説明

ジイミド化合物ならびにインクジェット用インクおよびその用途

【課題】反り量の少ないポリイミド膜を形成可能なインクジェット用インクの硬化性成分として好適な新規化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるジイミド化合物(A)。


[式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数あるYはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基であり、複数あるZはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なジイミド化合物、例えば電子部品製作において絶縁膜を形成するために用いられるインクジェット用インク、該インクから得られるポリイミド膜およびその製造方法、フィルム基板またはシリコンウエハー基板、ならびに電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは、耐熱性および電気絶縁性に優れるため、電子通信分野で広く用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。ポリイミドを所望のパターン膜として使用する場合、従来はエッチングや感光性ポリイミドを用いてパターンを形成する方法が一般的であった。しかしながら、パターンの形成にはフォトレジスト、現像液、エッチング液、剥離液などの多種大量の薬液を必要とし、また、煩雑な工程を必要とした。そこで近年、インクジェットにより所望のポリイミドのパターン膜を形成する方法が検討されている。
【0003】
インクジェット用インクは各種提案されているが(例えば、特許文献4〜5参照)、インクジェット用インクとして吐出・印刷するためには、インクの粘度、溶媒の沸点などの様々なパラメータを最適化しなくてはならない。
【0004】
粘度に関しては、一般的には吐出温度(吐出時のインクの温度)において、1〜50mPa・s程度の低粘度であることが求められている。特にピエゾ方式のインクジェット印刷の場合は、圧電素子の吐出圧力が小さいため、粘度が大きくなると場合によってはインクが吐出不能となる。
【0005】
溶媒の1気圧における沸点に関しては、100〜300℃であることが好ましく、150〜250℃であることがより好ましい。沸点が低過ぎると、プリンターヘッドのノズル部におけるインク中の溶媒が、特にインクを加温して吐出する場合に蒸発してしまう。それによってインクの粘度が変化し、インクが吐出できなくなる、あるいはインクの成分が固化してしまうことがある。反対に沸点が高過ぎると、印刷後のインクの乾燥が遅すぎて、印刷パターンが悪化することがある。
【0006】
ポリイミド系のインクジェット用インクは、ポリイミドあるいは加熱処理することによりポリイミドとなるポリアミド酸を含む。ポリアミド酸を含むインクジェット用インクとしては、粘度およびポリマー濃度が特定の範囲に設定され、沸点および表面張力が特定の範囲にある溶媒を含む樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、一般的にポリアミド酸を含むインクジェット用インクにおいては、焼成時の硬化収縮により、基板およびポリイミド膜の反りが問題となることが多い。
【0007】
他方、ポリイミドあるいはポリアミド酸は分子量が高いため、インクジェット用インクとして最適な粘度のインクを調製するためには、溶媒の割合を増やしてインク中のポリアミド酸の含有量を少なくする必要がある。しかしながら、これによって、1回のインクジェッティングで得られるポリイミド膜の厚みが小さくなってしまう。
【0008】
ポリイミド膜の用途によっては、10μm以上の厚みが求められる場合がある。この場合、インクジェットで重ね塗りすることによりこの厚みの膜を形成することはできる。しかしながら、1回のインクジェッティングで得られるポリイミド膜の厚みが小さくなることにより、重ね塗りする回数が増える、すなわち絶縁膜の形成工程が多くなるという点が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−039714号公報
【特許文献2】特開2003−238683号公報
【特許文献3】特開2004−094118号公報
【特許文献4】特開2003−213165号公報
【特許文献5】特開2006−131730号公報
【特許文献6】特開2005−187596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、反り量の少ないポリイミド膜を形成可能なインクジェット用インクの硬化性成分として好適な新規化合物を提供することを課題とする。また本発明は、前記硬化性成分を含むインクであって、(1)粘度などのパラメータがインクジェット用に最適化され、インクジェットヘッドの耐久性を低下させない溶媒を使用できるインク、および(2)1回のジェッティングで比較的大きな膜厚(2μm以上)を有するポリイミド膜を形成可能なインク、ならびに該インクの用途を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、特定構造を有するジイミド化合物(A)、ならびに前記化合物(A)および溶媒(B)を含むインクジェット用インクにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]式(1)で表されるジイミド化合物(A)。
【0013】
【化1】

[式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数あるYはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基であり、複数あるZはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基である。]
[2]式(1)中、複数あるYがそれぞれ独立に式(1−1)で表され、複数あるZがそれぞれ独立に式(1−2)で表される、前記[1]に記載のジイミド化合物(A)。
【0014】
【化2】

[式(1−1)中、mは1〜11の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける任意の水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。]
【0015】
【化3】

[式(1−2)中、R2は炭素数2〜11の直鎖状アルキレンであり、nは0〜10の整数である。]
[3]式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(a1)と、式(a2)で表されるアミノ酸(a2)と、式(a3)で表されるアルコール(a3)とを反応させて得られる、前記[1]または[2]に記載のジイミド化合物(A)。
【0016】
【化4】

[式(a1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり;式(a2)中、Yは炭素数1〜100の二価の有機基であり;式(a3)中、Zは炭素数1〜100の二価の有機基である。]
[4]アミノ酸(a2)が、式(a2−1)で表されるアミノ酸であり、アルコール(a3)が、式(a3−1)で表されるアルコールである、前記[3]に記載のジイミド化合物(A)。
【0017】
【化5】

[式(a2−1)中、mは1〜11の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける任意の水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。]
【0018】
【化6】

[式(a3−1)中、R2は炭素数2〜11の直鎖状アルキレンであり、nは0〜10の整数である。]
【0019】
[5]テトラカルボン酸二無水物(a1)が、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸,[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ジ−4,1−フェニレンエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸オキシジ−4,1−フェニレンエステル、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物および5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれる1種以上であり、アミノ酸(a2)が、グリシン、アラニン、β−アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸および12−アミノラウリン酸からなる群から選ばれる1種以上であり、アルコール(a3)が、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルおよびテトラメチレングリコールモノビニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上である、前記[3]または[4]に記載のジイミド化合物(A)。
【0020】
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のジイミド化合物(A)と、溶媒(B)とを含むインクジェット用インク。
[7]ジイミド化合物(A)の含有量が、インク全量に対して、5〜95重量%である、前記[6]に記載のインクジェット用インク。
[8]インクジェット吐出温度における粘度が、1〜50mPa・sである、前記[6]または[7]に記載のインクジェット用インク。
[9]さらに、ポリアミド酸、ポリアミド酸のイミド化重合体、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、重合性モノマー、アルケニル置換ナジイミド化合物、シリコンアミド酸化合物、エポキシ樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、エポキシ硬化剤および重合開始剤からなる群から選ばれる1種以上を含む、前記[6]〜[8]のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
【0021】
[10]ポリアミド酸またはそのイミド化重合体が、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを少なくとも用いて得られ、下記式で表される構成単位を有するポリアミド酸またはそのイミド化重合体である前記[9]に記載のインクジェット用インク。
【0022】
【化7】

[式中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、Yは炭素数1〜100の二価の有機基である。]
[11]前記[6]〜[10]のいずれか1項に記載のインクジェット用インクから得られるポリイミド膜。
[12]前記[6]〜[10]のいずれか1項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって基板上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を硬化処理して得られるポリイミド膜。
[13]前記[6]〜[10]のいずれか1項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって基板上に塗布して塗膜を形成する工程、および前記塗膜を硬化処理する工程を含む、ポリイミド膜の製造方法。
[14]フィルムと、前記フィルム上に形成された前記[11]または[12]に記載のポリイミド膜とを有するフィルム基板。
[15]前記[14]に記載のフィルム基板を有する電子部品。
[16]シリコンウエハーと、前記シリコンウエハー上に形成された前記[11]または[12]に記載のポリイミド膜とを有するシリコンウエハー基板。
[17]前記[16]に記載のシリコンウエハー基板を有する電子部品。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、反り量の少ないポリイミド膜を形成可能なインクジェット用インクの硬化性成分として好適な新規化合物を提供することができる。また本発明によれば、前記硬化性成分を含むインクであって、(1)粘度などのパラメータがインクジェット用に最適化され、インクジェットヘッドの耐久性を低下させない溶媒を使用できるインク、および(2)1回のジェッティングで比較的大きな膜厚(2μm以上)を有するポリイミド膜を形成可能なインク、ならびに該インクの用途を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明のジイミド化合物およびその製造方法、インクジェット用インク、該インクから得られるポリイミド膜およびその製造方法、フィルム基板またはシリコンウエハー基板、ならびに電子部品の各構成について説明する。
【0025】
1 ジイミド化合物(A)
本発明のジイミド化合物(A)は、式(1)で表される。
【0026】
【化8】

【0027】
式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数あるYはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基であり、複数あるZはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基である。
【0028】
Xは、後述する式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の残基であることが好ましい。テトラカルボン酸二無水物の残基とは、後述する式(a1)中のXを意味する。
Yは、式(1−1)で表される二価の基であることが好ましい。
【0029】
【化9】

【0030】
式(1−1)中、mは1〜11の整数、好ましくは1または2〜6の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける任意の水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。
【0031】
上記アルキルは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。上記アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどが挙げられる。上記アルキルの炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。上記アリールとしては、フェニル、ベンジル、トリル、キシリル、ナフチルなどが挙げられる。
【0032】
上記ヒドロキシル基で置き換えられたアルキルとしては、例えば上記アルキルが有する少なくとも1つの水素をヒドロキシル基(−OH)に置き換えられた基が挙げられ、具体的にはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、s−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。
【0033】
上記ヒドロキシフェニル基で置き換えられたアルキルとしては、例えば上記アルキルが有する少なくとも1つの水素をヒドロキシフェニル基(−C65(OH))に置き換えられた基が挙げられ、具体的には4−ヒドロキシベンジルなどが挙げられる。
【0034】
上記チオール基で置き換えられたアルキルとしては、例えば上記アルキルが有する少なくとも1つの水素をチオール基(−SH)に置き換えられた基が挙げられ、具体的には1−メルカプトメチルなどが挙げられる。
【0035】
上記−S−で置き換えられたアルキルとしては、例えば上記アルキルが有する少なくとも1つのメチレンを−S−に置き換えられた基が挙げられ、具体的にはメチルチオエチルなどが挙げられる。
【0036】
上記インドール基またはイミダゾール基で置き換えられたアルキルとしては、上記アルキルが有する少なくとも1つの水素をインドール基(インドール環)またはイミダゾール基(イミダゾール環)に置き換えられた基が挙げられ、具体的には(3−インドリル)メチル、(5−イミダゾリル)メチルなどが挙げられる。
Zは、式(1−2)で表される二価の基であることが好ましい。
【0037】
【化10】

【0038】
式(1−2)中、R2は炭素数2〜11の直鎖状アルキレンであり、前記アルキレンの炭素数は好ましくは2〜4であり;nは0〜10の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。
【0039】
本発明のジイミド化合物(A)は既にイミド化されており、かつ−O−CH=CH2という末端構造を有しているため、これを例えばインクジェット用インクの硬化性成分として用いることにより、硬化処理時の硬化収縮が小さくなり、したがって得られるポリイミド膜の反りを低減することができる。また、本発明のジイミド化合物(A)は比較的低分子量であるため、例えばインクジェット用インクの硬化性成分として用いる場合、インクの粘度を最適化できるとともに該化合物の濃度を高濃度とすることができる。ジイミド化合物(A)が重合・硬化することにより、得られるポリイミド膜の電気的特性(イミドに由来する耐熱性、電気絶縁性、機械的特性)が確保される。ジイミド化合物(A)は既にイミド化されているので、アミック酸型の化合物と比較して、常温保存における保存安定性が優れている。
【0040】
2 ジイミド化合物(A)の製造方法
本発明のジイミド化合物(A)は、例えば、式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(以下「テトラカルボン酸二無水物(a1)」ともいう。)と、式(a2)で表されるアミノ酸(以下「アミノ酸(a2)」ともいう。)と、式(a3)で表されるアルコール(以下「アルコール(a3)」ともいう。)とを反応させて得ることができる。
【0041】
【化11】

【0042】
式(a1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり;式(a2)中、Yは炭素数1〜100の二価の有機基であり;式(a3)中、Zは炭素数1〜100の二価の有機基である。
【0043】
2.1 テトラカルボン酸二無水物(a1)
テトラカルボン酸二無水物(a1)は上記式(a1)で表され、具体的にはピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸,[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ジ−4,1−フェニレンエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸オキシジ−4,1−フェニレンエステル、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。また、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレン琥珀酸二無水物および下記式a1−1〜a1−56で表される化合物が挙げられる。
【0044】
【化12】

【0045】
【化13】

【0046】
【化14】

【0047】
【化15】

【0048】
【化16】

【0049】
【化17】

【0050】
【化18】

【0051】
テトラカルボン酸二無水物(a1)の上記具体例の中でも、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
【0052】
また、用途によっては高い透明性が必要とされるが、このような場合には、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物を用いることが特に好ましい。
【0053】
2.2 アミノ酸(a2)
アミノ酸(a2)は上記式(a2)で表される。アミノ酸(a2)は、得られる化合物の溶媒(B)への溶解性の観点から、式(a2−1)で表されるアミノ酸が好ましい。
【0054】
【化19】

【0055】
式(a2−1)中、mは1〜11の整数であり、好ましくは1または2〜6の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける任意の水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。式(a2−1)中のR1の好ましい基および例示は、上記式(1−1)で説明した基および例示と同様である。
【0056】
アミノ酸(a2)としては、具体的にはグリシン、アラニン、β−アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、12−アミノラウリン酸などが挙げられる。
【0057】
2.3 アルコール(a3)
アルコール(a3)は上記式(a3)で表される。アルコール(a3)は、得られるポリイミド膜の反りの低減の観点から、式(a3−1)で表されるアルコールが好ましい。
【0058】
【化20】

【0059】
式(a3−1)中、R2は炭素数2〜11の直鎖状アルキレンであり、前記アルキレンの炭素数は好ましくは2〜4であり;nは0〜10の整数であり、好ましくは0〜2の整数である。
【0060】
アルコール(a3)としては、具体的にはエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルおよびテトラメチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられ、中でもエチレングリコールモノビニルエーテルが好ましい。
【0061】
2.4 ジイミド化合物(A)の合成条件
ジイミド化合物(A)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物(a1)と、アミノ酸(a2)と、アルコール(a3)とを反応させて得ることができる。具体的には、ジイミド化合物(A)は、テトラカルボン酸二無水物(a1)とアミノ酸(a2)とを用いて合成されたジアミド酸化合物をイミド化し、得られたジイミド中間体とアルコール(a3)とを反応させて得ることができる。
【0062】
【化21】

【0063】
〈ジアミド酸化合物の合成〉
ジアミド酸化合物は、テトラカルボン酸二無水物(a1)およびアミノ酸(a2)を混合して、穏やかな反応条件下で合成することができる。穏やかな反応条件とは、例えば、常圧下、温度5〜60℃、反応時間0.2〜20時間で、好ましくは温度5〜30℃、反応時間0.2〜3時間で、触媒を使用することなく、テトラカルボン酸二無水物(a1)の酸無水物基の反応により開環して生じたカルボキシル基を活性化させることなく反応させる、という条件である。カルボキシル基の活性化とは、例えば、酸クロリドへの変換である。
【0064】
上記の穏やかな反応条件では、テトラカルボン酸二無水物(a1)の酸無水物基とアミノ酸(a2)のアミノ基とが反応して生じたカルボキシル基が、アミノ酸(a2)のアミノ基と反応することがないため、遊離のカルボキシル基を有するジアミド酸化合物を得ることができる。
【0065】
上記ジアミド酸化合物の合成において、反応原料の反応系への添加順序は特に限定されない。例えば、(1)テトラカルボン酸二無水物(a1)およびアミノ酸(a2)を同時に反応溶媒に加える方法、(2)アミノ酸(a2)を反応溶媒中に溶解させた後に、前記反応溶媒にテトラカルボン酸二無水物(a1)を添加する方法、(3)テトラカルボン酸二無水物(a1)を反応溶媒中に溶解させた後に、前記反応溶媒にアミノ酸(a2)を添加する方法など、いずれの方法も用いることができる。
【0066】
テトラカルボン酸二無水物(a1)およびアミノ酸(a2)の仕込み量としては、テトラカルボン酸二無水物(a1)1モルに対して、アミノ酸(a2)を0.5〜4.0モル用いることが好ましく、0.7〜3.0モル用いることがより好ましく、1.0〜2.4モル用いることがさらに好ましい。
【0067】
〈ジイミド中間体の合成〉
ジイミド中間体は、上記ジアミド酸化合物をイミド化することにより得ることができる。イミド化は、熱的方法または脱水触媒および脱水剤を用いた化学的方法により進めることができるが、精製処理を行わないで使用できる熱的方法により進めることが好ましい。
【0068】
上記ジアミド酸化合物のイミド化は、熱的方法、具体的には加熱還流により進めることが好ましい。還流条件は、使用する反応溶媒により異なるが、温度が通常70〜230℃、好ましくは140〜230℃で、反応時間が通常1.5〜10時間、好ましくは2〜4時間である。温度が70℃以上であると膜を形成可能なジイミド化合物(A)が得られやすい。温度が140℃以上であるとイミド化が充分に進み、より強固な膜を形成可能なジイミド化合物(A)が得られやすい。温度が230℃以下であると比較的沸点の高い反応溶媒を用いても還流可能である。加熱還流後には、通常、反応溶媒、テトラカルボン酸二無水物(a1)およびアミノ酸(a2)などの未反応物、ならびに反応で生じた水などを留去する。
【0069】
また、ジイミド酸化合物の合成における上記の緩やかな反応条件に代えて、ジアミド酸化合物の合成およびイミド化を上記還流条件下で進めることにより、ジイミド中間体を得てもよい。
【0070】
〈ジイミド化合物(A)の合成〉
ジイミド化合物(A)は、上記ジイミド中間体とアルコール(a3)とを反応させることにより得ることができる。前記反応では、上記ジイミド中間体のカルボン酸部とアルコール(a3)のアルコール部とが反応する。
【0071】
このとき、ジイミド中間体のカルボン酸部を活性化させることにより反応を進めることが好ましい。例えば、塩化チオニルなどを用いてジイミド中間体のカルボン酸部を酸塩化物へ変換した後にアルコール(a3)と反応させる方法、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのアミド縮合剤を用いてジイミド中間体とアルコール(a3)とを反応させる方法が挙げられる。
【0072】
反応条件は、例えば、塩基の存在下、温度0〜80℃、反応時間0.2〜30時間である。塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどが挙げられる。
【0073】
アルコール(a3)の仕込み量としては、ジイミド中間体1モルに対して、アルコール(a3)を2.0〜10.0モル用いることが好ましく、2.0〜5.0モル用いることがより好ましく、2.0〜3.0モル用いることがさらに好ましい。
【0074】
〈反応溶媒〉
ジイミド化合物(A)を合成する際、より詳しくはジアミド酸化合物、ジイミド中間体およびジイミド化合物(A)を合成する際には、反応溶媒を用いることができる。
【0075】
反応溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、4−メチル−2−ペンタノン、アニソール、エチルラクテート、トルエン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、ジクロロメタン、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0076】
これらの反応溶媒の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、4−メチル−2−ペンタノン、トルエン、ジクロロメタンが溶解性の面で好ましい。
【0077】
反応溶媒は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記反応溶媒以外の他の溶媒を、反応溶媒と混合して用いることもできる。
【0078】
反応溶媒は、反応をスムーズに進行させる観点から、テトラカルボン酸二無水物(a1)、アミノ酸(a2)およびアルコール(a3)などの反応原料の合計100重量部に対して、100重量部以上用いることが好ましい。
【0079】
3 インクジェット用インク
本発明のインクジェット用インクは、上述のジイミド化合物(A)と、溶媒(B)とを含む。前記インクは、さらにその他の添加剤(C)を含んでもよい。なお、本発明のインクジェット用インクは、有色または無色のどちらであっても構わない。
【0080】
3.1 ジイミド化合物(A)
ジイミド化合物(A)およびその好適態様については、上述したとおりである。
ジイミド化合物(A)の含有量は、インク全量に対して、好ましくは5〜95重量%、より好ましくは25〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%である。ジイミド化合物(A)の濃度が高いほどインクから得られるポリイミド膜の膜厚が大きくなるため好ましいが、その一方で、インクの粘度も高くなる傾向にあるためインクジェット印刷機でインクが吐出できなくなることもある。本発明では、上記濃度範囲であれば、一回のジェッティングで比較的大きな膜厚(例えば2μm以上)を有するポリイミド膜を容易に形成することができ、しかも、インクの粘度をインクジェット印刷可能な粘度範囲に容易に調整することができる。
【0081】
3.2 溶媒(B)
溶媒(B)は、ジイミド化合物(A)を溶解することができる溶媒であれば特に制限されない。また、単独ではジイミド化合物(A)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによってジイミド化合物(A)を溶解することができる混合溶媒となるのであれば、前記混合溶媒を溶媒(B)として用いることが可能である。
溶媒(B)の1気圧における沸点は、通常100〜300℃、好ましくは150〜250℃である。
【0082】
溶媒(B)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、アニソール、エチルラクテート、安息香酸メチル、安息香酸エチル、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−ビニル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−ε−カプロラクタム、カルバミド酸エステルが挙げられる。
【0083】
溶媒(B)の中でも、インクジェットヘッドの耐久性向上の観点から、エチルラクテート、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランが好ましい。
【0084】
なお、以上例示した溶媒の中で、インクジェットヘッドの耐久性が問題となる場合、アミド系溶媒の使用を低減することも好ましい。このような場合、アミド系溶媒の含有量は、溶媒(B)全量に対して、0〜20重量%であることが好ましく、0重量%であること、すなわち溶媒(B)が非アミド系溶媒であることがより好ましい。他方、後述する高分子化合物をインク中に含有させる場合、溶解性の観点から、アミド系溶媒の含有量を溶媒(B)全量に対して0重量%を超えて20重量%以下に設定してもよい。
【0085】
上記アミド系溶媒としては、例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N,N',N'−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−ビニル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−ε−カプロラクタム、カルバミド酸エステルが挙げられる。
【0086】
なお、上述したように、ジイミド化合物(A)の合成には反応溶媒を通常使用する。このため、ジイミド化合物(A)の合成が完了したときに前記反応溶媒が残存している場合、その反応溶媒を溶媒(B)として使用することもできる。
溶媒(B)は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0087】
溶媒(B)の含有量は、インク全量に対して、好ましくは1〜95重量%、より好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは1〜60重量%である。溶媒(B)の含有量が前記下限値以上であれば、インクジェット用インクの粘度が大きくなり過ぎず、ジェッティング特性が良好となる。溶媒(B)の含有量が前記上限値以下であれば、1回のジェッティングで形成できるポリイミド膜が薄くなり過ぎることがない。
【0088】
3.3 添加剤(C)
添加剤(C)としては、例えば、ポリアミド酸、ポリアミド酸のイミド化重合体、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、重合性モノマー、アルケニル置換ナジイミド化合物、シリコンアミド酸化合物、エポキシ樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、エポキシ硬化剤、重合開始剤が挙げられる。添加剤(C)としては、さらに、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、染料等が挙げられる。添加剤(C)は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0089】
3.3.1 高分子化合物の重量平均分子量および濃度
ポリアミド酸、ポリアミド酸のイミド化重合体、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリオキシエチレンから選択される添加剤(以下「高分子化合物」ともいう。)において、その重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜10,000、好ましくは1,000〜7,500、さらに好ましくは1,000〜5,000、特に好ましくは1,000〜2,000である。
【0090】
Mwが上述の下限値以上である高分子化合物は、加熱処理によって蒸発することがなく、化学的・機械的に安定である。Mwが上述の上限値以下である高分子化合物は、溶媒(B)に対する溶解性が特に高いので、インク中の高分子化合物の濃度を高くすることができ、したがってインクを塗布して得られる塗膜の柔軟性および耐熱性を向上させることができる。すなわちMwが上記範囲にある高分子化合物は、インクジェット用インクの含有成分として好ましい。
【0091】
上記高分子化合物のMwはゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。具体的には、上記高分子化合物をテトラヒドロフラン(THF)等で濃度が約1重量%になるように希釈し、GPC装置として日本分光(株)製、JASCO GULLIVER 1500(インテリジェント示差屈折率計 RI−1530)を用い、カラムとして東ソー(株)製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序で接続してなるものを用い、カラム温度:40℃、流速:1.0ml/minとし、THFを展開剤として、GPC法により測定を行い、ポリスチレン換算することにより、Mwを求めることができる。
【0092】
本発明のインクジェット用インク中の上記高分子化合物濃度は、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜10重量%である。このような濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性を付与できることがある。
【0093】
3.3.2 ポリアミド酸またはそのイミド化重合体
ポリアミド酸またはそのイミド化重合体としては、テトラカルボン酸二無水物(e1)とジアミン(e2)とを少なくとも用いて得られ、式(e3)で表される構成単位を有するポリアミド酸またはそのイミド化重合体が好ましい。
【0094】
【化22】

【0095】
式(e3)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、Yは炭素数1〜100の二価の有機基である。
【0096】
テトラカルボン酸二無水物(e1)としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物(a1)として例示した化合物が挙げられる。ジアミン(e2)としては、例えば、式(e2−1)で表されるジアミン(以下「ジアミン(e2−1)」ともいう。)が挙げられる。
【0097】
【化23】

式(e2−1)中、Yは炭素数1〜100の二価の有機基である。
【0098】
ジアミン(e2)としては、例えば、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンおよび式(I)〜(VII)で表される化合物が挙げられる。
【0099】
【化24】

【0100】
式(I)中、A1は、−(CH2m−であり、ここでmは1〜6の整数である。
式(III)、(V)および(VII)中、A2は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH32−、−C(CF32−、−(CH2n−、−O−(CH2n−O−または−S−(CH2n−S−であり、ここでnは1〜6の整数である。
【0101】
式(VI)および(VII)中、2つ存在するA3は、それぞれ独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−または炭素数1〜3のアルキレンである。
【0102】
以上の式(I)〜(VII)において、シクロヘキサン環またはベンゼン環が有する少なくとも一つの水素は、−Fまたは−CH3で置き換えられていてもよい。
【0103】
式(I)で表される化合物としては、例えば、式(I−1)〜(I−3)で表される化合物が挙げられる。
【0104】
【化25】

【0105】
式(II)で表される化合物としては、例えば、式(II−1)〜(II−2)で表される化合物が挙げられる。
【0106】
【化26】

【0107】
式(III)で表される化合物としては、例えば、式(III−1)〜(III−3)で表される化合物が挙げられる。
【0108】
【化27】

【0109】
式(IV)で表される化合物としては、例えば、式(IV−1)〜(IV−5)で表される化合物が挙げられる。
【0110】
【化28】

【0111】
式(V)で表される化合物としては、例えば、式(V−1)〜(V−30)で表される化合物が挙げられる。
【0112】
【化29】

【0113】
【化30】

【0114】
式(VI)で表される化合物としては、例えば、式(VI−1)〜(VI−6)で表される化合物が挙げられる。
【0115】
【化31】

【0116】
式(VII)で表される化合物としては、例えば、式(VII−1)〜(VII−11)で表される化合物が挙げられる。
【0117】
【化32】

【0118】
式(I)〜(VII)で表される化合物の上記具体例の中でも、好ましくは式(IV−1)〜(IV−5)、式(V−1)〜(V−12)、式(V−26)、式(V−27)、式(VI−1)、式(VI−2)、式(VI−6)および式(VII−1)〜(VII−5)で表される化合物であり、より好ましくは式(V−1)〜(V−12)で表される化合物である。
ジアミン(e2)の中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、ベンジジン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]メタンが好ましい。
【0119】
ジアミン(e2)としては、さらに式(VIII)で表される化合物が挙げられる。
【0120】
【化33】

【0121】
式(VIII)中、A4は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH2p−であり、ここでpは1〜6の整数である。R6は、ステロイド骨格を有する基、または、シクロヘキサン環およびベンゼン環からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造を有する基である。なお、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは、R6は炭素数1〜30のアルキルであってもよく、前記位置関係がメタ位のときは、R6は炭素数1〜10のアルキル、または−F、−CH3、−OCH3、−OCH2F、−OCHF2もしくは−OCF3で置き換えられていてもよいフェニルであってもよい。
【0122】
6における上記炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜10のアルキルは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。これらのアルキルにおいては、任意の−CH2−が−CF2−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、任意の−CH3が−CH2F、−CHF2または−CF3で置き換えられていてもよい。
【0123】
式(VIII)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R6−A4−」のベンゼン環への結合位置を1位としたときに、3位および5位、または2位および5位に結合していることが好ましい。
式(VIII)で表される化合物としては、例えば、式(VIII−1)〜(VIII−11)で表される化合物が挙げられる。
【0124】
【化34】

【0125】
【化35】

【0126】
式(VIII−1)、(VIII−2)、(VIII−7)および(VIII−8)中、R7は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることが好ましく、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシであることがさらに好ましい。
【0127】
式(VIII−3)〜(VIII−6)および(VIII−9)〜(VIII−11)中、R8は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシであることがさらに好ましい。
【0128】
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、式(VIII−12)〜(VIII−17)で表される化合物が挙げられる。
【0129】
【化36】

【0130】
式(VIII−12)〜(VIII−15)中、R9は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数4〜16のアルキルであることが好ましく、炭素数6〜16のアルキルであることがさらに好ましい。
【0131】
式(VIII−16)および式(VIII−17)中、R10は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数6〜20のアルキルであることが好ましく、炭素数8〜20のアルキルであることがさらに好ましい。
【0132】
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、式(VIII−18)〜(VIII−38)で表される化合物が挙げられる。
【0133】
【化37】

【0134】
【化38】

【0135】
【化39】

【0136】
式(VIII−18)、(VIII−19)、(VIII−22)、(VIII−24)、(VIII−25)、(VIII−28)、(VIII−30)、(VIII−31)、(VIII−36)および(VIII−37)中、R11は炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであることが好ましく、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることがさらに好ましい。
【0137】
式(VIII−20)、(VIII−21)、(VIII−23)、(VIII−26)、(VIII−27)、(VIII−29)、(VIII−32)〜(VIII−35)および(VIII−38)中、R12は水素、−F、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、−CN、−OCH2F、−OCHF2または−OCF3であり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシであることが好ましい。
【0138】
式(VIII−33)と(VIII−34)中、A5は炭素数1〜12のアルキレンである。
式(VIII)で表される化合物としては、さらに、例えば、式(VIII−39)〜(VIII−48)で表される化合物が挙げられる。
【0139】
【化40】

【0140】
【化41】

【0141】
式(VIII)で表される化合物のうち、式(VIII−1)〜式(VIII−11)で表される化合物が好ましく、式(VIII−2)、式(VIII−4)、式(VIII−5)および式(VIII−6)で表される化合物がさらに好ましい。
【0142】
本発明において、ジアミン(e2)としては、さらに式(IX)〜(X)で表される化合物が挙げられる。
【0143】
【化42】

【0144】
【化43】

【0145】
式(IX)および(X)中、R13は水素または−CH3であり、2つ存在するR14はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数2〜20アルケニルであり、2つ存在するA6はそれぞれ独立に単結合、−C(=O)−または−CH2−である。
【0146】
式(X)中、R15およびR16はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。
【0147】
式(IX)中、ステロイド核のB環に結合した「NH2−Ph−A6−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、ステロイド核の6位の炭素に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6のフェニル環への結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0148】
式(X)中、2つの「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」(−Ph−は、フェニレンを示す)は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、該フェニル環にステロイド核および「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」が結合していると考えた場合、ステロイド核と「NH2−(R16−)Ph−A6−O−」との位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A6に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0149】
式(IX)で表される化合物としては、例えば、式(IX−1)〜(IX−4)で表される化合物が挙げられる。
【0150】
【化44】

【0151】
式(X)で表される化合物としては、例えば、式(X−1)〜(X−8)で表される化合物が挙げられる。
【0152】
【化45】

【0153】
【化46】

【0154】
ジアミン(e2)としては、さらに式(XI)および(XII)で表される化合物が挙げられる。
【0155】
【化47】

【0156】
式(XI)中、R17は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、該アルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、2つ存在するA7はそれぞれ独立に−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、A8は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、hは0または1である。
【0157】
【化48】

【0158】
式(XII)中、R18は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素6〜20のアルキルが好ましい。R19は水素または炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素1〜10のアルキルが好ましい。2つ存在するA9はそれぞれ独立に−O−または炭素数1〜6のアルキレンである。
【0159】
式(XI)中、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A7に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。また、式(XII)中、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、A9に対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
【0160】
式(XI)で表される化合物としては、例えば、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−メチルシクロヘキサンなどの、式(XI−1)〜(XI−9)で表される化合物が挙げられる。
【0161】
【化49】

【0162】
【化50】

【0163】
式(XI−1)〜(XI−3)中、R20は水素または炭素数1〜20のアルキルである。
式(XI−4)〜(XI−9)中、R21は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、水素または炭素数1〜10のアルキルであることが好ましい。
【0164】
式(XII)で表される化合物としては、例えば、式(XII−1)〜(XII−3)で表される化合物が挙げられる。
【0165】
【化51】

【0166】
式(XII−1)〜(XII−3)中、R22は炭素数2〜30のアルキルであり、これらの中でも炭素数6〜20のアルキルが好ましく、R23は水素または炭素数1〜30のアルキルであり、これらの中でも水素または炭素数1〜10のアルキルが好ましい。
【0167】
さらに、ジアミン(e2)の例として、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,6−ビス(4−((4−アミノフェニル)メチル)フェニル)ヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、α,α'−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン,N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよびネオペンチルグリコールビス(4−アミノフェニル)エーテルも挙げられる。
【0168】
上述のとおり、ジアミン(e2)としては、例えば、上記式(I)〜(XII)で表される化合物を用いることができるが、これらの化合物以外の、アミノ基を2つ有する化合物も用いることができる。例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、またはシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミンなどを単独で、または他のアミノ基を2つ有する化合物として挙げた化合物と混合して用いることができる。
【0169】
シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、式(XIII)で表される化合物が、本発明において好ましく使用され得る。
【0170】
【化52】

【0171】
式(XIII)中、R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R5はメチレンまたは炭素数1〜10のアルキルで置き換えられていてもよいフェニレンであり、2つのxはそれぞれ独立に1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。ポリアミド酸またはそのイミド化重合体の用途によっては高い透明性が必要とされるが、そのような場合には、yは1〜15の整数であることが特に好ましい。複数存在するR3、R4およびR5は、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよい。
【0172】
ジアミン(e2)として、さらに式(11)〜(18)で表される化合物が挙げられる。式(11)〜(18)中、R24およびR25はそれぞれ独立に炭素数3〜20のアルキルである。
【0173】
【化53】

【0174】
ジアミン(e2)は、本明細書に記載された化合物に限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で、他にも種々の形態のジアミンを用いることができる。
【0175】
3.3.3 重合性モノマー
本発明のインクジェット用インクは、さらにジイミド化合物(A)以外の重合性モノマーを含んでいてもよい。重合性モノマーを用いると塗膜の厚膜化および柔軟性の観点から好ましい。重合性モノマーとしては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレート、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0176】
ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル含有単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0177】
ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、ビニルトルエン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]が挙げられる。
【0178】
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−ビス(アクリロイルオキシ)デカン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレートが挙げられる。
【0179】
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合性モノマーは1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0180】
本発明のインクジェット用インク中の重合性モノマー濃度は、好ましくは0〜60重量%、より好ましくは0〜50重量%である。重合性モノマーを使用する場合、前記濃度の下限値は10重量%程度である。このような濃度範囲であると、本発明のインクジェット用インクから形成された塗膜の耐熱性が良好となる。
【0181】
3.3.4 アルケニル置換ナジイミド化合物
アルケニル置換ナジイミド化合物は、分子内に少なくとも1つのアルケニル置換ナジイミド構造を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、国際公開第2008/059986号パンフレットに記載されている、式(II-1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物等が挙げられる。
【0182】
【化54】

【0183】
式(II-1)中、R14およびR15はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルであり、nは1〜2の整数であり、
n=1のとき、R16は水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(Cq2q)Ot(Cr2rO)us2sX}(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に2〜6の整数、tは0または1の整数、uは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)a−C64−R17(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、R17は水素または炭素数1〜4のアルキルを表す)で表される基、−C64−T−C65(ここで、Tは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−S−またはSO2−である)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基であり、
n=2のとき、R16は−Cp2p−(ここで、pは2〜20の整数である)で表されるアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、−{(Cq2qO)t(Cr2rO)us2s}−(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に2〜6の整数、tは0または1の整数、uは1〜30の整数である)で表されるポリオキシアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R17a−C64−R18−(ここで、aは0または1の整数、R17およびR18はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C64−T−C64−(ここで、Tは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−OC64C(CH3264O−、−S−、−SO2−である)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基である。
【0184】
式(II-1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物の中でも、
14およびR15がそれぞれ独立に水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルであり、
nが2であり、
16が−Cp2p−(ここで、pは2〜10の整数である。)で表されるアルキレン、−(R17a−C64−R18−(ここで、aは0または1の整数、R17およびR18はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、または−C64−T−C64−(ここで、Tは−CH2−、−C(CH32−、−CO−、−O−、−OC64C(CH3264O−、−S−または−SO2−である)で表される基である、
アルケニル置換ナジイミド化合物が好ましい。
【0185】
式(II-1)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物の中でも、R14およびR15がそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが2であり、R16が−(CH26−、下記式(II-2)で表される基または下記式(II-3)で表される基である、アルケニル置換ナジイミド化合物が特に好ましい。
【0186】
【化55】

【0187】
本発明のインクジェット用インク中のアルケニル置換ナジイミド化合物濃度は、0〜40重量%が好ましく、0〜20重量%がさらに好ましい。このような濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性を付与できることがある。
【0188】
3.3.5 シリコンアミド酸化合物
シリコンアミド酸化合物は、分子内にアミド酸構造を有するシリコンアミド酸化合物であれば特に限定されず、例えば、国際公開第2008/123190号パンフレットに記載されている、分子内に少なくとも2つのアミド酸構造を有する、式(III)で表されるシリコンアミド酸または式(IV)で表されるシリコンアミド酸が挙げられる。
【0189】
式(III)で表されるシリコンアミド酸の中でも、下記式(III-1)、(III-2)または(III-3)で表されるシリコンアミド酸が好ましい。式(IV)で表されるシリコンアミド酸の中でも、下記式(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)または(IV-4)で表されるシリコンアミド酸が好ましい。
【0190】
【化56】

【0191】
式(III)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、ハロゲンまたは炭素数1〜100の一価の有機基であり、Xは炭素数1〜100の四価の有機基であり、Yは炭素数1〜20の有機基である。
【0192】
【化57】

【0193】
式(III-1)、(III-2)または(III-3)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、ハロゲンまたは炭素数1〜100の一価の有機基であり、R1、R2およびR3の内の少なくとも一つは炭素数1〜20のアルコキシ基を含み、aは1〜20の整数である。
【0194】
【化58】

【0195】
式(IV)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、ハロゲンまたは炭素数1〜100の一価の有機基であり、Y'は炭素数1〜20の三価の有機基であり、X'は炭素数1〜100の二価の有機基である。
【0196】
【化59】

【0197】
式(IV-1)、(IV-2)、(IV-3)および(IV-4)中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に水素、ハロゲンまたは炭素数1〜100の一価の有機基であり、R1、R2およびR3の内の少なくとも一つは炭素数1〜20のアルコキシ基を含み、aは1〜20の整数である。式(IV-3)中のRは炭素数2〜30の一価の有機基である。式(IV-4)のRは水素または炭素数1〜20のアルキルである。
【0198】
本発明のインクジェット用インク中のシリコンアミド酸化合物濃度は、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%である。このような濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性を付与できることがある。
【0199】
3.3.6 エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、オキシラン環やオキセタン環を有する化合物であれば特に限定されないが、オキシラン環を2つ以上有する化合物が好ましい。但し、上述の重合性モノマーに分類される化合物は除く。
【0200】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、アルコキシシリルとオキシラン環とを有する化合物、オキシラン環を有するモノマーの重合体、オキシラン環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0201】
オキシラン環を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0202】
オキシラン環を有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0203】
オキシラン環を有するモノマーの重合体およびオキシラン環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。インクジェット用インクにこれらのエポキシ樹脂を含有させると、インクジェット用インクから形成されたポリイミド膜の耐熱性が良好となるため好ましい。
【0204】
エポキシ樹脂の中でも、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンで表される化合物が好ましい。
【0205】
エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、商品名「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート190P」、「エピコート191P」、商品名「エピコート1004」、「エピコート1256」(以上、現在、三菱化学(株)のjER(商品名)として入手できる。)、商品名「アラルダイトCY177」、商品名「アラルダイトCY184」(日本チバガイギー(株)製)、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株)製)、商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)が挙げられる。これらの中でも、商品名「アラルダイトCY184」、商品名「セロキサイド2021P」、商品名「テクモアVG3101L」、商品名「エピコート828」は、得られるポリイミド膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
エポキシ樹脂は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0206】
エポキシ樹脂としては、さらに式(I)〜(VI)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、式(I)、(IV)および(V)で表される化合物は、得られるポリイミド膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
【0207】
【化60】

【0208】
式(V)中、Rf、RgおよびRhはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜30の有機基であり、水素または炭素数1〜10のアルコキシであることが好ましい。式(VI)中、Rcは炭素数2〜100の四価の有機基であり、Rdは炭素数1〜30の二価の有機基であり、Reは式(VII)〜(IX)からなる群から選ばれる一価の有機基である。
【0209】
【化61】

式(VII)中、Riは水素または炭素数1〜3のアルキルである。
【0210】
式(VI)で表される化合物は、例えば、式(VI−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と式(VI−2)で表されるヒドロキシルを有する化合物とを溶媒中で反応させて得ることができる。
【0211】
【化62】

【0212】
式(VI−1)および(VI−2)中のRc、RdおよびReは、それぞれ式(VI)中のRc、RdおよびReと同義である。式(VI−2)中、Rdは炭素数1〜30の二価の有機基であるが、例えば、炭素数1〜30の直鎖状または分枝状の二価の有機基であり、環構造または酸素を含んでいてもよく、環構造としては、フェニル、シクロヘキシル、ナフチル、シクロヘキセニル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルなどが挙げられる。
【0213】
式(VI)で表される化合物として、下記式(VI’)で表される化合物が挙げられる。
【化63】

【0214】
式(VI−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物は、好ましくは上述したポリアミド酸またはそのイミド化重合体の合成に用いることができる、テトラカルボン酸二無水物(e1)である。
【0215】
式(VI−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物1モルに対して、式(VI−2)で表されるヒドロキシルを有する化合物を1.9〜2.1モル用いることが好ましく、式(VI−2)で表されるヒドロキシルを有する化合物を1.95〜2.05モル用いることがさらに好ましく、式(VI−2)で表されるヒドロキシルを有する化合物を2モル用いることが特に好ましい。式(VI−2)で表されるヒドロキシルを有する化合物は、2種以上の化合物を併用してもよいが、同じであることが好ましい。
【0216】
式(VI)で表される化合物は、例えば、式(VI−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、ヒドロキシルおよび二重結合を有する化合物とを反応させた後、得られた化合物の二重結合部分を酸化させてエポキシ基にすることにより、製造することもできる。
【0217】
式(VI)で表される化合物を合成するために用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えばジイミド化合物(A)を合成するための反応溶媒が挙げられる。
【0218】
溶媒は、反応をスムーズに進行させる観点から、式(VI)で表される化合物の反応原料の合計100重量部に対して50重量部以上使用することが好ましい。反応温度は80℃〜130℃が好ましく、反応時間は2〜8時間が好ましい。また、反応原料の反応系への添加順序は特に限定されない。
エポキシ樹脂は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0219】
本発明のインクジェット用インク中のエポキシ樹脂濃度は、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%である。このような濃度範囲であると、本発明のインクジェット用インクから形成されたポリイミド膜の耐熱性、耐薬品性および平坦性が良好となる。
【0220】
3.3.7 界面活性剤
界面活性剤は、本発明のインクジェット用インクの下地基板への濡れ性、レベリング性、または塗布性を向上させるために使用することができ、本発明のインクジェット用インク100重量%中、0.01〜1重量%の量で用いられることが好ましい。
【0221】
界面活性剤としては、本発明のインクジェット用インクの塗布性を向上できる点から、例えば、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビックケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビックケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤;商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0222】
3.3.8 帯電防止剤
帯電防止剤は、本発明のインクジェット用インクの帯電を防止するために使用することができ、本発明のインクジェット用インク100重量%中、0.01〜1重量%の量で用いられることが好ましい。
【0223】
帯電防止剤としては、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物などの金属酸化物;四級アンモニウム塩が挙げられる。
帯電防止剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0224】
3.3.9 カップリング剤
カップリング剤は、公知のカップリング剤を用いることができ、本発明のインクジェット用インク100重量%中、0.01〜3重量%の量で用いられることが好ましい。
【0225】
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0226】
トリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
カップリング剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0227】
3.3.10 エポキシ硬化剤
本発明においてエポキシ樹脂等を用いる場合、エポキシ硬化剤も用いることが好ましい。エポキシ硬化剤は、公知のエポキシ硬化剤を用いることができ、本発明のインクジェット用インク100重量%中、0.2〜5重量%の量で用いられることが好ましい。
【0228】
エポキシ硬化剤としては、例えば、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾールおよびその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物が挙げられる。
【0229】
さらに具体的には、ジシアンジアミド等のジシアンジアミド類;アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等の有機酸ジヒドラジド;2,4−ジアミノ−6−[2'−エチルイミダゾリル−(1')]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;無水フタル酸、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物等の酸無水物;トリメリット酸が挙げられる。これらの中でも透明性が良好なトリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
エポキシ硬化剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0230】
3.3.11 重合開始剤
重合開始剤は、本発明のインクジェット用インクの焼成時において、ジイミド化合物(A)のビニル基や添加剤が加えられている場合の重合性モノマーの重合を促進するために使用することができる。重合開始剤は、本発明のインクジェット用インク100重量%中、0.1〜15重量%の量で用いられることが好ましい。
【0231】
重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができる。具体的には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などを挙げることができる。重合開始剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0232】
3.4 インクジェット用インクの調製方法
本発明のインクジェット用インクは、ジイミド化合物(A)と溶媒(B)と必要に応じて添加剤(C)とを均一に混合することによって、調製することができる。また、本発明のインクジェット用インクは、ジイミド化合物(A)の合成時に得られた反応溶液をそのまま用い、必要に応じて溶媒(B)および添加剤(C)と均一に混合することによって、調製することもできる。
【0233】
本発明のインクジェット用インクでは、粘度・表面張力・溶媒の沸点などのパラメータをインクジェット印刷用に最適化することができ、良好なインクジェット印刷性(例えば描画性、厚膜形成)を示し、保存安定性にも優れる。また前記インクを用いることにより、熱的・電気的・機械的特性が良好で、反り量の少ないポリイミド膜を形成できる。
【0234】
3.5 インクジェット用インクの特性
3.5.1 インクジェット用インクの粘度
本発明のインクジェット用インクの、インクジェットヘッドから吐出するときの温度(吐出温度)における粘度は、好ましくは1〜50mPa・s、より好ましくは5〜30mPa・s、さらに好ましくは5〜20mPa・s、特に好ましくは8〜15mPa・sである。粘度が前記範囲にあると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する。粘度が前記上限値以下であると、インクジェット吐出不良が生じにくい。
常温(25℃)でジェッティングを行う場合も多いため、本発明のインクジェット用インクの25℃における粘度は、好ましくは1〜50mPa・s、より好ましくは5〜30mPa・s、さらに好ましくは5〜20mPa・sである。25℃における粘度が前記範囲にあると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が向上する。25℃における粘度が前記上限値以下であると、インクジェット吐出不良が生じにくい。
【0235】
3.5.2 インクジェット用インクの表面張力
本発明のインクジェット用インクの25℃における表面張力は、好ましくは20〜45mN/m、より好ましくは20〜40mN/mである。表面張力が前記範囲にあると、ジェッティングにより良好な液滴を形成でき、かつメニスカスを形成することができる。
【0236】
3.5.3 インクジェット用インクの水分量
本発明のインクジェット用インク中の水分量は、好ましくは10,000wtppm以下、より好ましくは5,000wtppm以下である。水分量が前記範囲であると、インクジェット用インクは粘度変化が少なく、保存安定性に優れる。
【0237】
4 ポリイミド膜
本発明のポリイミド膜は、上述のインクジェット用インクから得られる。例えば、本発明のインクをインクジェット塗布方法によって基板上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を硬化処理して得られる。
【0238】
塗膜をパターン状(例:ライン状)に印刷した場合には、パターン状のポリイミド膜が形成される。本明細書では特に言及のない限り、ポリイミド膜はパターン状のポリイミド膜を含むものとする。
【0239】
本発明のインクジェット用インクには、上述のようにジイミド化合物(A)を高濃度で含有させることができる。このため、1回のインクジェッティングにおいて、本発明のポリイミド膜の膜厚は、従来のインクジェット用インクから得られるポリイミド膜の膜厚よりも大きくすることができる。本発明のポリイミド膜の膜厚は、通常2μm以上、好ましくは2〜10μmである。
本発明のポリイミド膜は、例えば、耐熱性および電気絶縁性が高く、充分な機械的強度を有し、反り量が少なく、電子部品の信頼性や歩留まりを向上させることができる。
【0240】
5 ポリイミド膜の製造方法
本発明のポリイミド膜の製造方法は、(1)本発明のインクをインクジェット塗布方法によって基板上に塗布して塗膜を形成する工程(塗膜形成工程)、および(2)前記塗膜を硬化処理する工程(硬化処理工程)を有する。
【0241】
5.1 塗膜形成工程
インクジェット塗布方法としては、インクの吐出方法により各種のタイプがある。吐出方法としては、例えば、圧電素子型、バブルジェット(登録商標)型、連続噴射型、静電誘導型が挙げられる。
【0242】
本発明のインクは、含有成分を適正に選択することにより、様々な方法で吐出が可能であり、インクジェット塗布方法によれば、本発明のインクを予め定められたパターン状に塗布することができる。
【0243】
本発明のインクジェット用インクを用いて塗布を行う際の好ましい吐出方法は、圧電素子型である。この圧電素子型のヘッドは、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクとを備えた、オンデマンドインクジェット塗布ヘッドであり、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクの小液滴をノズルから吐出させる。
【0244】
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが別体となった構成に限らず、それらが分離不能に一体になった構成を用いてもよい。また、インク収容部は、塗布ヘッドに対して、分離可能または分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
【0245】
また、塗布ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクタンクに設ける場合には、インクタンクのインク収納部に吸収体を配置した形態、あるいは可撓性のインク収容袋とこれに対しその内容積を拡張する方向の付勢力を作用させるバネ部とを有した形態などを採用することができる。塗布装置は、シリアル塗布方式を採るもののほか、塗布媒体の全幅に対応した範囲にわたって塗布素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
【0246】
本発明のインクをインクジェット塗布方法によって基板上に塗布した後、ホットプレートまたはオーブンなどで乾燥(溶媒を除去)することにより、塗膜を形成することができる。
【0247】
乾燥条件はインクの含有成分の種類および配合割合によって異なるが、通常70〜150℃で、オーブンを用いた場合には5〜15分間、ホットプレートを用いた場合には1〜5分間である。
【0248】
5.2 硬化処理工程
硬化処理は、塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性、さらには充分な機械的強度を得るために、例えばホットプレートまたはオーブンなどで行い、これにより、全面または所定のパターン状(例:ライン状)のポリイミド膜が形成される。
【0249】
硬化処理は、通常150℃を超えて350℃以下、好ましくは200〜300℃で行う。硬化処理時間(加熱時間)は、例えば、オーブンを用いた場合には30〜90分間、ホットプレートを用いた場合には5〜30分間である。また、硬化処理としては、加熱処理に限定されず、UV処理やイオンビーム、電子線、ガンマ線などの処理でもよい。以上のようにして、ポリイミド膜が形成される。
【0250】
パターン状のポリイミド膜を製造する場合、本発明ではインクジェット印刷により必要な部分のみにインクを描画するため、エッチング等の他の方法に比べて、材料使用量が圧倒的に少なく、またフォトマスクを使用する必要もない。このため、本発明では、多品種大量生産が可能であり、また製造に要する工程数も低減できる。
【0251】
また、本発明のインクジェット用インクには上述のようにジイミド化合物(A)を高濃度で含有させることができるため、1回のジェッティングで厚いポリイミド膜を得ることができる。このため、例えば10μm程度の厚い絶縁膜を形成する場合、本発明のインクを用いることにより、従来のインクよりも重ね塗りの回数を減らすことができ、絶縁膜の製造工程を短縮することができる。
【0252】
6 フィルム基板またはシリコンウエハー基板
本発明のフィルム基板は、フィルムと、前記フィルム上に形成された上述のポリイミド膜とを有する。本発明のシリコンウエハー基板は、シリコンウエハーと、前記シリコンウエハー上に形成された上述のポリイミド膜とを有する。
【0253】
フィルム基板またはシリコンウエハー基板は、例えば、配線が形成されたフィルム(例:ポリイミドフィルム)またはシリコンウエハー上に、上述のポリイミド膜の製造方法に従ってポリイミド膜を形成することにより、製造することができる。
【0254】
本発明では、ポリイミド膜の形成対象として、ポリイミドフィルムやシリコンウエハーの他、公知の基板を用いることができる。本発明に適用可能な基板としては、例えば、FR−1、FR−3、FR−4、CEM−3、またはE668等の各種規格に適合する、ガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、グリーンエポキシ基板およびBTレジン基板が挙げられる。
【0255】
本発明に適用可能な他の基板としては、例えば、銅、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、クロム、ステンレスなどの金属からなる基板(それらの金属を表面に有する基板であってもよい);酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコニウムのケイ酸塩(ジルコン)、酸化マグネシウム(マグネシア)、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、硫化カドニウム、硫化モリブデン、酸化ベリリウム(ベリリア)、酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)、酸化亜鉛、ムライト、フェライト、ステアタイト、ホルステライト、スピネル、スポジュメンなどのセラミックスからなる基板(それらのセラミックスを表面に有する基板であってもよい);PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PCT(ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、熱可塑性エラストマー、液晶ポリマーなどの樹脂からなる基板(それらの樹脂を表面に有する基板であってもよい);シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素などの半導体基板;ガラス基板;酸化スズ、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(酸化アンチモンスズ)などの電極材料が表面に形成された基板;αGEL(アルファゲル)、βGEL(ベータゲル)、θGEL(シータゲル)、γGEL(ガンマゲル)(以上、(株)タイカの登録商標)などのゲルシートが挙げられる。
【0256】
7 電子部品
本発明の電子部品は、上述のフィルム基板および/またはシリコンウエハー基板を有する電子部品である。このように本発明のフィルム基板を利用して、フレキシブルな電子部品が得られる。また、本発明のシリコンウエハー基板を利用して、半導体電子部品が得られる。
【実施例】
【0257】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例ではインクを便宜上スピンコート法等により塗布しているが、インクジェット法により塗布しても定性的に同様の結果が得られる。
【0258】
実施例および比較例で用いる、テトラカルボン酸二無水物、溶媒および重合性モノマーの名称を略号で示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
テトラカルボン酸二無水物
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
溶媒
EDM :ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
重合性モノマー
BAOD:1,10−ビス(アクリロイルオキシ)デカン
【0259】
実施例における各物性の測定方法は、以下の通りである。
(i)粘度
実施例・比較例で得られたインクジェット用インクの粘度は、25℃にて、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC EHD)で測定した。
【0260】
(ii)反り試験
基材(東レデュポン(株)製、カプトン200H、40×40mm、厚さ50μm)の中央部30×30mmを10mm角の9ブロックに仕切り、マークした。接着剤付きポリイミドテープを用いて、マークした面の反対側が表面になるように、基材をガラス基板(50×50mm)上に固定した。
【0261】
スピンコートにより基材上に実施例・比較例で得られたインクジェット用インクを塗布し、80℃のホットプレート上で乾燥させ、15分放冷後ポリイミドテープを剥して、1時間静置した。さらに基材をオーブンに入れて各実施例・比較例に記載の条件で加熱(焼成)した後、放冷し、各実施例・比較例に記載の膜厚を有する絶縁膜を形成した。基材を平坦面上に置き、平坦面からの基材の4隅の反り高さを測定し、その相加平均値を反り量とした。
【0262】
(iii)折曲げ試験
実施例・比較例で得られたインクジェット用インクを基材(東レデュポン(株)製、カプトン200H、厚さ50μm)上にアプリケーターを用いて塗布した。ホットプレートを用いて50℃、30分間乾燥させ、さらにオーブンに入れて230℃、30分加熱し、基材の片面に各実施例・比較例に記載の膜厚を有する絶縁膜を形成した。基材のTD方向(Transverse direction)が試験試料の長さ方向となるように、幅1.5cm、長さ13cmに裁断し、試験試料を作成した。
試験試料は、耐折性試験機((株)東洋精機製作所製、MIT−DA)を用いて、折曲げ面の曲率半径0.38mm、折曲げ角135°、張力4.9Nとし、毎分175回の速度で折曲げを30回行い、所定回数でのクラックの有無を観察した。
【0263】
〔ジイミド1の合成〕
反応容器に、10.84g(34.93mmol)のODPA、9.17g(69.86mmol)のイソロイシンおよび20.10gのEDMを加え、170℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、40mlのトルエンおよび16.69g(140.29mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。
【0264】
別の反応容器に、10.23g(77.41mmol)のジエチレングリコールモノビニルエーテル、8.60g(84.99mmol)のトリエチルアミンおよび50mlのトルエンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。
【0265】
滴下終了後、室温で1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、2M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、29.66gのジイミド1を得た。
【0266】
〔ジイミド2の合成〕
反応容器に、1.63g(5.24mmol)のODPA、1.38g(10.48mmol)のイソロイシンおよび6.70gのEDMを加え、170℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、30mlのジクロロメタン、0.97g(10.5mmol)のエチレングリコールモノビニルエーテル、0.13g(1.06mmol)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンおよび3.41g(16.53mmol)のジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、室温で20時間攪拌した。
【0267】
反応で生じた沈殿を除去後、ろ液を分液ロートへ注ぎ、2M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、3.80gのジイミド2を得た。
【0268】
〔ジイミド3の合成〕
反応容器に、1.63g(5.24mmol)のODPA、1.38g(10.48mmol)のイソロイシンおよび6.67gのEDMを加え、170℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、30mlのジクロロメタン、1.28g(10.5mmol)のテトラメチレングリコールモノビニルエーテル、0.13g(1.06mmol)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンおよび3.49g(16.91mmol)のジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、室温で20時間攪拌した。
【0269】
反応で生じた沈殿を除去後、ろ液を分液ロートへ注ぎ、2M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、3.60gのジイミド3を得た。
【0270】
〔ジイミド4の合成〕
反応容器に、1.42g(4.80mmol)のBPDA、1.59g(9.61mmol)のフェニルアラニンおよび7.05gのEDMを加え、170℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、30mlのジクロロメタン、1.29g(9.61mmol)のジエチレングリコールモノビニルエーテル、0.13g(1.06mmol)の4−(ジメチルアミノ)ピリジンおよび3.39g(16.43mmol)のジシクロヘキシルカルボジイミドを加え、室温で20時間攪拌した。
【0271】
反応で生じた沈殿を除去後、ろ液を分液ロートへ注ぎ、2M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、3.07gのジイミド4を得た。
【0272】
[実施例1]
4.01gのジイミド1および4.01gのEDMを混合し、室温で当該混合液を30分攪拌することにより、インクジェット用インク1を得た。インク1の固形分濃度は50重量%であり、粘度は7.8mPa・sであった。インク1から形成された膜厚7μmの絶縁膜の反り量を測定したところ、230℃30分焼成後の反り量は平均0.0mmであった。続けて280℃30分焼成後の反り量は、平均0.0mmであった。
【0273】
[実施例2〜5]
表1に記載の成分を表1に記載の量で混合し、室温で当該混合液を30分攪拌することにより、インクジェット用インク2〜5を得た。
【0274】
[比較例1]
反応容器に、3.2718gの無水こはく酸、7.2324gの3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび4.5024gのテトラエトキシシランを加え、180℃で3時間還流した。反応後の反応溶液をインクジェット用インク6とした。
【0275】
上記インクジェット用インク1〜6について、粘度および反り試験の評価結果を表1に示す。上記インクジェット用インク1,2および6について、折曲げ試験の評価結果を表2に示す。
【0276】
【表1】

【0277】
【表2】

【0278】
表1の評価結果から明らかなように、本発明のインクジェット用インクを用いることにより、反り量の少ない絶縁膜を形成することができ、また、1回のインクジェッティングで比較的大きな膜厚の絶縁膜を形成することができる。また、表1および表2の評価結果から明らかなように、インクに重合性モノマーを配合することにより、前記特性に加えて、絶縁膜をより厚膜化でき、柔軟性をより向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるジイミド化合物(A)。
【化1】

[式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数あるYはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基であり、複数あるZはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基である。]
【請求項2】
式(1)中、複数あるYがそれぞれ独立に式(1−1)で表され、複数あるZがそれぞれ独立に式(1−2)で表される、請求項1に記載のジイミド化合物(A)。
【化2】

[式(1−1)中、mは1〜11の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける任意の水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。]
【化3】

[式(1−2)中、R2は炭素数2〜11の直鎖状アルキレンであり、nは0〜10の整数である。]
【請求項3】
式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(a1)と、
式(a2)で表されるアミノ酸(a2)と、
式(a3)で表されるアルコール(a3)と
を反応させて得られる、請求項1または2に記載のジイミド化合物(A)。
【化4】

[式(a1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり;式(a2)中、Yは炭素数1〜100の二価の有機基であり;式(a3)中、Zは炭素数1〜100の二価の有機基である。]
【請求項4】
アミノ酸(a2)が、式(a2−1)で表されるアミノ酸であり、アルコール(a3)が、式(a3−1)で表されるアルコールである、請求項3に記載のジイミド化合物(A)。
【化5】

[式(a2−1)中、mは1〜11の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける任意の水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける任意の−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。]
【化6】

[式(a3−1)中、R2は炭素数2〜11の直鎖状アルキレンであり、nは0〜10の整数である。]
【請求項5】
テトラカルボン酸二無水物(a1)が、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸,[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ジ−4,1−フェニレンエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸オキシジ−4,1−フェニレンエステル、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物および5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物からなる群から選ばれる1種以上であり、
アミノ酸(a2)が、グリシン、アラニン、β−アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸および12−アミノラウリン酸からなる群から選ばれる1種以上であり、
アルコール(a3)が、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルおよびテトラメチレングリコールモノビニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上である、
請求項3または4に記載のジイミド化合物(A)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のジイミド化合物(A)と、溶媒(B)とを含むインクジェット用インク。
【請求項7】
ジイミド化合物(A)の含有量が、インク全量に対して、5〜95重量%である、請求項6に記載のインクジェット用インク。
【請求項8】
インクジェット吐出温度における粘度が、1〜50mPa・sである、請求項6または7に記載のインクジェット用インク。
【請求項9】
さらに、ポリアミド酸、ポリアミド酸のイミド化重合体、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、重合性モノマー、アルケニル置換ナジイミド化合物、シリコンアミド酸化合物、エポキシ樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、エポキシ硬化剤および重合開始剤からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
【請求項10】
ポリアミド酸またはそのイミド化重合体が、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを少なくとも用いて得られ、下記式で表される構成単位を有するポリアミド酸またはそのイミド化重合体である請求項9に記載のインクジェット用インク。
【化7】

[式中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、Yは炭素数1〜100の二価の有機基である。]
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1項に記載のインクジェット用インクから得られるポリイミド膜。
【請求項12】
請求項6〜10のいずれか1項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって基板上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を硬化処理して得られるポリイミド膜。
【請求項13】
請求項6〜10のいずれか1項に記載のインクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって基板上に塗布して塗膜を形成する工程、および前記塗膜を硬化処理する工程を含む、ポリイミド膜の製造方法。
【請求項14】
フィルムと、前記フィルム上に形成された請求項11または12に記載のポリイミド膜とを有するフィルム基板。
【請求項15】
請求項14に記載のフィルム基板を有する電子部品。
【請求項16】
シリコンウエハーと、前記シリコンウエハー上に形成された請求項11または12に記載のポリイミド膜とを有するシリコンウエハー基板。
【請求項17】
請求項16に記載のシリコンウエハー基板を有する電子部品。

【公開番号】特開2012−136476(P2012−136476A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290534(P2010−290534)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【Fターム(参考)】