説明

ジアミン化合物の製造方法

【課題】ジアミン化合物の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】金属触媒存在下、式(1)


で示されるアゾ化合物と水素源との反応で、得られる反応液に、式(2)


で示される化合物と塩基を作用させる式(3)で示されるジアミン化合物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミン化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(3)

(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子またはアルキル基を表わし、Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わす。)
で示されるジアミン化合物は、高脂血症治療剤等の中間体として知られている(例えば特許文献1参照。)。かかる式(3)で示されるジアミン化合物の製造方法としては、金属触媒の存在下に、式(1)

(式中、RおよびRは上記と同一の意味を表わし、Rは水素原子、水酸基、カルボキシル基またはスルホ基を表わす。)
で示されるアゾ化合物と水素とを反応させ、生成する式(4)

(式中、RおよびRは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジアミノ化合物を、フリー体もしくは酸付加塩の形態で取り出した後、式(2)

(式中、Rは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物を反応させる方法が知られている(例えば特許文献1参照。)。しかしながら、式(4)で示されるジアミノ化合物をフリー体もしくは酸付加塩の形態で取り出す操作は煩雑であり、しかも、フリー体の式(4)で示されるジアミノ化合物は不安定で着色しやすいため、式(4)で示されるジアミノ化合物を取り出すことなく、式(3)で示されるジアミン化合物を製造する方法が求められていた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−249475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況のもと、本発明者らは、煩雑な式(4)で示されるジアミノ化合物の取り出し操作を行うことなく、式(3)で示されるジアミン化合物を製造する方法について検討し、金属触媒の存在下に、式(1)

(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子またはアルキル基を表わし、Rは水素原子、水酸基、カルボキシル基またはスルホ基を表わす。)
で示されるアゾ化合物と水素とを反応させ、得られる反応液に、式(2)

(式中、Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わす。)
で示される化合物および塩基を作用させることにより、容易に式(3)

(式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジアミン化合物が製造できることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、金属触媒の存在下に、式(1)

(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子またはアルキル基を表わし、Rは水素原子、水酸基、カルボキシル基またはスルホ基を表わす。)
で示されるアゾ化合物と水素とを反応させ、得られる反応液に、式(2)

(式中、Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わす。)
で示される化合物および塩基を作用させることを特徴とする式(3)

(式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジアミン化合物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、煩雑な取り出し操作を行うことなく、目的とする式(3)で示されるジアミン化合物を製造することができるため、工業的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
式(1)

で示されるアゾ化合物(以下、アゾ化合物(1)と略記する。)もしくはその酸付加塩の式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子またはアルキル基を表わし、Rは水素原子、水酸基、カルボキシル基またはスルホ基を表わす。
【0008】
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6の低級アルキル基が挙げられる。
【0009】
かかるアゾ化合物(1)もしくはその酸付加塩としては、例えば4−(フェニルアゾ)アニリン、4−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、4−(3−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、4−(2−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、4−(3−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、4−(4−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、4−(2−スルホフェニルアゾ)アニリン、4−(3−スルホフェニルアゾ)アニリン、4−(4−スルホフェニルアゾ)アニリン、
2,6−ジメチル−4−(フェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(3−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(2−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(3−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(4−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(2−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(3−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(4−スルホフェニルアゾ)アニリン、
【0010】
2,6−ジエチル−4−(フェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(3−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(2−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(3−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(4−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(2−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(3−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(4−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(フェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(3−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(2−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(3−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(4−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(2−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(3−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(4−スルホフェニルアゾ)アニリン、
【0011】
2,6−ジイソプロピル−4−(フェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(3−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(2−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(3−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(4−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(2−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(3−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(4−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(フェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(2−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(3−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(2−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(3−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(4−カルボキシフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(2−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(3−スルホフェニルアゾ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(4−スルホフェニルアゾ)アニリン等およびこれらの塩酸塩、硫酸塩等が挙げられ、反応速度の点で、例えば塩酸塩、硫酸塩等の酸付加塩を用いることが好ましい。
【0012】
水素の使用量は、アゾ化合物(1)もしくはその酸付加塩に対して、通常1モル倍以上であり、その上限は特にない。
【0013】
金属触媒としては、例えばパラジウム触媒、白金触媒等が挙げられ、パラジウム触媒が好ましい。パラジウム触媒としては、例えばパラジウム/炭素、水酸化パラジウム等が挙げられ、白金触媒としては、例えば酸化白金等が挙げられる。かかる金属触媒の使用量は、アゾ化合物(1)もしくはその酸付加塩に対して、通常0.005モル倍以上、好ましくは0.01モル倍以上であり、その上限は特にないが、あまり多すぎても経済的に不利になりやすいため、実用的には、アゾ化合物(1)もしくはその酸付加塩に対して、5モル倍以下、好ましくは1モル倍以下である。
【0014】
反応は、通常溶媒中で実施され、溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒、例えばテトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒等の単独もしくは混合溶媒が挙げられる。かかる溶媒の使用量は、アゾ化合物(1)もしくはその酸付加塩に対して、通常2〜100重量倍、好ましくは3〜20重量倍である。
【0015】
反応温度は、通常0℃〜反応液の還流温度の範囲である。また、反応は常圧条件下で実施してもよいし、加圧条件下で実施してもよい。
【0016】
反応終了後、得られる反応液に、式(2)

(式中、Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(2)と略記する。)および塩基を作用させることにより、式(3)

(式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジアミン化合物(以下、ジアミン化合物(3)と略記する。)を製造することができる。
【0017】
化合物(2)の式中、Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わす。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6の低級アルキル基が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基等が挙げられる、アラルキル基としては、例えばベンジル基等の前記アルキル基と前記アリール基とから構成されるものが挙げられる。
【0018】
かかる化合物(2)としては、例えば二炭酸ジメチル、二炭酸ジエチル、二炭酸ジイソプロピル、二炭酸ジ−n−ブチル、二炭酸ジイソブチル、二炭酸ジ−tert−ブチル、二炭酸ジフェニル、二炭酸ジベンジル等が挙げられる。かかる化合物(2)は、通常市販されているものが用いられる。
【0019】
かかる化合物(2)の使用量は、アゾ化合物(1)もしくはその酸付加塩に対して、通常0.7〜1.5モル倍、好ましくは0.8〜1.2モル倍である。かかる化合物(2)は、そのまま用いてもよいし、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒、例えばテトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等に溶解させて溶液として用いてもよい。
【0020】
塩基としては、例えばトリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、例えば炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等が挙げられ、有機塩基が好ましい。
【0021】
アゾ化合物(1)を用いた場合の塩基の使用量は、アゾ化合物(1)に対して、通常0.5モル倍以上、好ましくは1モル倍以上であり、その上限は特にないが、実用的には3モル倍以下である。なお、アゾ化合物(1)の酸付加塩を用いた場合には、かかる酸付加塩の酸を中和するに必要な量を考慮し、塩基の量を決めればよい。
【0022】
化合物(2)および塩基を作用させる温度は、通常−10℃〜反応液の還流温度の範囲であり、好ましくは−10〜40℃の範囲である。
【0023】
反応終了後、例えば反応液から、金属触媒を濾別した後、水を加えて分液処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、ジアミン化合物(3)を取り出すことができる。また、前記アゾ化合物(1)もしくはその酸付加塩と水素源との反応において、反応溶媒として、親水性溶媒を用いた場合には、反応終了後、金属触媒を濾別した後、反応液に水を加えることにより、ジアミン化合物(3)を結晶として取り出すこともできる。取り出したジアミン化合物(3)は、例えば再結晶等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
【0024】
ジアミン化合物(3)としては、例えば4−(メトキシカルボニルアミノ)アニリン、4−(エトキシカルボニルアミノ)アニリン、4−(n−プロポキシカルボニルアミノ)アニリン、4−(イソプロポキシカルボニルアミノ)アニリン、4−(n−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、4−(フェノキシカルボニルアミノ)アニリン、4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(メトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(エトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(n−プロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(イソプロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(n−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(フェノキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アニリン、
【0025】
2,6−ジエチル−4−(メトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(エトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(n−プロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(イソプロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(n−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(フェノキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジエチル−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(メトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(エトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(n−プロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(イソプロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(n−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(フェノキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−プロピル−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アニリン、
【0026】
2,6−ジイソプロピル−4−(メトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(エトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(n−プロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(イソプロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(n−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(フェノキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジイソプロピル−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(メトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(エトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(n−プロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(イソプロポキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(n−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(フェノキシカルボニルアミノ)アニリン、2,6−ジ−n−ブチル−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)アニリン等が挙げられる。
【0027】
なお、アゾ化合物(1)もしくはその酸付加塩は、特開2002−248475号公報等に記載の方法、例えば式(5)

(式中、RおよびRは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアニリン化合物もしくはその酸付加塩と、式(6)

(式中、Rは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジアゾニウム化合物とを反応させる方法等に準じて製造することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0029】
実施例1
2,6−ジイソプロピル−4−(4−カルボキシフェニルアゾ)アニリンの塩酸塩6.9g、10重量%パラジウム/炭素(50重量%含水品)0.69gおよびメタノール27.5gを反応容器に仕込み、内温25℃、水素雰囲気下で4時間攪拌、反応させた。反応終了後、反応容器内を窒素置換した。内温20℃で、トリエチルアミン4.2gを加え、さらに、同温度で、炭酸ジ−tert−ブチル3.7gを含むトルエン溶液7.1gを45分時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間攪拌、反応させた。反応終了後、反応液中のパラジウム/炭素を濾別した。濾液にトルエン55gおよび水34g加えて分液処理した。得られたトルエン層を、4重量%水酸化ナトリウム水溶液、次いで25重量%塩化アンモニウム水溶液、さらに水で洗浄処理した後、濃縮処理し、濃縮残液22gを得た。得られた濃縮残液を、一旦内温60℃に昇温した後、1時間かけて内温40℃まで冷却した。同温度で、n−ヘプタン62gを2時間かけて滴下した後、内温0℃まで1時間かけて冷却した。同温度で2時間攪拌、保持した後、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を、n−ヘプタンで洗浄し、さらに乾燥させて、2,6−ジイソプロピル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン4.3gを得た。収率:77%。
【0030】
実施例2
前記実施例1において、各試剤の使用量を1.05倍スケールとし、メタノール27.5gに代えてテトラヒドロフラン57.9gを用いた以外は実施例1と同様に実施して、2,6−ジイソプロピル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン4.7gを得た。収率:80%。
【0031】
実施例3
2,6−ジイソプロピル−4−(4−カルボキシフェニルアゾ)アニリンの塩酸塩6.9g、10重量%パラジウム/炭素(50重量%含水品)0.69gおよびメタノール55gを反応容器に仕込み、内温25℃、水素雰囲気下で4時間攪拌、反応させた。反応終了後、反応容器内を窒素置換した。内温20℃で、トリエチルアミン4.2gを加え、さらに、同温度で、炭酸ジ−tert−ブチル3.7gを含むメタノール溶液7.1gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で1時間攪拌、反応させた。反応終了後、反応液中のパラジウム/炭素を濾別した。濾液に水65gを1時間かけて滴下した。内温5℃に冷却した後、析出した結晶を濾取した。濾取した結晶を、70重量%メタノール水で洗浄し、さらに乾燥させて、2,6−ジイソプロピル−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アニリン4.3gを得た。収率:78%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属触媒の存在下に、式(1)

(式中、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子またはアルキル基を表わし、Rは水素原子、水酸基、カルボキシル基またはスルホ基を表わす。)
で示されるアゾ化合物もしくはその酸付加塩と水素とを反応させ、得られる反応液に、式(2)

(式中、Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表わす。)
で示される化合物および塩基を作用させることを特徴とする式(3)

(式中、R、RおよびRは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジアミン化合物の製造方法。

【公開番号】特開2006−265195(P2006−265195A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88089(P2005−88089)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】