説明

ジェットノズルの取付機構

【課題】 溶接のばらつきによる品質不良をなくし、杭に対するソケットの取り付けおよび取り外しの手間を少なくして、ジェットノズルを杭に迅速かつ確実に取り付けることができるジェットノズルの取付機構を提供する。
【解決手段】 圧入する杭30の先端付近に、ジェットノズル10のソケット20を取付手段31によって着脱自在に取り付け、ノズル本体11の外周に構成したソケット20の逆噴射口22と杭30の表面間にシール材23を介在させた、上記取付手段31を、杭30の圧入方向に配列して取り付け、圧入時の抵抗を軽減させたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェット水を噴射するためにジェットホースの先端に取り付けるジェットノズルを杭に取り付けるための取付機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より杭の圧入時の際、硬質地盤の場合には、圧入杭にホースを添わせて圧入し、このホース先端からジェット水を噴射して、杭の圧入を行っていた。
この場合、杭に対してホース先端のジェットノズルを取り付ける方法として特許文献1に記載されたジェットノズル装置があった。このジェットノズル装置では、ノズル本体をシャーピンによってソケットに取り付け、このソケットを杭に固定しているものである。
【特許文献1】特開平9−209357
【0003】
上記の取付方法は、通常、工事現場でソケットを杭に溶接しているため、溶接のばらつきにより品質が一定しないという問題点があり、また杭に溶接をするとその後杭を再使用する際に、ソケットを外す必要が生じ手間がかかったのである。さらに、状況によってはソケット逆噴射口よりの水漏れを防ぐために全周溶接が必要となり、溶接量が多くなり取付作業に手間がかかるという問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、溶接のばらつきによる品質不良をなくし、杭に対するソケットの取り付けおよび取り外しの手間を少なくして、ジェットノズルを杭に迅速かつ確実に取り付けることができるジェットノズルの取付機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨とするところは、圧入する杭の先端付近に、ノズル本体の外周に構成したソケットを取付手段によって着脱自在に取り付けられることにある。
【0006】
また本発明の要旨とするところは、上記ソケットには、取り付けられる杭の表面と合わさる側に逆噴射口が構成されていることを特徴とする。
【0007】
上記取付手段を、ボルトとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記の如き構成であるため、溶接のばらつきによる品質不良を防ぎ、ソケットの取り付けおよび取り外しの際の時間及び手間を省くことができるため、ジェットノズルを杭に迅速かつ確実に取り付けることができる等の効果を奏する。
【0009】
また上記ソケットに、杭の表面と合わさる側に逆噴射口を構成することにより、ノズル本体が杭から外れたときに、上記逆噴射口からの放水によりジェットホースの跳ね上がりを防止して安全性が確保される
【0010】
また上記取付手段をボルトとしたことにより、ジェットノズルの取り付け取り外しを迅速かつ確実に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態の構成を図に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態の縦断面側面図、図2は図1のII―II線に沿う断面図、図3は本発明の第2実施形態を示す正面図、図4は本発明の第3実施形態を示すものであり図2と同様の位置の断面図、図5は本発明の第4実施形態を示すものであり図2と同様の位置の断面図、図6は本発明の第5実施形態を示すものであり図2と同様の位置の断面図及び図7は本発明の第6実施形態を示すものであり図2と同様の位置の断面図である。
本発明の第1実施形態は、図1及び図2に示すものである。図において符号10はジェット水を噴射するノズルである。このノズル10はノズル本体11の周囲に構成したソケット20の一側を杭30の表面に固定することによって、杭30に取り付けている。
【0012】
上記ノズル本体11の内部にはノズルの逆噴射口11aを形成し、このノズルの逆噴射口11aの開口端部に連通してソケットの逆噴射口22が穿設されている。
上記ソケットの逆噴射口22には、ゴムパッキン23が充填されていて、さらにシール材24が塗布されている。
上記シール手段としてのゴムパッキン23とシール材24は必要に応じて、いずれか一方を設けるだけでも良い。
【0013】
上記ノズル10の杭30への取り付けの際には、ソケット20の上部に取付部21を構成し、この取付部21にボルト31を螺合すると共に、ソケット20下部にボルト30を螺合することで行なう。
本実施形態では、杭30として鋼矢板を使用していて、杭10の裏側からボルト31で固定するのである。
以上のように、本実施形態によれば、ボルト31によって簡易、迅速にノズル10を杭30に取り付けることができる。また、ノズル10の取り外しも容易にできる上に、杭の再使用も可能となる等の効果を奏する。
【0014】
図2はノズル10の背面側を表しているが、上部のボルト31と下部のボルト31がソケット10の中心線100上に配置されている。この中心線100は杭30の圧入方向であるため、杭30の圧入に際してボルト31にかかる土圧からの抵抗が最小限に押えられるというメリットがある。
【0015】
本発明の第2実施形態を図3に示す。
本実施形態は、主としてソケット40を杭10の表側から取り付ける場合に利用される。本実施形態ではソケット40の3ケ所に取付部41を設けている。すなわちソケット40の上端と下端の両側に設けた取付部41をボルト31によって杭30に固定している。
本実施形態では、杭30の表側から固定することができるため、鋼管矢板や鋼管杭にも適用できる。
【0016】
本発明の第3実施形態を図4に示す。
本実施形態ではソケット50の両側2ケ所に取付部51を設け、ボルト31によって杭に固定している。
本実施形態は、ソケット50をコンパクトに構成することができ、杭30の表側から固定するときに有効であり、ノズルを杭に近づけることができる。また、地中で杭を回動させるときに水平方向の抵抗に有効なボルト配置である。
【0017】
本発明の第4実施形態を図5に示す。
本実施形態ではソケット60の上側部1ケ所に取付部61を設け、これに設けたボルト31と、上記取付部61の対角線上に設けたソケット60下部のボルト31によって杭に固定している。
本実施形態では、ソケット60の垂直及び水平方向の抵抗に有効なボルト配置であり、シール性が高く、少ないボルトでソケット60を杭に効率的に固定できる。
【0018】
本発明の第5実施形態を図6に示す。
本実施形態ではソケット70の上端部1ケ所と両側に取付部71を設け、この取付部71に設けたボルト31とソケット70下部に取付けたボルト31によって杭に固定している。
本実施形態では、ソケット70の取付強度が要求される場合に有効なボルト配置であり、シール性が高いのである。
【0019】
本発明の第6実施形態を図7に示す。
本実施形態ではソケット80の上部に取付部81を設け、この取付部81に設けた2個のボルト31と、ソケット80下部に取付けた2個のボルト31によって杭に固定している。
本実施形態では、ソケット80の取付強度が要求される場合に有効なボルト配置であり、圧入抵抗が軽減されるとともにシール性が高いというメリットがある。
なお、上記各実施形態において、取付手段としてボルト31に代えて、ピンを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の縦断面側面図
【図2】図1のII―II線に沿う断面図
【図3】本発明の第2実施形態を示す正面図
【図4】本発明の第3実施形態を示すものであり図2と同様の位置の断面図
【図5】本発明の第4実施形態を示すものであり図2と同様の位置の断面図
【図6】本発明の第5実施形態を示すものであり図2と同様の位置の断面図
【図7】本発明の第6実施形態を示すものであり図2と同様の位置の断面図
【符号の説明】
【0021】
10 ノズル
11 ノズル本体
20 ソケット
21 取付部
22 ソケットの逆噴射口
23 ゴムパッキン(シール手段)
24 シール材(シール手段)
30 杭
40 ソケット
31 ボルト
41 取付部
50 ソケット
51 取付部
60 ソケット
61 取付部
70 ソケット
71 取付部
80 ソケット
81 取付部
100 ソケットの中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧入する杭の先端付近に、ノズル本体の外周に構成したソケットを取付手段によって着脱自在に取り付けられるジェットノズルの取付機構。
【請求項2】
上記ソケットには、取り付けられる杭の表面と合わさる側に逆噴射口が構成されていることを特徴とする請求項1記載のジェットノズルの取付機構。
【請求項3】
上記取付手段を、ボルトとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のジェットノズルの取付機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−193970(P2006−193970A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6493(P2005−6493)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000141521)株式会社技研製作所 (83)
【Fターム(参考)】