説明

ジアリールビニレン化合物の安定化方法



(式中、YおよびYは同一または異なって、水素原子、ハロゲンまたは低級アルキルを表し、ZおよびAは同一または異なって、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールを表す)
本発明は、例えば、上記式(I)で表されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤に無機物および/または着色剤を存在させることを特徴とする該固形製剤中のジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤中のジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法等に関する。
【背景技術】
2つの芳香環がビニレンを介して結合する化合物であるジアリールビニレン化合物、例えば後述する式(I)で表される化合物[以下、化合物(I)という]は、その構造上の特性により、例えば該ビニレン部分(炭素−炭素二重結合部分;共役オレフィン)で異性化(Z体からE体、またはE体からZ体に異性化)したり、二分子が該ビニレン部分で分子間結合して二量体を生成(二量化)したりすることが知られている。また、例えば後述する式(IA)で表されるスチリル構造をその構造中に有するキサンチン誘導体[以下、化合物(IA)という]、より具体的には(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン(以下、化合物1という)は、特に光照射下では不安定で、該スチリル構造のビニレン部分で異性化しやすく、中でも溶液状態で光に対し不安定であることが知られている[バイオオーガニック・メディシナル・ケミストリー・レターズ(Bioorg.Med.Chem.Lett.)、7巻、2349−2352ページ(1997年)]。一方、これら化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩は、アデノシンA受容体拮抗作用を示し、アデノシンA受容体の機能亢進作用に基づく各種疾患、例えばパーキンソン病、老人性痴呆症、うつ病等の治療等に有用であることが知られている(例えば、欧州特許第0590919号明細書等)。
また、例えば乳糖、馬鈴薯デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよび化合物1を含有する錠剤等が知られている(特開平6−211856号公報)。
一般的な組成を有する化合物(I)またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤は、上述したように化合物の構造上の特性に由来するビニレン部分での(a)異性化、(b)二量化等による不純物の増加という課題を有しており、例えば製剤化工程、病院や薬局での調剤化、製剤の保存等における取り扱いに細心の注意が必要である。さらに、特開平6−211856号公報に記載されているような一般的な組成を有する化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤は、上記の課題に加え、(c)硬度が不十分である、(d)崩壊時間が長い、(e)溶出が遅延する傾向にある等の課題を有する。
【発明の開示】
本発明の目的は、例えばジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤中のジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法(例えば該ジアリールビニレン化合物のビニレン部分での異性化、二量化等の抑制方法)等を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(33)に関する。
(1)ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤に無機物および/または着色剤を存在させることを特徴とする該固形製剤中のジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法。
(2)ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法がジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の二量化抑制方法である上記(1)記載の安定化方法。
(3)ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法がジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の異性化抑制方法である上記(1)または(2)記載の安定化方法。
(4)ジアリールビニレン化合物が式(I)

(式中、YおよびYは同一または異なって、水素原子、ハロゲンまたは低級アルキルを表し、ZおよびAは同一または異なって、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールを表す)で表される化合物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の安定化方法。
(5)ジアリールビニレン化合物が式(IA)

(式中、Y、YおよびZはそれぞれ前記と同義であり、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルを表し、XおよびXは同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す)で表されるキサンチン誘導体である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の安定化方法。
(6)YおよびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11は同一または異なって水素原子、低級アルキルまたは低級アルコキシを表す)または式(III)

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはアミノを表し、mは1〜3の整数を表す)である上記(5)記載の安定化方法。
(7)ジアリールビニレン化合物が式(IB)

で表される(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の安定化方法。
(8)固形製剤の形態が、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部を剤皮でコーティングした形態である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の安定化方法。
(9)剤皮に無機物および/または着色剤を存在させる上記(8)記載の安定化方法。
(10)ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩100重量部に対し無機物0.001〜10000重量部および/または着色剤0.001〜10000重量部を存在させる上記(1)〜(9)のいずれかに記載の安定化方法。
(11)剤皮100重量部に対し無機物0.01〜90重量部および/または着色剤0.01〜70重量部を存在させ、かつ無機物と着色剤の総含有量が剤皮100重量部に対し0.01〜90重量部である上記(9)記載の安定化方法。
(12)無機物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機物である上記(1)〜(11)のいずれかに記載の安定化方法。
(13)着色剤が酸化鉄である上記(1)〜(12)のいずれかに記載の安定化方法。
(14)無機物および/または着色剤を含有するジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の二量化抑制剤。
(15)ジアリールビニレン化合物が式(I)

(式中、Y、Y、ZおよびAはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物である上記(14)記載の二量化抑制剤。
(16)ジアリールビニレン化合物が、式(IA)

(式中、Y、Y、X、X、R、R、RおよびZはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体である上記(14)記載の二量化抑制剤。
(17)YおよびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ前記と同義である)または式(III)

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)である上記(16)記載の二量化抑制剤。
(18)ジアリールビニレン化合物が、式(IB)

で表される(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンである上記(14)記載の二量化抑制剤。
(19)無機物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機物である上記(14)〜(18)のいずれかに記載の二量化抑制剤。
(20)着色剤が酸化鉄である上記(14)〜(19)のいずれかに記載の二量化抑制剤。
(21)式(IA)

(式中、Y、Y、X、X、R、R、RおよびZはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩ならびに無機物および/または着色剤を含有する固形製剤。
(22)YおよびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ前記と同義である)または式(III)

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)である上記(21)記載の固形製剤。
(23)キサンチン誘導体が式(IB)

で表される(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンである上記(21)記載の固形製剤。
(24)固形製剤の形態が、キサンチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部を無機物および/または着色剤を含有する剤皮でコーティングした形態である上記(21)〜(23)のいずれかに記載の固形製剤。
(25)無機物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機物である上記(21)〜(24)のいずれかに記載の固形製剤。
(26)着色剤が酸化鉄である上記(21)〜(25)のいずれかに記載の固形製剤。
(27)ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の二量化抑制剤としての無機物および/または着色剤の使用。
(28)ジアリールビニレン化合物が式(I)

(式中、Y、Y、ZおよびAはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物である上記(27)記載の使用。
(29)ジアリールビニレン化合物が、式(IA)

(式中、Y、Y、X、X、R、R、RおよびZはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体である上記(27)記載の使用。
(30)YおよびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ前記と同義である)または式(III)

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)である上記(29)記載の使用。
(31)ジアリールビニレン化合物が、式(IB)

で表される(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンである上記(27)記載の使用。
(32)無機物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機物である上記(27)〜(31)のいずれかに記載の使用。
(33)着色剤が酸化鉄である上記(27)〜(32)のいずれかに記載の使用。
本発明の安定化方法において、
(i)ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤の安定化方法としては、例えば該ジアリールビニレン化合物のビニレン部分での異性化、二量化等を抑制する方法等があげられる。
本発明で安定化されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤において、
(ii)ジアリールビニレン化合物としては、2つの芳香環がビニレンを介して結合する化合物であり、該ビニレン部分で異性化したり、二分子が該ビニレン部分で分子間結合して二量体を生成(二量化)したりすることが危惧される化合物であればいずれでもよく、例えばRX−465、RX−549およびRX−512[ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、72巻、1219−1223ページ(1995年)、アンチキャンサー・リサーチ(Anticancer Research)、17巻、393−400ページ(1997年)]、CP−99711[カレント・オピニオン・イン・セラピュティック・パテンツ(Current Opinion in Therapeutic Patents)、9巻、701−709ページ(1999年)]等、WO03/043961、WO03/042187、WO03/037333、WO03/000634、WO02/24666、WO02/00632、WO01/70674、EP00937722、WO99/18068、EP00846689、特願平9−268125号公報、US05656655、WO96/39391、特願平8−291127号公報、GB02297750、WO96/04256、WO96/04257、EP00680953、WO94/25462、WO94/20455、EP00607607、US05198452、WO92/18481、EP00503453、EP00492249、EP00466125、WO90/16051、EP00484587、US05028615、US04920130等に記載の化合物等があげられる。
具体的には、例えば式(I)

(式中、Y、Y、ZおよびAはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物があげられ、より具体的には式(IA)

(式中、Y、Y、X、X、R、R、RおよびZはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体があげられる。さらに具体的には、化合物(IA)において、YおよびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ前記と同義である)または式(III)

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)であるキサンチン誘導体があげられ、中でも(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンが好ましい。
式(I)および(IA)の各基の定義において、
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
低級アルキルおよび低級アルコキシの低級アルキル部分としては、例えば直鎖または分岐状の炭素数1〜6のアルキル、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等があげられる。
低級アルケニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルケニル、具体的にはビニル、アリル、メタクリル、クロチル、3−ブテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、5−ヘキセニル等があげられる。
低級アルキニルとしては、例えば直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルキニル、具体的にはエチニル、プロパルギル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、4−メチル−2−ペンチニル等があげられる。
アリールとしては、例えば炭素数6〜14のアリール、具体的にはフェニル、ナフチル、アントリル等があげられる。
ヘテロアリールとしては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5または6員の単環性ヘテロアリール、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性ヘテロアリール等があげられ、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ベンゾイミダゾリル、2−オキソベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、プリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、1,4−ベンゾジオキサニル、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、ピロリル、トリアジニル、ピラゾリル、キナゾリニル、シンノリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チエニル、フリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロベンゾピラニル、2,6−ジオキソ−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−8−イル、2,6−ジチオキソ−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−8−イル等があげられる。
置換アリールおよび置換ヘテロアリールにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、具体的には低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アラルキル、アラルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、アロイル、アロイルオキシ、アリールアルカノイルオキシ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルバモイル、ジ低級アルキルカルバモイル、スルホ、低級アルコキシスルホニル、低級アルキルスルファモイル、ジ低級アルキルスルファモイル等があげられる。
上述の置換基の例示において、
低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、低級アルカノイル、低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルバモイル、ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルコキシスルホニル、低級アルキルスルファモイルおよびジ低級アルキルスルファモイルの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、ハロゲン、低級アルケニルおよび低級アルキニルはそれぞれ前記と同義である。ジ低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルカルバモイルおよびジ低級アルキルスルファモイルの2つの低級アルキル部分は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。アリールおよびアリールオキシのアリール部分は前記アリールと同義であり、アラルキルおよびアラルキルオキシのアラルキル部分としては、例えばベンジル、フェネチル等があげられる。アロイルおよびアロイルオキシのアロイル部分としては、例えばベンゾイル、ナフトイル等があげられる。アリールアルカノイルオキシのアリールアルキル部分としては、例えばベンジル、フェネチル等があげられる。置換低級アルコキシにおける置換基としては、同一または異なって、例えば置換数1〜3の、具体的にはヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン、アミノ、アジド、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル等があげられる。ここで、低級アルコキシおよび低級アルコキシカルボニルの低級アルキル部分は、前記低級アルキルと同義であり、ハロゲンは前記と同義である。
ジアリールビニレン化合物の薬理学的に許容される塩としては、例えば薬理学的に許容される酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。
ジアリールビニレン化合物の薬理学的に許容される酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩があげられ、薬理学的に許容される金属塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられ、薬理学的に許容されるアンモニウム塩としては、例えばアンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられ、薬理学的に許容される有機アミン付加塩としては、例えばモルホリン、ピペリジン等の付加塩があげられ、薬理学的に許容されるアミノ酸付加塩としては、例えばリジン、グリシン、フェニルアラニン等の付加塩があげられる。
ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩は、固体であれば粉末状、結晶性、塊状のいずれでも、本発明により安定化されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤に用いることができ、特に限定されず、例えば化合物(I)は、公知の方法[例えばブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、72巻、1219−1223ページ(1995年)、アンチキャンサー・リサーチ(Anticancer Research)、17巻、393−400ページ(1997年)、カレント・オピニオン・イン・セラピュティック・パテンツ(Current Opinion in Therapeutic Patents)、9巻、701−709ページ(1999年)、WO03/043961、WO03/042187、WO03/037333、WO03/000634、WO02/24666、WO02/00632、WO01/70674、EP00937722、WO99/18068、EP00846689、特願平9−268125号公報、US05656655、WO96/39391、特願平8−291127号公報、GB02297750、WO96/04256、WO96/04257、EP00680953、WO94/25462、WO94/20455、EP00607607、US05198452、WO92/18481、EP00503453、EP00492249、EP00466125、WO90/16051、EP00484587、US05028615、US04920130等]またはそれらに準じた方法により得られる。
より具体的には、化合物(IA)の場合、例えば結晶化度が20%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩があげられ、中でも結晶化度が30%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩が好ましく、さらに結晶化度が40%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩が好ましい。化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩の結晶化度とは、「化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩」における「結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩」の含有率を意味し、下記の式により算出される。

「化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩」の量とは、「結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩」と「非晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩」の総量を意味する。
該結晶化度は、例えば粉末X線回折装置(例えばJDX8030;日本電子株式会社製)により特定の回折角2θにおける回折ピークの積分強度を測定することにより算出される。つまり、該結晶化度は「結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩」の含有率が100%である標準試料(結晶化度100%)の回折ピークの積分強度に対する測定した試料の回折ピークの積分強度の比率として求められる。これら結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩は、例えば特開平6−211856号公報、欧州特許第0590919号明細書、特開平9−040652号公報等に記載の方法またはそれらに準じた方法により得られる。
また、結晶化度が20%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩の中でも、さらに平均粒径が50μm未満である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩が好ましく、中でも0.5〜20μmの平均粒径を有する結晶化度が20%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩が好ましい。なお、これらの平均粒径は、例えばレーザー回折・錯乱式粒度分布測定装置(例えばMASTERSIZER2000 Ver.2.00J;MALVERN社製等)、画像解析装置(例えばLUZEX登録商標AP;株式会社ニレコ社製等)等を用いて測定され、粒度分布から求められる平均値として算出される。これらは、例えば特開平6−211856号公報、欧州特許第0590919号明細書、特開平9−040652号公報等に記載の方法またはそれらに準じた方法により得られる結晶化度が20%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩を粉砕および/または篩い分けすることにより調製され、粉砕および/または篩い分けは適宜組み合わせて数回行ってもよい。粉砕は一般的に使用される粉砕機、例えば乳鉢、メカノミル登録商標(岡田精工株式会社製)、ジェットミル等の粉砕機を用いて行うことができる。該粉砕において、例えば粉砕機の回転速度、結晶化度が20%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩の供給速度、粉砕の時間等の粉砕条件を適宜調整することにより所望の平均粒径および/または結晶化度を有する化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩を得ることができる。中でもジェットミルによる粉砕が好ましく、例えば結晶化度が20%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩の供給速度10〜1000g/分、粉砕圧力0.01〜1MPaで、結晶化度が26%以上である結晶性の化合物(IA)またはその薬理学的に許容される塩を粉砕することができる。
本発明により安定化されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の固形製剤中の含有量は特に制限されないが、例えば化合物1の場合、好ましくは固形製剤の総重量の1〜50%、より好ましくは2〜30%、さらに好ましくは5〜20%である。
(iii)本発明により安定化されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤の剤形は特に制限されないが、具体的には細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等があげられ、中でも錠剤が好ましい。さらに、これら固形製剤の中でも、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部を剤皮でコーティングした形態の固形製剤が好ましく、中でも、無機物および/または着色剤が該剤皮に存在する固形製剤がより好ましい。
該固形製剤は、さらに固形製剤に通常用いられる添加剤を含有していてもよく、具体的には賦形剤、結合剤、崩壊剤等を含有するものが好ましく、核部を剤皮でコーティングした形態の固形製剤においては、該核部に例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤等を含有するものが好ましい。
(iii−a)賦形剤としては、固形製剤に通常用いられるものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えば糖類、デンプン、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース、コーンスターチ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。中でも結晶セルロースを単独でまたは結晶セルロースとその他の1種以上の賦形剤を組み合わせて用いることが好ましい。その他の1種以上の賦形剤としては、例えば上記賦形剤の例示から、結晶セルロースを除いたもの等があげられる。
結晶セルロースとその他の1種以上の賦形剤を組み合わせて用いる場合、結晶セルロースとデンプンまたは糖類、さらには結晶セルロースと糖類を組み合わせて用いることが好ましい。
糖類としては、例えば乳糖、白糖、ブドウ糖、シクロデキストリン、D−マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール等があげられ、中でも乳糖、白糖、ブドウ糖、シクロデキストリンまたはD−マンニトールが好ましく、さらに乳糖がより好ましい。
結晶セルロースとしては、固形製剤に通常用いられるものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えば市販の結晶セルロース、粉末セルロース等が用いられる。
固形製剤中の賦形剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは固形製剤の総重量の0.5〜99.5%、より好ましくは1〜95%、さらに好ましくは10〜90%、最も好ましくは20〜85%である。
結晶セルロースとその他の1種以上の賦形剤を組み合わせて用いる場合、それらの配合比率は、結晶セルロース1重量部に対し、デンプンまたは糖類等のその他の1種以上の賦形剤が好ましくは1〜9重量部、より好ましくは1〜5重量部、さらに好ましくは1.5〜3重量部であり、結晶セルロースの含有量は、特に制限されないが、好ましくは固形製剤の総重量の1〜75%、より好ましくは5〜50%、さらに好ましくは10〜30%である。
(iii−b)結合剤としては、固形製剤に通常用いられるものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール、α化デンプン等があげられ、中でもHPC、HPMC、PVPまたはポリビニルアルコールが好ましく、さらにポリビニルアルコールがより好ましい。また、ポリビニルアルコールとしては、重合度が250〜5,000であるものが好ましく、中でも重合度が500〜5,000であるものがより好ましい。
固形製剤中の結合剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは固形製剤の総重量の0.1〜10%、より好ましくは0.5〜7%、さらに好ましくは1〜5%である。
(iii−c)崩壊剤としては、固形製剤に通常用いられるものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えばアルギン酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースカルシウム等があげられ、中でも低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムが好ましく、さらにクロスポビドンがより好ましい。
固形製剤中の崩壊剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは固形製剤の総重量0.5〜20%、より好ましくは1〜15%、さらに好ましくは3〜10%である。
(iii−d)さらに、該固形製剤ならびに核部を剤皮でコーティングした形態の固形製剤における該核部および該剤皮は、例えば滑沢剤、界面活性剤、可塑剤等の製剤に通常用いられる他の添加剤を含有していてもよい。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素等があげられ、界面活性剤としては、例えばリン脂質、グリセリン脂肪酸エステル(例えばトリアセチン等)、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等があげられ、可塑剤としては、例えばトリアセチン、植物油、ポリエチレングリコール等があげられる。
コーティングの形態としては、例えば糖衣、フィルムコーティング等があげられ、中でもフィルムコーティングが好ましい。
コーティングに用いられる剤皮は、コーティング剤を含有するコーティング組成物からなり、該剤皮の重量は、特に制限されないが、核部100重量部に対し好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは1〜30重量部である。
コーティング剤としては、例えば炭酸カルシウム、乳糖、白糖、リン酸水素カルシウム、タルク、アラビアゴム、HPC、HPMC、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン[105]ポリオキシプロピレン[5]グリコール、ポリオキシエチレン[160]ポリオキシプロピレン[30]グリコール、グリコール、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアルコール、PVP、腸溶性ポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース等)等があげられる。
コーティング剤の含有量は、剤皮100重量部に対し好ましくは0.1〜99重量部、より好ましくは1〜90重量部、さらに好ましくは5〜85重量部である。
(iv)無機物としては、固形製剤に通常用いられるものであればいずれでもよく、特に限定されないが、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。中でも酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、硫酸バリウムまたはこれらの混合物が好ましく、さらに酸化チタン、タルクまたは硫酸バリウムがより好ましい。また、該無機物は後記の着色剤と適宜組み合わせて用いられるが、該無機物を単独で用いる場合、酸化チタン、タルクまたはタルクと硫酸バリウムの混合物がより好ましい。
これら無機物は、いずれの結晶型のものでもよく、その粒径についても特に限定されない。酸化チタンの具体例としては、例えばルチル型、アナターゼ型等の結晶型のものがあげられる。
本発明の安定化方法に用いられる無機物の量(固形製剤中の無機物の含有量)は、特に制限されないが、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩100重量部に対し、好ましくは0.001重量部〜10000重量部、より好ましくは0.01〜1000重量部、さらに好ましくは0.1〜500重量部である。
本発明により安定化されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部を剤皮でコーティングした形態の固形製剤において、該剤皮中に無機物を存在させる場合、その含有量は、特に制限されないが、剤皮100重量部に対し、好ましくは0.01〜90重量部、より好ましくは0.05〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜50重量部である。
(v)着色剤としては、特に限定されないが、例えば黄色、赤色または黒色を呈する着色剤が好ましく、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。具体的には、黄色を呈する着色剤としては、例えば黄色三二酸化鉄、黄酸化鉄、食用黄色4号アルミニウムレーキ、ベンガラ等があげられ、赤色を呈する着色剤としては、例えば三二酸化鉄、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号等があげられ、黒色を呈する着色剤としては、例えば黒酸化鉄、カーボンブラック、薬用炭等があげられる。上記の着色剤の中でも特に黄色三二酸化鉄、黄酸化鉄、三二酸化鉄、黒酸化鉄等の酸化鉄が好ましく、中でも黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄および黒酸化鉄からなる群から選ばれる1種以上の酸化鉄が好ましく、さらに黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄または黄色三二酸化鉄と三二酸化鉄の組み合わせがより好ましい。
本発明の安定化方法に用いられる着色剤の量(固形製剤中の着色剤の含有量)は、特に制限されないが、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩100重量部に対し、好ましくは0.001〜10000重量部、より好ましくは0.01〜1000重量部、さらに好ましくは0.1〜500重量部である。
本発明により安定化されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部を剤皮でコーティングした形態の固形製剤において、該剤皮中に着色剤を存在させる場合、その含有量は、特に制限されないが、剤皮100重量部に対し、好ましくは0.01〜90重量部、より好ましくは0.05〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜50重量部である。
本発明の安定化法において、無機物および着色剤を両方とも固形製剤に存在させる場合、それらの組み合わせは特に限定されないが、例えば酸化チタンと酸化鉄、タルクと酸化鉄等の組み合わせがあげられ、中でも酸化チタンと黄色三二酸化鉄、酸化チタンと三二酸化鉄、酸化チタンと黒酸化鉄、タルクと黄色三二酸化鉄、タルクと三二酸化鉄またはタルクと黒酸化鉄の組み合わせが好ましい。
無機物と着色剤の配合比率は、特に限定されないが、好ましくは無機物100重量部に対し着色剤が1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは5〜20重量部である。
また、本発明により安定化されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部を剤皮でコーティングした形態の固形製剤においては、該剤皮中に無機物および着色剤の両方ともが存在する固形製剤であることが好ましい。
該剤皮中に無機物および着色剤の両方ともを存在させる場合、無機物および着色剤の総含有量は、特に制限されないが、剤皮100重量部に対し、好ましくは0.01〜90重量部、より好ましくは0.05〜70重量部、さらに好ましくは0.1〜50重量部である。
(vi)本発明の二量化抑制剤は、無機物および/または着色剤を含有し、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の二量化を抑制するものであれば他の添加剤は特に限定されず、その用途に応じていずれの組成を有していてもよく、例えばジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤における該ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化等に用いられる。
該無機物および該着色剤としては、それぞれ上記安定化方法で述べたものと同様のものがあげられる。
また、これらをジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤におけるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の二量化抑制に用いる際、該固形製剤中の該無機物および/または該着色剤の含有量および配合比率は上記安定化方法で述べたものと同様である。
該二量化抑制剤は、例えばジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部をコーティングするための剤皮の成分として使用することができる。中でも好ましくは、無機物および着色剤を両方とも含有するものが使用される。
該二量化抑制剤を該剤皮の成分として使用する場合、該二量化抑制剤は、例えば滑沢剤、界面活性剤、可塑剤等の他の固形製剤で通常用いられる添加剤を含有していてもよい。滑沢剤、界面活性剤および可塑剤としては、それぞれ上記安定化方法で述べたものと同様のものがあげられる。
本発明の安定化方法(例えば二量化抑制方法、異性化抑制方法等)は、例えば下記の固形製剤の調製方法により実施できる。つまり、無機物および/または着色剤を存在させるように、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を製剤化することにより実施できる。
本発明で安定化されるジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤は、製剤学上実施される一般的な方法により製造され、該固形製剤の製造法は特に限定されないが、必要に応じて製剤学の技術分野においてよく知られている混合工程、粉砕工程、篩い分け工程、造粒加工工程、整粒加工工程、打錠工程、乾燥工程、カプセル充填工程、コーティング工程等の製剤化工程を適宜組み合わせて実施される。例えば以下に示す製造法等によって該固形製剤を得ることができる。
[錠剤の製造法]
本発明の錠剤は、例えば圧縮成形等の製剤学の技術分野において一般的に用いられる方法により製造することができ、具体的な方法としては、上記の各成分を混合機等で混合し、圧縮打錠機を用いて、得られた混合物をそのまま打錠することにより錠剤を形成させる方法、上記の各成分から一旦顆粒を調製し、得られた顆粒を打錠することにより錠剤を形成させる方法等があげられる。打錠圧は、例えば300〜3000kg/cmの範囲から適当に選択できる。錠剤のサイズは特に制限されないが、例えば1錠あたりの重量が20〜3000mg、錠剤の直径が5〜15mmであるものが好ましい。
顆粒の調製は、例えば湿式造粒法、乾式造粒法等により行うことができる。湿式造粒法としては、例えば押出し造粒法(円柱状顆粒製造装置等による)、攪拌造粒法、流動層造粒法等があげられる。より具体的には、例えば(1a)ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩および崩壊剤等の添加剤を混合し、(2a)得られた混合物に無機物および/または着色剤ならびに結合剤の溶液をスプレーすることで造粒するか、または(1b)ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩、崩壊剤等の添加剤ならびに無機物および/または着色剤を混合し、(2b)得られた混合物に結合剤の溶液をスプレーすることで造粒し、その後(3)得られた造粒物を乾燥する方法等があげられる。スプレーで使用する溶媒としては、例えば水、エタノール、イソプロピルアルコール、これらの混合溶媒等があげられるが、中でも水が好ましい。乾式造粒法としては、例えば(1)市販の乾式造粒機を用いフレークを形成するか、打錠機によってペレットを形成させ、その後(2)得られたフレークまたはペレットを市販の解砕機または整粒機で破砕することで顆粒を得る方法等があげられる。
また、錠剤は、常法により、無機物と着色剤を含まない上記各成分で、上記と同様にして核部(素錠)を調製した後、無機物および/または着色剤を含むコーティング組成物を分散させた懸濁液で該素錠をコーティングし、剤皮を形成させることによっても得られる。該コーティング組成物を分散させる溶媒としては、例えば水、エタノール、イソプロピルアルコール、これらの混合溶媒等があげられるが、中でも水が好ましい。
コーティングは、例えば従来型のパン型コーティング機、通気式コーティング機、流動層型コーティング装置、転動流動型コーティング装置等を用いて行われる。
[顆粒剤の製造法]
顆粒剤は、球形、円柱形、不定形等いずれの形状でもよく、その粒度は、通常用いられる任意の粒度(例えば、直径約0.4〜約2.0mm)であることが好ましい。
顆粒剤は、例えば上記錠剤の製造における顆粒の調製方法と同様にして得ることができる。また、市販の球形顆粒を用いてジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩のみ、またはジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩と上記各成分の混合物の層積を行い、顆粒を形成させてもよい。
また、顆粒剤は、常法により、無機物と着色剤を除いた上記各成分で、上記と同様にして核部(素顆粒)を調製した後、無機物および/または着色剤を含むコーティング組成物を分散させた懸濁液で該素顆粒をコーティングし、剤皮を形成させることによっても得られる。該コーティング組成物を分散させる溶媒としては、例えば水、エタノール、イソプロピルアルコール、これらの混合溶媒等があげられるが、中でも水が好ましい。
コーティングは、例えば従来型のパン型コーティング機、通気式コーティング機、流動層型コーティング装置、転動流動型コーティング装置等を用いて行われる。
[細粒剤の製造法]
細粒剤は、一般的な細粒剤であればいずれでもよく、例えば200号(75μm)ふるいを通過するものが全量の10%以下である細粒剤が好ましい。
細粒剤は、上記顆粒剤の製造法と同様にして、造粒時に粒度を調整することにより得ることができる。また、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩または上記で得られる素顆粒を、適宜粉砕および/または篩い分けすることにより所望の粒度を有する素顆粒を調製した後、上記顆粒剤におけるコーティングと同様にしてコーティングし、剤皮を形成させることによっても得られる。
[カプセル剤の製造法]
カプセル剤は、上記で得られる細粒剤、顆粒剤、錠剤等をカプセル殼に充填することにより得られる。また、該カプセル殼自体が酸化チタンおよび/または着色剤を含有するカプセル殻であってもよい。
以下に試験例により本発明の効果を具体的に説明する。
試験例1:固形製剤の安定性試験
日米EU三極医薬品承認審査調和国際会議(ICH)における新原薬及び新製剤の光安定性試験ガイドライン(1996年11月6日)に従って、実施例1〜6でそれぞれ得られた錠剤1〜6(化合物1(E体)ならびに無機物および/または着色剤を含有する錠剤)ならびに比較例1で得られた錠剤A(化合物1(E体)を含有する素錠)に関して、安定性試験を行った。光源としてキセノンランプを用いて、15000Luxで、80時間(総照度1200000Lux・hr)、それぞれの錠剤を曝光した。曝光した後、サンプリングを行い、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析によって各錠剤中における化合物1の異性体[(Z)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン:化合物1のZ体]および化合物1の二量体の生成量を求めた。
HPLC分析条件は以下の通りである。
カラム:イナートシル(Inertsil ODS−2:ジーエルサイエンス社製)
4.6mm I.D.×150mm
カラム温度:25℃
展開溶媒:0.05mol/L リン酸緩衝液(pH6.1)/アセトニトリル=3/2
展開溶媒の流量:化合物1の保持時間が約12分になるように調整(1.2mL/分)
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:250nm)
安定性試験の結果を第1表に示す。

第1表より、酸化チタンおよび/または酸化鉄を含有する錠剤1〜6においては、異性化による化合物1のZ体の生成が完全に抑制されることがわかった。また、酸化チタンおよび/または酸化鉄を含有する錠剤1〜6においては、化合物1の二量体の生成も顕著に抑制されることがわかった。さらに、酸化チタンおよび酸化鉄を両方とも含有する錠剤4〜6においては、化合物1のZ体の生成および二量体の生成がともに完全に抑制された。
以上のことから、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤に無機物および/または着色剤を存在させることにより、該固形製剤中のジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の異性化および二量化がともに顕著に抑制され、該ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤の高い保存安定性を得ることが可能である。つまり、本発明の安定化方法により安定化された該ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤は、そのままの状態で、または通常の透明なガラス瓶包装、プラスチック瓶包装、ポリエチレン・セロファン合材等によるストリップパッケージ(SP包装)、塩化ビニル包装材等によるブリスター包装等の簡単な包装形態で安定に保存可能であると考えられる。
また、本発明により安定化されたジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤における良好な硬度、崩壊性および溶出性は、例えば以下の試験により確認することができる。
試験例2:錠剤硬度測定
錠剤硬度計(PTB−311、Pharmatest製)を用いて、実施例1で得られた錠剤1と比較例1で得られた錠剤Aの錠剤硬度をそれぞれ測定する。
試験例3:崩壊試験
第14局改正日本薬局方第一部の崩壊試験に記載の方法に従って、試験液として精製水を用い、実施例1で得られた錠剤1と比較例1で得られた錠剤Aの崩壊時間をそれぞれ測定する。
試験例4:溶出試験
第14局改正日本薬局方第一部の溶出試験に記載の第2法(パドル法)に従って、実施例1で得られた錠剤1と比較例1で得られた錠剤Aに関し、それぞれ溶出試験を行う。試験液として2.0重量%Tween80(和光純薬(株)製)の水溶液900mLを用い、パドルの回転数は毎分50回転で試験を行う。溶出試験を開始してから、経時的に試験液をサンプリングし、HPLC分析によってそれぞれの錠剤からの化合物1の溶出量を求める。HPLC分析条件は試験例1で示した条件と同じである。
以下に、実施例および比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1:錠剤1
後述の第2表に記載の処方に従って調製されたコーティング組成物を精製水に分散し、固形分濃度15重量%のコーティング液を調製した。比較例1で得られた素錠1000.0gにハイコーター(フロイント産業(株)、HCT−30)を用いて、素錠100重量部に対し剤皮が乾燥状態で5重量部になるようにコーティングを行うことにより目的とする錠剤を得た。
実施例2:錠剤2
実施例1に記載の方法と同様にして、後述の第2表に記載の処方に従って調製されたコーティング組成物を用いて、比較例1で得られた素錠にコーティングを行うことにより目的とする錠剤を得た。
実施例3:錠剤3
実施例1に記載の方法と同様にして、後述の第2表に記載の処方に従って調製されたコーティング組成物を用いて、比較例1で得られた素錠にコーティングを行うことにより目的とする錠剤を得た。
実施例4:錠剤4
実施例1に記載の方法と同様にして、後述の第2表に記載の処方に従って調製されたコーティング組成物を用いて、比較例1で得られた素錠にコーティングを行うことにより目的とする錠剤を得た。
実施例5:錠剤5
実施例1に記載の方法と同様にして、後述の第2表に記載の処方に従って調製されたコーティング組成物を用いて、比較例1で得られた素錠にコーティングを行うことにより目的とする錠剤を得た。
実施例6:錠剤6
実施例1に記載の方法と同様にして、後述の第2表に記載の処方に従って調製されたコーティング組成物を用いて、比較例1で得られた素錠にコーティングを行うことにより目的とする錠剤を得た。
比較例1:錠剤A(素錠)
後述の第2表に記載の処方に従って、素錠を以下のようにして調製した。すなわち、流動層造粒コーティング装置(グラット WSG−15型、パウレック(株)製)を用いて、特開平9−040652号公報に記載の方法に準じて得られた化合物1(1153.8g)に、乳糖(8850.0g、Parmatose、200M Lactose、DMV製)、結晶セルロース(3796.2g、アビセルPH301、旭化成(株)製)およびクロスポビドン(750.0g、PVPP、XL−10、ISP製)を混合し、得られた混合物にポリビニルアルコール(EG−05、日本合成(株)製)の8.0重量%水溶液(3750.0g)をスプレーして造粒した。乾燥した後、得られた造粒顆粒を整粒機(フィオーレF−0型、徳寿製作所(株)製)で解砕し、整粒顆粒とした。混合機(TBM−25型、徳寿製作所(株))を用いて、得られた整粒顆粒(6930.0g)およびステアリン酸マグネシウム(70.6g、HyQual登録商標、マリンクロット製)を混合し、打錠用顆粒を得た。打錠機(コレクト12、菊水製作所(株)製)を用いて、得られた打錠用顆粒を製錠することにより、素錠(重量:130mg、錠剤の形状:円形錠(7.0mmφ))を得た。

【産業上の利用可能性】
本発明により、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤中のジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法(例えば該ジアリールビニレン化合物のビニレン部分での異性化、二量化等の抑制方法)等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する固形製剤に無機物および/または着色剤を存在させることを特徴とする該固形製剤中のジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法。
【請求項2】
ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法がジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の二量化抑制方法である請求の範囲1記載の安定化方法。
【請求項3】
ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の安定化方法がジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の異性化抑制方法である請求の範囲1または2記載の安定化方法。
【請求項4】
ジアリールビニレン化合物が式(I)

(式中、YおよびYは同一または異なって、水素原子、ハロゲンまたは低級アルキルを表し、ZおよびAは同一または異なって、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールを表す)で表される化合物である請求の範囲1〜3のいずれかに記載の安定化方法。
【請求項5】
ジアリールビニレン化合物が式(IA)

(式中、Y、YおよびZはそれぞれ前記と同義であり、R、RおよびRは同一または異なって水素原子、低級アルキル、低級アルケニルまたは低級アルキニルを表し、XおよびXは同一または異なって酸素原子または硫黄原子を表す)で表されるキサンチン誘導体である請求の範囲1〜3のいずれかに記載の安定化方法。
【請求項6】
およびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11は同一または異なって水素原子、低級アルキルまたは低級アルコキシを表す)または式(III)

(式中、Rは水素原子、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ニトロまたはアミノを表し、mは1〜3の整数を表す)である請求の範囲5記載の安定化方法。
【請求項7】
ジアリールビニレン化合物が式(IB)

で表される(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンである請求の範囲1〜3のいずれかに記載の安定化方法。
【請求項8】
固形製剤の形態が、ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部を剤皮でコーティングした形態である請求の範囲1〜7のいずれかに記載の安定化方法。
【請求項9】
剤皮に無機物および/または着色剤を存在させる請求の範囲8記載の安定化方法。
【請求項10】
ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩100重量部に対し無機物0.001〜10000重量部および/または着色剤0.001〜10000重量部を存在させる請求の範囲1〜9のいずれかに記載の安定化方法。
【請求項11】
剤皮100重量部に対し無機物0.01〜90重量部および/または着色剤0.01〜70重量部を存在させ、かつ無機物と着色剤の総含有量が剤皮100重量部に対し0.01〜90重量部である請求の範囲9記載の安定化方法。
【請求項12】
無機物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機物である請求の範囲1〜11のいずれかに記載の安定化方法。
【請求項13】
着色剤が酸化鉄である請求の範囲1〜12のいずれかに記載の安定化方法。
【請求項14】
無機物および/または着色剤を含有するジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の二量化抑制剤。
【請求項15】
ジアリールビニレン化合物が式(I)

(式中、Y、Y、ZおよびAはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物である請求の範囲14記載の二量化抑制剤。
【請求項16】
ジアリールビニレン化合物が、式(IA)

(式中、Y、Y、X、X、R、R、RおよびZはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体である請求の範囲14記載の二量化抑制剤。
【請求項17】
およびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ前記と同義である)または式(III)

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲16記載の二量化抑制剤。
【請求項18】
ジアリールビニレン化合物が、式(IB)

で表される(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンである請求の範囲14記載の二量化抑制剤。
【請求項19】
無機物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機物である請求の範囲14〜18のいずれかに記載の二量化抑制剤。
【請求項20】
着色剤が酸化鉄である請求の範囲14〜19のいずれかに記載の二量化抑制剤。
【請求項21】
式(IA)

(式中、Y、Y、X、X、R、R、RおよびZはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩ならびに無機物および/または着色剤を含有する固形製剤。
【請求項22】
およびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ前記と同義である)または式(III)

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲21記載の固形製剤。
【請求項23】
キサンチン誘導体が式(IB)

で表される(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンである請求の範囲21記載の固形製剤。
【請求項24】
固形製剤の形態が、キサンチン誘導体またはその薬理学的に許容される塩を含有する核部を無機物および/または着色剤を含有する剤皮でコーティングした形態である請求の範囲21〜23のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項25】
無機物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機物である請求の範囲21〜24のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項26】
着色剤が酸化鉄である請求の範囲21〜25のいずれかに記載の固形製剤。
【請求項27】
ジアリールビニレン化合物またはその薬理学的に許容される塩の二量化抑制剤としての無機物および/または着色剤の使用。
【請求項28】
ジアリールビニレン化合物が式(I)

(式中、Y、Y、ZおよびAはそれぞれ前記と同義である)で表される化合物である請求の範囲27記載の使用。
【請求項29】
ジアリールビニレン化合物が、式(IA)

(式中、Y、Y、X、X、R、R、RおよびZはそれぞれ前記と同義である)で表されるキサンチン誘導体である請求の範囲27記載の使用。
【請求項30】
およびYが水素原子であり、XおよびXが酸素原子であり、R、RおよびRが同一または異なって水素原子または低級アルキルであり、Zが式(II)

(式中、R、R、R、R10およびR11はそれぞれ前記と同義である)または式(III)

(式中、Rおよびmはそれぞれ前記と同義である)である請求の範囲29記載の使用。
【請求項31】
ジアリールビニレン化合物が、式(IB)

で表される(E)−8−(3,4−ジメトキシスチリル)−1,3−ジエチル−7−メチル−3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオンである請求の範囲27記載の使用。
【請求項32】
無機物が酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、タルク、ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウムおよび硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上の無機物である請求の範囲27〜31のいずれかに記載の使用。
【請求項33】
着色剤が酸化鉄である請求の範囲27〜32のいずれかに記載の使用。

【国際公開番号】WO2005/030219
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【発行日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514319(P2005−514319)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014687
【国際出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】