説明

ジアミン、これを用いた液晶配向剤、液晶表示素子および液晶配向膜の形成方法

【課題】
液晶配向剤に使用するポリアミック酸およびその誘導体の原料の一部に用いることにより、液晶配向性が高く、体積抵抗値が低く、VHRなどの電気特性が良好な液晶配向膜を形成する液晶配向剤を得ることができるジアミン化合物を提供する。
【解決手段】
熱により脱離する基で保護された1級または2級アミノ基を分子内に有するジアミンをポリアミック酸およびその誘導体の原料として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱により脱離する基で保護された1級または2級アミノ基を少なくとも1つ、分子内に有するジアミン、このジアミンを原料としたポリアミック酸およびその誘導体、これらのポリアミック酸およびその誘導体を含有する液晶配向剤、これらの液晶配向剤の用途およびこれらの液晶配向膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンのモニター、液晶テレビ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型ディスプレイ等の様々な表示装置、さらには、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子等、今日製品化されて一般に流通している液晶表示素子は、ネマティック液晶を用いた表示素子が主流である。ネマティック液晶表示素子の表示方式は、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モードがよく知られている。近年、これらのモードの問題点の1つである視野角の狭さを改善するために、光学補償フィルムを用いたTN型液晶表示素子、垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード、あるいは横電界方式のIPS(In-Plane Switching)モード等が提案され、実用化されている。
【0003】
液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は表示品位に係わる重要な材料の1つであり、液晶表示素子の高品質化に伴い、配向膜の性能を向上させる事が重要になってきている。
【0004】
液晶配向膜は、液晶配向剤より調製される。現在、主として用いられている液晶配向剤は、ポリアミック酸または可溶性のポリイミドを有機溶剤に溶解させた溶液(ワニス)である。この溶液を基板に塗布した後、加熱等の手段により成膜してポリイミド系液晶配向膜を形成する。
【0005】
液晶配向膜には液晶表示素子に下記のような特性をもたらすことが要求される。
(1)液晶分子に適切なプレチルト角を付与すること。且つ該プレチルト角がラビング時の押込み強度や加熱時の温度条件による影響を受けにくいこと。
(2)液晶配向性が高いこと。加えて配向性ラビングムラ、キズ、または配向膜の削れ等による、液晶分子の配向の欠陥が発生しないこと。
(3)液晶表示素子に適切な電圧保持率(Voltage Holding Ratio:VHR)を与えること。
(4)液晶表示素子に任意の画像を長時間表示させた後、別の画像に変えた時に前の画像が残像として残る「焼き付き」と呼ばれる現象が起きにくいこと。
【0006】
(4)の残像を低減させる方法の1つとして、残留電圧(RDC)を低下させる事が重要である事がよく知られている(例えば、特許文献1を参照。)。RDCとは、電圧印加して液晶を駆動させた後、電圧を0Vに戻したときに残存する電圧である。特にIPS方式の液晶表示素子に用いられる配向膜においては、このRDCを低減させるため、体積抵抗値が小さい配向膜材料が求められている(例えば、特許文献2〜4を参照。)。
【0007】
体積抵抗値が小さく、また液晶配向性に優れた配向膜材料用ジアミンとして、以下のようなジアミン化合物(DI−A)が知られている(例えば、特許文献5を参照。)が、液晶配向性を維持し、且つ体積抵抗値が小さなジアミンが開発できれば、さらに残像特性に優れた配向膜を得る事ができると期待される。そこで著者らは、このような特性を有するジアミンとしてジアミン化合物(DI−A)の中央の−NCH基を−NH基に変えたジアミン化合物(DI−B)を配向膜材料用ジアミンとして応用することを考案し、合成を試みた。このジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で反応させたが、4つのアミノ基全てが反応に関与し、ゲル化を起こしてしまい、結果として目的物(ポリアミック酸)を取得できなかった。
【0008】
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−233713公報
【特許文献2】特開平7−159786号公報
【特許文献3】特開2006−284887公報
【特許文献4】国際公開第2004/053583号パンフレット
【特許文献5】特開2009−058928公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、液晶表示素子に求められる前記(1)〜(4)の特性をバランスよく満たし、とりわけ(4)の特性を満足するのに適した配向膜を形成することができる、体積抵抗値が小さい配向膜材料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、熱により脱離する基で保護された1級または2級アミノ基を分子内に有するジアミンを原料としたポリアミック酸およびその誘導体を、液晶配向剤として用いることにより、上記の要求特性を満足する液晶表示素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は以下の構成からなる。
[1] 式(1)で表されるジアミン:
【化2】

式(1)において、Rは熱により脱離する基であり;
は独立して−H、熱により脱離する基または熱により脱離する基を有する基であり;
およびGは独立して芳香環を有する2価の有機基であり;
は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;
は単結合、−O−、−CONH−、−NMe−、または−NR−であり;
a、b、およびcは独立して0または1であるが、Rが−Hであるときbは1であり;そして、
a、cそれぞれが1であるとき、−NHは2価の有機基の芳香環に直接結合している。
【0013】
[2] 式(1)で表されるジアミンにおいて、RおよびRにおける熱により脱離する基がカルバメート系保護基である、[1]項に記載のジアミン。
【0014】
[3] 式(1)で表されるジアミンにおいて、RがBocであり、Rが−H、−NHBocまたは−N(Boc)である、[1]項に記載のジアミン:
ここでBocはt−ブトキシカルボニル基である。
【0015】
[4] 式(1−a)〜式(1−d)のいずれかで表される、[1]項に記載のジアミン:
【化3】

式(1−a)〜式(1−d)において、Bocはt−ブトキシカルボニル基であり;
は炭素数2〜10のアルキレンであり;
は独立して−H、−NHBocまたは−N(Boc)であり、そして、Rの少なくとも1つは−NHBocまたは−N(Boc)である。
【0016】
[5] [1]〜[4]のいずれか1項に記載のジアミンの少なくとも1つ、または[1]〜[4]のいずれか1項に記載のジアミンの少なくとも1つを含有するジアミン混合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体。
【0017】
[6] [1]〜[4]のいずれか1項に記載のジアミンの少なくとも1つとその他のジアミンとの混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られる、[5]項に記載のポリアミック酸またはその誘導体。
【0018】
[7] テトラカルボン酸二無水物が以下の式(AN−I)〜(AN−VII)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[5]項または[6]項に記載のポリアミック酸またはその誘導体:
【化4】

式(AN−I)、(AN−IV)および(AN−V)において、Xは独立して単結合または−CH−であり;
式(AN−II)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり;
式(AN−II)〜(AN−IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、
【化5】

これらの基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(AN−III)〜(AN−V)において、環Aは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜30の縮合多環式炭化水素の基であり、この基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく、環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく;
式(AN−VI)において、X10は炭素数2〜6のアルキレンであり;
Meはメチルであり;
Phはフェニルであり;
式(AN−VII)において、G10は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり;そして、
rは独立して0または1である。
【0019】
[8] テトラカルボン酸二無水物が以下の式(AN−1−1)、(AN−1−13)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−4−17)、(AN−7−2)、(AN−10)、および(AN−11−3)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[7]項に記載のポリアミック酸またはその誘導体:
【化6】

式(AN−4−17)において、mは1〜12の整数である。
【0020】
[9] その他のジアミンが、以下の式(DI−1)〜(DI−17)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[6]項に記載のポリアミック酸またはその誘導体:
【化7】

式(DI−1)〜(DI−7)において、mは1〜12の整数であり;
21は独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CHm’−、−O−(CHm’−O−、または−S−(CHm’−S−であり、m’は独立して1〜12の整数であり;
22は独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜10のアルキレンであり;
各式中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の任意の−Hは、−F、−CH、−OH、−CFまたはベンジルで置き換えられていてもよく、加えて式(DI−4)においては、下記式(DI−4−a)〜(DI−4−c)で置き換えられていてもよく、
【化8】

式(DI−4−a)〜(DI−4−c)において、R20は独立して−Hまたは−CHであり;
式(DI−2)〜(DI−7)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;そして、
シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、G21またはG22の結合位置を除く任意の位置である。
【化9】

式(DI−8)において、R21およびR22は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり;
23は独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり;
nは1〜10の整数であり;
式(DI−9)において、R23は独立して炭素数1〜3のアルキルであり;
pは独立して0〜3の整数であり;
qは0〜4の整数であり;
式(DI−10)において、R24は−H、炭素数1〜4のアルキル、フェニル、またはベンジルであり;
式(DI−11)において、G24は−CH−または−NH−であり;
式(DI−12)において、G25は単結合、炭素数2〜6のアルキレンまたは1,4−フェニレンであり;
rは0または1であり;
式(DI−12)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;そして、
式(DI−9)、(DI−11)および(DI−12)において、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置は任意の位置であり;
【化10】

式(DI−13)において、G26は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CHm’−であり、m’は1〜12の整数であり;
25は炭素数3〜20のアルキル、フェニル、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI−13−a)で表される基であり、このアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられてもよく、任意の−CH−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、このフェニルの−Hは、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF、−OCF、炭素数3〜20のアルキル、または炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく、このシクロヘキシルの−Hは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置はその環において任意の位置であることを示し;
【化11】

式(DI−13−a)において、G27、G28およびG29は結合基を表し、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていてもよく;
環B21、環B22、環B23、および環B24は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
環B21、環B22、環B23、および環B24において、任意の−Hは−Fまたは−CHで置き換えられてもよく;
s,tおよびuは独立して0〜2の整数であり、これらの合計は1〜5であり;
s,tまたはuが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、2つの環は同じであっても異なっていてもよく;
26は−F、−OH、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり、この炭素数1〜30のアルキルの任意の−CH−は下記式(DI−13−b)で表される2価の基で置き換えられていてもよく;
【化12】

式(DI−13−b)において、R27およびR28は独立して炭素数1〜3のアルキルであり;
vは1〜6の整数であり;
【化13】

式(DI−14)および式(DI−15)において、G30は独立して単結合、−CO−または−CH2−であり;
29は独立して−Hまたは−CHであり;
30は−H、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルであり;
式(DI−15)におけるベンゼン環の1つの−Hは、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(DI−14)および式(DI−15)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;
ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示し;
【化14】

式(DI−16)および式(DI−17)において、G31は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;
32は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;
31は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルの任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
32は炭素数6〜22のアルキルであり;
33は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルであり;
環B25は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;
rは0または1であり;そして、
ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示す。
【0021】
[10] その他のジアミンが、以下の式(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−5)、(DI−5−9)、(DI−5−12)、(DI−5−21)、(DI−5−27)、(DI−5−29)、(DI−7−3)、(DI−9−1)、(DI−13−4)、(DI−13−5)、(DI−13−47)、(DI−16−1)、(DI−16−2)、および(DI−16−4)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[9]項に記載のポリアミック酸またはその誘導体:
【化15】

【化16】

式(DI−5−1)、(DI−5−12)および(DI−7−3)において、mは1〜12の整数であり;
式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数であり;
式(DI−7−3)において、nは1または2あり;
式(DI−13−4)および(DI−13−5)において、R35は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであり;
式(DI−16−1)および(DI−16−2)において、R40は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり;
式(DI−16−4)において、R41は−Hまたは炭素数1〜12のアルキルである。
【0022】
[11] [5]〜[10]のいずれか1項に記載のポリアミック酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1つの重合体を含有するワニス。
【0023】
[12] [11]項に記載のワニスを含有する液晶配向剤。
【0024】
[13] アルケニル置換ナジイミド化合物、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、オキサジン化合物、オキサゾリン化合物、およびエポキシ化合物からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに含有する、[12]項に記載の液晶配向剤。
【0025】
[14] アルケニル置換ナジイミド化合物が、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、[13]項に記載の液晶配向剤。
【0026】
[15] ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物が、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N―ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、[13]項に記載の液晶配向剤。
【0027】
[16] エポキシ化合物が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、[13]項に記載の液晶配向剤。
【0028】
[17] [12]〜[16]のいずれか1項に記載の液晶配向剤によって形成された液晶配向膜。
【0029】
[18] [17]項に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【0030】
[19] 100〜300℃に加熱することにより脱離して−NH−基を生ずる基を有するポリアミック酸またはその誘導体を、基の脱離により−NH−基を生ずる温度まで焼成し、その後液晶配向膜として用いる事を特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
【0031】
[20] [12]〜[16]のいずれか1項に記載の液晶配向剤を用いる、[19]項に記載の液晶配向膜の形成方法。
【0032】
[21] [19]項または[20]項に記載の方法で液晶配向膜を形成することを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。
【発明の効果】
【0033】
本発明のジアミン化合物を、液晶配向剤に使用するポリアミック酸およびその誘導体の原料の一部に用いることにより、液晶配向性が高く、体積抵抗値が低く、VHRなどの電気特性が良好な液晶配向膜を形成する液晶配向剤を得ることができる。また該液晶配向剤はゲル化など起こさずに容易に合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】配向膜の体積抵抗値測定の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のジアミンについて説明する。
本発明のジアミンは式(1)で表される、熱により脱離する基で保護された1級または2級アミノ基を分子内に有するジアミンである。
【化17】

式(1)において、Rは熱により脱離する基であり、Rは独立して−H、熱により脱離する基または熱により脱離する基を有する基である。GおよびGは独立して芳香環を有する2価の有機基である。Gは単結合または炭素数1〜10のアルキレンである。Gは単結合、−O−、−CONH−、−NMe−、または−NR−である。a、bおよびcは独立して0または1であるが、Rが−Hであるときbは1であり、そして、a、cそれぞれが1であるとき、−NHは2価の有機基の芳香環に直接結合している。
【0036】
一般にアミンは求核能が高く、反応性に富んでいる。そのため、例えば前述の式(DI−B)のように、分子末端のアミノ基以外に分子内に2級アミンの構造を有する化合物のアミノ基を化学反応(本発明においてはアミド化)させる際には、前述の2級アミンを予め電子求引性の官能基を用いて保護することがある。このような官能基を保護基と称するが、アミノ基の保護基としてはカルバメート系保護基、アミド系保護基、イミド系保護基などが知られている。本発明で用いた熱により脱離する基として好適に用いることができるのは、この内のカルバメート系保護基である。液晶配向膜形成時の焼成温度は150℃〜300℃であり、この条件下で脱離が起こる保護基には、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルオキシカルボニル基、1,1−ジメチル−2−シアノエチルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基などがある。中でもt−ブトキシカルボニル基(Boc)は容易に脱離するため特に好適に用いることができる。
【0037】
本発明のジアミン化合物を原料の1つとして用いたポリアミック酸およびその誘導体を含有する液晶配向剤を用いる事により、上記要求特性を満足できる液晶表示素子が得られる。この時、特に液晶配向性が高く、容易にまた安価に合成できるジアミン原料として、式(1−a)〜(1−d)で表される化合物を好適に用いる事ができる。
【0038】
これらの式(1−a)〜(1−d)で表される化合物の中でも、特に好適な例として、以下の式(1−a−1)〜(1−d−5)の化合物が挙げられる。
【0039】
【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【0040】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体について説明する。
本発明のポリアミック酸およびその誘導体はテトラカルボン酸二無水物と式(1)で表されるジアミンを含むジアミンとの反応生成物である。前記ポリアミック酸の誘導体とは、溶剤を含有する後述する液晶配向剤としたときに溶剤に溶解する成分であり、その液晶配向剤を液晶配向膜としたときに、ポリイミドを主成分とする液晶配向膜を形成することができる成分である。このようなポリアミック酸の誘導体としては、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸エステル、およびポリアミック酸アミド等が挙げられ、より具体的には1)ポリアミック酸の全てのアミノとカルボキシルとが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)ポリアミック酸のカルボキシルがエステルに変換されたポリアミック酸エステル、4)テトラカルボン酸二無水物化合物に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸−ポリアミド共重合体、さらに5)該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドが挙げられる。前記ポリアミック酸およびその誘導体は、一種の化合物であってもよいし、二種以上であってもよい。また前記ポリアミック酸およびその誘導体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応生成物の構造を有する化合物であればよく、他の原料を用い、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応以外の他の反応による反応生成物を含有してもよい。
【0041】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体を製造する為に使用するテトラカルボン酸二無水物について説明する。
本発明に使用されるテトラカルボン酸二無水物は、公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。このようなテトラカルボン酸二無水物は、芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合した芳香族系(複素芳香環系を含む)、および芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合していない脂肪族系(複素環系を含む)の何れの群に属するものであってもよい。
【0042】
このようなテトラカルボン酸二無水物の好適な例としては、原料入手の容易さや、ポリマー重合時の容易さ、膜の電気特性の点から、式(AN−I)〜(AN−VII)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【化22】

式(AN−I)、(AN−IV)および(AN−V)において、Xは独立して単結合または−CH−であり、式(AN−II)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり、式(AN−II)〜(AN−IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、結合手は任意の炭素に連結しており、この基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよく、
【化23】

式(AN−III)〜(AN−V)において、環Aは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜30の縮合多環式炭化水素の基であり、この基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく、環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく、式(AN−VI)において、X10は炭素数2〜6のアルキレンであり、Meはメチルであり、そして、Phはフェニルであり、式(AN−VII)において、G10は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、rは独立して0または1である。
【0043】
さらに詳しくは以下の式(AN−1)〜(AN−16−14)の式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0044】
【化24】

式(AN−1)において、G11は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンである。X11は独立して単結合または−CH−である。G12は独立してCHまたはNである。G12がCHであるとき、CHの水素は−CHに置き換えられてもよい。G12がNであるとき、G11が単結合および−CH−であることはなく、X11は単結合であることはない。そしてR11は−Hまたは−CHである。式(AN−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化25】

式(AN−1−2)および(AN−1−14)において、mは1〜12の整数である。
【0045】
【化26】

式(AN−2)において、R12は独立して−H、−CH、−CHCH、またはフェニルである。式(AN−2)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化27】

【0046】
【化28】

式(AN−3)において、環A11はシクロヘキサン環もしくはベンゼン環である。式(AN−3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化29】

【0047】
【化30】

式(AN−4)において、G13は単結合、−CH−、−CHCH−、−O−、−S−、−C(CH−、−SO−、−CO−または−C(CF−である。環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。G13は環A11の任意の位置に結合してよい。式(AN−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化31】

【化32】

式(AN−4−17)において、mは1〜12の整数である。
【化33】

【0048】
【化34】

式(AN−5)において、R11は−H、または−CHである。ベンゼン環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていないR11は、ベンゼン環における結合位置が任意であることを示す。式(AN−5)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化35】

【0049】
【化36】

式(AN−6)において、X11は独立して単結合または−CH−である。X12は−CH−、−CHCH−または−CH=CH−である。nは1または2である。式(AN−6)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化37】

【0050】
【化38】

式(AN−7)において、X11は単結合または−CH−である。式(AN−7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化39】

【0051】
【化40】

式(AN−8)において、X11はそれぞれ独立して単結合または−CH−である。R12は−H、−CH、−CHCH、またはフェニルであり、環A12はシクロヘキサン環もしくはシクロヘキセン環である。式(AN−8)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化41】

【0052】
【化42】

式(AN−9)において、rはそれぞれ独立して0または1である。式(AN−9)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【0053】
【化43】

式(AN−10)は下記のテトラカルボン酸二無水物である。
【化44】

【0054】
【化45】

式(AN−11)において、環A11は独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(AN−11)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化46】

【0055】
【化47】

式(AN−12)において、環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(AN−12)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化48】

【0056】
【化49】

式(AN−13)において、X13は炭素数2〜6のアルキレンである。式(AN−13)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化50】

【0057】
【化51】

式(AN−14)において、G14は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、rは独立して0または1である。式(AN−14)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化52】

【0058】
【化53】

式(AN−15)において、wは1〜10の整数である。式(AN−15)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化54】

【0059】
上記以外のテトラカルボン酸二無水物として、下記の化合物が挙げられる。
【化55】

【0060】
液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−3)、(AN−1−13)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−4−17)、(AN−5−1)、(AN−7−2)、(AN−8−1)、(AN−11−3)、(AN−16−3)、および(AN−16−14)で表される化合物がより好ましく、式(AN−1−1)、(AN−1−13)、(AN−3−2)、(AN−11−3)、および(AN−16−14)で表される化合物が特に好ましい。
【0061】
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−4)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−5−1)、(AN−6−3)、(AN−7−1)、(AN−7−2)、(AN−8−1)、(AN−8−2)、(AN−9−3)、(AN−10)、(AN−13−1)、(AN−16−3)、および(AN−16−4)で表される脂環式化合物がより好ましく、式(AN−1−4)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−7−2)、(AN−10)、および(AN−13−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0062】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体を製造する為に使用するジアミンについて説明する。
本発明のポリアミック酸およびその誘導体は式(1)で表すジアミンを原料の1つに用いることを特徴とする。式(1)で表すジアミンを単独で用いてもよいし、2つ以上の式(1)で表すジアミンの混合物として用いてもよい。さらに式(1)で表すジアミンの少なくとも1つとその他のジアミンの少なくとも1つの混合物を用いることもできる。
【0063】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体において、高い液晶配向特性を発現させ、RDCを低減するために、式(1)で表すジアミン原料の共重合比は、全アミン成分に対して5〜100モル%が好ましく、10〜100モル%がより好ましい。
【0064】
本発明のポリアミック酸およびその誘導体を製造する為に使用するその他のジアミン化合物は、公知のジアミン化合物から制限されることなく選択することができる。
【0065】
ここでジアミン化合物の構造について説明する。ジアミン化合物はその構造によって2種類に分けることができる。即ち、2つのアミノ基を結ぶ骨格を主鎖として見たときに、主鎖から分岐する基、即ち側鎖基を有するジアミンと側鎖基を持たないジアミンである。この側鎖基はプレチルト角を大きくする効果を有する基である。このような効果を有する側鎖基は炭素数3以上の基である必要があり、具体的な例として炭素数3以上のアルキル、炭素数3以上のアルコキシ、炭素数3以上のアルコキシアルキル、およびステロイド骨格を有する基を挙げることができる。1つ以上の環を有する基であって、その末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のアルコキシおよび炭素数2以上のアルコキシアルキルのいずれか1つを有する基も側鎖基としての効果を有する。以下の説明では、このような側鎖基を有するジアミンを側鎖型ジアミンと称することがある。そして、このような側鎖基を持たないジアミンを非側鎖型ジアミンと称することがある。
【0066】
非側鎖型ジアミンと側鎖型ジアミンを適切に使い分けることにより、それぞれに必要なプレチルト角に対応することができる。側鎖型ジアミンは、本発明の特性を損なわない程度に併用するのが好ましい。また側鎖型ジアミンおよび非側鎖型ジアミンについて、液晶に対する垂直配向性、電圧保持率、焼き付き特性および光配向性を向上させる目的で取捨選択して使用することが好ましい。
【0067】
非側鎖型ジアミンについて説明する。
既知の側鎖を有さないジアミンとしては、以下の式(DI−1)〜(DI−12)のジアミンを挙げることができる。
【化56】

上記の式(DI−1)〜(DI−7)において、mは1〜12の整数である。G21は独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CHm’−、−O−(CHm’−O−、または−S−(CHm’−S−であり、m’は独立して1〜12の整数である。G22は独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜10のアルキレンである。各式中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の任意の−Hは、−F、−CH、−OH、−CFまたはベンジルで置き換えられてもよく、加えて式(DI−4)においては、下記式(DI−4−a)〜(DI−4−c)で置き換えられていてもよい。環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。そして、シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、G21またはG22の結合位置を除く任意の位置である。
【化57】

式(DI−4−a)〜(DI−4−c)において、R20は独立して−Hまたは−CHである。
【0068】
【化58】

式(DI−8)において、R21およびR22は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、G23は独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、wは1〜10の整数である。
式(DI−9)において、R23は独立して炭素数1〜3のアルキルであり、pは独立して0〜3の整数であり、qは0〜4の整数である。
式(DI−10)において、R24は−H、炭素数1〜4のアルキル、フェニル、またはベンジルである。
式(DI−11)において、G24は−CH−または−NH−である。
式(DI−12)において、G25は単結合、炭素数2〜6のアルキレンまたは1,4−フェニレンであり、rは0または1である。そして、環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。
式(DI−9)、式(DI−11)および式(DI−12)において、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置は、任意の位置である。
【0069】
上記式(DI−1)〜(DI−12)の側鎖を有さないジアミンとして、以下の式(DI−1−1)〜(DI−12−1)の具体例を挙げることができる。
【0070】
式(DI−1)〜(DI−3)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化59】

【0071】
式(DI−4)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化60】

【化61】

【化62】

【0072】
式(DI−5)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化63】

式(DI−5−1)において、mは1〜12の整数である。
【化64】

式(DI−5−12)において、mは1〜12の整数である。
【化65】

式(DI−5−15)において、vは1〜6の整数である。
【化66】

式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数である。
【0073】
式(DI−6)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化67】

【0074】
式(DI−7)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化68】

式(DI−7−3)および(DI−7−4)において、mは1〜12の整数であり、nは独立して1または2である。
【化69】

【0075】
式(DI−8)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化70】

【0076】
式(DI−9)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化71】

【化72】

【化73】

【0077】
式(DI−10)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化74】

【0078】
式(DI−11)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化75】

【0079】
式(DI−12)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化76】

【0080】
このような非側鎖型ジアミンは液晶表示素子のイオン密度を低下させる等、電気特性を改善する効果がある。本発明の液晶配向剤に用いられるポリアミック酸またはポリイミドを製造する為に使用するジアミンとして非側鎖型ジアミンを用いる場合、ジアミン総量に占めるその割合を0〜95モル%とすることが好ましく、0〜90モル%とすることがより好ましい。
【0081】
側鎖型ジアミンについて説明する。
側鎖型ジアミンの側鎖基としては、以下の基をあげることができる。
【0082】
側鎖基としてまず、アルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルカルボニル、アルケニルカルボニルオキシ、アルケニルオキシカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキニル、アルキニルオキシ、アルキニルカルボニル、アルキニルカルボニルオキシ、アルキニルオキシカルボニル、アルキニルアミノカルボニル等を挙げることができる。これらの基におけるアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、いずれも炭素数3以上の基である。但し、アルキルオキシアルキルにおいては、基全体で炭素数3以上であればよい。これらの基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
【0083】
次に、末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のアルコキシまたは炭素数2以上のアルコキシアルキルを有することを条件に、フェニル、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、フェニルオキシ、フェニルカルボニル、フェニルカルボニルオキシ、フェニルオキシカルボニル、フェニルアミノカルボニル、フェニルシクロヘキシルオキシ、炭素数3以上のシクロアルキル、シクロヘキシルアルキル、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルフェニル、シクロヘキシルフェニルアルキル、シクロヘキシルフェニルオキシ、ビス(シクロヘキシル)オキシ、ビス(シクロヘキシル)アルキル、ビス(シクロヘキシル)フェニル、ビス(シクロヘキシル)フェニルアルキル、ビス(シクロヘキシル)オキシカルボニル、ビス(シクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル、およびシクロヘキシルビス(フェニル)オキシカルボニル等の環構造の基を挙げることができる。
【0084】
さらに、2個以上のベンゼン環を有する基、2個以上のシクロヘキサン環を有する基、またはベンゼン環およびシクロヘキサン環で構成される2環以上の基であって、結合基が独立して単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−もしくは炭素数1〜3のアルキレンであり、末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のフッ素置換アルキル、炭素数1以上のアルコキシ、または炭素数2以上のアルコキシアルキルを有する環集合基を挙げることができる。ステロイド骨格を有する基も側鎖基として有効である。
【0085】
側鎖を有するジアミンとしては、以下の式(DI−13)〜(DI−17)で表される化合物を挙げることができる。
【化77】

式(DI−13)において、G26は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CHm’−であり、m’は1〜12の整数である。G26の好ましい例は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、および炭素数1〜3のアルキレンであり、特に好ましい例は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−CH−および−CHCH−である。R25は炭素数3〜30のアルキル、フェニル、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI−13−a)で表される基である。このアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。このフェニルの−Hは、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF2、−OCF3、炭素数3〜30のアルキルまたは炭素数3〜30のアルコキシで置き換えられていてもよく、このシクロヘキシルの−Hは炭素数3〜30のアルキルまたは炭素数3〜30のアルコキシで置き換えられていてもよい。ベンゼン環に結合する−NHの結合位置はその環において任意の位置であることを示すが、その結合位置はメタまたはパラであることが好ましい。即ち、基「R25−G24−」の結合位置を1位としたとき、2つの結合位置は3位と5位、または2位と5位であることが好ましい。
【化78】

式(DI−13−a)において、G27、G28およびG29は結合基であり、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていてもよい。環B21、環B22、環B23および環B24は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイルまたはアントラセン−9,10−ジイルであり、環B21、環B22、環B23および環B24において、任意の−Hは−Fまたは−CHで置き換えられてもよく、s、tおよびuは独立して0〜2の整数であって、これらの合計は1〜5であり、s、tまたはuが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、そして、2つの環は同じであっても異なっていてもよい。R26は−F、−OH、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり、この炭素数1〜30のアルキルの任意の−CH−は下記式(DI−13−b)で表される2価の基で置き換えられていてもよい。
【化79】

式(DI−13−b)において、R27およびR28は独立して炭素数1〜3のアルキルであり、vは1〜6の整数である。R26の好ましい例は炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜30のアルコキシである。
【0086】
【化80】

式(DI−14)および式(DI−15)において、G30は独立して単結合、−CO−または−CH2−であり、R29は独立して−Hまたは−CHであり、R30は−H、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルである。式(DI−15)におけるベンゼン環の1つの−Hは、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよい。そして、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。式(DI−14)における2つの基「−フェニレン−G30−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方はステロイド核の6位に結合していることが好ましい。式(DI−15)における2つの基「−フェニレン−G30−O−」のベンゼン環への結合位置は、ステロイド核の結合位置に対して、それぞれメタ位またはパラ位であることが好ましい。式(DI−14)および式(DI−15)において、ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示す。
【0087】
【化81】

式(DI−16)および式(DI−17)において、G31は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、G32は単結合または炭素数1〜3のアルキレンである。R31は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルの任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。R32は炭素数6〜22のアルキルであり、R33は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルである。環B25は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、rは0または1である。そしてベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示すが、独立してG29の結合位置に対してメタ位またはパラ位であることが好ましい。
【0088】
側鎖型ジアミンの具体例を以下に例示する。
上記式(DI−13)〜(DI−17)の側鎖を有するジアミン化合物として、下記の式(DI−13−1)〜(DI−17−3)で表される化合物を挙げることができる。
【0089】
式(DI−13)で表される化合物の例を以下に示す。
【化82】

式(DI−13−1)〜(DI−13−11)において、R34は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであり、好ましくは炭素数5〜25のアルキルまたは炭素数5〜25のアルコキシである。R35は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜25のアルキルまたは炭素数3〜25のアルコキシである。
【0090】
【化83】

式(DI−13−12)〜(DI−13−17)において、R36は炭素数4〜30のアルキルであり、好ましくは炭素数6〜25のアルキルである。R37は炭素数6〜30のアルキルであり、好ましくは炭素数8〜25のアルキルである。
【0091】
【化84】


【化85】


【化86】


【化87】


【化88】

式(DI−13−18)〜(DI−13−43)において、R38は炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシである。R39は−H、−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであり、好ましくは炭素数3〜25のアルキル、または炭素数3〜25のアルコキシである。そしてG33は炭素数1〜20のアルキレンである。
【0092】
【化89】


【化90】


【化91】


【化92】

【0093】
式(DI−14)で表される化合物の例を以下に示す。
【化93】

【0094】
式(DI−15)で表される化合物の例を以下に示す。
【化94】


【化95】

【0095】
式(DI−16)で表される化合物の例を以下に示す。
【化96】


【化97】


【化98】


【化99】

式(DI−16−1)〜(DI−16−12)において、R40は−Hまたは炭素数1〜20のアルキル、好ましくは−Hまたは炭素数1〜10のアルキルであり、そしてR41は−Hまたは炭素数1〜12のアルキルである。
【0096】
式(DI−17)で表される化合物の例を以下に示す。
【化100】

式(DI−17−1)〜(DI−17−3)において、R37は炭素数6〜30のアルキルであり、R41は−Hまたは炭素数1〜12のアルキルである。
【0097】
本発明における他のジアミンとしては、前述した式(DI−1−1)〜(DI−17−3)で表されるジアミン以外のジアミンも用いることができる。このようなその他のジアミンとしては、例えば、式(DI−13−1)〜(DI−17−3)以外の側鎖構造を有するジアミンや感光性ジアミンが挙げられる。
【0098】
後述する感光性ジアミン以外のその他のジアミンとしては、例えば下記式(DI−18−1)〜(DI−18−8)で表される化合物が挙げられる。
【化101】

式(DI−18−1)〜(DI−18−8)中、R42はそれぞれ独立して炭素数3〜30のアルキル基を表す。
【0099】
本発明の液晶配向剤を用いる液晶表示素子が大きなプレチルト角を必要とする場合、特に2度以上のプレチルト角を発現させるためには、本発明の液晶配向剤に用いるポリアミック酸およびその誘導体の製造に際して、側鎖型ジアミンのジアミン総量に占める割合を5〜70モル%とすることが好ましく、10〜50モル%とすることがより好ましい。
【0100】
その他のジアミンは、本発明の液晶配向剤におけるポリアミック酸を構成するジアミンにおいて、本発明の効果が損なわれない程度の範囲で用いることができる。
【0101】
その他のジアミンは、各ジアミンにおいて、ジアミンに対するモノアミンの比率が40モル%以下の範囲で、ジアミンの一部がモノアミンに置き換えられていてもよい。このような置き換えは、ポリアミック酸を生成する際の重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の重合反応の進行を抑えることができる。このため、このような置き換えによって、得られる重合体(ポリアミック酸またはその誘導体)の分子量を容易に制御することができ、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノアミンに置き換えられるジアミンは、本発明の効果が損なわれなければ、一種でも二種以上でもよい。前記モノアミンとしては、例えばアニリン、4−ヒドロキシアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、およびn−エイコシルアミンが挙げられる。
【0102】
上記のジアミンの具体例のうち、液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、式(DI−5−1)、(DI−5−12)、(DI−5−14)、(DI−5−29)、(DI−6−1)〜(DI−6−5)、(DI−6−7)、(DI−7−1)、(DI−7−3)、(DI−7−5)、(DI−7−9)、(DI−11−1)、(DI−12−1)、(DI−13−1)〜(DI−13−11)、(DI−16−1)、(DI−16−2)、(DI−16−4)、(DI−16−5)、(DI−16−7)、(DI−16−8)、(DI−16−10)、および(DI−16−11)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−5−1)、(DI−5−29)、(DI−7−3)、(DI−11−1)、(DI−12−1)、および(DI−13−1)〜(DI−13−11)で表されるジアミンがさらに好ましい。また式(DI−5−1)においては、m=2、3、4、または6である化合物が特に好ましい。式(DI−5−29)においては、k=2である化合物が特に好ましい。式(DI−7−3)においては、m=3または6であり、n=1である化合物が特に好ましい。
【0103】
上記のジアミンの具体例のうち、高いVHRを液晶配向膜に付与することを重視する場合には、式(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−21)、(DI−5−29)、(DI−6−1)、(DI−7−1)、(DI−7−3)、(DI−7−5)、(DI−9−1)、(DI−11−1)、(DI−12−1)、(DI−13−1)〜(DI−13−11)、(DI−16−1)、(DI−16−2)、(DI−16−4)、(DI−16−5)、(DI−16−7)、および式(DI−16−11)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−21)、(DI−5−29)、(DI−7−3)、(DI−9−1)、および式(DI−13−1)〜(DI−13−6)で表されるジアミンがさらに好ましい。式(DI−5−1)においては、m=1である化合物が特に好ましい。式(DI−5−29)においては、k=2である化合物が特に好ましい。式(DI−7−3)においては、m=3であり、n=1である化合物が特に好ましい。
【0104】
上記のジアミンの具体例のうち、液晶配向膜の体積抵抗値をさらに低下させることを重視する場合には、式(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−9)〜(DI−5−11)、(DI−5−13)〜(DI−5−15)、(DI−5−21)、(DI−5−29)、(DI−6−3)〜(DI−6−5)、(DI−9−1)、(DI−11−1)、および(DI−12−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−9)〜(DI−5−11)、(DI−5−21)、(DI−5−29)、および(DI−9−1)で表されるジアミンがさらに好ましい。式(DI−5−1)においては、m=1である化合物が特に好ましく、式(DI−5−29)においては、k=2である化合物が特に好ましい。
【0105】
一方、ラビングに起因する配向不良や光漏れ等の不具合を低減させる目的、あるいは、VAモードにおいて液晶の応答速度を向上させる目的で、配向膜にプレチルト角を付与するために、近年光配向膜が実用されるようになった。本発明の式(1)で表されるジアミンは、このような光配向膜用途においても残像特性を改善させるため、好適に用いる事ができる。本発明の式(1)で表されるジアミンは、通常感光性の官能基を有さないため、感光性ジアミンとの混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得たポリアミド酸またはその誘導体が使用される。この感光性ジアミンは公知の化合物から制限されることなく選択することができる。
【0106】
感光性ジアミンについて説明する。
感光性ジアミンとしては、以下の式(DI−19−1)〜(DI−19−8)のジアミン化合物を挙げることができる。
【化102】

式(DI−19−8)において、R43は炭素数1〜6のアルキレンまたはアルコキシであり、アルキレンまたはアルコキシの任意の−Hは−CFで置き換えられていてもよい。
【0107】
上記のように本発明の式(1)で表されるジアミンと感光性ジアミンを併用する態様においては、配向膜の光に対する感度の低下を防ぐために、式(1)で表されるジアミン/感光性ジアミンの比において、5/95(モル%)〜70/30(モル%)である事が好ましく、5/95(モル%)〜50/50(モル%)がさらに好適である。また、電気特性、残像特性等、前述した諸般の特性を改善するために、式(1)で表される本発明ジアミンおよび感光性ジアミン以外の、前記の非感光性ジアミンをさらに併用してもよい。この場合、式(1)で表されるジアミン/非感光性ジアミンの比において、50/50(モル%)〜90/10(モル%)であることが好ましく、合わせて、光に対する感度の低下を防ぐために、式(1)で表されるジアミンおよび非感光性ジアミンの合計/感光性ジアミンの比において、10/90(モル%)〜50/50(モル%)の範囲とする事が好ましい。
【0108】
また、式(1)で表される本発明ジアミンのGおよびGの任意の部位に感光性を有する官能基を導入して感光性を持たせることによって、感光性ジアミンとして光配向膜用途に好適に用いる事もできる。
【0109】
本発明の液晶配向剤に用いるポリアミック酸は、上記の酸無水物の混合物とジアミンを溶剤中で反応させることによって得られる。この合成反応においては、原料の選択以外に特別な条件は必要でなく、通常のポリアミック酸合成における条件をそのまま適用することができる。使用する溶剤については後述する。
【0110】
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸またはその誘導体以外の他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分は、1種であっても2種以上であってもよい。
【0111】
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる目的から、アルケニル置換ナジイミド化合物をさらに含有していてもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して1〜100重量%であることが好ましく、1〜70重量%であることがより好ましく、1〜50重量%であることがさらに好ましい。
【0112】
以下にナジイミド化合物について具体的に説明する。
アルケニル置換ナジイミド化合物は、本発明で用いられるポリアミック酸またはその誘導体を溶解する溶剤に溶解させることができる化合物であることが好ましい。このようなアルケニル置換ナジイミド化合物の例は、下記の式(NA)で表される化合物が挙げられる。
【化103】

式(NA)において、LおよびLは独立して−H、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、アリールまたはベンジルであり、nは1または2である。
【0113】
式(NA)において、n=1のとき、Wは炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−Z−(O)−(ZO)−Z−H(ここで、Z、ZおよびZは独立して炭素数2〜6のアルキレンであり、rは0または1であり、そして、kは1〜30の整数である。)で表される基、−(Z−B−Z−H(ここで、ZおよびZは独立して炭素数1〜4のアルキレンまたは炭素数5〜8のシクロアルキレンであり、Bはフェニレンであり、そして、rは0または1である。)で表される基、−B−T−B−H(ここで、Bはフェニレンであり、そして、Tは−CH−、−C(CH−、−O−、−CO−、−S−、または−SO−である。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の−Hが−OHで置換された基である。
【0114】
このとき、好ましいWは、炭素数1〜8のアルキル、炭素数3〜4のアルケニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、炭素数4〜10のポリ(エチレンオキシ)エチル、フェニルオキシフェニル、フェニルメチルフェニル、フェニルイソプロピリデンフェニル、およびこれらの基の1個または2個の−Hが−OHで置き換えられた基である。
【0115】
式(NA)において、n=2のとき、Wは炭素数2〜20のアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−Z−O−(ZO)−Z−(ここで、Z〜Z、およびkの意味は前記の通りである。)で表される基、−Z−B−Z−(ここで、Z、ZおよびBの意味は前記の通りである。)で表される基、−B−(O−B)−T−(B−O)−B−(ここで、Bはフェニレンであり、Tは炭素数1〜3のアルキレン、−O−または−SO−であり、rの意味は前記の通りである。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の−Hが−OHで置き換えられた基である。
【0116】
このとき、好ましいWは炭素数2〜12のアルキレン、シクロヘキシレン、フェニレン、トリレン、キシリレン、−C−O−(Z−O)−O−C−(ここで、Zは炭素数2〜6のアルキレンであり、nは1または2である。)で表される基、−B−T−B−(ここで、Bはフェニレンであり、そして、Tは−CH−、−O−または−SO−である。)で表される基、−B−O−B−C−B−O−B−(ここで、Bはフェニレンである。)で表される基、およびこれらの基の1個または2個の−Hが−OHで置き換えられた基である。
【0117】
このようなアルケニル置換ナジイミド化合物は、例えば特許第2729565号公報に記載されているように、アルケニル置換ナジック酸無水物誘導体とジアミンとを80〜220℃の温度で0.5〜20時間保持することにより合成して得られる化合物や市販されている化合物を用いることができる。アルケニル置換ナジイミド化合物の具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。
【0118】
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0119】
N−(2−エチルヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0120】
N−フェニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0121】
N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシ−1−プロペニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0122】
N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0123】
N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマー、
【0124】
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0125】
1,2−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、ビス〔2’−{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、ビス〔2’−{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、1,4−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、1,4−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
【0126】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0127】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
【0128】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
【0129】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、1,6−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3−ヒドロキシ−ヘキサン、1,12−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3,6−ジヒドロキシ−ドデカン、1,3−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−シクロヘキサン、1,5−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}−3−ヒドロキシ−ペンタン、1,4−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−ベンゼン、
【0130】
1,4−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2,5−ジヒドロキシ−ベンゼン、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルメチルシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2,3−ジヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0131】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェニル}メタン、ビス{3−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−4−ヒドロキシ−フェニル}エーテル、ビス{3−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−フェニル}スルホン、1,1,1−トリ{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)}フェノキシメチルプロパン、N,N’,N”−トリ(エチレンメタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)イソシアヌレート、およびこれらのオリゴマー等。
【0132】
さらに、本発明に用いられるアルケニル置換ナジイミド化合物は、非対称なアルキレン・フェニレン基を含む下記の式で表される化合物でもよい。
【化104】

【0133】
アルケニル置換ナジイミド化合物のうち、好ましい化合物を以下に示す。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0134】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン。
【0135】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン。
【0136】
更に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物を以下に示す。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)。
【0137】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)。
【0138】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン。
【0139】
そして、特に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物としては、下記式(NA−1)で表されるビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、式(NA−2)で表されるN,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、および式(NA−3)で表されるN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)が挙げられる。
【化105】

【0140】
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる目的から、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物をさらに含有していてもよい。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は一種の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であってもよい。なお、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物にはアルケニル置換ナジイミド化合物は含まれない。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体にして0.01〜1.00であることが好ましく、0.01〜0.70であることがより好ましく、0.01〜0.50であることがさらに好ましい。
【0141】
なお、アルケニル置換ナジイミド化合物に対するラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の比率は、液晶表示素子のイオン密度を低減し、イオン密度の経時的な増加を抑制し、さらに残像の発生を抑制するために、重量比で0.1〜10であることが好ましく、0.5〜5であることがより好ましい。
【0142】
以下にラジカル重合性不飽和二重結合有する化合物について具体的に説明する。
ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等の(メタ)アクリル酸誘導体、およびビスマレイミドが挙げられる。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は、ラジカル重合性不飽和二重結合を2つ以上有する(メタ)アクリル酸誘導体であることがより好ましい。
【0143】
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、および(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0144】
2官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えばエチレンビスアクリレート、東亜合成化学工業(株)の製品であるアロニックスM−210、アロニックスM−240およびアロニックスM−6200、日本化薬(株)の製品であるKAYARAD HDDA、KAYARAD HX−220、KAYARAD R−604およびKAYARAD R−684、大阪有機化学工業(株)の製品であるV260、V312およびV335HP、並びに共栄社油脂化学工業(株)の製品であるライトアクリレートBA−4EA、ライトアクリレートBP−4PAおよびライトアクリレートBP−2PAが挙げられる。
【0145】
3官能以上の多官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば4,4’−メチレンビス(N,N−ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)、東亜合成化学工業(株)の製品であるアロニックスM−400、アロニックスM−405、アロニックスM−450、アロニックスM−7100、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060、日本化薬(株)の製品であるKAYARAD TMPTA、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、および大阪有機化学工業(株)の製品であるVGPTが挙げられる。
【0146】
(メタ)アクリル酸アミド誘導体の具体例としては、例えばN−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリディン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−(iso−ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)−2−メタクリルアミド、N−ベンジル−2−メタクリルアミド、およびN,N’−メチレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
【0147】
上記の(メタ)アクリル酸誘導体のうち、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレン−ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N−ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)が特に好ましい。
【0148】
ビスマレイミドとしては、例えばケイ・アイ化成(株)製のBMI−70およびBMI−80、並びに大和化成工業(株)製のBMI−1000、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5000およびBMI−7000が挙げられる。
【0149】
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、オキサジン化合物をさらに含有していてもよい。オキサジン化合物は一種の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であってもよい。オキサジン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0150】
以下にオキサジン化合物について具体的に説明する。
オキサジン化合物は、ポリアミック酸またはその誘導体を溶解させる溶媒に可溶であり、加えて、開環重合性を有するオキサジン化合物が好ましい。
【0151】
またオキサジン化合物におけるオキサジン構造の数は、特に限定されない。
【0152】
オキサジンの構造には種々の構造が知られている。本発明では、オキサジンの構造は特に限定されないが、オキサジン化合物におけるオキサジン構造には、ベンゾオキサジンやナフトオキサジン等の、縮合多環芳香族基を含む芳香族基を有するオキサジンの構造が挙げられる。
【0153】
オキサジン化合物としては、例えば下記式(OX−1)〜(OX−6)に示す化合物が挙げられる。なお下記式において、環の中心に向けて表示されている結合は、環を構成しかつ置換基の結合が可能ないずれかの炭素に結合していることを示す。
【化106】

式(OX−1)〜(OX−3)において、LおよびLは炭素数1〜30の有機基であり、式(OX−1)〜(OX−6)において、L〜Lは−Hまたは炭素数1〜6の炭化水素基であり、式(OX−3)、式(OX−4)および式(OX−6)において、Qは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、−S−(CH−S−であり、ここでvは1〜6の整数であり、式(OX−5)および式(OX−6)において、Qは独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−または炭素数1〜3のアルキレンであり、Qにおけるベンゼン環、ナフタレン環に結合している水素は独立して−F、−CH、−OH、−COOH、−SOH、−POと置き換えられていてもよい。
【0154】
また、オキサジン化合物には、オキサジン構造を側鎖に有するオリゴマーやポリマー、オキサジン構造を主鎖中に有するオリゴマーやポリマーが含まれる。
【0155】
式(OX−1)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化107】

【0156】
式(OX−1−2)において、Lは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0157】
式(OX−2)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化108】


【化109】

【0158】
式中、Lは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0159】
式(OX−3)で表されるオキサジン化合物としては、下記式(OX−3−I)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
【化110】

式(OX−3−I)において、LおよびLは炭素数1〜30の有機基であり、LからLは−Hまたは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Qは単結合、−CH2−、−C(CH−、−CO−、−O−、−SO−またはC(CF−である。式(OX−3−I)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【0160】
【化111】


【化112】


【化113】


【化114】

式中、Lは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0161】
式(OX−4)で表されるオキサジン化合物しては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化115】


【化116】

【0162】
式(OX−5)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化117】

【0163】
式(OX−6)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化118】


【化119】


【化120】

【0164】
これらのうち、より好ましくは、式(OX−2−1)、(OX−3−1)、(OX−3−3)、(OX−3−5)、(OX−3−7)、(OX−3−9)、(OX−4−1)〜(OX−4−6)、(OX−5−3)、(OX−5−4)、および(OX−6−2)〜(OX−6−4)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
【0165】
オキサジン化合物は、国際公開2004/009708号パンフレット、特開平11−12258号公報、特開2004−352670号公報に記載の方法と同様の方法で製造することができる。
【0166】
式(OX−1)で表されるオキサジン化合物は、フェノール化合物と1級アミンとアルデヒドとを反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照。)。
【0167】
式(OX−2)で表されるオキサジン化合物は、1級アミンをホルムアルデヒドへ徐々に加える方法により反応させたのち、ナフトール系水酸基を有する化合物を加えて反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照。)。
【0168】
式(OX−3)で表されるオキサジン化合物は、有機溶媒中でフェノール化合物1モル、そのフェノール性水酸基1個に対し少なくとも2モル以上のアルデヒド、および1モルの一級アミンを、2級脂肪族アミン、3級脂肪族アミンまたは塩基性含窒素複素環化合物の存在下で反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレットおよび特開平11−12258号公報参照。)。
【0169】
式(OX−4)〜(OX−6)で表されるオキサジン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の、複数のベンゼン環とそれらを結合する有機基とを有するジアミン、ホルマリン等のアルデヒド、およびフェノールを、n−ブタノール中、90℃以上の温度で脱水縮合反応させることにより得られる(特開2004−352670号公報参照。)。
【0170】
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、オキサゾリン化合物をさらに含有していてもよい。オキサゾリン化合物はオキサゾリン構造を有する化合物である。オキサゾリン化合物は一種の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であってもよい。オキサゾリン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることが好ましい。または、オキサゾリン化合物の含有量は、オキサゾリン化合物中のオキサゾリン構造をオキサゾリンに換算したときに、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜40重量%であることが、上記の目的から好ましい。
【0171】
以下にオキサゾリン化合物について具体的に説明する。
オキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1種だけ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。またオキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1個有していればよいが、2個以上有することが好ましい。またオキサゾリン化合物は、オキサゾリン環構造を側鎖に有する重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する共重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーの共重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。
【0172】
オキサゾリン構造は、オキサゾリン構造中の酸素および窒素の一方または両方とポリアミック酸のカルボニル基とが反応し得るようにオキサゾリン化合物中に存在する構造であることが好ましい。
【0173】
オキサゾリン化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリニル−2)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、および2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)が挙げられる。これらの他、エポクロス(商品名、(株)日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも挙げられる。これらのうち、より好ましくは、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンが挙げられる。
【0174】
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、エポキシ化合物をさらに含有していてもよい。エポキシ化合物は一種の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であってもよい。エポキシ化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0175】
以下にエポキシ化合物について具体的に説明する。
エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ環を1つまたは2つ以上有する種々の化合物が挙げられる。分子内にエポキシ環を1つ有する化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、および3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパンが挙げられる。
【0176】
分子内にエポキシ環を2つ有する化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートおよび3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0177】
分子内にエポキシ環を3つ有する化合物としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(商品名「テクモアVG3101L」、(三井化学(株)製))が挙げられる。
【0178】
分子内にエポキシ環を4つ有する化合物としては、例えば1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、および3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0179】
上記の他、分子内にエポキシ環を有する化合物の例として、エポキシ環を有するオリゴマーや重合体も挙げられる。エポキシ環を有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0180】
エポキシ環を有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0181】
エポキシ環を有するモノマーの重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート等が挙げられる。また、エポキシ環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0182】
これら例の中でも、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0183】
より体系的には、エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、エポキシ基含有アクリル系樹脂、グリシジルアミド、グリシジルイソシアヌレート、鎖状脂肪族型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物が挙げられる。なお、エポキシ化合物はエポキシ基を有する化合物を意味し、エポキシ樹脂はエポキシ基を有する樹脂を意味する。
【0184】
エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、エポキシ基含有アクリル系樹脂、グリシジルアミド、グリシジルイソシアヌレート、鎖状脂肪族型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物が挙げられる。
【0185】
グリシジルエーテルとしては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−S型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物、脂環式ジグリシジルエーテル化合物、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物、ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物、およびビフェノール型エポキシ化合物が挙げられる。
【0186】
グリシジルエステルとしては、例えばジグリシジルエステル化合物およびグリシジルエステルエポキシ化合物が挙げられる。
【0187】
グリシジルアミンとしては、例えばポリグリシジルアミン化合物およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0188】
エポキシ基含有アクリル系化合物としては、例えばオキシラニルを有するモノマーの単独重合体および共重合体が挙げられる。
【0189】
グリシジルアミドとしては、例えばグリシジルアミド型エポキシ化合物が挙げられる。
【0190】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0191】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばシクロアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0192】
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えば828、1001、1002、1003、1004、1007、1010(いずれも三菱化学(株)製)、エポトートYD−128(東都化成(株)製)、DER−331、DER−332、DER−324(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050(いずれもDIC(株)製)、エポミックR−140、エポミックR−301、およびエポミックR−304(いずれも三井化学(社)製)が挙げられる。
【0193】
ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、例えば806、807、4004P(いずれも三菱化学(株)製)、エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001(いずれも東都化成(株)製)、DER−354(ダウ・ケミカル社製)、エピクロン830、およびエピクロン835(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0194】
ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0195】
水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えばサントートST−3000(東都化成(株)製)、リカレジンHBE−100(新日本理化(株)製)、およびデナコールEX−252(ナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0196】
水素化ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば水素化2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0197】
臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えば5050、5051(いずれも三菱化学(株)製)、エポトートYDB−360、エポトートYDB−400(いずれも東都化成(株)製)、DER−530、DER−538(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロン152、およびエピクロン153(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0198】
フェノールノボラック型エポキシ化合物としては、例えば152、154(いずれも三菱化学(株)製)、YDPN−638(東都化成社製)、DEN431、DEN438(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロンN−770(DIC(株)製)、EPPN−201、およびEPPN−202(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0199】
クレゾールノボラック型エポキシ化合物としては、例えば180S75(三菱化学(株)製)、YDCN−701、YDCN−702(いずれも東都化成社製)、エピクロンN−665、エピクロンN−695(いずれもDIC(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1025、およびEOCN−1027(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0200】
ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物としては、例えば157S70(三菱化学(株)(株)製)、およびエピクロンN−880(DIC(株)製)が挙げられる。
【0201】
ナフタレン骨格含有エポキシ化合物としては、例えばエピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4770(いずれもDIC(株)製)、およびNC−7000(日本化薬社製)が挙げられる。
【0202】
芳香族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばハイドロキノンジグリシジルエーテル(下記式EP−1)、カテコールジグリシジルエーテル(下記式EP−2)レゾルシノールジグリシジルエーテル(下記式EP−3)、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(下記式EP−4)、トリス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン(下記式EP−5)、1031S、1032H60(いずれも三菱化学(株)製)、TACTIX−742(The Dow Chemical Company製)、デナコールEX−201(ナガセケムテックス(株)製)、DPPN−503、DPPN−502H、DPPN−501H、NC6000(いずれも日本化薬(株)製)、テクモアVG3101L(三井化学(株)製)、下記式EP−6で表される化合物、および下記式EP−7で表される化合物が挙げられる。
【化121】


【化122】

【0203】
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物としては、例えばTACTIX−556(The Dow Chemical Company製)、およびエピクロンHP−7200(DIC(株)製)が挙げられる。
【0204】
脂環式ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル化合物、およびリカレジンDME−100(新日本理化(株)製)が挙げられる。
【0205】
脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−8)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−9)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−10)、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−11)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−12)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(下記式EP−13)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(下記式EP−14)、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−15)、デナコールEX−810、デナコールEX−851、デナコールEX−8301、デナコールEX−911、デナコールEX−920、デナコールEX−931、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313(いずれもナガセケムテックス(株)製)、DD−503((株)ADEKA製)、リカレジンW−100(新日本理化(株)製)、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール(下記式EP−16)、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、デナコールEX−313、デナコールEX−611、デナコールEX−321、およびデナコールEX−411(いずれもナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【化123】


【化124】

【0206】
ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばFLDP−50、およびFLDP−60(いずれも東レチオコール(株)製)が挙げられる。
【0207】
ビフェノール型エポキシ化合物としては、例えばYX−4000、YL−6121H(いずれも三菱化学(株)製)、NC−3000P、およびNC−3000S(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0208】
ジグリシジルエステル化合物としては、例えばジグリシジルテレフタレート(下記式EP−17)、ジグリシジルフタレート(下記式EP−18)、ビス(2−メチルオキシラニルメチル)フタレート(下記式EP−19)、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート(下記式EP−20)、下記式EP−21で表される化合物、下記式EP−22で表される化合物、および下記式EP−23で表される化合物が挙げられる。
【化125】

【0209】
グリシジルエステルエポキシ化合物としては、例えば871、872(いずれも三菱化学(株)製)、エピクロン200、エピクロン400(いずれもDIC(株)製)、デナコールEX−711、およびデナコールEX−721(いずれもナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0210】
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えばN,N−ジグリシジルアニリン(下記式EP−24)、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン(下記式EP−25)、N,N−ジグリシジル−m−トルイジン(下記式EP−26)、N,N−ジグリシジル−2,4,6−トリブロモアニリン(下記式EP−27)、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン(下記式EP−28)、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール(下記式EP−29)、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール(下記式EP−30)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(下記式EP−31)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)、下記式EP−32)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(TETRAD−C(三菱ガス化学(株)製)、下記式EP−33)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(下記式EP−34)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式EP−35)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式EP−36)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式EP−37)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式EP−38)、2,6−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(下記式EP−39)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(下記式EP−40)、2,2’−ジメチル−(N,N,N’,N’−テトラグリシジル)−4,4’−ジアミノビフェニル(下記式EP−41)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(下記式EP−42)、1,3,5−トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェノキシ)ベンゼン(下記式EP−43)、2,4,4’−トリス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式EP−44)、トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェニル)メタン(下記式EP−45)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ビフェニル(下記式EP−46)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式EP−47)、下記式EP−48で表される化合物、および下記式EP−49で表される化合物が挙げられる。
【化126】


【化127】


【化128】


【化129】

【0211】
オキシラニルを有するモノマーの単独重合体としては、例えばポリグリシジルメタクリレートが挙げられる。オキシラニルを有するモノマーの共重合体としては、例えばN−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0212】
オキシラニルを有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0213】
オキシラニルを有するモノマーの共重合体におけるオキシラニルを有するモノマー以外の他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0214】
グリシジルイソシアヌレートとしては、例えば1,3,5−トリグリシジル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式EP−50)、1,3−ジグリシジル−5−アリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式EP−51)、およびグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂が挙げられる。
【化130】

【0215】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばエポキシ化ポリブタジエン、およびエポリードPB3600(ダイセル化学工業(株)製)が挙げられる。
【0216】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021(ダイセル化学工業(株)製)、下記式EP−52)、2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−2’−メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(下記式EP−53)、2,3−エポキシシクロペンタン−2’,3’−エポキシシクロペンタンエーテル(下記式EP−54)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン(セロキサイド3000(ダイセル化学工業(株)製)、下記式EP−55)、下記式EP−56で表される化合物、CY−175、CY−177、CY−179(いずれもThe Ciba-Geigy Chemical Corp.製(ハンツマン・ジャパン(株)から入手できる。))、EHPD−3150(ダイセル化学工業(株)製)、および環状脂肪族型エポキシ樹脂が挙げられる。
【化131】

【0217】
エポキシ化合物は、ポリグリシジルアミン化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物の一以上であることが好ましく、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、およびクレゾールノボラック型エポキシ化合物の一以上であることが好ましい。
【0218】
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性や配向性を制御する目的から、ポリアミック酸およびその誘導体以外のポリマーをさらに含有していてもよい。該ポリマーとしては、有機溶剤に可溶であるポリマーが挙げられる。該ポリマーは一種で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。該ポリマーの含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.01〜100重量%であることが好ましく、0.1〜70重量%であることがより好ましく、0.1〜50重量%であることがさらに好ましい。該ポリマーとしては、例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコーン変性ポリウレタン、シリコーン変性ポリエステル、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピレングリコールジアクリレートおよびポリオキシプロピレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
【0219】
例えば、本発明の液晶配向剤は低分子化合物をさらに含有していてもよい。低分子化合物としては、例えば1)塗布性の向上を望むときにはこの目的に沿った界面活性剤、2)帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤、3)基板との密着性や耐ラビング性の向上を望むときにはシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤、また、4)低温でイミド化を進行させる場合はイミド化触媒が挙げられる。低分子化合物の含有量は、上記の観点から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、0.1〜40重量%であることがより好ましく、0.1〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0220】
シランカップリング剤には、エポキシ化合物の例として挙げたエポキシ基を含有するシラン化合物も含まれる。基板との密着性や耐ラビング性の向上に加え、電気特性を長期に安定させる目的で、エポキシ基を含有するシランカップリング剤を本発明の液晶配向剤に添加してもよい。
【0221】
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、およびN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンが挙げられ、エポキシ基を含有するシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
【0222】
好ましいシランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
【0223】
イミド化触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、メチル置換アニリン、ヒドロキシ置換アニリン等の芳香族アミン類;ピリジン、メチル置換ピリジン、ヒドロキシ置換ピリジン、キノリン、メチル置換キノリン、ヒドロキシ置換キノリン、イソキノリン、メチル置換イソキノリン、ヒドロキシ置換イソキノリン、イミダゾール、メチル置換イミダゾール、ヒドロキシ置換イミダゾール等の環式アミン類が挙げられる。イミド化触媒は、N,N−ジメチルアニリン、o−ヒドロキシアニリン、m−ヒドロキシアニリン、p−ヒドロキシアニリン、o−ヒドロキシピリジン,m−ヒドロキシピリジン、p−ヒドロキシピリジン、およびイソキノリンから選ばれる一種または二種以上であることが好ましい。
【0224】
本発明の液晶配向剤には、式(1)で表されるジアミンを原料としたポリアミック酸およびその誘導体の少なくとも1つを用いることが好ましいが、さらに式(1)で表される本発明ジアミンを原料としないその他のポリアミック酸またはその誘導体を混合して用いてもよい。その他のポリアミック酸またはその誘導体を組み合わせる場合の混合割合は、ポリマー全量を基準として本発明のポリアミック酸またはその誘導体が10〜95重量%、その他のポリアミック酸またはその誘導体が5〜90重量%であり、本発明のポリアミック酸またはその誘導体の割合が少なくても十分な効果を得ることができる。本発明の液晶配向剤では、酸無水物とジアミンとの反応により得られるポリアミック酸またはその誘導体以外のポリマー、例えばポリエステルやエポキシ樹脂などを併用することができる。しかしながら、このようなその他のポリマーを併用するときのその割合は、ポリマーの全重量を基準として30重量%以下であることが好ましい。
【0225】
本発明の配向剤は、ポリアミック酸を溶剤に溶解した溶液である。この溶剤は公知のポリアミック酸の製造や使用において用いられている溶剤から、使用目的に応じて適宜選択することができる。これらの溶剤を例示すれば以下のとおりである。
【0226】
非プロトン性極性有機溶剤の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド(DMAc)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)等のラクトンが挙げられる。
【0227】
上記以外の溶剤であって、塗布性改善等を目的とした溶剤の好ましい例としては、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノアルキルエーテル(例:エチレングリコールモノブチルエーテル(BCS))、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:プロピレングリコールモノブチルエーテル)、マロン酸ジアルキル(例:マロン酸ジエチル)、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、およびこれらグリコールモノエーテル類のエステル化合物が挙げられる。これらの内、NMP、ジメチルイミダゾリジノン、GBL、BCS、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0228】
本発明の配向剤中のポリマーの濃度は、0.1〜40重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。この配向剤を基板に塗布するに当たって膜厚の調整が必要とされる場合には、予め溶剤により希釈して含有ポリマーの濃度を調整することができる。
【0229】
本発明の液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、ポリアミック酸またはその誘導体の濃度、使用するポリアミック酸またはその誘導体の種類、溶剤の種類と割合によって好ましい範囲が異なる。例えば、印刷機による塗布の場合は5〜100mPa・s(より好ましくは10〜80mPa・s)である。5mPa・sより小さいと十分な膜厚を得ることが難しくなり、100mPa・sを超えると印刷ムラが大きくなることがある。スピンコートによる塗布の場合は5〜200mPa・s(より好ましくは10〜100mPa・s)が適している。インクジェット塗布装置を用いて塗布する場合は5〜50mPa・s(より好ましくは5〜20mPa・s)が適している。液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
【0230】
本発明の液晶配向膜の形成方法について説明する。
通常液晶配向膜は、基板に液晶配向剤を塗布する工程、これを加熱して焼成する工程および必要に応じて、前記焼成工程で得られる膜をラビング処理または光配向処理を経て、作製することができる。これらの工程のうち、本発明の液晶配向膜の形成方法は加熱して焼成する工程に特徴を有する。
【0231】
前記基板には、ITO(Indium TinOxide)電極などの電極やカラーフィルターなどが設けられていてもよいガラス基板が挙げられる。また液晶配向剤を塗布する方法としては、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。
【0232】
上記加熱して焼成する工程について、詳細に説明する。
前記塗膜の焼成は、ポリアミック酸またはその誘導体が脱水・閉環反応を呈するのに必要な条件で行うことができる。前記塗膜の焼成は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法などが知られている。ポリイミド膜は300℃以上に加熱すると、ポリマーそのものの分解が起こる場合が多い。一般に150〜300℃程度の温度で1分間〜3時間行うのが好ましく、180〜280℃が特に好ましく、200〜250℃がさらに好ましい。
【0233】
本発明の液晶配向膜の形成方法は、本発明の液晶配向剤を上記のような方法を用いて塗布した後、加熱して焼成することにより、熱により脱離可能な官能基が脱離し、低い体積抵抗値や高い液晶配向性などの所望の特性を発現する液晶配向膜を形成することができるという特徴を有する。
【0234】
従って上述通り、本発明の式(1)で表されるジアミンにおいて、上記焼成温度で脱離可能な官能基は、熱分解性のカルバメート基が好ましく、コストや安全性の面からBoc基である事が特に好適である。
【0235】
本発明の液晶配向膜の形成方法において、液晶を水平および/または垂直方向に対して一方向に配向させるために、配向膜へ異方性を付与する手段として、ラビング法または光配向法が好適に用いることができる。特に最近注目されるようになった光配向法においては、前記ポリアミック酸またはその誘導体の配向には直線偏光または無偏光が用いられる。これらの光は、前記液晶配向膜中のポリアミック酸またはその誘導体を配向させることができる光であれば特に限定されない。本発明のポリアミック酸またはその誘導体は低エネルギーの光照射によって膜を配向することができる。そこで前記ポリアミック酸またはその誘導体の光配向処理における直線偏光の照射量は0.5〜10J/cm2であることが好ましい。また直線偏光の波長は250〜400nmであることが好ましい。直線偏光の膜表面に対する照射角度は特に限定されないが、液晶に対する強い配向規制力を発現させたい場合、膜表面に対してなるべく垂直であることが配向処理時間短縮の観点から好ましい。
【0236】
また本発明の液晶配向膜の形成方法において、プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射される光は、偏光であっても無偏光であってもよい。プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射される光の照射量は0.5〜10J/cm2であることが好ましく、その波長は250〜400nmであることが好ましい。プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射される光の前記膜表面に対する照射角度は特に限定されないが、30〜60度であることが配向処理時間短縮の観点から好ましい。
【0237】
本発明の液晶表示素子について説明する。
本発明の液晶表示素子は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された本発明の液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層とを有する液晶表示素子である。
【0238】
前記電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。また電極は、基板の一方の面の全面に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所望の形状に形成されていてもよい。電極の前記所望の形状には、例えば櫛型またはジグザグ構造等が挙げられる。電極は、一対の基板のうちの一方の基板に形成されていてもよいし、両方の基板に形成されていてもよい。電極の形成の形態は液晶表示素子の種類に応じて異なり、例えばIPS型液晶表示素子の場合は前記一対の基板の一方に電極が配置され、その他の液晶表示素子の場合は前記一対の基板の双方に電極が配置される。前記基板または電極の上に前記液晶配向膜が形成される。
【0239】
前記液晶層は、液晶配向膜が形成された面が対向している前記一対の基板によって液晶組成物が挟持される形で形成される。液晶層の形成では、微粒子や樹脂シート等の、前記一対の基板の間に介在して適当な間隔を形成するスペーサを必要に応じて用いることができる。前記液晶組成物には、特に限定されず公知の液晶組成物を用いることができる。
【0240】
本発明の配向膜は、液晶配向膜として液晶表示素子を形成したときに、公知の全ての液晶組成物に対してその特性を改善できる。前記の方法によって製造された本発明の配向膜は、特に残像特性が要求される大画面ディスプレイに対して効果が大きい。このような大画面ディスプレイはTFTにより駆動制御されている。またこのようなTFT型液晶表示素子に使用される液晶組成物は、特許第3086228号公報、特許2635435号公報、特表平5−501735号公報、および特開平9−255956号公報に記載されている。従って、本発明の配向膜は、これらに記載された液晶組成物と組み合わせて用いるのが好ましい。
【0241】
本発明の液晶表示素子は、液晶表示素子の信頼性に係る電気特性においても優れている。このような電気特性としては、電圧保持率およびイオン密度が挙げられる。電圧保持率(VHR)は、フレーム周期間に液晶表示素子に印加された電圧が液晶表示素子に保持される割合であり、液晶表示素子の表示特性を示す。本発明の液晶表示素子は、5Vおよび周波数30Hzの矩形波を用い、60℃の温度条件で測定される電圧保持率が97.0%以上であり、5Vおよび周波数0.3Hzの矩形波を用い、60℃の温度の条件で測定される電圧保持率が85.0%以上であることが、表示不良を防ぐ観点から好ましい。
【0242】
イオン密度は、液晶表示素子に電圧を掛けたときに生ずる液晶の駆動に起因する以外の過渡電流であり、液晶表示素子中の液晶に含まれるイオン性不純物の濃度の大小を示す。本発明の液晶表示素子は、イオン密度が300pC以下であることが、液晶表示素子の焼き付きを防ぐ観点から好ましい。
【実施例】
【0243】
本発明を実施例および比較例により説明する。
実施例における液晶表示素子の評価法は次の通りである。
<プレチルト角測定>
クリスタルローテーション法に準拠し測定した。
<電圧保持率>
「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集 p78(1988)」に記載の方法で行った。測定は、波高±5Vの矩形波をセルに印加して行った。測定は60℃で行った。この値は、印加した電圧がフレーム周期後どの程度保持されているかを示す指標であり、この値が100%ならば全ての電荷が保持されていることを示す。
<液晶中のイオン量測定(イオン密度)>
応用物理、第65巻、第10号、1065(1996)に記載の方法に従い、東陽テクニカ社製、液晶物性測定システム6254型を用いて測定した。周波数0.01Hzの三角波を用い、±10Vの電圧範囲、温度60℃で測定した(電極の面積は1cm)。イオン密度が大きいとイオン性不純物による焼き付き等の不具合が発生しやすい。即ち、イオン密度は焼き付き発生を予測する指標となる物性値である。
<重量平均分子量(Mw)>
液晶配向剤におけるポリアミック酸の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC、Shodex社製、GF7MHQ)を用いて、溶出液として0.6重量%リン酸含有DMFを用い、カラム温度50℃、東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを標準溶液として測定した。
<粘度>
粘度計(東機産業社製、TV−22)を用いて、25℃で測定した。
<光配向膜の露光>
光照射はウシオ製500W高圧水銀灯(ランプ;USH-500BY1)を用い、バンドパスフィルターを用いて、波長300〜380nm付近の紫外線を照射した。照射は室温、空気中で行った。
<配向膜のリタデーションおよび膜厚測定>
分光エリプソメータM−2000U(J.A.Woollam Co. Inc.製)を使用して求めた。本実施例の場合、膜のリタデーション値はポリマー主鎖の配向度に比例して大きくなる。すなわち大きなリタデーション値を持つものは、大きな配向度を持つ。
【0244】
実施例および比較例で用いるテトラカルボン酸二無水物、ジアミンおよび溶剤の名称を略号で示す。以降の記述にはこの略号を使用することがある。
【0245】
<テトラカルボン酸二無水物>
PMDA: ピロメリット酸二無水物
EDTA: エチレンジアミン四酢酸二無水物
CBDA: 1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
NTDA: 2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
BDA: ブタンテトラカルボン酸二無水物
H−PMDA: 1,2,4,5−シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物
TCDA: 2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
OHPDA: ビシクロ[2.2.1]ヘプタンテトラカルボン酸二無水物
BS8: 1,8−ビス(3,4−無水フタロイル)オクタン
【0246】
<ジアミン>
DD2: 4,4’−ジアミノジフェニルエタン
DDM: 4,4’−ジアミノジフェニルメタン
DD4: 4,4’−ジアミノジフェニルブタン
DDE: 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
NDAMe: N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン
DADPA: 4,4’−ジアミノジフェニルアミン
APDA: N,N−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン
BZ3: 1,3−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)プロパン
5HHA: 1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル−4−(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキサン
5HHPDA: 1,1−ビス[4−(4−アミノフェニル)メチルフェニル]−4−n−ヘプチルシクロヘキサン
DABP: 4,4’−ジアミノジビフェニル
DAAB: 4,4’−ジアミノアゾベンゼン
Anth:国際公開2010/050523号パンフレットに記載の以下の化合物
【化132】

【0247】
<添加剤>
BANI−M: ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン
EP31: N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
S510: 3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0248】
<溶剤>
THF: テトラヒドロフラン
NMP: N−メチル−2−ピロリドン
BC: ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)
GBL: γ−ブチロラクトン
【0249】
[合成例1]化合物(1−a−1)の合成
N,N’−ビス(4−ニトロフェニル)エチレンジアミン20g(66mmol)および4−(N,N−ジメチル)ピリジン1.6g(1.3mmol)をテトラヒドロフラン(THF、100ml)に溶解し、還流した。ここにジ−tert−ブチルジカーボネート40g(0.20mol)をゆっくり加え、室温で30分間し、その後2時間還流した。冷却後、反応液を純水(1L)に加え、生じた沈殿をろ過した。得られた結晶を真空乾燥することで、目的とするN,N’−ビス(4−ニトロフェニル)−N,N’−ビス(t−ブトキシカルボニル)エチレンジアミン32g(収率:96%)を得た。
【0250】
上記化合物5.0g(9.9mmol)を5%Pd/C1gを用い、THF(40ml)中、室温で水素添加反応を行った。触媒をろ過後、溶剤を減圧留去し、目的物4.3gを得た(収率:99%)。
【0251】
[合成例2]化合物(1−a−4)の合成
N,N’−ビス(4−ニトロフェニル)エチレンジアミンに代えて、N,N’−ビス(4−ニトロフェニル)−1,6−へキシレンジアミンを用い、合成例1に準じた方法によって目的物を得た(トータル収率:72%)。
【0252】
H−NMR(CDCl): 6.8−7.0(m,4H)、6.62(m,4H,J=8.40Hz)、3.63(s,4H)、3.49(t,4H,J=7.35Hz)、1.2−1.6(m,26H).
融点;193.0−195.4℃.
【0253】
[合成例3]化合物(1−b−1)の合成
4−フルオロニトロベンゼン40g(0.28mol)、KCO43g(0.31mmol)をDMF(50ml)中に加え、そこにN−メチルエチレンジアミン10g(0.13mmol)を室温で加えた。そのまま室温で反応を行い(反応温度は約50℃まで上昇した)、その後90℃で4時間反応させた。冷却後、反応液を純水(1L)中に加え、生じた沈殿をろ過した。沈殿をメタノール50mlで洗浄し、目的とするN,N’−ビス(4−ニトロフェニル)−N−メチルエチレンジアミン36gを得た(収率84%)。
【0254】
上記化合物20g(63mmol)、4−(N,N−ジメチル)ピリジン0.78g(6.4mmol)、ジ−ter−ブチルジカーボネート19.2g(95mmol)を用い、合成例1と同様にして反応を行った。得られた粗結晶を再結晶(酢酸エチル‐エタノール)で精製することにより、N,N’−ビス(4−ニトロフェニル)−N−t−ブトキシカルボニル−N’−メチルエチレンジアミン20gを得た(収率76%)。
【0255】
合成例1に準じた方法によって、上記化合物20gに対して水素添加反応を行い、目的物17gを得た(収率:99%)。
H−NMR(CDCl): 6.5−7.1(m, 8H)、3.6−3.7(m, 4H)、3.39(t,2H,d=7.06)、3.31(br s, 4H)、1.2−1.6(m, 9H).
【0256】
[合成例4]化合物(1−c−1)の合成
60%NaH1.5g(38mmol)をTHF(20ml)に分散させた溶液に、4−N−t−ブトキシカルボニルアミノニトロベンゼン8.0g(34mmol)のTHF(20ml)溶液を加え、水素の発生がなくなるまで、約30分間攪拌した。ここに4−ニトロベンジルブロミド7.4g(34mmol)のTHF(10ml)溶液を加え、3時間還流した。冷却後、反応液を純水(50ml)に加え、酢酸エチル(70ml)で抽出した。有機層を純水(50ml)で洗浄後、分離し、無水MgSOで乾燥した。ろ過および溶媒を減圧留去後、残さをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=20:1(容量比))で精製し、目的とする、4−N−(4−ニトロベンジル)−N−t−ブトキシカルボニルアミノニトロベンゼン8.5g(収率67%)を得た。
【0257】
J.Am.Chem.Soc.81,2136(1959)に記載の方法と同様にして、上記化合物5.0g(13mmol)をEtOH(40ml)に溶解し、2.6gの塩化アンモニウムを10mlの純水に溶解させた溶液、亜鉛粉末5.2gを加え、30分還流させた。反応液に2.6gの亜鉛粉末を加え、さらに30分間還流した。熱いままろ過し、冷却後、ろ液を酢酸エチル(50ml)で抽出した。有機層を純水(30ml)で2回洗浄後、無水MgSOで乾燥した。ろ過および溶媒を減圧留去後、残さをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/塩化メチレン:メタノール=20:1(容量比))で精製し、目的とする、化合物(1−c−1)を得た。2.3g(収率54%)。
【0258】
[合成例5]化合物(1−d−2)の合成
2−アミノ−4,4’−ジニトロビフェニル5.0g(19mmol)、ジ−ter−ブチル ジカーボネート8.4g(38mmol)、ピリジン3.0g(38mmol)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶解し、2時間還流した。冷却後、反応液を減圧留去し、残さをトルエン(100ml)に溶解し、純水(70ml)で2回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過および溶剤を減圧留去した。残さをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン酢酸エチル=20:1(容量比))および再結晶(エタノール)で精製することによって、目的とする2−N,N−ビス−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジニトロビフェニル7.4g(収率85%)を得た。
【0259】
上記化合物7.0g(15mmol)を5%Pd/C 0.7gを用い、トルエン/エタノール(40ml/40ml)中、室温で水素添加反応を行った。触媒をろ過後、溶剤を減圧留去し、目的物を得た。6.0g(収率99%)
H−NMR(CDCl): 7.1−7.2(m, 3H)、6.6−6.7(m, 3H)、6.47(d, 1H, d=2Hz)、3.65(br s, 4H)、1.31(s, 18H).
【0260】
[ポリマー合成例1]ポリアミック酸の製造
攪拌羽、温度計を取り付けた3つ口フラスコに化合物(1−a−1)2.0701g(4.678mmol)、DD20.9927g(4.676mmol)を入れ、そこにNMP30gを加え溶解させた。溶液を5℃に冷却させ、そこにPMDA1.0202g(4.677mmol)、およびCBDA0.9170g(4.676mmol)を加えた。反応液を室温まで昇温させ、室温で12時間攪拌した。そこにNMP30gとBC35gを加え、さらに2時間攪拌し、濃度5重量%のポリアミック酸溶液(ワニス1)を得た。このワニス1の粘度は19mPa・sであり、ワニス1中のポリアミック酸の重量平均分子量は38,000であった。
【0261】
[ポリマー合成例2〜35]
ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を表1に掲載した組み合わせに代えた以外は、ポリマー合成例1に準じた操作を行い、ポリアミック酸濃度5重量%のワニスを得た。調製したワニスをポリマー合成例1と共に表1に示す。なお、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の略号の右側のカッコ内の数字はモル%を示す。
【表1】

【0262】
[ポリマー合成例36]ポリイミド溶液(ワニス)の調製
ポリマー合成例11で調製したワニスに、無水酢酸4.0g(39mmol)およびピリジン1.6g(20mmol)を加え、100℃で30分間加熱した。冷却後、反応液を純水(200ml)中に加え、生じた沈殿をろ過する事で、ポリイミドを得た。このポリイミド3.5gをNMP10gとGBL26.5gの混合溶媒に溶解し、さらにBC10gを加えポリイミド濃度8重量%の溶液(ワニス36)を得た。このワニス36の粘度は36.5mPa・sであり、ワニス中のポリイミドの重量平均分子量は32,000であった。
【0263】
[ポリマー合成例37]光配向膜用ワニスの調製
化合物(1−b−1)1.8381g(5.156mmol)、DAAB1.0942g(5.155mmol)、PMDA0.4500(2.063mmol)、およびCBDA1.6180g(8.250mmol)を用い、ポリマー合成例1に準じた方法によって、濃度5重量%のポリアミック酸溶液(ワニス37)を得た。このワニス37の粘度は24mPa・sであり、ワニス37中のポリアミック酸の重量平均分子量は51,000であった。
【0264】
[ポリマー合成例38〜41]
ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物を表2に掲載した組み合わせに代えた以外は、ポリマー合成例37に準じた操作を行い、濃度5重量%のポリアミック酸溶液(ワニス38〜41)を得た。これらのワニスの粘度および重量平均分子量を、ポリマー合成例37と共に表2にまとめた。
【表2】

【0265】
[実施例1]プレチルト角および電気特性測定用セルの作成
サンプル瓶にワニス1を1.0g計り取り、NMP/BC=1/1(重量%)を加え1.67gとした。ITO付きガラス基板上に、このポリアミック酸濃度約3重量%の溶液を滴下し、スピンナー法により塗布した(2,000rpm、15秒)。塗布後、基板を80℃で3分間加熱し、溶剤を蒸発させた後、オーブン中で230℃、20分間加熱処理した。この加熱処理により形成された膜厚約70nmのポリイミド膜をラビング処理した(押し込み:0.3mm、ステージ送り速度:60m/s、回転数:1000rpm、ラビング布:YA−18−R(レーヨン))。この配向膜を超純水中で5分間超音波洗浄してからオーブン中120℃で30分間乾燥した。配向膜を形成した面を内側にしてラビング方向が逆平行になるように2枚のガラス基板を対向配置させた後、4μmのギャップ剤を含んだエポキシ硬化剤でシールし、ギャップ4μmのアンチパラレルセルを作製した。このセルに、下記の液晶組成物Aを注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。このセルのプレチルト角は1.6度であり、電圧保持率は99.5%(30Hz)および96.3%(0.3Hz)であり、イオン密度は14pCであった。
【0266】
<液晶組成物A>
【化133】

【0267】
[実施例2〜28]
ワニス1をワニス2〜28に代えた以外は、実施例1に記載の方法でセルを作製した。プレチルト角および電気特性の測定結果を、実施例1の結果と共に表3に示す。
【0268】
【表3】

【0269】
偏光顕微鏡観察によって、これら実施例1〜28で作成した液晶セルの液晶配向性を確認した。その結果、ラビング削れによる、または液晶配向性が悪化した事によるドメイン等の発生は全く観察されなかった。
【0270】
[実施例29〜31]
ワニス7にそれぞれ以下の化合物を、ワニスの固形分に対して3wt%添加した以外は、実施例1に記載の方法でセルを作製した。プレチルト角および電気特性の測定結果を表4に示す。
【表4】

偏光顕微鏡観察によって、これら実施例29〜31で作成した液晶セルの液晶配向性を確認した。その結果、ラビング削れによるまたは液晶配向性が悪化した事によるドメイン等の発生は全く観察されなかった。
【0271】
[実施例32]光配向膜を用いたセルの作成
サンプル瓶にワニス37を1.0g計り取り、NMP/BC=1/1(重量%)を加え1.67gとした。ITO付きガラス基板上に、このポリアミック酸濃度約3重量%の溶液を滴下し、スピンナー法により塗布した(1900rpm、15秒)。塗布後、基板を80℃で3分間加熱し、溶剤を蒸発させた。この基板に直線偏光(360nmで照度30mW/cm)を30秒間照射した。その後、オーブン中で230℃、20分間加熱処理した。配向膜を形成した面を内側にして露光時の偏光方向が平行になるように2枚のガラス基板を対向配置させた後、4μmのギャップ剤を含んだエポキシ硬化剤でシールし、ギャップ4μmのアンチパラレルセルを作製した。このセルに、上記の液晶組成物Aを注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。このセルのプレチルト角は0.0度であり、電圧保持率は99.0%(30Hz)および93.8%(0.3Hz)であり、イオン密度は48pCであった。
[実施例33〜35]
ワニス37をワニス38〜40に代えた以外は、実施例32に記載の方法でセルを作製した。プレチルト角および電気特性の測定結果を、実施例32の結果と共に表5に示す。
【表5】

【0272】
[比較例1〜5]
ワニス1を以下のワニス30〜33および35に代えた以外は、実施例1に記載の方法でセルを作製し、プレチルト角および電気特性を測定した。測定結果を表6に示す。
【表6】

【0273】
偏光顕微鏡観察によって、これら比較例1〜5で作成した液晶セルの液晶配向性を確認した。その結果、比較例1〜4で作成した液晶セルはラビング削れによるまたは液晶配向性が悪化した事によるドメイン等の発生は全く観察されなかった。しかしながら、比較例5で作成した液晶セルはラビング削れが観察され、それに起因する若干のドメインが発生した。
【0274】
[比較例6]
ワニス37をワニス41に代えた以外は、実施例32に記載の方法でセルを作製した。このセルのプレチルト角は0.1度であり、電圧保持率は95.8%(30Hz)および79.8%(0.3Hz)であり、イオン密度は123pCであった。
【0275】
実施例7、8と比較例1、2の比較、実施例26と比較例3の比較、実施例32、33と比較例5、6の比較から明らかなように、本発明のジアミンを用いた液晶配向剤は、VHR値が高く、イオン密度が小さい。従って、実用上十分な電気特性や液晶配向性を有する事が分かる。
【0276】
[実施例36]VA用セルの作成および評価
ワニス1の代わりにワニス29およびワニス30の混合ワニス(混合比;ワニス29:ワニス30=2:8 v/v)を用いた以外は実施例1に準じた方法によって、ITO付ガラス基板の上面に膜厚約70nmのポリイミド膜を成膜した基板を得た。この基板をラビング処理や、純水洗浄および乾燥せずに、配向膜を形成した面を内側に2枚のガラス基板を対向配置させた後、4μmのギャップ剤を含んだエポキシ硬化剤でシールし、ギャップ4μmのノンラビングセルを作製した。このセルに、下記の液晶組成物Bを注入し、注入口を光硬化剤で封止した。次いで、110℃で30分間加熱処理を行い、液晶表示素子を作製した。このセルのプレチルト角は90°であり、偏光顕微鏡観察したところ、クロスニコル状態で光り抜けは観察されず、配向膜が良好な垂直配向性を有する事が確かめられた。
【0277】
この液晶セルの電圧保持率は99.2%(30Hz)および92.1%(0.3Hz)であり、イオン密度は76pCであった。
【0278】
<液晶組成物B>
【化134】

【0279】
[比較例7]
ワニス29の代わりにワニス34を用いた以外は実施例36に記載の方法に準じて、VA液晶セルを作成した。
【0280】
このセルのプレチルト角は90°であり、偏光顕微鏡観察したところ、クロスニコル状態で光り抜けは観察されず、配向膜が良好な垂直配向性を有する事が確かめられた。またこの液晶セルの電圧保持率は98.3%(30Hz)および85.9%(0.3Hz)であり、イオン密度は245pCであった。
【0281】
実施例36と比較例7を比較しても明らかなように、本発明のジアミンを用いた液晶配向剤は、VHR値が高く、イオン密度が小さい。従って、実用上十分な電気特性や液晶配向性を有する事が分かる。
【0282】
[実施例37]配向膜の体積抵抗値測定
実施例1に記載の方法に準じて、全面ITO付きガラス基板に、ワニス1を用いて作成したポリイミド膜を成膜した(膜厚300nm、ラビング処理は行っていない)。この基板の配向膜面に、Alを蒸着し、上部電極とした(電極面積0.23cm、図1)。ITO電極と上部電極との間に、3Vの電圧を印可し、300秒後の電流値より体積抵抗値を測定した。その結果3.0×1012Ωcmであった。
【0283】
[実施例38〜42]
上記実施例37に記載の方法に準じて、以下のワニスから製造した配向膜の体積抵抗値を測定した。実施例37の結果と共に表7に示す。
【表7】

【0284】
[比較例8〜11]
上記実施例37に記載の方法に準じて、以下のワニスから製造した配向膜の体積抵抗値を測定した。結果を表8に示す。
【表8】

【0285】
上記実施例37〜42と比較例8〜11を比較しても明らかなように、本発明のジアミンは配向膜の体積抵抗値を低下させるのに非常に有用である事が分かる。
【0286】
[実施例43〜45]
ITO付きガラス基板の代わりに、ITOなしのガラス基板を用いる以外は実施例1に記載の方法に準じて、ワニス15、25または3を用いて配向膜を成膜し、ラビング処理した。この基板のリタデーションを測定した結果、表9に記載の通りであった。
【0287】
[比較例12、13]
ITO付きガラス基板の代わりに、ITOなしのガラス基板を用いる以外は実施例1に記載の方法に準じて、ワニス33または35を用いて配向膜を成膜し、ラビング処理した。この基板のリタデーションを測定した結果、表9に記載の通りであった。
【表9】

【0288】
実施例43〜45および比較例12、13との比較により、本発明のジアミンは配向膜のリタデーションを向上させ、液晶への高い配向性を付与するのに非常に有用である事が分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるジアミン:
【化1】

式(1)において、Rは熱により脱離する基であり;
は独立して−H、熱により脱離する基または熱により脱離する基を有する基であり;
およびGは独立して芳香環を有する2価の有機基であり;
は単結合または炭素数1〜10のアルキレンであり;
は単結合、−O−、−CONH−、−NMe−、または−NR−であり;
a、b、およびcは独立して0または1であるが、Rが−Hであるときbは1であり;そして、
a、cそれぞれが1であるとき、−NHは2価の有機基の芳香環に直接結合している。
【請求項2】
式(1)で表されるジアミンにおいて、RおよびRにおける熱により脱離する基がカルバメート系保護基である、請求項1に記載のジアミン。
【請求項3】
式(1)で表されるジアミンにおいて、RがBocであり、Rが−H、−NHBocまたは−N(Boc)である、請求項1に記載のジアミン:
ここでBocはt−ブトキシカルボニル基である。
【請求項4】
式(1−a)〜式(1−d)のいずれかで表される、請求項1に記載のジアミン:
【化2】

式(1−a)〜式(1−d)において、Bocはt−ブトキシカルボニル基であり;
は炭素数2〜10のアルキレンであり;
は独立して−H、−NHBocまたは−N(Boc)であり、そして、Rの少なくとも1つは−NHBocまたは−N(Boc)である。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のジアミンの少なくとも1つ、または請求項1〜4のいずれか1項に記載のジアミンの少なくとも1つを含有するジアミン混合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のジアミンの少なくとも1つとその他のジアミンとの混合物をテトラカルボン酸二無水物と反応させて得られる、請求項5に記載のポリアミック酸またはその誘導体。
【請求項7】
テトラカルボン酸二無水物が以下の式(AN−I)〜(AN−VII)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項5または6に記載のポリアミック酸またはその誘導体:
【化3】

式(AN−I)、(AN−IV)および(AN−V)において、Xは独立して単結合または−CH−であり;
式(AN−II)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり;
式(AN−II)〜(AN−IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、
【化4】

これらの基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(AN−III)〜(AN−V)において、環Aは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜30の縮合多環式炭化水素の基であり、この基の任意の水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく、環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく;
式(AN−VI)において、X10は炭素数2〜6のアルキレンであり;
Meはメチルであり;
Phはフェニルであり;
式(AN−VII)において、G10は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり;そして、
rは独立して0または1である。
【請求項8】
テトラカルボン酸二無水物が以下の式(AN−1−1)、(AN−1−13)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−4−17)、(AN−7−2)、(AN−10)、および(AN−11−3)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項7に記載のポリアミック酸またはその誘導体:
【化5】

式(AN−4−17)において、mは1〜12の整数である。
【請求項9】
その他のジアミンが、以下の式(DI−1)〜(DI−17)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項6に記載のポリアミック酸またはその誘導体:
【化6】

式(DI−1)〜(DI−7)において、mは1〜12の整数であり;
21は独立して単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CHm’−、−O−(CHm’−O−、または−S−(CHm’−S−であり、m’は独立して1〜12の整数であり;
22は独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜10のアルキレンであり;
各式中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の任意の−Hは、−F、−CH、−OH、−CFまたはベンジルで置き換えられていてもよく、加えて式(DI−4)においては、下記式(DI−4−a)〜(DI−4−c)で置き換えられていてもよく、
【化7】

式(DI−4−a)〜(DI−4−c)において、R20は独立して−Hまたは−CHであり;
式(DI−2)〜(DI−7)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;そして、
シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、G21またはG22の結合位置を除く任意の位置である。
【化8】

式(DI−8)において、R21およびR22は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり;
23は独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり;
nは1〜10の整数であり;
式(DI−9)において、R23は独立して炭素数1〜3のアルキルであり;
pは独立して0〜3の整数であり;
qは0〜4の整数であり;
式(DI−10)において、R24は−H、炭素数1〜4のアルキル、フェニル、またはベンジルであり;
式(DI−11)において、G24は−CH−または−NH−であり;
式(DI−12)において、G25は単結合、炭素数2〜6のアルキレンまたは1,4−フェニレンであり;
rは0または1であり;
式(DI−12)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;そして、
式(DI−9)、(DI−11)および(DI−12)において、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置は任意の位置であり;
【化9】

式(DI−13)において、G26は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CHm’−であり、m’は1〜12の整数であり;
25は炭素数3〜20のアルキル、フェニル、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI−13−a)で表される基であり、このアルキルにおいて、任意の−Hは−Fで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、このフェニルの−Hは、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF、−OCF、炭素数3〜20のアルキル、または炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく、このシクロヘキシルの−Hは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置はその環において任意の位置であることを示し;
【化10】

式(DI−13−a)において、G27、G28およびG29は結合基を表し、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていてもよく;
環B21、環B22、環B23、および環B24は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
環B21、環B22、環B23、および環B24において、任意の−Hは−Fまたは−CHで置き換えられてもよく;
s,tおよびuは独立して0〜2の整数であり、これらの合計は1〜5であり;
s,tまたはuが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、2つの環は同じであっても異なっていてもよく;
26は−F、−OH、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり、この炭素数1〜30のアルキルの任意の−CH−は下記式(DI−13−b)で表される2価の基で置き換えられていてもよく;
【化11】

式(DI−13−b)において、R27およびR28は独立して炭素数1〜3のアルキルであり;
vは1〜6の整数であり;
【化12】

式(DI−14)および式(DI−15)において、G30は独立して単結合、−CO−または−CH2−であり;
29は独立して−Hまたは−CHであり;
30は−H、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルであり;
式(DI−15)におけるベンゼン環の1つの−Hは、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(DI−14)および式(DI−15)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;
ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示し;
【化13】

式(DI−16)および式(DI−17)において、G31は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり;
32は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり;
31は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルの任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく;
32は炭素数6〜22のアルキルであり;
33は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルであり;
環B25は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり;
rは0または1であり;そして、
ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示す。
【請求項10】
その他のジアミンが、以下の式(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−5)、(DI−5−9)、(DI−5−12)、(DI−5−21)、(DI−5−27)、(DI−5−29)、(DI−7−3)、(DI−9−1)、(DI−13−4)、(DI−13−5)、(DI−13−47)、(DI−16−1)、(DI−16−2)、および(DI−16−4)からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項9に記載のポリアミック酸またはその誘導体:
【化14】

【化15】

式(DI−5−1)、(DI−5−12)および(DI−7−3)において、mは1〜12の整数であり;
式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数であり;
式(DI−7−3)において、nは1または2あり;
式(DI−13−4)および(DI−13−5)において、R35は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであり;
式(DI−16−1)および(DI−16−2)において、R40は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり;
式(DI−16−4)において、R41は−Hまたは炭素数1〜12のアルキルである。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれか1項に記載のポリアミック酸またはその誘導体から選ばれる少なくとも1つの重合体を含有するワニス。
【請求項12】
請求項11に記載のワニスを含有する液晶配向剤。
【請求項13】
アルケニル置換ナジイミド化合物、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、オキサジン化合物、オキサゾリン化合物、およびエポキシ化合物からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに含有する、請求項12に記載の液晶配向剤。
【請求項14】
アルケニル置換ナジイミド化合物が、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項13に記載の液晶配向剤。
【請求項15】
ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物が、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N―ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項13に記載の液晶配向剤。
【請求項16】
エポキシ化合物が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項13に記載の液晶配向剤。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の液晶配向剤によって形成された液晶配向膜。
【請求項18】
請求項17に記載の液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【請求項19】
100〜300℃に加熱することにより脱離して−NH−基を生ずる基を有するポリアミック酸またはその誘導体を、基の脱離により−NH−基を生ずる温度まで焼成し、その後液晶配向膜として用いる事を特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
【請求項20】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の液晶配向剤を用いる、請求項19に記載の液晶配向膜の形成方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の方法で液晶配向膜を形成することを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−193167(P2012−193167A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35751(P2012−35751)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(596032100)JNC石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】