説明

ジアリールアミン含有化合物および組成物、ならびにステロイドホルモン核受容体のモジュレータとしてのそれらの使用

本明細書に記載されているものはジアリールアミン構造特性を有する化合物である。また本明細書に記載されているものは、このような化合物の製造法、ステロイドホルモン核受容体の活性を調節するするためのこのような化合物の使用法、およびこのような化合物を含む医薬組成物および薬剤である。また本明細書に記載されているものは、このような化合物の使用法、ステロイドホルモン核受容体活性と関連する疾患または状態を処置および/または予防するための医薬組成物および薬剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
化合物、このような化合物の製造法、このような化合物を含む医薬組成物および薬剤、およびステロイドホルモン核受容体活性と関連する疾患または状態を処置または予防するためのこのような化合物の使用法を記載する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
ステロイドホルモン核受容体は核ホルモン受容体スーパーファミリーのサブセットを意味する。自然の状態で受容体が複合体をなす同族リガンドにしたがってそのように名付けられ、ステロイドホルモン核受容体はグルココルチコイド受容体(GR)、アンドロゲン受容体(AR)、ミネラルコルチコイド受容体(MR)、エストロゲン受容体(ER)、およびプロゲステロン受容体(PR)を含む。MRは上皮組織、心臓、腎臓、脳、血管組織および骨で発現される。アルドステロンはMRの内在性リガンドであり、そして主に副腎、心臓、脳および血管で合成される。いくつかの有害な影響、例えば:ナトリウム/水分保持、腎臓線維症、血管炎症、血管線維症、内皮機能障害、冠状動脈炎症、冠血流量の減少、心室性不整脈、心筋線維症、心室肥大および循環系、主に心臓、脈管および腎臓への直接的な損傷は、アルドステロンに起因する。全ての標的臓器に対するアルドステロン作用はMR受容体の活性化を介する。GRはほとんど全ての組織および臓器形で発現され、そして中枢神経系の機能および心臓血管、代謝および免疫ホメオスタシスの維持の完全性に不可欠である。
【発明の開示】
【0003】
発明の概要
一つの局面はジアリールアミン構造を含む化合物である。一つの態様において、このようなジアリールアミン化合物はジヘテロアリールアミン化合物である。さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはフタラジン構造を含む;さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはCN基を含む5員環を含む。
【0004】
他の局面は核受容体の調節のためのジアリールアミン構造を含むこのような化合物の使用である。一つの態様において、このようなジアリールアミン化合物はジヘテロアリールアミン化合物である。さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはフタラジン構造を含む;さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはCN基を含む5員環を含む。
【0005】
他の局面は疾患または状態の処置における、または少なくとも1種の核受容体活性の調節が疾患または状態の病状および/または症状を予防、阻止または改善できる疾患または状態を処置するための薬剤を製造するためのジアリールアミン構造を含むこのような化合物の使用である。一つの態様において、このようなジアリールアミン化合物はジヘテロアリールアミン化合物である。さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはフタラジン構造を含む;さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはCN基を含む5員環を含む。一つの態様において、核受容体はステロイドホルモン核受容体である。
【0006】
他の局面はジアリールアミン構造を含むこのような化合物を含む医薬組成物である。一つの態様において、このようなジアリールアミン化合物はジヘテロアリールアミン化合物である。さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはフタラジン構造を含む;さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはCN基を含む5員環を含む。
【0007】
他の局面はジアリールアミン構造を含むこのような化合物の製造法である。一つの態様において、このようなジアリールアミン化合物はジヘテロアリールアミン化合物である。さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはフタラジン構造を含む;さらなるまたは代わりの態様において、このようなジヘテロアリールアミン化合物のヘテロアリール基の1つはCN基を含む5員環を含む。
【0008】
他の局面は式(1)
【化1】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである;
ただしLがNであるときZはCであり、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれHではない。〕
の構造を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物である。
【0009】
前記局面の態様において、LはNである。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、ZはNである。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、XはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、LはNであり、そしてXはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、ZはNであり、そしてXはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、AはCR=CRであり、そしてQはCR=CRである。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、AはCR=CRであり、そしてQはN=CRである。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、AはCR=Nであり、そしてQはCR=CRである。
【0010】
さらなる態様において、化合物は下記の構造の1つである:
【化2】

【0011】
6つの上記構造のいずれかのさらなる態様において、Rはアルキルである。さらなる態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、および3−ヘキシルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはH、アルキル、および−C(O)−アルキルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはL−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい基である。さらなるまたは代わりの態様において、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(O)O−、および−C(O)NH−から選択される。
【0012】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、式(1)の構造を有する化合物は
【化3】

から選択される。
【0013】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、式(1)の構造を有する化合物は
【化4】

【化5】

【化6】

から選択される。
【0014】
他の局面は少なくとも1種のステロイドホルモン核受容体と式(1)
【化7】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである。〕
の構造を有する化合物;またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物を接触させることを含む、少なくとも1種のステロイドホルモン核受容体の活性を調節するための薬剤である。
【0015】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、式(1)の化合物を直接に少なくとも1種のステロイドホルモン核受容体と接触させる。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、接触はインビトロでおこる。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、接触はインビボでおこる。
【0016】
この局面のさらなるまたは代わりの態様においてLはNである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてZはNである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてXはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてLはNであり、そしてXはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてZはNであり、そしてXはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてAはCR=CRであり、そしてQはCR=CRである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてAはCR=CRであり、そしてQはN=CRである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてAはCR=Nであり、そしてQはCR=CRである。
【0017】
さらなる態様において、化合物は下記の構造の1つを有する:
【化8】

【0018】
6つの上記構造のいずれかのさらなる態様において、Rはアルキルである。さらなる態様において、Rは:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、および3−ヘキシルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはH、アルキル、および−C(O)−アルキルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはL−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい基である。さらなるまたは代わりの態様において、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(O)O−、および−C(O)NH−から選択される。
【0019】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、式(1)の構造を有する化合物は
【化9】

から選択される。
【0020】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、式(1)の構造を有する化合物は
【化10】

【化11】

【化12】

から選択される。
【0021】
他の局面は
【化13】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである。〕
の構造を有する少なくとも1つの化合物;またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物と1種またはそれ以上の適当な賦形剤の混合物を含む医薬組成物である。
【0022】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、1種またはそれ以上の賦形剤は非経口投与に適当である。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、1種またはそれ以上の賦形剤は経口投与に適当である。この局面のさらなるまたは代わりの態様において、1種またはそれ以上の賦形剤は眼投与に適当である。
【0023】
この局面のさらなるまたは代わりの態様においてLはNである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてZはNである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてXはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてLはNであり、そしてXはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてZはNであり、そしてXはSである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてAはCR=CRであり、そしてQはCR=CRである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてAはCR=CRであり、そしてQはN=CRである。この局面のさらなるまたは代わりの態様においてAはCR=Nであり、そしてQはCR=CRである。
【0024】
さらなる態様において、化合物は下記の構造の1つを有する:
【化14】

【0025】
6つの上記構造のいずれかのさらなる態様において、Rはアルキルである。さらなる態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、および3−ヘキシルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはH、アルキル、および−C(O)−アルキルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはL−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい基である。さらなるまたは代わりの態様において、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(O)O−、および−C(O)NH−から選択される。
【0026】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、式(1)の構造を有する化合物は
【化15】

から選択される。
【0027】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、式(1)の構造を有する化合物は
【化16】

【化17】

【化18】

から選択される。
【0028】
他の局面は、ステロイドホルモン核受容体活性の調節が疾患の病状および/または症状を予防、阻止または改善することができる動物の疾患の処置法であって、治療有効量の式(1)
【化19】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである。〕
の構造を有する少なくとも1つの化合物;またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物を動物に投与することを含む方法である。
【0029】
さらなる態様において、化合物は下記の構造の1つを有する:
【化20】

【0030】
6つの上記構造のいずれかのさらなる態様において、Rはアルキルである。さらなる態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、および3−ヘキシルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはH、アルキル、および−C(O)−アルキルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはL−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい基である。さらなるまたは代わりの態様において、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(O)O−、および−C(O)NH−から選択される。
【0031】
さらなるまたは代わりの態様において、ステロイドホルモン核受容体はグルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、およびプロゲステロン受容体からなる群から選択される。
【0032】
さらなるまたは代わりの態様において、本方法は低カリウム血漿、高血圧、うっ血性心不全、腎不全、特に慢性腎不全、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、X症候群、肥満、腎症、心筋梗塞後、冠状動脈性心臓病、コラーゲン形成の増加、線維症ならびに高血圧および内皮機能障害後のリモデリングからなる群から選択される疾患または状態の処置で使用される治療有効量の第2物質の投与をさらに含む。
【0033】
さらなるまたは代わりの態様において、第2物質は抗肥満剤、抗高血圧剤、強心剤、脂質低下剤、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、Na−K−ATPase膜ポンプの阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、ACE/NEP阻害剤、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、β−アドレナリン受容体ブロッカー、強心剤、カルシウムチャネルブロッカー、および3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリルコエンザイムAレダクターゼ(HMG−CoA)阻害剤からなる群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、式(1)の化合物は第2物質の前に投与される。さらなるまたは代わりの態様において、式(1)の化合物は第2物質と一緒に投与される。さらなるまたは代わりの態様において、式(1)の化合物は第2物質後に投与される。さらなるまたは代わりの態様において、式(1)の化合物および第2物質は同じ医薬組成物で投与される。
【0034】
他の局面は、動物のステロイドホルモン核受容体活性が疾患または状態の病状および/または症状の原因である疾患を処置するための薬剤の製造における、式(1)
【化21】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである。〕
の構造を有する少なくとも1つの化合物;またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物の使用である。
【0035】
さらなる態様において、化合物は下記の構造の1つを有する:
【化22】

【0036】
6つの上記構造のいずれかのさらなる態様において、Rはアルキルである。さらなる態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、および3−ヘキシルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはH、アルキル、および−C(O)−アルキルの群から選択される。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはHである。さらなるまたは代わりの態様において、RはL−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい基である。さらなるまたは代わりの態様において、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(O)O−、および−C(O)NH−から選択される。
【0037】
この局面のさらなるまたは代わりの態様において、ステロイドホルモン核受容体はグルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、およびプロゲステロン受容体からなる群から選択される。
【0038】
他の局面は適当な反応条件下で式(D)
【化23】

の化合物と構造
【化24】

を有する化合物を混合すること含む、式(1)の構造を有する化合物の製造法である。
【0039】
他の局面は適当な反応条件下で式(E)
【化25】

の化合物と臭素化剤を混合し、次いで得られる混合物とシアン化剤を混合することを含む、式(1)の構造を有する化合物の製造法である。
【0040】
他の局面は適当な反応条件下で式(D)
【化26】

の化合物と構造
【化27】

を有する化合物を混合することを含む、式(E)の構造を有する化合物の製造法である。
【0041】
便宜上、本明細書のこの章および他の部分に記載されている全ての局面および態様は、例示のために1つの式、例えば“式(1)”を使用する。しかし、本明細書に記載されている全ての局面および態様は、式(1)の範囲内に収まる本明細書で提示される全ての式に同等に適切に適用することができる。例えば、本明細書に記載されている全ての局面および態様は、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(A)、式(B)の構造を有する化合物、ならびにこれらの一般式の範囲内に収まる全ての特定の化合物に適用できる。
【0042】
本明細書に記載されている方法および組成物の他の目的、特徴および利点は下記の詳細な説明から明白になるであろう。しかし、本発明の精神および範囲内の様々な変化および変法がこの詳細な説明から当業者に明白であるため、詳細な説明および特定の例は、特定の態様を示してはいるが、説明だけのために与えられていると理解すべきである。
【0043】
本発明のこれらのおよび他の局面は下記の詳細な説明の記載において明白になるであろう。加えて、特定の方法または組成物をより詳細に記載している本明細書に引用される全ての特許および他の参考文献を、その全体を出典明示により包含させる。
【0044】
発明の詳細な説明
特定の化学用語
特に明記しない限り、明細書および特許請求の範囲を含む本出願で使用される下記用語は下記の定義を有する。文脈から他に解釈すべきであることが明らかではない限り、単数形は複数形も含むことに注意しなければならない。標準化学用語の定義はCarey and Sundberg “ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED.” Vols. A (2000) and B (2001), Plenum Press, New Yorkを含む参考文献で見ることができる。特に明記しない限り、当分野の技術の範囲内の質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組み換えDNA技術および薬理学の慣用の方法を使用する。
【0045】
本明細書で使用される“アルケニル基”なる用語は、中に1個またはそれ以上の二重結合を有する炭化水素鎖を意味する。アルケニル基の二重結合は結合していないか、または他の不飽和基に結合していてよい。適当なアルケニル基は、限定すべきでないが、(C−C)アルケニル基、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、ヘキサジエニル、2−エチルヘキセニル、2−プロピル−2−ブテニル、4−(2−メチル−3−ブテン)−ペンテニルを含む。アルケニル部分は分岐鎖、直鎖、または環状(この場合、それはまた“シクロアルケニル”基として既知である)であってよく、そして非置換であるかまたは置換されていてよい。
【0046】
本明細書で使用される“アルコキシ”なる用語は、−O−(アルキル)を含む(アルキルは本明細書に定義のとおりである)。単なる例示であるが、C1−6アルコキシは、限定すべきでないが、メトキシ、エトキシなどを含む。アルコキシ基は非置換であるかまたは置換されていてよい。
【0047】
本明細書で使用される“アルキル”なる用語は、1から10個の炭素原子を有する炭化水素を意味し、直鎖、分岐鎖、環状、飽和および/または不飽和特性を有し得る。本明細書に記載されるときはいつでも、数値範囲、例えば“1から10”は与えられる範囲のそれぞれの整数を意味し;例えば、“1から10個の炭素原子”または“C1−10”または“(C−C10)”はアルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など10個の炭素原子以下からなることを意味するが、本定義はまた数値範囲が示されていないときの“アルキル”なる用語を記載したときもカバーする。アルキル部分はなんらかのアルケンまたはアルキン部分を含まないことを意味する“飽和アルキル”基であり得る。代表的な飽和アルキル基は、限定すべきでないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−3−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびn−ヘキシル、ならびに長鎖アルキル基、例えば、ヘプチルおよびオクチルを含む。アルキル部分はまた少なくとも1つのアルケンまたはアルキン部分を含むことを意味する“不飽和アルキル”部分であり得る。“アルケン”部分は少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合からなる基を意味し、そして“アルキン”部分は少なくとも2個の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素三重結合からなる基を意味する。代表的な不飽和アルキル基は、限定すべきでないが、エテニル、プロペニル、ブテニルなどを含む。アルキル基は非置換であるかまたは置換されている。置換されているアルキル基は、限定すべきでないが、ハロゲン−置換アルキル基、例えば、単なる例示であるが、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどを含む。
【0048】
本明細書で使用される“アルキルアミン”なる用語はxおよびyがx=1、y=1およびx=2、y=0の群から選択されるときの−N(アルキル)基を意味する。x=2のとき、アルキル基は一緒になって、所望により環状環系を形成でき、そしてさらにx=2のとき、アルキル基は同じかまたは異なり得る。アルキルアミン基は非置換であるかまたは置換されている。
【0049】
本明細書で使用される“アルキニル”基なる用語は中に1個またはそれ以上の三重結合を有する炭化水素鎖を意味する。アルキニル基の三重結合は非結合または他の不飽和基に結合され得る。適当なアルキニル基は、限定すべきでないが、(C−C)アルキニル基、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、メチルプロピニル、4−メチル−1−ブチニル、4−プロピル−2−ペンチニル、および4−ブチル−2−ヘキシニルを含む。アルキニル部分は分岐鎖または直鎖であり得、そして非置換であるかまたは置換されていてよい。
【0050】
本明細書で使用される“アミド”なる用語は式C(O)NHRまたはNHC(O)R(Rはアルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロ環(環炭素を介して結合している)からなる群から選択される)を有する化学部分を意味する。アミドは本明細書に記載されている化合物のすべてのアミンまたはカルボキシル側鎖から形成され得る。このようなアミドを製造するための方法および特定の基は当業者に既知であり、参考文献、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999において容易に見いだすことができ、この全体を出典明示により本明細書に包含させる。アミド基は非置換であるかまたは置換されていてよい。
【0051】
本明細書で使用される“芳香族”または“アリール”なる用語は共役π電子系を有する少なくとも1個の環を有する閉環構造を意味し、炭素環式アリールおよびヘテロ環式アリール(または“ヘテロアリール”または“ヘテロ芳香族”)基両方を含む。炭素環式またはヘテロ環式芳香族基は5から20個の環原子を含み得る。該用語は単環式または縮合環多環式(すなわち、隣接する対の炭素原子を共有する環)基を含む。芳香族基は非置換であるかまたは置換されていてよい。
【0052】
本明細書で使用される“アリールオキシ”なる用語は−O−アリール基を含み、アリールは上記定義のとおりである。アリールオキシ基は非置換であるかまたは置換されている。
【0053】
本明細書で使用される“結合”または“単結合”なる用語は、いずれかがより大きい部分の一部であり得る2個の原子間の隣接結合を意味する。
【0054】
本明細書で使用される“炭素環”または“シクロアルキル”なる用語は、環の骨格を形成する原子が全て炭素原子である1個またはそれ以上の共有の閉環構造を含む化合物を意味する。このような基は3から20個の環炭素原子を有し得、そして炭素および水素原子を含む飽和、部分的に不飽和、または完全に不飽和の単環式、縮合二環式、スピロ環式、架橋多環式または多環式環であり得る。炭素環式アルキル基は、限定すべきでないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含む。炭素環式芳香族基は、限定すべきでないが、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、およびナフチル、ならびにベンゾ縮合炭素環式部分、例えば、単なる例であるが、ジベンゾスベレノン、およびジベンゾスベロンを含む。炭素環式基は非置換であるかまたは置換されている。
【0055】
本明細書で使用される“エステル”なる用語は、Rがアルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロ環(環炭素を介して結合している)からなる群から選択される式COORを有する化学部分を意味する。本明細書に記載されている化合物のすべてのヒドロキシまたはカルボキシルはエステル化され得る。このようなエステルを製造するための方法および特定の基は当業者に既知であり、参考文献、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999において容易に見いだすことができ、その全体を出典明示により本明細書に包含させる。エステル基は非置換であるかまたは置換されていてよい。
【0056】
本明細書で使用される“ヘテロアルキル”、“ヘテロアルケニル”および“ヘテロアルキニル”なる用語は、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リンまたはその組合せから選択される1個またはそれ以上の骨格鎖原子を有する、所望により置換されていてよいアルキル、アルケニルおよびアルキニル部分を含む。“ヘテロアルキル”“ヘテロアルケニル”および“ヘテロアルキニル”基は非置換であるかまたは置換されていてよい。
【0057】
本明細書で使用される“ヘテロアリール”またはあるいは“ヘテロ芳香族”なる用語は、窒素、酸素、硫黄から選択される1個またはそれ以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を意味する。単なる例として、N−含有“ヘテロ芳香族”または“ヘテロアリール”部分は、環の少なくとも1個の骨格原子が窒素原子である芳香族性基を意味する。多環式ヘテロアリール基は縮合されているかまたは非縮合であり得る。ヘテロアリール基は非置換であるかまたは置換されていてよい。
【0058】
本明細書で使用される“ヘテロ環”なる用語は、環骨格が窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1個の原子を含む環構造を意味する。ヘテロ環式芳香族基の例は、限定すべきでないが、アクリジニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾイミダゾリル、ベンゾインダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、フラザニル、フロピリジニル、フリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インドリジニル、インドリジニル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチニル(phenoxathiynyl)、チアントレニル、フェナスリジニル(phenathridinyl)、フェナスロリニル(phenathrolinyl)、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、プテリジニル、ピラジル、ピラゾリル、ピリジル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアジニル、(1,2,3,)−および(1,2,4)−トリアゾリルなどを含む。加えて、ヘテロ環基は非置換であるかまたは置換されている。非芳香族性ヘテロ環基の例は、限定すべきでないが、アゼピニル、アゼパン−2−オニル、アゼチジニル、ジアゼピニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イル、ジチアニル、ジチオラニル、ホモピペリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、インドリニル、インドリル、モルホリニル、オキサゼピニル、オキセパニル、オキセタニル、オキシラニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペリジノニル、ピペラジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリジニル、ピロリジノニル、ピロリニル、キノリジニル、チエタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピラニル、チアゼピニル、チエパニル、チオモルホリニル、チオラニル、チオキサニルなどを含む。ヘテロ環式基は縮合されているかまたは非縮合であり得る。該基に記載の語はまた全ての可能である互変異性体を含む。
【0059】
本明細書で使用される“ハロゲン”なる用語はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。好ましいハロゲン基はフルオロ、クロロおよびブロモである。
【0060】
“ハロアルキル”、“ハロアルケニル”“ハロアルキニル”および“ハロアルコキシ”なる用語は1個またはそれ以上のハロゲン基でまたはそれらの組合せで置換されているアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシ構造を含む。
【0061】
本明細書で使用される“員環”なる用語は、何らかの環状構造を含み得る。“員”なる用語は環を構成する骨格原子の数を示すことを意味する。したがって、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピランおよびチオピランは6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フラン、およびチオフェンは5員環である。
【0062】
本明細書で使用される“部分”なる用語は、特定の断片または分子の官能基を意味する。化学的部分は、分子内に組み込まれているまたは分子に付加されている化学的存在としばしば理解される。
【0063】
本明細書で使用される“保護基”なる用語は、いくつかのまたはすべての反応部分を遮断し、そして保護基が除去されるまでそのような基が化学反応に参加することから保護する化学的部分を意味する。
【0064】
本明細書で使用される“反応剤”なる用語は共有結合を作るために使用される求核剤または求電子剤を意味する。
【0065】
“スルホニル”なる用語は所望により他の部分、例えば、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基に結合している硫黄原子の存在を意味する。アリールまたはアルキルスルホニル部分はR’が本明細書に定義のとおりのアルキルまたはアリールである式−SOR’を有し、限定すべきでないが、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびフェニルスルホニル基である。スルホニル基は非置換であるかまたは置換されている。フェニルスルホニルは独立してハロゲン、アルキル、およびアルコキシから選択される1から3個の置換基で所望により置換されている。
【0066】
特に明記しない限り、置換基が“所望により置換されている”と記載されているとき、それは置換基は個々におよび独立して、例えば、アルケニル、アルキル、アルコキシ、アルキルアミン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、モノ−およびジ−置換アミノ基を含むアミノ、アリール、アリールオキシ、アリールチオ、カルボニル、炭素環、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロ環、ヒドロキシ、イソシアネート、イソチオシアネート、メルカプト、ニトロ、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、ペルハロアルキル、ペルフルオロアルキル、シリル、スルホニル、チオカルボニル、チオシアネート、トリハロメタンスルホニル、およびそれらの保護された化合物から選択される1個またはそれ以上の基で置換されていてもよい基であることを意味する。上記置換基の保護されている化合物を形成し得る保護基は当業者に既知であり、参考文献、例えば、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999, and Kocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994に見いだすことができ、その全体を出典明示により本明細書に含む。
【0067】
特定の薬学用語
本明細書で使用される製剤、組成物または成分に関する“許容される”なる用語は、処置される対象の一般的健康状態に永続的な有害事象を有さないことを意味する。
【0068】
本明細書で使用される“アゴニスト”なる用語は他の分子の活性または受容体部位の活性を増加する分子、例えば、化合物、薬剤、酵素アクチベータまたはホルモンモジュレータを意味する。
【0069】
本明細書で使用される“アンタゴニスト”なる用語は、他の分子の活性または受容体部位の活性を減少または阻害する分子、例えば、化合物、薬剤、酵素阻害剤、またはホルモンモジュレータを意味する。
【0070】
本明細書で使用される“担体”なる用語は、細胞または組織内への化合物の取り込みを容易にする比較的無毒性な化学化合物または薬剤を意味する。
【0071】
本明細書で使用される“共投与”などなる用語は単独の患者への選択された治療剤の投与を含むことを意味し、薬剤が同じまたは異なる投与形路によりまたは同じまたは異なる時間に投与される処置レジメンを含むことを意図する。
【0072】
本明細書で使用される“有効量”または“治療有効量”なる用語は処置される疾患または状態の1種またはそれ以上の症状をある程度軽減する、投与する薬剤または化合物の十分な量を意味する。その結果は、徴候、症状、もしくは疾患の原因の軽減および/または緩和、または生物系のなんらかの他の所望の変化であり得る。例えば、治療的使用のための“有効量”は、疾患の臨床的に顕著な軽減を提供するために必要とされる、本明細書に記載の化合物を含む組成物の量である。すべての個々の場合において、適当な“有効”量は用量漸増試験のような技術を使用して測定できる。
【0073】
本明細書で使用される“増強する”または“増強”なる用語は、所望の効果の効力または持続時間のいずれかの増加または延長を意味する。したがって、治療剤の効果の増強に関して、“増強”なる用語は、系中の他の治療剤の効果の効力または持続時間のいずれかを増加または延長する能力を意味する。本明細書で使用される“増強有効量”は所望の系中の他の治療剤の効果を増強するために適当な量を意味する。
【0074】
“キット”および“製品”なる用語は同意語として使用される。
【0075】
本明細書で使用される“代謝物”なる用語は化合物が代謝されるときに形成される化合物の誘導体を意味する。
【0076】
本明細書で使用される“活性な代謝物”なる用語は、化合物が代謝されるとき形成される、生物学的に活性な化合物の誘導体を意味する。
【0077】
本明細書で使用される“代謝される”なる用語は、特定の物質が生物により変えられる工程(限定すべきでないが、加水分解反応および酵素により触媒される反応を含む)の合総和を意味する。したがって、酵素は化合物に特定の構造変化を引き起こし得る。例えば、シトクロムP450は様々な酸化および還元反応を触媒し、一方ウリジン二リン酸グルクロントランスフェラーゼは、活性グルクロン酸分子の芳香族性アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミンおよび遊離スルヒドリル基への変換を触媒する。代謝におけるさらなる情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)から得ることができる。
【0078】
本明細書で使用される“調節する”なる用語は、単なる例示であるが、標的の活性を増加する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を延長することを含む、標的の活性を変化するために直接的または間接的にいずれかで標的と相互作用することを意味する。
【0079】
本明細書で使用される“モジュレータ”なる用語は直接的または間接的にいずれかで標的と相互作用する分子を意味する。相互作用は限定すべきでないが、アゴニストおよびアンタゴニストの相互作用を含む。
【0080】
本明細書で使用される“薬学的に許容される”とは、化合物の生物活性または特性を失わせず、比較的に無毒性である物質、例えば、担体または希釈剤を意味し、すなわち、該物質は望ましくない生物学的効果をもたらす、または含まれている組成物の何らかの成分と有害な相互作用がなく個体に投与できる。
【0081】
本明細書で使用される化合物の“薬学的に許容される塩”なる用語は、薬学的に許容される塩を意味する。
【0082】
本明細書で使用される“薬学的組合せ”なる用語は、2つ以上の活性成分の混合および組合せによる生成物を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されていない組成物両方を含む。“固定された組成物”なる用語は活性成分、例えば、式(1)の化合物および共薬剤を両方、1つの存在または投与形で同時に患者に投与することを意味する。“固定されていない組成物”なる用語は活性成分、例えば、式(1)の化合物および共薬剤を、同時に、一緒にまたは具体的時間制限なしに連続的にのいずれかで別々の存在として患者に投与することであって、このような投与は患者の身体に有効量の2つの化合物を提供することを意味する。後者はまたカクテル療法、例えば、3種またはそれ以上の活性成分の投与にも適用される。
【0083】
本明細書で使用される“医薬組成物”なる用語は活性化合物と他の化学成分、例えば、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤の混合物を意味する。
【0084】
本明細書で使用される“プロドラッグ”は、体内での代謝処理が薬剤または化合物を薬理学的活性形に変換するものである薬剤または化合物を意味する。
【0085】
“対象”または“患者”なる用語は哺乳動物および非哺乳動物を含む。哺乳動物の例は、限定すべきでないが、すべての哺乳動物種:ヒト、非ヒト霊長類、例えば、チンパンジー、および他の類人猿およびサル種;飼育動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;家畜、例えば、ウサギ、イヌ、およびネコ;齧歯動物、例えば、ラット、マウスおよびモルモットなどを含む実験動物を含む。非哺乳動物の例は、限定すべきでないが、トリ、魚などを含む。本明細書で提供される方法および組成物の1つの態様において、哺乳動物はヒトである。
【0086】
本明細書で使用される“処置する”“処置し”または“処置”なる用語は、疾患または症状の状態を緩和、軽減または改善すること、さらなる症状を予防すること、症状の根本的な代謝的原因を改善するまたは予防すること、疾患または状態を阻害すること、例えば、疾患または状態の進行を阻止すること、疾患または状態を軽減すること、疾患または状態の回復をもたらすこと、疾患または状態により引き起こされる状態を軽減すること、または疾患または状態の症状を停止することを含む。
【0087】
生物活性の説明
ミネラルコルチコイド受容体(MR)
ミネラルコルチコイドはミネラル、ナトリウム、およびカリウムの代謝におけるそれらの役割のためそう名付けられる。これらのステロイドに対する伝統的な役割は、それらの効果を担う上皮組織、例えば、腎臓および遠位結腸の液体および電解質平衡の調節である。非上皮組織、例えば、心臓および血管系におけるミネラルコルチコイド生成酵素および受容体、ならびに様々な状態、例えば、心不全および高血圧におけるこの経路の阻止の好ましい効果が同定されている。
【0088】
内臓組織、例えば、腎臓および消化管において、MRはアルドステロンに応答してナトリウム保持、カリウム排出、および水分バランスを調節する。アルドステロンレベルの上昇、またはミネラルコルチコイド受容体の過剰な刺激は、コーン症候群、原発性および続発性高アルドステロン症、ナトリウム保持の増加、マグネシウムおよびカリウム排出(利尿)の増加、水分保持の増加、高血圧(収縮期および収縮/拡張複合)、不整脈、心筋線維症、心筋梗塞、バーター症候群、うっ血性心不全(CHF)、および過剰カテコールアミンレベル関連状態を含むいくつかの病的状態または病理学的疾患状態に関連する。加えて、脳におけるMR発現は神経細胞の興奮性の制御、視床下部・下垂体・副腎系の負のフィードバック調節、および行動遂行の認識局面において役割を果たすように見える。特に、ミネラルコルチコイド受容体およびMR活性の調節は不安および大鬱病に関与する。最後に、MRの発現は乳癌腫の分化に関連し得る。
【0089】
MRを選択的に調節する化合物は、限定すべきでないが、癌、乳癌、コーン症候群、原発性および続発性高アルドステロン症、ナトリウム保持の増加、マグネシウムおよびカリウム排出(利尿)の増加、水分保持増加、高血圧(収縮期および収縮/拡張複合)、不整脈、心筋線維症、心筋梗塞、バーター症候群、うっ血性心不全(CHF)、過剰カテコールアミンレベル関連状態、認知機能障害、精神病、認識状態、記憶障害、気分状態(mood condition)、鬱病、躁鬱状態、不安症、および人格障害を含む様々な疾患および状態の処置または予防において臨床上重要である。
【0090】
グルココルチコイド受容体(GR)
コルチコステロイド類であるグルココルチコイドは免疫系および複数の臓器系において大きな作用を有する内因性ホルモンである。それらは炎症性サイトカイン、例えば、IL−1、IL−2、IL−6、およびTNFの阻害、プロスタグランジンおよびロイコトリエンを含むアラキドン酸代謝物の阻害、T−リンパ球の枯渇、および内皮細胞における接着分子の発現の現象により様々な免疫および炎症機能を抑制する。これらの作用に加えて、グルココルチコイドは肝臓のグルコース生産およびタンパク質の異化を刺激し、電解質および水分バランスの役割を果たし、カルシウム吸収を減少させ、そして骨芽細胞機能を阻害する。
【0091】
GRはほとんど全ての組織および臓器形で発現され、中枢神経系の機能ならびに心臓血管、代謝および免疫ホメオスタシスの維持の完全性のために不可欠である。グルココルチコイド(例えば、コルチゾール、コルチコステロン、およびコルチゾン)、およびグルココルチコイド受容体は、様々な病的状態または病理学的疾患状態の病因に関連している。例えば、コルチゾール分泌不全は筋衰弱、皮膚のメラニン沈着増加、体重減少、低血圧、および低血糖をもたらす疾患の病因に関連する。他方では、グルココルチコイドの過剰なまたは長期の分泌はクッシング症候群と相関しており、また肥満、高血圧、耐糖能障害、高血糖、糖尿病、骨粗鬆症、多尿症、および多渇症をもたらし得る。
【0092】
GRを選択的に調節する化合物は、限定すべきでないが、炎症、組織拒絶反応、自己免疫、悪性腫瘍、例えば、白血病およびリンパ腫、クッシング症候群、急性副腎不全、先天性副腎過形成、リウマチ熱、結節性多発動脈炎、肉芽腫性多発動脈炎、骨髄細胞系の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA系抑制および調節、副腎皮質機能亢進症、Thl/Th2サイトカインバランスの調節、慢性腎臓疾患、卒中および脊髄損傷、低カルシウム血症、高血糖、急性副腎不全、慢性原発性副腎不全、続発性副腎機能低下症、先天性副腎過形成、脳浮腫、血小板減少症、リトル症候群、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞動脈炎、リウマチ性関節炎、骨関節症、枯草熱、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、血管神経性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液包炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎、および肝硬変症;創傷治癒および組織修復、炎症性頭皮脱毛症、脂肪織炎、乾癬、円板状エリテマトーデス、炎症嚢胞、アトピー性皮膚炎、壊疽性膿皮症、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性脈管炎、サルコイドーシス、スウィーツ病、1型反応性ハンセン病、毛細血管腫、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、アクネ、多毛症、中毒性表皮剥離症、多形性紅斑、皮膚T−細胞リンパ腫、気腫、神経性炎症状態、多発性硬化症およびアルツハイマー病を含む様々な疾患および状態の処置または予防において臨床上重要である。
【0093】
アンドロゲン受容体(AR)
アンドロゲンは標的組織の細胞の内側の特定の受容体、アンドロゲン受容体(AR)に結合する。ARは身体の多数の組織で発現され、内因性アンドロゲンリガンド、例えば、テストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)の生理学ならびに病態生理学作用を発現する受容体である。構造的に、ARは3つの主な機能ドメイン:リガンド結合ドメイン(LBD)、DNA−結合ドメイン、およびアミノ−末端ドメインからなる。ARに結合し、内因性ARリガンドの作用を模倣する化合物はARアゴニストとして称され、一方、内因性ARリガンドの作用を阻害する化合物はARアンタゴニストと称される。アンドロゲン受容体への結合はそれを活性化し、標的遺伝子に隣接したDNA結合部位に結合する。そこから、それはコアクチベータタンパク質および基礎的転写因子と相互作用し、遺伝子発現を調節する。したがって、その受容体を介して、アンドロゲンは細胞の遺伝子発現を変化させる。これらの変化は最終的に標的組織の生理学で明白である細胞の代謝生産量、分化または増殖の結果を有する。
【0094】
ARを選択的に調節する化合物は、限定すべきでないが、前立腺癌、良性前立腺肥大、女性の多毛症、脱毛症、拒食症、乳癌、アクネ、筋骨格状態、例えば、骨疾患、造血障害、神経筋疾患、リウマチ性疾患、消耗性疾患、癌、AIDS、悪液質、男性の避妊において使用されるホルモン補充療法(HRT)のために、男性の性能強化のために、男性の生殖状態(male reproductive condition)のために、および原発性または続発性男性の性腺機能低下症を含む様々な疾患および状態の処置または予防において臨床上重要である。
【0095】
エストロゲン受容体(ER)
エストロゲンは男性および女性両方の生殖、中枢神経、骨、および循環系の発生およびホメオスタシスにおいて重要な役割を果たす。エストロゲン受容体(ER)は前立腺、膀胱、卵巣、精巣、肺、小腸、血管内皮、および脳の様々な部分を含む多くの組織で発現される。
【0096】
ERを選択的に調節する化合物は、限定すべきでないが、前立腺癌、精巣癌、卵巣癌、肺癌、心臓血管疾患、神経変性状態、尿失禁、CNS状態、多発性硬化症、GI管状態、骨粗鬆症、骨折、パジェット病、骨代謝回転異常増加、歯周病、歯喪失、リウマチ性関節炎、骨関節症、人工器具周辺骨溶解、骨形成不全症、骨転移疾患、悪性高カルシウム血症、および多発性骨髄腫、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、乳癌、子宮癌、体熱感、認知機能障害、変性脳状態、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満および失禁を含む様々な疾患および状態の処置または予防において臨床上重要である。
【0097】
プロゲステロン受容体(PR)
プロゲステロンは、主に生殖器系の発生および維持におけるその役割のために既知であるステロイドホルモンである。プロゲステロンはPRに対する天然リガンドであり、そして結合したとき受容体/リガンド複合体が形成される。この複合体は細胞DNAに存在する特定の遺伝子プロモーターに結合し、その遺伝子によりコードされるmRNAおよびタンパク質の生産を調節する。PRに対する合成リガンドは、天然ホルモンの作用を模倣するアゴニストであり得るか、またはそれらはホルモンの効果を阻害するアンタゴニストであり得る。
【0098】
プロゲステロンは生殖器官外の広範囲の生物過程に関連している。末梢神経系において、プロゲステロンは再生神経の髄鞘形成を促進する。プロゲステロンはシュワン細胞(ミエリンを生産する細胞型)により合成され、PRはラットからの一次シュワン細胞培養において検出されており、自己分泌ループの存在が示唆される。プロゲステロンはPRに結合し、転写因子Krox−20の転写を刺激し、これが次にいくつかのミエリンタンパク質遺伝子の転写を刺激することによりミエリン形成を促進するように見える。したがって、プロゲステロンの局所および全身生産両方が神経繊維腫増殖の一因となり得る。したがって、PRを選択的に調節する化合物は限定すべきでないが、ホルモン依存性乳癌、子宮および卵巣癌、非悪性慢性疾患および状態、例えば、線維腫、ホルモン依存性前立腺癌を含む様々な疾患および状態の処置または予防、ならびにホルモン補充療法で臨床上重要である。
【0099】
化合物
式(1)の化合物、それらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、および薬学的に許容される溶媒和物はステロイドホルモン核受容体の活性を調節し、それ自体異常なステロイドホルモン核受容体活性が疾患または状態の病状および/または症状の一因となる疾患または状態を処置するために有用である。
【0100】
式(1)
【化28】

の化合物において、LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;XはO、NまたはSであり;そしてYはO、NまたはSである。加えて、AはCR=CR、N=CR、CR=N、およびCR3’から選択され、一方QはCR=CR、N=CR、CR=N、およびCR6’から選択される。置換基R、R3’、R、R、R、R6’、R、およびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール、(Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−(いずれかの幾何学的配置)、−C(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され;所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択される。置換基R、R、およびRは独立してH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール、(Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−(いずれかの幾何学的配置)、−C(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリールまたはハロヘテロアリール、NR1011、(R10およびR11は独立してH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキルであるか、または一緒に形成する所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環から選択される。さらに、式(1)の化合物において、置換基RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分、(Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−(いずれかの幾何学的配置)、−C(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)から選択される)からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;一方、置換基RはH、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール、(Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−(いずれかの幾何学的配置)、−C(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はH、ハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択される。あるいは、置換基RおよびRは一緒になって所望により置換されている4から8員環を形成し得;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールである。
【0101】
式(1)のある態様は式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)および式(25)として下記に示される。
【化29】

【化30】

【化31】

【0102】
式(A)の化合物、それらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、および薬学的に許容される溶媒和物はステロイドホルモン核受容体の活性のモジュレータと見なされており、それ自体異常なステロイドホルモン核受容体活性が疾患または状態の病状および/または症状の一因となる疾患または状態を処置するために有用である。
【0103】
式(A)
【化32】

の化合物に関する置換基は、式(1)の化合物での置換基に加えてRはH、ハロゲン、CN、OH、NO、N、NH、SHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール、(Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−(いずれかの幾何学的配置)、−C(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−(いずれかの幾何学的配置)から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択される;所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択される。
【0104】
式(B)の化合物、それらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、および薬学的に許容される溶媒和物はステロイドホルモン核受容体の活性のモジュレータと見なされており、それ自体は異常なステロイドホルモン核受容体活性が疾患または状態の病状および/または症状の一因となる疾患または状態を処置するために有用である。
【0105】
式(B)
【化33】

の化合物において、環構造Jはヘテロ環である。一つの態様において、環構造Jは少なくとも2個のヘテロ原子を含み、そしてさらなる態様において環構造Jのヘテロ原子はN、OまたはSから選択される。式(B)の化合物に関する置換基は式(1)および式(A)の化合物での置換基である。
【0106】
化合物の合成
式(1)の化合物および前の段落に記載されている構造を有する化合物は、当業者に既知の標準合成技術を使用して、または当分野で既知の方法と本明細書に記載されている方法を組み合わせて使用して合成できる。加えて、本明細書に存在する溶媒、温度および他の反応条件は、当業者の経験および知識にしたがって変化し得る。
【0107】
本明細書に記載されている式(1)の化合物および前の段落に記載されている構造を有する化合物の合成するために使用される出発物質は、商業的供給源、例えば、Aldrich Chemical Co. (Milwaukee, Wis.), Sigma Chemical Co. (St. Louis, Mo.)から得ることができるか、または出発物質は合成できる。本明細書に記載されている化合物、および異なる置換基を有する他の関連化合物は、例えば、March, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed., (Wiley 1992); Carey and Sundberg, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed., Vols. A and B (Plenum 2000, 2001)、およびGreen and Wuts, PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 3rd Ed., (Wiley 1999)(これらは全体を出典明示により包含させる)に例えば記載されている当業者に既知の技術および物質を使用して合成できる。本明細書に記載されている化合物の一般的な製造法は当分野で既知の反応由来であり得、そして該反応は、当業者により認識されるとおり、本明細書で提供される式で見られる様々な部分の導入のため適当な試薬および条件の使用により修正され得る。下記の合成法は、手引きとして利用できる。
【0108】
求電子剤と求核剤の反応による共有結合の形成
本明細書に記載されている化合物は新規官能基または置換基を形成するために様々な求電子剤または求核剤を使用して修正され得る。“共有結合およびそれらの前駆体の例”と題される表1は、生じる共有結合および前駆官能基の選択した例を記載しており、そして利用可能な様々な求電子剤および求核剤の組合せのための手引きとして使用できる。前駆官能基を求電子基および求核基として示す。
【0109】
表1:共有結合およびそれらの前駆体の例
【表1】

【表2】

【0110】
保護基の使用
記載されている反応において、反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基を、これらが最終産物に望まれるとき、反応への望ましくない関与を避けるために、保護することが必要であり得る。保護基は、いくつかのまたは全ての反応部分を遮断し、そして保護基が除去されるまでそのような基が化学反応に参加することから保護するために使用される。各反応基は異なる手段により除去できることが好ましい。全く異なる反応条件下で開裂される保護基は、異なる除去の必要性を満たす。保護基は酸、塩基、および水素化分解により除去できる。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタールおよびt−ブチルジメチルシリルのような基は酸に不安定であり、そして水素化分解により除去できるCbz基、および塩基に不安定であるFmoc基で保護されるアミノ基の存在下で、カルボキシおよびヒドロキシ反応性部分を保護するために使用できる。カルボン酸およびヒドロキシ反応性部分は、酸に不安定な基、例えば、t−ブチルカルバメートで、または酸および塩基両方に安定であるが加水分解で除去できるカルバメートで保護されているアミンの存在下で、塩基に不安定な基、例えば、限定すべきでないが、メチル、エチル、およびアセチルで保護できる。
【0111】
カルボン酸およびヒドロキシ反応部分はまた加水分解で除去できる保護基、例えば、ベンジル基で保護でき、一方酸で水素結合できるアミン基は塩基に不安定な基、例えば、Fmocで保護できる。カルボン酸反応部分は本明細書で例示されているとおりの1つのエステル化合物に変換することより保護され得るか、またはそれらは酸化で除去できる保護基、例えば、2,4−ジメトキシベンジルで保護でき、一方共存アミノ基はフッ化物に不安定なシリルカルバメートで保護できる。
【0112】
アリル保護基は、酸−および塩基−保護基の存在下で、前者が安定であるため有用であり、そして次いで金属またはpi−酸触媒により除去できる。例えば、アリル−保護カルボン酸は酸に不安定なt−ブチルカルバメートまたは塩基に不安定な酢酸アミン保護基の存在下でPd−触媒反応で脱保護できる。保護基のさらなる別の形態は化合物または中間体へ結合し得る樹脂である。残基が樹脂に結合している限り、官能基は保護され、反応できない。いったん樹脂から遊離すると、官能基は反応に利用できる。
【0113】
一般的に封鎖基/保護基は下記から選択される:
【化34】

【0114】
他の保護基と保護基の創造およびそれらの除去に適切な技術の詳細な説明はGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999, and Kocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994に記載されており、その内容を出典明示により本明細書に包含させる。
【0115】
式(1)の化合物を得るための合成スキームはLおよびZのアイデンティティに依存し得る。単なる例示であるが、LがNであり、そしてZがNである式(2)の化合物は例となる反応スキーム1a、1b、2aおよび2bにしたがって合成され得;LがNであり、そしてZがCである式(3)の化合物は例となる反応スキーム4aおよび4bにしたがって合成し得;LがCであり、そしてZがNである式(4)の化合物は例となる反応スキーム6aおよび6bにしたがって合成され得;そしてLがNであり、そしてZがNである式(5)の化合物は例となる反応スキーム6aおよび6bにしたがって合成され得る。
【0116】
式(2)の化合物は反応スキーム1aにしたがって合成され得、無水化合物(A)をアルキル化およびアシル化し、式(B)の化合物を得る。式(B)の化合物とヒドラジンの処理で式(C)の中間体化合物を生じ、それを塩素化ステップによりクロロ−化合物(D)に変換する。クロロ−化合物(D)のアミノ化はアミノ化合物(E)を製造し、それを臭素化し、そしてシアン化し、式(2)の化合物を得る。
スキーム1a
【化35】

【0117】
あるいは、式(2)の化合物は反応スキーム1bにしたがって合成され得、無水化合物(A)をアルキル化またはアシル化し式(B)の化合物を得る。式(B)の化合物とヒドラジンの処理で式(C)の中間体化合物を生じ、塩素化ステップによりクロロ−化合物(D)に変換する。クロロ−化合物(D)をシアノ置換アミノ化合物でアミノ化し式(2)の化合物を製造する。
スキーム1b
【化36】

【0118】
加えて、式(2)の化合物は反応スキーム2aまたは反応スキーム2bにしたがって合成され得、ホスホニウム塩(F)は連続してアシル化またはアルキル化し、ヒドラジンで処理し、次いで塩素化し、クロロ−フタラジン化合物(D)を得る。(D)のアミノ化、次いで臭素化およびシアノ化し(スキーム2a)式(2)の化合物を得るか、またはあるいはクロロ−フタラジン化合物(D)をシアノ置換アミノ化合物とアミノ化し(スキーム2b)また式(2)の化合物を得る。
スキーム2a
【化37】

スキーム2b
【化38】

【0119】
あるいは、式(2)の化合物は反応スキーム3にしたがって合成され得、最初に式(G)のジクロロ化合物とビニル結合ボロン酸(vinyliguous boronic acid)とスズキカップリング、式(H)の化合物を得、アミノ化し、式(I)のアミノ化合物を得る。式(I)のアミノ化合物のスチレン置換基の酸化的開裂をし、アルデヒド置換基を有するアミノ化合物(式(J))を得、R置換基を変換するための方法としてさらなる変換、例えば、単なる例示であるがオレフィン化、グリニャール添加、およびアルドール化学が使用され得る。
スキーム3
【化39】

【0120】
式(2)の化合物はまた反応スキーム4にしたがって合成され得、ジクロロ化合物(G)をアルコールまたはアミンで求核置換反応に付し、式(K)の化合物を得、次いでアミノ化反応し、式(L)の化合物を得る。式(L)の化合物のX−R’置換基は式(2)の化合物のR基に変換するため修飾され得る。
スキーム4
【化40】

【0121】
あるいは、式(2)の化合物はまた反応スキーム5にしたがって合成され得、スキーム4の一連の段階を反転させ、ジクロロ化合物(G)をアミノ化に付し、式(M)の化合物を得、次にアルコールまたはアミンで求核置換反応し、式(L)の化合物を得る。式(L)の化合物のX−R’置換基は式(2)の化合物のR基に変換するため修飾され得る。
スキーム5
【化41】

【0122】
式(2)の化合物はまた反応スキーム6および7にしたがって合成され得、非置換アミン基は様々なR基で置換される。
スキーム6
【化42】

スキーム7
【化43】

【0123】
特に、式(22)のフタラジン化合物の合成は単なる例示であるが、反応スキーム8に示され、アリール基質を無水フタル酸化合物に濃縮し、インデン−1−オン化合物を得る。インデン−1−オン化合物をヒドラジンで処理し、次いでPOClまたは他の塩素化試薬で塩素化し、クロロ−フタラジン化合物を生じる。クロロフタラジン化合物のアミノ化で対応するアミノ化合物を製造し、このアミノ化合物を臭素化し、次いでシアン化し(例えば、マイクロ波照射下でZn(CN)およびPd(PPhを使用して)、式(22)のフタラジン化合物を得る。
スキーム8
【化44】

【0124】
加えて、式(22)のフタラジン化合物の合成は、単なる例示であるが、反応スキーム9で示され、ジクロロフタラジンをビニルボロン酸とスズキカップリングに付し、得られるスチレン置換クロロフタラジンをアミノ化し、それによりスチレン置換アミノフタラジンを生成する。スチレンの酸化的開裂でアルデヒドを得、R置換基を変換するための方法としてさらなる変換、例えば、単なる例示であるがオレフィン化、グリニャール添加、およびアルドール化学が使用され得、式(22)の様々なフタラジン化合物を得る。
スキーム9
【化45】

【0125】
式(22)のフタラジン化合物はまた単なる例示であるが、反応スキーム10で示されるとおりに合成され得、ジクロロフタラジン化合物をアルコールまたはアミンで求核置換反応に付し、置換クロロフタラジン化合物を得、アミノ化し、置換アミノフタラジン化合物を得る。アミノフタラジン化合物のX−R’置換基は式(22)の化合物のR基を変換するため修飾され得る。
スキーム10
【化46】

【0126】
あるいは、式(22)のフタラジン化合物はまた単なる例示であるが、反応スキーム11に示されるとおりに合成され得、スキーム8の段階を反転させた。ジクロロフタラジン化合物を最初にアミノ化し、置換アミノフタラジン化合物を得、次いでアルコールまたはアミンで求核置換反応に付し、置換アミノフタラジン化合物を得る。アミノフタラジン化合物のX−R’置換基は式(22)の化合物のR基を変換するため修飾され得る。
スキーム11
【化47】

【0127】
あるいは、式(22)のフタラジン化合物はまた単なる例示であるが、反応スキーム12で示されるとおりに合成され得、アミン基の置換で式(22)の化合物を生じる。
スキーム12
【化48】

【0128】
LがNであり、そしてZがCであるとき式(3)の化合物が生じる。このような化合物は反応スキーム13aにしたがって合成され得、クロロ化合物(O)は式(N)の化合物の塩素化により得られる。次いでクロロ−化合物をアミノ化し、式(P)の化合物を生じ、臭素化、次いでシアン化し、式(3)の化合物を得る。
スキーム13a
【化49】

【0129】
同様に、式(3)の化合物は反応スキーム13bにしたがって合成され得、式(N)の化合物を塩素化し、次いでシアノ置換基を含むアミン化合物でアミノ化し、式(3)の化合物を生じる。
スキーム13b
【化50】

【0130】
式(23)のイソキノリン化合物の合成は単なる例示であるが、反応スキーム14で示され、イソキノリン−1−オン化合物をPOClまたは他の塩素化試薬で塩素化し、対応するクロロ−イソキノリン化合物を得る。クロロ−イソキノリン化合物のアミノ化で対応するアミノ化合物を製造し、臭素化し、次いでシアン化し(例えば、マイクロ波照射下でZn(CN)およびPd(PPhを使用して)、式(23)のイソキノリン化合物を得る。
スキーム14
【化51】

【0131】
LがCであり、そしてZがNであるとき式(4)の化合物が生じる。このような化合物は反応スキーム15aにしたがって合成され得、クロロ化合物(R)は式(Q)の化合物の塩素化により得られる。次いでクロロ化合物をアミノ化し、式(S)の化合物を生じ、臭素化し、次いでシアン化し、式(4)の化合物を得る。
スキーム15a
【化52】

【0132】
同様に、式(4)の化合物は反応スキーム15bにしたがって合成され得、式(Q)の化合物を塩素化し、次いでシアノ置換基を含むアミン化合物でアミノ化し、式(4)の化合物を生じる。
スキーム15b
【化53】

【0133】
式(24)のイソキノリン化合物の合成は単なる例示であるが、反応スキーム16に示され、イソキノリノール化合物をPOClまたは他の塩素化試薬で塩素化し、対応するクロロイソキノリン化合物を得る。クロロイソキノリン化合物のアミノ化で対応するアミノ化合物を製造し、臭素化し、次いでシアン化し(例えば、マイクロ波照射下でZn(CN)およびPd(PPhを使用して)、式(24)のイソキノリン化合物を得る。
スキーム16
【化54】

【0134】
反応スキーム14および反応スキーム16に示される式(23)および式(24)の化合物の合成で使用される出発イソキノリン化合物は限定すべきでないが、Gabriel−Colman転位、Bischler−Napieralski反応、Pictet−Gamsイソキノリン合成、およびPictet−Spenglerイソキノリン合成を含む既知の方法により合成され得る。イソキノリンの合成の限定すべきでない例は反応スキーム17に記載されている(置換基R’はシスまたはトランス配置のいずれかであり得る)。
スキーム17
【化55】

【0135】
LがCであり、そしてZがCであるとき式(5)の化合物が生じる。このような化合物は反応スキーム18aにしたがって合成され得、クロロ化合物(U)は式(T)の化合物の塩素化により得られる。次いでクロロ化合物をアミノ化し、式(V)の化合物を生じ、臭素化し、次いでシアン化し、式(5)の化合物を得る。
スキーム18a
【化56】

【0136】
同様に、式(5)の化合物は反応スキーム18bにしたがって合成され得、式(T)の化合物の塩素化し、次いでシアノ置換基を含むアミン化合物でアミノ化し、式(5)の化合物を生じる。
スキーム18b
【化57】

【0137】
式(25)のナフタレン化合物の合成は単なる例示であるが、反応スキーム19で示され、ナフタレン化合物を塩素化し、対応するクロロナフタレン化合物を得る。クロロナフタレン化合物のアミノ化で対応するアミノ化合物を製造し、臭素化し、次いでシアン化し(例えば、マイクロ波照射下でZn(CN)およびPd(PPhを使用して)、式(25)のナフタレン化合物を得る。
スキーム19
【化58】

【0138】
化合物のさらなる型
便宜上、本明細書のこの章および他の部分に記載されている化合物の型および他の特徴は1つの式、例えば、単なる例示であるが“式(1)”を使用する。しかし、本明細書に記載されている化合物の型および他の特徴は式(1)の範囲内に収まる本明細書に存在する全ての式に同様に充分に適用する。例えば、本明細書に記載されている化合物の型および他の特徴は式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(A)、式(B)の構造を有する化合物、ならびにこれらの一般式の範囲内に収まる全ての特定の化合物に適用できる。
【0139】
式(1)の化合物は、本化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、またはアルミニウムイオンにより置換されるか;または有機塩基と配位結合するとき、形成される薬学的に許容される塩として製造できる。加えて、記載されている化合物の塩形は出発物質または中間体の塩を使用して製造できる。
【0140】
式(1)の化合物は、化合物の遊離塩基形と、薬学的に許容される、限定すべきでないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸などのような無機酸;および/または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、Q−トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、アリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、およびムコン酸のような有機酸を含む、無機酸または有機酸を反応させることにより、薬学的に許容される酸付加塩(薬学的に許容される塩型である)として製造できる。
【0141】
あるいは、式(1)の化合物は化合物の遊離酸形と薬学的に許容される、限定すべきでないが、有機塩基、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどおよび無機塩基、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを含む無機塩基または有機塩基を反応させることにより、薬学的に許容される塩基付加塩(薬学的に許容される塩の型である)として製造できる。
【0142】
薬学的に許容される塩とはそれらの溶媒付加形または結晶形、特に溶媒和物または多形を含むと理解されるべきである。溶媒和物は化学量論のまたは非化学量論のいずれかの量の溶媒を含み、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどでの結晶化過程中に形成され得る。水和物は溶媒が水であるとき形成され、またアルコラートは溶媒がアルコールであるとき形成される。式(1)の化合物の溶媒和物は本明細書に記載されている方法で都合よく製造または形成できる。単なる例示であるが、式(1)の化合物の水和物は限定すべきでないが、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールを含む有機溶媒を使用して、水性/有機溶媒混合物からの結晶化により都合よく製造できる。加えて、本明細書で提供される化合物は非溶媒和物形ならびに溶媒和物形で存在できる。一般に、溶媒和物形は本明細書で提供される化合物および方法の目的のための非溶媒和物形と同等であるを考慮される。
【0143】
式(1)の化合物は結晶形を含み、また多形として既知である。多形は、同じ元素組成の化合物の異なる結晶充填配置を含む。多形は通常、異なるX線回折像、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学および電気特性、安定性、ならびに溶解度を有する。様々な要素、例えば、再結晶化溶媒、結晶比率、および保存温度が単結晶形を決定づけ得る。
【0144】
非オキシド形の式(1)の化合物は0から80℃で適当な不活性有機溶媒、例えば、限定すべきでないが、アセトニトリル、エタノール、含水ジオキサンなど中で還元剤、例えば、限定すべきでないが、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなどで還元することにより式(1)の化合物のN−オキシドから製造され得る。
【0145】
式(1)の化合物はプロドラッグとして製造され得る。プロドラッグは一般に薬剤前駆体であり、対象への投与およびその後の吸収の後に、いくつかの過程、例えば、代謝経路による変換により活性な、またはより活性な種に変換される。いくつかのプロドラッグは、プロドラッグの活性を減少させおよび/または薬剤に溶解性もしくはいくつかの他の特性を与える、プロドラッグに存在する化学基を有する。化学基がプロドラッグから開裂および/または修飾されると活性剤が生成される。いくつかの状況において、プロドラッグは親薬剤より投与が容易であり得るため、プロドラッグはしばしば有用である。例えば、それらは経口投与で生物学的に利用可能であるが、親薬剤は利用可能でないこともある。プロドラッグはまた親薬剤を超える医薬組成物の改良された溶解性を有し得る。限定はしないがプロドラッグの例は水溶解度が流動性に不利である細胞膜を介する伝達を容易にするためにエステル(“プロドラッグ”)として投与される式(1)の化合物であるが、これは次いで、水溶解度が有利である細胞内に入ると活性物質であるカルボン酸に代謝的に加水分解される。プロドラッグのさらなる例は酸基に結合している短ペプチド(ポリアミノ酸)であり得、これは活性部分を表すために代謝される。
【0146】
プロドラッグは部位特異的な組織への薬剤輸送を増加するための調節剤として使用するため可逆性薬剤誘導体として設計され得る。これまで、プロドラッグの設計は水が主な溶媒である領域を標的化するため治療化合物の水溶解度の有効性を増していた。例えば、Fedorak et al., Am. J. Physiol., 269:G210-218 (1995); McLoed et al., Gastroenterol, 106:405-413 (1994); Hochhaus et al., Biomed. Chrom., 6:283-286 (1992); J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987); J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988); Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64:181-210 (1975); T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series;およびEdward B. Roche, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987参照、これらのすべての内容を本明細書に包含させる。
【0147】
加えて、式(1)の化合物のプロドラッグ誘導体は当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985参照)。単なる例示であるが、適当なプロドラッグは誘導体化されていない式(1)の化合物を適当なカルバミル化剤、例えば、限定すべきでないが、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロライド、パラ−ニトロフェニルカルボネートなどと反応させることにより製造できる。本明細書に記載の誘導体を製造するためにインビボで代謝される本明細書に記載されている化合物のプロドラッグ形は本特許請求のの範囲内である。確かに、いくつかの本明細書に記載されている化合物は他の誘導体または活性化合物に対するプロドラッグであり得る。
【0148】
式(1)の化合物の芳香環部分上の部位は様々な代謝反応の影響を受けやすく、したがって芳香環構造への適当な置換基、例えば、単なる例示であるが、ハロゲンの挿入がこの代謝経路を減少、最小化または除去できる。
【0149】
本明細書に記載されている化合物は(例えば、放射性同位体で)または限定すべきでないが、発色団もしくは蛍光部分、生物発光ラベル、または化学発光ラベルの使用を含むさらなる他の手段により標識化された同位体であり得る。式(1)の化合物は1個またはそれ以上のキラル中心を所有し得、それぞれの中心はRまたはS配置で存在し得る。本明細書に存在する化合物はそれらの全てのジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマー形ならびに適当な混合物を含む。式(1)の化合物は化合物のラセミ化合物と光学的に活性な分割剤を反応させ1組のジアステレオマー化合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによりそれらの個々の立体異性体として製造し得る。エナンチオマーの分離は本明細書に記載されている化合物の共有ジアステレオマー誘導体を使用して行い得るが、分離できる複合体(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)が好ましい。ジアステレオマーは異なる物理学的特徴(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの相違を利用して容易に分離できる。ジアステレオマーはキラルクロマトグラフィーにより、または好ましくは、溶解度の相違に基づく分離/分割技術により分離できる。次いでラセミ化をもたらさないであろうなんらかの実用的手段により光学的に純粋なエナンチオマーを分割剤と一緒に回収する。それらのラセミ混合物からの化合物の立体異性体の分離に適用できる技術のより詳細な説明はJean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions,” John Wiley And Sons, Inc., 1981で見いだすことができ、その内容を出典明示により本明細書に包含させる。
【0150】
加えて、本明細書で提供される化合物および方法は幾何異性体として存在し得る。本明細書で提供される化合物および方法はすべてのシス、トランス、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)異性体ならびにそれらの適当な混合物を含む。いくつかの状況において、化合物は互変異性体として存在し得る。すべての互変異性体は本明細書に記載されている式の範囲内であり、本明細書の化合物および方法により提供される。本明細書で提供される化合物および方法のさらなる態様において、1つの予備段階、組合せ、または相互変換によりもたらされるエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物はまた本明細書に記載されている適用に対して有用であり得る。
【0151】
医薬組成物/製剤/投与
便宜上、本明細書のこの章および他の部分に記載されている化合物の型および他の特徴は、例示のために1つの式、例えば“式(1)”を使用する。しかし、本明細書に記載されている化合物の型および他の特徴は、式(1)の範囲内に収まる本明細書で提示される全ての式に同等に適切に適用することができる。例えば、本明細書に記載されている医薬組成物および製剤は式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(A)、式(B)の構造を有する化合物、ならびにこれらの一般式の範囲内に収まる全ての特定の化合物に適用できる。
【0152】
本明細書で使用される医薬組成物は、式(1)の化合物と他の化学成分、例えば、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤の混合物を意味する。医薬組成物は生物への化合物の投与を容易にする。式(1)の化合物を含む医薬組成物は当分野に既知のなんらかの慣用形および、限定すべきでないが:静脈内、経口、経直腸、エアロゾル、非経口、眼、肺、経皮、膣、耳、経鼻、および局所投与を含む経路により治療有効量の医薬組成物を投与できる。
【0153】
本化合物を、全身的よりもむしろ局所的な方法で、例えば、しばしば、デポまたは徐放性製剤で、臓器へ化合物を直接注入することにより投与し得る。さらに、式(1)の化合物を含む医薬組成物を、標的薬剤送達系で、例えば、臓器特異的抗体で覆われているリポソームで投与し得る。該リポソームは臓器を標的化し、選択的に取り込まれる。加えて、式(1)の化合物を含む医薬組成物は速放性製剤形、持続放出製剤形、または中間放出製剤形で提供され得る。
【0154】
経口投与のために、式(1)の化合物は活性化合物と当分野で既知の薬学的に許容される担体または賦形剤を混合することにより容易に調剤され得る。このような担体は、本明細書に記載されている化合物を、処置される患者により経口摂取されるための錠剤、粉末、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁液などとして製剤することを可能とする。
【0155】
経口使用のための医薬品は1種またはそれ以上の固体賦形剤と本明細書に記載されている1種またはそれ以上の化合物を混合し、所望により得られる混合物を粉砕し、そして得られる顆粒の混合物を、所望により適当な助剤を加えた後、錠剤または糖衣錠核に加工することにより、得ることができる。適当な賦形剤は、特に、増量剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;セルロース製剤、例えば:例えば、メイズデンプン、小麦デンプン、ライスデンプン、ポテトデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム;または他のもの、例えば:ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムである。所望により、崩壊剤は、例えば、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、もしくはアルギン酸またはそれらの塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを添加してよい。
【0156】
糖衣錠核は適当なコーティングを施される。この目的のため、濃縮糖溶液が使用され得、それは所望によりアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。染料または顔料は活性化合物用量の異なる組合せ剤を同定または特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加してよい。
【0157】
経口で使用され得る医薬品はゼラチン製の押し込み型のカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから成る軟密閉カプセルを含む。押し込み型のカプセルは活性成分と増量剤、例えば、ラクトース、結合剤、例えば、デンプン、および/または滑剤、例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムおよび、所望により、安定剤との組合せを含み得る。軟カプセルにおいて、活性化合物は適当な液体、例えば、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁され得る。加えて、安定剤を加え得る。経口投与のためのすべての製剤はこのような投与のために適当な用量であるべきである。
【0158】
バッカルまたは舌下投与のため、組成物は慣用の方法で製剤される錠剤、トローチ剤、またはゲルの形態を取り得る。非経口注入はボーラス注入または持続注入を含み得る。式(1)の医薬組成物は油性または水性賦形剤の滅菌懸濁液、溶液またはエマルジョンとして非経口注入に適当な形態であり得、処方剤、例えば、懸濁、安定剤および/または分散剤を含み得る。非経口投与のための医薬製剤は水溶性形の活性化合物の水溶液を含む。加えて、活性化合物の懸濁液は適当な油性注入懸濁液として製造され得る。適当な親油性溶媒または賦形剤は脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド、またはリポソームを含む。水性注入懸濁液は懸濁液の粘度を増加する物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含み得る。所望により、懸濁液はまた高濃度溶液の製造するため化合物の溶解度を増加する適当な安定剤または薬剤を含み得る。あるいは、活性成分は使用する前、適当な賦形剤、例えば、滅菌ピロゲン非含有水での構成のため粉末形であり得る。
【0159】
式(1)の化合物は局所的に投与され得、様々な局所的投与可能組成物、例えば、溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、バルム、クリームまたは軟膏へ製剤され得る。このような医薬化合物は可溶化剤、安定剤、等張増加剤、バッファーおよび防腐剤を含み得る。
【0160】
式(1)の構造を有する化合物の経皮投与のための適当な製剤は経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを使用し得、ポリマーまたは粘着剤に溶解されているおよび/または分散されている親油性エマルジョンまたは緩衝水溶液であり得る。このようなパッチは連続的に、周期的に、または医薬品の送達の要求に合わせて構築され得る。さらに、式(1)の化合物の経皮送達はイオン泳動的(イオン導入)パッチなどの手段により成し遂げることができる。加えて、経皮パッチは式(1)の化合物の制御された送達を提供できる。吸収速度は速度制御膜を使用することによりまたはポリマーマトリックスまたはゲル内に化合物を捕捉することにより落とすことができる。逆に、吸収促進剤は吸収を促進するために使用され得る。吸収促進剤または担体は皮膚の通過を助けるために吸収性の薬学的に許容される溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは裏打ち部材、所望により担体と共に化合物を含む貯蔵部、所望により長期間にわたって制御されたおよびあらかじめ決められた速度で宿主の皮膚に化合物を送達するための速度制御バリア、および皮膚にデバイスを固定するための手段を含むバンデージの形態である。
【0161】
吸入による投与のために、式(1)の化合物はあるいはエアロゾル、霧状物または粉末のような形態である。式(1)の医薬組成物は適当な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスの使用により加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレー形態で都合よく送達される。加圧エアロゾルの場合、投与単位は定量を送達するためのバルブを提供することにより決定され得る。例えば、単なる例示であるが吸入器または噴霧器を使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物と適当な粉末ベース、例えば、ラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含んで製剤され得る。
【0162】
式(1)の化合物はまた慣用の坐薬ベース、例えば、ココアバターまたは他のグリセリド、ならびに合成ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、PEGなどを含む、経直腸組成物、例えば、注腸、経直腸ゲル、経直腸発泡体、経直腸エアロゾル、坐薬、ゼリー坐薬、または停留注腸で製剤され得る。組成物の坐薬形において、限定すべきでないが、所望によりココアバターと組合せた脂肪酸グリセリドの混合物のような低融点蝋が最初に溶解される。
【0163】
本明細書で提供される処置法または使用法の実施において、本明細書で提供される式(1)の化合物の治療有効量は処置される疾患または状態を有する哺乳動物に医薬組成物で投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。治療有効量は疾患の重症度、対象の年齢および健康度、使用される化合物の効力および他の要素に依存して広範囲にわたって変化し得る。化合物は単一または混合物の成分として1種またはそれ以上の治療剤と組み合わせて使用され得る。
【0164】
医薬組成物は薬学的に使用され得る製剤に活性化合物を加工することを容易にする賦形剤および助剤を含む1種またはそれ以上の生理学的に許容される担体を使用して慣用の方法で製剤され得る。適当な製剤は選択された投与形路に依存する。すべての既知の技術、担体、および賦形剤は適当におよび当分野で理解されるとおりに使用できる。式(1)の化合物を含む医薬組成物は慣用の方法、例えば、単なる例示であるが、慣用の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入または圧縮プロセスの手段により製造され得る。
【0165】
医薬組成物は少なくとも1種の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および遊離酸形または遊離塩基形、または薬学的に許容される塩形の活性成分として本明細書に記載されている式(1)の化合物を含み得る。加えて、本明細書に記載されている方法および医薬組成物はN−オキシド、結晶形(多形としても既知)、ならびに同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性な代謝物の使用を含む。いくつかの状況において、化合物は互変異性体として存在し得る。すべての互変異性体は本明細書に記載されている化合物の範囲内に含まれる。加えて、本明細書に記載されている化合物は非溶媒和物形ならびに薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどと一緒の溶媒和物形で存在し得る。本明細書に記載されている化合物の溶媒和物形はまた本明細書に記載されていると考慮される。加えて、医薬組成物は他の薬剤または医薬品、担体、アジュバント、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調節用塩、および/またはバッファーを含み得る。加えて、医薬組成物はまた他の治療価値のある物質を含み得る。
【0166】
本明細書に記載されている化合物を含む組成物の製造法は固体、半固体または液体を形成するため1種またはそれ以上の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体で化合物を製剤することを含む。固体組成物は、限定すべきでないが、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤、および坐薬を含む。液体組成物は化合物が溶解される液体、化合物を含むエマルジョン、または本明細書に記載されている化合物を含むリポソーム、ミセル、またはナノ粒子を含む溶液を含む。半固体組成物は、限定すべきでないが、ゲル、懸濁液およびクリームを含む。組成物は液体溶液または懸濁液、使用する前に液体の溶液または懸濁液のための適当な固体形、またはエマルジョンであり得る。これらの組成物はまた少量の非毒性の補助剤、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などを含み得る。
【0167】
本明細書に記載されている医薬組成物の概要は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Deliverys, Seventh Ed. (Lippincott Williams & Wilkins1999)で見いだすことができ、これらの内容を出典明示により本明細書に包含させる。
【0168】
投与法および処置法
便宜上、本明細書のこの章および他の部分に記載されている化合物の型および他の特徴は、例示のために1つの式、例えば“式(1)”を使用する。しかし、本明細書に記載されている組成物、使用および方法は、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)、式(7)、式(8)、式(9)、式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(A)、式(B)の構造を有する化合物、ならびにこれらの一般式の範囲内に収まる全ての特定の化合物を含む、式(1)の範囲内に収まる本明細書で提示される全ての式に同等に適切に適用する。
【0169】
式(1)の化合物はステロイドホルモン核受容体活性が疾患の病状および/または症状に関与する疾患または状態の処置用薬剤の製造に使用され得る。加えて、処置を必要とする対象における本明細書に記載されているいずれかの疾患または状態の処置法は、対象に治療有効量の少なくとも1種の式(1)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、または薬学的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0170】
本明細書に記載されている化合物(複数を含む)を含む組成物は予防的および/または治療的処置のために投与され得る。治療的適用のため、組成物は疾患または状態の症状を治癒または少なくとも部分的に阻止する有効量ですでに疾患または状態に罹患している患者に投与される。この使用のための有効量は疾患または状態の重症度および経過、治療歴、患者の健康状態、体重、および薬物応答、ならびに処置する医師の判断に依存し得る。通常の実験(限定すべきでないが、用量漸増臨床試験を含む)でこのような治療有効量を決定することは、十分に当業者の技術の範囲内であると考えられる。
【0171】
本明細書に記載されている化合物(複数を含む)を含む組成物は有効量の本明細書に記載されている化合物、またはそれらの互変異性体、プロドラッグ、溶媒和物、もしくは塩を患者に投与することを含む、処置を必要とする患者の:動脈硬化、神経疾患、癌、コーン症候群、原発性および続発性高アルドステロン症、ナトリウム維持の増加、マグネシウムおよびカリウム排出(利尿)の増加、水分保持の増加、高血圧(収縮期および収縮/拡張複合)、不整脈、心筋線維症、心筋梗塞、バーター症候群、うっ血性心不全(CHF)、過剰カテコールアミンレベル関連状態、認知機能障害、精神病、認識状態、記憶障害、気分病、鬱病、躁鬱状態、不安症、人格障害、炎症、組織拒絶反応、自己免疫、悪性腫瘍、例えば、白血病およびリンパ腫、クッシング症候群、急性副腎不全、先天性副腎過形成、リウマチ熱、結節性多発動脈炎、肉芽腫性多発動脈炎、骨髄細胞系の阻害、免疫増殖/アポトーシス、HPA系抑制および調節、副腎皮質機能亢進症、Thl/Th2サイトカインバランス調節、慢性腎臓疾患、卒中、脊髄損傷、低カルシウム血症、高血糖、慢性原発性副腎不全、続発性副腎機能低下症、脳浮腫、血小板減少症、リトル症候群、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞動脈炎、リウマチ性関節炎、骨関節症、枯草熱、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、血管神経性浮腫、慢性閉塞性肺疾患、喘息、腱炎、滑液包炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、臓器移植、肝炎、肝硬変症;創傷治癒および組織修復、炎症性頭皮脱毛症、脂肪織炎、乾癬、円盤状狼瘡、炎症性嚢胞、アトピー性皮膚炎、壊疽性膿皮症、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、皮膚筋炎、好酸球性筋膜炎、再発性多発性軟骨炎、炎症性脈管炎、サルコイドーシス、スウィーツ病、1型反応性ハンセン病、毛細血管腫、接触性皮膚炎、扁平苔癬、剥脱性皮膚炎、結節性紅斑、アクネ、多毛症、中毒性表皮剥離症、多形性紅斑、気腫、神経炎症状態、多発性硬化症、アルツハイマー病、前立腺癌、良性前立腺過形成、脱毛症、拒食症、乳癌、筋骨格状態、例えば、骨疾患、造血状態、神経筋疾患、リウマチ性疾患、消耗性疾患、AIDS、男性避妊において、男性性能強化に対して、男性生殖器状態に対して使用されるホルモン補充療法(HRT)に対する悪液質、原発性または続発性男性性腺機能低下症、精巣癌、卵巣癌、肺癌、心臓血管疾患、神経変性状態、CNS状態、消化管状態、骨粗鬆症、骨折、パジェット病、骨代謝回転異常増加、歯周病、歯喪失、人工器具周辺骨溶解、骨形成不全症、骨転移疾患、悪性高カルシウム血症、および多発性骨髄腫、軟骨変性、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮癌、体熱感、変性脳状態、再狭窄、女性化乳房、血管平滑筋細胞増殖、肥満、失禁、および、非悪性慢性状態、例えば、線維腫から選択される病状または状態を処置するために使用し得る。
【0172】
患者の状態が改善されない場合、医師の判断において化合物の投与は慢性的に、すなわち、患者の疾患または状態の症状を改善する、または他の方法で制御するもしくは制限するため、患者が生きている間中を含む長期間投与し得る。患者の状況が改善されない場合、医師の判断において化合物の投与は、連続的にまたはある期間一時的に停止して(すなわち、“休薬期間”)与え得る。
【0173】
患者の状態が改善すると、必要であれば維持量を投与する。その後、投与の用量もしくは頻度または両方を症状に応じて改善された疾患または状態を維持する用量に減少し得る。しかし、患者はなんらかの症状の再発に対する長期的な断続的な処置が必要であり得る。
【0174】
場合によっては、治療有効量の少なくとも1種の本明細書に記載されている化合物(またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、および薬学的に許容される溶媒和物)を他の治療剤と組み合わせて投与することが適当であり得る。単なる例示であるが、本明細書の化合物の1つを摂取することにより患者が体験する副作用の1つが炎症であるならば、抗炎症剤を初期治療剤と一緒に投与することが適当であり得る。また、単なる例示であるが、本明細書に記載されている化合物の1種の治療有効性をアジュバント(すなわち、アジュバント単独では最小限の治療有効性を有すのみであるが、他の治療剤と組み合わせると患者に対する全治療有効性が増加される)の投与により増加し得る。また、単なる例示であるが、患者が経験する効果は本明細書に記載されている1種の化合物を治療有効性も有する他の治療剤(これは治療レジメンも含む)と投与することにより増加され得る。すべての場合において、処置される疾患または状態にかかわらず、患者が経験する全効果は2種の治療剤の単なる相加であるか、または患者は相乗的効果を経験し得る。例えば、相乗効果は式(1)の化合物と低カリウム血漿、高血圧、うっ血性心不全、腎不全、特に慢性腎不全、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、X症候群、肥満、腎症、心筋梗塞後、冠状動脈性心臓病、コラーゲン形成の増加、線維症ならびに高血圧および内皮機能障害後のリモデリングの処置において使用される他の物質で起こり得る。このような化合物の例は、限定すべきでないが、ループ利尿薬、例えば、エタクリン酸、フロセミドおよびトルセミド;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリノドプリル(perinodopril)、キナプリル、ラミプリルおよびトランドレプリル(trandolepril);Na−K−ATPase膜ポンプの阻害剤、例えば、ジゴキシン;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;ACE/NEP阻害剤、例えば、オマパトリラト、サムパトリラト、およびファシドトリル;アンギオテンシンIIアンタゴニスト、例えば、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン、特にバルサルタン;β−アドレナリン受容体ブロッカー、例えば、アセブトロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール(propanlol)、ソタロールおよびチモロール;強心剤、例えば、ジゴキシン、ドータミンおよびミルリノン;カルシウムチャネルブロッカー、例えば、アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミル;および3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリルコエンザイムAレダクターゼ(HMG−CoA)阻害剤、例えばロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびリバスタチンを含む抗肥満剤、例えば、オーリスタット(orlistat)、抗高血圧剤、強心剤および脂質低下剤を含む。本明細書に記載されている化合物が他の治療と併せて投与されるとき、共投与される化合物の用量はもちろん使用される共薬剤の種類、使用される特定の薬剤、処置される疾患または状態などに依存して変化し得る。加えて、1種またはそれ以上の生物学的に活性な薬剤を共投与するとき、本明細書で提供される化合物は生物学的に活性な薬剤(複数を含む)と同時に、または連続的に投与され得る。連続的に投与されるとき、医師はタンパク質と生物学的に活性な薬剤(複数を含む)を組み合わせて投与する適当な順序を決定できる。
【0175】
すべての場合において、複数の治療剤(これらの1つは本明細書に記載されている化合物の1つである)が任意の順番でまたは同時にさえ投与され得る。同時のとき、複数の治療剤は単一の一体化形態または複数の形態(単なる例示であるが、単一の丸薬または2つの別々の丸薬のいずれか)で提供され得る。治療剤の1種は複数回で投与されるか、または両方複数回で投与され得る。同時でないとき、複数回投与の時間間隔は0週間から4週間で変化し得る。加えて、組合せ方法、組成物および製剤は2種の薬剤のみの使用に制限されない;我々は複数治療の組合せを企図する。
【0176】
加えて、式(1)の化合物はまた患者に付加または相乗効果を提供し得る手段で組み合わせて使用され得る。単なる例示であるが、患者は、式(1)の医薬組成物および/または他の治療との組合せを、疾患または状態と関係していることが既知である突然変異遺伝子のキャリアーであるかどうか決定するための遺伝子試験と組合せる、本明細書に記載されている方法で治療的および/または予防的効果を見いだすことが期待される。
【0177】
式(1)の化合物および組合せ治療は疾患または状態の発症前、中または後に投与され得、化合物を含む組成物の投与時期は変化し得る。したがって、例えば、化合物は予防的に使用され得、疾患または状態の発症を予防するために状態または疾患の素因を有する対象に連続的に投与され得る。化合物および組成物は症状の発症中または後すぐに対象に投与され得る、化合物の投与は症状の発症の最初の48時間以内に、好ましくは症状の発症の最初の48時間以内に、より好ましくは症状の発症の最初の6時間以内に、およびもっとも好ましくは症状の発症の最初の3時間以内に開始され得る。最初の投与は、例えば、静脈内注入、ボーラス注入、5分から約5時間にわたる注入、丸薬、カプセル、経皮パッチ、経口内送達など、またはそれらの組合せのようななんらかの実用的方法を介して行い得る。化合物は、好ましくは疾患または状態の発症が検出されたかまたは疑われた後、それが使用可能になると直ぐに、そして疾患の処置に対して必要である、例えば、約1月から約3月のような期間投与される。処置の長さはそれぞれの対象に対して変化でき、そして長さは既知の基準を使用して決定することができる。例えば、化合物または化合物を含む製剤は、少なくとも2週間、好ましくは約1月から約5年、およびより好ましくは約1月から約3年投与され得る。
【0178】
本明細書に記載されている医薬組成物は正確な投与量の単回投与に対する適当な単位投与形であり得る。単位投与形において、製剤は1種またはそれ以上の化合物の適当な量を含む単回用量に分割される。単位用量は製剤の分離した量を含むパッケージの形態であり得る。非限定的例は、パッケージされた錠剤またはカプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末である。水性懸濁液組成物は単回投与用使い捨て容器に包装することができる。あるいは、複数回投与用再密閉可能容器を使用でき、その場合、組成物に保存剤を含むことが典型的である。単なる例示であるが、非経口注入用製剤は限定すべきでないがアンプルを含む単位投与形、または保存剤を添加した複数回投与用容器中に存在し得る。
【0179】
式(1)の本明細書に記載されている化合物に対する適当な1日用量は0.03から2.5mg/kg/体重である。限定すべきでないがヒトを含む大型動物の示される1日用量は約0.5mgから約100mgの範囲で都合よく限定すべきでないが1日4回までの分割用量でまたは遅延形で投与される。経口投与に対して適当な単位投与形は約1から50mgの活性成分を含む。個々の処置レジメンに対して変化量が広いため前記範囲は単なる示唆的なものであり、これらの推奨される値からのかなりの逸脱は珍しくはない。このような用量は多くの変量、限定はしないが、使用される化合物の活性、処置される疾患または状態、投与経路、個々の対象の要求、処置される疾患または状態の重症度、および専門家の判断に依存して変化し得る。
【0180】
このような治療レジメンの毒性および治療効果は、限定すべきでないがLD50(個体群の50%が致死)およびED50(個体群の50%が投与治療有効)を決定することを含む細胞培養または実験動物の標準薬学手段により決定できる。毒性と治療効果の用量比は治療指数であり、それはLD50とED50の比として示すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータがヒトの使用に対して用量範囲で処方するこてにおいて使用され得る。このような化合物の用量は好ましくは最低毒性でED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は使用される投与形態および利用される投与形路に依存してこの範囲内で変化し得る。
【0181】
キット/製品
本明細書に記載されている治療適用における使用のため、キットおよび製品がまた本明細書に記載されている。このようなキットは、1個またはそれ以上の容器、例えば、バイアル、チューブなどを入れるために区切られている担体、パッケージ、または容器を含み得て、各容器は本明細書に記載されている方法で使用するための種々の要素の1種を含む。適当な容器は、例えば、ビン、バイアル、シリンジおよび試験管を含む。容器は様々な物質、例えば、ガラスまたはプラスチックから形成できる。
【0182】
例えば、容器は、所望により本明細書に記載されている他の薬剤との組成物または組合せで、1種またはそれ以上の本明細書に記載されている化合物を含むことができる。容器は所望により滅菌口を有する(例えば、容器は皮下注射針により穴を開けることができるストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。このようなキットは、所望により化合物と共に、本明細書に記載されている方法におけるその使用に関連する特定するための記述もしくはラベルを含む。
【0183】
キットは、一般的に1個またはそれ以上のさらなる容器を含み得て、その各々は本明細書に記載されている化合物の使用のために商業および使用者の観点から望ましい1種またはそれ以上の様々な物質(例えば、所望により濃縮形の試薬、および/またはデバイス)をそれぞれ有する。このような物質の限定されない例は、限定すべきでないが、バッファー、希釈剤、フィルター、針、シリンジ;内容物および/または使用のための指示を記載している担体、パッケージ、容器、バイアルおよび/またはチューブのラベル、および使用のための指示書を挿入したパッケージを含む。一組の指示書もまた一般的に含まれる。
【0184】
ラベルは容器上にあるかまたは容器に添付していてよい。ラベルは、ラベルを形成する文字、数字または他の記号がそれ自身容器に付着している、鋳造されているまたはエッチングされているとき容器上に存在できる;容器も入れる貯蔵所キャリアー内に、例えば、添付文書として存在するとき、ラベルは容器に添付され得る。ラベルは内容物が特定の治療適用のために使用されるべきであると示すために使用され得る。ラベルはまた、本明細書に記載されている方法におけるような、内容物の使用のための指示を示すことができる。
【0185】
説明のための実施例
下記の実施例は式(1)の化合物の製造法ならびに有効性および安全性の試験法を提供する。これらの実施例は説明の目的のみで提供し、本特許請求の範囲を制限しない。本明細書に記載されているおよび主張されているすべての方法は、本明細書の開示に照らして、過度の実験なしに実施および実行できる。変法が本特許請求の範囲の概念、精神および範囲から逸脱することなく本明細書に記載されている方法および方法の段階または一連の段階に適用され得ることは当業者に明白であろう。当業者に明白であるすべてのこのような同様の置換および改良は本特許請求の範囲の精神、範囲および概念内であると考える。
【実施例】
【0186】
実施例1:インデン−1−オン化合物の合成
実施例1a:3−ヒドロキシ−2−(ピリジン−4−イル)インデン−1−オンの合成
【化59】

3−ヒドロキシ−2−(ピリジン−4−イル)インデン−1−オンは下記製造法により合成できる。無水フタル酸(6g、40.5mmol)および4−ピコリン(4.0ml、40.6mmol)の混合物を170℃に24時間加熱する。得られる物質を沸騰エタノール中で撹拌し、濾過し、そしてエタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、4.85gの表題化合物を生じる。1H NMR (DMSO-d6) 8.72 (d, 2H), 8.18 (d, 2H), 7.50 (m, 4H)。
【0187】
実施例1b:3−ヒドロキシ−2−(ピリジン−3−イル)インデン−1−オンの合成
【化60】

3−ヒドロキシ−2−(ピリジン−3−イル)インデン−1−オンは下記製造法により合成できる。ナトリウムメタノラート(24.3g、0.45mol)をメタノール(150ml)中のフタリド(20g、0.15mol)、3−ピリジンカルボキシアルデヒド(14.1mL、0.15mol)、およびエチルプロピオネート(75mL)の氷冷溶液にゆっくり加える。反応混合物を室温に温め、室温で15分後、反応混合物を65℃に2.5時間加熱し、次いでまた室温に冷却する。得られる混合物を減圧下で濃縮し、水(700ml)で希釈し、ジエチルエーテルで抽出される暗赤色溶液を生じる。水性層を撹拌しながら酢酸(35mL)で酸性化し、それは赤色がかった懸濁液をもたらす。この懸濁液を濾過し、水、酢酸エチル、および最後にジエチルエーテルで洗浄し、19.1gの3−ヒドロキシ−2−(ピリジン−3−イル)インデン−1−オンを生じる: 1H NMR (DMSO-d6) 9.75 (s, 1H), 9.45 (d, 1H), 8.23 (d, 1H), 7.80 (dd, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.32 (m, 2H)。
【0188】
実施例2:フタラジン−1−オン化合物の合成
実施例2a:4−(ピリジン−4−イル)メチル−2H−フタラジン−1−オンの合成
【化61】

4−(ピリジン−4−イル)メチル−2H−フタラジン−1−オンは下記製造法により合成できる。ヒドラジン一水和物(25ml)中の3−ヒドロキシ−2−(ピリジン−4−イル)インデン−1−オン(4.85g、21.8mmol)の懸濁液を新規白色沈殿を形成するまで110℃に8時間加熱する。反応混合物を0℃に冷却し、次いで濾過し、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、4.1gの4−(ピリジン−4−イル)メチル−2H−フタラジン−1−オンを得る。1H NMR (DMSO-d6) 8.48 (d, 2H), 8.27 (d, 2H), 7.88 (m, 3H), 7,32 (d, 2H), 4.35 (s, 2H)。
【0189】
実施例3:クロロ−フタラジン化合物の合成
実施例3a:1−クロロ−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンの合成
【化62】

1−クロロ−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンは下記製造法により合成できる。アセトニトリル(42ml)およびHCl/ジオキサン(4N,5.74ml、23mmol)中の4−(ピリジン−4−イル)メチル−2H−フタラジン−1−オン(2.73g、11.5mmol)にホスホリルクロライド(2.64ml、28.9mmol)を加える。反応混合物を55℃で30時間撹拌し、その後、水(137ml)中のNaHCO(11.20g)の溶液を氷冷白色懸濁液に加える。この懸濁液の撹拌および濾過で2.7gの1−クロロ−4−(4−ピリジルメチル)フタラジンを生じる。1H NMR (DMSO-d6) 8.46 (d, 2H), 8.35 (m, 2H), 8.14 (m, 2H), 7.33 (d, 2H), 4.77 (s, 2H)。
【0190】
実施例4:フタラジン−1−アミン化合物の合成
実施例4a:N−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)−4−((ピリジン−4イル)メチル)フタラジン−1−アミンの合成
【化63】

N−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)−4−((ピリジン−4イル)メチル)フタラジン−1−アミンは下記製造法により合成できる。1−クロロ−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン(100mg、0.39mmol)、4−tert−ブチルチアゾール−2−アミン(91mg、59mmol)およびKCO(161mg、1.17mmol)の混合物をマイクロ波反応チューブ内で1mlのDMFに懸濁し、170℃に30分間放射線照射する。次いで反応混合物を酢酸エチルに溶解し、水および塩水で洗浄する。酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を使用するサンプル調製クロマトグラフィーで15mgのN−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)−4−((ピリジン−4イル)メチル)フタラジン−1−アミンを得る。1H NMR (CDCl3-d1) 8.68 (d, 1H), 8.48 (s, 2H), 7.62 (m, 2H), 7.50 (d, 1H), 7.26 (s, 2H), 6.44 (s, 1H), 4.25 (s, 2H), 1.32 (s, 9H)。
【0191】
実施例5:フタラジン−1−アミン−ブロモ化合物の合成
実施例5a:N−(4−tert−ブチル−5−ブロモチアゾール−2−イル)−4−((ピリジン−4イル)メチル)フタラジン−1−アミンの合成
【化64】

N−(4−tert−ブチル−5−ブロモチアゾール−2−イル)−4−((ピリジン−4イル)メチル)フタラジン−1−アミンの合成は下記製造法により合成できる。テトラブチルアンモニウムトリブロマイド(116mg、0.24mmol)を5mlのCHCl中のN−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)−4−((ピリジン−4イル)メチル)フタラジン−1−アミン(90mg、0.24mmol)の溶液に加え、反応混合物を室温で2時間撹拌する。得られる生成物のサンプル調製クロマトグラフィーで101mgのN−(4−tert−ブチル−5−ブロモチアゾール−2−イル)−4−((ピリジン−4イル)メチル)フタラジン−1−アミンを得る。1H NMR (CDCl3-d1) 8.58 (d, 1H), 8.41 (s, 2H), 7.65 (m, 2H), 7.46 (d, 1H), 7.26 (s, 2H), 4.22 (s, 2H), 1.41 (s, 9H)。
【0192】
実施例6:フタラジン−1−アミン化合物の合成
実施例6a:2−(1−(9−ピリジン−4−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化65】

2−(1−(9−ピリジン−4−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリル(PHT−1)の合成は下記製造法により合成できる。1mlのDMF中のN−(4−tert−ブチル−5−ブロモチアゾール−2−イル)−4−((ピリジン−4イル)メチル)フタラジン−1−アミン(20mg、44mmol)、Zn(CN)(過剰)およびPd(PPh(3mg、2.5mmol)の懸濁液を標準条件下(180℃30分)でマイクロ波で照射する。得られる溶液を酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。トルエン(totuene)/アセトン(9:1)を使用するサンプル調製クロマトグラフィーで8mgのPHT−1を得る。1H NMR (DMSO-d6) 8.90 (d, 1H), 8.49 (d, 2H), 8.27 (d, 1H), 8.07 (d, 2H), 7.33 (d, 2H), 4.71 (s, 2H), 4.51 (s, 1H), 1.49 (s, 9H)。
【0193】
実施例6b:2−(1−(9−ピリジン−3−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化66】

2−(1−(9−ピリジン−3−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリル(PHT−2)の合成はスキーム2bにしたがって下記製造法により合成できる。4mlのDMF中の80mg(0.44mmol)の2−アミノ−4−tert−ブチル−チアゾール−5−カルボニトリル、94mg(0.36mmol)の1−クロロ−4−(3−ピリジン−3−イルメチル)−フタラジン、40mgのCuI(0.026mmol)、53ml(0.052mmol、12%/基質)および112mg(0.88mmol)のKCOの混合物を80℃にマイクロ波照射下で30分間加熱する。冷却後、水を加え、溶液を酢酸エチル(EtOAc)で抽出する。有機層を合わせ、水および塩水で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させる。溶媒の蒸発、次いでLC−MS精製で29mg(0.104mmol)の2−(1−(9−ピリジン−3−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリル(PHT−2)および18.2mg(0.044mmol)の4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−3−カルボニル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−5)を副産物として得る。
【0194】
実施例6c:2−(1−(9−ピリジン−2−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化67】

2−(1−(9−ピリジン−2−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリル(PHT−3)の合成は、PHT−2の合成について記載のとおり、スキーム2bにしたがった製造法により行い得る。
【0195】
実施例6d:2−(1−(9−チエン−3−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化68】

2−(1−(9−チエン−3−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリル(PHT−4)の合成はPHT−2の合成について記載のとおり、スキーム2bにしたがった製造法により行い得る。PHT−4 MS(ES)405、m/z(M+1)406、C2119計算値405。
【0196】
実施例6e:4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−3−カルボニル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化69】

4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−3−カルボニル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−5)の合成は、PHT−2の合成について記載のとおり、スキーム2bにしたがった製造法により行い得る。PHT−5 MS(ES)414、m/z(M+1)415、C2218OS計算値414。
【0197】
実施例6f:4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−4−カルボニル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化70】

4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−4−カルボニル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−6)の合成は、PHT−2の合成について記載のとおり、スキーム2bにしたがった製造法により行い得る。PHT−6 MS(ES)414、m/z(M+1)415、C2218OS計算値414。
【0198】
実施例6g:4−tert−ブチル−2−[4−(5−フルオロ−ピリジン−3−イルメチル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化71】

4−tert−ブチル−2−[4−(5−フルオロ−ピリジン−3−イルメチル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−7)の合成は、スキーム2bにしたがった製造法により行い得る。ジオキサン中の2−アミノ−4−tert−ブチル−チアゾール−5−カルボニトリル、1−クロロ−4−(5−フルオロ−ピリジン−3−イルメチル)−フタラジン、CuI(0.1mol当量)、KPO(3mol当量)およびN,N,N’,N’−テトラメチル−エタン−1,2−ジアミン(5mol当量)の混合物を180℃にマイクロ波照射下で30分間加熱する。冷却後、水を加え、溶液を酢酸エチル(EtOAc)で抽出する。有機層を合わせ、水および塩水で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させる。溶媒の蒸発、次いでLC−MS精製で4−tert−ブチル−2−[4−(5−フルオロ−ピリジン−3−イルメチル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−7)を得る。MS:(ES)419m/z(M+1)2220FNS計算値419。
【0199】
実施例6h:4−tert−ブチル−2−(4−ホルミル−フタラジン−1−イルアミノ)−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化72】

4−tert−ブチル−2−(4−ホルミル−フタラジン−1−イルアミノ)−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−8)の合成は、スキーム5にしたがった製造法により行い得る。PHT−8を、ジオキサン中のPd(PPhおよびKPOを還流温度で使用して、ジクロロフタラジンおよびボロン酸E−スチリルの標準スズキカップリングを介して製造し、1−クロロ−4−スチリル−フタラジンを得る。次いでPHT−6の合成において上記の銅カップリング条件を使用してクロライドを2−アミノ−4−tert−ブチル−チアゾール−5−カルボニトリルで置換し、4−tert−ブチル−2−(4−スチリル−フタラジン−1−イルアミノ)−チアゾール−5−カルボニトリルを得る:MS:(ES)412m/z(M+1)2422S計算値412。PHT−8は−78℃でジクロロメタン/メタノール(3/1)中の4−tert−ブチル−2−(4−スチリル−フタラジン−1−イルアミノ)−チアゾール−5−カルボニトリルのオゾン分解、MeSでクエンチ、シリカゲルクロマトグラフィーを介する精製により得られる:MS:(ES)338m/z(M+1)1716OS計算値338。
【0200】
実施例6i:4−tert−ブチル−2−[4−(シアノ−フェニル−メチル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化73】

4−tert−ブチル−2−[4−(シアノ−フェニル−メチル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−9)は、スキーム8にしたがった製造法により合成できる。フェニル−アセトニトリルをジクロロフタラジンおよびtBuOKと混合し、加熱する。得られる化合物(1−クロロ−4−(シアノ−フェニル−メチル)−フタラジン)を180℃で30分間マイクロ波照射下でジオキサン中でCuI(0.1mol当量)、KPO(3mol当量)およびN,N,N’,N’−テトラメチル−エタン−1,2−ジアミン(5mol当量)を使用して2−アミノ−4−tert−ブチル−チアゾール−5−カルボニトリルとカップリングする。冷却後、水を加え、溶液を酢酸エチル(EtOAc)で抽出する。有機層を合わせ、水および塩水で洗浄し、次いでMgSOで乾燥させる。溶媒の蒸発、次いでLC−MS精製で4−tert−ブチル−2−[4−(シアノ−フェニル−メチル)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−9)を得る:MS:(ES)426m/z(M+1)2421S計算値426。
【0201】
実施例6j:4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−3−イルメトキシ)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化74】

4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−3−イルメトキシ)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−10:MS:(ES)417m/z(M+1)2221OS計算値417)の合成はPHT−9の合成について記載されているとおりに達成される。
【0202】
実施例6k:4−tert−ブチル−2−{4−[(ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−フタラジン−1−イルアミノ}−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化75】

4−tert−ブチル−2−{4−[(ピリジン−3−イルメチル)−アミノ]−フタラジン−1−イルアミノ}−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−11:MS:(ES)416m/z(M+1)2222S計算値416))の合成は、PHT−9の合成について記載されているとおりに達成される。
【0203】
実施例6l:4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−2−イルメトキシ)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化76】

4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−2−イルメトキシ)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−12:MS:(ES)417m/z(M+1)2221OS計算値417))の合成は、PHT−9の合成について記載されているとおりに達成される。
【0204】
実施例6m:4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化77】

4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−13:MS:(ES)417m/z(M+1)2221OS計算値417))の合成は、PHT−9の合成について記載されているとおりに達成される。
【0205】
実施例6n:4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化78】

4−tert−ブチル−2−[4−(ピリジン−4−イルメトキシ)−フタラジン−1−イルアミノ]−チアゾール−5−カルボニトリル(PHT−14:MS:(ES)431m/z(M+1)2323OS計算値431)の合成は、PHT−9の合成について記載されているとおりに達成される。
【0206】
実施例6o:2−(1−(9−ピリジン−4−イル)メチル)フタラジン−4−イル−N−アセチルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリルの合成
【化79】

2−(1−(9−ピリジン−4−イル)メチル)フタラジン−4−イル−N−アセチルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリル(PHT−15)は反応スキーム12にしたがって合成できる。1mlの乾燥CHCl中の2−(1−(9−ピリジン−4−イル)メチル)フタラジン−4−イルアミノ)−4−tert−ブチルチアゾール−5−カルボニトリル(10mg、0.025mmol)および11.5μl(3.0eq.)のEtNの溶液に5.8ml(3.0eq.)のアセチルクロライドを加える。混合物を12時間室温で撹拌し、次いで溶媒を除去し、LC−MSを介して粗生成物を精製する。
【0207】
実施例7:医薬組成物
実施例7a:非経口組成物
注射により投与するために適当である非経口医薬組成物を製造するために、100mgの式(1)の化合物の水溶性の塩をDMSO中に溶解させ、次いで10mLの0.9%の無菌食塩水と混合する。混合物は注射により投与するための適当な投与単位形に入れる。
【0208】
実施例7b:経口組成物
経口送達のための医薬組成物を製造するために、100mgの式(1)の化合物を750mgのラクトースと混合する。混合物は経口投与のために適当である経口投与単位、例えば、硬ゼラチンカプセルに入れる。
【0209】
実施例8:ミネラルコルチコイド受容体拮抗作用の機能アッセイ
化合物のMRアンタゴニスト活性を哺乳動物2ハイブリッドレポーター系で測定する。MRのN−末端(MR−NT、アミノ酸1−597をコードする配列)をVP16遺伝子の活性化ドメインに融合させる。MRのリガンド結合ドメイン(MR−LBD、アミノ酸672−984をコードする配列)を酵母Gal4遺伝子のDNA結合ドメインに融合させる。MR遺伝子はPCRでヒト腎臓cDNAライブラリーからクローニングする。
【0210】
アッセイは384ウェルプレートで行う。簡潔には、293T細胞(ATCC)はGal4−MR−LBDおよびVP16−MR NTに対する発現ベクター、ならびにGal4結合配列を含むルシフェラーゼレポーターベクター(pG5−Luc)をトランスフェクションされている。細胞をトランスフェクション後すぐに384ウェルプレートにまく(50μl培地中、約3×10細胞/ウェル)。該培地を3%の炭デキストラン処理された胎児ウシ血清(Hyclone)で補う。トランスフェクションの24時間後、DMSO中で作成された化合物を細胞に移す。次いで細胞を最終濃度0.4nMのアルドステロン(Acros)で刺激し、さらに24時間37℃でインキュベートし、ルシフェラーゼ活性を照度計(CLIPR)を使用して20μlのBright−Glo(Promega)でアッセイする。ルシフェラーゼの発現はアルドステロン誘導MR転写促進の指標として使用される。各化合物は12の濃度滴定でデュープリケートにおいて試験される。IC50値(50%のアルドステロン誘導MR活性をアンタゴナイズするために必要である試験化合物の濃度と定義される)は用量反応曲線から決定される。
【0211】
実施例9:グルココルチコイド受容体拮抗作用の機能アッセイ
化合物のGRアンタゴニスト活性は哺乳動物の2ハイブリッドレポーター系において測定される。GRのリガンド結合ドメイン(GR−LBD、アミノ酸541−778をコードする配列)を酵母Gal4遺伝子のDNA結合ドメインに融合させる。GR遺伝子はPCRでヒト肺cDNAライブラリーからクローニングする。
【0212】
アッセイは384ウェルプレートで行う:COS−7細胞(ATCC)はGal4−GR−LBDに対する発現ベクターおよびGal4結合配列を含むルシフェラーゼレポーターベクター(pG5−Luc)をトランスフェクションされている。細胞をトランスフェクション後すぐに384ウェルプレートにまく(50μl培地中、約8000細胞/ウェル)。該培地に3%の炭・デキストラン処理された胎児ウシ血清(Hyclone)を添加する。トランスフェクションの24時間後、DMSO中で作成された化合物を細胞に移す。次いで細胞を最終濃度10nMのデキサメタゾン(Sigma)で刺激し、24時間37℃でインキュベートし、ルシフェラーゼ活性を照度計(CLIPR)を使用して20μlのBright−Glo(Promega)でアッセイする。ルシフェラーゼの発現はデキサメタゾン誘導GR転写促進の指標として使用される。各化合物は12の濃度滴定でデュープリケートで試験される。IC50値(50%のデキサメタゾン誘導GR活性をアンタゴナイズするために必要である試験化合物の濃度と定義される)は用量反応曲線から決定される。
【0213】
実施例10:プロゲステロン受容体拮抗作用の機能アッセイ
化合物のPRアンタゴニスト活性はT−47D細胞系(ATCC)のプロゲステロン誘導アルカリホスファターゼ活性により測定される。T−47D乳癌細胞において、プロゲステロンは具体的に時間および用量依存法において膜関連アルカリホスファターゼ酵素のde novo合成を誘導する(Di Lorenzo et al., Cancer Research, 51: 4470-4475 (1991))。アルカリホスファターゼ酵素活性は化学発光基質、例えば、CSPD(登録商標)(Applied Biosystems)で測定され得る。
【0214】
アッセイは384ウェルプレートで行う。簡潔には、T−47D細胞は10%の胎児ウシ血清で補った50μl培地中に約2.5×10細胞/ウェルの密度で384ウェルプレートにまく。24時間後、培地を吸引する。フェノールレッドおよび血清非含有新規培地を細胞に加える。DMSO中で作成された化合物を細胞に移す。次いで細胞を最終濃度3nMのプロゲステロン(Sigma)で刺激し、さらに24時間37℃でインキュベートし、アルカリホスファターゼを照度計(CLIPR)を使用して、25μlのCSPD(登録商標)(Applied Biosystems)でアッセイする。アルカリホスファターゼの発現はプロゲステロン誘導PR転写促進の指標として使用される。各化合物は12の濃度滴定でデュープリケートにおいて試験される。IC50値(50%のプロゲステロン誘導PR活性をアンタゴナイズするために必要である試験化合物の濃度と定義される)は用量反応曲線から測定される。
【0215】
実施例11:アンドロゲン受容体アンタゴニストの機能アッセイ
化合物のARアンタゴニスト活性は安定してMMTVルシフェラーゼレポーターを発現するMDA−Kb2細胞系(ATCC)で測定される。MMTVプロモーターはアンドロゲン受容体応答要素を含むマウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーターである。MDA−kb2細胞は機能性な内因性アンドロゲン受容体の高レベルの発現を示したMDA−MB−453細胞由来である(Wilson et al., Toxicological Sciences, 66: 69-81 (2002))。ARリガンド、例えば、ジヒドロテストステロンを刺激すると、MMTVルシフェラーゼレポーターを活性化できる。
【0216】
アッセイは384ウェルプレートで行う。簡潔には、MDA−kb2細胞は50μl培地中に約2.4×10細胞/ウェルの密度で384ウェルプレートにまく。培地に5%の炭−デキストラン処理胎児ウシ血清(Hyclone)を添加する。24時間後、DMSO中で作成された化合物を細胞に移す。次いで細胞を最終濃度3nMのジヒドロテストステロン(Sigma)で刺激し、さらに24時間37℃でインキュベートし、ルシフェラーゼ活性を照度計(CLIPR)を使用して、20μlのBright−Glo(Promega)でアッセイする。ルシフェラーゼの発現はジヒドロテストステロン誘導AR転写促進の指標として使用される。各化合物は12の濃度滴定でデュープリケートにおいて試験される。IC50値(50%のジヒドロテストステロン誘導AR活性をアンタゴナイズするために必要である試験化合物の濃度と定義される)は用量反応曲線から測定される。
【0217】
典型的な試験化合物を異なるステロイドホルモン核受容体に対する上記機能アッセイを使用して評価した。典型的な試験化合物の50%の特定のステロイドホルモン核受容体をアンタゴナイズする能力をIC50値の範囲として表2に示す。
表2:50%の特定のステロイドホルモン核受容体をアンタゴナイズするために必要な試験化合物に対するIC50値の範囲
A=>10
B=1−10
C=0.1−1
D=<0.1
【表3】

【0218】
ここに記載の例および態様は、説明の目的のためのみであり、それに照らした様々な修飾または変化が当業者には示唆され、それらは本発明の精神および範囲の範囲内および添付の特許請求の範囲内に包含されることは理解されるべきである。本明細書で引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的のために引用して本明細書に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである;
ただしLがNであるときZはCであり、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれHではない。〕
の構造を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物。
【請求項2】
LがNである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
ZがNである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
構造:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
構造:
【化3】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
構造:
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
構造:
【化5】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
構造:
【化6】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
構造:
【化7】

を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
AがCR=CRであり、そしてQがN=CRである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
AがCR=Nであり、そしてQがCR=CRである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式(1)の構造を有する化合物が
【化8】

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式(1)の構造を有する化合物が
【化9】

【化10】

【化11】

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
少なくとも1種のステロイドホルモン核受容体と式(1)
【化12】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され、(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである。〕
の構造を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物を接触させることを含む、少なくとも1種のステロイドホルモン核受容体の活性を調節する方法。
【請求項15】
式(1)の化合物を少なくとも1種のステロイドホルモン核受容体と直接接触させる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
接触がインビトロで起こる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
接触がインビボで起こる請求項15に記載の方法。
【請求項18】
LがNである請求項14に記載の方法。
【請求項19】
ZがNである請求項14に記載の方法。
【請求項20】
化合物が構造
【化13】

を有する請求項14に記載の方法。
【請求項21】
化合物が構造
【化14】

を有する請求項14に記載の方法。
【請求項22】
化合物が構造
【化15】

を有する請求項14に記載の方法。
【請求項23】
化合物が構造
【化16】

を有する請求項14に記載の方法。
【請求項24】
化合物が構造
【化17】

を有する請求項14に記載の方法。
【請求項25】
化合物が構造
【化18】

を有する請求項14に記載の方法。
【請求項26】
AがCR=CRであり、そしてQがN=CRである請求項14に記載の方法。
【請求項27】
AがCR=Nであり、そしてQがCR=CRである請求項14に記載の方法。
【請求項28】
式(1)の構造を有する化合物が
【化19】

から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項29】
式(1)の構造を有する化合物が
【化20】

【化21】

【化22】

から選択される請求項14に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1種の式(1)
【化23】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである。〕
の構造を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物と1種またはそれ以上の適当な賦形剤を一緒に含む医薬組成物。
【請求項31】
1種またはそれ以上の賦形剤が非経口投与用に適当である請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
1種またはそれ以上の賦形剤が経口投与用に適当である請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項33】
1種またはそれ以上の賦形剤が眼投与用に適当である請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項34】
LがNである請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項35】
ZがNである請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項36】
化合物が構造
【化24】

を有する請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項37】
化合物が構造
【化25】

を有する請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項38】
化合物が構造
【化26】

を有する請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項39】
化合物が構造
【化27】

を有する請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項40】
化合物が構造
【化28】

を有する請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項41】
化合物が構造
【化29】

を有する請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項42】
AがCR=CRであり、そしてQがN=CRである請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項43】
AがCR=Nであり、そしてQがCR=CRである請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項44】
式(1)の構造を有する化合物が
【化30】

から選択される請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項45】
式(1)の構造を有する化合物が
【化31】

【化32】

【化33】

から選択される請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項46】
ステロイドホルモン核受容体活性の調節が疾患の病状および/または症状を予防、阻止または改善できる動物の疾患を処置する方法であって、動物に治療有効量の式(1)
【化34】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである。〕
の構造を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項47】
ステロイドホルモン核受容体がグルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、およびプロゲステロン受容体からなる群から選択される請求項46に記載の方法。
【請求項48】
さらに治療有効量の第2物質の投与を含む請求項47に記載の方法であって、第2物質が低カリウム血漿、高血圧、うっ血性心不全、腎不全、特に慢性腎不全、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、X症候群、肥満、腎症、心筋梗塞後、冠状動脈性心臓病、コラーゲン形成の増加、線維症ならびに高血圧および内皮機能障害後のリモデリングからなる群から選択される疾患または状態の処置において使用される方法。
【請求項49】
第2物質が抗肥満剤、抗高血圧剤、強心剤、脂質低下剤、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、Na−K−ATPase膜ポンプの阻害剤、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、ACE/NEP阻害剤、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、β−アドレナリン受容体ブロッカー、強心剤、カルシウムチャネルブロッカー、および3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリルコエンザイムAレダクターゼ(HMG−CoA)阻害剤からなる群から選択される請求項48に記載の方法。
【請求項50】
式(1)の化合物が第2物質の前に投与される請求項47に記載の方法。
【請求項51】
式(1)の化合物が第2物質と一緒に投与される請求項47に記載の方法。
【請求項52】
式(1)の化合物が第2物質の後に投与される請求項47に記載の方法。
【請求項53】
式(1)の化合物および第2物質が同じ医薬組成物で投与される請求項51に記載の方法。
【請求項54】
ステロイドホルモン核受容体活性が疾患の病状および/または症状に関与する動物の疾患を処置するための薬剤の製造における式(1)
【化35】

〔式中、
(a)AはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR3’であり;QはCR=CR、N=CR、CR=N、またはCR6’であり;LはCRまたはNであり;ZはCRまたはNであり;
(b)RはH、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリール(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される)から選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され;該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択され;
(c)RはHならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルコキシ、アリール、ハロアリール、およびヘテロアリールから選択され;R、R3’、R、R、R、R6’、RおよびRは独立してH、ハロゲン、OH、NH、SH、NO、CN、ならびに−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、S、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はハロゲン、OH、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキルおよびハロ−C1−6アルコキシから選択されるか、またはRおよびRが一緒に所望により置換されていてもよい4から8−員環を形成し;該環はヘテロ環、シクロアルキル、またはアリールであり;
(d)RはH、ハロゲン、ならびに−L−H、−L−アルキル、−L−シクロアルキル、−L−ヘテロアルキル、−L−ハロアルキル、−L−アリール、−L−ヘテロシクロアルキル、および−L−ヘテロアリールから選択される所望により置換されていてもよい部分からなる群から選択され(ここで、Lは結合、O、NH、OCH、NHCH、S、C−Cアルキレン、−C(O)−、−C(S)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)−、−S(O)、および−S(O)NH−から選択される);該所望の置換基はH、ハロゲン、シアノ、OH、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルコキシ、C−Cチオアルキル、C−Cチオアルコキシアリール、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、およびNR1011から選択され;
(e)R10およびR11は独立してC−CアルキルおよびC−Cハロアルキルから選択されるか、またはR10およびR11は一緒に所望により置換されていてもよい3から8−員ヘテロ環式環を形成し;
(f)XはO、NまたはSであり;
(g)YはO、NまたはSである。〕
の構造を有する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、もしくは薬学的に許容される溶媒和物の使用。
【請求項55】
ステロイドホルモン核受容体がグルココルチコイド受容体、ミネラルコルチコイド受容体、アンドロゲン受容体、エストロゲン受容体、およびプロゲステロン受容体からなる群から選択される請求項54に記載の使用。
【請求項56】
適当な反応条件下で式(D):
【化36】

の化合物と構造:
【化37】

を有する化合物を混合することを含む、式(1)の構造を有する請求項1に記載の化合物の製造法。
【請求項57】
適当な反応条件下で式(E):
【化38】

の化合物と臭素化剤を混合し、次いで適当な反応条件下で得られた化合物とシアン化剤を混合することを含む、式(1)の構造を有する請求項1に記載の化合物の製造法。
【請求項58】
適当な反応条件下で式(D):
【化39】

の化合物と構造:
【化40】

を有する化合物を混合することを含む、式(E)の構造を有する請求項57に記載の化合物の製造法。

【公表番号】特表2008−536835(P2008−536835A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505543(P2008−505543)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/012915
【国際公開番号】WO2006/108107
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】