説明

ジオキサン−2−アルキルカルバメート誘導体の製造法およびその中間体

【課題】薬理活性を有する1,3−ジオキサン−2−アルキルカルバメートの新規な製造法の提供。
【解決手段】一般式(I)


[式中、R1は、1以上のハロゲン原子またはヒドロキシ等で置換されていてもよいフェニル基等;R2は、一般式CHR3CONHR4(ここで、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4は水素原子、または(C1-C3)アルキル、(C3-C5)シクロアルキルもしくは(ピリジン-4-イル)メチル基を表す)の基等を表し、nは1〜3の数を表す]で表される1,3−ジオキサン−2−アルキルカルバメートを、1,3−ジオキサン−2−アルキルアミン類とフェニルカーボネート誘導体との反応により得る製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,3-ジオキサン-2-イルアルキルカルバメート誘導体の製造法および中間体に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明の化合物は、一般式(I):
【化1】

[式中、
R1 は、1以上のハロゲン原子またはヒドロキシ、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、(C3-C6)シクロアルキル-O-もしくは (C3-C6)シクロアルキル(C1-C3)アルコキシ基で任意に置換されていてもよいフェニルもしくはナフタレニル基を表し;
【0003】
R2 は、一般式CHR3CONHR4
(ここで、
R3 は水素原子またはメチル基を表し、
R4 は水素原子、または (C1-C3)アルキル、(C3-C5)シクロアルキルもしくは (ピリジン-4-イル)メチル基を表す)の基、
または2,2,2-トリフルオロエチル基、
または(イミダゾール-2-イル)メチル基、
または(ベンズイミダゾール-2-イル)メチル基、
または1以上のハロゲン原子またはシアノ、ニトロ、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)アルコキ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基で任意に置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
n は、1〜3の数を表す]
に相当する。
【0004】
一般式(I)の化合物は、1以上の非対称炭素を含んでいてもよい。それらはエナンチオマーまたはジアステレオ異性体の形態で存在してもよい。一般式(I)の化合物は、シスまたはトランス立体異性体の形態で存在してもよい。これらのエナンチオマー、ジアステレオ異性体および立体異性体、ならびにそれらの混合物は、ラセミ混合物を含めて、本発明の一部である。
【0005】
式(I)の化合物は、塩基または酸付加塩の形態で存在してもよい。そのような付加塩は本発明の一部である。
これらの塩は、医薬的に許容される酸を用いて有利に製造されるが、式(I)の化合物を、例えば精製または単離するために用いられるその他の酸の塩も本発明の一部である。
一般式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物の形態、すなわち1分子以上の水または溶媒との結合または組合せの形態であってもよい。そのような水和物および溶媒和物も本発明の一部である。
【0006】
R2 が直鎖または分枝鎖状の(C1-C4)アルキル基を表す、本発明の化合物と類似の化合物は、文献EP 0461958 およびFR2714056において、抗痙攣剤として記載されている。
【0007】
本発明の脈絡では、
-「tおよびzが1〜6の値をとり得る(Ct-Cz)」という用語は、t〜zの炭素原子をもつことができる炭素鎖を意味し、例えば、「(C1-C3)」は、1〜3炭素原子をもつことができる炭素鎖を意味する;
-「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖状の、飽和の脂肪族基を意味し、例えば、(C1-C3)アルキル基は、1〜3の炭素原子の直鎖または分枝鎖状の炭素鎖、より詳細には、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルを表す;
【0008】
-「シクロアルキル」という用語は、環状のアルキル基を意味し、例えば、(C3-C5)シクロアルキル基は、3〜5の炭素原子の環状炭素鎖を表し、より詳細にはシクロプロピル、シクロブチルまたはシクロペンチルを表す;
-「アルコキシ」という用語は、直鎖または分枝鎖状の、飽和の脂肪族鎖を含むアルキルオキシ基を意味し;
-「ハロゲン原子」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0009】
一般式(I)の化合物の中で、次のように:
[R1 は、1以上のハロゲン原子またはヒドロキシ、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、(C3-C6)シクロアルキル-O-もしくは (C3-C6)シクロアルキル(C1-C3)アルコキシ基で任意に置換されていてもよいナフタレニル基を表し;
【0010】
R2 は、一般式CHR3CONHR4
(ここで、
R3 は水素原子を表し、
R4 は水素原子または (C1-C3)アルキル基、好ましくはメチルもしくはエチル、あるいは(ピリジン-4-イル)メチル基を表す)の基、
または2,2,2-トリフルオロエチル基、
または1以上のハロゲン原子またはシアノ、ニトロ、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)アルコキシ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基で任意に置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
n は、2または3を表す]
と定義される化合物が好ましいものとして挙げられる。
R1 、R2の両方およびnが上記のように定義される化合物が特に好ましい。
【0011】
好ましい化合物の例として、次のようなものが挙げられる:
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(ナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-2-[5-(ナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]エチルカルバメート;
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(ナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2,2,2-トリフルオロエチル トランス-2-[5-(ナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]エチルカルバメート;
2,2,2-トリフルオロエチル トランス-3-[5-(ナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
【0012】
フェニル トランス-2-[5-(ナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]エチルカルバメート;
フェニル トランス-3-[5-(ナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
【0013】
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-アミノ-2-オキソエチル シス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-2-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]エチルカルバメート;
4-クロロフェニル トランス-2-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]エチルカルバメート;
2,2,2-トリフルオロエチル トランス-2-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]エチルカルバメート;
【0014】
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-(エチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-[(ピリジン-4-イル)メチルアミノ]-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2,2,2-トリフルオロエチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
フェニル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
【0015】
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-シクロプロピルメトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
4-クロロフェニル トランス-3-[5-(6-シクロプロピルメトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2,2,2-トリフルオロエチル トランス-3-[5-(6-シクロプロピルメトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-フェニルメトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
【0016】
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-ヒドロキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(7-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(7-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2,2,2-トリフルオロエチル トランス-3-[5-(7-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
フェニル トランス-3-[5-(7-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
【0017】
フェニル トランス-3-[5-(ナフタレン-2-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(ナフタレン-2-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート;
2,2,2-トリフルオロエチル トランス-3-[5-(ナフタレン-2-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート。
【0018】
本発明の化合物は、次のスキームで示される、種々の方法によって製造することができる。
かくして、1つの製造法(スキーム1)は、一般式(II)のアミン(ここで、R1 およびnは一般式(I)で定義された通りである)を、一般式(III)のカルボネート(ここでUは水素原子もしくはニトロ基を表し、R2は一般式(I)で定義された通りである)と、トルエンまたはジクロロエタンのような溶媒中、0〜80℃の温度で反応させることからなる。
【0019】
【化2】

【0020】
一般式(III)のカルボネートは、文献に記載されているいかなる方法によっても製造することができ、例えば、一般式HOR2のアルコールをフェニルまたは4-ニトロフェニルクロロホルメートと、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下に、反応させることによって製造できる。
【0021】
より具体的にR2が任意に置換されていてもよいフェニル基(Ar)を表す一般式(I)の化合物は、上記のように定義される一般式(II)のアミンを、一般式(IIIa):
【化3】

のアリールクロロホルメートと、ジクロロメタンまたはジクロロエタンの溶媒中、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下に、0℃と該溶媒の還流温度の間の温度で、反応させることによって製造することができる。
【0022】
スキーム2によれば、より具体的にR2が一般式CHR3CONHR4 の基を表す一般式(I)の化合物は、上で定義された一般式(II)のアミンを、セシウムカルボネートのような塩基およびテトラ-n-ブチルアンモニウムヨーダイドのような相間移動触媒の存在下に、N,N-ジメチルホルムアミドまたは N-メチルピロリドンのような溶媒中で、二酸化炭素と反応させ、次いで一般式(IV)のハロアセトアミド(ここで、Vは塩素、臭素またはヨウ素原子を表し、R3およびR4は一般式(I)で定義された通りである)と反応させることによって、製造することができる。
【0023】
【化4】

【0024】
より具体的にR2が一般式CHR3CONHR4の基を表す一般式(I)の化合物を得るための変法(スキーム3)は、上で定義された一般式(II)のアミンを、一般式(IIIb) のカルボネート(ここで、Uは水素原子またはニトロ基を表し、R3は一般式(I)で定義された通りであり、R5はメチルまたはエチル基を表す)と反応させることからなる。
【0025】
このようにして得られる一般式(Ia)のカルバメートエステルは、次いで一般式R4NH2(ここで、R4 は一般式(I)で定義された通りである)のアミンで直接アミノ分解するか、または一般式(Ia)(ここで、R5は水素原子を表す)の酸に加水分解し、次いで一般式R4NH2(ここで、R4 は一般式(I)で定義された通りである)のアミンとカップリングさせることにより、一般式(I)の化合物に転換される。
【0026】
アミノ分解反応は、メタノール中、またはメタノールとテトラヒドロフランのような混合溶媒中で行うことができる。カップリング反応は、文献で公知の方法、例えばジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下にイソブチルクロロホルメートを用いる方法により行われる。
【0027】
【化5】

【0028】
一般式(IIIb)のカルボネートは、式(III)のカルボネートと同様の方法で製造することができる。
R2がより具体的に一般式CHR3CONHR4の基を表す一般式(I)の化合物を得るためのもう1つの変法(スキーム4)は、一般式(IIa) の誘導体(ここで、Zはヒドロキシ、メシレートもしくはトシレート基、または塩素、臭素もしくはヨウ素原子を表し、R1およびnは一般式(I)で定義された通りである)を、一般式(V)のオキサゾリジンジオン(ここで、R3は一般式(I)で定義された通りである)と反応させて、一般式(VI)のオキサゾリジンジオン誘導体を得ることからなる。
【0029】
Z がヒドロキシ基を表す場合、この反応は、Mitsunobu (Synthesis, 1981, 1-28)の条件に従って、例えばトリフェニルホスフィンの存在下に、ジエチルもしくはジイソプロピルアゾジカルボキシレートを作用させることによって行うことができる。
【0030】
Zが塩素、臭素もしくはヨウ素原子、またはメシレートもしくはトシレート基を表す場合、この反応は、1,1,3,3-テオトラメチルグアニジン、水素化ナトリウムもしくはナトリウムtert-ブトキサイドのような塩基の存在下に、テトラヒドロフラン、アセトニトリルもしくはジメチルホルムアミドのような溶媒中、0℃と溶媒の還流温度の間の温度で行うことができる。
【0031】
こうして得られる一般式(VI)のオキゾリジンジオン誘導体は、次いで一般式R4NH2のアミン(ここで、R4は式(I)で定義した通りである)でアミノ分解することにより、一般式(I)の化合物に転換される。
【0032】
【化6】

【0033】
一般式(II)のアミンは、特許出願EP 0461958、WO97/20836および WO98/55474に記載されている製造法により、当業者に公知の技術を任意に適応させて、製造することができる。
【0034】
一般式(IIa)、(IIIa)、(IV)および(V)の化合物、およびアミンR4NH2 は、それらの製造法が記載されていない場合、市販されているか、または文献に記載されている。あるいはそこに記載されているか、当業者に公知の方法によっても製造することができる。
【0035】
一般式(Ia)の化合物(ここで、R1、R3 およびnは一般式(I)で定義された通りであり、R5 は水素原子またはメチルもしくはエチル基を表す)、および一般式(VI)の化合物(ここで、R1、R3 およびnは一般式(I)で定義された通りである)は新規であり、本発明の一部でもある。それらは、一般式(I)の化合物を製造するための合成中間体として有用である。
【0036】
次の実施例は、本発明のいくつかの化合物の製造法を説明する。これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、単に本発明を説明するためのものである。微量分析、IRおよびNMRスペクトルおよび/またはLC-MS(マススペクトロスコピー連結液体クロマトグラフィ)により、得られた本化合物の構造および純度を確認した。
実施例の標題の括弧内の数は、後記の表の第1欄の数に対応する。
【0037】
実施例1 (化合物番号 61)
2-(シクロプロピルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
1.1. エチル [(フェノキシカルボニル)オキシ]アセテート
フェニル クロロホルメート13.5ml (105.6mmol) を、トルエン20ml中のエチル グリコレート10g(96.15mmol)およびトリエチルアミン27ml(192.3mmol)の溶液に、室温で滴下し、この混合物を室温で2時間撹拌する。生成した塩を分離し、ろ液を減圧下に濃縮する。油状の生成物20gを得、これをそのまま次の工程で用いる。
【0038】
1.2. エチル トランス-[[[[3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピル]アミノ]カルボニル]オキシ]アセテート
トルエン500ml中の、トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロパンアミン10g (33mmol)および工程1.1で得られたエチル[(フェノキシカルボニル)オキシ]アセテート8.9g (39.8mmol)の溶液を、50℃で12時間加熱する。混合物を室温に戻し、不溶物をろ別し、ろ液を減圧下に濃縮する。残渣をジクロロメタンおよび水で採取し、水相を分離し、ジクロロメタンで3回抽出し、プールした有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を蒸発させた後、残渣をエチルアセテートおよびシクロヘキサンの20/80混液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィで精製する。最終的に、精製物7gを、結晶化する油状形態で得る。
融点: 74-76°C
【0039】
1.3. トランス-[[[[3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピル]アミノ]カルボニル]オキシ]酢酸
1N 水酸化ナトリウム水溶液40mlを、ジメトキシエタン40ml中の、工程1.2で得られたエチル トランス-[[[[3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピル]アミノ]カルボニル]オキシ]アセテート4g (9.27mmol)の溶液に滴下し、混合物を室温で2時間撹拌する。この混合物を減圧下に濃縮し、残渣を最少限の水に溶解し、pH4になるまで1N塩酸を加え、水相をジクロロメタンで3回抽出し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。酸3gを得る。
融点: 114-116°C
【0040】
1.4. 2-(シクロプロピルアミノ)-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
テトラヒドロフラン5 ml中のイソブチルクロロホルメート0.169g (1.24mmol)の溶液を、不活性雰囲気下に、約‐20℃に冷却されたテトラヒドロフラン10ml中の、工程1.3で得られたトランス-[[[[3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピル]アミノ]カルボニル]オキシ]酢酸0.5g (1.24mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン0.65ml (3.70mmol)の溶液に滴下し、その間反応媒体の温度を‐15℃以下に維持する。この温度で撹拌を1時間維持し、次いでテトラヒドロフラン5ml中のシクロプロピルアミン0.078g (1.36mmol)の溶液をゆっくりと加え、撹拌を‐15℃で1時間、さらに20℃で10時間継続する。減圧下に濃縮を行ない、残渣を酢酸エチルおよび水で採取し、有機相を分離し、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。濃縮を減圧下に行ない、固形分をエタノールから再結晶する。最終的に、精製物0.258gを得る。
融点: 176°C.
1H NMR: (CDCl3)δ(ppm) 8.10 (d, 1H); 7.65 (d, 1H); 7.35 (dd, 1H); 7.25 (d, 1H); 7.15 (dd, 1H); 7.05 (d, 1H); 6.20 (幅広 m, 1H); 5.05 (幅広 m, 1H); 4.70 (t, 1H); 4.55 (s, 2H); 4.35 (m, 2H); 3.95-3.90 (m, 6H); 3.30 (m, 2H); 2.75 (m, 1H); 1.75 (m, 4H); 0.80 (m, 2H); 0.55 (m, 2H).
【0041】
実施例 2 (化合物番号 49)
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
N,N-ジメチルホルムアミド400ml中の、トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロパンアミン20 g (66mmol)、セシウムカルボネート64g (198mmol)およびテトラ-n-ブチルアンモニウムヨーダイド73.14g (198mmol)の懸濁液を、不活性雰囲気下にある1lの三口丸底フラスコに導く。二酸化炭素の気流を2時間、勢いよく撹拌しながら懸濁液に通す。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド70ml中のクロロアセトアミド18.5g (198mmol)の溶液を滴下し、二酸化炭素の気流を5時間維持し、室温で一夜撹拌を継続する。塩をろ別し、ろ液を減圧下に濃縮し、残渣を酢酸エチルおよび水で採取し、有機相を分離し0.1N塩酸水溶液で洗浄し、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ液を減圧下に濃縮し、残渣をエチルアセテートおよびメタノールの95/5混液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、得られた固形物を酢酸エチルから再結晶する。精製物6.5gを得る。
融点: 148-150°C.
1H NMR: (DMSO) δ (ppm) 8.15 (d, 1H); 7.75 (d, 1H); 7.4 (dd, 1H); 7.35 (d, 1H); 7.25 (m, 4H); 7.15 (幅広m, 1H); 4.75 (t, 1H); 4.35 (s, 2H); 4.25 (dd, 2H); 3.95 (dd, 2H); 3.90 (s+m, 4H); 3.05 (m, 2H); 1.60 (m, 4H).
【0042】
実施例3 (化合物番号 3)
2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-2-(5-フェニル-1,3-ジオキサン-2-イル)エチルカルバメート
3.1. エチル トランス-[[[[2-(5-フェニル-1,3-ジオキサン-2-イル)エチル]アミノ]カルボニル]オキシ]アセテート
実施例1.2の方法を用いる。トランス-2-(5-フェニル-1,3-ジオキサン-2-イル)エタンアミン1g (4.8mmol)およびエチル [(フェノキシカルボニル)オキシ]アセテート1.1g (4.8mmol)から、エステル 0.740gを油状形態で得る。
【0043】
3.2. 2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル トランス-2-(5-フェニル-1,3-ジオキサン-2-イル)エチルカルバメート
メチルアミン (2Mテトラヒドロフラン中)の溶液3.3ml (6.7mmol)を、メタノール4 ml中の、工程3.1で得られたエチル トランス-[[[[2-(5-フェニル-1,3-ジオキサン-2-イル)エチル]アミノ]カルボニル]オキシ]アセテート0.70g (2.1mmol)の溶液に滴下し、この混合液を室温で12時間撹拌する。減圧下に濃縮し、残渣をジクロロメタンおよびメタノールの90/10混液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製する。得られた油状物をジイソプロピルエーテル中で粉砕し、精製物0.450gを得る。
融点: 89°C.
1H NMR: (CDCl3) δ(ppm) 7.35-7.20 (m, 3H); 7.15 (dd, 2H); 6.15 (幅広 m, 1H); 5.45 (幅広 m, 1H); 4.75 (t, 1H); 4.60 (s, 2H); 4.20 (dd, 2H); 3.80 (dd, 2H); 3.40 (m, 2H); 3.20 (m, 1H); 2.85 (d, 3H); 1.90 (m, 2H).
【0044】
実施例4 (化合物番号 63)
1H-イミダゾール-2-イルメチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
4.1. フェニル (1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-2-イル)メチルカルボネート
実施例1.1に記載された工程を行う。
1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-2-メタノール (J. Het. Chem., (1995), 32, 903-906)3g(8.80mmol)およびフェニルクロロホルメート1.1ml (8.80mmol)から、3.9gの生成物を得、これをそのまま次の工程で用いる。
【0045】
4.2. (1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-2-イル)メチルトランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
実施例1.2に記載された工程を行う。
トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロパンアミン2.5g (8.28mmol) および工程4.1で得られたフェニル (1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-2-イル)メチルカルボネート3.8g (8.28mmol) から、固形物3.2gを非晶質の形態で得る。
【0046】
4.3. 1H-イミダゾール-2-イルメチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
ジクロロメタン2ml中のトリフルオロ酢酸0.6ml (2.83mmol)の溶液を、ジクロロメタン150ml中の、工程4.2で得られた(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-2-イル)メチル トランス-3-[5-(6-メトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート1.9g (2.83mmol)の溶液に、室温で滴下し、混合液を室温で12時間撹拌する。減圧下に濃縮し、残渣をジクロロメタンおよび炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で採取し、有機相を分離し、塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮を行ない、残渣をジクロロメタン、メタノール および水性アンモニアの98/2/0.2混液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィで精製する。エチルアセテートから再結晶して、最終的に精製物0.820gを得る。
融点: 130-132°C.
1H NMR: (CDCl3)δ(ppm) 10.0 (幅広 m, 1H); 8.10 (d, 1H); 7.65 (d, 1H); 7.35 (dd, 1H); 7.25 (d, 1H); 7.15 (dd, 1H); 7.05 (dd, 1H); 7.00 (s, 2H); 5.15 (m+s, 3H); 4.70 (t, 1H); 4.30 (m, 2H); 3.95-3.90 (m, 6H); 3.30 (m, 2H); 1.85 (m, 4H).
【0047】
実施例 5 (化合物番号 46)
2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
5.1. トランス-3-[5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]-1-プロパノール
2,3-ジヒドロフラン0.75 ml (10mmol)、次いで濃塩酸水溶液(37%) 0.25mlを、ジオキサン10 ml中の2-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-プロパンジオール1.18g (5mmol)の溶液に加える。混合物を室温で一夜反応させ、次いで水5 mlを加える。混合物を5時間撹拌し、次いで水25 mlおよびジクロロメタン50 mlで希釈する。静置した後、混合物を分離し、水相をジクロロメタン50 mlで抽出する。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液25 mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよびエチルアセテートの70/30混液、次いで 60/40混液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製する。ジイソプロピルエーテルから再結晶して、白色結晶状の物質0.557gを得る。
融点: 127-129°C
【0048】
5.2.トランス-3-[5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルメタンスルホネート
ジクロロメタン2 ml 中のメシルクロライド0.256g (2.23mmol)の溶液を、不活発雰囲気下で0℃に冷却したジクロロメタン8 ml中の、工程5.1で製造されたトランス-3-[5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]-1-プロパノール0.530g (1.72mmol)およびトリエチルアミン0.48ml (3.45mmol)の溶液に滴下する。反応混合物を0℃で1時間撹拌する。水25 mlおよびジクロロメタン50 mlを加える。静置した後、混合物を分離し、水相をジクロロメタン50 mlで抽出する。有機相を塩化ナトリウム飽和水溶液25 mlで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下に濃縮し、白色固体状の生成物 0.66 gを得、これをそのまま次の工程で用いる。
【0049】
5.3. トランス-3-[3-(5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル)プロピル]-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン
テトラヒドロフラン10 ml中の、工程5.2で得られたトランス-3-[5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルメタンスルホネート0.660g (1.71mmol)、1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン (J. Med. Chem., 1991, 34, 1542-1543)0.208g (2.05mmol)および1,1,3,3-テトラメチルグアニジン0.396g (3.43mmol)の混合物を、不活性雰囲気下に一夜還流させる。残渣を酢酸エチル100 mlおよび水25 ml中に採取する。静置した後、分離を行う。有機相を水25 ml、次いで塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄する。水相を酢酸エチル50 mlで再抽出する。有機相をプールし、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの70/30混液、次いで60/40混液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、白色固体状の生成物0.483 gを得る。
融点: 125-127°C.
【0050】
5.4. 2-アミノ-2-オキソエチル トランス-3-[5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
工程5.3で得られたトランス-3-[3-(5-(4-クロロナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル)プロピル]-1,3-オキサゾリジン-2,4-ジオン0.470 g (1.20 mmol)をテトラヒドロフラン3.5mlに溶解し、メタノール中の 7N アンモニア水溶液7ml を加える。混合物を室温で一夜反応させ、次いで蒸発乾固させ、イソプロパノールおよびジイソプロピルエーテルの混液から再結晶し、白色結晶状の生成物0.388を得る。
融点: 176-178°C.
LC-MS:M+H = 407
1H NMR (DMSO)δ(ppm): 8.35 (d, 1H); 8.25 (d, 1H); 7.8 (m, 3H); 7.4 (d, 1H); 7.25 (m, 2H); 7.15 (s, 1H); 4.75 (t, 1H); 4.3 (s, 2H); 4.2 (m, 2H); 4.0-3.9 (m, 3H); 3.05 (t, 2H); 1.65 (m, 2H); 1.6 (m, 2H).
【0051】
実施例6(化合物番号 67)
4-クロロフェニル トランス-3-[5-(6-シクロプロピルメトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
トランス-3-[5-(6-シクロプロピルメトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルアミン0.205g (0.60mmol) を、ジクロロメタン6 ml中の4-クロロフェニルクロロホルメート0.110ml (0.78mmol) およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン 0.205ml (1.2mmol) の溶液に、室温で少しずつ加える。混合物を室温で16時間撹拌し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液5 mlで洗浄する。相を分離し、有機相を疎水性焼結ガラス濾斗でろ過する。ろ液を減圧下に濃縮し、残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの80/20混液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製する。ジイソプロピルエーテル5 ml中で洗浄して、白色の固形物0.176g を得る。
LC-MS:M+H = 496
融点: 159-162°C
1H NMR (CDCl3) δ (ppm): 8.10 (d, 1H); 7.65 (d, 1H); 7.45-7.20 (m, 4H); 7.20-7.00 (m, 4H); 5.30 (幅広 m, 1H); 4.75 (t, 1H); 4.35 (dd, 2H); 4.10-3.80 (m, 5H); 3.50-3.25 (m, 2H); 1.95-1.70 (m, 4H); 1.45-1.20 (m, 1H); 0.80-0.65 (m, 2H); 0.50-0.30 (m, 2H).
【0052】
実施例7(化合物番号 68)
2,2,2-トリフルオロエチル トランス-3-[5-(6-シクロプロピルメトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルカルバメート
2,2,2-トリフルオロエタノール0.075 ml (1.01 mmol) を、ジクロロメタン7.1ml中の4-ニトロフェニルクロロホルメート 0.205g (1.01mmol)およびN,N-ジイソプロピルアミノエチルポリスチレン(Ps-DIEA、 2% DVB、滴定量= 3.66mmol/g) 0.555g (2.02mmol)の懸濁液に、室温で滴下して加える。混合物を室温で16時間、軌道振動で撹拌する。樹脂を焼結ガラス濾斗を備えたカートリッジを通してろ過し、ジクロロメタン4 mlですすぐ。ろ液を減圧下に濃縮し、こうして得られた油状の残渣を1,2-ジクロロエタン3.5 ml中に採取する。N,N-ジイソプロピルエチルアミン0.134ml (0.78mmol) および3-[5-(6-シクロプロピルメトキシナフタレン-1-イル)-1,3-ジオキサン-2-イル]プロピルアミン 0.205g (0.6mmol)を連続的に加える。この反応混合物を60℃で16時間加熱する。冷却後、1N水酸化ナトリウム溶液20 mlで洗浄する。相を分離し、有機相を、疎水性焼結ガラス濾斗でろ過する。ろ液を減圧下に濃縮し、残渣をシクロヘキサンおよび酢酸エチルの80/20混液で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製する。ジイソプロピルエーテル5ml で洗浄して、白色の固形物0.076gを得る。
LC-MS:M+H = 468
融点: 105-107°C
1H NMR: (CDCl3) δ (ppm): 8.15 (d, 1H); 7.65 (d, 1H); 7.35 (dd, 1H); 7.25 (m, 1H); 7.15 (d, 1H); 7.10 (d, 1H); 5.15 (幅広 m, 1H); 4.75 (t, 1H); 4.50 (q, 2H); 4.30 (dd, 2H); 4.10-3.80 (m, 5H); 3.40-3.20 (m, 2H); 1.90-1.65 (m, 4H); 1.45-1.20 (m, 1H); 0.75-0.60 (m, 2H); 0.50-0.35 (2H)
【0053】
次の表は、本発明によるいくつかの化合物の化学構造および物性を示す。表中の化合物は、シス相対配置を示す化合物番号37および50、ならびにシスおよびトランス立体異性体の混合物の形態にある化合物番号6、9、11、13、18、20、21および43を除いて、ジオキサン環上のトランス相対配置を示す。表中の全化合物が塩基の形態にある。
【0054】
【化7】

【0055】
【表1】

【0056】
【表1−1】

【0057】
【表1−2】

【0058】
【表1−3】

【0059】
本発明の化合物は、酵素FAAH(脂肪酸アミドハイドロラーゼ)に対する阻害効果を測定する薬理試験に付された。
阻害作用は、FAAHによるアナンドアミド(anandamide)[エタノールアミン 1-3H]の加水分解産物(エタノールアミン [1-3H])の測定に基づくラジオエンザイムアッセイで実証された (Life Sciences (1995), 56, 1999-2005 および Journal of Pharmacology and Experimented Therapeutics (1997), 283, 729-734)。
【0060】
かくして、マウスの脳(小脳を除く)を取り出し、-80℃で保存する。NaCl 150 mMおよびEDTA 1 mMを含むTris-HCl緩衝液(pH8.0)10 mM中のポリトロンで組織をホモジナイズすることによって、膜ホモジネートを即座に作成する。次いで、脂肪酸を含まないウシ血清アルブミン(1 mg/ml)を含む緩衝液70μl中で、酵素反応を行う。
【0061】
種々の濃度で、試験される化合物、放射性同位体で識別されていないアナンドアミドで10μMに希釈したアナンドアミド[エタノールアミン 1-3H] (固有活性 15-20Ci/mmol)、および膜プレパレーション(アッセイにつき凍結組織400μg)を連続的に加える。25℃で15分間維持した後、クロロホルム/メタノール (2:1) 140μlを加えて酵素反応を止める。混合物を10分間撹拌し、次いで3500gで15分間遠心分離する。エタノールアミン[1-3H]を含む水相のアリコット (30μl)を液体シンチレーションによりカウントする。
【0062】
このような条件下で、最も活性な本発明の化合物は、0.005 〜1μMのIC50 値(FAAHの対照酵素活性を50%抑制する濃度)を示す。
したがって、本発明による化合物は、FAAH酵素に対する阻害活性を有することが明らかである。本発明の化合物のインビボ活性は、無痛覚症の試験において評価された。
【0063】
こうして、PBQ (エタノール5%含有0.9%NaCl溶液中の、フェニルベンゾキノン、2 mg/kg)を、体重25〜30gの雄のOF1マウスに腹膜内(i.p.)投与することにより、腹部痙攣、注入後5〜15分の間に平均30回のねじれまたは収縮が生じる。PBQを投与する30分、60分または120分前に、試験化合物を、0.5%のTween80中の懸濁液で、経口または腹膜内投与する。このような条件下で、本発明の最も効力のある化合物は、1〜30 mg/kg の投与範囲で、PBQによる痙攣回数を50〜70%低減させる。
【0064】
FAAH酵素(Chemistry and Physics of Lipids, (2000), 108, 107-121)は、N-アラキドノイルエタノールアミン (アナンドアミド)、 N-パルミトイルエタノールアミン、N-オレオイルエタノールアミン、オレアミドまたは 2-アラキドノイルグリセロールのような、種々の脂肪酸のアミドおよびエステルの内因性誘導体の加水分解に触媒作用を及ぼす。
【0065】
これらの誘導体は、とりわけカンナビノイドおよびバニロイド受容体と相互作用して、種々の薬理学的活性を及ぼす。本発明の化合物はこの分解経路を遮断し、これらの内因性物質の組織レベルを高める。本発明の化合物は、この観点において、内因性のカンナビノイドおよび/またはFAAH酵素により代謝される他の物質が関与する、あらゆる疾患の予防および治療に用いることができる。
【0066】
例えば、次の疾患および病状:
痛み、特に急性または慢性の神経原性型:[偏頭痛、ヘルペスウィルスおよび糖尿病付随形態を含む神経障害的な痛み}の痛み;
炎症性疾患:関節炎、リュウマチ関節炎、骨関節炎、脊椎炎、痛風、脈管炎、クローン病、過敏性大腸症候群に付随する急性または慢性の痛み;
急性または慢性の末梢痛;
特に化学療法後の、めまい、嘔吐、悪心;
食事障害、特に食欲不振および種々の性質の悪液質;
神経性および精神性疾患:震え、ディスキネジア、ジストニー、痙攣、強迫神経性挙動、トゥーレット症候群、あらゆる性質のおよび原因の、あらゆる症状を示す鬱病ならびに不安、感情障害、精神病;
【0067】
急性または慢性の神経変性疾患:パーキンソン病、アルツハイマー病、老人性痴呆症、ハンチントン舞踏病、脳性虚血性ならびに頭蓋および髄の外傷性障害;
癲癇;
睡眠無呼吸を含む睡眠障害;
心血管疾患、特に高血圧、心臓性不整脈、動脈硬化、心臓発作、心臓性虚血;
腎性虚血;
癌:良性皮膚腫瘍、乳頭腫および脳腫瘍、前立腺癌、脳腫瘍 (グリア芽腫、髄上皮腫、髄芽腫、神経芽腫、エンブリオ起因腫瘍、星状細胞腫、星状芽腫、脳室上皮腫、乏突起膠細胞腫、叢腫瘍、神経上皮腫、骨端腫瘍、脳室上皮芽腫、悪性髄膜腫、肉腫症、悪性黒色腫、神経鞘腫);
【0068】
免疫系障害、特に自己免疫症:乾癬、紅斑性狼瘡、結合組織疾患またはコラーゲン病、シューグレン症候群、強直性脊椎炎、未分化脊椎炎、ベーチェット病、溶血性自己免疫貧血、多発性硬化、筋萎縮性側索硬化、穀粉症、移植拒絶、形質球系統に影響する疾患;
アレルギー性疾患:即時型または遅延型過敏症、アレルギー性鼻炎または結膜炎、接触皮膚炎;
寄生虫性、ウィルス性 または細菌性感染症:
AIDS: 髄膜炎
炎症性疾患、特に関節疾患:関節炎、リュウマチ関節炎、骨関節炎、脊椎炎、痛風、脈管炎、クローン病、過敏性大腸症候群;
【0069】
骨粗鬆症;
眼性疾患:眼性高血圧、緑内障;
肺疾患:呼吸器疾患、気管支痙攣、咳、喘息、慢性気管支炎、慢性呼吸器障害、肺気腫;
胃腸疾患:過敏性大腸症候群、腸内炎症性疾患、潰瘍、下痢、胃食道還流;
尿失禁および膀胱炎
が挙げられる。
【0070】
上記疾患の予防または治療を目的とした医薬を製造するための、本発明による化合物の使用は、本発明の一部である。
本発明の主題は、式(I)の化合物、または式(I)の化合物の医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を含む医薬でもある。これらの医薬は臨床上、特に上記の疾患の予防および治療に有用である。
【0071】
別の観点によれば、本発明は、本発明の化合物を少なくとも1つ有効成分として含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、本発明の化合物、または該化合物の医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の有効量、および任意に医薬的に許容される1つ以上の賦形剤を含む。賦形剤は、望ましい剤形および投与方法により、当業者に公知の通常の賦形剤から選択される。
【0072】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局部、局所、鞘内、鼻腔内、経皮、肺内、眼内または直腸内投与用の、本発明の医薬組成物において、上記の式(I)の有効成分またはその任意の塩、溶媒和物もしくは水和物は、上記障害もしくは疾患の予防または治療のために、通常の医薬賦形剤と混合して、1回投与の形態で、動物およびヒトに投与することができる。
【0073】
好適な1回投与形態は、錠剤、ソフトまたはハードのゼラチンカプセル、粉末、顆粒、 チューインガムおよび経口液剤または懸濁剤のような経口投与形態、舌下、バッカル、気管内、眼内および鼻腔内投与、および吸入投与形態、皮下、筋肉内、静脈内または鞘内投与形態、および直腸または膣内投与形態を含む。局部投与用には、本発明による化合物を、クリーム、軟膏またはローションで用いることができる。
【0074】
例として、錠剤形態の本発明による化合物の1回投与形態は、以下の成分を含むことができる:
本発明の化合物 50.0 mg
マンニトール 223.75 mg
クロスカラメルロースナトリウム 6.0 mg
コーンスターチ 15.0 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25 mg
マグネシウムステアレート 3.0 mg
【0075】
前記の1回投与形態は、毎日投与できるように、剤形にもよるが、体重1kgにつき、有効成分0.01 〜20mgの投与量を含む。より多いかまたはより少ない投与量が好ましい特別なケースもあり、そのような投与量も本発明に属する。通例、各患者に適した投与量は、投与方法、患者の体重および応答により、医師により決定される。
【0076】
別の観点によれば、本発明は、本発明の化合物、その医薬的に許容される塩の1つ、該化合物の溶媒和物もしくは水和物の有効量を投与することを含む、上記に示した疾患の治療方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(II):
【化1】

[式中、
R1 およびnは、下記一般式(I)で定義された通りである]
のアミンを、一般式(III):
【化2】

[式中、
Uは、水素原子もしくはニトロ基を表し、
R2 は、下記一般式(I)で定義された通りである]
のカルボネートにより、下記一般式(I)の化合物に転換することからなる工程を含む、
一般式(I):
【化3】

[式中、
R1 は、1以上のハロゲン原子またはヒドロキシ、シアノ、ニトロ、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ベンジルオキシ、(C3-C6)シクロアルキル-O-もしくは(C3-C6)シクロアルキル(C1-C3)アルコキシ基で任意に置換されていてもよいフェニルもしくはナフタレニル基を表し;
R2 は、一般式CHR3CONHR4
(ここで、
R3 は水素原子またはメチル基を表し、
R4 は水素原子、または (C1-C3)アルキル、(C3-C5)シクロアルキルもしくは(ピリジン-4-イル)メチル基を表す)の基、
または2,2,2-トリフルオロエチル基、
または(イミダゾール-2-イル)メチル基、
または(ベンズイミダゾール-2-イル)メチル基、
または1以上のハロゲン原子またはシアノ、ニトロ、(C1-C3)アルキル、(C1-C3)アルコキシ、トリフルオロメチルもしくはトリフルオロメトキシ基で任意に置換されていてもよいフェニル基のいずれかを表し、
n は1〜3の数を表す]
の化合物の製造法。
【請求項2】
一般式(III):
【化4】

[式中、
R2 は、一般式CHR3CONHR4
(ここで、
R3 は水素原子またはメチル基を表し、
R4 は水素原子、または (C1-C3)アルキル、(C3-C5)シクロアルキルもしくは(ピリジン-4-イル)メチル基を表す)の基を表し、
U は水素原子またはニトロ基を表す]
に相当する化合物。

【公開番号】特開2010−248218(P2010−248218A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139427(P2010−139427)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【分割の表示】特願2004−532233(P2004−532233)の分割
【原出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】