ジェット及びそれを備えたジェットクリーナー
【課題】本発明は、エアクリーナーやウォータークリーナーに使用されるものであって、それによって孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔(隙間)外に押出すことができるジェット及びそれを備えたジェットクリーナーを提供することをその目的とする。
【解決手段】大端開口と小端開口とを有する細管形で、洗浄用流体を大端開口から導入してから、軸方向に沿って小端開口を経由し噴出するものであって、前記小端開口は、その噴出直前の流れ方向の反対方向若しくは該反対方向に対して鋭角に傾斜する方向へ向かうようになっているジェットを提供する。
【解決手段】大端開口と小端開口とを有する細管形で、洗浄用流体を大端開口から導入してから、軸方向に沿って小端開口を経由し噴出するものであって、前記小端開口は、その噴出直前の流れ方向の反対方向若しくは該反対方向に対して鋭角に傾斜する方向へ向かうようになっているジェットを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェット及びそれを備えたジェットクリーナーに関し、特にエアクリーナーやウォータークリーナーにおけるジェットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアクリーナーやウォータークリーナーにおけるジェットは、図7A及び図7Bに示すように、大端開口と小端開口とを有する直管型や湾曲型の細管で、エアやウォーターなどの洗浄用流体を大端開口から導入してから、軸方向に沿って小端開口を経由し噴出するものである。
【0003】
ところで、エアクリーナーやウォータークリーナーは、その用途によって、通常時にジェットから洗浄用流体を噴出しないで、ただジェットの先端(小端開口を有する一端)がなにかにタッチしてジェット全体を後方(大端開口を有する他端の方)へ変位させる場合、洗浄用流体を噴出する、という制御方式を有するものがある。その方式では、噴流が阻害されないよう、ジェットの小端開口はもちろん図7A及び図7Bのように先端の真っ正面にあるのではなく、図7C及び図7Dのように、少し側辺に偏って洗浄用流体を斜め前方に噴出することができるようになっている。
【0004】
しかし、前記のような直射型であれ、斜射型であれ、いずれも洗浄用流体の噴射によって物品の表面を洗浄することができるが、ジェットの細長い形状を利用して小孔や隙間に差し込んで小孔や隙間内の汚れや埃、異物を洗浄しようとしても、洗浄が不十分となる場合がある。特に、精密工業に使われるマシン、例えば印刷回路基板の孔開けをするドリルドライバの切削溝やチャックを洗浄する時、汚れや埃、異物は前方への噴流によってさらに深く狭いところへ押されて進入し、日に日に中に積もって堆積物となり、ドリルドライバの芯出や回転の精密性、安定性、ないし印刷回路基板の品質や生産にも悪影響を与える欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記に鑑みて、本発明は、エアクリーナーやウォータークリーナーに使用されるものであって、それによって孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔や隙間外に押出すことができるジェットを提供することをその目的とする。
【0006】
また、本発明は、前記ジェットを備えたエアクリーナーやウォータークリーナーなどのジェットクリーナーを提供することをそのもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、まず、大端開口と小端開口とを有する細管形で、洗浄用流体を大端開口から導入してから、軸方向に沿って小端開口を経由し噴出するものであって、前記小端開口はその噴出直前の流れ方向の反対方向若しくは該反対方向に対して鋭角に傾斜する方向へ向かうようになっているジェットを提供する。
【0008】
前記細管形とは、その内径がその長さに対し、比較的小さいものを言うが、管の絶対的なサイズを言わない。直管形のものに限らず、必要に応じて湾曲形になっても構わない。
【0009】
そして、直管形である場合、この噴出直前の流れ方向の反対方向は、洗浄用流体の大端開口からの導入方向の反対方向になる。
【0010】
次に、本発明は、他の側面からみれば、本発明の前記ジェットを使用していて洗浄用流体をそのジェット先端から噴出することができるジェットクリーナーをも提供する。
【0011】
前記ジェットクリーナーとは、普通の固定型はもちろん、通常時に洗浄用流体を噴出しないでただジェットの先端がなにかにタッチしてジェット全体を後方へ変位させる場合、初めて洗浄用流体をジェット先端から噴出するジェットクリーナーをも言う。
【発明の効果】
【0012】
前記構成によるジェットは、噴出方向の小端開口が噴出直前の流れ方向の反対方向、特に、直管形であれば、大端開口における導入方向の反対方向へ向かうようになっているので、使用時に対象物に吹き付けて孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔や隙間外に押出すことができる。
【0013】
また、本発明は前記ジェットを備えたジェットクリーナーをも提供するので、即ち、使用者の需要によって前記構成によるジェットを機体または台座に取付けて形成された形で使用することができるので、前記ジェットの長所を生かしてジェットクリーナーの使用を従来よりもっと便利、もっと有効にさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図示を参照しながら本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0015】
図1に示すのは、本発明の好適な実施例のジェットクリーナー、即ち本発明の好適な実施例のジェットを備えたジェットクリーナーの部分断面図である。この実施例のジェットクリーナーは、図示のように、機体1で本発明の好適な実施例のジェット2を、ジェット2の先端がなにかにタッチしてジェット2全体を後方へ変位させることができるように保持している。即ち、完全な図示ではないが、この図は、本発明の好適な実施例のジェット2の通常時に洗浄用流体Eを噴出しないでただジェット2の先端がなにかにタッチしてジェット2全体を後方へ変位させる場合、洗浄用流体Eをジェット2先端から噴出するジェットクリーナーへの応用を示すための図面である。しかし、通常時に洗浄用流体を噴出させない構造であれ、ジェット2の先端がなにかにタッチしてジェット2全体を後方へ変位させる構造であれ、ジェット2全体が後方へ縮むと、洗浄用流体Eをジェット2先端から噴出させる構造であれ、すべて従来からあるものであるので、その詳細な説明を省く。
【0016】
図1におけるジェット2をみてみると、大端開口21、小端開口22を有する直管型の細管で、洗浄用流体Eを大端開口21から導入してから、軸方向に沿って小端開口22を経由し噴出するものであるが、その小端開口22が斜め後方へ向かうようになっている。
【0017】
さらに詳しくみると、このジェット2における小端は、図2Aのような楕円球形になっているが、図2Bのような円球形でも図2Cのような半円球形でも良い実施例になる。この三つの図面をみると、形が違うとは言え、その小端開口22はすべて後方へ向かっている。
【0018】
図2Aにおける楕円球形及び図2Bにおける円球形は斜め後方に向かっており、図2Cにおける半円球形は大端開口21における導入方向のまったく反対方向へ向かっている。図2Cにおける半円球形の小端を更にみてみると、その半円球形の半円球端25は、図中の直管型細管の軸方向における大端開口21からの遠端にあり、平面端24は近端にあり、また、前記小端開口22は該平面端24に開けてある。このようにして、その小端開口22が大端開口21における導入方向のまったく反対方向へ向かうようになっている。
【0019】
即ち、この三つの図面におけるジェット2は、小端開口22を有する一端が楕円球形、円球形または半円球形となっている上、その内部の通路23が大端開口21から入ってから軸方向に沿って前記楕円球形内に到達した後曲がって、前記楕円球形、円球形または半円球形自体の斜め後方部または後方部に小端開口22となって出てくるように形成されているものである。
【0020】
ジェット2を上記のような直管型の細管にすれば、その小端を小孔や隙間内に挿入し、そしてその小端開口22で洗浄用流体Eを噴出し、小孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔や隙間外に押出すことがもちろんできるが、湾曲型の細管にしても、前記効果を奏することができる。
【0021】
図2Dをみると、この図にあるジェット2は、直管型ではなく、湾曲型であり、その小端は図2Aと同じく楕円球形を呈しているが、その小端開口22は、該楕円球形の斜め後方部に開けられていて斜め後方に向かっているとは言え、前記のような直管型の大端開口21における導入方向の反対方向へ向かっているのではなく、小端開口22の噴出直前の流れ方向の反対方向へ斜めに向かっている。即ち、本発明をこのような湾曲型のジェットに適用する場合、小端開口22を楕円球形や円球形、半円球形の斜め後方部や後方部に開ければ、その噴出方向を小端開口22の噴出直前の流れ方向の反対方向へ向かわせることができるので、その小端を小孔や隙間内に挿入し、そしてその小端開口22で洗浄用流体Eを噴出し、小孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔や隙間外に押出すことができる。
【0022】
なお、図1におけるジェットクリーナーの機体1は、なんの形にしても良いが、図3に示すように、前記ジェット2を保持して全体をピストル状に為し、且つそれ自体がピストル状のハンドル部となっているものを有する用になっているのが市場に歓迎されている。
【0023】
次に、本発明の印刷回路基板の孔開けをするドリルドライバの切削溝やチャックを洗浄するためのジェットクリーナーに利用される例を説明する。このジェットクリーナーは、図4に示すように、ジェット2が2本台座10の表面から突出するように取り付けられている以外、本発明の前記のようなジェット2が使用されている。
【0024】
前記2本のジェット2における第1本(右の方にある一つ)はエアを洗浄用流体Eをとし、第2本(左の方にある一つ)は洗浄液を洗浄用流体Eをとしている。両方とも、台座10と、通常時に洗浄用流体Eを噴出しないでただジェット2の先端がなにかにタッチしてジェット2全体を後方へ変位させる場合、洗浄用流体Eをジェット2先端から噴出するジェットクリーナーになっているが、その構成が従来からあるものであるので、ここでその説明を省く。
【0025】
そして、その使用法を図5及び図6を参照しながら説明する。矢印に示すように、まず洗浄の対象物3であるドリルドライバのチャックを右のエアを洗浄用流体Eとするジェット2に挿入されるようにさせてから、少々力を入れてジェット2を下へ縮ませ、ジェット2先端からエアを噴出させる。このようにしてドリルドライバのチャック内の汚れや埃、異物を反対方向のチャック外へ吹き出す。
【0026】
そして、左のウォーター(浄水)を洗浄用流体とするジェットに移す。その操作は、前記と同様であるが、前段階のエアに対し、粘着性のあるものを対象とする段階である。
【0027】
最後に、右のエアジェットに戻す。その操作はやはり前記と同様であるが、第1段階とは効果が少々違う。即ち、ドリルドライバのチャック内の汚れや埃、異物を反対方向のチャック外へ吹き出すことよりも、チャックの第2段階において水に湿った内部を乾燥させるための段階である。
【0028】
前記3段階は、必要に応じて、何回も繰り返し行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によるジェットは、噴出方向の小端開口が導入方向の大端開口の反対方向へ向かうようになっているので、使用時に対象物の孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔(隙間)外に押出すことができる。
【0030】
また、該ジェットは、必要に応じ、様々な用途に適する機体や台座に取り付けられるので、使用範囲が広範である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の好適な実施例であるジェット及びジェットクリーナーの断面図である。
【図2A】本発明において直管型の細管になり且つその小端が楕円球形となっている第1実施例のジェットの断面図である。
【図2B】本発明において直管型の細管になり且つその小端が円球形となっている第2実施例のジェットの断面図である。
【図2C】本発明において直管型の細管になり且つその小端が半円球形となっている第3実施例のジェットの断面図である。
【図2D】本発明において湾曲管型の細管になり且つその小端が楕円球形となっている第4実施例のジェットの断面図である。
【図3】本発明の好適な実施例であるピストル形のジェットクリーナーの側面図である。
【図4】本発明の好適な実施例である台形のジェットクリーナーの斜視図である。
【図5】図4に示すジェットクリーナーで洗浄工程を行う段階を示す説明図である。
【図6】図4に示すジェットクリーナーで洗浄工程を行う段階を示す説明図である。
【図7A】従来のジェットの例1−楕円球形先端を有する直管型―の断面図である。
【図7B】従来のジェットの例2−円球形先端を有する直管型―の断面図である。
【図7C】従来のジェットの例3−半円球形先端を有する直管型―の断面図である。
【図7D】従来のジェットの例4−楕円球形先端を有する湾曲管型―の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 機体
2 ジェット
3 洗浄の対象物
10 台座
21 大端開口
22 小端開口
23 通路
24 平面端
25 半円球端
E 洗浄用流体
【技術分野】
【0001】
本発明はジェット及びそれを備えたジェットクリーナーに関し、特にエアクリーナーやウォータークリーナーにおけるジェットの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアクリーナーやウォータークリーナーにおけるジェットは、図7A及び図7Bに示すように、大端開口と小端開口とを有する直管型や湾曲型の細管で、エアやウォーターなどの洗浄用流体を大端開口から導入してから、軸方向に沿って小端開口を経由し噴出するものである。
【0003】
ところで、エアクリーナーやウォータークリーナーは、その用途によって、通常時にジェットから洗浄用流体を噴出しないで、ただジェットの先端(小端開口を有する一端)がなにかにタッチしてジェット全体を後方(大端開口を有する他端の方)へ変位させる場合、洗浄用流体を噴出する、という制御方式を有するものがある。その方式では、噴流が阻害されないよう、ジェットの小端開口はもちろん図7A及び図7Bのように先端の真っ正面にあるのではなく、図7C及び図7Dのように、少し側辺に偏って洗浄用流体を斜め前方に噴出することができるようになっている。
【0004】
しかし、前記のような直射型であれ、斜射型であれ、いずれも洗浄用流体の噴射によって物品の表面を洗浄することができるが、ジェットの細長い形状を利用して小孔や隙間に差し込んで小孔や隙間内の汚れや埃、異物を洗浄しようとしても、洗浄が不十分となる場合がある。特に、精密工業に使われるマシン、例えば印刷回路基板の孔開けをするドリルドライバの切削溝やチャックを洗浄する時、汚れや埃、異物は前方への噴流によってさらに深く狭いところへ押されて進入し、日に日に中に積もって堆積物となり、ドリルドライバの芯出や回転の精密性、安定性、ないし印刷回路基板の品質や生産にも悪影響を与える欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記に鑑みて、本発明は、エアクリーナーやウォータークリーナーに使用されるものであって、それによって孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔や隙間外に押出すことができるジェットを提供することをその目的とする。
【0006】
また、本発明は、前記ジェットを備えたエアクリーナーやウォータークリーナーなどのジェットクリーナーを提供することをそのもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、まず、大端開口と小端開口とを有する細管形で、洗浄用流体を大端開口から導入してから、軸方向に沿って小端開口を経由し噴出するものであって、前記小端開口はその噴出直前の流れ方向の反対方向若しくは該反対方向に対して鋭角に傾斜する方向へ向かうようになっているジェットを提供する。
【0008】
前記細管形とは、その内径がその長さに対し、比較的小さいものを言うが、管の絶対的なサイズを言わない。直管形のものに限らず、必要に応じて湾曲形になっても構わない。
【0009】
そして、直管形である場合、この噴出直前の流れ方向の反対方向は、洗浄用流体の大端開口からの導入方向の反対方向になる。
【0010】
次に、本発明は、他の側面からみれば、本発明の前記ジェットを使用していて洗浄用流体をそのジェット先端から噴出することができるジェットクリーナーをも提供する。
【0011】
前記ジェットクリーナーとは、普通の固定型はもちろん、通常時に洗浄用流体を噴出しないでただジェットの先端がなにかにタッチしてジェット全体を後方へ変位させる場合、初めて洗浄用流体をジェット先端から噴出するジェットクリーナーをも言う。
【発明の効果】
【0012】
前記構成によるジェットは、噴出方向の小端開口が噴出直前の流れ方向の反対方向、特に、直管形であれば、大端開口における導入方向の反対方向へ向かうようになっているので、使用時に対象物に吹き付けて孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔や隙間外に押出すことができる。
【0013】
また、本発明は前記ジェットを備えたジェットクリーナーをも提供するので、即ち、使用者の需要によって前記構成によるジェットを機体または台座に取付けて形成された形で使用することができるので、前記ジェットの長所を生かしてジェットクリーナーの使用を従来よりもっと便利、もっと有効にさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図示を参照しながら本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0015】
図1に示すのは、本発明の好適な実施例のジェットクリーナー、即ち本発明の好適な実施例のジェットを備えたジェットクリーナーの部分断面図である。この実施例のジェットクリーナーは、図示のように、機体1で本発明の好適な実施例のジェット2を、ジェット2の先端がなにかにタッチしてジェット2全体を後方へ変位させることができるように保持している。即ち、完全な図示ではないが、この図は、本発明の好適な実施例のジェット2の通常時に洗浄用流体Eを噴出しないでただジェット2の先端がなにかにタッチしてジェット2全体を後方へ変位させる場合、洗浄用流体Eをジェット2先端から噴出するジェットクリーナーへの応用を示すための図面である。しかし、通常時に洗浄用流体を噴出させない構造であれ、ジェット2の先端がなにかにタッチしてジェット2全体を後方へ変位させる構造であれ、ジェット2全体が後方へ縮むと、洗浄用流体Eをジェット2先端から噴出させる構造であれ、すべて従来からあるものであるので、その詳細な説明を省く。
【0016】
図1におけるジェット2をみてみると、大端開口21、小端開口22を有する直管型の細管で、洗浄用流体Eを大端開口21から導入してから、軸方向に沿って小端開口22を経由し噴出するものであるが、その小端開口22が斜め後方へ向かうようになっている。
【0017】
さらに詳しくみると、このジェット2における小端は、図2Aのような楕円球形になっているが、図2Bのような円球形でも図2Cのような半円球形でも良い実施例になる。この三つの図面をみると、形が違うとは言え、その小端開口22はすべて後方へ向かっている。
【0018】
図2Aにおける楕円球形及び図2Bにおける円球形は斜め後方に向かっており、図2Cにおける半円球形は大端開口21における導入方向のまったく反対方向へ向かっている。図2Cにおける半円球形の小端を更にみてみると、その半円球形の半円球端25は、図中の直管型細管の軸方向における大端開口21からの遠端にあり、平面端24は近端にあり、また、前記小端開口22は該平面端24に開けてある。このようにして、その小端開口22が大端開口21における導入方向のまったく反対方向へ向かうようになっている。
【0019】
即ち、この三つの図面におけるジェット2は、小端開口22を有する一端が楕円球形、円球形または半円球形となっている上、その内部の通路23が大端開口21から入ってから軸方向に沿って前記楕円球形内に到達した後曲がって、前記楕円球形、円球形または半円球形自体の斜め後方部または後方部に小端開口22となって出てくるように形成されているものである。
【0020】
ジェット2を上記のような直管型の細管にすれば、その小端を小孔や隙間内に挿入し、そしてその小端開口22で洗浄用流体Eを噴出し、小孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔や隙間外に押出すことがもちろんできるが、湾曲型の細管にしても、前記効果を奏することができる。
【0021】
図2Dをみると、この図にあるジェット2は、直管型ではなく、湾曲型であり、その小端は図2Aと同じく楕円球形を呈しているが、その小端開口22は、該楕円球形の斜め後方部に開けられていて斜め後方に向かっているとは言え、前記のような直管型の大端開口21における導入方向の反対方向へ向かっているのではなく、小端開口22の噴出直前の流れ方向の反対方向へ斜めに向かっている。即ち、本発明をこのような湾曲型のジェットに適用する場合、小端開口22を楕円球形や円球形、半円球形の斜め後方部や後方部に開ければ、その噴出方向を小端開口22の噴出直前の流れ方向の反対方向へ向かわせることができるので、その小端を小孔や隙間内に挿入し、そしてその小端開口22で洗浄用流体Eを噴出し、小孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔や隙間外に押出すことができる。
【0022】
なお、図1におけるジェットクリーナーの機体1は、なんの形にしても良いが、図3に示すように、前記ジェット2を保持して全体をピストル状に為し、且つそれ自体がピストル状のハンドル部となっているものを有する用になっているのが市場に歓迎されている。
【0023】
次に、本発明の印刷回路基板の孔開けをするドリルドライバの切削溝やチャックを洗浄するためのジェットクリーナーに利用される例を説明する。このジェットクリーナーは、図4に示すように、ジェット2が2本台座10の表面から突出するように取り付けられている以外、本発明の前記のようなジェット2が使用されている。
【0024】
前記2本のジェット2における第1本(右の方にある一つ)はエアを洗浄用流体Eをとし、第2本(左の方にある一つ)は洗浄液を洗浄用流体Eをとしている。両方とも、台座10と、通常時に洗浄用流体Eを噴出しないでただジェット2の先端がなにかにタッチしてジェット2全体を後方へ変位させる場合、洗浄用流体Eをジェット2先端から噴出するジェットクリーナーになっているが、その構成が従来からあるものであるので、ここでその説明を省く。
【0025】
そして、その使用法を図5及び図6を参照しながら説明する。矢印に示すように、まず洗浄の対象物3であるドリルドライバのチャックを右のエアを洗浄用流体Eとするジェット2に挿入されるようにさせてから、少々力を入れてジェット2を下へ縮ませ、ジェット2先端からエアを噴出させる。このようにしてドリルドライバのチャック内の汚れや埃、異物を反対方向のチャック外へ吹き出す。
【0026】
そして、左のウォーター(浄水)を洗浄用流体とするジェットに移す。その操作は、前記と同様であるが、前段階のエアに対し、粘着性のあるものを対象とする段階である。
【0027】
最後に、右のエアジェットに戻す。その操作はやはり前記と同様であるが、第1段階とは効果が少々違う。即ち、ドリルドライバのチャック内の汚れや埃、異物を反対方向のチャック外へ吹き出すことよりも、チャックの第2段階において水に湿った内部を乾燥させるための段階である。
【0028】
前記3段階は、必要に応じて、何回も繰り返し行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によるジェットは、噴出方向の小端開口が導入方向の大端開口の反対方向へ向かうようになっているので、使用時に対象物の孔や隙間内の汚れや埃、異物を奥の方へ押さずに、反って反対方向の小孔(隙間)外に押出すことができる。
【0030】
また、該ジェットは、必要に応じ、様々な用途に適する機体や台座に取り付けられるので、使用範囲が広範である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の好適な実施例であるジェット及びジェットクリーナーの断面図である。
【図2A】本発明において直管型の細管になり且つその小端が楕円球形となっている第1実施例のジェットの断面図である。
【図2B】本発明において直管型の細管になり且つその小端が円球形となっている第2実施例のジェットの断面図である。
【図2C】本発明において直管型の細管になり且つその小端が半円球形となっている第3実施例のジェットの断面図である。
【図2D】本発明において湾曲管型の細管になり且つその小端が楕円球形となっている第4実施例のジェットの断面図である。
【図3】本発明の好適な実施例であるピストル形のジェットクリーナーの側面図である。
【図4】本発明の好適な実施例である台形のジェットクリーナーの斜視図である。
【図5】図4に示すジェットクリーナーで洗浄工程を行う段階を示す説明図である。
【図6】図4に示すジェットクリーナーで洗浄工程を行う段階を示す説明図である。
【図7A】従来のジェットの例1−楕円球形先端を有する直管型―の断面図である。
【図7B】従来のジェットの例2−円球形先端を有する直管型―の断面図である。
【図7C】従来のジェットの例3−半円球形先端を有する直管型―の断面図である。
【図7D】従来のジェットの例4−楕円球形先端を有する湾曲管型―の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 機体
2 ジェット
3 洗浄の対象物
10 台座
21 大端開口
22 小端開口
23 通路
24 平面端
25 半円球端
E 洗浄用流体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大端開口と小端開口とを有する細管形で、洗浄用流体を前記大端開口から導入してから、軸方向に沿って前記小端開口を経由し噴出させるものであって、前記小端開口は、前記洗浄用流体が、その噴出直前の流れ方向の反対方向若しくは該反対方向に対して鋭角に傾斜する方向へ向かうように形成されていることを特徴とするジェット。
【請求項2】
大端開口と小端開口とを有する直管形で、洗浄用流体を前記大端開口から導入してから、軸方向に沿って前記小端開口を経由し噴出させるものであって、前記小端開口は、前記洗浄用流体が、その噴出直前の流れ方向の反対方向若しくは該反対方向に対して鋭角に傾斜する方向へ向かうように形成されていることを特徴とするジェット。
【請求項3】
前記小端開口を有する一端は楕円球形となっており、その内部の通路は前記大端開口から入ってから軸方向に沿って前記楕円球形内に到達した後曲がって、前記楕円球形それ自体の斜め後方部に前記小端開口となって出てくるように形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のジェット。
【請求項4】
前記小端開口を有する一端は円球形となっており、その内部の通路は前記大端開口から入ってから軸方向に沿って前記円球形内に到達した後曲がって、前記円球形それ自体の斜め後方部に前記小端開口となって出てくるように形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のジェット。
【請求項5】
前記小端開口を有する一端は半円球形となっており、該半円球形の円球形端は軸方向における前記大端開口からの遠端にあり、平面端は近端にあり、また、前記小端開口は該平面端に開けてあることを特徴とする請求項1または2に記載のジェット。
【請求項6】
洗浄用流体をそのジェット先端から噴出するジェットクリーナーであって、前記ジェットは請求項1〜5項のいずれか一項に記載のものが使用されているジェットクリーナー。
【請求項7】
通常時に洗浄用流体を噴出しないでただジェットの先端がなにかにタッチしてジェット全体を後方へ変位させる場合、洗浄用流体をジェット先端から噴出するジェットクリーナーであって、前記ジェットは請求項1〜5のいずれか一項に記載のものが使用されているジェットクリーナー。
【請求項8】
前記ジェットを保持して全体をピストル状に為し、且つそれ自体がピストル状のハンドル部となっているものを有する機体を備えた請求項7に記載のジェットクリーナー。
【請求項9】
前記ジェットが2本台座の表面から突出するように取付けられていて、該2本における第1本はエアを洗浄用流体とし、第2本は洗浄液を洗浄用流体とすることができる請求項7に記載のジェットクリーナー。
【請求項1】
大端開口と小端開口とを有する細管形で、洗浄用流体を前記大端開口から導入してから、軸方向に沿って前記小端開口を経由し噴出させるものであって、前記小端開口は、前記洗浄用流体が、その噴出直前の流れ方向の反対方向若しくは該反対方向に対して鋭角に傾斜する方向へ向かうように形成されていることを特徴とするジェット。
【請求項2】
大端開口と小端開口とを有する直管形で、洗浄用流体を前記大端開口から導入してから、軸方向に沿って前記小端開口を経由し噴出させるものであって、前記小端開口は、前記洗浄用流体が、その噴出直前の流れ方向の反対方向若しくは該反対方向に対して鋭角に傾斜する方向へ向かうように形成されていることを特徴とするジェット。
【請求項3】
前記小端開口を有する一端は楕円球形となっており、その内部の通路は前記大端開口から入ってから軸方向に沿って前記楕円球形内に到達した後曲がって、前記楕円球形それ自体の斜め後方部に前記小端開口となって出てくるように形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のジェット。
【請求項4】
前記小端開口を有する一端は円球形となっており、その内部の通路は前記大端開口から入ってから軸方向に沿って前記円球形内に到達した後曲がって、前記円球形それ自体の斜め後方部に前記小端開口となって出てくるように形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のジェット。
【請求項5】
前記小端開口を有する一端は半円球形となっており、該半円球形の円球形端は軸方向における前記大端開口からの遠端にあり、平面端は近端にあり、また、前記小端開口は該平面端に開けてあることを特徴とする請求項1または2に記載のジェット。
【請求項6】
洗浄用流体をそのジェット先端から噴出するジェットクリーナーであって、前記ジェットは請求項1〜5項のいずれか一項に記載のものが使用されているジェットクリーナー。
【請求項7】
通常時に洗浄用流体を噴出しないでただジェットの先端がなにかにタッチしてジェット全体を後方へ変位させる場合、洗浄用流体をジェット先端から噴出するジェットクリーナーであって、前記ジェットは請求項1〜5のいずれか一項に記載のものが使用されているジェットクリーナー。
【請求項8】
前記ジェットを保持して全体をピストル状に為し、且つそれ自体がピストル状のハンドル部となっているものを有する機体を備えた請求項7に記載のジェットクリーナー。
【請求項9】
前記ジェットが2本台座の表面から突出するように取付けられていて、該2本における第1本はエアを洗浄用流体とし、第2本は洗浄液を洗浄用流体とすることができる請求項7に記載のジェットクリーナー。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【公開番号】特開2007−209935(P2007−209935A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34468(P2006−34468)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(506048935)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(506048935)
【Fターム(参考)】
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