ジアゾメチル官能基を持つピリジン核を有する標識化試薬、該試薬の合成方法および生体分子の検出方法
式(C)または(D)
[式中、
・R1は、特に検出可能な標識を表し、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・Lは、リンカーアームである]
により表される標識化試薬。
本発明はまた、標識化試薬の合成、生体分子の標識化方法、前記方法により得られた標識された生体分子、一本鎖または二本鎖核酸の標識化および断片化の方法、前記方法により得ることが可能な標識された核酸、標識された核酸を含有する標的核酸を検出するためのキット、試薬が結合された固体支持体および核酸を捕捉するための方法に関する。
本発明は、診断分野に好ましく適用される。
[式中、
・R1は、特に検出可能な標識を表し、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・Lは、リンカーアームである]
により表される標識化試薬。
本発明はまた、標識化試薬の合成、生体分子の標識化方法、前記方法により得られた標識された生体分子、一本鎖または二本鎖核酸の標識化および断片化の方法、前記方法により得ることが可能な標識された核酸、標識された核酸を含有する標的核酸を検出するためのキット、試薬が結合された固体支持体および核酸を捕捉するための方法に関する。
本発明は、診断分野に好ましく適用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体分子を標識するための新規試薬、前記試薬を合成する方法、また、特に核酸の検出および分析を使用する分子診断の分野において生体分子を標識するための適用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは天然もしくは増幅核酸を標識するための数多くの方法が存在することを示す。
【0003】
第1の方法は、標識を塩基に結合させることからなり、塩基は天然であるか修飾されている。第2の方法は、標識を糖に結合させることを提案しており、この場合にも、それは天然であるか修飾されている。第3の方法の主題は、標識をリン酸塩に結合させることである。
【0004】
塩基における標識は、直接的に標識されたヌクレオチドを取り込ませて核酸を標識する手法で特に使用されてきた。
【0005】
糖における標識は、化学合成により調製された核酸プローブの場合に使用されることが多い。
【0006】
リン酸塩における標識もまた、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、官能基化されたアームおよび標識を導入するために使用されてきた。
【0007】
実際には、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体または核酸の標識を行わなければならない当業者は、この結合を非常に簡単で、多数の選択肢がある塩基または糖に対して行う傾向がある。このことは、塩基に関しては、欧州特許出願0329198号、欧州特許出願第0302175号、欧州特許出願第0097373号、欧州特許出願第0063879号、米国特許出願第5449767号、米国特許出願第第5328824号、国際特許出願第WO93/16094号、ドイツ特許出願第3910151号、欧州特許出願第0567841号、または糖に関しては、欧州特許出願第0286898号などの数多くの文献の研究からも明らかである。
【0008】
リン酸塩への標識の結合は、塩基または糖を官能基化させることからなる技術よりも複雑な技術であり、特に、リン酸塩は反応性が低いことから、使われることは少なかった(例えば、Jencks W.P.ら,J.Amer.Chem.Soc.,82,1778−1785,1960参照)。同様に、オリゴヌクレオチド断片にプローブを導入するための方法に関連する、O‘DonnelおよびMcLaughlinによる総説(「Bioorganic Chemistry: Nucleic Acids」、Hecht S.M.編、Oxford University Press、1996の216−243頁、「Reporter groups for the analysis of nucleic acid structure」)では、ヌクレオチド間のリン酸ジエステルの効率的なアルキル化は、不可能であると考えられている。
【0009】
国際特許出願第WO99/65926号には、RNAを断片化し、末端のリン酸で標識することからなる、合成または天然リボ核酸(RNA)を標識する方法が記載されている。この文献は、官能基であるヒドロキシル、アミン、ヒドラジン、アルコキシアミン、ハロゲン化アルキルおよびベンジル型ハロゲン化アルキルおよび、特に5−(ブロモメチル)フルオレセイン誘導体のような、断片化に組み合わせて標識に使用することができるいくつかの官能基について記載している。これらの官能基により、核酸を標識することができるが、この標識は、断片化の間に解放されたリン酸塩で生じるので、効率的な標識のためには、断片化の工程を有する必要がある。さらに、効率的な標識を得るためには、RNAに対して非常に過剰な標識化試薬を加える必要があり、過剰な標識により生じる、検出中のバックグラウンドノイズの問題が生じる。最後に、この方法は、二本鎖DNAでは効率的に作用しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、標識率については効率的で、標識位置に関しては特異的であり、特に、DNAおよびRNAの両方に使用することができる、水素結合を介する二重らせんの形成に関与する塩基のハイブリダイゼーション特性に影響を及ぼさず、最後に、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、天然の核酸または転写、逆転写または酵素増幅により調製されたものでも等しく標識することができる、新規の試薬が必要とされている。
【0011】
本出願人は、上述の条件を満たし、標識のための反応性官能基としてジアゾメチル官能基を使用するこの種の新規標識を既に提案している。これは、例えば、国際特許出願第WO02/090319、WO02/090584およびWO2005/092910のケースである。
【0012】
従って、ジアゾメチル官能基(式:−C(N2)−)はリン酸塩基のアルキル化に既に使用されているが、いくらかの問題が生じる。一つには、少なくとも1つのジアゾ官能基を包含する試薬は、一般的にそれ自身不安定であり、標識化キットにこれらの試薬を使用すると問題を引き起こし、標識生成物の官能基が任意のサンプル中の標的生体分子の存在を証明するためのものである場合には、不利である。
【0013】
最後に、ジアゾメチル官能基を持つ試薬は、その安定性を確保するためにフェニル型の芳香族核により、ビオチンなどの特定の標識に連結される。芳香族核の存在および標識の性質によりこれらの試薬は水に難溶性となり、水または水性緩衝液にのみ溶解する生体分子に結合するために、水と混和性の有機溶媒を使用することになる。しかし、これらの溶媒は、標識化反応にあまりに高い濃度で使用されると、生体分子の沈殿を引き起こすことがある。さらに、一体型装置による標識プロトコルの自動化のためには、有機溶媒を含有しない緩衝液中で標識化試薬を凍結乾燥することが不可欠である。有機溶媒は凍結乾燥に適合しない。従って、水性溶媒に十分可溶で、安定である標識化試薬を入手できる必要がある。
【0014】
上記の文献、国際特許出願第WO02/090319およびWO02/090584(第一世代分子)およびWO2005/092910(第二世代分子)に提唱されている標識化試薬は、これらの技術上の問題を解決するものでもある。
【0015】
これらの分子は、結果として次のような欠点を有する。
‐化学的に不安定であり、4℃で溶液又は乾燥としておく必要があり、
‐合成が比較的複雑であり、
‐水性溶液に難溶性である。
【0016】
これらの欠点にもかかわらず、これらの分子は、特に当業者にとって興味深く魅力的である。それらの物理的または化学的特徴を改良することがいかなる場合でも可能であり、これは、国際特許出願第WO2009/001017に開示されているような、より安定で、かつ合成がより簡単な分子である第三世代の分子の開発において最重要点であった。
【0017】
この解決策の開始により、第一および第二世代分子の安定性の問題に立ち向かうことが可能になったが、その溶解度は、第二世代分子のそれ(100%の水に0.3mM)よりわずかに良くなったに過ぎない。しかし、それはともかくとして、本出願人は、この方向に沿って、第三世代分子(溶解度は100%の水に対して2〜28mMである)よりさらに溶解性が高く、我々の以前の発明中で既に説明した分子と同等またはそれ以上の安定性を有する新しい型の分子の説明を続ける。
【0018】
上に開示されたこれら4つの文献は、先の三世代の分子について述べており、これらはいずれも環の近くのジアゾメチル官能基の存在に基づいている。不注意な省略により、本発明を開示している本文中で見落としているかもしれない説明を補充するために、これら4つの文献を参照することを読者に要請する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、新規発明は、ジアゾメチル官能基アルファへのピリジン核の導入を提案し、認識基は、アルファ’位またはピリジン環上である(図2参照、分子10または分子19)。第四世代分子は、安定性と溶解性の組み合わせの最良のプロファイルを提案する。
【0020】
これにより、以下が分子に付与される。
1)4℃で乾燥状態または室温で溶液状態において、ニトロDKS以上またはこれと同等の化学的安定性。この特性は、第三世代分子のニトロアリール基と同様に、注目すべき方法によりジアゾ官能基を安定化するピリジン核の電子求引性によるものである。
2)ピリジン核上の窒素原子の存在によるはるかに大きい溶解性。
3)核酸を標識する市販の方法よりも高い核酸との反応性。
【0021】
本発明は、既存の分子を著しく改善する。実際、第一および第二世代分子は、それ以前に存在したものに比較して、この点について既に改良がなされているとはいえ、化学的に不安定であるという欠点を有している。得られた結果は4℃で1年間保存した後であっても非常に良好であるので、従って、標識化は非常に効果的に存続する。さらに、これらの合成は比較的複雑さを残している。第三世代分子は、いっそう安定性が高く、その合成もより簡単であり、これらの分子を含有するキットの有効期限や合成の工業化において、非常に有利である。
【0022】
第一および第二世代分子は、無水有機溶媒中で低温保存された場合、1年間は機能的に安定である。第三世代分子は、液体溶媒中または乾燥状態のいずれにおいても機能的および化学的にいっそう安定である。従ってこれを、例えば乾燥または凍結乾燥により、非常に長期間(10〜100倍長く)乾燥状態で保存した後に、水性溶媒中で取り扱うことができるが、凍結乾燥に対して不安定である第一および第二世代分子ではそうではない。
【0023】
第三世代分子の工業的改善は、特に、問題が生じた場合に、所定の試薬の安定性に悪影響を与えることなく、配備された化学的性質が非常に効果的で強固でなければならない一体型装置またはマイクロシステムにおいて重要である。
【0024】
最後に、上記第一および第二世代分子は、水性溶液への溶解性が乏しいので、反応を開始する前にこれら分子を適切に溶解しなければならない使用者にとって、非常に厄介である。
【0025】
しかし、これらの分子および標識化方法が効果的であるとしても、標識化の有効性をさらに改善する第三世代の新しい分子およびそれら分子の新しい標識化方法により、出願人は、第一および第二世代分子の安定性の問題の解決法を見出すことに成功した。
【0026】
しかし、これら分子の世代が第一から第三のいずれであっても、その溶解性に乏しいという点にもう一つの問題がある。従って、2つの新規な分子官能性を結合し、これら新規な試薬を作成した。それらは以下のように定義される。すなわち、
・ジアゾメチル官能基は、そのアルファ位に、それ自体はメタ、パラまたはオルト位において単一または複数の一種以上の基で置換可能なピリジン環を有し、
・ジアゾ官能基は、
‐第三世代の分子として、ビオチンまたは他の検出可能な基である、検出を可能にする基をアルファ’位に有し、
‐第一および第二世代分子では環、すなわち、本件ではピリジン環、に担持されている検出可能な基を担持していない。
第四世代の分子は、第三世代の分子と同程度の安定性と反応性を有するが、その溶解度は、その電子求引機能によりジアゾメチル官能基を同様に安定化するピリジン核の存在により改良されることに留意すべきである。
【0027】
「多量体構造」、「検出可能な標識」、「間接システム」、「蛍光色素分子」、および他の関心の対象である標識剤、「共役」、「生体分子」、「核酸」、「酵素増幅法」、「実質的に水性溶液」、「均一溶液」、「固体支持体」および「精製工程」の定義は、特許出願WO2005/092910に記載されており、読者は必要に応じてこれを参照することが求められる。
【0028】
同様に、次の技術、
・グラフト化化学、および
・核酸の3’または5’末端へのリン酸塩の導入
も、上記特許出願に記載されており、読者は本発明を完全に理解するために必要な情報の全てをその文書中に見出すことができる。
【0029】
さらに、これら第三世代の分子に担持されるジアゾメチル官能基は、第一および第二世代の分子と同様、核酸を支持体上に共有結合的に接合することを可能にする。特に吸着に比較して、接合は簡単で、連結は安定であり、核酸の固体支持体上への結合を可能にし、立体障害を減じてその後のハイブリダイゼーション工程をさらに促進する。
【0030】
第四世代として説明されるこの新しい分子族は、ピリジンジアゾケトンビオチン(PyDKB)またはピリジンジアゾビオチン(PyDB)と称され、それぞれ式(C)のPyDKBおよび式(D)のPyDB(下記参照)である比較的熱的に安定な標識化試薬により表される。
【0031】
第1の実施態様によれば、本発明は式(C):
[式中、
・R1は、検出可能な標識または少なくも1つの多量体構造によって連結された少なくとも2つの検出可能な標識を表し、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・Lは、少なくとも2つの共有結合を有する直鎖を含むリンカーアームである]
により表される標識化試薬を提供する。
【0032】
第2の実施態様によれば、本発明は式(D):
[式中、
・R1は、検出可能な標識または少なくも1つの多量体構造によって連結された少なくとも2つの検出可能な標識を表し、
・R2は、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・Lは、少なくとも2つの共有結合を有する直鎖を有するリンカーアームである]
により表される標識化試薬を提供する。
【0033】
標識R1とジアゾメチル官能基を同時に持つアームの位置(式C)は、ピリジン核の窒素原子の位置に関してパラ、メタまたはオルト位である。好ましくは、このアームは、ピリジン核の窒素原子の位置に関してパラ位である。
【0034】
標識R1を担持するアームの位置またはジアゾメチル官能基を担持するアームの位置(式D)は、互いに独立であり、ピリジン核の窒素原子の位置に関してパラ、メタまたはオルト位である。好ましくは、ジアゾメチル官能基を担持するアームは、ピリジン核の窒素原子の位置に関してパラ位であり、その際、標識R1を担持する上記アームはピリジン核の上記窒素原子の位置に関してオルト位である。
【0035】
好ましくは、R2および/またはR3はジアゾ官能基に関してメタ位である。この位置で、ジアゾメチル官能基が置換基R2および/またはR3と共役することができる。
【0036】
本発明での意味として、アルキル基は次のように理解される。すなわち、鎖状または、アルキル鎖が少なくとも3個の炭素原子を有する場合には、分岐状または環状の、1〜6個の炭素原子(望ましくは、1〜2、1〜3または1〜4個の炭素原子)を有する飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、メチルシクロプロピル、ペンチル、2,2‐ジメチルプロピル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基が挙げられる。
【0037】
本発明での意味として、アリール基は単環芳香族基を意味すると理解され、例えば、フェニル基である。
【0038】
第1の実施態様の第1の変形例によれば、本発明は式(E):
[式中、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHR、COORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・nは、1〜12、好ましくは1〜6の整数である]
により表される標識化試薬を提供する。
【0039】
第2の実施態様の第1の変形例によれば、本発明は式(F):
[式中、
・R2は、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・−Y−X−は、−CH2NH−、−CONH−、−NHCO−、−CH2O−または−CH2S−を表し、
・m、nおよびpは、互いに独立であり、1〜12、好ましくは1〜6の整数である]の標識化試薬を提供する。
【0040】
第1の実施態様の第2の変形例によれば、本発明は式(G):
により表される標識化試薬を提供する。
【0041】
第2の実施態様の第2の変形例によれば、本発明は式(H):
により表される標識化試薬を提供する。
【0042】
いずれの実施態様またはそれらの変形例であっても、上に開示された本発明による試薬は、好ましくは式(I):
により表されるD−ビオチン残基で構成されている基R1を含有する。
【0043】
本発明はまた、標識化試薬の合成方法に関し、上に開示されたように、以下の工程を有する(PyDKB型分子):
a)芳香族カルボン酸誘導体をラクトンのエノラートに反応させて(クライゼン型反応)環状前駆体を形成し、
b)次いで、環状前駆体をハロゲン酸で開環しハロゲン化芳香族ケトンを形成し、
c)ハロゲン化芳香族ケトンのカルボニル官能基を保護基によって保護し、被保護前駆体を形成し、
d)被保護前駆体を(ガブリエル型の)アミノ化反応に供し、アミノ化前駆体を形成し、
e)アミノ化前駆体を脱保護してアミン官能基を解放させ、前記アミン官能基を検出可能な標識と反応させて、そのカルボキシル官能基を活性化し、検出可能な標識を含有する前駆体を形成し、
f)標識された前駆体にカルボニル官能基の脱保護の反応をさせて、標識されたカルボニル含有前駆体を形成し、最後に
g)カルボニル官能基をジアゾ官能基に変換して、上述のように、標識されたカルボニル含有前駆体を標識化試薬に変換する。
【0044】
PyDB型分子の合成に関しては、その工程は以下のようである:
a)芳香族ジカルボン酸をエステル化してジエステルを形成し、
b)このジエステルを単一保護されたアミノ化エチレングリコール由来の化合物で位置選択的に置換し、カルボキシル官能基とアミン官能基が保護された前駆体を形成し、
c)次いで、前駆体を還元してアルコールとし、かつ酸化してアルデヒドとし、
d)工程c)で合成されたアルデヒドを、アミン官能基を脱保護しながら同時にこの官能基を保護するために酸処理に供してアミノ化アセタールとし、
e)アミノ化アセタールを活性化された検出可能な標識のカルボキシル官能基と反応させて、検出可能な標識を含有する前駆体を形成し、
f)標識された前駆体をカルボニル官能基の脱保護の反応に供し、標識されたカルボニル含有前駆体を形成し、最後に
g)バンフォード・スティーブンス反応によりカルボニル官能基をジアゾ官能基に変換して、上述のように、標識されたカルボニル含有前駆体を標識化試薬に変換する。
【0045】
本発明はさらに、生体分子、特に核酸、を標識する方法に関し、該方法は、生体分子と試薬を均一な溶液中、実質的に水性の緩衝液中で接触させることを含む。
【0046】
本発明はまた、生体分子を標識する上記方法により得られる、標識された分子を提案する。
【0047】
本発明はまた、一本鎖または二本鎖核酸を標識化し、断片化する、以下の工程を有する方法に関する。すなわち、
・核酸を断片化し、
・上記試薬から選択された標識化試薬を用いて少なくとも1つの断片上に標識を結合させる。
この試薬は、共有結合的に主として上記断片の少なくとも1つのリン酸塩上に連結する。リン酸塩に結合させるこのような技術は、例えば、図1に示される。
【0048】
第1の実施変形例においては、上記方法は、断片化および標識化が2工程で行われることを特徴とする。
【0049】
第2の実施変形例においては、上記方法は、断片化および標識化が1工程で行われることを特徴とする。
【0050】
いずれの実施変形例においても、上記方法は、標識化が実質的に水性の均一な溶液中で行われることを特徴とする。
【0051】
いずれの実施変形例においても、上記方法は、断片化が酵素的、物理的または化学的手段により行われることを特徴とする。
【0052】
上述の方法は、出願人がこれらの方法により取得することが可能な標識された核酸を特許請求する権利も与える。
【0053】
本発明はさらに、上述のように、標識された核酸を含有する標的核酸を検出するためのキットに関する。
【0054】
本発明はまた、上述のように、試薬が結合している固体支持体に関する。
【0055】
最後に、本発明は、核酸を捕獲するための、以下の工程を有する方法に関する。すなわち、
・直接的または間接的に、少なくとも一つの上述の生体分子または上述の核酸であって、ジアゾメチル官能基を有する生体分子または核酸を結合させた固体支持体を使用し、
・これを、遊離核酸を含有し得る生体サンプルと接触させ、そして
・少なくとも1つの核酸に分子が共有結合する前記固体支持体を洗浄する。
【0056】
これらの第四世代のDKB分子は、リンカーと称されるスペーサアームLと、ビオチン、ハプテン、蛍光色素分子、蛍光基、発光基などの検出可能な基から構成されうる標識R1とを担持する。
【0057】
Lは少なくとも2つの共有結合からなる直鎖を有するリンカーアームであり、nは1に等しい整数である。有利には、前述の実施態様または変形例のいずれの試薬においても、Lは、1〜20回、好ましくは1〜12回、さらに好ましくは2〜6回繰り返される、−(O−CH2−CH2)−部分を含んでいる。
【0058】
添付の実施例および図面は特定の実施形態を表したものであり、本発明の範囲を限定するものとは見なされない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による分子による、RNAまたはDNAの形態の一本鎖核酸の標識化を示す、反応概略図を表す。
【図2】本特許出願において使用された分子の概略図を示す。
【図3】PyDB(分子10)の分子の合成方法の反応概略図を表す。
【図4】PyDKB(分子19)の分子の合成方法の反応概略図を表す。
【図5】液体媒体中での比較における、特許出願WO−A−02/090319に記載されている第二世代[ビオ−EG3]2−PDAM(以下、BBPと称する)分子に対する、PyDBおよびPyDKB分子の安定性を表す。
【図6】乾燥状態での比較における、第二世代BBP分子に対する、2つの第四世代分子、PyDBおよびPyDKBの安定性を表す。
【図7】標識BBPおよびPyDBを各45mMの濃度で使用した際の、RNAアンプリコンの精製後の標識化の結果を示す。
【図8】3mMのHCl存在下で標識BBPおよびPyDBを各2mMの濃度で使用した際の、RNAアンプリコンの未精製での標識化の結果を示す。
【図9】2.5mMの濃度で、ハイブリダイゼーションを24時間行った際の、標識PyDBまたはBBPで標識されたRNAアンプリコンの標識化の安定性を表す。
【図10】Kreatech(Amsterdam、オランダ)の汎用標識システム(ULS)または本発明に従うもの、どちらかの使用した標識化技術に応じたRNAアンプリコンの標識化の有効性の比較を示す。
【図11】HPLCにより決定された、2つの第四世代の分子(PyDBおよびPyDKB)に対する、2つの第三世代分子(メタニトロDKBおよびパラニトロDKB)の水性溶媒中での比較溶解性を示す。
【0060】
図面および明細書中で、「比較蛍光」と「RFU」とは、同一である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下に示す実施例において、以下の略語を使用している。
・Ar:芳香族
・s:一重項
・bs:広い一重項
・d:二重項
・dd:二重二重項
・t:三重項
・q:四重項:
・qu:五重項
・m:マウンド
・M:多重項
・HPLC:高速液体クロマトグラフィー
・TLC:薄層クロマトグラフィー
・NMR:核磁気共鳴
・Yld:収率
・Eq:当量
・RfまたはTR:保持時間
・DMSO−d6:重水素ジメチルスルホキシド
・DMCF:ギ酸ジメチルシクロヘキシルアンモニウム
・CDCl3:重水素クロロホルム
・DMF:ジメチルホルムアミド
・DCM:ジクロロメタン
・MeOH:メタノール
・ACN:アセトニトリル
・AcOEt:エチルアセテート
・MilliQ water:超純水(ミリポア、Molsheim、フランス)
・DMAC:ジメチルアミノ桂皮アルデヒド
・Si60:シリカゲル60FLUKA(40〜63μm)
・UV:紫外線
【実施例】
【0062】
下記(実施例1、2、3、4および9)化合物の分析および合成の一般的な条件を以下に示す。
機器:
HPLC条件(システム HPLC WATERS Alliance 2795、ダイオードアレイ検出器 PDA996、ソフトウェア Empowerバージョン2、カラム WATERS XTerra MS C18,4.6×30mm、2.5μM)、流速1mL/分、30℃(260nmで検出)
HPLC塩基性法:
溶離液A:ミリQ水
溶離液B:ACN
溶離液C:500mMアンモニア水、pH12
即ち、20分間で1%から64%の直線濃度勾配のアセトニトリル(一定の5mMのアンモニア水、pH=9)。
HPLC中性法:
溶離液A:ミリQ水
溶離液C:ACN
溶離液D:500mMギ酸アンモニア溶液、pH7
即ち、10mMのギ酸アンモニア溶液中、20分間で1%から64%の直線濃度勾配の(溶離液)C。
合成:
薄層クロマトグラフィー分析は、ALUGRAM(登録商標)MACHEREY−NAGEL SIL G/UV2544×8cm(Duren、ドイツ)シリカプレート上で254nmで紫外線検出、またはビオチニル化生成物に対してはDMACにより行った。
生成物はシリカゲル60FLUKA(40〜63μm)上クロマトグラフィーにより精製した。「フラッシュ」クロマトグラフィー(アルゴン圧下)による分離の条件は、Clark Stillら(Clark Still,W.;Kahn,M.;Mitra,A.J.Org.Chem.1978,43,2923−2925)に記載されている条件を厳密に順守する。すなわち、シリカの高さを15cmに固定し、流速が5cm/分になるように圧力をかけ、精製する生成物の量およびRfに基づいてカラムの直径を決める。
実施例1では、NMRスペクトルをブルカー200MHz分光計に記録した。化学シフト(δ)は、内部標準(CDCl3:7.24ppm;DMSO−d6:2.49ppm;D2O:4.80ppm、25℃)としての溶媒ピークに対するppmとして与えられる。スペクトルは上記略語:s、d、t、q、qu、mおよびMにより記載する。結合定数(J)はヘルツ(Hz)により表わす。
実施例2では、1Hおよび13CNMRスペクトルは室温でブルカーAC200またはブルカーDPX300分光計で行った。化学シフト(δ)は、テトラメチルシランに対するppmとして示され、CHCl3(δH=7.27、δC=77.0)またはDMSO(δH=2.52、δC=40.0)に対して標準化する。結合定数(J)はヘルツ(Hz)により表現する。シグナルの形は次のように略記される:bsまたはdd。
マススペクトル:
マススペクトル(SM)は、2〜10μL/分で石英管を通して注入することにより、ポジティブモードでの電子スプレーイオン化法によりLCQイオントラップ型機器(Thermofinnigan,San Jose,CA,米国)を使って得た。主要な溶媒としてDCMおよびMeOHを使用した。
【0063】
実施例1
ピリジンジアゾビオチン(PyDB)の合成
目的:
下記の反応概略図に従って、ジアゾメチル官能基に対してアルファであり、芳香環に認識基を有するピリジン核を含有する分子の合成の実現可能性を実証する。
【0064】
手順:
→ジメチルピリジン−2,4−ジカルボキシレート(2)
PCl5(39g;0.186M;3当量)およびピリジン−2,4−ジカルボン酸(11.5g;6.2×10−2M)を500mLのフラスコに入れる。混合物を室温で45分攪拌し、緑色の液を形成する。次いで、ジクロロメタン(80mL)で希釈した後、メタノール(20mL)を慎重に添加する。全体を60gのNaHCO3を含有する水H2O(300mL)に注ぎ、水相をジクロロメタン(4×50mL)で洗浄し、有機相を1MのNa2CO3(2×50mL)で洗浄する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:75:25 AcOEt/シクロヘキサン)で精製する。
固体:m=11.71g
収率:96%
保存:室温
1H NMR(200MHz,CDCl3):4.03(s,3H,−OMe);4.09(s,3H,−OMe);8.07(dd,J=6Hz,1H,H3);8.68(s,1H,H5);8.91(d,J=4.6Hz,1H,H2)
13CNMR(75MHz,CDCl3):53.28(C8,C10);124.49(C5);126.29(C3);138.64(C4);149.06(C6);150.92(C2);162.45(C7);164.96(C9)
【0065】
→メチル2−{N−[13−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−4,7,10−トリオキサ−トリデシル]アミノカルボニル}ピリジン−4−カルボキシレート(3)
トルエン(3mL)中のジエステル2(2.25g;1.1×10−2M)を25mLのフラスコに入れる。次いで、Boc−ジアミン(3.7g;1.2×10−2M;1.1当量)を混合物に添加し、90℃で20時間攪拌する。トルエンを蒸発させた後、粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液勾配:10,20および30%ジクロロメタン/アセトン)により精製する。
透明な油:m=2.9g
収率:55%
保存:室温
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.42(s,9H,−Boc);1.74(q,2H,H9);1.92(q,2H,H16);3.21(q,2H,H8);3.61(m,16H,H10−H11−H12−H13−H14−H15−H17);3.97(s,3H,−OMe);5.01(m,1H,N−H);7.96(d,1H,H5);8.35(s+d,2H,H3+H2);8.69(m,1H,N−H)
13CNMR(75MHz,CDCl3):28.63(C20−C21−C22);29.30(C16);29.74(C9);37.55(C17);38.85(C8);53.02(C24);69.69(C10−C15−C11−C14);70.78(C12−C13);79.97(C19);121.60(C5);125.52(C3);139.08(C4);149.23(C2);151.76(C6);156.27(C18);163.65(C7);165.60(C23)
【0066】
→4−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−N−[13−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−4,7,10−トリオキサトリデシル]−カルボキサミド(4)
250mLのフラスコ中でモノエステル(2.73g;5.4×10−3M)をMeOH(20mL)に溶解する。混合物を氷浴により冷却し、NaBH4(1.32g;3.5×10−2M;6.5当量)を少しずつ添加する。混合物を30分間室温で攪拌する。
混合物をH2O(100mL)に希釈し、飽和NH4Clで中和した後、ジクロロメタン(4×100mL)で抽出する。有機相を合わせ、デシケーターで減圧下で一晩蒸発、乾燥させる。
透明な油:m=2.44g
収率:95%
保存:室温
1H NMR(200MHz,CDCl3):1.42(s,9H,−Boc);1.75(q,2H,H9);1.91(q,2H,H16);3.02(m,1H,OH);3.19(q,2H,H8);3.59(m,16H,H10−H11−H12−H13−H14−H15−H17);4.79(d,2H,H23);5.03(m,1H,N−H);7.47(d,1H,H3);8.15(s,1H,H5);8.39(m,1H,N−H);8.51(d,J=5Hz,1H,H2)
13CNMR(75MHz,CDCl3):28.77(C20−C21−C22);29.26(C16);30.07(C9);37.68(C17);39.01(C8);63.70(C23);69.42(C10−C15);70.39(C11−C14−C12−C13);79.96(C19);119.95(C5);123.87(C3);148.44(C2);150.03(C6);143.34(C4);156.42(C18);164.96(C7)
【0067】
→4−(ホルミル)ピリジン−2−N−[13−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−4,7,10−トリオキサトリデシル]カルボキサミド(5)
(COCl)2(1.2mL、13.7mM)のジクロロメタン(5mL)溶液を−70℃でアルゴン下にDMSO(2.0mL、28.2mM)のジクロロメタン(8mL)溶液に添加する。これを−70℃で30分間攪拌した後、アルコール4(1.92g、4.2mM)のジクロロメタン(20mL)溶液を滴下する。これを−70℃で30分間攪拌し、NEt3(6.5mL、47mM)を添加する。反応混合物を0℃で3時間攪拌した後、水(70mL)に注ぐ。水相を上記ジクロロメタンで抽出し、洗浄(NaHCO3)、MgSO4で乾燥、蒸発させて粘性の油を得る。Me2Sの遊離が起こるので、次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用してこれを捕捉し、汚染された容器を洗浄しなければならない。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(遊離液:85:15 AcOEt/アセトン)により精製する。
透明な油:m=1.46g
収率:75%
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.42(s,9H,−Boc);1.76(q,J=6Hz,2H,H9);1.95(q,J=6Hz,2H,H16);3.22(q,2H,H8);3.57(m,16H,H10−H11−H12−H13−H14−H15−H17);4.98(m,1H,N−H);7.85(d,1H,H3);8.59(s,1H,H5);8.77(d,1H,H2);10.15(s,1H,Hal)
13CNMR(75MHz,CDCl3):29.59(C20−C21−C22);30.03(C9−C16);38.11(C8−C17);70.11(C10−C15);70.99(C11−C14−C12−C13);79.50(C19);122.27(C5);123.68(C3);143.22(C4);149.80(C2);152.61(C6);156.35(C18);163.62(C7);191.32(C23)
【0068】
→4−(ジメトキシメチル)ピリジン−2−N−(13−アミノ−4,7,10−トリオキサトリデシル)カルボキサミド(6)
アルデヒド5(1.4g、3.1mM、1当量)を10mLのメタノールに溶解する。TMSCl(1mL、7.9mM、2.5当量)を添加し、混合物を一晩攪拌する。1Mの水酸化ナトリウム(40mL)溶液を添加し、生成物をジクロロメタンで抽出する。有機相を炭酸ナトリウムの存在下で乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させる。
M=997mg
収率:81%
1H NMR(300MHz,CDCl3):8.54(d,1H,H6),8.35(br s,1H,H8),8.24(s,1H,H3),7.52(d,1H,H5),5.42(s,1H,H23),3.71−3.53(m,15H,H9+H11−16),3.33(s,6H,H24,25),2.80(t,2H,H18),1.91(quint,2H,H10),1.75(quint,2H,H17)
【0069】
→アセタール−ビオチン(7)
アセタール(6)(1.54g、3.9mM)を30mLのジクロロメタンに溶解する。ビオチン(1.36g、4.2mM、1.1当量)を添加し、混合物を2時間攪拌する。溶液を50mLの1M炭酸ナトリウムで3回抽出する。水相を50mLのジクロロメタンで洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー、SiO2、φ=50mm、15cm、溶離液:700mLの10%メタノール/ジクロロメタン次いで1Lの15%メタノール/ジクロロメタンで精製する。次いで、溶媒を蒸発させ、油性の残留物をエーテルで洗浄して白色粉末を得る。
m=1.78g
収率:74%
1H NMR(300MHz dual,CDCl3):8.55(d,1H,H2),8.35(t,1H,H13),8.26(s,1H,H5),7.55−7.53(m,1H,H1),6.7(broad s,1H,H42),6.2(broad s,1H,H40),5.44(s,1H,H7),4.4−4.6(m,1H,H38),4.2−4.4(m,1H,H39),3.71−3.54(m,16H,H15,H17−25,H27),3.34(s,6H,H10−11),3.2−3.1(m,1H,H35),3−2.8(m,1H,H37),3.8−3.7(m,1H,H37’),2.19(t,2H,H31),1.92(quint,2H,H16),1.8−1.3(m,8H,H26,H32−34)
【0070】
→アルデヒド(8)
アセタール(7)(1.76g、2.8mM)を80:20 酢酸:水 溶液(20mL)に溶解し、混合物を60℃で24時間アルゴン下に攪拌する。溶液を蒸発させ、油性の残留物を白色粉末が得られるまでエーテルで洗浄する。
M=1.83g
収率:約100%
1H NMR(300MHz dual,DMSO−d6):10.17(s,1H,H8),8.92(s+d,2H,H10,2),8.42(s,1H,H5),7.99(d,1H,H1),7.73(t,1H,H25),6.4−6.3(s+ broad s,2H,H39,37),4.3−4.1(m+m,2H,H35,36),3.53−3.28(m,18H,H12,14−22,24),3.07(m,1H,H32),2.80(d,1H,H34),2.78(d,1H,H34’),2.2−1.00(m,12H,H13,28−31)
【0071】
→トシルヒドラゾン(9)
アルデヒド8(1.62g、2.79mM)のジメチルホルムアミド(20mL)溶液を130℃で30分間アルゴン下で攪拌する。4−メチルベンゼンスルホンヒドラジドを添加し、混合物を1時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー:SiO2、φ=30mm、15cm、溶離液:10%メタノール/ジクロロメタンで精製する。油性の残留物を黄色粉末が得られるまでエーテルで洗浄する。
M=1.57g
収率:75%
1H NMR(300MHz dual,DMSO−d6):12.0(broad s,1H,H39),8.83(s,1H,H8),8.63(d,1H,H2),8.13(s,1H,H41),7.99(s,1H,H5),7.77(d,2H,H46,50),7.69(d,1H,H1),7.42(d,2H,H47,49),6.41(s,1H,H37),6.35(s,1H,H35),4.4−4.2(m,1H,H34),4.0−4.2(m,1H,H33),3.51−3.33(m,16H,H9,11−20,22),3.1−3.0(m,2H,H32),2.8−2.7(m,1H,H30),2.36(s,3H,H51),2.03(t,2H,H10),1.77(t,2H,H21),1.6−1.2(m,8H,H26−29)
【0072】
→最終ジアゾ化合物(10)
トシルヒドラゾン9(200mg、0.27mM)を25mLフラスコに入れる。水素化ナトリウム(油中60%)(42.8mg、1.07mM、4当量)のメタノール(10mL)溶液を添加し、混合物を室温で24時間攪拌する。生成物を0.5MのNa2CO3(10mL)およびジクロロメタン(4×10mL)で抽出する。油性の残留物をエーテルで洗浄してオレンジ色の粉末を得る。
M=135g
収率:88%
1H NMR(200MHz dual,CDCl3):8.31−8.28(br s+d,2H,H8,2),7.73(d,1H,H5),6.88(dd,1H,H1),6.62(t,1H,H23),6.13(s,1H,H37),5.32(s,1H,H35),5.10(s,1H,H39),4.6−4.4(m,1H,H34),4.4−4.2(m,1H,H33),3.7−3.5(m,18H,H9,11−12,22),3.13(m,1H,H30),2.88(dd,1H,H32),2.72(d,1H,H32’),2.2−1.3(m,12H,H10,21,26−29)
【0073】
結果および結論:
我々は、認識基(ビオチン)を担持するピリジン核と共役したジアゾメチル官能基を有する化合物の合成が収率良く実現可能であることを実証した。
【0074】
実施例2
ピリジンジアゾケトンビオチン(PyDKB)の合成
目的:
下記の反応概略図に従って、ジアゾ官能基に対してアルファであるピリジン核と、ジアゾ官能基に対してアルファ’である認識基(ビオチン)とを有する分子の合成の実現可能性を実証する。
【0075】
手順:
→ブロモケトン(12)の合成
γ−ブチロラクトン(5.020g/4.55mL;32.23mM;1.0当量)をTHF(15mL;3.3v)で希釈した後、氷浴で0℃に冷却する。水素化ナトリウム(60%;3.018g;75.42mM;2.27当量)を5分間かけて添加した後、氷浴を30分間取り外す。フラスコを0℃に戻した後、イソニコチン酸エチル(3.80mL;49.84mM;1.5当量)のTHF(245mL;64.5v)溶液を1滴ずつ流し入れる。反応は室温で18時間攪拌して行う。THFを真空下蒸発除去した後、残留物を100mLのエチルエーテルに取り込み、期待した生成物を沈殿させ、懸濁液を濾過した後、ロータリーエバポレーターで1mbarで20分間乾燥し、生成物を取得する。本生成物の一部(4.721g;24.7mM)を48%臭化水素酸(38mL、すなわち650mM)水に取り込み、2時間で110℃に昇温する。反応混合物をNa2CO3でpH9へ塩基性化した後、200mLの水と合わせ、200mLの酢酸エチルで2回抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥、綿濾過、ロータリーエバポレーターで蒸発させる。
m=3.096g
収率(2工程後):21%
HPLC法:中性
【0076】
→保護ブロモケトン(13)の合成
500mLのフラスコ中で、ブロモケトン(3.096g;13.57mM;1.0当量)を無水エタノール(165mL;80mM)に溶解し、塩化トリメチルシリル(51.5mL;407.2mM;30.0当量)を添加後、反応混合物をアルゴン下に置き、次いで53℃(試薬の沸点より低い温度)に18時間加熱する。反応混合物を蒸発乾燥後、50mLの水に取り、35%苛性ソーダ溶液でpH9−10の塩基性にした後、200mLとし、ジクロロメタン(DCMとも略記される)2×150mLで抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥、濾過、減圧下で蒸発乾燥する。蒸発残留物を1mLのDCMに取り、順相Si60シリカゲル(h=50cm;φ=15cm;溶離液:DCM/MeOH:95/5)のカラムに載せる。
m=1.506g
収率:40%
TLC溶離液:DCM/MeOH:95/5
HPLC法:中性
【0077】
1H NMR(200MHz,CDCl3):δ=1.4−1.7(M;2H;e);3.0−3.25(m;8H;f,g);3.30(t;2H;d);7.42(d;2H;a);8.65(d;2H;b)
【0078】
→保護アミノ化ケトン(ガブリエル反応)(15)
ブロモケトン(1.506g;5.49mM;1.0当量)、フタルイミドカリウム(1.526g;8.24mM;1.5当量)およびDMF(55mL;0.1M)を100mLフラスコに入れ、155℃で15分間加熱する。溶媒を蒸発乾燥後、蒸発残留物を100mMの苛性ソーダ溶液200mLに取り、DCM、2×200mLで抽出し、ジクロロメタン相をNa2SO4で乾燥、濾過、蒸発乾燥して化合物14を得る。これを全部(5.49mM;1.0当量)、水(21.35mL;109.8mM;20当量)およびメタノール(109mL;50mM)中、25%ヒドラジンと反応させ、反応混合物を18時間攪拌する。溶媒を除去した後、残留物を10mMの苛性ソーダ溶液200mLに取り、DCM 3×200mLで抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥、濾過、減圧下で蒸発後、得られた油分を1mLのDCMに取り、順相Si60シリカゲル(h=15cm;φ=3cm;溶離液:DCM/MeOH/NH3:97.5/2.5/1)のカラムに載せる。
m=300mg
収率:26%
TLC溶離液:DCM/MeOH/NH3:90/10/1
HPLC法:中性
1H NMR(フタルイミド14)(200MHz,CDCl3):δ=1.2−1.3(M;2H;e);1.88(M;2H;d);3.03(t;6H;g);3.44(dd;2H;f);7.45(d;2H;a);7.57−7.71(m;4H;iおよびj);8.52(d;2H;b)
1H NMR(アミン15)(200MHz,CDCl3):δ=1.0−1.2(m;4H;eおよびf);1.88(M;2H;d);2.54(t;2H;h);3.15(t;6H;g);7.35(d;2H;a);8.58(d;2H;b)
【0079】
活性化ビオチン(20)の合成
ビオチン(5g、23.1mM、1.0当量)を無水DMF(50mL)およびピリジン(2.07mL、25.4mM、1.1当量)に懸濁する。5分間攪拌した後、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(PFP−TFA:4.621mL、すなわち、7.50g、25.4mM、1.1当量)を添加する。一晩攪拌後、反応を完了させ、溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させる。蒸発残留物を100mLのエチルエーテルに取り懸濁後、フリットフィルターで濾過、固形状物を最小量のエーテルで洗い流す。ここで、TLCで僅かにビオチンが観察されるが、以下において何ら影響しない。
m=7.106g
収率:81%
TLC溶離液:DCM/MeOH=90/10
【0080】
ビオチンと芳香族アミンの結合(化合物16)
化合物15(808mg、2.0mM、1.4当量)を60℃のDMF(4.28mL)に溶解させ、トリエチルアミン(1.60mL、11.4mM、8.0当量)の添加前に、5分間攪拌する。化合物20のDMF溶液(500mMで2.85mL、すなわち、300mg、1.4mM、1.0当量)を一度に全てを添加する。60分後、溶媒を減圧下に蒸発させる。それ以上の処理を行うことなく、粗反応生成物をそのまま脱保護に使用する。
質量および収率は次の段階で計算する。
HPLC法:中性
【0081】
ビオチニル化ケトン(化合物17)
化合物16を6M塩酸溶液50mLに取り、室温で2時間攪拌する。溶液を蒸発させて乾燥する。残留物は塩酸塩の状態において赤色の油である。それを90/8/2 DCM/MeOH/TEA混合物に取り、油を脱色し、気体を蒸発させ、2mLのトリエチルアミンを添加した後、混合物を蒸発乾燥して得られた沈殿物を100mLのエチルエーテルおよび10mLのDCMに取り、懸濁液を濾過、固形状物を50mLのエーテルで粉砕し、28℃で2時間真空下のオーブンに放置する。粉末を5mLのDCM/MeOH(88/12)混合物に取り、250μLの2M苛性ソーダ溶液を添加し、全部を溶解する。この溶液を直径=3cm、h=16cm、v=5cm/分のSi60シリカゲルカラムに載せ、DCM/MeOH(88/12)混合物で溶出する。
m=940mg
収率:83%、第2工程後、かつ2.9当量の塩酸トリエチルアミンを無視する場合。
TLC溶離液:DCM/MeOH:85/15
HPLC法:中性
1H NMR(200MHz,DMSO):δ=1.28(t;TEA);1.49(M;2H;k);1.30−1.50(m;4H;jおよびl);1.73(quint;2H;e);2.05(t;2H;i);2.6−2.8(M;2H;m);2.9−3.2(m;TEAの5H+H;d,f,nおよびTEA);4.0−4.3(m;2H;oおよびo’);6.38(s;1H;p’);6.43(s;1H;p);7.78(d;2H;b);7.95(t;1H;h);8.08(d;2H;a);10.3(m;塩酸TEA)
【0082】
→ケトンのヒドラゾン化(18)
ケトン17(400mg、506.5μM)をDMF(2.25mL、224mM)、MeOH(11.3mL、44.8mM)および酢酸(580μL、10.13mM、20当量)に溶解し、247μLのヒドラジン一水和物(246μL、5.065mM、10当量)を添加する。溶液を2時間攪拌後、蒸発乾燥する。蒸発残渣物を5mLの水に取り、15mLのフラスコに移してpHが10に達するまで2M苛性ソーダで塩基性化し、生成物を沈殿させ、試験管をボルテックスにより攪拌してよく混合した後、8000rpmで遠心分離する。上清を捨て、上記操作をさらに2回繰り返してpH10の苛性ソーダ溶液の5mLに取る。沈殿物(黄色粉末)を酸化工程に使用する前に室温で真空下でオーブン内で乾燥する。
m=190mg
収率:93%
HPLC法:中性、その後塩基性
1H NMR(200MHz,DMSO):δ=1.2−1.7(m;8H;e,j,kおよびl);1.73(quint;2H;e);2.06(t;2H;i);2.6−2.9(M;2H;m);3.0−3.2(m;3H;fおよびn);4.10−4.35(m;2H;oおよびo’);6.39(s;1H;p’);6.47(s;1H;p);7.11(s;2H;r);7.55(d;2H;b);7.87(t;1H;h);8.47(d;2H;b)。
【0083】
→ピリジンジアゾケトン(PyDKB)のビオチニル化(19)
ヒドラジン18(177.2mg、438μM、1.0当量)をDMF(22mL、20mM)に部分的に溶解し、0℃に冷却し、テトラメチルグアニジン(448μL、3.56mM、8.14当量)、3Å分子篩(722mg、試薬の質量の3.8倍)および酸化マンガン(2.387g、35.6mM、81.4当量)を添加する。懸濁液を20分間攪拌した後、1cm厚さのセライトプラグで濾過し、プラグを濾液が無色になるまでメタノールで洗い流す。溶液を蒸発乾燥した後、20mLのDCM/MeOH(90/10)に取り、0.25MのNa2CO3溶液で洗浄する。沈殿物が形成される。分析後、沈殿物および有機相を合わせ、蒸発乾燥し、100mLのDCM/MeOH(90/10)混合物に溶解、100mLの0.05MのNa2CO3で洗浄する。有機相を回収し、無水Na2CO3で乾燥、濾過、蒸発乾燥する。
m=42.8mg
収率:24.3%
HPLC法:塩基性
1H NMR(200MHz,DMSO):δ=1.20−1.74(m;8H;e,j,kおよびl);1.73(quint;2H;e);2.07(t;2H;i);2.6−2.9(M;2H;m);3.00−3.25(m;3H;fおよびn);4.10−4.35(m;2H;oおよびo’);6.37(s;1H;p’);6.44(s;1H;p);6.94(d;2H;b);7.90(t;1H;h);8.35(d;2H;b)
【0084】
結果および結論:
我々は、アルファ位にピリジン核が共役していてアルファ’で認識基(ビオチン)に連結しているジメチル官能基を含有する化合物の合成が収率良く実現可能であることを実証した。
【0085】
実施例3
室温、液体溶媒中におけるBBP(bis−bio−PDAM)分子に比較してのPyDBまたはPyDKBの安定性の実証
目的:
液体溶媒中でのPyDBまたはPyDKB分子の安定性を第二世代分子と比較して実証することを目的とする。このために、各化合物の125mMを室温(22+/−1℃)で96/4 DMSO/メタノール混合物中に保存する過酷な条件下で加速安定性試験を行う。なお、これらは過酷な保存条件である。
【0086】
手順:
図2に示す3つの化合物、PyDB、PyDKBおよびBBPを125mMで96/4 DMSO/メタノール混合物中に溶解し、室温(22プラスまたはマイナス1℃)で保存する。これらの溶液の2μLをHPLC(塩基性方法、ウォーターズHPLCシステム)に一定の間隔で注入し、クロマトグラム(ソフトウェアEmpower2のPDA Max Plot)のピーク全体を積分して主要生成物の分解を測定する。初期化合物の純度の変化を時間の関数としてプロットし、図5に明示する。
【0087】
結果と結論:
BBPは数日以内に分解される(10日目で純度<10%)が、2つの第四世代分子であるPyDBおよびPyDKBはこの期間の最後まで80%以上が安定したままであることが明らかに示される。
ジアゾ官能基に対してアルファであるピリジル部分の存在は、電子非局在化によりジアゾ官能基を安定化し、加水分解の影響を受けにくくする。アルファ’の標識の存在は水性溶媒中での加水分解の影響を受けにくくし、この官能基をさらに大幅に安定化する。
【0088】
実施例4
+4℃で乾燥状態におけるBBP分子に比較してのPyDBの安定性の実証
目的:
PyDBまたはPyDKB分子の乾燥安定性を第二世代BBP分子と比較して実証する。
手順:
2つのPyDB化合物およびBBPを250mMで10mMトリス塩酸(pH7.5)および10%トレハロースの溶液に溶解する。溶液を50nMのアリコートで一晩凍結乾燥する。次いで乾燥生成物を+4℃で保存する。これらのアリコートを一定の間隔でメタノールに溶解し、これらの溶液の15μLをHPLC(ウォーターズ)に注入し、クロマトグラム(ソフトウェアEmpowerのPDA Max Plot)のピークの全体の積分により主要生成物の分解を測定する。初期化合物の純度の変化を時間の関数としてプロットし、図6に明示する。
結果と結論:
実施例3と同様だが、より著しい程度に、BBPが凍結乾燥に耐えない(この段階で>60%が分解)のに対して、PyDBまたはPyDKBはこの工程で完全に安定したままであることが証明される。さらに、4℃で乾燥状態に一か月以上保存しても分解は非常にわずかである(2つの第四世代の標識の純度は80%以上)。
前と同様に、ジアゾ官能基に対してアルファであるピリジル部分の存在は、電子非局在化によりジアゾ官能基を安定化し、加水分解の影響を受けにくくする。
【0089】
実施例5
中間精製を伴う、BBP分子と比較した、PyDBでの核酸の標識化
目的:
第二世代の分子(BBP)と比較して、PyDB分子による核酸の標識化の有効性を実証する。
【0090】
この目的のために、増幅反応(NASBA、NucliSensベーシックキット、ビオメリュー社製、Boxtel、オランダ)によって得られた、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの174塩基配列の断片であるRNAアンプリコンをジアゾ標識との反応によりビオチンで標識する。標識化反応の生成物を、アフィメトリックス社製のDNAチップ上のハイブリダイゼーションによって検出する(J.Clin.Microbiol.,37(1),49−55頁,A.Troeschら,1999に記載のCustom DNA Chip Combo Myco)。
【0091】
手順:
チューブ内で以下を混合する:
・18μLの250mMの標識溶液(96/4 DMSO/メタノール)、これはPyDBまたはBBPのいずれかである、
・12μLのDMSO、
・15μLのNASBA0.5×緩衝液(「NucliSensベーシックキットEasyQビオメリュー」キット)、
・35μLの1MのトリスHCl、
・5μLの0.1×NASBA(NASBA増幅反応、10倍希釈、174塩基のアンプリコン)、および
・15μLの20mMのHCl。
溶液をボルテックスで混合し、次に65℃で10分間インキュベートする。
【0092】
核酸の精製:
標識された核酸は、製造業者が推奨する精製プロトコルを使用して、QiaQuickカラム(PCR精製キットQiaQuick、キアゲン社製、Hilden、ドイツ)で精製した。溶出量は100μLである。
【0093】
DNAチップ上でのハイブリダイゼーション:
精製後、標識された核酸を400μLのハイブリダイゼーション緩衝液に移す。サンプルを、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの16SRNAの「GenBank」M20940配列の解析用に設計されたDNAチップにハイブリザイズさせる。このDNAチップはJ.Clin.Microbiol.,37(1),49−55頁,1999に発表された文献にA.Troeschらによって記載されている。
【0094】
ハイブリダイゼーション工程は、A.Troeschらの上記刊行物に記載されているハイブリダイゼーションプロトコルおよび緩衝液を利用して、FS450 fluidics stations(アフィメトリックス、Santa Clara、CA)で実施する。
【0095】
ハイブリダイゼーションは、以下の条件下で使用された、標識のビオチンと相互作用する、フィコエリトリン(PE)で標識したストレプトアビジン(SA)との結合により明らかになる。すなわち、300μLの純水、300μLの100mMトリス緩衝液(pH7)/1MのNaCl/0.05%のTween20/0.005%の消泡剤、6μLのBSA(50mg/mL)、6μLのSA−PE(300μg/mL)。
【0096】
DNAチップの読み取り:
標識化とハイブリダイゼーションの後に、DNAチップの表面に放射される蛍光の読取およびシグナル強度と相同率に関するデータの作成を、アフィメトリックスから提供される読み取りシステムおよびソフトウェア(Scanner Gene Chip ArrayおよびGCOSソフトウェア)によって実施する。読取りシステムは、rfu(「相対的蛍光単位」)で表示されるシグナルおよびバックグラウンドノイズ強度を提供する。相同率(図7、図8及び図10における、%BCまたは%Right)を参照配列、この場合はマイコバクテリウム・ツベルクローシスの配列と比較して示す。
標識BBPおよびPyDBの結果を、シグナル強度(Med)、バックグラウンドノイズ(MedBckgd)および相同率(%Right)の中央値として図7のグラフに示す。
一般的に、90%より高い相同率が優先的に求められる。第2には、高い特異的なシグナルと低いバックグラウンドノイズが求められる。
【0097】
結果と結論:
この実施例は、標識PyDBでは、BBP参照分子により得られるシグナルより3倍高い蛍光シグナルが得られることを示す。
PyDBの非常に大きな安定性を考慮すると、この標識が以前の世代の分子に比較して優れていることが実証される。
【0098】
実施例6
中間精製を伴わない、BBP分子と比較しての、PyDBでの核酸の標識化
目的:
実施例5と同じことを実証することを目的とするが、精製による余分な標識の除去をしない、好ましくない条件下である。
【0099】
手順:
1mLのチューブ内で以下を混合する:
・5μLの8mMの標識溶液(DMSO/メタノール=96/4)。これはPyDBまたはBBPのどちらかである、
・5μLの0.1×NASBA(ビオメリューのNucliSensベーシックキット)、
・5μLの1MのトリスHCl、及び
・5μLの20mMのHCl。
【0100】
溶液をボルテックスで混合し、次に65℃で10分間インキュベートする。この標識された核酸を精製することなく、直接ハイブリダイズさせる。
【0101】
DNAチップ上でのハイブリダイゼーション:
標識された核酸を、精製せずに、480μLのハイブリダイゼーション緩衝液に移す。サンプルを、前の実施例と同じ方法でDNAチップにハイブリダイズさせる。
【0102】
DNAチップの読取り:
標識BBPおよびPyDBの結果を、強度、バックグラウンドノイズおよび相同率として図8のグラフに示す。
【0103】
結果と結論:
この実施例は、その構造により、標識PyDBがBBP参照分子に比較して減少したバックグラウンドノイズを呈することを示す。特異的なハイブリダイゼーションを示す特異的なシグナルも向上し、相同率は、BBPでは比較的低いが、PyDB(2mM)では高くなっている。
【0104】
前と同様に、前の世代に比較して、第四世代の分子の優位性が実証されている。
【0105】
実施例7
PyDBにより標識されたアンプリコンの24時間にわたる安定性の評価
目的:
目的は、標識したRNAアンプリコンがその蛍光強度を失うことなしに、DNAチップ上に24時間までハイブリダイズできることを実証することであり、これは、RNA−標識結合の安定性を実証する。
【0106】
手順:
チューブ内で以下を混合する。
・5μLの10mMの標識(PyDBまたはBBP)DMSO/MeOH(96/4)溶液、
・5μLの0.1×NASBA(ビオメリューのNucliSensベーシックキット)増幅産生物、
・5μLの1MのトリスHCl、及び
・5μLの水。
【0107】
溶液をボルテックスで混合し、次に65℃で10分間インキュベートする。
【0108】
核酸の精製:
標識された核酸を、製造業者が推奨する精製プロトコルを使用して、QiaQuick(PCR精製キット、キアゲン社製)カラムで精製した。溶出量は100μLである。
【0109】
DNAチップ上でのハイブリダイゼーション:
精製後、標識された核酸を、400μLのハイブリダイゼーション緩衝液に移す。サンプルを、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの16SRNAの「GenBank」M20940配列の解析用に設計されたDNAチップにハイブリザイズさせる。このDNAチップはA.Troeschらによる刊行物、J.Clin.Microbiol.,37(1),49−55頁,1999に記載されている。
ハイブリダイゼーション工程は、80μLのハイブリダイゼーション混合物をチップに注入し、次いでこれをハイブリダイゼーションオーブンに45℃で0.5時間、2時間、6.5時間または24時間置くことによって行った。
ハイブリダイゼーションは、以下の条件下で使用された標識であるビオチンと相互作用する、フィコエリトリン(PE)で標識したストレプトアビジン(SA)との結合により明らかになる。すなわち、300μLの純水、300μLの100mMトリス緩衝液(pH7)/1MのNaCl/0.05%のTween20/0.005%の消泡剤、6μLのBSA(50mg/mL)、6μLのSA−PE(300μg/mL)。
【0110】
DNAチップの読み取り:
標識化とハイブリダイゼーションの後に、DNAチップの表面に放射される蛍光の読取およびシグナル強度と相同率に関するデータの作成を、アフィメトリックスから提供される読み取りシステムおよびソフトウェアによって実施する。読取りシステムは、rfu(「相対的蛍光単位」)で表示されるシグナルおよびバックグラウンドノイズ強度を提供する。相同率を参照配列、この場合はマイコバクテリウム・ツベルクローシスの配列と比較して示す。
第四世代標識PyDBの結果を、ハイブリダイゼーション時間の関数としてのシグナル強度(Med)の中央値として、図9に示す。
蛍光シグナルが安定したままであり、ハイブリダイゼーション時間に応じて上昇する傾向さえあることを示す。
【0111】
結果と結論:
この実施例は、PyDBにより標識されたアンプリコンがハイブリダイゼーションの過程において完全に安定したままであり、(長時間のハイブリダイゼーションや腫瘍学での遺伝子発現において特に有利な)24時間の延長も可能であることを示す。図9を参照。
蛍光シグナルが時間とともに増加さえすることが観察され、それはアンプリコンの良好なハイブリダイゼーションによるものである(ハイブリダイゼーションの反応速度が遅い)。
このように、標識-核酸の結合の安定性が実証される。
【0112】
実施例8
本発明に記載する分子の標識効率と市販の技術(ULS RNA標識キット)との比較
手順:
RNAアンプリコンは、上述のとおりNASBA増幅によって調製し、BBPおよびPyDB分子で標識する。
チューブ内で以下を混合する。
・5μLの1×NASBA(ビオメリュー社のNucliSensベーシックキット)、
・5μLの20mMの標識(BBPまたはPyDB)のDMSO/メタノール(96/4)溶液、
・5μLの1MのトリスHCl(pH7.4)、及び
・5μLの水。
溶液をボルテックスで混合し、次に65℃で10分間インキュベートした。
Kreatech(Amsterdam、オランダ)の市販キット「ULS RNA標識キット」による標識化を、製造業者が推奨するプロトコルに従って行った。要約すると、次のものを混合する。
・20μLの1×NASBA(NucliSensベーシックキット、ビオメリュー社、Boxtel、オランダ)、
・1μLの標識溶液、
・3μLの10×緩衝液、及び
・6μLの水。
溶液を85℃で30分間インキュベートした。
【0113】
核酸の精製:
BBPまたはPyDB分子により標識した核酸を、製造業者が推奨する精製プロトコルを使用して、QiaQuickカラム(PCR精製キット、キアゲン社製)で精製した。溶出量は100μLである。
市販キット「ULS RNA標識キット」により標識された核酸については、Kreatech(アムステルダム、オランダ)により推奨され、提供されている精製を使用した。最終体積は30μLであり、この会社が推奨するブロッキング溶液を100μL添加する。
【0114】
DNAチップ上でのハイブリダイゼーション:
精製後、標識された核酸を、400μLのハイブリダイゼーション緩衝液(BBPまたはPyDB)または370μLのKreatechハイブリダイゼーション緩衝液に移す。前記核酸を、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの16SRNAの「GenBank」M20940配列の解析用に設計されたDNAチップにハイブリダイズさせる。
このDNAチップはA.Troeschらによる刊行物、J.Clin.Microbiol.,37(1),49−55頁,1999に記載されている。ハイブリダイゼーション工程は、A.Troeschらによる上記刊行物に記載されているハイブリダイゼーションプロトコルおよび緩衝液を使用して、fluidics stations(アフィメトリクスFS450)で実施した。
ハイブリダイゼーションは、以下の条件下で使用された標識であるビオチンと相互作用する、フィコエリトリン(PE)で標識したストレプトアビジン(SA)との結合により明らかになる。すなわち、300μLの純水、300μLの100mMトリス緩衝液(pH7)/1MのNaCl/0.05%のTween20/0.005%の消泡剤、6μLのBSA(50mg/mL)、6μLのSA−PE(300μg/mL)。
【0115】
DNAチップの読み取り:
標識化とハイブリダイゼーションの後に、DNAチップの表面に放射される蛍光の読取およびシグナル強度と相同率に関するデータの作成を、アフィメトリックスから提供される読み取りシステムおよびソフトウェア(Gene Chip ArrayおよびGCOSソフトウェア)によって実施する。読取りシステムは、rfu(「相対的蛍光単位」)で表示されるシグナル(Median)およびバックグラウンドノイズ(MedBgd)強度の中央値を提供する。相同率(%right)は「base call percentage」(%BC)とも称され、参照配列、この場合はマイコバクテリウム・ツベルクローシスの配列と比較して示される。
標識BBPおよびPyDBおよび競合キットの結果を、シグナル強度(Med)、バックグラウンドノイズ(MedBckgd)および相同率(%Rightまたは%BC)の中央値として、図10に示す。
【0116】
結果と結論
供給者により記載された条件に正確に従って適用した、シス−プラチン標識(ULS RNA標識キット)を使用する技術は、本発明によって提供される技術的解決法よりも非常に劣っている標識能力を有することがわかるが、それは、この市販キットでは、バックグラウンドノイズ(競合4×、図10)から明確に切り離されたシグナルを得るためには4倍以上の濃度のRNAを加える必要があるが、全ての場合でBBP分子により行われた標識化より10倍弱く、PyDB分子により行われた標識化より18倍弱いままであるからである。
全ての場合に、同一性率(%BC、%Right)は同じままである。
従って、ヌクレオシド間結合の標識化は、他の標識化技術と比較して、非常に良好な検出感度を得ることを可能にし、これは分子の世代にかかわりがない。第四世代に関しては、これはさらにもう一度この新規例における優位性を示す。
【0117】
実施例9
2つの第三世代ジアゾ標識(パラニトロDKBおよびメタニトロDKB)と2つの第四世代標識(PyDBおよびPyDKB)の溶解性の比較
目的:
ジアゾ標識剤のピリジン核の存在が分子の溶解性を改良することを実証することが望まれる。
【0118】
手順:
標識のモルエプシロン(ε)の決定:
数ミリグラムの標識(5〜15mg)を正確に計量し、100mMのDMSO(完全に溶解性)で溶解する。この溶液をMeOHで1/10、さらにMeOHで1/100(最終希釈1/1000)に希釈する。この溶液のUVスペクトルを測定して、吸光度を測定するλmaxを決定する。この測定により、各標識のモルεを計算することが可能になる(ランベルト・ベールの法則)。
【0119】
水中への標識の溶解性の決定:
数ミリグラムの標識(5〜15mg)を正確に計量し、100mMの水(完全に溶解性)で溶解する。この溶液をボルテックスで攪拌し、遠心分離する。上清を除き、MeOHで1/10または1/100に希釈する。標識のUVスペクトルを測定して、分解がないことを確認する。λmaxで吸光度を測定し、上清中の標識濃度、すなわち、標識の水への溶解性を予め決定したモルε値を使用して算出する(図11)。
【0120】
結果と結論:
図11からPyDBは、第三世代分子であるパラニトロDKBおよびメタニトロDKBより、水に3倍以上溶解することが分かる。溶解性におけるこの増加は、単にピリジン核の存在によるものである。PyDBは第三世代の分子であるパラニトロDKBおよびメタニトロDKBより、90倍以上溶解性である。溶解性におけるこの増加もまた、ほとんど二置換ピリジン核によりもたらされる。
我々はこのように、これら分子の最終溶解性に対するピリジン核の非常に大きな影響力を実証した。
【産業上の利用可能性】
【0121】
ピリジン核はその塩基性度が公知の核であり、ジアゾメチル官能基の安定性を予測できるが、逆に核酸に対する反応性に乏しい。実際、ジアゾ/リン酸塩反応の機構は陽子変換に基づいている。陽子捕獲核(ピリジン)の存在は上記反応を防止できたが、この現象はピペリジンなどのより強い塩基においてのみ発現することが観察された。標識化反応は緩衝化した溶媒中、pH7で行う。
標識がアルファ’である例では、増大した立体障害の問題のためにリン酸塩との反応性の問題が予想される。ここで再度、これらの分子の効果は驚くべきものである。
さらに、リン酸塩のアルキル化の間におけるジアステレオ異性体の生成は、ハイブリダイゼーション、よって核酸の検出を邪魔する可能性を有した。これは予測可能であり、この種の標識は効果が低いと信じさせるものであった。従って、この種の分子を作成し、良好な標識化の結果を得ることは明らかなものではなかった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体分子を標識するための新規試薬、前記試薬を合成する方法、また、特に核酸の検出および分析を使用する分子診断の分野において生体分子を標識するための適用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドまたは天然もしくは増幅核酸を標識するための数多くの方法が存在することを示す。
【0003】
第1の方法は、標識を塩基に結合させることからなり、塩基は天然であるか修飾されている。第2の方法は、標識を糖に結合させることを提案しており、この場合にも、それは天然であるか修飾されている。第3の方法の主題は、標識をリン酸塩に結合させることである。
【0004】
塩基における標識は、直接的に標識されたヌクレオチドを取り込ませて核酸を標識する手法で特に使用されてきた。
【0005】
糖における標識は、化学合成により調製された核酸プローブの場合に使用されることが多い。
【0006】
リン酸塩における標識もまた、オリゴヌクレオチドの化学合成の間に、官能基化されたアームおよび標識を導入するために使用されてきた。
【0007】
実際には、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体または核酸の標識を行わなければならない当業者は、この結合を非常に簡単で、多数の選択肢がある塩基または糖に対して行う傾向がある。このことは、塩基に関しては、欧州特許出願0329198号、欧州特許出願第0302175号、欧州特許出願第0097373号、欧州特許出願第0063879号、米国特許出願第5449767号、米国特許出願第第5328824号、国際特許出願第WO93/16094号、ドイツ特許出願第3910151号、欧州特許出願第0567841号、または糖に関しては、欧州特許出願第0286898号などの数多くの文献の研究からも明らかである。
【0008】
リン酸塩への標識の結合は、塩基または糖を官能基化させることからなる技術よりも複雑な技術であり、特に、リン酸塩は反応性が低いことから、使われることは少なかった(例えば、Jencks W.P.ら,J.Amer.Chem.Soc.,82,1778−1785,1960参照)。同様に、オリゴヌクレオチド断片にプローブを導入するための方法に関連する、O‘DonnelおよびMcLaughlinによる総説(「Bioorganic Chemistry: Nucleic Acids」、Hecht S.M.編、Oxford University Press、1996の216−243頁、「Reporter groups for the analysis of nucleic acid structure」)では、ヌクレオチド間のリン酸ジエステルの効率的なアルキル化は、不可能であると考えられている。
【0009】
国際特許出願第WO99/65926号には、RNAを断片化し、末端のリン酸で標識することからなる、合成または天然リボ核酸(RNA)を標識する方法が記載されている。この文献は、官能基であるヒドロキシル、アミン、ヒドラジン、アルコキシアミン、ハロゲン化アルキルおよびベンジル型ハロゲン化アルキルおよび、特に5−(ブロモメチル)フルオレセイン誘導体のような、断片化に組み合わせて標識に使用することができるいくつかの官能基について記載している。これらの官能基により、核酸を標識することができるが、この標識は、断片化の間に解放されたリン酸塩で生じるので、効率的な標識のためには、断片化の工程を有する必要がある。さらに、効率的な標識を得るためには、RNAに対して非常に過剰な標識化試薬を加える必要があり、過剰な標識により生じる、検出中のバックグラウンドノイズの問題が生じる。最後に、この方法は、二本鎖DNAでは効率的に作用しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、標識率については効率的で、標識位置に関しては特異的であり、特に、DNAおよびRNAの両方に使用することができる、水素結合を介する二重らせんの形成に関与する塩基のハイブリダイゼーション特性に影響を及ぼさず、最後に、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、天然の核酸または転写、逆転写または酵素増幅により調製されたものでも等しく標識することができる、新規の試薬が必要とされている。
【0011】
本出願人は、上述の条件を満たし、標識のための反応性官能基としてジアゾメチル官能基を使用するこの種の新規標識を既に提案している。これは、例えば、国際特許出願第WO02/090319、WO02/090584およびWO2005/092910のケースである。
【0012】
従って、ジアゾメチル官能基(式:−C(N2)−)はリン酸塩基のアルキル化に既に使用されているが、いくらかの問題が生じる。一つには、少なくとも1つのジアゾ官能基を包含する試薬は、一般的にそれ自身不安定であり、標識化キットにこれらの試薬を使用すると問題を引き起こし、標識生成物の官能基が任意のサンプル中の標的生体分子の存在を証明するためのものである場合には、不利である。
【0013】
最後に、ジアゾメチル官能基を持つ試薬は、その安定性を確保するためにフェニル型の芳香族核により、ビオチンなどの特定の標識に連結される。芳香族核の存在および標識の性質によりこれらの試薬は水に難溶性となり、水または水性緩衝液にのみ溶解する生体分子に結合するために、水と混和性の有機溶媒を使用することになる。しかし、これらの溶媒は、標識化反応にあまりに高い濃度で使用されると、生体分子の沈殿を引き起こすことがある。さらに、一体型装置による標識プロトコルの自動化のためには、有機溶媒を含有しない緩衝液中で標識化試薬を凍結乾燥することが不可欠である。有機溶媒は凍結乾燥に適合しない。従って、水性溶媒に十分可溶で、安定である標識化試薬を入手できる必要がある。
【0014】
上記の文献、国際特許出願第WO02/090319およびWO02/090584(第一世代分子)およびWO2005/092910(第二世代分子)に提唱されている標識化試薬は、これらの技術上の問題を解決するものでもある。
【0015】
これらの分子は、結果として次のような欠点を有する。
‐化学的に不安定であり、4℃で溶液又は乾燥としておく必要があり、
‐合成が比較的複雑であり、
‐水性溶液に難溶性である。
【0016】
これらの欠点にもかかわらず、これらの分子は、特に当業者にとって興味深く魅力的である。それらの物理的または化学的特徴を改良することがいかなる場合でも可能であり、これは、国際特許出願第WO2009/001017に開示されているような、より安定で、かつ合成がより簡単な分子である第三世代の分子の開発において最重要点であった。
【0017】
この解決策の開始により、第一および第二世代分子の安定性の問題に立ち向かうことが可能になったが、その溶解度は、第二世代分子のそれ(100%の水に0.3mM)よりわずかに良くなったに過ぎない。しかし、それはともかくとして、本出願人は、この方向に沿って、第三世代分子(溶解度は100%の水に対して2〜28mMである)よりさらに溶解性が高く、我々の以前の発明中で既に説明した分子と同等またはそれ以上の安定性を有する新しい型の分子の説明を続ける。
【0018】
上に開示されたこれら4つの文献は、先の三世代の分子について述べており、これらはいずれも環の近くのジアゾメチル官能基の存在に基づいている。不注意な省略により、本発明を開示している本文中で見落としているかもしれない説明を補充するために、これら4つの文献を参照することを読者に要請する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
そこで、新規発明は、ジアゾメチル官能基アルファへのピリジン核の導入を提案し、認識基は、アルファ’位またはピリジン環上である(図2参照、分子10または分子19)。第四世代分子は、安定性と溶解性の組み合わせの最良のプロファイルを提案する。
【0020】
これにより、以下が分子に付与される。
1)4℃で乾燥状態または室温で溶液状態において、ニトロDKS以上またはこれと同等の化学的安定性。この特性は、第三世代分子のニトロアリール基と同様に、注目すべき方法によりジアゾ官能基を安定化するピリジン核の電子求引性によるものである。
2)ピリジン核上の窒素原子の存在によるはるかに大きい溶解性。
3)核酸を標識する市販の方法よりも高い核酸との反応性。
【0021】
本発明は、既存の分子を著しく改善する。実際、第一および第二世代分子は、それ以前に存在したものに比較して、この点について既に改良がなされているとはいえ、化学的に不安定であるという欠点を有している。得られた結果は4℃で1年間保存した後であっても非常に良好であるので、従って、標識化は非常に効果的に存続する。さらに、これらの合成は比較的複雑さを残している。第三世代分子は、いっそう安定性が高く、その合成もより簡単であり、これらの分子を含有するキットの有効期限や合成の工業化において、非常に有利である。
【0022】
第一および第二世代分子は、無水有機溶媒中で低温保存された場合、1年間は機能的に安定である。第三世代分子は、液体溶媒中または乾燥状態のいずれにおいても機能的および化学的にいっそう安定である。従ってこれを、例えば乾燥または凍結乾燥により、非常に長期間(10〜100倍長く)乾燥状態で保存した後に、水性溶媒中で取り扱うことができるが、凍結乾燥に対して不安定である第一および第二世代分子ではそうではない。
【0023】
第三世代分子の工業的改善は、特に、問題が生じた場合に、所定の試薬の安定性に悪影響を与えることなく、配備された化学的性質が非常に効果的で強固でなければならない一体型装置またはマイクロシステムにおいて重要である。
【0024】
最後に、上記第一および第二世代分子は、水性溶液への溶解性が乏しいので、反応を開始する前にこれら分子を適切に溶解しなければならない使用者にとって、非常に厄介である。
【0025】
しかし、これらの分子および標識化方法が効果的であるとしても、標識化の有効性をさらに改善する第三世代の新しい分子およびそれら分子の新しい標識化方法により、出願人は、第一および第二世代分子の安定性の問題の解決法を見出すことに成功した。
【0026】
しかし、これら分子の世代が第一から第三のいずれであっても、その溶解性に乏しいという点にもう一つの問題がある。従って、2つの新規な分子官能性を結合し、これら新規な試薬を作成した。それらは以下のように定義される。すなわち、
・ジアゾメチル官能基は、そのアルファ位に、それ自体はメタ、パラまたはオルト位において単一または複数の一種以上の基で置換可能なピリジン環を有し、
・ジアゾ官能基は、
‐第三世代の分子として、ビオチンまたは他の検出可能な基である、検出を可能にする基をアルファ’位に有し、
‐第一および第二世代分子では環、すなわち、本件ではピリジン環、に担持されている検出可能な基を担持していない。
第四世代の分子は、第三世代の分子と同程度の安定性と反応性を有するが、その溶解度は、その電子求引機能によりジアゾメチル官能基を同様に安定化するピリジン核の存在により改良されることに留意すべきである。
【0027】
「多量体構造」、「検出可能な標識」、「間接システム」、「蛍光色素分子」、および他の関心の対象である標識剤、「共役」、「生体分子」、「核酸」、「酵素増幅法」、「実質的に水性溶液」、「均一溶液」、「固体支持体」および「精製工程」の定義は、特許出願WO2005/092910に記載されており、読者は必要に応じてこれを参照することが求められる。
【0028】
同様に、次の技術、
・グラフト化化学、および
・核酸の3’または5’末端へのリン酸塩の導入
も、上記特許出願に記載されており、読者は本発明を完全に理解するために必要な情報の全てをその文書中に見出すことができる。
【0029】
さらに、これら第三世代の分子に担持されるジアゾメチル官能基は、第一および第二世代の分子と同様、核酸を支持体上に共有結合的に接合することを可能にする。特に吸着に比較して、接合は簡単で、連結は安定であり、核酸の固体支持体上への結合を可能にし、立体障害を減じてその後のハイブリダイゼーション工程をさらに促進する。
【0030】
第四世代として説明されるこの新しい分子族は、ピリジンジアゾケトンビオチン(PyDKB)またはピリジンジアゾビオチン(PyDB)と称され、それぞれ式(C)のPyDKBおよび式(D)のPyDB(下記参照)である比較的熱的に安定な標識化試薬により表される。
【0031】
第1の実施態様によれば、本発明は式(C):
[式中、
・R1は、検出可能な標識または少なくも1つの多量体構造によって連結された少なくとも2つの検出可能な標識を表し、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・Lは、少なくとも2つの共有結合を有する直鎖を含むリンカーアームである]
により表される標識化試薬を提供する。
【0032】
第2の実施態様によれば、本発明は式(D):
[式中、
・R1は、検出可能な標識または少なくも1つの多量体構造によって連結された少なくとも2つの検出可能な標識を表し、
・R2は、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・Lは、少なくとも2つの共有結合を有する直鎖を有するリンカーアームである]
により表される標識化試薬を提供する。
【0033】
標識R1とジアゾメチル官能基を同時に持つアームの位置(式C)は、ピリジン核の窒素原子の位置に関してパラ、メタまたはオルト位である。好ましくは、このアームは、ピリジン核の窒素原子の位置に関してパラ位である。
【0034】
標識R1を担持するアームの位置またはジアゾメチル官能基を担持するアームの位置(式D)は、互いに独立であり、ピリジン核の窒素原子の位置に関してパラ、メタまたはオルト位である。好ましくは、ジアゾメチル官能基を担持するアームは、ピリジン核の窒素原子の位置に関してパラ位であり、その際、標識R1を担持する上記アームはピリジン核の上記窒素原子の位置に関してオルト位である。
【0035】
好ましくは、R2および/またはR3はジアゾ官能基に関してメタ位である。この位置で、ジアゾメチル官能基が置換基R2および/またはR3と共役することができる。
【0036】
本発明での意味として、アルキル基は次のように理解される。すなわち、鎖状または、アルキル鎖が少なくとも3個の炭素原子を有する場合には、分岐状または環状の、1〜6個の炭素原子(望ましくは、1〜2、1〜3または1〜4個の炭素原子)を有する飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、メチルシクロプロピル、ペンチル、2,2‐ジメチルプロピル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基が挙げられる。
【0037】
本発明での意味として、アリール基は単環芳香族基を意味すると理解され、例えば、フェニル基である。
【0038】
第1の実施態様の第1の変形例によれば、本発明は式(E):
[式中、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHR、COORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・nは、1〜12、好ましくは1〜6の整数である]
により表される標識化試薬を提供する。
【0039】
第2の実施態様の第1の変形例によれば、本発明は式(F):
[式中、
・R2は、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・−Y−X−は、−CH2NH−、−CONH−、−NHCO−、−CH2O−または−CH2S−を表し、
・m、nおよびpは、互いに独立であり、1〜12、好ましくは1〜6の整数である]の標識化試薬を提供する。
【0040】
第1の実施態様の第2の変形例によれば、本発明は式(G):
により表される標識化試薬を提供する。
【0041】
第2の実施態様の第2の変形例によれば、本発明は式(H):
により表される標識化試薬を提供する。
【0042】
いずれの実施態様またはそれらの変形例であっても、上に開示された本発明による試薬は、好ましくは式(I):
により表されるD−ビオチン残基で構成されている基R1を含有する。
【0043】
本発明はまた、標識化試薬の合成方法に関し、上に開示されたように、以下の工程を有する(PyDKB型分子):
a)芳香族カルボン酸誘導体をラクトンのエノラートに反応させて(クライゼン型反応)環状前駆体を形成し、
b)次いで、環状前駆体をハロゲン酸で開環しハロゲン化芳香族ケトンを形成し、
c)ハロゲン化芳香族ケトンのカルボニル官能基を保護基によって保護し、被保護前駆体を形成し、
d)被保護前駆体を(ガブリエル型の)アミノ化反応に供し、アミノ化前駆体を形成し、
e)アミノ化前駆体を脱保護してアミン官能基を解放させ、前記アミン官能基を検出可能な標識と反応させて、そのカルボキシル官能基を活性化し、検出可能な標識を含有する前駆体を形成し、
f)標識された前駆体にカルボニル官能基の脱保護の反応をさせて、標識されたカルボニル含有前駆体を形成し、最後に
g)カルボニル官能基をジアゾ官能基に変換して、上述のように、標識されたカルボニル含有前駆体を標識化試薬に変換する。
【0044】
PyDB型分子の合成に関しては、その工程は以下のようである:
a)芳香族ジカルボン酸をエステル化してジエステルを形成し、
b)このジエステルを単一保護されたアミノ化エチレングリコール由来の化合物で位置選択的に置換し、カルボキシル官能基とアミン官能基が保護された前駆体を形成し、
c)次いで、前駆体を還元してアルコールとし、かつ酸化してアルデヒドとし、
d)工程c)で合成されたアルデヒドを、アミン官能基を脱保護しながら同時にこの官能基を保護するために酸処理に供してアミノ化アセタールとし、
e)アミノ化アセタールを活性化された検出可能な標識のカルボキシル官能基と反応させて、検出可能な標識を含有する前駆体を形成し、
f)標識された前駆体をカルボニル官能基の脱保護の反応に供し、標識されたカルボニル含有前駆体を形成し、最後に
g)バンフォード・スティーブンス反応によりカルボニル官能基をジアゾ官能基に変換して、上述のように、標識されたカルボニル含有前駆体を標識化試薬に変換する。
【0045】
本発明はさらに、生体分子、特に核酸、を標識する方法に関し、該方法は、生体分子と試薬を均一な溶液中、実質的に水性の緩衝液中で接触させることを含む。
【0046】
本発明はまた、生体分子を標識する上記方法により得られる、標識された分子を提案する。
【0047】
本発明はまた、一本鎖または二本鎖核酸を標識化し、断片化する、以下の工程を有する方法に関する。すなわち、
・核酸を断片化し、
・上記試薬から選択された標識化試薬を用いて少なくとも1つの断片上に標識を結合させる。
この試薬は、共有結合的に主として上記断片の少なくとも1つのリン酸塩上に連結する。リン酸塩に結合させるこのような技術は、例えば、図1に示される。
【0048】
第1の実施変形例においては、上記方法は、断片化および標識化が2工程で行われることを特徴とする。
【0049】
第2の実施変形例においては、上記方法は、断片化および標識化が1工程で行われることを特徴とする。
【0050】
いずれの実施変形例においても、上記方法は、標識化が実質的に水性の均一な溶液中で行われることを特徴とする。
【0051】
いずれの実施変形例においても、上記方法は、断片化が酵素的、物理的または化学的手段により行われることを特徴とする。
【0052】
上述の方法は、出願人がこれらの方法により取得することが可能な標識された核酸を特許請求する権利も与える。
【0053】
本発明はさらに、上述のように、標識された核酸を含有する標的核酸を検出するためのキットに関する。
【0054】
本発明はまた、上述のように、試薬が結合している固体支持体に関する。
【0055】
最後に、本発明は、核酸を捕獲するための、以下の工程を有する方法に関する。すなわち、
・直接的または間接的に、少なくとも一つの上述の生体分子または上述の核酸であって、ジアゾメチル官能基を有する生体分子または核酸を結合させた固体支持体を使用し、
・これを、遊離核酸を含有し得る生体サンプルと接触させ、そして
・少なくとも1つの核酸に分子が共有結合する前記固体支持体を洗浄する。
【0056】
これらの第四世代のDKB分子は、リンカーと称されるスペーサアームLと、ビオチン、ハプテン、蛍光色素分子、蛍光基、発光基などの検出可能な基から構成されうる標識R1とを担持する。
【0057】
Lは少なくとも2つの共有結合からなる直鎖を有するリンカーアームであり、nは1に等しい整数である。有利には、前述の実施態様または変形例のいずれの試薬においても、Lは、1〜20回、好ましくは1〜12回、さらに好ましくは2〜6回繰り返される、−(O−CH2−CH2)−部分を含んでいる。
【0058】
添付の実施例および図面は特定の実施形態を表したものであり、本発明の範囲を限定するものとは見なされない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による分子による、RNAまたはDNAの形態の一本鎖核酸の標識化を示す、反応概略図を表す。
【図2】本特許出願において使用された分子の概略図を示す。
【図3】PyDB(分子10)の分子の合成方法の反応概略図を表す。
【図4】PyDKB(分子19)の分子の合成方法の反応概略図を表す。
【図5】液体媒体中での比較における、特許出願WO−A−02/090319に記載されている第二世代[ビオ−EG3]2−PDAM(以下、BBPと称する)分子に対する、PyDBおよびPyDKB分子の安定性を表す。
【図6】乾燥状態での比較における、第二世代BBP分子に対する、2つの第四世代分子、PyDBおよびPyDKBの安定性を表す。
【図7】標識BBPおよびPyDBを各45mMの濃度で使用した際の、RNAアンプリコンの精製後の標識化の結果を示す。
【図8】3mMのHCl存在下で標識BBPおよびPyDBを各2mMの濃度で使用した際の、RNAアンプリコンの未精製での標識化の結果を示す。
【図9】2.5mMの濃度で、ハイブリダイゼーションを24時間行った際の、標識PyDBまたはBBPで標識されたRNAアンプリコンの標識化の安定性を表す。
【図10】Kreatech(Amsterdam、オランダ)の汎用標識システム(ULS)または本発明に従うもの、どちらかの使用した標識化技術に応じたRNAアンプリコンの標識化の有効性の比較を示す。
【図11】HPLCにより決定された、2つの第四世代の分子(PyDBおよびPyDKB)に対する、2つの第三世代分子(メタニトロDKBおよびパラニトロDKB)の水性溶媒中での比較溶解性を示す。
【0060】
図面および明細書中で、「比較蛍光」と「RFU」とは、同一である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下に示す実施例において、以下の略語を使用している。
・Ar:芳香族
・s:一重項
・bs:広い一重項
・d:二重項
・dd:二重二重項
・t:三重項
・q:四重項:
・qu:五重項
・m:マウンド
・M:多重項
・HPLC:高速液体クロマトグラフィー
・TLC:薄層クロマトグラフィー
・NMR:核磁気共鳴
・Yld:収率
・Eq:当量
・RfまたはTR:保持時間
・DMSO−d6:重水素ジメチルスルホキシド
・DMCF:ギ酸ジメチルシクロヘキシルアンモニウム
・CDCl3:重水素クロロホルム
・DMF:ジメチルホルムアミド
・DCM:ジクロロメタン
・MeOH:メタノール
・ACN:アセトニトリル
・AcOEt:エチルアセテート
・MilliQ water:超純水(ミリポア、Molsheim、フランス)
・DMAC:ジメチルアミノ桂皮アルデヒド
・Si60:シリカゲル60FLUKA(40〜63μm)
・UV:紫外線
【実施例】
【0062】
下記(実施例1、2、3、4および9)化合物の分析および合成の一般的な条件を以下に示す。
機器:
HPLC条件(システム HPLC WATERS Alliance 2795、ダイオードアレイ検出器 PDA996、ソフトウェア Empowerバージョン2、カラム WATERS XTerra MS C18,4.6×30mm、2.5μM)、流速1mL/分、30℃(260nmで検出)
HPLC塩基性法:
溶離液A:ミリQ水
溶離液B:ACN
溶離液C:500mMアンモニア水、pH12
即ち、20分間で1%から64%の直線濃度勾配のアセトニトリル(一定の5mMのアンモニア水、pH=9)。
HPLC中性法:
溶離液A:ミリQ水
溶離液C:ACN
溶離液D:500mMギ酸アンモニア溶液、pH7
即ち、10mMのギ酸アンモニア溶液中、20分間で1%から64%の直線濃度勾配の(溶離液)C。
合成:
薄層クロマトグラフィー分析は、ALUGRAM(登録商標)MACHEREY−NAGEL SIL G/UV2544×8cm(Duren、ドイツ)シリカプレート上で254nmで紫外線検出、またはビオチニル化生成物に対してはDMACにより行った。
生成物はシリカゲル60FLUKA(40〜63μm)上クロマトグラフィーにより精製した。「フラッシュ」クロマトグラフィー(アルゴン圧下)による分離の条件は、Clark Stillら(Clark Still,W.;Kahn,M.;Mitra,A.J.Org.Chem.1978,43,2923−2925)に記載されている条件を厳密に順守する。すなわち、シリカの高さを15cmに固定し、流速が5cm/分になるように圧力をかけ、精製する生成物の量およびRfに基づいてカラムの直径を決める。
実施例1では、NMRスペクトルをブルカー200MHz分光計に記録した。化学シフト(δ)は、内部標準(CDCl3:7.24ppm;DMSO−d6:2.49ppm;D2O:4.80ppm、25℃)としての溶媒ピークに対するppmとして与えられる。スペクトルは上記略語:s、d、t、q、qu、mおよびMにより記載する。結合定数(J)はヘルツ(Hz)により表わす。
実施例2では、1Hおよび13CNMRスペクトルは室温でブルカーAC200またはブルカーDPX300分光計で行った。化学シフト(δ)は、テトラメチルシランに対するppmとして示され、CHCl3(δH=7.27、δC=77.0)またはDMSO(δH=2.52、δC=40.0)に対して標準化する。結合定数(J)はヘルツ(Hz)により表現する。シグナルの形は次のように略記される:bsまたはdd。
マススペクトル:
マススペクトル(SM)は、2〜10μL/分で石英管を通して注入することにより、ポジティブモードでの電子スプレーイオン化法によりLCQイオントラップ型機器(Thermofinnigan,San Jose,CA,米国)を使って得た。主要な溶媒としてDCMおよびMeOHを使用した。
【0063】
実施例1
ピリジンジアゾビオチン(PyDB)の合成
目的:
下記の反応概略図に従って、ジアゾメチル官能基に対してアルファであり、芳香環に認識基を有するピリジン核を含有する分子の合成の実現可能性を実証する。
【0064】
手順:
→ジメチルピリジン−2,4−ジカルボキシレート(2)
PCl5(39g;0.186M;3当量)およびピリジン−2,4−ジカルボン酸(11.5g;6.2×10−2M)を500mLのフラスコに入れる。混合物を室温で45分攪拌し、緑色の液を形成する。次いで、ジクロロメタン(80mL)で希釈した後、メタノール(20mL)を慎重に添加する。全体を60gのNaHCO3を含有する水H2O(300mL)に注ぎ、水相をジクロロメタン(4×50mL)で洗浄し、有機相を1MのNa2CO3(2×50mL)で洗浄する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:75:25 AcOEt/シクロヘキサン)で精製する。
固体:m=11.71g
収率:96%
保存:室温
1H NMR(200MHz,CDCl3):4.03(s,3H,−OMe);4.09(s,3H,−OMe);8.07(dd,J=6Hz,1H,H3);8.68(s,1H,H5);8.91(d,J=4.6Hz,1H,H2)
13CNMR(75MHz,CDCl3):53.28(C8,C10);124.49(C5);126.29(C3);138.64(C4);149.06(C6);150.92(C2);162.45(C7);164.96(C9)
【0065】
→メチル2−{N−[13−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−4,7,10−トリオキサ−トリデシル]アミノカルボニル}ピリジン−4−カルボキシレート(3)
トルエン(3mL)中のジエステル2(2.25g;1.1×10−2M)を25mLのフラスコに入れる。次いで、Boc−ジアミン(3.7g;1.2×10−2M;1.1当量)を混合物に添加し、90℃で20時間攪拌する。トルエンを蒸発させた後、粗混合物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液勾配:10,20および30%ジクロロメタン/アセトン)により精製する。
透明な油:m=2.9g
収率:55%
保存:室温
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.42(s,9H,−Boc);1.74(q,2H,H9);1.92(q,2H,H16);3.21(q,2H,H8);3.61(m,16H,H10−H11−H12−H13−H14−H15−H17);3.97(s,3H,−OMe);5.01(m,1H,N−H);7.96(d,1H,H5);8.35(s+d,2H,H3+H2);8.69(m,1H,N−H)
13CNMR(75MHz,CDCl3):28.63(C20−C21−C22);29.30(C16);29.74(C9);37.55(C17);38.85(C8);53.02(C24);69.69(C10−C15−C11−C14);70.78(C12−C13);79.97(C19);121.60(C5);125.52(C3);139.08(C4);149.23(C2);151.76(C6);156.27(C18);163.65(C7);165.60(C23)
【0066】
→4−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−N−[13−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−4,7,10−トリオキサトリデシル]−カルボキサミド(4)
250mLのフラスコ中でモノエステル(2.73g;5.4×10−3M)をMeOH(20mL)に溶解する。混合物を氷浴により冷却し、NaBH4(1.32g;3.5×10−2M;6.5当量)を少しずつ添加する。混合物を30分間室温で攪拌する。
混合物をH2O(100mL)に希釈し、飽和NH4Clで中和した後、ジクロロメタン(4×100mL)で抽出する。有機相を合わせ、デシケーターで減圧下で一晩蒸発、乾燥させる。
透明な油:m=2.44g
収率:95%
保存:室温
1H NMR(200MHz,CDCl3):1.42(s,9H,−Boc);1.75(q,2H,H9);1.91(q,2H,H16);3.02(m,1H,OH);3.19(q,2H,H8);3.59(m,16H,H10−H11−H12−H13−H14−H15−H17);4.79(d,2H,H23);5.03(m,1H,N−H);7.47(d,1H,H3);8.15(s,1H,H5);8.39(m,1H,N−H);8.51(d,J=5Hz,1H,H2)
13CNMR(75MHz,CDCl3):28.77(C20−C21−C22);29.26(C16);30.07(C9);37.68(C17);39.01(C8);63.70(C23);69.42(C10−C15);70.39(C11−C14−C12−C13);79.96(C19);119.95(C5);123.87(C3);148.44(C2);150.03(C6);143.34(C4);156.42(C18);164.96(C7)
【0067】
→4−(ホルミル)ピリジン−2−N−[13−(t−ブトキシカルボニルアミノ)−4,7,10−トリオキサトリデシル]カルボキサミド(5)
(COCl)2(1.2mL、13.7mM)のジクロロメタン(5mL)溶液を−70℃でアルゴン下にDMSO(2.0mL、28.2mM)のジクロロメタン(8mL)溶液に添加する。これを−70℃で30分間攪拌した後、アルコール4(1.92g、4.2mM)のジクロロメタン(20mL)溶液を滴下する。これを−70℃で30分間攪拌し、NEt3(6.5mL、47mM)を添加する。反応混合物を0℃で3時間攪拌した後、水(70mL)に注ぐ。水相を上記ジクロロメタンで抽出し、洗浄(NaHCO3)、MgSO4で乾燥、蒸発させて粘性の油を得る。Me2Sの遊離が起こるので、次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用してこれを捕捉し、汚染された容器を洗浄しなければならない。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(遊離液:85:15 AcOEt/アセトン)により精製する。
透明な油:m=1.46g
収率:75%
1H NMR(300MHz,CDCl3):1.42(s,9H,−Boc);1.76(q,J=6Hz,2H,H9);1.95(q,J=6Hz,2H,H16);3.22(q,2H,H8);3.57(m,16H,H10−H11−H12−H13−H14−H15−H17);4.98(m,1H,N−H);7.85(d,1H,H3);8.59(s,1H,H5);8.77(d,1H,H2);10.15(s,1H,Hal)
13CNMR(75MHz,CDCl3):29.59(C20−C21−C22);30.03(C9−C16);38.11(C8−C17);70.11(C10−C15);70.99(C11−C14−C12−C13);79.50(C19);122.27(C5);123.68(C3);143.22(C4);149.80(C2);152.61(C6);156.35(C18);163.62(C7);191.32(C23)
【0068】
→4−(ジメトキシメチル)ピリジン−2−N−(13−アミノ−4,7,10−トリオキサトリデシル)カルボキサミド(6)
アルデヒド5(1.4g、3.1mM、1当量)を10mLのメタノールに溶解する。TMSCl(1mL、7.9mM、2.5当量)を添加し、混合物を一晩攪拌する。1Mの水酸化ナトリウム(40mL)溶液を添加し、生成物をジクロロメタンで抽出する。有機相を炭酸ナトリウムの存在下で乾燥し、溶媒を真空下で蒸発させる。
M=997mg
収率:81%
1H NMR(300MHz,CDCl3):8.54(d,1H,H6),8.35(br s,1H,H8),8.24(s,1H,H3),7.52(d,1H,H5),5.42(s,1H,H23),3.71−3.53(m,15H,H9+H11−16),3.33(s,6H,H24,25),2.80(t,2H,H18),1.91(quint,2H,H10),1.75(quint,2H,H17)
【0069】
→アセタール−ビオチン(7)
アセタール(6)(1.54g、3.9mM)を30mLのジクロロメタンに溶解する。ビオチン(1.36g、4.2mM、1.1当量)を添加し、混合物を2時間攪拌する。溶液を50mLの1M炭酸ナトリウムで3回抽出する。水相を50mLのジクロロメタンで洗浄する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー、SiO2、φ=50mm、15cm、溶離液:700mLの10%メタノール/ジクロロメタン次いで1Lの15%メタノール/ジクロロメタンで精製する。次いで、溶媒を蒸発させ、油性の残留物をエーテルで洗浄して白色粉末を得る。
m=1.78g
収率:74%
1H NMR(300MHz dual,CDCl3):8.55(d,1H,H2),8.35(t,1H,H13),8.26(s,1H,H5),7.55−7.53(m,1H,H1),6.7(broad s,1H,H42),6.2(broad s,1H,H40),5.44(s,1H,H7),4.4−4.6(m,1H,H38),4.2−4.4(m,1H,H39),3.71−3.54(m,16H,H15,H17−25,H27),3.34(s,6H,H10−11),3.2−3.1(m,1H,H35),3−2.8(m,1H,H37),3.8−3.7(m,1H,H37’),2.19(t,2H,H31),1.92(quint,2H,H16),1.8−1.3(m,8H,H26,H32−34)
【0070】
→アルデヒド(8)
アセタール(7)(1.76g、2.8mM)を80:20 酢酸:水 溶液(20mL)に溶解し、混合物を60℃で24時間アルゴン下に攪拌する。溶液を蒸発させ、油性の残留物を白色粉末が得られるまでエーテルで洗浄する。
M=1.83g
収率:約100%
1H NMR(300MHz dual,DMSO−d6):10.17(s,1H,H8),8.92(s+d,2H,H10,2),8.42(s,1H,H5),7.99(d,1H,H1),7.73(t,1H,H25),6.4−6.3(s+ broad s,2H,H39,37),4.3−4.1(m+m,2H,H35,36),3.53−3.28(m,18H,H12,14−22,24),3.07(m,1H,H32),2.80(d,1H,H34),2.78(d,1H,H34’),2.2−1.00(m,12H,H13,28−31)
【0071】
→トシルヒドラゾン(9)
アルデヒド8(1.62g、2.79mM)のジメチルホルムアミド(20mL)溶液を130℃で30分間アルゴン下で攪拌する。4−メチルベンゼンスルホンヒドラジドを添加し、混合物を1時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー:SiO2、φ=30mm、15cm、溶離液:10%メタノール/ジクロロメタンで精製する。油性の残留物を黄色粉末が得られるまでエーテルで洗浄する。
M=1.57g
収率:75%
1H NMR(300MHz dual,DMSO−d6):12.0(broad s,1H,H39),8.83(s,1H,H8),8.63(d,1H,H2),8.13(s,1H,H41),7.99(s,1H,H5),7.77(d,2H,H46,50),7.69(d,1H,H1),7.42(d,2H,H47,49),6.41(s,1H,H37),6.35(s,1H,H35),4.4−4.2(m,1H,H34),4.0−4.2(m,1H,H33),3.51−3.33(m,16H,H9,11−20,22),3.1−3.0(m,2H,H32),2.8−2.7(m,1H,H30),2.36(s,3H,H51),2.03(t,2H,H10),1.77(t,2H,H21),1.6−1.2(m,8H,H26−29)
【0072】
→最終ジアゾ化合物(10)
トシルヒドラゾン9(200mg、0.27mM)を25mLフラスコに入れる。水素化ナトリウム(油中60%)(42.8mg、1.07mM、4当量)のメタノール(10mL)溶液を添加し、混合物を室温で24時間攪拌する。生成物を0.5MのNa2CO3(10mL)およびジクロロメタン(4×10mL)で抽出する。油性の残留物をエーテルで洗浄してオレンジ色の粉末を得る。
M=135g
収率:88%
1H NMR(200MHz dual,CDCl3):8.31−8.28(br s+d,2H,H8,2),7.73(d,1H,H5),6.88(dd,1H,H1),6.62(t,1H,H23),6.13(s,1H,H37),5.32(s,1H,H35),5.10(s,1H,H39),4.6−4.4(m,1H,H34),4.4−4.2(m,1H,H33),3.7−3.5(m,18H,H9,11−12,22),3.13(m,1H,H30),2.88(dd,1H,H32),2.72(d,1H,H32’),2.2−1.3(m,12H,H10,21,26−29)
【0073】
結果および結論:
我々は、認識基(ビオチン)を担持するピリジン核と共役したジアゾメチル官能基を有する化合物の合成が収率良く実現可能であることを実証した。
【0074】
実施例2
ピリジンジアゾケトンビオチン(PyDKB)の合成
目的:
下記の反応概略図に従って、ジアゾ官能基に対してアルファであるピリジン核と、ジアゾ官能基に対してアルファ’である認識基(ビオチン)とを有する分子の合成の実現可能性を実証する。
【0075】
手順:
→ブロモケトン(12)の合成
γ−ブチロラクトン(5.020g/4.55mL;32.23mM;1.0当量)をTHF(15mL;3.3v)で希釈した後、氷浴で0℃に冷却する。水素化ナトリウム(60%;3.018g;75.42mM;2.27当量)を5分間かけて添加した後、氷浴を30分間取り外す。フラスコを0℃に戻した後、イソニコチン酸エチル(3.80mL;49.84mM;1.5当量)のTHF(245mL;64.5v)溶液を1滴ずつ流し入れる。反応は室温で18時間攪拌して行う。THFを真空下蒸発除去した後、残留物を100mLのエチルエーテルに取り込み、期待した生成物を沈殿させ、懸濁液を濾過した後、ロータリーエバポレーターで1mbarで20分間乾燥し、生成物を取得する。本生成物の一部(4.721g;24.7mM)を48%臭化水素酸(38mL、すなわち650mM)水に取り込み、2時間で110℃に昇温する。反応混合物をNa2CO3でpH9へ塩基性化した後、200mLの水と合わせ、200mLの酢酸エチルで2回抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥、綿濾過、ロータリーエバポレーターで蒸発させる。
m=3.096g
収率(2工程後):21%
HPLC法:中性
【0076】
→保護ブロモケトン(13)の合成
500mLのフラスコ中で、ブロモケトン(3.096g;13.57mM;1.0当量)を無水エタノール(165mL;80mM)に溶解し、塩化トリメチルシリル(51.5mL;407.2mM;30.0当量)を添加後、反応混合物をアルゴン下に置き、次いで53℃(試薬の沸点より低い温度)に18時間加熱する。反応混合物を蒸発乾燥後、50mLの水に取り、35%苛性ソーダ溶液でpH9−10の塩基性にした後、200mLとし、ジクロロメタン(DCMとも略記される)2×150mLで抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥、濾過、減圧下で蒸発乾燥する。蒸発残留物を1mLのDCMに取り、順相Si60シリカゲル(h=50cm;φ=15cm;溶離液:DCM/MeOH:95/5)のカラムに載せる。
m=1.506g
収率:40%
TLC溶離液:DCM/MeOH:95/5
HPLC法:中性
【0077】
1H NMR(200MHz,CDCl3):δ=1.4−1.7(M;2H;e);3.0−3.25(m;8H;f,g);3.30(t;2H;d);7.42(d;2H;a);8.65(d;2H;b)
【0078】
→保護アミノ化ケトン(ガブリエル反応)(15)
ブロモケトン(1.506g;5.49mM;1.0当量)、フタルイミドカリウム(1.526g;8.24mM;1.5当量)およびDMF(55mL;0.1M)を100mLフラスコに入れ、155℃で15分間加熱する。溶媒を蒸発乾燥後、蒸発残留物を100mMの苛性ソーダ溶液200mLに取り、DCM、2×200mLで抽出し、ジクロロメタン相をNa2SO4で乾燥、濾過、蒸発乾燥して化合物14を得る。これを全部(5.49mM;1.0当量)、水(21.35mL;109.8mM;20当量)およびメタノール(109mL;50mM)中、25%ヒドラジンと反応させ、反応混合物を18時間攪拌する。溶媒を除去した後、残留物を10mMの苛性ソーダ溶液200mLに取り、DCM 3×200mLで抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥、濾過、減圧下で蒸発後、得られた油分を1mLのDCMに取り、順相Si60シリカゲル(h=15cm;φ=3cm;溶離液:DCM/MeOH/NH3:97.5/2.5/1)のカラムに載せる。
m=300mg
収率:26%
TLC溶離液:DCM/MeOH/NH3:90/10/1
HPLC法:中性
1H NMR(フタルイミド14)(200MHz,CDCl3):δ=1.2−1.3(M;2H;e);1.88(M;2H;d);3.03(t;6H;g);3.44(dd;2H;f);7.45(d;2H;a);7.57−7.71(m;4H;iおよびj);8.52(d;2H;b)
1H NMR(アミン15)(200MHz,CDCl3):δ=1.0−1.2(m;4H;eおよびf);1.88(M;2H;d);2.54(t;2H;h);3.15(t;6H;g);7.35(d;2H;a);8.58(d;2H;b)
【0079】
活性化ビオチン(20)の合成
ビオチン(5g、23.1mM、1.0当量)を無水DMF(50mL)およびピリジン(2.07mL、25.4mM、1.1当量)に懸濁する。5分間攪拌した後、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(PFP−TFA:4.621mL、すなわち、7.50g、25.4mM、1.1当量)を添加する。一晩攪拌後、反応を完了させ、溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させる。蒸発残留物を100mLのエチルエーテルに取り懸濁後、フリットフィルターで濾過、固形状物を最小量のエーテルで洗い流す。ここで、TLCで僅かにビオチンが観察されるが、以下において何ら影響しない。
m=7.106g
収率:81%
TLC溶離液:DCM/MeOH=90/10
【0080】
ビオチンと芳香族アミンの結合(化合物16)
化合物15(808mg、2.0mM、1.4当量)を60℃のDMF(4.28mL)に溶解させ、トリエチルアミン(1.60mL、11.4mM、8.0当量)の添加前に、5分間攪拌する。化合物20のDMF溶液(500mMで2.85mL、すなわち、300mg、1.4mM、1.0当量)を一度に全てを添加する。60分後、溶媒を減圧下に蒸発させる。それ以上の処理を行うことなく、粗反応生成物をそのまま脱保護に使用する。
質量および収率は次の段階で計算する。
HPLC法:中性
【0081】
ビオチニル化ケトン(化合物17)
化合物16を6M塩酸溶液50mLに取り、室温で2時間攪拌する。溶液を蒸発させて乾燥する。残留物は塩酸塩の状態において赤色の油である。それを90/8/2 DCM/MeOH/TEA混合物に取り、油を脱色し、気体を蒸発させ、2mLのトリエチルアミンを添加した後、混合物を蒸発乾燥して得られた沈殿物を100mLのエチルエーテルおよび10mLのDCMに取り、懸濁液を濾過、固形状物を50mLのエーテルで粉砕し、28℃で2時間真空下のオーブンに放置する。粉末を5mLのDCM/MeOH(88/12)混合物に取り、250μLの2M苛性ソーダ溶液を添加し、全部を溶解する。この溶液を直径=3cm、h=16cm、v=5cm/分のSi60シリカゲルカラムに載せ、DCM/MeOH(88/12)混合物で溶出する。
m=940mg
収率:83%、第2工程後、かつ2.9当量の塩酸トリエチルアミンを無視する場合。
TLC溶離液:DCM/MeOH:85/15
HPLC法:中性
1H NMR(200MHz,DMSO):δ=1.28(t;TEA);1.49(M;2H;k);1.30−1.50(m;4H;jおよびl);1.73(quint;2H;e);2.05(t;2H;i);2.6−2.8(M;2H;m);2.9−3.2(m;TEAの5H+H;d,f,nおよびTEA);4.0−4.3(m;2H;oおよびo’);6.38(s;1H;p’);6.43(s;1H;p);7.78(d;2H;b);7.95(t;1H;h);8.08(d;2H;a);10.3(m;塩酸TEA)
【0082】
→ケトンのヒドラゾン化(18)
ケトン17(400mg、506.5μM)をDMF(2.25mL、224mM)、MeOH(11.3mL、44.8mM)および酢酸(580μL、10.13mM、20当量)に溶解し、247μLのヒドラジン一水和物(246μL、5.065mM、10当量)を添加する。溶液を2時間攪拌後、蒸発乾燥する。蒸発残渣物を5mLの水に取り、15mLのフラスコに移してpHが10に達するまで2M苛性ソーダで塩基性化し、生成物を沈殿させ、試験管をボルテックスにより攪拌してよく混合した後、8000rpmで遠心分離する。上清を捨て、上記操作をさらに2回繰り返してpH10の苛性ソーダ溶液の5mLに取る。沈殿物(黄色粉末)を酸化工程に使用する前に室温で真空下でオーブン内で乾燥する。
m=190mg
収率:93%
HPLC法:中性、その後塩基性
1H NMR(200MHz,DMSO):δ=1.2−1.7(m;8H;e,j,kおよびl);1.73(quint;2H;e);2.06(t;2H;i);2.6−2.9(M;2H;m);3.0−3.2(m;3H;fおよびn);4.10−4.35(m;2H;oおよびo’);6.39(s;1H;p’);6.47(s;1H;p);7.11(s;2H;r);7.55(d;2H;b);7.87(t;1H;h);8.47(d;2H;b)。
【0083】
→ピリジンジアゾケトン(PyDKB)のビオチニル化(19)
ヒドラジン18(177.2mg、438μM、1.0当量)をDMF(22mL、20mM)に部分的に溶解し、0℃に冷却し、テトラメチルグアニジン(448μL、3.56mM、8.14当量)、3Å分子篩(722mg、試薬の質量の3.8倍)および酸化マンガン(2.387g、35.6mM、81.4当量)を添加する。懸濁液を20分間攪拌した後、1cm厚さのセライトプラグで濾過し、プラグを濾液が無色になるまでメタノールで洗い流す。溶液を蒸発乾燥した後、20mLのDCM/MeOH(90/10)に取り、0.25MのNa2CO3溶液で洗浄する。沈殿物が形成される。分析後、沈殿物および有機相を合わせ、蒸発乾燥し、100mLのDCM/MeOH(90/10)混合物に溶解、100mLの0.05MのNa2CO3で洗浄する。有機相を回収し、無水Na2CO3で乾燥、濾過、蒸発乾燥する。
m=42.8mg
収率:24.3%
HPLC法:塩基性
1H NMR(200MHz,DMSO):δ=1.20−1.74(m;8H;e,j,kおよびl);1.73(quint;2H;e);2.07(t;2H;i);2.6−2.9(M;2H;m);3.00−3.25(m;3H;fおよびn);4.10−4.35(m;2H;oおよびo’);6.37(s;1H;p’);6.44(s;1H;p);6.94(d;2H;b);7.90(t;1H;h);8.35(d;2H;b)
【0084】
結果および結論:
我々は、アルファ位にピリジン核が共役していてアルファ’で認識基(ビオチン)に連結しているジメチル官能基を含有する化合物の合成が収率良く実現可能であることを実証した。
【0085】
実施例3
室温、液体溶媒中におけるBBP(bis−bio−PDAM)分子に比較してのPyDBまたはPyDKBの安定性の実証
目的:
液体溶媒中でのPyDBまたはPyDKB分子の安定性を第二世代分子と比較して実証することを目的とする。このために、各化合物の125mMを室温(22+/−1℃)で96/4 DMSO/メタノール混合物中に保存する過酷な条件下で加速安定性試験を行う。なお、これらは過酷な保存条件である。
【0086】
手順:
図2に示す3つの化合物、PyDB、PyDKBおよびBBPを125mMで96/4 DMSO/メタノール混合物中に溶解し、室温(22プラスまたはマイナス1℃)で保存する。これらの溶液の2μLをHPLC(塩基性方法、ウォーターズHPLCシステム)に一定の間隔で注入し、クロマトグラム(ソフトウェアEmpower2のPDA Max Plot)のピーク全体を積分して主要生成物の分解を測定する。初期化合物の純度の変化を時間の関数としてプロットし、図5に明示する。
【0087】
結果と結論:
BBPは数日以内に分解される(10日目で純度<10%)が、2つの第四世代分子であるPyDBおよびPyDKBはこの期間の最後まで80%以上が安定したままであることが明らかに示される。
ジアゾ官能基に対してアルファであるピリジル部分の存在は、電子非局在化によりジアゾ官能基を安定化し、加水分解の影響を受けにくくする。アルファ’の標識の存在は水性溶媒中での加水分解の影響を受けにくくし、この官能基をさらに大幅に安定化する。
【0088】
実施例4
+4℃で乾燥状態におけるBBP分子に比較してのPyDBの安定性の実証
目的:
PyDBまたはPyDKB分子の乾燥安定性を第二世代BBP分子と比較して実証する。
手順:
2つのPyDB化合物およびBBPを250mMで10mMトリス塩酸(pH7.5)および10%トレハロースの溶液に溶解する。溶液を50nMのアリコートで一晩凍結乾燥する。次いで乾燥生成物を+4℃で保存する。これらのアリコートを一定の間隔でメタノールに溶解し、これらの溶液の15μLをHPLC(ウォーターズ)に注入し、クロマトグラム(ソフトウェアEmpowerのPDA Max Plot)のピークの全体の積分により主要生成物の分解を測定する。初期化合物の純度の変化を時間の関数としてプロットし、図6に明示する。
結果と結論:
実施例3と同様だが、より著しい程度に、BBPが凍結乾燥に耐えない(この段階で>60%が分解)のに対して、PyDBまたはPyDKBはこの工程で完全に安定したままであることが証明される。さらに、4℃で乾燥状態に一か月以上保存しても分解は非常にわずかである(2つの第四世代の標識の純度は80%以上)。
前と同様に、ジアゾ官能基に対してアルファであるピリジル部分の存在は、電子非局在化によりジアゾ官能基を安定化し、加水分解の影響を受けにくくする。
【0089】
実施例5
中間精製を伴う、BBP分子と比較した、PyDBでの核酸の標識化
目的:
第二世代の分子(BBP)と比較して、PyDB分子による核酸の標識化の有効性を実証する。
【0090】
この目的のために、増幅反応(NASBA、NucliSensベーシックキット、ビオメリュー社製、Boxtel、オランダ)によって得られた、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの174塩基配列の断片であるRNAアンプリコンをジアゾ標識との反応によりビオチンで標識する。標識化反応の生成物を、アフィメトリックス社製のDNAチップ上のハイブリダイゼーションによって検出する(J.Clin.Microbiol.,37(1),49−55頁,A.Troeschら,1999に記載のCustom DNA Chip Combo Myco)。
【0091】
手順:
チューブ内で以下を混合する:
・18μLの250mMの標識溶液(96/4 DMSO/メタノール)、これはPyDBまたはBBPのいずれかである、
・12μLのDMSO、
・15μLのNASBA0.5×緩衝液(「NucliSensベーシックキットEasyQビオメリュー」キット)、
・35μLの1MのトリスHCl、
・5μLの0.1×NASBA(NASBA増幅反応、10倍希釈、174塩基のアンプリコン)、および
・15μLの20mMのHCl。
溶液をボルテックスで混合し、次に65℃で10分間インキュベートする。
【0092】
核酸の精製:
標識された核酸は、製造業者が推奨する精製プロトコルを使用して、QiaQuickカラム(PCR精製キットQiaQuick、キアゲン社製、Hilden、ドイツ)で精製した。溶出量は100μLである。
【0093】
DNAチップ上でのハイブリダイゼーション:
精製後、標識された核酸を400μLのハイブリダイゼーション緩衝液に移す。サンプルを、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの16SRNAの「GenBank」M20940配列の解析用に設計されたDNAチップにハイブリザイズさせる。このDNAチップはJ.Clin.Microbiol.,37(1),49−55頁,1999に発表された文献にA.Troeschらによって記載されている。
【0094】
ハイブリダイゼーション工程は、A.Troeschらの上記刊行物に記載されているハイブリダイゼーションプロトコルおよび緩衝液を利用して、FS450 fluidics stations(アフィメトリックス、Santa Clara、CA)で実施する。
【0095】
ハイブリダイゼーションは、以下の条件下で使用された、標識のビオチンと相互作用する、フィコエリトリン(PE)で標識したストレプトアビジン(SA)との結合により明らかになる。すなわち、300μLの純水、300μLの100mMトリス緩衝液(pH7)/1MのNaCl/0.05%のTween20/0.005%の消泡剤、6μLのBSA(50mg/mL)、6μLのSA−PE(300μg/mL)。
【0096】
DNAチップの読み取り:
標識化とハイブリダイゼーションの後に、DNAチップの表面に放射される蛍光の読取およびシグナル強度と相同率に関するデータの作成を、アフィメトリックスから提供される読み取りシステムおよびソフトウェア(Scanner Gene Chip ArrayおよびGCOSソフトウェア)によって実施する。読取りシステムは、rfu(「相対的蛍光単位」)で表示されるシグナルおよびバックグラウンドノイズ強度を提供する。相同率(図7、図8及び図10における、%BCまたは%Right)を参照配列、この場合はマイコバクテリウム・ツベルクローシスの配列と比較して示す。
標識BBPおよびPyDBの結果を、シグナル強度(Med)、バックグラウンドノイズ(MedBckgd)および相同率(%Right)の中央値として図7のグラフに示す。
一般的に、90%より高い相同率が優先的に求められる。第2には、高い特異的なシグナルと低いバックグラウンドノイズが求められる。
【0097】
結果と結論:
この実施例は、標識PyDBでは、BBP参照分子により得られるシグナルより3倍高い蛍光シグナルが得られることを示す。
PyDBの非常に大きな安定性を考慮すると、この標識が以前の世代の分子に比較して優れていることが実証される。
【0098】
実施例6
中間精製を伴わない、BBP分子と比較しての、PyDBでの核酸の標識化
目的:
実施例5と同じことを実証することを目的とするが、精製による余分な標識の除去をしない、好ましくない条件下である。
【0099】
手順:
1mLのチューブ内で以下を混合する:
・5μLの8mMの標識溶液(DMSO/メタノール=96/4)。これはPyDBまたはBBPのどちらかである、
・5μLの0.1×NASBA(ビオメリューのNucliSensベーシックキット)、
・5μLの1MのトリスHCl、及び
・5μLの20mMのHCl。
【0100】
溶液をボルテックスで混合し、次に65℃で10分間インキュベートする。この標識された核酸を精製することなく、直接ハイブリダイズさせる。
【0101】
DNAチップ上でのハイブリダイゼーション:
標識された核酸を、精製せずに、480μLのハイブリダイゼーション緩衝液に移す。サンプルを、前の実施例と同じ方法でDNAチップにハイブリダイズさせる。
【0102】
DNAチップの読取り:
標識BBPおよびPyDBの結果を、強度、バックグラウンドノイズおよび相同率として図8のグラフに示す。
【0103】
結果と結論:
この実施例は、その構造により、標識PyDBがBBP参照分子に比較して減少したバックグラウンドノイズを呈することを示す。特異的なハイブリダイゼーションを示す特異的なシグナルも向上し、相同率は、BBPでは比較的低いが、PyDB(2mM)では高くなっている。
【0104】
前と同様に、前の世代に比較して、第四世代の分子の優位性が実証されている。
【0105】
実施例7
PyDBにより標識されたアンプリコンの24時間にわたる安定性の評価
目的:
目的は、標識したRNAアンプリコンがその蛍光強度を失うことなしに、DNAチップ上に24時間までハイブリダイズできることを実証することであり、これは、RNA−標識結合の安定性を実証する。
【0106】
手順:
チューブ内で以下を混合する。
・5μLの10mMの標識(PyDBまたはBBP)DMSO/MeOH(96/4)溶液、
・5μLの0.1×NASBA(ビオメリューのNucliSensベーシックキット)増幅産生物、
・5μLの1MのトリスHCl、及び
・5μLの水。
【0107】
溶液をボルテックスで混合し、次に65℃で10分間インキュベートする。
【0108】
核酸の精製:
標識された核酸を、製造業者が推奨する精製プロトコルを使用して、QiaQuick(PCR精製キット、キアゲン社製)カラムで精製した。溶出量は100μLである。
【0109】
DNAチップ上でのハイブリダイゼーション:
精製後、標識された核酸を、400μLのハイブリダイゼーション緩衝液に移す。サンプルを、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの16SRNAの「GenBank」M20940配列の解析用に設計されたDNAチップにハイブリザイズさせる。このDNAチップはA.Troeschらによる刊行物、J.Clin.Microbiol.,37(1),49−55頁,1999に記載されている。
ハイブリダイゼーション工程は、80μLのハイブリダイゼーション混合物をチップに注入し、次いでこれをハイブリダイゼーションオーブンに45℃で0.5時間、2時間、6.5時間または24時間置くことによって行った。
ハイブリダイゼーションは、以下の条件下で使用された標識であるビオチンと相互作用する、フィコエリトリン(PE)で標識したストレプトアビジン(SA)との結合により明らかになる。すなわち、300μLの純水、300μLの100mMトリス緩衝液(pH7)/1MのNaCl/0.05%のTween20/0.005%の消泡剤、6μLのBSA(50mg/mL)、6μLのSA−PE(300μg/mL)。
【0110】
DNAチップの読み取り:
標識化とハイブリダイゼーションの後に、DNAチップの表面に放射される蛍光の読取およびシグナル強度と相同率に関するデータの作成を、アフィメトリックスから提供される読み取りシステムおよびソフトウェアによって実施する。読取りシステムは、rfu(「相対的蛍光単位」)で表示されるシグナルおよびバックグラウンドノイズ強度を提供する。相同率を参照配列、この場合はマイコバクテリウム・ツベルクローシスの配列と比較して示す。
第四世代標識PyDBの結果を、ハイブリダイゼーション時間の関数としてのシグナル強度(Med)の中央値として、図9に示す。
蛍光シグナルが安定したままであり、ハイブリダイゼーション時間に応じて上昇する傾向さえあることを示す。
【0111】
結果と結論:
この実施例は、PyDBにより標識されたアンプリコンがハイブリダイゼーションの過程において完全に安定したままであり、(長時間のハイブリダイゼーションや腫瘍学での遺伝子発現において特に有利な)24時間の延長も可能であることを示す。図9を参照。
蛍光シグナルが時間とともに増加さえすることが観察され、それはアンプリコンの良好なハイブリダイゼーションによるものである(ハイブリダイゼーションの反応速度が遅い)。
このように、標識-核酸の結合の安定性が実証される。
【0112】
実施例8
本発明に記載する分子の標識効率と市販の技術(ULS RNA標識キット)との比較
手順:
RNAアンプリコンは、上述のとおりNASBA増幅によって調製し、BBPおよびPyDB分子で標識する。
チューブ内で以下を混合する。
・5μLの1×NASBA(ビオメリュー社のNucliSensベーシックキット)、
・5μLの20mMの標識(BBPまたはPyDB)のDMSO/メタノール(96/4)溶液、
・5μLの1MのトリスHCl(pH7.4)、及び
・5μLの水。
溶液をボルテックスで混合し、次に65℃で10分間インキュベートした。
Kreatech(Amsterdam、オランダ)の市販キット「ULS RNA標識キット」による標識化を、製造業者が推奨するプロトコルに従って行った。要約すると、次のものを混合する。
・20μLの1×NASBA(NucliSensベーシックキット、ビオメリュー社、Boxtel、オランダ)、
・1μLの標識溶液、
・3μLの10×緩衝液、及び
・6μLの水。
溶液を85℃で30分間インキュベートした。
【0113】
核酸の精製:
BBPまたはPyDB分子により標識した核酸を、製造業者が推奨する精製プロトコルを使用して、QiaQuickカラム(PCR精製キット、キアゲン社製)で精製した。溶出量は100μLである。
市販キット「ULS RNA標識キット」により標識された核酸については、Kreatech(アムステルダム、オランダ)により推奨され、提供されている精製を使用した。最終体積は30μLであり、この会社が推奨するブロッキング溶液を100μL添加する。
【0114】
DNAチップ上でのハイブリダイゼーション:
精製後、標識された核酸を、400μLのハイブリダイゼーション緩衝液(BBPまたはPyDB)または370μLのKreatechハイブリダイゼーション緩衝液に移す。前記核酸を、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの16SRNAの「GenBank」M20940配列の解析用に設計されたDNAチップにハイブリダイズさせる。
このDNAチップはA.Troeschらによる刊行物、J.Clin.Microbiol.,37(1),49−55頁,1999に記載されている。ハイブリダイゼーション工程は、A.Troeschらによる上記刊行物に記載されているハイブリダイゼーションプロトコルおよび緩衝液を使用して、fluidics stations(アフィメトリクスFS450)で実施した。
ハイブリダイゼーションは、以下の条件下で使用された標識であるビオチンと相互作用する、フィコエリトリン(PE)で標識したストレプトアビジン(SA)との結合により明らかになる。すなわち、300μLの純水、300μLの100mMトリス緩衝液(pH7)/1MのNaCl/0.05%のTween20/0.005%の消泡剤、6μLのBSA(50mg/mL)、6μLのSA−PE(300μg/mL)。
【0115】
DNAチップの読み取り:
標識化とハイブリダイゼーションの後に、DNAチップの表面に放射される蛍光の読取およびシグナル強度と相同率に関するデータの作成を、アフィメトリックスから提供される読み取りシステムおよびソフトウェア(Gene Chip ArrayおよびGCOSソフトウェア)によって実施する。読取りシステムは、rfu(「相対的蛍光単位」)で表示されるシグナル(Median)およびバックグラウンドノイズ(MedBgd)強度の中央値を提供する。相同率(%right)は「base call percentage」(%BC)とも称され、参照配列、この場合はマイコバクテリウム・ツベルクローシスの配列と比較して示される。
標識BBPおよびPyDBおよび競合キットの結果を、シグナル強度(Med)、バックグラウンドノイズ(MedBckgd)および相同率(%Rightまたは%BC)の中央値として、図10に示す。
【0116】
結果と結論
供給者により記載された条件に正確に従って適用した、シス−プラチン標識(ULS RNA標識キット)を使用する技術は、本発明によって提供される技術的解決法よりも非常に劣っている標識能力を有することがわかるが、それは、この市販キットでは、バックグラウンドノイズ(競合4×、図10)から明確に切り離されたシグナルを得るためには4倍以上の濃度のRNAを加える必要があるが、全ての場合でBBP分子により行われた標識化より10倍弱く、PyDB分子により行われた標識化より18倍弱いままであるからである。
全ての場合に、同一性率(%BC、%Right)は同じままである。
従って、ヌクレオシド間結合の標識化は、他の標識化技術と比較して、非常に良好な検出感度を得ることを可能にし、これは分子の世代にかかわりがない。第四世代に関しては、これはさらにもう一度この新規例における優位性を示す。
【0117】
実施例9
2つの第三世代ジアゾ標識(パラニトロDKBおよびメタニトロDKB)と2つの第四世代標識(PyDBおよびPyDKB)の溶解性の比較
目的:
ジアゾ標識剤のピリジン核の存在が分子の溶解性を改良することを実証することが望まれる。
【0118】
手順:
標識のモルエプシロン(ε)の決定:
数ミリグラムの標識(5〜15mg)を正確に計量し、100mMのDMSO(完全に溶解性)で溶解する。この溶液をMeOHで1/10、さらにMeOHで1/100(最終希釈1/1000)に希釈する。この溶液のUVスペクトルを測定して、吸光度を測定するλmaxを決定する。この測定により、各標識のモルεを計算することが可能になる(ランベルト・ベールの法則)。
【0119】
水中への標識の溶解性の決定:
数ミリグラムの標識(5〜15mg)を正確に計量し、100mMの水(完全に溶解性)で溶解する。この溶液をボルテックスで攪拌し、遠心分離する。上清を除き、MeOHで1/10または1/100に希釈する。標識のUVスペクトルを測定して、分解がないことを確認する。λmaxで吸光度を測定し、上清中の標識濃度、すなわち、標識の水への溶解性を予め決定したモルε値を使用して算出する(図11)。
【0120】
結果と結論:
図11からPyDBは、第三世代分子であるパラニトロDKBおよびメタニトロDKBより、水に3倍以上溶解することが分かる。溶解性におけるこの増加は、単にピリジン核の存在によるものである。PyDBは第三世代の分子であるパラニトロDKBおよびメタニトロDKBより、90倍以上溶解性である。溶解性におけるこの増加もまた、ほとんど二置換ピリジン核によりもたらされる。
我々はこのように、これら分子の最終溶解性に対するピリジン核の非常に大きな影響力を実証した。
【産業上の利用可能性】
【0121】
ピリジン核はその塩基性度が公知の核であり、ジアゾメチル官能基の安定性を予測できるが、逆に核酸に対する反応性に乏しい。実際、ジアゾ/リン酸塩反応の機構は陽子変換に基づいている。陽子捕獲核(ピリジン)の存在は上記反応を防止できたが、この現象はピペリジンなどのより強い塩基においてのみ発現することが観察された。標識化反応は緩衝化した溶媒中、pH7で行う。
標識がアルファ’である例では、増大した立体障害の問題のためにリン酸塩との反応性の問題が予想される。ここで再度、これらの分子の効果は驚くべきものである。
さらに、リン酸塩のアルキル化の間におけるジアステレオ異性体の生成は、ハイブリダイゼーション、よって核酸の検出を邪魔する可能性を有した。これは予測可能であり、この種の標識は効果が低いと信じさせるものであった。従って、この種の分子を作成し、良好な標識化の結果を得ることは明らかなものではなかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(C):
[式中、
・R1は、検出可能な標識または少なくも1つの多量体構造によって連結された少なくとも2つの検出可能な標識を表し、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・Lは、少なくとも2つの共有結合を有する直鎖を含むリンカーアームである]
により表される標識化試薬。
【請求項2】
式(D):
[式中、
・R1は、検出可能な標識または少なくも1つの多量体構造によって連結された少なくとも2つの検出可能な標識を表し、
・R2は、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・Lは、少なくとも2つの共有結合を有する直鎖を含むリンカーアームである]
により表される標識化試薬。
【請求項3】
式(E):
[式中、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・nは、1〜12、好ましくは1〜6の整数である]
により表される請求項1に記載の標識化試薬。
【請求項4】
式(F):
[式中、
・R2は、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・−Y−Xは、−CH2NH−、−CONH−、−NHCO−、−CH2O−または−CH2S−を表し、
・m、nおよびpは、互いに独立であり、1〜12、好ましくは1〜6の整数である]
により表される請求項2に記載の標識化試薬。
【請求項5】
式(G):
により表される、請求項1又は3に記載の標識化試薬。
【請求項6】
式(H):
により表される、請求項2又は4に記載の標識化試薬。
【請求項7】
R1が式(I):
により表されるD−ビオチン残基から成ることを特徴とする、請求項1または2に記載の標識化試薬。
【請求項8】
a)芳香族カルボン酸誘導体をラクトンのエノラートに反応させて(クライゼン型反応)環状前駆体を形成し、
b)次いで、環状前駆体をハロゲン酸で開環しハロゲン化芳香族ケトンを形成し、
c)ハロゲン化芳香族ケトンのカルボニル官能基を保護基によって保護し、被保護前駆体を形成し、
d)被保護前駆体に(ガブリエル型の)アミノ化反応をさせてアミノ化前駆体を形成し、
e)アミノ化前駆体を脱保護してアミン官能基を解放させ、前記アミン官能基を検出可能な標識と反応させて、そのカルボキシル官能基を活性化し、検出可能な標識を含有する前駆体を形成し、
f)標識された前駆体にカルボニル官能基の脱保護の反応をさせて、標識されたカルボニル含有前駆体を形成し、最後に
g)カルボニル官能基をジアゾ官能基に変換して、上述のように、標識されたカルボニル含有前駆体を標識化試薬に変換する
工程を有する請求項1、3または5のいずれか1項に記載の標識化試薬を合成する方法。
【請求項9】
a)芳香族ジカルボン酸をエステル化してジエステルを形成し、
b)このジエステルを単一保護されたアミノ化エチレングリコール由来の化合物で位置選択的に置換し、カルボキシル官能基とアミン官能基が保護された前駆体を形成し、
c)次いで、前駆体を還元しアルコールとし、かつ酸化してアルデヒドとし、
d)工程c)で合成されたアルデヒドを、アミン官能基を脱保護しながら同時にこの官能基を保護するために酸処理してアミノ化アセタールとし、
e)アミノ化アセタールを活性化された検出可能な標識のカルボキシル官能基と反応させて検出可能な標識を含有する前駆体を形成し、
f)標識された前駆体にカルボニル官能基の脱保護の反応をさせて、標識されたカルボニル含有前駆体を形成し、最後に
g)バンフォード・スティーブンス反応によりカルボニル官能基をジアゾ官能基に変換して、上述のように、標識されたカルボニル含有前駆体を標識化試薬に変換する
工程を有する請求項2、4または6のいずれか1項に記載の標識化試薬を合成する方法。
【請求項10】
生体分子と請求項1から7のいずれか1項に記載の試薬を均一溶液中、実質的に水性緩衝液中で接触させることを有する、生体分子、特に核酸を標識する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法により取得することができる、標識された生体分子。
【請求項12】
・核酸を断片化する工程、
・請求項1から7のいずれか1項に記載の試薬から選択された標識化試薬を用いて、少なくとも1つの断片上に標識を結合させる工程を有する一本鎖または二本鎖核酸を標識化し、断片化する方法であって、
前記試薬は、主として前記断片の少なくとも1つのリン酸塩上に共有結合により連結することを特徴とする方法。
【請求項13】
断片化および標識化が2工程で行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
断片化および標識化が1工程で行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
標識化が実質的に水性均一溶液中で行われることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
断片化が酵素的、物理的または化学的手段により行われることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項12から16のいずれか1項に記載の方法により取得することができる、標識された核酸。
【請求項18】
請求項17に記載の標識された核酸を含有する、標的核酸を検出するためのキット。
【請求項19】
請求項1から7のいずれか1項に記載の試薬が結合している、固体支持体。
【請求項20】
核酸を捕獲するための方法であって、
・請求項11に記載の少なくとも一つの生体分子または請求項17に記載の核酸であって、ジアゾメチル官能基を有する該生体分子または該核酸を直接的または間接的に結合させた固体支持体を使用し、
・前記支持体に、遊離核酸を含有し得る生体サンプルを接触させ、
・少なくとも1つの核酸に分子が共有結合する前記固体支持体を洗浄する、
工程を有する方法。
【請求項1】
式(C):
[式中、
・R1は、検出可能な標識または少なくも1つの多量体構造によって連結された少なくとも2つの検出可能な標識を表し、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・Lは、少なくとも2つの共有結合を有する直鎖を含むリンカーアームである]
により表される標識化試薬。
【請求項2】
式(D):
[式中、
・R1は、検出可能な標識または少なくも1つの多量体構造によって連結された少なくとも2つの検出可能な標識を表し、
・R2は、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・Lは、少なくとも2つの共有結合を有する直鎖を含むリンカーアームである]
により表される標識化試薬。
【請求項3】
式(E):
[式中、
・R2およびR3は、互いに独立であり、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・nは、1〜12、好ましくは1〜6の整数である]
により表される請求項1に記載の標識化試薬。
【請求項4】
式(F):
[式中、
・R2は、H、NO2、Cl、Br、F、I、OR、SR、NR2、R、NHCOR、CONHRまたはCOORを表し、ここで、Rはアルキルまたはアリールであり、
・R4は、H、アルキル基またはアリール基を表し、
・−Y−Xは、−CH2NH−、−CONH−、−NHCO−、−CH2O−または−CH2S−を表し、
・m、nおよびpは、互いに独立であり、1〜12、好ましくは1〜6の整数である]
により表される請求項2に記載の標識化試薬。
【請求項5】
式(G):
により表される、請求項1又は3に記載の標識化試薬。
【請求項6】
式(H):
により表される、請求項2又は4に記載の標識化試薬。
【請求項7】
R1が式(I):
により表されるD−ビオチン残基から成ることを特徴とする、請求項1または2に記載の標識化試薬。
【請求項8】
a)芳香族カルボン酸誘導体をラクトンのエノラートに反応させて(クライゼン型反応)環状前駆体を形成し、
b)次いで、環状前駆体をハロゲン酸で開環しハロゲン化芳香族ケトンを形成し、
c)ハロゲン化芳香族ケトンのカルボニル官能基を保護基によって保護し、被保護前駆体を形成し、
d)被保護前駆体に(ガブリエル型の)アミノ化反応をさせてアミノ化前駆体を形成し、
e)アミノ化前駆体を脱保護してアミン官能基を解放させ、前記アミン官能基を検出可能な標識と反応させて、そのカルボキシル官能基を活性化し、検出可能な標識を含有する前駆体を形成し、
f)標識された前駆体にカルボニル官能基の脱保護の反応をさせて、標識されたカルボニル含有前駆体を形成し、最後に
g)カルボニル官能基をジアゾ官能基に変換して、上述のように、標識されたカルボニル含有前駆体を標識化試薬に変換する
工程を有する請求項1、3または5のいずれか1項に記載の標識化試薬を合成する方法。
【請求項9】
a)芳香族ジカルボン酸をエステル化してジエステルを形成し、
b)このジエステルを単一保護されたアミノ化エチレングリコール由来の化合物で位置選択的に置換し、カルボキシル官能基とアミン官能基が保護された前駆体を形成し、
c)次いで、前駆体を還元しアルコールとし、かつ酸化してアルデヒドとし、
d)工程c)で合成されたアルデヒドを、アミン官能基を脱保護しながら同時にこの官能基を保護するために酸処理してアミノ化アセタールとし、
e)アミノ化アセタールを活性化された検出可能な標識のカルボキシル官能基と反応させて検出可能な標識を含有する前駆体を形成し、
f)標識された前駆体にカルボニル官能基の脱保護の反応をさせて、標識されたカルボニル含有前駆体を形成し、最後に
g)バンフォード・スティーブンス反応によりカルボニル官能基をジアゾ官能基に変換して、上述のように、標識されたカルボニル含有前駆体を標識化試薬に変換する
工程を有する請求項2、4または6のいずれか1項に記載の標識化試薬を合成する方法。
【請求項10】
生体分子と請求項1から7のいずれか1項に記載の試薬を均一溶液中、実質的に水性緩衝液中で接触させることを有する、生体分子、特に核酸を標識する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法により取得することができる、標識された生体分子。
【請求項12】
・核酸を断片化する工程、
・請求項1から7のいずれか1項に記載の試薬から選択された標識化試薬を用いて、少なくとも1つの断片上に標識を結合させる工程を有する一本鎖または二本鎖核酸を標識化し、断片化する方法であって、
前記試薬は、主として前記断片の少なくとも1つのリン酸塩上に共有結合により連結することを特徴とする方法。
【請求項13】
断片化および標識化が2工程で行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
断片化および標識化が1工程で行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
標識化が実質的に水性均一溶液中で行われることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
断片化が酵素的、物理的または化学的手段により行われることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項12から16のいずれか1項に記載の方法により取得することができる、標識された核酸。
【請求項18】
請求項17に記載の標識された核酸を含有する、標的核酸を検出するためのキット。
【請求項19】
請求項1から7のいずれか1項に記載の試薬が結合している、固体支持体。
【請求項20】
核酸を捕獲するための方法であって、
・請求項11に記載の少なくとも一つの生体分子または請求項17に記載の核酸であって、ジアゾメチル官能基を有する該生体分子または該核酸を直接的または間接的に結合させた固体支持体を使用し、
・前記支持体に、遊離核酸を含有し得る生体サンプルを接触させ、
・少なくとも1つの核酸に分子が共有結合する前記固体支持体を洗浄する、
工程を有する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2011−529337(P2011−529337A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520567(P2011−520567)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051511
【国際公開番号】WO2010/012949
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【出願人】(511026935)ユニベルシテ ドゥ ストラスブール (1)
【出願人】(508026043)
【氏名又は名称原語表記】CNRS
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051511
【国際公開番号】WO2010/012949
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【出願人】(511026935)ユニベルシテ ドゥ ストラスブール (1)
【出願人】(508026043)
【氏名又は名称原語表記】CNRS
【Fターム(参考)】
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