説明

ジェットエンジンノズルの流れ変更部品をリニア駆動する装置および方法

【課題】ジェットエンジンの騒音および燃料消費を低減するファンノズルを提供する。
【解決手段】ジェットエンジンのトランスカウルは、リニアアクチュエータに結合されたシェブロン222を含む。シェブロンは、コアカウルおよび逆推力トランスレートカウル218によって形成されたガス流路を変化させるように、リニアアクチュエータによって前方または後方へ移動可能である。第1の位置において、シェブロンが、ガス流路に対して実質的に平行に配置され、抗力および/またはエンジン推力の損失を軽減する。第2の位置において、シェブロンが、後方へ動かされて、ガス流路内に突出する、またはさらに突出する。一実施形態では、リニアアクチュエータは、外側カウル218に結合された第1の構成部品を含む。リニアアクチュエータの第2の構成部品は、シェブロンに結合される。リニアアクチュエータは、設置されると、制御装置および電源に結合され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、一般に、ジェットエンジンに関し、より詳細には、ジェットエンジンの騒音および燃料消費を低減するように配置可能でありセグメント化されたファンノズルの製造、整備、および/または動作における、ある種の新規かつ有用な進歩に関する。
【背景技術】
【0002】
流路形状が可変の大型ターボファンエンジンは、燃料消費およびエンジン騒音を低減するので、魅力的な経済的インセンティブを提供する。しかし、そのようなエンジンは、可変面積ファンノズル(VAFN)を使用して、圧力、速度、および流量などの重要なファンパラメータを許容範囲内に維持することが必要とされる。従来のVAFNは、通常、エンジン騒音を低減するために、航空機産業において「シェブロン」として知られる構造を使用する。そのようなシェブロンは、三角形であり位置が固定されているので、通常、ガス流れの中にシェブロンが突出するように、ジェットエンジンの二次排気ノズルの後方縁に沿って位置付けられている。この配置は、ジェットエンジンの騒音を低減することが証明されているが、シェブロンが、ファン流れの中に入り込むので、抗力および推力の損失を引き起こす。したがって、この推力の損失は、騒音を低減するという要求とバランスを取らなければならない。
【0003】
少なくとも2つのタイプのVAFNが開発されている。液体駆動式のシェブロンを備えたVAFNは周知であるが、重量が大きく、維持するのに費用がかかる。Quiet Technology Demonstrator(QTD)IおよびIIプログラムのために設計および試験されたSMAシェブロンなど、形状記憶合金(SMA)によって駆動されるシェブロンを使用するVAFNは、改善された騒音低減を提供するが、ニッケルチタン(ニチノール)など、それらの高性能の合金は高価である。QTD II試験において、それぞれのシェブロンは、積層構造を有していた。ニチノールの3つのSMAストリップが、複合積層板で形成されたベースシェブロンの上に位置付けられており、2つは、シェブロンの角度の付いた縁部に沿っており、1つは、シェブロンの先端からその中心に延びており、次いでカバープレートで覆われていた。熱に反応して変形するSMAストリップは、都市騒音およびキャビン騒音を低減するために離陸時にそれぞれのシェブロンを内側に曲げた。巡航時、SMAストリップは、燃料消費を低減するためにそれぞれのシェブロンを真っ直ぐにした。両方の適用において、SMAストリップを含むシェブロンのベースは動かせず、例えば前方または後方へ移動することができなかった。
【0004】
Nesbittらによる米国特許第6,718,752号は、そのようなシェブロンの例を図21に図示している。この図示は、形状記憶合金(SMA)アクチュエータによって曲げられおよび真っ直ぐにされる流れ変更部品2102を有する既知の可変面積ファンノズル(VAFN)2100を特定している。
【0005】
したがって、流れの中におよび流れの中から曲がるまたは「回転する」ノズルシェブロンは、固定されたシェブロンに対していくつかの改善を提供するが、依然としてノズルの空気力学的な性能に対して妥協している。したがって、改善された音響減衰、推力、および/または燃料効率を提供しながら、ノズルの形状および排出面積を最適化することを可能にするさらなる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0094961号明細書
【発明の概要】
【0007】
本明細書で説明されるのは、ジェットエンジンの可変面積ファンノズル(VAFN)の流れ変更部品(また、「シェブロン」)をリニア駆動する、新規で有用な装置および方法の実施形態である。
【0008】
ジェットエンジン内に形成されたガス流路の直径を変化させるように、それぞれのシェブロンは、単独でまたはシェブロンのグループで、1つまたは複数のリニアアクチュエータによって前方または後方へ移動可能である。第1の位置において、シェブロンが、ガス流路に対して実質的に平行に配置され、抗力および/またはエンジン推力の損失を軽減する。第2の位置において、シェブロンが、後方へ動かされて前記ガス流路内に突出する、またはさらに突出する。それぞれのリニアアクチュエータについて、リニアアクチュエータの第1の構成部品が、エアフォイルに結合され、リニアアクチュエータの第2の構成部品が、対応するシェブロンに結合される。それぞれのリニアアクチュエータは、航空機に設置されたとき、制御装置および電源に結合される。制御装置に結合された位置センサは、リニアアクチュエータの位置および/またはシェブロンの位置を示すデータを制御装置に出力するように構成される。
【0009】
本開示の他の特徴および利点は、添付の図面に関連して説明される以下の明細書を参照することによって明らかになるであろう。
【0010】
ここで、添付の図面を簡単に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ジェットエンジンの斜視図である。
【図2】ジェットエンジンのエアフォイルのガス流路を変更するためにシェブロンを前方または後方へ動かすように構成された装置の実施形態の分解斜視図である。
【図3】図2の装置の実施形態の斜視図である。
【図4】図2の装置の実施形態の斜視図であり、第1(デフォルト)の位置にあり、ジェットエンジンのコアカウルに対して位置付けられた装置を示す図である。
【図5】図2の装置の実施形態の斜視図であり、第2(前方)の位置にあり、ジェットエンジンのコアカウルに対して位置付けられた装置を示す図である。
【図6】図2の装置の実施形態の斜視図であり、第3(後方)の位置にあり、ジェットエンジンのコアカウルに対して位置付けられた装置を示す図である。
【図7】ジェットエンジンのエアフォイルのガス流路を変更するためにシェブロンを前方または後方へ動かすように構成された装置の第2の実施形態の切欠き斜視図である。
【図8】図7の装置の第2の実施形態の斜視図であり、第1(デフォルト)の位置にある装置を示す図である。
【図9】図7の装置の第2の実施形態の斜視図であり、第2(後方)の位置にある装置を示す図である。
【図10】図7の装置の第2の実施形態の斜視図であり、第1(デフォルト)の位置にあり、ジェットエンジンのコアカウルに対して位置付けられた装置を示す図である。
【図11】ジェットエンジンのエアフォイルのガス流路を変更するためにシェブロンを前方または後方へ動かすように構成された装置の第3の実施形態の自由体図である。
【図12】図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置の実施形態を製造する方法の実施形態を図示するフローチャートである。
【図13】図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置の実施形態を整備または修理する方法の実施形態を図示するフローチャートである。
【図14】図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置の実施形態を航空機に設置する方法の実施形態を図示するフローチャートである。
【図15】航空機に設置される図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置の実施形態を整備または修理する方法の実施形態を図示するフローチャートである。
【図16】図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置の実施形態が、どのように1つまたは複数の航空機に結合されるかということを示すハイレベルの概略配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
該当する場合は、類似の参照文字は、複数の図面を通して同一または対応する構成部品およびユニットを示し、図面は、他に指定のない限り、原寸に比例しない。
【0013】
本明細書で使用されるように、単数形で記載され、用語「a」または「an」を用いて進められた部材または機能は、複数の前記部材または機能の排除が明示的に記載されているのでなければ、複数の前記部材または機能を排除するものとして理解されるべきではない。さらに、特許請求の範囲に記載された本発明の「一実施形態」を参照することは、記載された特徴も組み込む追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されるべきではない。
【0014】
簡単に言えば、本開示は、ジェットエンジンが、1つまたは複数のシェブロンに結合された1つまたは複数のリニアアクチュエータを含むカウル内に位置付けられたとき、ジェットエンジンの動作特性を改善することができるシェブロン装置の様々な実施形態を説明する。シェブロン装置は、流れ変更部品(以下、「シェブロン」という)および1つまたは複数のリニアアクチュエータを含み、リニアアクチュエータは、ファンノズル出口領域を変更するためにシェブロンを前方へ(すなわち、ジェットエンジンカウルの入口端の方へ向かって)および後方へ(すなわち、ジェットエンジンカウルの排出端の方へ向かって)移動し、騒音を低減し、防音性能を改善し、飛行エンベロープの様々な点における最適なファンダクト圧力を実現する。一例では、シェブロンを移動することによって、ファンノズル出口領域の寸法が変化し、特に、ジェットエンジンを脱出するガスの流路内のシェブロンの位置が変化する。高バイパスターボファンエンジンなどのジェットエンジンについて、移動するシェブロンを使用することによって、バイパス流路ノズルのサイズを最適化し、音響減衰を促進することが可能である。
【0015】
シェブロンは、独立して移動することが可能であり、または、他の例では、2つ以上のシェブロンを含むグループまたはセクション(例えば、四分円)として移動することが可能である。飛行中に(または、ジェットエンジンの他の固有の動作中に)シェブロンの配置を前方および後方へ独立してまたは局所的に変化させることによって、エンジンサイクル/ファンダクト性能および防音性能を最適化することが可能である。一例では、(すなわちヘルムホルツ共鳴器のような一実施形態では、)(1つまたは複数の)シェブロンは、例えばファンダクトの全体防音有効面積などの防音特性を改善するように扱われ、および/または構成される。
【0016】
アクチュエータの例には、リニアアクチュエータが含まれるが、シェブロン装置は、要求に応じて他のタイプのものを組み込むことも可能である。リニアアクチュエータが薄型であることによって、ジェットエンジンの全体的な空気力学エンベロープに対するシェブロン装置の断面積の影響が最小化される。さらに、リニアアクチュエータの精度によって、他のタイプのアクチュエータに関係する問題、例えば、回転アクチュエータおよび機械式ねじに共通のバックラッシュ問題のない、シェブロンの正確な位置決めが可能となる。また、1つまたは複数の実施形態は、例えばノズルの中心線に対してシェブロンを正確に配置することを助けるために、(例えば、リニアアクチュエータの一部として)位置感知機能を組み込み、および/またはエンコーダ機構を組み込むことも可能である。エンコーダは、相対位置のフィードバックを提供するのに有用である。例えば、エンコーダは、ロータおよびステータの相対位置を特定するために、リニアアクチュエータの一部として組み込むことも可能である。
【0017】
本開示では様々な構成が考慮されているが、一例では、1つまたは複数のシェブロンは、シェブロンの一体部品としてリニアアクチュエータの一部を組み込むことが可能である。この構成は、構造および組立体構成部品の冗長さを除去するのに役立つことが可能である。この特徴は、設計および実施を簡単にし、いくつかの観点において、修理、整備、改装、またはアップグレードのプロセスの一部として、(1つまたは複数の)シェブロンをジェットエンジンに装備することを可能にする。
【0018】
いつくかの他の特徴および利点には、1つまたは複数の次の事項および/またはそれらの組み合わせが含まれる。
(1)逆推力トランスレートカウルの後縁の高いねじり負荷を引き起こすことなく、ファンダクトノズルの断面積を調整する態様で、シェブロンを駆動することが可能である。
(2)リニアアクチュエータは、本質的に硬く、移動するシェブロンの構造的な負荷経路の一部となることが可能であり、結果として、重量効率の良い設計となる。
(3)個々のシェブロンにアクチュエータを使用することによって、飛行プロファイル中の特定の条件についての音響学的特性を調整することが可能となり、(すなわち、離陸、巡航、またはアプローチにおいて)改善された音響減衰が提供される。
(4)経年劣化し、シェブロンの大きい位置決め誤差を引き起こし、トランスレートカウル内にクリアランスおよび位置決め問題を生じる傾向がある、機械的リンク機構、ベルクランクなどのない簡単な設計が、リニアアクチュエータを使用することによって可能となる。
(5)リニアアクチュエータを使用することによって、1つまたは複数のシェブロンの迅速かつ正確な位置決めが可能となる。
(6)独立に、または選択されたグループとして、シェブロンを制御することによって推力偏向の能力がいくらか実現される。
【0019】
さらに他の利点および特徴は、以下に続く説明で本開示が提供する様々な実施形態に関連して明らかになるであろう。
【0020】
ここで、図面に戻って、図1は、ジェットエンジン102、パイロン104、およびエアフォイル106を含む航空機のエアフォイル部分100の概要を示す。ジェットエンジン102は、タービンエンジン(図示せず)の外部ケーシングとして機能するナセル108を含む。ジェットエンジン102は、前方端110および後方端112を有し、前方端110において、空気がタービンエンジンに入り、後方端112から、タービンエンジンが例えば排気ノズルを介して燃焼ガスを排出する。後方端112の近辺において、ジェットエンジン102は、内側カウル116(または「コアカウル116」)および外側カウル118(または「逆推力トランスレートカウル118」)を含む。内側カウル116および外側カウル118が、共にファンノズル出口領域を画定する。外側カウル118は、複数のシェブロン122を含むことができ、本開示は、ノズル/シェブロン装置(または「シェブロン装置」)に関連して、それを説明する。
【0021】
図2、図3、図4、図5、および図6は、装置200の例示的な一実施形態を様々な形態で示しており、装置200は、シェブロン装置124(図1)として使用され得る。図2は、装置200の分解斜視図を図示しており、装置200は、図1に示されたジェットエンジン102の一部分であるが、その大部分は明確化のために取り除かれている。本説明のために、図2は、前方端210、後方端212、内側カウル216、外側カウル218、およびファンノズル出口領域220を特定している。シェブロン装置200は、シェブロン222およびアクチュエータ組立体226を含み、アクチュエータ組立体226は、シェブロン222を前方および後方に動かして、例えばファンノズル出口領域220のサイズおよび寸法を変更する。図3は、図2の装置200の実施形態の斜視図である。図1および図2の外側カウル218の部分のみが示されており、それによって、装置200の実施形態が、より簡単に描かれ、説明され、そして理解され得る。
【0022】
図4は、図2の装置200の実施形態の斜視図であり、第1(または「デフォルト」)の位置にあり、内側カウル216に関連して位置付けられた装置200を示している。図5は、図2の装置200の実施形態の斜視図であり、アクチュエータ組立体226がシェブロン222を前方端210へ向けて動かした後に生じる第2(または「前方」)の位置にある装置200を示している。図6は、図2の装置200の実施形態の斜視図であり、第3(または「後方」)の位置にある装置を示している。後方位置は、アクチュエータ組立体226がシェブロン222を後方端212へ向けて、一例では、内側カウル216に近づくように動かした後に起こる。
【0023】
図2に図示されるように、外側カウル218(または「逆推力トランスレートカウル218」)は、第1部材228、第2部材230、および、それらの間に配置された第3部材232を含む。後方端212の近辺において、外側カウル218は、第1部材228と第2部材230との間に隙間または溝を形成するチャンネル234を有する。また、外側カウル218は、チャンネル234に近接して案内機構236を含む。チャンネル234内に配置され、第3部材232から後方端212へ長手方向に延在する1つまたは複数の案内部材238を、案内機構236は含む。シェブロン222は、基端部240、および後方端212へ向かって細くなる特徴付き端部242を有する。一例では、特徴付き端部242は、上から下を見た場合または下から上を見た場合に、実質的に三角形形状を有することが可能である。
【0024】
また、装置200は、アクチュエータ組立体226を囲むためにカバー組立体を含む。カバー組立体は、外側カウル218およびシェブロン222にそれぞれ固着された第1カバー246(または「第1ブリスタ246」)および第2カバー248(または「第2ブリスタ248」)を有する。カバー組立体は、一般的に、タービンエンジンを通る空気の流れの乱れを最小化するように構成される。例えばジェットエンジンの効率的な機能を促進するために必要な流体力学および空気力学も考慮に入れられるが、カバー組立体の形状、サイズ、および機能によって、アクチュエータ組立体226に対する損傷および摩耗が防止される。一実施形態において、第1カバー246と第2カバー248の両方が、外側カウル218およびシェブロン222の長手方向中心軸線と実質的に整合する長手方向中心軸線を有する。アクチュエータ組立体226およびシェブロン222の移動を可能にするために、第1カバー246および第2カバー248を、滑動可能に共に嵌合することが可能であり、カバー(例えば、第1カバー246および第2カバー248)のうちの一方は、他方のカバーが滑動可能に嵌合することができるような大きさの開口部を有する。
【0025】
基端部240は、案内部材238を受け入れることができるスロットまたは孔などの1つまたは複数の受け入れ特徴部(図示せず)を含むことができる。同様に、基端部240は、シェブロン222が外側カウル218に滑動可能に係合できるように、チャンネル234内に嵌合することが可能である。案内部材238は、シェブロン222の径方向の運動、エンジンの中心線に向かって内側へのまたは外側への両方の移動を防止するのに有用である。また、これらの部材は、シェブロン222を前方および後方へ案内し、振動、空隙などを防止することができる摩耗表面を提供する。また、他の例では、案内部材は、リニアアクチュエータへの動力が低下する場合にシェブロンをある位置(例えば、デフォルト位置)へ戻すことが可能な機構のようなものを含む他の機能を果たすことが可能である。
【0026】
図2は、第2部材230が、第1部材228よりも後方端212へ向かってより遠くへ延在することが可能であることを示している。一例では、第2部材230は、後方端212へ向かって厚さを薄くすることが可能である。これらの機構は、第2部材230からシェブロン222への移行を滑らかにし、外側カウル218とシェブロン222との間の空気力学および関連の流体力学のより良い特性を提供することが可能である。一実施形態では、外側カウル218および/または基端部240は、個別に形成された案内部材238の代わりに、連動特徴部を含むことができ、連動特徴部は、外側カウル218に対するシェブロン222の移動を可能にするが、またシェブロン222を安定にする。
【0027】
図3に最も良く示されているように、アクチュエータ組立体226の実施形態には、リニアアクチュエータ250が含まれ、リニアアクチュエータ250は、ステータ254に滑動可能に結合されたロータ252を備えた電磁リニアモータであることが好ましい。1つまたは複数の留め具256が、ステータ254を外側カウル218へ固定する。リニアアクチュエータ250としての使用に適したリニアモータは、既知であって容易に入手可能であり、したがって、それらがどのように構成され機能するかについての詳細の説明は本明細書では必要ではない。また、アクチュエータ組立体226は、リニアアクチュエータ250をシェブロン222に固定する支持構造体258を含む。
【0028】
一実施形態では、支持構造体258は、シェブロン222の基端部240に近接して固着されたタング260、および、リニアアクチュエータ250に固定された一対の対向する支持部材262を含む。支持部材262は、クレビス継手を形成し、タング260と一体化することが可能である。一例では、ピン264が、タング260および支持部材262のそれぞれに存在する開口部(例えば、孔、穴、開口など)を通るなどして、支持部材262をタング260に結合する。
【0029】
作動時には、ロータ252は、リニアアクチュエータ250に印加された電流に応答して、および/またはリニアアクチュエータ250によって生成される磁場に応答して、前方および後方へ動く。ロータ252の移動は、例えば支持構造体258を介してシェブロン222へ力を向かわせて、本明細書で規定されるようにシェブロン222を前方および後方へ動かす。設置の前に、リニアアクチュエータ250は、ジェットエンジンに搭載して使用するために試験され保証されるべきである。また、リニアアクチュエータ250は、後方端212へ向かって、ジェットエンジンが排出する燃焼ガスの流路内にシェブロン222を移動することができるべきであり、ジェットエンジンが作動しているときにシェブロンの1つまたは複数をガス流路内に移動することができるように大きな移動力で作動することができるべきである。
【0030】
図4、図5、および図6は、外側カウル218およびシェブロン222を、ジェットエンジンの内側カウル216との関係で示している。この構成によって、ガスが流れるファンノズル出口領域220が、ガス流路264に形成される。図4において、リニアアクチュエータ250およびシェブロン222は、第1(デフォルト)の位置にあり、そこでは、間隙距離266が、第3部材232の後方面端部から、シェブロン222の基端部240を分離している。図5において、リニアアクチュエータ250およびシェブロン222は、第2の(また、「前方の」または「後退された」)位置にあり、そこでは間隙距離266は低減されている。一例では、基端部240が第3部材232の後方面表面と実質的に結合するように、シェブロン222が後退し、それによって、シェブロン222が前方端210へ向かってさらに移動することを防止するハードストップ(hard stop)が形成される。図6において、リニアアクチュエータ250およびシェブロン222は、第3の(また、「後方の」または「延長された」)位置にあり、そこでは間隙距離266は拡大されて、シェブロン222の基端部240は、第1部材228および/または第2部材230の後縁に近接している。第1または第2の位置のうちの1つから第3の位置へ動かされると、シェブロン222の特徴付き端部242は、ガス流路264内へ突出し、またはさらに突出し、ファンノズル出口領域220を変更して、飛行エンベロープの様々な点において最適なファンダクト圧力を実現し、その最適なファンダクト圧力によって、エンジン騒音が低減され、および/または燃料効率が改善される。
【0031】
図7、図8、図9、および図10は、シェブロン装置124(図1)として使用するための装置300の第2の実施形態を示している。図7は、図1のジェットエンジン102の一部として一般的に組み込むことができる装置300の切欠き斜視図である。図8は、図7の装置300の斜視図であり、第1(または「デフォルト」)の位置にある装置300を示している。図9は、図7の装置300の第2の実施形態の斜視図であり、第2(または「後方」)の位置にある装置300を示している。
【0032】
まず、図7を参照すると、ジェットエンジンは詳細に示されていないが、参照数字が、前方端310、後方端312、内側カウル316、外側カウル318、およびファンノズル出口領域320を含む一定の特徴を特定している。装置300は、シェブロン322およびアクチュエータ組立体326を含み、この場合では、アクチュエータ組立体326は、ロータ352およびステータ354を備えたリニアアクチュエータ350である。シェブロン322は、基端部340、および、基端部340よりも幅が狭くおよび/または厚さが薄い特徴付き端部342を有する。特徴付き端部342は、幾何学的に、示されているような形状とすることが可能であり、その結果、シェブロン322の後縁は先端部Tを有する。一実施形態では、シェブロン322は平面的であり、湾曲していない。別の実施形態では、シェブロン322は、ジェットエンジン102の中心線へ先端を向かわせるような所定の湾曲を備えた平面である。
【0033】
外側カウル318は、外側部材368および内側部材370を含み、内側部材370は、外側カウル318の後方端から前方へ延在する、材料の厚さが低減された領域372を含む。装置300の構成は、例えば上述の装置200に見られるカバーおよび関連する設置物を使用しない。むしろ、装置300の構成部品は、外側カウル318、特に外側部材368がすべての必要な構成部品を収納することを可能にする。さらに、この構成は、例えばジェットエンジン上で見られるように、外側カウル318の空気力学的な完全性を維持するように装置300のプロファイルを減少させる。一例では、外側カウル318は、チャンネル(例えば、前出の図のチャンネル234)を含むことができ、チャンネルが取り除かれて、領域374を形成する開口された上部が提供されることも可能である。
【0034】
外側部材368が取り除かれている図8に最も良く示されているように、領域372は、シェブロン322の進入を受け入れることが可能であり、一例では、アクチュエータ組立体の様々な部材を固定することができるプラットフォーム表面374を形成している。また、シェブロン322は、長手方向に延在するスロット378を備えたキャビティ376を含み、スロット378はフランジ380を形成する。また、装置300は、案内部材382、カウル支持ブラケット384、シェブロン支持ブラケット386、および留め具388を含む。
【0035】
キャビティ376は、シェブロン322の外縁に対して中央に位置付けることが可能である。本例において、リニアアクチュエータ350はキャビティ376内に存在しており、特に、ロータ352がスロット378内に設置され、ステータ354がロータ352に沿って移動する。案内部材382は、シェブロン322の外縁に固定されており、外側カウル318のプラットフォーム領域374に近接している。案内部材382は、シェブロン322の径方向運動およびねじり運動を防止するリニア軸受を含むことができる。一般的に、案内部材382は、シェブロン322を前方および後方へ案内し、振動、空隙などを防止することができる摩耗表面を提供する。一実施形態では、案内部材382は、フランジ、または、シェブロン322の基端部340の縁に沿って形成された凹部などのような他の機構に取り付けることが可能である。
【0036】
一実施形態では、カウル支持ブラケット384およびシェブロン支持ブラケット386が、領域372および/またはキャビティ376に設置される。ブラケットは、リニアアクチュエータ350を固定し、シェブロン322の移動によって生じた負荷に効果的に対応する。カウル支持ブラケット384は、ステータ354(例えば、静止軌道)を外側カウル318に固定し、リニアアクチュエータ350の駆動時のロータ352の移動を防止する。シェブロン支持ブラケット386は、ロータ352をフランジ380に固定するように構成することが可能である。一例では、装置300は、留め具、および、リニアアクチュエータ350を外側カウル318およびシェブロン322のそれぞれに固定する適切なブラケットを含むことができる。他の例では、リニアアクチュエータ350の1つまたは複数の構成部品は、シェブロン322の基端部340と一体的に形成することが可能である。
【0037】
図7、図8、および図9を参照すると、基端部340が嵌合し、外側部材368と外側カウル318(または、この部材が知られているように「トランスレートスリーブ」)のプラットフォーム374との間で移動することができるように、シェブロン322は領域372内に設置されている。本例では、リニアアクチュエータ350も、シェブロン322内に収納されており、例えば、外側部材368によって囲まれている。図7および図8において、シェブロン322は、基準位置に示され、間隙距離366を形成しており、そこから、シェブロン322を前方または後方へ駆動して、異なるノズルスロートおよび音響減衰を実現することが可能である。例えば、リニアアクチュエータ350が励磁されると、シェブロン322は、必要に応じて前方または後方へ移動し、内側カウル316に対する外側カウル318の関係を変更し、さらにファンノズル出口領域320の直径を変更する。この関係の変化の程度は、間隙距離366によって規定され得る。図9において、シェブロン322が後方へ移動するにしたがって、間隙距離366が増加する。
【0038】
図10は、図8の装置300の斜視図であり、ジェットエンジンのコアカウル316に関連して第1の位置にある装置300を示している。
【0039】
図11は、シェブロン422を前方または後方へ動かし、ジェットエンジン(例えば、前出の図のジェットエンジン102)内のガス流路を変更するように構成された装置400の第3の実施形態の自由体図である。図11において、外側カウル418の外側部材(例えば、前出の図の外側部材218、318)および案内部材(例えば、前出の図の案内部材238、382)は、明確にするために省略されている。
【0040】
さらに重要なことには、図11は、例示的な構成を図示しており、その構成において、シェブロン422は、リニアアクチュエータ450の構成部品を組み込む基端部440を有している。例えば、装置400はブラケット490を含み、ブラケット490は、外側カウル418の後方端に形成された領域476内に収納されており、外側カウル418に取り付けられている。リニアアクチュエータ450のステータ454は、支持ブラケット490に取り付けられており、シェブロン422の基端部440に形成されたチャンネル492内に滑動可能に嵌合されている。リニアアクチュエータ450のロータ(図示せず)は、シェブロン422の基端部440と一体に形成され、1つまたは複数の磁石494が収納されている。シェブロン422は、ばね496によって後退される。ばね496の一端は、シェブロン422に取り付けられており、他端は、ブラケット490、ステータ454、および/または、外側カウル418内に形成された領域476の他の場所に取り付けられている。また、装置400は、位置センサ493を含み、一例では、位置センサ493は、シェブロン422内に一体に形成されている。位置センサ493は、制御装置(例えば、図16の制御装置908)に有線または無線で結合され得る。使用するとき、位置センサ493は、リニアアクチュエータ450およびシェブロン422のうちの少なくとも1つの正確な位置を感知する。センサ493は、その正確な位置を示すデータを制御装置(例えば、図16の制御装置908)へ出力することが可能である。
【0041】
図12は、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置200、300、400の実施形態を製造する方法500の実施形態を図示するフローチャートである。方法500は、ブロック502において、シェブロンをリニアアクチュエータに固定するステップと、ブロック504において、リニアアクチュエータをジェットエンジンのカウルまたは他の部分に固定するステップとを含むことができる。
【0042】
一般的に、工場におけるジェットエンジンの製造において、または、他の状況において既存のジェットエンジンに1つまたは複数の上述の装置を装備するための手段として、方法500を使用することが可能である。新たな組立てのために、装置200、300、および400のうちのいずれか1つを統合することが、より適切であり得る。特定の構成部品を統合する必要のある設計は、設計完成前に特定され、したがって、特に、装置200、300、および400の仕様通りに、ジェットエンジンの1つまたは複数の構成部品を製造することが可能である。その一方で、シェブロン装置を既存のジェットエンジンに統合することには、統合を成功させるために、より労力のかかる構築/再構築作業が必要とされる。ジェットエンジンを解体し、特定の構成部品を(例えば、機械加工、溶接、穴あけなどによって)改造して、本開示が本明細書で考慮している1つまたは複数の構成部品を収容する追加のステップが必要とされる。
【0043】
既存のジェットエンジンの修理および改装に関連して、図13は、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置200、300、400の実施形態を整備または修理する方法600の実施形態を図示するフローチャートである。方法600は、ブロック602において、シェブロンを既存構造のジェットエンジンから外すステップと、ブロック604において、同一のシェブロンをリニアアクチュエータに固定するステップと、ブロック606において、リニアアクチュエータをジェットエンジンのカウルまたは他の部分に固定するステップとを含む。
【0044】
既存のエンジンを扱うとき、移動のために他の構成部品にすでに固定されたシェブロンに遭遇する可能性がある。例えば、既存のシェブロンの構成は、異なる態様で、および本明細書で考慮されるものとは異なる理由により、移動または駆動することが可能である。例えば、支柱の位置決め並びに加工工具および機器が必要とされる実施形態を含むシェブロンを取り除いて再挿入することを容易にする、様々な他のデバイスを実施することを考えることは合理的であり得る。
【0045】
図14は、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置200、300、400の実施形態をジェットエンジンに設置する方法700の実施形態を図示するフローチャートである。方法700は、ブロック702において、シェブロンの移動を感知するために位置センサを位置付けるステップを含む。また、方法700は、ブロック704において、制御装置を位置決めセンサおよびリニアアクチュエータに結合するステップを含む。さらに、方法700は、ブロック706において、動力源(例えば、電源)をリニアアクチュエータに結合するステップを含む。
【0046】
また、方法700は、方法500および600の実施形態に見られるステップを含む、他のステップを含むことも可能である。高いレベルで、位置決めセンサは、シェブロンの位置を監視するのに有用であり、さらに重要なことには、シェブロンが燃焼ガスの流路内にどの程度延在するかを決定するのに有用である。一例では、位置センサは、シェブロン、および/またはリニアアクチュエータの一部に近接していることが可能である。他の例では、リニアアクチュエータの一部として、または、本明細書で考慮されるようなシェブロンの位置を監視および決定するのに適切な入力を提供する他のデバイス(例えば、エンコーダ)の一部として、位置決めセンサを組み込むことが可能である。
【0047】
図15は、航空機に設置される図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置200、300、400の実施形態を整備または修理する方法800の実施形態を図示するフローチャートである。また、方法800は、本明細書で開示されるような調整可能なシェブロンを事前に組立てられたジェットエンジンに提供するのに必要な機器を装備するための他の方法(例えば、方法500、600、700または前出の図)と共に実施することが可能である。
【0048】
また、方法800は、ブロック802において、動力源をアクチュエータから分離するステップと、ブロック804において、制御装置をアクチュエータから分離するステップとを含む。また、方法800は、ブロック806において、位置センサを1つまたは複数の制御装置、シェブロン、およびアクチュエータから分離するステップも含む。さらに、方法800は、ブロック808において、1つまたは複数のアクチュエータ、位置センサ、およびシェブロンを交換するステップも含む。
【0049】
上述のように、装置200、300、400のいくつかの実施形態は、ジェットエンジンに配置されたシェブロンの移動を生じさせる既存のハードウェアを用いてジェットエンジンに設置することが可能である。このハードウェアのいくつかまたは全てを交換して、本開示の改善されたシェブロン装置の使用を容易にすることが可能である。例えば、アクチュエータを、より良い性能、正確性、およびより薄型であることを提供するリニアアクチュエータと交換することが可能である。シェブロンは、リニアアクチュエータと接続するようにはなっておらず、したがって、一例では、必要に応じて交換シェブロンが提供され、設置される。さらに、本開示の他の例では、上述の装置の活動化および実施を促進するために、制御装置、動力源、または、制御システムの他の部材のアップグレードが考慮される。
【0050】
図16は、図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図9、図10、および図11の装置200、300、400の実施形態が、どのように1つまたは複数の航空機構成部品に結合されるかということを示すハイレベルの概略配線図である。一般的に、本開示の概念を実施するために様々な制御構成を使用することが可能である。そのような制御構成は、より典型的には、ジェットエンジン、および/または、その上にジェットエンジンが組み立てられる航空機の制御構造によって決定される。図16の例は、オペレータインターフェース902、動力源904、リニアアクチュエータ906、および制御装置908を含む1つの構造900の概略図を提供している。また、構成900は、位置センサ910、逆推力装置位置センサ912、アクチュエータ914、および逆推力装置916も含む。
【0051】
制御装置908は、航空機、ジェットエンジンなどのデバイスおよびシステムの一般的な動作のために構成されたプロセッサ、メモリ、および制御回路などの様々な構成部品を含むことができる。集合的に、制御装置908の部品は、高度の論理関数、アルゴリズム、並びにファームウェアおよびソフトウェア命令を実行する。一例では、プロセッサは、ASICおよび/またはFPGAなどの中央処理装置(CPU)である。また、プロセッサは、状態機械回路、または、位置決めセンサ910からの入力を受信することができる他の適切な構成部品を含むことも可能である。メモリは、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含み、ソフトウェア(またはファームウェア)命令および構成設定の記憶のために使用することが可能である。いくつかの実施形態では、プロセッサ、メモリ、および制御回路は、単一の集積回路(IC)または他の構成部品に含まれ得る。別の例では、プロセッサは、RAMおよび/またはROMなどの内部プログラムメモリを含むことができる。同様に、これらの構成部品の1つまたは複数の関数は、追加の構成部品(例えば、マルチプロセッサまたは他の構成部品)に分散され得る。
【0052】
オペレータインターフェース902は、航空機のコクピットで見られるようなディスプレイの一部とすることが可能である。オペレータインターフェース902は、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)を提供することが可能である。一例では、GUIは、内側カウルに対して、または、ある構成では、ジェットエンジンおよび/またはエアフォイルの上の別の固定された場所に対して、シェブロンの位置を特定する。別の例では、構成900は、ジェットエンジンから脱出する燃焼ガスのパラメータを監視する流量計、センサ、または他の流量検出デバイスを含むことができる。この情報は、シェブロンの正しい位置、および、リニアアクチュエータを作動させて要求通りに位置を変化させるための迅速な手動および/または自動応答を決定するために使用することが可能である。
【0053】
例示的な実施形態の小さな例が以下に続く。
【0054】
一実施形態では、シェブロンは、先端部に向かって細くなる特徴付き端部と、キャビティを含む基端部とを含み、キャビティは、リニアアクチュエータの構成部品を受け入れるように構成されたスロットを含む。
【0055】
一実施形態では、前述のシェブロンにおいて、シェブロンは、さらに、1つまたは複数のリニアスライドに固定されるように構成されている。
【0056】
一実施形態では、前述のシェブロンにおいて、基端部は、案内部材を受け入れるためのスロットを含む。
【0057】
一実施形態では、逆推力トランスレートカウルは、チャンネルを備えた後方端を含み、チャンネルは、シェブロンの基端部を受け入れるようにサイズ設定されている。
【0058】
一実施形態では、前述の逆推力トランスレートカウルにおいて、チャンネルが、第1部材と第2部材との間に形成されている。
【0059】
一実施形態では、前述の逆推力トランスレートカウルにおいて、チャンネルが、後方端において低減された直径の領域を形成する、開口された上部端を有する。
【0060】
一実施形態では、シェブロンをジェットエンジンに固定する方法において、前記方法は、シェブロンをリニアアクチュエータに固定するステップと、リニアアクチュエータをジェットエンジンの外側カウルに固定するステップとを含み、シェブロンは、ジェットエンジンの外側カウルおよび内側カウルによって形成されたガス流路に対してシェブロンの位置を変化させるように、リニアアクチュエータによって前方または後方へ移動可能である。
【0061】
一実施形態では、前述の方法は、ジェットエンジンからシェブロンを外すステップと、アクチュエータをリニアアクチュエータに交換するステップとをさらに含む。
【0062】
一実施形態では、前述の方法において、リニアアクチュエータは、外側カウルおよび内側カウルのそれぞれに固定されている。
【0063】
一実施形態では、前述の方法において、シェブロンは、外側カウルのチャンネル内に嵌合される基端部を有する。
【0064】
本開示の中で該当する場合は、本明細書で記載された数値や他の値は、明確に記述されているか、または本開示の説明によって本質的に得ることができるかのいずれにしても、用語「約」によって修正されることが考えられる。本明細書で使用されるように、用語「約」は、それに限定されないが、許容範囲および最大の値を含むように、およびそのように修正された数値を含んで、修正された値の数値境界を規定する。すなわち、数値は、明確に記述された実際の値、および、本開示に示されたおよび/または記載された実際の値の小数、分数、または倍数である、またはその可能性がある、他の値を含むことができる。
【0065】
本書は、最良の形態を含めて本発明の実施形態を開示するために、また、任意のデバイスまたはシステムを作ることおよび使用すること、並びに、任意の組み込まれた方法を実施することを含めて本発明を当業者が実施することができるようにするために、例を使用している。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が思い付く他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造部材を有する場合、または、特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない均等の構造部材を含む場合、特許請求の範囲の中に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0066】
100 エアフォイル部分
102 ジェットエンジン
104 パイロン
106 エアフォイル
108 ナセル
110 前方端
112 後方端
116 内側カウル、コアカウル
118 外側カウル、逆推力トランスレートカウル
122 シェブロン
124 シェブロン装置
200 装置
210 前方端
212 後方端
216 内側カウル
218 外側カウル、逆推力トランスレートカウル、外側部材
220 ファンノズル出口領域
222 シェブロン
226 アクチュエータ組立体
228 第1部材
230 第2部材
232 第3部材
234 チャンネル
236 案内機構
238 案内部材
240 基端部
242 特徴付き端部
246 第1カバー、第1ブリスタ
248 第2カバー、第2ブリスタ
250 リニアアクチュエータ
252 ロータ
254 ステータ
256 留め具
258 支持構造体
260 タング
262 支持部材
264 ガス流路、ピン
266 間隙距離
300 装置
310 前方端
312 後方端
316 内側カウル、コアカウル
318 外側カウル、外側部材
320 ファンノズル出口領域
322 シェブロン
326 アクチュエータ組立体
340 基端部
342 特徴付き端部
350 リニアアクチュエータ
352 ロータ
354 ステータ
366 間隙距離
368 外側部材
370 内側部材
372 領域
374 プラットフォーム表面、プラットフォーム、プラットフォーム領域
376 キャビティ
378 スロット
380 フランジ
382 案内部材、
384 カウル支持ブラケット
386 シェブロン支持ブラケット
388 留め具
400 装置
418 外側カウル
422 シェブロン
440 基端部
450 リニアアクチュエータ
454 ステータ
476 領域
490 ブラケット
492 チャンネル
493 位置センサ
494 磁石
496 ばね
900 構造、構成
902 オペレータインターフェース
904 動力源
906 リニアアクチュエータ
908 制御装置
910 位置センサ、位置決めセンサ
912 逆推力装置位置センサ
914 アクチュエータ
916 逆推力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェットエンジンに使用され、ガスが脱出することができるガス流路を内側カウルと共に形成するトランスカウルであって、
シェブロンと、
前記シェブロンに結合されたリニアアクチュエータとを備え、
前記シェブロンが前記リニアアクチュエータによって前方または後方へ移動可能であり、前記シェブロンの位置を前記ガス流路に対して変化させる、トランスカウル。
【請求項2】
第1の位置において、前記シェブロンが、前記ガス流路に対して実質的に平行に配置され、抗力および/またはエンジン推力の損失を軽減する、請求項1記載のトランスカウル。
【請求項3】
第2の位置において、前記シェブロンが後方へ移動され、前記ガス流路内に突出する、請求項2記載のトランスカウル。
【請求項4】
前記リニアアクチュエータが、前記トランスカウルの外側部材に結合される、請求項1記載のトランスカウル。
【請求項5】
前記シェブロンが、前記トランスカウルの前記外側部材と内側部材との間に形成されたチャンネル内に配置される基端部を有する、請求項4記載のトランスカウル。
【請求項6】
前記シェブロンに結合されたハウジング組立体をさらに含み、前記ハウジング組立体は、前記リニアアクチュエータを収納するように構成されており、前記ハウジング組立体は、前記ガス流路に対して前記シェブロンを延長および後退させるように前記リニアアクチュエータの移動を可能とするように構成されている、請求項1記載のトランスカウル。
【請求項7】
前記ハウジング組立体は、前記トランスカウルの外側部材に結合された第1のハウジングを含む、請求項6記載のトランスカウル。
【請求項8】
前記ハウジング組立体は、前記シェブロンに結合された第2のハウジングを含み、前記第2のハウジングは、前記第1のハウジングに滑動可能に嵌合される、請求項7記載のトランスカウル。
【請求項9】
前記リニアアクチュエータに結合された制御装置をさらに含む、請求項1記載のトランスカウル。
【請求項10】
前記制御装置に結合され、前記リニアアクチュエータの位置および/または前記シェブロンの位置を示すデータを前記制御装置に出力するように構成された位置センサをさらに含む、請求項9記載のトランスカウル。
【請求項11】
内側カウルおよび外側カウルによってジェットエンジン内に形成されたガス流路を変化させる装置であって、
シェブロンと、
前記シェブロンに結合され、および前記ジェットエンジンの外側カウルに結合されたリニアアクチュエータとを備え、
前記シェブロンが前記リニアアクチュエータによって前方または後方へ移動可能であり、前記シェブロンの位置を前記ガス流路に対して変化させる、装置。
【請求項12】
前記シェブロンの上に配置されたタングをさらに含み、前記タングが、前記リニアアクチュエータの対向する構造部材と共にクレビス継手を形成する、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記外側カウルの外側部材および前記シェブロンに固定されたハウジング組立体をさらに含む、請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記シェブロンが、前記リニアアクチュエータの構成部品を受け入れるようにサイズ設定および構成されたスロットを含む、請求項11記載の装置。
【請求項15】
シェブロンを位置決めする装置であって、
リニアアクチュエータと、
トランスカウルの対応するチャンネル内に嵌合されるように構成された基端部を有するシェブロンと、
前記トランスカウルおよび前記シェブロンに固定された案内部材とを備え、
前記シェブロンが前記リニアアクチュエータによって前方または後方へ移動可能である、前記シェブロンの位置をガス流路に対して変化させる、装置。
【請求項16】
前記案内部材が、リニアスライドを含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
外側カウルおよび前記シェブロンのそれぞれに固定することができるハウジング組立体をさらに含み、前記ハウジング組立体が、前記リニアアクチュエータを格納する、請求項15記載の装置。
【請求項18】
航空機の制御装置に結合された位置センサをさらに含み、前記位置センサが、前記リニアアクチュエータの位置および/または前記シェブロンの位置を示すデータを前記制御装置に出力するように構成されている、請求項15記載の装置。
【請求項19】
前記シェブロンとクレビス継手を形成する支持構造体をさらに含む、請求項15記載の装置。
【請求項20】
前記支持構造体は、対向する構造部材、および、前記シェブロンの上に配置されたタングと接続されたピンを含む、請求項19記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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