説明

ジアザビシクロ系のヒスタミン−3受容体アンタゴニスト

本発明は下記に関する:本明細書中に定める式(I)および(II)の化合物、またはその医薬的に許容できる塩;式(I)または(II)の化合物を含有する医薬組成物;ヒスタミンH3受容体に拮抗することにより処置できる障害または状態を処置する方法であって、その処置が必要な哺乳類に前記式(I)または(II)の化合物を投与することを含む方法;うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、アルツハイマー病、注意欠陥障害(ADD)、活動亢進を伴う注意欠陥障害(ADHD)、精神障害、睡眠障害、肥満症、めまい、てんかん、乗物酔い、呼吸器疾患、アレルギー、アレルギー誘発気道反応、アレルギー性鼻炎、鼻充血、アレルギー性充血、充血、低血圧症、心血管疾患、消化管疾患、消化管の運動および酸分泌の過多および減弱よりなる群から選択される障害または状態を処置する方法であって、その処置が必要な哺乳類に前記式(I)または(II)の化合物を投与することを含む方法。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本発明は、本明細書に記載する式IおよびIIの化合物、それらの化合物を含む医薬組成物、ならびにそれらの化合物を用いてヒスタミン-3(H3)受容体に拮抗することにより処置できる障害または状態を処置する方法に関する。本発明のヒスタミン-3(H3)受容体アンタゴニストは、下記の処置に有用である:不安障害、たとえば全般的不安障害、パニック障害、PTSD、および社会不安障害を含む;気分調節障害:抑うつ性気分、混合型不安-抑うつ性気分、伝導障害、および混合型伝導障害-抑うつ性気分を含む;加齢性学習-精神障害:アルツハイマー病を含む;注意調節障害、たとえば注意欠陥障害、または全般的医学状態による他の認知障害を含む;活動亢進を伴う注意欠陥障害;精神障害:分裂情動型障害および統合失調症(精神分裂病)を含む;睡眠障害:ナルコレプシーおよび遺尿症を含む;肥満症、めまい、てんかん、ならびに乗物酔い。本発明のH3受容体アンタゴニストは、たとえば下記の処置にも有用である:アレルギー、アレルギー誘発気道(たとえば上気道)反応、充血(たとえば鼻充血)、低血圧症、心血管疾患、消化管疾患、消化管の運動および酸分泌の過多および減弱、睡眠障害(たとえば過眠、傾眠、およびナルコレプシー)、活動亢進を伴う注意欠陥障害(ADHD)、中枢神経系の活動亢進および活動低下(たとえば激越およびうつ病)、ならびに他の中枢神経系障害(たとえば統合失調症および片頭痛)。
【0002】
ヒスタミンは、過敏反応(たとえばアレルギー、枯草熱、および喘息)における周知の媒介物質であり、これらは一般にヒスタミンのアンタゴニスト、すなわち”抗ヒスタミン薬”で処置される。H1およびH2受容体と呼ばれる少なくとも2つの異なるタイプのヒスタミン受容体が存在することも確立されている。
【0003】
第3のヒスタミン受容体(H3受容体)は中枢神経系における神経伝達において役割をもち、H3受容体はヒスタミン作動性神経終末のシナプス前にあると考えられている(Nature, 302, S32-837 (1983))。H3受容体の存在は、選択的H3受容体アゴニストおよびアンタゴニストの開発により確認され(Nature, 327, 117-123 (1987))、その後、中枢神経系および末梢器官の両方、特に肺、心血管系および消化管において神経伝達物質の放出を調節することが示された。
【0004】
多数の疾患または状態をヒスタミン-3受容体リガンドで処置することができ、その際、H3リガンドはアンタゴニスト、アゴニストまたは部分アゴニストである場合がある;参照:
【0005】
【化1】

【0006】
(Adam Szelag, ”インビトロでの新生細胞増殖におけるヒスタミンH3-受容体の役割”, Med. Sci. Monit., 4 (5): 747-755, (1998)); (Fitzsimons, C., H. Duran, F. Labombarda, B. Molinari and E. Rivera, ”H-ras遺伝子変異をもつ上皮腫瘍細胞系におけるヒスタミン受容体シグナル伝達”, Inflammation Res., 47 (Suppl. 1): S50-S51, (1998)); (R. Leurs, R. C. Vollinga and H. Timmerman, ”ヒスタミンH3受容体のリガンドの医療化学および療法ポテンシャル”, Progress in Drug Research 45: 170-165, (1995)); (R. Levi and N. C.E. Smith, ”ヒスタミンH3受容体:心筋梗塞におけるニューフロンティア”, J. Pharm. Exp. Ther., 292: 825-830, (2000)); (Hatta, E., K Yasuda and R. Levi, ”遷延性心筋虚血のヒトモデルにおいてヒスタミンH3受容体の活性化は担体仲介ノルエピネフリン放出を阻害する”, J. Pharm. Exp. Ther., 283: 494-500, (1997); (H. Yokoyama and K. linuma, ”ヒスタミンと発作:てんかんの治療に対する示唆”, CNS Drugs, 5(5); 321-330, (1995)); (K. Hurukami, H. Yokoyama, K. Onodera, K. Iinuma and T. Watanabe, AQ-0 145, ”新たに開発されたヒスタミンH3アンタゴニスト、マウスにおける電気的誘発発作感受性の軽減”, Meth. Find. Exp. Clin. Pharmacol., 17(C): 70-73, (1995); (Delaunois A., Gustin P., Garbarg M., and Ansay M., ”摘出した潅流ウサギ肺におけるヒスタミンH3受容体によるアセチルコリン、カプサイシンおよびサブスタンスP作用の調節”, European Journal of Pharmacology 277 (2-3): 243-50, (1995)); ならびに(Dimitriadou, et al., ”ラットの肺および脾臓においてヒスタミンH3受容体調節により証明されたマスト細胞とC-感受性神経線維の機能関係”, Clinical Science 87(2): 151-63, (1994)。そのような疾患または状態には、心血管障害、たとえば急性心筋梗塞;記憶プロセス、認知症(痴呆症)、ならびに認知障害、たとえばアルツハイマー病および活動亢進を伴う注意欠陥障害;神経障害、たとえばパーキンソン病、統合失調症、うつ病、てんかん、および発作または痙攣;癌、たとえば皮膚癌、髄様甲状腺癌および黒色腫;呼吸器障害、たとえば喘息;睡眠障害、たとえばナルコレプシー;前庭機能障害、たとえばメニエール病;消化器障害、炎症、片頭痛、乗物酔い、肥満症、痛み、ならびに敗血症性ショックが含まれる。
【0007】
H3受容体アンタゴニストは、これまでにたとえばWO 03/050099、WO 02/0769252、およびWO 02/12224にも記載されている。ヒスタミンH3受容体(H3R)は、ヒスタミン、ならびにセロトニンおよびアセチルコリンを含めた他の神経伝達物質の放出を調節する。H3Rは比較的ニューロン特異的であり、特定のモノアミン、たとえばヒスタミンの放出を阻害する。H3Rの選択的拮抗は脳ヒスタミンレベルを高め、摂食などの活動を阻害し、一方では非特異的末梢効果を低下させる。この受容体のアンタゴニストは脳におけるヒスタミンその他のモノアミンの合成および放出を高める。この機序により、それらは持続的覚醒状態、認知機能改善、摂食低下および前庭反射正常化を誘発する。したがってこの受容体は、アルツハイマー病、活動亢進を伴う注意欠陥障害(ADHD)を含めた気分および注意調節、認知欠陥、肥満症、めまい、統合失調症、てんかん、睡眠障害、ナルコレプシーおよび乗物酔い、ならびに各種形態の不安における新規療法薬の重要な標的である。
【0008】
現在までの大部分のヒスタミンH3受容体アンタゴニストは、置換されていてもよいイミダゾール環をもつ点でヒスタミンに類似する:たとえばWO 96/38142に記載。非イミダゾール系の神経作用性化合物、たとえばベータ-ヒスタミン類(Arrang, Eur. J. Pharm. 1985, 111: 72-84)が若干のヒスタミンH3受容体活性を示したが、力価が低かった。EP 978512およびEP 982300には、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストとしての非イミダゾール系アルキルアミンが開示されている。WO 02/12224 (Ortho McNeil Pharmaceuticals)にはヒスタミンH3受容体リガンドとしての非イミダゾール系二環式誘導体が記載され、EP 1275647 (Les Laboratoires Servier)には選択的H3受容体アンタゴニストである新規なオクタヒドロ-2H-ピリド[1,2-a]ピラジン類が開示されている。他の受容体アンタゴニストがWO 02/32893およびWO 02/06233に記載されている。
【0009】
本発明は、前の各節に挙げた状態を処置するのに有用な本発明のヒスタミン-3(H3)受容体アンタゴニストに関する。本発明化合物はH3受容体に対する選択性が高く(他のヒスタミン受容体と対比して)、顕著な薬物素質(薬物動態)をもつ。特に、本発明化合物はH3Rを他の受容体サブタイプH1R、H2Rと選択的に識別する。当技術分野でのヒスタミンH3受容体アゴニスト、インバースアゴニストおよびアンタゴニストにおける関心の高まりからみて、ヒスタミンH3受容体と相互作用する新規化合物は、当技術分野に対してきわめて望ましい貢献をするであろう。本発明は、新規クラスのジアザビシクロ化合物がヒスタミンH3受容体に対する高い特異的親和性を示すという所見に基づいて、当技術分野に対してそのような貢献をする。
【0010】
発明の概要
本発明は、式IおよびIIの化合物:
【0011】
【化2】

【0012】
またはその医薬的に許容できる塩類に関する:
式中:
Pは、独立してメチレン(炭素原子上の可能な位置において水素、フッ素、OH、カルボニル、C1-C8アルキレンで置換されていてもよい);または3〜8員シクロアルキル環(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)であり;
mは、2、3または4であり;
Qは、独立してC1-C6アルキレンから選択され、可能な位置においてRaで置換されていてもよく、ここでRaは水素、C1-C6アルキルまたはC6-C14アリールから選択され;
Tは、メチレン、C=O、-C(=O)-N、S02よりなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
kは、0、1であり;
R1およびR2は、独立して下記よりなる群から選択され:
水素;
C1-C8アルキル:これは1〜4個のハロゲン(特にフッ素)またはOHで置換されていてもよい;
C3-C7シクロアルキル;
C6-C14アリール;
3〜8員ヘテロシクロアルキル:これはC1-C4アルキル-カルボニル基で置換されていてもよい;
C6-C10アリールスルホニル:これはC1-C2アルキルで置換されていてもよい;および
5〜10員ヘテロアリール;
あるいは
NR1は、P中の可能な炭素原子と一緒に4〜8員環式環を形成し、この環はさらにN、0またはSから選択される最高2個のヘテロ原子を含むことができ;
R3は、下記よりなる群から選択され:
水素;
フェニル、ナフチルまたはヘテロアリール:これらはそれぞれ1個以上のXで置換されていてもよい;ここで
Xは、H、F、Cl、Br、I、CN、OH、OR7、S(O)tR8、COR9、CONR10R11である;
あるいは
R1およびR2は、NR1R2基の窒素と一緒に4〜8員環を形成し、その際、環中の1〜3個の炭素は0、S、NR4またはCOにより交換されていてもよく、環はC6-C10アリーレンに縮合していてもよく、環炭素において1または2個のC1-C4アルキル基で置換されていてもよく;
R4は、下記のものであり;
水素;
C1-C8アルキル:これは1〜4個のハロゲンで置換されていてもよい;
5〜10員ヘテロアリール:これはハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C2アルコキシ、C6-C10アリール、C1-C4アルキルアミノカルボニル、およびシアノよりなる群から選択される置換基で置換されていてもよい;
C6-C10アリール:これは1もしくは2個のC1-C2アルキルで置換されていてもよい;または
C1-C4アルキル-カルボニル;
R5およびR6は、独立して下記よりなる群から選択され:
水素;
フッ素;
C1-C6アルキル(Fで置換されていてもよい);
あるいは
R5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒に3〜7原子のシクロアルキル環を形成し;
R7、R8およびR9は、独立して下記よりなる群から選択され:
C1-C8アルキル:これは1〜4個のハロゲンで置換されていてもよい;
5〜10員ヘテロアリール:これはハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C2アルコキシ、C6-C10アリール、C1-C4アルキルアミノカルボニル、およびシアノよりなる群から選択される置換基で置換されていてもよい;
C6-C10アリール:これは1または2個のC1-C2アルキルで置換されていてもよい;
R10およびR11は、独立して前記にR1およびR2として定めた基から選択され;
tは、0、1または2である。
【0013】
本発明の式IおよびIIの化合物の態様についてシスとトランスの異性体が可能な場合、シスとトランスの両方の異性体が本発明の範囲に含まれる。
用語”アルキル”は、炭素原子の直鎖または分枝鎖を表わす。アルキル基の例はC1-C6アルキル基であり、これにはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが含まれ、そのすべてのレギオ異性体形、ならびにその直鎖形および分枝鎖形が含まれる。用語”アルキル”は、1以上の炭素-炭素二重結合をもつ炭素原子の直鎖または分枝鎖、たとえばビニル、アリル、ブテニルなど、および1以上の炭素-炭素三重結合をもつ炭素原子の直鎖または分枝鎖、たとえばエチニル、プロパルギル、ブチニルなどを表わすためにも用いられる。用語”アリール”は、環式芳香族炭化水素を表わす。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントレニルなどが含まれる。用語”アルコキシ”および”アリールオキシ”は、それぞれ”O-アルキル”および”O-アリール”を表わす。用語”シクロアルキル”は、炭素原子の環式基を表わし、その際、炭素原子により形成された環は飽和であってもよく、あるいは環中に1以上の炭素-炭素二重結合を含むこともできる。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど、およびシクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどが含まれる。本明細書中で用いる用語”シクロアルキル”は、少なくとも2つの縮合環を含む環式基、たとえばアダマンタニル、デカヒドロナフタリニル、ノルボルナニルなどをも表わすものとし、その際、環式基は一方または両方の環中に1以上の炭素-炭素二重結合を含むこともできる:たとえばビシクロ[4.3.0]ノナ-3,6(1)-ジエニル、ジシクロペンタジエニル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタリニル(テトラリニル)、インデニルなど。用語”ハロゲン”は、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを表わす。用語”ヘテロアリール”は、単環式または二環式芳香族基において1個以上の炭素原子が窒素、酸素および硫黄よりなる群から選択されるヘテロ原子で交換されたものを表わす。ヘテロアリール基が1個より多いヘテロ原子を含む場合、それらのヘテロ原子は同一でも異なってもよい。好ましいヘテロアリール基は、独立して酸素、窒素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜14員環である。好ましいヘテロアリール基の例には、ベンゾ[b]チエニル、クロメニル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサジニル、オキサゾリル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キノリジニル、キノリル、キノキサリニル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、トリアゾリル、およびキサンテニルが含まれる。
【0014】
用語”ヘテロシクロアルキル”は、シクロアルキル系(”シクロアルキル”は前記に定めたもの)において1個以上の環炭素原子が窒素、酸素および硫黄よりなる群から選択されるヘテロ原子で交換されたものを表わす。そのようなヘテロシクロアルキル基の例には、アザビシクロヘプタニル、アゼチジニル、ベンゾアゼピニル、1,3-ジヒドロイソインドリル、インドリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピロリジニル、およびテトラヒドロ-2H-1,4-チアジニルが含まれる。
【0015】
環式基は、1以上の様式で他の基に結合できる。具体的な結合様式を特定しない場合、すべての可能な様式が含まれる。たとえば、用語”ピリジル”は2-、3-または4-ピリジルを含み、用語”チエニル”は2-または3-チエニルを含む。
【0016】
用語”C0-C4”は、鎖中に炭素が無い態様を含む。したがって、たとえば基”C3-C7シクロアルキル-C0-C4アルキル”、”C6-C14アリール-C0-C4アルキル”、”5〜10員ヘテロアリール-C0-C4アルキル”、および”C6-C14アリール-C0-C4アルキレン-O-C0-C4アルキル”には、それぞれC3-C7シクロアルキル、C6-C14アリール、5〜10員ヘテロアリール、および”C6-C14アリール-O-C0-C4アルキルが含まれる。
【0017】
用語”C1-C4ジアルキルアミノ”は、各アルキル基が独立してC1-C4アルキル基であるジアルキルアミノ基を表わす。
本発明は下記のものにも関する:
たとえばヒスタミン-3受容体に拮抗することにより処置できる障害または状態を処置するための医薬組成物であって、前記式IまたはIIの化合物、および場合により医薬的に許容できるキャリヤーを含む医薬組成物;
ヒスタミン-3受容体に拮抗することにより処置できる障害または状態を処置する方法であって、その処置が必要な哺乳類に前記式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法;ならびに
うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、アルツハイマー病、注意欠陥障害(ADD)、活動亢進を伴う注意欠陥障害(ADHD)、精神障害、睡眠障害、肥満症、めまい、てんかん、乗物酔い、呼吸器疾患、アレルギー、アレルギー誘発気道反応、アレルギー性鼻炎、鼻充血、アレルギー性充血、充血、低血圧症、心血管疾患、消化管疾患、消化管の運動および酸分泌の過多および減弱よりなる群から選択される障害または状態を処置するための医薬組成物であって、前記式IまたはIIの化合物、および場合により医薬的に許容できるキャリヤーを含む医薬組成物。
【0018】
本発明は、前節に挙げた障害または状態よりなる群から選択される障害または状態を処置する方法であって、その処置が必要な哺乳類に前記式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法にも関する。
【0019】
本発明のヒスタミン-3(H3)受容体アンタゴニストは、特にADD、ADHD、肥満症、不安障害および呼吸器疾患の処置に有用である。本発明により処置できる呼吸器疾患には、成人呼吸窮迫症候群、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、喘息、気腫、鼻炎および慢性副鼻腔炎が含まれる。
【0020】
本発明の医薬組成物および方法は、前記の各節に挙げた障害または状態の再発予防にも使用できる。そのような再発の予防は、その予防が必要な哺乳類に前記式IまたはIIの化合物を投与することにより達成される。
【0021】
開示した化合物は、アレルギー性鼻炎、鼻充血およびアレルギー性充血の処置のために、有効量の一般式IまたはIIのヒスタミンH3アンタゴニスト化合物、および有効量のヒスタミンH1アンタゴニスト、たとえばセチリジン(cetirizine)(Zyrtec(商標))を使用する併用療法の一部としても使用でき、これは別個のものとして、または単一送達系中に組み合わせたものとしてそれらを投与することを含む。
【0022】
開示した化合物は、有効量の一般式IまたはIIのヒスタミンH3アンタゴニスト化合物、および有効量の神経伝達物質再取込み遮断薬を使用する併用療法の一部としても使用でき、これは別個のものとして、または単一送達系中に組み合わせたものとしてそれらを投与することを含む。神経伝達物質再取込み遮断薬の例には、うつ病および気分障害の処置のためのセロトニン選択的再取込み阻害薬(SSRI)、たとえばセルトラリン(sertraline)(Zoloft(商標))、フルオキセチン(fluoxetine)(Prozac(商標))、およびパロキセチン(paroxetine)(Paxil(商標))、または非選択的セロトニン、ドーパミンもしくはノルエピネフリン再取込み阻害薬が含まれる。
【0023】
本発明化合物は、光学中心をもつ場合があり、したがって異なる鏡像異性体構造で生成することがある。前記の式IおよびIIには、構造式IおよびIIに示す化合物のすべての鏡像異性体、ジアステレオマーおよび他の立体異性体、ならびにそのラセミ混合物および他の混合物が含まれる。個々の異性体は、既知の方法により、たとえば最終生成物またはその中間体の製造に際して、光学分割、光学選択的反応、またはクロマトグラフィー分離により得ることができる。
【0024】
本発明には、同位体標識化合物も含まれる。それらは、1個以上の原子が自然界で通常見られる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数をもつ原子により交換されているという事実以外は、式IおよびIIに示すものと同一である。本発明化合物に取り込ませることができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体、たとえばそれぞれ2H、3H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および38Clが含まれる。これらの同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する本発明化合物、そのプロドラッグ、および本発明化合物またはプロドラッグの医薬的に許容できる塩類は、本発明の範囲に含まれる。本発明の特定の同位体標識化合物、たとえば3Hおよび14Cなどの放射性同位体を取り込ませたものは、薬物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム化、すなわち3H、および炭素-14、すなわち14C同位体は、それらの製造しやすさおよび検出適性のため、特に好ましい。さらに、より重い同位体、たとえばジュウテリウム、すなわち2Hは、より大きな代謝安定性から得られる療法上の利点、たとえばインビボ半減期の延長または投与必要量の減少を提供でき、したがって状況によっては好ましいであろう。本発明の式IおよびIIの同位体標識化合物ならびにそのプロドラッグは一般に、容易に入手できる同位体標識試薬を非-同位体標識試薬の代わりに用いて、後記の反応経路および/または実施例および製造例に開示する方法を実施することにより製造できる。
【0025】
本明細書中で用いる”ヒスタミン-3(H3)受容体に拮抗する”は、ヒスタミン-3受容体アンタゴニストとして作用することを表わす。
本明細書中で用いる”単位剤形”は、単位量の式IまたはIIの化合物を含有するいずれかの剤形である。単位剤形は、たとえば錠剤またはカプセル剤の形であってよい。単位剤形は、液状、たとえば液剤または懸濁液剤であってもよい。
【0026】
本発明組成物は、常法により1種類以上の医薬的に許容できるキャリヤーを用いて配合できる。たとえば本発明の有効化合物を、経口、口腔、鼻内、非経口(たとえば静脈内、筋肉内または皮下)もしくは直腸投与用に、または吸入もしくは吹入れによる投与に適切な剤形に配合できる。
【0027】
経口投与用として、医薬組成物はたとえば錠剤またはカプセル剤の形をとることができ、これらは常法により、医薬的に許容できる賦形剤、たとえば結合剤(たとえばプレゲル化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(たとえば乳糖、微結晶性セルロースまたはリン酸カルシウム);滑沢剤(たとえばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(たとえばバレイショデンプンまたはグリコール酸デンプンナトリウム);または湿潤剤(たとえばラウリル硫酸ナトリウム)を用いて製造される。錠剤を当技術分野で周知の方法によりコーティングしてもよい。経口投与用の液体製剤は、たとえば液剤、シロップ剤または懸濁液剤の形をとることができ、あるいはそれらを使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製剤として提供することができる。それらの液体製剤は、常法により、医薬的に許容できる添加剤、たとえば懸濁化剤(たとえばソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化した食用脂肪);乳化剤(たとえばレシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(たとえばアーモンド油、油性エステルまたはエチルアルコール);および保存剤(たとえばp-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、またはソルビン酸)を用いて調製できる。
【0028】
口腔投与用として、本発明組成物は常法により配合した錠剤またはトローチ剤の形をとることができる。
本発明の有効化合物を注射による非経口投与用として配合することができる。これには一般的なカテーテル法または注入も含まれる。注射用配合物は、単位剤形で、たとえば保存剤を添加してアンプルまたは多数回量容器に入れた形で提供できる。本発明組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液剤、液剤または乳剤などの形をとることができ、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの配合剤を含有することができる。あるいは本発明の有効成分は、適切なビヒクル、たとえば発熱物質を含まない無菌水で使用前に再構成するための散剤の形であってもよい。
【0029】
本発明の有効化合物は、直腸用組成物、たとえば坐剤または留置浣腸剤中に配合することもでき、これらはたとえばカカオ脂または他のグリセリドなど、一般的な坐剤基剤を含有する。
【0030】
鼻内投与用または吸入による投与用として、本発明の有効化合物は液剤または懸濁液剤の形で、患者が圧搾もしくは送出するポンプスプレー容器から、または加圧容器もしくはネブライザーから適切な噴射剤、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素その他の適切なガスを用いてエアゾルスプレー製剤として、送達するのが好都合である。加圧エアゾル剤の場合、投与単位は計量された量の弁を設けることにより決定できる。加圧容器またはネブライザーは、有効化合物の液剤または懸濁液剤を収容することができる。吸入器または吹入器に用いるカプセルまたはカートリッジ(たとえばゼラチン製)は、本発明化合物および適切な粉末基剤、たとえば乳糖またはデンプンの粉末ミックスを収容したものとして調製できる。
【0031】
前記の状態(たとえばうつ病)を処置するために平均的成人に経口または口腔投与するのに提唱される本発明の有効化合物の用量は、1回量当たり0.1〜200 mgの有効成分であり、これをたとえば1日1〜4回投与できる。
【0032】
平均的ヒトにおいて前記の状態(たとえば活動亢進を伴う注意欠陥障害)を処置するためのエアゾル配合物は、好ましくは計量された各量、すなわち”一吹き”のエアゾル剤が20〜1000μgの本発明化合物を含有するように調整されることが好ましい。エアゾル剤の全1日量は100μg〜100 mgであろう。投与は1日数回、たとえば2、3、4または8回であってよく、たとえば各回に1、2または3用量を投与する。
【0033】
本発明の有効化合物と、ヒスタミンH1アンタゴニスト、好ましくはセチリジンを、前記のいずれかの状態を伴う対象の処置のために併用することに関して、これらの化合物を単独で、または医薬的に許容できるキャリヤーと組み合わせて、前記のいずれかの経路により投与できること、またその投与は1回投与および多数回投与のいずれでも実施できることを留意すべきである。より具体的には、有効成分の組合わせを多様な剤形で投与できる。すなわち、それらを医薬的に許容できる種々の不活性キャリヤーと組み合わせて、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、トローチ剤、ハードキャンデー、散剤、スプレー剤、水性懸濁液剤、注射用液剤、エリキシル剤、シロップ剤などの形にすることができる。そのようなキャリヤーには、固体希釈剤または充填剤、無菌水性媒質および種々の無毒性有機溶剤などが含まれる。さらに、そのような経口医薬配合物に適切な甘味および/または風味を、その目的に慣用されるタイプの種々の物質により施すことができる。一般に、式IおよびIIの化合物はそれらの剤形中に全組成物の約0.5〜約95重量%の濃度レベルで、すなわち目的とする単位量を供給するのに十分な量で存在し、ヒスタミンH1アンタゴニスト、好ましくはセチリジンは、それらの剤形中に全組成物の約0.5〜約95重量%の濃度レベルで、すなわち目的とする単位量を供給するのに十分な量で存在する。
【0034】
前記のいずれかの状態を処置するために平均的成人に経口、非経口、直腸または舌下投与するのに提唱される組合わせ配合物(本発明の有効化合物およびヒスタミンH1アンタゴニストを含有する配合物)中における本発明の有効化合物の1日量は、単位量当たり約0.01〜約2000 mg、好ましくは約0.1〜約200 mgの式IまたはIIの有効成分であり、これをたとえば1日1〜4回投与できる。
【0035】
前記のいずれかの状態を処置するために平均的成人に経口、非経口、直腸または舌下投与するのに提唱される組合わせ配合物中におけるヒスタミンH1アンタゴニスト、好ましくはセチリジンの1日量は、単位量当たり約0.1〜約2000 mg、好ましくは約1〜約200 mgのヒスタミンH1アンタゴニストであり、これをたとえば1日1〜4回投与できる。
【0036】
前記のいずれかの状態を処置するために平均的成人に経口、非経口、直腸または舌下投与する組合わせ配合物中における本発明の有効化合物に対するセチリジンの好ましい用量比は、約0.00005〜約20,000、好ましくは約0.25〜約2,000である。
【0037】
平均的成人において前記のいずれかの状態を処置するためのエアゾル組合わせ配合物は、計量された各量、すなわち”一吹き”のエアゾル剤が約0.01μg〜約100 mgの本発明の有効化合物、好ましくは約1μg〜約10 mgの本発明化合物を含有するように調整されることが好ましい。投与は1日数回、たとえば2、3、4または8回であってよく、たとえば各回に1、2または3用量を投与する。
【0038】
平均的成人において前記のいずれかの状態を処置するためのエアゾル配合物は、計量された各量、すなわち”一吹き”のエアゾル剤が約0.01〜約2000 mgのヒスタミンH1アンタゴニスト、好ましくはセチリジン、好ましくは約1〜約200 mgのセチリジンを含有するように調整されることが好ましい。投与は1日数回、たとえば2、3、4または8回であってよく、たとえば各回に1、2または3用量を投与する。
【0039】
前記に示したように、ヒスタミンH1アンタゴニスト、好ましくはセチリジンを、式IまたはIIの化合物と組み合わせたものは、抗アレルギー薬としての療法用途に容易に適合する。一般にヒスタミンH1アンタゴニスト、好ましくはセチリジン、および式IまたはIIの化合物を含有するこれらの抗アレルギー組成物は、普通は約0.01〜約100 mg/体重kg/日のヒスタミンH1アンタゴニスト、好ましくはセチリジン、好ましくは約0.1〜約10 mg/体重kg/日のセチリジン;約0.001〜約100 mg/体重kg/日の式IまたはIIの化合物、好ましくは約0.01〜約10 mg/体重kg/日の式IまたはIIの化合物の用量で投与されるが、処置される対象の状態および選択する個々の投与経路に応じて必然的に変更が行われるであろう。
【0040】
前記のいずれかの状態を伴う対象の処置のために、本発明の有効化合物と、5-HT再取込み阻害薬、好ましくはセルトラリンを併用することに関して、これらの化合物を単独で、または医薬的に許容できるキャリヤーと組み合わせて、前記のいずれかの経路により投与できること、またその投与は1回投与および多数回投与のいずれでも実施できることを留意すべきである。より具体的には、有効成分の組合わせを多様な剤形で投与できる。すなわち、それらを医薬的に許容できる種々の不活性キャリヤーと組み合わせて、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ、トローチ剤、ハードキャンデー、散剤、スプレー剤、水性懸濁液剤、注射用液剤、エリキシル剤、シロップ剤などの形にすることができる。そのようなキャリヤーには、固体希釈剤または充填剤、無菌水性媒質および種々の無毒性有機溶剤などが含まれる。さらに、そのような経口医薬配合物に適切な甘味および/または風味を、その目的に慣用されるタイプの種々の物質により施すことができる。一般に、式IおよびIIの化合物はそれらの剤形中に全組成物の約0.5〜約95重量%の濃度レベルで、すなわち目的とする単位量を供給するのに十分な量で存在し、5-HT再取込み阻害薬、好ましくはセルトラリンは、それらの剤形中に全組成物の約0.5〜約95重量%の濃度レベルで、すなわち目的とする単位量を供給するのに十分な量で存在する。
【0041】
前記のいずれかの状態を処置するために平均的成人に経口、非経口、直腸または舌下投与するのに提唱される組合わせ配合物(本発明の有効化合物および5-HT再取込み阻害薬を含有する配合物)中における本発明の有効化合物の1日量は、単位量当たり約0.01〜約2000 mg、好ましくは約0.1〜約200 mgの式IまたはIIの有効成分であり、これをたとえば1日1〜4回投与できる。
【0042】
前記のいずれかの状態を処置するために平均的成人に経口、非経口、直腸または舌下投与するのに提唱される組合わせ配合物中における5-HT再取込み阻害薬、好ましくはセルトラリンの1日量は、単位量当たり約0.1〜約2000 mg、好ましくは約1〜約200 mgの5-HT再取込み阻害薬であり、これをたとえば1日1〜4回投与できる。
【0043】
前記のいずれかの状態を処置するために平均的成人に経口、非経口、直腸または舌下投与する組合わせ配合物中における本発明の有効化合物に対するセルトラリンの好ましい用量比は、約0.00005〜約20,000、好ましくは約0.25〜約2,000である。
【0044】
平均的成人において前記のいずれかの状態を処置するためのエアゾル組合わせ配合物は、計量された各量、すなわち”一吹き”のエアゾル剤が約0.01μg〜約100 mgの本発明の有効化合物、好ましくは約1μg〜約10 mgの本発明化合物を含有するように調整されることが好ましい。投与は1日数回、たとえば2、3、4または8回であってよく、たとえば各回に1、2または3用量を投与する。
【0045】
平均的成人において前記のいずれかの状態を処置するためのエアゾル配合物は、計量された各量、すなわち”一吹き”のエアゾル剤が約0.01〜約2000 mgの5-HT再取込み阻害薬、好ましくはセルトラリン、好ましくは約1〜約200 mgのセルトラリンを含有するように調整されることが好ましい。投与は1日数回、たとえば2、3、4または8回であってよく、たとえば各回に1、2または3用量を投与する。
【0046】
前記に示したように、5-HT再取込み阻害薬、好ましくはセルトラリンを、式IまたはIIの化合物と組み合わせたものは、抗うつ薬としての療法用途に容易に適合する。一般に5-HT再取込み阻害薬、好ましくはセルトラリン、および式IまたはIIの化合物を含有するこれらの抗うつ組成物は、普通は約0.01〜約100 mg/体重kg/日の5-HT再取込み阻害薬、好ましくはセルトラリン、好ましくは約0.1〜約10 mg/体重kg/日のセルトラリン;約0.001〜約100 mg/体重kg/日の式IまたはIIの化合物、好ましくは約0.01〜約10 mg/体重kg/日の式IまたはIIの化合物の用量で投与されるが、処置される対象の状態および選択する個々の投与経路に応じて必然的に変更が行われるであろう。
【0047】
不安障害には、たとえば全般的不安障害、パニック障害、PTSD、および社会不安障害が含まれる。気分調節障害には、たとえば抑うつ性気分、混合型不安-抑うつ性気分、伝導障害、および混合型伝導障害-抑うつ性気分が含まれる。注意調節障害には、ADHDのほかに、注意欠陥障害、または全般的医学状態による他の認知障害が含まれる。精神障害には、たとえば分裂情動型障害および統合失調症が含まれ;睡眠障害には、たとえばナルコレプシーおよび遺尿症が含まれる。
【0048】
同様に本発明の化合物、組成物および方法により処置できる障害または状態の例は、下記のものである:うつ病:たとえば下記を含む:癌患者のうつ病、パーキンソン病患者のうつ病、心筋梗塞後うつ病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)患者のうつ病、サブシンドローム症候性(Subsyndromal Symptomatic)うつ病、不妊女性のうつ病、小児うつ病、大うつ病、単発性うつ病、再発性うつ病、児童虐待誘発うつ病、分娩後うつ病、DSM-IV大うつ病、難治性大うつ病、重症うつ病、精神病性うつ病、発作後うつ病、神経障害性疼痛、躁うつ病(混合エピソードを伴う躁うつ病、およびうつエピソードを伴う躁うつ病を含む)、季節罹患性障害、双極性うつ病BP I、双極性うつ病BP II、または気分変調を伴う大うつ病;気分変調;恐怖症、たとえば広所恐怖症、社会恐怖症または単純恐怖症を含む;摂食障害、たとえば神経性食欲不振症または神経性食欲異常亢進症を含む;化学物質依存症、たとえばアルコール、コカイン、アンフェタミンその他の覚醒剤、モルヒネ、ヘロインその他のオピオイドアゴニスト、フェノバルビタールその他のバルビツレート、ニコチン、ジアゼパム、ベンゾジアゼピンその他の精神興奮薬に対する嗜癖;パーキンソン病、たとえばパーキンソン病における認知症、神経弛緩薬誘発パーキンソン病または遅発性ジスキネジーを含む;頭痛、たとえば血管障害関連頭痛を含む;離脱症候群;加齢性の学習障害および精神障害;感情鈍麻;双極性障害;慢性疲労症候群;慢性または急性ストレス;伝導障害;循環病;身体表現性障害、たとえば身体化障害、変換性障害、疼痛性障害、心気症(ヒポコンドリー)、身体醜形障害、鑑別不能型障害、および身体表現性NOS;吸入障害;中毒障害;躁病;反抗挑戦性障害;末梢神経障害;心的外傷後ストレス障害;黄体後期不快障害;特異的発達障害;SSRI”poop out(投げ出し)”症候群、すなわち患者がSSRI療法に対して初期の満足すべき応答の後、満足すべき応答を維持できない状態;ならびにトゥーレット症状群を含めたチック障害。
【0049】
一例として、治療または予防が必要な哺乳類はヒトであってよい。他の例として、治療または予防が必要な哺乳類はヒト以外の哺乳類であってよい。
塩基性である式IまたはIIの化合物は、種々の無機酸および有機酸と多様な塩類を形成することができる。酸付加塩は、塩基化合物を実質的に当量の選択した鉱酸または有機酸により、水性溶媒中、または適切な有機溶媒、たとえばメタノールもしくはエタノール中で処理することによって、容易に製造できる。溶媒を慎重に蒸発させると、目的とする固体塩類が得られる。
【0050】
本発明の医薬組成物の配合に使用する塩基性有効化合物の医薬的に許容できる酸塩を製造するために用いる酸は、無毒性の酸付加塩、すなわち医薬的に許容できるアニオンを含有する塩類を形成するものである。これらの塩類の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:酢酸塩、安息香酸塩、ベータ-ヒドロキシ酪酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、ブロミド、ブチン-1,4-ジ酸塩、カプロン酸塩、クロリド、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキシン-1,6-ジ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、ヨージド、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、シュウ酸塩、フェニル酪酸塩、フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、プロパンスルホン酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸塩、ピロリン酸塩、ピロ硫酸塩、セバシン酸塩、スベリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、キシレンスルホン酸塩、酸性リン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸水素塩、コハク酸塩、グルコン酸塩、サッカリン酸塩、硝酸塩、メタンスルホン酸塩、およびパモ酸塩[すなわち1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩)]。
【0051】
本発明の好ましい態様には、下記の式IおよびIIの化合物が含まれる:
(A) R1はメチルであり、R2はメチルであり、かつR3はフェニルである;または
(B) R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒に5員ピロリジン環を形成し、かつR3はフェニルである;または
(C) R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒に5員ピロリジン環を形成し、かつ位置aおよびbの炭素にある基はトランスである;または
(D) R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒に6員ピペリジン環を形成し、R3はフェニルであり、かつ位置aおよびbにある基はトランスである;
(E) R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒に6員ピペリジン環を形成し、R3はフェニルであり、かつ位置aおよびbにある基はシスである。
【0052】
本発明の最も好ましい態様には、R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒に6員ピペリジン環を形成し、R3はフェニルであり、かつ位置aおよびbにある基はトランスである化合物が含まれる。
【0053】
本発明の好ましい態様には、上記の態様(A)〜(E)のいずれかの組合わせも含まれる。
本発明の好ましい式IまたはIIの化合物は、下記のものである:
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-[3-(2,5-ジメチルピロリジン-1-イル)-プロポキシメチル]-2-(4-メタンスルホニルベンジル)オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-プロポキシメチル]-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニル ベンジル)-7-[3-(4-フェニルピペラジン-1-イル)-プロポキシメチル]-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
{3-[2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-7-イルメトキシ]-プロピル}-ジメチルアミン;
7-(3-アゼチジン-1-イル-プロポキシメチル)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-チオモルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-[3-(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-プロポキシメチル]-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-[3-(3,4-ジヒドロ-2H-キノリン-1-イル)-プロポキシメチルJ-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-[3-(2,6-ジメチル-ピペリジン-1-イル)-プロポキシメチル]-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(2-ピペリジン-1-イルエトキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(2-モルホリン-4-イルエトキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(4-メタンスルホニルフェニル)-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-メタノン;
2-(4-メタンスルホニルベンゼンスルホニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-(3-ピペリジン-1-イル)プロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボン酸(4-メタンスルホニルフェニル)-アミド;
フェニル-[8-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-メタノン;
2-ベンゼンスルホニル-8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-2-(ピリジン-4-スルホニル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(2-メチルピリミジン-5-イル)-[8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-メタノン;
1-(4-{1-[8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-エチル}-フェニル)-エタノン;
シクロプロピル-(4-{7-[1-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシ)-エチル]-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル)-フェニル)-メタノン;
7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-キノリン-8-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
5-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-インダン-1-オン;および
7-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-クロマン-4-オン。
【0054】
本発明の最も好ましい化合物の例には、下記のものが含まれる:
(7R, 9aS)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-メチル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(3-フェニルプロピル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-フェネチル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-ベンジル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-1-{4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド-[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン;
(7R, 9aS)-2-(4-メトキシベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(3-メトキシベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(4-フルオロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-N-{4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド-[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル)-アセテアミド;
(7R, 9aS)-2-(4-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(3-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(3-フルオロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1 ,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシ-メチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7S, 9aS)-1-(4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド-[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン;
(7S, 9aS)-2-(4-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-3-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-4-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-2-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7S, 9aS)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7S, 9aS)-1-(4-7-(3-ピペリジン-1-イル-プロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-フェニル}-エタノン
(7S, 9aS)-2-(ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)-7-(3-ピペリジン-1-イル-プロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリミジン-5-イル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-クロロフェニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニル-フェニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(8R, 9aS)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-8-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;および
(8R, 9aS)-1-{4-[8-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド-[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン。
【0055】
発明の詳細な記述
式Iの本発明化合物は、反応経路1に示す一般法により製造できる。トランス(7R, 9aS)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン類似体の合成の詳細を以下の記載に示が、他のトランスおよびシスジアステレオマーならびに対応する一般式IIの異性体も、本明細書および化学文献中にみられる方法および操作を用いて同様に製造できる。
【0056】
反応経路1
【0057】
【化3】

【0058】
反応経路1において、式Iの化合物を下記により製造する。Sanner, et al (Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 8: 725-730 (1998))の記載により製造した一般式IIIの中間体を、一般式(VII)の化合物:
L1-(P)m-NR1R2 (VII)
(式中、m、P、R1およびR2は前記に定めたものであり、L1は反応性脱離基、たとえば塩素、臭素、ヒドロキシル、メシラート、トシラートなどとして定められる)と反応させると、一般式IVの中間体が生成する。反応にアルコール類(すなわちL1=OH)を用いる場合、ミツノブ(Mitsunobu)反応に伴う条件を用いて効果的に中間体IVを製造できる。反応にハロゲン(たとえばCl、Br、I)、または反応性エステル、たとえばメシラート(すなわちメタンスルホナート)もしくはトシラート(すなわちパラ-トルエンスルホナート)誘導体を用いる場合、エーテル形成に伴う条件(たとえば酸補そく剤、たとえば炭酸ナトリウムまたはカリウム、水酸化ナトリウムまたはカリウム、ナトリウムまたはカリウムt-ブトキシド、水素化ナトリウムまたはカリウム、n-ブチルリチウムなど、好ましくはカリウムt-ブトキシド;反応不活性溶媒、たとえばジエチルエーテル、THF、DMF、DMA、好ましくはTHF中で)を用いて効果的にこの中間体を製造できる。この反応は、約-78〜約150℃、好ましくは約20〜約60℃の温度範囲において、約1〜約3気圧の圧力、好ましくは大気圧で、好ましくは不活性窒素またはアルゴン雰囲気下に実施できる。
【0059】
あるいは、式IIIの中間体を、式VIIIの試薬:
L1-(P)m-L2 (VIII)
(式中、P、mおよびL1は前記に定めたものであり、L2は塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、メシラート、トシラートなどを含むリストから選択される第2脱離基である)と反応させてもよい。これら2つの化合物を反応させるための条件は、こうして得た中間生成物(すなわちIX):
【0060】
【化4】

【0061】
がさらに第一級または第二級アミン(たとえば、それぞれH2NR1またはHNR1R2)と反応して一般式IVの中間体を生成しうるように選択される。
中間体IVの形成に際して保護基として作用するt-ブトキシカルボニル基を、次いで酸性条件下で除去すると、一般式Vの中間体アミンが生成する。この基を除去するためのそのような反応条件は、Protective Groups in Organic Synthesis (T. W. Greene and P. G. M. Wuts, John Wiley and Sons, Inc., ニューヨーク, 1991, 第2版, pp. 327-330)に記載されている。これらには、下記を含めた酸性反応条件の使用が含まれる:3M HCl、酢酸エチルまたはジオキサン中、室温;トリフルオロ酢酸(TFA)、溶媒の使用または不使用、室温;ヨウ化トリメチルシリル(TMSI)または塩化トリメチルシリル(TMSCl)、CHCl3またはCH3CN中、室温;および10% H2S04水溶液、ジオキサン中。式IIIおよびIVの中間体中に存在するt-ブトキシカルボニル基がこの方法に効果的に使用できる唯一の保護基ではないことも認識すべきである。式IIIおよびIVの中間体に結合した基の性質および安定性に応じて同様に適切かつ好ましい他の保護基(たとえば前記のGreene and Wutsに記載のもの)があるからである。
【0062】
中間体IVから保護基を除去した後、次いで式Vの中間体を式Iの新規化合物に変換できる。この変換は、有機合成の当業者に慣用される、または化学および特許文献に開示された方法またはそれから応用される方法によって容易に製造される、多様な試薬および方法を用いて実施できる。たとえば、式Vの中間体を一般式Xのアルキル化剤:
L3-(Q)n-(T)k-R3 (X)
(式中、Q、T、n、kおよびR3は前記に定めたものであり、L3は塩素、臭素、ヨウ素、メシラート、トシラートなどである)と反応させてもよい。これらを、式IIIの中間体から式IVの中間体への変換について前記に述べたものと同様な条件下で反応させることができる。
【0063】
あるいは、中間体Vを還元アミノ化条件下で一般式XIのアルデヒドまたはケトン:
Ra-C(=O)-(Q)n-1-Tk-R3 (XI)
(式中、k、n、Q、T、R3およびRaは前記に定めたものである)と反応させることができる。この方法は、単一の協奏法で実施できる(たとえばA. F. Abdel-Magid, C. A. Maryanoff and K. G. Carson, Tetrahedron Letters, 1990, 39: 5595-5598を参照)。この変換においては、式XIのカルボニル化合物と式Vの中間体アミンを反応不活性溶媒中で結合させ、ナトリウムシアノボロハイドライドまたはナトリウムトリアセトキシボロハイドライドなどの試薬で処理する。適切な溶媒には、特にテトラヒドロフラン(THF)および1,2-ジクロロエタン(DCE)が含まれ、この反応は、有機酸(たとえば酢酸)を添加して、または添加せずに実施できる。式Vの化合物から式Iの化合物への変換は、2以上の個別の工程を用いて行うこともでき、これは最初のアミン中間体、たとえばXIIの形成、続いてC=N二重結合の還元による一般式Iの化合物の生成を伴う。
【0064】
【化5】

【0065】
たとえば、式Vの中間体と適切な式XIのアルデヒド(Ra=H)またはケトンを、脱水剤の存在下に、反応中性溶媒、たとえばベンゼン、トルエン、メタノールまたはエタノール中で、反応が完了したと判定されるまで(たとえば薄層クロマトグラフィー(tlc)、質量分析(MS)または核磁気共鳴分光法(NMR)などの方法を使用)一定時間撹拌して結合させることができる。そのような脱水剤には、たとえばp-トルエンスルホン酸、塩化チタン(IV)、チタン(IV)イソプロポキシドまたはモレキュラーシーブが含まれる。この反応は、約0℃から用いる溶媒のほぼ沸点まで、および約1〜約3気圧の圧力で実施できる。次いでこうして得た中間体イミンXIIを、当業者に慣用される多様な試薬によって多様な条件下で還元できる。これには、カーボン上パラジウム(Pd/C)またはカーボン上白金(Pt/C)などの触媒の存在下での水素ガスの使用、および水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウム(トリアセトキシ)ボロハイドライド、ナトリウムシアノボロハイドライドなどの使用が含まれる。還元剤としての水素の使用は、しばしば反応不活性溶媒、たとえばメタノール、エタノール、THF、1,4-ジオキサンおよびこれらに類する溶媒中において、約1〜約5気圧の水素圧、および一般にほぼ室温から用いる溶媒の沸点より低い温度までの温度で行われる。水素化物試薬を用いる場合、溶媒の選択はメタノール、エタノール、イソプロパノール、1,4-ジオキサン、THFなどから行われるが、これらに限定されない。この反応は、大気圧、および約-40℃から用いる溶媒のほぼ沸点までの温度、一般に0〜40℃、最も好ましくは室温で実施できる。
【0066】
式Iのカルボキサミドおよびスルホンアミド化合物(すなわち、それぞれTが-C(=O)-または-S(=O)2であり、nが0である化合物)を製造するためには、式Vの化合物と、それぞれ適切なR3-カルボニルクロリドまたはR3-スルホニルクロリドを、反応不活性溶媒(たとえばクロロホルム、ジクロロメタンなど)中で、酸捕そく剤、たとえば炭酸ナトリウムまたはカリウムの存在下に反応させることができる。
【0067】
対応する式Iの尿素化合物(すなわち、Tが-C(=O)-NH-である化合物)を製造するためには、式Vの化合物と、適切なイソシアナート(すなわち、R3-NCO)を、反応不活性溶媒(たとえばクロロホルム、ジクロロメタン、THFなど)中で反応させることができる。
【0068】
以下の実施例において、使用する略号は下記の一般的意味をもつものとする:
bm: 幅広い多重線(NMR)
bs: 幅広い一重線(NMR)
dd: 二重の二重線(NMR)
d.e.: ケイソウ土、濾材
DMF: ジメチルホルムアミド
LRMS: 低分解能質量分析
calcd; 計算値
d; 二重線(NMR)
EtOAc: 酢酸エチル
J: 結合定数(NMR)
LAH: 水素化アルミニウムリチウム
m: 多重線(NMR)
min: 分
m/z: 質量-対-電荷比(質量分析)
obsd: 実測値
Rf: 保持係数(クロマトグラフィー)
Rt: 保持時間(クロマトグラフィー)
rt: 室温
s: 一重線(NMR)、秒
t: 三重線
THF: テトラヒドロフラン
tlc: 薄層クロマトグラフィー
溶媒を購入し、精製せずに使用した。収率は、薄層クロマトグラフィーおよびNMRによって均質であると判定された物質について計算された。薄層クロマトグラフィーは、Merck Kieselgel 60 F 254プレート上で、指示した溶媒を用いて溶離し、254 nm UVランプで視覚化し、KMn04水溶液または12-モリブドリン酸エタノール溶液で染色して行われた。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、指示したサイズのプレパックBiotage(登録商標)またはISCO(登録商標)カラムを用いて行われた。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Unity 400または500により、1H NMRについてはそれぞれ400 MHzまたは500 MHz、13C NMRについてはそれぞれ100 MHzまたは125 MHzで得られた。プロトン1H NMRスペクトルの化学シフトを、7.24 ppmのCDCl3一重線に対するppmで報告する。13C NMRスペクトルの化学シフトを、77.0 ppmのCDCl3三重線の中心線に対して下方のppmで報告する。質量分析は、APCI Gilson 215, micromass ZMD(50%アセトニトリル/50%水)分光計により行われた。
【0069】
マイクロ波条件下での反応は、隔壁を備えた2〜5mLの丸底バイアルを用いて行われた。反応物を入れたバイアルを、Personal Chemistry Inc.(25 Birch St., Bldg C, Suite 304, Milford, MA 01757)からのEMRYS(商標)Creatorマイクロ波装置(最大電力300 W)の反応チャンバーに装入し、指定期間、適切な温度に加熱した。HPLCは下記の方法で実施された:
方法A:調製用条件(Waters 600およびWaters 2767 Sample Manager); カラム: Waters Symmetry C18、5μm、30×150 mm鋼製カラム、部品# WAT248000、シリーズ# M12921A01; 溶媒A - 0.1%トリフルオロ酢酸/水; 溶媒B - アセトニトリル; 注入容量: 850μL; 時点0.0、100%の溶媒A, 0%の溶媒B, 流速20; 時点2.0、100%の溶媒A, 0%の溶媒B, 流速20; 時点12.0、0%の溶媒A, 100%の溶媒B, 流速20; 時点15.0、0%の溶媒A, 100%の溶媒B, 流速20; 時点15.1、100%の溶媒A, 0%の溶媒B, 流速20; 時点20.0、100%の溶媒A, 0%の溶媒B, 流速20。
【0070】
質量分析(micromass ZO)条件; キャピラリー(kV): 3.0; コーン(V): 20; 抽出器(V): 3.0; RFレンズ(V): 0.5; 電源温度(℃): 120; 脱溶媒温度(℃): 360; 脱溶媒ガス流速(L/時): 450; コーンガス流速(L/時): 150; LM分解能: 15; HM分解能: 15; イオンエネルギー: 0.2; 増倍管: 550。
【0071】
スプリッター; Acurate、LC Packingsによる, 1/10,000; Upchurchニードル弁設定: 14; メイクアップポンプ(Waters 515)流速(ml/分): 1。PDA (Waters 996)設定; 開始/最終波長(nm): 200/600; 分解能: 1.2; 試料速度: 1; チャネル: TIC, 254 nmおよび220 nm。
【0072】
方法B:調製用条件(Waters 600およびWaters 2767 Sample Manager); カラム: Waters Xterra PrepMS C18カラム, 5μm, 30×150 mm鋼製カラム、部品# 186001120, シリーズ# T22881T 09; 溶媒A - 0.1%トリフルオロ酢酸/水; 溶媒B - アセトニトリル; 注入容量: 1050μL; 時点0.0、100%の溶媒A, 0%の溶媒B, 流速20; 時点2.0、100%の溶媒A, 0%の溶媒B, 流速20; 時点12.0、0%の溶媒A, 100%の溶媒B, 流速20; 時点14.0、0%の溶媒A, 100%の溶媒B, 流速20; 時点14.1、100%の溶媒A, 0%の溶媒B, 流速20; 時点19.1、100%の溶媒A, 0%の溶媒B, 流速20。
【0073】
質量分析(micromass ZO)条件; キャピラリー(kV): 3.0; コーン(V): 20; 抽出器(V): 3.0; RFレンズ(V): 0.5; 電源温度(℃): 120; 脱溶媒温度(℃): 360; 脱溶媒ガス流速(L/時): 450; コーンガス流速(L/時): 150; LM分解能: 15; HM分解能: 15; イオンエネルギー: 0.2; 増倍管: 550。
【0074】
スプリッター; Acurate、LC Packingsによる, 1/10,000; Upchurchニードル弁設定: 14; メイクアップポンプ(Waters 515)流速(ml/分): 1。PDA (Waters 996)設定; 開始/最終波長(nm): 200/600; 分解能: 1.2; 試料速度: 1; チャネル: TIC, 254 nmおよび220 nm。
【0075】
方法C:調製用条件(Waters 600およびWaters 2767 Sample Manager); カラム: Waters Symmetry C18、5μm、30×150 mm鋼製カラム、部品# WAT248000、シリーズ# M12921A01; 溶媒A - 0.1%トリフルオロ酢酸/水; 溶媒B - アセトニトリル; 注入容量: 850μL; 時点0.0、90%の溶媒A, 10%の溶媒B, 流速20; 時点10.0、0%の溶媒A, 100%の溶媒B, 流速20; 時点12.0、0%の溶媒A, 100%の溶媒B, 流速20。
【0076】
質量分析(micromass ZO)条件; キャピラリー(kV): 3.0; コーン(V): 20; 抽出器(V): 3.0; RFレンズ(V): 0.5; 電源温度(℃): 120; 脱溶媒温度(℃): 360; 脱溶媒ガス流速(L/時): 450; コーンガス流速(L/時): 150; LM分解能: 15; HM分解能: 15; イオンエネルギー: 0.2; 増倍管: 550。スプリッター; Acurate、LC Packingsによる, 1/10,000; Upchurchニードル弁設定: 14; メイクアップポンプ(Waters 515)流速(ml/分): 1。PDA (Waters 996)設定; 開始/最終波長(nm): 200/600; 分解能: 1.2; 試料速度: 1; チャネル: TIC, 254 nmおよび220 nm。
【0077】
下記の中間体を前記の方法により製造できる:
中間体1
【0078】
【化6】

【0079】
トランス-7-ヒドロキシメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボン酸t-ブチルエステル
この化合物をM. Sanner et al(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 8: 725-730 (1998))およびそこに引用された参考文献に記載の方法で製造した。
【0080】
中間体2
【0081】
【化7】

【0082】
トランス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボン酸t-ブチルエステル
トランス-7-ヒドロキシメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボン酸t-ブチルエステル(7.25 g, 26.85 mmol, 前記の中間体1)および75 mLのTHFの混合物を、30 mLの1.0 Mカリウムt-ブトキシド溶液(30 mmol, Aldrich Chemical Co.)で処理し、50℃に45分間加熱した。次いでこの溶液を、THF 25 mL中のN-(3-クロロプロピル)-ピペリジン(4.8 g, 28.8 mmol)で処理し、反応混合物を一夜、加熱還流した。この時点でtlcは生成物への変換を示した。溶媒を除去して、粘稠な黄金色シロップ9.0 gを得た;
質量スペクトル(m/z):C22H41N3O3について計算値: 395.48; 実測値: 396.3 (M+1)。
【0083】
中間体3
【0084】
【化8】

【0085】
トランス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
メタノール100mL中の前記の中間体2のエステル(9.0 g)を、ジオキサン中の4N HCl (Aldrich Chemical Co.)20mLで処理し、N2雰囲気下で一夜、穏やかに加熱還流した。室温にまで冷却した後、溶媒を真空中で除去して、金色シロップ5.63 gを得た;
質量スペクトル(m/z):C17H33N30について計算値: 295.37; 実測値: 296.3 (M+1, 100%)。
【0086】
同じ方法を用いてシス異性体シス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジンを製造できる。
【0087】
【化9】

【0088】
下記の化合物を下記の方法により製造できる:
実施例1−一般法A:
【0089】
【化10】

【0090】
トランス-(7R, 9aS)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
トランス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン(5.63 g, 19.1 mmol)の、酢酸75 mL中における溶液を、4-メチルスルホニルベンズアルデヒド(10.53 g, 57.2 mmol, Aldrich Chemical Co.)により室温で処理し、さらに1時間撹拌した。これにナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(16.2 g, 76.4 mmol)を少量ずつ45分間かけて添加した後、混合物を室温で一夜撹拌した。tlcは目的生成物への良好な変換を示した。溶媒を真空中で除去し、残留物を水で希釈し、飽和Na2CO3水溶液でpHを9〜10に調整し、塩化メチレンで数回抽出した。MgS04で乾燥させた後、溶媒を真空中で除去すると、粗製の表題生成物が得られた。これをシリカゲル上、CH2Cl2中の2% CH30H−CH2Cl2中の1%飽和NH40Hおよび7% CH30Hの勾配系によりフラッシュクロマトグラフィー処理した。精製画分を濃縮すると、淡黄色のシロップ状残留物になった。この遊離塩基を最少容量のEtOAcに溶解し、HCl(Et20中1.OM, Aldrich Chemical Co.)で処理して、塩酸塩を白色固体として得た;
質量スペクトル(m/z):C25H41N3O3Sについて計算値: 463.38; 実測値: 464.3 (M+1, 100%)。
【0091】
【化11】

【0092】
実施例1について記載した一般法Aを用いて(それらのトリフルオロ酢酸塩への変換を除く)、下記の化合物をも製造した:
実施例2
【0093】
【化12】

【0094】
トランス-2-ベンジル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C24H39N3Oについて計算値: 385.59; 実測値: 386.3 (M+1)。
【0095】
【化13】

【0096】
実施例3
【0097】
【化14】

【0098】
トランス-2-フェネチル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C25H41N3Oについて計算値: 399.62; 実測値: 400.3 (M+1)。
【0099】
【化15】

【0100】
実施例4
【0101】
【化16】

【0102】
トランス-2-(3-フェニルプロピル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C26H43N3Oについて計算値: 413.65; 実測値: 414.3 (M+1)。
【0103】
【化17】

【0104】
実施例5
【0105】
【化18】

【0106】
トランス-1-{4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン
質量スペクトル(m/z):C26H41N3O2について計算値: 427.63; 実測値: 428.3 (M+1)。
【0107】
【化19】

【0108】
実施例6
【0109】
【化20】

【0110】
トランス-2-(4-メトキシベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C25H41N3O2について計算値: 415.62; 実測値: 416.3 (M+1)。
【0111】
【化21】

【0112】
実施例7
【0113】
【化22】

【0114】
トランス-2-(3-メトキシベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C25H41N3O2について計算値: 415.62; 実測値: 416.3 (M+1)。
【0115】
実施例8
【0116】
【化23】

【0117】
トランス-2-(4-フルオロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C24H38FN3Oについて計算値: 403.58; 実測値: 404.3 (M+1)。
【0118】
【化24】

【0119】
実施例9
【0120】
【化25】

【0121】
トランス-2-(3-フルオロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C24H38FN3Oについて計算値: 403.58; 実測値: 404.3 (M+1)。
【0122】
【化26】

【0123】
実施例10
【0124】
【化27】

【0125】
トランス-2-(4-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C24H38ClN3Oについて計算値: 420.04; 実測値: 420.3 (M+1), 422。
【0126】
【化28】

【0127】
実施例11
【0128】
【化29】

【0129】
トランス-2-(3-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C24H38ClN3Oについて計算値: 420.04; 実測値: 420.3 (M+1), 422。
【0130】
【化30】

【0131】
実施例12
【0132】
【化31】

【0133】
トランス-N-{4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-アセトアミド
質量スペクトル(m/z):C26H42N4O2について計算値: 442.64; 実測値: 443.3 (M+1)。
【0134】
【化32】

【0135】
実施例13
【0136】
【化33】

【0137】
トランス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-4-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C23H38N4Oについて計算値: 386.58; 実測値: 387.3 (M+1)。
【0138】
【化34】

【0139】
実施例14
【0140】
【化35】

【0141】
トランス-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-3-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C23H38N4Oについて計算値: 386.58; 実測値: 387.3 (M+1)。
【0142】
【化36】

【0143】
実施例15
【0144】
【化37】

【0145】
トランス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-2-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C23H38N4Oについて計算値: 386.58; 実測値: 387.3 (M+1)。
【0146】
【化38】

【0147】
実施例16
【0148】
【化39】

【0149】
トランス-2-メチル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C18H35N3Oについて計算値: 309.50; 実測値: 310.2 (M+1)。
【0150】
【化40】

【0151】
実施例17
【0152】
【化41】

【0153】
シス-1-{4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン
質量スペクトル(m/z):C26H41N3O2について計算値: 427.63; 実測値: 428.4 (M+1), 296。
【0154】
【化42】

【0155】
実施例18
【0156】
【化43】

【0157】
シス-2-(4-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C24H38ClN3Oについて計算値: 420.04; 実測値: 420.3 (M+1), 422。
【0158】
【化44】

【0159】
実施例19
【0160】
【化45】

【0161】
シス-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-8-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C25H41N3O3Sについて計算値: 463.68; 実測値: 464.3 (M+1)。
【0162】
【化46】

【0163】
実施例20
【0164】
【化47】

【0165】
シス-1-{4-[8-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン
質量スペクトル(m/z):C26H41N3O2について計算値: 427.63; 実測値: 428.4 (M+1)。
【0166】
【化48】

【0167】
実施例21−一般法B
【0168】
【化49】

【0169】
シス-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
N2下で、粉末状KOH (31 mg, 0.55 mmol)および臭化テトラブチルアンモニウム(32 mg, 0.1 mmol)の、THF 3 mL中における混合物を、シス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン(148 mg, 0.3 mmol, 中間体3に記載したトランス異性体と同様な方法で製造)の、THF 3 mL中における溶液で処理した。10分後、4-(メチルスルホニル)ベンジルクロリド(103 mg, 0.5 mmol)を添加し、室温でさらに6時間撹拌した。この時点でtlcは生成物への良好な変換を示した。混合物を濃縮乾固し、残留物をCH2Cl2に再溶解し、飽和NaHC03水溶液、飽和NaClで洗浄し、Na2S04で乾燥させた。溶媒を真空中で除去すると、粘稠な黄色の油になった。CH2Cl2中の5% Me0H−CH2Cl2中の0.5% NH40Hおよび5% Me0Hの勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、透明な粘稠な油67 mgが得られた。これを前記に従ってEt20中の1.OM HClにより塩酸塩に変換して、生成物を白色固体64 mgとして得た;
質量スペクトル(m/z):C25H41N3O3Sについて計算値: 463.38; 実測値: 464.3 (M+1, 100%), 296。
【0170】
【化50】

【0171】
実施例22−一般法C
【0172】
【化51】

【0173】
トランス-1-{4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-フェニル}-エタノン
N2下で、4-ブロモアセトフェノン(0.398 g, 2.0 mmol, Aldrich Chemical Co.)の、トルエン20 mL中における混合物を、トランス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン(0.885 g, 3.0 mmol)、酢酸パラジウム(45 mg, 0.2 mmol)、ナトリウムt-ブトキシド(0.270 g, 2.7 mmol)およびラセミBINAP (0.120 g, 0.2 mmol)で処理した。反応混合物を4時間還流した後、溶媒を真空中で除去し、残留物をEtOAcに再溶解した。次いでこの溶液を水、飽和NaCl溶液で洗浄し、次いでNa2S04で乾燥させた。溶媒を除去すると、粘稠な黄褐色のシロップが残った。これをシリカゲル上、5%メタノール性CH2Cl2−10%メタノール性CH2Cl2の勾配で溶離してフラッシュクロマトグラフィー処理した。精製画分を真空濃縮すると、灰白色固体64 mgが得られた。これを常法により二塩酸塩に変換して、灰白色固体63 mgを得た;
質量スペクトル(m/z):C25H39N3O2について計算値: 413.60; 実測値: 414.2 (M+1, 100%), 296。
【0174】
【化52】

【0175】
実施例23
【0176】
【化53】

【0177】
トランス-2-ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
トランス-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン(0.295 g, 1.0 mmol)、3-クロロ-ベンゾ[d]イソオキサゾール(0.185 g, 1.2 mmol)および1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU) (0.375 mL, 2.5 mmol)の、乾燥トルエン5 mL中における混合物を、100℃に40時間加熱し、次いで真空中で蒸発乾固すると、粘稠な黄褐色シロップが得られた。この残留物をシリカ上、100% CH2Cl2−CH2Cl2中の4% CH30Hの勾配によりクロマトグラフィー処理した。生成物画分を蒸発させると、灰白色固体61 mgが得られた。この遊離塩基を前記に従って二塩酸塩に変換して、59 mgの灰白色固体を得た;
質量スペクトル(m/z):C24H36N4O2について計算値: 412.57; 実測値: 413.2 (M+1, 100%), 207。
【0178】
【化54】

【0179】
実施例24〜26の化合物も上記実施例23の化合物と同様な方法で製造された:
実施例24
【0180】
【化55】

【0181】
7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリミジン-5-イル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C21H35N5Oについて計算値: 373.54; 実測値: 374.2 (M+1,100%)。
【0182】
【化56】

【0183】
実施例25
【0184】
【化57】

【0185】
2-(4-クロロフェニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C23H36ClN3Oについて計算値: 406.01; 実測値: 406.2 (M+1,100%)。
【0186】
【化58】

【0187】
実施例26
【0188】
【化59】

【0189】
2-(4-メタンスルホニル-フェニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン
質量スペクトル(m/z):C24H39N3O3Sについて計算値: 449.66; 実測値: 450.2 (M+1, 100%), 207。
【0190】
【化60】

【0191】
生物学的活性の測定
ラットまたはヒトのヒスタミンH3受容体における本発明化合物のインビトロ親和性は、下記の方法で測定できる。凍結ラット前脳または凍結ヒト死後前脳を、2 mMのMgC12を含有する低温50 mM Tris HCl(pH 7.4, 4℃) 20容量中でホモジナイズする。次いでホモジェネートを45,000 Gで10分間、遠心分離する。上清をデカントし、膜ペレットをPolytronで2 mMのMgC12を含有する低温50 mM Tris HCl(pH 7.4, 4℃)に再懸濁し、再び遠心分離する。この最終ペレットを、2 mMのMgC12を含有する低温50 mM Tris HCl(pH 7.4, 25℃)に、12 mg/mLの濃度で再懸濁する。化合物を10% DMSO/ 50 mM Tris緩衝液(pH 7.4)中に希釈する(最終濃度の10倍、したがって最終DMSO濃度は1 %)。25μLの薬物希釈液および25μLの放射性リガンド(最終濃度1 nMの3H-N-メチルヒスタミン)を入れた96ウェルV-底ポリプロピレンプレートに膜(200μL)を添加することにより、インキュベーションを開始する。1時間のインキュベーション後、アッセイ試料をWhatman GF/Bフィルターで速やかに濾過し、Skatron細胞ハーベスターを用いて氷冷50 mM Tris緩衝液(pH 7.4)ですすぐ。生物学的活性をBetaPlateシンチレーション計数器で定量する。次いで、各用量の本発明化合物について特異的結合の阻害率%を判定し、これらの結果からIC50またはKi値を計算することができる。
【0192】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IまたはIIの化合物
【化1】

またはその医薬的に許容できる塩類
[式中:
Pは、独立してメチレン(炭素原子上の可能な位置において水素、フッ素、OH、カルボニル、C1-C8アルキレンで置換されていてもよい);または3〜8員シクロアルキル環(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)であり;
mは、2、3または4であり;
Qは、独立してC1-C6アルキレンから選択され、可能な位置においてRaで置換されていてもよく、ここでRaは水素、C1-C6アルキルまたはC6-C14アリールから選択され;
Tは、メチレン、C=O、-C(=O)-N、S02よりなる群から選択され;
nは、0、1、2または3であり;
kは、0、1であり;
R1およびR2は、独立して下記よりなる群から選択され:
水素;
C1-C8アルキル:これは1〜4個のハロゲン(特にフッ素)またはOHで置換されていてもよい;
C3-C7シクロアルキル;
C6-C14アリール;
3〜8員ヘテロシクロアルキル:これはC1-C4アルキル-カルボニル基で置換されていてもよい;
C6-C10アリールスルホニル:これはC1-C2アルキルで置換されていてもよい;および
5〜10員ヘテロアリール;
あるいは
NR1は、P中の可能な炭素原子と一緒に4〜8員環式環を形成し、この環はさらにN、0またはSから選択される最高2個のヘテロ原子を含むことができ;
R3は、下記よりなる群から選択され:
水素;
フェニル、ナフチルまたはヘテロアリール:これらはそれぞれ1個以上のXで置換されていてもよい;ここで
Xは、H、F、Cl、Br、I、CN、OH、OR7、S(O)tR8、COR9、CONR10R11である;
あるいは
R1およびR2は、NR1R2基の窒素と一緒に4〜8員環を形成し、その際、環中の1〜3個の炭素は0、S、NR4またはCOにより交換されていてもよく、環はC6-C10アリーレンに縮合していてもよく、環炭素において1または2個のC1-C4アルキル基で置換されていてもよく;
R4は、下記のものであり;
水素;
C1-C8アルキル:これは1〜4個のハロゲンで置換されていてもよい;
5〜10員ヘテロアリール:これはハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C2アルコキシ、C6-C10アリール、C1-C4アルキルアミノカルボニル、およびシアノよりなる群から選択される置換基で置換されていてもよい;
C6-C10アリール:これは1もしくは2個のC1-C2アルキルで置換されていてもよい;または
C1-C4アルキル-カルボニル;
R5およびR6は、独立して下記よりなる群から選択され:
水素;
フッ素;
C1-C6アルキル(Fで置換されていてもよい);
あるいは
R5およびR6は、それらが結合している炭素原子と一緒に3〜7原子のシクロアルキル環を形成し;
R7、R8およびR9は、独立して下記よりなる群から選択され:
C1-C8アルキル:これは1〜4個のハロゲンで置換されていてもよい;
5〜10員ヘテロアリール:これはハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C2アルコキシ、C6-C10アリール、C1-C4アルキルアミノカルボニル、およびシアノよりなる群から選択される置換基で置換されていてもよい;
C6-C10アリール:これは1または2個のC1-C2アルキルで置換されていてもよい;
R10およびR11は、独立して前記にR1およびR2として定めた基から選択され;
tは、0、1または2である]。
【請求項2】
R1はメチルであり、R2はメチルであり、かつR3はフェニルである、請求項1の化合物。
【請求項3】
R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒に5員ピロリジン環を形成し、かつR3はフェニルである、請求項1の化合物。
【請求項4】
R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒に5員ピロリジン環を形成し、かつ位置aおよびbの炭素にある基はトランスである、請求項1の化合物。
【請求項5】
R1およびR2はそれらが結合している窒素と一緒に6員ピペリジン環を形成し、R3はフェニルであり、かつ位置aおよびbにある基はトランスである、請求項1の化合物。
【請求項6】
次式
【化2】

の化合物。
【請求項7】
次式
【化3】

のトランス化合物。
【請求項8】
次式
【化4】

のシス化合物。
【請求項9】
下記のものである式IまたはIIの化合物:
(7R, 9aS)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-メチル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(3-フェニルプロピル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-フェネチル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-ベンジル-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-1-{4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド-[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン;
(7R, 9aS)-2-(4-メトキシベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(3-メトキシベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(4-フルオロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-N-{4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド-[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-アセトアミド;
(7R, 9aS)-2-(4-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(3-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(3-フルオロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシ-メチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7S, 9aS)-1-(4-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド-[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン;
(7S, 9aS)-2-(4-クロロベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-3-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-4-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7R, 9aS)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリジン-2-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(7S, 9aS)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(8R, 9aS)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-8-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(8R, 9aS)-1-{4-[8-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド-[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-フェニル}-エタノン;
(7S, 9aS)-1-(4-7-(3-ピペリジン-1-イル-プロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-フェニル}-エタノン
(7S, 9aS)-2-(ベンゾ[d]イソオキサゾール-3-イル)-7-(3-ピペリジン-1-イル-プロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-ピリミジン-5-イル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-クロロフェニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;および
2-(4-メタンスルホニル-フェニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン。
【請求項10】
下記よりなる群から選択される式IまたはIIの化合物:
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-[3-(2,5-ジメチルピロリジン-1-イル)-プロポキシメチル]-2-(4-メタンスルホニルベンジル)オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)-プロポキシメチル]-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-[3-(4-フェニルピペラジン-1-イル)-プロポキシメチル]-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
{3-[2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-7-イルメトキシ]-プロピル}-ジメチルアミン;
7-(3-アゼチジン-1-イル-プロポキシメチル)-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(3-チオモルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-[3-(3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル)-プロポキシメチル]-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-[3-(3,4-ジヒドロ-2H-キノリン-1-イル)-プロポキシメチルJ-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-[3-(2,6-ジメチル-ピペリジン-1-イル)-プロポキシメチル]-2-(4-メタンスルホニルベンジル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(2-ピペリジン-1-イルエトキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
2-(4-メタンスルホニルベンジル)-7-(2-モルホリン-4-イルエトキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(4-メタンスルホニルフェニル)-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-メタノン;
2-(4-メタンスルホニルベンゼンスルホニル)-7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
7-(3-ピペリジン-1-イル)プロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-カルボン酸(4-メタンスルホニルフェニル)-アミド;
フェニル-[8-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-メタノン;
2-ベンゼンスルホニル-8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-2-(ピリジン-4-スルホニル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
(2-メチルピリミジン-5-イル)-[8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-メタノン;
1-(4-{1-[8-(3-モルホリン-4-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イル]-エチル}-フェニル)-エタノン;
シクロプロピル-(4-{7-[1-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシ)-エチル]-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル)-フェニル)-メタノン;
7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-2-キノリン-8-イルメチル-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン;
5-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-インダン-1-オン;および
7-[7-(3-ピペリジン-1-イルプロポキシメチル)-オクタヒドロ-ピリド[1,2-a]ピラジン-2-イルメチル]-クロマン-4-オン。
【請求項11】
ヒスタミン-3受容体に拮抗することにより処置できる障害または状態を処置するための医薬組成物であって、請求項1に記載の式IまたはIIの化合物、および場合により医薬的に許容できるキャリヤーを含む医薬組成物。
【請求項12】
ヒスタミン-3受容体に拮抗することにより処置できる障害または状態を処置する方法であって、その処置が必要な哺乳類に請求項1に記載の式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の式IまたはIIの化合物、および場合により医薬的に許容できるキャリヤーを含む医薬組成物。
【請求項14】
うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、アルツハイマー病、活動亢進を伴う注意欠陥障害(ADHD)、精神障害、睡眠障害、肥満症、めまい、てんかん、乗物酔い、呼吸器疾患、アレルギー、アレルギー誘発気道反応、アレルギー性鼻炎、鼻充血、アレルギー性充血、充血、低血圧症、心血管疾患、消化管疾患、消化管の運動および酸分泌の過多および減弱よりなる群から選択される障害または状態を処置する方法であって、その処置が必要な哺乳類に請求項1に記載の式IまたはIIの化合物を投与することを含む方法。
【請求項15】
障害または状態が、不安障害、活動亢進を伴う注意欠陥障害、呼吸器疾患および肥満症よりなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
障害または状態が、成人呼吸窮迫症候群、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、喘息、気腫、鼻炎および慢性副鼻腔炎よりなる群から選択される呼吸器疾患である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
アレルギー性鼻炎、鼻充血またはアレルギー性充血を処置するための医薬組成物であって、
a)式IまたはIIのH3受容体アンタゴニスト化合物またはその医薬的に許容できる塩;
b)H1受容体アンタゴニスト、たとえばセチリジン、またはその医薬的に許容できる塩;および
c)医薬的に許容できるキャリヤー
を含み、前記の有効成分(a)および(b)がその組成物をアレルギー性鼻炎、鼻充血またはアレルギー性充血の処置に有効にする量で存在する組成物。
【請求項18】
うつ病および気分障害を処置するための医薬組成物であって、
a)H3受容体アンタゴニストまたはその医薬的に許容できる塩;
b)神経伝達物質取込み遮断薬またはその医薬的に許容できる塩;
c)医薬的に許容できるキャリヤー
を含み、前記の有効成分(a)および(b)がその組成物をうつ病および気分障害の処置に有効にする量で存在する組成物。
【請求項19】
H3受容体アンタゴニストおよび神経伝達物質遮断薬が同時に投与される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
H3受容体アンタゴニストおよびH1受容体アンタゴニストが同時に投与される、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
神経伝達物質取込み遮断薬がセルトラリン、フルオキセチンおよびパロキセチンよりなる群から選択される、請求項18に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2008−503560(P2008−503560A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517526(P2007−517526)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002089
【国際公開番号】WO2006/000914
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】