説明

ジアルキルカーボネートからジアリールカーボネートを調製する方法

【課題】副生成物のリサイクルを含み、共生成物の回避が可能な、または効果的方法で達成され得る、芳香族カーボネート、好ましくはジアリールカーボネートの調製方法の提供。
【解決手段】ジアルキルカーボネートと少なくとも1つのモノヒドロキシル化合物から、触媒の存在中でジアリールカーボネートを連続的に調製する方法、およびポリカーボネートの調製のためのその使用に関する。使用されるジアルキルカーボネートの調製で得られたアルキレングリコールは、触媒の存在中での一酸化炭素との酸化的カルボニル化によって、環状アルキレンカーボネートを得、これを順にジアルキルカーボネートに変換することで、リサイクルされる。より特別には、この方法は、ジフェニルカーボネート調製法(DPC法)について、生じたアルキレングリコールを利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドイツ特許出願第10 2010 042 937.6号に対して優先権が請求され、全ての有用な目的のために、これをここでその全体を参照して挿入する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、ジアルキルカーボネートと少なくとも1つのモノヒドロキシル化合物から、触媒の存在中でジアリールカーボネートを連続的に調製する方法、およびポリカーボネートの調製のためのその使用に関する。使用されるジアルキルカーボネートの調製で得られたアルキレングリコールは、触媒の存在中での一酸化炭素との酸化的カルボニル化によって、環状アルキレンカーボネートを得、これを順にジアルキルカーボネートに変換することで、リサイクルされる。より特別には、ジフェニルカーボネート調製法(DPC法)にとって、この方法は、生じたアルキレングリコールの利用で成り立つものである。
【0003】
ジアリールカーボネート、特にジフェニルカーボネートは、アルカリと触媒の存在中で、不活性溶媒におけるモノフェノールの相界面ホスゲン化(ショッテン-バウマン反応)によって得られうることが知られている。溶媒と水酸化ナトリウム溶液を使用することは、水溶性アルカリがホスゲンまたはクロロ炭酸エステルの一部加水分解をもたらし、多量の塩化ナトリウムが副生成物として生じ、溶媒および触媒を復旧させねばならないので、不都合である。
【0004】
脂肪族炭酸エステルとモノフェノールから続けてエステル交換することによって、芳香族および脂肪族−芳香族炭酸エステル(カーボネート)を調製することも、原理的には公知である。これは平衡反応であり、平衡位置は脂肪族置換カーボネートの方向にほぼ完全にシフトしている。したがって、芳香族カーボネートとアルコールから脂肪族カーボネートを調製することは比較的容易である。しかし、芳香族カーボネートに向けて逆方向に反応を行うためには、芳香族カーボネート側に効果的に、非常に強引に平衡をシフトさせねばならず、そのためには、非常に活性な触媒だけでなく、好適な処理レジームを使用せねばならない。
【0005】
しかし、文献から公知の方法、たとえば、欧州特許出願第EP−A 461 274、ドイツ特許公開第DE−A 42 26 755、DE−A 42 26 756号公報は概して、ジアリールカーボネートを得るための反応がエステル交換および/または不均化反応によって行われる場合の処理工程しか記載していない。国際特許出願第WO−A 2006/033291、欧州特許出願第EP−A 1 775 280、EP−A 1 767 516、EP−A 1 767 517、EP−A 767 518、EP−A 1 762 559およびEP−A 1 762 560号公報は、ジアリールカーボネートを調製するための反応カラムの装置構成に関して、さらなるヒントを与えている。しかし、処理を経済的に行うためには、反応領域内のその処理セクションではなく、より大規模化のためにはいくつかの場合、ワークアップのための後の工程が適当でない。
【0006】
芳香族ヒドロキシル化合物とジアルキルカーボネートの反応によるジアリールカーボネートの調製は、経験が示すように、エネルギー面に非常に課題があるので、エネルギー消費を減らす手段もまた重要な役割を担う。これに関して、文献にはエネルギー面と装置の統合に対していくつかの解決策が挙げられている。
【0007】
環状アルキレンカーボネートとアルキルアルコールとのエステル交換によるジアルキルカーボネートの調製は公知であり、幾度も記載される。米国特許第US−6,930,195 B号公報は、この触媒されるエステル交換反応を2段階平衡反応として記載していた。第1反応段階では、環状アルキレンカーボネートがアルキルアルコールと反応して、中間体としてヒドロキシアルキルアルキルカーボネートを得る。中間体を次に、第2反応段階で、アルキルアルコールの助けを得て変換し、ジアルキルカーボネートとアルキレングリコールを得る。
【0008】
ジアルキルカーボネート調製法を工業的に実施するためには、たとえば、欧州特許出願第EP 530 615 A、EP 569 812 AおよびEP 1 086 940 A号公報といった文書に既に記載される反応蒸留カラム(以後エステル交換カラムとも呼ぶ)を使用するのが、特に好ましいことが見出されている。欧州特許出願第EP 569 812 A号公報では、環状アルキレンカーボネートをエステル交換カラムの上部に、ジアルキルカーボネート含有アルキルアルコールをエステル交換カラムの中央部または下部に連続的に導入する。さらに、ジアルキルカーボネート含有アルキルアルコールの導入の下側で、実質的に純粋なアルキルアルコールを導入する。副生成物として調製されたアルキレングリコールを含む高沸点混合物は、連続的にエステル交換カラムの底部で回収して得られる。調製されたジアルキルカーボネートを含む低沸点混合物は、ジアルキルカーボネート−アルキルアルコール混合物として、エステル交換カラムの最上部で回収して得られ、さらなる精製工程が施される。
【0009】
不都合なことに、共生成物としてアルキレングリコールが形成され、これは良好な光学特性(ファイバ品質)を有するポリエステルを調製するためにしか使用できない。そして良好な光学特性を達成するために、アルキレングリコールの精製に労力を費やす必要があり、これは処理の経済的生産性に逆効果である。
【0010】
したがって、アルキレングリコールと尿素とを反応させて環状アルキレンカーボネートとアンモニアを得ることが、欧州特許出願第EP 638 541 B1号公報にも既に記載されている。ここで不都合なことに、アンモニアをポリカーボネート調製用に使用することは見出されておらず、アンモニアと二酸化炭素の尿素への変換はかろうじて経済的に実現できるか、全く実現できない。
【0011】
モノアルコールと一酸化炭素および酸素との、Co触媒およびCu触媒、たとえば、CuCl存在中での酸化的カルボニル化が、ジアルキルカーボネートをもたらすことは、欧州特許出願第EP 463 678 A2またはEP 413 217 A2号公報に記載されるように、公知である。不都合なことに、触媒システムには腐食性がある。
【0012】
米国特許公開第US−A 4,131,521号公報は、ジアルコール、たとえば、エチレングリコールを電気化学的に酸化してエチレンカーボネートを得ることを記載する。不都合なことに、副生成物として水素が形成され、これをポリカーボネートの調製で使用することは見出されていない。
【0013】
テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters)50, 7330 (2009)は、アルキレングリコールと一酸化炭素および酸素との、触媒システムとしてPdI/KIを用いた反応を記載する。不都合なことに、ターンオーバー数(TON)が低く、84%の低い選択率である。
【0014】
欧州特許出願第EP 781 760 A1号公報は、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物とを触媒の存在中で反応させ、反応で形成された芳香族カーボネート、アルコール性副生成物、ジアルキルカーボネートおよび芳香族ヒドロキシル化合物を連続的に取り出すことによって芳香族カーボネートを調製する連続法を記載しており、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物は反応へリサイクルされる。
【0015】
欧州特許出願第EP 1 638 917 A1号公報は、アルキルアルコールと接触することによって汚染されたストリームから生成物を回収する方法を記載しており、回収された生成物はジアリールカーボネート、芳香族アルコール、アルキルサリチレートおよびアルキルアルコールを含有する。記載の方法の不都合な点は、反応が3段階で行われ、非常に複雑になることである。さらに不都合なことに、高沸点の汚染ストリームが2ヶ所で生じる。ジアリールカーボネートの単離前の触媒の取り出しで第1の汚染ストリームを生じ、2つの蒸留カラムから成る次のワークアップで第2の汚染ストリームを生じる。ジアリールカーボネートを単離するためのワークアップはしたがって、装置とエネルギーの両面で非常に課題がある。さらに、ジアリールカーボネートの品質はしたがって、99.5重量%で調製されるのだが、これは非常に劣悪であり、ポリカーボネートの調製には不適当である。反応のアルコールと反応で得られたジアルキルカーボネートとの混合物の分離も記載されていない。
【0016】
国際特許出願第WO−A 2005/000776号公報は、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物との反応で形成されるアルキルアリールエーテルの調製方法を記載する。この方法では、ジアリールカーボネートもさらに得られる。処理構造は3つの反応カラムと、アルキルアリールエーテルを単離するための2つのさらなる蒸留カラムを備える。ここで記載される方法では、アルキルアリールエーテルの精製の制御が目的であるため、結果的に反応で形成される量が多くなる。しかし、ジアリールカーボネートの調製では、高純度のアルキルアリールエーテルの回収が最優先ではなく、逆に、エステル交換で生じるこの副生成物の形成を最小限にすることが目的である。さらに、3つの反応段階を備える反応レジームは非常に複雑で、ジアリールカーボネートのワークアップ、および反応で生じ、ジアルキルカーボネートと反応のアルコールを含む混合物の分離に関する情報はない。欧州特許出願第EP−A 1 237 842 A1号公報も同様の方法を記載しており、したがって、既に述べた不都合が同様にここにはある。
【0017】
国際特許出願第WO−A 2004/016577号公報は、反応設備の複数の分離および一連の接続反応ゾーンにおいて、触媒の存在中で、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物から芳香族カーボネートを調製する方法を記載しており、最終反応ゾーンの気体ストリームの凝縮で得られた凝縮熱を用いて、第1反応ゾーンに導入される液体ストリームを加熱する。しかし、この方法の不都合は複雑な反応設備にある。さらに、この方法のエネルギー面での統合は改良の必要があり、反応の処理セクションのみに限定されている。次のワークアップ工程は記載されていない。
【0018】
日本特許公開第JP−A 2002−020351号公報は、ジアリールカーボネートのバッチ式調製方法を記載しており、そこからの熱をストリームの温度上昇に利用することができる。しかし、この方法の不都合な点は、バッチ式作業であることと、反応に使用される反応設備に蒸留カラムが取り付けられた点である。次のワークアップ工程は記載されていない。
【0019】
アルコールと一酸化炭素および酸素との化学的酸化でアルキルカーボネートを得ることは、原理的には公知である。
【0020】
たとえば、欧州特許出願第EP 463 678 A2号公報は、アルコールと一酸化炭素および酸素との、Co触媒およびCu触媒、たとえば、CuClの存在中での酸化的カルボニル化で、ジアルキルカーボネートを得ることを記載する。
【0021】
ジアルコールと一酸化炭素および酸素との酸化的カルボニル化で、アルキレンカーボネートを得ることも、公知である。
【0022】
米国特許公開第US−A 4,131,521号公報は、NHBrの存在中でのエチレングリコールの電気化学的酸化によって、5〜10%の収率でエチレンカーボネートを形成することを記載する。不都合なことに、電気化学的酸化は経済的実現性が低く、副生成物として水素を形成する。
【0023】
ドイツ特許公開第DE A 22 22 488号公報は、銅イオンの存在中で、グリコールとCO/Oから環状グリコールカーボネートを調製する方法を記載する。不都合なことに、TONが93以下で触媒の作業寿命が短く、ターンオーバー頻度が30molグリコールmolCu−1−1以下で触媒活性が低い。
【0024】
オルガノメタリックス(Organometallics),25,2872(2006)は、エチレングリコールからのエチレンカーボネートの調製を記載する。不都合なことに、化学量論量の高価なPd触媒を必要とする。
【0025】
テトラヘドロン・レット.(Tetrahedron Lett.)50,7330(2009)は、触媒配合物としてPdI/KIを用いて、ジアルコール、たとえば、エチレングリコールの酸化的カルボニル化で、エチレンカーボネートを得ることを記載する。非常なCO過剰にもかかわらず、TONは中程度でしかないと記載される。
【0026】
Org.Chem.51.2977(1986)は、エチレングリコールと1−フェニルエタンジオールの、対応する環状カーボネートへの変換を記載する。不都合なことに、酸化剤として化学量論量の金属塩を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
したがって、形成されたアルキレングリコール副生成物のリサイクルを含み、上で特定される不都合を有さず、かつ上で特定される公知の方法に比べて、共生成物の回避が可能な、または効果的方法で達成され得る、芳香族カーボネート、好ましくはジアリールカーボネートの調製方法を提供する必要が依然としてあった。
【0028】
本発明が直面する問題はしたがって、共生成物として生じたアルキレングリコールをリサイクルしながら、使用されるジアルキルカーボネートを調製することを含む、芳香族カーボネート、好ましくはジアリールカーボネートの調製方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0029】
したがって、実施の形態は、ジアルキルカーボネートとモノフェノールから続けてジアリールカーボネートおよびポリカーボネートを調製する方法を提供するものであり、環状アルキレンカーボネートとアルキルアルコールから、使用されるジアルキルカーボネートを調製する際に形成されるアルキレングリコールを、一酸化炭素との反応によってリサイクルして、アルキレンカーボネートを得、これを次に再度アルキルアルコールと共に使用して、ジアルキルカーボネートを調製することを特徴とする。ジアリールカーボネートとビスフェノールのエステル交換による溶媒非含有ポリカーボネートの調製において乖離されるモノフェノールを順次用いて、ジアリールカーボネートを調製することができる。
【0030】
本発明の実施の形態による方法は全体として柔軟で、実施しかつ生成物を高純度で得るのが容易であり、再利用によって同時に環境汚染を低減するので、方法全体として非常に重要であり、以下の処理工程:
(a)酸化アルキレンと二酸化炭素の反応によってアルキレンカーボネートを調製し、
(b)工程(a)で形成されたアルキレンカーボネートと少なくとも1つのアルキルアルコールを、触媒、任意に有機触媒の存在中で反応させて、少なくとも1つのジアルキルカーボネートとアルキレングリコールを形成し、
(c)工程(b)で形成された少なくとも1つのジアルキルカーボネートの少なくとも一部を取り出してワークアップし、
(d)工程(b)で形成されたアルキレングリコールの少なくとも一部を取り出して任意に精製し、
(e)工程(d)で取り出したアルキレングリコールの少なくとも一部と一酸化炭素を酸化的カルボニル化して、水の形成を伴ってアルキレンカーボネートを得、
(f)工程(e)で形成されたアルキレンカーボネートの少なくとも一部を取り出して任意に精製し、
(g)工程(f)で調製されたアルキレンカーボネートの少なくとも一部を工程(b)におけるジアルキルカーボネートの調製へとリサイクルし、
(h)工程(c)で調製されたジアルキルカーボネートの少なくとも一部とモノフェノールを反応させて、アルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートおよびアルキルアルコールを得;工程(h)で形成されたアルキルアルコールの少なくとも一部を工程(b)へと任意にリサイクルし、
(i)工程(h)で調製されたアルキルアリールカーボネートの少なくとも一部を不均化して、ジアリールカーボネートとジアルキルカーボネートを得、工程(i)で調製されたジアリールカーボネートおよび/またはジアルキルカーボネートの少なくとも一部を工程(b)へと任意にリサイクルし、
(j)工程(i)で調製されたジアリールカーボネートの少なくとも一部とビスフェノールをエステル交換して、オリゴ/ポリカーボネートとモノフェノールを得;工程(j)で形成されたモノフェノールの少なくとも一部を工程(h)へと任意にリサイクルする
ことを包含する(図1参照)。
【図面の簡単な説明】
【0031】
前述の要約、さらには以下の発明の詳細な記載は、添付の図面と合わせて読むことでより良く理解することができる。本発明の説明を補助するために、図面には考えられる代表的な実施の形態を例示的に示す。しかし、本発明は、示される厳密な構成および手段に、如何なる方法でも限定されないと理解されるべきである。
【0032】
図面では、
【図1】ポリカーボネートを調製し、かつ生じたエチレングリコールとフェノールをリサイクルする統合方法を示す。
【0033】
【図2】アルキレンカーボネートからジアルキルカーボネートを調製する方法のある実施の形態を示す。
【0034】
【図3】ジアルキルカーボネートからジアリールカーボネートを調製する方法のある実施の形態を示す。
【0035】
【図4】ジアリールカーボネートの蒸留のある実施の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで使用されるように、用語および/または内容が明らかに示さない限り、単数形用語「a」および「the」は、「1以上」および「少なくとも1つ」と同義であり、互換的に使用される。したがって、たとえば「触媒」という表現は、ここでまたは添付の請求の範囲では、単一の触媒または1より多くの触媒を言うことができる。さらに、特に記載しない限り、全ての数値は「約」という用語で修正されると理解される。
【0037】
本発明の内容で使用される環状アルキレンカーボネートは、工程(a)で調製され、工程(b)で使用されるように、好ましくは式(I)を有するものであり:
【化1】

ここで、式(I)では、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、置換または非置換C〜C−アルキル、置換または非置換C〜C−アルケニルまたは置換または非置換C〜C12−アリールであってもよく、RおよびRは共同で2つの5員環炭素原子を備え、これが5〜8員環を有する飽和炭素環状環となってもよい。エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびブチレンカーボネートが好ましく、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートが特に好ましく、エチレンカーボネートが非常に特に好ましい。
【0038】
環状アルキレンカーボネートは式
−OH
のアルコールと反応してジアルキルカーボネートを与え、ここでRは直鎖または分岐C〜C−アルキルである。
【0039】
この反応は式R(OH)のアルキレングリコールを副生成物として形成し、これは工程(d)で主生成物のジアルキルカーボネートから取り除かれ、任意に精製される。
【0040】
本発明の内容で好ましく使用されるジアルキルカーボネートは式(II)のものであり、
【化2】

ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、線形または分岐、任意に置換C〜C34−アルキル、好ましくはC〜C−アルキル、より好ましくはC〜C−アルキルである。RおよびRは同じでも異なっていてもよい。好ましくはRおよびRは同じである。
【0041】
式(II)におけるC〜C−アルキルはたとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルであり;C〜C−アルキルはさらに、たとえば、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピルまたは1−エチル−2−メチルプロピルであり;C〜C34−アルキルはさらに、たとえば、n−ヘプチルおよびn−オクチル、ピナシル、アダマンチル、異性体メンチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシルまたはn−オクタデシルである。同じことがたとえば、アラルキルまたはアルキルアリール基内の対応するアルキル基に当てはまる。対応するヒドロキシアルキルまたはアラルキルまたはアルキルアリール基内のアルキレン基は、たとえば、上記アルキル基に対応するアルキレン基である。
【0042】
アリールは6〜34個の骨格炭素原子を有する炭素環状芳香族基である。同じことが、アラルキル基としても公知のアリールアルキル基の芳香族部分に、およびより複雑な基、たとえば、アリールカルボニル基のアリール構造にも当てはまる。
【0043】
アリールアルキルまたはアラルキルは各場合独立して、上で定義されるような直鎖、環状、分岐または非分岐アルキル基であり、これが上で定義されるようにアリール基によって単置換、多置換または過置換されてもよい。
【0044】
上の一覧は例示であって、限定するものと理解されるべきではない。
【0045】
好ましいジアルキルカーボネートは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ(n−プロピル)カーボネート、ジ(イソプロピル)カーボネート、ジ(n−ブチル)カーボネート、ジ(sec−ブチル)カーボネート、ジ(tert−ブチル)カーボネートまたはジヘキシルカーボネートである。ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートは特に好ましい。ジメチルカーボネートは非常に特に好ましい。
【0046】
工程(a)からの環状アルキレンカーボネートとアルコールから、工程(b)においてジアルキルカーボネートを調製するのに利用可能なエステル交換触媒は、当業者に公知のもの、たとえば、アルカリ金属、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムの、好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウムの、より好ましくはナトリウムおよびカリウムの水素化物、酸化物、水酸化物、アルコキシド、アミドまたは塩である(米国特許公開第US 3,642,858 A、US 3 803 201 A、欧州特許出願第EP 1 082 A号公報)。アルコキシドを使用する場合には、本発明によれば、アルカリ金属元素と本発明による変換のためのアルコールを使用することによって、自然にアルコキシドが形成されうる。アルカリ金属塩は有機または無機酸の塩、たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、ステアリン酸、炭酸の塩(カーボネートまたは炭酸水素塩)、塩化水素酸、シュウ化水素酸またはヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、リン酸、シアン化水素、チオシアン酸、ホウ酸、錫酸、C〜C−スタノン酸(stannoic acids)またはアンチモン酸の塩であってもよい。アルカリ金属の好ましい化合物は、酸化物、水酸化物、アルコキシド、アセテート、プロピオネート、ベンゾエート、カーボネートおよびヒドロゲンカーボネートであり;水酸化物、アルコキシド、アセテート、ベンゾエートまたはカーボネートを使用するのが特に好ましい。(任意にフリーのアルカリ金属から自然に形成される)このようなアルカリ金属化合物は、変換される反応混合物に基づいて、0.001〜2重量%、好ましくは0.003〜1.0重量%、より好ましくは0.005〜1.0重量%の量で使用される。
【0047】
工程(b)における処理に好適な触媒はまた、タリウム(I)およびタリウム(II)化合物、たとえば、酸化物、水酸化物、カーボネート、アセテート、臭化物、塩化物、フッ化物、ホルメート、硝酸塩、シアネート、ステアレート、ナフテネート、ベンゾエート、シクロヘキシルホスホネート、ヘキサヒドロベンゾエート、シクロペンタジエニルタリウム、タリウムメトキシド、タリウムエトキシドであり、好ましくはTl(I)オキサイド、Tl(I)ヒドロキシド、Tl(I)カーボネート、Tl(I)アセテート、Tl(III)アセテート、Tl(I)フルオリド、Tl(I)ホルメート、Tl(I)ニトレート、Tl(I)ナフテネートおよびTl(I)メトキシド(欧州特許第EP 1 083号公報)である。タリウム触媒の量は特に重要ではない。これらは一般的に、反応混合物全体に基づいて、0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。本発明による処理では、触媒として窒素ベースのものを使用することもできる(米国特許第US 4 062 884号公報)。例には、中でもsec−またはtert−アミンたとえば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、メチルジベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンがある。
【0048】
工程(b)で使用される窒素ベースのものの量は、反応混合物全体に基づいて、0.001〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。本発明に従って有用な触媒はまた、ホスフィン、スチビン、アルシンまたは2価の硫黄およびセレン化合物およびそのオニウム塩の群からの化合物である(欧州特許第EP 180 387、米国特許第US 4 734 519号公報)。
【0049】
例には次のものがある:トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、トリフェニルアルシン、トリメチルアルシン、トリブチルアルシン、1,2−ビス(ジフェニルアルシノ)エタン、トリフェニルアンチモン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジフェニルセレニド、テトラフェニルホスホニウムハライド(Cl、Br、I)、テトラフェニルアルソニウムハライド(Cl、Br、I)、トリフェニルスルホニウムハライド(Cl、Br)等。
【0050】
この触媒群の使用量は、反応混合物全体に基づいて、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲である。
【0051】
さらに、錫、チタンまたはジルコニウムの錯体または塩は有用である。このようなシステムの例は、ブチルスタノン酸、錫メトキシド、ジメチル錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、トリブチル錫ヒドリド、トリブチル錫クロライド、錫(II)エチルヘキサノエート、ジルコニウムアルコキシド(メチル、エチル、ブチル)、ジルコニウム(IV)ハライド(F、Cl、Br、I)、ジルコニウムニトレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、チタンアルコキシド(メチル、エチル、イソプロピル)、チタンアセテート、チタンアセチルアセトネート等である。
【0052】
本発明に従って有用な量は、混合物全体に基づいて、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0053】
本方法では、工程(b)において、さらに、式(III)の2官能性触媒
[A・[B (III)
を使用することもできる。
【0054】
これらの2官能性触媒では、鍵括弧内の2つの成分のモル比は指数mおよびnで表される。これらの指数はそれぞれ独立して0.001〜1、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.05〜1および最も好ましくは0.1〜1の値を想定することができる。鍵括弧間にはそれぞれ陽イオンおよび陰イオンから成る中性塩が入る。指数aおよびbはそれぞれ独立して1〜5の整数であり;指数cおよびdはそれぞれ独立して1〜3の整数であり、このような中性塩を形成するために、陽イオンおよび陰イオンに必要な価数は一致すべきである。さらに、(VI)では、Aは、元素の周期表の短周期型で第3周期IIa族、第4周期IIa、IVa〜VIIIa、IbまたはIIb族、第5周期IIa、IVa〜VIIaまたはIVb族、または第6周期IIa〜IVa族に属する金属陽イオンである。
【0055】
陽イオンA用金属を、元素の周期表(メンデレーエフ)の短周期型で慣習的表現から当業者は想到することができる。Aは好ましくは金属Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Mn、Co、Ni、Fe、Cr、Mo、W、Ti、Zr、Sn、Hf、VおよびTaの1つの陽イオン、好ましくは金属Mg、Ca、Zn、Co、Ni、Mn、CuおよびSnの1つの陽イオンである。記載の金属の非錯体型陽イオンではなく、記載の金属の陽イオン性オキソ錯体、たとえば、チタニルTiO++およびクロミルCrO++も1つの選択肢である。
【0056】
陽イオンに帰属する陰イオンXは無機または有機酸の陰イオンである。このような無機または有機酸は、1塩基性または2塩基性または3塩基性であってもよい。このような酸およびその陰イオンは当業者に公知である。1塩基性無機または有機酸の陰イオンの例は:フルオリド、ブロマイド、クロライド、ヨーダイド、ニトレート、1〜18個の炭素原子を有するアルカンカルボン酸の陰イオンおよびベンゾエートであり;2塩基性無機または有機酸の陰イオンの例は:スルフェート、オキサレート、スクシネート、フマレート、マレエート、フタレート等であり;3塩基性無機または有機酸の陰イオンの例は:ホスフェートまたはシトレートである。式(III)の触媒において好ましい陰イオンXは:フルオリド、クロライド、ブロマイド、ヨーダイド、スルフェート、ニトレート、ホスフェート、ホルメート、アセテート、プロピオネート、オキサレート、ブチレート、シトレート、スクシネート、フマレート、マレエート、ベンゾエート、フタレート、デカノエート、ステアレート、パルミテートおよびラウレートである。特に好ましい陰イオンXは:クロライド、ブロマイド、ヨーダイド、アセテート、ラウレート、ステアレート、パルミテート、デカノエート、ニトレートおよびスルフェートである。
【0057】
式(III)の触媒において有用な陽イオンBはアルカリ金属またはアルカリ土金属陽イオン、4級アンモニウム、ホスホニウム、アルソニウムまたはスチボニウム陽イオンおよび3級スルホニウム陽イオンの群からの1つである。
【0058】
本内容ではアルカリ金属/アルカリ土金属陽イオンには:チタン、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウム陽イオン、好ましくは記載のアルカリ金属陽イオン、より好ましくはナトリウムおよびカリウム陽イオンがある。
【0059】
好ましい陽イオンBは式(IV)のものであり、
【化3】

ここで、QはN、P、AsまたはSbであり、
、R、RおよびRはそれぞれ独立して、直鎖または分岐C〜C18(−アルキル)またはC〜C12−アラルキルであり、R〜R基の1つが(フェニル)であってもよい。Bはより好ましくは式(V)の陽イオンであり、
【化4】

ここでQはNまたはP、好ましくはNである。
【0060】
最も好ましくは、式(IV)および(V)の内容では、R、R、RおよびR基は、R16、R17、R18およびR19基によって置き換えられ、これらはそれぞれ独立して、直鎖または分岐C〜C18−アルキルまたはC〜C−アラルキルであり、R16〜R19基の1つがフェニルであってもよい。最も好ましくは、さらに、R16、R17、R18およびR19基は、R26、R27、R28およびR29基によって置き換えられ、これらはそれぞれ独立して、C〜C−アルキルまたはベンジルであり、R26〜R29基の1つがフェニルであってもよい。
【0061】
直鎖または分岐C〜C18−アルキルはたとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、ヘキサデシルまたはオクタデシルである。好ましいアルキルは1〜12個の炭素原子を有し;特に好ましいアルキルは1〜8個の炭素原子を有する。
【0062】
〜C12−アラルキルはたとえば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチルまたはナフチルエチルであり;好ましいアラルキルはベンジルまたはフェニルエチルであり;最も好ましいアラルキルはベンジルである。
【0063】
〜C12−アリールはたとえば、フェニル、ナフチルまたはビフェニール、好ましくはフェニルである。
【0064】
式(IV)の触媒において陰イオンYはハライドイオン、たとえば、フルオリド、クロライド、ブロマイドまたはヨーダイド、好ましくはブロマイドまたはヨーダイド、より好ましくはヨーダイドである。しかし、特別の場合、陰イオンXがブロマイドまたはヨーダイドならば、YはXについて記載された他の陰イオンとして定義されるものでもよい。
【0065】
式(IV)の2官能性触媒は、エステル交換混合物全体に基づいて、0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.01〜1重量%の量で使用される。
【0066】
アルキレンカーボネートとアルキルアルコールからジアルキルカーボネートを調製する方法は連続的に行われても、バッチ式で行われてもよい。連続モード作業が好ましい。
【0067】
アルキルアルコールとアルキレンカーボネートとでジアルキルカーボネートとアルキレングリコールを得る反応は、様々な種類の装置:カラム、チューブ状反応器、カラムを取り付けた反応器等内で、並流または向流で行われてもよい。1以上のカラムで、向流で反応が行われるのが好ましい(以後、エステル交換カラムと呼ぶ)。
【0068】
処理では、環状アルキレンカーボネート化合物とアルキルアルコールは好ましくは、1:0.1〜1:40、より好ましくは1:1.0〜1:30、最も好ましくは1:2.0〜1:20のモル比で使用される。特定したモル比は、1以上の最上部凝縮器または1以上の存在する何らかのリボイラーを介して、エステル交換カラムへ環状アルキレンカーボネート化合物またはアルコールをリサイクルすることを考慮していない。
【0069】
触媒は好ましくは、アルキルアルコールの導入位置の上部に配置される導入位置を介して、環状アルキレンカーボネートを含むエステル交換カラムへのストリームと共に、溶解または懸濁状態で、カラムに導入される。場合によっては、触媒はまた、たとえば、アルキルアルコール、アルキレングリコールまたは好適な不活性溶媒に溶解させて、別個に計量添加されてもよい。不均質触媒を使用する場合には、これらは不規則充填物(random packing)を用いて混合物で、不規則充填物の代わりに好適な形状で、または備え付けの何らかのカラムトレイ上のベッドとして使用されてもよい。
【0070】
アルキレンカーボネートおよびアルキルアルコールのジアルキルカーボネートおよびアルキレングリコールへの変換は、エステル交換カラム内でほぼ完全に行われる。ジアルキルカーボネートの調製方法の好ましい実施の形態では、このエステル交換カラムの底部で、任意に凝縮後に回収された液体ストリームに、1以上のさらなる工程でさらなる反応および/または精製が施されてもよい。好ましくは、個々の工程、またはこのようなさらなる工程の全ては、精製に好適な1以上のさらなるカラムまたは他の装置、たとえば、流下膜式蒸発器または薄膜蒸発器内で行われてもよい。
【0071】
有用なエステル交換カラムまたは何らか第2のまたはさらなるカラムには、当業者に公知のカラムが含まれる。これらはたとえば、蒸留カラムおよび精留カラム、好ましくは反応蒸留カラムおよび反応精留カラムである。
【0072】
エステル交換カラムは好ましくは、カラムの上部に少なくとも1つの精留セクションと精留セクションの下部に少なくとも1つの反応ゾーンを備える。2つのセクターはそれぞれ独立して、好ましくは0〜30、好ましくは0.1〜30の理論段数をそれぞれ有する。
【0073】
好ましい実施の形態では、エステル交換カラムは、反応ゾーンの下部に少なくとも1つのストリッピングセクションを有する。
【0074】
さらに、エステル交換カラムは好ましくは1以上のリボイラーを備えてもよい。エステル交換カラムがストリッピングセクションを備えるように設計される場合には、ストリッピングセクションから流出した液体を全部または一部蒸発させるリボイラーを使用するのが、さらに好ましい。この全部または一部蒸発させた液体ストリームは、全部または一部エステル交換カラムへと戻るリサイクルがなされる。ストリッピングセクションを備えない実施の形態の場合には、使用される何らかのリボイラーにおいて、反応ゾーンから流出した液体を全部または一部蒸発させ、全部または一部はエステル交換カラムへと戻るリサイクルがなされる。
【0075】
精留セクションは、好ましい実施の形態では、反応セクションおよび任意の少なくとも1つのストリッピングセクションと共に、エステル交換カラム内に収容されてもよい。この場合には、反応ゾーンから来た気体混合物は、下から精留セクションの下側セクターへとおよび/または適当な場合には下側精留セクションへと入り、ここでアルキレンカーボネートまたはアルキレングリコールを減らす。
【0076】
反応ゾーンおよび存在する何らかのストリッピングセクションの下側では、アルキレングリコール、過剰のまたは未変換のアルキレンカーボネート、アルキルアルコール、ジアルキルカーボネート、エステル交換触媒、および反応で形成されたか、または反応物中に既に存在する高沸点化合物を含む混合物が得られる。ストリッピングセクションを使用する場合には、低沸点化合物、たとえば、ジアルキルカーボネートおよびアルコールの含有量は減らされ、さらに、ジアルキルカーボネートとアルキレングリコールを形成するだけでなく、ジアルキレングリコールとさらなる高沸点化合物を、エステル交換触媒の存在中で何らかの状況下で形成する。このために必要なエネルギーは好ましくは1以上の蒸発器によって供給される。
【0077】
エステル交換カラムの全てのセクションで、すなわち精留セクションおよび何らかのストリッピングセクションと、反応ゾーンの両方で、不規則充填物または規則充填物(structured packing)を使用してもよい。使用するための不規則充填物または規則充填物は、たとえば、ウルマンズ・エンサイクロペディア・デア・テクニッシェン・ヘミー(Ullmann's Encyclopadie der Technischen Chemie),4th ed.,vol.2,p.528ffに記載されるように、蒸留用の常套的なものである。不規則充填物の例には、ラッシグ(Raschig)またはパール・アンド・ノバロック・リング(Pall and Novalox rings)、ベール(Berl)、インタレックス(Intalex)またはトーラス・サドル(Torus saddles)、インターパック・ボディ(Interpack bodies)があり、規則充填物の例には、シート金属および各種材料、たとえば、ガラス、せっ器、磁器、ステンレススチール、プラスチックから成るファブリックパッキング(たとえば、BXパッキング、モンツ・パック(Montz Pak)、メラパック(Mellapak)、メラダー(Melladur)、ケラパック(Kerapak)およびCYパッキング)がある。表面積が大きく、良好な湿潤性を有し、液相の滞留時間が十分な不規則充填物および規則充填物が好ましい。これらはたとえば、パール・アンド・ノバロック・リング、ベール・サドル、BXパッキング、モンツ・パック、メラパック、メラダー、ケラパックおよびCYパッキングである。
【0078】
場合によっては、カラムトレイ、たとえば、シーブトレイ、バブルキャップトレイ、バルブトレイ、トンネルキャップトレイも好適である。エステル交換カラムの反応ゾーンでは、高い滞留時間と良好な物質移動を併せ持つ、越流せきの高いカラムトレイ、たとえば、バブルキャップトレイ、バルブトレイまたはトンネルキャップトレイが特に好ましい。反応ゾーンの理論段数は、好ましくは3〜50、より好ましくは10〜50および最も好ましくは10〜40である。液体ホールドアップは、反応ゾーンの内部カラム体積の好ましくは1〜80%、より好ましくは5〜70%および最も好ましくは7〜60%である。反応ゾーン、使用される何らかのストリッピングセクションおよび精留セクションのより正確な設計については、当業者が行ってもよい。
【0079】
反応ゾーンの温度は好ましくは、20〜200℃、より好ましくは40〜180℃、最も好ましくは50〜160℃の範囲である。本発明のエステル交換を常圧だけでなく、加圧または減圧で行うことは有益である。したがって、反応ゾーン内の圧力は好ましくは0.2〜20bar、より好ましくは0.3〜10bar、最も好ましくは0.4〜5barの範囲である。特に記載しない限り、上記および下記圧力値は絶対圧力値である。
【0080】
好ましくは、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールを含み、ジアルキルカーボネートを調製する処理においてエステル交換カラムの最上部で回収される気体混合物は、エステル交換カラムの最上部での凝縮後に、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールの分離用の少なくとも1つの蒸留カラムを備える少なくとも1つのさらなる処理工程に、全部または一部が投入される。
【0081】
ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールは好ましくは、1以上の蒸留カラムで蒸留することによって、または蒸留とメンブラン分離の組み合わせ(以後ハイブリッド法と呼ぶ)(たとえば、米国特許公開第US−4,162,200 A、欧州特許出願第EP 581 115 B1、EP 592 883 B1および国際特許出願第WO 2007/096343A1号公報参照)で分離される。
【0082】
アルキルアルコールとジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する(たとえば、メタノールとジメチルカーボネート)場合には、2段階法、たとえば、2圧力法、抽出蒸留、低沸点共沸剤を用いた異相共沸混合物蒸留、またはハイブリッド法を用いることもできる。2圧力法またはハイブリッド法を用いるのが特に好ましい。
【0083】
ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールの分離を、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールが共沸混合物を形成する場合であっても、単一の蒸留カラムで行うのが非常に特に好ましい。この蒸留カラムではエステル交換カラムの圧力より高圧で作業される。蒸留カラムの作業圧力は1〜50bar、好ましくは2〜20barの範囲である。蒸留カラムの底部で、実質的に純粋なジアルキルカーボネートが回収され、最上部では、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールの混合物が回収される。この混合物はエステル交換カラムに全部または一部が投入される。ジアルキルカーボネートの調製方法が、このジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物とのエステル交換によって形成されるジアリールカーボネートの調製方法とつながっている場合には、蒸留カラムの最上部で回収されたジアルキルカーボネートとアルキルアルコールの混合物の一部を、ジアリールカーボネートを調製するための処理段階で、アルキルアルコールとジアルキルカーボネート用の適切なワークアップ工程に送ってもよい。
【0084】
特に好ましい態様では、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールが共沸混合物を形成する場合には、このワークアップ工程は2圧力法である。このような方法は原理的には当業者に公知である(たとえば、ウルマンズ・エンサイクロペディア・オブ・インダストリアル・ケミストリー(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry),第6版,Vol.10,Chap.6.4.および6.5.;ヘミー・インゲニオア・テクニーク(Chemie Ingenieur Technik)(67)11/95参照)。
【0085】
アルキルアルコールとジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する場合には、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールを分離する処理工程の第1蒸留カラムの蒸留物は好ましくは、実質的に共沸組成を有する。この場合には、2圧力法において、これを少なくとも1つのさらなる蒸留カラムへと投入し、この第2蒸留カラムでは第1蒸留カラムの作業圧力未満の圧力で作業されるのが好ましい。作業圧力が異なるので、その結果、共沸位置はアルキルアルコールの割合が低くなる方向にシフトする。この第2蒸留カラムまたはこれらのさらなる蒸留カラムから得られた残油生成物は、単離された残油生成物の全重量に基づいて、90〜100重量%の純度のアルキルアルコールであり、得られた蒸留物は実質的に共沸混合物である。第2蒸留カラムまたはより低い処理圧力で作業するさらなる蒸留カラムでは、非常に特に好ましい実施の形態では、好ましくは第1蒸留カラムの最上部凝縮器の凝縮熱を用いて作業される。
【0086】
アルキルアルコールカラムとして公知の第2蒸留カラムの作業圧力は好ましくは、第2蒸留カラムがジアルキルカーボネートカラムの廃棄熱を用いて作業できるように、選択される。作業圧力は0.1〜1bar、好ましくは0.3〜1barである。ジアルキルカーボネートカラムの作業圧力は1〜50bar、好ましくは2〜20barの範囲である。
【0087】
エステル交換カラムの底部で、実質的にアルキレングリコールと少量のアルキルアルコール、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネートおよび高沸点物質(たとえば、ジアルキレングリコール)を含む混合物が回収される。均質触媒を使用する場合には、これもこの混合物中に存在する。この混合物は、アルキレングリコールを精製し、処理から不所望の成分を実質的に排除し、かつ使用された何らかの均質触媒を全部または一部リサイクルし、または均質触媒を処理から完全に排除するために、さらなるワークアップに送られる。
【0088】
混合物中に依然として存在する何らかのアルキレンカーボネートは、依然として存在する何らかの均質触媒の存在中で、または不均質触媒の存在中で水と反応して、アルキレングリコールを得ることができる(たとえば、欧州特許第EP 889025号公報)。さらに、アルキレンカーボネートとアルキレングリコールを反応させて、ジアルキレングリコールと二酸化炭素を得ることもできる(たとえば、欧州特許第EP 1174406号公報)。これらの反応は好ましくはカラム内で行われる。ジアルキレングリコールを得るための反応は、エステル交換がエステル交換カラム内で行われる温度とほぼ同程度の温度で行われ、エステル交換カラムの底部に設けられる装置内の温度および滞留時間を好適に選択する(上げる)ことによって、向上させることができる。
【0089】
好ましくは、アルキレンカーボネートはさらに反応しないようにする。低沸点成分を好ましく蒸留除去した後に、実質的にアルキレングリコールとアルキレンカーボネートから成る混合物を残りの生成物ストリームから取り出し、酸化的カルボニル化工程(工程(e))に投入する。
【0090】
工程(a)の酸化アルキレンと二酸化炭素から環状アルキレンカーボネートを調製することも公知であり、幾度も記載される。
【0091】
本発明の内容で使用される酸化アルキレンはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド、より好ましくはエチレンオキサイドである。
【0092】
酸化アルキレンと二酸化炭素のエステル交換に使用される触媒は、実質的に今日提案される全ての触媒、たとえば、アルカリ金属およびアルカリ土金属ブロマイドおよびヨーダイド、グアニジンおよびそのヒドロブロマイドまたはヒドロヨーダイド、テトラアルキルアンモニウムブロマイドおよびヨーダイド、ホスホニウムブロマイドおよびヨーダイド、ピリジニウムハライド、スルホニウム、スチボニウムおよびアルソニウムハライド、亜鉛および鉛ハライド、アルキル錫化合物またはアルカリ金属ハライドと2価金属イオンのハライドとの混合物であってもよい。好ましくは、使用される触媒は:アルカリ金属ブロマイドおよびヨーダイド、テトラアルキルアンモニウムブロマイドおよびヨーダイド、ホスホニウムハライド、グアニジニウムハライドおよびアルカリ金属ハライドと2価金属ハライドたとえば、亜鉛ハライドとの混合物である。
【0093】
たとえば、欧州特許出願第EP 546 428 A1号公報に記載されるように断熱的手順で、欧州特許出願第EP 628 553 A1号公報に記載されるようにバブルカラム反応器で行われるのが好ましい。
【0094】
この処理は、110〜200℃、好ましくは110〜190℃、より好ましくは110〜180℃の温度範囲内で行われる。本発明による処理のための圧力は2〜200bar、好ましくは5〜80bar、より好ましくは8〜60barである。
【0095】
工程d)で取り出され任意に精製されたアルキレングリコールに、一酸化炭素の存在中で酸化的カルボニル化を施し(工程(e))、これをアルキレンカーボネートに変換する。
【0096】
本発明による処理は好ましくは以下のように行われる:反応混合物を所望の反応温度まで加熱して、一酸化炭素/酸素気体混合物を反応溶液内に導入することによって、反応を開始する。この工程は向流で行われてもよい。
【0097】
気体混合物の組成は幅広い制限内で任意に選択されてもよい。酸素の代わりに、酸素含有気体混合物、たとえば、空気を使用することもでき、気体混合物は任意に不活性気体、たとえば、窒素、アルゴンまたは二酸化炭素で希釈されてもよい。一酸化炭素、酸素および不活性気体の比は、爆発範囲外であるのが好ましい。一般的に100:1〜0.01:1、好ましくは50:1〜0.1:1、より好ましくは8:1〜1:1のCO/Oのモル比を用いる。不活性気体の場合には、活性気体の不活性気体に対する部分圧比は98:2〜2:98、好ましくは95:5〜20:80、より好ましくは95:5〜50:50である。
【0098】
反応気体を反応器内に存在する液体へと導入する。反応気体を反応器内により良好に混合し、分散させるために、好ましい実施の形態では、機械的に攪拌することができる。好適なタイプの反応器は攪拌タンク、攪拌オートクレーブまたはバブル反応器またはバブルカラムであり、これは適度に加熱されてもよく、さらに必要なら、攪拌装置を備えてもよい。
【0099】
本発明による処理は幅広い圧力および温度範囲内で行われてもよい。一般的に、温度は0〜200℃、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜120℃の範囲であってもよい。反応は、加圧下、一般的に1〜200bar、好ましくは5〜100bar、より好ましくは10〜30barの圧力で適切に行われる。
【0100】
好ましい実施の形態では、反応は溶媒として同じジオール、ポリオールまたはカーボネートを用いて適切に行われる。別の実施の形態、または固体グリコールを使用する場合には、グリコールを不活性溶媒で希釈し、または不活性溶媒に溶解させてもよい。好適な不活性溶媒は、脂肪族、芳香族またはハロゲン化炭化水素、エーテル、エステルまたはカーボネートである。好ましい溶媒はクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、DMF、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、NMP、DME、エチルアセテート、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートである。
【0101】
反応は連続的に行われても、バッチ式で行われてもよい。好ましい連続モード作業では、反応気体を一般的には過剰に用いて、未変換気体を循環させる。
【0102】
使用される酸化還元触媒は、元素状態のパラジウム、ロジウム、イリジウムおよび白金またはそのイオン性または非イオン性化合物から選択される少なくとも1つの貴金属である。好ましくは貴金属を、反応混合物に溶解性の化合物として使用する。特に好適な例は、パラジウムのII酸化状態の、ロジウムのIまたはIII酸化状態の、イリジウムのIまたはIII酸化状態の、または白金のII酸化状態の塩または有機金属化合物である。しかし、貴金属を別の酸化状態で、担持または非担持微分散金属として使用することもできる。パラジウムを貴金属として使用するのが特に好ましく、この場合には元素状態でか、または化合物として存在してもよい。塩を使用する場合には、対イオンとして好適な陰イオンは反応条件下で安定で、金属イオンに弱くしか配位結合しない全てのものである。このような塩の例は、前記貴金属のスルフェート、スルホネート、クロライド、ブロマイド、アセテートおよびトリクロロアセテートである。
【0103】
使用される酸化還元活性共触媒はマンガン化合物、コバルト化合物および銅化合物から選択される少なくとも1つの化合物であり、触媒化合物の酸化還元活性物質に対する重量比は1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:30である。本発明による処理において、マンガン化合物、コバルト化合物および銅化合物の例は、その酸化物、スルフェート、ハライド、アセチルアセトネートまたはカルボキシレートである。
【0104】
さらに、塩基、臭化物源、4級塩、各種キノンまたはヒドロキノンおよび乾燥剤を使用することができる。他の酸化還元活性物質、たとえば、キノン、アルカリ金属またはアルカリ土金属よう化物は、触媒化合物の酸化還元活性物質に対する重量比が1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:30となるように存在することもできる。キノンの例は、ベンゾキノン、ナフトキノンおよびアントラキノンおよびその置換生成物である。
【0105】
使用されるさらなる助剤は、オニウム塩、たとえば、アンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウム塩、鉛化合物たとえば、鉛アルキルまたは酸化物、ポリマーたとえば、ポリビニルピロリドン、アルキルハライド、たとえば、ジブロモエタンであってもよく、触媒化合物の助剤に対する重量比は1:1〜1:10,000、好ましくは1:10〜1:1000である。臭化カリウムまたはアンモニウムまたはホスホニウム化合物の臭化物を、触媒化合物の助剤に対する重量比が1:1〜1:10,000、好ましくは1:10〜1:1000となるように使用することが特に好ましい。
【0106】
本発明の内容では、工程(h)および(i)で調製されるジアリールカーボネートは好ましくは一般式(VII)のものであり、
【化5】

ここで、R、R’およびR”はそれぞれ独立して、H、線形または分岐、任意に置換されたC〜C34−アルキル、好ましくはC〜C−アルキル、より好ましくはC〜C−アルキル、C〜C34−アルコキシ、好ましくはC〜C−アルコキシ、より好ましくはC〜C−アルコキシ、C〜C34−シクロアルキル、C〜C34−アルキルアリール、C〜C34−アリールまたはハロゲン基、好ましくは塩素基であり、式(VII)の両側のR、R’およびR”は同じでも異なっていてもよい。Rはまた、―COO−R’’’であってもよく、ここでR’’’はH、任意に分岐されたC〜C34−アルキル、好ましくはC〜C−アルキル、より好ましくはC〜C−アルキル、C〜C34−アルコキシ、好ましくはC〜C−アルコキシ、より好ましくはC〜C−アルコキシ、C〜C34−シクロアルキル、C〜C34−アルキルアリールまたはC〜C34−アリールであってもよい。好ましくは式(VII)の両側のR、R’およびR”は同じである。最も好ましくはR、R’およびR”はそれぞれHである。
【0107】
一般式(VII)のジアリールカーボネートはたとえば:ジフェニルカーボネート、メチルフェニルフェニルカーボネートおよびジ(メチルフェニル)カーボネート、さらには混合物として、ここでフェニル環上のメチル基の位置は所望どおりでよく、およびさらにはジメチルフェニルフェニルカーボネートおよびジ(ジメチルフェニル)カーボネート、さらには混合物として、ここでフェニル環上のメチル基の位置は所望どおりでよく、クロロフェニルフェニルカーボネートおよびジ(クロロフェニル)カーボネート、ここでフェニル環上のメチル基の位置は所望どおりでよく、4−エチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−エチルフェニル)カーボネート、4−n−プロピルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−プロピルフェニル)カーボネート、4−イソプロピルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソプロピルフェニル)カーボネート、4−n−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ブチルフェニル)カーボネート、4−イソブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソブチルフェニル)カーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、4−n−ペンチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ペンチルフェニル)カーボネート、4−n−ヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ヘキシルフェニル)カーボネート、4−イソオクチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−イソオクチルフェニル)カーボネート、4−n−ノニルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−n−ノニルフェニル)カーボネート、4−シクロヘキシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、1−ナフチルフェニルカーボネート、2−ナフチルフェニルカーボネート、ジ(1−ナフチル)カーボネート、ジ(2−ナフチル)カーボネート、4−(1−ナフチル)フェニルフェニルカーボネート、4−(2−ナフチル)フェニルフェニルカーボネート、ジ[4−(1−ナフチル)フェニル]カーボネート、ジ[4−(2−ナフチル)フェニル]カーボネート、4−フェノキシフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−フェノキシフェニル)カーボネート、3−ペンタデシルフェニルフェニルカーボネート、ジ(3−ペンタデシルフェニル)カーボネート、4−トリチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−トリチルフェニル)カーボネート、(メチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(メチルサリチレート)カーボネート、(エチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(エチルサリチレート)カーボネート、(n−プロピルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(n−プロピルサリチレート)カーボネート、(イソプロピルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(イソプロピルサリチレート)カーボネート、(n−ブチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(n−ブチル サリチレート)カーボネート、(イソブチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(イソブチルサリチレート)カーボネート、(tert−ブチルサリチレート)フェニルカーボネート、ジ(tert−ブチルサリチレート)カーボネート、ジ(フェニルサリチレート)カーボネートおよびジ(ベンジルサリチレート)カーボネートである。
【0108】
好ましいジアリールカーボネートは:ジフェニルカーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネートおよびジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネートである。
【0109】
ジフェニルカーボネートは特に好ましい。
【0110】
本発明による処理では、芳香族ヒドロキシル化合物とジアルキルカーボネートが、第1反応カラムにおいて、好ましくは1:0.1〜1:10、より好ましくは1:0.2〜1:5、最も好ましくは1:0.5〜1:3のモル比で使用される。特定したモル比は、1以上の最上部凝縮器または存在する1以上の何らかのリボイラーを介して、反応カラムへと芳香族ヒドロキシル化合物またはジアルキルカーボネートをリサイクルすることを考慮していない。
【0111】
本発明の内容で好適であり、工程(h)で使用される芳香族ヒドロキシル化合物(モノフェノール)は好ましくは一般式(VIII)のものであり、
【化6】

ここで、R、R’およびR”はそれぞれ独立して、一般式(VII)に規定されるものでもよい。
【0112】
このような芳香族モノフェノールはたとえば、フェノール、o−、m−またはp−クレゾール、さらにはクレゾールの混合物として、ジメチルフェノール、さらには混合物として、ここでフェノール環上のメチル基の位置は所望どおりでよく、たとえば、2,4−、2,6−、または3,4−ジメチルフェノール、o−、m−またはp−クロロフェノール、o−、m−またはp−エチルフェノール、o−、m−またはp−n−プロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、4−n−ブチルフェノール、4−イソブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、4−n−ペンチルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−イソオクチルフェノール、4−n−ノニルフェノール、o−、m−またはp−メトキシフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、ビフェニル−4−オール、1−ナフトール、2−1−ナフトール、4−(1−ナフチル)フェノール、4−(2−ナフチル)フェノール、4−フェノキシフェノール、3−ペンタデシルフェノール、4−トリチルフェノール、メチルサリチル酸、エチルサリチル酸、n−プロピルサリチル酸、イソプロピルサリチル酸、n−ブチルサリチル酸、イソブチルサリチル酸、tert−ブチルサリチル酸、フェニルサリチル酸およびベンジルサリチル酸である。
【0113】
好ましいモノフェノールはフェノール、4−tert−ブチルフェノール、ビフェニル−4−オールおよび4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールである。
【0114】
フェノールが特に好ましい。
【0115】
本発明の内容で、工程(h)において中間体として得られるアルキルアリールカーボネートは好ましくは、一般式(IX)のものであり、
【化7】

ここで、R、R’およびR”はそれぞれ、一般式(VII)に規定されるものでもよく、R10は、一般式(II)に規定されるものでもよい。
【0116】
好ましいアルキルアリールカーボネートは、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、プロピルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、エチルp−クレジルカーボネート、メチルまたはエチルp−クロロフェニルカーボネート、ヘキシルフェニルカーボネート、メチルo−クレジルカーボネート、メチルp−クレジルカーボネート、エチルo−クレジルカーボネートである。特に好ましいアルキルアリールカーボネートは、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネートおよびブチルフェニルカーボネートである。メチルフェニルカーボネートおよびエチルフェニルカーボネートは非常に特に好ましい。
【0117】
ジアルキルカーボネートおよび/またはアルキルアリールカーボネートとモノフェノールとのエステル交換用触媒にはアルカリ金属水酸化物、金属ハライド(ドイツ特許公開第DE−A 2 528 412号公報)、有機錫化合物(欧州特許出願第EP 879 A1、EP 880 A1、ドイツ特許公開第DE−A 3 445 552、欧州特許出願第EP 338 760 A1号公報)鉛化合物(日本特許JP 57/176 932号公報)、ルイス酸/プロトン酸触媒(ドイツ特許公開第DE−A 3 445 553号公報)の群からのルイス酸がある。
【0118】
工程(h)および(i)においてジアリールカーボネートを調製する本発明による処理は、少なくとも2つの反応カラムで行われる。
【0119】
有用な第1および第2反応カラムまたは何らかの第3またはさらなるカラムには当業者に公知のカラムがある。これらはたとえば、蒸留および精留カラム、好ましくは反応蒸留および反応精留カラムである。
【0120】
第1反応カラムはカラムの上側に少なくとも1つの精留セクションを、精留セクションの下側に少なくとも1つの反応ゾーンを備え、精留セクションは少なくとも2つのセクターを有する。2つのセクターはそれぞれ独立して、好ましくは、0〜20、好ましくは0.1〜20の理論段数を有する。好ましい実施の形態では、第1反応カラムの少なくとも1つの精留セクションは、少なくとも1つの中間凝縮器を備える。中間凝縮器は好ましくは精留セクションの2つのセクター間に取り付けられる。この場合には、精留セクションは上側精留セクションと下側精留セクションに分割される。
【0121】
第1反応カラムでは好ましくは向流で作業され、この場合には、このカラムの少なくとも1つの反応ゾーンにおいて、芳香族ヒドロキシル化合物は好ましくは、最上部から底部へと液体形態で案内され、ジアルキルカーボネートはこの液体ストリームとは逆に気体形態で案内される。第1反応カラムでは好ましくは、芳香族ヒドロキシル化合物と任意に溶解したエステル交換触媒とを含む1以上のストリームが少なくとも1つの反応ゾーンへと、好ましくは反応ゾーンの上側3分の1へと、好ましくはカラムのこの地点の温度で、液体形態または気体含有量が非常に低い(好ましくは、気体含有量は20重量%未満である)状態で、計量添加されるように、作業される。さらに、ジアルキルカーボネートを含む1以上のストリームは反応ゾーンへと、好ましくはこの反応ゾーンの下側3分の1に投入され、好ましくは気体または過熱形態で計量添加が行われる。好ましい実施の形態では、気体ストリームの過熱は0〜50℃であってもよい。さらに、露点は好ましくは、ジアルキルカーボネートを含む特定のストリームの計量添加地点での反応ゾーン内の圧力によって導き出される。
【0122】
反応ゾーンを通過後、反応時に形成されたアルキルアルコールは、精留セクションを通過させた後に、第1反応カラムの最上部で回収される。反応時に形成されたアルキルアルコールは、反応のアルコールとしても公知であり、本発明の内容では、エステル交換の過程で乖離されるアルコール、好ましくはR−OHおよび/またはR−OHであり、ここでRおよびRはそれぞれ一般式(II)で特定されるように規定される。第1反応カラムの最上部で回収されるストリームは一般的に、反応時に形成されたアルキルアルコール以外に、過剰のまたは未変換のジアルキルカーボネートおよび低沸点の第2化合物、たとえば、二酸化炭素またはジアルキルエーテルを含有する。精留セクションが存在するので、このストリームは高沸点成分、たとえば、芳香族ヒドロキシル化合物を少量しか含まない。精留セクションは、反応ゾーンで蒸発させた高沸点成分、たとえば、芳香族ヒドロキシル化合物またはアルキルアリールカーボネートを、反応の低沸点アルコールまたはジアルキルカーボネートから取り出す役割をも果たす。このことは、反応時に形成されたアルキルアルコールのジアルキルカーボネートからの分離を、低温レベルで行うことができるといった利益を有する。
【0123】
好ましい実施の形態では、第1反応カラムでは、還流条件下で作業される。「還流条件」とは、気体ストリームが精留セクションの上側端部で全部または一部凝縮し、得られた凝縮物を還流凝縮液として精留セクションの上側端部に一部または全部戻すリサイクルをする方法を意味するものと理解される。還流比は好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.1〜10および最も好ましくは0.1〜3であり、本発明の内容では還流比は、カラムへリサイクルされる凝縮物の、リサイクルされた凝縮物を除いたカラム最上部で回収された気体に対する重量比に相当する。
【0124】
好ましい実施の形態では、第1反応カラムは、少なくとも1つのストリッピングセクションを反応ゾーンの下側に有する。
【0125】
第1反応カラムはさらに好ましくは、1以上のリボイラーを備えてもよい。第1反応カラムがストリッピングセクションを備えるように設計される場合には、ストリッピングセクションから流出した液体を全部または一部蒸発させるリボイラーをさらに使用するのが好ましい。この全部または一部蒸発させた液体ストリームは、第1反応カラムへと全部または一部戻すリサイクルがなされる。ストリッピングセクションがない実施の形態の場合には、使用される何らかのリボイラーにおいて、反応ゾーンから流出した液体は全部または一部蒸発し、第1反応カラムへと全部または一部戻すリサイクルがなされる。
【0126】
さらに好ましくは、第1反応カラムは、1以上の中間ヒータまたは中間蒸発器を、ストリッピングセクションおよび/または反応ゾーンの領域に有してもよい。
【0127】
第1反応カラムの少なくとも1つの精留セクションが少なくとも1つの中間凝縮器を備える好ましい実施の形態では、少なくとも1つの中間凝縮器を備える第1反応カラムの精留セクションは、下側精留セクションと上側精留セクション(2つのセクター)に分割され、その下側精留セクションは中間凝縮器の下側に存在し、上側精留セクションは中間凝縮器の上側に存在する。
【0128】
少なくとも1つの中間凝縮器を備える精留セクションは、好ましい実施の形態では、反応カラム内に、反応セクションと任意の少なくとも1つのストリッピングセクションと共に収容されてもよい。この場合には、反応ゾーンから来た気体混合物は、下から精留セクションの下側セクターへと、および/または適当な場合には下側精留セクションへと入り、ここで芳香族ヒドロキシル化合物を減らす。この下側セクター、または適当な場合には下側精留セクションから来た気体混合物は中間凝縮器へと入り、ここで一部凝縮し、得られた凝縮物を精留セクションの下側セクターの上端部に、または適当な場合には下側精留セクションに投入する。
【0129】
本発明による処理のさらに好ましい実施の形態では、中間凝縮器は第1反応カラムに統合されるのではなく、第1反応カラムの外側に別個の中間凝縮器として構成される。
【0130】
本発明による処理のさらに好ましい実施の形態では、中間凝縮器および精留セクションの上側セクターは反応カラムに統合されるのではなく、第1反応カラムの外側に別個に収容される。
【0131】
反応ゾーンおよび存在する何らかのストリッピングセクションの下側では、アルキルアリールカーボネート、過剰のまたは未変換のフェノール、ジアリールカーボネート、エステル交換触媒、ジアルキルカーボネート、反応のアルコールおよび反応で形成するまたは反応物内に既に存在する高沸点化合物を含む混合物が得られる。ストリッピングセクションを使用する場合には、低沸点化合物、たとえば、ジアルキルカーボネートおよび反応のアルコールの含有量は低減されて、エステル交換触媒の存在する何らかの環境下で、アルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートをさらに形成する。この目的のために必要なエネルギーは好ましくは、1以上の蒸発器によって供給される。
【0132】
第1反応カラム、およびさらには以下に記載するカラムの全てのセクション、すなわち、精留および/または何らかのストリッピングセクションおよび/または反応ゾーンでは、不規則充填物または規則充填物が使用され、問題を個別に解決することができる。使用するための不規則充填物または規則充填物は、たとえば、ウルマンズ・エンサイクロペディア・デア・テクニッシェン・ヘミー(Ullmann's Encyclopadie der Technischen Chemie),4th ed.,vol.2,p.528ffに記載されるように、蒸留用の常套的なものである。不規則充填物の例には、ラッシグ(Raschig)またはパール・アンド・ノバロック・リング(Pall and Novalox rings)、ベール(Berl)、インタレックス(Intalex)またはトーラス・サドル(Torus saddles)、インターパック・ボディ(Interpack bodies)があり、規則充填物の例には、シート金属および各種材料、たとえば、ガラス、せっ器、磁器、ステンレススチール、プラスチックから成るファブリックパッキング(たとえば、BXパッキング、モンツ・パック(Montz Pak)、メラパック(Mellapak)、メラダー(Melladur)、ケラパック(Kerapak)およびCYパッキング)がある。表面積が大きく、良好な湿潤性を有し、液相の滞留時間が十分な不規則充填物および規則充填物が好ましい。これらはたとえば、パール・アンド・ノバロック・リング、ベール・サドル、BXパッキング、モンツ・パック、メラパック、メラダー、ケラパックおよびCYパッキングである。
【0133】
本発明の内容では、「セクター」は、投入および/または回収地点がこのセクターの下および/または上に存在する点に、注目すべきである。不規則充填物および/または規則充填物を使用する場合、セクターが4を超える、好ましくは10を超えるおよびより好ましくは15を超える理論段数を有するときに、セクターは複数部分に分割されうる。
【0134】
場合によっては、カラムトレイ、たとえば、シーブトレイ、バブルキャップトレイ、バルブトレイ、トンネルキャップトレイも好適である。反応カラムの反応ゾーンでは、高い滞留時間と良好な物質移動を併せ持つ、越流せきの高いカラムトレイ、たとえば、バブルキャップトレイ、バルブトレイまたはトンネルキャップトレイは特に好ましい。
【0135】
第1反応カラムの反応ゾーンの理論段数は、好ましくは3〜50、より好ましくは10〜50および最も好ましくは10〜40である。液体ホールドアップは、反応ゾーンの内部カラム体積の好ましくは1〜80%、より好ましくは5〜70%および最も好ましくは7〜60%である。反応ゾーン、使用される何らかのストリッピングセクションおよび精留セクションのより正確な設計については、当業者が行ってもよい。
【0136】
第1反応カラムでは、反応ゾーン領域のカラム直径は気体通過量によって導き出されるが、それでしか制限されない。またこれは、達成されるべきホールドアップに影響される。
【0137】
ディレイトレイを使用する場合には、トレイ上の液体レベルは、カラムの圧力低下を常識的レベルに制限するために、好ましくは、50〜1000、より好ましくは100〜500および最も特に好ましくは100〜250mmであるべきである。カラムの圧力低下は好ましくは、最高圧力の50%未満、より好ましくは30%未満および最も特に好ましくは25%未満であるべきである。
【0138】
これらの境界条件下で、カラムのF因子は好ましくは0.05〜2.5、好ましくは0.05〜1.5および最も特に好ましくは0.08〜1Pa0.5である。トレイ分離は好ましくは250〜1500mm、より好ましくは300〜1000および最も特に好ましくは500〜1000mmであってもよい。F因子はカラムの気体の流体力学的因子負荷の測定値であり、以下のように計算される:
F因子=気体密度1/2×気体速度
【0139】
処理で使用される蒸留および/または反応カラムの残り部分の好適なカラム設計、たとえば、カラムの高さおよびカラムの直径の設計、カラム内部の選択および投入および回収ラインの寸法は、当業者に公知であり、関連文献から採用してもよい(たとえば、蒸留設計(Distillation Design),ヘンリー(Henry)Z.キスター(Kister),マックグロー・ヒル(McGraw Hill);蒸留作業(Distillation Operation),ヘンリー(Henry)Z.キスター(Kister),マックグロー・ヒル(McGraw Hill);ペリーの化学技術ハンドブック(Perry’s Chemical Engineering Handbook);ペリー&グリーン(Perry & Green)。
【0140】
反応ゾーンの温度は好ましくは、100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、最も特に好ましくは150〜240℃の範囲である。好ましい実施の形態では、反応ゾーン内の最適反応温度は、まず作業条件の選択を通じて、次に1以上の反応トレイ領域内にさらに熱供給することを通じて確立される。熱は、熱交換器によって、または熱を導入する手段を有する反応トレイを介して、反応トレイに供給されてもよい。大気圧だけでなく、加圧または減圧で本発明のエステル交換を行うことが有益である。反応ゾーンの圧力はしたがって、好ましくは0.5〜20bar(絶対値)、より好ましくは0.8〜15bar(絶対値)、最も特に好ましくは0.9〜10bar(絶対値)の範囲である。
【0141】
第1反応カラム内で生じる反応工程のために、文献から公知のエステル交換触媒を使用することができる。これらはジアルキルカーボネート−フェノールエステル交換用の文献から公知のエステル交換触媒、たとえば、AlX、TiX,UX、TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、PbXおよびSnXであり、ここでXはハロゲン、アセトキシ、アルコキシまたはアリールオキシ基を表す(ドイツ特許公開第DE−A 2 58 412号公報)本発明に従って有用な特に好ましい触媒は、金属化合物、たとえば、AlX、TiX、PbXおよびSnX、たとえば、チタンテトラクロライド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラドデコキシド、錫テトライソオクトキシドおよびアルミニウムトリイソプロポキシドである。金属化合物TiXは非常に特に好ましい。記載の金属化合物は好ましくは、変換される反応混合物の重量に基づいて、0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜5重量%およびより好ましくは0.01〜5重量%の量で使用される。
【0142】
本発明の内容では、ハロゲンは、フッ素、塩素または臭素、好ましくはフッ素または塩素、より好ましくは塩素である。
【0143】
本発明に従って有用なさらなる触媒は、0.001〜20重量%の量の一般式(R114−X−Sn(Y)の有機錫化合物(ここでYはOCOR12、OHまたはOR基であり、R12はC〜C12−アルキル、C〜C12−アリールまたはC〜C13−アルキルアリールであり、R11はR12と独立して、R12のために定義されたものであり、xは1〜3の整数である)、アルキル基内に1〜12個の炭素原子を有するジアルキル錫化合物、またはビス(トリアルキル錫)化合物、たとえば、トリメチル錫アセテート、トリエチル錫ベンゾエート、トリブチル錫アセテート、トリフェニル錫アセテート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫アジピネート、ジブチルジメトキシ錫、ジメチル錫グリコレート、ジブチルジエトキシ錫、トリエチル錫ヒドロキシド、ヘキサエチルスタノキサン、ヘキサブチルスタノキサン、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ブチル錫トリイソオクトキシド、オクチル錫トリイソオクトキシド、ブチルスタノン酸およびオクチルスタノン酸(欧州特許第EP 879、EP 880、EP 39 452、ドイツ特許公開第DE−A 34 45 555、日本特許JP 79/63023号公報参照)、ジアルキルカーボネートに基づいて0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜5重量%の量の式−[−RR11Sn−O−]−のポリマー状錫化合物(ここでRおよびR11はそれぞれ独立してR12のために上で定義されたものである)、たとえば、ポリ[オキシ(ジブチルスタニレン)]、ポリ[オキシ(ジオクチルスタニレン)]、ポリ[オキシ(ブチルフェニルスタニレン)]、およびポリ[オキシ(ジフェニルスタニレン)](ドイツ特許公開第DE−A 34 45 552号公報)、式−[−RSn(OH)−O−]−のポリマー状ヒドロキシスタノキサン、たとえば、ポリ(エチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(ブチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(オクチルヒドロキシスタノキサン)、ポリ(ウンデシルヒドロキシスタノキサン)およびポリ(ドデシルヒドロキシスタノキサン)(ドイツ特許公開第DE−A 40 06 520号公報)である。本発明に従って有用なさらなる錫化合物は一般式
X−RSn−O−RSn−Y
のSn(II)酸化物であり、
ここでXおよびYはそれぞれ独立して、OH、SCN、OR13、OCOR13またはハロゲンであり、Rはアルキル、アリールであり、R13はR12のために上で定義されたものである(欧州特許第EP 0 338 760号公報)。
【0144】
本発明に従って有用なさらなる触媒には、ジアルキルカーボネート1mol当たり0.001〜1および好ましくは0.005〜0.25molの量の、任意にトリオルガノホスファン、キレート化合物またはアルカリ金属ハライドと結びついた鉛化合物、たとえば、Pb(OH)−2PbCO、Pb(OCO−CH、Pb(OCO−CH・2LiCl、Pb(OCO−CH・2PPh(日本特許第JP 57/176932、JP 01/093580号公報)、および他の鉛(II)および鉛(IV)化合物、たとえば、PbO、PbO、鉛丹、亜鉛酸塩、鉛酸塩(日本特許第JP 01/093560号公報)、鉄(III)アセテート(日本特許第JP 61/1 72 852号公報)およびさらには銅塩および/またはたとえば、アルカリ金属、亜鉛、チタンおよび鉄の金属錯体(日本特許第JP 89/005588号公報)がある。
【0145】
さらに、不均質触媒システムは、本発明による処理で有用である。これらはたとえば、シリコンおよびチタンの混合酸化物であり、シリコンとチタンハライド(日本特許第JP 54/125617号公報)、または20m/gの高BET表面積を有する二酸化チタン(ドイツ特許公開第 DE−A 40 36 549号公報)との組み合わせ加水分解によって得ることができる。
【0146】
本発明による処理にとって好ましい触媒は、上で特定される金属化合物、AlX、TiX、UX、TiX、VOX、VX、ZnX、FeX、PbXおよびSnXである。AlX、TiX、PbXおよびSnXが特に好ましく、その中ではたとえば、チタンテトラクロライド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラドデコキシド、錫テトライソオクトキシドおよびアルミニウムトリイソプロポキシドを言及するべきである。金属化合物TiXが非常に特に好ましい。チタンテトラメトキシド、チタンテトラフェノキシドおよびチタンテトラエトキシドが特に好ましい。
【0147】
触媒は好ましくは、芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリームと共に、溶解または懸濁形態で第1反応カラムへと導入される。場合によっては、触媒はまた、たとえば、反応のアルコールに対応するアルコールまたは好適な不活性溶媒に溶解して、別個に計量添加されてもよい。不均質触媒を使用する場合には、これらは記載の不規則充填物を用いて混合物で、不規則充填物の代わりに好適な形状で、または備え付けの何らかのカラムトレイ上のベッドとして使用されてもよい。
【0148】
第1反応カラムでの反応に必要なエネルギーはまず、内部または外部装置、たとえば、熱交換器、蒸発器および/または加熱可能なカラムトレイによって発生させ、および/または次に芳香族ヒドロキシル化合物を含む液体ストリームか、またはジアルキルカーボネートを含み、気体形態で計量添加されるストリームを用いて導入されてもよい。特に、反応ゾーン領域では、熱はこのようにして供給されうる。反応ゾーン領域ではこの熱は、好ましくは蒸発器または加熱可能なカラムトレイによって、全部または一部が供給される。第1反応カラムでの反応に必要なエネルギーを、第1反応カラムへと、芳香族ヒドロキシル化合物を含む液体ストリームか、またはジアルキルカーボネートを含み、気体形態で計量添加されるストリームを用いて、さらには内部および/または外部熱交換器を用いて、少なくとも一部導入するのが特に有益である。
【0149】
本発明による処理では、第1反応カラムの残油生成物は第2反応カラムへと投入される。
【0150】
第2反応カラムはカラムの上側に少なくとも1つの精留セクションを、精留セクションの下側に少なくとも1つの反応ゾーンを備える。精留セクションは好ましくは、0〜50およびより好ましくは1〜25の理論段数を有する。
【0151】
第2反応カラムでは、既に形成されたアルキルアリールカーボネートおよびジアリールカーボネートを含む第1反応カラムの残油生成物が、液体形態で、または気体−液体混合物として、好ましくは反応ゾーンへと、より好ましくは反応ゾーンの上部へと、最も好ましくは反応ゾーンの上側3分の1に投入される。この場合には、第2反応カラムでは好ましくは、アルキルアリールカーボネートがたとえば、さらなるエステル交換または不均化反応によって、好ましくは不均化反応によって、ジアリールカーボネートへと一部または全部が変換されるように作業される。第1反応カラムの残油生成物以外に、アルキルアリールカーボネートを含む1以上のストリームを、反応ゾーン領域に、液体形態で、または気体−液体混合物として計量添加することが可能である。アルキルアリールカーボネートを含むこのようなさらなるストリームは、たとえば、さらなるワークアップから生じたものでもよく、そして本処理へとリサイクルされてもよい。
【0152】
第2反応カラムの最上部では未変換の芳香族ヒドロキシル化合物、ジアルキルカーボネート、反応のアルコール、中程度の沸点の第2化合物、たとえば、アルキルアリールエーテル、および少量の低沸点第2化合物が取り出される。本発明の内容では、中程度の沸点の第2化合物はアルキルアリールカーボネートの沸点未満でジアルキルカーボネートの沸点を超える沸点を有するものを意味するものと理解される。このような中程度の沸点の第2化合物はたとえば、アルキルアリールエーテル、たとえば、アニソールまたはフェネトールである。第2反応カラムで取り出された中程度の沸点の第2化合物は、第1および/または第2反応カラムにおける反応で形成し、または反応物を通じて既に処理へと導入される場合もある。
【0153】
第2反応カラムの精留セクションは、反応ゾーンで蒸発した高沸点成分、たとえば、アルキルアリールカーボネートを取り出す役割を果たす。
【0154】
好ましい実施の形態では、第2反応カラムでは、第1反応カラムについて記載されるような、還流条件下で同様に作業される。
【0155】
第2反応カラムは反応ゾーンの下側に少なくとも1つのストリッピングセクションを有してもよい。しかし、好ましい実施の形態では、第2反応カラムの反応ゾーンは同時にストリッピングセクションとして機能してもよい。この場合には、不均化反応によって乖離されたジアルキルカーボネートは、乖離された反応のアルコールと未変換の芳香族ヒドロキシル化合物のエステル交換によって除去され、同時にジアリールカーボネートと、不均化反応を通じて本質的に減らされたアルキルアリールカーボネートとが凝縮される。
【0156】
第2反応カラムはさらに好ましくは、1以上のリボイラーを備えてもよい。
【0157】
さらに好ましくは、第2反応カラムはストリッピングセクションおよび/または反応ゾーンの領域に、1以上の中間ヒータまたは中間蒸発器を有してもよい。
【0158】
原理的には、第2反応カラムの精留セクションは同様に、1以上の中間凝縮器を備えてもよい。これは精留セクションを下側精留セクションと上側精留セクション(2つのセクター)に分割し、その下側精留セクションは中間凝縮器の下側に存在し、上側精留セクションは中間凝縮器の上側に存在する。好ましい実施の形態では、第2反応カラムは中間凝縮器を有さない。
【0159】
第2反応カラムは1以上の凝縮器を備える。これらの1以上の凝縮器は好ましくは第2反応カラムの最上部にある(最上部凝縮器)。最上部凝縮器にカスケードを使用するのが特に好ましい。
【0160】
第2反応カラムの最上部の凝縮器における凝縮の過程で、比較的高沸点成分、たとえば、芳香族ヒドロキシル化合物の気体が減らされる。熱統合を目的として、得られる凝縮熱を特に効率よく使用するためには、したがって、凝縮は数段階、より好ましくは少なくとも2段階、および好ましい実施の形態では、2または3段階で行われるのが好ましい。
【0161】
2または3段階凝縮の特に好ましい実施の形態では、第1または第1および第2凝縮段階の凝縮熱を直接または間接的に使用して、ストリームまたは処理内のカラムを加熱するが、第2または第3凝縮段階から得られた凝縮熱は水冷または空冷によって除去される。
【0162】
第2反応カラムの最上部での凝縮は、さらに好ましい実施の形態では、中程度の沸点の第2化合物を選択的に排除することができるように、第2反応カラムの最上部で回収される一部の気体を凝縮しないことによって、さらに行われる。
【0163】
反応ゾーンおよび存在する何らかのストリッピングセクションの下側では、アルキルアリールカーボネート、過剰のまたは未変換の芳香族ヒドロキシル化合物、ジアリールカーボネート、エステル交換触媒、ジアルキルカーボネート、反応のアルコールおよび反応で形成されるまたは反応物内に既に存在する中程度または高沸点第2化合物を含む混合物が得られる。本発明の内容では、高沸点第2化合物はアルキルアリールカーボネートの沸点を超える沸点を有するものを意味するものと理解される。このような高沸点第2化合物は、その沸点がアルキルアリールカーボネートの沸点とジアリールカーボネートの沸点の間にあるもの(高沸点物質)と、その沸点がジアリールカーボネートの沸点を超えるもの(非常な高沸点物質)とに分割することができる。
【0164】
第2反応カラムの全てのセクションで、すなわち精留セクションおよび何らかのストリッピングセクションと、反応ゾーンの両方で、第1反応カラムについて上で既に述べた不規則充填物または規則充填物を使用してもよい。
【0165】
反応ゾーン、使用される何らかのストリッピングセクションおよび精留セクションのより正確な設計については、当業者が行ってもよい。
【0166】
反応ゾーンの温度は好ましくは、100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、最も好ましくは180〜250℃の範囲である。
【0167】
特に好ましい実施の形態では、反応ゾーン内の最適反応温度は、まず作業条件の選択を通じて、次に1以上の反応トレイ領域内にさらに熱供給することを通じて確立される。熱は、熱交換器によって、または熱を導入する手段を有する反応トレイを介して、反応トレイに供給されてもよい。常圧だけでなく、加圧または減圧下で本発明のエステル交換を行うことが有益である。第2反応カラムの圧力はしたがって、好ましくは0.05〜20bar(絶対値)、より好ましくは0.1〜10bar(絶対値)、最も特に好ましくは0.1〜2bar(絶対値)の範囲である。
【0168】
第2反応カラム内で生じる反応工程のために、第1反応カラムでのエステル交換について上で既に述べたエステル交換触媒を使用してもよい。好ましい実施の形態では、同じ触媒を第1および第2反応カラムで使用する。
【0169】
触媒は好ましくは、第2反応カラム内に、第1反応カラムの残油生成物と共に、溶解または懸濁状態で、導入される。場合によっては、触媒はまた、たとえば、反応のアルコールに対応するアルコールまたは好適な不活性溶媒に溶解して、別個に計量添加されてもよい。不均質触媒を使用する場合には、これらは記載の不規則充填物を用いて混合物で、不規則充填物の代わりに好適な形状で、または備え付けの何らかのカラムトレイ上のベッドとして使用されてもよい。
【0170】
本発明による処理では、第1反応カラムおよび/またはさらなる反応カラムでのエステル交換および/または不均化反応の過程で、反応時に形成されたアルキルアルコール(反応のアルコール)、および未変換または反応時に形成されたジアルキルカーボネートを含むストリームが得られ、好ましくは1以上のストリームで混合物で回収される。反応カラム内の未変換の、または反応時に形成されたジアルキルカーボネートは、本発明によれば、少なくとも1つの蒸留カラムを備える少なくとも1つのさらなる処理工程において、反応時に形成されたアルキルアルコール(反応のアルコール)から、全部または一部が分離される。未変換または反応時に形成されたジアルキルカーボネートと反応時に形成されたアルキルアルコールを含む少なくとも1つのストリームを、第1反応カラムの最上部で回収し、少なくとも1つの蒸留カラムを備える少なくとも1つのさらなる処理工程にこれを投入することによって、これを分離するのが好ましい。
【0171】
第1反応カラムの最上部で回収され、ジアルキルカーボネートと反応時に形成されたアルキルアルコールを含む気体混合物を、第1反応カラムの最上部で凝縮後に、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコールを分離するための少なくとも1つの蒸留カラム(以後分離蒸留カラムと呼ぶ)を備える少なくとも1つのさらなる処理工程に全部または一部投入するのが好ましい。取り出したジアルキルカーボネートを任意にさらに精製した後に、第1反応カラムに再投入するのが特に好ましい。
【0172】
ジアルキルカーボネートと反応のアルコールは好ましくは、1以上の分離蒸留カラムで蒸留することによって、または蒸留とメンブラン分離の組み合わせ(以後ハイブリッド法と呼ぶ)で分離される。
【0173】
反応のアルコールとジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する(たとえば、メタノールとジメチルカーボネート)場合には、2段階法、たとえば、2圧力法、抽出蒸留、低沸点共沸剤を用いた異相共沸混合物蒸留、またはハイブリッド法を用いるのが好ましい。2圧力法またはハイブリッド法を用いるのが特に好ましい。2圧力法を用いるのが非常に特に好ましい。このような方法は原理的には当業者に公知である。
【0174】
反応のアルコールとジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成しない(たとえば、エタノールとジエチルカーボネート)場合には、分離を、単一の分離蒸留カラムで行うのが好ましい。
【0175】
反応のアルコールとジアルキルカーボネートが共沸混合物を形成する場合には、ジアルキルカーボネートとアルキルアルコール(反応のアルコール)を分離する処理工程の第1分離蒸留カラムの蒸留物は好ましくは、実質的に共沸組成を有する。この場合には、2圧力法において、これを、少なくとも1つのさらなる分離蒸留カラムへと投入するのが好ましく、少なくとも1つのさらなる分離蒸留カラムでは、第1分離蒸留カラムの作業圧力未満の作業圧力で作業される。作業圧力が異なるので、その結果、共沸位置は反応のアルコールの割合が低くなる方向にシフトする。この第2分離蒸留カラムまたはこれらのさらなる分離蒸留カラムから得られた残油生成物は、単離された残油生成物の全重量に基づいて、90〜100重量%の純度の反応のアルコールであり、得られた蒸留物は実質的に共沸混合物である。第2分離蒸留カラムまたはより低い作業圧力で作業するさらなる分離蒸留カラムでは、非常に特に好ましい実施の形態では、好ましくは第1分離蒸留カラムの最上部凝縮器の凝縮熱を用いて作業される。
【0176】
2圧力法は、2つの物質混合物の共沸組成の圧力依存性を利用するものである。反応のアルコール(アルキルアルコール)とジアルキルカーボネート、たとえば、メタノールとジメチルカーボネートの混合物の場合には、共沸組成は圧力が高まるほど、反応アルコール含有量がより高くなる方向にシフトする。これら2成分の混合物を第1分離蒸留カラム(ジアルキルカーボネートカラム)に投入する場合には、反応のアルコール含有量は、このカラムの作業圧力では、対応する共沸組成を下回り、得られた蒸留物は実質的に共沸組成を有する混合物であり、残油生成物は実質的に純粋なジアルキルカーボネートとなる。そして、得られた共沸混合物を、さらなる分離蒸留カラム(アルキルアルコールカラム)に投入する。これはジアルキルカーボネートカラムに比べて低い作業圧力で行われる。その結果、共沸位置は反応のアルコール含有量が低くなる方向にシフトする。これによって、ジアルキルカーボネートカラムで得られた共沸混合物を、実質的に共沸組成を有する蒸留物と実質的に純粋な反応のアルコールに分離することができる。アルキルアルコールカラムの蒸留物は好適な地点でジアルキルカーボネートカラムに再投入される。
【0177】
本発明による処理によって、精製されたジアリールカーボネートの全重量に基づいて、99〜100重量%、より好ましくは99.5〜100重量%および最も好ましくは99.9〜100重量%の純度を有するジアリールカーボネートを、すなわち純粋なジアリールカーボネート内容物を好ましく得ることができる。
【0178】
第1ジアリールカーボネート蒸留カラムのサイドストリームで回収されるジアリールカーボネートは液体または気体形態で回収されてもよい。第1ジアリールカーボネート蒸留カラムのサイドストリームで回収されるジアリールカーボネートは好ましくは、気体形態で回収される。しかし、好ましい実施の形態では、サイドストリームでジアリールカーボネートを液体で回収するのが好ましい場合があり、より好ましくは構造的理由による。
【0179】
分割壁型カラム(Dividing wall column)は当業者に公知であり、たとえば、ドイツ特許公開第DE−A 33 02 525またはDE−A 199 14 966号公報に記載される。
【0180】
処理工程(f)で、触媒含有ストリームが得られ、任意のさらなる精製後に、全部または一部が処理へと、好ましくは処理工程(e)へと戻るリサイクルがなされる。これによって、高価な触媒の損失と、所望のジアリールカーボネートの損失の両方を回避することができ、したがって、本発明による処理がさらに経済的に実行可能に構成されうる。
【0181】
図1は、ポリカーボネートを調製し、かつ生じたエチレングリコールとフェノールをリサイクルする統合方法を示す。
【0182】
図2は、アルキレンカーボネートからジアルキルカーボネートを調製する方法のある実施の形態を示す。
【0183】
図3は、ジアルキルカーボネートからジアリールカーボネートを調製する方法のある実施の形態を記載する。
【0184】
図4は、ジアリールカーボネートの蒸留のある実施の形態を記載する。
【0185】
ここで示される全ての参考文献を、有用な全ての目的のためにこれにより参照して挿入する。
【0186】
以下の実施例は例によって本発明を例示する役割を果たすものであって、限定を意図するべきでない。
【実施例】
【0187】
実施例は、ジメチルカーボネートの調製で得られたエチレングリコールをリサイクルしてエチレンカーボネートを得、これとメタノールとの反応でジメチルカーボネートを得、これをフェノールと共にジフェニルカーボネート調製処理(DPC処理)で使用することができると共に、ポリカーボネートの調製で形成されたフェノールをジフェニルカーボネートの調製にリサイクルすることに関して、本発明による方法を示すことを意図するものである(図1)。
【0188】
(実施例1)
1)二酸化炭素とエチレンオキサイドからのエチレンカーボネートの調製
下側端部にオイルヒーティングジャケットと気体入口フリットとを備える、長さ100cmおよび直径3cmの直立チューブに、1.3重量部の臭化亜鉛と2.5重量部のヨウ化カリウムを触媒として、溶解した形態で含む700重量部のエチレンカーボネートを充填し、120℃に予め加熱した。この温度で、74重量部のエチレンオキサイドと82重量部の二酸化炭素を気体混合物として、底部フリットを通じて均一に4時間以内で導入した。気体混合物は実質的に吸収された。気体導入終了後、混合物をフラスコに排出し計量した。そして、計量によって決まる重量増加は146重量部であった。移動損失を考慮すると、これはエチレンオキサイドのほぼ定量変換に相当する。最終生成物のガスクロマトグラフィー分析は、副生成物は形成されないことを示していた。次に、18〜22mbarで、160重量部のエチレンカーボネートをこの混合物から蒸留して得た。
【0189】
2)ジメチルカーボネートとエチレングリコールを得るためのエチレンカーボネートとメタノールのエステル交換
図2による装置構成において、ストリッピングセクションと精留セクションを有する向流エステル交換カラム(I)を、底部温度が約120℃、最上部温度が約50℃であるように温度勾配を設けて加熱した。(1)経由で、367重量部/1時間のエチレンカーボネートを計量添加した。(8)経由で、872重量部/1時間の、80重量%のメタノールと20重量%のジメチルカーボネートの混合物を計量添加した。カラムの下側部分であるが、ストリッピングセクションの上側へと270重量部/1時間のメタノールを(3)経由で計量添加し、さらに、130重量部/1時間のメタノールを(15)経由で計量添加した。さらに、37〜38重量部/1時間の、4重量%の触媒(KOH)を含むリサイクルされた残油を(I)の最上部へと(13)経由で計量添加し、1.2重量部/1時間の新規の水酸化カリウムを(2)経由で計量添加した。計量添加されたこれらのストリームが内部ストリームの限界まで、これらを図2に示される装置から採取した。メタノール含有ストリームは気体形態でカラムの最上部へと上昇しながら計量添加され、触媒を含む液体のエチレンカーボネートは逆に下向きに流れ、エステル交換してジメチルカーボネートとエチレングリコールを得た。(I)の最上部で、1380重量部/1時間の、60重量%のメタノールと40重量%のジメチルカーボネートの混合物(7)を回収し、これを中間のトレイカラム(II)へと導入し、10barの圧力で、約80重量%のメタノールと20重量%のジメチルカーボネートの混合物と、378重量部/1時間のジメチルカーボネート(4)へと分離した。気体形態で回収された前記872重量部/1時間の混合物(8)を、(I)にリサイクルし、一方で、(8)の残り部分をさらにカラム(V)に分離し;カラム(V)はジメチルカーボネートを含有する上澄み生成物を生じ、これを(II)にリサイクルし、かつ130重量部/1時間の、本質的にメタノールから成る残油生成物(15)を生じ、これを(I)にリサイクルした。(I)の残油生成物(9)は、本質的にエチレングリコール、少量の低沸点物質(メタノールおよびジメチルカーボネート)、高沸点物質、たとえば、ジエチレングリコールおよび触媒から成り、これは、流下薄膜型蒸発器(III)を通り、そこから38重量部/1時間の低沸点物質(10)を(I)にリサイクルした。375重量部/1時間の残油生成物(11)はさらに流下薄膜型蒸発器(IV)を通り、そこから75重量部/1時間の濃縮触媒溶液(12)がその残油生成物から回収され、その約半分を(13)経由で(I)へとリサイクルし、残りの半分を分離アタッチメントを備える薄膜蒸発器(VIII)へと計量添加した。302重量部/1時間の(IV)からの気体相(17)をカラム(VII)に計量添加した。(VII)では、別の77重量部/1時間の低沸点物質(18)を除去し、これを(I)へとリサイクルした。(VII)の上部から、255〜256重量部のグリコール(22)がサイドドローで回収され、精製が求められるなら、さらに(IX)で処理して高純度グリコール(5)を255重量部/1時間の速度で得てもよい。58〜59重量部/1時間の量の(VII)の残油流出物(19)を(IV)からの残油流出物(12)の半分と共に、薄膜蒸発器(VIII)へと供給し、その蒸留物(21)を91重量部/1時間の速度で(VII)の下部に投入した。全ての高沸点物質と触媒の一部を含有する(VIII)の濃縮残油(6)は廃棄に送った。
【0190】
3a)エチレンカーボネートを得るためのエチレングリコールと一酸化炭素および酸素との酸化的カルボニル化
20体積部の大きさのオートクレーブに、エチレン−1,2−ジオール(80.33重量%)、PdAc(0.23重量%)、Mn(acac)(7.22重量%)、KBr(12.22重量%)およびDME(2体積部)を充填した。20barの、窒素/酸素/一酸化炭素(重量比91:3:6)の気体混合物を注入し、反応混合物を60℃で20時間加熱した。冷却後に、反応混合物をガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0191】
エチレンカーボネートが20.3%の収率で得られた。これはパラジウムに関して255のTONに、パラジウムに関して12.8h−1のTOFに相当する。エチレンカーボネートのみが検出可能な生成物であった。
【0192】
3b)プロピレンカーボネートを得るためのプロピレングリコールと一酸化炭素および酸素との酸化的カルボニル化
20体積部の大きさのオートクレーブに、プロピレン−1,2−ジオール(83.35重量%)、PdAc(0.19重量%)、Mn(acac)(6.11重量%)、KBr(10.35重量%)およびDME(2体積部)を充填した。20barの、窒素/酸素/一酸化炭素(重量比91:3:6)の気体混合物を注入し、反応混合物を60℃で20時間加熱した。冷却後に、反応混合物をガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0193】
プロピレンカーボネートが27.3%の収率で得られた。これはパラジウムに関して342のTONに、パラジウムに関して17.1h−1のTOFに相当する。プロピレンカーボネートのみが検出可能な生成物であった。
【0194】
4)ジメチルカーボネートとフェノールのエステル交換によるジフェニルカーボネートの調製
図3による装置構成では、第1反応カラム(K1)は、理論段数4の上側精留セクション(K1VT2)、中間凝縮器(K1IC1)、理論段数4の下側精留セクション(K1VT1)、30個の反応トレイ(ホールドアップ:12体積部)を有し、加熱要素を備える3個のトレイ(K1E_RZ1-3)を有する反応ゾーン(K1RZ)、および6個のトレイ(ホールドアップ:12体積部)を有するストリッピングセクション(K1AT)を備えており、これに、399.3重量部/時の、85.4重量%のフェノール、9.2重量%のジメチルカーボネート、3.2重量%のジフェニルカーボネート、1.5重量%のチタンテトラフェノキシド、0.3重量%のアニソール、0.3重量%のメチルフェニルカーボネートおよび0.1重量%のメタノールの混合物(118)を、反応ゾーンの上側端部で充填した。反応ゾーン(K1RZ)の下側端部で、539.6重量部/時の、5℃過熱された、98.8重量%のジメチルカーボネート、0.9重量%のフェノール、0.2重量%のアニソールおよび0.1重量%のメタノールの気体混合物(117)を供給する。
【0195】
これによって、カラム底部で452.4重量部/時の、49.8重量%のフェノール、28.2重量%のMPC、12.3重量%のDPC、8.1重量%のDMC、0.2重量%のアニソールおよび1.4重量%のチタンテトラフェノキシドの生成物混合物(106)を生じる。
【0196】
K1は、3.6barの最上部圧力(K1VT2の上側)で、1.15の還流比で作業される。カラムの底部では230℃の温度が確立され、反応ゾーン(K1RZ)では215℃の平均反応温度が確立される。底部蒸発器(K1E1)および反応ゾーンの3個の中間蒸発器(K1E_RZ1-3)では、ストリームを用いて35barの気体圧力で作業され、使用される底部蒸発器(K1E1)は自然循環型蒸発器であり、使用される中間蒸発器は反応トレイ上に統合された加熱通風装置である。中間凝縮器(K1IC1の上側)への入口温度は205℃であり、出口温度は193℃であり、冷却出力は57kWである。ジメチルカーボネート含有ストリーム(115)蒸発させるのに必要な加熱出力は52kWである。ジメチルカーボネートの蒸発および過熱は135〜152℃の温度で行われる。
【0197】
第1反応カラム(K1)の残油生成物(106)を、理論段数10の精留セクション(K2VT)と理論段数22のストリッピングセクション(K2AT)を備える第2反応カラム(K2)へと投入する。
【0198】
さらに、81.9重量部/時の、69.9重量%のメチルフェニルカーボネート、28.3重量%のフェノール、1.2重量%のジメチルカーボネート、0.5重量%のジフェニルエーテルおよび0.1重量%のジフェニルカーボネート精密蒸留(K3)からのジフェニルカーボネートの混合物(109)を、ストリッピングセクション(K2AT)の領域に計量添加する。
【0199】
これによって、第2反応カラム(K)底部で、236.6重量部/時の、62.8重量%のジフェニルカーボネート、24.2重量%のメチルフェニルカーボネート、9.8重量%のフェノール、0.4重量%のDMC、2.6重量%のチタンテトラフェノキシドおよび0.2重量%のジフェニルエーテルの生成物混合物(108)を生じる。
【0200】
さらに、238.2重量部/時の、83.5重量%のフェノール、15.5重量%のジメチルカーボネート、0.6重量%のメチルフェニルカーボネート、0.3重量%のアニソールおよび0.1重量%のメタノールを含む液体蒸留物(103)を回収する。
【0201】
第2反応カラム(K2)では、1barの最上部圧力(K2VT2の上側)で、0.65の還流比で作業される。ストリッピングセクション(K2AT)から流出した混合物は198℃の温度を有し、2段階蒸発へと投入される。第1蒸発段階(K2E1)の下流の出口温度は209℃であり、第2蒸発器段階(K2E2)の下流では230℃である。使用される蒸発器は第1段階では自然循環型蒸発器であり、第2段階ではケトルタイプ蒸発器である。触媒は不揮発性であるので、反応はストリッピングセクション、カラム底部および蒸発器に限定される。ストリッピングセクションでは比較的低温であるので(188〜198℃)、反応は主としてカラム底部および蒸発器で行われる。
【0202】
第2反応カラム(K2)内で得られた、62.7/24.2/9.8/0.4/2.6/0.03重量%のDPC/MPC/フェノール/DMC/Ti(PhO)/サロールを含み、全量で236.6重量部/時の残油混合物(108)を、ジフェニルカーボネートを単離しかつ非常に高沸点の物質および触媒および低沸点化合物を除去する目的で、蒸留的ワークアップに投入する。これは、図4によるジフェニルカーボネート精密蒸留カラム(K3)およびジフェニルカーボネートサイドストリームカラム(K4)ワークアップから成る。
【0203】
ジフェニルカーボネート精密蒸留カラム(K3)は4個のセクター、すなわち、理論段数5の上側精留セクション(K3VT1)、理論段数3の下側精留セクション(K3VT2)、理論段数16の上側ストリッピングセクション(K3AT1)および理論段数9の下側ストリッピングセクション(K3AT2)から成る。カラム最上部を出た気体の凝縮は最上部凝縮器(K3C1)で、および下側ストリッピングセクション(K3AT2)から流出した液体の部分蒸発は残油生成物用の蒸発器(K3E1)で、それぞれ1段階で行われる。
【0204】
ジフェニルカーボネート精密蒸留カラム(K3)では15barの最上部圧力で、0.7の還流比で作業される。
【0205】
これによって、蒸留物(109)として、69・9/28.3/1.2/0.5重量%のMPC/フェノール/DMC/DPEを含むストリームを生じる。上側精留セクション(K3VT1)の下側では、0.02重量部/時の液体が、サイドストリーム(153)内の中程度の沸点の物質を排出する目的で、回収される。さらに上側精留セクション(K3VT1)の下側では、201重量部/時の、99.9重量%のDPCを含む気体サイドストリーム(157)が回収される。得られた残油生成物(155)は20.6重量部/時の、70/29.8/0.2重量%のDPC/Ti(PhO)/サロールを含む混合物である。
【0206】
気体サイドストリーム(157)をサイドストリームカラム(K4)へと投入する。これは理論段数9の精留セクション(K4VT)のみを有する。
【0207】
サイドストリームカラム(K4)ではDPC精密蒸留カラム(K3)と同じ圧力条件下で、0.5の還流比で作業される。
【0208】
サイドストリームカラム(K4)の最上部を出た気体(162)は、凝縮器(K4C1-2)内で、2段階凝縮で凝縮され、凝縮熱を用いて、ストリーム温度を上げるか、またはDPC調製の他の処理セクションを加熱する。
【0209】
これによって、99.96重量%のDPCとサロールを300ppmのみ含む蒸留物(151)を生じる。サイドストリームカラムの底部で流出した液体(161)をジフェニルカーボネート精密蒸留カラム(K3)の下側ストリッピングセクション(K3AT2)の上側へと投入する。
【0210】
5)ビスフェノールAとジフェニルカーボネートからのポリカーボネートの調製
リザーバから、8.600重量部/時の、実施例4で記載されるように調製された4.425重量部/時のジフェニルカーボネートと4.175重量部/時のビスフェノールAから成る溶融混合物に、0.52重量部/時の、65.5%のテトラフェニルホスホニウムフェノキシド/時が4.5重量部/時のフェノール/時に溶解してなるテトラフェニルホスホニウムフェノキシドのフェノール付加物を添加しながら、熱交換器を通してこれを汲み上げ、190℃に加熱し、12barで190℃のディレイカラムを通るように案内する。平均滞留時間は50分である。
【0211】
次に溶融物は、減圧バルブを通り200mbarでセパレータへと送られる。流出した溶融物を、流下薄膜型蒸発器内で同様に200mbarで再度189℃に加熱し、リザーバに回収する。20分間の滞留時間後に、溶融物を同じように構成された次の3段階へと汲み上げる。第2/第3/第4段階での条件は、100/74/40 mbar、218/251/276℃および20/10/10分である。形成されたオリゴマーは1.09の相対粘度を有する。全ての気体は圧力調節器を介して減圧下のカラムへと案内され、凝縮物として排出される。
【0212】
その後、オリゴマーを下流バスケット反応器内で278℃、3.0mbarで45分の滞留時間で凝縮し、高分子量生成物を得る。相対粘度は1.195である。気体は凝縮される。
【0213】
溶融物ストリームをさらなるバスケット反応器へと送り、ギアポンプを用いて、そのうちの150重量部/時のサブストリームを分岐させ、これに0.185重量部/時の5%リン酸水溶液を添加し、混合物を、長さ対直径比が20のスタティックミキサーを用いて攪拌し、メインの溶融物ストリームへと戻す。再混合後に直接、さらなるスタティックミキサーを用いて、溶融物ストリーム全体にリン酸を均一に分布させる。
【0214】
このように処理された溶融物は、引き続きさらなるバスケット反応器において、284℃、0.7mbarおよび130分の平均滞留時間の処理条件に曝され、排出されペレット化される。
【0215】
気体は真空システムおよびその他のシステムで凝縮される。
【0216】
得られたポリカーボネートは以下の特性を有する:相対粘度 1.201/フェノール性OH 255[ppm]/DPC 71[ppm]/BPA 6[ppm]/フェノール 56[ppm]。
【0217】
蒸留で得られたフェノールを、実施例4に記載されるような、工程(h)によるジフェニルカーボネート調製へと戻すリサイクルをする。
【0218】
その幅広い発明の概念から逸脱することなく、上記実施の形態を変更することができることは、当業者には自明である。したがって、本発明は開示の特定の実施の形態に限定されるのではなく、添付の請求の範囲に定義されるような本発明の精神および範囲内に、変更は網羅されることを意図するものと理解される。
【符号の説明】
【0219】
I 向流エステル交換カラム
II 中間のトレイカラム
III,IV 流下薄膜型蒸発器
VIII 薄膜型蒸発器
V,VII カラム
1 エチレンカーボネート
2 新規の水酸化カリウム
3,15 メタノール
4 ジメチルカーボネート
5 高純度グリコール
6 濃縮残油
7,8 メタノールとジメチルカーボネートの混合物
9,11, 残油生成物
10,18 低沸点物質
12 (IV)からの残油流出物(濃縮触媒溶液)
13 触媒(KOH)を含むリサイクルされた残油
15 メタノールから成る残油生成物
19 (VII)からの残油流出物
17 (IV)からの気体相
21 蒸留物
22 グリコール
図3および図4では、参照番号はそれぞれ以下のように定義される:
K アルキルアリールカーボネート反応カラム(第1反応カラム)
KC1−N Kの最上部凝縮器1〜N
KE1−N Kの蒸発器1〜N
KIC1−N Kの中間凝縮器1〜N
KVT Kの下側精留セクション
KVTN Kの上側精留セクション
KW ジアルキルカーボネート含有ストリーム用のKのプレヒータ/蒸発器/スーパーヒータ
KW 芳香族ヒドロキシル化合物を含有する反応物ストリーム用のKのプレヒータ/蒸発器
KRZ Kの反応ゾーン
KAT Kのストリッピングセクション
KE_RZ1−N Kの反応ゾーン領域内の中間蒸発器1〜N
K ジアリールカーボネート反応カラム(第2反応カラム)
KC1−N Kの最上部凝縮器1〜N
KCN+1 中程度の沸点の第2化合物を含有するKC1−Nからの残留気体ストリーム用凝縮器
KE1−N Kの蒸発器1〜N
KVT Kの精留セクション
KAT Kのストリッピングセクションおよび反応ゾーン
KE_AT1−N Kのストリッピングセクション内の中間蒸発器1〜N
K ジアリールカーボネート精密蒸留カラム(第1ジアリールカーボネート蒸留カラム)
KC1−N Kの任意の多段階最上部凝縮器1〜N
KE1−N Kの任意の多段階蒸発器1〜N
KEN+1 カラムKおよび/またはカラム蒸発器KE1−Nの底部から処理にリサイクルされなかった残油生成物ストリームの凝縮用のさらなる蒸発器
KSC1−N Kの気体サイドストリーム用の任意の多段階凝縮器1〜N
KVT Kの上側精留セクション
KVT Kの下側精留セクション
KAT Kの上側ストリッピングセクション
KAT Kの下側ストリッピングセクション
KT Kの分割壁
KTLO Kの分割壁の投入側にある精留セクション
KTLU Kの分割壁の投入側にあるストリッピングセクション
KTRU Kの分割壁の回収側にある精留セクション
KTRO Kの分割壁の回収側にあるストリッピングセクション
K ジアリールカーボネートサイドストリームカラム(第2ジアリールカーボネート蒸留カラム)
KC1−N Kの任意の多段階最上部凝縮器1〜N
KVT Kの精留セクション
KAT Kのストリッピングセクション
KE1−N Kの任意の多段階蒸発器1〜N。
さらに図3および図4では以下のようにストリームを呼称する:
101 ジアルキルカーボネートを含む反応物投入ストリーム
102 芳香族ヒドロキシル化合物を含む反応物投入ストリーム
103 K2の蒸留物
104 K1の蒸留物
105 ジアルキルカーボネートと反応のアルコールを含むストリーム
106 K1の残油生成物
107 中程度の沸点の物質のパージ
108 K2の残油生成物
109 アルキルアリールカーボネートと芳香族ヒドロキシル化合物を含むストリーム
111 ジアルキルカーボネートを含むストリーム
115 K1へのジアルキルカーボネート含有ストリーム
116 K1への芳香族ヒドロキシル化合物含有ストリーム
117 蒸発後のジアルキルカーボネート含有ストリーム
118 加熱後の芳香族ヒドロキシル化合物を含有するストリーム
119 K1の最上部での気体ストリーム
120 K1のストリッピングセクションからの液体流出物
121 K1のリボイラーからの気体−液体混合物
122 K1の下側精留セクションからの気体混合物
123 K1の中間凝縮器の凝縮物
124 K1の上側精留セクションからの液体混合物の流出物
125 K1のリターンストリーム
126 K1の凝縮で残った気体混合物
127 K1の最上部での気体ストリーム
128 K2の反応ゾーン、または適当な場合にはストリッピングセクションからの液体混合物の流出物
129 K2のリボイラーからの気体−液体混合物
130 K2のリターンストリーム
138 中程度の沸点の第2化合物を含むストリーム
150 芳香族ヒドロキシル化合物と触媒を含むストリーム
151 高純度のジアリールカーボネートを含むストリーム
152 高沸点第2化合物と触媒を含むストリーム
153 中程度の沸点の第2化合物を含むストリーム
154 廃棄用高沸点第2化合物と触媒を含むストリーム
155 高沸点第2化合物と触媒を含むストリーム
156 K3へのジアリールカーボネートを含む気体ストリーム
157 K4へのジアリールカーボネートを含む気体ストリーム
158 K3の気体ストリーム
159 K3C1-Nでの凝縮後の残留気体ストリーム
160 K3のリターンストリーム
161 K4の残油生成物
162 K4の気体ストリーム
163 K4のリターンストリーム
164 K3の下側ストリッピングセクションからの液体流出物
166 K4C1-Nでの凝縮後の残留気体ストリーム
167 K4の残油生成物からのパージストリーム
169 K3のストリッピングセクションから投入側への気体ストリーム(分割壁型カラムとしての実施の形態)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)酸化アルキレンと二酸化炭素の反応によってアルキレンカーボネートを調製し、
(b)工程(a)で形成されたアルキレンカーボネートと少なくとも1つのアルキルアルコールを、触媒、任意に有機触媒の存在中で反応させて、少なくとも1つのジアルキルカーボネートとアルキレングリコールを形成し、
(c)工程(b)で形成された少なくとも1つのジアルキルカーボネートの少なくとも一部を取り出してワークアップし、
(d)工程(b)で形成されたアルキレングリコールの少なくとも一部を取り出して任意に精製し、
(e)工程(d)で取り出したアルキレングリコールの少なくとも一部と一酸化炭素を酸化的カルボニル化して、水の形成を伴ってアルキレンカーボネートを得、
(f)工程(e)で形成されたアルキレンカーボネートの少なくとも一部を取り出して任意に精製し、
(g)工程(f)で調製されたアルキレンカーボネートの少なくとも一部を工程(b)におけるジアルキルカーボネートの調製へとリサイクルし、
(h)工程(c)で調製されたジアルキルカーボネートの少なくとも一部とモノフェノールを反応させて、アルキルアリールカーボネートおよび/またはジアリールカーボネートおよびアルキルアルコールを得;工程(h)で形成されたアルキルアルコールの少なくとも一部を工程(b)へと任意にリサイクルし、
(i)工程(h)で調製されたアルキルアリールカーボネートの少なくとも一部を不均化して、ジアリールカーボネートとジアルキルカーボネートを得、工程(i)で調製されたジアリールカーボネートおよび/またはジアルキルカーボネートの少なくとも一部を工程(b)へと任意にリサイクルし、
(j)工程(i)で調製されたジアリールカーボネートの少なくとも一部とビスフェノールをエステル交換して、オリゴ/ポリカーボネートとモノフェノールを得;工程(j)で形成されたモノフェノールの少なくとも一部を工程(h)へと任意にリサイクルする
ことを包含する、少なくとも1つのジアルキルカーボネートと少なくとも1つの芳香族ヒドロキシル化合物から少なくとも1つのジアリールカーボネートを調製する方法。
【請求項2】
工程(e)における酸化的カルボニル化は、元素形態のパラジウム、ロジウム、イリジウムおよび白金またはそのイオン性または非イオン性化合物から選択される少なくとも1つの貴金属を含む触媒と、マンガン化合物、コバルト化合物および銅化合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む共触媒とを使用する請求項1による方法。
【請求項3】
触媒は、II酸化状態のパラジウム、IまたはIII酸化状態のロジウム、IまたはIII酸化状態のイリジウムまたはII酸化状態の白金の塩または有機金属化合物を含む請求項2による方法。
【請求項4】
触媒は元素形態のパラジウム、またはイオン性または非イオン性化合物としてのパラジウムを含む請求項2による方法。
【請求項5】
共触媒はマンガン化合物、コバルト化合物および銅化合物から成る群から選択される少なくとも1つの化合物を含み、触媒化合物の共触媒に対する重量比が1:1〜1:100である請求項2による方法。
【請求項6】
触媒化合物の共触媒に対する重量比が1:2〜1:30である請求項5による方法。
【請求項7】
環状アルキレンカーボネートは、式(I)のものである:
【化1】

(ここで、RおよびRは互いに独立して、水素、置換または非置換C〜C−アルキル、置換または非置換C〜C−アルケニルまたは置換または非置換C〜C12−アリールを表し、RおよびRは共同で2つの5員環炭素原子を備え、これが5〜8員環を有する飽和炭素環状環となってもよい)
請求項1のいずれかによる方法。
【請求項8】
環状アルキレンカーボネートは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびブチレンカーボネートから成る群から選択される少なくとも1つの化合物である請求項7による方法。
【請求項9】
ジアルキルカーボネートは式(II)のものである:
【化2】

(ここで、RおよびRは互いに独立して、線形または分岐、任意に置換C〜C34−アルキルを表す)
請求項1による方法。
【請求項10】
ジアルキルカーボネートは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ(n−プロピル)カーボネート、ジ(イソプロピル)カーボネート、ジ(n−ブチル)カーボネート、ジ(sec−ブチル)カーボネート、ジ(tert−ブチル)カーボネートおよびジヘキシルカーボネートから成る群から選択される請求項9による方法。
【請求項11】
使用されるジアリールカーボネートは式(VII)のものである:
【化3】

(ここで、R、R’およびR”は互いに独立して、H、線形または分岐、任意に置換されたC〜C34−アルキル、C〜C34−アルコキシ、C〜C34−シクロアルキル、C〜C34−アルキルアリール、C〜C34−アリールまたはハロゲン基を表し;式(VII)の両側のR、R’およびR”は同じでも異なっていてもよく;Rはまた、―COO−R’’’を表してもよく、ここでR’’’はH、任意に分岐されたC〜C34−アルキル、C〜C34−アルコキシ、C〜C34−シクロアルキル、C〜C34−アルキルアリールまたはC〜C34−アリールを表す)
請求項1による方法。
【請求項12】
ジアリールカーボネートは、ジフェニルカーボネート、4−tert−ブチルフェニルフェニルカーボネート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)カーボネート、ビフェニル−4−イルフェニルカーボネート、ジ(ビフェニル−4−イル)カーボネート、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニルフェニルカーボネートおよびジ[4−(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル]カーボネートから成る群から選択される請求項11による方法。
【請求項13】
請求項1による方法から得られるポリカーボネート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−92096(P2012−92096A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−222529(P2011−222529)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】