説明

ジアリールエーテルβ2アドレナリン作用性レセプターアゴニスト

本発明は、βアドレナリン作用性レセプターアゴニストとして、新規のジアリールエーテル誘導体を提供する。本発明はまた、そのような化合物を含む薬学的組成物、そのような化合物を用いてβアドレナリン作用性レセプター活性に関連する疾患を処置する方法およびそのような化合物を調製するための有用な製法および中間体を提供する。改良した作用の持続時間、効力、選択性および/または開始のような改良した特性を有する新たなβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、新規のβアドレナリン作用性レセプターアゴニストに関する。本発明はまた、このような化合物を含有する薬学的組成物、このような化合物を使用してβアドレナリン作用性レセプター活性に関連した疾患を処置する方法、およびこのような化合物を調製するのに有用なプロセスおよび中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
βアドレナリン作用性レセプターアゴニストは喘息および慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎および気腫を含む)のような肺疾患の処置のための効果的な薬物として認識されている。βアドレナリン作用性レセプターアゴニストはまた、早産を処置するために有用であり、そして神経障害および心臓障害の治療に有用である可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
あるβアドレナリン作用性レセプターアゴニストにより達成されている成功にも関わらず、現在の薬剤は、所望の作用の持続時間、効力、選択性および/または開始(onset)を有してはいない。従って、改良した作用の持続時間、効力、選択性および/または開始のような改良した特性を有する新たなβアドレナリン作用性レセプターアゴニストに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、βアドレナリン作用性レセプターアゴニスト活性を有する新規の化合物を提供する。他の特性のなかで、本発明の化合物は、強力かつ選択的なβアドレナリン作用性レセプターアゴニストである。
【0005】
従って本発明は式(I)の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供し:
【0006】
【化17】

ここで、
、R、R、およびRのそれぞれは水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、−CHOHおよび−NHCHOから独立して選択されるか、あるいはRおよびRは一緒になって−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−および−SC(=O)NH−から選択され;
およびRは水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NR
−O−C1〜4アルキレニル−O−C1〜4アルキレニル−NR、−SONR、−NR、フェニルおよびヘテロアリールから独立して選択され;
およびRが両方水素でないならば;ここで各フェニルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;各ヘテロアリールは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;そして各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;
は水素またはC1〜6アルキル;
は水素またはC1〜6アルキル;
は水素またはC1〜6アルキル;
10は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択されるか;
あるいはRはR10と一緒になって−CH−または−CHCH−から選択され;
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはC1〜6アルキルであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されるか;あるいはRおよびR、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールまたは4〜7個の環原子を有する複素環を形成し、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含み;
はヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−C(=O)OH、−CN、−NO、−C(=O)R、−SO−C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NRおよび−C(=O)NRから選択され、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;そして
はC1〜6アルキルまたはオキソであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0007】
本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアおよび治療有効量の式(I)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を含有する薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物はさらに必要に応じて治療有効量の1つ以上の他の治療薬剤を含有する。適した付加的な薬剤は、抗炎症薬(例えばコルチコステロイドおよび非ステロイド性の抗炎症薬(NSAIDs))、抗コリン薬(特にムスカリンレセプターアンタゴニスト)、他のβアドレナリン作用性レセプターアゴニスト、抗感染症薬(例えば、抗生物質または抗ウイルス薬)、抗ヒスタミン薬およびホスホジエステラーゼ4(PDE4)インヒビターが挙げられる。
【0008】
さらに本発明は、本発明の化合物および1つ以上の他の治療薬剤を含有する組合せ、ならびにそのような組合せおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物を提供する。
【0009】
本発明はまた、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連した疾患または状態(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患のような肺疾患、早産、神経障害、心臓障害または炎症)を有する哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、治療有効量の式(I)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を哺乳動物に投与する工程を包含する。さらに本発明は、治療有効量の本発明の化合物を治療有効量の他の1つ以上の治療薬剤とともに投与する工程を包含する処置の方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連した疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、治療有効量の本発明の薬学的組成物を哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0011】
本発明の化合物はまた研究ツールとして、すなわち生物学的システムまたは生物学的サンプルを研究するため、あるいは他の化学化合物の活性を研究するためにも用いられ得る。従って、本方法の別の局面では、本発明は、生物学的システムまたは生物学的サンプルを研究するため、あるいは新たなβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを発見するための研究ツールとして式(I)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を用いる方法を提供する。
【0012】
別の異なる局面では、本発明はまた、合成プロセスおよび新規中間体を提供し、本明細書中に記載される式(III)および式(IV)の化合物が挙げられ、これらの化合物は、本発明の化合物を調製するのに有用である。
【0013】
本発明はまた、医学的な治療において使用するための本明細書に記載される本発明の化合物およびβアドレナリン作用性レセプター活性に関連した疾患または状態(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患のような肺疾患、早産、神経障害、心臓障害または炎症)を有する哺乳動物を処置するための処方物または医薬の製造における本発明の化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I)の新規のジアリールエーテルβアドレナリン作用性レセプターアゴニストまたはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供する。以下の置換基および値は、本発明の種々の局面の代表的な例を提供することを意図する。これらの代表的な値はさらにそのような局面を定義することを意図し、他の値を排除するかあるいは本発明の範囲を限定すること意図するものではない。
【0015】
本発明の特定の局面では、Rは、ハロ、−CHOHまたは−NHCHOであるか;あるいはRはクロロ、−CHOHまたは−NHCHOである。
【0016】
別の特定の局面では、Rは−CHOHまたは−NHCHOである。
【0017】
ある特定の局面では、Rは水素である。
【0018】
ある特定の局面では、RおよびRは一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−;または−SC(=O)NHである。
【0019】
別の特定の局面では、RおよびRは一緒になって、−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−である。
【0020】
ある特定の局面では、Rは、−CHOHまたは−NHCHOであり、そしてRは水素であるか;あるいはRおよびRは一緒になって−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−または−SC(=O)NH−である。
【0021】
ある特定の局面では、Rはヒドロキシまたはアミノである。
【0022】
別の特定の局面では、Rはヒドロキシである。
【0023】
ある特定の局面では、Rは水素またはハロであるか;あるいはRは水素またはクロロである。別の特定の局面では、Rは水素である。
【0024】
特定の局面では、Rは−NHCHOであり、Rはヒドロキシであり、そしてRおよびRはそれぞれ水素である。
【0025】
別の特定の局面では、Rは−CHOHであり、Rはヒドロキシであり、そしてRおよびRはそれぞれ水素である。
【0026】
別の特定の局面では、RおよびRは一緒になって−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−であり、Rはヒドロキシであり、そしてRは水素である。
【0027】
別の特定の局面では、RおよびRは一緒になって−NHC(=O)S−または−SC(=O)NH−であり;Rはヒドロキシであり、そしてRは水素である。
【0028】
さらに別の特定の局面では、RおよびRはクロロであり、Rはアミノであり、そしてRは水素である。
【0029】
ある特定の局面では、Rは水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NR、−SONRおよび−NRであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0030】
別の特定の局面では、Rは水素、ヒドロキシ、C1〜3アルコキシ、C1〜4アルキル、−C1〜4アルキレニル−NR、−O−C1〜4アルキレニル−NR、−SONRおよび−NRから選択される。
【0031】
さらに別の特定の局面では、Rは水素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、−(CHNH、−(CHNH、−CHC(CHNH、−(CHN(CH、−O(CHNH、−O(CHNH、−OCHC(CHNH、−O(CHNH、4−モルホリニルエトキシおよび4−ピペラジニルエトキシから選択される。
【0032】
ある特定の局面では、Rはヘテロアリールであり、必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換される。別の特定の局面では、Rはフリル、チエニル、ピロリルまたはピリジルであり、必要に応じて1または2個のメチル置換基で置換される。
【0033】
別の特定の局面では、Rはフェニルであり、必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換される。
【0034】
別の特定の局面では、Rは水素である。
【0035】
さらに別の特定の局面では、Rは−(CHNH、−(CHNH、−CHC(CHNHまたは−(CHN(CHである。
【0036】
本発明のある特定の局面では、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NR;−NR、フェニルおよびヘテロアリールから選択され;RおよびRが両方水素でないならば;ここで各フェニルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;各ヘテロアリールは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;そして各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0037】
別の局面ではRおよびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NRおよび−NRから選択され;RおよびRが両方水素でないならば;ここで各C1〜6アルキルは必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0038】
別の特定の局面では、RおよびRの一方がフリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルから選択され;ここでフリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルは必要に応じて、1または2個のメチル置換基で置換され;そしてRおよびRの他方が水素またはC1〜6アルコキシである。
【0039】
さらに別の局面では、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、−CF、−O(CHNH、−O(CHNH、−OCHC(CHNH、−O(CHNH、−(CHNH、−(CHNH、−CHC(CHNH、−(CHN(CH、4−モルホリニルエトキシ、4−ピペラジニルエトキシ、フェニル、フリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルから選択され;RおよびRが両方水素でないならば;ここで各フェニルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;そして各フリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換される。
【0040】
別の局面では、、RおよびRの一方が−O(CHNH、−O(CHNH、−OCHC(CHNH、−O(CHNH、−(CHNH、−(CHNH、−CHC(CHNH、−(CHN(CH、4−モルホリニルエトキシおよび4−ピペラジニルエトキシから選択され;そしてRおよびRの他方が、水素、メトキシ、エトキシ、−CFおよびメチルから選択される。
【0041】
別の特定の局面では、Rは−O(CHNH、−O(CHNH、−OCHC(CHNH、−O(CHNH、−(CHNH、−(CHNH、−CHC(CHNH、−(CHN(CH、4−モルホリニルエトキシおよび4−ピペラジニルエトキシから選択され;そしてRは水素、メトキシ、エトキシ、−CFおよびメチルである。
【0042】
別の特定の局面では、Rは水素であり;そしてRは、−(CHNH、−(CHNH、−CHC(CHNHおよび−(CHN(CHから選択される。
【0043】
さらに別の特定の局面では、Rは水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NRおよび−O−C1〜6アルキレニル−NRから選択され;ここで各C1〜6アルキルは必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;そしてRは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換されたフェニルおよびRから選択される1または2個の置換基で必要に応じて置換されたヘテロアリールから選択される。本化合物群のなかで、Rに関する特定の値は、必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換されたフェニルである。
【0044】
別の特定の局面では、Rは水素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチルおよびエチルから選択され;そしてRはフェニル、フリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルから選択され;ここでフェニルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され、そしてフリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換される。例えば、Rは、水素、メトキシおよびエトキシから選択され、そしてRは、必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換されたフェニルである。
【0045】
ある特定の局面では、Rは水素またはC1〜3アルキルである。別の特定の局面では、Rは水素である。
【0046】
ある特定の局面では、Rは水素またはC1〜3アルキルである。別の特定の局面では、Rは水素である。
【0047】
ある特定の局面では、Rは水素またはメチルのようなC1〜3アルキルである。別の特定の局面では、Rは水素である。
【0048】
ある特定の局面では、R10が、フェニル環を結合する酸素原子に関してフェニル環の3位である場合、RはR10と一緒になって、−CH−または−CHCH−である。
【0049】
ある特定の局面では、R10は、水素、クロロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシであるか、あるいはRはR10と一緒になって、−CH−または−CHCH−である。
【0050】
別の特定の局面では、R10は水素である。
【0051】
ある特定の局面では、R、R、R、RおよびR10のそれぞれは水素である。
【0052】
ある特定の局面では、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素またはC1〜4アルキルであり、ここで各C1〜4アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0053】
別の特定の局面では、RおよびR、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールまたは4〜7個の環原子を有する複素環を形成し、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む。
【0054】
さらに別の特定の局面では、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、メチルまたはエチルであるか;あるいはRおよびR、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ピペリジン、ピペラジン、モリホリン、ピロリジンまたはピリジンを形成する。
【0055】
ある特定の局面では、Rはヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C(=O)OH、−CN、−NO、−C(=O)R、−C1〜6アルキレニル−NRおよび−C(=O)NRから選択される;ここで各C1〜6アルキルは、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0056】
別の特定の局面では、Rはヒドロキシ、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、イソプロピル、ヒドロキシメチル、−C(=O)OH、−C(=O)H、−C(=O)CH、−CN、−NO、−CHNH、−CHN(CH、−CHNHCH(CH、−C(CHNH、−(CHNH、4−モルホリニルメチル、4−ピペラジニルメチル、1−ピペリジニルメチルおよび−C(=O)NHから選択される。
【0057】
ある特定の局面では、RはC1〜4アルキルまたはオキソであり、ここで各C1〜4アルキルは、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0058】
別の特定の局面では、Rはメチルまたはオキソである。さらに別の特定の局面では、Rはメチルである。
【0059】
1つの局面では、本発明は式(II)の化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体を提供し:
【0060】
【化18】

ここで:
は−CHOHまたは−NHCHOであり、そしてRは水素であるか;あるいはRおよびRは一緒になって−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−または−SC(=O)NH−であり;そして
およびRは明細書中に定義されたとおりである。
【0061】
別の局面では、本発明は式(II)の化合物を提供し、ここで:
およびRはそれぞれ水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NR;−NR、フェニル、およびヘテロアリールから独立して選択され;RおよびRが両方水素でないならば;ここで各フェニルが必要に応じてRから選択される1〜2個の置換基と置換され;各ヘテロアリールは必要に応じてRから選択される1〜2個の置換基と置換され;そして各C1〜6アルキルは、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される;
、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素またはC1〜6 アルキルであり、ここで各C1〜6アルキルは、必要に応じて、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で選択されるか;あるいはRおよびR、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールまたは4〜7個の環原子を有する複素環を形成し、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含み;
はヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C(=O)OH、−CN、−NO、−C(=O)R、−C1〜6アルキレニル−NRおよび−C(=O)NRから選択され;ここで各C1〜6アルキルは、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;そして
はC1〜6アルキルから選択され、ここで各C1〜6アルキルは、必要に応じて、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される。
【0062】
本局面の中のある特定の化合物群は、式(II)の化合物群であり、ここでRは−CHOHであり、そしてRは水素である。
【0063】
本局面の中の別の特定の化合物群は、式(II)の化合物群であり、ここでRは−NHCHOであり、そしてRは水素である。
【0064】
本局面の中のさらに別の特定の化合物群は、式(II)の化合物群であり、ここでRおよびRは一緒になって−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−である。
【0065】
さらに式(II)の化合物の別の特定の化合物群は、RおよびRが一緒になって−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−である群であり;Rは水素、メトキシまたはエトキシであり;そしてRは、必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換されるフェニルである。
【0066】
特定の言及は以下の化合物からなり得る:
8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]−エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン;
5−((R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノ−2−メチルプロポキシ)フェノキシ]フェニル}エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[3−(3−アミノプロピル)−4−メトキシフェノキシ]フェニル}エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノエトキシ)−3−トリフルオロメチルフェノキシ]フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(3−アミノプロポキシ)フェノキシ]フェニル}エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−{(R)−2−[2−(4−{4−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]フェノキシ}フェニル)エチルアミノ]−1−ヒドロキシエチル}−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(2−{4−[4−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)−フェノキシ]フェニル}エチルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オン;
8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(2−{4−[4−(2−ピペラジン−1−イルエトキシ)フェノキシ]−フェニル}エチルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−4−メトキシフェノキシ]フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−((R)−2−{2−[4−(4’−クロロビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(4’−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン;
3’−(4−{2−[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1、2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)エチルアミノ]エチル}フェノキシ)ビフェニル−3−カルボニトリル;
8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(4−モルホリン−4−イル−フェノキシ)−フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[3’−(2−アミノエチル)−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ]フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(6−メトキシ−3’−モルホリン−4−イルメチルビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン;
N−[5−((R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
N−{5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノエトキシ)フェノキシ]フェニル}エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−2−ヒドロキシフェニル}ホルムアミド;
N−{5−[(R)−2−(2−{4−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−4−メトキシフェノキシ]フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−2−ヒドロキシフェニル}ホルムアミド;
4−((R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール;
4−((R)−2−{2−[4−(2’−アミノ−3’−エチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]−エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール;
2−ヒドロキシメチル−4−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(4−モルホリン−4−イルフェノキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)フェノール;
ここで化学的な命名法は、MDL Information Systems、 GmbH (Frankfurt、 Germany)により提供される自動ネーミングプログラムAutoNomの命名法に従う。
【0067】
特定の言及はまた、以下の化合物からなり得る:
5−(2−{2−[4−(3’−クロロ−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5’−(4−{2−[2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1、2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]エチル}フェノキシ)−2’−メトキシビフェニル−3−カルボニトリル;
5−(2−{2−[4−(3’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−(2−{2−[4−(4’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
N−[5−(2−{2−[4−(3’−クロロ−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
N−[5−(2−{2−[4−(3’−シアノ−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
N−[5−(2−{2−[4−(3’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]−エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
N−[5−(2−{2−[4−(4’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]−エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
4−(2−{2−[4−(3’−クロロ−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール;
5’−(4−{2−[2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルフェニル)エチルアミノ]−エチル}フェノキシ)−2’−メトキシビフェニル−3−カルボニトリル;
4−(2−{2−[4−(3’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール;および
4−(2−{2−[4−(4’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール。
【0068】
上記に例証したように、本発明の化合物は1つ以上のキラル中心を含む。従って、本発明は別に記載されない限り、ラセミ混合物、純粋な立体異性体(すなわち、個々の光学異性体またはジアステレオマー)、およびそのような異性体の立体異性体に富んだ混合物を含む。特定の立体異性体が示される場合、その全体として組成物の有用性が、他の異性体の存在により排除されないならば、別に記載されない限り、少量の他の立体異性体は、本発明の組成物中に存在し得ることが、当業者に理解される。
【0069】
特に、本発明の化合物は、式(I)および式(II)において水酸基が結合するアルキレン炭素でキラル中心を含む。立体異性体の混合物が使用される場合、水酸基を有するキラル中心で(R)配向性を備えた立体異性体の量が、対応する(S)立体異性体の量よりも多いことが有利である。同じ化合物の立体異性体を比較する場合、(R)立体異性体は、(S)立体異性体よりも好ましい。
【0070】
(定義)
本発明の化合物、組成物および方法を記載する場合、以下の用語は、他に記載しない限り、以下の意味を有する。
【0071】
用語「アルキル」は、一価の飽和炭化水素基であり、直鎖または分枝鎖あるいはそれらの組合せであり得るものを意味する。代表的なアルキル基は、例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどが挙げられる。
【0072】
ある特定の炭素原子数が本明細書中に用いられるある特定の用語を意味する場合、炭素原子数は用語のすぐ前に示される。例えば、用語「C1〜6アルキル」は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0073】
用語「アルコキシ」は、一価の−O−アルキル基を意味し、ここでアルキルは上記のように定義される。代表的なアルコキシ基は、例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどが挙げられる。
【0074】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合、代表的には1または2個の炭素−炭素二重結合を含む一価の不飽和炭化水素基を意味し、それらは直鎖または分枝鎖あるいはそれらの組合せであり得る。代表的なアルケニル基としては、例として、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブト−2−エニル、n−ペント−2−エニルおよびn−へキセ−2−エニルなどが挙げられる。
【0075】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つ炭素−炭素三重結合、代表的には1個の炭素−炭素三重結合を含む一価の不飽和炭化水素基を意味し、それらは直鎖または分枝鎖あるいはそれらの組合せであり得る。代表的なアルキニル基としては、例として、エチニル、プロパルギル、ブト−2−イニルなどが挙げられる。
【0076】
用語「アルキレニル」は、二価の不飽和炭化水素基を意味し、それらは直鎖または分枝鎖あるいはそれらの組合せであり得る。代表的なアルキレニル基としては、例として、メチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレン、プロパン−1,2−ジイル(1−メチルエチレン)、2−メチルプロパン−1,2−ジイル(1,1−ジメチルエチレン)などが挙げられる。
【0077】
用語「シクロアルキル」は、一価の飽和炭素環式炭化水素基を意味する。他に定義されない限り、そのようなシクロアルキル基は代表的に3〜10個の炭素原子を含む。代表的なシクロアルキル基としては、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0078】
用語「アリール」は、単環(すなわち、フェニル)または縮合環(すなわち、ナフタレン)を有する一価の芳香族炭化水素を意味する。他に定義されない限り、そのようなアリール基としては、代表的に6〜10個の炭素環原子を含む。代表的なアリール基としては、例として、フェニルおよびナフタレン−1−イル、ナフタレン−2−イルなどが挙げられる。
【0079】
用語「ヘテロアリール」は、単環または2つの縮合環を有し、その環に窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(代表的には1〜3個のへテロ原子)を含む一価の芳香族基を意味する。他に定義されない限り、そのようなヘテロアリール基は、代表的には5〜10原子の総環原子を含む。代表的なヘテロアリール基としては、例として、ピロイル(pyrroyl)、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル(または、等価に、ピリジニル)、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリル、インドリル、イソキノリルなどが挙げられ、そこで結合部位は任意の利用可能な炭素環原子または窒素環原子である。
【0080】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環」は、一価の飽和または部分的に不飽和の環状非芳香族基を意味し、これは一環式または多環式(すなわち、縮合または架橋した)で有り得、そしてこれは窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(代表的には1〜3個のへテロ原子)を含む。他に定義されない限り、そのようなヘテロシクリル基は代表的に5〜10個の総環原子を含む。代表的なヘテロシクリル基としては、例として、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、インドリン−3−イル、2−イミダゾリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル、キヌクリジニルなどが挙げられる。
【0081】
用語「アミノ」は、−NHを意味する。
【0082】
用語「オキソ」は、(=O)を意味する。
【0083】
用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0084】
用語「化合物」は、合成的に調製されたか、あるいは代謝のような任意の他の方法で調製された化合物を意味する。
【0085】
用語「治療的有効量」は、処置を必要とする患者に投与した場合、処置の効果を得るのに十分な量を意味する。
【0086】
用語「処置」は、本明細書中で用いられる場合、哺乳動物(特にヒト)のような患者における、疾患または病状の処置を意味し、これには以下が挙げられる:
(a)疾患または病状が起こるのを防ぐこと、すなわち患者の予防的処置;
(b)疾患または病状を改善すること、すなわち患者において疾患または病状を排除するかまたは疾患または病状の後退を引き起こすこと;
(c)疾患または病状を抑制すること、すなわち患者において疾患または病状の進行を遅くするか阻止すること;あるいは
(d)患者において疾患または病状の徴候を緩和すること。
【0087】
語句「βアドレナリン作用性レセプター活性に関連した疾患または状態」は、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連していることが現在知られているかまたは将来発見されるであろうすべての疾患状態(disease state)および/または状態(condition)を含む。そのような疾患状態としては、喘息および慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎および気腫を含む)のような肺疾患、ならびに神経障害および心臓障害が挙げられるが、これらに限定されない。βアドレナリン作用性レセプター活性はまた、早産(米国特許第5,872,126号を参照のこと)およびある種の炎症(国際特許出願公開WO 99/30703および米国特許第5,290,815号を参照のこと)に関連していることが知られている。
【0088】
用語「薬学的に受容可能な塩」は、哺乳動物のような患者に投与することが許容できる塩基または酸から調製される塩を意味する。そのような塩は、薬学的に受容可能な無機塩基または有機塩基および薬学的に受容可能な無機酸または有機酸から誘導され得る。
【0089】
薬学的に受容可能な酸から誘導される塩としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、キナホイック(xinafoic)酸(1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)などが挙げられるが、これらに限定されない。フマル酸、臭化水素酸、塩酸、酢酸、硫酸、メタンスルホン酸、キナホイック酸および酒石酸から誘導される塩が特に関心をもたれる。
【0090】
薬学的に受容可能な無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩が特に関心をもたれる。薬学的に受容可能な有機塩基から誘導される塩としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン(piperazine)、ピペラジン(piperadine)、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどのような置換アミン、環状アミン、天然に存在するアミンなどを含めて第一級、第二級および第三級のアミンの塩が挙げられる。
【0091】
用語「それらの塩」は、ある酸の水素が、金属陽イオンまたは有機陽イオンなどのような陽イオンで置換される場合に形成される化合物を意味する。好ましくは、この塩は薬学的に受容可能な塩であるが、中間体化合物の塩を必要とせず、患者への投与を目的とするものではない。
【0092】
用語「溶媒和物」は、1分子以上の溶質(すなわち、本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩)および1分子以上の溶媒により形成される錯体または凝集体を意味する。そのような溶媒和物は、代表的には、実質的に一定のモル比の溶質および溶媒を有する結晶固体である。代表的な溶媒としては、例として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸などが挙げられる。溶媒が水の場合、形成される溶媒和物は、水和物である。
【0093】
用語「あるいは薬学的に受容可能な塩またはそれらの立体異性体の溶媒和物」は、式(I)の化合物の立体異性体の薬学的に受容可能な塩の溶媒和物のような塩、溶媒和物および立体異性体のすべての置換を含むことを意図すると理解される。
【0094】
用語「脱離基」は、求核置換反応のような置換反応において別の官能基または原子で置換され得る官能基または原子を意味する。例として、代表的な脱離基としては、クロロ基、ブロモおよびヨード基が挙げられ;メシレート、トシレート、ブロシレート、ノシレートなどのようなスルホン酸エステル基;およびアセトキシ、トリフルオロアセトキシなどのようなアシルオキシ基が挙げられる。
【0095】
用語「アミノ−保護基」は、アミノ窒素での所望されない反応を防ぐために適した保護基を意味する。代表的なアミノ−保護基としては、ホルミル;アシル基(例えば、アセチル、トリクロロアセチルまたはトリフルオロアセチルのようなアルカノイル基);tert−ブトキシカルボニル(Boc)のようなアルコキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)のようなアリールメトキシカルボニル基;ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)および1,1−ジ−(4’−メトキシフェニル)メチルのようなアリールメチル基;トリメチルシリル(TMS)およびtert−ブチルジメチルシリル(TBS)のようなシリル基;などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
用語「ヒドロキシ−保護基」は、ヒドロキシ基での所望されない反応を防ぐために適した保護基を意味する。代表的なヒドロキシ−保護基としては、メチル、エチル、およびtert−ブチルのようなアルキル基;アシル基(例えば、アセチルのようなアルカノイル基);ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルオレニルメチル(Fm)およびジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)のようなアリールメチル基;トリメチルシリル(TMS)およびtert−ブチルジメチルシリル(TBS)のようなシリル基;などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
(一般的合成手順)
本発明の化合物は、以下の一般的方法および手順を用いて容易に入手可能な出発物質から調製され得る。本発明のある特定の局面は、以下のスキームに図示されるが、本発明のすべての局面は、本明細書中に記載される方法または他の方法を用いて調製され得ることは当業者において認知されており、試薬および出発物質は当業者に公知である。代表的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられる場合、その他に記載されないかぎり、他のプロセス条件もまた用いられ得ると理解される。最適反応条件は、用いられる特定の反応物また溶媒で変化し得るが、そのような条件は従来の最適化手順によって当業者により決定され得る。
【0098】
さらに、当業者により明らかなように、従来の保護基はある官能基を所望されない反応が起こることから防ぐために必要であり得る。例えば、RまたはRが、アミノ基またはヒドロキシ基を含む場合、付加的な保護基は、これら官能基を所望されない反応が起こることから防ぐために必要であり得る。ある特定の官能基のための適した保護基の選択ならびに保護および脱保護のための適した条件は、当該分野において周知である。例えば、多くの保護基、ならびにそれらの導入および除去は、T.W.GreeneおよびG.M.Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、New York、1999年、およびその中に引用される参考文献に記載される。
【0099】
保護基の除去は、従来の技術を用いて達成され得る。アミノ保護基およびヒドロキシ−保護基の除去のための代表的な手順を以下に挙げる。ベンジル保護基のようなアリールメチル基は、炭素担持パラジウムのようなグループVIIIの金属触媒の存在下、触媒水素化により、都合よく除去される。トリエチルアミン三フッ化水素酸のような、tert−ブチルジメチルシリル基は、フッ化水素での処理により都合よく除去される。
【0100】
以下の合成工程または合成スキームに示される置換基および可変物は、他に記載されない限り、上記に与えられる定義を有する。
【0101】
合成の1つの方法において、式(I)および(II)の化合物は、スキームAに図示されるように調製される。(以下のスキームに示される置換基および可変物は、他に示さない限り、本明細書中に与えられる定義を有する。)
【0102】
【化19】

スキームAに示されるように、式1の化合物は(ここでPおよびPは、ヒドロキシ−保護基であり;そしてLは、臭化物のような脱離基である)、式2のアミン化合物と反応して、式3の中間化合物を提供する。代表的に、本反応は、塩基の存在下、極性非プロトン性溶媒中で行われる。適した溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。本反応は、代表的には約60℃と約140℃との間の温度で、約0.25時間と約7時間との間で加熱される。
【0103】
保護基Pは、代表的にはシリル保護基であり、代表的にはフッ化物試薬(例えばトリエチルアミン三フッ化水素酸またはある酸)用いて式3の中間体から除去され、式4の中間体を提供する。
【0104】
保護基Pは、代表的にはベンジル保護基であり、代表的にはルイス酸(例えばボロン三塩化物を用いて、または炭素担持パラジウム触媒を用いる水素化により式4の中間体から除去される。
【0105】
式1の化合物は、当該分野で公知の手順により容易に調製され、例えば米国特許第6,653,323号B2および同第6,670,376号B1およびその中の参考文献に記載され、それらは参考として本明細書中に援用される。
【0106】
式2の中間体は容易に入手可能な出発物質から、例えばスキームBに図示される手順により調製され得る:
【0107】
【化20】

ここでPおよびPの一方はアミノ保護基であり、そしてPおよびPの他方は水素であるか、またはPおよびPはそれらが結合する窒素原子と一緒になってアミノ保護基を形成し;そしてLはハロのような脱離基である。保護基は、中間体7から除去され、式2の化合物を提供する。
【0108】
保護されたアミン5は、代表的には炭酸セシウムおよび銅(I)塩化物のような塩基および触媒の存在下で置換したフェノール6と結合され、式7の中間体を提供する。それから、アミノ保護基は式7の中間体から除去され式2の化合物を提供する。例えば、PおよびPはそれらが結合する窒素原子と一緒になってフタルイミド基を形成し、化合物7はアミノ保護基を除去するためにジクロロメタン中で、室温でヒドラジンと反応され得、式2の化合物を提供する。
【0109】
別の方法において、例えばRおよびRの一方がフェニルまたはヘテロアリールである場合、式3の化合物は以下のスキームCおよびスキームDで図示されるように合成され得る:
【0110】
【化21】

ここでLはハロのような脱離基であり、そしてYおよびYは金属結合試薬である。化合物Y−RまたはY−Rは、例えば、フェニル−ボロン酸またはヘテロアリール−ボロン酸;フェニル−トリアルキル−スズまたはヘテロアリール−トリアルキル−スズ;フェニルハロゲン化亜鉛またはヘテロアリールハロゲン化亜鉛;およびフェニルハロゲン化マグネシウムまたはヘテロアリールハロゲン化マグネシウムなどである。これらの反応は、代表的には白金、パラジウムまたはニッケルの可溶性または不溶性の複合体のような、遷移金属触媒のような触媒を利用する。例えば、スキームCにおいてY−Rが、フェニルボロン酸である場合、Lはヨード、ブロモまたはクロロのようなハロであり得、そしてパラジウム触媒が用いられ得る。スキームCおよびスキームDに類似の反応は、例えば米国特許第6,395,916号に記載され、これは参考として本明細書中に援用される。
【0111】
式8の化合物は、式12の化合物を反応させることにより調製され得る:
【0112】
【化22】

ここでLはブロモのような脱離基であり、式1の化合物を持っている。式10の化合物は同様の様式で作られ得る。
【0113】
式12の化合物は、式5の化合物から従来の手順により調製され得る。例えば、Rが水素であり、Lがクロロである式12の化合物は、式5の化合物を3−クロロフェノールと反応させ、それから式12の化合物を提供するために生じる生成物からアミノ保護基を除去することにより調製され得る。
【0114】
従って、本発明は式(I)の化合物を調製するためのプロセスを提供し、そのプロセスは:
(a)式(i)の化合物:
【0115】
【化23】

を式(ii)の化合物:
【0116】
【化24】

と反応させる工程;または
(b)Rがフェニルまたはヘテロアリールである式(I)の化合物に関して、式(viii)の化合物:
【0117】
【化25】

を式(ix)の化合物:
【0118】
【化26】

とを遷移金属触媒の存在下で反応させる工程を包含し;
ここで:
はヒドロキシ−保護基であり;
1a、R2a、R3aおよびR4aのそれぞれは、式(I)中のR、R、RおよびRと同じであるか、R1a、R2a、R3aおよびR4aの1つ以上が独立して−OPであり、ここでPは、ヒドロキシ−保護基であるように規定され;
は脱離基であり;
は脱離基であり;
−Rは、フェニル−ボロン酸またはヘテロアリール−ボロン酸、フェニル−トリアルキル−スズまたはヘテロアリール−トリアルキル−スズ、フェニルハロゲン化亜鉛またはヘテロアリールハロゲン化亜鉛、およびフェニルハロゲン化マグネシウムまたはヘテロアリールハロゲン化マグネシウムから選択され;そして
、R、R、R、RおよびR10は、式(I)の化合物で定義されたとおりであり;
式(III)の化合物を提供し:
【0119】
【化27】

式(IV)の化合物を提供するために保護基Pを除去し:
【0120】
【化28】

そしてR1a、R2a、R3aおよびR4aの1つ以上が−OPである場合、保護基Pは除去され;
式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0121】
式(III)の化合物を調製する別の方法は、スキームEに図示される。
【0122】
【化29】

ここでLは、脱離基である。
【0123】
あるいは、式(III)の化合物は、スキームFで図示されるように、式(xvii)の化合物を式(xviii)の化合物と反応させることにより調製され得:
【0124】
【化30】

ここでUおよびVの一方は、クロロまたはフルオロのような脱離基であり、そしてUおよびVの他方は、ヒドロキシ基である。スキームFに関して、フェノールのヒドロキシ基は、塩基の存在下でフェノキシ陰イオンになる。
【0125】
従って、本発明はまた、式(I)の化合物を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは以下を含む:
(a)式(i)の化合物を式(ii)の化合物と反応させる工程;
(b)Rがフェニルまたはヘテロアリールである式(I)の化合物に関して、式(viii)の化合物を遷移金属触媒の存在下、式(ix)の化合物と反応させる工程;
(c)Rがフェニルまたはヘテロアリールである式(I)の化合物に関して、式(x)の化合物:
【0126】
【化31】

を式(xi)の化合物:
【0127】
【化32】

と遷移金属触媒の存在下、反応させる工程、
(d)式(xv)の化合物:
【0128】
【化33】

を式(xvi)の化合物:
【0129】
【化34】

と反応させる工程;または
(e)式(xvii)の化合物:
【0130】
【化35】

を式(xviii)の化合物:
【0131】
【化36】

と反応させる工程であって、ここで:
はヒドロキシ−保護基であり;
1a、R2a、R3aおよびR4aはそれぞれ、式(I)のR、R、RおよびRと同じであると定義され、R1a、R2a、R3aおよびR4aの1つ以上が独立して−OPであり、ここでPはヒドロキシ−保護基であり;
は脱離基であり;
は脱離基であり;
は脱離基であり;
UおよびVの一方が脱離基であり、そしてUおよびVの他方がヒドロキシ基であり;
−RおよびY−Rはフェニル−ブロン酸またはヘテロアリール−ブロン酸、フェニル−トリアルキル−スズまたはヘテロアリール−トリアルキル−スズ、フェニルハロゲン化亜鉛またはヘテロアリールハロゲン化亜鉛およびフェニルハロゲン化マグネシウムまたはヘテロアリールハロゲン化マグネシウムから独立して選択され;そして
、R、R、R、RおよびR10は式(I)の化合物で定義されたとおりであり;
式(III)の化合物を提供し;そして
保護基Pおよび存在する任意のP保護基を除去し、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0132】
本発明はまた、式(I)の化合物を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは式(III)の化合物を脱保護する工程を含み、保護基Pおよび存在する任意のP保護基を除去することにより、式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0133】
式(IV)の化合物はまた、式(ii)のアミンを式(xiii)または式(xiv)の化合物と反応させることにより調製され得:
【0134】
【化37】

ここで、Lはブロモのような脱離基である。
【0135】
本発明はまた、式(I)の化合物を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは式(IV)の化合物を脱保護する工程を含み、ここでR1a、R2a、R3aおよびR4aの少なくとも1つ以上は−OPであり、保護基Pを除去することにより式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0136】
本明細書中に記載されるプロセスにおいて他に示されない限り、保護基Pおよび存在する任意のPは、同時にまたは任意の順序で除去され得る。
【0137】
本発明の1つの実施形態において、本明細書中に記載されるプロセスはさらに式(I)の化合物の薬学的に受容可能な塩を形成する工程を含む。
【0138】
本発明の別に実施形態において、本明細書中に記載されるプロセスはさらに任意の順序で以下の工程を含む:
(i)必要に応じてエナンチオマーの混合物からあるエナンチオマーを分離する工程;および
(ii)必要に応じて生成物を対応する塩またはその溶媒和物に変換する工程。
【0139】
他の実施形態において、本発明は本明細書中に記載される他のプロセスに関し;そして本明細書中に記載されるいずれかのプロセスにより調製される生成物に関する。
【0140】
本発明はまたさらに、式(III)の化合物および式(IV)の化合物を提供する。
【0141】
本発明の代表的な化合物またはその中間体を調製するための特定の反応条件および他の手順に関するさらなる詳細は、以下の実施例に記載される。
【0142】
(薬学的組成物)
本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬学的組成物を提供する。従ってその化合物は、好ましくは薬学的に受容可能な塩の形態において、経口投与または非経口投与あるいは吸入による投与のように任意の適した投与形態で処方され得る。
【0143】
例として、化合物は従来の薬学的キャリアおよび賦形剤と混合され得、そして粉末、錠剤、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハーなどの形態で用いられ得る。そのような薬学的組成物は、約0.05〜約90重量%の活性化合物を含有し、より一般的には約0.1〜約30重量%の活性化合物を含有する。その薬学的組成物は、トウモロコシデンプンまたはゼラチン、乳糖、硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムおよびアルギン酸のような一般的なキャリアおよび賦形剤を含有し得る。本発明の処方物で一般的に用いられる崩壊剤としては、クロスカルメロース、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、グリコール酸ナトリウムデンプンおよびアルギン酸が挙げられる。
【0144】
溶液組成物は、一般的に、必要に応じて懸濁化剤、可溶化剤(シクロデキストリンのような)、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、香料または着色剤と共に、適した液体キャリア(例えばエタノール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールのような非水溶性溶媒、油または水)中のこの化合物または薬学的に受容可能な塩の懸濁液または溶液からなる。あるいは、液体処方物は再構成できる粉末から調製され得る。
【0145】
例えば、活性化合物、懸濁化剤、スクロースおよび甘味料を含有する粉末は、水で再構成され得、懸濁液を形成する;シロップは、活性成分、スクロースおよび甘味料を含有する粉末から調製され得る。
【0146】
錠剤の形態の組成物は、固形組成物を調製するのに通常使用される任意の適した薬学的キャリアを使用して調製され得る。このようなキャリアの例としては、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、乳糖、スクロース、微結晶性セルロースおよび結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)が挙げられる。この錠剤はまた、着色フィルムコーティングとともに提供され得るか、または色素がキャリアの一部として含有され得る。さらに、活性化合物は親水性または疎水性マトリックスを含有する錠剤として徐放性製剤で処方され得る。
【0147】
カプセルの形態の組成物は、例えば、活性化合物および賦形剤を硬質ゼラチンカプセルに組み込むことにより、通常のカプセル化手順を用いて調製され得る。あるいは、活性化合物および高分子量ポリエチレングリコールの半固形マトリックスが調製され得そして硬質ゼラチンカプセルに充填され得るか;あるいは活性化合物のポリエチレングリコール溶液または食用油(例えば流動パラフィンまたは分取やし油)懸濁液が調製され得そして軟質ゼラチンカプセルに充填され得る。
【0148】
含有され得る錠剤の結合剤は、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(Povidone)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプンおよびエチルセルロースである。使用され得る滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸、シリコーン溶液、タルク、ワックス、油およびコロイド状シリカが挙げられる。
【0149】
ペパーミント、ウインターグリーン油、チェリー香料などのような香料もまた、用いられ得る。さらに、外観においてより魅力的な投薬形態にするためまたは製品の識別を助けるために着色剤を加えることが所望され得る。
【0150】
非経口的に投与される場合、活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、筋肉内投与、髄腔内投与または静脈内投与のために処方され得る。
【0151】
筋肉内投与または髄腔内投与のための代表的な組成物は、活性成分の油中(例えば、落花生油またはゴマ油)の懸濁液または溶液からなる。静脈内投与または髄腔内投与のための代表的な組成物は、例えば、活性成分およびブドウ糖または塩化ナトリウム、あるいはブドウ糖と塩化ナトリウムとの混合物を含有する無菌等張水溶液あらなる。他の例は、乳酸加リンゲル液、ブドウ糖を加えた乳酸加リンゲル液、Normosol−Mおよびブドウ糖、Isolyte E、アシル化リンゲル液などである。必要に応じて、共溶媒(例えば、ポリエチレングリコール);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);可溶化剤(例えば、シクロデキストリン);および抗酸化剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)は、処方物中に含有され得る。あるいは、この溶液は凍結乾燥され得、それから投与直前に適した溶媒で再構成される。
【0152】
局所投与において活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は、経皮組成物または経皮送達デバイス(「パッチ」)として処方され得る。そのような組成物としては、例えば、支持体、活性化合物のリザーバ、制御膜、ライナーおよびコンタクト接着剤が挙げられる。そのような経皮パッチは、制御された量の本発明の化合物の連続的または不連続的な注入を提供するために用いられ得る。医薬品の送達のための経皮パッチの構成および使用は当該分野において周知である。例えば、米国特許第5,023,252号を参照のこと。そのようなパッチは、医薬品の連続的な送達、拍動性の送達または需要送達のために構成され得る。
【0153】
本発明の化合物の投与のための1つの好ましい様式は吸入である。吸入は、因子を直接的に気道に送達するための効果的な手段である。以下の3つの一般的な型の薬剤吸入デバイスがある:ネブライザー吸入器、乾燥粉末吸入器(DPI)および定量吸入器(MDI)。従来のネブライザーデバイスは、高速度の空気の流れを作り出し、ミストとして噴霧するための治療薬剤を生じ、患者の気道に運ばれる。治療薬剤は呼吸に適したサイズの微粉末粒子の溶液または懸濁液のような液体の形態に処方され、ここで微粉末化は、代表的にはその粒子の約90%以上が、約10μm未満の直径を有するとして定義される。
【0154】
従来のネブライザーのデバイスを用いるための代表的な処方は、約0.05μg/mLと約1mg/mLとの間の活性薬剤濃度での、活性薬剤の薬剤塩の等張水溶液である。適したネブライザーデバイスは、例えばPARI GmbH (Starnberg、 Germany)により商業的に提供される。他のネブライザーデバイスは、例えば米国特許第6,123,068号に開示される。
【0155】
DPIは代表的に、呼吸の間に患者の気流に分散され得る自由流動性粉末の形態で治療薬剤を投与する。あるいは、粉末を分散させるために外部のエネルギー源を用いるDPIデバイスがまた開発されている。自由流動性粉末を達成するために、治療薬剤は適した賦形剤(例えば乳糖またはデンプン)で処方され得る。乾燥粉末処方物は、例えば乾燥乳糖粒子を本発明の化合物(すなわち、活性物質)の適した形態(代表的には、薬学的に受容可能な塩)の微粉末化粒子と結合させ、乾式混合することにより作られ得る。あるいは、この薬剤は賦形剤なしで処方され得る。この処方物は、乾燥粉末ディスペンサに装填されるか、または乾燥粉末送達デバイスを用いる使用のために吸入カートリッジまたはカプセルに装填される。
【0156】
商業的に提供されるDPI送達デバイスの例としては、Diskhaler(GlaxoSmithKline、Research Triangle Park、NC)(例えば、米国特許第5,035,237号を参照のこと);Diskus(GlaxoSmithKline)(例えば、米国特許第6,378,519号を参照のこと);Turbuhaler(AstraZeneca、Wilmington、DE)(例えば、米国特許第4,524,769号を参照のこと);およびRotahaler(GlaxoSmithKline)(例えば、米国特許第4,353,365号を参照のこと)が挙げられる。さらに適したDPIデバイスの例は、米国特許第5,415,162号、同第5,239,993号および同第5,715,810号ならびにその中の参考文献に記載される。
【0157】
MDIは代表的には、圧縮した噴霧ガスを用いて測定した量の治療因子を放出する。MDI投与のための処方物は、液化性の噴霧剤中の活性成分溶液または懸濁液を含有する。CClFのようなクロロフルオロカーボンが、従来噴霧剤として用いられていたが、そのような物質がオゾン層に悪影響を与える事に関する懸念のため、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)および1,1,1,2,3,3,3,−ヘプタフルオロ−n−プロパン(HFA 227)のようなヒドロフルオロアルカン(HFA)を用いる処方が開発された。MDI投与のためのHFA処方物の付加的な成分としては、エタノールまたはペンタンのような共溶媒およびソルビタントリオレエート、オレイン酸、レシチンおよびグリセリンのような界面活性剤が挙げられる。(例えば、米国特許第5,225,183号、EP0717987 A2およびWO92/22286を参照のこと。)
従って、MDI投与のための適した処方は、約0.001〜約2重量%の本発明の化合物、約0〜約20重量%のエタノールおよび約0〜約5重量%の界面活性剤を含有し、残部はHFA噴霧剤であり得る。1つのアプローチにおいて、この処方物を調製するために、冷却または加圧したヒドロフルオロアルカンが、本発明の化合物、エタノール(存在する場合)および界面活性剤(存在する場合)を含有するバイアルに加えられる。懸濁剤を調製するために、薬剤塩は微粉末化粒子として提供される。この処方物は、MDIデバイスの一部を形成するエアロゾールキャニスターに装填される。HFA噴霧剤を用いるために特に開発されたMDIデバイスの例は、米国特許第6,006,745号および同第6,143,227号に提供される。
【0158】
別の調製物において、懸濁処方物は、活性化合物の薬剤塩の微粉末化粒子上に界面活性剤をコーティングする噴霧乾燥により調製される(例えば、WO99/53901およびWO 00/61108を参照のこと)。呼吸に適した粒子を調製するプロセス、ならびに吸入用量に適した処方物およびデバイスのさらなる例については、米国特許第6,268,533号、同第5,983,956号、同第5,874,063号および同第6,221,398号ならびにWO99/55319およびWO00/30614を参照のこと。
【0159】
特定の投与様式に適した本発明の化合物の任意の形態(すなわち、遊離塩基、薬剤塩または溶媒和物)は、上記で考察される薬学的組成物に用いられ得ることが理解される。
【0160】
この活性化合物は、βアドレナリン作用性レセプターアゴニストとして有用であるため、哺乳動物においてβアドレナリン作用性レセプターにより媒介されるかまたはβアドレナリン作用性レセプター活性と関連する医学的疾患または病状(すなわちβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを用いる処置により改善される医学的状態)を処置するのに有用である。そのような医学的状態としては、喘息または慢性閉塞性肺疾患のような肺疾患、早産、神経障害、心臓障害または炎症があげられるが、これらに限定されない。
【0161】
活性化合物は、広範な投与量範囲にわたり有効であり、一般的に治療的有効量が投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、処置される状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物およびその相対活性、年齢、体重ならびに個々の患者の応答、患者の症状の重篤度などを含む関連する状況を考慮して医師により決定されることは理解される。
【0162】
吸入投与のための治療薬剤の適した用量は、約0.1μg/日〜約500μg/日を含む約0.05μg/日〜約1000μg/日の一般的範囲である。特定の送達デバイスに特有の肺へ送達される活性化合物のフラクションは、吸入投与のために適した用量を決定する過程で考慮されることが理解される。
【0163】
化合物は定期的な投薬:毎週、1週間につき複数回、毎日または1日に複数回により投与され得る。処置の処方計画は、長い期間(例えば数週間または数ヶ月間)にわたる投与が必要とされ得るかまたは処置の処方計画には慢性投与が必要とされ得る。経口投与に適した用量は、例えば約0.5μg/日〜約1000μg/日であるように一般的に約0.05μg/日〜約100 mg/日の範囲である。
【0164】
他の特性のあいだで、本発明の化合物は、強力かつ選択的なβアドレナリン作用性レセプターのアゴニストである。特に、本発明の化合物は、βおよびβアドレナリン作用性レセプターに比較して、βアドレナリン作用性レセプターに選択的である。
【0165】
従って、本発明は、βアドレナリン作用性レセプター活性と関連する疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、本発明の化合物の治療的有効量または本発明の化合物を含有する薬学的組成物の治療的有効量を哺乳動物に投与する工程を包含する。
【0166】
本発明の活性薬剤はまた、1つ以上の他の治療薬剤とともに投与され得る。例えば、本発明の活性薬剤は、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイドおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、抗コリン薬(特にムスカリンレセプターアンタゴニスト)、他のβアドレナリン作用性レセプターアゴニスト、抗感染症薬(例えば、抗生物質または抗ウイルス薬)または抗ヒスタミン薬から選択される1つ以上の治療薬剤との組合せで投与され得る。従って、本発明は、さらなる局面において、本発明の化合物を1つ以上の他の治療薬剤とともに含む組合せを提供する(例えば、コルチコステロイド、抗コリン薬またはPDE4インヒビターのような抗炎症薬、抗コリン薬、別のβアドレナリン作用性レセプターアゴニスト、抗感染症薬または抗ヒスタミン薬)。
【0167】
他の治療薬剤は、薬学的に受容可能な塩または溶媒の形態で用いられ得る。それぞれに見合って、他の治療薬剤は必要に応じて純粋な立体異性体として用いられ得る。
【0168】
さらに本発明はまた、治療有効量の本発明の化合物、薬学的に受容可能なキャリアおよび治療有効量の1つ以上の他の治療薬剤(すなわち、ここで他の治療薬剤は、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイドおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs))、抗コリン薬(特にムスカリンレセプターアンタゴニスト)、他のβアドレナリン作用性レセプターアゴニスト、抗感染症薬(例えば、抗生物質または抗ウイルス薬)、抗ヒスタミン薬およびホスホジエステラーゼ4(PDE4)インヒビターから選択される);例えば抗炎症薬、抗コリン薬、別のβアドレナリン作用性レセプターアゴニスト、抗感染症薬または抗ヒスタミン薬を含有する薬学的組成物を提供する。
【0169】
適した抗炎症薬としては、コルチコステロイドおよびNSAIDが挙げられる。本発明の化合物との組合せで用いられ得る適したコルチコステロイドは、経口および吸入コルチコステロイドならびに抗炎症活性を有するそれらのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ(androsta)−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17−プロピオン酸エステルまたは17,21−ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロエートエステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチクソコート(butixocort)、RPR-−106541およびST−126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチル エステルおよび6α、9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11b−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチル エステルが挙げられ、さらに好ましくは6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステルが挙げられる。
【0170】
適したNSAIDとしては、クロモグリク酸ナトリウム;ネドクロミルナトリウム;ホスホジエステラーゼ(PDE)インヒビター(例えば、テオフィリン、PDE4インヒビターまたは混合PDE3/PDE4インヒビター);ロイコトリエンアンタゴニスト(例えばモンテルカスト(monteleukast));ロイコトリエン合成インヒビター;iNOSインヒビター;トリプターゼインヒビターおよびエラスターゼインヒビターのようなプロテアーゼインヒビター;β−2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシンレセプターアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト);サイトカインアンタゴニスト(例えば、インターロイキン抗体(αIL抗体)、特にαIL−4治療、αIL−13治療またはそれらの組合せのようなケモカインアンタゴニスト);またはサイトカイン合成のインヒビターが挙げられる。適した他のβ−アドレナリン作用性アゴニストとしては、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩リアおよび治療的るかまたは処置の処方計画にとして)、サルブタモール(例えば、硫酸塩またはその遊離塩基として)、ホルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、フェノテロールまたはテルブタリンおよびそれらの塩が挙げられる。
【0171】
好ましくはまた、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)インヒビターまたは混合PDE3/PDE4インヒビターと本活性薬剤との組合せの使用である。代表的なホスホジエステラーゼ−4(PDE4)インヒビターまたは混合PDE3/PDE4インヒビターとしては、シス4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オン;シス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール];シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸など、またはそれらの薬学的に受容可能な塩が挙げられるが、これに限定されない。他の代表的なPDE4または混合PDE4/PDE3インヒビターとしては、AWD−12−281(elbion);NCS−613(INSERM);D−4418(ChiroscienceおよびSchering−Plough);CI−1018またはPD−168787(Pfizer);WO99/16766に開示されるベンゾジオキソール化合物(Kyowa Hakko);K−34(Kyowa Hakko);V−11294A(Napp);ロフルミラスト(roflumilast)(Byk−Gulden);WO99/47505に開示されるフタラジノン化合物(Byk−Gulden);Pumafentrine(Byk−Gulden、now Altana);アロフィリン(arofylline)(Almirall−Prodesfarma);VM554/UM565(Vernalis);T−440(Tanabe Seiyaku);およびT2585(Tanabe Seiyaku)が挙げられる。
【0172】
適した抗コリン薬としては、ムスカリンレセプターでアンタゴニストとして作用する化合物であり、特にM、MまたはMレセプターのアンタゴニストである化合物またはそれらの組合せである。例示的な化合物には、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンなどにより示されるようなベラドンナ植物のアルカロイドが挙げられ;これら化合物は、通常三級アミンの塩として投与される。これら薬物、特に塩の形態は、容易に多くの商業的原料から入手可能であるか、または学術的な資料から作られるかまたは調製され得、すなわち:
アトロピン−CAS−51−55−8またはCAS−51−48−1(無水の形態)、硫酸アトロピン−CAS−5908−99−6;酸化アトロピン−CAS−4438−22−6またはそのHCl塩−CAS−4574−60−1および硝酸メチルアトロピン−CAS−52−88−0。
【0173】
ホマトロピン−CAS−87−00−3、臭化水素酸塩−CAS−51−56−9、臭化メチル塩−CAS−80−49−9。
【0174】
ヒヨスチアミン(d,l)−CAS−101−31−5、臭化水素酸塩−CAS−306−03−6および硫酸塩−CAS−6835−16−1。
【0175】
スコポラミン−CAS−51−34−3、臭化水素酸塩−CAS−6533−68−2、臭化メチル塩−CAS−155−41−9。
【0176】
好ましい抗コリン薬としては、Atroventという名称で販売されているイプラトロピウム(例えば、臭化物として)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として)およびチオトロピウム(例えば、臭化物として)(CAS−139404−48−1)が挙げられる。また好ましくは:メタンテリン(CAS−53−46−3)、臭化プロパテリン(CAS−50−34−9)、臭化アニソトロピンメチルまたはValpin 50(CAS−80−50−2)、臭化クリニジウム(Quarzan、CAS−3485−62−9)、コピロラート(copyrrolate)(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド(CAS−71−81−8)、臭化メペンゾラート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキセチル(Pathilone、CAS−4310−35−4)、およびメチル硫酸ヘキソシクリウム(Tral、CAS−115−63−9)が挙げられる。塩酸シクロペントレート(CAS−5870−29−1)、トロピカミド(CAS−1508−75−4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS−144−11−6)、ピレンゼピン(CAS−29868−97−1)、テレンゼピン(CAS−80880−90−9)、AF−DX116、またはメトクラミン、ならびにWO01/04118に開示される化合物もまた参照し、この開示は参考により本明細書中に援用される。
【0177】
適した抗ヒスタミン薬(H−レセプターアンタゴニストとしても称される)としては、H−レセプターを阻害し、人への使用が安全であることが公知の多くのアゴニストのいずれか1つ以上が挙げられる。すべてがH−レセプターとヒスタミンとの相互作用に関して可逆的、競合的なインヒビターである。これらインヒビターの多くは、主に第一世代のアンタゴニストであり、エタノールアミン、エチレンジアミンおよびアルキルアミンのようなこれらのコア構造をベースに特徴づけられる。さらに、他の第一世代の抗ヒスタミン薬は、ピペラジンおよびフェノチアジンをベースに特徴づけられ得る化合物が挙げられる。第二世代のアンタゴニストは、非鎮静性であり、コアエチレン基(アルキルアミン類)を保持するか、またはピペラジンまたはピペリジンをともなう三級アミン基に似た同様な構造活性相関を有する。例示的なアンタゴニストは以下のようである:
エタノールアミン類:マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミン(diphenylhydramine hydrochloride)およびジメンヒドリナート。
【0178】
エチレンジアミン類:マレイン酸ピリラミン(pyrilamine amleate)、トリペレナミン HClおよびクエン酸トリペレナミン。
【0179】
アルキルアミン類:クロルフェニラミンおよびマレイン酸塩のようなその塩、ならびにアクリバスチン(acrivastine)。
【0180】
ピペラジン類:ヒドロキシジン HCl、ヒドロキシジンパモエート(pamoate)、シクリジン HCl、乳酸シクリジン、メクリジン HClおよびセチリジン(cetirizine) HCl。
【0181】
ピペリジン類:アステミゾール、レボカバスチン(levocabastine) HCl、ロラタジン(loratadine)またはその脱カルボエトキシアナログ、ならびにテルフェナジンおよび塩酸テルフェナジンまたは別の薬学的に受容可能な塩。
【0182】
塩酸アゼラスチンは、さらに別のHレセプターアンタゴニストであり本発明の化合物との組合せで用いられ得る。
【0183】
好ましい抗ヒスタミン薬の例としては、メタピリレンおよびロラタジンが挙げられる。
【0184】
従って本発明は、さらなる局面において、式(I)の化合物または薬学的に受容可能な塩または溶媒またはその立体異性体およびコルチコステロイドを含む組合せを提供する。特に、本発明は、コルチコステロイドがプロピオン酸フルチカゾンであるか、またはコルチコステロイドが6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチル エステルまたは6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アルドスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステルである組合せを提供する。
【0185】
従って、本発明は、さらなる局面において、式(I)の化合物または薬学的に受容可能な塩または溶媒またはその立体異性体およびPDE4インヒビターを含む組合せを提供する。
【0186】
従って、本発明は、さらなる局面において、式(I)の化合物または薬学的に受容可能な塩または溶媒またはその立体異性体および抗コリン薬を含む組合せを提供する。
【0187】
従って、本発明は、さらなる局面において、式(I)の化合物または薬学的に受容可能な塩または溶媒またはその立体異性体および抗ヒスタミン薬を含む組合せを提供する。
【0188】
従って、本発明は、さらなる局面において、PDE4インヒビターおよびコルチコステロイドと一緒に式(I)の化合物または薬学的に受容可能な塩または溶媒またはその立体異性体を含む組合せを提供する。
【0189】
従って、本発明は、さらなる局面において、抗コリン薬およびコルチコステロイドと一緒に式(I)の化合物または薬学的に受容可能な塩または溶媒またはその立体異性体を含む組合せを提供する。
【0190】
本明細書に記載される実施形態において用いられる場合、用語「式(I)の化合物」は、式(II)の化合物および好ましいその群、ならびに任意の個々に開示した化合物または化合物を含む。
【0191】
従って、本発明の薬学的組成物は、必要に応じて上記に記載されるように式(I)の化合物または薬学的に受容可能な塩または溶媒またはその立体異性体と1つ以上の他の治療薬剤との組合せを含有し得る。
【0192】
そのような組合せの個々の化合物は、連続的にまたは同時に、薬学的組成物で別々にまたは組み合せて投与され得る。公知の治療薬剤の適切な用量は、容易に当該分野の技術により理解される。そのため、本発明の処置方法は、そのような組合せの個々の化合物を連続的または同時のどちらかで、薬学的組成物で別々にまたは組み合せる投与を含む。
【0193】
従って、さらなる局面により、本発明は、βアドレナリン作用性レセプター活性と関連する疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、治療的に有効量の式(I)の化合物または薬学的に受容可能な塩または溶媒またはその立体異性体と1つ以上の他の治療薬剤との組合せの哺乳動物への投与を含む。
【0194】
本発明の化合物はβアドレナリン作用性レセプターアゴニストであるので、そのような化合物はまた、βアドレナリン作用性レセプターを有する生物学的システムまたは生物学的サンプルを調査するまたは研究するため、あるいは新規のβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを発見するためのツールとして有用である。さらに、本発明の化合物は、他のβアドレナリン作用性のレセプターサブタイプで結合性および機能活性を比較してβアドレナリン作用性レセプターに選択性を示すので、そのような化合物はまた、生物学的システムまたは生物学的サンプルにおいて、βアドレナリン作用性レセプターの選択的なアゴニズムの効果を研究するために有用である。βアドレナリン作用性レセプターを有する任意の適した生物学的システムまたは生物学的サンプルは、インビトロまたはインビボで行われ得るそのような研究において使用され得る。
【0195】
そのような研究に適した代表的な生物学的システムまたは生物学的サンプルは、細胞、細胞抽出物、原形質膜、組織サンプル、哺乳動物(マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタなどのような)などがあげられるが、限定されない。βアドレナリン作用性レセプターをアゴナイズする効果は、放射リガンド結合アッセイおよび機能アッセイ(例えば、以下に記載される細胞内サイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)におけるリガンド媒介性の変化、または同様な性質のアッセイ)のような従来の手順および装置を用いて決定される。本発明の化合物のβアドレナリン作用性レセプターをアゴナイズする量は、典型的に約1ナノモル〜約1000ナノモルの範囲である。本発明の化合物が新規のβアドレナリン作用性レセプターアゴニストを発見するための研究ツールとして用いられる場合、本発明はまた、別の実施形態として、興味のある試験化合物を同定するために、多数の比較データ(適切なアッセイを用いて)および試験データの解析の両方を含む。
【0196】
従って、本発明は、βアドレナリン作用性レセプターを含む生物学的システムまたは生物学的サンプルを研究するための方法を提供し、この方法は:(a)生物学的システムまたは生物学的サンプルを式(I)の化合物と接触させる工程;および(b)生物学的システムまたは生物学的サンプルにおいて化合物により引き起こされる効果を決定する工程を包含する。
【0197】
以下の非限定的な実施例は、本発明の代表的な薬学的組成物を示す。本発明の活性化合物の処方のための付加的な適したキャリアはまた、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、20th Edition、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、PA、2000において見い出され得る。
【0198】
(処方実施例A)
本実施例は、本発明の化合物を経口投与するための代表的な薬学的組成物の調製を示す:
成分 錠剤1個あたりの量(mg)
活性成分 1
乳糖、噴霧乾燥 148
ステアリン酸マグネシウム 2
上記成分を混合し、硬質−殻(shell)ゼラチンカプセルに導入する。
【0199】
(処方実施例B)
本実施例は、本発明の化合物を経口投与するための別の代表的な薬学的組成物の調製を示す:
成分 錠剤1個あたりの量(mg)
活性成分 1
トウモロコシデンプン 50
乳糖 145
ステアリン酸マグネシウム 5
上記成分を十分に混合し、単一の分割錠に圧縮する。
【0200】
(処方実施例C)
本実施例は、本発明の化合物を経口投与するための代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0201】
以下の組成を有する経口懸濁剤を調製する。
成分
活性化合物 3mg
フマル酸 0.5g
塩化ナトリウム 2.0g
メチルパラベン 0.1g
グラニュー糖 25.5g
ソルビトール(70%溶液) 12.85g
Veegum K(Vanderbilt Co.) 1.0g
香料 0.035mL
着色料 0.5mg
蒸留水 適量
全量100mL
(処方実施例D)
本実施例は、本発明の化合物を含む代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0202】
以下の組成を有するpH4に緩衝化される注射可能調製物を以下の組成物を用いて調製する:
成分
活性化合物 0.1mg
酢酸ナトリウム緩衝溶液(0.4M) 2.0mL
HCl(1N) pH4まで適量
水(蒸留、滅菌) 適量
全量20mL
(処方実施例E)
本実施例は、本発明の化合物の注射のための代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0203】
再構成した溶液を、1mgの本発明の化合物に20mLの滅菌水を加えることにより調製する。使用前に、この溶液を200mLの静脈内輸液で希釈すると活性化合物と化学反応を起こさず混合できる。そのような溶液を5%ブドウ糖溶液、0.9%塩化ナトリウム、または5%ブドウ糖溶液と0.9%塩化ナトリウムの混合物から選択する。他の例は、乳酸加リンガー液、5%ブドウ糖を加えた乳酸加リンゲル液、Normosol−Mおよび5%ブドウ糖、Isolyte Eおよびアシル化リンゲル液である。
【0204】
(処方実施例F)
本実施例は、本発明の化合物の局所適用のための代表的な薬学的組成物の調製を示す。
成分 グラム
活性化合物 0.2〜10
Span 60 2
Tween 60 2
鉱油 5
ワセリン 10
メチルパラベン 0.15
プロピルパラベン 0.05
BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール) 0.01
水 適量
全量100mL
水以外のすべての上記成分を混合し、撹拌しながら60℃に加熱する。60℃で十分な量の水を成分を乳化するために激しく撹拌しながら加え、それから水を適量100gまで加える。
【0205】
(処方実施例G)
本実施例は、本発明の化合物を含む代表的な薬学的組成物の調製を示す。
【0206】
ネブライザーを使用するための水溶性エアロゾール処方をクエン酸で酸性化した0.9%塩化ナトリウム溶液に0.1mgの活性化合物の薬剤塩を溶解することにより調製する。この混合物を撹拌し活性塩が溶解するまで超音波処理をする。この溶液のpHをゆっくりNaOHを加えて、3〜8の範囲に調整する。
【0207】
(処方実施例H)
本実施例は、吸入カートリッジでの使用のための本発明の化合物を含む乾燥粉末処方の調製を示す。
【0208】
ゼラチン吸入カートリッジを以下の成分を有する薬学的組成物で充填する:
成分
mg/カートリッジ
活性化合物の薬剤塩 0.2
乳糖 25
活性化合物の薬剤塩を乳糖と混合する前に微粉末化する。カートリッジ内容物を粉末吸入器を用いて投与する。
【0209】
(処方実施例I)
本実施例は、乾燥粉末吸入デバイスでの使用のための本発明の化合物を含む乾燥粉末処方物の調製を示す。
【0210】
1:200の微粉末化薬剤塩:乳糖のバルク処方比を有する薬学的組成物を調製する。この組成物を、1用量あたり、約10μgと約100μgの間の活性薬剤成分を送達できる乾燥粉末吸入デバイスに充填する。
【0211】
(処方実施例J)
本実施例は、定量吸入器での使用のための本発明の化合物を含む処方物の調製を示す。
【0212】
10μm未満の平均粒径を有する微粉末化粒子としての活性化合物5gを、脱塩処理した水100mLに溶解したトレハロース0.5gおよびレシチン0.5gから形成されるコロイド溶液に分散することにより、活性化合物の薬剤塩5%、レシチン0.5%およびトレハロース0.5%を含有する懸濁液を調製する。この懸濁液を噴霧乾燥し、得られた物質を、1.5μm未満の平均粒径を有する粒子に微粉末化する。これらの粒子を加圧1,1,1,2−テトラフルオロエタンと共にキャニスターに装填する。
【0213】
(処方実施例K)
本実施例は、定量吸入器での使用のための本発明の化合物を含む処方物の調製を示す。
【0214】
10μm未満の平均粒径を有する微粉末化粒子としての活性化合物10gを、脱塩処理した水200mLに溶解したレシチン0.2gから形成される溶液に分散することにより、活性化合物の薬剤塩5%およびレシチン0.1%を含有する懸濁液を調製する。この懸濁液を噴霧乾燥し、得られた物質を1.5μm未満の平均粒径を有する粒子に微粉末化する。これらの粒子を加圧1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンと共にキャニスターに装填する。
【0215】
以下の実施例は、本発明を示すために提案されたものであり、決して本発明の範囲を制限するように解釈されるものではない。
【0216】
(略語)
%Eff %効力
ATCC American Type Culture Collection
BSA ウシ血清アルブミン
cAMP アデノシン3’:5’−サイクリック一リン酸
DMEM ダルベッコ改変イーグル培地
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
Emax 最大効力
FBS 胎児ウシ血清
Gly グリシン
HEK−293 ヒト胚性腎臓−293
PBS リン酸緩衝化生理食塩水
rpm 1分間あたりの回転
Tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
(生物学的アッセイ)
本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な塩は生物学的活性を示し、そして医学的処置のために有用である。この化合物のβアドレナリン作用性レセプターへの結合能力、およびその選択性、アゴニスト能力、および固有の活性は、以下の試験A〜Cを用いて証明され得るか、または当該分野において公知の他の試験を用いて証明され得る。
【0217】
(ヒトβアドレナリン作用性レセプターまたはヒトβアドレナリン作用性レセプターを発現する細胞からの膜調製)
クローン化したヒトβアドレナリン作用性レセプターまたはヒトβアドレナリン作用性レセプターを安定して発現するHEK−293由来細胞株それぞれを、500μg/mL Geneticinの存在下、10%の透析したFBSを有するDMEM中で、ほぼコンフルエンシーまで増殖させた。この細胞単層をスクレーパーを用いてVersene 1:5,000 (PBS中0.2g/L EDTA)で取り上げた。細胞を1,000rpmでの遠心分離によりペレットにし、そして細胞ペレットを−80℃で凍結貯蔵するか、または膜を直ちに調製した。調製のために、細胞ペレットを溶解緩衝液中(4℃の10 mM Tris/HCL pH7.4、50mLあたり1錠の「Complete Protease Inhibitor Cocktail Tablets with 2mM EDTA」(Rocheカタログ番号1697498、Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN))中に再懸濁し、そして氷上でタイトフィッティングDounceガラスホモジナイザー(20ストローク)を用いてホモジナイズした。ホモジネートを20,000×gで遠心分離し、ペレットを上記のような再懸濁および遠心分離により溶解緩衝液を用いて一回洗浄した。最終ペレットを、膜緩衝液(25℃の75mM Tris/HCl pH7.4、12.5mM MgCl、1mM EDTA)中に再懸濁した。膜懸濁液のタンパク質濃度を、Bradfordの方法(Bradford MM.、Analytical Biochemistry、1976、72、248−54)により決定した。膜を−80℃で、アリコートで冷凍貯蔵した。
【0218】
(試験A)
(ヒトβアドレナリン作用性レセプターまたはヒトβアドレナリン作用性レセプターにおける放射性リガンド結合アッセイ)
結合アッセイを、アッセイ緩衝液(25℃の75mM Tris/HCl pH7.4、12.5mM MgCl、1mM EDTA、0.2% BSA)中に、ヒトβアドレナリン作用性レセプターを含む膜について5μgの膜タンパク質またはヒトβアドレナリン作用性レセプターを含む膜について2.5μgの膜タンパク質を用いて100μLの総アッセイ容量で、96ウェルマイクロプレート中で行った。放射性リガンドのK値を決定するための飽和結合実験を[H]ジヒドロアルプレノール(NET−720、100Ci/mmol、PerkinElmer Life Sciences Inc.、Boston、MA)を0.01nM〜200nMの範囲の10の異なる濃度で実施した。化合物のpK値を決定するための置換アッセイを、1nMの[H]ジヒドロアルプレノールおよび40pM〜10μMの範囲の10の異なる濃度の化合物を用いて行った。化合物を、溶解緩衝液(50%DMSOを有する25mM Gly−HCl pH3.0)中に10mMの濃度まで溶解し、ついで50mMのGly−HCl pH3.0中に1mMまで希釈し、そして段階的にアッセイ緩衝液に希釈した。非特異的結合を10μMの非標識アルプレノールの存在下で決定した。アッセイを室温で、90分間、インキュベートし、結合反応を、0.3%ポリエチレンイミン中にあらかじめ浸したGF/Bガラス繊維濾過プレート(Packard BioScience Co.、Meriden、CT)を通す急速濾過により終結した。濾過プレートを、濾過緩衝液(4℃の75 mM Tris/HCl pH7.4、12.5mM MgCl、1mM EDTA)で3回洗浄し、非結合放射活性を除去した。プレートを乾燥し、50mLのMicroscint−20液体シンチレーション溶液(Packard BioScience Co.、Meriden、CT)を加え、そしてプレートをPackard Topcount液体シンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.、Meriden、CT)で計測した。結合データを、ワンサイト競合のための3パラメーターモデルを用いるGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software、Inc.、San Diego、CA)を用いて非線形回帰分析により解析した。曲線の最小値を、10μMアルプレノロール存在下で決定されるような非特異的結合の値に固定した。化合物のK値を、Cheng−Prusoff式(Cheng Y、and Prusoff WH.、Biochemical Pharmacology、1973、22、23、3099−108)を用いて、放射性リガンドのIC50の測定値およびK値から算出した。レセプターサブタイプ選択性を、K(β)/K(β)の比として算出した。本発明の化合物は、βアドレナリン作用性レセプターでの結合よりβアドレナリン作用性レセプターでの結合が高いことが証明された(すなわち、約10倍高い選択性をもつK(β)>K(β))。特に、実施例1の化合物は、βアドレナリン作用性レセプターよりβアドレナリン作用性レセプターで高い結合が証明された(すなわち、約18倍高い選択性をもつK(β)>K(β))。
【0219】
(試験B)
(ヒトβアドレナリン作用性レセプター、ヒトβアドレナリン作用性レセプター、ヒトβアドレナリン作用性レセプターをそれぞれ異種発現する細胞株を用いる全細胞のcAMPフラッシュプレートアッセイ)
クローン化したヒトβアドレナリン作用性レセプター(クローン H34.1)を安定に発現するHEK−293細胞株を、10%FBSおよび500μg/mL Geneticinを添加したDMEMからなる培地中で、約70%〜90%のコンフルエンシーまで増殖させた。クローン化したヒトβアドレナリン作用性レセプター(クローン H24.14)を安定に発現するHEK−293細胞株を、同様の培地中でフルコンフルエンシーまで増殖させた。ヒトβアドレナリン作用性レセプターを安定に発現するCHO−K1細胞株を、10%FBSを添加し、5継代ごとに800μg/mL Geneticinを加えられたHam’s F−12培地中で約70%〜90%のコンフルエンシーまで増殖させた。アッセイ前日に、培養物を、抗生物質なしの同じ増殖培地に変えた。
【0220】
cAMPアッセイを、製造者の指示に従って、125I−cAMPを有するFlashplate Adenylyl Cyclase Activation Assay System(NEN SMP004、 PerkinElmer Life Sciences Inc.、Boston、MA)を用いて、放射性イムノアッセイフォーマットにおいて実施した。
【0221】
アッセイの日に、細胞をPBSで一回リンスし、Versene 1:5,000(PBS中の0.2g/L EDTA)で取り上げ、そして計数した。細胞を1,000rpmでの遠心分離によりペレット化し、あらかじめ37℃に温めた刺激緩衝液中に再懸濁した。β−アドレノセプターを発現する細胞に関して、10nM ICI118,551を刺激緩衝液に加え、細胞を37℃で10分間、インキュベートした。細胞を、β−アドレノセプター発現細胞、β−アドレノセプター発現細胞およびβ−アドレノセプター発現細胞それぞれについて、最終濃度30,000、40,000および70,000細胞/ウェルで用いた。化合物をDMSO中、10mMの濃度で溶解し、50mM Gly−HCl pH3.0中、1mMまで希釈し、そしてアッセイ緩衝液中(25℃の75mM Tris/HCl pH7.4、12.5mM MgCl、1mM EDTA、0.2%BSA)に段階的に希釈した。化合物を、10μM〜9.5pMの範囲の11の異なる濃度でのアッセイにおいて試験した。反応物を、37℃で10分間インキュベートし、そして100μLの氷冷検出緩衝液の添加により停止した。プレートを密封し、4℃で一晩インキュベートし、そして次の朝トップカウントシンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.、Meriden、CT)で計測した。反応物1mLあたり生成されたcAMPの量を、製造者のユーザーマニュアルに記載されるようにサンプルおよびcAMPの標準品について観察されたカウントをベースに計測した。データを、シグモイド用量反応曲線についての3パラメーターモデル(ヒルスロープ=1)を用いるGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software、Inc.、San Diego、CA)を用いて非線形回帰分析により解析した。アゴニストの能力を、pEC50値として表した。機能的β/β選択性をpEC50(β)/EC50(β)の比として定義し、相当する機能的β/β選択性をpEC50(β)/EC50(β)の比として定義した。
【0222】
本発明の化合物は、本アッセイにおいて、約7より大きいpEC50値から明らかなように、βアドレナリン作用性レセプターでの強力な活性が証明された。加えて、試験された化合物は、βおよびβレセプターでの機能的活性と比較してβレセプターでの機能的活性に選択性が証明された。特に、本アッセイにおいて試験された本発明の化合物は、約40より大きいpEC50(β)/pEC50(β)比および約30より大きいpEC50(β)/pEC50(β)比が証明された。
【0223】
(試験C)
(ヒトβアドレナリン作用性レセプターを内因的に発現する肺上皮細胞株を用いる全細胞のcAMPフラッシュプレートアッセイ)
内因性レベルのβアドレナリン作用性レセプターを発現する細胞株におけるアゴニスト能力および効果(固有の活性)の決定に関して、ヒト肺上皮細胞株(BEAS−2B)を用いた(ATCC CRL−9609、American Type Culture Collection、Manassas、VA)(January Bら、British Journal of Pharmacology、1998、123、4、701−11)。細胞を、完全な無血清培地中(エピネフリンおよびレチノイン酸を含むLHC−9 MEDIUM、カタログ番号181−500、Biosource International、Camarillo、CA)で、75〜90%コンフルエンシーまで増殖した。アッセイ前日に、培地をLHC−8(エピネフリンもレチノイン酸も含まない、カタログ番号141−500、Biosource International、Camarillo、CA)に換えた。
【0224】
cAMPアッセイを、製造者の指示に従って、125I−cAMPを有するFlashplate Adenylyl Cyclase Activation Assay System(NEN SMP004、PerkinElmer Life Sciences Inc.、Boston、MA)を用いて、放射性イムノアッセイフォーマットにおいて実施した。
【0225】
アッセイの日、細胞をPBSでリンスし、PBS中、5mM EDTAを用いてスクレープすることにより取り上げ、そして計数した。細胞を,1,000rpmでの遠心分離によりペレット化し、37℃に温めた刺激緩衝液中に最終濃度600,000細胞/mLで再懸濁した。細胞を、アッセイ中、30,000細胞/ウェルの最終濃度で用いた。化合物を、溶解緩衝液中(50%DMSOを有する25mM Gly−HCl pH3.0)、10mMの濃度まで溶解し、アッセイ緩衝液(25℃のTris/HCl pH7.4、12.5mM MgCl、1mM EDTA、0.2%BSA)中に段階的に希釈した。
【0226】
化合物を、10μM〜40pMの範囲の10の異なる濃度でのアッセイにおいて試験した。最大反応を、10μM イソプロテレノールの存在下で決定した。反応物を37℃で10分間、インキュベートし、そして100μLの氷冷検出緩衝液の添加により停止した。プレートを密封し、4℃で一晩インキュベートし、そして次の朝トップカウントシンチレーションカウンター(Packard BioScience Co.、Meriden、CT)で計測した。反応物1mLあたり生成されたcAMPの量を、製造者のユーザーマニュアルに記載されるようにサンプルおよびcAMPの標準品について観察されたカウントをベースに計測した。データを、変動可能なスロープを有するシグモイド用量反応曲線についての4パラメーターモデルを用いるGraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software、Inc.、San Diego、CA)を用いて非線形回帰分析により解析した。化合物の効力(%Eff)をEmax(フィットした曲線の最高点)測定値と10μMのイソプロテレノールについて得られる最大反応との比から算出し、そしてイソプロテレノールに対する%Effとして表した。本アッセイで試験した本発明の化合物は、約50より大きい%Effを証明した。
【実施例】
【0227】
一般:その他に明記しない限り、試薬、出発物質および溶媒は、業者、例えばSigma−Aldrich(St.Louis,MO)、J.T.Baker(Phillipsburg,NJ)およびHoneywell Burdick and Jackson(Muskegon,MI)から購入し、さらに精製することなく使用した;反応は、質素雰囲気下にて実行した;反応混合物は、薄層クロマトグラフィー(シリカTLC)、分析用高速液体クロマトグラフィー(分析用HPLC)または質量分析によりモニターした;反応混合物は、下記に記載される一般的なプロトコールを用いてシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、または分取HPLCにより一般に精製した;NMRサンプルを重水素化溶媒(CDOD、CDClまたはDMSO−d6)に溶解し、スペクトルを、標準的パラメーターの下、Varian Gemini 2000機器(300MHz)を用いて獲得した;そして質量スペクトルの同定を、Perkin Elmer機器(PE SCIEX API 150 EX)を用いる、エレクトロスプレーイオン化方法(ESMS)により実行した。
【0228】
(実施例1:8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン)の合成
【0229】
【化38】

工程(a).6−メトキシビフェニル−3−オールの調製
酢酸(6mL)中の6−メトキシビフェニル−3−イルアミン(3.4g)の溶液を、濃硫酸(1.4mL)と氷(30g)の混合物に加えた。このスラリーを0℃に冷却し、水(9mL)中の亜硝酸ナトリウム(1.24g)の溶液をゆっくり加え、5℃以下に維持した。混合物を、0.5時間、0℃で撹拌し、それからシリンジを介して還流している表面の下に、2M硫酸(150mL)を加えた。この反応混合物を1時間還流し、室温まで冷却した。この溶液をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機物を、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、濃縮した。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、ジクロロメタン)により精製し、黒いオイルとして表題中間体(2.1g)を得た。C1312のm/z:[M]計算値200.1;実測値200.1。H NMR(300MHz、DMSO−d):8.92(s,1H)、7.32−7.16(m,5H)、6.78(d,1H,J=8.5Hz)、6.57(m,2H)、3.51(s,1H)。
【0230】
工程(b).2−[2−(4−ヨードフェニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンの調製
酢酸(100mL)中の2−(4−ヨードフェニル)エチルアミン(7.08g)および無水フタル酸(4.24g)の溶液を、4時間還流した。溶媒を蒸発させ、残留物をエタノール(100mL)で粉砕した。固体を分離し、白色固体として表題中間体(7.0g)を得た。
【0231】
工程(c).2−{2−[4−(6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチル}イソインドール−1,3−ジオンの調製
N−メチルピロリジノン(2mL)中の工程(a)の生成物(400mg)および炭酸セシウム(652mg)のスラリーを、窒素ガス中に10分間、通気することにより脱気した。このスラリーに塩化銅(I)(50mg)、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン(45mg)および工程(b)の生成物(377mg)を加えた。この反応混合物を120℃まで温め、室温に冷却される前に4時間撹拌した。この溶液を、メチル−tert−ブチルエステル(20mL)で希釈し、1M塩酸(20mL)、それから1M水酸化ナトリウム(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム乾燥し、そして減圧下濃縮した。残留物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、250:1:0.5 ジクロロメタン:メタノール:酢酸)で精製し、透明なオイルとして表題中間体(170mg)を得た。
【0232】
工程(d).2−[4−(6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミンの調製
ジクロロメタン(10mL)中の工程(c)の生成物(170mg)およびヒドラジン(2mL)の溶液を、3時間、室温で撹拌し、それから水(20mL)およびジクロロメタン(50mL)で希釈した。有機物を分離し、水(2×20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させて表題中間体(110mg)を得た。C2121NOのm/z:[M+H]計算値320.2;実測値320.3。
【0233】
工程(e).8−ベンジルオキシ−5−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−{2−[4−(6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オンの調製
DMSO中の工程(d)の生成物(919mg)、8−(ベンジルオキシ)−5−[(R)−2−ブロモ−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エチル]−1H−キノリン−2−オン(909mg)、炭酸カリウム(771mg)およびヨウ化ナトリム(418mg)のスラリーを、5時間、90℃に加熱した。この混合物を冷却し、それから水(10mL)で希釈した。この溶液を、ジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。合わせた有機物を、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を、減圧下除去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(40:2:1 ジクロロメタン:メタノール:酢酸)で精製し、透明なオイルとして表題中間体(1.0g)を得た。C4550Siのm/z:[M+H]計算値727.4;実測値727.8。
【0234】
工程(f).8−ベンジルオキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オンの調製
テトラヒドロフラン(5mL)中の工程(e)(500mg)の生成物およびトリエチルアミン三フッ化水素酸(0.34mL)を、16時間、室温で撹拌した。この溶液を酢酸イソプロピル(20mL)および水酸化ナトリウム(1M、20mL)で希釈した。この有機物を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させ透明なオイルとして表題中間体(200mg)を得た。C3936のm/z:[M+H]計算値613.3;実測値613.5。
【0235】
工程(g).8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オンの合成
1:1のジクロロメタン:メタノール(10mL)の溶液中の工程(g)の生成物(200mg)および水酸化パラジウム(20%w/w炭素担持、50mg)のスラリーを3時間、水素雰囲気下撹拌した。触媒を取り除き、濾過物を蒸発させ、そして残留物を逆相HPLCにより精製し、トリフルオロ酢酸の塩として白色固体の形態で、表題中間体化合物(110mg)を得た。C3230のm/z:[M+H]計算値523.2;実測値523.6。H NMR(300MHz、DMSO−d):10.38(d,1H,J=19.3Hz)、8.57(br s,1H)、8.00(d,1H,J=9.9Hz)、7.35−7.16(m,6H)、7.11(d,2H,J=8.8Hz)、7.04−6.99(m,2H)、6.89−6.81(m,4H)、6.46(d,1H,J=8.3Hz)、6.06(br s,1H)、5.18(d,1H,J=9.1Hz)、3.63(s,3H)、3.07−2.78(m,7H)。
【0236】
(実施例2)
5−((R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン
【0237】
【化39】

工程(a).2−{2−[4−(3−クロロフェノキシ)フェニル]エチル}イソインドール−1,3−ジオンの調製
N−メチルピロリジノン(15mL)中の3−クロロフェノール(2.4mL)および炭酸セシウム(6.1g)のスラリーを窒素ガス中に10分間、通気することにより脱気した。塩化銅(I)(462mg)、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン(425mg)および実施例1の工程(b)の生成物、2−[2−(4−ヨードフェニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(3.5g)をスラリーに加え、これを120℃まで温め、そして室温まで冷却される前に3時間撹拌した。この溶液をジクロロメタン(100mL)で希釈し、1M塩酸(2×50mL)それからブライン(2×50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧下濃縮した。残留物を逆相HPLCで精製し、透明なオイルとして表題中間体(900mg)を得た。C2216ClNOのm/z:[M+H]計算値378.09;実測値378.3。
【0238】
工程(b).2−[4−(3−クロロフェノキシ)フェニル]エチルアミンの調製
ジクロロメタン(10mL)中の工程(a)の生成物(900mg)およびヒドラジン(4mL)の溶液を、4時間、室温で撹拌した。混合物を水(20mL)およびジクロロメタン(80mL)で希釈した。有機層を分離し、水(2×20mL)およびブライン(20ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させてオイル/固体残留物を残した。この残留物をメタノール(20mL)中に取り出し、そして濾過し、固体物質を取り除いた。この濾過物を蒸発させ、透明なオイルとして表題中間体(470mg)を得た。
【0239】
工程(c).8−ベンジルオキシ−5−((R)−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−{2−[4−(3−クロロフェノキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オンの調製
DMSO (7mL)の工程(b)の生成物(1.39g)、8−(ベンジルオキシ)−5−[(R)−2−ブロモ−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エチル]−1H−キノリン−2−オン(2.49g)、ヨウ化ナトリウム(1.14g)および炭酸カリウム(2.11g)のスラリーを5時間、90℃に加熱した。この溶液を冷却し、ジクロロメタン(60mL)で希釈し、そして水(4×30mL)それからブライン(40mL)で洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、そして残留物を逆相HPLCにより精製し、透明なオイルとして表題中間体(1.85g)を得た。C3843ClNSiのm/z:[M+H]計算値655.3;実測値655.5。
【0240】
工程(d).8−ベンジルオキシ−5−[(R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エチル]−1H−キノリン−2−オンの調製
トルエン(2mL)中の工程(c)の生成物(200mg)、フェニルボロン酸(84mg)、ナトリウムtert−ブトキシド(154mg)および[(tert−ブチル)P(OH)]PdCl(22mg)のスラリーを、16時間還流した。この混合物を冷却し、ジクロロメタン(10mL)で希釈し、そして水(2×10mL)それからブライン(10mL)で洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮し、表題中間体(275mg)を得、これを精製なしに直接次の工程に用いた。C4448Siのm/z:[M+H]計算値697.4;実測値697.5。
【0241】
工程(e).8−ベンジルオキシ−5−[(R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル]−1H−キノリン−2−オンの調製
テトラヒドロフラン(10mL)中の工程(d)の生成物(275mg)およびトリエチルアミン三フッ化水素酸(1.0mL)を、16時間室温で撹拌した。この溶液を水酸化ナトリウム(0.5M、10mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出し、そして合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させ表題中間体(105mg)を得、これをさらに精製なしで直接次の工程で用いた。
【0242】
工程(f).8−ヒドロキシ−5−[(R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル]−1H−キノリン−2−オンの合成
1:1の酢酸:テトラヒドロフラン(10mL)の溶液中の工程(e)の生成物(105mg)および水酸化パラジウム(100mg)のスラリーを、24時間水素雰囲気下で撹拌した。触媒を取り除き、濾過物を蒸発させ、そして残留物を逆相HPLCにより精製し、トリフルオロ酢酸の塩として白色固体の形態で、表題化合物(16mg)を得た。C3128のm/z:[M+H]計算値493.2;実測値493.5。H NMR(300MHz、DMSO−d):10.40(d,1H,J=20Hz)、8.60(br s,1H)、8.01(d,1H,J=8.8Hz)、7.49(d,2H,J=8.2Hz)、7.14−7.34(m,7H)、7.03(d,1H,J=7.4Hz)、6.93(d,2H,J=7.4Hz)、6.86−6.82(m,2H)、6.46(d,1H,J=9.9Hz)、6.07(s,1H)、5.18(m,1H)、3.19−2.82(m,6H)。
【0243】
本明細書中の実施例および一般合成手順の節に記載される同様の手順を用いて、そして適切な試薬で開始し、表Aに列挙される以下の化合物が調製され得る:
【0244】
【表1−1】

【0245】
【表1−2】

本発明はその特定の実施形態を参照して記載されるが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ得、等価物が置換され得ることは、当業者に理解できるはずである。さらに、特定の状況、物質、組成物、製法、製法工程または工程を本発明の客観的精神および範囲に適合させるために、多くの改良がなされ得る。このような改良のすべては、添付の請求の範囲内であると解釈される。さらに、上記に引用した全ての出版物、特許および特許文献は、個々に本明細書中で参考として援用されるように、本明細書中で参考として詳細に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体であって:
【化1】

ここで:
、R、R、およびRのそれぞれは水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、−CHOHおよび−NHCHOから独立して選択されるか、あるいはRおよびRは一緒になって−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−および−SC(=O)NH−から選択され;
およびRは水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NR
−O−C1〜4アルキレニル−O−C1〜4アルキレニル−NR、−SONR、−NR、フェニルおよびヘテロアリールから独立して選択され;
およびRが両方水素でないならば;ここで各フェニルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;各ヘテロアリールは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;そして各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
10は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択されるか;あるいはRはR10と一緒になって−CH−または−CHCH−であり;
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはC1〜6アルキルであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されるか;あるいはRおよびR、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールまたは4〜7個の環原子を有し、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む複素環を形成し;
はヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−C(=O)OH、−CN、−NO、−C(=O)R、−SO−C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NRおよび−C(=O)NRから選択され、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;そして
はC1〜6アルキルまたはオキソであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される;
化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(II)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体である、請求項2に記載の化合物であって:
【化2】

ここで:
は−CHOHまたは−NHCHOであり、Rは水素であるか;あるいはRおよびRが一緒になって−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−または−SC(=O)NH−であり;
およびRはそれぞれ水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NR;−NR、フェニルおよびヘテロアリールから独立して選択され;
およびRが両方水素でないならば;ここで各フェニルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;各ヘテロアリールは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;そして各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;
、R、R、RおよびRがそれぞれ独立して水素またはC1〜6アルキルであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されるか;あるいはRおよびR、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールまたは4〜7個の環原子を有し、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む複素環を形成し;
はヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C(=O)OH、−CN、−NO、−C(=O)R、−C1〜6アルキレニル−NRおよび−C(=O)NRから選択され、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;そして
はC1〜6アルキルから選択され、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される;
請求項2に記載の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物または立体異性体。
【請求項4】
が−CHOHであり、Rが水素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が−NHCHOであり、Rが水素である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが一緒になって−NHC(=O)CH=CH−または−CH=CHC(=O)NH−である、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
およびRが、それぞれ水素、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NRおよび−NRから独立して選択され;RおよびRの各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されている、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
およびRの一方が−O(CHNH、−O(CHNH、−OCHC(CHNH、−O(CHNH、−(CHNH、−(CHNH、−CHC(CHNH、−(CHN(CH、4−モルホリニルエトキシおよび4−ピペラジニルエトキシから選択され;
そしてRおよびRの他方が水素、メトキシ、エトキシ、−CFおよびメチルから選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が水素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチルおよびエチルから選択され;そして
がフェニル、フリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルから選択され;ここでフェニルが必要に応じてRから選択される1または2個の置換基と置換され;そしてフリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルが必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換さる請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
が水素、メトキシまたはエトキシであり;
そしてRが必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換されるフェニルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が以下:
8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]−エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン;
5−((R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノ−2−メチルプロポキシ)フェノキシ]フェニル}エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[3−(3−アミノプロピル)−4−メトキシフェノキシ]フェニル}エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノエトキシ)−3−トリフルオロメチルフェノキシ]フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(3−アミノプロポキシ)フェノキシ]フェニル}エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−{(R)−2−[2−(4−{4−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]フェノキシ}フェニル)エチルアミノ]−1−ヒドロキシエチル}−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(2−{4−[4−(2−モルホリン−4−イルエトキシ)−フェノキシ]フェニル}エチルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オン;
8−ヒドロキシ−5−[(R)−1−ヒドロキシ−2−(2−{4−[4−(2−ピペラジン−1−イルエトキシ)フェノキシ]−フェニル}エチルアミノ)エチル]−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−4−メトキシフェノキシ]フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−((R)−2−{2−[4−(4’−クロロビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(4’−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)−フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン;
3’−(4−{2−[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]エチル}フェノキシ)ビフェニル−3−カルボニトリル;
8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(4−モルホリン−4−イルフェノキシ)−フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン;
5−[(R)−2−(2−{4−[3’−(2−アミノエチル)−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ]フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
8−ヒドロキシ−5−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(6−メトキシ−3’−モルホリン−4−イルメチルビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}エチル)−1H−キノリン−2−オン;
N−[5−((R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
N−{5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノエトキシ)フェノキシ]フェニル}エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−2−ヒドロキシフェニル}ホルムアミド;
N−{5−[(R)−2−(2−{4−[3−(2−ジメチルアミノエチル)−4−メトキシフェノキシ]フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−2−ヒドロキシフェニル}ホルムアミド;
4−((R)−2−{2−[4−(ビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール;
4−((R)−2−{2−[4−(2’−アミノ−3’−エチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]−エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール;
2−ヒドロキシメチル−4−((R)−1−ヒドロキシ−2−{2−[4−(4−モルホリン−4−イルフェノキシ)−フェニル]エチルアミノ}エチル)フェノール;
5−(2−{2−[4−(3’−クロロ−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5’−(4−{2−[2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]エチル}フェノキシ)−2’−メトキシビフェニル−3−カルボニトリル;
5−(2−{2−[4−(3’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
5−(2−{2−[4−(4’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン;
N−[5−(2−{2−[4−(3’−クロロ−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
N−[5−(2−{2−[4−(3’−シアノ−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
N−[5−(2−{2−[4−(3’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]−エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
N−[5−(2−{2−[4−(4’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]−エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシフェニル]ホルムアミド;
4−(2−{2−[4−(3’−クロロ−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール;
5’−(4−{2−[2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルフェニル)エチルアミノ]−エチル}フェノキシ)−2’−メトキシビフェニル−3−カルボニトリル;
4−(2−{2−[4−(3’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール; および
4−(2−{2−[4−(4’−アミノメチル−6−メトキシビフェニル−3−イルオキシ)フェニル]エチルアミノ}−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシメチルフェノール;
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の治療有効量および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【請求項13】
前記組成物が、さらに1つ以上の他の治療薬物の治療有効量を含有する、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物および1つ以上の他の治療薬物を含有する、組合せ。
【請求項15】
治療において使用するための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
医薬の製造における、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物または請求項14に記載の組合せの使用。
【請求項17】
前記医薬が、βアドレナリン作用性レセプター活性に関連した疾患または状態を有する哺乳動物の処置のための請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患または状態が、肺疾患または肺の状態である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記医薬が、吸入により投与に適している、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
βアドレナリン作用性レセプター活性に関連した疾患または状態を有する哺乳動物の処置のための1つ以上の治療薬物との組合せた投与のための医薬の製造における、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは:
式(III)の化合物
【化13】

を提供するために
(a)式(i)の化合物:
【化3】

と式(ii)の化合物:
【化4】

とを反応させる工程;
(b)Rがフェニルまたはヘテロアリールである式(I)の化合物のために、式(viii)の化合物:
【化5】

と式(ix)の化合物:
【化6】

とを遷移金属触媒の存在下で反応させる工程;
(c)Rがフェニルまたはヘテロアリールである式(I)の化合物のために、式(x)の化合物:
【化7】

と式(xi)の化合物:
【化8】

とを遷移金属触媒存在下で反応させる工程;
(d)式(xv)の化合物:
【化9】

と式(xvi)の化合物
【化10】

とを反応させる工程;または
(e)式(xvii)の化合物:
【化11】

と式(xviii)の化合物
【化12】

とを反応させる工程であって
ここで:
はヒドロキシ−保護基であり;
1a、R2a、R3aおよびR4aのそれぞれがR、R、RおよびRと同じであるか、またはR1a、R2a、R3aおよびR4aの1つ以上が独立して−OPであり、ここでPはヒドロキシ−保護基であり;
が脱離基であり;
が脱離基であり;
が脱離基であり;
UおよびVの一方が脱離基であり、そしてUおよびVの他方がヒドロキシ基であり;
そしてY−RおよびY−Rがフェニル−ボロン酸またはヘテロアリール−ボロン酸、フェニル−トリアルキル−スズまたはヘテロアリール−トリアルキル−スズ、フェニルハロゲン化亜鉛またはヘテロアリールハロゲン化亜鉛、およびフェニルハロゲン化マグネシウムまたはヘテロアリールハロゲン化マグネシウムから独立して選択される工程;および
式(I)の化合物またはその塩を提供するために存在する保護基Pおよび任意のP保護基を除く工程;
を包含する、プロセス。
【請求項22】
請求項1の前記化合物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは:
式(I)の化合物またはその塩を提供するために、保護基Pを除去することにより;
式(IV)の化合物を脱保護する工程であって:
【化14】

ここでR1a、R2a、R3aおよびR4aの少なくとも1つ以上が−OPであり、ここでPはヒドロキシ−保護基であり;そして他のR1a、R2a、R3aおよびR4aが、R、R、RおよびRである;
を包含する、プロセス。
【請求項23】
請求項21のプロセスにより調製される、生成物。
【請求項24】
請求項22のプロセスにより調製される、生成物。
【請求項25】
式(III)の化合物またはそれらの塩または溶媒和物または立体異性体であって:
【化15】

ここでPがヒドロキシ−保護基であり;
1a、R2a、R3aおよびR4aのそれぞれが、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、−CHOH、−NHCHOおよび−OPから独立して選択され、Pがヒドロキシ−保護基であるか;あるいはR1aおよびR2aは一緒になって−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−および−SC(=O)NH−から選択され;
およびRが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NR;−O−C1〜4アルキレニル−O−C1〜4アルキレニル−NR、−SONR、−NR、フェニルおよびヘテロアリールから独立して選択され;RおよびRが両方水素でないならば;ここで各フェニルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;各ヘテロアリールは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;そして各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
10は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択されるか;あるいはRはR10と一緒に−CH−または−CHCH−であり;
、R、R、RおよびRがそれぞれ独立して水素またはC1〜6アルキルであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されるか;あるいはRおよびR、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールまたは4〜7個の環原子を有し、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む複素環を形成し、;
は、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−C(=O)OH、−CN、−NO、−C(=O)R、−SO−C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NRおよび−C(=O)NRから選択され、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;そして
はC1〜6アルキルまたはオキソであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される;
化合物またはそれらの塩または溶媒和物または立体異性体。
【請求項26】
式(IV)の化合物またはそれらの塩または溶媒和物または立体異性体であって:
【化16】

ここでR1a、R2a、R3aおよびR4aのそれぞれが、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、−CHOH、−NHCHOおよび−OPから独立して選択され、Pがヒドロキシ−保護基であるか;あるいはR1aおよびR2aは一緒になって−NHC(=O)CH=CH−、−CH=CHC(=O)NH−、−NHC(=O)S−および−SC(=O)NH−から選択され;
およびRが水素、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NR、−O−C1〜6アルキレニル−NR;−O−C1〜4アルキレニル−O−C1〜4アルキレニル−NR、−SONR、−NR、フェニルおよびヘテロアリールから独立して選択され;RおよびRが両方水素でないならば;ここで各フェニルは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;各ヘテロアリールは必要に応じてRから選択される1または2個の置換基で置換され;そして各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
は水素またはC1〜6アルキルであり;
10は水素、ハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクリルから選択されるか;あるいはRはR10と一緒に−CH−または−CHCH−であり;
、R、R、RおよびRがそれぞれ独立して水素またはC1〜6アルキルであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されるか;あるいはRおよびR、またはRおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、ヘテロアリールまたは4〜7個の環原子を有し、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む複素環を形成し;
は、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−C(=O)OH、−CN、−NO、−C(=O)R、−SO−C1〜6アルキル、−C1〜6アルキレニル−NRおよび−C(=O)NRから選択され、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換され;そして
はC1〜6アルキルまたはオキソであり、ここで各C1〜6アルキルは必要に応じてハロ、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシおよびアミノから選択される1〜3個の置換基で置換される;
化合物またはそれらの塩または溶媒和物または立体異性体。
【請求項27】
βアドレナリン作用性レセプター活性と関連した疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法であって、該方法は請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物の治療的有効量を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項28】
さらに1つ以上の他の治療薬物の治療有効量を投与する工程を包含する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
βアドレナリン作用性レセプターを含む生物学的システムまたは生物学的サンプルを研究する方法であって、該方法は:
(a)該生物学的システムまたは生物学的サンプルを請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物と接触させる工程;および
(b)生物学的システムまたは生物学的サンプルに対して該化合物により引き起こされる効果を決定する工程を包含する、方法。

【公表番号】特表2008−507532(P2008−507532A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522685(P2007−522685)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/025690
【国際公開番号】WO2006/014704
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】