説明

ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体を含有する抗ショック剤

【課題】 敗血症性ショックは病態末期には、全身性炎症反応症候群及び多臓器不全(MOF)に陥り死に至ることが知られている。両疾患では、共に最終的にMOFによって死に至り、MOF形成に炎症細胞浸潤が大きな役割を示している。従って、炎症細胞浸潤を抑制することによる敗血症性ショックの治療の開発が所望されている。
【解決手段】 式(I)
【化1】


〔式中、Xはシクロアルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、チオフェンカルボニル基又はハロゲン原子で置換されてもよいベンゾイル基であり;Yはアルキルスルホニル基である〕で表されるジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有するショックの治療剤又は予防剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有する抗ショック剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩がホスホリパ−ゼA2阻害作用を有し、抗炎症剤又は抗膵炎剤の有効成分として有用であることが記載されている。また、同公報には、(1)血小板や炎症細胞中でホスホリパ−ゼA2が刺激により分泌或いは活性化され、血小板活性化因子(PAF)やアラキドン酸の代謝産物の産生に寄与すること、(2)アラキドン酸の代謝産物が種々の病態、例えばリウマチ様関節炎、変形性関節炎、腱炎、滑液包炎、乾癬及び関連する皮膚炎症のような炎症症状;アレルギ−鼻炎、アレルギ−気管支喘息のような鼻・気管支気道障害症状;アレルギ−結膜炎のような即時型過敏性反応などに密接に関連していること、(3)一方、膵臓から分泌されるホスホリパ−ゼA2が腸内で活性化されて消化作用を発揮するが、一旦膵内で活性化されると膵炎を発症する要因の一つと考えられること、(4)そして前記ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体がホスホリパ−ゼA2を阻害することにより、炎症症状、鼻・気管支気道障害症状、即時型過敏性反応、膵炎などのホスホリパ−ゼA2に関連する病態の治療に有効であり、抗炎症剤、気管支喘息治療剤、抗アレルギ−剤、抗膵炎剤、抗腎炎剤、抗多臓器障害剤などとして使用可能である旨、記載されている。特許文献2には、各種ショックを含む様々な基礎疾患に伴った過剰な侵襲が生体に加わることにより発生する急性呼吸窮迫(促迫)症候群[Acute Respiratory Distress Syndrome; ARDS]が、ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩によって、治療又は予防できることが記載されている。しかしながら、これら文献には、ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩によって、各種ショックを治療できることは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第465,913号
【特許文献2】ヨーロッパ特許第1,252,889号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ショックは広い意味で虚血性疾患とみなされるが、敗血症性ショック、出血性ショック、心原性ショックなど、その原因はいろいろある。敗血症性ショックはグラム陰性菌重症感染症患者に発症し、症状が重い場合には患者を死に至らしめる重大な疾患の一つである。主に救急医療の分野で多くの患者を抱えている。抗ショック剤としては、ステロイド及びプロテアーゼ阻害剤の一種であるミラクリッドが使用されている。しかしながら、今なお死亡率は高く、さらに有効な薬剤の出現が望まれている。
敗血症性ショックは病態末期には、全身性炎症反応症候群(SIRS : Systematic Inflammatory Reaction Syndrome)及び多臓器不全(MOF : Multiple Organ failure)に陥り死に至る。両疾患において、死に至る前駆病態では、炎症細胞浸潤が大きな役割を示す。このような中、炎症細胞浸潤を抑制することによる敗血症性ショックの治療剤の開発が所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、マウス盲腸穿刺による腹膜炎を発端とする敗血症性ショックモデルをつくり、生存率の改善を指標として研究を重ねた結果、ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩が抗ショック剤として極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、式(I);
【0007】
【化1】

【0008】
〔式中、Xはシクロアルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、チオフェンカルボニル基又はハロゲン原子で置換されてもよいベンゾイル基であり;Yはアルキルスルホニル基である〕で表されるジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有するショックの治療剤又は予防剤を提供することにある。
【発明の効果】
【0009】
ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩で、炎症細胞浸潤を抑制することにより、敗血症性ショック等の各種ショックを治療できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前記式(I)中、Yに含まれるアルキル部分としては、炭素数1〜20のもの、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ノナデシルなどが挙げられ、それらは直鎖又は枝分れ脂肪鎖の構造異性のものも含む。Xに含まれるアルケニル部分としては、炭素数が2〜20のもの、例えばビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、デセニル、ノナデセニルなどが挙げられ、またそれらは直鎖又は枝分れ脂肪鎖の構造異性のものも含む。Xに含まれるシクロアルキル部分としては、炭素数3〜8のもの、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどが挙げられる。更にXに含まれるハロゲン原子としては弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
【0011】
前記式(I)で表される化合物の具体例としては、N−(2−エチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)シクロヘキサンカルボキサミド、N−(2−メチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)クロトンアミド、N−(2−メチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)−2−チオフェンカルボキサミド、N−(2−メチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)シクロペンタンカルボキサミド、N−(2−メチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)−4−フルオロベンズアミド又はこれらの塩が挙げられる。これらの中でも、N−(2−エチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)シクロヘキサンカルボキサミドが望ましい。
【0012】
式(I)で表される化合物は、塩を形成してもよく、それらの塩としては、医薬上許容されるものであればよく、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、トリエタノ−ルアミン塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機アミン塩などが挙げられる。又、これらの塩の中で結晶水をもつものもある。
【0013】
式(I)で表される化合物は、例えばヨーロッパ特許第465,913号に記載の方法により製造することができる。更にこれらの化合物には、その置換基の種類によって幾何異性体が存在するが、本発明には各異性体(シス体、トランス体)及び異性体混合物が含まれる。
【0014】
式(I)で表される化合物又はその塩は、抗ショック剤の有効成分として有用である。式(I)で表される化合物又はその塩によると、炎症細胞浸潤を抑制することにより、敗血症性ショック等の各種ショックを治療できる。即ち、敗血症性ショックを初め、各種のショックの死に至る前駆病態では、炎症細胞浸潤が大きな役割を示すが、この炎症細胞浸潤を抑制することにより、ショックの循環障害の側面を改善するとみなされる。この抗ショック剤は敗血症性ショック及びそれによって誘導される多臓器不全並びに心臓、腎臓、肝臓、胃腸、脳などにおける虚血性疾患の予防又は治療に用いられる。
【0015】
式(I)で表される化合物又はその塩を抗ショック剤として投与する場合は、単独或いは薬理的に許容される担体などと混合して、経口的、非経口的、局所的又は直腸的な使用に適した製剤組成物、例えば、錠剤、粉末包装剤、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、軟膏、吸入剤、坐剤等の形態で投与される。
【0016】
経口的使用に適した製剤としては、例えば、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トローチのような固形組成物;シロップ懸濁液のような液状組成物等が挙げられる。錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トローチのような固形組成物は、微結晶セルロース、アラビアゴム、トラガントゴム、ゼラチン、ポリビニルクロライドのようなバインダー;澱粉、乳糖、カルボキシメチルセルロースのような賦形剤;アルギン酸、コーンスターチ、カルボキシメチルセルロースのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、軽質無水珪酸、コロイド二酸化ケイ素のような潤滑剤;スクロースのような甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチルのようなフレーバー剤;などを含有できる。シロップ、懸濁液のような液状組成物は、ソルビトール、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、落花生油のような植物油、レシチンのような乳化剤などの他、必要があれば、甘味剤、保存剤、染料及びフレーバー剤などを含有でき、これらは、乾燥製剤としても提供できる。これらの製剤は、有効成分化合物を1〜95重量%含むことが望ましい。
【0017】
非経口的使用に適した製剤としては、例えば、注射剤等が挙げられる。注射剤としては、例えば、塩の形で通常の注射用水などに溶かしてもよいし、懸濁液又はエマルジョン(医学上許容しうる油又は液体の混合物中)の注射しうる形にすることができる。この場合、ベンジルアルコールのような抗菌剤;アスコルビン酸のような抗酸化剤など、医学上許される緩衝液又は浸透圧調節のための試薬を含有してもよい。この注射剤は有効成分化合物を0.1〜8重量%含むことが望ましい。
【0018】
局所的又は経直腸的使用に適した製剤としては、例えば、吸入剤、軟膏、注腸剤、坐剤等が挙げられる。吸入剤としては、本発明化合物自体又は本発明化合物を医学上許容される不活性担体とともにエアゾル又はネブライザ−用の溶液に溶解させるか或は吸入用微粉末として、呼吸器管へ投与できる。吸入用微粉末の場合、粒子は50ミクロン以下、好ましくは10ミクロン以下である。また、これら吸入剤として使用する場合、必要があれば他の抗喘息剤又は気管支拡張剤と併用することも可能である。
【0019】
軟膏は通常使用される基剤等を添加し、慣用の方法により調製される。軟膏は有効成分化合物を0.1〜30重量%含むことが望ましい。
【0020】
坐剤は、当業界において周知の製剤用担体、例えば、ポリエチレングリコ−ル、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等を含有してもよい。坐剤は、有効成分化合物を1〜95重量%含むことが望ましい。
【0021】
前記経口的、非経口的、局所的又は経直腸的な使用に適した製剤組成物は、公知の方法により、患者に投与後、活性成分が急速に放出されるように、徐放的に放出されるように、或いは遅れて放出されるように製剤化することができる。
【0022】
式(I)で表される化合物又はその塩の投与量は化合物の種類、投与方法、患者又は被処理動物の状況などに応じて変わることは勿論であり、一定の条件の下における適量と投与回数は専門医の判断によって決定されなければならないが、成人1日当たり、約0.1mg〜約10g、好ましくは約1mg〜約1gを投与するのが通常であろう。また、前記吸入法における1回当たりの本発明化合物の投与量は、約0.01mg〜約1gが望ましい。
【0023】
次に本発明に関わる抗ショック剤の治療剤又は予防剤の具体的製剤例を挙げるが、本発明の製剤はこれらに限定されるものではない。
【0024】
製剤例1(錠剤)
(1)有効成分 20mg
(2)乳糖 150mg
(3)デンプン 30mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 6mg
以上(1)〜(4)の成分を1錠として、錠剤に成型する。
【0025】
製剤例2(散剤・細粒剤・顆粒剤)
(1)有効成分 20mg
(2)シュガ−エステル(第一工業製薬社製、商品名:
DKエステルF−160) 180mg
(3)界面活性剤(日光ケミカルズ社製、商品名:
デカグリーン1−L) 15mg
(4)軽質無水珪酸 25mg
上記(1)〜(4)を混合し、散剤、更に造粒により細粒剤或いは顆粒剤とする。又、これらをカプセルに封入し、カプセル剤とすることも可能である。
【0026】
製剤例3(硬ゼラチンカプセル剤)
(1)有効成分 25mg
(2)デンプン 200mg
(3)ステアリン酸マグネシウム 10mg
以上(1)〜(3)の成分を、1錠として硬ゼラチンカプセルにつめ、硬ゼラチンカプセル剤とする。
【0027】
製剤例4(注射剤)
(1)有効成分 1mg
(2)ブドウ糖 10mg
(3)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 2.16mg
以上(1)〜(3)の成分を含むトリス緩衝液を凍結乾燥して注射剤とする。
【0028】
製剤例5(皮膚用外用軟膏剤)
(1)有効成分 0.5g
(2)白色ワセリン 25g
(3)ステアリルアルコ−ル 22g
(4)プロピレングリコ−ル 12g
(5)ラウリン硫酸ナトリウム 1.5g
(6)パラオキシ安息香酸エチル 0.025g
(7)パラオキシ安息香酸プロピル 0.015g
(8)精製水 100g
以上(1)〜(8)の成分を軟膏の一般的調製法により調製し、皮膚用外用軟膏を得る。
【0029】
製剤例6(注腸製剤)
(1)有効成分 50mg
(2)マクロゴール400 2g
(3)リン酸二カリウム 141mg
(4)リン酸二水素カリウム 44mg
(5)パラオキシ安息香酸メチル 20mg
(6)精製水 50g
マクロゴール400に有効成分及びパラオキシ安息香酸メチルを加え、攪拌して混合したものに、精製水にリン酸二カリウムとリン酸二水素カリウムを加えたものを徐々に加えて注腸製剤を得る。
【0030】
製剤例7(坐剤)
(1)有効成分 50mg
(2)高級脂肪酸グリセリド 1650mg
(1)を(2)に分散又は溶解させ、坐剤として適切なサイズのプラスチックコンテナーに充填、シールした後、冷却固化させて坐剤を得る。
【0031】
製剤例8(直腸滞留型坐剤・放出制御型坐剤)
(1)有効成分 1g
(2)ウイテップゾルW35 19g
予め加熱溶解した(2)に(1)を混和させた後、坐剤として適切なサイズのプラスチックコンテナーに充填、シールした後、冷却固化させて坐剤を得る。
【実施例】
【0032】
試験例 マウス盲腸穿刺による腹膜炎を発端とする敗血症性ショックモデルに対する治療効果
マウス盲腸穿刺による腹膜炎を発端とする敗血症性ショックモデルに対するN−(2−エチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)シクロヘキサンカルボキサミド・一ナトリウム塩・一水和物(以下化合物1と呼ぶ)の治療効果を検討した。
【0033】
(1)化合物1の製剤処方
化合物1は製剤品として用いた。製剤処方(1バイアルあたりの含有量)は以下の通りとした。
(a)化合物1(無水物換算) 100mg
(b)マンニト−ル(協和発酵工業製) 100mg
(c)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(純正化学製) 21.6mg
(d)塩酸(三共化学製) 適量
(e)水酸化ナトリウム(日本理化製) 適量
(f)蒸留水 10ml
pH 8.7±0.5
【0034】
(2)供試動物
動物種 :マウス
系統名 :Crj : BALB/c
入手先 :日本チャールスリバー株式会社 厚木飼育センター
性 別 :雌
週 齢 :入荷時7週齢及び供試時8週齢
【0035】
動物は搬入後、約1週間の予備飼育の後、約8週齢で試験に供した。全飼育期間中の飼育は、大動物飼育室に設置したアイソレーター内で行った。動物は全試験期間を通じてポリカーボネート製ケージに群毎に10匹ずつ収容し、市販固形完全飼料(O.B.S.社製、MF)及び活性炭濾過市水道水(給水瓶使用)を、全飼育期間を通じて自由摂取させた。動物は予備飼育期間に健全な生育を認めたものを選び、群分けはその中からランダムに選抜し、1匹ずつ動物番号順に各群に分配することで群分けした。動物番号は群分け後、ケージへ移した順につけた。
(3)供試動物群構成
第1表の如く、化合物1濃度 0.1、1及び10 mg/kg投与の治療群に、媒体(5 % glucose)投与の非治療群を加えて構成し、各群の匹数は10匹とした。
【0036】
【表1】

【0037】
(4)薬剤の調剤及び投与
薬剤調製は誘発手術直前に行い、それ以降の投与は、その投与液を用いて行った。化合物1製剤品 100 mg入に局方5 % glucoseを注入して完全溶解後、最高用量投与液を局方5 % glucoseで希釈調製し、その後、中用量及び低用量の投与液を最高用量投与液から局方5 % glucoseを用いた段階希釈により調製した。尚、非治療群には溶媒である局方5 % glucoseのみを準備した。投与は誘発直後、4時間後、8時間後及び12時間後に背側頸部皮下に反復投与し、血中濃度の維持を図った。各群の投与液は、10 ml/kgの投与容量とした。
【0038】
(5)マウス盲腸穿刺による腹膜炎を発端とする敗血症性ショック誘発手術
ハロセン・笑気吸入麻酔下で開腹し、盲腸尖から8 mmの体部を結紮した後、先端部を22G注射針で1カ所穿刺貫通させ、盲腸内容物が流出することを確認した後、腹腔内に完納し、閉腹した。
【0039】
(6)検査
誘発直後から3日間生死判定を行い、その結果を24時間毎に纏めた。
【0040】
(7)統計処理
生存率について実施した。以下に方法の詳細を示した。
I. 統計アプリケーション
EXCEL(データ集計)、SAS(Shirley-Williams)、メモ帳for windows 95(プログラム)を用いて行った。
II. 不完全例の取り扱い
実験手技的なミス、若しくは要因が明確でデータを排除する事が可能な場合、そのデータを除いて検定を行うこととした。その他のデータは、基本的に棄却しないで検定を行うこととした。尚、これらに当てはまる事態は発生しなかった。
III. 有意水準及び両側/片側
有意水準は5 %で両側検定を行った。
IV. 検定手法
非治療群を対照に、化合物1 0.1mg/kg投与群、化合物1 1mg/kg投与群、化合物1 10mg/kg投与群について群間比較を行った。
<解析データ>
生死判定結果:0〜24時間で死亡した動物を1、24〜48時間で死亡した動物を2、48時間〜72時間で死亡した動物を3、72時間以上生存した動物を4とスコアを付けたデータを用いた。
<検定手法>
Shirley-Williamsの多重比較を用いて群間比較を行った。
【0041】
(8)試験結果
試験の結果を第2表に示した。作製した敗血症性ショックモデルは、盲腸穿刺による腹膜炎から始まり、敗血症性ショックから死に至るモデルであった。本試験結果において、10 mg/kg投与で統計学的に有意(P<0.001)な生存率の改善が認められた。
【0042】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、Xはシクロアルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、チオフェンカルボニル基又はハロゲン原子で置換されてもよいベンゾイル基であり;Yはアルキルスルホニル基である〕で表されるジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体又はその塩を有効成分として含有するショックの治療剤又は予防剤。
【請求項2】
ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体がN−(2−エチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)シクロヘキサンカルボキサミド、N−(2−メチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)クロトンアミド、N−(2−メチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)−2−チオフェンカルボキサミド、N−(2−メチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)シクロペンタンカルボキサミド又はN−(2−メチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)−4−フルオロベンズアミドである請求項1の治療剤又は予防剤。
【請求項3】
ジアミノトリフルオロメチルピリジン誘導体がN−(2−エチルスルホニルアミノ−5−トリフルオロメチル−3−ピリジル)シクロヘキサンカルボキサミドである請求項1の治療剤又は予防剤。
【請求項4】
ショックが敗血症性ショック、出血性ショック又は心原性ショックである請求項1の治療剤又は予防剤。
【請求項5】
ショックが敗血症性ショックである請求項1の治療剤又は予防剤。

【公開番号】特開2011−6384(P2011−6384A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110765(P2010−110765)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】