説明

ジアミンβ2アドレナリン作用性レセプターアゴニスト

本発明は、新規βアドレナリン作用性アゴニスト化合物を提供する。本発明はまた、そのような新規βアドレナリン作用性アゴニスト化合物を含む薬学的組成物を提供する。本発明はまた、そのような新規βアドレナリン作用性アゴニスト化合物を使用してβアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患を処置するための方法を提供する。本発明はまた、そのような新規βアドレナリン作用性アゴニスト化合物を調製するために有用なプロセスおよび中間体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明分野)
本発明は、新規のβアドレナリン作用性レセプターアゴニストに関する。本発明はまた、そのような化合物を含む薬学的組成物、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患を処置するためにそのような化合物を使用する方法、ならびにそのような化合物を調製するために有用なプロセスおよび中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
βアドレナリン作用性レセプターアゴニストは、喘息および慢性閉塞性肺疾患(例えば、慢性気管支炎および気腫)のような肺疾患を処置するための効果的な薬物として認識されている。βアドレナリン作用性レセプターアゴニストはまた、早期分娩(pre−term labor)を処置するために有用であり、神経障害および心障害の処置のために潜在的に有用である。特定のβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを用いて成功を収めているにもかかわらず、現時点の薬剤は、作用の望ましい低い持続時間、低い効力、低い選択性、および/または発症に関する望ましい低い持続時間を有する。したがって、改善された作用持続時間、効力、選択性、および/または発症のような持続時間のような、改善された特性を有するさらなるβアドレナリン作用性レセプターアゴニストに関する必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(本発明の要旨)
本発明は、βアドレナリン作用性レセプターアゴニスト活性を有する新規化合物を提供する。本発明の化合物は、他の特性の中でも、強力かつ選択的なβアドレナリン作用性レセプターアゴニストである。さらに、例示的な本発明の化合物は、1日1度の投薬またはさらに少ない頻度の投薬を許容し、驚く程に、思いがけなく長い作用の持続時間を有することが示されている。
【0004】
したがって、本発明は、式(I)の化合物:
【0005】
【化7】


またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体を提供し、
ここで:
、R、R、およびRの各々は、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、−CHOHおよび−NHCHOから独立して選択されるか、または、RおよびRが一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−;および−SC(=O)NH−から選択され;
は、水素、−ORおよび−NRから選択され、ここでRおよびRは、各々、独立して、水素またはC1−3アルキルであり;
nは、0〜7の整数であり;
mは、0〜5の整数であり;そして
、R、R、R、およびR10の各々は、独立して、水素またはC1−6アルキルであるが;
但し、mが、0である場合、Rは、水素である。
【0006】
本発明はまた、本発明の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含む薬学的組成物を提供する。本発明は、さらに、本発明の化合物と1つ以上の他の治療剤との組み合わせ、ならびに、本発明の化合物、1つ以上の他の治療剤、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0007】
本発明はまた、βアドレナリン作用性レセプターアゴニスト活性に関連する疾患または状態(例えば、肺疾患(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患)、早期分娩、神経障害、心障害、または炎症)を有する哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、その哺乳動物に、本発明の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。特に、本発明は、哺乳動物における、喘息または慢性閉塞性肺疾患を処置する方法を提供し、この方法は、その哺乳動物に、本発明の化合物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0008】
本発明は、さらに、本発明の化合物と1つ以上の治療剤との組み合わせの治療有効量を投与する工程を包含する処置方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、βアドレナリン作用性レセプターアゴニスト活性に関連する疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、哺乳動物に、本発明の薬学的組成物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0010】
本発明の化合物はまた、研究道具(すなわち、生物学系または生物学的試料を研究するため、または、他の化合物の活性を研究するため)として用いられ得る。したがって、本発明の方法の別の局面において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体を用いる方法を、生物学系または生物学的試料を研究するための研究道具、またはβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを発見するための研究道具として使用する方法を提供する。
【0011】
別の異なる局面において、本発明はまた、本明細書中に記載される合成プロセスおよび中間体を提供し、これらは、本発明の化合物を調製するために有用である。
【0012】
本発明はまた、医学的治療において使用される本明細書中に記載されるとおりの本発明の化合物、および、βアドレナリン作用性レセプターアゴニスト活性に関連する疾患または状態(例えば、肺疾患(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患)、早期分娩、神経障害、心障害、または炎症)を有する哺乳動物を処置するための、処方物または医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明はまた、式(I)の新規のジアミンβアドレナリン作用性レセプターアゴニスト、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体を提供する。以下の置換基および値は、本発明の種々の局面の代表的な実施例を提供することを意図している。これらの代表的な値は、そのような局面をさらに定義することを意図するのであって、他の値を除くことまたは本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0014】
本発明の特定の局面において、Rは、ハロ、−CHOH、または−NHCHOである。
【0015】
他の特定の局面において、Rは、ハロ、−CHOH、または−NHCHOであるか;または、Rは、−CHOHまたは−NHCHOである。
【0016】
特定の局面において、Rは、水素である。
【0017】
特定の局面において、Rは、ヒドロキシまたはアミノであり;別の特定の局面において、Rは、ヒドロキシである。
【0018】
特定の局面において、Rは、水素またはハロであるか;または、Rは、水素またはクロロである。
【0019】
特定の局面において、Rは、−NHCHOであり、Rは、ヒドロキシであり、そしてRおよびRは、各々、水素である。
【0020】
別の特定の局面において、RおよびRは一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−であり、Rは、ヒドロキシであり、そしてRは、水素である。
【0021】
別の特定の局面において、Rは、−CHOHであり、Rは、ヒドロキシであり、そしてRおよびRは、各々、水素である。
【0022】
さらなる別の特定の局面において、RおよびRは、クロロであり、Rは、アミノであり、そしてRは、水素である。
【0023】
さらなる別の特定の局面において、RおよびRは一緒になって、−NHC(=O)S−または−SC(=O)NH−であり、Rは、ヒドロキシであり、そしてRは、水素である。
【0024】
特定の局面において、Rは、水素または−ORである。本発明の局面内における代表的なR値としては、水素、ヒドロキシ、メトキシ、およびエトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
別の特定の局面において、Rは、水素または−NRである。本発明の局面内における代表的なR値としては、水素、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、およびジエチルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
別の特定の局面において、Rは、水素である。
【0027】
特定の局面において、Rは、水素である。
【0028】
別の特定の局面において、Rは、メチルである。
【0029】
特定の局面において、Rは、水素である。
【0030】
別の特定の局面において、Rは、メチルである。
【0031】
特定の局面において、Rは、水素である。
【0032】
別の特定の局面において、Rは、メチルである。
【0033】
特定の局面において、R10は、水素である。
【0034】
別の特定の局面において、R10は、水素である。
【0035】
特定の局面において、nは、2、3、4、5、または6である。
【0036】
別の特定の局面において、nは、4である。
【0037】
特定の局面において、mは、0、1、2、または3である。
【0038】
別の特定の局面において、mは、1である。
【0039】
一局面において、本発明は、式(II)の化合物:
【0040】
【化8】


または、その薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体を提供し、
ここで:
は、−CHOHまたは−NHCHOであり、そしてRは、水素であり;あるいは、RおよびRは一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−であり;
nは、2〜6の整数であり;
mは、0〜3の整数である。
【0041】
特定の言及は、以下の化合物:
8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オン
【0042】
【化9】


に関するものであり得、ここで化学命名法は、MDL Information Systems,GmbH(Frankfurt、ドイツ)によって提供されるとおりの自動命名プログラムAutoNomの命名法に従う。
【0043】
上記で記載されるように、本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心を含む。したがって、本発明は、そうではないと示されない限り、ラセミ混合物、純粋な立体異性体(すなわち、単一の鏡像異性体または単一のジアステレオマー)および立体異性体が富化されたそのような異性体の混合物を含む。特定の立体異性体が示される場合、組成物の全体としての有用性が、少量の他の異性体の存在によって排除されない限り、そうでないと示されない限り、そのような少量の他の異性体が本発明の組成物に存在してよいことが、当業者によって理解される。
【0044】
とりわけ、本発明の化合物は、式(I)および(II)中のヒドロキシ基が結合するアルキレン炭素において、キラル中心を含む。立体異性体の混合物が、使用される場合、ヒドロキシ基を有するキラル中心において(R)配置を備える立体異性体の量は、対応する(S)立体異性体の量よりも多いことが有利である。同じ化合物の立体異性体と比較する場合、この(R)立体異性体は、(S)立体異性体よりも好ましい。
【0045】
(定義)
本発明の化合物、組成物、および方法を説明する場合、以下の用語は、そうでないと示されない限り、以下の意味を有する。
【0046】
「アルキル」との用語は、直鎖もしくは分枝またはその組み合わせであり得る、一価の飽和炭化水素基を意味する。そうでないと定義されない限り、そのようなアルキル基は、典型的に1〜10個の炭素原子を含む。代表的なアルキル基としては、例えば、メチル,エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル,n−デシルなどが挙げられる。
【0047】
「ハロ」との用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0048】
本明細書中で用いられる「処置」との用語は、患者(例えば、哺乳動物(特にヒト))における疾患または医学的状態の処置を意味し、これは以下:
(a)疾患または医学的状態が発症するのを予防すること(すなわち、患者の予防的処置);
(b)疾患または医学的状態を改善すること(すなわち、患者における疾患または医学的状態の排除または後退を引き起こすこと);
(c)疾患または医学的状態を抑制すること(すなわち、患者における疾患または医学的状態の発展を阻止または遅延すること);または
(d)患者における疾患または医学的状態の症状を緩和すること
を包含する。
【0049】
「治療有効量」との用語は、処置を必要とする患者に投与する場合、効果のある処理をするのに十分な量を意味する。
【0050】
「βアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患または状態」との句としては、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連すると、現在認められているか、または将来見出される、疾患状況(state)および/または疾患状態(condition)の全てが挙げられる。そのような疾患状態としては、肺疾患(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患(例えば、慢性気管支炎および気腫))、神経障害、および心障害が挙げられるが、これらに限定されない。βアドレナリン作用性レセプター活性はまた、早期分娩(米国特許第5,872,126号)およびいくつかの型の炎症(国際特許出願公開第WO 99/30703号および米国特許第5,290,815号)に関連すると公知である。
【0051】
「薬学的に受容可能な塩」との用語は、患者(例えば、哺乳動物)に投与するために受容可能である塩基または酸から調製される塩を意味する。そのような塩は、薬学的に受容可能な無機塩基または有機塩基と、薬学的に受容可能な無機酸または有機酸から誘導され得る。
【0052】
薬学的に受容可能な酸から誘導される塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ムチン酸塩、硝酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、キシナホ酸塩(1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)などが挙げられるが、これらに限定されない。フマル酸、臭化水素酸、塩酸、酢酸、硫酸、メタンスルホン酸、キシナホ酸および酒石酸に由来する酸は、特に重要である。
【0053】
薬学的に受容可能な無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン(III)塩、亜マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。特に好ましいのは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、およびナトリウム塩である。薬学的に受容可能な有機塩基から誘導される塩としては、第一級アミン塩、第二級アミン塩および第三級アミン塩(例えば、置換アミン塩、環状アミン塩、天然に存在するアミン塩など(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン(piperadine)、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなど))が挙げられる。
【0054】
「溶媒和物」との用語は、1つ以上の溶質分子により形成される複合体または凝集物(すなわち、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩と、1つ以上の溶媒分子)を意味する。そのような溶媒和物は、典型的に、溶質と溶媒に関する実質的に固定されたモル比を有する結晶性固体である。代表的な溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸などが挙げられる。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は、水和物である。
【0055】
「またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体」との用語は、塩、溶媒和物、および立体異性体の全ての並べ替え(例えば、式(I)の化合物の立体異性体の薬学的に受容可能な塩の溶媒和物)を含むことを意図すると理解される。
【0056】
「脱離基」との用語は、置換反応(例えば、求核置換反応)における別の官能基または原子によって置き換えられ得る官能基または原子を意味する。例えば、代表的な脱離基としては、クロロ基、ブロモ基、ヨード基;スルホン酸エステル基(例えば、メシラート、トシラート、ブロシラート、ノシラートなど;およびアシロキシ基(例えば、アセトキシ、トリフルオロアセトキシなど)が挙げられる。
【0057】
「アミノ保護基」との用語は、アミノの窒素における望ましくない反応を防ぐために適切な保護基を意味する。代表的なアミノ保護基としては、ホルミル;アシル基(例えば、アルカノイル基(例えば、アセチル));アルコキシカルボニル基(例えば、tert−ブトキシカルボニル(Boc));アリールメトキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc));アリールメチル基(例えば、ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)、および1,1−ジ−(4’−メトキシフェニル)メチル);シリル基(例えば、トリメチルシリル(TMS)およびtert−ブチルジメチルシリル(TBS));などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
「ヒドロキシ保護基」との用語は、ヒドロキシ基における望ましくない反応を防ぐために適切な保護基を意味する。代表的なヒドロキシ保護基としては、アルキ基(例えば、メチル、エチル、およびtert−ブチル);アシル基(例えば、アルカノイル基(例えばアセチル));アリールメチル基(例えば、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルオレニルメチル(Fm)およびジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM);シリル基(例えば、トリメチルシリル(TMS)およびtert−ブチルジメチルシリル(TBS);などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
(一般合成手順)
本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質から、以下の一般方法および一般手順を用いて調製され得る。本発明の特定の局面は、以下のスキームにおいて示されるが、本発明の全ての局面が、本明細書中に記載される方法を用いてか、当業者に公知の他の方法、試薬および出発物質を使用することによって調製され得ることを、当業者は認識する。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、反応時間、反応物のモル比、溶媒、圧力、など)が与えられる場合、他のプロセス条件もまた、そうでないと記載されない限り、用いられ得ることがまた理解される。最適な反応条件は、用いられる特定の反応物または溶媒によって異なり得るが、そのような条件は、当業者によって、通常の最適化手順により決定され得る。
【0060】
さらに、従来の保護基が、特定の官能基が望ましくない反応を受けることを防ぐために必要であることは、当業者にとって明白である。特定の官能基のための適切な保護基の選択、ならびに保護および脱離保護のための適切な条件の選択は、当該分野において周知である。例えば、多数の保護基、ならびに、それらの導入および除去が、T.W.GreeneおよびG.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,Third Edition,Wiley,New York,1999および、その中で引用される引用文献に記載される。
【0061】
一合成方法において、式(I)および(II)の化合物は、スキームAに示されるように調製される。(以下のスキームに示される置換基および可変部は、そうでないと示されない限り、上で提供された定義を有する)
【0062】
【化10】


ここで、Pは、ヒドロキシ保護基を示し、Pは、ヒドロキシ保護基を示し、そしてLは、脱離基(例えば、ブロモ)を示す。可変部R11は、水素であり得るか、R11は、Pであり得、この場合Pは、アミノ保護基を示す。
【0063】
スキームAにおいて示されるように、式1の化合物は、初めに、ジアミン2と反応し、式3の中間体を提供する。典型的に、この反応は、極性非プロトン性溶媒中において必要に応じて塩基の存在下で加熱して行なわれる。保護基Pは、典型的に、シリル保護基であり、この基は典型的に、フッ化物試薬(例えば、トリエチルアミントリヒドロフルオリド)または酸を用いて式3の中間体から除去され、式4の中間体を提供する。保護基Pは、典型的に、ベンジル保護基であり、この基は、式4の中間体からルイス酸を用いるか、炭素担持パラジウム触媒を用いる水素化反応によって除去される。R11が、アミノ保護基Pである場合、この保護基は、ヒドロキシ保護基Pに対する条件と同様である脱保護条件下において、除去され得るように選択され得る。例えば、Pが、ベンジルである場合、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)は、Pとして用いられ得、そしてルイス酸(例えば、三塩化ホウ素)または水素化反応による中間体4の処理により、生成物を提供し得る。
【0064】
本出願に記載される反応において使用される式1の化合物は、当該分野において公知の手順によって容易に調製される。例えば、米国特許第6,653,323 B2号および同第6,670,376 B1号において記載され、(これら特許文献は本明細書中に参考として援用される)およびそこで引用された引用文献に記載されている。
【0065】
式2の中間体は、容易に入手可能な出発物質から調製され得る。例えば、中間体2’(R11が、アミノ保護基Pを示す保護基である中間体)を調製する手順は、スキームBに示される。
【0066】
【化11】


スキームBにおいて、Pは、アミノ保護基(例えば、tert−ブトキシカルボニル(Boc)基)を表す。
【0067】
保護されたジアミン5は、典型的に、還元剤(例えば、水素化シアノほう素ナトリウム)の存在下、アルデヒド6とカップリングされ、式7の中間体を提供する。保護基Pを、中間体7の内部の窒素原子に加え、中間体8を形成する。保護基Pは、保護基Pが、Pの存在下で選択的に除去され得るように選択される。例えば、Cbzが、Pとして用いられる場合、中間体7は、典型的に、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下、クロロギ酸ベンジルで処理され、中間体8を形成し、そしてこの中間体から保護基Pが除去され、例えば、酸性条件下、中間体2’を形成する。
【0068】
中間体2’’(R11が水素である中間体)の調製手順は、スキームCに示される。
【0069】
【化12】


スキームCによると、保護されたアミノで置換されたカルボン酸9は、アミン10とカップピングされ、アミド中間体11を提供する。この反応は、カップリング試薬(例えば、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド(EDC))の存在下で行なわれ、触媒(例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBT))が用いられ得る。中間体11は、適切な条件下で脱保護され、式12の中間体を提供し、そしてこの中間体が、例えば、ボラン還元剤または水素化リチウムアルミニウムを用いて還元され、中間体2’’を形成する。
【0070】
本発明の代表的な化合物またはそれに関する中間体を調製するための、特定の反応条件および他の手順に関するさらなる詳細は、下記の実施例において記載される。
【0071】
したがって、方法の局面において、本発明は、式(I)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体もしくは保護された誘導体を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは以下:
式(III)の化合物:
【0072】
【化13】


を、式(IV)の化合物:
【0073】
【化14】


と反応させ、式(V)の化合物:
【0074】
【化15】


を提供する工程であって、
ここで式(III)において:
は、ヒドロキシ保護基であり、Lは、脱離基であり、Rは、式(I)において定義されたとおりであり、R1a、R2a、R3a、およびR4aの各々は、式(I)におけるR、R、R、およびRと同じであると定義されるか、または、R1a、R2a、R3a、およびR4aの各々は、独立して、−OPであるかであり、ここでPは、ヒドロキシ保護基であり;
ここで式(IV)において:
、R、R、R、R10、n、およびmは、式(I)のように定義され、そしてR11は、水素またはPであり、ここでPは、アミノ保護基である工程:
上記保護基Pを除去し、式(VI)の化合物:
【0075】
【化16】


を提供する工程;ならびに
1a、R2a、R3a、またはR4aのいずれかが−OPである場合、あるいは、R11が、Pである場合に、存在するならば、上記保護基PおよびPを除去し、式(I)の化合物はたはその塩もしくは立体異性体を提供する。
【0076】
(薬学的組成物)
本発明はまた、本発明の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを含む薬学的組成物を提供する。したがって、この化合物は、好ましくは薬学的に受容可能な塩の形態において、任意の適切な投与形態(例えば、経口投与、非経口投与、または吸入による投与)として処方され得る。
【0077】
例証として、上記化合物は、従来の薬学的キャリアおよび賦形剤と混合され得、そして、散剤、錠剤、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラートなどの剤形において用いられ得る。そのような薬学的組成物としては、約0.05〜約90重量%の活性化合物、より一般的には、約0.1〜約30重量%の活性化合物を含む。上記薬学的組成物は、一般的なキャリアおよび賦形剤(例えば、コーンスターチまたはゼラチン、乳糖、硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギニン酸を含み得る。本発明の処方物において一般的に用いられる崩壊剤としては、クロスカルメロース、微結晶性セルロース、コーンスターチ、デンプングリコ−ル酸ナトリウム(sodium starch glycolate)およびアルギニン酸を含む。
【0078】
液体組成物は、一般的に、適切な液体キヤリア[(例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、非水系溶媒(例えば、ポリエチレングリコール)油または水]中の上記化合物もしくは薬学的に受容可能な塩の懸濁液または溶液から、必要に応じて、分散剤、可溶化剤(例えば、シクロデキストリン)、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、矯味矯臭薬または着色剤を用いて構成される)。あるいは、液体処方物は、再構成可能な粉末から調製され得る。
【0079】
例えば、活性化合物、懸濁剤、ショ糖、および甘味料は、水で再構成され懸濁液を形成し得る。シロップ剤は、活性成分、ショ糖、および甘味料を含む粉末から調製され得る。
【0080】
錠剤の剤形における組成物は、固形組成物を調製するために通常用いられる任意の適切な薬学的キヤリアを用いて調製され得る。そのようなキヤリアの例としては、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、乳糖、ショ糖、微結晶性セルロースおよび結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)が挙げられる。錠剤はまた、色の付いた薄膜被膜、またはキヤリアの一部に含まれる色を備えて提供され得る。さらに、活性化合物は、親水性または疎水性のマトリックスを含む錠剤として、制御放出の投薬形態において処方され得る。
【0081】
カプセル剤の剤形における組成物は、通常の被包手順(例えば、硬質ゼラチンカプセル中の活性化合物と賦形剤の導入による)を用いて調製され得る。あるいは、活性化合物の半固形マトリックスおよび高分子量のポリエチレングリコールが、調製され、硬質ゼラチンカプセル中に詰められ得るか;または、ポリエチレングリコール中の活性化合物の溶液もしくは食用に適する油(例えば、液体パラフィンもしくは分留されたヤシ油)中の懸濁液が、調製され、軟質ゼラチンカプセル中に詰められ得る。
【0082】
含有され得る錠剤の結合剤は、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ショ糖、デンプンおよびエチルセルロースである。用いられ得る潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸、シリコーン流体、滑石、ろう、油、およびコロイド状シリカが挙げられる。
【0083】
矯味矯臭薬(例えば、ペパーミント、ウインターグリーン油、さくらんぼの矯味矯臭薬など)もまた、用いられ得る。さらに、着色料を、投与剤形を外見上においてより魅力的にするため、または生成物を確認することに役立てるために添加することが望まれ得る。
【0084】
非経口で与えられる場合に、活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、筋肉投与、髄腔内投与、または静脈投与として処方され得る。
【0085】
筋肉内投与または髄腔内投与のための典型的な組成物としては、油(例えば、落花生油またはゴマ油)中の活性成分の懸濁液または溶液から構成される。静脈内投与または髄腔内投与の典型的な組成物は、滅菌の等張水溶液(例えば、活性成分とブドウ糖もしくは塩化ナトリウム、または、ブドウ糖および塩化ナトリウムの混合物を含む)から構成される。他の例としては、乳酸リンゲル液、乳酸リンゲル液に加えたブドウ糖の液、Normosol−Mおよびブドウ糖、Isolyte E、アシル化されたリンゲル液などがある。必要に応じて、共溶媒(例えば、ポリエチレングリコール;キレート試薬(例えば、エチレンジアミン四酢酸);可溶化剤(例えば、シクロデキストリン);および抗酸化剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)は、処方物において含まれ得る。あるいは、上記溶液は凍結乾燥され得、次いで、投与の直前に適切な溶媒で再構成され得る。
【0086】
局所投与の状態で活性である本発明の化合物および薬学的に受容可能な塩は、経皮組成物または経皮送達デバイス(パッチ)として処方され得る。そのような組成物としては、例えば、裏装(backing)、活性化合物レザーバー(reservoir)、制御膜、ライナーおよび接触性接着剤が挙げられる。そのような経皮性パッチは、制御された量における本発明の化合物で、連続的または非連続的に浸す状態(infusion)を提供し得る。薬学的因子の送達のための送達パッチの構成物および使用は、当該分野において周知である。例えば、米国特許第5,023,252号を参照のこと。そのようなパッチは、薬学的因子の連続的送達、拍動性送達、またはオンデマンド送達(on demand delivery)のであり得る。
【0087】
本発明の化合物を投与するための好ましい一様式は、吸入である。吸入は、因子を直接的に気道に送達するために効果的な様式である。3つの一般的な型の薬学的吸入デバイスがある:噴霧吸入器、乾燥粉末吸入器(DPI)、および定量吸入器(MDI)。従来の噴霧吸入は、高速の空気流れを生じ、これにより、治療剤は、患者の気道に運ばれるミストとして、噴霧される。この治療剤は、液状剤形(例えば、吸入可能な大きさの微小化粒子の溶液または懸濁液)において処方され、この場合、微粉化は、典型的に、約10μm未満の直径を有する粒子を約90%以上有するものとして定義される。
【0088】
従来の噴霧デバイスにおける使用のための典型的な処方物は、約0.05μg/mL〜約1mg/mLの間の活性剤の濃度における活性剤の薬学的塩の等張水溶液である。適切な噴霧デバイスは、例えば、PARI GmbH(Starnberg、ドイツ)により商業的に提供される。他の噴霧デバイスは、例えば、米国特許第6,123,068号において開示されている。
【0089】
DPIの吸入器は、典型的に、治療剤を、呼気の間、患者の気流に分散され得る自由流動粉末の剤形において投与する。粉末を分散するために外部のエネルギー源を用いる代替的なDPIデバイスもまた、開発されている。自由流動粉末を獲得するために、上記治療剤は、適切な賦形剤(例えば、乳糖またはデンプン)を用いて処方され得る。乾燥粉末剤形は、例えば、乾燥した乳糖粒子を、本発明の化合物(すなわち、活性剤)の適切な形態(代表的に、薬学的に受容可能な塩)の微小化粒子と組み合わせ、そして乾燥混合することにより作製され得る。あるいは、この薬は、賦形剤なしに処方され得る。この処方物を、乾燥粉末分配器(dry powder dispenser)に装填するか、または、乾燥粉末の送達デバイスと用いるための吸入カートリッジもしくはカプセル中に詰め入れられる。
【0090】
商業的に提供されるDPI送達デバイスの例としては、Diskhaler(GlaxoSmithKline,Research Triangle Park, NC)(例えば、米国特許第5,035,237号を参照のこと);Diskus(GlaxoSmithKline)(例えば、米国特許第6,378,519号を参照のこと);Turbuhaler(AstraZeneca,Wilmington,DE)(例えば、米国特許第4,524,769号を参照のこと);およびRotahaler(GlaxoSmithKline)(例えば、米国特許第4,353,365号を参照のこと)が挙げられる。適切なDPIデバイスのさらなる例は、米国特許第5,415,162号,同第5,239,993号、米国特許第5,715,810号、およびそれら中における引用文献に記載される。
【0091】
MDIは、典型的に、圧縮推進剤ガスを用いて、測定された治療剤の量を排出する。MDI投与のための処方物としては、液化推進剤ガスにおける、活性成分の溶液または懸濁液が挙げられる。クロロフルオロカーボン(例えば、CClF)が、従来、推進剤ガスとして用いられているが、そのようなガスのオゾン層に対する有害な影響に関する懸念に起因して、ヒドロフルオロアルカン類(HFA)、(例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)および1,1,1,2,3,3,3,−ヘプタフルオロ−n−プロパン(HFA 227))を用いる処方物が、開発されている。MDI投与のためのHFA処方物のさらなる成分としては、共溶媒(例えば、エタノールまたはペンタン)および界面活性剤(例えば、ソルビタントリオレエート、オレイン酸、レシチン、およびグリセリン)(例えば、米国特許第5,225,183号、EP 0717987 A2およびWO 92/22286を参照のこと)が挙げられる。
【0092】
したがって、MDI投与のための適切な処方物としては、約0.001重量%〜約2重量%の本発明の化合物、約0重量%〜約20重量%のエタノール、および約0重量%〜約5重量%の界面活性剤含み、そしてその残りはHFA推進剤ガスである。一アプローチにおいて、この処方物を調製するために、冷却されたか圧縮されたヒドロフルオロアルカンは、本発明の結晶形態、エタノール(存在するならば)および界面活性剤(存在するならば)を含む小瓶に添加される。懸濁液を調製するために、上記化合物は、典型的に塩の形態であり、微小化された粒子として提供される。この処方物は、噴霧キャニスターに装填され、MDIデバイスの一部分を構成する。特にHFA推進剤ガスを使用するために開発されたMDIデバイスの例は、米国特許第6,006,745号および同第6,143,227号において提供される。
【0093】
代替的な調製において、懸濁液の処方物は、界面活性剤の被覆を、活性化合物の薬学的塩の微小化粒子上にスプレー乾燥することにより調製される(例えば、WO 99/53901およびWO 00/61108参照のこと)。吸入可能な粒子を調製するプロセス、ならびに、吸入投与に適した処方物およびデバイスに関しては、米国特許第6,268,533号、第5,983,956号、第5,874,063号、および第6,221,398号、ならびにWO 99/55319およびWO 00/30614を参照のこと。
【0094】
特定の投与形態に適した、任意の本発明の化合物の投与形態(すなわち、遊離塩基、薬学的塩、または溶媒和物)は、上に記載される薬学的組成物において用いられ得ることが理解される。
【0095】
活性化合物は、広範な用量範囲にわたって効果的であり、治療有効量において投与されると予想される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、関連する状況(例えば、処置される状態、投与経路の選択、投与される実際の化合物およびその相対活性、個々の患者の年齢、体重、および反応、患者の症状の重篤度などを含むに関する)観点から医師により決定される。
【0096】
化合物は、定期的な投薬において投与され得る:週に1度、週に複数回、1日1度、または、1日あたり複数回の投薬。この処置レジメンは、広範な時間の期間(例えば、数週もしくは数ヶ月)にわたって投与を必要とし得るか、または、この処置レジメンは、慢性投与を必要とし得る。
【0097】
吸入投与のための治療剤の適切な用量は、1日あたり約0.05μg〜約1000μg(例えば、1日あたり約0.1μg〜約500μg)である。特定の送達デバイスに特徴的な肺に送達される活性剤の割合は、吸入投与のために適切な用量を決定する際に考慮されると、理解される。経口投与のための適切な用量は、1日あたり約0.05μg〜約100mgの一般的な範囲(例えば、1日あたり約0.5〜約1000μg)である。
【0098】
他の特性の中で、本発明の化合物は、驚くほどに予想外な作用期間を示す。下記の実施例において説明されるように、本発明の化合物は、気管支保護(bronchoprotection)の動物モデルにおいて、24時間より長い作用期間を示した。さらに、本発明の化合物は、強力かつ選択的なβアドレナリン作用性レセプターのアゴニストである。特に、本発明の化合物は、βアドレナリン作用性レセプターおよびβアドレナリン作用性レセプターと比較した場合、βアドレナリン作用性レセプターに関して選択的である。
【0099】
したがって、本発明は、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法を提供し、ここでこの方法は、哺乳動物に、本発明の化合物の治療有効量を投与する工程、または、本発明の化合物を含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0100】
本発明の活性剤はまた、1つ以上の他の治療剤をさらに含む組み合わせの一部分として用いられ得る。例えば、本発明の薬は、1つ以上の以下の治療剤と共に投与され得、これら治療剤としては、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド類および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗コリン作用薬(特に、ムスカリンレセプターアンタゴニスト類)、他のβアドレナリン作用性レセプター、抗感染薬(例えば、抗生物質または抗ウイルス薬)または抗ヒスタミンが挙げられる。したがって、本発明は、さらなる局面において、本発明の化合物と1つ以上の治療剤とを含む組み合わせを提供し、例えば、この治療剤としては、抗炎症薬、抗コリン作用薬、他のβアドレナリン作用性レセプターアゴニスト、抗感染薬または抗ヒスタミン薬が挙げられる。
【0101】
他の治療剤は、薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の形態で用いられ得る。適切な方法で、他の治療剤は、光学的に純粋な立体異性体として用いられ得る。
【0102】
適切な抗炎症薬としては、コルチコステロイド類およびNSAID類が挙げられる。本発明の化合物との組み合わせにおいて用いられ得る適切コルチコステロイドは、経口用および吸引用のコレステロイド類もしくはそれらのプロドラッグ類である。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメサゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオン酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオン酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17−プロピオン酸エステル、または、17,21−ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル類(例えば、フランカルボン酸エステル)、トリアムシノロンアセニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、RPR−106541およびST−126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオン酸S−フルオロメチルエステルおよび6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオン酸S−フルオロメチルエステル、より好ましくは、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオン酸S−フルオロメチルエステルが挙げられる。
【0103】
適切なNSAIDとしては、クロモグリク酸ナトリウム;ネドクロミルナトリウム;ホスホジエステルラーゼ(PDE)インヒビター(例えば、テオフィリン、PDE4インヒビターまたは混合PDE3/PDE4インヒビター);ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルロイカスト(monteleukast));ロイコトリエン合成のインヒビター;iNOSインヒビター;プロテアーゼインヒビター(例えば、トリプターゼインヒビターおよびエラスターゼインヒビター);β−2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシンレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト);サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト(例えば、インターロイキン抗体(αIL抗体)、具体的には、αIL−4療法、αIL−13療法、またはそれらの組み合わせ;またはサイトカイン合成のインヒビターが挙げられる。適切な他のβアドレナリン作用性レセプターアゴニストとしては、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩)、サルブタモール(例えば、硫酸塩または遊離塩基)、ホルモテロール(例えば、フマル酸塩)、フェノテロール(例えば、フマル酸塩)またはテルブタリン、およびそれらの塩が挙げられる。
【0104】
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)インヒビターまたは混合PDE3/PDE4インヒビターとの組み合わせにおける本発明の活性剤の使用はまた、重要である。代表的なホスホジエステラーゼ−4(PDE4)インヒビターまたは混合PDE3/PDE4インヒビターとしては、シス4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロへキサン−1−カルボン酸、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロへキサン−1−オン;シス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール];シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸など、またはそれらの薬学的に受容可能な塩が挙げられるが、これらに限定されない。他の代表的なPDE4または混合のPDE4/PDE3インヒビターとしては、AWD−12−281(elbion);NCS−613(INSERM);D−4418(ChiroscienceおよびSchering−Plough);CI−1018またはPD−168787(Pfizer);W099/16766で開示されたベンゾジオキソール化合物(Kyowa Hakko);K−34(Kyowa Hakko);V−11294A(Napp);ロフルミラスト(roflumilast)(Byk−Gulden);WO99/47505で開示されたフタラジノン化合物(Byk−Gulden);プマヘントリン(Byk−Gulden,現在Altana);アロフィリン(Almirall−Prodesfarma);VM554/UM565(Vernalis);T−440(Tanabe Seiyaku);およびT2585(Tanabe Seiyaku)が挙げられる。
【0105】
適切な抗コリン作用薬は、ムスカリンレセプターにおいてアンタゴニストとして作用する化合物であり、特に、Mレセプター、MレセプターまたはMレセプターのアンタゴニストであるそれらの化合物、または、その組み合わせの化合物である。例示的な化合物としては、ベラドンナ植物のアルカロイド類(例えば、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒオスシアミンの様なものによって示されような)が挙げられ;これらの化合物は、第三級アミンであるが、通常、塩、として投与される。それらの薬物は、特に、塩の形態は、多数の販売元から容易に入手し得るか、または以下の化合物に関する文献のデータから作製もしくは調製し得る。すなわち、:
アトロピン−CAS−51−55−8またはCAS−51−48−1(無水形態)、硫酸アトロピン−CAS−5908−99−6;アトロピンオキシド−CAS−4438−22−6またはそのHCl塩−CAS−4574−60−1および硝酸メチルアトロピン−CAS−52−88−0。
【0106】
ホマトロピン−CAS−87−00−3、臭化水素酸塩−CAS−51−56−9、臭化メチル塩−CAS−80−49−9。
【0107】
ヒヨスチアミン(d,l)−CAS−101−31−5、臭化水素酸塩−CAS−306−03−6および硫酸塩−CAS−6835−16−1。
【0108】
スコポラミン−CAS−51−34−3、臭化水素酸塩−CAS−6533−68−2、臭化メチル塩−CAS−155−41−9。
【0109】
好ましい抗コリン作用薬としては、イプラトロピウム(例えば、臭化物)(Atroventとの名前で市販される)オキシトロピウム(oxitropium)(例えば、臭化物)およびチオトロピウム(例えば、臭化物)(CAS−139404−48−1)が挙げられる。また、重要な物は、以下である:メタンテリン(CAS−53−46−3)、臭化プロパンテリン(CAS−50−34−9)、臭化アニソトロピンメチルまたはValpin 50(CAS−80−50−2)、臭化クリデニウム(clidinium)(Quarzan,CAS−3485−62−9)、コピロラート(copyrrolate)(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド(CAS−71−81−8)、臭化メペンゾレート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキセチル(Pathilone, CAS−4310−35−4)およびメチル硫酸ヘキソシクリウム(Tral,CAS−115−63−9)。また、以下を参照のこと:塩酸シクロペントレート(CAS−5870−29−1)、トロピカミド(CAS−1508−75−4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS−144−11−6)、ピレンゼピン(CAS−29868−97−1)、テレンゼピン(telenzepine)(CAS−80880−90−9)、AF−DX 116またはメトクトルアミンおよびWO01/04118中に開示される化合物(この特許文献の開示は、本明細書中に参考として援用される)。
適切な抗ヒスタミン類(また、H−セプターアンタゴニストとも称される)としては、H−レセプターを阻害し、ヒトへの使用のために安全である既知の多数のアンタゴニストのうち1つ以上が挙げられる。全ては、ヒスタミンとH−レセプターとの相互作用に関する可逆的な競合インヒビターである。これらのインヒビターの大多数、概して、第一世代のアンタゴニストは、それらのコア構造に基づいて、エタノールアミン類、エチレンジアミン類、およびアルカリアミン類として特徴付けられる。さらに、他の第一世代の抗ヒスタミン類としては、ピペリジンおよびフェノチアジン類に基づき特徴付けられ得る抗ヒスタミン類が挙げられる。第二世代のアンタゴニスト類は、非鎮静であり、コアのエチレン基(アルキルアミン類)を保持するか、または、ピペラジン(piperizine)もしくはピペリジンの第三級アミン基を模倣するという点で、類似の構造活性相関を有する。例示的なアンタゴニスト類としては、以下が挙げられる:
エタノールアミン類:マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラアミン、およびジメンヒドリナート。
【0110】
エチレンジアミン類:マレイン酸ピリラミン(pyrilamine amleate)、トリペレンアミンHCl、およびクエン酸トリペレンアミン。
【0111】
アルキルアミン類:クロルペニラミンおよびその塩(例えば、マレイン酸塩、およびアクリバスチン)
ピペラジン類:ヒドロキシジンHCl、ヒドロキシイジンパモエート(pamoate)、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHCl、およびセチリジンHCl。
ピペリジン類:アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジンまたはそのデスカルボエトキシアナログ、塩酸テルフェナジン、および塩酸フェキソフェナンジン、または別の薬学的に受容可能な塩。
【0112】
塩酸アゼラスチンは、本発明の化合物と共に組み合わせて用いられ得るさらなる別のHレセプターアンタゴニストである。
【0113】
好ましい抗ヒスタミン類としては、メタピリレンおよびロラタジンが挙げられる。
【0114】
したがって、さらなる局面において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体と、コルチコステロイドとの組み合わせを提供する。特に、本発明は、上記コルチコステロイドが、プロピオン酸フルチカゾンであるか、または、このコルチコレステロイドが、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオン酸S−フルオロメチルエステルまたは6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α− メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオン酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステルである組み合わせを提供する。
【0115】
したがって、さらなる局面において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体と、PDE4インヒビターとを含む組み合わせを提供する。
【0116】
したがって、さらなる局面において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体と、抗コリン作用薬とを含む組み合わせを含む提供する。
【0117】
したがって、さらなる局面において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体と、抗ヒスタミンとを含む組み合わせを提供する。
【0118】
したがって、さらなる局面において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体を、PDE4インヒビターおよびコルチコステロイドと共に含む組み合わせを提供する。
【0119】
したがって、さらなる局面において、本発明は、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体を、抗コリン作用薬およびコルチコステロイドと共に含む組み合わせを提供する。
上記の組み合わせにおいて用いられるように、「式(I)の化合物」との用語は、式(II)の化合物およびその好ましい基、ならびに個々に開示される任意の化合物または任意の化合物類を含む。
【0120】
したがって、本発明は、さらに、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体と、上記で開示されるような、1つ以上の他の治療剤とを含む薬学的組成物を提供する。
【0121】
そのような組み合わせの本発明の化合物は、薬学的処方物を、別個または組み合わされた状態で、連続してか同時かのいずれか一方で投与され得る。公知の治療剤の適切な投与形態は、当業者により容易に理解される。したがって、本発明の処置方法は、そのような組み合わせの個々の化合物を、別個または組み合わされた薬学的処方物の状態で、連続してか同時かのいずれか一方で投与する工程を包含する。
【0122】
したがって、さらなる局面によると、本発明は、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、哺乳動物に、式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体および1つ以上の治療剤、ならびに、1つ以上の他の治療剤の治療受容可能量(therapeutically−acceptable amount)を投与する工程を包含する。
【0123】
本発明の化合物は、βアドレナリン作用性レセプターアゴニストであるので、そのような化合物としては、また、βアドレナリン作用性レセプターを有する生物学系または生物学的試料を調査または研究するためのまたは、新規βアドレナリン作用性レセプターアゴニストを見出すための研究道具として有用である。さらに、本発明の化合物は、他のβアドレナリン作用性サブタイプのレセプターに関する結合活性および機能活性と比較した場合、βアドレナリン作用性レセプターに対する選択性を示す。したがって、そのような化合物はまた、生物学系または生物学的試料において、βアドレナリン作用性レセプターの選択的作用性(agonism)の影響を研究するために有用である。βアドレナリン作用性レセプターを有する、任意の適切な生物学系または生物学的試料は、インビボまたはインビトロのいずれか一方において行われ得るそのような研究において、使用され得る。
【0124】
そのような研究のために適切である代表的な生物学系または生物学的試料は、細胞、細胞抽出物、原形質膜、組織試料、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタなど)などが挙げられるが、これらに限定されない。βアドレナリン作用性レセプターを作用する影響は、従来の手順およびデバイス(例えば、放射性リガンド結合アッセイおよび機能性アッセイ(例えば、下に記載される細胞内の環状アデノシン一リン酸(cAMP)におけるリガンド媒介性変化)または類似の種類のアッセイ)を用いて決定される。本発明の化合物のβアドレナリン作用性レセプターの作用量は、典型的に、約1ナノモーラー〜約1000ナノモーラーの範囲である。本発明の化合物が、新規のβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを見つけるための研究道具として用いられる場合、本発明は、また、別個の実施形態として、目的の試験化合物を同定するための、比較データの生成(適切なアッセイを使用する)と試験データの解析との両方を含む。
【0125】
以下の非限定的な実施例は、本発明の代表的な薬学的組成物を示す。本発明の活性化合物の処方のためのさらなる適切なキャリアは、また、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PA,2000中に見出され得る。
【実施例】
【0126】
(処方実施例A)
本実施例は、本発明の化合物の経口投与のための代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0127】
【化17】


上の成分を、混合し、硬質のゼラチンカプセル中に導入する。
【0128】
(処方実施例B)
本実施例は、本発明の化合物の経口投与のための別の代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0129】
【化18】


上の成分を、充分に混合し、1つに収められた錠剤に圧縮する。
【0130】
(処方実施例C)
本実施例は、本発明の化合物の経口投与のための代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0131】
経口懸濁液を、以下の組成を有して調製する。
【0132】
【化19】


(処方実施例D)
本実施例は、本発明の化合物を含む代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0133】
pH 4に緩衝された注射可能な調製を、以下の組成を有して調製する。
【0134】
【化20】


(処方実施例E)
本実施例は、本発明の化合物の注射のための代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0135】
再構成した溶液は、20mLの滅菌水を、1mgの本発明の化合物に添加することによって調製される。次いで、使用の前に、この溶液を、活性化合物と適合性である200mLの静脈注射流体で希釈する。そのような流体を、5% ブドウ糖溶液、0.9% 塩化ナトリウムまたは5% ブドウ糖および0.9% 塩化ナトリウムから選択する。他の実施例は、乳酸リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液+5% ブドウ糖注射液、Normosol−Mおよび5% ブドウ糖、Isolyte E、ならびにアシル化リンゲル注射液である。
【0136】
(処方実施例F)
本実施例は、本発明の化合物の局所適用のための代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0137】
【化21】


上記成分の全てを、水を除き、合わせて、そして攪拌しながら60℃まで加熱する。次いで、60℃の充分な量の水を、激しく攪拌しながら加えて、上記成分を乳状にし、次いで水を、100gにするに適切な量だけ添加する。
【0138】
(処方実施例G)
本実施例は、本発明の化合物を含む代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0139】
噴霧器における使用のための水性噴霧処方物を、クエン酸で酸性にした0.9% 塩化ナトリウム中に(活性化合物の薬学的塩 0.1mg)を溶解させることにより調製する。この混合物を、攪拌し、そして活性塩が溶解するまで超音波粉砕にかける。この溶液のpHを、ゆっくりとNaOHを添加することにより、3〜8の範囲の値に調製する。
【0140】
(処方実施例H)
本実施例は、吸入カートリッジでの使用のための本発明の化合物を含む乾燥粉末処方物の調製を示す。
【0141】
ゼラチン吸入カートリッジを、以下の成分を有する薬学的組成物で満たす。
【0142】
【化22】


活性化合物の薬学的塩を、乳糖の混合の前に微小化する。カートリッジの含有物を、粉末吸入器を用いて投与する。
【0143】
(処方実施例I)
本実施例は、乾燥粉末吸入デバイスに使用する本発明の化合物を含む乾燥粉末処方物の調製を示す。
【0144】
薬学的組成物を、乳糖に対する微小化薬学的塩:乳糖=1:200のバルク処方比を有し調製する。この組成物を、用量あたり約10μg〜約100μgの間の活性剤成分を送達可能な乾燥粉末吸入デバイスに詰め込む。
【0145】
(処方実施例J)
実施例は、定量吸入器に使用する本発明の化合物を含む処方物の調製を示す。
【0146】
5% 活性化合物の薬学的塩、0.5% レシチン、および0.5% トレハロースを含む懸濁液を、100mLの脱ミネラル化された水に溶解させた0.5gのトレハロースおよび0.5gのレシチンから形成されるコロイド状溶液中に10μm未満の平均サイズの微小化粒子として、5gの活性化合物を分散することにより調製する。この懸濁液を、スプレー乾燥し、そして得られた物質を、1.5μm未満の平均直径を有する粒子に微小化する。これら粒子を、圧縮された1,1,1,2−テトラフルオロエタンを用いてキャニスターに詰める。
【0147】
(処方実施例K)
本実施例は、定量吸入器の使用のための本発明の化合物を含む処方物の調製を示す。
【0148】
5% 活性化合物の薬学的塩および0.1% レシチンを含む懸濁液を、平均10μm未満の平均サイズの微小化粒子として、10gの活性化合物を、200mLの脱ミネラル水中に溶解させた0.2gのレシチンから形成される溶液中に分散させることにより調製する。この懸濁液を、スプレー乾燥し、そして得られた物質を、1.5μm未満の平均直径を有する粒子に微小化する。これらの粒子を、圧縮された1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンとキャニスターに詰め込む。
【0149】
(処方実施例L)
本実施例は、吸入カートリッジにおける使用のための、本発明の化合物およびコルチコルステロイドを含む乾燥粉末処方物の調製を示す。
【0150】
ゼラチン吸入カートリッジを、以下の成分を含む薬学的組成物で充填する。
【0151】
【化23】


活性化合物の薬学的塩およびコルチコレステロイドは、乳糖を混合する前に微小化する。カートリッジのこの含有物を、粉末吸入器を用い投与する。
【0152】
(生物学的アッセイ)
本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、生物学的活性を示し、かつ、医学的処置のために有用である。βアドレナリン作用性レセプターに結合する化合物の性能、その選択性、アゴニスト効力、および固有活性は、下の試験A〜Bを用いて実証され得るか、または、当該分野において公知の他の試験を用いて実証される。
【0153】
(略語)
%Eff %効力
ATCC American Type Culture Collection
BSA ウシ血清アルブミン
cAMP アデノシン3’:5’−環状アデノシン一リン酸
DMEM ダルベッコ変性イーグル培地
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
Emax 最大効力
FBS ウシ胎仔血清
Gly グリシン
HEK−293 ヒト胚性腎臓細胞−293
PBS リン酸緩衝生理食塩水
rpm 1分間あたりの回転数
Tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン。
【0154】
(ヒトβアドレナリン作用性レセプターまたはヒトβアドレナリン作用性レセプターを発現する細胞からの膜の調製)
クローン化βアドレナリン作用性レセプターまたはクローン化βアドレナリン作用性レセプターを安定に発現するHEK−293由来の細胞株を、それぞれ、10%の透析したFBSを有するDMEMにおいて、500μg/mL Geneticinの存在下、ほぼコンフルーエンシー(confluency)まで増殖させた。これら細胞の単一層を、Versene 1:5,000(PBS中0.2g/L EDTA)ともに細胞スクレーパー(scraper)を用い取り上げた。細胞を、1,000rpmで遠心分離によりペレットにし、そして細胞ペレットを、−80℃で冷凍貯蔵するか、膜をすぐに調製するかのいずれかを行なった。調製のために、細胞ペレットを、溶解緩衝液(10mM トリス/HCL pH7.4、4℃での、50mL緩衝液あたり1錠の「Complete Protease Inhibitor Cocktail Tablets with 2mM EDTA」(Rocheカタログ番号1697498、Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN))中に再懸濁させ、そしてきつくはめ込んだDounceガラスホモジナイザー(20ストローク)を用いて氷上でホモジナイズした。ホモジネ−トを、20,000×gで遠心分離し、ペレットを、上記の再懸濁および遠心分離により、溶解緩衝溶液で1度洗浄した。最終ペレットを、膜緩衝溶液(25℃の75mM トリス/HCl pH7.4、12.5mM MgCl、1mM EDTA)中に再懸濁させた。膜懸濁液のタンパク質濃度を、Bradfordの方法(Bradford MM.,Analytical Bioehemistry,1976,72,248−54)により決定した。膜を、−80℃においてアリコートで凍結貯蔵した。
【0155】
(試験A)
(ヒトβアドレナリン作用性レセプターおよびヒトβアドレナリン作用性レセプターに関する放射性リガンド結合アッセイ)
結合アッセイを、アッセイ緩衝溶液(25℃で75mM トリス/HCl pH7.4,12.5mM MgCl,1mM EDTA,0.2% BSA)中の、ヒトβアドレナリン作用性レセプターを含む膜に関する5μg膜タンパク質を有するか、またはヒトβアドレナリン作用性レセプターを含む膜に関する2.5μg膜タンパク質を有する100μLの全アッセイ体積に関して、96マイクロウェルタイタープレートで実施した。放射性リガンドのK値の決定のための飽和結合研究を、[H]ジヒドロアルプレノロール(NET−720,100Ci/mmol,PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)を用い、0.01nM〜200nMの範囲の10個の異なる濃度で行なった。化合物のpK値を決定するための置換アッセイは、1nMの[H]ジヒドロアルプレノール中で、40pM〜10μMの範囲の10個の異なる濃度の化合物で行なった。化合物を、溶解緩衝液(50% DMSOを含む25mM Gly−HCI pH3.0)中10mMの濃度で溶解させ、次いで、50mM Gly−HCl pH3.0中1mMまで希釈し、そしてそこから系列的にアッセイ緩衝液中に希釈した。非特異な結合は、10μM 非標識アルプレノールの存在下において決定した。アッセイを、90分間、室温でインキュベートし、結合反応を、0.3% ポリエチレンイミン中に予め浸したGF/Bガラスファイバーフィルタープレート(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を通す高速濾過により終らせた。フィルタープレートを、濾過緩衝液(4℃での75mM トリス/HCl pH7.4,12.5mM MgCl,1mM EDTA)で3度洗浄し、非結合の放射性活性物を除去した。プレートを、乾燥し、50μL Microscint−20液体シンチレーション流体(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を添加し、そしてプレートを、Packard Topcount液体シンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を用い計数した。結合データを、GraphPad Prism Software package(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を使用し、一部位競合(one−site competition)に関する3パラメーターモデルを用い非回帰分析により分析した。曲線の最小値を、10μMアルプレノロール存在下において測定されるような、非特異性結合に関する値に固定した。化合物に関するK値は、実測IC50値および放射性リガンドのK値から、Cheng−Prusoff式(Cheng Y,and Prusoff WH.,Biochemical Pharmacology,1973,22,23,3099−108)を用い計算した。レセプターサブタイプ活性を、K(β)/K(β)の比を用い算出した。
【0156】
結合結果は、K値の負の10の対数、pKとして表した。このアッセイにおいて高いpK値を有する化合物は、βアドレナリン作用性レセプターに関する高い結合親和力を有する。
【0157】
(試験B)
(ヒトβアドレノセプター、ヒトβアドレノセプター、およびヒトβアドレノセプターを、それぞれに、異種発現する細胞株を用いる全細胞cAMPフラッシュプレートアッセイ)
クローン化ヒトβアドレナリン作用性レセプター(クローンH34.1)を安定に発現するHEK−293細胞株を、約70%〜90%のコンフルエンシーまで、10% FBSおよび500μg/mL Geneticinを添加したDMEMからなる培地中で成長させた。クローン化ヒトβ−アドレノセプター(クローンH24.14)を安定に発現するHEK−293細胞株を、同じ培地中で、完全なコンフルエンシーまで成長させた。クローン化ヒトβ−アドレノセプターを安定に発現するCHO−K1細胞株を、5継代毎に加えた10% FBSおよび800μg/mL Geneticinを補充したHam’s F−12培地において、約70%〜90% コンフルエンシーまで成長させた。アッセイの前日に、培養物を、抗生物質なしの同じ成長培地に交換した。
【0158】
cAMPアッセイは、125I−cAMPを有するFlashplate Adenylyl Cyclase Activation Assay System(NEN SMP004,PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)を用い、製造者の指示に従い放射免疫アッセイフォーマットにおいて行なった。
【0159】
アッセイの日に、細胞を、PBSで一度リンスし、Versene 1:5,000(PBS中0.2g/L EDTA)から取り上げ、そして計数した。細胞を、1,000rpmの遠心分離によりペレット化し、そして、予め37℃まで温めた刺激緩衝溶液中に再懸濁させた。βアドレナリン作用性レセプターを発現している細胞に関し、10nM ICI 118,551を、刺激緩衝溶液に添加し、そして細胞を、37℃で10分間インキュベートした。細胞は、β−アドレノセプター発現細胞、β−アドレノセプター発現細胞、およびβ−アドレノセプター発現細胞に対して、それぞれ、30,000、40,000および70,000細胞/ウェルの最終濃度で用いた。化合物を、DMSO中10mMの濃度まで溶解させ、次いで、50mM Gly−HCl pH3.0中1mMに希釈し、そしてそこから、連続的にアッセイ緩衝液(25℃での75mMトリス/HCl pH7.4,12.5mM MgCl、1mM EDTA,0.2% BSA)中に溶解させた。化合物を、アッセイにおいて10μM〜9.5pMの範囲の異なる11の濃度で試験した。反応物を、37℃で10分間インキュベートし、そして100μLの氷冷測定緩衝液の添加により停止した。プレートを、密封し、4℃で一晩中インキュベートし、そして翌朝topcount scintillation counter(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)を用い計数した。反応に関し1mLあたりに生成したcAMPの量を、製造者の使用マニュアル中に記載されるような、試料に対し観測されたおよび標準cAMPに対し観測された計数に基づき算出した。データは、S字状(sigmoidal)の用量応答(Hillスロープ=1)に関する3パラメーターモデルを用い、GraphPad Prism Software package(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)で非線形回帰分析により分析した。アゴニスト効力を、pEC50値として示した。機能性β/β選択性を、EC50(β)/EC50(β)の比として定義し、そして同様に機能性β/β選択性を、EC50(β)/EC50(β)の比として定義した。
【0160】
(試験C)
(ヒトβアドレナリン作用性レセプターを内因性発現する肺上皮細胞株に関する全細胞cAMPフラッシュプレートアッセイ)
βアドレナリン作用性レセプターの内因的レベルを発現する細胞株において肺上皮細胞株を有するアゴニストの効力および有効性(固有活性)の測定のために、ヒト肺上皮細胞株(BEAS−2B)を用いた(ATCC CRL−9609,American Type Culture Collection,Manassas,VA)(January B,et al.,British Journal of Pharmacology,1998,123,4,701−11)。細胞を、75〜90% コンフルエンシーまで、完全無血清培地(エピネフリンおよびレチン酸を含むLHC−9培地,カタログ番号181−500,Biosource International,Camarillo,CA)において増殖させた。アッセイの前日に、培地を、LHC−8(エピネフリンなしおよびレチン酸なし,カタログ番号141−500,Biosource International,Camarillo,CA)に切り換えた。
【0161】
cAMPアッセイを、製造者の指示に従い、125I−cAMP(NEN SMP004,PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)を用いるFlashplate Adenylyl Cyclase Activation Assay Systemを使用し、放射免疫アッセイ形式で行なった。
【0162】
アッセイの日、細胞を、PBSでリンスし、PBS中5mM EDTAともに剥すことにより取り上げ、計数した。細胞を、1,000rpmで遠心分離することによりペレット化し、そして600,000細胞/mLの最終濃度にて、37℃まで予め温めた刺激緩衝液中に再懸濁させた。細胞を、アッセイにおいて30,000細胞/ウェルの最終濃度で用いた。化合物を、溶解緩衝液(50% DMSOを用いる25mM Gly−HCl pH3.0)中10mM 濃度まで溶解させ、次いで、50mM Gly−HCl pH3.0中1mMまで希釈し、そしてそこから系列的にアッセイ緩衝液(25℃での75mM トリス/HCl pH7.4,12.5mM MgCl,1mM EDTA,0.2% BSA)中に希釈した。
【0163】
化合物を、10μM〜40pMの範囲の10個の異なる濃度で試験した。最大応答を、10μM イソプロテレノールの存在下において測定した。反応物を、37℃で10分間、インキュベートし、そして、100μl 氷冷検出緩衝液の添加により停止した。プレートを密封し、4℃で一晩中インキュベートし、そして、翌朝、topcount scintillation counter(Packard BioScience Co.,Meriden,CT)で計数した。反応の1mLあたり生成したcAMPの量を、試料に対して観測されたおよび標準cAMPに対して観測されたカウントに基づき、製造者の使用マニュアルに記載されるように算出した。データを、GraphPad Prism Software package(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用い、シグモイド用量応答に関する可変のスロープを用いる4−パラメーターモデルを使用し、非線形回帰分析により分析した。化合物効力(%Eff)を、観察のされたEmax(近似曲線の頂点)と10μM イソプロテレノールに関し観察された最大応答との比から算出し、そしてイソプロテレノールに対する%Effとして示した。
【0164】
(試験D)
(モルモットモデルにおけるアセチルコリン誘導性気管支痙攣を防ぐ気管支保護に関するアッセイ)
体重250〜350gの間の6匹のモルモット(Duncan−Hartley(HsdPoc:DH)Harlan,Madison,WI)を、個々にケージカードにより認識した。研究の間中、動物が、適宜、餌および水を摂取可能とした。
【0165】
試験化合物を、10分間にわたり、全身が曝露される投薬チャンバ(chamber)中で吸入投与した。この投薬チャンバは、エアロゾルが、同時に中心のマニフォールドから6つのチャンバに送達されるように配置した。60分間の順化期間および注射(WFI)用の霧状水に10分間の曝露に次いで、モルモットは、試験化合物またはビヒクル(WFI)のエアロゾルに曝された。これらのエアロゾルは、水性溶液から、22psiの圧力の混合ガス(CO=5%,O=21%およびN=74%)により駆動されるLC Star Nebulizer Set(Model 22F51,PARI Respiratory Equipment,Inc.Midlothian,VA)を用いて生成した。この操作圧においてこの噴霧器を通るガス流は、約3L/分であった。生成したエアロゾルを、陽圧により、チャンバ中に送達した。希釈空気を、エアロゾル溶液の送達期間中使用しなかった。10分間の噴霧化の間、約1.8mLの溶液を噴霧化した。このことを、噴霧化前と噴霧後の充填した噴霧器の重さを比較することにより、重量測定した。
【0166】
吸入投与による化合物の気管支保護効果は、投与後、1.5、24、48および72時間に全身プレチスモグラフを用いて評価した。肺の評価を開始する45分前に、各モルモットを、ケタミン(43.75mg/kg)、キシラジン(3.50mg/kg)およびアセプロマジン(1.05mg/kg)の筋肉注射を用い麻酔した。手術部位を剃毛し、70% アルコールで消毒した後、首の腹側面の2〜5cm 正中切開を、施した。次いで、頸静脈を、単離し、そして、生理食塩水充填ポリエチレンカテーテル(PE−50,Becton Dickinson,Sparks,MD)でカニューレ挿入し、生理食塩中の0.1mg/mLアセチルコリン(Ach)溶液(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)の静脈輸液をし得た。次いで、気管を解剖して取り除き、そして14Gテフロン(登録商標)チューブ(番号NE−014,Small Parts,Miami Lakes,FL)でカニューレ挿入した。必要な場合、上述の麻酔薬カクテルのさらなる筋肉内注射により麻酔を維持した。麻酔の深さを、モニターし、そして、動物が、動物の足をつままれることに反応する場合または呼吸速度が、100呼吸/分より大きい場合、麻酔の深さを調節した。
【0167】
一旦カニューレ挿入が完了すると、上記動物を、プレチスモグラフ(番号PLY3114,Buxco Electronics,Inc.,Sharon,CT)中に置き、そして食道圧カニューレを挿入し、肺の駆動圧(圧力)(driving pressure)を計測した。テフロン(登録商標)製気管チューブを、プレチスモグラフの開口部に取り付け、モルモットが、チャンバの外から部屋の空気を呼吸し得るようにした。次いでこのチャンバを、密閉した。加熱灯を用い体温を維持し、そしてモルモットの肺を、4mLの空気で3度膨らませ、10mL検定シリンジ(番号5520 Series,Hans Rudolph,Kansas City,MO)を用いて、確実に、下気道が、崩壊しないこと、および動物が、呼吸亢進にならないようにした。
【0168】
一旦、ベースライン値が、コンプライアンスに関し0.3〜0.9mL/cm HOの範囲内であり、抵抗に関し1秒あたり0.1〜0.199cm HO/mLの範囲内であることが決定されると、肺の評価を開始した。Buxco肺の評価コンピュータープログラムから、肺の値の収集および誘導をし得た。このプログラムを開始することにより、実験プロトコルおよびデータ収集を開始した。各々呼吸に関するプレチスモグラフ内に生じた時間にわたる体積変化を、Buxco圧力トランスデューサーを用いて測定した。このシグナルを時間に対して積分し、流量の測定値を、各々の呼吸に関して算出した。Sensym圧力トランスデューサー(番号TRD4100)を用いて収集したこのシグナルを、肺の駆動圧変化と共に、Buxco(MAX2270)プリアンプを介して、データ収集インターフェース(番号SFT3400および番号SFT3813)に接続した。全ての他の肺のパラメーターを、これらの2つの入力から得た。
【0169】
モルモットに、Achを与え(challenge)た後、ベースライン値を、5分間収集した。Achを、シリンジポンプ(sp210iw,World Precision Instruments,Inc.,Sarasota,FL)から、以下の用量および実験開始からの所定時間にて、1分間静脈内に注入した:5分で1.9μg/分、10分で3.8μg/分、15分で7.5μg/分、20分で15.0μg/分、25分で30μg/分、および30分で60μg/分。抵抗またはコンプライアンスが、各Ach用量のあと、3分間でベースライン値まで戻らなかった場合、モルモットの肺を、10mL 検定シリンジからの4mLの空気で3度膨張した。記録された肺のパラメーターとしては、呼吸頻度(呼吸/分)、コンプライアンス(mL/cm HO)および肺の抵抗(1秒あたりcm HO/mL)(Gilesら,1971)が挙げられる。一旦、肺の機能測定が、このプロトコルの35分間で完了し、モルモットを、プレチスモグラフから取り出し、そしてCO窒息により安楽死させた。
【0170】
肺の抵抗のベースライン値の倍増を生じるために必要とされるAchの量として定義される量PDを、以下の式を用いて、与えたAchの範囲にわたり、流量および圧力から導かれる肺の抵抗値を用い算出した。これは、臨床でPC20値を算出するために用いられる式から導かれる(Am.Thoracic Soc,2000)。
【0171】
【化24】


ここで:
=第2〜最後のAch濃度(Cに先立つ濃度)
=Achの最終濃度(肺の抵抗(R)において2倍増を生じる結果の濃度)
=R値のベースライン
=C後のR
=C後のR値。
【0172】
データの統計的解析は、一元配置分散解析(One−Way Analysis of Variance)に続き、Bonferroni/Dunn試験を用いるポストホック(post−hoc)解析を用い行なった。P−値<0.05を、有意と考慮した。
【0173】
用量応答曲線を、Windows(登録商標)用のGraphPad Prism,version 3.00(GraphPad Software,San Diego,California)を用いる4つのパラメーターの以下の論理式で近似し、
Y=Min+(Max−Min)/(1+10^((logED50−X)*Hillスロープ)
ここでXは、用量の対数であり、Yは、応答(PD)であり、そしてYは、Minで始まり、シグモイド形でMaxに漸近的に近づく。
【0174】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるのであって、本発明の範囲を限定するとは、決して解釈されるべきではない。
【0175】
(実施例)
一般的事項:そうでないと記載されない限り、試薬、出発物質、および溶媒を、販売元(例えば、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO),J.T.Baker(Phillipsburg,NJ)ならびにHoneywell BurdickおよびJackson(Muskegon,MI))から購入し、さらなる精製なしに用いた;反応は、窒素雰囲気下において行った;反応混合物を、薄層クロマトグラファイー(シリカTLC)、分析用高速液体クロマトグラフィー(分析用HPLC)、または質量分析によりモニターした;反応混合物を、通常、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーまたは分取HPLCにより、下に記載される一般的なプロトコルを用いて精製した;NMR試料を、重溶媒(CDOD、CDCl、またはDMSO−d6)中に溶解させ、そして、スペクトルを、標準パラメーターの下、Varian Gemini 2000機器(300MHz)を用いて得た;そして、質量分析的同定を、Perkin Elmer機器(PE SCIEX API 150 EX)でエレクトロスプレーイオン化法(ESMS)により行った。
【0176】
(実施例1:8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェニルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの合成)
(a.(6−フェニルアミノヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製)
(6−アミノヘキシル)カルバミン酸tert−ブチルエステル塩酸塩(5g、20mmol)を、50% ジクロロメタン/メタノール(50mL)中に溶解させ、そして周囲温度で、フェニルアセトアルデヒド(2.3mL、20mmol)を用い1時間処理した。シアノ水素ホウ素ナトリウム(1.2g、19mmol)を添加し、そして、この混合物を一晩中攪拌した。次いで、水を添加し、その後飽和炭酸水素ナトリウムおよびさらなるジクロロメタンを添加した。この混合物を、分配し、有機物を硫酸ナトリウムにより乾燥させ、そして揮発物を減圧下で取り除き、標題の中間体を得、これをさらなる精製なしに用いた。
【0177】
(b.(6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキシル)フェネチルカルバミン酸ベンジルエステルの調製)
前の工程の生成物を、周囲温度で一晩、クロロギ酸ベンジル(2.8mL、20mmol)および水酸化ナトリウム水溶液(1M、30mL)を用いて処理した。この混合物を、酢酸イソプロピルで抽出した。有機物を、飽和炭酸水素ナトリウムに次いで、クエン酸水溶液(0.5M)で洗浄した。この混合物を、ジクロロメタンで抽出し、有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、揮発物を減圧下において取り除き、標題の中間体(9g)を得、これをさらなる精製なしに使用した。
【0178】
(c.(6−アミノヘキシル)フェニルカルバミン酸ベンジルエステルの調製)
前工程の生成物(9g、未精製)を、ジクロロメタン(45mL)中に溶解させ、周囲温度にてトリフルオロ酢酸(45mL)を用い処理した。揮発物を減圧下除去し、そして残渣を、水に取り込み、水酸化ナトリウムで塩基性にした。混合物を、ジクロロメタンで抽出し、そして有機物を、硫酸ナトリウムを用い乾燥させた。揮発物を、減圧下除去し、標題の化合物を得、そしてこの化合物を乾固までエバポレートし、さらなる精製なしに用いた。
【0179】
(d.[(R)−2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−(8−ベンジルオキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)エチル]−(6−フェニルアミノ−ヘキシル)カルバミン酸ベンジルエステルの調製)
前工程の生成物(6.5g 未精製、18mmol)、8−ベンジルオキシ−5−[(R)−2−ブロモ−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エチル]−1H−キノリン−2−オン(4.5g、9.2mmol)およびジメチルスルホキシド(13mL)を、110℃に1時間加熱し、次いで、周囲温度まで一晩冷却した。この混合物を、水と酢酸イソプロピルの間で分配した。有機物を、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、そして乾固までエバポレートした。この混合物を、逆相HPLCにより精製し、標題の化合物をTFA塩として得た。
【0180】
(e.[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ベンジルオキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)エチル]−(6−フェニルアミノ−ヘキシル)カルバミン酸ベンジルエステルの調製)
前工程の生成物を、テトラヒドロフラン中に溶解させ、周囲温度でHPLCにより反応が完了したと判断されるまでトリエチルアミントリヒドロフルオリドで処理した。この反応物を、1M水酸化ナトリウムと酢酸イソプロピルとの間に分配した。有機物を、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、そして乾固までエバポレートし、標題の中間体を得た。
【0181】
(f.8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの調製)
前工程の生成物(250mg、0.39mmol)を、ジクロロメタン中に周囲温度で溶解させ、そして三塩化ホウ素(ジクロロメタン中1M)を、アリコートで添加した。反応を、さらなる三塩化ホウ素を用いHPLCによりモニターし、反応が完了したと判断されるまで添加した。水中の10% 酢酸を添加し、そしてジクロロメタンを減圧下除去した。残渣を、逆相HPLCにより精製し、標題の化合物をビストリフルオロ酢酸塩として得た。
【0182】
(実施例2:8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェニルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの代替的な合成)
(a.(5−フェニルカルバモイル−ペンチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル)の調製)
フェニルアミン(340μL、4.3mmol)、6−tert−ブトキシカルバモイルアミノ−ヘキサン酸(1.0g、4.3mmol)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(700mg、5.1mmol)を、窒素下、N,N−ジメチルホルムアミド中に溶解させ、そして0℃まで冷却した。塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを添加し、そして、この混合物を、一晩攪拌し、放置し室温まで温めた。この混合物を、水と酢酸イソプロピルの間で分配させた。有機物を、0.5M クエン酸で洗浄し、次いで、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして乾固までエバポレートした。残渣を、さらなる精製なしに用いた。
【0183】
(b.6−アミノ−N−(2−フェネチルアミノ)ヘキサンアミドの調製)
前工程の生成物を、ジクロロメタン(10mL)中に溶解させ、そして、室温にて1時間、トリフルオロ酢酸(10mL)を用い処理した。揮発物を、減圧下除去し、そして残渣を、ジクロロメタンに入れ、1N 水酸化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムを用い乾燥させ、乾固までエバポレートし、標題の中間体(830mg、3.5mmol)を得、これをさらなる精製なしに用いた。
【0184】
(c.N−フェネチルヘキサン−1,6−ジアミンの調製)
前工程の生成物(330mg、1.4mmol)を、室温にて窒素下、テトラヒドロフラン(4mL)中に溶解させ、そして、ボラン−メチルスルフィド錯体(500μL)を添加した。この混合物を、一晩還流し、次いで、氷浴中で冷却した。メタノールを、注意深く添加し、そして揮発物を、減圧下除去した。残渣を、メタノール中に再溶解させ、そして再濃縮し、標題の中間体(360mg、1.6mmol)を得、これをさらなる精製なしに用いた。
【0185】
(d.8−ベンジルオキシ−5−[(R)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−(6−フェネチルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの調製)
前工程の生成物(200mg、0.91mmol)、8−ベンジルオキシ−5−[(R)−2−ブロモ−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エチル]−1H−キノリン−2−オン(340mg、0.70mmol)、炭酸水酸化ナトリウム(180mg、2.1mmol)およびジメチルスルホキシド(1.7mL)を、110℃で55分間加熱し、室温まで冷却し、酢酸イソプロピルと水の間で分配させた。有機物を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして乾固までエバポレートした。残渣を、逆相HPLCにより精製し、標題の中間体をビストリフルオロ酢酸塩(75mg、88μmol)として得た。
【0186】
(e.8−ベンジルオキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェニルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの調製)
前工程の生成物(75mg、88μmol)を、テトラヒドロフラン(1mL)中に溶解させ、そして、トリエチルアミントリヒドロフルオリド(60μL、370μmol)を用いて室温で18時間処理した。この混合物を、1M 水酸化ナトリウムと酢酸イソプロピルとの間で分配させた。有機物を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして乾固までエバポレートし、標題の中間体を得た。
【0187】
(f.8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの合成)
前工程の生成物を、ジクロロメタン中において室温で溶解させ、そして、三塩化ホウ素(ジクロロメタン中1M)を、一部分に添加した。反応を、さらなる三塩化ホウ素を用いてHPLCによりモニターし、この反応が完了したと判断されるまで添加した。水中の10%酢酸を添加し、そしてジクロロメタンを、減圧下除去した。残渣を、逆相HPLCにより精製し、標題の化合物をビストリフルオロ酢酸塩として得た。
【0188】
【化25】


(比較実施例:8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルオキシ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの合成)
(a.6−フェニルオキシヘキサンニトリルの調製)
6−ブロモヘキサンニトリル(3.0mL、23mmol)および臭化テトラブチルアンモニルム(350mg、1.1mmol)を、テトラヒドロフラン(5mL)および50%水酸化ナトリウム水溶液(15mL)中に溶解させた。フェネチルアルコール(3.0mL、25mmol)を、添加し、結果として沈殿物を得た。この混合物を、固体が溶解する65℃で加熱した。この混合物を、65℃で4時間攪拌し、次いで、室温まで冷却し、そして11日間放置した。水、ヘキサン、および酢酸エチルを、添加し、そしてこの混合物を、分配させた。有機物を、水、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして乾固までエバポレートし、標題の中間体(5.3g、24mmol)を得、これをさらなる精製なしに用いた。
【0189】
(b.6−フェネチルオキシヘキシルアミンの調製)
前工程の生成物(5.3g、24mmol)を、テトラヒドロフラン(50mL)中に溶解させ、そしてボラン−メチルスルフィド錯体(6mL)で処理した。この混合物を、3.5時間還流し、次いで、ボラン−メチルスルフィド錯体(2mL)を添加し、この混合物を、さらに20時間還流し、室温まで冷却し、そしてメタノールを注意深く添加した。揮発物を、減圧下除去し、そして混合物を、メタノールから再びエバポレートし、標題の中間体(5.7g、26mmol)を得、これをさらなる精製なしに用いた。
【0190】
(c.8−ベンジルオキシ−5−[(R)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−(6−フェネチオキシ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの調製)
前工程の生成物(3.4g、15mmol)、8−ベンジルオキシ−5−[(R)−2−ブロモ−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エチル]−1H−キノリン−2−オン(3.4g、7.0mmol)、炭酸水素ナトリウム(2.3g、27mmol)およびジメチルスルホキシド(7mL)を、100℃で135分間加熱し、次いで、室温まで冷却し、そして16時間放置し続けた。この混合物を、水と酢酸イソプロピルとの間で分配させ、そして、有機物を、水で洗浄し、次いで、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、そして乾固までエバポレートした。生成物を、逆相HPLCにより精製し、標題の化合物をトリフルオロ酢酸塩(1.5g、2.0mmol)として得た。
【0191】
(d.8−ベンジルオキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルエチルオキシ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの調製)
前工程の生成物(1.5g、2.0mmol)を、テトラヒドロフラン(15mL)中に溶解させ、そしてトリエチルアミントリヒドロフルオリド(660μL、4.0mmol)を用いて室温で3日間処理した。この混合物を、1M 水酸化ナトリウムと酢酸エチルとの間で分配させた。有機物を、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥させ、そして乾固までエバポレートし、標題の中間体(1.4g、2.7mmol)を得、これをさらなる精製なしに用いた。
【0192】
(e.8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルオキシ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの合成)
前工程の生成物(1.4g、2.7mmol)および炭素担持水酸化パラジウム(20% Pd、水分含有量約60%、300mg)を、テトラヒドロフラン(30mL)中に懸濁させ、そして室温にて水素圧下、2時間攪拌した。パラジウムを、ろ過により取り除き、そして混合物を、減圧下エバポレートした。残渣を、逆相HPLCにより精製し、標題の化合物をトリフルオロ酢酸塩として得た。
【0193】
【化26】


(実施例4:生物学的アッセイの結果)
本発明の代表的な化合物、実施例1および実施例2の化合物、8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンおよび比較実施例の化合物、8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルオキシヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンを、上で記載される生物学的アッセイを用い試験した。アッセイの結果を、以下の表中に要約する。
【0194】
【表1】

【0195】
【表2】


*実施例1において調製された化合物。
【0196】
本発明の試験した化合物は、比較化合物がそうであるようにβアドレナリン作用性レセプターに対して、上で記載されるインビトロにおける結合親和性アッセイおよび機能性アッセイに関し活性であった。驚くべきことに、本発明の化合物は、投与後72時間に、モルモットモデルにおいて気管支保護を示し、他方比較化合物は、インビトロにおいて投与後72時間に活性でなかった。さらに、本発明の化合物は、試験Bの機能性アッセイにおけるβレセプターサブタイプおよびβレセプターサブタイプと比較した場合、βレセプターに対し優れた選択性を示した。上記アッセイの結果は、本発明が、非常に長い作用期間を有し、強力かつ選択的なβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを提供することを示す。
【0197】
本発明は、その特定の実施形態を参照して記載されているが、本発明の真意および本発明の範囲から逸脱することなしに、種々の変更がなされ得、かつ等価物が、代用され得ることは、当業者により理解される。さらに、多くの改変は、特定の状況、材料、材料の組成物、プロセス、プロセス工程(単数または複数)を、本発明の目的の真意および目的の範囲に適合するようにし得る。そのような変更は、添付の請求項の範囲内に存在することを意図している。さらに、上記の本明細書において引用される全ての刊行物、特許、および特許文献は、それらが個々に参考として援用されるかのごとく、全体が本明細書中において参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

または、その薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体であって、
ここで:
、R、R、およびRの各々は、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、−CHOHおよび−NHCHOから独立して選択されるか、あるいはRおよびRが一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−;および−SC(=O)NH−から選択され;
は、水素、−ORおよび−NRから選択され、ここでRおよびRが、各々、独立して、水素またはC1−3アルキルであり;
nは、0〜7の整数であり;
mは、0〜5の整数であり;そして
、R、R、R、およびR10の各々は、独立して、水素またはC1−6アルキルであるが;
但し、mが、0である場合、Rは、水素である、
化合物、または、その薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項2】
およびR10が、各々、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRが、各々、水素である、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式(II)の化合物:
【化2】

である請求項1に記載の化合物、または、その薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体であって、
ここで:
は、−CHOHまたは−NHCHOであり、そしてRは、水素であり;あるいは、RおよびRは一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−であり;
nは、2〜6の整数であり;
mは、0〜3の整数である、
化合物、または、その薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項5】
nが、4である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
mが、1である、請求項4または請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
およびRが一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
ヒドロキシル基を有する前記アルキレン炭素における立体化学が、(R)である、請求項4〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(6−フェネチルアミノ−ヘキシルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの化合物名を有する請求項1に記載の化合物;あるいは、その薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量と、薬学的に受容可能なキャリアとを含む、薬学的組成物。
【請求項11】
前記組成物が、1つ以上の他の治療剤の治療有効量をさらに含む、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記他の治療剤が、コルチコステロイド、抗コリン作用性因子、またはPDE4インヒビターである、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記組成物が、吸入による投与用に処方される、請求項10〜12のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物と、1つ以上の他の治療剤とを含む、組み合わせ。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物と、以下の化合物から選択される化合物とを含む組み合わせであって、該化合物が、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、および6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロフラン−3S−イル)エステルから選択される、組み合わせ。
【請求項16】
治療における使用のための、請求項1〜9のいずれか1項の記載の化合物。
【請求項17】
前記医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用、あるいは、請求項14または請求項15に記載の組み合わせの使用。
【請求項18】
前記医薬が、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患または状態を有する哺乳動物の処置のためのものである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患または状態が、肺疾患または肺の状態である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記肺疾患または肺の状態が、喘息または慢性閉塞性肺疾患である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記医薬が、吸入による投与用に適する、請求項18に記載の使用。
【請求項22】
βアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患または状態を有する哺乳動物の処置のために、1つ以上の治療剤と組み合わせた投与のための、医薬の製造における請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製するプロセスであって、該プロセスは、以下:
(a)式(III)の化合物:
【化3】

を、式(IV)の化合物:
【化4】

と反応させ、式(V)の化合物:
【化5】

を提供する工程であって、
ここで式(III)において:
は、ヒドロキシ保護基であり、Lは、脱離基であり、R1a、R2a、R3a、およびR4aの各々は、独立して、請求項1〜9のいずれか1項に定義されるようなR、R、R、およびRと同じであるか、−OPであるかのいずれか一方であり、ここでPが、ヒドロキシ保護基であり;
ここで式(IV)において:
11は、水素またはPであり、Pが、アミノ保護基である、工程
(b)該保護基Pを除去し、式(VI)の化合物:
【化6】

を提供する工程;および
(c)R1a、R2a、R3a、またはR4aのいずれかが、−OPである場合、あるいは、R11が、Pである場合に、存在するならば、該保護基Pおよび該保護基Pを除去し、式(I)の化合物あるいはその塩または立体異性体を提供する工程、
を包含する、プロセス。
【請求項24】
請求項23のプロセスにより調製される、生成物。
【請求項25】
βアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法であって、該方法は、該哺乳動物に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量を投与する工程を、
包含する、方法。
【請求項26】
1つ以上の治療剤の治療有効量を投与する工程をさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記他の治療剤が、コルチコステロイド、抗コリン作用性因子、またはPDE4インヒビターである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、吸入により前記化合物を投与する工程を包含する、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
βアドレナリン作用性レセプターを含む生物学系または生物学的試料を研究する方法であって、該方法が、以下:
(a)生物学系または生物学的試料を、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程;および、
(b)生物学系または生物学的試料に関して、該化合物により引き起こされる効果を測定する工程、
を包含する、方法。

【公表番号】特表2008−501705(P2008−501705A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515611(P2007−515611)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/019549
【国際公開番号】WO2005/121065
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】