説明

ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性抑制剤及び該抑制剤を含むジアセタール組成物

【課題】 1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール等のジアセタールを含有するポリオレフィン樹脂組成物を成形加工する際のアルデヒド類の発生量及び成形体中のアルデヒド類の含有量を大幅に抑制すると共に、ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性を抑制する。
【解決手段】 (A)1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール等のジアセタール及び(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるジアセタール組成物をポリオレフィン用核剤として用いることにより、得られるポリオレフィン樹脂組成物及びそれを成形して得られる成形体中のアルデヒド類の含有量を抑制し、臭気及び味の移行性を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジベンジリデンソルビトール及びその核置換誘導体等のジアセタールから発生する臭気及び味の移行性抑制剤、該抑制剤を含有するジアセタール組成物、該ジアセタール組成物を含むポリオレフィン用核剤、該核剤を含むポリオレフィン樹脂組成物および該樹脂組成物を成形してなるポリオレフィン樹脂成形体、該抑制剤を用いてジアセタールから発生する臭気及び味の移行性を抑制する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジベンジリデンソルビトール及びその核置換誘導体に代表されるジアセタールは、ポリオレフィン樹脂、特にエチレン、プロピレンのホモポリマー又はそれらを主成分とするコポリマーの核剤として有用な化合物である。ジアセタールは、特に透明性を向上させる効果に優れ、透明性が要求される各種容器等の成形品分野の樹脂添加剤として広く用いられている。
【0003】
しかし、該ジアセタールは、成形加工時に一部熱分解し、ジアセタールを構成するベンズアルデヒド類が遊離した結果、臭気が発生する。このために、最終成形品中にもアルデヒド臭が残存する場合がある。また、成形品を食品等の包装材又は容器として使用する場合に、該成形品に接触する食品等に当該ベンズアルデヒド類の臭気および味が移行することもある。このために、該ジアセタールは、食品、化粧品等の容器、包装材等の分野において、好まれない場合がある。
【0004】
これまでにも上記問題点の改善のために、ヒドロキシアミン或いはフェニルヒドラジン類による処理(特許文献1及び特許文献2)、非芳香族有機アミンの添加(特許文献3)、脂肪族金属塩及び乳酸金属塩等による表面処理(特許文献4)、脂肪族アミンの配合(特許文献5)、ソルビン酸及び/又はソルビン酸カリウムの添加(特許文献6)、アミノ酸アルカリ金属塩の添加(特許文献7)、アルコール性水酸基を有するポリオールの添加(特許文献8)の方法が提案されている。
【0005】
上記従来技術において、臭気改善効果は得られているが、近年では末端消費者のプラスチック製品への高度な要望(特に、内容物への臭気や味の移行の更なる防止等の要望)を充足することが望まれている。
【特許文献1】特開昭60−32791号公報
【特許文献2】特開昭60−42385号公報
【特許文献3】特開昭62−4289号公報
【特許文献4】特開昭62−50355号公報
【特許文献5】特開平2−1906841号公報
【特許文献6】特開平5−202055号公報
【特許文献7】特開平9−286787号公報
【特許文献8】特開平9−286788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール等のジアセタールを含有するポリオレフィン樹脂組成物を成形加工する際のアルデヒド類の発生量及び成形体中のアルデヒド類の含有量を大幅に抑制すると共に、ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性を抑制することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる現状に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、(A)ジアセタール及び(B)特定のソルビタン脂肪酸エステル又はそのエチレンオキシド付加物からなるジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂用核剤として用いた場合、得られるポリオレフィン樹脂ペレット及びその成形品中のアルデヒド類の含有量が大幅に抑制され、臭気及び味の移行性が著しく抑制される効果が得られることを見出した。
【0008】
また、本発明者らの研究によれば、上記ジアセタール組成物を用いた場合、ジアセタールの核剤特性、特に透明改質効果は阻害されず、ポリオレフィン樹脂成形品の透明性が殆ど損なわれないことも見出された。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づき、更に検討を加えて完成されたものであり、次のジアセタール組成物、ポリオレフィン樹脂用核剤、ポリオレフィン樹脂組成物、ポリオレフィン樹脂成形体、ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性抑制剤、ジアセタールの熱分解によるアルデヒド発生の抑制方法等を提供するものである。
【0010】
項1 (A)一般式(1)
【0011】
【化1】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表される少なくとも1種のジアセタール、及び
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種
からなることを特徴とする粒状又は粉末状のジアセタール組成物。
【0012】
ここで、本願特許請求の範囲及び明細書において、「からなる」という表現は上記成分(A)と成分(B)のみからなり、成分(A)及び成分(B)以外の成分を含まないという意味で使用するものとする。
【0013】
項2 成分(B)の含有量が、成分(A)と成分(B)との合計量に対して、0.1〜10重量%である項1に記載の粒状又は粉末状のジアセタール組成物。
【0014】
項3 成分(B)が、ソルビタンC8-C22脂肪酸モノエステル、ソルビタンC8-C22脂肪酸トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸モノエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸トリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1又は2に記載の粒状又は粉末状のジアセタール組成物。
【0015】
項4 (a)項1〜3のいずれかに記載のジアセタール組成物又は
(b)項1〜3のいずれかに記載のジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤
からなることを特徴とするポリオレフィン樹脂用核剤。
【0016】
項5 (a)項1〜3のいずれかに記載のジアセタール組成物及びポリオレフィン樹脂、又は
(b)項1〜3のいずれかに記載のジアセタール組成物、ポリオレフィン樹脂用改質剤及びポリオレフィン樹脂を含有し、
ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性が抑制されていることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物。
【0017】
項6 ジアセタール組成物を、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部含有する項5に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
【0018】
項7 項5又は項6に記載のポリオレフィン樹脂組成物を成形してなり、ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性が抑制されていることを特徴とするポリオレフィン樹脂成形体。
【0019】
項8 食品、飲料、化粧品又は医薬品の容器又は包装材であって、項7に記載のポリオレフィン樹脂成形体から構成されており、ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性が抑制されていることを特徴とする容器又は包装材。
【0020】
項9 (A)一般式(1)
【0021】
【化2】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表されるジアセタールから発生する臭気及び味の移行性抑制剤であって、
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とするジアセタールの臭気および味移行抑制剤。
【0022】
項10 成分(B)が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリミリステート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノミリステート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノベヘネート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリミリステート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリパルミテート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリベヘネート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリオレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である項9に記載の臭気及び味の移行性抑制剤。
【0023】
項11 (A)一般式(1)
【0024】
【化3】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表される少なくとも1種のジアセタールの熱分解によるアルデヒド発生の抑制方法であって、
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を一般式(1)で表されるジアセタールに添加することを特徴とする方法。
【0025】
項12 成分(B)が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリミリステート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノミリステート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノベヘネート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリミリステート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリパルミテート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリベヘネート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリオレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である項11に記載の方法。
【0026】
項13 (A)一般式(1)
【0027】
【化4】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表される少なくとも1種のジアセタール、及び
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種
からなるジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、
該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とからなる核剤をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、
該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とを別個にポリオレフィン樹脂に配合し、
得られる樹脂組成物を成形することを特徴とする、ポリオレフィン樹脂成形時にジアセタールから発生する臭気を抑制する方法。
【0028】
項14 ジアセタール組成物が、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部使用される項13に記載の方法。
【0029】
項15 (A)一般式(1)
【0030】
【化5】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表される少なくとも1種のジアセタール、及び
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種
からなるジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、
該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とからなる核剤をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、
該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とを別個にポリオレフィン樹脂に配合し、
得られる樹脂組成物を成形することにより得られる包装材又は容器に、内容物を収容することを特徴とする、ジアセタールから発生する臭気及び味の、該内容物への移行を抑制する方法。
【0031】
項16 内容物が、食品、飲料、化粧品、医薬品からなる群から選ばれる項15に記載の方法。
【0032】
項17 ジアセタール組成物が、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部使用される項15に記載の方法。
【発明の効果】
【0033】
本発明のジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂用核剤として使用した場合、成形加工時のアルデヒド発生量及び最終成形品中のアルデヒド類の含有量が大幅に抑制され、また、臭気及び味の移行性が抑制されたポリオレフィン樹脂成形体が得られる。
【0034】
また、得られるポリオレフィン樹脂成形体は、透明性に優れる。
【0035】
本発明により得られるポリオレフィン樹脂組成物は、結晶化温度が高く、成形サイクル時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
成分(A):ジアセタール
本発明に係るジアセタールは、上記一般式(1)で表される化合物である。
【0037】
一般式(1)において、R1及びR2で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が例示され、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が例示される。炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基及びイソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が例示される。
【0038】
m及びnは、それぞれ、1〜5の整数であり、好ましくは1、2又は3である。pは、より好ましくは1である。R1及びR2で表される置換基の置換位置は、特に限定されるものではないが、m及びnが1の場合は、o−、m−又はp−位であり、m及びnが2の場合は、2,4−位、3,4−位、3,5−位等を例示でき、m及びnが3の場合は、2,4,5−位、3,4,5−位等を例示できる。
【0039】
これら一般式(1)で表されるジアセタールは、いずれも公知であるか、又は日本国特公昭48−43748号、特開昭53−5165号、特開昭57−185287号、特開平2−231488号等の公知方法に従って容易に製造できる。
【0040】
上記一般式(1)で表されるジアセタールの代表例としては、次のものを例示できる。
【0041】
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(m−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,3−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,3−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,5−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4,5−トリエチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−プロピルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−クロロベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−クロルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−クロルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−p−メチルベンジリデン−2,4−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−エチルベンジリデン)−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−(p−クロルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−クロルベンジリデン)−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール等が例示される。
【0042】
これらの中で、より効果的な化合物として、1,3:2,4−O−ジベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−イソプロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−プロピルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−n−ブチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,5−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,4,5−トリメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルオキシカルボニルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−[(5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレン)−1−メチレン]−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(p−メチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3−O−ベンジリデン−2,4−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−O−ベンジリデン−D−ソルビトールが好ましい。
【0043】
特に、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールが好ましい。
【0044】
これらジセタールは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
【0045】
また、上記ジアセタールの結晶形態は、本発明の効果が得られる限り特に限定されず、六方晶、単斜晶、立方晶、三方晶、斜方晶等の任意の結晶形が使用できる。これらの結晶も公知であるか又は公知の方法に従い製造できる。
【0046】
本発明で使用するジアセタールは、一般式(1)で表される1,3:2,4−体の純度が100%のものが好ましいが、若干不純物を含むものであってもかまわない。
【0047】
臭気及び味の移行性抑制剤
上記一般式(1)で表されるジアセタールを含有する核剤をポリオレフィン樹脂に配合して得られるペレットないし樹脂組成物を得、該樹脂組成物から得られる樹脂成形体を、食品、化粧品、その他の物品を収容するための容器や包装材として使用した場合に、該樹脂成形体の製造過程で上記ジアセタールから遊離するアルデヒドに起因して臭気が発生し、また、該成形体からなる容器、包装材に食品、化粧品、その他の物品を収容した場合に、これら物品に臭気及び味が移行する。本発明では、このジアセタールの熱分解によるアルデヒド発生の抑制方法(アルデヒド発生量の低減方法)、ないし、上記臭気及び味が、成形体から食品、化粧品、その他の物品に移行するのを抑制することを目的とする。
【0048】
このために、本発明では、下記の成分(B)を臭気及び味の移行性抑制剤として使用する。
【0049】
<成分(B)>
本発明に係る成分(B)は、(b1)ソルビタンC8-C22飽和または不飽和脂肪酸エステル及び(b2)そのエチレンオキシド付加物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。換言すると、成分(B)は、ソルビタンの炭素数8〜22の脂肪酸モノ−、ジ−及びトリエステル及びポリオキシエチレンソルビタンの炭素数8〜22の脂肪酸モノ−、ジ−及びトリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のエステルである。
【0050】
上記成分(B)のエステルのうちでも、ソルビタンC8-C22脂肪酸モノ−及びトリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸モノ−及びトリエステルが好ましい。
【0051】
上記成分(B)のエステルを構成する脂肪酸の中でも、炭素数10〜18の飽和又は不飽和モノカルボン酸が好ましく、特に、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸が例示される。
【0052】
また、エチレンオキシドの平均付加モル数は、好ましくは2〜30、より好ましくは4〜25、特に5〜20が推奨される。
【0053】
成分(B)の具体例としては、例えば、次の化合物を例示できる:
ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリミリステート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタントリオレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノラウレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノミリステート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノパルミテート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノイソステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノベヘネート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノオレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリラウレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリミリステート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリパルミテート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリイソステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリベヘネート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリオレートなどが例示される。
【0054】
これらの中でも、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリミリステート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリオレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノミリステート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノパルミテート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノイソステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノオレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリミリステート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリパルミテート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリイソステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリオレートが好ましい。
【0055】
これらソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
【0056】
ソルビタン脂肪酸エステルは、本発明の効果を損なわない限り、従来公知の製造方法で得られるものが使用できる。例えば、一般的にはソルビトールと脂肪酸をアルカリ触媒存在下、加熱して合成される。得られるソルビタン脂肪酸エステルは、一般的に各種ソルビタンのモノ−、ジ−、トリ−、テトラ脂肪酸エステルや1,4,3,6−ソルビド等副生成物のモノ−、ジ−脂肪酸エステルなどの混合物であり、これら混合物のまま本発明に使用することができる。又は、該混合物から単一成分を単離し、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0057】
また、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、特に限定はなく従来公知の製造方法で、上記ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを付加させることにより得ることができる。
【0058】
本発明に係るソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、本発明の効果を損なわない限り、市販されているものを使用することもできる。例えば、「14705の化学商品」(化学工業日報社、2005年1月25日発行)に記載されている市販品などが例示される。
【0059】
成分(B)の使用割合は、成分(A)と成分(B)との合計量に対して、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲が推奨される。この範囲で有意な臭気の発生並びに臭気及び味の移行性の抑制効果が認められる。尚、10重量%を越えて使用する場合、更なるアルデヒドの発生の抑制効果が認められにくく、成分(B)の臭気が強くなる虞がある。
【0060】
本発明のジアセタール組成物
本発明のジアセタール組成物は、上記成分(A)及び成分(B)からなることを特徴とする組成物である。
【0061】
ここで、「からなる」という表現は上記成分(A)及び成分(B)以外の成分を含まないという意味で使用するものとする。
【0062】
本発明のジアセタール組成物において、成分(B)の含有量は、成分(A)と成分(B)との合計重量に対して、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%である。この範囲で有意な臭気の発生並びに臭気及び味の移行性の抑制効果が認められる。尚、成分(B)が10重量%を越えて使用される場合、更なるアルデヒドの発生の抑制効果が認められにくく、成分(B)の臭気が強くなる虞がある。
【0063】
本発明のジアセタール組成物において、成分(A)の含有量は、成分(A)と成分(B)との合計重量に対して、好ましくは90〜99.9重量%、より好ましくは99〜95重量%の範囲であり、成分(A)と成分(B)の含有量は合計100重量%となる。
【0064】
本発明のジアセタール組成物において、成分(A)と成分(B)との組み合わせとしては、本発明の効果が得られる限り特に限定されるものではないが、例えば以下のような組み合せが、好ましい代表例として挙げられる。
【0065】
例えば、成分(A):1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール及び1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールからなる群から選ばれる少なくとも1種と、
成分(B):ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリミリステート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリオレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノミリステート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノパルミテート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノイソステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノオレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリミリステート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリパルミテート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリステアレート、
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリイソステアレート及び
ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリオレートから選ばれる少なくとも1種との組み合わせなどが推奨される。
【0066】
より具体的には、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ソルビタンモノミリステート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ソルビタンモノパルミテート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ソルビタンモノステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ソルビタンモノイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ソルビタンモノオレート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ソルビタントリイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノミリステート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノパルミテート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノオレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタントリイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノミリステート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノパルミテート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノオレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタントリイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンモノイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノミリステート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノパルミテート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノオレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタントリイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタンイソステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:5〜20)ソルビタントリイソステアレート
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノミリステート+ソルビタンモノパルミテート+ソルビタンモノステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタンモノステアレート+ソルビタントリステアレート、
1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール+ソルビタントリミリステート+ソルビタントリパルミテート+ソルビタントリステアレート等が例示される。
【0067】
本発明のジアセタール組成物の製造方法は、上記成分(A)と成分(B)とを混合する工程を具備することを特徴とする。かかる混合方法は、所望のジアセタール組成物が得られる限り、特に限定されるものではない。
【0068】
例えば、次の方法が例示される:
(i) 従来公知の一般式(1)で表されるジアセタール製造方法(例えば特開平2−231488号に記載の方法)に従って、当該ジアセタールを製造する過程で、成分(B)を混合する方法、
(ii) 成分(A)と成分(B)とをヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー等の公知の混合装置を用いて粉体混合(ドライブレンド)する方法、
(iii) メタノール、エタノール等の炭素数1〜3の低級アルコール類や水等の分散媒に、成分(A)及び成分(B)を入れて室温若しくは加温下で攪拌して混合してスラリー状若しくは膨潤した状態にした後、該分散媒を留去する方法、
(iv) メタノール、エタノール等の炭素数1〜3の低級アルコール類や水等の分散媒に、成分(A)を入れて室温若しくは加温下で攪拌してスラリー状若しくは膨潤した状態にした後、成分(B)をそのまま或いはメタノール、エタノール等の炭素数1〜3の低級アルコール類や水等の溶液状態で添加して混合し、次いで該分散媒を留去する方法。
【0069】
尚、(i)の混合方法における成分(B)の添加時期は、ソルビトールと当該ベンズアルデヒド類とのジアセタール化反応終了後で、当該反応系が中性状態にある時が好ましい。また、(iii)及び(iv)の混合方法における分散媒の使用量は、成分(A)10重量部に対して、好ましくは5〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部である。分散媒存在下の混合温度は、通常20〜100℃、好ましくは50〜80℃が推奨される。
【0070】
好ましいジアセタール組成物の製造方法としては、上記(i)、(iii)及び(iv)の方法が推奨される。これらの方法により、本発明の効果がより発現しやすくなる。
【0071】
かくして得られた本発明のジアセタール組成物は、必要に応じて粉砕・解砕、或いは造粒、成形、分級等を行うことができる。
【0072】
本発明のジアセタール組成物の形態は、粉末状又は粒状である。粒状形態としては、顆粒状、球状、円柱状、ペレット状等の種々の形態を取ることができる。
【0073】
上記形態のジアセタール組成物は、何れも公知の造粒機、粉砕機・解砕機、分級機等を用いて製造できる。例えば、造粒機では乾式または湿式押出し造粒機、混合攪拌造粒機、タブレットマシーン、乾式圧縮ロール造粒機、球形整粒機、粉砕機・解砕機ではピンミル、ジェットミル、パルベライザー、カッターミル、ハンマーミル、プレーナークラッシャー、フレーククラッシャー、ニブラー、分級機では振動ふるい機、風力分級機等が例示される。
【0074】
上記製造方法で得られるジアセタール組成物は、上記一般式(1)で表されるジアセタールから発生する臭気及び味の移行性が抑制されているという特徴を有している。
【0075】
従って、本発明は、上記一般式(1)で表されるジアセタールに、成分(B)を添加することからなる、該ジアセタールの熱分解によるアルデヒド発生を抑制する方法又は該ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性を抑制する方法を提供するものでもある。
【0076】
また、本発明は、上記一般式(1)で表されるジアセタールから発生する臭気及び味の移行性を抑制するための、又は、該ジアセタールの熱分解によるアルデヒド発生の抑制のための、上記成分(B)の使用を提供するものでもある。
【0077】
ポリオレフィン樹脂用核剤
本発明のポリオレフィン樹脂用核剤は、上記本発明のジアセタール組成物そのものであるか、又は該ジアセタール組成物に下記ポリオレフィン樹脂用改質剤を添加してなるものである。
【0078】
当該核剤は、構成するジアセタール組成物の熱履歴によるアルデヒド類の発生量及び核剤特性の低下が極めて小さいので、ポリオレフィン樹脂用核剤として極めて有用なものである。
【0079】
本発明に係るポリオレフィン樹脂用核剤は、上記ジアセタール組成物に、使用目的やその用途に応じて、適宜従来公知のポリオレフィン樹脂用改質剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加したものであってもよい。
【0080】
かかるポリオレフィン樹脂用改質剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(2002年1月)に記載されている各種添加剤が挙げられる。
【0081】
具体的には、酸化防止剤、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等)、界面活性剤、滑剤(パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22の高級脂肪酸、炭素数8〜22の高級脂肪酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の高級脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体等)、充填剤(タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、ゼオライト、パーライト、珪藻土、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、発泡剤、発砲助剤、ポリマー添加剤の他、可塑剤(ジアルキルフタレート、ジアルキルヘキサヒドロフタレート等)、架橋剤、架橋促進剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、有機無機の顔料、加工助剤、他の核剤等の各種添加剤が例示される。
【0082】
これらポリオレフィン樹脂用改質剤を使用する場合、その使用量は、本発明の効果を阻害しない限り、通常使用されている範囲で使用すればよいが、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.005〜100重量部程度、より好ましくは0.01〜50重量部程度で使用される。
【0083】
特に、前記酸化防止剤は、本発明のジアセタール組成物の貯蔵安定性を向上させる効果も有している。該貯蔵安定性の向上を目的として当該酸化防止剤を使用する場合、その使用量は、上記成分(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.03〜3重量部である。
【0084】
かかる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系化合物、イオウ系酸化防止剤等が例示され、具体的には2,6−ジ−t−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が例示される。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが推奨される。
【0085】
これらポリオレフィン用改質剤を配合する場合、実用レベルで均一に混合できれば特に混合方法は限定されず、例えば上記のようにドライブレンドして均一な混合物を製造する方法が例示される。
【0086】
ポリオレフィン樹脂組成物
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、上記本発明のジアセタール組成物を単独でポリオレフィン樹脂に添加するか、又は、本発明のジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤を別個にポリオレフィン樹脂に添加するか、又は、本発明のジアセタール組成物及びポリオレフィン用改質剤からなるポリオレフィン樹脂用核剤をポリオレフィン樹脂に添加することにより製造することができる。
【0087】
例えば、次の方法が例示できる:
(a)ポリオレフィン樹脂(粉末、顆粒、フレーク又はペレット)と、本発明のジアセタール組成物及び必要に応じて上述のポリオレフィン樹脂用改質剤(或いは本発明のジアセタール組成物及びポリオレフィン用改質剤からなるポリオレフィン樹脂用核剤)とを、慣用の混合機、例えばヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー等を用いて混合してドライブレンドタイプのポリオレフィン樹脂組成物を製造する方法、
(b)このドライブレンドタイプのポリオレフィン樹脂組成物を、慣用の混練り機、例えば一軸又は二軸の押し出し機等を用いて、所望の温度で溶融混練し、押し出されたストランドを冷却し、次いで冷却されたストランドをカッティングしてペレットタイプのポリオレフィン樹脂組成物を製造する方法、
(c)ジアセタール組成物の含有量が高い(2〜15重量%程度)マスターバッチペレットタイプのポリオレフィン樹脂組成物を製造する方法。
【0088】
本発明のポリオレフィン樹脂組成物におけるジアセタール組成物含有量は、本発明の効果が得られる範囲内で適宜選択することができるが、通常、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.07〜1重量部であることが推奨される。この範囲内で有意な本発明の効果を得ることができる。
【0089】
本発明に係るポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂が例示される。
【0090】
具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、エチレン含量50重量%以上、好ましくは70重量%以上のエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン50重量%以上、好ましくは70重量%以上のプロピレンコポリマー、ブテンホモポリマー、ブテン含量50重量%以上、好ましくは70重量%以上のブテンコポリマー、メチルペンテンホモポリマー、メチルペンテン含量50重量%以上、好ましくは70重量%以上のメチルペンテンコポリマー、ポリブタジエン等が例示される。また、上記コポリマーはランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。更に、これらの樹脂の立体規則性がある場合は、アイソタクチックでもシンジオタクチックでもよい。
【0091】
上記コポリマーを構成し得るコモノマーとして、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等の炭素数2〜12のα−オレフィン、1,4−エンドメチレンシクロヘキセン等のビシクロ型モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等が例示できる。
【0092】
かかる重合体を製造するために適用される触媒としては、一般に使用されているチーグラー・ナッタ型触媒はもちろん、遷移金属化合物(例えば、三塩化チタン、四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物)を塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウムを主成分とする担体に担持してなる触媒と、アルキルアルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等)とを組み合わせてなる触媒系やメタロセン触媒も使用できる。
【0093】
本発明に係るポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(以下「MFR」と略記する。JIS K 7210−1999)は、その適用する成形方法により適宜選択されるが、通常0.01〜200g/10分、好ましくは0.05〜100g/10分が推奨される。
【0094】
必要に応じて、本発明のポリオレフィン樹脂組成物には、使用目的やその用途に応じて、適宜上述の従来公知のポリオレフィン樹脂用改質剤を本発明の効果が損なわない範囲で添加することもできる。又、該改質剤の使用に際し、該改質剤が上記本発明のポリオレフィン樹脂用核剤に含有している場合、その使用量を調整することが好ましい。
【0095】
かくして得られる本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、成形加工時のアルデヒドの発生並びに最終成形品中のアルデヒド臭気及び味の移行性が抑制され、かつ、透明性等に優れたポリオレフィン樹脂成形体を製造できる新規有用なポリオレフィン樹脂組成物である。
【0096】
従って、本発明は、一般式(1)で表されるジアセタールを含有するポリオレフィン樹脂組成物における、該ジアセタールから発生する臭気を抑制する方法、又は該ジアセタールの熱分解によるアルデヒド発生の抑制方法であって、上記本発明のジアセタール組成物を単独でポリオレフィン樹脂に添加するか、又は、本発明のジアセタール組成物とポリオレフィン用改質剤を別個にポリオレフィン樹脂に添加するか、又は、本発明のジアセタール組成物及びポリオレフィン用改質剤からなるポリオレフィン樹脂用核剤をポリオレフィン樹脂に添加することを特徴とする方法を提供するものでもある。
【0097】
同様に、本発明は、一般式(1)で表されるジアセタールを含有するポリオレフィン樹脂組成物において、該ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性を抑制するための、又は該ジアセタールの熱分解によるアルデヒド発生の抑制のための、上記本発明のジアセタール組成物又はポリオレフィン樹脂用核剤の使用を提供するものでもある。
【0098】
アルデヒド発生の抑制方法又はアルデヒド発生の抑制のための使用におけるジアセタール組成物の使用量は、本発明の効果が得られる範囲内で適宜選択することができるが、通常、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.07〜1重量部であることが推奨される。
【0099】
ポリオレフィン樹脂成形体
本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、上記本発明のポリオレフィン樹脂組成物を慣用されている成形法に従って成形することにより得られる。本発明に係る樹脂組成物を成形するに際しては、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれも採用できる。成形条件としては、従来採用されている条件が広い範囲から適宜選択できる。
【0100】
本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、従来、ジアセタールを核剤として配合してなるポリオレフィン樹脂組成物が用いられてきたと同様の分野において適用され、成形体とされる。必要であれば、前記ポリオレフィン樹脂用改質剤を添加してもよい。
【0101】
従来のジアセタールを含有する樹脂組成物から成形された成形体に比し、上記本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、成形加工時のアルデヒド類の発生が抑制されるため、成形加工時に臭気の発生が少ない。
【0102】
従って、本発明は、本発明のジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とからなる核剤をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とを別個にポリオレフィン樹脂に配合し、得られる樹脂組成物を成形することを特徴とする、ポリオレフィン樹脂成形時にジアセタールから発生するアルデヒド由来の臭気を抑制する方法を提供するものでもある。
【0103】
また、本発明成形体は、アルデヒド類の量が大幅に低減されているため、アルデヒド類に起因する臭気及び味の移行性が低減されている。しかも、本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、透明性にも優れている。
【0104】
特に、容器又は包装材の形態を有する本発明の成形体は、食品、化粧品又は医薬品等の容器又は包装材として有用である。従って、本発明は、食品、化粧品又は医薬品の容器又は包装材であって、本発明のポリオレフィン樹脂成形体から構成されており、ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性が抑制されていることを特徴とする容器又は包装材を提供するものでもある。
【0105】
このように、本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、食品包装材及び食品容器、化粧品容器、医薬品容器等の分野で特に有利に使用することができる。勿論、他の分野に使用することも可能である。より具体的には、熱や放射線等により滅菌されるディスポーザブル注射器、輸液・輸血セット、採血器具等の医療用器具類;放射線等により滅菌される食品・植物等の包装物;衣料ケースや衣料保存用コンテナ等の各種ケース類;食品を熱充填するためのカップ、レトルト食品の包装容器;電子レンジ用容器;ジュース、茶等の飲料用、化粧品用、医薬品用、シャンプー用等の缶、ビン等の容器;味噌、醤油等の調味料用容器及びキャップ;水、米、パン、漬物等の食品用ケース及び容器として有用である。更に、本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、冷蔵庫用ケース等の雑貨;文具;電気・機械部品;自動車用部品等の素材としても好適である。
【0106】
また、上記のように、本発明のポリオレフィン樹脂成形体を食品、飲料、化粧品又は医薬品の容器又は包装材として使用すると、ジアセタールから発生する臭気及び味が、当該容器又は包装材から、収容されている食品、飲料、化粧品又は医薬品へと移行することが抑制される。従って、本発明は、本発明のジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とからなる核剤をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とを別個にポリオレフィン樹脂に配合し、得られる樹脂組成物を成形することにより得られる包装材又は容器に、食品、飲料、化粧品、医薬品等の内容物を収容することを特徴とする、ジアセタールから発生する臭気及び味の、該内容物への移行を抑制する方法を提供するものでもある。
【0107】
本発明のポリオレフィン樹脂成形体におけるジアセタール組成物の使用量は、本発明の効果が得られる範囲内で適宜選択することができるが、通常、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.07〜1重量部であることが推奨される。
【実施例】
【0108】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0109】
下記の実施例及び比較例において、乾式法によるポリオレフィン樹脂ペレットの臭気評価、結晶化温度(Tc)の測定方法、ヘイズ値の測定方法、乾式法による射出成形品の臭気評価、湿式法による射出成形品の臭気評価、射出成形品中のアルデヒド量および射出成形品の味覚評価は、以下の方法で行った。
【0110】
乾式法によるポリオレフィン樹脂ペレットの臭気評価
実施例及び比較例で得られたポリオレフィン樹脂ペレット(樹脂組成物)60gを225mlのガラス瓶中に密封し、所定温度の恒温槽に2時間放置した後、室温まで冷却した。冷却後、直ちに10名のパネラーにより、臭気の強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。臭気評価の数値が低いほど、臭気移行性が小さい。
【0111】
尚、前記所定温度とは、実施例1〜11及び比較例1〜7においては80℃、実施例12,13及び比較例8〜11においては40℃である。
【0112】
乾式法による射出成形品の臭気評価
実施例及び比較例において射出成形により得られた試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、所定温度の恒温槽に2時間放置した後、室温まで冷却した。冷却後、直ちに10名のパネラーにより、臭気の強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で臭気評価した。臭気評価の数値が低いほど、臭気移行性が小さい。
【0113】
尚、前記所定温度とは、「乾式法によるポリオレフィン樹脂ペレットの臭気評価」における所定温度と同義である。
【0114】
湿式法による射出成形品の臭気評価
実施例及び比較例において射出成形により得られた試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封し、所定温度の恒温槽中に2時間放置後、室温まで冷却し、得られた水溶液を評価用サンプルとした。
【0115】
評価用サンプル調製後直ちに、10名のパネラーにより、臭気の強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で臭気評価した。臭気評価の数値が低いほど、臭気移行性が小さい。
【0116】
尚、前記所定温度とは、「乾式法によるポリオレフィン樹脂ペレットの臭気評価」における所定温度と同義である。
【0117】
射出成形品中のアルデヒド量
上記評価用サンプルに含有されているアルデヒド量を、高速液体クロマトグラフィーを用いて定量した。アルデヒド量は、μg/PPg、即ち試験片1g当たりのマイクログラム数に換算して表した。測定値が小さいほど、射出成型品中に含まれるアルデヒド量が少ない。
【0118】
射出成形品の味覚評価
上記評価用サンプル10mlをガラス製のコップに入れ、10名のパネラーにより味覚評価を行なった。実施例1〜8、10、11及び比較例1〜4で得られた評価用サンプルの味覚評価は、対照サンプルである比較例6の評価用サンプルと対比して行い、また、実施例9及び比較例5で得られた評価用サンプルの味覚評価は、対照サンプルである比較例7の評価用サンプルと対比して行った。判定基準は、0ポイント=対照サンプルと全く違わない、1ポイント=対照サンプルと僅かに違う、2ポイント=対照サンプルとはっきり違うとし、10名のポイント合計値で表した。味覚評価の数値が低いほど、味移行性が小さい。
【0119】
結晶化温度(Tc)の測定方法
実施例及び比較例において射出成形により得られた試験片の結晶化温度を、示差走査熱量計(商品名「DSC7」、パーキンエルマー社製)を用いて、JIS K7121に準じて測定した。Tcが高い程、結晶化速度が速く、成形サイクル時間の短縮が可能である。
【0120】
ヘイズ値(%)の測定方法
実施例及び比較例において射出成形により得られた試験片(厚さ:1mm)のヘイズ値を、東洋精機製作所製のヘイズメータを用いて、JIS K7136(2000)に準じて測定した。得られた数値が小さい程、透明性に優れている。
【0121】
実施例1
(A)1,3:2,4−ビス−O−(p−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール(以下「Me−DBS」と略記する。)および(B)ソルビンタンモノパルミテートをメタノール(Me−DBSの6倍重量)中で還流条件下、1時間攪拌し、白色ペースト状の混合物を得た。上記成分(B)(ソルビタンモノパルミテート)は、成分(A)であるMe−DBSと成分(B)との合計量に対して、1重量%となる量で使用した。
【0122】
次いでメタノールを減圧下で大部分除去した後、133Pa、80℃の条件下で4時間真空乾燥させた。次に、該乾燥物を粉砕して、70メッシュの篩で篩い分けして、本発明の粉末状ジアセタール組成物(ポリオレフィン樹脂用核剤)を得た。
【0123】
エチレン含量3.0重量%のアイソタクチックランダムポリプロピレン樹脂(MFR=20g/10分、以下「r−PP」と略記する。)100重量部に、該ジアセタール組成物0.2重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名:イルガノックス1010、チバスペシャルティーケミカルズ社製)0.05重量部及びステアリン酸カルシウム0.05重量部をヘンシェルミキサーで乾式混合し、得られた乾式混合物を、樹脂温度240℃に設定した直径25mmの一軸押出機を用いて溶融混練してペレット化し、ペレット状の本発明のポリオレフィン樹脂組成物を得た。得られたペレットについて、乾式法による臭気評価を行い、その評価結果を表1に示した。
【0124】
次に、得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、本発明のポリオレフィン樹脂成形体(50mmx100mmx1mmサイズの試験片)を得た。
【0125】
得られた試験片について、乾式法及び湿式法による臭気評価、味覚評価、並びにアルデヒド量、結晶化温度(Tc)及びヘイズ値(%)の測定を行なった。それら評価結果を表1に示した。
【0126】
実施例2〜5
ソルビンタンモノパルミテートに代えて、表1に記載の成分(B)(ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)を用いた以外は実施例1と同様に行い、本発明のジアセタール組成物、ペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表1に示した。
【0127】
尚、表1に記載の「ポリオキシエチレン(EO6)モノステアレート」とは、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:6)モノステアレートを表し、「ポリオキシエチレン(EO20)トリステアレート」とは、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:20)トリステアレートを表す。
【0128】
実施例6
Me−DBSに代えて1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−ソルビトール(以下「DBS」と略記する。)を用いた以外は実施例2と同様に行い、本発明のジアセタール組成物、ペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表1に示した。
【0129】
実施例7
Me−DBSに代えて1,3:2,4−ビス−O−(p−エチルベンジリデン)−D−ソルビトール(以下「Et−DBS」と略記する。)を用いた以外は実施例2と同様に行い、本発明のジアセタール組成物、ペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表1に示した。
【0130】
実施例8
Me−DBSに代えて1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール(以下「3,4−DMDBS」と略記する。)を用いた以外は実施例2と同様に行い、本発明のジアセタール組成物、ペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表1に示した。
【0131】
実施例9
r−PPに代えてアイソタクチックホモポリプロピレン樹脂(MFR=30g/10分、以下「h−PP」と略記する。)を用いた以外は実施例2と同様に行い、本発明のジアセタール組成物、ペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表1に示した。
【0132】
実施例10及び11
本発明のジアセタール組成物中の成分(B)の使用量を表1に記載の量とする以外は実施例2と同様に行い、ペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表1に示した。
【0133】
比較例1〜4
本発明のジアセタール組成物に代えて、表2に記載の成分(A)のみからなる比較用核剤を使用する(即ち、成分(B)を使用しない)以外は実施例1と同様に行い、比較用のペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表2に示した。
【0134】
比較例5
本発明のジアセタール組成物に代えて、表2に記載の成分(A)のみからなる比較用核剤を使用し(即ち、成分(B)を使用せず)、且つ、r−PPに代えてh−PPを用いた以外は実施例1と同様に行い、比較用のペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表2に示した。
【0135】
比較例6
本発明のジアセタール組成物を用いない以外は実施例1と同様に行い、比較用のペレット状ポリオレフィン樹脂及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表2に示した。
【0136】
比較例7
本発明のジアセタール組成物を用いない以外は実施例9と同様に行い、比較用のペレット状ポリオレフィン樹脂及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表2に示した。
【0137】
【表1】

【0138】
【表2】

【0139】
実施例12
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度=0.926g/cm3、MFR=20g/10分、以下「LLDPE」と略記する。)100重量部に、実施例2で得られたジアセタール組成物0.2重量部及びステアリン酸カルシウム0.05重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、樹脂温度200℃に設定した直径25mmの一軸押出機を用いて溶融混練してペレット化して、ペレット状の本発明のポリオレフィン樹脂組成物を得た。得られたペレットの乾式による臭気評価を行い、その評価結果を表3に示した。
【0140】
次に、得られたペレットを樹脂温度200℃、金型温度30℃の条件下で射出成形し、本発明のポリオレフィン樹脂成形体(50mmx100mmx1mmサイズの試験片)を得た。得られた試験片について、乾式法による臭気評価、アルデヒド量、結晶化温度(Tc)及びヘイズ値(%)の測定を行なった。それら評価結果を表3に示した。但し、各臭気評価における恒温槽の温度は40℃である。
【0141】
実施例13
LLDPEに代えて高密度ポリエチレン樹脂(密度=0.967g/cm,MFR=6.7g/10分、以下「HDPE」と略記する。)を用いた以外は実施例12と同様に行い、本発明のジアセタール組成物、ペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表3に示した。
【0142】
比較例8
本発明のジアセタール組成物に代えて、表3に記載の成分(B)を添加していないMe−DBS(比較用核剤)を用いた以外は実施例12と同様に行い、比較用のペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表3に示した。
【0143】
比較例9
LLDPEに代えてHDPEを用いた以外は比較例8と同様に行い、比較用のペレット状ポリオレフィン樹脂組成物及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表3に示した。
【0144】
比較例10
本発明のジアセタール組成物を用いない以外は実施例12と同様に行い、比較用のペレット状ポリオレフィン樹脂及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表3に示した。
【0145】
比較例11
LLDPEに代えてHDPEを用いた以外は実施例12と同様に行い、比較用のペレット状ポリオレフィン樹脂及びポリオレフィン樹脂成形体を得た。それらの各評価項目を評価し、得られた評価結果を表3に示した。
【0146】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明のジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂用核剤として使用した場合、成形加工時のアルデヒド類の発生量及び最終成形品中に含まれるアルデヒド類の量が大幅に抑制され、臭気及び味の移行性が抑制され、しかも、透明性に優れたポリオレフィン樹脂成形体が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1)
【化1】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表される少なくとも1種のジアセタール、及び
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種
からなることを特徴とする粒状又は粉末状のジアセタール組成物。
【請求項2】
成分(B)の含有量が、成分(A)と成分(B)との合計量に対して、0.1〜10重量%である請求項1に記載の粒状又は粉末状のジアセタール組成物。
【請求項3】
成分(B)が、ソルビタンC8-C22脂肪酸モノエステル、ソルビタンC8-C22脂肪酸トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸モノエステル、及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸トリエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の粒状又は粉末状のジアセタール組成物。
【請求項4】
(a)請求項1〜3のいずれかに記載のジアセタール組成物又は
(b)請求項1〜3のいずれかに記載のジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤
からなることを特徴とするポリオレフィン樹脂用核剤。
【請求項5】
(a)請求項1〜3のいずれかに記載のジアセタール組成物及びポリオレフィン樹脂、又は
(b)請求項1〜3のいずれかに記載のジアセタール組成物、ポリオレフィン樹脂用改質剤及びポリオレフィン樹脂を含有し、
ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性が抑制されていることを特徴とするポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項6】
ジアセタール組成物を、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部含有する請求項5に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載のポリオレフィン樹脂組成物を成形してなり、ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性が抑制されていることを特徴とするポリオレフィン樹脂成形体。
【請求項8】
食品、飲料、化粧品又は医薬品の容器又は包装材であって、請求項7に記載のポリオレフィン樹脂成形体から構成されており、ジアセタールから発生する臭気及び味の移行性が抑制されていることを特徴とする容器又は包装材。
【請求項9】
(A)一般式(1)
【化2】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表されるジアセタールから発生する臭気及び味の移行性抑制剤であって、
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とするジアセタールの臭気および味移行抑制剤。
【請求項10】
成分(B)が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリミリステート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノミリステート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノベヘネート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリミリステート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリパルミテート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリベヘネート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリオレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載の臭気及び味の移行性抑制剤。
【請求項11】
(A)一般式(1)
【化3】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表される少なくとも1種のジアセタールの熱分解によるアルデヒド発生の抑制方法であって、
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を一般式(1)で表されるジアセタールに添加することを特徴とする方法。
【請求項12】
成分(B)が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリミリステート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリイソステアレート、ソルビタントリベヘネート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノミリステート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノベヘネート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリラウレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリミリステート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリパルミテート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリベヘネート、ポリオキシエチレン(エチレンオキシド平均付加モル数:2〜30)ソルビタントリオレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(A)一般式(1)
【化4】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表される少なくとも1種のジアセタール、及び
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種
からなるジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、
該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とからなる核剤をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、
該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とを別個にポリオレフィン樹脂に配合し、
得られる樹脂組成物を成形することを特徴とする、ポリオレフィン樹脂成形時にジアセタールから発生する臭気を抑制する方法。
【請求項14】
ジアセタール組成物が、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部使用される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(A)一般式(1)
【化5】

[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、夫々1〜5の整数を示す。pは0又は1を示す。mが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、nが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。]
で表される少なくとも1種のジアセタール、及び
(B)ソルビタンC8-C22脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタンC8-C22脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種
からなるジアセタール組成物をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、
該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とからなる核剤をポリオレフィン樹脂に配合し、又は、
該ジアセタール組成物とポリオレフィン樹脂用改質剤とを別個にポリオレフィン樹脂に配合し、
得られる樹脂組成物を成形することにより得られる包装材又は容器に、内容物を収容することを特徴とする、ジアセタールから発生する臭気及び味の、該内容物への移行を抑制する方法。
【請求項16】
内容物が、食品、飲料、化粧品、医薬品からなる群から選ばれる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ジアセタール組成物が、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部使用される請求項15に記載の方法。

【公開番号】特開2007−22924(P2007−22924A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202825(P2005−202825)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】