説明

ジアステレオ選択的な還元的アミノ化の方法

本発明は、過フッ素化されたケトンまたはケタールを、塩基性条件下でα−アミノエステルと結合させて金属カルボン酸塩を形成させることによる、還元的アミノ化の方法を記載する。金属カルボン酸塩のジアステレオ選択的還元により、還元条件に応じて2種のジアステレオマーを得ることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過フッ素化されたケトンまたはケタールを、塩基性条件下でα−アミノエステルと結合させてイミン金属カルボン酸塩を形成させることによる、還元的アミノ化の方法を記載する。イミン金属カルボン酸塩のジアステレオ選択的還元により、還元条件に応じて2種のジアステレオマーを得ることが可能になる。これらのジアステレオマーをさらに置換して、骨粗鬆症および骨関節炎の治療に使用可能な選択的カテプシンK阻害剤を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
アミノエステルのイミンに関連する本技術分野は、本発明としてはカルボン酸塩のイミンを含む。さらに、以前に報告された基質はフッ化イミン置換基を含まない。本明細書において記載された条件下で得られる選択性は、当技術分野で示された選択性よりもはるかに高いものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は2つの問題を解決する。当技術分野で必要なことは、α位にフッ素を有するケトンまたはケタールからイミンを形成される方法である。これは、脱水してイミンを得ることが難しい、最初に形成されるヘミアミナール中間体の安定性が原因で、困難な変換である。この問題は、強酸性溶液および高温の使用により以前に解決されたが、その方法では通常、出発物質の分解および必要なイミンの低収率を引き起こす。本発明の方法はイミン形成のために塩基性条件を使用し、以下を含む多くの利点を有する。イミンは、より効果的な回収率(〜90%)が得られる、より穏やかな条件下で形成される(20℃と50℃の間でおよびMeOまたはMCOの存在下)。より広範囲の基質がこれらの条件によって許容される。および、イミン生成物は、その還元により対応する置換アミノ酸生成物を得ることが可能な、安定なカルボン酸塩である。これは、アミノ酸立体中心のエピマー化を引き起こしうる、問題を有する可能性のあるエステル加水分解を回避する。さらに、還元条件を注意深く選択することにより、その2つのアミノ酸ジアステレオ異性体を、同一のイミン金属カルボン酸塩から得ることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明により、以下の構造式IAおよびIBの化合物の合成方法を提供する。この方法は、
【0005】
【化5】

【0006】
a.下記式IIIのイミン金属カルボン酸塩を形成するために、ケトンを塩基および溶媒の存在下で下記式IIのα−アミノエステルと結合させる段階、および
【0007】
【化7】

[式中、RはC1−5アルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、アリールアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、CF、CHF、CHFまたはCであり;
はC1−5アルキルであり;
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはセシウムである。]
b.式IAまたはIBの化合物を製造するために、式IIIのイミン金属カルボン酸塩を還元する段階を含む。
【0008】
(発明の詳細な説明)
本発明により、構造式IAおよびIBの化合物を合成するための方法を提供される。この方法は、
【0009】
【化9】

【0010】
a.下記式IIIのイミン金属カルボン酸塩を形成するために、ケトンまたはケタールを塩基および溶媒の存在下で下記式IIのα−アミノエステルと結合させる段階、および
【0011】
【化11】

[式中、RはC1−5アルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、アリールアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、CF、CHF、CHFまたはCであり;
はC1−5アルキルであり;
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはセシウムである。]
b.式IAまたはIBの化合物を製造するために、式IIIのイミン金属カルボン酸塩を還元する段階を含む。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、RはCF、CHF、CHFまたはCである。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、Mはカリウムである。
【0014】
ケトンまたはケタールは、塩基および溶媒の存在下で式IIのα−アミノエステルと結合されて、式IIIのイミン金属カルボン酸塩を形成する。本発明の1つのクラスにおいて、この塩基は金属炭酸塩またはアルコキシドであり、および前記溶媒はアルコール、エーテル、エステルまたはアミドである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記アルコールはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、トリフルオロエタノール、ブタノール、イソアミルアルコール、2−methoxththanolまたはこれらの混合物である。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記エーテルはテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、ジメトキシエタンまたはこれらの混合物である。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記エステルは酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルまたはこれらの混合物である。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記アミドはジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンまたはこれらの混合物である。本発明の1つの実施形態において、前記塩基は炭酸カリウム、カリウムメトキシドまたはリン酸カリウムであり、および前記溶媒はメタノールである。本発明の1つのクラスにおいて、この結合は約15℃〜約80℃の温度で行う。本発明の1つのサブクラスにおいて、温度は約30℃〜約60℃である。
【0015】
本発明の1つの態様において、式IIIのイミン金属カルボン酸塩を単離せず、および前記還元はエーテル溶媒中で調製した金属水素化ホウ素を用いて行い、式IAの化合物を得る。本発明の1つのクラスにおいて、前記金属水素化ホウ素は、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素亜鉛または水素化ホウ素ジルコニウムである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記金属水素化ホウ素は水素化ホウ素亜鉛である。本発明の1つのクラスにおいて、前記エーテル溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテルまたはこれらの混合物である。本発明の他のクラスにおいて、このエーテル溶媒に共溶媒を加える。本発明のさらなるクラスにおいて、前記共溶媒はC1−4アルキルニトリルまたはアリールニトリルである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記共溶媒はアセトニトリルである。本発明の1つのクラスにおいて、共溶媒の容量は50〜95vol%である。本発明の1つのサブクラスにおいて、共溶媒の容量は85〜95vol%である。
【0016】
本発明の1つのクラスにおいて、前記還元は約25℃〜約−40℃の温度で行い、式IAの化合物を得る。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記還元は約0℃〜約−40℃の温度で行い、式IAの化合物を得る。
【0017】
本発明の他の態様において、式IIIの金属カルボン酸塩の還元は溶媒中で金属水素化ホウ素を用いて行い、式IBの化合物を得る。本発明の1つのクラスにおいて、前記金属水素化ホウ素は水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素カリウムである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記金属水素化ホウ素は水素化ホウ素ナトリウムである。本発明の1つのクラスにおいて、前記溶媒はテトラヒドロフランである。本発明の1つのクラスにおいて、水を共溶媒として1〜10%の容量で加える。本発明の1つのクラスにおいて、前記還元は約25℃〜約0℃の温度で行なわれる。
【0018】
本発明の他の態様において、前記還元は水素およびキラル金属触媒で行い、式IBの化合物を得る。本発明の1つのクラスにおいて、前記キラル金属触媒はイリジウム、ロジウムまたはルテニウム錯体およびホスフィン配位子から誘導される。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記キラル金属触媒は(ファネホス(phanephos))Rh(COD)Clまたは(i−Pr−(フェロレン(ferrolane))Rh(COD)Clである。
【0019】
本発明の他の態様において、前記還元は水素化ホウ素およびキラルルイス酸触媒で行い、式IBの化合物を得る。本発明の1つのクラスにおいて、水素化ホウ素はカテコールボランである。本発明の他の態様において、前記キラルルイス酸触媒はC1−4アルキル−CBS−オキサザボロリジンである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記キラルルイス酸触媒はメチル−CBS−オキサザボロリジンである。
【0020】
本発明により、構造式ICおよびIDの化合物の合成方法を提供される。この方法は、
【0021】
【化13】

【0022】
a.下記式Vのイミン金属カルボン酸塩を形成するために、ケトンまたはケタールを塩基および溶媒の存在下で下記式IVのα−アミノエステルと結合させる段階、および
【0023】
【化15】

[式中、RはC1−5アルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、アリールアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、CF、CHF、CHFまたはCであり;
はC1−5アルキルであり;
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはセシウムである。]
b.式ICまたはIDの化合物を製造するために、式Vのイミン金属カルボン酸塩を還元する段階を含む。
【0024】
本発明の1つの実施形態において、RはCF、CHF、CHFまたはCである。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、Mはカリウムである。
【0026】
ケトンまたはケタールは、塩基および溶媒の存在下で式IVのα−アミノエステルと結合されて、式Vのイミン金属カルボン酸塩を形成する。本発明の1つのクラスにおいて、前記塩基は金属炭酸塩またはアルコキシドであり、および前記溶媒はアルコール、エーテル、エステルまたはアミドである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記アルコールはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、トリフルオロエタノール、ブタノール、イソアミルアルコール、2−methoxththanolまたはこれらの混合物である。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記エーテルはテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、ジメトキシエタンまたはこれらの混合物である。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記エステルは酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチルまたはこれらの混合物である。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記アミドはジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンまたはこれらの混合物である。本発明の1つの実施形態において、前記塩基は炭酸カリウムまたはカリウムメトキシドであり、および前記溶媒はメタノールである。本発明の1つのクラスにおいて、この結合は約15℃〜約80℃の温度で行う。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記温度は約30℃〜約60℃である。
【0027】
本発明の1つの態様において、式Vのイミン金属カルボン酸塩を単離せず、および前記還元エーテル溶媒中で調製した金属水素化ホウ素を用いて行い、式ICの化合物を得る。本発明の1つのクラスにおいて、前記金属水素化ホウ素は、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素亜鉛または水素化ホウ素ジルコニウムである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記金属水素化ホウ素は水素化ホウ素亜鉛である。本発明の1つのクラスにおいて、前記エーテル溶媒はテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテルまたはこれらの混合物である。本発明の他のクラスにおいて、このエーテル溶媒に共溶媒を加える。本発明のさらなるクラスにおいて、前記共溶媒はC1−4アルキルニトリルまたはアリールニトリルである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記共溶媒はアセトニトリルである。本発明の1つのクラスにおいて、共溶媒の容量は50〜95vol%である。本発明の1つのサブクラスにおいて、共溶媒の容量は85〜95vol%である。
【0028】
本発明の1つのクラスにおいて、前記還元は約25℃〜約−40℃の温度で行い、式ICの化合物を得る。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記還元は約0℃〜約−40℃の温度で行い、式IAの化合物を得る。
【0029】
本発明の他の態様において、式Vの金属カルボン酸塩の還元は溶媒中で金属水素化ホウ素を用いて行い、式IDの化合物を得る。本発明の1つのクラスにおいて、前記金属水素化ホウ素は水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素カリウムである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記金属水素化ホウ素は水素化ホウ素ナトリウムである。本発明の1つのクラスにおいて、前記溶媒はテトラヒドロフランである。本発明の1つのクラスにおいて、水を共溶媒として1〜10%の容量で加える。本発明の1つのクラスにおいて、前記還元は約25℃〜約0℃の温度で行なわれる。
【0030】
本発明の他の態様において、前記還元は水素およびキラル金属触媒で行い、式IDの化合物を得る。本発明の1つのクラスにおいて、前記キラル金属触媒はイリジウム、ロジウムまたはルテニウム錯体およびホスフィン配位子から誘導される。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記キラル金属触媒は(ファネホス)Rh(COD)Clまたは(i−Pr−フェロレン)Rh(COD)Clである。
【0031】
本発明の他の態様において、前記還元は水素化ホウ素およびキラルルイス酸触媒で行い、式IDの化合物を得る。本発明の1つのクラスにおいて、水素化ホウ素はカテコールボランである。本発明の他の態様において、前記キラルルイス酸触媒はC1−4アルキル−CBS−オキサザボロリジンである。本発明の1つのサブクラスにおいて、前記キラルルイス酸触媒はメチル−CBS−オキサザボロリジンである。
【0032】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖状の非環式飽和炭化水素からの1つの水素原子の概念的な除去により誘導される、一価の置換基を意味しなければならない(すなわち、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、−CHCHCHCH、−CHCH(CH、−C(CH、など)。
【0033】
「シクロアルキル」という用語は、特に指定のない限り、3〜8個の総炭素数、またはこの範囲内の任意の数の環状アルカンを意味しなければならない(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル)。
【0034】
本明細書において使用される「アリール」は、各環に12個までの炭素原子を有し、少なくとも1つの環が芳香族である、任意の安定な単環式または二環式炭素環を意味することを意図する。このようなアリール類の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが含まれる。アリール置換基が二環式で、および1つの環が非芳香族である場合、結合は芳香族環を介することが理解される。
【0035】
本明細書において使用される「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの環が芳香族であり、およびO、NもしくはSからなる群から選択される1〜4つのへテロ原子を含有する、各環に10個までの原子を有する安定な単環式、二環式または三環式環を示す。この定義の範囲内のヘテロアリール基には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフピリジニル(naphthpyridinyl)、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソキサゾリン、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリニル、メチレンジオキシベンゼン、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリルおよびテトラヒドロキノリンが含まれるが、これらに限定されない。ヘテロアリール置換基が二環式で、および1つの環が非芳香族であるかまたはヘテロ原子を含まない場合、それぞれ結合は芳香環を介するかまたはヘテロ原子含有環を介してなされることが理解される。ヘテロアリールが窒素原子を含む場合、対応するこれらのN−オキシドもこの定義により包含されることが理解される。
【0036】
当業者により理解されるように、本明細書において用いる「ハロ」または「ハロゲン」は、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素を含むことを意図する。「ケト」という用語はカルボニル(C=O)を意味する。本明細書において用いる「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して分子の残部に結合し、ここでアルキルは上記で定義したとおりである、アルキル部分を意味する。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシなどが含まれる。
【0037】
「ハロアルキル」という用語は、特に指定のない限り、1〜5個の、好ましくは1〜3個のハロゲンで置換された、上記で定義したアルキル遊離基を意味する。代表例としては、限定するものではないが、トリフルオロメチル、ジクロロエチルなどが含まれる。
【0038】
「アリールアルキル」という用語は、アルキルが上記で定義したとおりであるアルキル部分を含み、およびアリールが上記で定義したとおりであるアリール部分を含む。アリールアルキルの例には、限定するものではないが、ベンジル、フルオロベンジル、クロロベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フルオロフェニルエチルおよびクロロフェニルエチルが含まれる。アルキルアリールの例としては、限定するものではないが、トルイル、エチルフェニルおよびプロピルフェニルが含まれる。
【0039】
下記のスキームおよび例において、種々の試薬の記号および略記は以下のとおりである:
CHCN:アセトニトリル
DCHA:ジシクロヘキシルアミン
HCl:塩酸
CO:炭酸カリウム
MeOH:メタノール
TBME:t−ブチルメチルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
Zn(BH4):水素化ホウ素亜鉛
NaBH 水素化ホウ素ナトリウム
【0040】
スキーム1および2は、安定で分離可能なイミンカルボン酸塩が高収率で得られる、α−アミノエステルのケトンまたはケタールとの塩基性条件下での縮合を示す。ついでこのイミンを選択された還元条件下で処理することにより、対応する置換アミノ酸のシンまたはアンチジアステレオ異性体のどちらかを高収率および高選択的に得られる。従って、この方法は、α−アミノエステルエナンチオマーおよび還元条件を適切に選択することにより、置換アミノ酸の全ての4つのジアステレオ異性体を容易に得ることを提供できる。
【0041】
【化17】

およびRはそれぞれ独立して水素またはアルキルである。
【0042】
【化18】

【0043】
以下の実施例はさらに、本発明の化合物の合成を詳細に説明する。当業者は、以下の合成手順の条件および方法の公知の変形法を、これらの化合物の合成に使用することができることを容易に理解するであろう。特に指定のない限り、全ての温度は摂氏温度である。
【実施例1】
【0044】
N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−バリンカリウム塩
【0045】
【化19】

【0046】
MeOH(50mL)中の、2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(4.24g,24.3mmol)を、L−バリンエチルエステル(3.21g,22.1mmol)およびKCO(2.90g,20.9mmol)の混合物に加えた。この混合液を50℃に18時間暖めた。この混合液を20〜25℃に冷却し、ろ過し、濃縮した。残渣をTBME(100ml)に懸濁し、ろ過して、表題化合物を白色固体として得た。
【実施例2】
【0047】
N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−ロイシンカリウム塩
【0048】
【化20】

【0049】
MeOH(50mL)中の、2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(4.24g,24.3mmol)を、L−ロイシンエチルエステル(3.52g,22.1mmol)およびKCO(2.90g,20.9mmol)の混合物に加えた。この混合液を50℃に18時間暖めた。この混合液を20〜25℃に冷却し、ろ過し、濃縮した。残渣をTBME(100ml)に懸濁し、ろ過して、表題化合物を白色固体として得た。
【実施例3】
【0050】
4−フルオロ−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチル)−L−ロイシンカリウム塩
【0051】
【化21】

【0052】
MeOH(50mL)中の、2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(4.24g,24.3mmol)を、L−4−フルオロ−ロイシンエチルエステル(3.92g,22.1mmol)およびKCO(2.90g,20.9mmol)の混合物に加えた。この混合液を50℃に18時間暖めた。この混合液を20〜25℃に冷却し、ろ過し、濃縮した。残渣をTBME(100ml)に懸濁し、ろ過して、表題化合物を白色固体として得た。
【実施例4】
【0053】
N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−フェニルアリニンカリウム塩
【0054】
【化22】

【0055】
MeOH(50mL)中の、2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(4.24g,24.3mmol)を、L−フェニルアリニン(phenylalinine)エチルエステル(4.27g,22.1mmol)およびKCO(2.90g,20.9mmol)の混合物に加えた。この混合液を50℃に18時間暖めた。この混合液を20〜25℃に冷却し、ろ過し、濃縮した。残渣をTBME(100ml)に懸濁し、ろ過して、表題化合物を白色固体として得た。
【実施例5】
【0056】
(2S)−2−{[(1Z)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン]アミノ}ブタン酸カリウム塩
【0057】
【化23】

【0058】
MeOH(50mL)中の、2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(4.24g,24.3mmol)を、2S−アミノブタン酸エチルエステル(2.90g,22.1mmol)およびKCO(2.90g,20.9mmol)の混合物に加えた。この混合液を50℃に18時間暖めた。この混合液を20〜25℃に冷却し、ろ過し、濃縮した。残渣をTBME(100ml)に懸濁し、ろ過して、表題化合物を白色固体として得た。
【実施例6】
【0059】
N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−アリニンカリウム塩
【0060】
【化24】

【0061】
MeOH(50mL)中の、2,2,2−トリフルオロアセトフェノン(4.24g,24.3mmol)を、L−アリニンエチルエステル(2.59g,22.1mmol)およびKCO(2.90g,20.9mmol)の混合物に加えた。この混合液を50℃に18時間暖めた。この混合液を20〜25℃に冷却し、ろ過し、濃縮した。残渣をTBME(100ml)に懸濁し、ろ過して、表題化合物を白色固体として得た。
【実施例7】
【0062】
N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−バリン
【0063】
【化25】

【0064】
N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−バリンカリウム塩(50mg,0.161mmol)を水素化ホウ素ナトリウム(24.3mg,0.642mmol)と合わせた。THF(1.0ml)および水(40ul)をこの混合物に加え、その反応を20〜25℃で1時間攪拌した。この反応を1N NaOH(2ml)で停止させ、水層をTBMEで1度抽出した。その水層を1N HCl(5ml)で酸性化し、TBME(2×10ml)で抽出した。その有機層を食塩水(5ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、65:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例8】
【0065】
N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−ロイシン
【0066】
【化26】

【0067】
N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−ロイシンカリウム塩(50mg,0.154mmol)を水素化ホウ素ナトリウム(23.3mg,0.615mmol)と合わせた。THF(1.0ml)および水(40ul)をこの混合物に加え、その反応液を20〜25℃で1時間攪拌した。この反応を1N NaOH(2ml)で停止させ、水層をTBMEで1度抽出した。その水層を1N HCl(5ml)で酸性化し、TBME(2×10ml)で抽出した。その有機層を食塩水(5ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、59:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例9】
【0068】
4−フルオロ−N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−ロイシン
【0069】
【化27】

【0070】
4−フルオロ−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−ロイシンカリウム塩(50mg,0.146mmol)を水素化ホウ素ナトリウム(22.0mg,0.582mmol)と合わせた。THF(1.0ml)および水(40ul)をこの混合物に加え、その反応液を20〜25℃で1時間攪拌した。この反応を1N NaOH(2ml)で停止させ、水層をTBMEで1度抽出した。その水層を1N HCl(5ml)で酸性化し、TBME(2×10ml)で抽出した。その有機層を食塩水(5ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、71:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例10】
【0071】
N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−フェニルアリニン
【0072】
【化28】

【0073】
N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−フェニルアリニンカリウム塩(50mg,0.139mmol)を水素化ホウ素ナトリウム(21.1mg,0.557mmol)と合わせた。THF(1.0ml)および水(40ul)をこの混合物に加え、その反応液を20〜25℃で1時間攪拌した。この反応を1N NaOH(2ml)で停止させ、水層をTBMEで1度抽出した。その水層を1N HCl(5ml)で酸性化し、TBME(2×10ml)で抽出した。その有機層を食塩水(5ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、61:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例11】
【0074】
N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−エチルグリシン
【0075】
【化29】

【0076】
(2S)−2−{[(1Z)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン]アミノ}ブタン酸カリウム塩(50mg,0.168mmol)を水素化ホウ素ナトリウム(25.4mg,0.673mmol)と合わせた。THF(1.0ml)および水(40ul)をこの混合物に加え、その反応液を20〜25℃で1時間攪拌した。この反応を1N NaOH(2ml)で停止させ、水層をTBMEで1度抽出した。その水層を1N HCl(5ml)で酸性化し、TBME(2×10ml)で抽出した。その有機層を食塩水(5ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、20:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例12】
【0077】
N−[(1R)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−アリニン
【0078】
【化30】

【0079】
N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−エチルアリニンカリウム塩(50mg,0.176mmol)を水素化ホウ素ナトリウム(26.7mg,0.706mmol)と合わせた。THF(1.0ml)および水(40ul)をこの混合物に加え、その反応液を20〜25℃で1時間攪拌した。この反応を1N NaOH(2ml)で停止させ、水層をTBMEで1度抽出した。その水層を1N HCl(5ml)で酸性化し、TBME(2×10ml)で抽出した。その有機層を食塩水(5ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、6:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例13】
【0080】
N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−バリン
【0081】
【化31】

【0082】
塩化亜鉛(II)(204mg,1.5mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(113mg,3.0mmol)をDME(1.5mL)中に懸濁し、18時間攪拌した。得られた懸濁液を−40℃に冷却し、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−バリンカリウム塩(311mg,1.0mmol)のCHCN(15ml)およびMeOH(1.5ml)中の懸濁液を加えた。3時間後、1N HCl(20ml)を加え、この混合液をTBME(3×20ml)で抽出した。その有機層を食塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、33:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例14】
【0083】
N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−ロイシン
【0084】
【化32】

【0085】
塩化亜鉛(II)(204mg,1.5mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(113mg,3.0mmol)をDME(1.5mL)中に懸濁し、18時間攪拌した。得られた懸濁液を−40℃に冷却し、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−ロイシンカリウム塩(325mg,1.0mmol)のCHCN(15ml)およびMeOH(1.5ml)中の懸濁液を加えた。3時間後、1N HCl(20ml)を加え、この混合液をTBME(3×20ml)で抽出した。その有機層を食塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、18:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例15】
【0086】
4−フルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−ロイシン
【0087】
【化33】

【0088】
塩化亜鉛(II)(204mg,1.5mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(113mg,3.0mmol)をDME(1.5mL)中に懸濁し、18時間攪拌した。得られた懸濁液を−40℃に冷却し、4−フルオロ−N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−ロイシンカリウム塩(343mg,1.0mmol)のCHCN(15ml)およびMeOH(1.5ml)中の懸濁液を加えた。3時間後、1N HCl(20ml)を加え、この混合液をTBME(3×20ml)で抽出した。その有機層を食塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、25:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例16】
【0089】
N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−フェニルアリニン
【0090】
【化34】

【0091】
塩化亜鉛(II)(204mg,1.5mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(113mg,3.0mmol)をDME(1.5mL)中に懸濁し、18時間攪拌した。得られた懸濁液を−40℃に冷却し、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−フェニルアリニンカリウム塩(359mg,1.0mmol)のCHCN(15ml)およびMeOH(1.5ml)中の懸濁液を加えた。3時間後、1N HCl(20ml)を加え、この混合液をTBME(3×20ml)で抽出した。その有機層を食塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、17:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例17】
【0092】
ブタン酸,2−{[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチルアミノ]−,(2S)−
【0093】
【化35】

【0094】
塩化亜鉛(II)(204mg,1.5mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(113mg,3.0mmol)をDME(1.5mL)中に懸濁し、18時間攪拌した。得られた懸濁液を−40℃に冷却し、(2S)−2−{[(1Z)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン]アミノ}ブタン酸カリウム塩(297mg,1.0mmol)のCHCN(15ml)およびMeOH(1.5ml)中の懸濁液を加えた。3時間後、1N HCl(20ml)を加え、この混合液をTBME(3×20ml)で抽出した。その有機層を食塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、11:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例18】
【0095】
N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−フェネチル]−L−アリニン
【0096】
【化36】

【0097】
塩化亜鉛(204mg,1.5mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(113mg,3.0mmol)をDME(1.5mL)中に懸濁し、18時間攪拌した。得られた懸濁液を−40℃に冷却し、N−(2,2,2−トリフルオロ−1−フェニルエチリデン)−L−アリニンカリウム塩(283mg,1.0mmol)のCHCN(15ml)およびMeOH(1.5ml)中の懸濁液を加えた。3時間後、1N HCl(20ml)を加え、この混合液をTBME(3×20ml)で抽出した。その有機層を食塩水(10ml)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、ろ過し、濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。生成物の19F NMRは、6:1のジアステレオマー比を示した。
【実施例19】
【0098】
4−フルオロ−N−[(1S)−2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エチル}−L−ロイシンジシクロヘキシルアミン塩
【0099】
【化37】

【0100】
200mLの容器に2,2,2−トリフルオロ−1−[4’−メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]エタン−1,1−ジオール(9.08g,26.2mmol)、F−ロイシンエチルエステル硫酸塩(8.66g,31.5mmol)、炭酸カリウム(14.5g,104.9mmol)およびメタノール(27.3mL)を入れた。この混合物を50℃に加熱し、4時間熟成させて、次いで−5℃に冷却した。
【0101】
500mLの容器に塩化亜鉛(7.15g,52.5mmol)およびジメトキシエタン(40.9mL)を入れた。この混合物を−10℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(3.97g,104.9mmol)を分けて加えた。この混合物を−10℃で1時間熟成させて、0℃未満に温度を維持しながらアセトニトリル(63.6mL)を加えた。
【0102】
次いでこのイミン混合物を、−5℃と+5℃の間に温度を維持できるような速度で、その水素化ホウ素溶液に移した。次いでこの反応を−5℃と+5℃の間で1.5時間熟成させ、アセトン(33.9mL)をゆっくりと加えて停止させ、放置して暖め20℃にした。TBME(60.6mL)、2M HCl(181.7mL)および脱イオン水(63.6mL)を入れ、この混合物を30分間熟成させた。有機相を分離し、水相をTBME(45.4mL)で再抽出した。2つのTBME相を合わせ、水で洗浄し(45.4mL×4)、TBME(139.3mL)で希釈した。次いでジシクロヘキシルアミン(5.23g,28.8mmol)を20℃で30分間かけて入れた。生成物のスラリーを20℃で1時間熟成させ、濾過してTBME(36.3mL)で洗浄した。真空下で30℃で一定重量に達するまで乾燥した後、表題化合物を白色粉末として得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式IAまたはIBの化合物を合成するための方法であって:
【化1】

a.下記式IIIのイミン金属カルボン酸塩を形成するために、ケトンまたはケタールを塩基および溶媒の存在下で下記式IIのα−アミノエステルと結合させる段階、および
【化3】

[式中、RはC1−5アルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、アリールアルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
はC1−5アルキル、C1−5ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール、CF、CHF、CHFまたはCであり;
はC1−5アルキルであり;
Mは水素、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはセシウムである。]
b.式IAまたはIBの化合物を製造するために、式IIIのイミン金属カルボン酸塩を還元する段階を含む、
前記方法。
【請求項2】
該塩基が金属炭酸塩またはアルコキシドであり、および該溶媒がアルコール、エーテル、エステルまたはアミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該塩基が炭酸カリウム、カリウムメトキシドまたはリン酸カリウムであり、および該溶媒がメタノールである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階aが約15℃から約80℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該温度が約30℃から約60℃である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該式IIIのイミン金属カルボン酸塩が単離されず、および前記還元がエーテル溶媒中で調製した金属水素化ホウ素を用いて行なわれ、式IAの化合物が得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
該金属水素化ホウ素が、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素亜鉛または水素化ホウ素ジルコニウムであり、および該エーテル溶媒がテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテルまたはこれらの混合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該共溶媒が50から95%の容量で加えられる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
該共溶媒がC1−4アルキルまたはアリールニトリルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
段階bが約25℃から約−40℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2008−509140(P2008−509140A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524894(P2007−524894)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/027308
【国際公開番号】WO2006/017455
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】