説明

ジアルキルオキシドメタロセン又はジアリールオキシドメタロセンの調製方法

架橋した、立体安定性の、ジアステレオマー的に純粋な、一般式が
Q(Cp)(Cp’)M(OR
であるジアルコキシドメタロセン、ジアリールオキシドメタロセン及び好ましくはジフェノキシドメタロセン
(式中、
Cp =シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニル基、
Cp’=Cp基の1種、
Q =CpとCp’の間の1員又は多員の架橋(R−Z−R(ここで、R及びRは同一であっても異なってもよく、それぞれ水素原子、C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基であり、Zは炭素、シリコン又はゲルマニウムであり、b=1、2又は3である)、
M=4族の遷移金属、特にZr及びHf及びTi、
O=酸素、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基(ここで、アルキル基は分岐又は非分岐でよく、アリール基で置換されてもよく、アリール基はさらに置換基を含んでいてよい))を調製する方法であって、
第1段階で、一般式
Q(Cp)(Cp’)M(X)
を有する架橋した、立体安定性のメタロセンジハライドの形のrac/meso混合物を、一般式
−M−(X)
のアルキル化試薬
(式中、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基、
M=アルカリ金属又はアルカリ土類金属、好ましくはMg、Na、又はLi
X=ハロゲン、特にCl及びBr、
n=酸化数Mから1を引く)、
と反応させ、次いで、得られた反応混合物又は中間で分離したジアルキルメタロセンを、一般式
HO−R
のアルコール、アリールアルコール又はフェノール
(式中、
HO=ヒドロキシル基、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基(ここで、アルキル基は分岐又は非分岐でよく、アリール基で置換されていてよく、アリール基はさらに置換基を含んでいてよい))と反応させることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
メタロセンは、特定の性質を有するポリオレフィンの調製のための触媒として用いられる。従来のメタロセンは、同一又は異なる置換基を有する2種のhapto−5−結合シクロペンタジエニル配位子、及び2種のハロゲン配位子、好ましくは塩化物配位子を含む遷移族IVの金属の錯体である。
【背景技術】
【0002】
多くのメタロセンにおいて、置換hapto−5−結合シクロペンタジエニル配位子は互いに架橋しており、その結果、さまざまな配置異性体(ジアステレオマー)が可能である。配位子の配列に応じてポリオレフィン鎖の構造を制御することができ、それによって、ポリオレフィンの性質が調節できる。例えば、架橋ビスインデニルメタロセンの場合は、原則として2種のジアステレオマー化合物が可能であり、これらはインデニル配位子の位置が互いに異なる。これらのジアステレオマーを表すために、接頭辞rac(ラセミ化合物の)及びmesoを一般に用いる。ラセミ体は大部分の分野で優先的に用いられる形である。
【0003】
金属原子上の電子密度を増加させるために、塩素配位子をアルコキシド又はアリールオキシド配位子に換えることができる。こうしたジアルコキシドメタロセン又はジアリールオキシドメタロセンは、さまざまな特定のポリオレフィンを調製するための触媒として用いられる場合に有利であることが認められている。
【0004】
しかし、こうしたジアルコキシドメタロセン又はジアリールオキシドメタロセンの合成にはいくつかの困難が伴い、特に、同時にいくつかの可能な配置異性体があるの場合、特定のジアステレオマー(rac又はmeso)を高いジアステレオマー純度で分離しなければならない。
【0005】
例えば、文献には、対応するメタロセンジクロリドをトリエチルアミン及びフェノールと反応させることによるジフェノキシドメタロセンの合成が記載されている(Polyhedron3、611〜613、1984)。しかし、この方法は沈殿物として多量のベタベタしたアンモニウム塩酸塩を形成する。さらに、特に架橋メタロセンの収率は非常に低い。
【0006】
EP−A1−0834514は特定のメタロセンである1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシドの調製方法について記載しており、そこでは1,2−ビス[3−インデニル]エタンをブチルリチウムで脱プロトン化し、次いでビス[フェノキシド]ジルコニウムジクロリドと反応させる。
【0007】
しかし、これにより、常に所望の化合物1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジ(フェノキシド)のrac/meso混合物が形成される。さらに、ビス[フェノキシド]ジルコニウムジクロリドを得ることが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、大きな規模で実施できるジアルコキシドメタロセン又はジアリールオキシドメタロセンの調製方法を開発することであり、この方法では、異なる可能な配置異性体がある場合、所望のジアステレオマー、架橋ビスインデニル配位子の場合は好ましくはラセミ体を高い収率及びジアステレオマー純度で分離できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
メタロセンのハロゲン配位子、好ましくは塩化物配位子を予めアルキル又はアリール基に換えてあるという条件で、メタロセンと脂肪族化合物又は例えばフェノールなどの芳香族化合物との反応により、副生成物を全く生成することなく、ジアルコキシドメタロセン又はジアリールオキシドメタロセンを単純な方法で合成することができる。これによって事前にメタロセンに結合した対応するアルキル又はアリール基の炭化水素が形成される。この方法はすでにEP−A1−1426386及びWO2006/131751 A1に記載されているが、可能な配置異性体については、ジアステレオマー的に純粋なラセミ体の分離を記載していない。
【0010】
JP2003231693Aは、アミド錯体を経由する、架橋ジクロロメタロセンのジアステレオマー的に純粋なラセミ体の新規な調製方法を記載している。同時に、架橋ジアリールオキシドメタロセンの純粋なラセミ体を調製するためには、対応するジクロロメタロセンのラセミ体の分離が常に必要であることが記載されている。
【0011】
これまでの従来技術によると、このように、架橋ジアリールオキシメタロセンのジアステレオマー的に純粋なラセミ体は、純粋なrac−ジクロロメタロセンの個別の調製又は個々のジアステレオマーの分離によってのみ調製できる。しかし、ジクロロメタロセンを対応するジアリールオキシメタロセンへ変換する前又は後のジアステレオマーの分離には、原則として所望のラセミ体の収率損失が伴う。
【0012】
驚くべきことに、特定の反応条件下におけるアルキル化及び続く芳香族アルコールとの反応によって、対応する架橋ジクロロメタロセンのジアステレオマーrac/meso混合物から架橋ジアリールオキシドメタロセンを調製するために本方法を用いると、所望のジアリールオキシドメタロセンのラセミ体がジアステレオマー的に高い純度で、及び高い収率で得られることが今見出された。これまでは必要であった架橋ジクロロメタロセンのジアステレオマー的に純粋なracの分離は必要ではない。
【0013】
ジクロロメタロセンのアルキル化反応において、この反応では、対応する炭化水素が標準状態で気体状態で存在する2つのアルキル基をメタロセンに導入することが好ましい。その結果、こうしたメタロセンとアルコールとの反応の場合、反応平衡が正しい側に進むことができるので、形成された炭化水素が容易に除去できて、ジアルコキシドメタロセン又はジアリールオキシドメタロセンが高い純度及び収率で形成される。
【0014】
この方法において、アルコールとの反応の前に、メタロセン上の塩化物配位子をメチル配位子と換えることが好ましい。結果として、対応するジメチルメタロセンとアルコールとの反応において、メタンが自然に放出される。
【0015】
しかし、本反応条件及びメタロセンジアルキル化合物の脂肪族又は例えばフェノールなどの芳香族アルコールに対するモル比によって、モノアルキルアルコキシドメタロセン又はモノアリールオキシドメタロセンも得られる。
【0016】
同様に、アルキル基、エチル、プロピル及びブチルが適切である。メタロセン上のアルキル基はアルキル化試薬、好ましくはアルキルリチウム又はアルキルマグネシウムハライドとともに導入する。
【0017】
このアルキル化反応は、非プロトン性有機溶媒中で、好ましくはエーテル及び芳香族炭化水素の混合物中で行うことができる。
【0018】
1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジアリールオキシドの例を用いて、所与の条件下で上述の反応を用いると、記載したジクロロメタロセンrac/meso混合物から、好ましくはrac/meso比が1:1〜10:1の混合物から、ジアステレオマー混合物rac/meso比>200:1のrac−エチレン[1−インデニル]ジルコニウムジアリールオキシドを、ラセミ体について高い収率で調製できる。対応するジアルキルメタロセンrac−1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジメチルを中間で分離すること又はアルキル金属ハライド若しくはアルカリ土類金属ハライドを除去することは必要ない。
【0019】
同様に、続くジアステレオマーの分離は必要ではない。望ましくないジクロロメタロセンのメソ体は同様に転換するが、所与の反応条件下でさらなる精製をすることなくきれいに除去できる。同時に、こうした条件下で、ラセミ体について高い収率が得られる。
【0020】
このように、容易に入手可能な反応物質であるrac−1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジクロリドから、複雑なジアストロマーの分離を行うことなく、rac−1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシドを、非常にきれいに、高い収率で調製できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【発明を実施するための形態】
【0022】
したがって本発明は、架橋した、立体安定性の、ジアステレオマー的に純粋な形、好ましくはracの、一般式が
Q(Cp)(Cp’)M(OR
であるジアルコキシドメタロセン、ジアリールオキシドメタロセン及び好ましくはジフェノキシドメタロセン
(式中、
Cp =シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニル基、
Cp’=Cp基の1種、
Q =CpとCp’の間の1員又は多員の架橋(R−Z−R(ここで、R及びRは同一であっても異なってもよく、それぞれ水素原子、C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基であり、Zは炭素、シリコン又はゲルマニウムであり、b=1、2又は3である)、
M=4族の遷移金属、特にZr及びHf及びTi、
O=酸素、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基(ここで、アルキル基は分岐又は非分岐でよく、アリール基で置換されていてもよく、アリール基はさらに置換基を含んでいてもよい))、
を調製する方法を提供することであり、
第1段階で、ジアステレオマーrac/meso混合体の形の架橋した、立体安定性の、一般式
Q(Cp)(Cp’)M(X)
を有するメタロセンジハライド
(式中、
Cp =シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル基、
Cp’=異なっていても同一であってもよいCp基の1種、
Q =CpとCp’の間の1員又は多員の架橋(R−Z−R(ここで、R及びRは同一であっても異なってもよく、それぞれ水素原子、C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基であり、Zは炭素、シリコン又はゲルマニウムであり、b=1、2又は3である)、
M=4族の遷移金属、特にZr及びHf及びTi、
X=ハロゲン、特にCl)を、
一般式
−M−(X)
のアルキル化試薬
(式中、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基、
M=アルカリ金属又はアルカリ土類金属、好ましくはMg、Na、又はLi
X=ハロゲン、特にCl及びBr、
n=酸化数Mから1を引く)、
と反応させ、次いで、得られた反応混合物又は中間で分離したジアルキルメタロセンを、一般式
HO−R
のアルコール、アリールアルコール又はフェノール
(式中、
HO=ヒドロキシル基、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基(ここで、アルキル基は分岐又は非分岐でよく、アリール基で置換されていてよく、アリール基はさらに置換基を含んでいてよい))と反応させることを特徴とする方法を提供する。
【0023】
本発明はさらに、使用するメタロセンジハライドのCp’及びCp配位子が同一であることを特徴とする方法を提供する。
【0024】
本発明の文中の「ジアステレオマー的に純粋な」という用語には、rac/meso比が>100:1、好ましくは>200:1であり得るジアステレオマー混合物が含まれる。本発明の方法で出発物質として用いられるメタロセンジハライドのジアステレオマーrac/meso混合物は、一般に50:1より小さいrac/meso比を有する。
【0025】
本方法及び反応は溶媒又は懸濁溶剤である、アルキル化試薬用に使用するジアルキルエーテル及びメタロセンジハライド用の炭化水素中で実施することが好ましい。
【0026】
使用するアルキル化試薬は、ブチル化試薬、プロイル化試薬、エチル化試薬又はメチル化試薬であり、メチル化試薬が好ましい。
【0027】
アルキル化試薬はアルキルマグネシウムハライド、又はアルカリ金属、好ましくはリチウム又はナトリウムをベースとするアルキル化試薬が好ましい。n−又はt−ブチルリチウム、メチルリチウム、メチルマグネシウムクロリド又はブロミド、ブチルマグネシウムクロリド又はブロミドが特に好ましい。
【0028】
アルコールとの反応の前に、メタロセンジハライド、好ましくはメタロセンジクロリド上のハロゲン配位子、好ましくは塩化物配位子をメチル配位子と換えることが好ましく、これにより後にメタンが自然に放出される。
【0029】
メタロセンジハライドとアルキル化試薬の反応の後、生成したメタロセンジアルキルは反応混合物から分離することができ、又は反応を直接続けることもできる。
【0030】
メタロセンジハライド、好ましくはメタロセンジクロリドとアルキル化試薬との反応及び続くアルキルアルコール又はアリールアルコールとの反応は、中間で、純粋なジメチルメタロセンを分離することなくワンポット反応として実施できる。
【0031】
使用する溶媒又は懸濁溶剤は、不飽和芳香族炭化水素が好ましく、特にトルエンが好ましい。
【0032】
はアリール基がより好ましく、フェニル基が好ましい。
【0033】
使用する反応物質は、ジアステレオマー混合物のrac/meso比が1:1〜10:1である、架橋、立体安定性メタロセンが好ましい。
【0034】
本発明による方法は、ここに挙げるものを完全なものと意味することを望むことなく、例えば、以下の化合物を高い収率及び純度で、並びにジアステレオマー混合物のラセミ/メソ比を>200:1で、得ることを初めて可能にする。
rac−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシド、rac−ジメチルシリルビス−[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシド、rac−エチレンビス[1−テトラヒドロインデニル]−ジルコニウムジフェノキシ及びrac−ジメチルシリルビス[1−テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジフェノキシド。
【0035】
本発明による方法において、アルコール、アリールアルコール又はフェノールは、−10℃と110℃の間の温度、好ましくは30℃と80℃の間の温度で加える。
【0036】
ジアルコキシドメタロセン又はジアリールオキシドメタロセンが得られるためには、アルコールのジアルキルメタロセンに対するモル比を1.7〜2.3に規定しなければならない。
【0037】
本発明の主題は、さらに請求項に記載する。
【0038】
以下に挙げる実施例は、本発明の方法の実行可能性を単に実証するものであり、本発明の教示の範囲を少しも制限しない。特に、好ましい実施形態は全体として、従属請求及び本発明の詳細な説明の一部から理解できる。
【0039】
特に明記しない限り、以下の記載においても部又は百分率データは重量を基準とする。
【実施例】
【0040】
(実施例1)
ジアステレオマー的に純粋なrac−1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジクロリドからのrac−1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシドの直接調製
ラセミ/メソ比>200:1のrac−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジクロリド(H NMR:(250MHz、CDClδ(ppm)3.6−3.9(m、ラセミ体のエチレン架橋、4H);6.2(d、rac−C、2H);6.6(d、rac−C、2H);7.0−7.7(m、C、8H)、添付図1参照)20.0gをトルエン約150gに懸濁させる。懸濁液を<0℃に冷却する。メチルチリウムをジエトキシメタンに溶解した約8重量%溶液26gをこの温度で15分以内に滴加する。その後、混合物を20〜50℃まで加熱し、約90%ジエトキシメタンを減圧下で蒸留する。新しいトルエン同量を加えた後、フェノール8.4gをトルエン約50gに溶解した溶液を40℃と60℃の間の温度で加える。さらに3時間攪拌した後、塩化リチウム塩を濾過して除去し、濾液を濃縮する。rac−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシド最終産物を−20℃で結晶化し、濾過して分離する。
収量:13.0g;相対:rac体として51%。
分析:Zr=16.9重量%;Cl=0.03重量%;rac/meso比>200:1
【化1】


添付図2参照
【0041】
(実施例2)
1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジクロリドのrac/meso混合物からのrac−1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシドの直接調製
rac/meso比約1.7:1のエチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジクロリド(H NMR:(400MHz、CDCl)δ(ppm)3.5−4.1(m、ラセミ/メソ体のエチレン架橋、4H);6.2−6.8(m、rac/meso−C、4H、6.2(d、rac−C)に微分可能、6.5(d、meso−C)、6.6(d、rac−C)及び6.7(d、meso−C));7.0−7.7(m、rac/meso−C、8H)、付録図3参照)20.0gをトルエン約150gに懸濁させる。懸濁液を<0℃に冷却する。メチルチリウムをジエトキシメタンに溶解した約8重量%溶液26gをこの温度で15分以内に滴加する。その後、混合物を20〜50℃まで加熱し、ジエトキシメタンを減圧下で蒸留する。トルエンを加えた後、フェノール約8.4gをトルエン約50gに溶解した溶液を40℃と60℃の間の温度で加える。さらに3時間攪拌した後、塩化リチウム塩を濾過して除去し、濾液を濃縮する。rac−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシド最終産物を−20℃で結晶化し、濾過して分離する。
収量:13.0g;相対:rac体として81%。
分析:Zr=16.8重量%;Cl=0.01重量%;rac/meso比>200:1
【化2】


添付図4参照
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋した、立体安定性の、ジアステレオマー的に純粋な、一般式が
Q(Cp)(Cp’)M(OR
であるジアルコキシドメタロセン、ジアリールオキシドメタロセン及び好ましくはジフェノキシドメタロセン
(式中、
Cp =シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニル基、
Cp’=Cp基の1種、
Q =CpとCp’の間の1員又は多員の架橋(R−Z−R(ここで、R及びRは同一であっても異なってもよく、それぞれ水素原子、C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基であり、Zは炭素、シリコン又はゲルマニウムであり、b=1、2又は3である)、
M=4族の遷移金属、特にZr及びHf及びTi、
O=酸素、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基(ここで、アルキル基は分岐又は非分岐でよく、アリール基で置換されていてもよく、アリール基はさらに置換基を含んでいてもよい))、
を調製する方法であって、
第1段階で、ジアステレオマーrac/meso混合体の形の架橋した、立体安定性の、一般式
Q(Cp)(Cp’)M(X)
を有するメタロセンジハライド
(式中、
Cp =シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル基、
Cp’=異なっていても同一であってもよいCp基の1種、
Q =CpとCp’の間の1員又は多員の架橋(R−Z−R(ここで、R及びRは同一であっても異なってもよく、それぞれ水素原子、C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基であり、Zは炭素、シリコン又はゲルマニウムであり、b=1、2又は3である)、
M=4族の遷移金属、特にZr及びHf、
X=ハロゲン、特にCl)を、
一般式
−M−(X)
のアルキル化試薬
(式中、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基、
M=アルカリ金属又はアルカリ土類金属、好ましくはMg、Na、又はLi
X=ハロゲン、特にCl及びBr、
n=酸化数Mから1を引く)、
と反応させ、次いで、得られた反応混合物又は中間で分離したジアルキルメタロセンを、一般式
HO−R
のアルコール、アリールアルコール又はフェノール
(式中、
HO=ヒドロキシル基、
=C〜C10−アルキル基、C〜C10−アリール基(ここで、アルキル基は分岐又は非分岐でよく、アリール基で置換されていてよく、アリール基はさらに置換基を含んでいてよい)と反応させることを特徴とする方法。
【請求項2】
使用するメタロセンジハライドのCp’及びCp配位子が同一であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応を溶媒又は懸濁溶剤である、アルキル化試薬用に使用するジアルキルエーテル及びメタロセンジハライド用の炭化水素中で実施することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
使用するアルキル化試薬が、ブチル化、プロピル化、エチル化又はメチル化試薬であり、好ましくはメチル化試薬であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ジアステレオマーrac/meso混合物において、rac/meso比が約1:1〜約10:1であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
メタロセンの塩化物配位子をメチル配位子と換え、アルコールとの反応の前にメタンが自然に放出されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
メタロセンクロリドとアルキル化試薬との反応及び続くアルキルアルコール又はアリールアルコールとの反応が、中間で純粋なジメチルメタロセンを分離することなくワンポット反応として実施されることを特徴とする、請求項3から6までに記載の方法。
【請求項8】
炭化水素が不飽和芳香族炭化水素であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
炭化水素がトルエンであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
がアリール基、好ましくはフェニル基であることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法にしたがって調製される化合物、rac−1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシド、rac−1,1−ジメチルシリルビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシド、rac−1,2−エチレンビス[1−テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジフェノキシド、meso−1,1−ジメチルシリルビス[1−テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジフェノキシド、meso−1,2−エチレンビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシド、meso−1,1−ジメチルシリルビス[1−インデニル]ジルコニウムジフェノキシド、meso−1,2−エチレンビス[1−テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジフェノキシド、rac−1,1−ジメチルシリルビス[1−テトラヒドロインデニル]ジルコニウムジフェノキシド、ビス[インデニル]ジルコニウムジフェノキシド、ビス[シクロペンタジエニル]ジルコニウムジフェノキシド、ビス[n−ブチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジフェノキシド、ビス[n−ブチルシクロペンタジエニル]ハフニウムジフェノキシド、ビス[メチルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジフェノキシド、ビス[n−プロピルシクロペンタジエニル]ジルコニウムジフェノキシド、ビス[シクロペンタジエニル]チタンジフェノキシド、[シクロペンタジエニル][インデニル]ジルコニウムジフェノキシド、[シクロペンタジエニル][フルオレニル]ジルコニウムジフェノキシド。
【請求項12】
アルコール、アリールアルコール又はフェノールを、−10℃と110℃の間の温度、好ましくは30℃と80℃の間の温度で加えることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
アルコールのジアルキルメタロセンに対するモル比を1.7〜2.3と規定することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−519268(P2010−519268A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550683(P2009−550683)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001544
【国際公開番号】WO2008/104382
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509238052)ケムチュラ オルガノメタリックス ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】