説明

ジアザインドール誘導体およびc−JunN末端キナーゼの阻害におけるそれらの使用

本発明は、一般式(I)(式中、A、E、G、R、R、R、およびRは本明細書中で定義される)で表されるジアザインドール誘導体またはその薬学的に許容される塩、c−Jun N−末端キナーゼ(JKN)活性の阻害にそれらを使用すること、医薬に、特には神経変性障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、および/または臓器不全の治療にそれらを使用することに関する。本発明はまた、前記ジアザインドール誘導体およびそれらを含有する組成物の製造方法を提供する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ジアザインドール誘導体またはそれらの薬学的に許容される塩、c−Jun N末端キナーゼ(JNK)活性の阻害にそれらを使用すること、医薬に、特に神経変性障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、および/または臓器不全の治療にそれらを使用することに関する。本発明はまた、上記ジアザインドール誘導体およびそれらを含有する組成物の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
c−Jun N末端キナーゼ(以後「JNK」と呼ぶ)は、セリン/トレオニンタンパク質キナーゼのファミリーであり、かつマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)ファミリーのメンバーである。3種類の別個の遺伝子(JNK1、JNK2、およびJNK3)が識別されている。
【0003】
JNKは、多発性硬化症などの神経変性障害および関節リューマチなどの自己免疫疾患に関係があることが知られている(国際公開第2004/078756号)。
【0004】
さらに上記特許参考文献はまた、C3位上に環と、C5位上にフェニル基などの芳香族基またはモルホリノ基などのヘテロ環式基とを有する7−アザインドール誘導体がJNK阻害活性を保有することを開示している。
【0005】
また、C3位に置換(例えばチアゾリル基)と、C5位に置換(例えばヘテロ環式基)とを有する幾つかの7−アザインドール誘導体は、他のキナーゼ、すなわちTECおよびJAKキナーゼに対してin vitro阻害活性を示すことができることが知られている(国際公開第2006/004984号)。
【0006】
しかしながらC3位上にピラゾリル基と、C5位上に非芳香族炭素環基とを有する7−アザインドール誘導体についての開示はない。
【0007】
さらにC3位上にピラゾリル基と、C5位上に芳香族または非芳香族炭素環基とを有するn,7−ジアザインドール誘導体(ただし、n=2、4、または6)についての開示はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
JNK阻害剤は、他のキナーゼ全体にわたってJNKに対する優れた選択性を有することが望ましい。それは、予期しない副作用の危険性を低減するためである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の詳細
本発明者らは、C3位上にピラゾリル基と、C5位上に炭化水素環式基とを有するn,7−ジアザインドール誘導体が、他のキナーゼ全体にわたってJNKに対する優れた選択性を有し、かつ顕著なin vitro活性を示すことを見出し、それによって本発明を完成した。
【0010】
本発明は、式(I)
【化1】


の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式中、
Aは、CHまたはNであり、
Eは、CHまたはNであり、
Gは、CHまたはNであり、
Aは、EおよびGがCHの場合、Nであり、
Eは、AおよびGがCHの場合、Nであり、
Gは、AおよびEがCHの場合、Nであり、
は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、NR、および−R−Rからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であるか、
あるいはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、およびNRからなる群から選択される1〜6個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された6〜10員芳香族または部分飽和炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜8員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜7員ヘテロアリール基であり、
およびRは、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、または6員非芳香族ヘテロ環式基から独立して選択され、
またRの2つ以上の位置は、任意に基−X−(ただし、Xは、O、CH、CH−CH、NR、CH−CH−CH、CH−CH(CH−)−CH、またはN(R)−CH(CH−)CHであり、またRは独立して水素またはC1〜6アルキルから選択される)によって架橋されて二環または三環系を形成し、また上記架橋はC1〜6アルキル、シアノ、CONH、C1〜6ヒドロキシアルキル、オキソ、ヒドロキシ、C1〜6アルキルアミノ、または6員非芳香族ヘテロ環式基のうちの1種類または複数種類により任意にかつそれぞれ独立して置換されてもよく、
は、水素、任意に4〜7員非芳香族ヘテロ環式基により置換されたC1〜6アルキル、またはC1〜6ハロアルキルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルであり、また
は、水素またはC1〜6アルキルである。
【0011】
本発明の一実施形態では、Rは、ハロゲン、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、および−R−Rからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、また
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜7員ヘテロアリール基である。
【0012】
本発明はまた、式(Io)
【化2】


の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。式中、
Aは、CHまたはNであり、
Eは、CHまたはNであり、
Gは、CHまたはNであり、
Aは、EおよびGがCHの場合、Nであり、
Eは、AおよびGがCHの場合、Nであり、
Gは、AおよびEがCHの場合、Nであり、
は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、NR、および−R−Rからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜8員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜7員ヘテロアリール基であり、
およびRは、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、または6員非芳香族ヘテロ環式基から独立して選択され、
またR上の2つ以上の位置は、任意に基−X−(ただし、Xは、O、CH、CH−CH、NR、CH−CH−CH、CH−CH(CH−)−CH、またはN(R)−CH(CH−)CHであり、またRは独立して水素またはC1〜6アルキルから選択される)によって架橋されて二環または三環系を形成し、また上記架橋はC1〜6アルキル、シアノ、CONH、C1〜6ヒドロキシアルキル、オキソ、ヒドロキシ、C1〜6アルキルアミノ、または6員非芳香族ヘテロ環式基のうちの1種類または複数種類により任意にかつそれぞれ独立して置換されてもよく、
は、水素、任意に4〜7員非芳香族ヘテロ環式基により置換されたC1〜6アルキル、またはC1〜6ハロアルキルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルであり、また
は、水素またはC1〜6アルキルである。
【0013】
本発明の一実施形態では、Rは、ハロゲン、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、および−R−Rからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、また
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜7員ヘテロアリール基である。
【0014】
好ましくはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、NR、および−R−R(ただし、R、R、R、およびRは上記本明細書中のものと同様に定義される)からなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であるか、
あるいはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、およびNR(ただし、RおよびRは上記本明細書中のものと同様に定義される)からなる群から選択される1〜3個の置換基により任意に置換されるフェニルである。
【0015】
より好ましくはRは、ハロゲン、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、および−R−Rからなる群から選択される1〜3個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換される5〜7員非芳香族炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、また
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜6員ヘテロアリール基であるか、
あるいはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、およびNRからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意に置換されるフェニルである。
最も好ましくはRは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニルであり、これらのそれぞれが、ハロゲン、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、および−R−Rからなる群から選択される1〜3個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換されてもよく、
式中、Rは単結合または−CH−であり、
式中、Rは、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜6員ヘテロアリール基である。
【0016】
とりわけRは、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ヒドロキシアルキル、および−R−Rからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換される、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルであり、
式中、Rは単結合または−CH−であり、
式中、Rは、ハロゲンおよびC1〜4アルキルからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、5〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜6員ヘテロアリール基である。
【0017】
とりわけRは、フッ素、メチル、エチル、t−ブチルとメトキシ、ピペリジニル、フルオロピペリジニル、ピロリジニル、メチルピペラジニル、イソプロピルピペラジニル、メチルジアゼパニル、モルホリニル、およびオキサゼパニルからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0018】
とりわけRは、メチルピペラジニル、フルオロピペリジニル、モルホリニル、およびオキサゼパニルからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換されたシクロヘキシルである。
【0019】
特にRは、4−メチルピペラジニル、4−フルオロピペリジニル、モルホリニル、およびオキサゼパニルにより任意に置換されたシクロヘキシルである。
【0020】
が、少なくとも1個の窒素原子を含有する4〜8員非芳香族ヘテロ環式基である場合、好ましくはRは、その窒素原子を介してRに結合する。
【0021】
が一置換シクロヘキシル基である場合、好ましくはその置換基は、そのシクロヘキシル基の4位にある。
【0022】
が四置換シクロヘキシル基である場合、好ましくはそれは、式(Ii)
【化3】


で示されるtrans形状を有する。
【0023】
好適なR基の例には、フェニル、シクロヘキシル、
【化4】


が挙げられる。
【0024】
別の実施形態ではRは、メチル、モルホリノエチル、またはトリフルオロメチルである。好ましくはRはメチルである。
【0025】
別の実施形態ではRは水素またはメチルである。好ましくはRは水素である。
【0026】
別の実施形態ではRは水素またはメチルである。好ましくはRは水素である。
【0027】
本発明の化合物の一つの好ましいグループは、式(Ia)
【化5】


(式中、A、E、G、R、およびRは、式(I)について定義したものと同様である)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩である。
【0028】
本発明の化合物の別の好ましいグループは、式(Ib)
【化6】


(式中、R、R、R、およびRは、式(I)について定義したものと同様である)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩である。
【0029】
本発明の化合物の別の好ましいグループは、式(Ic)
【化7】


(式中、R、R、R、およびRは、式(I)について定義したものと同様である)の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩である。
【0030】
本発明の化合物の別の好ましいグループは、式(Id)
【化8】


の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩である。
【0031】
さらなる態様において本発明は、
実施例1:5−シクロヘキシル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(I−A−2)
【化9】


実施例2:4((1r、4r)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン(I−A−4)
【化10】


実施例3:4((1s、4s)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン(I−A−5)
【化11】


実施例4:2−シクロヘキシル−7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン(I−E−2)
【化12】


実施例5:4((1r、4r)−4−(7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン−2−イル)シクロヘキシル)モルホリン(I−E−7)
【化13】


実施例6:5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−フェニル−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン
【化14】


の群から選択される化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
【0032】
さらなる態様において本発明は、本明細書中で規定される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、薬学的に許容される担体との関連において提供する。
【0033】
さらなる態様において本発明は、薬剤に使用するための本明細書中で規定される化合物または医薬組成物を提供する。
【0034】
さらなる態様において本発明は、神経変性障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、および/または臓器不全の治療に使用するための本明細書中で規定される化合物または医薬組成物を提供する。好ましくはこの神経変性障害は多発性硬化症である。好ましくはこの炎症性疾患は多発性硬化症である。好ましくはこの自己免疫疾患は関節リューマチである。好ましくはこの臓器不全は、心不全、肝不全、または糖尿病性ネフロパシーである。
【0035】
さらなる態様において本発明は、神経変性障害(例えば多発性硬化症)、炎症性疾患(例えば多発性硬化症)、自己免疫疾患(例えば関節リューマチ)、および/または臓器不全(例えば心不全、肝不全、または糖尿病性ネフロパシー)を予防かつ/または治療するための方法を提供し、それは哺乳動物に本明細書中で規定される化合物または組成物の有効量を投与することを含む。
【0036】
さらなる態様において本発明は、神経変性障害(例えば多発性硬化症)、炎症性疾患(例えば多発性硬化症)、自己免疫疾患(例えば関節リューマチ)、および/または臓器不全(例えば心不全、肝不全、または糖尿病性ネフロパシー)の予防および/または治療用の薬剤の製造のための、本明細書中で規定される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用法を提供する。
【0037】
本発明はさらに、式(I)の化合物および式(I)の化合物の製造に関与する中間体の製造方法を提供する。上記化合物および中間体の製造方法を下記に反応スキーム1および2で記述し、また添付の実施例によって例示する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
本発明は、式(I)
【化15】


の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。式中、
Aは、CHまたはNであり、
Eは、CHまたはNであり、
Gは、CHまたはNであり、
Aは、EおよびGがCHの場合、Nであり、
Eは、AおよびGがCHの場合、Nであり、
Gは、AおよびEがCHの場合、Nであり、
は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、NR、および−R−Rからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であるか、
あるいはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、およびNRからなる群から選択される1〜6個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された6〜10員芳香族または部分飽和炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜8員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜7員ヘテロアリール基であり、
およびRは、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、または6員非芳香族ヘテロ環式基から独立して選択され、
またR上の2つ以上の位置は、任意に基−X−(ただし、Xは、O、CH、CH−CH、NR、CH−CH−CH、CH−CH(CH−)−CH、またはN(R)−CH(CH−)CHであり、またRは独立して水素またはC1〜6アルキルから選択される)によって架橋されて二環または三環系を形成し、また上記架橋はC1〜6アルキル、シアノ、CONH、C1〜6ヒドロキシアルキル、オキソ、ヒドロキシ、C1〜6アルキルアミノ、または6員非芳香族ヘテロ環式基のうちの1種類または複数種類により任意にかつそれぞれ独立して置換されてもよく、
は、水素、任意に4〜7員非芳香族ヘテロ環式基により置換されたC1〜6アルキル、またはC1〜6ハロアルキルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルであり、また
は、水素またはC1〜6アルキルである。
【0039】
本発明の一実施形態ではRは、ハロゲン、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、(C1〜6アルキル)アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、および−R−Rからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、また
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜7員ヘテロアリール基である。
【0040】
好ましくはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、NR、および−R−R(ただしR、R、R、およびRは、上記本明細書中で定義したものと同様である)からなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であるか、
あるいはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、およびNR(ただしRおよびRは、上記本明細書中で定義したものと同様である)からなる群から選択される1〜3個の置換基により任意に置換されたフェニルである。
【0041】
より好ましくはRは、ハロゲン、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、および−R−Rからなる群から選択される1〜3個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された5〜7員非芳香族炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、また
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜6員ヘテロアリール基であるか、
あるいはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、およびNRからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意に置換されたフェニルである。
【0042】
最も好ましくはRは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニルであり、それらのそれぞれが、ハロゲン、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、および−R−Rからなる群から選択される1〜3個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換されてもよく、
式中、Rは単結合または−CH−であり、
式中、Rは、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、4〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜6員ヘテロアリール基である。
【0043】
とりわけRは、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4ヒドロキシアルキル、および−R−Rからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換される、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルであり、
式中、Rは単結合または−CH−であり、
式中、Rは、ハロゲンおよびC1〜4アルキルからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、5〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜6員ヘテロアリール基である。
【0044】
とりわけRは、フッ素、メチル、エチル、t−ブチルとメトキシ、ピペリジニル、フルオロピペリジニル、ピロリジニル、メチルピペラジニル、イソプロピルピペラジニル、メチルジアゼパニル、モルホリニル、およびオキサゼパニルからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換された、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0045】
とりわけRは、メチルピペラジニル、フルオロピペリジニル、モルホリニル、およびオキサゼパニルからなる群から選択される1〜2個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換されたシクロヘキシルである。
【0046】
特にRは、4−メチルピペラジニル、4−フルオロピペリジニル、モルホリニル、およびオキサゼパニルにより任意に置換されたシクロヘキシルである。
【0047】
が、少なくとも1個の窒素原子を含有する4〜8員非芳香族ヘテロ環式基である場合、好ましくはRはその窒素原子を介してRに結合する。
【0048】
が一置換シクロヘキシル基である場合、好ましくはその置換基はそのシクロヘキシル基の4位にある。
【0049】
が四置換シクロヘキシル基である場合、好ましくはそれは式(Ie)
【化16】


で示されるtrans形状を有する。
【0050】
好適なR基の例には、フェニル、シクロヘキシル、
【化17】


が挙げられる。
【0051】
別の実施形態ではRは、メチル、モルホリノエチル、またはトリフルオロメチルである。好ましくはRはメチルである。
【0052】
別の実施形態ではRは水素またはメチルである。好ましくはRは水素である。
【0053】
別の実施形態ではRは水素またはメチルである。好ましくはRは水素である。
【0054】
本発明の化合物は、神経変性障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、および/または臓器不全の予防および/または治療のために提供される。
【0055】
神経変性障害の例は、多発性硬化症、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症、ハンチントン病、老年性舞踏病、シデナム舞踏病、低血糖症、外傷性頭部損傷を含めた頭部および脊髄の外傷、急性および慢性の疼痛、癲癇および発作、オリーブ橋小脳皮質性認知症、神経細胞死、低酸素に関係した神経変性、急性低酸素症、グルタミン酸神経毒性を含めたグルタミン酸毒性、脳虚血、髄膜炎および/または神経症に関係した認知症、脳血管性認知症、またはHIV感染患者の認知症である。好ましくは神経変性障害は多発性硬化症である。
【0056】
自己免疫疾患の例は、多発性硬化症、関節リューマチ、全身紅斑性狼瘡、糸球体腎炎、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活性性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、または移植片対宿主病である。好ましくは自己免疫疾患は関節リューマチである。
【0057】
炎症性疾患の例は、喘息、自己免疫性疾患(多発性硬化症、全身紅斑性狼瘡を含めた)、慢性炎症、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、炎症性大腸炎、骨盤内炎症、再潅流傷害、関節リューマチ、移植片拒絶反応、および脈管炎である。
【0058】
炎症性疾患は、局所的脈管系、免疫系、および損傷組織内、例えば脳、脊髄、滑膜関節、臓器系(心臓、肝臓、腎臓、肺、消化管)、および軟組織(筋肉、皮膚)内の様々な細胞を含めた生化学的事象のカスケードを伴う疾患であることを理解されたい。本発明の目的の場合、炎症は急性または慢性のいずれかであることもできる。本発明の炎症性疾患には、免疫系に関係するもの(すなわちアレルギー反応および幾つかの筋疾患において実証されるような)が含まれる。本発明の場合の炎症性疾患にはさらに、癌、動脈硬化症、および虚血性心疾患を含めて炎症過程において病因となる器官の非免疫疾患が含まれる。
【0059】
本発明の化合物はさらに、臓器不全、具体的には心臓、肝臓、または腎臓の臓器不全の予防および/または治療のために提供される。臓器不全の例は、慢性および急性心不全、心臓肥大、拡張型、肥大型、または拘束型心筋症、急性心筋梗塞、心筋梗塞後症候群、急性および慢性心筋炎、左心室の拡張機能障害、左心室の収縮機能障害、高血圧およびネフロパシーとその合併症としての腎炎、糖尿病性ネフロパシー、内皮機能障害、動脈硬化、または血管形成後再狭窄である。本発明は、特に糖尿病性ネフロパシーの予防および/または治療に関する。
【0060】
本発明の化合物はさらに、慢性関節リューマチ、変形性関節症、痛風、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気管支炎、嚢胞性線維症、炎症性大腸炎、過敏性大腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、胃炎、食道炎、湿疹、皮膚炎、肝炎、糸球体腎炎、眼科疾患、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性ニューロパシー、肥満症、乾癬、癌、脳出血、脳血管障害、心臓、腎臓、肝臓、および脳から選択される器官の虚血性障害、虚血再潅流傷害、内毒素ショック、または移植における拒絶反応の予防および/または治療のために提供される。
【0061】
本明細書中で使用される用語「ハロゲン」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを意味する。
【0062】
本明細書中で使用される用語「C1〜6アルキル」は、1から6個の炭素を有する直鎖または分岐鎖であるアルキル基を意味する。したがってこのアルキル基は、1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を有する。「C1〜6アルキル」の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチルなどが挙げられる。
【0063】
本明細書中で使用される用語「C1〜6ハロアルキル」は、1個、2個、または3個のハロゲン原子で置換された上記C1〜6アルキル基を意味する。「C1〜6ハロアルキル」の例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、クロロメチル、ブロモメチル、ヨードメチルなどが挙げられる。
【0064】
本明細書中で使用される用語「C1〜6アルコキシ」は、さきに定義した「C1〜6アルキル」に結合したオキシ基を意味する。「C1〜6アルコキシ」の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソ−ペンチルオキシ、sec−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソ−ヘキシルオキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、1−エチル−2−メチルプロポキシ、1,1,2−トリメチルプロポキシ、1,1−ジメチルブトキシ、1,2−ジメチルブトキシ、2,2−ジメチルブトキシ、2,3−ジメチルブトキシ、1,3−ジメチルブトキシ、2−エチルブトキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシなどが挙げられる。
【0065】
本明細書中で使用される用語「(C1〜6アルキル)アミノ」は、上記C1〜6アルキル基で置換されたアミノ基を意味する。
【0066】
本明細書中で使用される用語「ジ(C1〜6アルキル)アミノ」は、上記2個のC1〜6アルキル基で置換されたアミノ基を意味する。
【0067】
本明細書中で使用される用語「5〜7員非芳香族炭化水素環式基」は、5〜7員シクロアルキル基、5〜7員シクロアルケニル基、および5〜7員シクロアルカジエニル基を意味する。したがって非芳香族炭化水素環式基は、5個、6個、または7個の環員を有する。「5〜7員非芳香族炭化水素環式基」の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、ボルナン、アダマンタン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,3−エン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および7−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,3−エンが挙げられる。
【0068】
非芳香族炭化水素環式基は、2個以上の共有または共通原子を有する二環または三環系として得ることができる。この場合、その非芳香族炭化水素環式基は、C、N、O、またはSから選択される1個または複数個の原子を有する架橋部分を含み、上記架橋部分がそれら2個以上の共有または共通原子を結びつける。
【0069】
好ましくはこの非芳香族炭化水素環式基は、−CH−、−O−、−N−、−(CH−、−CH−CH−N−から選択される架橋部分を有する六員シクロアルキル基または六員シクロアルケニル基である。
【0070】
架橋部分は、その非芳香族炭化水素環式基上で互いに隣接している、または1個、2個、または3個の環原子によって隔てられている2個の共有または共通原子に結合することができる。
【0071】
例には、ボルナン、ノルボルナン、アダマンタン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,3−エン、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および7−アミノビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,3−エンが挙げられる。
【0072】
非芳香族炭化水素環式基は、環原子および/または架橋原子上の任意の利用可能な位置で、ハロゲン、オキソ、C1〜6アルキル、C1〜6ヒドロキシアルキル、−CONH、ヒドロキシ、C1〜6アルキルアミノ、および6員非芳香族炭化水素環式基からなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換されてもよい。好ましくは置換基は、メチル、CN、CONH、CH−OH、=O、OH、NHMe、および2個の窒素原子を含む6員非芳香族ヘテロ環式基からなる群から選択される。非芳香族炭化水素環式基が架橋N原子上で置換される場合、その置換基は、好ましくは水素またはC1〜6アルキル、より好ましくは水素、メチル、エチル、またはプロピルである。
【0073】
本明細書中で使用される用語「4〜8員非芳香族ヘテロ環式基」とは、芳香族性を有さず、その環を形成する原子の数が4個、5個、6個、7個、または8個であり、窒素、イオウ、および酸素からなる群から選択される1種類または複数種類のヘテロ原子の種を含有するヘテロ環式基を意味する。「4〜8員非芳香族ヘテロ環式基」の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ジアゼパニル、オキサゼパニル、オキサゾカニルなどが挙げられる。
【0074】
本明細書中で使用される用語「C6〜10アリール」は、炭素原子6個、7個、8個、9個、または10個によって構成されるアリール基を意味し、単環、二環などの縮合環基が含まれる。「C6〜10アリール」の例には、フェニル、インデニル、ナフチル、アズレニルなどが挙げられる。インダニルおよびテトラヒドロナフタレニルなどの縮合環もまたこのアリール基に含まれることに留意されたい。
【0075】
本明細書中で使用される用語「5〜7員ヘテロアリール基」は、その環を形成する原子の数が5個、6個、または7個であり、窒素、イオウ、および酸素からなる群から選択される1種類または複数種類のヘテロ原子の種を含有する単環ヘテロアリール基を意味する。「5〜7員ヘテロアリール基」の例には、1)窒素含有ヘテロアリール基としては、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリルなど、2)イオウ含有ヘテロアリール基としてはチエニルなど、3)酸素含有ヘテロアリール基としてはフリル、ピラニルなど、また4)2種類以上の異なるヘテロ原子の種を含有するヘテロアリール基としては、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾロ−オキサゾリル、イミダゾチアゾリル、フロピロリル、ピリドオキサジニルなどが挙げられる。
【0076】
上記で規定した式(I)のJNK阻害化合物は、顕著なin vitro活性を有する。
【0077】
具体的には本発明は、
実施例1:5−シクロヘキシル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(I−A−2)
【化18】


実施例2:4((1r、4r)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン(I−A−4)
【化19】


実施例3:4((1s、4s)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン(I−A−5)
【化20】


実施例4:2−シクロヘキシル−7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン(I−E−2)
【化21】


実施例5:4((1r、4r)−4−(7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン−2−イル)シクロヘキシル)モルホリン(I−E−7)
【化22】


実施例6:5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−フェニル−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン
【化23】


の化合物の一つまたは複数を提供する。
【0078】
化合物の構造式を、所与の異性体を表すために便宜上描くが、幾何異性体、光学異性体、立体異性体、および互変異性体などの構造的に起こり得るその化合物のすべての異性体が本発明に含まれ、便宜上描かれている式には限定されず、それが単離された異性体(例えば鏡像異性体)であるか異性体の混合物(例えばラセミ混合物)であるかには無関係である。
【0079】
本発明による化合物が遊離形態で得られる場合、それを従来の方法によってその塩または水和物に転化することができる。
【0080】
本明細書中では、それが本発明による化合物と塩を形成し、かつ薬理学的に許容される限り、本発明による「塩」に関する制限はない。塩の好ましい例には、ハロゲン化水素酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩など)、無機酸塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩など)、有機カルボン酸塩(例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩など)、有機スルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩など)、アミノ酸塩(例えば、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩など)、第四アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウムなど)等が挙げられる。さらに、塩酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩などが、本発明による化合物の「薬理学的に許容される塩」としては好ましい。
【0081】
さらに、本発明による化合物が様々な異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体、回転異性体、互変異性体など)を含む可能性がある場合、それはまた通常の分離方法、例えば再結晶化、ジアステレオマー塩法などの光学分割、酵素分画法、様々なクロマトグラフ法(例えば、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガラスクロマトグラフィーなど)によって精製して単一異性体にすることもできる。しかしながら本明細書における単一異性体には、純度100%を有する異性体だけでなく、通常の精製操作を経た後になお残留する目標外異性体を含有する異性体もまた含まれる。さらに、本発明による化合物を医薬用薬物の原料として使用する場合、前述の単一異性体を使用することもでき、また任意の比率で異性体の混合物を使用することもできる。
【0082】
本発明による化合物、その塩、またはその水和物に対して結晶多形が存在することができるが、そのすべての多形結晶が本発明に包含される。単一異性体または混合物に対して結晶多形が存在することができ、両方とも本発明に包含される。
【0083】
さらに、本発明による化合物をin vivoで酸化および加水分解などの代謝に曝した後にまだ所望の薬理学的活性を示す化合物もまた、本発明に包含される。
【0084】
さらに、in vivoで酸化、還元、および加水分解などの代謝を受けた場合に本発明による化合物を生ずる化合物、いわゆるプロドラッグもまた、本発明に包含される。
【0085】
本発明はまた、自然界で普通に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって1個または複数個の原子が置き換えられることを除いて式(I)の化合物と同一である同位体標識化合物を包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素、および塩素の同位体、例えばH、H、11C、14C、18F、35S、123I、および125Iが挙げられる。
【0086】
本発明の化合物、ならびに前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する上記化合物の薬学的に許容される誘導体(例えば塩)は、本発明の範囲内にある。本発明の同位体標識化合物、例えばHおよび/または14Cなどの放射性同位体を組み込んだものは、薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。Hおよび14Cは、それらの調製の容易さおよび検出能のせいで有用であると考えられる。11Cおよび18F同位体はPET(陽電子放出断層撮影)で役立つと考えられ、また125I同位体はSPECT(単光子放出コンピュータ断層撮影)で役立つと考えられ、すべて脳撮像に役立つ。Hなどのより重い同位体による置換は、その大きな代謝安定性に由来する幾つかの治療上の利点、例えばin vivo半減期の増大または必要投与量の減少を実現することができ、したがって幾つかの状況において役立つと考えられる。一般に本発明の式(I)の同位体標識化合物は、容易に入手できる同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いることによって下記のスキームおよび/または実施例で開示する手順を実施することにより調製することができる。
【0087】
本発明による化合物は医薬組成物として提供することができる。この医薬組成物はさらに、薬学的に許容される医薬品添加剤、例えば薬学的に許容される担体および/または薬学的に許容される増量剤を含むことができる。好適な担体および/または増量剤は当業界でよく知られており、医薬用のデンプン、マンニトール、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース(または他の糖)、炭酸マグネシウム、ゼラチン油、アルコール、界面活性剤、乳化剤、または水(好ましくは滅菌した)が挙げられる。この組成物は、組成物の混合製剤であってもよく、あるいは同時、別途、または逐次使用(投与を含む)のための複合製剤であってもよい。この組成物は、意図する投与方法に応じて任意の適切な形態であることができる。それは、例えば経口投与用の錠剤、カプセル剤、または液剤の形態であることも、あるいは非経口的投与用の溶液または懸濁剤の形態であることもできる。
【0088】
この医薬組成物は、任意に、神経変性障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、または臓器不全の治療のための1種類または複数種類の他の薬品を含む。
【0089】
本発明による化合物、その塩、またはその水和物は、通常の方法によって製剤化することができる。好ましい剤形の例には、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、コーティング錠、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、眼科用軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、パップ、ローション剤などが挙げられる。処方に関しては一般に増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、および着香料を使用することができ、また必要に応じて安定剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、および酸化防止剤などの添加剤を使用することができる。さらに、製剤処方の原料として一般に使用される成分を通常の方法により混合することによって処方することもまた可能である。これらの成分の例には、(1)大豆油、牛脂などの動物油および合成グリセリド、(2)液状パラフィン、スクアレン、および固形パラフィンなどの炭化水素、(3)オクチルドデシルミリスタートおよびイソプロピルミリスタートなどのエステル油、(4)セトステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールなどの高級アルコール、(5)シリコン樹脂、(6)シリコン油、(7)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどの界面活性剤、(8)ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、およびメチルセルロースなどの水溶性ポリマー、(9)エタノールおよびイソプロパノールなどの低級アルコール、(10)グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、およびソルビトールなどの多価アルコール、(11)グルコースおよびショ糖などの糖、(12)無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、およびケイ酸アルミニウムなどの無機粉末、および(13)精製水などが挙げられる。
【0090】
前述の添加剤のなかでは、1)増量剤としてはラクトース、コーンスターチ、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、結晶セルロース、二酸化ケイ素など、2)結合剤としてはポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアゴム、トラガンス、ゼラチン、セラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンブロックコポリマー、メグルミン、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチンなど、3)崩壊剤としてはデンプン、寒天、ゼラチン粉、結晶セルロース、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、デキストリン、ペクチン、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど、4)滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油など、5)着色剤としては、医薬用薬物へのその添加が認可されている限りの着色剤、6)着香料としてはココア粉末、メントール、芳香剤、ペパーミント油、およびシナモン粉末、および7)酸化防止剤としては、医薬用薬物へのその添加が認可されている酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびαトコフェロールを使用することができる。
【0091】
本発明の化合物は、遊離塩基として計算される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、例えば、1mgと2000mgの間、好ましくは30mgと1000mgの間、例えば10mgと250mgの間の経口投与か、あるいは0.1mgと100mgの間、好ましくは0.1mgと50mgの間、例えば1mgと25mgの間の静脈内、皮下、または筋内投与の1日量の計画(成人の患者に対して)で一般には投与されることになる。化合物は1日1回から4回投与される。好適には化合物は、連続した治療期間に対して、例えば1週間以上にわたって投与されることになる。
【0092】
一般手順
式(I)の化合物の調製方法を次に述べることにする。
【0093】
式(I)の化合物は、下記の反応スキーム1および2によって表される方法、またはそれらと同等の方法により得ることができる。下記の反応スキーム1および2中で示される化合物における各参照記号は、上記で定義したものと同じ意味を有する。反応スキーム中に示される化合物にはそれら化合物から形成される塩が含まれ、またそれら塩の例には式(I)の化合物などの塩と同じものが含まれる。
【0094】
スキーム1
【化24】


式中、A、E、G、R、R、R、およびRは上記と同じ意味を有し、またLは適切な窒素保護基である。L基の除去の条件は、そのL基の正確な性質に左右されることになる。例えば、Lがフェニルスルホニルの場合には式(I)の化合物は、例えば水/エタノールに溶かした水酸化ナトリウムを用いた塩基性条件下で式(II)の化合物を処理することによって生成させることができる。
【0095】
スキーム2
【化25】


式中、A、E、G、R、R、R、R、およびLは上記と同じ意味を有し、R1′は、水素化によってRに転位させることができるRの適切な前駆体であり、Xはハロゲン、適切には臭素であり、またXはハロゲン、適切にはヨウ素または臭素である。LおよびLは、パラジウム触媒カップリングに参加することができる適切な残基、例えばボロン酸またはエステル(鈴木カップリングの場合)、トリアルキルスタニル誘導体(スティレカップリングの場合)、またはシリル基(檜山反応の場合)である。ピナコールボラン、すなわちB(OCMeなどの残基を用いる鈴木反応が好ましい。
【0096】
工程2−1
IClを用いたピロロピラジン(E=N)のヨウ素化が、国際公開第2006/058074号に開示されている。アザインダゾール(A=N)のヨウ素化が、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17, 1243に開示されている。しかしながらこの反応はまた、国際公開第2004/78756号に開示されている7−アザインドールのハロゲン化について使用された方法と類似の方法で行うこともできる。具体的にはX=Iを、DMFまたは1,4−ジオキサンなどの無水溶媒に溶かした水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの強塩基の存在下において式(III)の化合物上へIを直接作用させることによって導入することができる。
【0097】
工程2−2
フェニルスルホニル基(L=PhSO)によるピロロピラジン(E=N)の保護が、国際公開第2006/058074号に開示されている。式(V)(X=Br、X=I、L=BOC)の化合物の合成が、Bioorg. Med. Chem. Lett. 2007, 17, 1243に開示されている。式(IV)の化合物の保護はまた、7−アザインドールについて使用した方法を適用することによって行うこともできる。これらは国際公開第2004/78756号および欧州特許第1749829号に開示されている。
【0098】
工程2−3
式(VII)の化合物は、国際公開第2004/078756号および第2006/015123号に開示されているように、金属触媒の存在下で式(V)の化合物に式(VI)の化合物をカップリングすることによって生成することができる。好適なカップリング反応には、スティレ、鈴木、および檜山などによるものが挙げられる。スティレ反応は、スティレ (Angew. Chem., Int. ed, Engl. 1986, 25, 508)、Michell(Synthesis, 1992, 803)、またはLittkeら(J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 6343)に従って行うことができる。鈴木カップリングは、鈴木(Pure Appl. Chem. 1991, 63, 419)またはLittkeら(J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 4020)に従って行うことができる。檜山反応は、Hatanakaら(J. Org. Chem. 1988, 53, 918)、Hatanakaら(Synlett, 1991, 845)Tamaoら(Tetrahedron Lett. 1989, 30, 6051)、またはDenmarkら(Org. Lett. 2000, 2, 565, ibid. 2491)に従って行うことができる。
【0099】
工程2−4
式(IX)の化合物は、国際公開第2004/078756号および第2004/101565号に7−アザインドール系について開示されている方法を用いて、金属触媒の存在下で式(VII)の化合物に式(VIII)の化合物をカップリングすることによって生成することができる。好適なカップリング反応には、工程2−3について上記で考察したスティレ反応、鈴木カップリング、および檜山反応などの既知のカップリング反応が挙げられる。
【0100】
工程2−5
式(IX)の化合物の水素化は、気体水素およびパラジウム触媒、例えばPd(OH)を使用して二重結合の還元のための標準的条件下で行うことができる。例えば不飽和環を含有する化合物(IX)を還元して、飽和環を含有する化合物(II)を形成することができる。この還元は、水素ガスをパラジウム、水酸化パラジウム、白金、またはロジウムなどの適切な触媒に関して使用することによって達成することができる。
【0101】
具体的にはシクロヘキセニル誘導体(IX)の還元により、下記に示すように(II−trans)と(II−cis)の混合物を生成することができる。
【化26】


必要に応じてこのような混合物を、当業界でよく知られているクロマトグラフ法を用いて分離することができる。別法では(II−cis)などのcis異性体を、Bertrandら(J. Org. Chem. 2006, 71, 7288)によって開発されたフリーラジカル法を用いて(II−trans)などのより熱力学的に安定なtrans異性体に転化することもできる。
【0102】
工程2−6
この工程は、工程2−3において行った反応が保護基Lの自然消失を伴う場合に必要なことがある。このような場合、式(X)の化合物を工程2−2で述べた方法を用いて再度保護することができる。
【実施例】
【0103】
実施例
本発明を実施例に関してより詳細に記述することにするが、これらを本発明の範囲をそれらに限定するものと解釈すべきではない。
【0104】
下記に述べる実施例は、本発明の範囲内にある化合物の特定の例である式(I)の範囲内にある化合物の調製法に言及する。
【0105】
すべての溶剤は市場の供給源(Sigma-Aldrich)から得て、更なる精製なしに使用した。反応は、決まりきった脱保護およびカップリングの工程を除いて、窒素雰囲気下で行った。有機抽出物は硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下で機能するロータリーエバポレーター上で濃縮した(乾燥剤の濾過後)。フラッシュクロマトグラフィーは、公表されている手順(W. C. Stillら、J. Org. Chem. 1978, 43, 2923)に従ってシリカゲル上で行うか、またはプレパックカラムを使用する市販のフラッシュクロマトグラフィー系(Biotage corporation and Jones Flashmaster II)上で行った。
【0106】
一般には試薬は市場の供給業者から直接得た(そして供給されたまま使用した)が、社内で収集したもの由来の限定数の化合物も利用された。後者の場合、その試薬は、科学論文中に報告されているか、または当業技術者に知られているかのいずれかの決まりきった合成工程を用いて容易に入手できる。
【0107】
H NMRスペクトルは、400MHzの(記録された)周波数で動作するBruker Avance 400シリーズスペクトロメーター上に記録された。非交換プロトン(および可視の場合には交換プロトン)に対応するシグナルの化学シフト(δ)が、テトラメチルシランに対して単位100万分の1部(ppm)で記録され、基準として残留溶媒ピークを用いて測定される。シグナルは、多重度(s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線、b:広幅、およびそれらの組合せ)、単位ヘルツ(Hz)の結合定数、プロトン数の順で列記される。質量分析(MS)データは、陽(ES)イオン化モードで動作するAgilent 1100 LCMSシステムの質量検出器上で得られ、結果は親イオンのみの質量対電荷比(m/z)として記録される。分取スケールLCMS分離は、Agilent 1100上またはGilson分取システム上で行った。すべての場合、化合物は、水およびMeCN(両方とも0.1%酢酸を含有する)の直線的濃度勾配で、流量約80mL/分を用いて溶出した。
【0108】
実施例、スキーム、および表においては下記の省略形を使用する。AC(アセチル、CHCO)、BOC(tert−ブトキシカルボニル)、Bu(ブチル)、DMAP(4−N,N−ジメチルアミノピリジン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、EtN(トリエチルアミン)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、h(時間)、LCMS(質量検出液体クロマトグラフィー)、LiHMDS(ヘキサメチルジシラザンリチウム)、Me(メチル)、MeCN(アセトニトリル)、MeOH(メタノール)、MHz(メガヘルツ)、min(分)、MS(マススペクトル)、NaHMDS(ヘキサメチルジシラザンナトリウム)、NMR(核磁気共鳴)、Ph(フェノール)、PhMe(トルエン)、PTLC(分取薄層クロマトグラフィー)、quant(定量)、RT(室温)、SGC(シリカゲルクロマトグラフィー)、THF(テトラヒドロフラン)、TLC(薄層クロマトグラフィー)、v(体積)、v/v(体積/体積、体積比)。
【0109】
本発明の化合物の合成のための合成方法
ジアザインドールの脱保護のための一般手順:
手順A:フェニルスルホニル基の除去
【化27】


式中、A、E、G、R、R、R、およびRは上記と同じ意味を有する。ジアザインドール(II)(1mmol)をEtOH(10mL)中に溶解した。10%NaOH(5mL)を加え、その反応物を40分間80℃まで加熱した。これを放置して冷却し、飽和NaHCO溶液(10mL)を加えた。次いでそれをEtOAc(3×20mL)で抽出し、一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮した。この粗生成物を、溶離液として適切な溶媒を使用するSGCにより、または溶離液として適切な溶媒を使用するPTLCにより、または水−MeCN(0.1%AcOH)を溶離液(傾斜で、流量80mL/分)として使用するLCMS(LUNA 10μC18(2)00G−4253−V0 250×50mmカラム)により精製した。
【0110】
手順B:シリル基の除去
【化28】


式中、A、E、G、R、R、R、およびRは上記と同じ意味を有する。THF(50mL)に溶かしたシリル保護ジアザインドール(II)(11.4mmol)の撹拌溶液に、THFに溶かした1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド(22.7mL、22.7mmol)を加えた。75分後、その混合物を濃縮し、この残渣を、溶離液として適切な溶媒を使用するSGCにより、または溶離液として適切な溶媒を使用するPTLCにより、または水−MeCN(0.1%AcOH)を溶離液(傾斜で、流量80mL/分)として使用するLCMS(LUNA 10μC18(2)00G−4253−V0 250×50mmカラム)により精製してジアザインドール(I)を得た。収率約80%。
【0111】
手順C:シリル基の除去
【化29】


式中、A、E、G、R、R、R、およびRは上記と同じ意味を有する。MeOH(10mL)に溶かしたシリル保護ジアザインドール(II)(0.28〜0.9mmol)の溶液に、濃HCl水溶液(1mL)を加え、その反応混合物を室温において15〜30分間撹拌した。次いでこの混合物を飽和NaHCO水溶液(50mL)に加え、EtOAc(2×40mL)で抽出した。一緒にした有機部分を乾燥(MgSO)し、濃縮し、EtO(5mL)で摩砕することにより精製してジアザインドール(I)を白色の粉末として得た(50〜95%)。
【0112】
C(5)に部分不飽和環を含有するジアザインドールの水素化のための一般手順:
【化30】


式中、A、E、G、R、R、R、およびRは上記と同じ意味を有する。R1′は、水素化によってRに転位させることができるRの適切な前駆体である。式(IX)の化合物(1mmol)を適切な溶媒(MeOHか、あるいはMeOHと溶解度を向上させるためのCHClまたはEtOAcとの混合物)(10〜30mL)中に溶解した。Pd(OH)(0.1〜0.3mmol)(C担持20%、湿潤、Degussa型)またはPd/C(0.25〜0.50mmol)(C担持10%、湿潤Degussa E101型)を一度に加えた。この反応物を水素環境下で1〜7日間撹拌した。その反応混合物をセライトの小型パッドにより濾過し、多量のMeOHで洗浄した。溶媒を除去して生成物(II)を得た。これにより粗材料を一歩前へ進めた。
【0113】
アミンとケト官能基を含有するジアザインドールとに関係する還元的アミノ化のための一般手順:
手順A
【化31】


式中、A、E、G、R、R、およびRは上記と同じ意味を有し、RおよびR′は、独立して水素またはC1〜6アルキルであるか、あるいはRおよびR′は、それらが結合する窒素原子と共に4〜8員環を形成する。この環は任意にハロゲンまたはC1〜6アルキルで置換される。無水MeOH(10mL)に溶かした第二アミンR′RNH塩酸塩(6mmol)の溶液に、窒素下でケトン(II)(1mmol)を室温で5分間かけて加え、次いでその混合物を室温で5分間撹拌した。遊離アミンを使用する場合、その対応する塩酸塩は、MeOH(2mmol)に溶かしたHClの1.25M溶液を一滴ずつ加え、室温で5分間撹拌することによってin situで調製した。固体NaCNBH(2mmol)を一度に加えた。次いでこの反応物を室温で一晩撹拌した。NaHCOの飽和溶液(30mL)を加え、その反応混合物をEtOAc(4×35mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮した。この粗生成物を、溶離液として適切な溶媒を使用するSGCにより、または溶離液として適切な溶媒を使用するPTLCにより、または水−MeCN(0.1%AcOH)を溶離液(傾斜で、流量80mL/分)として使用するLCMS(LUNA 10μC18(2)00G−4253−V0 250×50mmカラム)により精製して(II−trans)および(II−cis)を得た。
【0114】
手順B
【化32】


式中、A、E、G、R、R、およびRは上記と同じ意味を有し、RおよびR′は、独立して水素またはC1〜6アルキルであるか、あるいはRおよびR′は、それらが結合する窒素原子と共に4〜8員環を形成する。この環は、任意にハロゲンまたはC1〜6アルキルで置換される。
第二アミンR′RNH塩酸塩(1.7mmol)およびケトン(II)(1mmol)の無水1,2−ジクロロエタン(7.1mL)中での混合物に、室温でEtN(204mg、2.0mmol)を加え、続いて氷酢酸(62mg、1.0mmol)およびNaBH(OAc)を加えた。遊離アミンを使用する場合はEtNを省いた。次いでこの混合物を室温で一晩撹拌した。10%NaOH水溶液(9mL)を加え、その混合物を10分間激しく撹拌し、EtOAc(3×35mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮した。この粗生成物を、溶離液として適切な溶媒を使用するSGCにより、または溶離液として適切な溶媒を使用するPTLCにより、または水−MeCN(0.1%AcOH)を溶離液(傾斜で、流量80mL/分)として使用するLCMS(LUNA 10μC18(2)00G−4253−V0 250×50mmカラム)により精製して(II−trans)および(II−cis)を得た。
【0115】
鈴木反応の一般手順:
手順A
【化33】


式中、A、E、G、R、R、およびRは上記と同じ意味を有し、R1′は、水素化によってRに転位させることができるRの適切な前駆体であり、R32は、独立して水素またはC1〜6アルキルであるか、あるいは2個のR32基が一緒にホウ素および酸素原子と共に任意に五、六、または七員環を形成する。この環は、任意に1個または複数個のC1〜6アルキル基、例えばメチルまたはエチルで置換される。好適にはR32は水素であるか、あるいはそれら2つのR32基が一緒に基−C(CH−C(CH−を形成する。臭化物(VII)(1mmol)、ボロン酸またはボロン酸ピナコールエステルR1′−B(OR32(2mmol)、LiCl(3mmol)、およびPd(PPhCl(0.1mmol)を、EtOH(20mL)およびトルエン(20mL)中に溶解した。次いで1.0M NaCO溶液(20〜25mL)を加え、その反応物を105〜110℃まで8時間加熱した。その反応混合物を放置して冷却した。それを水(30mL)中に注ぎ、EtOAc(3×40mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮した。生成物(IX)を、ヘキサン/EtOAcを溶離液(0%〜100%EtOAc傾斜溶離)として使用するSGCによって、または溶離液として適切な溶媒系を使用するPTLCによって単離した。
【0116】
手順B
【化34】


式中、A、E、G、R、R、R、L、およびR32は上記と同じ意味を有する。ヨウ化物(V)(10mmol)、ボロン酸またはボロン酸ピナコールエステル(VI)(11mmol)、LiCl(30mmol)、Pd(PPhCl(0.5mmol)、および1.0M NaCO溶液(25mL)の、EtOH(25mL)およびトルエン(25mL)中での混合物を100℃で3時間加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(35mL)で希釈し、EtOAc(4×40mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濃縮した。生成物(VII)を、結晶化により、かつ/または溶離液として適切な溶媒系を使用するSGCにより単離した。収率33〜80%。
【0117】
エノールトリフラートの合成のための一般手順:
【化35】


式中、RはR上の置換基である。THF(35mL)に溶かし、−78℃まで冷却したケトン(XI)(10mmol)の溶液に、THF(12mL、12mmol)に溶かしたLiHMDSまたはNaHMDSの1.0M溶液を一滴ずつ加えた。−78℃で1時間撹拌を続けた。N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(3.93g、11mmol)を一度に加え、−78℃で1時間、次いで室温で19.5時間撹拌を続けた。溶媒を蒸発させ、この粗生成物を、溶離液としてヘキサン:EtOAc=7:1(v/v)を使用するアルミナ(Neutral、等級I)上でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。別法では生成物を、EtOAc:ヘキサン:EtN=39:60:1(v/v/v)を溶離液(19:80:1で始まる傾斜溶離)として使用するSGCにより単離してトリフラート(XII)を得ることもできる。収率62〜84%。
【0118】
ボロン酸ピナコールエステルの合成のための一般手順:
【化36】


式中、RはR上の置換基である。トリフラート(XII)(10mmol)、ビス(ピナコラトジボロン)(3.80g、15mmol)、酢酸カリウム(2.94g、30mmol)、およびジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンアダクト(0.41g、0.5mmol)の、DMF(43mL)中での混合物を85℃で6〜17時間撹拌して均一な黒色の溶液を得た。この反応混合物を濃縮し、EtOAcで希釈した。固体を濾過して除き、濾液を濃縮した。その残渣を、EtOAc:ヘキサン=1:1(v/v)を溶離液(傾斜溶離)として使用するSGCにより精製して化合物(VIII)を得た。収率47〜67%。
【0119】
ジアザインドールをフェニルスルホンアミドとして保護するための一般手順:
【化37】


式中、A、E、Gは上記と同じ意味を有し、XおよびXは適切なハロゲン原子、例えば臭素およびヨウ素である。CHCl(60mL)中でのジアザインドール(IV)(10mmol)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(1.5mmol)、および50%NaOH水溶液(4mL)の撹拌混合物に、ベンゼンスルホニルクロリド(15mmol)を加えた。この混合物を、反応の進行をTLCによって追跡しながら室温で3.5時間撹拌した。次いでこの混合物をCHCl(50mL)とブライン(80mL)の間で分配させた。水性層をCHCl(3×60mL)で抽出し、一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)、濾過、濃縮した。残った半固体を、冷MeOH(70mL)と共に1.5時間撹拌した。生じた固体を濾過し、真空中で乾燥して(V)を収率約80%で得た。
【0120】
ボロン酸エステル(VIII−6)の合成
【化38】

【0121】
4−(1,4−ジオキサ−スピロ[4,5]デカ−8−イル)−モルホリン(1)
【化39】


1,4−ジオキサ−スピロ[4,5]デカン−8−オン(10.0g、64.0mmol)、モルホリン(20mL)、およびAcOH(1.0mL)の混合物を2.5時間撹拌した。次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム(8.05g、128.0mmol)を一度に加え、続いて追加のモルホリン(15mL)を加えた。発熱反応が起こり、その混合物を氷浴で2分間冷却した。次いでその混合物を室温で16時間撹拌した。生じた濃厚スラリーにEtOH(120mL)および水(28mL)を加え、その白色の固体を濾過し、EtOH(2×)で洗浄し、その濾液を濃縮した。次いでEtOAcを加え、沈殿物を濾過して除き、EtOAcで洗浄し、その濾液を濃縮した。残った油をKugelrohr蒸留により精製して化合物(1)(9.03g、62%、沸点140℃/0.05mmHg)を透明な油として得た。これを静置して凝固させた。H NMR(400MHz;CDCl)δ1.51〜1.68(m,4H)、1.81〜1.84(m,4H)、2.28〜2.34(m,1H)、2.57(t,J4.7,4H)、3.72(t,J4.7,4H)、3.95(s,4H)。
【0122】
4−(1,4−ジオキサ−スピロ[4,5]デカ−8−イル)−モルホリン(1)−代替方法
【化40】


1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−8−オン(200.0g、1.28mol)、モルホリン(111.4g、1.28mol)、および氷状結晶AcOH(73.2mL、1.28mol)の、1,2−ジクロロエタン(4L)中の混合物に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(382g、1.8mol)を一度に加えた。12℃までの温度の上昇を伴うわずかな発熱反応が起こった。次いでこの混合物を室温で一晩撹拌した。10%NaOH水溶液(1.8L)を20分間かけて加えることによって反応を停止させた。有機層を分離し、ブライン(1L)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、化合物(1)(237.66g)を白色の固体として得た。水性層をEtOAc(4×300mL)で抽出した。一緒にした抽出物をブライン(1L)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濃縮して、化合物(1)の追加部分(44g)をオフホワイトの固体として得た。化合物(1)の総収量(281.66g、97%)。最初の方法で得られたデータと同一のH NMRデータ。
【0123】
4−モルホリン−4−イル−シクロヘキサノン(XI−a)
【化41】


THF(100mL)に溶かした化合物(1)(4.50g、19.8mmol)の溶液に、7N HCl水溶液(40mL)を加えた。この反応混合物を17時間撹拌し、飽和NaHCO水溶液(475mL)上に注ぐことによって反応を停止させた。その混合物をEtOAc(1×)、次いでCHCl(3×)で抽出し、一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濃縮した。得られた油をKugelrohr蒸留により精製して(XI−a)(3.17g、87%)を透明な油として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.80〜1.94(m,2H)、1.80〜2.10(m,2H)、2.30(m,1H)、2.45〜2.65(m,8H)、3.74(t,J4.7,4H)。
【0124】
トリフルオロメタンスルホン酸4−モルホリン−4−イル−シクロヘキサ−1−エニルエステル(XII−6)
【化42】


ケトン(XI−a)(5.30g、28.9mmol)と、THFに溶かしたLiHMDSの1M溶液(34.7mL、34.7mmol)と、無水THF(100mL)に溶かしたN−フェニルビス(トリフルオロメタンスルフィンイミド)(11.37g、31.8mmol)とを使用するエノールトリフラートの合成のための一般手順を用いてトリフラート(XII−6)を調製した。粗生成物を、EtOAc:ヘキサン:EtN=39:60:1(v/v/v)を溶離液(19:80:1で始まる傾斜溶離)として使用するSGCにより精製してトリフラート(XII−6)(7.66g、84%)をオレンジ色の油として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.61〜1.72(m,1H)、2.07(m,1H)、2.20(m,1H)、2.30〜2.48(m,3H)、2.50〜2.65(m,5H)、3.72(t,J4.7,4H)、5.72(m,1H)。
【0125】
4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサゾリジン−2−イル)−シクロヘキサ−3−エニル]−モルホリン(VIII−6)
【化43】


この化合物を、ボロン酸ピナコールエステルの合成のための一般手順を用いて調製した。DMF(110mL)中でトリフラート(XII−6)(8.00g、25.4mmol)、ビス(ピナコラトジボロン)(9.66g、38.1mmol)、酢酸カリウム(7.47g、76.1mmol)、およびジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンアダクト(1.04g、1.27mmol)を85℃で17時間撹拌した。その粗生成物を、EtOAc:ヘキサン=1:1(v/v)を溶離液(傾斜溶離)として使用するSGCにより精製して(VIII−6)(4.95g、67%)を淡いオレンジ色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.26(s,12H)、1.95〜2.10(m,2H)、2.05〜2.20(m,2H)、2.80〜2.40(m,2H)、2.43〜2.65(m,5H)、3.74(t,J4.7,4H)、6.51(m,1H)。
【0126】
ボロン酸エステル(VIII−3)の合成
【化44】


4−(1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−8−イル)−1,4−オキサゼパン(2)
【化45】


ホモモルホリン塩酸塩(79.76g、0.579mol)および1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカン−8−オン(90.5g、0.579mol)の1,2−ジクロロエタン(1.81L)中の撹拌懸濁液に、EtN(96.9mL、0.695mol)を一度に加えた。次いで氷酢酸(34.8mL、0.607mol)を一度に加え、続いて固体NaBH(OAc)(154g、0.727mol)を同様に一度に加えた。それは、反応混合物の5℃までの温度上昇を伴った。2時間45分後、10%NaOH水溶液(800mL)を加えることによって反応を停止させた。この混合物を10分間撹拌した。有機層を分離し、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮して若干の懸濁固形物を含む油(142.36g)を得た。固形物を濾過して除いた(3.00g)。反応混合物の水性部分をこのブライン洗浄物と一緒にし、EtOAc(4×500mL)で抽出した。一緒にした抽出物をブライン(100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮して油の追加部分(16.82g)を得た。2つの油状生成物を一緒にし、真空中で蒸発させてオキサゼパン(2)(101.07g、72%)を無色の液体(沸点122℃/8.9×10−3mbar)として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.48〜1.64(m,4H)、1.70〜1.88(m,6H)、2.50〜2.63(m,1H)、2.71〜2.81(m,4H)、3.66〜3.72(m,2H)、3.78(t,J6.0,2H)、3.93(s,4H)。
【0127】
4−(1,4−オキサゼパン−4−イル)シクロヘキサノン(XI−b)
【化46】


THF(216mL)に溶かしたオキサゼパン(2)の冷却(<15℃)溶液(10.31g、42.75mmol)に、7N HCl水溶液(86mL、0.602mol)を5分間かけて加えた。次いで冷却槽を取り除き、反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いでその反応混合物を、外部冷却槽(0℃)を用いて内部温度を10〜13℃に維持しながら、50%NaOH水溶液(48g、0.602mol)を30分間かけて一滴ずつ加えることによりpH8まで塩基性化した。ヘキサン(50mL)を加え、有機層を分離し、MgSO上で乾燥し、濃縮して帯黄色の液体(7.21g)を得た。水性層をEtOAc(4×50mL)で抽出した。抽出物を一緒にし、乾燥(MgSO)し、濃縮して粗生成物の第二部分(1.58g)を得た。粗生成物の両方の部分を一緒にし、真空中で蒸留してケトン(XI−b)(7.27g,86%)を無色の液体(沸点98℃/5.3×10−3mbar)として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.73〜1.85(m,2H)、1.89(五重線,J5.9,2H)、2.05〜2.15(m,2H)、2.30〜2.42(m,2H)、2.43〜2.52(m,2H)、2.79〜2.85(m,4H)、3.03(tt,J10.4,6.6,1H)、3.72〜3.77(m,2H)、3.82(t,J6.0,2H)。
【0128】
4−(1,4−オキサゼパン−4−イル)シクロヘキサ−1−エニルトリフルオロメタンスルホナート(XII−3)
【化47】


ケトン(XI−b)(6.49g、32.9mmol)、THFに溶かしたLiHMDSの1M溶液(39.5mL、39.5mmol)、および無水THF(115mL)に溶かしたN−フェニルビス(トリフルオロメタンスルフィンイミド)(12.94g、36.2mmol)を使用するエノールトリフラートの合成のための一般手順を用いてトリフラート(XII−3)を調製した。粗反応混合物をヘキサン:EtOAc=4:1(115mL)(v/v)で希釈し、水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。その液状残渣を真空中で蒸留して(XII−3)(6.98g、64%)を無色の液体(沸点114℃/5.7×10−3mbar)として得た。H NMRによる純度約85%。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.63〜1.76(m,1H)、1.86(五重線,J6.0,2H)、1.95〜2.05(m,1H)、2.12〜2.24(m,1H)、2.26〜2.56(m,3H)、2.74〜2.80(m,4H)、2.82〜2.92(m,1H)、3.68〜3.74(m,2H)、3.79(t,J6.0,2H)、5.72(dt,J5.7,2.4,1H)。
【0129】
4−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)シクロヘキサ−3−エニル)−1,4−オキサゼパン(VIII−3)
【化48】


この化合物を、ボロン酸ピナコールエステルの合成のための一般手順を用いて調製した。DMF(86mL)中で、トリフラート(XII−3)(6.60g、20.06mmol)、ビス(ピナコラトジボロン)(7.62g、30.09mmol)、AcOK(5.90g、60.2mmol)、およびジクロロ[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタンアダクト(0.82g、1.0mmol)を85℃で1時間45分撹拌した時、TLCは残留出発原料が存在しないこと示した。その混合物を濃縮し、EtOAc(125mL)―水(125mL)の間で分離した。有機層を、水(120mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮し、ヘキサン−EtOAcを溶離液(傾斜溶離)として使用するアミノシリカ(Chromatorex NH、Fuji Silysia)上でのクロマトグラフィーにより分離して、(VIII−3)(2.149g、35%)を白色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.26(s,12H)、1.33〜1.47(m,1H)、1.83〜1.93(m,3H)、2.04〜2.22(m,2H)、2.23〜2.38(m,2H)、2.75〜2.84(m,5H)、3.71(t,J4.7,2H)、3.80(t,J6.0,2H)、6.52(m,1H)。
【0130】
実施例1:5−シクロヘキシル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(I−A−2)
【化49】


化合物(II−A−2)(63.5mg、0.15mmol)を、10%NaOH水溶液(0.7mL):EtOH(8mL)の混合物中で90℃で1時間加熱した。次いでこの反応混合物を室温まで冷却し、EtOAc(20mL)で希釈し、飽和NaHCO溶液(3×15mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、濃縮して(I−A−2)(34mg、80%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.41〜1.59(m,5H)、1.78〜2.01(m,5H)、2.67〜2.77(m,1H)、4.03(s,3H)、7.93(s,1H)、8.01(d,J2.0,1H)、8.05(s,1H)、8.52(d,J2.0,1H)、11.62(brs,NH)。
【0131】
実施例2:4((1r、4r)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン(I−A−4)
【化50】


アザインダゾール(II−A−4)(36.6mg、7.03mmol)、10%NaOH溶液(0.5mL)、およびEtOH(5mL)の混合物を100℃で1時間加熱した。次いでそれを室温まで冷却し、EtOAc(20mL)で希釈し、飽和NaHCO溶液(3×15mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。残渣(20.5mg)を、溶離液としてCHCl:MeOH:NHOH=93:6:1(v/v/v)を用いるPTLCによって精製してアザインダゾール(I−A−4)(5.5mg、21%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.50〜1.75(m,6H)、1.89〜2.25(m,4H)、2.66〜2.77(m,2H)、2.83〜3.09(m,4H)、3.84(t,J6.2,4H)、4.03(s,3H)、7.92(s,1H)、7.99(d,J2.0,1H)、8.03(s,1H)、8.48(d,J2.0,1H)、11.15(brs,NH)。MS(ES)m/z381(MH)。
【0132】
実施例3:4((1s、4s)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン(I−A−5)
【化51】


アザインダゾール(II−A−5)(18.5mg、0.03mmol)、10%NaOH溶液(0.5mL)、およびEtOH(5mL)の混合物を100℃で1時間加熱した。次いでそれを室温まで冷却し、EtOAc(20mL)で希釈し、飽和NaHCO溶液(3×15mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。残渣(11mg)を、溶離液としてCHCl:MeOH:NHOH=93:6:1(v/v/v)を用いるPTLCによって精製してアザインダゾール(I−A−5)(3.5mg、26%)を得た。MS(ES)m/z381(MH)。
【0133】
実施例4:2−シクロヘキシル−7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン(I−E−2)
【化52】


化合物(II−E−2)(68mg、0.1613mmol)を、10%NaOH水溶液(1mL):EtOH(2mL)の混合物中で80℃で20分間加熱した。次いでこの反応混合物を室温まで冷却し、NaHCOの飽和溶液(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮し、溶離液としてEtOAcを用いるPTLCによって精製して(I−E−2)(30mg、66%)を黄色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.29〜1.42(m,1H)、1.49(qt,J12.72,3.28,2H)、1.72(qd,J12.46,3.28,2H)、1.78〜1.86(m,1H)、1.93(dt,J13.01,3.03,2H)、2.05(dd,J13.64,1.89,2H)、2.91(tt,J11.91,3.51,1H)、4.02(s,3H)、7.68(d,J2.78,1H)、7.95(d,J0.63,1H)、8.18(s,1H)、8.21(s,1H)、9.31(br.s,1H)。
【0134】
5−シクロヘキシル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(II−A−2)
【化53】


化合物(IX−A−1)(0.115g、0.275mmol)およびPd(OH)(0.155g)をEtOAc:MeOH=1:1(10mL、v/v)中でH下において20.5時間激しく撹拌した。触媒をセライト上で濾過して除き(MeOH:EtOAc=4:6、500mL、v/vで洗浄)、濾液を濃縮し、その残留した油を、溶離液としてCHCl:MeOH=98:2(v/v)を用いるPTLCによって精製してアザインダゾール(II−A−2)(63.8mg、55%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.37〜1.53(m,4H)、1.62〜1.70(m,1H)、1.75〜1.83(m,1H)、1.84〜1.97(m,4H)、2.65〜2.75(m,1H)、4.00(s,3H)、7.46(t,J7.6,2H)、7.56(t,J7.6,1H)、7.91(s,1H)、7.99〜8.04(m,2H)、8.15〜8.20(m,2H)、8.61(d,J2.1,1H)。
【0135】
4((1r、4r)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン(II−A−4)および4((1s、4s)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン(II−A−5)
【化54】


MeOH(5mL)およびEtOAc(5mL)に溶かしたアザインダゾール(IX−A−3)(0.143g、0.275mmol)の溶液を、Pd(OH)(0.166g、炭素坦持湿潤Degussa型)と共に、H下で24時間激しく撹拌した。次いでこの混合物を、MeOH(200mL)およびEtOAc(300mL)で洗浄しながらセライトを通して濾過し、一緒にした濾液を濃縮して、主にアザインダゾール(IX−A−3)と、少量の(II−A−4)および(II−A−5)とを得た。この混合物を、MeOH(5mL)およびEtOAc(5mL)に再溶解し、H下でPd(OH)(0.18g、炭素坦持湿潤Degussa型)と共に24時間再度撹拌した。この混合物を、セライトを通して濾過し、前述と同様にMeOH−EtOAcで洗浄し、濃縮した。得られた油を、溶離液としてCHCl:MeOH:NHOH=93:6:1(v/v/v)を用いるPTLCにより精製してtrans異性体(II−A−4)(36.6mg、26%)およびcis異性体(II−A−5)(18.5mg、13%)を得た。
trans異性体(II−A−4)に関するデータ:H NMR(400MHz、CDCl)δ1.49〜1.69(m,6H)、1.90〜2.22(m,4H)、2.66〜2.76(m,2H)、2.84〜3.07(m,4H)、3.82(t,J6.2,4H)、4.00(s,3H)、7.44〜7.50(m,2H)、7.56(tt,J7.4,1.5,1H)、7.91(d,J2.1,1H)、8.02(s,2H)、8.15〜8.20(m,2H)、8.60(d,J2.1,1H)。
【0136】
実施例5:4((1r、4r)−4−(7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン−2−イル)シクロヘキシル)モルホリン(I−E−7)
【化55】


化合物(II−E−7)(545mg、1.0757mmol)を、10%NaOH水溶液(4.3mL):EtOH(10mL)の混合物中で80℃で25分間加熱した。次いでこの反応混合物を室温まで冷却し、NaHCOの飽和溶液(50mL)で希釈し、EtOAc(4×50mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮し、溶離液としてCHCl:MeOH=9:1を用いる分取TLC(PTLC)によって精製して(I−E−7)(213mg、54%)を黄白色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.37〜1.59(m,2H)、1.73〜1.87(m,2H)、2.15(d,J10.2,4H)、2.42(t,J11.7,1H)、2.67(t,J4.2,4H)、2.88(tt,J12.1,3.2,1H)、3.79(t,J4.4,4H)、4.01(s,3H)、7.67(d,J2.8,1H)、7.96(d,J0.6,1H)、8.17(s,1H)、8.17(s,1H)、9.09(brs,1H)。MS(ES)MHm/e=367.2。
【0137】
2−シクロヘキシル−7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(フェニルスルホニル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン(II−E−2)
【化56】


化合物(IX−E−1)(100mg、0.238mmol)およびPd(OH)(10.04mg、0.072mmol)を、EtOAc:MeOH=1:1(20mL、v/v)中でH下において一晩激しく撹拌した。その反応混合物中にまだ存在する出発原料を減らすために、触媒をセライト上で濾過して除き(CHCl:MeOH=9:1、100mL、v/vで洗浄)、濾液を濃縮し、その残渣を上記と同様に再度水素化した。粗生成物(II−E−2)(68mg、67%)を白色の泡沫として単離した。それはさらなる精製を必要としなかった。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.22〜1.38(m,2H)、1.39〜1.54(m,2H)、1.64(qd,J12.34,2.53,2H)、1.73〜2.03(m,4H)、2.87(tt,J11.78,3.51,1H)、4.01(s,3H)、7.48〜7.54(m,2H)、7.57〜7.63(m,1H)、8.00(s,1H)、8.03(s,1H)、8.15〜8.20(m,3H)、8.27(s,1H)。
【0138】
4((1r、4r)−4−(7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(フェニルスルホニル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン−2−イル)シクロヘキシル)モルホリン(II−E−7)および4((1s、4s)−4−(7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(フェニルスルホニル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン−2−イル)シクロヘキシル)モルホリン(II−E−8)
【化57】


化合物(IX−E−6)(1.2g、2.3781mmol)および20%Pd(OH)(0.835gの湿潤Degussa型、0.167gのPd(OH)、1.189mmol)をEtOAc:MeOH=1:1(47.5mL、v/v)中でH下において一晩激しく撹拌した。触媒をセライト上で濾過して除き(CHCl:MeOH=1:1、500mL、v/vで洗浄)、濾液を濃縮し、残った白色の泡沫を、EtOAc:MeOH(98:2から85:15、v/vまでの傾斜溶離)を用いたSGC、続いてCHCl:MeOH=9:1によって分離して、cis異性体(II−E−8)を白色の固体(201mg、17%)として、またtrans異性体(II−E−7)を白色の泡沫(545mg、45%)として得た。
trans異性体(II−E−7)に関するデータ:H NMR(400MHz、CDCl)δ1.47(dq,J4.42,3.03,2H)、1.73(dq,J4.17,2.91,2H)、2.10(t,J11.24,4H)、2.32〜2.41(m,1H)、2.63(m,J4.55,4.55,4H)、2.84(tt,J12.05,3.36,1H)、3.76(m,J4.55,4.55,4H)、4.00(s,3H)、7.47〜7.54(m,2H)、7.57〜7.63(m,1H)、8.02(d,J0.76,1H)、8.03(s,1H)、8.14(s,1H)、8.17〜8.20(m,2H)、8.27(s,1H)。MS(ES)MHm/e=507.2。
cis異性体(II−E−8)に関するデータ:H NMR(400MHz、CDCl)δ1.60〜1.69(m,2H)、1.75(dq,J16.3,3.7,2H)、1.86〜1.97(m,2H)、2.15〜2.27(m,2H)、2.31(dt,J5.6,3.3,1H)、2.50(brs,4H)、3.08(tt,J8.7,4.3,1H)、3.73(t,J4.7,4H)、4.00(s,3H)、7.48〜7.53(m,2H)、7.57〜7.62(m,1H)、8.02(d,J0.6,1H)、8.04(s,1H)、8.16〜8.20(m,3H)、8.34(s,1H)。MS(ES)MHm/e=507.2。
【0139】
5−ブロモ−3−ヨード−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(IV−A−1)
【化58】


DMF(14mL)に溶かしたブロモ−ジアザインドール(III−A−1)(1g、5.05mmol)の撹拌溶液に、破砕したKOHペレット(1.06g、19.03mmol)を一度に加えた。11分後、I(1.15g、4.54mmol)を加え、その混合物を3.5時間激しく撹拌した。次いでこの混合物を真空中で部分的に濃縮し、EtOAc(40mL):飽和NaHCO溶液(20mL)で希釈し、分配させた。水性層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。一緒にした有機層を乾燥(MgSO)し、濾過し、濃縮して(III−A−1)と(IV−A−1)の1:1の混合物(1.377g)を得た。この混合物を1,4−ジオキサン(14mL)中に再溶解し、固体NaOH(0.7g)で処理した。その混合物を室温で5分間撹拌し、I(0.7g)を加えた。この混合物を40℃で23時間撹拌し、EtOAc(50mL)で希釈し、飽和Na水溶液(30mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(2×30mL)で抽出し、一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、濃縮してアザインダゾール(IV−A−1)(1.585g、97%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.94(d,J2.1,1H)、8.55(d,J2.1,1H)、10.85(brs,NH)。
【0140】
2−ブロモ−7−ヨード−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン(IV−E−1)
【化59】


DMF(100mL)中の(III−E−1)(5.0g、25mmol、Ark pharmaから市販されている)および新たに粉砕したKOH(5.10g、90.9mmol)の混合物を、N下で室温において30分間撹拌した。次いでヨウ素(6.35g、25.02mmol)を一度に加え、その赤色混合物を室温で2時間撹拌した時、TLCは反応が完了したこと示した。この混合物を水(100mL)中に注ぎ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥し、濃縮して(IV−E−1)(7.74g、95%)を褐色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.67(s,1H)、8.23(s,1H)。
【0141】
tert−ブチル−5−ブロモ−3−ヨード−1H−ピロゾロ[3,4−b]ピリジン−1−カルボキシラート(V−A−1)
【化60】


THF(10mL)に溶かしたアザインダゾール(IV−A−1)(0.5g、1.54mmol)の撹拌溶液に、(BOC)O(0.354g、1.62mmol)、EtN(0.22mL、1.54mmol)、および触媒量のDMAPを加えた。その混合物を3時間撹拌し、EtOAc(30mL)および飽和NaHCO溶液(15mL)で希釈し、分配させた。水性層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。一緒にした有機層を乾燥(MgSO)し、濃縮して保護アザインダゾール(V−A−1)(0.611g、93%)を黄褐色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.72(s,9H)、7.98(d,J2.1,1H)、8.78(d,J2.1,1H)。
【0142】
2−ブロモ−7−ヨード−5−(フェニルスルホニル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン(V−E−1)
【化61】


(IV−E−1)(7.74g、23.9mmol)、PhSOCl(6.54g、4.73mL、37.04mmol)、BuNHSO(1.217g、3.584mmol)、および50%NaOH水溶液(5mL、7.65g、95.6mmol)のCHCl(100mL)中での混合物を室温で3時間激しく撹拌した。NaHCOの飽和溶液(50mL)を加え、その混合物をCHCl(4×50mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濃縮し、残渣をMeOH(100mL)で摩砕した。固形物を濾過し、真空中で乾燥して(V−E−1)(9.34g、85%)を黄色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.49〜7.60(m,2H)、7.62〜7.73(m,1H)、8.15(d,J0.51,1H)、8.16〜8.21(m,2H)、8.44(d,J0.38,1H)。MS(ES)Mm/e=464。
【0143】
5−ブロモ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(VII−A−1)
【化62】


(X−A−1)(0.394g、1.42mmol)、PhSOCl(0.28mL、2.20mmol)、BuNHSO(0.072g、0.21mmol)、および50%NaOH水溶液(1.9mL、2.91g、36.3mmol)のCHCl(40mL)中での混合物を室温で2時間激しく撹拌した。2時間後、その混合物をCHCl(40mL)およびブライン(20mL)で希釈し、分配させた。水性層をCHCl(3×30mL)で抽出し、一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、濃縮した。残ったオレンジ色の固体を濾過してアザインダゾール(VII−A−1)を黄褐色の粉末(0.242g、41%)として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.01(s,3H)、7.46〜7.52(m,2H)、7.59(tt,J7.6,1.4,1H)、8.01(s,2H)、8.15〜8.19(m,2H)、8.28(d,J2.1,1H)、8.75(d,J2.1,1H)。
【0144】
2−ブロモ−7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(フェニルスルホニル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン(VII−E−1)
【化63】


(V−E−1)(1.1g、2.37mmol)、ボロン酸エステル(VI−1)(0.5425g、2.607mmol)、LiCl(0.2512g、5.926mmol)、1.0M NaCO(5.93mL、5.93mmol)、および(PPhPdCl(0.1664g、0.237mmol)のEtOH:トルエン=1:1(v/v)(47.4mL)中での混合物を撹拌しながら110℃で4時間加熱した。その混合物を室温まで冷却した。水(100mL)を加え、その混合物をEtOAc(3×100mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮し、ヘキサン:EtOAcを傾斜(100%ヘキサンから100%EtOAc)で使用するSGCにより精製して(VII−E−1)(0.33g、33%)を黄色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.99(s,3H)、7.50〜7.56(m,2H)、7.60〜7.68(m,1H)、7.92(s,1H)、8.10(s,1H)、8.16(s,1H)、8.16〜8.19(m,2H)、8.46(d,1H)。
【0145】
5−シクロヘキセニル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(IX−A−1)
【化64】


(VII−A−1)(0.115g、0.275mmol)、ボロン酸エステル(VIII−1)(0.069g、0.33mmol)、LiCl(0.035g、0.825mmol)、1.0M NaCO(0.74mL、0.742mmol)、および(PPhPdCl(0.019g、0.03mmol)のEtOH:トルエン=1:1(v/v)(6mL)中での混合物を撹拌しながら100℃で1.5時間加熱した。その混合物を室温まで冷却し、EtOAc(30mL)および飽和ブライン(20mL)で希釈し、分配させた。水性層をEtOAc(3×60mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮し、溶離液としてCHCl:MeOH(99:1から98:2、v/vまでの傾斜)を用いるSGCにより精製して(IX−A−1)(0.121g、quant.)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.66〜1.73(m,2H)、1.79〜1.86(m,2H)、2.22〜2.29(m,2H)、2.41〜2.47(m,2H)、4.00(s,3H)、6.17(m,1H)、7.46(t,J7.6,2H)、7.55(tt,J7.5,1.5,1H)、8.00(d,J2.1,1H)、8.01(s,1H)、8.03(s,1H)、8.15〜8.19(m,2H)、8.78(d,J2.1,1H)。
【0146】
4−(4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキサ−3−エニル)−1,4−オキサゼパン(IX−A−3)
【化65】


(VII−A−1)(0.115g、0.275mmol)、ボロン酸エステル(VIII−3)(0.101g、0.33mmol)、LiCl(0.035g、0.825mmol)、1.0M NaCO(0.74mL、0.742mmol)、および(PPhPdCl(0.019g、0.03mmol)のEtOH:トルエン=1:1(v/v)(6mL)中での混合物を撹拌しながら105℃で2.5時間加熱した。その混合物を室温まで冷却した。この混合物をブライン(20mL):EtOAc(30mL)で希釈し、分配させた。水性層をEtOAc(3×60mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮し、溶離液としてCHCl:MeOH(100:0から94:6、v/vまでの傾斜溶離)を用いるSGCにより精製して鈴木アダクト(IX−A−3)(0.167g、quant.)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.64〜1.77(m,1H)、1.87〜2.02(m,2H)、2.11〜2.35(m,2H)、2.42〜2.54(m,1H)、2.56〜2.64(m,2H)、2.84〜3.07(m,5H)、3.75〜3.81(m,4H)、4.00(s,3H)、6.12(m,1H)、7.46(t,J7.7,2H)、7.56(t,J7.6,1H)、7.99(d,J2.1,1H)、8.02(s,2H)、8.15〜8.19(m,2H)、8.76(d,J2.1,1H)。
【0147】
2−シクロヘキセニル−7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(フェニルスルホニル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン(IX−E−1)
【化66】


(VII−E−1)(0.33g、0.789mmol)、ボロン酸エステル(VIII−1)(0.3284g、1.5779mmol)、LiCl(0.08362g、1.9724mmol)、1.0M NaCO(7.9mL、7.9mmol)、および(PPhPdCl(0.05538g、0.0789mmol)のEtOH:トルエン=1:1(v/v)(15.8mL)中での混合物を撹拌しながら110℃で4時間加熱した。その混合物を室温まで冷却した。水(40mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮し、ヘキサン:EtOAc(9:1から0:10、v/vまでの傾斜)を用いるSGCにより精製して(IX−E−1)(0.100g、30%)を黄色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ1.68〜1.77(m,2H)、1.80〜1.89(m,2H)、2.31(qd,J6.32,2.40,2H)、2.62(tq,J6.21,2.14,2H)、4.00(s,3H)、6.74(tt,J3.90,1.85,1H)、7.46〜7.53(m,2H)、7.59(tt,J6.69,1.26,1H)、8.01(d,J0.63,1H)、8.02(s,1H)、8.14〜8.19(m,3H)、8.54(s,1H)。
【0148】
7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−[4−(モルホリン−4−イル)シクロヘキサ−1−エン−1−イル]−5−(フェニルスルホニル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(IX−E−6)
【化67】


(VII−E−1)(1.66g、3.97mmol)、ボロン酸エステル(VIII−6)(2.3273g、7.9374mmol)、LiCl(0.4206g、9.922mmol)、1.0M NaCO(9.9mL、9.9mmol)、および(PPhPdCl(0.2786g、0.3969mmol)のEtOH:トルエン=1:1(v/v)(19.8mL)中での混合物を撹拌しながら110℃で2時間加熱した。その混合物を室温まで冷却した。水(100mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×100mL)で抽出した。一緒にした有機抽出物をMgSO上で乾燥し、濃縮し、ヘキサン:EtOAc(80:20から25:75、v/vまでの傾斜)を用いるSGC、続いてCHCl:EtOAc=1:1(v/v)により精製して淡赤色の固体を得た。この固体をEtO(30mL)で摩砕し、濾過して(IX−E−6)(1.20g、60%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ2.14〜2.41(m,2H)、2.46〜2.80(m,8H)、2.88〜3.01(m,1H)、3.78(t,J4.6,4H)、4.00(s,3H)、6.65〜6.75(m,1H)、7.45〜7.53(m,2H)、7.56〜7.64(m,1H)、8.02(s,1H)、8.03(s,1H)、8.14(s,1H)、8.15〜8.20(m,2H)、8.54(s,1H)。
【0149】
5−ブロモ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(X−A−1)
【化68】


ジアザインダゾール(V−A−1)(0.952g、2.24mmol)、ボロン酸エステル(VI−1)(0.515g、2.47mmol)、LiCl(0.285g、6.73mmol)、1.0M NaCO(6.05mL、6.05mmol)、および(PPhPdCl(0.157g、0.22mmol)のEtOH:トルエン=1:1(v/v)(24mL)中での混合物を撹拌しながら100℃で3時間加熱した。その混合物を室温まで冷却し、CHClで希釈し、濾過して無機物を除去した。この濾液を濃縮した。残渣を、溶離液としてCHCl:MeOH(97:3から90:10、v/vまでの傾斜溶離)を用いるSGCより精製して鈴木生成物(X−A−1)を固体として得た(0.397g、64%)。H NMR(400MHz、CDCl+微量のCDOD)δ4.01(s,3H)、7.96(s,1H)、8.01(s,1H)、8.39(d,J2.1,1H)、8.59(s,1H)。
【0150】
実施例6:5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−フェニル−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン(11)
【化69】

【0151】
6−フェニルピリダジン−3−アミン(4)
6−ブロモ−3−ピリダジンアミン(3)(8.90g、51.1mmol)、塩化リチウム(6.50g、153.4mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.359g、0.511mmol)、PhMe(130mL)に溶かした1M炭酸ナトリウム溶液(138mL、138.1mmol)、およびEtOH(130mL)の撹拌溶液に、フェニルボロン酸(9.35g、76.7mmol)を加えた。その反応混合物を18.5時間還流するに任せ、次いで室温まで冷却し、EtOAcおよび飽和ブラインで分配させた。水性層をEtOAc(3×)で洗浄した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発して白色の結晶固体(4)(7.84g、89%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.75(brs,2H)、6.84(d,J=9.1Hz,1H)、7.41(tt,J=7.5および1.5Hz,1H)、7.45〜7.51(m,2H)、7.65(d,J=9.1Hz,1H)、7.94〜7.98(m,2H)。
【0152】
4−ブロモ−6−フェニルピリダジン−3−アミン(5)
MeOH(400mL)に溶かしたピリダジン(4)(7.84g、45.8mmol)および炭酸水素ナトリウム(11.5g、137.4mmol)の撹拌溶液に、MeOH(30mL)に溶かした臭素の溶液(3.53mL、68.7mmol)を11分間かけて一滴ずつ加えた。さらに2時間後、その混合物を焼結漏斗により真空濾過し、固体残渣をMeOHで洗浄した。一緒にした濾液を蒸発させ、得られた残渣をEtOAc中に再溶解し、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液(1×)および飽和ブライン(1×)で洗浄した。有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。この粗材料を、傾斜溶離(ヘキサンからヘキサン対EtOAc 3/1、2/1、1/1まで)を用いるフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製して臭化物(5)(5.431g、47.4%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.22(brs,2H)、7.43(tt,J=7.4および1.4Hz,1H)、7.45〜7.51(m,2H)、7.91(s,1H)、7.92〜7.97(m,2H)。MS(ES)m/z250(M)。
【0153】
6−フェニル−4−[(トリメチルシリル)エチニル]ピリダジン−3−アミン(6)
臭化物(5)(3g、12mmol)、ヨウ化銅(I)(0.274g、1.4mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.692g、0.6mmol)、およびエチニルトリメチルシラン(1.99mL、14.4mmol)、トリエチルアミン(18mL、129.4mmol)をDMF(60mL)に溶かした溶液を120℃で撹拌した。0.5時間の後、その混合物を放置して室温まで冷却し、次いでコールドフィンガー上で蒸発させた。この粗残渣を、傾斜溶離(ヘキサンからヘキサン対EtOAc 1/1まで)を用いるフラッシュシリカクロマトグラフィーにより精製してシラン(6)(2.104g、65.6%)を黄褐色の固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ0.31(s,9H)、5.27(brs,2H)、7.41(tt,J=7.3および1.4Hz,1H)、7.44〜7.49(m,2H)、7.67(s,1H)、7.92〜7.96(m,2H)。MS(ES)m/z268(MH)。
【0154】
3−フェニル−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン(7)
THF(2.5mL)に溶かしたシラン(6)(58.9mg、0.22mmol)の溶液に、THFに溶かした1M TBAFの溶液(0.48mL、0.48mmol)を1.5分間かけて一滴ずつ加えた。その反応混合物を6.5時間還流するに任せ、次いで冷却し、蒸発させた。残渣をCHClおよび水で希釈し、分配させた。水性層をCHCl(3×)で洗浄した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。この粗材料を、溶離液としてEtOAcを用いる1×1mmPTLCプレート上で精製して6,7−ジアザインドール(7)(34.9mg、81%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ6.61(d,J=3.6Hz,1H)、7.46(tt,J=7.4および1.4Hz,1H)、7.51〜7.57(m,2H)、7.71(d,J=3.6Hz,1H)、8.07〜8.10(m,2H)、8.11(s,1H)、10.58(brs,NH)。MS(ES)m/z196(MH)。
【0155】
5−ヨード−3−フェニル−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン(8)
DMF(15mL)に溶かしたピロロ−ピリダジン(7)(348.4mg、1.79mmol)の撹拌溶液に、破砕したKOH(378mg、6.74mmol)を一度に加えた。10分後、ヨウ素(408mg、1.61mmol)を一度に加え、さらに1.5時間撹拌した。この混合物を部分的に蒸発させ、次いでEtOAcおよび飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、分配させた。水性層をEtOAc(4×)で洗浄し、一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させてヨウ化物(8)(1.743g)を得た。これを精製せずに直接使用した。MS(ES)m/z322(MH)。
【0156】
5−ヨード−3−フェニル−7−(フェニルスルホニル)−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン(9)
ヨウ化物(8)(想定される理論上の収量0.574g、1.79mmol)、50%NaOH(1mL)に溶かしたテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.091g、0.27mmol)、およびCHCl(20mL)の撹拌溶液に、ベンゼンスルホニルクロリド(0.35mL、2.77mmol)を加えた。70分後、その混合物をCHClおよび飽和ブラインで希釈し、分配させた。水性層をCHCl(4×)で洗浄し、一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させて固形物を得た。これを冷MeOHで希釈し、室温で1時間撹拌した。得られた固形物を桐山漏斗により真空濾過してフェニルスルホニル化ピロロ−ピリダジン(9)を粉末として得た(0.544g、66%、2工程)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.46〜7.58(m,5H)、7.65(tt,J=7.4および1.4Hz,1H)、7.77(s,1H)、8.07〜8.10(m,3H)、8.36〜8.40(m,2H)。MS(ES)m/z462(MH)。
【0157】
5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−フェニル−7−(フェニルスルホニル)−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン(10)
PhMe(4mL)およびEtOH(4mL)に溶かした保護ピロロ−ピリダジン(9)(100mg、0.217mmol)の溶液に、塩化リチウム(27.5mg、0.65mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.5mg、0.002mmol)、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン−2−イル)−1H−ピラゾール(58.6mg、0.282mmol)、および1M炭酸ナトリウム(0.58mL、0.58mmol)を加えた。還流させて2.5時間後、その混合物をEtOAcおよび飽和炭酸水素ナトリウム溶液で希釈し、分配させた。水性層をEtOAc(3×)で洗浄した。一緒にした有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。この材料を、溶離液としてDCM対EtOAc 5/1を用いる2×1mmPTLCプレート上で精製して鈴木アダクト(10)をクリーム色の粉末として得た(81.3mg、90%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.02(s,3H)、7.45〜7.57(m,5H)、7.63(tt,J=7.4および1.4Hz,1H)、7.70(s,1H)、7.80(d,J=0.8Hz,1H)、7.99(s,1H)、8.04(s,1H)、8.04〜8.08(m,2H)、8.36〜8.42(m,2H)。MS(ES)m/z416(MH)。
【0158】
5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−フェニル−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン(11)
エタノール(10mL)に溶かしたピロロ−ピリダジン(10)(81.3mg、0.196mmol)の溶液に10%NaOH溶液(0.8mL)を加え、その混合物を90℃に加熱した。40分の後、この混合物を室温まで冷却し、EtOAc(20mL)で希釈した。この混合物を飽和NaHCO(3×15mL)および飽和ブライン(1×15mL)で洗浄した。有機抽出物を乾燥(MgSO)し、濾過し、蒸発させた。得られた残渣を、溶離液としてEtOAcを用いる1×1mmPTLCプレート上で精製して脱保護ピロロ−ピリダジン(11)(21.6mg、40%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.02(s,3H)、7.48(t,J=7.4Hz,1H)、7.56(t,J=7.4Hz,2H)、7.68(s,1H)、7.81(d,J=1.3Hz,2H)、8.10(d,J=7.4Hz,2H)、8.18(s,1H)、11.44(brs,NH)。MS(ES)m/z276(MH)。
【0159】
生物活性
JNK1、JNK2、JNK3−SPAアッセイ:
1.化合物をDMSO中で使いやすい濃度に溶解し、それを10%DMSO中で所望の出発濃度の5倍濃縮物に希釈した(多くの場合1:100)。
2.10μlの500mM EDTAをOpti-plate列の代替ウェル群に加えた。それらはDMSOに加えてキナーゼ反応物を受け入れることになる。これは負の対照をもたらす。
3.JNK2およびJNK3アッセイについては、化合物を水で6個の2倍希釈液に調製し、各濃度を重複して2回試験する。JNK1アッセイについては、それら化合物を水で4個の5倍希釈液に調製し、それを重複して3回試験する。対照を同じように処理した。
4.各化合物濃度の20μl/ウェルを重複してOpti-plateに移した。
5.基質溶液(25mM HEPES(pH7.5)、10mM酢酸マグネシウム、ただし3.33μM ATP(JNK2/3)または2μM ATP(JNK1)、約7.5kBq[γ−33P]ATP、GST−c−Junは水に溶かす)を、各ウェルに30μl(JNK2/3 SPA)または50μl(JNK1 SPA)加えた。
6.キナーゼ溶液(25mM HEPES(pH7.5)に溶かしたJNK、10mM酢酸マグネシウム)を、各ウェルに50μl(JNK2/3 SPA)または30μl(JNK1 SPA)加えた。
【0160】
【表1】

【0161】
7.プレートを室温で30分間インキュベートした。
8.各ウェルに、100μlのビーズ/ストップ溶液(5mg/mlのグルタチオン−PVT−SPAビーズ、PBSに溶かした40mM ATP)を加えた。
9.プレートを密封し、室温で30分間インキュベートし、2500gで10分間遠心分離し、計数した。
10.c−Junのリン酸化が対照値の50%に低下する時の試験される化合物の濃度としてIC50値を計算した。例えば本発明の化合物のIC50値は、表1に示される。
【0162】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【化1】


[式中、
Aは、CHまたはNであり、
Eは、CHまたはNであり、
Gは、CHまたはNであり、
EおよびGがCHの場合、Aは、Nであり、
AおよびGがCHの場合、Eは、Nであり、
AおよびEがCHの場合、Gは、Nであり、
は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、NR、および−R−Rからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換される5〜7員非芳香族炭化水素環式基であるか、
あるいはRは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、−CONH、NHR、およびNRからなる群から選択される1〜6個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換される6〜10員芳香族または部分飽和炭化水素環式基であり、
は単結合または−CH−であり、
は、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜4個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換される、4〜8員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜7員ヘテロアリール基であり、
およびRは、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、または6員非芳香族ヘテロ環式基から独立して選択され、
上の2つ以上の位置は、任意に基−X−(ただしXは、O、CH、CH−CH、NR、CH−CH−CH、CH−CH(CH−)−CH、またはN(R)−CH(CH−)CHであり、Rは独立して水素またはC1〜6アルキルから選択される)によって架橋されて二環または三環系を形成し、前記架橋はC1〜6アルキル、シアノ、CONH、C1〜6ヒドロキシアルキル、オキソ、ヒドロキシ、C1〜6アルキルアミノ、または6員非芳香族ヘテロ環式基のうちの1種以上により任意にかつそれぞれ独立して置換されてもよく、
は、水素、任意に4〜7員非芳香族ヘテロ環式基により置換されるC1〜6アルキル、またはC1〜6ハロアルキルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルであり、
は、水素またはC1〜6アルキルである。]
【請求項2】
が、ハロゲン、オキソ、エチレンジオキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ヒドロキシアルキル、−C(O)OH、および−R−Rからなる群から選択される1〜3個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換される5〜7員非芳香族炭化水素環式基であり、
が、単結合または−CH−であり、また
が、ハロゲンおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基により任意にかつそれぞれ独立して置換される、4〜7員非芳香族ヘテロ環式基、C6〜10アリール、または5〜6員ヘテロアリール基である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、メチル、モルホリノエチル、またはトリフルオロメチルである、請求項1または請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が水素またはメチルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が水素またはメチルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
式(Ia)の、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【化2】


[式中、A、E、G、R、およびRは、請求項1で定義されているものと同様である。]
【請求項7】
式(Ib)の、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【化3】


[式中、R、R、R、およびRは、請求項1で定義されているものと同様である。]
【請求項8】
式(Ic)の、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【化4】


[式中、R、R、R、およびRは、請求項1で定義されているものと同様である。]
【請求項9】
式(Id)の、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【化5】


[式中、R、R、R、およびRは、請求項1で定義されているものと同様である。]
【請求項10】
5−シクロヘキシル−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン、
4((1r、4r)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン、
4((1s、4s)−4−(3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−5−イル)シクロヘキシル)−1,4−オキサゼパン、
2−シクロヘキシル−7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン、
4((1r、4r)−4−(7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5H−ピロロ[3,2−b]ピラジン−2−イル)シクロヘキシル)モルホリン、および
5−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−フェニル−7H−ピロロ[2,3−c]ピリダジン
の群から選択される請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体との関連において含む医薬組成物。
【請求項12】
医薬に使用するための請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物または請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
神経変性障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、および/または臓器不全の予防および/または治療のための請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物または請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記神経変性障害が多発性硬化症である、請求項13に記載の化合物または医薬組成物。
【請求項15】
前記自己免疫疾患が慢性関節リウマチである、請求項13に記載の化合物または医薬組成物。
【請求項16】
糖尿病性ネフロパシー、心不全、および/または肝不全の予防および/または治療のための請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物または請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の、あるいは請求項11に記載の化合物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、神経変性障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、および/または臓器不全の予防および/または治療のための方法。
【請求項18】
神経変性障害、炎症性疾患、自己免疫疾患、および/または臓器不全の予防および/または治療用の薬剤の製造のための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。

【公表番号】特表2011−529952(P2011−529952A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521625(P2011−521625)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001859
【国際公開番号】WO2010/015803
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【Fターム(参考)】