、乗り上がったシーラ104の終端部104bの自重による落下が不十分となり、シーラ104の始端部104a上にシーラ104の終端部104bが乗り上がったシーラ104の会合部104cに隙間SPが生じる場合がある。この隙間SPによりシール部5に水漏れが発生することがあり、密封性が悪く、良好なシール部を構成することができなかった。
シーラ104の会合部104cに隙間SPが生じる原因は、製造工場の気温、樹脂ガラス102、取付枠、シーラ104の個体差の変動等に起因するものと考えられる。このようなシーラ104の会合部104cに隙間SPが生じる問題に対して、従来ではシーラ塗布装置10等のワーク製造装置のティーチングを微調整する等して対応していたが、製造ラインを一旦停止させ微調整作業に時間がかかりフロントウィンドパネルの生産効率の悪化を招く。
【0023】
本実施形態では、上記のように樹脂ガラス2に突起2aを設けることで、このような課題を解決し、樹脂ガラス2と取付枠3との間を密封するシール部5の密封性を向上させる。
すなわち、図1(b)に示すようにシーラ4の会合部4cを形成する際に、シーラ4の終端部4bは、突起2aのシーラ4の終端部4bの末端に向かって徐々に高くなる稜線2a2上に乗り上がり、その先でシーラ4の始端部4a上で途切れる。これにより、稜線2a2上にシーラ4の終端部4bが乗り上がることで突起2aとシーラ4の終端部4bとの間に隙間を可及的に形成することがなく、突起2a自体でシーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bが乗り上がることで形成される隙間(図3(b)に示す隙間SP)を形成させない。
【0024】
(第3工程)
第3工程では、シーラ4が塗布された樹脂ガラス2を取付枠3に取り付ける。図1(c)に示す矢印のように樹脂ガラス2を取付枠3の方へ移動させて取り付けを行う。
樹脂ガラス2を取付枠3に取り付けた状態は、図1(d)に示すように樹脂ガラス2に塗布されたシーラ4が全体的に押し潰され、シーラ4が樹脂ガラス2と取付枠3とに圧着する。このとき、樹脂ガラス2に設けられた突起2aは、その高さが取り付けた状態の樹脂ガラス2と取付枠3との間隔よりも低いので、シーラ4の圧着に悪影響を及ぼさない。
【0025】
以上説明したフロントウィンドパネル1の製造方法により、図1(d)に示すように、樹脂ガラス2と取付枠3との間にシーラ4を塗布し、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bを乗り上げて会合させることで形成されたシール部5を備えるフロントウィンドパネル1であって、シーラ4の会合部4cにおいて、樹脂ガラス2に樹脂ガラス2と取付枠3との間を狭める突起2aを設けたフロントウィンドパネル1が製造できる。
【0026】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、樹脂ガラス2に突起2aが設けられ、シーラ4の終端部4bが、高さがシーラ4の終端部4bの末端に向かって徐々に高くなる突起2aに乗り上がる。これにより、突起2aとシーラ4の終端部4bとの間に隙間を形成することがなく、図3(b)に示す隙間SPのようなシーラ4の会合部4cにおける隙間の発生を防止できる。したがって、樹脂ガラス2と取付枠3との間を密封するシール部5の密封性を向上できる。
【0027】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態を説明する。ここで、本実施形態では、その特徴部分を説明し、上記第1の実施形態で説明した事項については説明を省略する。
本実施形態に係るフロントウィンドパネル1aは、図4(c)に示すように、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bを乗り上げてシーラ4を1周させて会合させることで形成されたシール部5を備えるフロントウィンドパネル1aであって、シーラ4の会合部4cにおいて、取付枠31に樹脂ガラス2と取付枠3との間を狭める突起31aを設けたものである。
【0028】
[フロントウィンドパネルの製造方法]
図4を用いてフロントウィンドパネル1aの製造方法を説明する。図4は、本実施形態に係るフロントウィンドパネル1aの製造方法を説明する図である。図4(a)は、取付枠31に設けられた突起31aを示す模式断面図であり、図4(b)は、シーラ4が塗布された樹脂ガラス21を取付枠31に取り付ける状態を示す模式断面図であり、図4(c)は、樹脂ガラス21を取付枠31に取り付けた状態、すなわちフロントウィンドパネル1を示す模式断面図である。
本実施形態に係る樹脂ガラス21と取付枠31とを含むフロントウィンドパネル1aの製造方法は、突起31aを有する取付枠31を準備する工程(以下、第1工程という)と、樹脂ガラス21にシーラ4を塗布する工程(以下、第2工程という)と、シーラ4が塗布された樹脂ガラス21を取付枠31に取り付ける工程(以下、第3工程という)と、を含む。
【0029】
(第1工程)
第1工程では、突起31aを有する取付枠31を準備する。図4(a)に示すように突起31aは、樹脂ガラス21と取付枠31との間隔よりも高さが低い半球形状をしている。突起31aは、樹脂ガラス21のシーラ4の会合部4cが形成される位置に対応して設けられる。突起31aは、シーラ4の幅方向ではシーラ幅よりも狭い幅に形成されている。突起31aは、取付枠31がプレス成形される際に一体成形される。
なお、本発明の突起は、取付枠と別途形成され、取付枠に装着されるものでもよい。また、突起の形状も、半球形状に限られず、角柱形状等、種々の形状を採用してもよい。
また一方で、樹脂ガラス21も準備する。
【0030】
(第2工程)
第2工程では、樹脂ガラス21にシーラ4を塗布する。
第1の実施形態と同様に図2に示すように、シーラ塗布ヘッド12によって、樹脂ガラス21の縁にシーラ4を1周するように塗布する。シーラ4は、ペースト状の流動体であり、シーラ塗布ヘッド12の延出されたノズル部126からシーラ4が断続的に絞り出されることで、シーラ4は樹脂ガラス21上に単位あたり等しい量で塗布される。しかし、シーラ4の終端部4bは、シーラ塗布ヘッド12のノズル部126でのシーラ4の絞り出しの切れが悪く、末端に行くに従い細くなる。
ここで、本実施形態の樹脂ガラス21には第1の実施形態のような突起2aは設けられていないため、図3(a)に示すようにシーラ4を塗布終了する際には、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bを乗り上げさせてシーラ4を1周させる。樹脂ガラス21にシーラ4を塗布完了した状態では、図3(b)や図4(b)に示すようにシーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bが乗り上がったシーラ4の会合部4cに隙間SPが生じることがある。
【0031】
(第3工程)
第3工程では、シーラ4が塗布された樹脂ガラス21を取付枠31に取り付ける。図4(b)に示す矢印のように樹脂ガラス21を取付枠31の方へ移動させて取り付けを行う。
このとき、取付枠31に設けられた突起31aがシーラ4を樹脂ガラス21に押し付ける。これにより、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bが乗り上がっていたシーラ4の会合部4cのシーラ盛高部分が押し潰され、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bが乗り上がることで形成される隙間SPを埋めることができる。
樹脂ガラス21を取付枠31に取り付けた状態は、図4(c)に示すように樹脂ガラス21に塗布されたシーラ4が全体的に押し潰され、シーラ4が樹脂ガラス21と取付枠31とに圧着する。このとき、取付枠31に設けられた突起31aは、その高さが取り付けた状態の樹脂ガラス21と取付枠31との間隔よりも低いので、シーラ4の圧着に悪影響を及ぼさない。
【0032】
以上説明したフロントウィンドパネル1aの製造方法により、図4(c)に示すように、樹脂ガラス21と取付枠31との間にシーラ4を塗布し、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bを乗り上げて会合させることで形成されたシール部5を備えるフロントウィンドパネル1aであって、シーラ4の会合部4cにおいて、取付枠31に樹脂ガラス21と取付枠31との間を狭める突起31aを設けたフロントウィンドパネル1aが製造できる。
【0033】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bが乗り上がることで形成される隙間SPは、図4(b)に示すようにシーラ4の塗布時には生じる場合がある。しかし、樹脂ガラス21と取付枠31とが取り付けられる際に、取付枠31に設けられた突起31aがシーラ4を樹脂ガラス21に押し付ける。これにより、シーラ4の会合部4cのシーラ盛高部分が押し潰され、シーラ4の始端部4a上にシーラ4の終端部4bが乗り上がることで形成される隙間SPを埋めてシーラ4の会合部4cにおける隙間の発生を防止できる。したがって、樹脂ガラス21と取付枠31との間を密封するシール部5の密封性を向上できる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良等を行っても、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0035】
1、1a…フロントウィンドパネル
2、21…樹脂ガラス(シーラが塗布される側の部材)
3、31…取付枠(シーラが塗布されない側の部材)
4…シーラ
4a…始端部
4b…終端部
4c…会合部
10…シーラ塗布装置
11…レール
12…シーラ塗布ヘッド
121…基板
122…ハウジング
123…取付金具
124…シーラ供給管
125…ノズル装置
126…ノズル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2部材間にシーラを塗布し、前記シーラの始端部上に前記シーラの終端部を乗り上げて会合させることで形成されたシール部を備えるワークの製造方法であって、
前記シーラの会合部において、前記2部材のうちいずれか一方に前記2部材間を狭める突起を設けることで、前記会合部における隙間の発生を防止することを特徴とするシール部を備えるワークの製造方法。
【請求項2】
前記突起は、前記シーラが塗布される側の部材に設けられ、前記突起の高さが前記終端部の末端に向かって徐々に高くなり、
前記終端部が、高さが前記終端部の末端に向かって徐々に高くなる前記突起に乗り上がることで、前記会合部における隙間の発生を防止することを特徴とする請求項1に記載のシール部を備えるワークの製造方法。
【請求項3】
前記突起は、前記シーラが塗布されない側の部材に設けられ、
前記2部材が取り付けられる際に、前記突起が前記シーラを前記シーラが塗布される側の部材に押し付けることで、前記始端部上に前記終端部が乗り上がることで形成される隙間を埋めて前記会合部における隙間の発生を防止することを特徴とする請求項1に記載のシール部を備えるワークの製造方法。
【請求項4】
2部材間にシーラを塗布し、前記シーラの始端部上に前記シーラの終端部を乗り上げて会合させることで形成されたシール部を備えるワークであって、
前記シーラの会合部において、前記2部材のうちいずれか一方に前記2部材間を狭める突起を設けることを特徴とするシール部を備えるワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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